特許異議申立
2021-701012
液体洗浄剤組成物
- 審判番号
- 2021-701012
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-124783
- 登録番号
- 6860734
- 請求日
- 2021年10月20日
- 審決日
- 2024年09月03日
- 公報発行日
- 2024年12月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社ADEKA
- 【権利者代理人】細井 勇
- 【権利者代理人】栗田 由貴子
- 【権利者】ADEKAクリーンエイド株式会社
- 【権利者代理人】細井 勇
- 【権利者代理人】栗田 由貴子
- 【異議申立人】下河 あい
- 審判長/審判官
- 審判長 関根 裕
- 審判官 門前 浩一
- 審判官 瀬下 浩一
- 分類
- P1651.113-YAA(C11D) / P1651.121-YAA(C11D) / P1651.537-YAA(C11D) / P1651.854-YAA(C11D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6860734号発明「液体洗浄剤組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6860734号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-9〕について訂正することを認める。
特許第6860734号の請求項1-2、6-9に係る特許を維持する。
特許第6860734号の請求項3-5に係る特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6860734号(以下「本件特許」という。)の請求項1~9に係る特許についての出願は、令和2年7月21日(優先権主張 令和元年9月12日)に出願され、令和2年10月12日付けで拒絶理由が通知され、同年12月4日に意見書及び手続補正が提出され、令和3年3月30日にその特許権の設定登録(請求項の数9)がされ、同年4月21日に特許掲載公報が発行され、同年10月20日に特許異議申立人 下河あい(以下「申立人」という。)により、その全請求項に対して特許異議の申立てがされたものであって、その後の経緯は次のとおりである。
令和4年 2月21日付け 取消理由通知
同年 4月26日 訂正請求書及び意見書(特許権者)
同年 5月16日付け 訂正請求があった旨の通知
同年 6月22日 意見書(申立人)
令和5年 3月22日付け 訂正拒絶理由通知
同年 8月22日付け 取消理由通知
同年10月20日 訂正請求書及び意見書(特許権者)
同年11月14日付け 訂正請求があった旨の通知
同年12月18日 意見書(申立人)
なお、令和4年4月26日の訂正請求書による訂正の請求は、特許法120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。
第2 本件訂正について
1 令和5年10月20日にされた訂正の請求の「請求の趣旨」は、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~9について訂正することを求める、というものである。
2 訂正の内容
本件訂正は、次の訂正事項1~10からなるものである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「(E)成分として多価アルコール、
を含有し、(A)成分と(B)成分の質量比が、(A)/(B)の値で0.002以上、100以下であり、(A)成分と(E)成分の質量比が、(A)/(E)の値で0.001以上、1以下であり、」と記載されているのを、
「(E)成分として多価アルコール(但し、アルキルポリグルコシドを含むアルキルグルコシド及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを除く)を含有し、組成物中の(C)成分の割合が0.1質量%以上、5.0質量%以下であり、(C)成分がアルキルポリグルコシドを含むアルキルグルコシド、アルキルジメチルアミンオキシドのいずれかを少なくとも含有し、前記(C)成分以外の成分としてアルキルポリグルコシドを含むアルキルグルコシド及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを含有せず、(A)成分と(B)成分の質量比が、(A)/(B)の値で0.002以上、100以下であり、(A)成分と(E)成分の質量比が、(A)/(E)の値で0.02以上、1以下であり、」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2、5~9も同様に訂正する。)
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4を削除する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5を削除する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6に、
「前記皮膚用液体洗浄剤組成物において、(A)成分が0.08質量%以上1.0質量%以下の範囲で含まれ、かつ(E)成分が、0.1質量%以上10.0質量%以下の範囲で含まれる請求項1から5のいずれか一項に記載の皮膚用液体洗浄剤組成物。」と記載されているのを、
「前記皮膚用液体洗浄剤組成物において、(A)成分が0.08質量%以上1.0質量%以下の範囲で含まれ、かつ(E)成分が、0.1質量%以上10.0質量%以下の範囲で含まれる請求項1又は2に記載の皮膚用液体洗浄剤組成物。」に訂正する。(請求項6の記載を引用する請求項7~9も同様に訂正する。)
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項7に、
「組成物の25℃におけるpHが8.1以上、11未満であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の皮膚用液体洗浄剤組成物。」と記載されているのを、
「組成物の25℃におけるpHが8.1以上、11未満であることを特徴とする請求項1、2、6のいずれか一項に記載の皮膚用液体洗浄剤組成物。」に訂正する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項8に、
「前記洗浄剤組成物が、手指用液体洗浄剤である請求項1から7のいずれか一項に記載の液体洗浄剤組成物。」と記載されているのを、
「前記洗浄剤組成物が、手指用液体洗浄剤である請求項1、2、6、7のいずれか一項に記載の液体洗浄剤組成物。」に訂正する。(請求項8の記載を引用する請求項9も同様に訂正する。)
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項9に、
「前記洗浄剤組成物が、アルコール系溶剤を含む請求項1から8のいずれか一項に記載の皮膚用液体洗浄剤組成物。」と記載されているのを、
「前記洗浄剤組成物が、アルコール系溶剤を含む請求項1、2、6、7、8のいずれか一項に記載の皮膚用液体洗浄剤組成物。」に訂正する。
(9)訂正事項9
明細書の段落【0009】に、
「上記課題を解決するために、本発明者等は鋭意検討した結果、(A)成分として第四級アンモニウム塩型界面活性剤、(B)成分としてpH調整剤、(C)成分として非イオン界面活性剤、両性界面活性剤より選ばれた少なくとも一種を配合し、(E)成分として多価アルコールを配合し、更に(A)成分と(C)成分を特定範囲の比率とするとともに(A)成分と(E)成分を特定範囲の比率とし、25℃におけるpHを8.1以上、12.0以下とした組成物が、優れた洗浄性、殺菌効果、ウイルス不活化効果、皮膚への低刺激性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。」と、記載されているのを、
「上記課題を解決するために、本発明者等は鋭意検討した結果、(A)成分として第四級アンモニウム塩型界面活性剤、(B)成分としてpH調整剤、(C)成分として非イオン界面活性剤、両性界面活性剤より選ばれた少なくとも一種を配合し、(E)成分として多価アルコールを配合し、更に(A)成分と(B)成分を特定範囲の比率とするとともに(A)成分と(E)成分を特定範囲の比率とし、25℃におけるpHを8.1以上、12.0以下とした組成物が、優れた洗浄性、殺菌効果、ウイルス不活化効果、皮膚への低刺激性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。」と訂正する。
(10)訂正事項10
明細書の段落【0010】に、
「即ち、本発明の皮膚用液体洗浄剤組成物は、(A)成分として第四級アンモニウム塩型界面活性剤、(B)成分としてpH調整剤、(C)成分として非イオン界面活性剤、両性界面活性剤より選ばれた少なくとも一種、(D)成分として水、(E)成分として多価アルコール、を含有し、(A)成分と(B)成分の質量比が、(A)/(B)の値で0.002以上、100以下であり、(A)成分と(E)成分の質量比が、(A)/(E)の値で0.001以上、1以下であり、25℃におけるpHが8.1以上、12.0以下であることを特徴とする。」と、記載されているのを、
「即ち本発明は、
(1)(A)成分として第四級アンモニウム塩型界面活性剤、
(B)成分としてpH調整剤、
(C)成分として非イオン界面活性剤、両性界面活性剤より選ばれた少なくとも一種、
(D)成分として水、
(E)成分として多価アルコール(但し、アルキルポリグルコシドを含むアルキルグルコシド及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを除く)を含有し、組成物中の(C)成分の割合が0.1質量%以上、5.0質量%以下であり、(C)成分がアルキルポリグルコシドを含むアルキルグルコシド、アルキルジメチルアミンオキシドのいずれかを少なくとも含有し、前記(C)成分以外の成分としてアルキルポリグルコシドを含むアルキルグルコシド及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを含有せず、(A)成分と(B)成分の質量比が、(A)/(B)の値で0.002以上、100以下であり、(A)成分と(E)成分の質量比が、(A)/(E)の値で0.02以上、1以下であり、25℃におけるpHが8.1以上、12.0以下であることを特徴とする皮膚用液体洗浄剤組成物、
