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特許異議申立

2024-700049

基板洗浄装置および基板洗浄方法ならびに基板洗浄装置用のロールスポンジ

審判番号
2024-700049
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-214471
登録番号
7315648
請求日
2024年01月24日
審決日
2025年02月21日
公報発行日
2025年06月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社荏原製作所
  • 【権利者代理人】大野 聖二
  • 【権利者代理人】松野 知紘
  • 【異議申立人】今村 夏英
審判長/審判官
  • 審判長 小宮 慎司
  • 審判官 河本 充雄
  • 審判官 棚田 一也
分類
P1651.113-YAA(H01L) / P1651.121-YAA(H01L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第2項
データ出所
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事件の表示

特許第7315648号発明「基板洗浄装置および基板洗浄方法ならびに基板洗浄装置用のロールスポンジ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7315648号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕について訂正することを認める。 特許第7315648号の請求項1~4に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7315648号の請求項1~4に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成28年9月29日(以下、「本件特許の出願日」という。)に出願された特願2016-191977号の一部を令和2年10月15日に特願2020-173962号として新たな特許出願とし、更にその一部を令和3年12月28日に新たな特許出願としたものであって、令和5年7月18日にその特許権の設定登録がされ、同年同月26日に特許掲載公報が発行された。 その特許についての特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和6年 1月24日 :特許異議申立人 今村夏英(以下、「申立人」という。)による請求項1~4に係る特許に対する特許異議の申立て 同年 2月20日 :申立人による手続補正書(方式)の提出 同年 3月27日付け:取消理由通知 同年 5月29日 :特許権者による意見書の提出 同年 7月19日付け:取消理由通知(決定の予告) 同年 9月24日 :特許権者による意見書、訂正請求書の提出 同年11月 6日 :特許権者による手続補正書(方式)の提出 同年12月13日 :申立人による意見書の提出 第2 本件訂正の適否についての判断 1 本件訂正の内容 令和6年9月24日に提出され、同年11月6日提出の手続補正書(方式)によって補正された訂正請求書(以下「訂正請求書」という。)による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(当審注:下線は訂正箇所を示すため当審が付与した。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「前記ロール本体の側面はスキン層に覆われ、」と記載されているのを、「ロール本体の長手方向両端部の側面の全体はスキン層に覆われ、」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~4も同様に訂正する)。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について 訂正事項1による訂正は、ロール本体について、「側面はスキン層に覆われ」ていることを「長手方向両端部の側面の全体はスキン層に覆われ」ていることに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項1による訂正は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件明細書等」という。)の【0098】、【0099】の記載に基づくものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 また、訂正事項1による訂正は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 3 まとめ 本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において読み替えて準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕について訂正を認める。 