特許異議申立
2024-700047
X線検査システム、破袋システムおよび破砕システム
- 審判番号
- 2024-700047
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2023-049071
- 登録番号
- 7330453
- 請求日
- 2024年01月23日
- 審決日
- 2025年04月23日
- 公報発行日
- 2025年07月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】大谷清運株式会社
- 【権利者代理人】大野 晃秀
- 【権利者】オクト産業株式会社
- 【権利者代理人】大野 晃秀
- 【異議申立人】石井 健治
- 審判長/審判官
- 審判長 宮澤 浩
- 審判官 ▲高▼見 重雄
- 審判官 萩田 裕介
- 分類
- P1651.121-YAA(G01N) / P1651.537-YAA(G01N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第7項、特許法第113条第2号、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7330453号発明「X線検査システム、破袋システムおよび破砕システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7330453号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、4~10〕、2、3について訂正することを認める。
特許第7330453号の請求項1~3に係る特許を維持する。
特許第7330453号の請求項4~10に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7330453号の請求項1~10に係る特許についての出願(以下、「本願」という。)は、令和5年3月24日に出願され、令和5年8月14日にその特許権の設定登録がされ、令和5年8月22日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和6年 1月23日 :特許異議申立人 石井健治(以下「申立人」という。)による請求項1ないし10に係る特許に対する特許異議の申立て
同年 2月14日 :申立人による特許異議申立書に対する手続補正書
同年 5月16日付け:取消理由通知書
同年 7月13日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 8月12日 :特許権者による訂正請求書に対する手続補正書
同年 8月16日 :令和6年8月12日付けの手続補正書に対する手続補正書
同年10月 3日 :申立人による意見書の提出
同年12月 3日付け:取消理由通知書(決定の予告)
令和7年 1月31日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 3月11日 :申立人による意見書の提出
なお、令和7年1月31日付けで訂正の請求がされたことにより、令和6年7月13日付けでされた訂正の請求は、取り下げられたものとみなす(特許法第120条の5第7項)。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和7年1月31日に提出された訂正請求書(以下「本件訂正書」といい、それによる訂正を「本件訂正」又は単に「訂正」という。)による請求の趣旨は、特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~10について訂正することを求めるものであり、その内容は、以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示している。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「第1の判断部を含み、少なくとも、前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する」と記載されているのを、「第1の判断部を含み、前記第1の判断部は、判断アルゴリズムまたは分類器に基づき判断がなされ、一つのX線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する」に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に「請求項1において、前記第1の判断部は、判断アルゴリズムまたは分類器に基づき判断がなされ、前記判断アルゴリズムまたは分類器を学習させる第1の学習部を含むX線検査システム。」と記載されているのを、
「検査対象の物品または物品群にリチウムイオン二次電池が含まれているかどうかを検査するためのものであり、
検査室と、
前記検査室に前記物品を導入するためのトンネル導入部と、
前記検査室の天井に設けられたX線源と、
前記検査室において前記物品が通過する搬送路の下に設けられたX線のX線センサとを含み、
前記トンネル導入部は、X線源から発したX線が外部に漏れないようにするためのものであり、
前記リチウムイオン二次電池の有無を判断する第1の判断部とを含み、
前記第1の判断部は、判断アルゴリズムまたは分類器に基づき判断がなされ、
一つのX線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断し、
前記判断アルゴリズムまたは分類器を学習させる第1の学習部を含むX線検査システム。」に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に「少なくとも、前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する」と記載されているのを、「判断アルゴリズムまたは分類器に基づき判断する第1の判断部が、一つのX線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する」に訂正する。
また、「トンネル導入部と、」と記載されているのを、「トンネル導入部と、を含み、」に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4を削除する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5を削除する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6を削除する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7を削除する。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項8を削除する。
(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項9を削除する。
(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項10を削除する。