(2)(A)成分が、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩と、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、ベンゼトニウム塩より選ばれた少なくとも1種と、を含有することを特徴とする前記(1)に記載の皮膚用液体洗浄剤組成物、
(3)前記皮膚用液体洗浄剤組成物において、(A)成分が0.08質量%以上1.0質量%以下の範囲で含まれ、かつ(E)成分が、0.1質量%以上10.0質量%以下の範囲で含まれる前記(1)又は(2)に記載の皮膚用液体洗浄剤組成物、
(4)組成物の25℃におけるpHが8.1以上、11未満であることを特徴とする前記(1)、(2)、(3)のいずれかに記載の皮膚用液体洗浄剤組成物、
(5)前記洗浄剤組成物が、手指用液体洗浄剤である前記(1)、(2)、(3)、(4)のいずれかに記載の液体洗浄剤組成物、
(6)前記洗浄剤組成物が、アルコール系溶剤を含む前記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)のいずれかに記載の皮膚用液体洗浄剤組成物
である。」と訂正する。
(11)一群の請求項について
訂正前の請求項1~9について、請求項2~9は、請求項1を直接又は間接的に引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して記載が訂正されるものである。従って、訂正前の請求項1~9に対応する訂正後の請求項1~9は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
3 訂正要件についての判断
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
(ア)訂正事項1は、訂正前に特定のなかった「(E)成分として多価アルコール」について、「アルキルポリグルコシドを含むアルキルグルコシド及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールは除かれるという限定を行い(訂正事項1-1)、訂正前の「(C)成分として非イオン界面活性剤、両性界面活性剤より選ばれた少なくとも一種」について、(C)成分を具体的に「アルキルポリグルコシドを含むアルキルグルコシド、アルキルジメチルアミンオキシドのいずれかを少なくとも含有し」と特定するとともに、(C)成分の含有割合を特定し、更に、(C)成分以外の成分としてアルキルポリグルコシドを含むアルキルグルコシド及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを含有しないという限定を行い(訂正事項1-2)、さらに、(A)成分と(E)成分の質量比即ち、(A)/(E)の値の下限値を、訂正前の「0.002以上1以下」から「0.02以上1以下」と限定する(訂正事項1-3)ものである。
(イ)訂正事項1-1は、(C)成分であるポリアルキルグルコシドを含むアルキルグルコシドを(E)成分である多価アルコールから除外するものであり、ポリアルキルグルコシドを含むアルキルグルコシドが(C)成分と(E)成分の両方に分類されることを避けるとともに、(E)成分の減縮にもなっているから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮及び同項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明に該当する。
(ウ)訂正事項1-2は、訂正前には存在しなかった特定を追加するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(エ)訂正事項1-3は、(A)成分と(E)成分の質量比の数値範囲を狭くする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上の拡張・変更の有無
(ア)訂正事項1-1は、明瞭でない記載の釈明を1つの目的とするものであって、「ポリオール成分」として、本件の願書に添付した本件明細書の段落【0039】に記載されているように「(E)成分を含有させることで、皮膚刺激性を抑制できる」とされているように、そもそも、皮膚刺激性を抑制できる作用がない「アルキルポリグルコシドを含むアルキルグルコシド及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール」が(E)成分に含まれないことが示唆されていたものを、含まれないことを明確にした訂正であって、また、(C)成分以外の成分として「アルキルポリグルコシドを含むアルキルグルコシド及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール」を含有しないことを特定したこととあいまって、実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものではない。
(イ)申立人の主張について
申立人は、訂正事項1-1について実質上特許請求の範囲を拡張するものと主張しているが、申立人の指摘する例は、訂正前の(C)成分と(E)成分との定義が重複していたことによるものであることから、申立人の主張は採用できない。
(ウ)訂正事項1-2及び訂正事項1-3は、特許請求の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものではない。
ウ 新規事項の追加の有無
(ア)訂正事項1-1は、除くクレームとするものであり、新規事項の追加とはならない。
(イ)訂正事項1-2についても、除くクレームとするものであり、新規事項の追加とはならない。
(ウ)訂正事項1-3は、本件の願書に添付した明細書の段落【0041】の「より好ましい洗浄性、殺菌性、またはウイルス不活化効果を発揮させるという観点からは、(A)成分と(E)成分の質量比は、(A)/(E)の値で0.001以上であることが好ましく、0.005以上であることがより好ましく、0.02以上であることがさらに好ましい。」という記載に基づくものであるから、新規事項を追加するものではない。
エ 独立特許要件
本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正前の請求項1に係る訂正事項1に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(2)訂正事項2~4について
ア 訂正の目的
訂正事項2~4は、訂正前の請求項3~5をそれぞれ削除するというものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上の拡張・変更の有無
訂正事項2~4は、訂正前の請求項3~5をそれぞれ削除するというものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ウ 新規事項の追加の有無
訂正事項2~4は、訂正前の請求項3~5をそれぞれ削除するというものであるから、新規事項を追加するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
エ 独立特許要件
本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正前の請求項3~5に係る訂正事項2~4に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(3)訂正事項5~8について
ア 訂正の目的
訂正事項5~8は、訂正事項2~4によって削除された請求項3~5の記載を引用する請求項6~9の引用する請求項3~5を削除するものであって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上の拡張・変更の有無
訂正事項5~8は、訂正事項2~4によって削除された請求項3~5の記載を引用する請求項6~9の引用する請求項3~5を削除するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものといえる。
ウ 新規事項の追加の有無
訂正事項5~8は、訂正事項2~4によって削除された請求項3~5の記載を引用する請求項6~9の引用する請求項3~5を削除するものであって、新規事項を追加するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
エ 独立特許要件
本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正前の請求項6~9に係る訂正事項5~8に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(4)訂正事項9について
ア 訂正の目的
訂正事項9は、明細書の段落【0009】の「(A)成分と(C)成分を特定範囲の比率とする」との記載を「(A)成分と(B)成分を特定範囲の比率とする」と訂正するものであり、本件の願書に添付した特許請求の範囲の第1項の記載「(A)成分と(B)成分の質量比が、(A)/(B)の値で0.002以上、100以下であり、」という記載からみて、訂正前の段落【0009】は、誤記であると読み取れるから、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。
イ 実質上の拡張・変更の有無
訂正事項9は、単に明細書中の誤記を訂正するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ウ 新規事項の追加の有無
訂正事項9は、本件の願書に最初に添付された明細書の段落【0028】の「本発明において、上述する(A)成分と(B)成分の質量比は、(A)/(B)の値で0.002以上、100以下となるよう調整される。かかる範囲に調整されることで、本発明の液体洗浄剤組成物は、皮膚刺激性を抑えつつ、良好な洗浄性、殺菌性およびウイルス不活化効果を発揮可能である。」と記載されており、新規事項を追加するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