第3 本件発明 本件訂正の請求により訂正された請求項1~4の特許に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明4」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1~4に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 円筒状のロール本体と、 その外周面から外側に円柱状に突出した複数のノジュール部と、を備え、 ロール本体の長手方向両端部の側面の全体はスキン層に覆われ、 前記複数のノジュール部の表面の少なくとも一部はスキン層が欠如している、基板洗浄装置用のロールスポンジ。 【請求項2】 前記ロール本体の表面のスキン層と、前記ノジュール部の側面のスキン層と、が欠如している、請求項1に記載の基板洗浄装置用のロールスポンジ。 【請求項3】 全ての前記ノジュール部の先端のスキン層が欠如している、請求項1に記載の基板洗浄装置用のロールスポンジ。 【請求項4】 前記複数のノジュール部のうち一部のみのノジュール部の先端のスキン層が欠如している、請求項1に記載の基板洗浄装置用のロールスポンジ。」 第4 申立理由の概要 申立人は、証拠として甲第1号証~甲第4号証(以下、「甲1」~「甲4」という。)を提出し、以下の理由により、請求項1~4に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。 1 申立理由1(新規性) (1)請求項1、2に係る発明は、甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1、2に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 2 申立理由2(進歩性) 請求項1~4に係る発明は、甲1に記載された発明に基いて、又は、甲1に記載された発明及び甲2~4に記載された事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 [証拠方法] 甲1:国際公開第2010/001761号 甲2:特公昭25-1544号公報 甲3:実願平1-95862号(実開平3-101230号)のマイクロフィルム 甲4:特表2007-501717号公報 第5 取消理由(決定の予告)の概要 当審において、令和6年7月19日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。 1 取消理由1(新規性) 請求項1、2に係る発明は、甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 2 取消理由2(進歩性) 請求項1~4に係る発明は、甲1に記載された発明に基いて、本件特許出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 第6 甲号証の記載、甲号証に記載された発明 1 甲1(国際公開2010/001761号) (1)甲1には以下の記載がある(当審注:下線は当審が付与した。以下、同様である。)。 「[0001] 本発明は、例えば半導体電子デバイスウェハ、シリコンウェハ、ハードディスク等のエレクトロニクス部品の製造工程のうち、主に洗浄工程のスクラブ洗浄で用いられる洗浄用スポンジローラに関する。」 「[0028] 図1~図6に示すように、スクラブ洗浄の対象となる被洗浄体10は、薄厚円盤状のウェハであり、被洗浄面10aは、被洗浄体10の表面及び裏面である。 [0029] スクラブ洗浄を行う上下一対のスポンジローラ1は、略円筒形状のロール体3と、ロール体3の外周面3a上に一体成形された複数の突起5とを有する。各突起5は、円柱形状であり、頂部外面5aと外周面5bとを有する。・・・」 「[0032] スポンジローラ1(ロール体3及び突起5)は、含水状態で弾性を有するポリビニルアセタール系多孔質素材(PVAt系多孔質素材)から成る。PVAt系多孔質素材は、乾燥状態で硬化し、湿潤状態で軟化する。また、PVAt系多孔質素材は、吸水性及び保水性に優れ、湿潤時に好ましい柔軟性と適度な反発弾性を示し、耐磨耗性にも優れている。回転軸2はロール体3の内径部に挿通され、ロール体3を固定的に支持する。」 「[0036] 突起5の頂部外面5aは、突起5の内部組織が露出する内部露出面である。頂部外面5aの開口率は、50%以上であり、より好ましくは、60%以上である。