特許異議申立
2024-700201
検査前処理容器
- 審判番号
- 2024-700201
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-176115
- 登録番号
- 7340913
- 請求日
- 2024年03月04日
- 審決日
- 2025年05月28日
- 公報発行日
- 2025年09月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
- 【権利者代理人】関根 毅
- 【権利者代理人】石原 信人
- 【権利者代理人】小島 敏紘
- 【異議申立人】齊藤 恵美子
- 審判長/審判官
- 審判長 加々美 一恵
- 審判官 松本 隆彦
- 審判官 北島 拓馬
- 分類
- P1652.121-YAA(G01N) / P1652.537-YAA(G01N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第6項、特許法第126条第5項、特許法第120条の5第7項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第5項、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7340913号発明「検査前処理容器」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7340913号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
特許第7340913号の請求項11に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7340913号の請求項1~11に係る特許についての出願は、平成30年9月20日に出願され、令和5年8月31日にその特許権の設定登録がされ、同年9月8日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和6年 3月 4日 : 特許異議申立人齊藤恵美子(以下「申立
人」という。)による請求項11に係る特
許に対する特許異議の申立て
同6年 5月28日付け: 取消理由通知書
同6年 7月30日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提
出
同6年 9月26日 : 申立人による意見書の提出
同6年12月 3日付け: 取消理由通知書(決定の予告)
令和7年 2月 7日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提
出
なお、令和7年2月7日に訂正請求がされたため、特許法第120条の5第7項の規定により、先にした令和6年7月30日になされた訂正請求は取り下げられたものとみなす。
また、令和7年2月18日付けで申立人に特許法第120条の5第5項の規定による意見書の提出を求めたが、申立人は期日までに意見を提出しなかった。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
令和7年2月7日提出の訂正請求書(以下「本件訂正請求書」という。)による訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)の請求の趣旨は、特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項11について訂正することを求めるものであり、その内容は、以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示している。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項11に「前記第2障害部は、前記フランジ部において、前記蓋部へ向けて突出するように形成されており、」と記載されているのを、「前記第2障害部は、前記フランジ部の、前記蓋部の底面に対向する面において、前記蓋部の底面へ向けて突出するように形成されており、」に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項11における「前記蓋部は、前記容器本体に収容された液体を吐出するための空洞が形成されたノズルを備える、」と記載されているのを、「前記蓋部は、前記容器本体に収容された液体を吐出するための空涸が形成されたノズルと、当該蓋部の側面において、前記ノズル側から当該蓋部の底面まで延び、外周方向に凸形状となるように形成された、複数の凸形状部とを備え、」に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項11に、「前記複数の凸形状部は、前記蓋部の底面において、当該複数の凸形状部の形成されない部分よりも肉厚の肉厚部をそれぞれ形成し、前記第1障害部は、前記蓋部の底面において前記肉厚部から突出するように形成され、」との記載を追加する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項11に、「前記フランジ部は、前記複数の凸形状部にそれぞれ対応する複数の角部を有し、前記螺合により前記蓋部と前記容器本体とを締結した際に、前記複数の角部を有する前記フランジ部の形状と、前記複数の凸形状部を有する前記蓋部の底面の形状とが合致するように構成され、」との記載を追加する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項11に、「前記第2障害部は、前記第1障害部が設けられる前記凸形状部に対応する前記角部に対して、前記蓋部を前記容器本体に螺合により締結する際に、前記第1障害部が前記第2障害部を乗り越えた位置が、前記蓋部の螺合による旋回の終点となるように、ずれた位置に設けられる、」との記載を追加する。
2 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的の適否
訂正前の請求項11に係る発明の「前記第2障害部は、前記フランジ部において、前記蓋部へ向けて突出するように形成されており、」と記載されているのを、「前記第2障害部は、前記フランジ部の、前記蓋部の底面に対向する面において、前記蓋部の底面へ向けて突出するように形成されており、」とする訂正は、訂正前の請求項11に係る発明の「前記フランジ部において、前記蓋部へ向けて突出するように形成され」る「前記第2障害部」の設けられる箇所を「前記フランジ部の、前記蓋部の底面に対向する面において、」と限定して減縮し、「前記第2障害部」の突出する方向を「前記蓋部の底面へ向けて」と限定して減縮しようとするものである。したがって、当該訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記アから明らかなように、訂正事項1は、訂正前の請求項11に係る発明の「前記第2障害部」が「突出するように形成されており、」と特定されているのを「前記フランジ部の、前記蓋部の底面に対向する面において、前記蓋部の底面へ向けて」と限定するものであり、訂正前の請求項11の記載について、訂正前の請求項11に記載された発明のカテゴリーを変更するものでもなく、かつ、訂正前の請求項11に記載された発明の対象や目的を変更するものとはならない。したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 新規事項の有無
訂正前の請求項11に係る発明の「前記第2障害部」が「突出するように形成されており、」と特定されているのを「前記フランジ部の、前記蓋部の底面に対向する面において、前記蓋部の底面へ向けて」であるとする訂正に関して、第2障害部が設けられる箇所について、発明の詳細な説明の例えば段落【0028】等に「フランジ部26における、蓋部10の外周構成部12の底面12hに対向する上面26aには、第2障害部である突起部28が形成されている。」と記載されている。また、第2障害部が突出する方向について、「蓋部10の外周構成部12の底面12hに対向する上面26a」とした上で、同段落に「この突起部28は、上面26aにおいて、螺合時に蓋部10の方向に突出するように形成された突起物である。」と記載されている。したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的の適否
訂正前の請求項11に係る発明の「前記蓋部は、前記容器本体に収容された液体を吐出するための空洞が形成されたノズルを備える、」と記載されているのを、「前記蓋部は、前記容器本体に収容された液体を吐出するための空涸が形成されたノズルと、当該蓋部の側面において、前記ノズル側から当該蓋部の底面まで延び、外周方向に凸形状となるように形成された、複数の凸形状部とを備え、」とする訂正は、訂正前の請求項11に係る発明の「前記蓋部」の構成に関して、「ノズル」の構成に「当該蓋部の側面において、前記ノズル側から当該蓋部の底面まで延び、外周方向に凸形状となるように形成された、複数の凸形状部」の構成を並列的に付加することにより、限定して減縮しようとするものである。したがって、当該訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記アから明らかなように、訂正事項2は、訂正前の請求項11に係る発明の「前記蓋部」を、「当該蓋部の側面において、前記ノズル側から当該蓋部の底面まで延び、外周方向に凸形状となるように形成された、複数の凸形状部とを備え、」であることにより限定するものであり、訂正前の請求項11の記載について、訂正前の請求項11に記載された発明のカテゴリーを変更するものでもなく、かつ、訂正前の請求項11に記載された発明の対象や目的を変更するものとはならない。したがって、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 新規事項の有無