エ 関連する請求項について
訂正事項9は、明細書中の誤記を訂正するためのものであり、明細書の訂正に係る一群の請求項1~9の全てについて行うものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項に適合するものである。
オ 独立特許要件
訂正事項9は、請求項1~9からなる一群の請求項に関連するものであり、一群の請求項1~9について特許異議申立がされているので、訂正事項9に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(5)訂正事項10について
ア 訂正の目的
訂正事項10は、訂正事項1~8に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 実質上の拡張・変更の有無
訂正事項10は、訂正事項1~8に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ウ 新規事項の追加の有無
訂正事項10は、訂正事項1~8に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、新規事項を追加するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
エ 関連する請求項
訂正事項10は、訂正事項1~8に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、訂正事項10は明細書の訂正に係る一群の請求項1~9の全てについて行うものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項に適合するものである。
オ 独立特許要件
訂正事項10は、請求項1~9からなる一群の請求項に関連するものであり、一群の請求項1~9について特許異議申立がされているので、訂正事項10に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
4 訂正についての小括
前記1~3から、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1~3号を目的とする訂正であって、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第4号ないし第6号の規定に適合する。したがって、本件訂正を認める。
第3 本件発明
本件特許の請求項1~9に係る発明(以下、請求項の番号に従って「本件発明1」~「本件発明9」といい、まとめて「本件発明」ということもある。)は次のとおりのものである。
「【請求項1】
(A)成分として第四級アンモニウム塩型界面活性剤、
(B)成分としてpH調整剤、
(C)成分として非イオン界面活性剤、両性界面活性剤より選ばれた少なくとも一種、
(D)成分として水、
(E)成分として多価アルコール(但し、アルキルポリグルコシドを含むアルキルグルコシド及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを除く)を含有し、組成物中の(C)成分の割合が0.1質量%以上、5.0質量%以下であり、(C)成分がアルキルポリグルコシドを含むアルキルグルコシド、アルキルジメチルアミンオキシドのいずれかを少なくとも含有し、前記(C)成分以外の成分としてアルキルポリグルコシドを含むアルキルグルコシド及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを含有せず、(A)成分と(B)成分の質量比が、(A)/(B)の値で0.002以上、100以下であり、(A)成分と(E)成分の質量比が、(A)/(E)の値で0.02以上、1以下であり、25℃におけるpHが8.1以上、12.0以下であることを特徴とする皮膚用液体洗浄剤組成物。
【請求項2】
(A)成分が、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩と、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、ベンゼトニウム塩より選ばれた少なくとも1種と、を含有することを特徴とする請求項1に記載の皮膚用液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
前記皮膚用液体洗浄剤組成物において、(A)成分が0.08質量%以上1.0質量%以下の範囲で含まれ、かつ(E)成分が、0.1質量%以上10.0質量%以下の範囲で含まれる請求項1又は2に記載の皮膚用液体洗浄剤組成物。
【請求項7】
組成物の25℃におけるpHが8.1以上、11未満であることを特徴とする請求項1、2、6のいずれか一項に記載の皮膚用液体洗浄剤組成物。
【請求項8】
前記洗浄剤組成物が、手指用液体洗浄剤である請求項1、2、6、7のいずれか一項に記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項9】
前記洗浄剤組成物が、アルコール系溶剤を含む請求項1、2、6、7、8のいずれか一項に記載の皮膚用液体洗浄剤組成物。」
第4 特許異議申立て理由の概要
1 新規性・進歩性
(1)本件発明1~9は、後記3(1)の甲第1号証または甲第2号証に記載された発明であるか、甲第1号証及び甲第2号証のいずれかに記載された発明並びに甲第1~3号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、新規性または進歩性を欠如する。
(2)本件発明1~9は、令和2年10月12日付けの拒絶理由通知に引用された後記3(2)の引用文献1~3に記載された発明及び甲第4~9号証に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることできたものであり、進歩性を欠如する。
2 記載要件
(1)明確性要件について
ア (B)成分の範囲
本件発明1に規定された「pH調整剤」として、pHを調整可能な任意の化合物が含まれることとなるが、その結果(B)成分の範囲及び(A)/(B)の値が何を指しているいるのかが不明確である。
イ 「多価アルコール」の定義について
本件発明1の(E)成分である「多価アルコール」について、本件明細書の【0039】に例示はされているものの、定義がされていないから、-OH基を2以上有する膨大な化合物を含むことになる。また、本件発明1の(C)成分であるアルキルポリグルコシドも包含することになるから、特許請求の範囲の記載は不明確である。
ウ 本件発明9の「アルコール系溶剤」について
本件発明9には、「アルコール系溶剤」が規定されているが、(E)成分の多価アルコールもアルコール系溶剤とも言いうるため、本件発明9に係る記載は不明確である。
(2)サポート要件について
本件明細書に記載された実施例20~26、32~36、38~45、48、51~67の組成物においては、5種の特定の(A)成分、7種類の特定の(B)成分、5種類の特定の(C)成分、イオン交換水である(D)成分、3種類の特定の(E)成分を用いた例が記載されているが、本件発明1の範囲にまで拡張・一般化できるとはいえないから、サポート要件違背である。
3 証拠方法等の一覧
(1)申立人がして提示した証拠方法は、次のとおりである。なお、甲第1号証などをその番号に従い、以下「甲1」などという。
ア 特許異議申立て時に提示されたもの
甲1:特開2010-132612号公報
甲2:特開2006-182698号公報
甲3:特開昭62-46801号公報
甲4:特開2017-109960号公報
甲5:特開2011-126796号公報
甲6:特開2006-219431号公報
甲7:特開2005-120245号公報
甲8:特開2004-83569号公報
甲9:特開昭54-84037号公報
イ 令和4年6月22日に受付られた意見書と共に提示されたもの
甲10:特開2017-105939号公報
甲11:特開2016-84285号公報
甲12:特開2012-12436号公報
甲13:特開2012-131951号公報
甲14:特開2005-281639号公報
甲15:特開平7-109493号公報
甲16:花王株式会社、ウェブサイト、「イノベーションのDNA」、2019年12月4日公開:Url:https://www.kao.com/jp/kaonokao/dna/1_2/
甲17:アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2018、日皮会誌、Vol.128、No.12、2341~2502頁
甲18:NOVオンラインショップ、「敏感肌用ボディソープ(全身用洗浄剤)を選ぶポイント」、2018年9月26日公開:Url:https://noevirgroup/nov/pages/body-soap.aspx
(2)令和2年10月12日付けの拒絶理由通知の引用文献
引用文献1:特開2019-112342号公報
引用文献2:特開2019-104793号公報
引用文献3:特開2013-14551号公報
(3)特許権者が提示した証拠方法は、次のとおりである。なお、乙第1号証などをその番号に従い、「乙1」などという。
乙1:無体財産法研究会編、新日本法規 判例 特許・実用新案法[6]、2528の138頁~2528の150頁
乙2:追加処方1の組成及び試験結果を示す表A
乙3:無体財産法研究会編、新日本法規 判例 特許・実用新案法[5-B](2)、2492の3510頁~2492の3517頁
第5 取消理由に採用した証拠方法の記載事項
1 甲1には次の記載がある。
「【請求項1】
下記の(A)~(C)成分を、組成物全体に対し下記の割合で含有するとともに、(D)成分として水を含有することを特徴とする手指用殺菌洗浄剤組成物。
(A)陽イオン系殺菌剤 0.05~25.0質量%。
(B)3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート 0.005~5.0質量%。
(C)両性界面活性剤(c1)および非イオン界面活性剤(c2)の少なくとも一方 0.5~40.0質量%。