2 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1は、訂正前の請求項1における「第1の判断部」について、「判断アルゴリズムまたは分類器に基づき判断がなされ」るとの特定事項を直列的に付加すると共に、訂正前の請求項1における「少なくとも、前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する」ことについて、「前記物品の形状およびX線吸収率」を、「一つのX線画像から得られる」ものであると限定するものである。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
(ア)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)の【請求項2】には「前記第1の判断部は、判断アルゴリズムまたは分類器に基づき判断がなされ、」と記載されているから、訂正事項1のうち、訂正後の「前記第1の判断部は、判断アルゴリズムまたは分類器に基づき判断がなされ」との事項は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(イ)a 本件特許明細書等の段落【0028】には、「X線検査システム100は、物品を透過したX線を受け、当該透過X線に基づきリチウムイオン二次電池の有無を検査してもよい。」及び「X線検査システム100は、少なくとも、物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断することができる。」と記載されているから、本件特許明細書等には、X線検査システム100は、物品を透過したX線を受け、当該透過X線に基づく物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を検査する点が記載されているといえる。
b 本件特許明細書等の段落【0025】には「【図5】物品とX線画像の例を示す図である。」と記載されており、図5について、段落【0028】には「図5に物品の形状およびX線吸収率と、物品との関係の一例を示す。」と記載されているから、上記aで示した段落【0028】の記載における「物品の形状およびX線吸収率」を得るための「透過X線」が、X線画像であることは、明らかである。
c 本件特許明細書等には、リチウムイオン二次電池の有無を判断する際の「物品を透過したX線」の数についての記載はないから、本件特許明細書等の記載は、少なくとも、「物品を透過したX線」、すなわちX線画像が一つである場合を含むといえる。
また、本件特許明細書等には、リチウムイオン二次電池の有無を判断する際の「物品を透過したX線を受け」ることにより取得される「透過X線」すなわち、X線画像が複数枚(複数種類)である旨の記載は無く、また、段落【0028】には、「X線検査システム100は、少なくとも、物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断することができる。」と記載されているように、「物品を透過したX線を受け」ることにより取得されるX線画像から得てリチウムイオン二次電池の有無の判断に用いる「物品の形状およびX線吸収率」についても、複数種類用いる旨の記載はない。
そうすると、本件特許明細書が、「物品を透過したX線を受け」て取得されるX線画像が、一つの(1種類の)X線画像である場合も想定して記載されていることは、自明である。
d 以上より、訂正事項1のうち、訂正後の「一つのX線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断」するとの事項は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(ウ)上記(ア)、(イ)より、訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことについて
上記アの通り、訂正事項1は、特許請求の範囲を減縮する訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的
訂正事項2は、訂正前の請求項2の記載が、請求項1の記載を引用する引用形式であったのを独立形式に改めるとともに、訂正前の請求項2が引用する請求項1における「少なくとも、前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する」ことについて、「前記物品の形状およびX線吸収率」を、「一つのX線画像から得られる」ものであると限定するものである。
よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」及び特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項2における、訂正後の「一つのX線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する」との事項は、上記(1)イ(イ)で示した通り、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことについて
上記アの通り、訂正事項2は、訂正前の請求項2の記載が、請求項1の記載を引用する引用形式であったのを独立形式に改めるとともに、特許請求の範囲を減縮する訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的
(ア)訂正事項3のうち、訂正前の請求項3に「少なくとも、前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する」と記載されているのを、「判断アルゴリズムまたは分類器に基づき判断する第1の判断部が、一つのX線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する」に訂正する訂正は、訂正前の請求項3において、「リチウムイオン二次電池の有無を判断する」ことについて、「判断アルゴリズムまたは分類器に基づき判断する第1の判断部が」判断することを限定するとともに、訂正前の請求項3において、「少なくとも、前記物品の形状およびX線吸収率に基づき」「判断する」とされていたのを、「一つのX線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率に基づき」「判断する」ことに限定するものである。よって、当該訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)訂正前の請求項3には、
「前記検査室に設けられたX線源と、
前記X線源から発したX線が外部に漏れないようにするためのトンネル導入部と、
リチウムイオン二次電池が混在している物品を透過したX線を受け、当該透過X線に基づき前記リチウムイオン二次電池の有無を検査し、
少なくとも、前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断するX線検査システム。」
と記載されているが、当該記載における「・・・X線源と、」「・・・トンネル導入部と、」について、訂正前の請求項3にはその述語が記載されておらず、「X線源」及び「トンネル導入部」と「X線検査システム」との関係が不明瞭となっている。
そして、訂正事項3のうち、訂正前の請求項3に「トンネル導入部と、」と記載されているのを、「トンネル導入部と、を含み、」に訂正する訂正は、不明瞭であった「X線源」及び「トンネル導入部」と「X線検査システム」との関係について、「X線源」及び「トンネル導入部」が「X線検査システム」に含まれるものであることを特定し、明瞭とするものであるから、不明瞭な記載の釈明を目的とするものである。
