特許異議申立
2021-700925
騒音防止システム、除塵システム、騒音防止方法
- 審判番号
- 2021-700925
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2017-153762
- 登録番号
- 6851286
- 請求日
- 2021年09月27日
- 審決日
- 2021年12月01日
- 公報発行日
- 2022年05月27日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社荏原製作所
- 【権利者代理人】大野 聖二
- 【権利者代理人】酒谷 誠一
- 【異議申立人】椛澤 貴正
- 【異議申立人代理人】樺澤 聡
- 【異議申立人代理人】山田 哲也
- 審判長/審判官
- 審判長 田村 嘉章
- 審判官 尾崎 和寛
- 審判官 中村 大輔
- 分類
- P1651.113-Y (B65G) / P1651.121-Y (B65G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6851286号発明「騒音防止システム、除塵システム、騒音防止方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6851286号の請求項1ないし9に係る特許を維持する。
理由
理 由
1 手続の経緯
特許第6851286号の請求項1~9に係る特許についての出願は、平成29年8月9日に出願され、令和3年3月11日にその特許権の設定登録がされ、令和3年3月31日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1~9に係る特許に対し、令和3年9月27日に特許異議申立人椛澤貴正(以下、「異議申立人」という。)より特許異議の申立てがされたものである。
2 本件発明
特許第6851286号の請求項1~9の特許に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明9」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
水中のごみを除塵する除塵機であってガイドレールと当該ガイドレールに沿って回動するローラチェーンとを有する除塵機の騒音を防止する騒音防止システムであって、
前記除塵機の運転前及び/または運転中に、前記ローラチェーン及び/またはガイドレールに散水するか、または少なくとも前記ガイドレールを冷やすように送風する手段を備える騒音防止システム。
【請求項2】
前記除塵機の運転前及び/または運転中に、前記ローラチェーン及び/またはガイドレールに散水するか、または前記ガイドレールを冷やすように送風するよう前記手段を制御するコントローラを更に備える
請求項1に記載の騒音防止システム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記除塵機の運転開始から予め設定された設定時間経過するまでの間、散水または送風するよう前記手段を制御する
請求項2に記載の騒音防止システム。
【請求項4】
前記除塵機の運転開始から予め設定された周回分、前記ローラチェーンが回転するまでの間、散水または送風するよう前記手段を制御する
請求項2に記載の騒音防止システム。
【請求項5】
前記除塵機の運転中の騒音を検知する音センサと、
前記音センサによって基準以上の騒音を検知した場合、散水または送風するよう前記手段を制御するコントローラと、
を更に備える請求項1から4のいずれか一項に記載の騒音防止システム。
【請求項6】
前記除塵機の運転中の振動を検知する振動センサと、
前記振動センサによって基準以上の振動を検知した場合、散水または送風するよう前記手段を制御するコントローラと、
を更に備える請求項1から4のいずれか一項に記載の騒音防止システム。
【請求項7】
前記除塵機の運転前及び/または運転中に、前記ローラチェーンの張りを緩めるよう調節する調整機構を更に備える
請求項1から6のいずれか一項に記載の騒音防止システム。
【請求項8】
水中のごみを除塵する除塵システムであって、
ガイドレールと、当該ガイドレールに沿って回動するローラチェーンとを有する除塵機と、
前記除塵機の運転前及び/または運転中に、前記ローラチェーン及び/またはガイドレールに散水するか、または少なくとも前記ガイドレールを冷やすように送風する手段と、
を備える除塵システム。
【請求項9】
水中のごみを除塵する除塵機であってガイドレールと当該ガイドレールに沿って回動するローラチェーンとを有する除塵機の騒音を防止する騒音防止方法であって、
前記除塵機の運転前及び/または運転中に、前記ローラチェーン及び/またはガイドレールに散水するか、または少なくとも前記ガイドレールを冷やすように送風する工程を有する騒音防止方法。」
3 申立理由の概要
異議申立人は、主たる証拠として次の甲第1号証及び従たる証拠として次の甲第2号証~甲第24号証を提出し、請求項1、8及び9に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、あるいは、請求項1~9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1~9に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。
甲第1号証:特開2017-133267号公報
甲第2号証:特開平7-207647号公報
甲第3号証:特開2016-30927号公報
甲第4号証:特開2014-194128号公報
甲第5号証:特開2015-147661号公報
甲第6号証:実願昭61-80704号(実開昭62-192026号)のマイクロフィルム
甲第7号証:特開2008-38506号公報
甲第8号証:特開2009-209554号公報
甲第9号証:特開2003-3446号公報
甲第10号証:特開2006-328907号公報
甲第11号証:実願平5-21702号(実開平6-74623号)のCD-ROM
甲第12号証:特開昭54-45458号公報
甲第13号証:特開2000-302226号公報
甲第14号証:特開昭61-134411号公報
甲第15号証:特開平4-350013号公報
甲第16号証:実願平4-4851号(実開平5-65927号)のCD-ROM
甲第17号証:特開平7-309417号公報