訂正前の請求項11に係る発明の「前記蓋部」を、「当該蓋部の側面において、前記ノズル側から当該蓋部の底面まで延び、外周方向に凸形状となるように形成された、複数の凸形状部とを備え、」であるとする訂正に関して、発明の詳細な説明の例えば段落【0014】には、「また、外周構成部12の側面外側にはグリップ支柱12bが形成されている。形成されるグリップ支柱は、1本でも複数本でも良いが、本実施形態においては、6個のグリップ支柱12bが形成されている。」と記載されている。また、段落【0015】には、「このため、グリップ支柱12bは、外周構成部12の側面から、その外周方向に凸形状となるように、側面の上方から下方に延びて形成されている。」と記載されている。さらに、図1、2、5等及び段落【0013】の「蓋部10は、外周構成部12と、この外周構成部12に設けられたノズル14とを備えて構成されている。」の記載及び段落【0016】の「蓋部10の外周構成部12における底面12hを見ると、グリップ支柱12bが形成されている部分の肉厚が厚くなる。」の記載に鑑みれば、凸形状であるグリップ支柱12bは、外周構成部12の側面において、ノズル14側から当該蓋部10の底面12hまで延びていることが明らかである。したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的の適否
訂正前の請求項11に係る発明の「前記蓋部」と「前記第1障害部」に関し、訂正事項2にもあるように、「前記蓋部」が「複数の凸形状部」を備えるとした上で、「前記複数の凸形状部は、前記蓋部の底面において、当該複数の凸形状部の形成されない部分よりも肉厚の肉厚部をそれぞれ形成し、前記第1障害部は、前記蓋部の底面において前記肉厚部から突出するように形成され、」とする訂正は、訂正前の請求項11に係る発明の「前記蓋部」と「前記第1障害部」の発明特定事項に対して限定して減縮しようとするものである。したがって、当該訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記アから明らかなように、訂正事項3は、訂正前の請求項11に係る発明の「前記蓋部」と「前記第1障害部」に関し、訂正事項2にもあるように、「前記蓋部」が「複数の凸形状部」を備えるとした上で、「前記複数の凸形状部は、前記蓋部の底面において、当該複数の凸形状部の形成されない部分よりも肉厚の肉厚部をそれぞれ形成し、前記第1障害部は、前記蓋部の底面において前記肉厚部から突出するように形成され、」とする訂正は、訂正前の請求項11に係る発明の「前記蓋部」と「前記第1障害部」の発明特定事項に対して限定するものであり、訂正前の請求項11の記載について、訂正前の請求項11に記載された発明のカテゴリーを変更するものでもなく、かつ、訂正前の請求項11に記載された発明の対象や目的を変更するものとはならない。したがって、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 新規事項の有無
訂正前の請求項11に係る発明の「前記蓋部」と「前記第1障害部」に関し、訂正事項2にもあるように、「前記蓋部」が「複数の凸形状部」を備えるとした上で、「前記複数の凸形状部は、前記蓋部の底面において、当該複数の凸形状部の形成されない部分よりも肉厚の肉厚部をそれぞれ形成し、前記第1障害部は、前記蓋部の底面において前記肉厚部から突出するように形成され、」とする訂正に関して、複数の凸形状部について、発明の詳細な説明の例えば段落【0016】には、「蓋部10の外周構成部12における底面12hを見ると、グリップ支柱12bが形成されている部分の肉厚が厚くなる。すなわち、外周構成部12におけるグリップ支柱12bが形成されていない部分の肉厚は均一で薄いが、グリップ支柱12bが形成されている部分の肉厚はこれより厚くなる。」と記載されている。また、第1障害部について、段落【0017】に「本実施形態においては、この肉厚の部分12cに、第1障害部である突起部16が形成されている。この突起部16は、蓋部10の下方(螺合時における容器本体20の方向D1)に、外周構成部12の底面12hから突出するように形成された突起物である。」と記載されていることから、願書に添付された明細書に記載した事項であるといえる。したがって、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(4)訂正事項4について
ア 訂正の目的の適否
訂正前の請求項11に係る発明の「前記フランジ部」に関し、「前記フランジ部は、前記複数の凸形状部にそれぞれ対応する複数の角部を有し、前記螺合により前記蓋部と前記容器本体とを締結した際に、前記複数の角部を有する前記フランジ部の形状と、前記複数の凸形状部を有する前記蓋部の底面の形状とが合致するように構成され、」とする訂正は、訂正前の請求項11に係る発明の「前記フランジ部」が、「前記複数の凸形状部にそれぞれ対応する複数の角部を有し、前記螺合により前記蓋部と前記容器本体とを締結した際に、前記複数の角部を有する前記フランジ部の形状と、前記複数の凸形状部を有する前記蓋部の底面の形状とが合致するように構成され、」であることにより、限定して減縮しようとするものである。したがって、当該訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記アから明らかなように、訂正事項4は、訂正前の請求項11に係る発明の「前記フランジ部」が、「前記複数の凸形状部にそれぞれ対応する複数の角部を有し、前記螺合より前記蓋部と前記容器本体とを締結した際に、前記複数の角部を有する前記フランジ部の形状と、前記複数の凸形状部を有する前記蓋部の底面の形状とが合致するように構成され、」であることにより限定するものであり、訂正前の請求項11の記載について、訂正前の請求項11に記載された発明のカテゴリーを変更するものでもなく、かつ、訂正前の請求項11に記載された発明の対象や目的を変更するものとはならない。したがって、訂正事項4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 新規事項の有無
訂正前の請求項11に係る発明の「前記フランジ部」が、「前記複数の凸形状部にそれぞれ対応する複数の角部を有し、前記螺合により前記蓋部と前記容器本体とを締結した際に、前記複数の角部を有する前記フランジ部の形状と、前記複数の凸形状部を有する前記蓋部の底面の形状とが合致するように構成され、」であるとする訂正に関して、発明の詳細な説明の例えば図16(c)及び段落【0077】に「図16(c)は、蓋部10を螺合により容器本体20に締結した状態の突起部16と突起部28の相対的位置関係を示している。この図16(c)からも分かるように、蓋部10の旋回方向Rにおいて、蓋部10の3つの突起部16が、それぞれ、容器本体20の3つの突起部28をそれぞれ乗り越えて、旋回の終点に到達している。このとき、容器本体20の六角形のフランジ部26の形状と、蓋部10の底面12hの外周の六角形の形状とは、およそ合致する。」と記載されていることから、願書に添付された明細書に記載した事項であるといえる。したがって、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(5)訂正事項5について
ア 訂正の目的の適否
訂正前の請求項11に係る発明の「前記第2障害部」に関し、「前記第2障害部は、前記第1障害部が設けられる前記凸形状部に対応する前記角部に対して、前記蓋部を前記容器本体に螺合により締結する際に、前記第1障害部が前記第2障害部を乗り越えた位置が、前記蓋部の螺合による旋回の終点となるように、ずれた位置に設けられる、」とする訂正は、訂正前の請求項11に係る発明の「前記第2障害部」が、「前記第1障害部が設けられる前記凸形状部に対応する前記角部に対して、前記蓋部を前記容器本体に螺合により締結する際に、前記第1障害部が前記第2障害部を乗り越えた位置が、前記蓋部の螺合による旋回の終点となるように、ずれた位置に設けられる、」であることにより、限定して減縮しようとするものである。したがって、当該訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記アから明らかなように、訂正事項5は、訂正前の請求項11に係る発明の「前記第2障害部」が、「前記第1障害部が設けられる前記凸形状部に対応する前記角部に対して、前記蓋部を前記容器本体に螺合により締結する際に、前記第1障害部が前記第2障害部を乗り越えた位置が、前記蓋部の螺合による旋回の終点となるように、ずれた位置に設けられる、」であることにより限定するものであり、訂正前の請求項11の記載について、訂正前の請求項11に記載された発明のカテゴリーを変更するものでもなく、かつ、訂正前の請求項11に記載された発明の対象や目的を変更するものとはならない。したがって、訂正事項5は、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 新規事項の有無
訂正前の請求項11に係る発明の「前記第2障害部」が、「前記第1障害部が設けられる前記凸形状部に対応する前記角部に対して、前記蓋部を前記容器本体に螺合により締結する際に、前記第1障害部が前記第2障害部を乗り越えた位置が、前記蓋部の螺合による旋回の終点となるように、ずれた位置に設けられる、」であるとする訂正に関して、発明の詳細な説明の例えば図6(a)~(c)、図16(a)~(c)及び段落【0076】には、「フランジ部26の突起部28は、蓋部10を容器本体20に螺合により締結する際に、蓋部10の突起部16が突起部28を乗り越えた位置が、蓋部10の螺合による旋回の終点となるように配置されている。すなわち、3つの突起部28を、蓋部10の3つの突起部16がそれぞれ乗り越えた位置が、螺合による蓋部10の旋回方向Rへの旋回の終点である。このため、突起部28は、六角形のフランジ部26における角部から僅かにずれた位置に配置されている。」と記載されている。また、段落【0077】には「図16(c)は、蓋部10を螺合により容器本体20に締結した状態の突起部16と突起部28の相対的位置関係を示している。この図16(c)からも分かるように、蓋部10の旋回方向Rにおいて、蓋部10の3つの突起部16が、それぞれ、容器本体20の3つの突起部28をそれぞれ乗り越えて、旋回の終点に到達している。」と記載されている。さらに、【0078】には「この場合、六角形のフランジ部26のそれぞれの角部から僅かにずれた位置に、第2障害部が配置されることとなる。」と記載されていることから、願書に添付された明細書に記載した事項であるといえる。したがって、訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項11について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項11に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項11に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。各構成単位冒頭の「A」などは当審で付した分説番号であり、以下、該各構成単位を「構成A」などという。