これに対し、ロール体3の外周面3a及び突起5の外周面5bは、ロール体3及び突起5の内部組織よりも気孔率が低い表皮層4によって覆われている。表皮層4の表面の開口率は、突起5の頂部外面5aの開口率よりも低く、例えば20%以下である。」 「[0039] PVAt系多孔質素材から成るスポンジローラ1は、例えば平均重合度500~3000でケン化度80%以上のポリビニルアルコール(原料)を一種又はそれ以上混合して水溶液とし、この水溶液に架橋剤としてアルデヒド類、触媒として鉱酸類、及び気孔形成材として澱粉等を加え、これらの混合液を、図7及び図8に示すような所定の型21内に注入し、40~80℃で反応させて型21から取り出した後、水洗により気孔形成材等を除去することによって得られる。 [0040] 型21は、外型23と内型25と底板27と芯棒29とキャップ31とを有する。外型23及び内型25は、共に円筒状に形成されている。内型25は、外型23の内径と同一か又はそれよりも僅かに小さい外径を有し、外型23内に挿入される。芯棒29は、内型25のほぼ中心に挿入される。底板27は、外型23及び内型25の下端を塞ぐと共に、芯棒29の下端を支持する。キャップ31は、外型23の上端の内周面に嵌合される。芯棒29は、底板27とキャップ31とによって位置決めされる。 [0041] 内型25の内周面と芯棒29の外周面との間には、ロール体3を形成するための略円筒状の空間33が区画される。内型25には、突起5を形成するための貫通孔35が複数形成され、各貫通孔35は空間33と連通する。混合液は、外型23とキャップ31との間に挿入された注型ノズル43から空間33へ注入され、空間33から各貫通孔35へ流入する。同時に、貫通孔35内の空気は、空間33へ移動し、空間33の上端から大気へ放出される。これにより、混合液が貫通孔35の末端まで確実に充填される。 [0042] ここで、型21から取り出した後のスポンジローラ1の外面(型21との接触面)には、開口部を有する皮膜状の組織(表皮層4)が存在する。表皮層4は、スポンジローラ1の内部組織に比べて、気孔率が低く、且つ平均気孔径が小さい。また、表皮層4の表面は、スポンジローラ1の内部組織が露出した内部露出面に比べて、開口率が低く、且つ平均開口径が小さい。 [0043] 本実施形態では、スポンジローラ1を型21から取り出して水洗した後、ロール体3の内径部に回転支軸(図示省略)を挿入し、回転支軸にスポンジローラ1を固定的に支持させ、回転支軸を回転駆動してスポンジローラ1を回転させながら、突起5の頂部外面5aを覆う表皮層4に切削工具を押し当てて、頂部外面5aの表皮層4を除去する。この後加工により、突起5の頂部外面5aには、スポンジローラ1(突起5)の内部組織が露出し、その開口率が50%以上となる。また、頂部外面5aの平均開口径は、表皮層4の外面の平均開口径よりも大きい。一方、ロール体3の外周面3a及び突起5の外周面5bは、表皮層4によって覆われているため、その開口率は頂部外面5aの開口率よりも低い状態のまま維持され、且つ気孔の平均開口径も頂部外面5aの平均開口径よりも小さい状態のまま維持される。また、上記後加工を施すことによって、頂部外面5aが上記湾曲面形状となる。なお、上記後加工は、スポンジローラ1を湿潤状態及び乾燥状態の何れの状態として行っても良い。 ・・・ [0045] なお、本実施形態では、上記後加工によって頂部外面5aにスポンジローラ1の内部組織を露出させたが、上記後加工に代えて、例えば、スポンジローラ1の成形に際して頂部外面5aを形成する外型23の内周面が、外型23の材質自体を上記表皮層4を形成し難い特性を有するように、外型23の材質を選定したり、外型23の内周面に表面処理を施してもよい。また、本実施形態では、突起5の頂部外面5aのみで内部組織を露出させたが、突起5の外周面5bやロール体3の外周面3aでも内部組織を露出させてもよい。」 「[図1] [図:0001423459000001.jpg] [図2] [図:0001423459000002.jpg] [図3] [図:0001423459000003.jpg] [図4] [図:0001423459000004.jpg] 」 「[図7] [図:0001423459000005.jpg] [図8] [図:0001423459000006.jpg] 」 (2)甲1に記載された発明 ア 上記(1)の[0001]には、「本発明は・・・スクラブ洗浄で用いられる洗浄用スポンジローラに関する。」と記載されており、同[0028]には、「スクラブ洗浄の対象となる被洗浄体10は、薄厚円盤状のウェハであり」と記載されているから、甲1には、薄厚円盤状のウェハのスクラブ洗浄で用いられる洗浄用スポンジローラに関する発明が記載されているといえる。 イ 同[0029]には、「スポンジローラ1は、略円筒形状のロール体3と、ロール体3の外周面3a上に一体成形された複数の突起5とを有する。