甲第18号証:特開平7-17402号公報
甲第19号証:特開平9-287637号公報
甲第20号証:特開平5-4583号公報
甲第21号証:特開平9-119101号公報
甲第22号証:特開平11-346980号公報
甲第23号証:特開平11-346985号公報
甲第24号証:特開2005-124604号公報
4 各号証の記載事項等
(1)甲第1号証
甲第1号証には、次の記載がある(下線は当審で付したものであり、以下同様。)。
(1a)「【0001】
本発明は、流体中から固体分を分離する除塵装置に関する。」
(1b)「【0013】
[除塵装置10]
図1は本発明の除塵装置の正面拡大図である。図2は図1のA-A矢視図である。図示のように本発明の除塵装置10は、取水路12の上方を塞いだ床面に設けたハウジング45内に周回手段を構成する軸14を介して回転自在に設けた上部スプロケットホイール16と、取水路12の水底部に設置したガイドレール(不図示)を有している。上部スプロケットホイール16には、無端状のリンクチェーン22を架設してある(図1はリンクチェーン22を不図示)。リンクチェーン22と、上部スプロケットホイール16と、ガイドレールは、周回移動機構を構成している。そしてリンクチェーン22には、水中の塵芥を捕捉する網状の網体又はスクリーンバーなどからなるスクリーン24がリンクチェーン22の周回方向に連続的に取付けられている。また、リンクチェーン22は、取水路の両側に配設してあり、それぞれが複数のリンクを無端状に連結して構成している。ガイドレールは周回移動するリンクチェーン22を水中で支持するレールである。
【0014】
上部スプロケットホイール16を取り付けた軸14には、鎖車28が設けてある。鎖車28は上部スプロケットホイール16を介してリンクチェーン22、すなわちスクリーン24を周回移動するもので、駆動モータ30に取り付けた鎖車32との間に電動チェーン34が巻き掛けしてある。従って、駆動モータ30を駆動することにより、駆動モータ30の回転駆動力が鎖車32、電動チェーン34を介して鎖車28に伝達され、鎖車28が回転することにより、上部スプロケットホイール16、リンクチェーン22、を介してスクリーン24を図2中の矢印Aのように上部スプロケットホイール16、ガイドレール間を周回移動させている。そして、水流によって運ばれてきた塵芥は、スクリーン24によって捕捉されて取水路12の上方に引き上げられる。」
(1c)「【0016】
上部スプロケットホイール16の上方であって、周回移動するスクリーン24とハウジング45の間の領域には、第2洗浄手段50が取り付けられている。図3は第2洗浄手段の断面図である。図示のように第2洗浄手段50は、ハウジングの内壁又はスクリーンに向けて淡水を噴射可能な噴射ノズルを備えて、外部の給水ポンプ(不図示)と接続している。本実施形態の淡水は、塩分又は有機物を含まない水であれば良く、例えば水道水、地下水、河川水、工業用水、再生水、蒸留水などを用いることができる。また第2洗浄手段50は、ミスト(霧)を噴霧可能なスプレーノズルを備えている。
【0017】
[作用]
上記構成による本発明の除塵装置の作用について、以下説明する。
除塵装置10の運転中は、・・・そして第2洗浄手段50からハウジング45又はスクリーン24に向けて、噴射ノズルから淡水を噴射し、又はスプレーノズルから淡水を霧状にしたミストを噴霧している。
【0018】
淡水を噴射することにより、ハウジング又はスクリーンに付着した塩分又は有機物を洗浄することができる。これにより、腐食の原因となる塩分又は有機物が付着することがない。
また装置の運転中に淡水のミストをハウジングとスクリーンの間の領域に発生させてミスト雰囲気を形成して、第1洗浄手段から噴射された洗浄液がスクリーンに当たって飛び散ってもミスト雰囲気で飛散をブロックしてハウジングの内壁などに塩分又は有機物が付着することがない。
またハウジングの狭あい部であっても淡水のミスト雰囲気を形成できるため、第1洗浄手段の洗浄水が飛散して塩分又は有機物が付着することを防止できる。
また第2洗浄手段50による淡水の噴射又は噴霧は、装置運転後(停止中)に行うことにより、太陽熱により温度上昇するハウジングの内部温度を下げるとともに、付着した塩分又は有機物が成長することなく腐食を効果的に防止できる。腐食反応は温度上昇に比例し活性化するので、ハウジング内部の温度を下げることは効果が大きい。」
(1d)「【図1】
[図:0001384208000001.jpg]
」
上記甲第1号証の記載から甲第1号証には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。
[甲1発明]
「流体中から固体分を分離する除塵装置10であって、
除塵装置10は、取水路12の上方を塞いだ床面に設けたハウジング45内に周回手段を有し、
周回手段は、軸14を介して回転自在に設けた上部スプロケットホイール16と、取水路12の水底部に設置したガイドレールを有し、
上部スプロケットホイール16には、無端状のリンクチェーン22を架設し、
リンクチェーン22と、上部スプロケットホイール16と、ガイドレールは周回移動機構を構成し、
リンクチェーン22には、スクリーン24がリンクチェーン22の周回方向に連続的に取付けられており、
上部スプロケットホイール16の上方であって、周回移動するスクリーン24とハウジング45との間の領域には、第2洗浄手段50が取付けられており、
第2洗浄手段50は、ミスト(霧)を噴射可能なスプレーノズルを備え、除塵装置10の運転中に淡水のミストをハウジング45とスクリーン24の間の領域に発生させてミスト雰囲気を形成する、
除塵装置10。」
(2)甲第2号証
甲第2号証には次の記載がある。
(2a)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水路中に設けた除塵装置の両側に設けられレーキを駆動するレーキチェンのレーキチェンローラに関する。」
(2b)「【0004】本発明は、不快音の発生を低減するレーキチェンローラを提供することを目的としている。」
(2c)「【0015】除塵装置Aを運転すると、レーキチェンローラ20は、レーキチェン10の移動により、固定レール7上を水路Wの水中から空気中を通り再び水中へと循環移動される。したがって、水中において透孔22を介し水または他の潤滑剤がレーキチェンローラ20の内孔21とブッシュ14との摩擦面に導かれ、導かれた水又は他の潤滑剤は、レーキチェンローラ20が空気中にある間、前記摩擦面の潤滑剤として作用し、不快音の発生が無視できる程度に低減される。」