「【請求項11】
A 患者から採取した試料と、前記試料の処理液とが収容される容器本体と、
B 前記容器本体に螺合により締結される蓋部と、
C 前記螺合による旋回の際に前記容器本体に向かい合う位置の前記蓋部に形成された第1障害部と、
D 前記容器本体に前記蓋部が螺合により締結される際に、前記螺合による旋回の終点となる前の位置で、前記蓋部に形成された前記第1障害部と接触して、前記螺合による前記蓋部の旋回の障害となる、第2障害部であって、前記第1障害部が前記第2障害部を乗り越えた状態が前記螺合による旋回の終点となる、第2障害部と、
を備え、
E 前記容器本体は、前記試料と前記処理液が収容される液体収容部であって、操作者が前記液体収容部を指で摘まんで、前記試料を扱くことが可能な弾性のある合成樹脂で形成された液体収容部と、
F 前記蓋部が前記容器本体に螺合により締結された際に前記蓋部の底面に向かい合うフランジ部と、を備え、
G 前記第2障害部は、前記フランジ部の、前記蓋部の底面に対向する面において、前記蓋部の底面へ向けて突出するように形成されており、
H 前記蓋部は、前記容器本体に収容された液体を吐出するための空洞が形成されたノズルと、
H 当該蓋部の側面において、前記ノズル側から当該蓋部の底面まで延び、外周方向に凸形状となるように形成された、複数の凸形状部とを備え、
J 前記複数の凸形状部は、前記蓋部の底面において、当該複数の凸形状部の形成されない部分よりも肉厚の肉厚部をそれぞれ形成し、
K 前記第1障害部は、前記蓋部の底面において前記肉厚部から突出するように形成され、
L 前記フランジは前記複数の凸形状部にそれぞれ対応する複数の角部を有し、
M 前記螺合により前記蓋部と前記容器本体とを締結した際に、前記複数の角部を有する前記フランジ部の形状と、前記複数の凸形状部を有する前記蓋部の底面の形状とが合致するように構成され、
N 前記第2障害部は、前記第1障害部が設けられる前記凸形状部に対応する前記角部に対して、前記蓋部を前記容器本体に螺合により締結する際に、前記第1障害部が前記第2障害部を乗り越えた位置が、前記蓋部の螺合による旋回の終点となるように、ずれた位置に設けられる、
I 検査前処理容器。」
第4 取消理由通知書に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
(1)令和6年5月28日付け取消理由通知
訂正前の請求項11に係る特許に対して、当審が令和6年5月28日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
ア 取消理由1(進歩性)
訂正前の請求項11に係る発明は、下記甲1に記載された発明及び下記甲2ないし甲5、引1及び引2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
<引用文献等一覧>
甲第1号証(甲1):特開2012-231899号公報
甲第2号証(甲2):登録実用新案第3178565号公報
甲第3号証(甲3):特開2015-182818号公報
甲第4号証(甲4):特開2018-8711号公報
甲第5号証(甲5):意匠登録第1529267号公報
引用文献1(引1):米国特許出願公開第2014/0339191号明細書
引用文献2(引2):特開2001-270538号公報
なお、以下、甲号証、引用文献について、上記括弧書きのように略して記載する。
(2)令和6年12月3日付け取消理由通知(決定の予告)
令和6年7月30日の訂正請求により訂正された請求項11に対して、当審が令和6年12月3日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。なお、上記第1で示したとおり、令和6年7月30日の訂正請求は、本件訂正がなされたため、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなされる。
ア 取消理由1(進歩性)
令和6年7月30日の訂正請求により訂正された請求項11に係る発明は、下記参5に記載された発明及び下記甲2ないし甲5、引1、引2及び(後述する)参1ないし参3に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
イ 取消理由2(明確性)
令和6年7月30日の訂正請求により訂正された請求項11に係る発明は、明確でないから、当該請求項11に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
第5 申立人が意見書において提示した参考資料について
申立人が、令和6年9月26日に提出した意見書において提示した参考資料1ないし5は以下のとおりである。
参考資料1(参1):実公昭59-010060号公報
参考資料2(参2):実公昭62-004520号公報
参考資料3(参3):インフルエンザウイルスキット、アルソニック(R)Flu-操作方法・判定方法-(なお、(R)はRの○である(以下同様。)。発行日については、参考資料4を参照。)
参考資料4(参4):体外診断用医薬品「アルソニック(R)」シリーズ新発売のお知らせ
参考資料5(参5):国際公開第2006/132041号
なお、以下、参考資料について、上記括弧書きのように略して記載する。
第6 取消理由についての当審の判断
1 取消理由通知(予告)で通知した進歩性違反について
(1)参考資料、甲号証、引用文献等の記載事項
ア 参考資料5の記載事項及び参考資料5に記載された発明
(ア) 参考資料5の記載事項
(参5-ア)
「【0001】本発明はウイルスなどの細菌検査のための検体採取液容器に関する。より詳しくはインフルエンザなどのウイルスを検出するための反応試薬容器へ滴下する検体採取液を調製するときに、検査者がウイルスによる汚染や感染におけるリスクを防止しうる構造を備えた検体採取液容器に関する。」
(参5-イ)
「【0011】本発明の検体採取液容器1は、図1に示されるように、上端が開口した有底の筒状容器2と、該筒状容器2の開口部を閉鎖するシール部材3と、前記筒状容器2の上端に、第1の位置で係合し、かつ第1の位置から第2の位置に摺動し、かつ、前記シール部材3を内挿し、上端に滴下口42を備え、さらに、滴下口42の下方に前記シール部材3を解放する部材41を備えたキャップ4からなる。
筒状容器2内には、該筒状容器2の上端に隣接して該キャップ4内に摺動自在に挿入されたシール部材3により、溶解液室7が形成される。」
(参5-ウ)
「【0012】筒状容器2は、その上端に着脱かつ摺動自在にキャップ4が取り付けられ、通常、螺合して係止される。そのために、筒状容器2は、キャップ4を螺合可能な開口部を上端に有している。キャップ4には、筒状容器2の上端に隣接してキャップ4内にシール部材3が摺動自在に取り付けられている。キャップ4およびシール部材3が取り付けられることにより、筒状容器2内に溶解液室7が形成される。溶解液室7には検体(鼻腔ぬぐい液、鼻腔吸引液、咽頭ぬぐい液など)を溶解する液が充填されている。通常、溶解液は水であって、反応試薬に滴下した際の検体との反応性を高めるために、界面活性剤が添加されている。さらに防腐剤として、アジ化ナトリウムなどが添加されている。
筒状容器2内で処理された検体採取液を開口部から押し出すためには、通常、筒状容器2を外部から圧迫し、溶解液室7にある気体を圧縮して内圧を上昇させる操作を行なう。したがって、筒状容器2は容器内の状態が確認でき、かつ繰り返し圧迫しても略元の形状に復元し白化しない透明性と可撓性を有することが好ましく、このような素材としてはポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、ポリブタジエンなどが好適に用いられる。」
(参5-エ)
「【0013】
・・・
キャップ4は、筒状容器2に着脱かつ摺動自在に取り付けられており、通常、螺合されている。」
(参5-オ)
「【0017】滴下口42には着脱自在に取り付けられる滴下口用キャップ5が設けられている。」
(参5-カ)
「【0018】本発明の検体採取液容器1を図1に基づき、より具体的に説明すると、上端が開口し、上部外表面に複数の雄ねじ部22を有し、最上端の雄ねじ部の上部に空隙を有し、最下端の雄ねじ部22”の下方に外円周方向にフランジ部21を有する有底の筒状容器2と、該筒状容器2の上端部に設けられ、筒状容器2の上端部内周よりも小径である閉鎖手段31を中央に有するシール部材3と、前記筒状容器2の上端に着脱かつ摺動自在に取り付けられ、前記シール部材3を内挿し、上端に滴下口42を備え、滴下口42の下端に前記閉鎖手段31よりも小さい略円環状の突起41を有し、かつ、前記雄ねじ22と螺合する複数の雌ねじ43を下部内表面に有し、最上端の雌ねじ部の上部に空隙を有し、最下端の雌ねじ部43”の下方に外方向への延出部44と、前記フランジ部21に係止する部分45と、該延出部44と該フランジ係止部45との間に剪断力を受けて切れる部分46を有する円筒状キャップ4とからなる検体採取液容器である。」
(参5-キ)
「【0020】検体採取液の調製に際しては、まず、キャップ4を筒状容器2から取り外し、キャップ4を上にした状態で開口部を開放し、患者より採取した検体の付着した綿棒などの採取棒8を、上端開口部から筒状容器2の溶解液室7中に挿し入れて、検体を溶解液により溶解抽出し、検体採取液を調製する(図3)。次いで、再度、キャップを取り付け、該キャップ4を係止していた第1の位置から第2の位置に摺動するとき、キャップ4内に設けられた突起41によりシール部材3の閉鎖手段31が離脱して落下し、液体連通する通路を形成する(図4)。」
(参5-ク)