(ウ)よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮および特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
(ア)訂正事項3における、訂正後の「判断アルゴリズムまたは分類器に基づき判断する第1の判断部が、一つのX線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する」との事項は、上記(1)イで示した通り、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(イ)本件特許明細書等の段落【0027】には、「X線検査システム100は、図1および図2に示すように、検査対象の物品または物品群に、リチウムイオン二次電池が含まれているかどうかを検査するためのものであり、検査室20と、検査室20に物品を導入するためのトンネル導入部24と、検査室20の天井に設けられたX線源26と、検査室20において物品が通過する搬送路16の下に設けられたX線のX線センサ28とを含むことができる。」と記載されているから、本件特許明細書等には、X線検査システム100は、トンネル導入部24と、X線源26とを含む点が記載されているといえる。
よって、訂正事項3における、訂正後の「X線検査システム」が「X線源と、」「トンネル導入部と、を含」むとの事項は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(ウ)上記(ア)、(イ)より、訂正事項3は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことについて
(ア)訂正事項3のうち、訂正前の請求項3に「少なくとも、前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する」と記載されているのを、「判断アルゴリズムまたは分類器に基づき判断する第1の判断部が、一つのX線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する」に訂正する訂正は、上記アの通り、特許請求の範囲を減縮する訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(イ)訂正前の請求項3における、
「前記検査室に設けられたX線源と、
前記X線源から発したX線が外部に漏れないようにするためのトンネル導入部と、
リチウムイオン二次電池が混在している物品を透過したX線を受け、当該透過X線に基づき前記リチウムイオン二次電池の有無を検査し、
少なくとも、前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断するX線検査システム。」
との記載について、上記ア(イ)の通り、「・・・X線源と、」「・・・トンネル導入部と、」に対する述語が記載されておらず、「X線源」及び「トンネル導入部」と他の構成要素との関係が特定されていなかったところ、訂正前の請求項3に「トンネル導入部と」と記載されているのを、「トンネル導入部と、を含み 、」に訂正する訂正は、「X線源と」「トンネル導入部と」が「X線検査システム」に含まれるとの事項を付加するものであるから、訂正前の請求項3を減縮するものであって、また、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(ウ)上記(ア)、(イ)の通りであるから、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(4)訂正事項4について
訂正事項4に係る請求項4の訂正は、請求項の削除を目的とするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、また、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「本件明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてするものである。
(5)訂正事項5について
訂正事項5に係る請求項5の訂正は、請求項の削除を目的とするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、また、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(6)訂正事項6について
訂正事項6に係る請求項6の訂正は、請求項の削除を目的とするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、また、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(7)訂正事項7について
訂正事項7に係る請求項7の訂正は、請求項の削除を目的とするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、また、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(8)訂正事項8について
訂正事項8に係る請求項8の訂正は、請求項の削除を目的とするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、また、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(9)訂正事項9について
訂正事項9に係る請求項9の訂正は、請求項の削除を目的とするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、また、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(10)訂正事項10について
訂正事項10に係る請求項10の訂正は、請求項の削除を目的とするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、また、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
3 一群の請求項及び別の訂正単位とする求めについて
(1)訂正前の請求項1、2、4、5、7~10について、請求項2、4、5、7~10は請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1、2、4、5、7~10に対応する訂正後の請求項1、2、4、5、7~10は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
また、訂正前の請求項3~10について、請求項4~10は請求項3を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項3によって記載が訂正される請求項3に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項3~10に対応する訂正後の請求項3~10は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
そして、訂正後の請求項1、2、4、5、7~10と訂正後の請求項3~10は、請求項4、5、7~10が共通することから、組み合わされて、訂正後の請求項1~10は、一群の請求項である。