各突起5は、円柱形状であり、頂部外面5aと外周面5bとを有する。」と記載されているから、スポンジローラ1は、略円筒形状のロール体3と、ロール体3の外周面3a上に一体成形された複数の突起5とを有し、各突起5は、円柱形状であり、頂部外面5aと外周面5bとを有するものである。 ウ 同[0036]には、「突起5の頂部外面5aは、突起5の内部組織が露出する内部露出面である。・・・これに対し、ロール体3の外周面3a及び突起5の外周面5bは、ロール体3及び突起5の内部組織よりも気孔率が低い表皮層4によって覆われている。」と記載され、同[0043]には、「本実施形態では、スポンジローラ1を型21から取り出して水洗した後、ロール体3の内径部に回転支軸(図示省略)を挿入し、回転支軸にスポンジローラ1を固定的に支持させ、回転支軸を回転駆動してスポンジローラ1を回転させながら、突起5の頂部外面5aを覆う表皮層4に切削工具を押し当てて、頂部外面5aの表皮層4を除去する。」と記載されているから、突起5の頂部外面5aは、表皮層4が除去されて突起5の内部組織が露出する内部露出面であり、ロール体3の外周面3a及び突起5の外周面5bは、ロール体3及び突起5の内部組織よりも気孔率が低い表皮層4によって覆われているといえる。 エ 同[0045]には、「突起5の頂部外面5aのみで内部組織を露出させたが、突起5の外周面5bやロール体3の外周面3aでも内部組織を露出させてもよい。」と記載されているから、突起5の外周面5bやロール体3の外周面3aも表皮層4が除去されてもよいといえる。 オ 上記ア~エによれば、甲1には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「略円筒形状のロール体3と、ロール体3の外周面3a上に一体成形された複数の突起5とを有し、 各突起5は、円柱形状であり、頂部外面5aと外周面5bとを有するものであり、 突起5の頂部外面5aは、表皮層4が除去されて突起5の内部組織が露出する内部露出面であり、ロール体3の外周面3a及び突起5の外周面5bは、ロール体3及び突起5の内部組織よりも気孔率が低い表皮層4によって覆われており、 突起5の外周面5bやロール体3の外周面3aも表皮層4が除去されてもよい、薄厚円盤状のウェハのスクラブ洗浄で用いられる洗浄用スポンジローラ。」 2 甲2(特公昭25-1544号公報) 甲2には、以下の記載がある。 「 [図:0001423459000007.jpg] 」(1ページ左欄2~4行) 「 [図:0001423459000008.jpg] 」(1ページ左欄下から8~3行) 「 [図:0001423459000009.jpg] 」(1ページ右欄1~8行) 「 [図:0001423459000010.jpg] 」(1ページ右欄12~16行) 3 甲3(実願平1-95862号(実開平3-101230号)のマイクロフィルム) 甲3には、以下の記載がある。 「本考案は洗浄用ブラシ、殊に精密製品や電子製品或いはこれらの部品などを精密洗浄するための洗浄用ブラシに関するものである。」(明細書1ページ下から5~3行) 「第1図乃至第3図は本考案の一実施例を示すものであり、例えば高い柔軟性と弾力性とを有するポリビニルホルマール(PVF)の連続気孔発泡体よりなる複数個の歯車状のブラシ部材1が、それぞれの外周面6に突設した突起61を互いに同位相に合致させた状態で各中心孔11を心軸2に嵌装することにより、順次隙間なく積層されてローラ形に形成されている。」(明細書5ページ3~10行) 「そして、各ブラシ部材lは第3図に示すように適宜の厚さを有するポリビニルホルマール(PVF)の連続気孔発泡体よりなる適宜の大きさの板材5から外周面6ならびに中心孔11が打抜き面となるように打抜かれる。」(明細書5ページ最下行~6ページ4行) 「第4図は本考案の他の実施例を示すものであり、全体の構成および使用方法は前記実施例とほぼ同様であるが、前記実施例ではブラシ部材1の外周面6に突設した突起61を互いに同位相に台数させた状態で配置したのに対して、互いに隣接するブラシ部材1がそれらの外周面6に突設した突起61を互いに重ならない状態で周方向へずらして積層して心軸2上に配置している点で異なる。」(明細書7ページ下から3行~8ページ6行) 「尚、ブラシ部材1を打抜き形成するための板材5は一般に金型によって成形される。従って、表面51および裏面52に堅い表皮層が形成されることになるが、これらの表皮層は前記従来例と異なりブラシ部材1の側面に位置する。」(明細書9ページ2~6行) 「第3図 [図:0001423459000011.jpg] 第4図 [図:0001423459000012.jpg] 」 4 甲4(特表2007-501717号公報) 甲4には、以下の記載がある。 「【0005】 ・・・これらの洗浄ブラシは、一般に形状が円筒であり、ブラシの中心軸に沿って回転される。