「【0021】次に、容器1を逆転させ、容器1の滴下口42を反応試薬容器(図示されず)に向けてから、筒状容器2の溶解液室7のある胴部を圧迫すると、その押圧による内部の圧力上昇により、溶解液室7内の検体採取液を滴下口42から滴下する(図5)。」
(参5-ケ)
【図1】
[図:0001426803000001.jpg]
(参5-コ)
【図4】
[図:0001426803000002.jpg]
(参5-サ)
【図5】
[図:0001426803000003.jpg]
(当審注:図5の符号3は符号4の誤記であると認められる。)
(イ) 認定事項
(認定事項1)
(参5-カ)によれば、筒状容器はフランジ部21を有するものであって、図4、5を参照するに、キャップ4が筒状容器に螺合して係止された際に、キャップ4の底面に向かい合う点が見て取れる。
以上より、以下の事項が導かれる。
「キャップ4の底面に向かい合うフランジ部21とを有すること。」
(認定事項2)
(参5-ク)によれば、筒状容器2の溶解液室7のある胴部を圧迫すると、その押圧による内部の圧カ上昇により、溶解液室7内の検体採取液を滴下口42から滴下するものであるから、圧迫されるまでは、検体採取液を滴下するための空洞が形成されているものと認められる。
また、(参5-ク)及び(参5-サ)によれば、滴下する部材はノズルを有するものであると認められる。
以上より、以下の事項が導かれる。
「筒状容器に充填された検体採取液を滴下するための空洞が形成されたノズルを有すること。」
(認定事項3)
(参5-ク)の「筒状容器2の溶解液室7のある胴部を圧迫すると、その押圧による内部の圧カ上昇により、溶解液室7内の検体採取液を滴下口42から滴下する」ことにおける「圧迫」は、(参5-サ)の図5によれば、操作者が指で摘まんで圧迫していることが看取できる。
以上より、以下の事項が導かれる。
「筒状容器2の溶解液室のある胴部を操作者が指で摘まんで圧迫すること。」
(認定事項4)
(参5-ク)によれば、反応試薬容器に向ける容器であることから、検査前容器であると認められる。
以上より、以下の事項が導かれる。
「容器が検査前容器であること。」
(ウ) 参5に記載された発明
上記(ア)、(イ)から、参5には、以下の発明(以下「参5発明」という。)が記載されているものと認められる(各構成単位末尾括弧内に主たる認定根拠となる記載箇所等を示す)。
「a 患者より採取した検体と、検体を溶解する液が充填されている溶解液室が形成される筒状容器2と(【0012】、【0020】)、
b 筒状容器2に螺合して係止されるキャップ4と(【0012】)、
e 筒状容器2は、検体と検体を溶解する液が充填されている溶解液室であって、容器内の状態が確認でき、筒状容器2の溶解液室のある胴部を操作者が指で摘まんで圧迫するもので、かつ繰り返し圧迫しても略元の形状に復元し白化しない透明性と可撓性を有する素材としてはポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、ポリブタジエンなどが好適に用いられる溶解液室と(【0012】、認定事項3)、
f キャップ4が筒状容器に螺合して係止された際に、キャップ4の底面に向かい合うフランジ部21と、を有し(【0018】、認定事項1、図5)、
h キャップ4は、筒状容器に充填された検体採取液を滴下するための空洞が形成されたノズルを有する(【0021】、認定事項2、図5)、
i 検査前容器。(【0001】、認定事項4)」
イ 甲2ないし甲5、引1、2の記載事項、参考資料1~4及び周知慣用技術1
(ア) 参考資料3の記載事項
本件特許出願の出願日前に頒布された刊行物である参3には以下の記載がある。
(参3-ア)
「体外診断用医薬品製造販売承認番号22700AMX00678000」
(参3-イ)
「判定時間は試料滴下後5分です。試料滴下後5分経過しても判定ライン(A)、(B)が認められない場合、陰性と判定して下さい。(必ず確認ライン(C)の出現を確認して下さい。)」
(参3-ウ)
「鼻腔拭い液、鼻腔吸引液又は咽頭拭い液中のインフルエンザAウイルス抗原及びインフルエンザBウイルス抗原の検出インフルエンザウイルスキットアルソニック(R)Flu」
(参3-エ)
「(1)検体抽出液を飛び散らせないようにアルミシールをはがします。」((1)は○数字である(以下同様))
(参3-オ)
「(2)検体を採取した滅菌綿棒を検体抽出液に浸し、滅菌綿棒を回しながら上下に動かして数回撹
拌します。」
(参3-カ)
「(3)滅菌綿棒を引き出し、検体抽出容器にノズル(フィルター付き)をしっかりと取り付けます。」
(参3-キ)
「本品はクリック機構を採用しています。クリック機構(ツメ部分)を乗り越えるまでノズルを完全に締めてください。」
(参3-ク)
「(4)テストプレートを平らなところに置き、容器をテストプレートと垂直になるように持ち、3滴を滴下します。」
(参3-ケ)
[図:0001426803000004.jpg]
(参3-コ)
[図:0001426803000005.jpg]
(参3-サ)
「2015 08 20 [1] (ME)-0 2 0 1 5年8月作成3053900300」
(イ) 参考資料4について
参考資料3の発行日を推認するための参考資料である。
(ウ) 甲2の記載事項
本件特許出願の出願前に発行されたものである甲2には以下の記載がある。
(甲2-ア)
「【0010】
本考案のインキ用容器の実施例である容器51を、図1~図4を参照して説明する。図1は、容器体1とそれに取り付け可能な蓋体2とを示す一部破断した斜視図である。図2は、容器体1と蓋体2とを組み合わせた容器51を上下に二つ重ねた状態を説明する半断面図である。図3は(a)は、蓋体2を容器体1に取り付けた状態における部分断面図であり、図3(b)は、蓋体2の部分斜視図であり、図3(c)は、容器体1の部分斜視図である。図4は、容器体1を上下方向に二つ重ね合わせた半断面図である。」
(甲2-イ)
「【0011】
<容器体1について>
まず、容器体1について詳述する。
図1に示されるように、容器体1は、略円板状の底壁部1aと、底壁部1aの周縁から立設して横断面形状がほぼ円形を呈する周壁部1bと、を有する。容器体1は、上方側が開口し、内部に液状物(インキなど)を内容物として収容可能とされている。」
(甲2-ウ)
「【0012】
・・・
周壁部1bは、底壁部1aの周縁から立設し、上方側において、外側方向に張り出したフランジ部1cを有している。フランジ部1cは、例えば全周にわたって形成されている。また、フランジ部1cは、上側の面と下側の面とが共に容器体1の軸線CLに対して概ね直交する面となるように形成されている。」
(甲2-エ)
「【0012】
・・・
周壁部1bにおけるフランジ部1cよりも上方の外側の面には、雄ねじを有する雄ねじ部1dが形成されている。」
(甲2-オ)
「【0013】
周壁部1bの上方先端部の一部を斜視的に示した図3(c)にも示されるように、フランジ部1cの上面には、径方向外側に突出する突起部1gが複数箇所に形成されている。」
(甲2-カ)
「【0014】
<蓋体2について>
次に、蓋体2について詳述する。
図1に示されるように、蓋体2は、概ね円盤状とされた天壁部2aと、天壁部2aの周縁から天壁部2aに概ね直交するように立設(図1としては立ち下がる方向)する周壁部2bと、を有する。蓋体2は、容器体1に係合(螺合)し容器体1の蓋として機能する。すなわち、蓋体2は容器体1に螺着可能とされている。」
(甲2-キ)
「【0015】
図1に示されるように、周壁部2bの内面には、雌ねじを有する雌ねじ部2dが形成されている。雌ねじ部2dは、容器体1の雄ねじ部1dに螺合するようになっている。」
(甲2-ク)
「【0016】
図3(a),図3(b)に示されるように、周壁部2bの先端側には、内面が拡径して薄肉となる周段部2bdが形成されている。周段部2bdには、径方向内側に突出する突起部2gが複数箇所に形成されている。
例えば、突起部2gは周方向に90°間隔で四箇所形成されている。
この突起部2gの位置は、雄ねじ部1dの一山毎に設けられた突起部1gの位置に対応して設定されている。具体的には、蓋体2を容器体1に対し螺合状態で約90°回して締め込む際に、各突起部2gが突起部1gを乗り越えた位置まで締め込めば、所定の締め付けトルクを越えるように設定されている。この所定の締め付けトルクは、蓋体2が容器体1に対し充分締め付けられるトルクとして適宜設定される。すなわち、突起部1gと突起部2gとは、蓋体2を容器体1に螺着した際に、所定の締め付けトルクとなる螺合位置の近傍で、互いに当接するように設けられている。」
(甲2-ケ)
「【0017】
周壁部2bは、蓋体2がPE等の樹脂材で形成されていることから、拡径方向にある程度弾性変形が可能である。従って、容器体1に対する蓋体2の螺合を進行させると、締め込みの最終位置近くで突起部2gが突起部1gに当接するものの、さらに螺合を進行させると周壁部2bが拡径して比較的容易に突起部1gを乗り越える。
蓋体2の螺着が人的作業の場合、作業者は、突起部2gが突起部1gを乗り越える際にクリック感を認識できる。これにより、作業者は、蓋体2を所定の締め付けトルクを越えて締め付けできたことが触感としても把握される。
静かな作業環境などでは、クリック感に加えてクリック音も聞くことができる場合があり、この場合、触感に加えて聴感としても把握される。
突起部2gが突起部1gを乗り越えると、螺合を後退(外す方向に回動)させた際に、螺合を外す方向の回動に対して少なからず抗力が発生し、その螺合の後退が規制される。
従って、意図しない蓋外れが防止され蓋体2の蓋としての機能が維持される。
突起部1gと突起部2gとは、容器体1に対する蓋体2の螺合において、所定の締め付けトルクが得られる螺合位置で互いに当接する当接手段となっている。」
(甲2-コ)
【図1】
[図:0001426803000006.jpg]
(甲2-サ)
【図3】(a)
[図:0001426803000007.jpg]
(甲2-シ)
【図3】(b)
[図:0001426803000008.jpg]
(甲2-ス)
【図3】(c)
[図:0001426803000009.jpg]
(エ) 甲3の記載事項
本件特許出願の出願日前に発行されたものである甲3には以下の記載がある。
(甲3-ア)
「【0010】