(3)甲第3号証
甲第3号証には次の記載がある。
(3a)「【0001】
本発明は、海水または河川水から塵芥を除去する除塵設備に係り、特に、海水が流入する水路に配置されている除塵設備、およびこの除塵設備の運転方法に関する。」
(3b)「【0022】
[除塵設備概要]
図1に示す除塵設備10は、除塵装置12と、水位検出ユニット22、洗浄ユニット24、及び制御手段46を基本として構成されている。
【0023】
[除塵装置]
除塵装置12は、一般的な構成のもので良く、例えばリンクチェーン14とスプロケット(駆動スプロケット16、従動スプロケット18)、及びスクリーン(不図示)を基本として構成されるものであれば良い。リンクチェーン14は、複数のリンクを無端状に連結されたチェーンである。このような構成のリンクチェーン14は、取水用の水路の幅方向に一対、駆動スプロケット16と、少なくとも1つの従動スプロケット18に掛け回されるようにして配置されている。なお、実施形態に係る除塵装置12は、海水を取水する水路に配置され、水路を流通する水位は、潮の満ち引きの影響を受けて変化することを前提とする。」
(3c)「【0027】
[洗浄ユニット]
洗浄ユニット24は、水上へ引き上げられたスクリーンに対して所定の水圧の洗浄水を吹き付け、スクリーンに付着した塵芥を剥離除去する手段である。本実施形態に係る洗浄ユニット24は、少なくとも、第1洗浄ポンプ26と、第2洗浄ポンプ28、スプレイ管30、貯留タンク32、およびトラフ34が備えられている。」
(3d)「【0035】
[制御手段]
制御手段46は、各種情報や指令信号に基づき駆動ユニット20や洗浄ユニット24に対して駆動信号を出力する役割を担う。制御手段46は、除塵のための運転を行う場合、一般的には、除塵装置12の上流側と下流側に配置された水位検出ユニット22それぞれから、水位情報を取得し、上流側と下流側の水位差を算出する。算出された水位差が所定の値を超えた場合、水中に配置されたスクリーンの通水率が低下、すなわち目詰まり状態にあると判断し、駆動ユニット20に対して駆動信号を出力する。また、機能維持のためのインターバル運転の場合、予め定められた時間間隔(または設定時刻)で、一定時間リンクチェーン14を駆動させるための信号を、駆動ユニット20に出力する。
【0036】
これに対し、洗浄ユニット24への駆動信号は、駆動ユニット24に対する駆動信号と共に出力される。すなわち、除塵装置12が駆動された事に伴い、洗浄ユニット24も駆動されることとなる。」
(4)甲第4号証
甲第4号証には次の記載がある。
(4a)「【0001】
本発明は、液中から固体分を分離する除塵システムに関する。」
(4b)「【0018】
除塵システム10は、取水路12の上方に、周回手段となる軸14を介して回転自在に設けた上部スプロケットホイール16と、取水路12の水底部18に設置したガイドレール20とを有している。上部スプロケットホイール16には無端状のリンクチェーン22を架設してある。リンクチェーン22と、上部スプロケットホイール16と、ガイドレール20は、周回移動機構を構成しており、リンクチェーン22に水中の塵芥を捕捉する複数のスクリーン24がリンクチェーン22の周回方向に連続的に取り付けている。リンクチェーン22は、取水路12の両側に配設してあって、それぞれが複数のリンクを無端状に連結して構成している。そして、各スクリーン24は、各リンクチェーン22を構成しているリンク間に固定するための図示しないスクリーン枠を有し、このスクリーン枠に取水をなす金網またはスノコ状に多数平行配設したバー部材からなるスクリーン本体が取り付けてある。」
(4c)「【0020】
上部スプロケットホイール16を取り付けた軸14には、鎖車28が設けてある。この鎖車28は、上部スプロケットホイール16を介してリンクチェーン22、すなわちスクリーン24を周回駆動するもので、駆動モータ30に取り付けた鎖車32との間に電動チェーン34が巻掛けしてある。従って、駆動モータ30を駆動することにより、モータ30の回転駆動力が鎖車32、電動チェーン34を介して鎖車28に伝達され、鎖車28が回転することにより、上部スプロケットホイール16、リンクチェーン22を介してスクリーン24を矢印36、38のように上部スプロケットホイール16、ガイドレール20間を周回移動させる。そして、水流39によって運ばれてきた塵芥(図示せず)は、スクリーン24によって捕捉されて取水路12の上方に搬送され、取水路12の上方のリンクチェーン22内に設けた噴射ノズル(不図示)から噴射された圧力水によって外部に排出される。また、リンクチェーン22の上部は、水路12を塞いでいる床面に設けたハウジング45によって覆ってある。」
(4d)「【0021】
一対の上部スプロケットホイール16に軸支されている軸14は、上部スプロケットホイール16の主面から内側のスクリーン24とは反対側となる外側に突出させている。上部スプロケットホイール16から突出させた軸14は、移動手段40により回転自在に支持されている。移動手段40は、軸14の回転軸心の相対的な位置を移動させるものであり、本実施形態では一例として、第1及び第2油圧シリンダーを用いている。・・・」
(4e)「【0023】
・・・このような構成の移動手段40は、第1又は第2油圧シリンダーを作動させることにより、一対のリンクチェーン22のいずれか一方の回転軸心の相対的な位置を移動させることができる。また、一対のリンクチェーン22のそれぞれを支持する第1及び第2油圧シリンダーを同期させて回転軸心の相対的な位置を移動させることもできる。・・・」
(4f)「【0027】
このような構成により、押付け力センサー又は/及び圧力センサーの測定値からリンクチェーン22に過剰な張力によるたるみが作用した場合には、移動手段40によって第1及び第2ピストンロッド42a,42bを縮小させる信号を第1及び第2電磁弁49a,49b及び第1及び第2ポンプ48a,48bに送って、第1及び第2電磁弁49a,49bを切替えて、第1及び第2ポンプ48a,48bを作動させて圧油をシリンダーのロッド側の油室に供給して第1及び第2ピストンロッド42a,42bを縮小させることにより、軸14の回転軸心が上方に上がり、リンクチェーン22に作用する張力によるたるみを低下させることができる。」