洗浄ブラシは、フォームまたはポリビニルアルコール(「PVA」)などの多孔性ポリマー材料でもしばしば作製される。ブラシの回転運動とウェハに接するブラシに加えられる力または圧力との組合せ、ならびに洗浄流体または脱イオン化水の印加により、残留スラリ材料が、ウェハの表面から除去される。」 「【0052】 図14は、本発明の回転可能ベース上に成型されるブラシを作製するために使用されることが可能である型を示す。型は、エンドキャップ1401を含み、Oリング1406が、エンドキャップ1401を型スリーブ1402に封止する。型スリーブ1402は、多孔性パッドにおいて突出部または凹み部を作るために使用され、かつ型スリーブ1402を充填する非重合多孔性パッドモノマーおよび触媒を、スルーチャネルで示されるコアアセンブリ1404において保持するために、シュリンクラップ膜1403によって囲まれることが可能である。上部フィラーキャップ1407が、型スリーブの上部を封止して、コアの中心内において型のコア1405を保持するために使用される。有刺流体フィッティング1408が、上部フィラーキャップ1407に提供される。」 「【図14】 [図:0001423459000013.jpg] 」 第7 取消理由1(新規性)、取消理由2(進歩性)、申立理由1(新規性)及び申立理由2(進歩性)について 1 本件発明1について (1)対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 ア 甲1発明の「略円筒形状のロール体3」、「ロール体3の外周面3a上に一体成形された複数の突起5」は、それぞれ、本件発明1の「円筒状のロール本体」、「その外周面から外側に円柱状に突出した複数のノジュール部」に相当する。 イ 甲1発明の「表皮層4」と本件発明1の「スキン層」について (ア)本件明細書等の【0094】には、「ロールスポンジ33がポリビニルアルコール(PVA)などの樹脂を成型して製造される場合、成型時に型と接している表層部(以下、スキン層という)と、その内部の下層部とが形成される。スキン層がなく下層部が露出していることをスキン層が欠如しているともいう。」と記載されているから、本件発明1の「スキン層」は、成型時に型と接している表層部のことである。 一方、甲1の[0039]~[0043]、[図7]及び[図8]の記載(上記第6 1(1))を参酌すると、甲1発明の「表皮層4」は、外型23と内型25と底板27と芯棒29とキャップ31とを有する型21に接している表層部のことであるといえる。 そうすると、甲1発明の「表皮層4」は、本件発明1の「スキン層」に相当する。 (イ)上記(ア)で検討したとおり、甲1発明の「表皮層4」は、外型23と内型25と底板27と芯棒29とキャップ31とを有する型21に接している表層部のことであるところ、甲1発明の「ロール体3」が、底板27とキャップ31に接している面は、「ロール体3」の長手方向の側面であるといえる。 そして、甲1の[0039]~[0041]及び[図7]の記載(上記第6 1(1))を参酌すると、「ロール体3」の長手方向両端部のうち、キャップ31側の側面には、キャップ31と接していない部分、すなわち、「表皮層4」が形成されていない部分があるといえる。 そうすると、甲1発明の「ロール体3」の長手方向両端部うち、「底板27」側の側面は、全体が「表皮層4」に覆われており、「キャップ31」側の側面は、一部が「表皮層4」に覆われているもものの、「キャップ31」側の側面の全体が「表皮層4」に覆われているとはいえない。 したがって、本件発明1と甲1発明とは、「前記ロール本体の長手方向両端部の側面」は「スキン層に覆われ」ている点で共通する。 (ウ)甲1発明において、「突起5の頂部外面5aは、表皮層4が除去されて突起5の内部組織が露出する内部露出面であり、ロール体3の外周面3a及び突起5の外周面5bは、ロール体3及び突起5の内部組織よりも気孔率が低い表皮層4によって覆われている」から、甲1発明の「複数の突起5」の表面の少なくとも一部は「表皮層4が除去されて」いるといえる。 したがって、甲1発明において、「複数の突起5」の表面の少なくとも一部は「表皮層4」が欠如しているといえるから、本件発明1と甲1発明とは、「前記複数のノジュール部の表面の少なくとも一部はスキン層が欠如している」点で一致する。 ウ 甲1発明は、「薄厚円盤状のウェハのスクラブ洗浄で用いられる洗浄用スポンジローラ」であるところ、「薄厚円盤状のウェハ」は基板であるといえ、また、「スクラブ洗浄」は、スクラブ洗浄装置を用いて行われることは技術常識である。 そうすると、甲1発明の「薄厚円盤状のウェハのスクラブ洗浄で用いられる洗浄用スポンジローラ」は、基板洗浄用のロールスポンジであるといえる。 したがって、甲1発明の「薄厚円盤状のウェハのスクラブ洗浄で用いられる洗浄用スポンジローラ」は、本件発明1の「基板洗浄用のロールスポンジ」に相当する。 