図2は、容器10の首部13のある実施形態の詳細を示す。ある実施形態においては、首部13が、概して円筒状であり、容器10の本体12から延びる。首部13が11で開口し、容器10の内部へのアクセスを許容する。首部13の外面が、複数の離間したタブ14を含み、各々、タブ14a、14b、14c、14dと符号付けされ(図示の4つ)、首部13の外面から径方向外側へ延びる。」
(甲3-イ)
「【0012】
首部13は、半径方向外側に延びる外周フランジ30も含む。ある実施形態においては、フランジが、タブ14よりも長い距離で半径方向外側に延びる。ある実施形態においては、フランジ30が、首部13の下部から離間される;つまり、それが、首部13が容器10の本体12に移行する領域の直上に配置される。ある実施形態においては、フランジ30が、2つの離間したタブ31a、31bを含み、好適にはお互いに180°離間される。各タブが、放射状に延びる上部32を含み、この上部32が、フランジ30から上方に延び、またフランジ30の延在と同程度で首部13から半径方向外側に延びる。各タブが、放射状に延びる下部33も含み、この下部33が、フランジ30の縁から半径方向外側に延び、自由端34で終端する。以下に説明のようにカラー40上のある要素と協働して、タブ31a、31bが、カラー40と容器10、又はキャップ60と容器10の間のスナップ・フィット係合を形成するように従事する。」
(甲3-ウ)
「【0014】
カラー40内には、カラー40の頂部の裏面から軸方向に延びる内側円筒部材41が設けられる。ある実施形態においては、円筒部材41が、カラー40の中心に設けられ、また首部係合部材である。ある実施形態においては、円筒部材41の内壁42が、複数の離間したねじ山又はらせん状曲部45を含み、内壁42から半径方向内側に延び、容器10の首部13上の各タブ14を受け入れるように構成される。」
(甲3-エ)
「【0015】
図4の拡大詳細図が、ある実施形態のスナップ係合構造50を図示する。スナップ係合構造50が、タブ31a、31bと協働し、カラー40と容器10の間にスナップ・フィット係合を形成する。ある実施形態においては、スナップ係合構造50が、円筒部材41の自由端49上に形成され、また隆起したスナップ玉部51、凹部52、及び隆起した停止部材53を含む。ある実施形態においては、2つのそのようなスナップ係合構造50があり、180°で離間され、各々が、容器10のタブ31a、31bの個別の一つと協働することができる。カラー40が容器10に関して回転される時、タブ31aが、カラー40の自由端49に沿って移動し、隆起したスナップ玉部51により軸方向に持ち上げられる。同一方向における更なる相対的な回転により、タブ31aがスナップ玉部51上に乗り上げ(ユーザーへのフィードバックを生成し)、凹部52内に降下する。また更なる相対的な回転により、タブ31aが、隆起した停止部材53の側壁54に衝突し、回転防止部(backstop)を形成する。側壁54に対するタブ31aの衝突が、ユーザーへの聞き取り可能な「クリック」音フィードバックを生じさせ、ユーザーに回転を止めるように警告し、これにより、過剰なトルク付与が阻止される。タブは、十分な力がかけられ、タブ31aがスナップ玉部51の高さを克服できるまで凹部52内に留まる。」
(甲3-オ)
【図2】
[図:0001426803000010.jpg]
(甲3-カ)
【図3A-3B】
[図:0001426803000011.jpg]
(甲3-キ)
【図4】
[図:0001426803000012.jpg]
(甲3-ク)
【図5】
[図:0001426803000013.jpg]
(甲3-ケ)
【図5A】
[図:0001426803000014.jpg]
(甲3-コ)
【図5B】
[図:0001426803000015.jpg]
(オ) 甲4の記載事項
本件特許出願の出願日前に発行されたものである甲4には以下の記載がある。
(甲4-ア)
「【0017】
図4はキャップの裾で螺嵌のオーバーランを止めてロックするロック機構Dを示すボトル口部近傍と、キャップを示す図である。
キャップ裾の内側のネジ部下端に内側係合突起16を設け、ボトル口元の係止フランジの内側上面に本体係合突起25を設けたもので、キャップ裾の内側係合突起16が本体係合突起25に回転方向で突き当たる。
それを無理やり回動させ、内側係合突起16が本体係合突起25を乗り越えると、キャップをそれ以上回動しないようにして、締め過ぎを防止するようになっている。
本体係合突起25を内側係合突起16が乗り越えることができる強い力を加えないと、キャップは緩まない。」
(甲4-イ)
「【0018】
図5はキャップの裾で螺嵌のオーバーランを止めてロックするロック機構Eを示すボトル口部近傍と、キャップを示す図である。
キャップ裾下端に下側係合突起17を設け、ボトル口元の係止フランジに本体上向き係合突起26を設けたもので、キャップ裾の下側係合突起17が本体上向き係合突起26に回転方向で突き当たる。
それを無理やり回動させ、下側係合突起17が本体上向き係合突起26を乗り越えた所で、それ以上回動しないようにして、締め過ぎを防止するようになっている。
本体上向き係合突起26を下側係合突起17が乗り越えるほど強い力が無いと、キャップは緩まない。」
(甲4-ウ)
「【0027】
1・・・・・・・・キャップ
11・・・・・・・裾(キャップ)
110・・・・・・内側に傾斜した斜面(キャップ裾下端)
12・・・・・・・内ネジ(キャップ)
13・・・・・・・キャップロック突起
14・・・・・・・溝(下側に広がる角度を持った溝)
15・・・・・・・リング(キャップ)
16・・・・・・・内側係合突起(キャップ)
17・・・・・・・下側係合突起(キャップ)
2・・・・・・・・ボトル
21・・・・・・・係止フランジ(ボトル)
211・・・・・・外側に開いた斜面(ボトル)
22・・・・・・・ネジ山(ボトル)
221・・・・・・ボトル突き当て突起
23・・・・・・・凸リング(ボトル)
24・・・・・・・リング溝(ボトル)
25・・・・・・・本体係合突起
26・・・・・・・本体上向き係合突起
27・・・・・・・台座外径
28・・・・・・・段差
d・・・・・・・ネジ下長さ」
(甲4-エ)
【図4】
[図:0001426803000016.jpg]
(甲4-オ)
【図5】
[図:0001426803000017.jpg]
(カ) 甲5の記載事項
本件特許出願の出願日前に発行されたものである甲5には以下の記載がある。
(甲5-ア)
「【意匠に係る物品】抽出用容器」
(甲5-イ)
「【意匠に係る物品の説明】
本物品は、例えば被験者より採取した検体を抽出するために使用されるものであり、羽根状のフィルタ固定部を備える。本物品の利用者は、採取した検体を容器本体内にある抽出液に浸し、容器本体にキャップを装着し、キャップのノズルより試料を滴下して、検査を行う。
(5 5) 【意匠の説明】緑色に着色した部分以外の部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。A-A線拡大断面図を含めて部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を特定している。背面図、右側面図及び平面図は、意匠登録を受けようとする部分が表れないため省略する。」
(甲5-ウ)
【キャップの拡大底面斜視図】
[図:0001426803000018.jpg]
(甲5-エ)
【正面図】
[図:0001426803000019.jpg]
(甲5-オ)
【左側面図】
[図:0001426803000020.jpg]
(甲5-カ)
【キャップの底面図】
[図:0001426803000021.jpg]
(甲5-キ)
【A-A線拡大断面図】
[図:0001426803000022.jpg]
(甲5-ク)
【キャップの拡大底面図】
[図:0001426803000023.jpg]
(甲5-ケ)
【キャップの底面斜視図】
[図:0001426803000024.jpg]
(キ) 引1の記載事項
本件特許出願の出願日前に頒布された刊行物である引1には以下の記載がある。
(引1-ア)
【図4】
[図:0001426803000025.jpg]
(引1-イ)
【図5】
[図:0001426803000026.jpg]
(引1-ウ)
【図6】
[図:0001426803000027.jpg]
(引1-エ)
【図7】
[図:0001426803000028.jpg]
(引1-オ)
【図8】
[図:0001426803000029.jpg]
(ク) 引2の記載事項
本件特許出願の出願日前に頒布された刊行物である引2には以下の記載がある。
(引2-ア)
【図1】
[図:0001426803000030.jpg]
(引2-イ)
【図2】
[図:0001426803000031.jpg]
(ケ) 参考資料1の記載事項
本件特許出願の出願日前に頒布された刊行物である参1には以下の記載がある。
(参1-ア)第1頁左欄28行~34行
「本考案は、或る程度の弾性を有する合成樹脂製のネジキヤツプに係る構造に関するもので、ネジキヤツプの自然な締付けゆるみを防止すると共にネジキヤツプによる本体の密閉完了と同時にパチンと音がするようにすることによつて使用上の便利さおよび面白さを得ることを目的としたものである。」
(参1-イ)第1頁左欄35行~右欄2行
「或る程度の弾性を有する合成樹脂材料で成形されたネジキヤツプは極めて広い分野で利用されているが、このネジキヤツプは極めて多くの優れた作用効示、利点がある反面、ネジキヤツプに共通した締付けの自然なゆるみが問題となつている。」
(参1-ウ)第1頁右欄8行~12行
「また、このネジキヤツプは、一般にどの程度本体への螺合を押し進めれば本体を密閉した状態にすることができるのかという判断を下す目安とするものがなく、このため多くの場合、ネジキヤツプによる本体の密閉は締め過ぎとなつていた。」
(参1-エ)第1頁右欄13行~23行
「本考案は、上記従来例におけるネジキヤツプに関しての不満点を解消すべく考案されたもので、ネジキヤツプを本体に螺合していくと、このネジキヤツプの本体に対する組付き高さ位置が螺合程度によつて一定の割合で変化することを利用して、ネジキヤツプが本体を密閉する位置まで螺合したならば、それ以上の螺合回動を不能とすると共にこの螺合限に達する直前で本体側に成形された部分を弾性変形して乗り越える部分を成形することによつて締付けのゆるみを防止するようにしたものである。」