(5)甲第5号証
甲第5号証には次の記載がある。
(5a)「【0001】
本発明は、水封式コンベアの寿命延長方法及びチェーンの洗浄装置に関し、さらに詳しくは、ハウジング内の両端に配置されたスプロケットに架け渡されて無限循環する一対のチェーンに所定間隔を有して取り付けられた複数のスクレーパによって被搬送物を水槽内で冷却しつつ連続的に移送する水封式コンベアの寿命延長方法及びチェーンの洗浄装置に関する。」
(5b)「【0024】
また、ハウジング31は排出側が冷却水の水面よりも高く位置するように傾斜が設けられており、水封式コンベア30によって冷却された処理物は被搬送物としてさらに移送コンベア39によって所定の場所まで搬送されるようになっている。そして、図3,4に示すように、水槽31aに貯えられた冷却水の水面よりも上の所定箇所でチェーン34,34に向けて洗浄水を噴射する洗浄装置5,5が両側にそれぞれ配置されている。本実施形態では、図4に示すように、チェーン34,34が冷却水の水面31bから上がってきたところで洗浄水によって洗浄されるような位置に洗浄装置5,5が配置されている。このように構成することによりチェーン34,34と冷却水との接触時間をできるだけ短くすることができ、腐食防止に寄与する。尚、洗浄装置5,5は少なくとも冷却水の水面31bよりも上の所定位置に設けられていればよい。」
(6)甲第6号証
甲第6号証には次の記載がある。
(6a)「本考案は,上記の欠点を除くため処理装置本体の灰排出口のスプロケット手前にチェーンに向って開口した洗浄ノズルを配置した燃焼灰処理装置を提供する。」(明細書第4頁第3行~第6行)
(6b)「チェーン6が移動する際,洗浄水ライン10から送られてきた洗浄水を洗浄ノズル9から噴出してチェーン6に吹きつけ,チェーン6に付着した固形分を除去する。」(明細書第6頁第1行~第4行)
(7)甲第7号証
甲第7号証には次の記載がある。
(7a)「【0001】
本発明は、下水処理や河川排水処理において使用されるスクリーン循環式除塵機に関し、特に、スクリーンの脱荷や清掃に必要なタイミングで噴霧することにより、使用水量を必要最低限にとどめ、水の節約を図るようにしたスクリーン循環式除塵機に関するものである。」
(7b)「【0016】
洗浄ノズル2は、スクリーン循環式除塵機の上部で、外側からスクリーン1と対向するように複数設置されており、水上にてスクリーン1の外側から加圧水を噴霧することにより、捕捉された夾雑物をスクリーン1から脱荷し、シュート3に落下させる。
洗浄ノズル2には、水源から洗浄水が供給されるが、バルブ装置4が洗浄ノズル2に断続的に給水することから、洗浄ノズル2からスクリーン1には、間欠的に洗浄水が噴霧される。
洗浄ノズル2は、概ね1枚のスクリーンパネル12を洗浄する噴霧面積を有し、移動してきたスクリーンパネル12が噴霧位置に一致したときに、このスクリーンパネル12に対し、洗浄水を一定時間噴霧する。」
(8)甲第8号証
甲第8号証には次の記載がある。
(8a)「【0001】
本発明は、バースクリーンの自動洗浄装置に関し、特に、バースクリーンの清掃作業を無人化して作業環境の改善を図るとともに、バースクリーンに近い位置で洗浄することでより確実な洗浄を行えるようにしたバースクリーンの自動洗浄装置に関するものである。」
(8b)「【0018】
また、バースクリーン1の背面位置となる下流側には、該バースクリーン1を自動的に洗浄できるようにした洗浄装置5を配設する。
この洗浄装置5は、図2に示すように、自走式とした給水可能なヘッダ51と、バースクリーンの背面側に洗浄水を噴射するようにヘッダ51に配設した複数の洗浄ノズル52とより構成する。この移動可能なヘッダ51の内部に給水ホース6を介して給水できるよう空洞、例えば、図示のようにパイプ状とするとともに、このヘッダ51に自走装置5Aを配設する。
なお、この複数の洗浄ノズル52は、バースクリーンの背面側で、かつバースクリーンの全幅に亘って清掃できるように洗浄水を噴射するように配列、配設するようにする。」
(9)甲第9号証
甲第9号証には次の記載がある。
(9a)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水路を流れる藻類や草の塊等の塵芥を無端状のスクリーンにより捕捉しながら、このスクリーンの回転移動に伴い水路上方に引上げて除去する除塵装置に関するものである。」
(9b)「【0024】スプレー装置14は、図1に示すように、上記塵芥除去部36におけるスクリーン12の外側(上方)であって該スクリーン12の周面に沿って水路1の長手方向に伸びるノズル40を有し、水路底に設置されるポンプ42により流水を汲み上げつつ上記ノズル40に供給し、スクリーン12に向かって高圧で水を噴射するように構成されている。」
(10)甲第10号証
甲第10号証には次の記載がある。
(10a)「【0001】
本発明は、河川、用水路、水力発電所等の取水路に設置される除塵機に関する。」
(10b)「【0026】
次に、本発明の特徴的構成部分について説明する。本発明による除塵機1は、水流と交差するように水路6に設けられたスクリーン2と、前記スクリーン2に沿って昇降するレーキ19と、前記レーキ19を昇降させる昇降手段5とを備えた除塵機1において、前記スクリーン2に対して圧力水25を吹き付けるノズル26を設け、前記スクリーン2の目開きより小さな塵芥3を前記スクリーン2から通過させるようにしたことを特徴とするものである。具体的には、図1に示すようにスクリーン2と水面4が交差する部位に対して圧力水25を吹き付けるノズル26をスクリーン2の全幅にわたって設けたものである。ノズル26はスクリーン2と水面4とが交差する部位に対して圧力水26を吹き付けることができるよう配置されるが、必要に応じて圧力水26の噴射方向を変更することも可能とされている。」
(11)甲第11号証
甲第11号証には次の記載がある。
(11a)「【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、下水を処理する際、汚水中に含有される塵芥、その他の細いごみ等をも網状スクリ-ン面に付着することなく確実に取り除くのに適した除塵機に関するものである。」
(11b)「【0012】