【請求項2】
上記(A)成分の陽イオン系殺菌剤が、陽イオン界面活性剤およびビグアナイド系化合物からなる群から選択される少なくとも一種である請求項1記載の手指用殺菌洗浄剤組成物。
【請求項3】
上記(C)成分の両性界面活性剤(c1)が、アルキルベタイン型両性界面活性剤、アルキルアミノ脂肪酸塩およびアルキルアミンオキシドからなる群から選択される少なくとも一種である請求項1または2記載の手指用殺菌洗浄剤組成物。
【請求項4】
上記(C)成分の非イオン界面活性剤(c2)が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンエーテル、アルキルグルコシド、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよび脂肪酸アルカノールアミドからなる群から選択される少なくとも一種である請求項1または2記載の手指用殺菌洗浄剤組成物。」
「【0001】
本発明は、手指を清浄にするために用いられる手指用殺菌洗浄剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、飲食店、学校給食、社員食堂、大規模調理施設、食品加工工場、飲料工場、醸造所、一般家庭等における厨房、作業場、台所、洗面所等では、食中毒防止等の観点から、衛生的で清浄な手指で作業を行うことを目的として、手指用の殺菌洗浄剤が配備されている。
【0003】
このような手指用殺菌洗浄剤としては、従来から、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩などの陽イオン界面活性剤が多く用いられてきたが、このものは、皮膚に対する刺激性が強いため、添加量が多くなると手荒れや発疹を引き起こすおそれがあり、添加量を低く設定した場合には、刺激性が緩和されるものの、殺菌効力が低下してしまい、所望とする殺菌または殺菌洗浄の用途において充分な効果を発揮できないという問題があった。
【0004】
そこで、上記陽イオン系殺菌剤に種々の改良を加えて皮膚に対する刺激性を緩和したり、殺菌効果の向上を企図したものが、各種提案されている。」
「【0033】
本組成物の(C)成分は、上記(c1)および(c2)の中から選ばれる少なくとも一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせてもよい。
【0034】
そして、上記(C)成分の配合量((c1)+(c2))は、本組成物中0.1~40.0質量%の範囲である。すなわち、上記配合量が0.1質量%未満では、洗浄力、泡立ちを高める効果に乏しく、また40.0質量%を超えて配合しても、洗浄力の向上効果は飽和となる上、本組成物の貯蔵安定性が乏しくなり、経済的にも不利となる。なかでも、洗浄力の点から1~35.0質量%の範囲が好ましく、さらに経済性の点から、1~20.0質量%の範囲がより好ましい。」
「【0037】
なお、本組成物には、必要により、本発明の効果を妨げない範囲において、溶剤、色素、洗浄ビルダー、pH調整剤、香料、保湿剤、pH緩衝剤、防腐剤、粘度調整剤(増粘剤・減粘剤)、防黴剤、酸化防止剤、金属腐食抑制剤等の任意成分を、適宜配合することができる。」
「【0042】
〔実施例1~25および比較例1~13〕
後記の表1~表8に示す、実施例1~25および比較例1~13の手指用殺菌洗浄剤組成物を調製し、以下の各種試験に供した。また、表中の各成分の数値は、各成分の有り姿としての含有量(質量%)である。
・・・
【0056】
なお、以下の表1~表8に示す成分の詳細は、以下の通りである。なお、各成分における有効成分量(質量%、「%」と略す。)を併せて示した。
【0057】
〔(A)成分〕
・陽イオン界面活性剤1
塩化ベンザルコニウム(三洋化成工業社製/商品名:G-50/純分50%)
・陽イオン界面活性剤2
ジデシルジメチルアンモニウムクロライド(ライオンアクゾ社製/商品名:アーカード210-80E/純分80%)
・ビグアナイド系化合物
ポリヘキサメチレンビグアナイド(ニッコウケミカルズ社製/商品名:コスモシルCQ/純分20%)
【0058】
〔(B)成分〕
・IPBC
3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート(ロンザ・ジャパン社製/商品名:グライカシル/純分97%)
【0059】
〔(c1)成分〕
・両性界面活性剤1
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(東邦化学工業社製/商品名:オバゾリンCAB-30/純分30%)
・両性界面活性剤2:ラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン(川研ファインケミカル/商品名:ソフタゾリンCH/純分30%)
・両性界面活性剤3:炭素数12のアルキルアミンオキサイド(クラリアントジャパン社製/商品名:ゲナミノックスK12/純分32%)
・両性界面活性剤4:ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキサイド(川研ファインケミカル社製/商品名:ソフタゾリンLAO/純分30%)
【0060】
〔(c2)成分〕
・非イオン界面活性剤1
炭素数12の直鎖アルコールのエチレンオキサイド7モル付加物(第一工業製薬社製/商品名:DKS-NL70/純分100%)
・非イオン界面活性剤2
炭素数12の直鎖アルコールのエチレンオキサイド9モル付加物(第一工業製薬社製/商品名:DKS-NL90/純分100%)
・非イオン界面活性剤3
デシルポリグルコシド(花王社製/商品名:マイドール10/純分40%)
・非イオン界面活性剤4
ラウリルポリグルコシド(花王社製/商品名:マイドール12/純分40%)
・非イオン界面活性剤5
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(ADEKA社製/商品名:アデカソールCOA/純分100%)
・非イオン界面活性剤6
パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド(川研ファインケミカル社製/商品名:アミゾールKD-3/純分88%)
・・・
【0077】
【表9】
[図:0001417580000001.jpg]
」
2 甲2には次の記載がある。
「【請求項1】
(A)両性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種と、(B)脂肪酸塩とを含有し、上記(A)成分と(B)成分との含有比率〔(A)/(B)〕が質量比で、90/10~10/90の範囲であり、かつ、(A)成分+(B)成分を含む全界面活性剤の合計含有量が15質量%未満であることを特徴とする手指用洗浄剤組成物。
【請求項2】
更に、炭素数5~15の炭化水素類から選ばれる少なくとも1種の成分を、香料組成の50質量%以上含有する香料を含有することを特徴とする請求項1に記載の手指用洗浄組成物。」
「【技術分野】
【0001】
本発明は、油汚れの洗浄力に優れ、かつ、肌にマイルドでさっぱりとしたすすぎ感触を有し、手に香りの残りにくい手指用洗浄剤組成物に関する。」
「【0011】
本発明によれば、油汚れに対する洗浄力に優れ、かつ、肌に対してマイルドでさっぱりとしたすすぎ感触を有し、手に香りが残りにくい手指用洗浄剤組成物が提供される。」
「【0013】
本発明に用いる(A)成分の両性界面活性剤としては、通常の洗浄剤組成物に用いられるものであれば特に制限されず、例えば、イミダゾリン型(アミドアミン型)、アミドアミノ酸塩、カルボベタイン型(アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン)、スルホベタイン型(アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン)、ホスホベタイン型、アシル第3級アミンオキサイド、アシル第3級ホスフォンオキシドなどを使用することができる。
イミダゾリン型として、例えば、ヤシ油アルキル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなど、アルキルベタインとして、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなど、アルキルアミドベタインとして、例えば、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインなどが挙げられる。
アルキルスルホベタインとして、例えば、ヤシ油脂肪酸ジメチルスルホプロピルベタインなど、アルキルヒドロキシスルホベタインとして、例えば、ラウリルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン、ホスホベタイン型として、例えば、ラウリルヒドロキシホスホベタインなどが挙げられる。
【0014】
更に、アシル第3級アミンオキサイドとしては、例えば、ラウリルジメチルアミンオキサイドなど、アシル第3級ホスフォンオキサイドとしては、例えば、ラウリルジメチルホスフォンオキサイドなどがあり、これらは半極性界面活性剤とも呼ばれるものである。
これらの両性界面活性剤は、単独で、又は2種以上を組み合わせて(以下、単に「少なくとも1種」という)使用することができる。
好ましい両性界面活性剤としては、泡立ちのよさと、価格の点から、アルキルベタインや、アルキルアミドベタイン、アシル第3級アミンオキサイドなどが望ましい。」
「【0018】
本発明では、上記(A)成分、(B)成分、任意成分を本発明の効果を妨げない範囲で適宜含有することができるる。
任意成分としては、例えば、上記以外の界面活性剤、シリコーン類や高級アルコールなどの油分、ラノリン誘導体、蛋白誘導体、水溶性高分子化合物、ビタミンなどの薬剤、防腐剤、pH調製剤、金属封鎖剤、紫外線吸収剤、動植物抽出物又はその誘導体、香料、色素などの少なくとも1種が挙げられる。なお、これら任意成分の含有量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量含有することができる。また、残部は、水(上水、精製水、イオン交換水、蒸留水、純水等)で調整される。」