(参1-オ)第1頁右欄26行~33行
「本考案のネジキヤツプに係る構造は、従来一般に使用されているネジキヤツプ構造にそのまま施されるもので、外周面に螺条13を成形した口筒11を肩部10の中央に立設して構成される適当な材料により成形された本体9と、この本体9の口筒11に形成された注出口12を開閉すべく、口筒11に螺合組付けされるネジキヤツプとの組合せ物に施される。」
(参1-カ)第2頁左欄2行~5行
「本体9の口筒11を立設した肩部10の前記螺合組付けされるキヤツプ1に直下から対向する所望個所には、適当な高さとなつた係止片14が突設されている。」
(参1-キ)第2頁左欄6行~9行
「他方、この本体9の係止片14に対し、この係止片14に直上から対向するキヤツプ1の所定個所に、所定相互位置関係で弾片7および突当り片6が一体に成形されている。」
(参1-ク)第2頁左欄10行~19行
「弾片7は比較的弾性変形し易いように先細り状に成形されていて、キヤツプ1が口筒11に螺合限直前まで、すなわち注出口12を密閉する直前まで組付いた際に、下端を係止片14の上端に係止させる位置および高さで垂下設されており、またこの弾片7と隣接して設けられた突当り片6は、弾片7が係止片14を乗り越えてキヤツプ1が注出口12を密閉した位置に達した際にその下端を係止片14の上端に突き当てる位置および高さで垂下設されている。」
(参1-ケ)第2頁左欄24行~29行
「本考案は、上記の如き構成となつているものであるから、キヤツプ1を本体9に螺合組付けしていつて、第3図に図示した注出口12の密閉直前の位置に達すると、キヤツプ1の本体9への螺合の進行に伴つて係止片14に対して下降接近してきた弾片7の下端が係止片14の上端に引掛かる。」
(参1-コ)第2頁左欄30行~39行
「この弾片7下端の係止片14上端への引掛かりにかかわらず、キヤツプ1の本体9への螺合を押し進めると、弾片7は弾性変形して係止片14上を乗り越え、この弾片7の係止片14を乗り越える動作の完了と同時に注出口12はキヤツプ1により密閉が達成されかつ突当り片6の下端係止片14の上端に突当つてキヤツプ1の本体9に対するそれ以上の回動を阻止し、さらにこの時係止片14を乗り越えた弾片7はその弾性復帰動作に伴つてパチンという音を発する。」
(参1-サ)第2頁左欄40行~右欄3行
「このように、本考案は、注出口12の密閉が達成された所で、キヤツプ1の本体9に対するそれ以上の回動を阻止するので、キヤツプ1の締め過ぎを引き起すことがなく、またいつたん密閉状態に達すると、逆方向に回動して弾片7が係止片14を乗り越えなければならないので、みだりにキヤツプ1が本体9に対して回動変位して本体9の密閉を劣化させるような不都合の発生することがない。」
(参1-シ)第1図
[図:0001426803000032.jpg]
(参1-ス)第2図
[図:0001426803000033.jpg]
(参1-セ)第3図
[図:0001426803000034.jpg]
(参1-ソ)第4図
[図:0001426803000035.jpg]
(コ) 参考資料2の記載事項
本件特許出願の出願日前に頒布された刊行物である参2には以下の記載がある。
(参2-ア)第2頁左欄32行~35行
「本考案は、口頸部を備えた容器本体とこの容器本体の口頸部に装着される合成樹脂製容器蓋との組合せから成る容器に関する。」
(参2-イ)第3頁右欄8行~17行
「第1図を参照して説明すると、ポリエチレンテレフタレートの如き適宜の合成樹脂或いはガラス等から成形することができる容器本体2は、頂面が開放された口頸部6を備えている。この口頸部6は円箇状外周面8を有する。図示の具体例においては、外周面8には雄螺条10が形成されている。また、外周面8には雄螺条10の下方に位置する環状突条12も形成されている。そして、この環状突条12上に干渉突起14が形成されている。」
(参2-ウ)第3頁右欄26行~31行
「第2図を参照して説明すると、ポリプロピレン、ポリエチレン又はポリスチレンの如き適宜の合成樹脂から成形される図示の容器蓋4は、円形状の天面壁16とこの天面壁16の周縁から垂下する略円筒体形状のスカート壁18とを備えている。」
(参2-エ)第3頁右欄38行~第4頁左欄4行
「スカート壁18の内周面は肩部24よりも上方に位置し、且つ内径が比較的小さい円筒状上部内周面26と肩部24よりも下方に位置し且つ内径が比較的大きい円筒状下部内周面28とに区画されている。上部内周面26には、口頸部2の外周面8に形成されている上記雄螺条10 (第1図)と協働する雌螺条30が形成されている。下部内周面28の上端部には、口頸部2の外周面8に形成されている干渉突起14 (第1図及び第3図)と協働する干渉突起32が形成されている。」
(参2-オ)第4頁左欄14行~22行
「上述した通りの容器本体2と容器蓋4との組合せから成る容器において、容器本体2の口頸部6に容器蓋4を装着して口頸部6を閉塞するには、口頸部6に容器蓋4を被嵌し、次いで容器蓋4を口頸部6に対して相対的に所定方向、即ち第2図において上方から見て時計方向に回転せしめ、かくして、口頸部6の外周面8に形成されている雄螺条10をスカート壁18の上部内周面26に形成されている雌螺条30に螺合せしめればよい。」
(参2-カ)第4頁左欄26行~右欄3行
「そして、装着操作の最終段階(すなわち雄螺条10と雌螺条30の螺合の最終段階)になると、スカート壁18の下部内周面26に形成されている干渉突起32が口頸部6の外周面8に形成されている環状突起12に対向する高さになる。次いで後に第5-A図、第5-B図及び第5-C図を参照して更に詳細に言及する如く、スカート壁18の下部内周面26に形成されている干渉突起32の各々と環状突条12上に形成されている干渉突起14の各々とが干渉し始め、これに起因してスカート壁18が弾性変形し(場合によつては口頸部6も幾分弾性変形し)、かくして干渉突起32の各々が干渉突起1 4の各々を周方向に乗り越え、しかる後にスカート壁18が(場合によつては口頸部6も)弾性的に復元する。そして、装着操作が完了、即ち雄螺条1 0が雌螺条30に充分に螺合されて口頸部6に容器蓋4が所要の通りに装着される。かくすると、容器蓋4の天面壁16の内面に形成されている密封用環状突条20が口頸部6の上端面に押付けられ、これによつて口頸部6が充分に密封される。」
(参2-キ)第1図
[図:0001426803000036.jpg]
(参2-ク)第2図
[図:0001426803000037.jpg]
(参2-ケ)第5-A図
[図:0001426803000038.jpg]
(参2-コ)第5-B図
[図:0001426803000039.jpg]
(参2-サ)第5-C図
[図:0001426803000040.jpg]
(サ) 周知慣用技術1
上記(ア)及び(ウ)ないし(コ)によれば、以下の点が周知慣用技術(以下「周知慣用技術1」という。)であるといえる。
「容器本体と螺合する蓋部との締結構造であって、螺合による旋回の際に容器本体に向かい合う位置の蓋部に形成された第1障害部と、容器本体に蓋部が螺合により締結される際に、螺合による旋回の終点となる前の位置で、蓋部に形成された第1障害部と接触して、螺合による蓋部の旋回の障害となる、第2障害部であって、第1障害部が第2障害部を乗り越えた状態が螺合による旋回の終点となる、第2障害部とを備える締結構造。」
ウ 甲1の記載事項及び甲1に記載された発明
(ア) 甲1の記載事項
甲1には、以下の事項が記載されている。
(甲1-ア)
「【0013】
本発明の請求項1によれば、検査薬を収容した容器本体に、該容器本体に取り外し可能に取り付けられる共に検査薬の注出口が形成されているキャップ本体と、該キャップ本体に連結して前記注出口を開閉可能な蓋体と、を有するヒンジキャップを、取り付けたヒンジキャップ付き検査薬容器であって、前記容器本体の口元部の外側面にネジ山部が形成され、前記キャップ本体が、前記注出口と連結したキャップ本体の外周筒部の内側面に、前記ネジ山部と嵌合するネジ部が形成され、前記外周筒部の内側に前記口元部を密封するためのインナーリングが形成され、該インナーリングの内側に前記検査薬中の異物を除去するためのろ過フィルターが前記口元部を閉鎖するように配置されていることを特徴する。本発明のヒンジキャップ付き検査薬容器は、検査薬を収容した容器本体とネジ式で螺合するヒンジキャップからなる。ヒンジキャップは、キャップ本体と蓋体がヒンジ部を介して連結されている。使用方法としては、容器本体からヒンジキャップを取り外し、検査薬に検体が付着された綿棒を入れ、浸し、撹拌したのち、容器本体を手指でスクイーズして綿球を絞り、その後綿棒を抜きとり、再度容器本体に同じヒンジキャップを取付け反転し、ヒンジキャップの蓋体を開き、手指で容器本体をスクイーズしながら検査プレートに抽出後の検査薬を滴下する。即ち一のヒンジキ ャップを使用し、検査薬が外に漏れない検査薬容器である。手間が掛からず二次感染の心配がない検査薬容器である。」
(甲1-イ)
「【0018】
図1は、本発明のヒンジキャップ付き検査薬容器100の一例を示す説明図である。本体容器20は、スクイズ性を有する円筒状の容器で、口元部21の外側面にヒンジキャップ本体2とネジ式で螺合するためのネジ山部23が一体成型されている。また本体容器20は、口元部21から底部に向かって内側にテーパーを形成している。またヒンジキャップ1を容器本体20から取り外すときに、持ち易くするために、口元部21の下部にフランジ11を有し、その側面にローレットを形成している。」
(甲1-ウ)
「【0019】
ヒンジキャップ1は、ヒンジ部3に連結されたキャップ本体2と蓋体4とから成っている。キャップ本体は、軸の中央に注出口5が形成され、抽出後の検査薬を注ぐための注出口と、該注出口に連結して外周壁部6、外周筒部7が形成されている。該外周筒部7の内側面に容器本体の口元部21の外側面のネジ山部23と螺合するためのネジ部24が形成されている。また該外周壁部6には、下方向に容器本体20を密封するためのインナーリング8が形成されている。」
(甲1-エ)
「【0025】