この振動装置4と上下に対向してスクリーンの水面部上方には洗浄ノズル9を一段叉は図示のように二段にして配設し、スクリーン上面から洗浄水を噴射することによりスクリーン背面に付着しているスクリーン渣が剥離脱落するようになす。一段目のノズルにて剥離されない比較的強く付着しているスクリーン渣は二段目のノズルの洗浄水噴射と振動装置との相乗効果にて確実に除去し、箱体内を経て収集排出装置8に導くようにするようになす。」
(12)甲第12号証
甲第12号証には次の記載がある。
(12a)「チェーンコンベヤーの運行中における潤滑不良から生ずる運行抵抗を電気的に検知し、これに基づいて潤滑油を供給する方法。」(特許請求の範囲)
(12b)「本発明はチェーンコンベヤーの回転部,摺動部等の可動部分に対する潤滑方法に関するものである。詳しくは、コンベヤーの可動部分,駆動源等から情報を得て潤滑状態を知り,自動的に必要個所に潤滑油の供給を行う方法およびその装置に関する。」(第1頁左下欄第9行~第14行)
(13)甲第13号証
甲第13号証には次の記載がある。
(13a)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超低騒音型自動除塵機に係り、特に、大容量排水機場などで、多量に流下する粗大ゴミを処理する除塵機の騒音を超低騒音化する超低騒音型自動除塵機とその運転方法に関する。」
(13b)「【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明では、例えば、排水機場等の水処理場における水中のごみを除塵する自動除塵機において、該除塵機の本体及びガイドレールが、振動を抑制する制振材で作製されていることを特徴とする超低騒音型自動除塵機としたものである。前記超低騒音型自動除塵機において、エンドレス・チェーンのローラーも制振材で作製されいてもよい。また、本発明では、前記超低騒音型自動除塵機の運転方法において、除塵機に振動センサーを設置し、騒音発生時の振動を事前に記憶装置に入力しておいて、実際に騒音が発生した時に、感知した振動に基づいて、運転を停止するか、もしくは、エンドレス・チェーンの速度を一定時間増速、又は減速することを特徴とすることとしたものである。」
(14)甲第14号証
甲第14号証には次の記載がある。
「水路のスクリーンに係止したし渣を、無端状のチエーンに取付けたレーキで除去する除塵機に於いて、除塵機の下部に上部でチエーンをガイドするスプロケツトホイル径より大きい径をもつたチエーンガイドを設けると共に水路の上流側に揺動自在のチエーン押さえでチエーンを自動的に緊張させることを特徴とする自動除塵機。」(特許請求の範囲)
(15)甲第15号証
甲第15号証には次の記載がある。
(15a)「【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ワークを搬送・組み立てるためのチェーン式コンベアにおけるチェーンの給油に適用される、チェーン給油装置に関する。」
(15b)「【0012】同径ニップル34の上部には、開閉弁14が取り付けられ、その下部には、回転継手44が取り付けられている。開閉弁14の上部には、滴下式オイラ10が取り付けられ、回転継手44には、給油パイプ16が回転自在に取り付けられている。開閉弁14は、給油路を開閉する、当業者には周知の電磁弁から構成され、チェーン4の駆動・非駆動に連動して給油路を開閉制御するよう構成されている。具体的には、図示はしないが、開閉弁14の作動回路と、チェーン4のモータの駆動回路又はクラッチの作動回路とを、リレーにより同期させることにより、構成することができる。」
(16)甲第16号証
甲第16号証には次の記載がある。
(16a)「【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、チエンコンベアの給油箇所に所定量の給油を行なうチエンコンベア用給油装置に関する。」
(16b)「【0023】
その後、チエンコンベア4を稼働させると、単独水平リンク5がメカニカルバルブ17の接触子17aに接触し、メカニカルバルブ17が非連通状態から連通状態になる。これにより所定圧力の空気がエアオペレートバルブ18を通過して各ノズル14に導かれ、油流路12を通して導かれている潤滑油20がチエンコンベア4の各給油箇所に噴射される。その後、予め設置しておいた所定時間が経過して、分岐空気流路11bおよびスピードコントローラ23の調整オリフィス23aを通してエアオペレートバルブ18の作動点18bに導かれている空気の圧力が所定値になると、エアオペレートバルブ18が復帰ばね18aの弾力に抗して移動させられて、連通状態から非連通状態になり、各ノズル14からの潤滑油20の噴出が停止させられる。」
(17)甲第17号証
甲第17号証には次の記載がある。
(17a)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラスチックス製のチェーン単位片を多数連結したチェーン、そのチェーンとレールと駆動用部材(スプロケット、アイドラーホイール)とを装備した搬送コンベヤ、およびその搬送コンベヤを用いた搬送方法に関するものである。」
(17b)「【0003】搬送に際しては、緊急時あるいは爾後の工程との関係で、ストップバーで物体の流れを阻止することがある。この場合は、チェーンのみが走行し、物体はストップバーの所で立ち止まってチェーン上をスリップしつつ待機している状態にあるが、その際には摩擦によりチェーンおよび物体底部に傷付きを生じやすい上、チェーンが昇温して最悪の場合にはチェーンの溶融に至ることがある。また物体が洗剤の容器のような場合にはストップバーの所でその容器が転倒したりすることもある。そこで、ストップバーの近くには、石鹸水による散水手段を設けてチェーン上に散水を行うことにより滑りやすくすると共に、散布した石鹸水を貯めるドレンパンを設置し、ドレンパンに回収した石鹸水はろ過を行ってから濃度調整して再使用に供することがなされる。」
(18)甲第18号証
甲第18号証には次の記載がある。
(18a)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄道車両が通過する際に、レールと車輪の両金属間で発生する軋み音の発生を防止する、レール軋み音の発生防止装置に関する。」