エ 以上によれば、本件発明1と甲1発明との一致点、相違点は以下のとおりとなる。 <一致点> 「円筒状のロール本体と、 その外周面から外側に円柱状に突出した複数のノジュール部と、を備え、 ロール本体の長手方向両端部の側面の全体はスキン層に覆われ、 前記複数のノジュール部の表面の少なくとも一部はスキン層が欠如している、基板洗浄装置用のロールスポンジ。」 <相違点> 相違点1:「ロール本体の長手方向両端部の側面」が「スキン層に覆われ」ていることについて、本件発明1は、「ロール本体の長手方向両端部の側面」の「全体」が「スキン層に覆われ」ているのに対し、甲1発明は、「ロール体3」の長手方向両端部うち、「底板27」側の側面は、全体が「表皮層4」に覆われており、「キャップ31」側の側面は、一部が「表皮層4」に覆われているもものの、「キャップ31」側の側面の全体が「表皮層4」に覆われていない点。 (2)相違点についての判断 ア 甲1には、「ロール体3」の長手方向両端部の側面の全体を「表皮層4」で覆うことは、記載も示唆もされていないし、このことが、本件特許の出願日前において技術常識であったともいえない。 したがって、甲1発明は、相違点1に係る本件発明1の構成を備えているとはいえないから、相違点1は実質的な相違点である。 よって、本件発明1は、甲1発明ではない。 イ 甲1~甲3には、「基板洗浄装置用のロールスポンジ」において、「ロール本体の長手方向両端部の側面の全体はスキン層に覆われ」ること、すなわち、相違点1に係る本件発明1の構成は、記載も示唆もされていない。 また、甲4の【0052】(上記第6 4)には、「図14は、本発明の回転可能ベース上に成型されるブラシを作製するために使用されることが可能である型を示す。型は、エンドキャップ1401を含み、Oリング1406が、エンドキャップ1401を型スリーブ1402に封止する。型スリーブ1402は、多孔性パッドにおいて突出部または凹み部を作るために使用され、かつ型スリーブ1402を充填する非重合多孔性パッドモノマーおよび触媒を、スルーチャネルで示されるコアアセンブリ1404において保持するために、シュリンクラップ膜1403によって囲まれることが可能である。上部フィラーキャップ1407が、型スリーブの上部を封止して、コアの中心内において型のコア1405を保持するために使用される。有刺流体フィッティング1408が、上部フィラーキャップ1407に提供される。」と記載されている。 ここで、ブラシを作製するために使用される型には、非重合多孔性パッドモノマーおよび触媒を充填するための孔が設けられていることは技術常識であり、ブラシにおける、この孔に対応する箇所は、「スキン層」で覆われないことは自明の事項であるから、甲4のブラシは、「スキン層」で覆われない部分を必ず有しているといえる。 しかし、甲4には、ブラシを作製するために使用される型において、非重合多孔性パッドモノマーおよび触媒を充填するための孔については何ら記載されていないから、必ず有している、「スキン層」に覆われない部分が、どこにあるのか不明である。 そうすると、甲4のブラシは、長手方向両端部の側面が、「スキン層」に覆われない部分を有していることもあり得るから、長手方向両端部の側面の全体が、必ず「スキン層」に覆われているとはいえない。 したがって、甲4の型を使用してブラシを作製しても、ブラシの長手方向両端部の側面の全体が、必ず「スキン層」に覆われるとはいえない。 したがって、甲4には、相違点1に係る本件発明1の構成が記載されているとはいえない。 以上によれば、甲1発明に甲2~甲4に記載された事項を適用しても、相違点1に係る本件発明1の構成は得られない。 よって、本件発明1は、甲1発明に基づいて、又は、甲1発明及び甲2~甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 申立人の主張について (ア)申立人は、令和6年12月13日提出の意見書の4ページ1行~下から9行において、甲2の1ページ左欄2~4行、左欄下から8~3行、右欄1~8行、右欄12~16行(上記第6 2)には、「反応液相が容器のような固相面に接する部分又は空気層のように反応液相と異なる他の相に接する部分に、気孔性がほとんどない皮膜状の表皮部分が形成されること」が記載されており、型又は空気に接することによって内側部分よりも通水し難い表皮部分が形成されることは、当業者の技術常識として従前より認識されている事項であり、また、本件発明1及び甲1発明において「スキン層」及び「空気接触層」は何れも上記表皮部分であって、表皮部分のうち型に接する部分が「スキン層」であり、空気に接する部分が「空気接触層」であるから、係る技術常識を鑑みると、本件発明1と甲1発明とは、ロール本体の長手方向両端部の側面の全体が表皮部分で覆われている点で共通しており、ロール本体の長手方向両端部の側面の全体が表皮部分で覆われているので、長手方向両端部の側面において、ロール本体の内部に入り込んだパーティクルの外部への流出を表皮部分によって抑えることができ、洗浄後の基板に残留するパーティクル数を減らすことができる、すなわち、パーティクルの外部への流出を抑えるという効果に関して本件発明1と甲1発明とに格別の差はなく、表皮部分を「スキン層」で構成するか「空気接触層」で構成するかは単なる設計事項にすぎない旨主張している。 