本発明に用いる容器本体2に使用する樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂などが使用できる。特にこれらの樹脂は、添加剤などが含まれない樹脂を使用した方が好ましい。検体の判定を誤診させるようなことに繋がるためにピュアーな樹脂が好ましい。またスクィ‐ズ性が必要であることから、適宜樹脂の選定、厚みの設定をすればよい。また綿棒の状態を確認するために透明性が必要である。本体容器を作成する方法として、これら樹脂を用いてブロー成形、射出成形など方法で可能である。」(当審注:【0025】の「容器本体2」は、「容器本体20」の明らかな誤記と認められる。)
(甲1-オ)
「【図1】
[図:0001426803000041.jpg]
」
(甲1-カ)
「【図2】
[図:0001426803000042.jpg]
」
(イ) 認定事項
(認定事項1)
(甲1-イ)には、「容器本体20」、「本体容器20」と記載されているが、甲1の発明の詳細な説明及び図面を参酌すると、これらは同じ部材を意味するものといえる。したがって、以下では当該部材は、「容器本体20」という用語を使用する。
(認定事項2)
(甲1-オ)(甲1-カ)によれば、「フランジ11」は、「ヒンジキャップ1」が「容器本体20」に螺合により締結された際に「ヒンジキャップ1」の底面に向かい合うといえるから、以下の事項が導かれる。
「容器本体20は、ヒンジキャップ1が容器本体20に螺合により締結された際にヒンジキャップ1の底面に向かい合うフランジ11を有する。」
(ウ) 甲1に記載された発明
上記(ア)、(イ)より、甲1には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる(各構成単位末尾括弧内に主たる認定根拠となる記載箇所等を示す)。
「a 検査薬を収容した容器本体20と(【0013】)、
b 検査薬を収容した容器本体20とネジ式で螺合するヒンジキャップ1と(【0013】)、
e 容器本体20は、スクイズ性を有する円筒状の容器で、口元部21から底部に向かって内側にテーパーを形成し、容器本体20に使用する樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂などが使用でき(【0018】、【0025】、認定事項1)、
f ヒンジキャップ1が容器本体20に螺合により締結された際にヒンジキャップ1の底面に向かい合うフランジ11を有し(【0018】、【図1】、【図2】、認定事項2)、
h ヒンジキャップ1は、ヒンジ部3に連結されたキャップ本体2と蓋体4とから成っており、キャップ本体は、軸の中央に注出口5が形成され、抽出後の検査薬を注ぐための注出口と、該注出口に連結して外周壁部6、外周筒部7が形成されており(【0019】)、
j 使用方法としては、容器本体20からヒンジキャップ1を取り外し、検査薬に検体が付着された綿棒を入れ、浸し、撹拌したのち、容器本体20を手指でス クイーズして綿球を絞り、その後綿棒を抜きとり、再度容器本体20に同じヒンジキャップ1を取付け反転し、ヒンジキャップ1の蓋体を開き、手指で容器本体20をスクイーズしながら検査プレートに抽出後の検査薬を滴下する(【0013】)、
i ヒンジキャップ付き検査薬容器(【0013】)。」
(2) 参考資料5に記載された発明との対比・判断
ア 対比
本件発明と参5発明とを対比する。
(ア) 構成Aについて
構成aの「患者より採取した検体と、検体を溶解する液が充填されている溶解液室が形成される筒状容器2」は、構成Aの「患者から採取した試料と、前記試料の処理液とが収容される容器本体」に相当する。
(イ) 構成Bについて
構成bの「筒状容器2に螺合して係止されるキャップ4」は、構成Bの「前記容器本体に螺合により締結される蓋部」に相当する。
(ウ) 構成Eについて
構成eの「筒状容器2は、検体と検体を溶解する液が充填されている溶解液室であって」「筒状容器2の溶解液室のある胴部を操作者が指で摘まんで圧迫するもので、かつ繰り返し圧迫しても略元の形状に復元し」「可撓性を有する素材としてはポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、ポリブタジエンなどが好適に用いられる溶解液室」は、構成Eの「前記容器本体は、前記試料と前記処理液が収容される液体収容部であって、操作者が前記液体収容部を指で摘まんで、前記試料を扱くことが可能な弾性のある合成樹脂で形成された液体収容部」に相当する。
(エ) 構成Fについて
構成fの「キャップ4が筒状容器に螺合して係止された際に、キャップ4の底面に向かい合うフランジ部21」は、構成Fの「前記蓋部が前記容器本体に螺合により締結された際に前記蓋部の底面に向かい合うフランジ部」に相当する。
(オ) 構成Hについて
構成hの「キャップ4は、筒状容器に充填された検体採取液を滴下するための空洞が形成されたノズル」は、構成Hの「前記蓋部は、前記容器本体に収容された液体を吐出するための空洞が形成されたノズル」に相当する。
(カ) 構成Iについて
構成iの「検査前容器。」は、構成Iの「検査前処理容器。」に相当する。
(キ) 上記(ア)~(カ)より、本件発明と参5発明は、
「A 患者から採取した試料と、前記試料の処理液とが収容される容器本体と、
B 前記容器本体に螺合により締結される蓋部と、
を備え、
E 前記容器本体は、前記試料と前記処理液が収容される液体収容部であって、操作者が前記液体収容部を指で摘まんで、前記試料を扱くことが可能な弾性のある合成樹脂で形成された液体収容部と、
F 前記蓋部が前記容器本体に螺合により締結された際に前記蓋部の底面に向かい合うフランジ部と、
を備え、
H 前記蓋部は、前記容器本体に収容された液体を吐出するための空洞が形成されたノズルを備える、
I 検査前処理容器」
の発明である点で一致し、以下の相違点1で相違する。
(相違点1)
蓋部が容器本体に螺合により締結されることが、本件発明では、「前記螺合による旋回の際に前記容器本体に向かい合う位置の前記蓋部に形成された第1障害部と」(構成C)、「前記容器本体に前記蓋部が螺合により締結される際に、前記螺合による旋回の終点となる前の位置で、前記蓋部に形成された前記第1障害部と接触して、前記螺合による前記蓋部の旋回の障害となる、第2障害部であって、前記第1障害部が前記第2障害部を乗り越えた状態が前記螺合による旋回の終点となる、第2障害部と」(構成D)、を備え、「前記第2障害部は、前記フランジ部の、前記蓋部の底面に対向する面において、前記蓋部の底面へ向けて突出するように形成されており」(構成G)、「前記蓋部」が、「当該蓋部の側面において、前記ノズル側から当該蓋部の底面まで延び、外周方向に凸形状となるように形成された、複数の凸形状部と」(構成H)、を備え、「前記複数の凸形状部は、前記蓋部の底面において、当該複数の凸形状部の形成されない部分よりも肉厚の肉厚部をそれぞれ形成し」(構成J)、「前記第1障害部は、前記蓋部の底面において前記肉厚部から突出するように形成され」(構成K)、「前記フランジは前記複数の凸形状部にそれぞれ対応する複数の角部を有し」(構成L)、「前記螺合により前記蓋部と前記容器本体とを締結した際に、前記複数の角部を有する前記フランジ部の形状と、前記複数の凸形状部を有する前記蓋部の底面の形状とが合致するように構成され」(構成M)、「前記第2障害部は、前記第1障害部が設けられる前記凸形状部に対応する前記角部に対して、前記蓋部を前記容器本体に螺合により締結する際に、前記第1障害部が前記第2障害部を乗り越えた位置が、前記蓋部の螺合による旋回の終点となるように、ずれた位置に設けられる」(構成N)のに対し、参5発明では、そのような構成(構成C・D・G・H・J・K・L・M・N)を備えていない点。
イ 判断
上記相違点1に係る本件発明の発明特定事項を開示する文献は提示されておらず、当業者において、相違点1に係る発明特定事項が周知であったものともいえない。
ここで、第6の1の(1)イ(サ)で認定した「容器本体と螺合する蓋部との締結構造であって、螺合による旋回の際に容器本体に向かい合う位置の蓋部に形成された第1障害部と、容器本体に蓋部が螺合により締結される際に、螺合による旋回の終点となる前の位置で、蓋部に形成された第1障害部と接触して、螺合による蓋部の旋回の障害となる、第2障害部であって、第1障害部が第2障害部を乗り越えた状態が螺合による旋回の終点となる、第2障害部とを備える締結構造。」という周知慣用技術1を、参5発明に設けることができたとしても、上記相違点1に係る本件発明の「構成G・H・J・K・L・M・N」の発明特定事項とする動機もないし、当業者が適宜なし得る設計的事項でもない。
そして、結果として「聴覚や触覚、視覚などで、螺合による旋回の終点に到達したことを把握することができる。」という格別顕著な効果を得られることを、当業者が予測し得たとは到底認められない。
してみれば、参5発明において、相違点1に係る本件発明の発明特定事項とすることは当業者といえども容易に想到し得たことではない。
(3) 甲1に記載された発明との対比・判断
ア 対比
本件発明と甲1発明とを対比する。
(ア) 構成Aについて
構成aの「検査薬」は、構成Aの「試料の処理液」に相当する。そして、構成aの「容器本体20」に関し、構成jで特定される使用方法により、「検査薬に検体が付着された綿棒を入れ、浸し、撹拌したのち、容器本体20を手指でスクイーズして綿球を絞り、その後綿棒を抜きと」るものであるから、構成aの「容器本体20」には、患者から採取した検体と検査薬とが収容されるといえる。そうすると、構成aの「検査薬を収容した容器本体20」は、構成Aの「患者から採取した試料と、前記試料の処理液とが収容される容器本体」に相当する。
(イ) 構成B、構成Fについて
構成b、構成fの「ヒンジキャップ1」は、構成Bの「蓋部」に相当し、構成fの「ヒンジキャップ1が容器本体20に螺合により締結された際にヒンジキャップ1の底面に向かい合うフランジ11」は、構成Fの「前記蓋部が前記容器本体に螺合により締結された際に前記蓋部の底面に向かい合うフランジ部」に相当する。
(ウ) 構成Eについて