(18b)「【0011】次に、上記実施例の装置による消音作用について説明する。散水を必要とするレール1のカーブ区間1aに車両が接近すると、予め直線区間1bに設置しておいた車両接近検知装置15により、この車両接近を検知し、通信ケーブル17(図2参照)を通じて電源・制御盤14に検知信号が入力される。
【0012】電源・制御盤14に車両の接近情報が入力されると、散水ポンプ12が稼動して、散水タンク11内の水を送水管2および散水管3に圧送する。散水管3からの圧力水は散水ノズル4のノズル穴4bから切込み部4aの上部傾斜面4a′に衝突し、霧状に散水される。
【0013】車両が通過すると、散水ポンプ12は自動的にストップし、散水ノズル4からの散水が停止する。本実施例では、車両の接近を直線区間1bにおいて検知したが、これに限定するものではなく、要するに車両接近検知装置15は、散水を予定する区間の車両進行上流区間の適宜位置に設置してあればよい。」
(19)甲第19号証
甲第19号証には次の記載がある。
(19a)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バネ線材によって形成されているローラを有する低騒音チェーンに関する。」
(19b)「【0005】前記バネローラの摺動音は、あらかじめチェーンに給油を施しておくことによってある程度は低減することが可能であるが、摺動音の経時的な増加は給油によっては根本的に解決することが問題がある。そこで、本発明は前述したような従来技術の問題を解決し、時間の経過に伴って騒音レベルが増加しない低騒音チェーンを提供することを目的としている。」
(20)甲第20号証
甲第20号証には次の記載がある。
(20a)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄道車両の曲線軌道走行時に発生する軋み音を防止する方法とその装置に関する。」
(20b)「【0012】曲線軌道1に沿って設けられる軋み音防止装置2は、内側レール3に沿って一定間隔で設置される複数の散水ノズル4と、走行車両の接近を検知する検知器5と、該検知器5の信号に従って前記散水ノズル4から内側レール3上に一定時間散水する制御機構6と、各散水ノズル4への給水タンク7とを備えている。」
(20c)「【0021】このように構成された軋み音防止装置2は、曲線軌道1上を車両が走行してくると、制御機構6が2つの車両検知センサー17,18間を通過する車両の速度と、大気温度センサー33、レール温度センサー34とで検知されるそれぞれの温度に基づいて散水時間を決め、最初の位置検知センサー19の信号により、車両の進行に合わせて最初の散水ユニット16の各散水ノズル4の電磁弁9を開いて、各散水ノズル4から2乃至3秒程度の一定時間内側レール3上に散水し、続いて後続の位置検知センサー19の信号により該当する散水ユニット16が順次散水する。」
(21)甲第21号証
甲第21号証には次の記載がある。
(21a)「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、鉄道路線等の分岐装置に潤滑油を給油する給油装置及びその取付構造に関するものである。」
(21b)「【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の給油装置は、潤滑油を供給する給油ポンプと、該給油ポンプの作動時刻を設定するスケジュールタイマと、該スケジュールタイマの出力により給油ポンプを所定時間作動させる給油タイマとを備えたものである。」
(21c)「【0029】また、給油ポンプ4の作動時刻T1をトングレール3が摺動する時刻の直前に設定した場合、給油管8のように比較的狭路から供給された潤滑油を、軌道切替時刻の前に床板2全域に行き渡らせることができる。このため、床板2及びトングレール3の摺動部の全体を一様に潤滑して両者の偏磨耗を防止できることに加え、降雨時にトングレール3が摺動する時刻の前に床板2上から流れ落ちる潤滑油を比較的少量に抑え、潤滑油の節減を図ることができる。」
(22)甲第22号証
甲第22号証には次の記載がある。
(22a)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は食器の洗浄、濯ぎ、乾燥を順次行う食器洗い乾燥機に関し、詳しくは洗浄に入る前に汚れが落ちやすいように前処理する機能を有した食器洗い乾燥機の構造に関するものである。」
(22b)「【0012】しかして、食器洗い乾燥機にて次のように洗浄過程、濯ぎ過程、乾燥過程を経て食器を洗って乾燥するが、本発明では洗浄過程に入る前に前処理過程で前処理される。汚れた食器1を食器籠12に収納保持してから先ず前処理過程で前処理する。前処理過程では、ミスト発生器2で発生したミストがミスト供給ダクト11を介してミスト吹き込み口4から吹き込まれ、このミストが食器1に吹き付けられる。このミストの吹き込みにて食器1の汚れがふやかされ、汚れが落ちやすい状態となる。・・・」
(23)甲第23号証
甲第23号証には次の記載がある。
(23a)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は食器の洗浄、濯ぎ、乾燥を順次行う食器洗い乾燥機に関し、詳しくは洗浄に入る前に汚れが落ちやすいように前処理する機能を有した食器洗い乾燥機の構造に関するものである。」
(23b)「【0012】また洗浄槽1には前処理として食器に水または温水を吹き付けて汚れを洗い流す汚れ洗い流し手段Aを設けてあり、この汚れ洗い流し手段Aは噴出ノズル2、分岐給水管路12、加圧ポンプ3等で形成されている。噴出ノズル2は洗浄槽1の側面の下部に設けてあり、給水管路8から切り替え弁13を介して分岐した分岐給水管路12を噴出ノズル2に連通させてある。分岐給水管路12には加圧ポンプ3と洗剤投入器14とを設けてある。そして切り替え弁13を切り替えて分岐給水管路12に水または温水を供給すると、水または温水が加圧ポンプ3、洗剤投入器14を介して噴出ノズル2に供給され、噴出ノズル2から加圧された水または温水が食器籠6に噴出されるようになっている。
【0013】しかして、食器洗い乾燥機にて次のように洗浄過程、濯ぎ過程、乾燥過程を経て食器を洗って乾燥するが、本発明では洗浄過程に入る前に前処理過程で前処理される。汚れた食器を食器籠6に収納保持してから先ず前処理過程で前処理する。前処理過程では、切り替え弁13を介して分岐給水管路12に水または温水が送られ、この水または温水が加圧ポンプ3にて加圧され、洗浄槽1の側面の噴出ノズル2から加圧した水または温水が食器籠6内の食器に強く吹き付けられ、食器に付着された汚れが洗い流される。・・・」