しかし、本件明細書等には、以下の記載がある。 「【0094】 ロールスポンジ33がポリビニルアルコール(PVA)などの樹脂を成型して製造される場合、成型時に型と接している表層部(以下、スキン層という)と、その内部の下層部とが形成される。スキン層がなく下層部が露出していることをスキン層が欠如しているともいう。 【0095】 スキン層は、厚さが1~10μm程度、気孔径が数μm~数10μmと小さく、固い層である。そのため、洗浄液を保持しやすいが、洗浄時に基板の表面を傷つけるおそれがある。 【0096】 一方、スキン層がない下層部は気孔径が10μm~数百μmと大きく、柔らかい層である。そのため、基板の表面にフィットしやすく、かつ、基板の表面を傷つけにくい。また、洗浄液が出入りしやすく、流出しやすい。」 以上の記載によれば、本件発明1において、「スキン層」は、厚さが1~10μm程度、気孔径が数μm~数10μmと小さく、固い層であるため、洗浄液を保持しやすいが、洗浄時に基板の表面を傷つけるおそれがあるものであるのに対し、「スキン層」がない下層部は、気孔径が10μm~数百μmと大きく、柔らかい層であるため、基板の表面にフィットしやすく、かつ、基板の表面を傷つけにくく、また、洗浄液が出入りしやすく、流出しやすいものである。 そうすると、本件発明1においては、「スキン層」と、「スキン層」が欠如している下層部とは、その効果が異なるものであるから、本件発明1の「スキン層」と、「スキン層」が欠如している下層部は、甲2の型に接している表皮部分(スキン層)と、空気に接している表皮部分(空気接触層)とは、それぞれ、同じ効果を有するものとはいえない。 したがって、甲2の記載を考慮しても、甲1発明において表皮部分を「スキン層」で構成するか「空気接触層」で構成するかは単なる設計事項にすぎないとはいえない。 よって、申立人の上記主張は採用できない。 (イ)申立人は、令和6年12月13日提出の意見書の4ページ下から4行~5ページ15行において、甲4の【0005】、【0052】(上記第6 4)には、「軸方向の両端面をエンドキャップ1401および上部フィラーキャップ1407により封止した型を用いてブラシを製作することができること」が記載されており、甲1のスポンジローラ1の製造に甲4の技術を適用し、甲1発明のロール体3の軸方向の一端面の全域及び他端面の全域を表皮層4によって覆うことは、当業者が容易に想到できた事項である旨主張している。 しかし、上記イで検討したとおり、甲4の型を使用してブラシを作製しても、ブラシの長手方向両端部の側面の全体が、必ず「スキン層」に覆われるとはいえない。 したがって、申立人の上記主張は採用できない。 エ 小括 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明ではないし、甲1発明に基づいて、又は、甲1発明及び甲2~甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2 本件発明2~4について 本件発明2~4は、本件発明1の全ての構成を有するものであるから、本件発明1と同様の理由により、甲1発明ではないし、甲1発明に基づいて、又は、甲1発明及び甲2~甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。 3 まとめ 上記1、2で検討したとおりであるから、請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものではない。 また、請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。 したがって、取消理由1、取消理由2、申立理由1及び申立理由2は、いずれも理由がない。 第8 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由(決定の予告)及び特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~4に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1~4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700049

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