構成eの「容器本体20」は、構成Eの「容器本体」に相当し、構成eの「容器本体20」の「口元部21から底部に向かって内側にテーパーを形成」された部分は、構成Eの「液体収容部」に相当する。また、構成eの「容器本体20は、スクイズ性を有する円筒状の容器」であり、「容器本体20に使用する樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂などが使用でき」ること、及び、構成jで特定される使用方法において、「容器本体20を手指でスクイーズして綿球を絞る」ことから、構成eの「口元部21から底部に向かって内側にテーパーを形成」された部分は、構成Eの「操作者が前記液体収容部を指で摘まんで、前記試料を扱くことが可能な弾性のある合成樹脂で形成された液体収容部」に相当する。
(エ) 構成Hについて
構成hの「抽出後の検査薬を注ぐための抽出口」は、構成Hの「容器本体に収容された液体を吐出するための空洞が形成されたノズル」に相当する。
(オ) 構成Iについて
構成iの「ヒンジキャップ付き検査薬容器」は、構成Iの「検査前処理容器」に相当する。
(カ) 上記(ア)~(オ)より、本件発明11と甲1発明は、
「A 患者から採取した試料と、前記試料の処理液とが収容される容器本体と、
B 前記容器本体に螺合により締結される蓋部と、
を備え、
E 前記容器本体は、
前記試料と前記処理液が収容される液体収容部であって、操作者が前記液体収容部を指で摘まんで、前記試料を扱くことが可能な弾性のある合成樹脂で形成された液体収容部と、
F 前記蓋部が前記容器本体に螺合により締結された際に前記蓋部の底面に向かい合うフランジ部と、
を備え、
H 前記蓋部は、前記容器本体に収容された液体を吐出するための空洞が形成されたノズルを備える、
I 検査前処理容器。」
の発明である点で一致し、以下の相違点2で相違する。
(相違点2)
蓋部が容器本体に螺合により締結されることが、本件発明では、「前記螺合による旋回の際に前記容器本体に向かい合う位置の前記蓋部に形成された第1障害部と」(構成C)、「前記容器本体に前記蓋部が螺合により締結される際に、前記螺合による旋回の終点となる前の位置で、前記蓋部に形成された前記第1障害部と接触して、前記螺合による前記蓋部の旋回の障害となる、第2障害部であって、前記第1障害部が前記第2障害部を乗り越えた状態が前記螺合による旋回の終点となる、第2障害部と」(構成D)、を備え、「前記第2障害部は、前記フランジ部の、前記蓋部の底面に対向する面において、前記蓋部の底面へ向けて突出するように形成されており」(構成G)、「前記蓋部」が、「当該蓋部の側面において、前記ノズル側から当該蓋部の底面まで延び、外周方向に凸形状となるように形成された、複数の凸形状部と」(構成H)、を備え、「前記複数の凸形状部は、前記蓋部の底面において、当該複数の凸形状部の形成されない部分よりも肉厚の肉厚部をそれぞれ形成し」(構成J)、「前記第1障害部は、前記蓋部の底面において前記肉厚部から突出するように形成され」(構成K)、「前記フランジは前記複数の凸形状部にそれぞれ対応する複数の角部を有し」(構成L)、「前記螺合により前記蓋部と前記容器本体とを締結した際に、前記複数の角部を有する前記フランジ部の形状と、前記複数の凸形状部を有する前記蓋部の底面の形状とが合致するように構成され」(構成M)、「前記第2障害部は、前記第1障害部が設けられる前記凸形状部に対応する前記角部に対して、前記蓋部を前記容器本体に螺合により締結する際に、前記第1障害部が前記第2障害部を乗り越えた位置が、前記蓋部の螺合による旋回の終点となるように、ずれた位置に設けられる」(構成N)のに対し、甲1発明では、そのような構成(構成C・D・G・H・J・K・L・M・N)を備えていない点。
イ 判断
上記相違点2に係る本件発明の発明特定事項を開示する文献は提示されておらず、当業者において、相違点2に係る発明特定事項が周知であったものともいえない。
ここで、第6の1の(1)イ(サ)で認定した「容器本体と螺合する蓋部との締結構造であって、螺合による旋回の際に容器本体に向かい合う位置の蓋部に形成された第1障害部と、容器本体に蓋部が螺合により締結される際に、螺合による旋回の終点となる前の位置で、蓋部に形成された第1障害部と接触して、螺合による蓋部の旋回の障害となる、第2障害部であって、第1障害部が第2障害部を乗り越えた状態が螺合による旋回の終点となる、第2障害部とを備える締結構造。」という周知慣用技術1を、甲1発明に設けることができたとしても、上記相違点2に係る本件発明の「構成G・H・J・K・L・M・N」の発明特定事項とする動機もないし、当業者が適宜なし得る設計的事項でもない。
そして、結果として「聴覚や触覚、視覚などで、螺合による旋回の終点に到達したことを把握することができる。」という格別顕著な効果を得られることを、当業者が予測し得たとは到底認められない。
してみれば、甲1発明において、相違点2に係る本件発明の発明特定事項とすることは当業者といえども容易に想到し得たことではない。
2 取消理由通知(予告)で通知した明確性要件違反について
令和7年2月7日提出の訂正請求の訂正により、先にした令和6年7月30日になされた訂正請求は取り下げられたものとみなされ、「(ただし、前記蓋部が、前記ノズルを開閉するためのヒンジキャップを有するものを除く)」の発明特定事項を有しないものとなった。
ここで、先の取消理由通知(予告)で通知した明確性の取消理由が「(ただし、前記蓋部が、前記ノズルを開閉するためのヒンジキャップを有するものを除く)」についてのものであり、その記載がなくなったので、当該取消理由を有しないものとなった。
したがって、本件発明は明確であり、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号の要件を満たす。
5 異議申立人の意見について
令和7年2月7日の訂正請求の後に申立人から意見書の提出はなかったが、令和6年9月26日提出の意見書においては、「「容器本体と螺合する蓋部との締結構造であって、螺合による旋回の際に容器本体に向かい合う位置の蓋部に形成された第1障害部と、容器本体に蓋部が螺合により締結される際に、螺合による旋回の終点となる前の位置で、蓋部に形成された第1障害部と接触して、螺合による蓋部の旋回の障害となる、第2障害部であって、第1障害部が第2障害部を乗り越えた状態が螺合による旋回の終点となる、第2障害部とを備える締結構造。」は、本件特許の出願日前において周知慣用技術である。そして、容器本体と螺合する蓋部とを備えた容器において、容器本体内に収容された収容物が容器の外に漏れ出さないようにするために、過剰な締め付けや緩みを抑制して、適正な力で締め付けを行うことも、容器が用いられる分野にかかわらず、一般的に認識されている周知の課題といえる。」との主張がなされていた。
しかしながら、令和7年2月7日の訂正請求により、上記(2)イ、(3)イでも検討したとおり、申立人が主張する周知慣用技術、周知の課題を参5発明または甲1発明に適用しても、本件発明の発明特定事項を充足するものとはならないと認められる。
よって、本件請求項11に係る発明は、参5発明または甲1発明および上記周知慣用技術、周知の課題から、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。
よって、申立人の主張は採用することができない。
第7 取消理由通知において採用しなかった申立人の主張する取消理由について
1 令和6年9月26日提出の意見書において主張するサポート要件について
申立人は、令和6年9月26日提出の意見書において、特許権者が令和6年7月30日提出の意見書で「相違点3」として記載していた「前記第2障害部は、前記フランジ部において、前記蓋部へ向けて突出するように形成され」ていること。」に関連し、「仮に、螺合による旋回の終点を視覚的に伝えることが本件訂正発明11の課題であるとすると、本件訂正発明11は、蓋部の内周面から底部の半径方向内側に向けて突出することで外側から見えないように構成されているものも含むため、「発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるもの」(審査基準第II部第3章第2節2.1 (3)) となる。つまり、訂正後の請求項11の記載は、サポート要件(特許法第36条第6項第1号(同法第113条第5号))を満たさないものとなる。」と主張する(27頁)。
しかしながら、「前記第2障害部は、前記フランジ部において、前記蓋部へ向けて突出するように形成され」るという発明特定事項は、訂正前から存在しており、上記のサポート要件違反の理由は、特許異議申立書において主張できたものであるにもかかわらず、意見書において初めて主張された。
したがって、申立人の上記のサポート要件違反の理由は、時宜を逸したものであり、採用できない。
仮に、上記のサポート要件違反の主張について検討しても、以下のとおりである。
本件発明の課題は、本件明細書の【0007】に記載されているように、「操作者による過剰な力で蓋部を容器本体に螺合されるのを抑制した検査前処理容器を提供する」ことにあると認める。
ここで、本件明細書の【0038】の「以上のように、本実施形態に係る蓋部10と容器本体20とを備える検査前処理容器は、蓋部10を容器本体20に螺合により締結する際に、蓋部10の突起部16が容器本体20の突起部28と接触し、蓋部10の突起部16が容器本体20の突起部28を乗り越えた地点が螺合による旋回の終点となるようにしたので、操作者が旋回の終点を容易に把握することができ、旋回し過ぎてネジ溝12aやネジ山22aを破壊してしまうのを抑制することができる。すなわち、蓋部10の突起部16と容器本体20の突起部28とが接触し、突起部16が突起部28を乗り越えることにより、聴覚や触覚、視覚などで、螺合による旋回の終点に到達したことを把握することができる。これにより、蓋部10を容器本体20に螺合する際に、過剰に蓋部10を旋回させるのを抑制するだけでなく、蓋部10の旋回が足りずに、蓋部10が容器本体20から脱落してしまうのを抑制することもできる。」との記載からみて、本件発明は、前記課題を解決できるといえる。
したがって、サポート要件を満たしていないとすることはできず、申立人の上記主張は採用できない。
第8 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項11に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700201