(24)甲第24号証
甲第24号証には次の記載がある。
(24a)「【0001】
この発明は、食器類を効率的かつ騒音の少ない洗浄を行える食器洗い機に関する。」
(24b)「【0002】
従来の食器洗い機においては、洗浄槽内に食器類を収納した後、予約洗浄モードを使って洗浄時間の設定を行う。そして、食器類を入れた後には予備洗浄が行われ、食器類に付着した残滓を大まかに洗う又は湿潤させる(予備洗浄)ことで本洗浄を補助していた。また、予約洗浄モード設定後に食器の追加をした場合も、予備洗浄が自動的に行われて本洗浄を補助している(例えば、特許文献1参照)。」
5 当審の判断
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明の「除塵装置10」は、本件発明1の「除塵機」に相当し、甲1発明の「流体中から固体分を分離する」ことは、本件発明1の「水中のごみを除塵する」ことに相当する。
甲1発明の「ガイドレール」は、本件発明1の「ガイドレール」に相当する。また、甲1発明の「無端状のリンクチェーン22」又は「リンクチェーン22」は、本件発明1の「ローラチェーン」との対比において、「チェーン」との限度で一致する。
甲1発明の「周回」は、本件発明1の「回動」に相当する。
甲1発明の「周回手段は、軸14を介して回転自在に設けた上部スプロケットホイール16と、取水路12の水底部に設置したガイドレールを有し、上部スプロケットホイール16には、無端状のリンクチェーン2を架設し、リンクチェーン22と、上部スプロケットホイール16と、ガイドレールは周回移動機構を構成」することは、周回手段が、ガイドレールと当該ガイドレールに沿って周回するリンクチェーン22とを有することといえるから、本件発明1の「ガイドレールと当該ガイドレールに沿って回動するローラチェーンとを有する」との対比において、「ガイドレールと当該ガイドレールに沿って回動するチェーンとを有する」との限度で一致する。
甲1発明の「第2洗浄手段50は、ミスト(霧)を噴射可能なスプレーノズルを備え、除塵装置10の運転中に淡水のミストをハウジング45とスクリーン24の間の領域に発生させてミスト雰囲気を形成する」ことは、除塵装置10の運転中にミストを噴射することにより散水するといえるから、本件発明1の「前記除塵機の運転前及び/または運転中に、前記ローラチェーン及び/またはガイドレールに散水する」こととの対比において、「前記除塵機の運転中に、散水する」との限度で一致する。そして、甲1発明も「散水する」手段を備えているといえる。
したがって、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は次のとおりとなる。
[一致点1]
「水中のごみを除塵する除塵機であってガイドレールと当該ガイドレールに沿って回動するチェーンとを有する除塵機であって、
前記除塵機の運転中に、散水する手段を備える除塵機。」
[相違点1]
本件発明1においてはチェーンが「ローラチェーン」であるのに対し、甲1発明は「無端状のリンクチェーン22」または「リンクチェーン22」である点。
[相違点2]
本件発明1においては散水する手段が「ローラチェーン及び/またはガイドレールに散水する」ことにより、「除塵機の騒音を防止する騒音防止システム」となっているのに対し、甲1発明は、「第2洗浄手段50は、ミスト(霧)を噴射可能なスプレーノズルを備え、除塵装置10の運転中に淡水のミストをハウジング45とスクリーン24の間の領域に発生させてミスト雰囲気を形成する」ものとされ、除塵装置10の騒音を防止するものであると特定されていない点。
イ 判断
(ア)相違点2について
先に相違点2について検討する。
甲1発明の散水する手段である「第2洗浄手段50」は、「ミスト(霧)を噴射可能なスプレーノズルを備え、除塵装置10の運転中に淡水のミストをハウジング45とスクリーン24の間の領域に発生させてミスト雰囲気を形成する」ものであるから、ハウジング45内はミスト雰囲気であるといえる。また、甲1発明の「リンクチェーン22を架設し」た「上部スプロケットホイール16」を含んだ「周回手段」は、「ハウジング45内」に存在するものである。してみると甲1発明の「リンクチェーン22」は、第2洗浄手段50によって形成されたミスト雰囲気中にあるといえ、甲1発明も、第2洗浄手段50によって噴射されたミストがリンクチェーン22に散水されるものといえる。
そして、リンクチェーン22に散水されれば水が潤滑剤となることによりリンクチェーンに発生する摩擦を低減でき、騒音を防止することができることは当業者には明らかである。
したがって、甲1発明の「第2洗浄手段50は、ミスト(霧)を噴射可能なスプレーノズルを備え、除塵装置10の運転中に淡水のミストをハウジング45とスクリーン24の間の領域に発生させてミスト雰囲気を形成する」ことは、本件発明1の「チェーンに散水する」「手段を備え」「除塵機の騒音を防止する騒音防止システム」を備えることに相当するといえる。
よって、相違点2は実質的な相違点とはいえない。
(イ)相違点1について
無端鎖体として、リンクチェーンもローラチェーンもどちらも当業者には周知の手段であるといえる。
しかしながら、リンクチェーンとローラチェーンには、構造上の差違があり(前者は、環状のリンクで構成され比較的単純な構造であるのに対し、後者は、円筒形のローラーとブシュ、内プレートと外プレート、ピンで構成され比較的複雑な構造である。)、また、これらを巻回するスプロケットホイールの構造、形状もリンクチェーン用とローラチェーン用でそれぞれ異なっているから、両者を同一視して甲1発明のリンクチェーンを直ちにローラチェーンに置換することが可能であるとはいえない。
また、甲1発明は、上部スプロケットホイール16とガイドレールからなる周回手段と、上部スプロケットホイール16に架設された無端状のリンクチェーン22とによって、無端状のリンクチェーン22に取付けられたスクリーン24を駆動するために必要かつ十分な手段が構成されているといえるところ、これらの手段をあえてローラチェーンを含んだ別の手段に変更する積極的な動機付けもないし、甲第1号証にはこれらの手段をローラチェーンを含んだ別の手段とすることの示唆もない。