「【0021】
また、香料用溶剤としては、例えば、エタノール、ベンジルベンゾエート、アセチン(トリアセチン)、MMBアセテート(3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート)、エチレングリコールジブチレート、ヘキシレングリコール、ジブチルセバケート、デルチールエキストラ(イソプロピルミリステート)、メチルカルビトール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)、カルビトール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、TEG(トリエチレングリコール)、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、トリプロピレングリコール、アボリン(ジメチルフタレート)、デルチルプライム(イソプロピルパルミテート)、ジプロピレングリコールDPG-FC(ジプロピレングリコール)、ファルネセン、ジオクチルアジペート、トリブチリン(グリセリルトリブタノエート)、ヒドロライト-5(1,2-ペンタンジオール)、プロピレングリコールジアセテート、セチルアセテート(ヘキサデシルアセテート)、エチルアビエテート、アバリン(メチルアビエテート)、シトロフレックスA-2(アセチルトリエチルシトレート)、シトロフレックスA-4(トリブチルアセチルシトレート)、シトロフレックスNo.2(トリエチルシトレート)、シトロフレックスNo.4(トリブチルシトレート)、ドゥラフィックス(メチルジヒドロアビエテート)、MITD(イソトリデシルミリステート)、ポリリモネン(リモネンポリマー)、1,3-ブチレングリコール等の少なくとも1種が挙げられる。
これら香料用溶剤は、香料組成物中に、好ましくは、0.1~99%含有されるが、更に好ましくは、0.1~10%とすることが望ましい。」
「【0026】
次に、本発明を実施例及び比較例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、以下の例において「%」の記載は、いずれも「質量%」を表わし、全量は100質量%であり、また、実施例記載の成分量は、全て純分換算である。
【0027】
〔実施例1~13及び比較例1~9〕
下記表1及び表2に示す各組成からなる、実施例及び比較例の手指用洗浄剤組成物を常法に準じて調製した。
得られた各手指用洗浄剤組成物について、下記評価方法により、油汚れに対する洗浄力、すすぎ時のぬるつきのなさ、肌に対するマイルド性及び手に残る香りを評価した。
これらの結果を下記表1及び表2に示す。また、表1及び表2に用いた香料組成を下記表3に示す。」
「【0032】
【表1】
[図:0001417580000002.jpg]
」
ウ 「【0033】
【表2】
[図:0001417580000003.jpg]
」
「【0034】
【表3】
[図:0001417580000004.jpg]
」
「【0039】
〔実施例16〕液体洗浄剤組成物
ラウリン酸アミドプロピルベタイン*2 2.5
ラウリン酸カリウム 4
ミリスチン酸カリウム 3
パルミチン酸カリウム 0.5
N-ラウロイル-L-グルタミン酸カリウム*22 1
ベントナイト*23 0.1
セキスオレイン酸ソルビタン*24 1
シリコーンエマルジョン*25 2
アクリル酸アルキル共重合体エマルション*10 2
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体*26 3
カチオン化グアーガム*27 0.5
エチレングリコールジステアレート 2
ヘキシレングリコール 2
ローズマリーエキス*28 1
安息香酸ナトリウム 1
ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.1
塩化ベンザルコニウム 0.1
イソプロピルメチルフェノール 0.2
香料4(表3) 0.4
ジブチルヒドロキシトルエン 0.01
水酸化カリウム pH10に調整量
精製水 残 部
(A)/(B) 25/75
(A)+(B) 10
総界面活性剤量 12(%)」
「【0043】
〔実施例20〕液体洗浄剤組成物
ラウリン酸アミドプロピルベタイン*2 1
ラウリルジメチルアミンオサイド*3 1
ラウリン酸カリウム 5
ミリスチン酸カリウム 3
POE(11)ステアリルエーテル 1
POE(2)ラウリン酸モノエタノールアミド*36 1
POE(2)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド*37 1
プロピレングリコール 15
アクリル酸アルキル共重合体エマルション*6 4
スチレン重合体エマルジョン*7 0.7
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体*26 1
カチオン化セルロース*18 0.5
カミツレエキス*29 0.01
安息香酸ナトリウム 0.1
エデト酸四ナトリウム四水塩 0.2
ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.1
塩化ベンザルコニウム 0.1
イソプロピルメチルフェノール 0.1
香料5(表3) 0.5
水酸化カリウム pH10に調整量
精製水 残 部
(A)/(B) 20/80
(A)+(B) 10
総界面活性剤量 13(%)」
「【0044】
上記実施例1~20及び比較例1~6で使用した各種成分(*1~*37)は、下記のとおりである。
*1:オバゾリンLB-SF、東邦化学工業製
*2:エナジコールL-30B、ライオン化学製
*3:アロモックスDM12DW(C)、ライオン化学製
*4:EMALEX611、日本エマルジョン製
*5:EMALEX OD-5、日本エマルジョン製
*6:レオアールMS-200、ライオン化学社製
*7:サイビノールPE-3、サイデン化学製
*8:サンノールLMT-1430(ライオン化学製)
*9:EMALEX608、日本エマルジョン社製
*10:レオアールMS-100、ライオン化学社製
*11:クニピアG、クニミネ工業製
*12:メトローズHPMC 60SH-4000、信越化学工業社製
*13:BY22-055、東レ・ダウコーニング・シリコーン製
*14:メリッサ抽出液BG-50、香栄興業製
*15:海藻エキス末、アルプス薬品工業製
*16:サイビノール PE-21、サイデン化学製
*17:ベンゲルFW、豊順鉱業社製
*18:レオガードGP、ライオン化学製
*19:油溶性甘草エキスP-T40N、丸善製薬製
*20:BY22-020、東レ・ダウコーニング・シリコーン製
*21:オクトピロックス、クラリアント・ジャパン製
*22:アミソフトLK-12、味の素製
*23:クニピアF、クニミネ工業製
*24:EMALEX SPO-150、HLB5、日本エマルジョン製
*25:BY22-060、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製
*26:カヤクリルレジンM-50、日本化薬製
*27:ジャガーC14S、三粧社製
*28:ローズマリー水、丸善製薬社製
*29:カミツレリキッド、一丸ファルコス製
*30:EMALEX GWIS-115、HLB12、日本エマルジョン製
*31:SH200-10000cs、東レ・ダウコーニング・シリコーン製
*32:HOSTAPON KTW NEW、クラリアントジャパン製
*33:EMALEX HC-40、HLB12、日本エマルジョン製
*34:サイビノール X-201-840E、サイデン化学製
*35:精製ホホバ油、香栄興業
*36:アミゼット2L-Y、川研ファインケミカル製
*37:アミゼット2C、川研ファインケミカル製」
3 甲3には次の記載がある。
第1頁右下欄2~17行
「1.発明の名称
殺菌消毒剤
2.特許請求の範囲
アルキルベンジルジメチルアンモニウムまたはその塩と、ハロゲン化セチルトリメチルアンモニウムまたは(および)ハロゲン化セチルピリジニウムとを含有してなる殺菌消毒剤
3.発明の詳細な説明
産業上の利用分野
本発明はアルキルベンジルジメチルアンモニウムまたはその塩と、ハロゲン化セチルトリメチルアンモニウムまたは(および)ハロゲン化セチルピリジニウムとを含有してなる殺菌消毒剤に関するものである。本剤は高分子保持体の存在下で対象物に接触せしめても有効に殺菌消毒力を発揮する。」
第6 取消理由に採用した異議申立理由について
令和4年2月21日付け及び令和6年8月22日付けの取消理由通知においては、取消理由として、前記第4、1(1)及び同2(1)イの申立理由を採用した。
1 甲1を主引用例とした新規性・進歩性についての検討
(1)甲1発明の認定
前記第4、1(6)に摘記した甲1の段落【0077】の【表9】に記載された実施例28に注目する。また、前記第4、1(5)に摘記した甲1の段落【0042】にあるように、「表中の各成分の数値は、各成分の有り姿としての含有量(質量%)」であることから、純分の計算も行うこととする。
実施例28の成分である陽イオン界面活性剤1(1.00)は、「塩化ベンザルコニウム」であり、純分が50%と記載されている。(段落0057)
同じく両性界面活性剤1(4.00)は、「ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン」であり、純分が30%であると記載されている。(段落0059)
同じく非イオン界面活性剤1(3.00)は、「炭素数12の直鎖アルコールのエチレンオキサイド7モル付加物」であり、純分が100%と記載されている。(段落0060)
同じく非イオン界面活性剤4(8.00)は、「ラウリルポリグルコシド」であり、純分が40%と記載されている。(段落0060)
同じくプロピレングリコール(0.5)は、甲1には純分の記載がないから、純分は100%と推認できる。
同じくアルカリ性物質(0.02)は、表9の脚注から、「水酸化ナトリウム」であり、純分が99%と記載されている。
また、イオン交換水は「残」とされているから、100質量%から各成分を減算することにより、83.46質量%と計算できる。
以上の記載から、各成分を純分換算し、また、前記第4、1(1)に摘記した甲1の請求項5に記載されたpHの測定条件を追加して、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていることが読み取れる。
「塩化ベンザルコニウムを0.50質量%、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインを1.20質量%、炭素数12の直鎖アルコールのエチレンオキサイド7モル付加物を3.00質量%、ラウリルポリグルコシドを3.20質量%、プロピレングリコールを0.5質量%、水酸化ナトリウムを0.0198質量%含有し、イオン交換水を83.46質量%含有する、25℃におけるpHが9.0である手指用殺菌洗浄剤組成物」
(2)本件発明1と甲1発明との対比
ア 甲1発明における「塩化ベンザルコニウム」、「水酸化ナトリウム」、「残部がイオン交換水」、「プロピレングリコール」は、それぞれ本件発明1の「(A)成分として第四級アンモニウム塩型界面活性剤」、「(B)成分としてpH調整剤」、「(D)成分として水」、「(E)成分として多価アルコール」に相当する。
イ 甲1発明における「ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン」及び「炭素数12の直鎖アルコールのエチレンオキサイド7モル付加物」はいずれも、本件発明1の「(C)成分として非イオン界面活性剤、両性界面活性剤より選ばれた少なくとも一種」に相当する。
ウ 甲1発明における「25℃におけるpHが9.0」は、本件発明1の「25℃におけるpHが8.1以上、12.0以下」を充足する。
エ 甲1発明における「手指用殺菌洗浄剤組成物」は、本件発明1の「皮膚用液体洗浄剤組成物」に相当する。
オ 甲1発明の「ラウリルポリグルコシド」は、ラウリル基はアルキル基の一種であるから「アルキルポリグリコシド」であって、(C)成分に相当する。
カ (A)成分と(B)成分の質量比
甲1発明においては、塩化ベンザルコニウム0.50質量%と水酸化ナトリウム0.0198質量%が含まれているから、(A)/(B)を計算すると、25.2となり、本件発明1の「(A)/(B)の値で0.002以上、100以下」を充足する。
キ (A)成分と(E)成分の質量比
甲1発明においては、塩化ベンザルコニウム0.50質量%とプロピレングリコールを0.5質量%が含まれているから、(A)/(E)を計算すると、1.0となり、本件発明1の「(A)/(E)の値で0.02以上、1以下であり」を充足する。
ク 組成物中の(C)成分の割合
甲1発明における(C)成分は、「ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン」、「炭素数12の直鎖アルコールのエチレンオキサイド7モル付加物」及び「ラウリルポリグルコシド」であるから、その含有量は、(1.20+3.00+3.20)質量%=7.40質量%であるから、本件発明1の0.1質量%以上、5.0質量%以下を充足しない。
(3)本件発明1と甲1発明との一致点・相違点
ア 一致点
本件発明1は、甲1発明と次の点で一致する。
「(A)成分として第四級アンモニウム塩型界面活性剤、
(B)成分としてpH調整剤、
(C)成分として非イオン界面活性剤、両性界面活性剤より選ばれた少なくとも一種、
(D)成分として水、
(E)成分として多価アルコール(但し、アルキルポリグルコシドを含むアルキルグルコシド及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを除く)を含有し、
(C)成分がアルキルポリグルコシドを含むアルキルグルコシド、アルキルジメチルアミンオキシドのいずれかを少なくとも含有し、前記(C)成分以外の成分としてアルキルポリグルコシドを含むアルキルグルコシド及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを含有せず、(A)成分と(B)成分の質量比が、(A)/(B)の値で0.002以上、100以下であり、(A)成分と(E)成分の質量比が、(A)/(E)の値で0.02以上、1以下であり、25℃におけるpHが8.1以上、12.0以下であることを特徴とする皮膚用液体洗浄剤組成物。」
イ 相違点1-1
本件発明1と甲1発明とは次の点で相違する。
本件発明1においては、「組成物中の(C)成分の割合が0.1質量%以上、5.0質量%以下」であるのに対し、甲1発明においては、7.4質量%である点。
(4)相違点についての判断
ア 前記第5,1に摘記した甲1の段落【0034】には、(C)成分の配合量を、組成物中0.1~40.0質量%の範囲とすることが記載されている。
イ しかしながら、その広範囲の数値範囲の数値範囲のうち、本件発明1のように「0.1質量%以上、5.0質量%以下」を選択することに動機付けがあるということはできない。
ウ このことは、本件明細書に記載された実施例30における(C)成分の含有量は7質量%であるところ、そのすすぎ性試験及び貯蔵安定性試験については、結果が△となっているのに対し、同実施例31における(C)成分の含有量は5質量%であって、そのすすぎ性試験及び貯蔵安定性試験については、結果が○となっていることから、本件発明1の「5.0質量%以下」という特定には臨界的意義があるといえることからも裏付けられる。
エ そうすると、相違点1-1が、構成上、当業者が容易に想到しうることであるとはいえない。
(5)本件発明2、6~9について
本件発明2、6~9は、本件発明1を包含し、さらに特定事項を有する発明であるから、本件発明1と同様に、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
2 甲2を主引用例とした新規性・進歩性についての検討
(1)甲2発明の認定
前記第4、2(7)オに摘記した甲2の段落【0039】に記載された実施例16及び甲2の請求項1から、次の発明(以下「甲2発明」という。)が認定できる。
なお、精製水の含有量は、甲1発明と同様に計算した。
「塩化ベンザルコニウムを0.1質量%、水酸化カリウムをpH10に調整量、ラウリン酸アミドプロピルベタインを2.5質量%、精製水を(73.59質量%-前記調整量)含有し、ヘキシレングリコールを2質量%、含有する手指用洗浄剤組成物」
(2)本件発明1と甲2発明の対比
ア 甲2発明における「塩化ベンザルコニウム」、「水酸化カリウム」、「ラウリン酸アミドプロピルベタイン」、「精製水」、「ヘキシレングリコール」は、それぞれ、本件発明1の「(A)成分として第四級アンモニウム塩型界面活性剤」、「(B)成分としてpH調整剤」、「(C)成分として非イオン界面活性剤、両性界面活性剤より選ばれた少なくとも一種」、「(D)成分として水」、「(E)成分として多価アルコール」にそれぞれ相当する。
イ 」甲2発明において、水酸化カリウムが「pH10に調整量」含有されていることから、組成物のpHは10であって、本件発明1における「25℃におけるpHが8.1以上、12.0以下」を充足する。
ウ 甲2発明における「手指用殺菌洗浄剤組成物」は、本件発明1の「皮膚用液体洗浄剤組成物」に相当する。
エ (A)成分と(B)成分の質量比
(ア)甲2発明においては、塩化ベンザルコニウムを0.1質量%と水酸化カリウムを「pH10に調整量」が含まれている。
(イ)仮に甲2発明における塩化ベンザルコニウムと水酸化カリウムの質量比が本件発明1を充足しないとすると、水酸化カリウムは、0.001質量%未満か50質量%を超えて組成物に存在することになるが、pH調整剤としてはそのような量は想定できない。
(ウ)また、申立人の追試(特許異議申立書39頁)によると、甲2発明における水酸化カリウムの必要量は、0.34質量%であり、この値を採用し、(A)/(B)を計算すると、0.294となり、本件発明1の「(A)/(B)の値で0.002以上、100以下」を充足する。
オ (A)成分と(E)成分の質量比
甲2発明においては、塩化ベンザルコニウム0.1質量%とヘキシレングリコール2質量%が含まれているから、(A)/(E)を計算すると、0.05となり、本件発明1の「(A)/(E)の値で0.02以上、1以下」を充足する。
カ 組成物中の(C)成分の割合
甲2発明の(C)成分は、「ラウリン酸アミドプロピルベタイン」であるから、組成物中の割合は、1質量%であり、本件発明1の「0.1質量%以上、5.0質量%以下」を充足する。
(3)本件発明1と甲2発明との一致点・相違点
ア 一致点
本件発明1と甲2発明とは次の点で一致する。
「(A)成分として第四級アンモニウム塩型界面活性剤、
(B)成分としてpH調整剤、
(C)成分として非イオン界面活性剤、両性界面活性剤より選ばれた少なくとも一種、
(D)成分として水、
(E)成分として多価アルコール(但し、アルキルポリグルコシドを含むアルキルグルコシド及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを除く)を含有し、
前記(C)成分以外の成分としてアルキルポリグルコシドを含むアルキルグルコシド及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを含有せず、(A)成分と(B)成分の質量比が、(A)/(B)の値で0.002以上、100以下であり、(A)成分と(E)成分の質量比が、(A)/(E)の値で0.02以上、1以下であり、25℃におけるpHが8.1以上、12.0以下であることを特徴とする皮膚用液体洗浄剤組成物。」
イ 相違点2-1
本件発明1と甲2発明とは次の点で相違する。
本件発明1においては、「(C)成分がアルキルポリグルコシドを含むアルキルグルコシド、アルキルジメチルアミンオキシドのいずれかを少なくとも含有」するのに対して、甲2発明はそれを含有しない点。
(4)相違点についての判断
前記第5、2に摘記した甲2の段落【0014】には、「アルキルジメチルアミンオキシド」に属するラウリルジメチルアミンオキサイドについて記載されており、相違点2-1は、形式的には当業者が試み売ることであるが、本件明細書に記載された実施例51(ラウリルグルコシド01.5質量%)及び実施例52(ラウリルジメチルアミンオキシド1.5質量%)におけるインフルエンザウイルス不活性化試験が◎となっている効果は、両者を含まない実施例53における同試験が○という結果と対比して、予測可能なものといえない。したがって、相違点2-1によって、本件発明1が進歩性を欠如するということはできない。