そうしてみると、甲1発明において、無端状のリンクチェーン22に代えてローラチェーンを適用し、もって、相違点1に係る本件発明1の構成となすことは当業者であっても容易になし得たことではない。
(ウ)本件発明1についてのまとめ
以上のとおり、相違点1は実質的な相違点であり、しかも、甲1発明において相違点1に係る本件発明1の構成となすことは当業者であっても容易にはなし得ないから、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明とはいえないし、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、異議申立人の提出した甲第2号証~甲第24号証のいずれも、本件発明1の「ガイドレールと当該ガイドレールに沿って回動するローラチェーンとを有する除塵機」において、「ローラチェーン及び/またはガイドレールに散水するか、または少なくとも前記ガイドレールを冷やすように送風する手段を備える」ことを示唆していない(上記4を参照。)。
したがって、本件発明1は、甲1発明及び甲第2号証~甲第24号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2~7について
本件発明2~7は、本件発明1の発明特定事項を全て含み更に限定したものである。
そうすると、本件発明2~7と甲1発明との間には、少なくとも上記(1)アの相違点1が存在するから、上記(1)イ(イ)と同様の理由により、本件発明2~7は、甲1発明及び甲第2号証~甲第24号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件発明8について
ア 対比
本件発明8と甲1発明とを対比する。
甲1発明の「流体中から固体分を分離する」ことは、本件発明1の「水中のごみを除塵する」ことに相当する。
本件発明8の「除塵システム」は、「ガイドレールと、当該ガイドレールに沿って回動するローラチェーンとを有する除塵機」と「前記除塵機の運転前及び/または運転中に、前記ローラチェーン及び/またはガイドレールに散水するか、または少なくとも前記ガイドレールを冷やすように送風する手段」とを「備える」ものであり、「除塵機」と「除塵機」に付属する構成を含むものといえる。
一方、甲1発明の「除塵装置10」は、付属する構成たる「第2洗浄手段50が取付けられて」いるから、「第2洗浄手段50」を付属するものである。
したがって、甲1発明の「除塵装置10」は、本件発明8の「除塵システム」に相当するといえる。また、甲1発明の「除塵装置10」は、本件発明8の「除塵機」を含むものであるといえる。
甲1発明の「周回手段は、軸14を介して回転自在に設けた上部スプロケットホイール16と、取水路12の水底部に設置したガイドレールを有し、上部スプロケットホイール16には、無端状のリンクチェーン2を架設し、リンクチェーン22と、上部スプロケットホイール16と、ガイドレールは周回移動機構を構成」することは、周回手段が、ガイドレールと当該ガイドレールに沿って周回するリンクチェーン22とを有することといえるから、本件発明8の「ガイドレールと当該ガイドレールに沿って回動するローラチェーンとを有する」との対比において、「ガイドレールと当該ガイドレールに沿って回動するチェーンとを有する」との限度で一致する。
甲1発明の「第2洗浄手段50は、ミスト(霧)を噴射可能なスプレーノズルを備え、除塵装置10の運転中に淡水のミストをハウジング45とスクリーン24の間の領域に発生させてミスト雰囲気を形成する」ことは、除塵装置10の運転中にミストを噴射することにより散水するといえるから、本件発明8の「前記除塵機の運転前及び/または運転中に、前記ローラチェーン及び/またはガイドレールに散水する」こととの対比において、「前記除塵システムの運転中に、散水する」との限度で一致する。そして、甲1発明も「散水する」手段を備えているといえる。
したがって、本件発明8と甲1発明との一致点及び相違点は次のとおりとなる。
[一致点2]
「水中のごみを除塵する除塵システムであって、
ガイドレールと当該ガイドレールに沿って回動するチェーンとを有し、
運転中に、散水する手段、
を備える除塵システム。」
[相違点3]
本件発明8のチェーンが「ローラチェーン」であるのに対し、甲1発明は「無端状のリンクチェーン22」または「リンクチェーン22」である点。
[相違点4]
本件発明8の散水する手段が「ローラチェーン及び/またはガイドレールに散水する」ものであるのに対し、甲1発明は、「第2洗浄手段50は、ミスト(霧)を噴射可能なスプレーノズルを備え、除塵装置10の運転中に淡水のミストをハウジング45とスクリーン24の間の領域に発生させてミスト雰囲気を形成する」ものである点。
イ 判断
上記相違点3は上記相違点1と、また、上記相違点4は上記相違点2と実質的に同じである。
してみると、上記(1)イ(イ)と同様の理由により、相違点3は実質的な相違点であるといえ、また、甲1発明において相違点3に係る本件発明8の構成となすことは、当業者であっても容易にはなし得ないから、本件発明8は、甲第1号証に記載された発明とはいえないし、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、異議申立人の提出した甲第2号証~甲第24号証のいずれも、本件発明8の「ガイドレールと当該ガイドレールに沿って回動するローラチェーンとを有する除塵機」において、「ローラチェーン及び/またはガイドレールに散水するか、または少なくとも前記ガイドレールを冷やすように送風する手段を備える」ことを示唆していない。
したがって、本件発明8は、甲1発明及び甲第2号証~甲第24号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)本件発明9について
本件発明9は、本件発明1に対応する方法の発明であり、本件発明1の「ローラチェーン」に対応する構成を備えるものであるから、本件発明1と同様の理由により、甲第1号証記載された発明とはいえないし、甲1発明及び甲第2号証~甲第24号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
6 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~9に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-700925