(5)本件発明2、6~9について
本件発明2、6~9は、本件発明1を包含し、さらに特定事項を有する発明であるから、本件発明1と同様に、甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
3 前記第4、2(1)イの申立理由による取消理由についての判断
(1)取消理由の概要
本件訂正前の請求項1においては、「多価アルコール」について、本件明細書において(C)成分として例示された化合物が、同時に「多価アルコール」にも該当しているため、本件発明1の記載が不明確であり、特許法第36条第6項第2号に規定された要件を満たさないというものであった。
(2)判断
本件訂正により、前記の例示された化合物である「アルキルポリグルコシドを含むアルキルグルコシド及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール」が(E)成分から除かれたため、特許法第36条第6項第2号に規定された要件を満たさないという取消理由は解消された。
第7 取消理由に採用しなかった異議申立理由について
1 令和2年10月12日付け拒絶理由通知における引用文献1~3を主引用例とした進歩性について
(1)引用文献1には次の記載がある。
「【請求項1】
液体の保持が可能な基材シートに対して水性除菌剤が含浸された清掃用シートにおいて、前記水性除菌剤が(A)成分として第四級アンモニウム塩型界面活性剤、(B)成分として水酸化カリウム、(C)成分としてアミノカルボン酸型キレート剤、(D)成分として水を含有していて、基材シートに含浸されている水性除菌剤のpHが10.5以上、13.5以下であり、
前記基材シートが、再生繊維、合成系繊維、天然繊維より選ばれた少なくとも1種を含むことを特徴とする清掃用シート。
【請求項2】
(A)成分が、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライドであることを特徴とする請求項1に記載の清掃用シート。
【請求項5】
前記水性除菌剤が、さらに(E)成分としてアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤より選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の清掃用シート」
「【0028】
上記有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、アセトン等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせても良い。有機溶媒は溶液状態における液安定性の向上の点で、水性除菌剤中に0.001質量%以上、5質量%以下配合することが好ましく、0.01質量%以上、3質量%以下配合することがより好ましい。」
「【0032】
本発明の清掃用シートは、含浸されている水性除菌剤が強力な除菌性、ウイルス不活化効果を有し、細菌やウイルスに対する除菌・除ウイルス性に優れるため、細菌やウイルスの汚染・混入が問題となる幅広い分野、主に医療分野、食品分野、醸造分野、農業分野など、での除菌・除ウイルスに有用である。特に、医療分野での硬質表面の除菌に好適に用いることができる。
【0033】
本発明の清掃用シートは種々の用途で適用可能であり、例えば、ヒトの皮膚表面を除く表面消毒、機器消毒、またはトイレやベッド周りにおける除菌・除ウイルス用、防カビ用、ウイルス不活化用として好適である。・・・」
(2)引用文献2には次の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
飲食店、ホテル等の厨房、スーパーマーケット、食品工場における食品製造・加工・調理装置等の洗浄には、洗浄剤組成物が使用される。
このような場所で使用される洗浄剤組成物には、油汚れに対する洗浄力、除菌力、すすぎ時の泡切れ性能が求められる。」
「【0049】
次に、本発明の液体洗浄剤組成物の使用方法を説明する。
本発明の液体洗浄剤組成物は、使用時に、必要に応じて水で希釈(10~ b300倍)し、当該希釈液を自動洗浄機に投入して使用してもよいし、希釈液を洗浄対象に塗布し、しばらく静置した後、ブラシ、モップ、ポリッシャー等でこすり洗いを行い、洗浄後の希釈液(汚水)をスクイジー等で回収してもよく、発泡洗浄機で発泡洗浄してもよく、スプレーで泡状にして洗浄してもよい。
本発明の液体洗浄剤組成物を使用する対象は、固体であればよく、例えば、床、壁、屋根、衣服等であってもよい。
本発明の液体洗浄剤組成物は、油汚れに対しても充分な洗浄力を有する。そのため、本発明の液体洗浄剤組成物は、食品加工施設及び/又は調理施設での洗浄に適している。
特に、食品加工施設及び/又は調理施設の床を洗浄するのに適している。」
(3)引用文献3には次の記載がある。
「【0002】
食品を取扱う施設、病院、介護施設といった日常的に衛生管理を行う必要のある施設においては、食器、調理器具、医療用具等の器材、器具、施設内の設備等、対象物の表面を洗浄あるいは消毒するために、種々の消毒薬が使用されている。
かかる消毒薬としては、消毒用エタノール、イソプロパノール等のアルコール製剤;次亜塩素酸ナトリウム等の塩素製剤、ヨードチンキ、複方ヨードグリセリン、ポビドンヨード等のヨード製剤といったハロゲン化合物;オキシドール等の過酸化物製剤;塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム等の陽イオン性界面活性剤;アルキルジアミノエチルグリシン等の両性界面活性剤;グルコン酸クロルヘキシジン等のクロルヘキシジン;フェノール、クレゾール石鹸等のフェノール類;グルタラール、フタラール等のアルデヒド類などが一般的に用いられている。」
「【0010】
従って、使用可能な消毒対象物の制限が少なく、取扱いが簡便で、短時間の作用で有効であり、安全性が高く、かつヒトや動物に対して低刺激性であり、しかも経済的なウイルス不活化組成物が望まれている。そこで、本発明は、低濃度かつ短時間の作用で、従来の消毒薬が無効であったノロウイルス等の非エンベロープ型ウイルスに対して優れた不活化効果を有し、安全性が高く、低刺激性であり、さらに低コストで製造することができ、経済性に優れるウイルス不活化組成物を提供することを目的とする。」
(4)甲4~甲9の記載事項
ア 甲4には次の記載がある。
「【0047】
また、本発明の皮膚洗浄剤には手荒れ防止剤を併用することで、過剰な脱脂による皮膚の荒れを防止することができ、使用感の向上に寄与することができる。
本発明にいう手荒れ防止剤とは、通常手荒れを防止する効果のある物質であれば、特に限定されないが、オレイルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、ラウリルアルコール、ラノリンアルコール等の高級アルコール、デカオレイン酸デカグリセリル等の多価アルコール脂肪酸エステル、ヒアルロン酸、フィトグリコーゲン等の多糖類、酢酸トコフェロール、レシチン、レシチン誘導体、アロエエキス、オレンジエキス、カッコンエキス、米ぬかエキス、タイソウエキス、トマトエキス、ヘチマエキス、ローヤルゼリーエキス、プロポリスエキス等のエキス、ホホバ種子油、スクワラン、グリセリン等を例示することができる。
本発明の皮膚洗浄剤には、手荒れ防止効果を得る観点から、手荒れ防止剤を0.1~5.0重量%配合するのが好ましい。」
イ 甲5には次の記載がある。
「【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、アクリル系樹脂を被膜形成剤とし、一価アルコールをある程度以上配合することにより速乾性を持たせ、塗布時の被膜に違和感がないよう多価アルコールを配合することにより被膜に柔軟性を与える組成を見出した。さらに、塗布後に形成された被膜がアルカリ性溶液で溶解することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明の手指用外用剤は、(A)共重合体中のカルボキシル基の中和率が30~60モル%であるアクリル酸アルキル共重合体エマルジョンを固形分換算で0.5~15質量%、(B)一価アルコール20~70質量%及び(C)多価アルコール0.01~5質量%を含有することを特徴とするものである。また本発明の手指用外用剤の洗浄方法は、手指に塗布して形成された被膜をpH9以上のアルカリ性溶液で洗い流すことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の手指用外用剤によれば、エタノール等の溶媒に安定に配合した、多価アルコールを含むアクリル酸アルキル共重合体エマルジョンは、速乾性に優れ、違和感の無い被膜で手指を水や汚れから守り、手荒れをケアすることができる。また使用後に被膜が石鹸水等のアルカリ水溶液で皮膚におだやかに水洗できる。」
「【0019】
本発明の手指用外用剤に用いる成分(C)多価アルコールとしては、化粧品用途として通常用いられる多価アルコールであれば、特に限定されず、例えば、ソルビタン、ソルビトール、マルチトール、グルコース、スクロース、トレハロース等の糖類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、イソプレングリコール、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0020】
これらの多価アルコールの中でも、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールから選ばれたものが被膜の柔軟性の観点から望ましく、ジプロピレングリコールを用いることがさらに望ましい。」
ウ 甲6には次の記載がある。
「【0104】
肌荒れ防止のための保湿剤について、以下のような知見が知られている。
・・・
【0107】
さらに、表皮細胞の水分保持に大いにかかわっているのが細胞間脂質であり、この脂質の類似物質も開発されている。そのほか、保湿剤としては、昔からグリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ソルビットなどの多価アルコール類が多く用いられている。・・・
【0108】
多価アルコールについて。
【0109】
グリセリン、少ない量ではあるが、グリセリンは皮脂肪膜の分解によって生成する天然の皮膚成分である。もっとも古くから用いられてきた保湿剤であり、非常に吸湿性が強く現在でも多くの化粧品に使われている。動植物油脂より石けんまたは脂肪酸を製造する際の副生物として得られるが、これを脱水、脱臭などの精製をして得られる無色、無臭の粘性液体で甘い味がする。グリセリンは、保湿剤として製品の硬さや粘度を長期間一定に保持させる目的で使用される。また、皮膚に対する柔軟剤として、製品ののび、滑りをよくする。吸湿牲を有し、皮膚に対してうるおいを与え、しっとりとした感触を与えるが、ただし、使用量を多くすると、皮膚の水分を吸収してしまい、皮膚を荒らす原因となることもあるので処方的検討が必要である。グリセリンとヒアルロン酸ナトリウムを併用することで角質柔軟効果が高まることがわかった。」
エ 甲7には次の記載がある。
「【0027】
また、かかる本発明に従う洗浄剤組成物には、更に、保湿剤が添加、含有せしめられることが望ましく、かかる保湿剤の添加によって、手荒れの発生が有利に抑制されるようになる。
【0028】
なお、そのような保湿剤としては、洗浄剤組成物の洗浄力に悪影響を与えず、また、水系媒体に可溶乃至は相溶する水溶性のものが採用される。かかる保湿剤の具体例としては、例えば、プロピレングリコール、グリセリン、ブチレングリコール、ジプロピレングリ
コール、ポリエチレングリコール、ジグリセリン等の多価アルコール類の他、ハチミツ、グルコース、キシリトール、マンニット、ソルビトール等の糖類、グリシン、アラニン、リジン、シスチン、セリン、ベタイン、スレオニン等のアミノ酸、また、その他に、キトサン、尿素、ヒアルロン酸ナトリウム、ムコ多糖類等が挙げられ、これらのうちの1種が単独で用いられたり、或いはそのうちの2種以上が混合されて用いられる。これらの中でも、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類は、汎用品で入手し易く、比較的に安価であり、また、安定性や使用感も良好であるところから、特に、好適に採用される。」
オ 甲8には次の記載がある。
「【0013】
本発明にいう保湿剤とは、皮膚表面を湿潤に保つ効果のある物質であれば、特に限定されないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールなどのグリコール系溶剤、グリセリン、濃グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどの多価アルコール系溶剤、オレイルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、ラウリルアルコール、ラノリンアルコールなどの高級アルコール、アボガド油、オリーブ油、酢酸トコフェロール、シア脂、ひまわり油、ラノリン、スクワラン、スクワレンなどの油脂、アロエエキス、オレンジエキス、カッコンエキス、米ぬかエキス、タイソウエキス、ヘチマエキス、海草エキスなどのエキス、を例示することができる。本発明においては、保湿剤を0.1~5.0重量%配合するのが好ましく、0.1重量%未満であれば、手荒れ防止の効果が得られず、5.0重量%を越えてもその効果は増加するものではない。」
カ 甲9には次の記載がある。
(ア)2頁右下欄3~9行
「多価アルコール類は水の蒸散を抑え、手荒れを抑制するが、金属に対する腐食性があるため作業中手に付着することは通常好ましくない。しかしながら、上記中和物を含む水に配合したものは著しくその腐食作用が抑制され、実用上全く問題を生じないのみならず手荒れの防止には一層有効となる。」
(イ)3頁左上欄18行~右上欄13行
「 実施例1.
ボール盤によるドリリングとタッピングによって行っている自動車部品工場において手荒れ防止試験を行った。同工場ではソルブル型切削剤(JIS W2-1)を使用し作業者は手荒れを起こしていた。供試手荒れ防止剤の処方は以下のものである。
[図:0001417580000005.jpg]
上記手荒れ防止剤をスポンジに含浸させ作業毎に手を拭くことを励行したところ症状は快方に向い、二週間後に手荒れはなくなった。また切削液に対する悪影響もなく工作物に錆も生じなかった。」
(5)引用文献1を主引用例とした申立理由について
ア 申立人は、本件発明1と引用文献1から把握できる発明(以下「引用発明1」という。)とは、本件発明1においては(E)成分を含有するのに対して、引用発明1においては(E)成分を含有しない点で相違するが、前記(4)ア~オに摘記した甲4~9に記載されたように周知である「グリセリンのような(E)成分を添加することによって皮膚の荒れを防ぐことができる」という技術を引用発明1に適用することにより、本件発明1に係る構成とすることは当業者が容易になし得ることと主張する。
イ 本件発明1についての判断
前記(1)に摘記した引用文献1の段落【0033】には、明示的に「ヒトの皮膚表面を除く表面消毒」と記載されており、明らかに皮膚用に用いるものではない。そうすると、肌荒れを防止するための多価アルコールを追加すること(甲4~甲9)の動機付けが存在しない。本件発明1は、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明することはできないものである。
ウ 本件発明2、4~9についての判断
本件発明2、6~9は、本件発明1を包含し、さらに特定事項を有する発明であるから、本件発明1と同様に、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
(6)引用文献2を主引用例とした申立理由について
ア 申立人は、本件発明1と引用文献2から把握できる発明(以下「引用発明2」という。)とは、本件発明1においては(E)成分を含有するのに対して、引用発明2においては(E)成分を含有しない点で相違するが、前記(4)ア~オに摘記した甲4~9に記載されたように周知である「グリセリンのような(E)成分を添加することによって皮膚の荒れを防ぐことができる」という技術を引用発明2に適用することにより、本件発明1に係る構成とすることは当業者が容易になし得ることと主張する。
イ 本件発明1についての判断
前記(2)に摘記した引用文献2の段落【0049】の記載からみて、引用文献2に係る液体洗浄剤組成物は、床などの硬質表面を洗浄するための組成物である。そうすると、前記(5)イと同様に、本件発明1は引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
ウ 本件発明2、4~9についての判断
本件発明2、6~9は、本件発明1を包含し、さらに特定事項を有する発明であるから、本件発明1と同様に、引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
(7)引用文献3を主引用例とした申立理由について
ア 申立人は、本件発明1と引用文献3から把握できる発明(以下「引用発明3」という。)とは、本件発明1においては(E)成分を含有するのに対して、引用発明3においては(E)成分を含有しない点で相違するが、前記(4)ア~オに摘記した甲4~9に記載されたように周知である「グリセリンのような(E)成分を添加することによって皮膚の荒れを防ぐことができる」という技術を引用発明3に適用することにより、本件発明1に係る構成とすることは当業者が容易になし得ることと主張する。
イ 本件発明1についての判断
前記(3)に摘記した引用文献3の段落【0010】には、「ヒトや動物に対して低刺激性」と記載されているが、段落【0002】の記載「食器、調理器具、医療用具等の器材、器具、施設内の設備等、対象物の表面を洗浄あるいは消毒するために、種々の消毒薬が使用されている。」という記載からみて、食器などを使用するヒトに対して低刺激ということが読み取れる。そして、引用文献3に記載された発明も皮膚を洗浄するための洗浄剤ではない。そうすると、前記(5)イと同様に、本件発明1は引用発明3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
ウ 本件発明2、6~9は、本件発明1を包含し、さらに特定事項を有する発明であるから、本件発明1と同様に、引用発明3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
2 前記第4、2(1)アの申立理由についての判断
(1)申立人の主張(再掲)
本件発明1に規定された「pH調整剤」として、pHを調整可能な任意の化合物が含まれることとなるが、その結果(B)成分の範囲及び(A)/(B)の値が何を指しているのかが不明確となっている。
(2)当審の判断
pH調整剤として、用いられる化合物は様々であるが、組成物中の他の化合物の活性に影響のない、単純にpHを調整するものが用いられ、無限に種類があるとはいえないから、定義がなくとも特許請求の範囲が不明確となるものでない。申立人の主張は採用できない。
3 前記第4、2(1)ウの申立理由についての判断
(1)申立人の主張(再掲)
本件明細書に記載された実施例20~26、32~36、38~45、48、51~67の組成物においては、5種の特定の(A)成分、7種類の特定の(B)成分、5種類の特定の(C)成分、イオン交換水である(D)成分、3種類の特定の(E)成分を用いた例が記載されているが、本件発明1の範囲にまで拡張・一般化できるとはいえないから、サポート要件違背である。
(2)当審の判断
本件明細書の記載から、(A)~(E)成分の作用や機能は,十分読み取れるから、それらの作用や機能の組み合わせにより、本件発明は、その課題を解決できることが読み取れる。本件明細書に記載された実施例を本件発明に拡張ないしは一般化可能といえる。申立人の主張は採用できない。
第8 むすび
以上のとおりであるから、本件発明1、2、6~9に係る特許を取り消すことはできない。そして、他に、本件発明1、2、6~9に係る特許を取り消す理由を発見しない。
また、請求項3~5は、本件訂正により削除されたため、請求項3~5に対する特許異議申し立ては、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2021-701012