よって、訂正事項1~10は、一群の請求項である請求項1~10に対して請求されているものであるから、訂正事項1~10は、特許法第120条の5第4項に適合するものである。
(2)訂正後の請求項2、3について、特許権者は、当該請求項2、3についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位とすることを求めている。
4 訂正についてのまとめ
上記のとおり、訂正事項1~10に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
よって、特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、4~10〕、2、3について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1~10に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明10」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。また、各構成単位冒頭の「1A」などは当審で付した分説記号であり、当該各構成単位については以下「構成1A」などという。以下、甲号証に記載された発明についても同様。
「【請求項1】
1A 検査対象の物品または物品群にリチウムイオン二次電池が含まれているかどうかを検査するためのものであり、
1B 検査室と、
1C 前記検査室に前記物品を導入するためのトンネル導入部と、
1D 前記検査室の天井に設けられたX線源と、
1E 前記検査室において前記物品が通過する搬送路の下に設けられたX線のX線センサとを含み、
1F 前記トンネル導入部は、X線源から発したX線が外部に漏れないようにするためのものであり、
1G 前記リチウムイオン二次電池の有無を判断する第1の判断部を含み、
1H 前記第1の判断部は、判断アルゴリズムまたは分類器に基づき判断がなされ、
1I 一つのX線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する
1J X線検査システム。
【請求項2】
2A 検査対象の物品または物品群にリチウムイオン二次電池が含まれているかどうかを検査するためのものであり、
2B 検査室と、
2C 前記検査室に前記物品を導入するためのトンネル導入部と、
2D 前記検査室の天井に設けられたX線源と、
2E 前記検査室において前記物品が通過する搬送路の下に設けられたX線のX線センサとを含み、
2F 前記トンネル導入部は、X線源から発したX線が外部に漏れないようにするためのものであり、
2G 前記リチウムイオン二次電池の有無を判断する第1の判断部とを含み、
2H 前記第1の判断部は、判断アルゴリズムまたは分類器に基づき判断がなされ、
2I 一つのX線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断し、
2J 前記判断アルゴリズムまたは分類器を学習させる第1の学習部を含む
2K X線検査システム。
【請求項3】
3A 検査対象の物品または物品群にリチウムイオン二次電池が含まれているかどうかを検査室内で検査するためのものであり、
3B 前記検査室に設けられたX線源と、
3C 前記X線源から発したX線が外部に漏れないようにするためのトンネル導入部と、を含み、
3D リチウムイオン二次電池が混在している物品を透過したX線を受け、当該透過X線に基づき前記リチウムイオン二次電池の有無を検査し、
3E 判断アルゴリズムまたは分類器に基づき判断する第1の判断部が、一つのX線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する
3F X線検査システム。
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
(削除)
【請求項7】
(削除)
【請求項8】
(削除)
【請求項9】
(削除)
【請求項10】
(削除)」
第4 特許異議の申立について
1 申立理由の概要
申立人は、証拠として下記2に示す甲第1号証~甲第8号証(以下、それぞれ「甲1」~「甲8」という。)を提出し、以下の申立理由により、請求項1~10に係る特許は取り消すべきものである旨主張している。申立人が提出した甲第1~第8号証は、何れも、本件特許の優先日である令和4年(西暦2022年)11月11日より前に、日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものである。
申立理由(進歩性):
請求項1、3~6及び8に係る発明は、甲1~5に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものである。
請求項2に係る発明は、甲1~6に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
請求項7に係る発明は、甲1~5、7に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
請求項9、10に係る発明は、甲1~5、8に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、請求項1~10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
したがって、請求項1~10に係る特許は、特許法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。
2 申立書とともに提出された証拠一覧
甲第1号証:特開2022-35706号公報
甲第2号証:特開2002-82070号公報
甲第3号証:特開2000-74856号公報
甲第4号証:実用新案登録第3189175号公報
甲第5号証:国際公開第2021/123197号明細書
甲第6号証:特開2019-174421号公報
甲第7号証:特開平8-12007号公報
甲第8号証:特開2001-50910号公報
第5 取消理由通知(決定の予告)について
当審が令和6年12月3日付けで通知した取消理由通知(決定の予告)の概要は、次の通りである。(以下「取消理由」という。)
1 取消理由1(明確性要件)
請求項1には、「前記第1の判断部は、判断アルゴリズムまたは分類器に基づき判断がなされ、」(以下「前者の記載」という。)及び「X線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率と物品との関係を教師データとして学習させたアルゴリズムまたは識別器に基づき、一つのX線画像を入力情報として、リチウムイオン二次電池の有無を判断するX線検査システム」(以下「後者の記載」という。)との記載があるが、上記の両記載間において、共通であるべき「判断」について、該「判断」を行う主体(前者の記載では「第1の判断部」、後者の記載では「X線検査システム」)と、該「判断」が基づくとする要素(前者の記載では「判断アルゴリズムまたは分類器」、後者の記載では「アルゴリズムまたは識別器」)とが共に一致しない齟齬・矛盾が生じており、該「判断」を担う手段を一義的に明確に把握できない。よって、請求項1の上記記載は意味が不明確である。
請求項2についても、同様の理由により、意味が不明確である。
よって、請求項1、2及び請求項1を引用する請求項4、5、7~10に係る発明は明確でない。
2 取消理由2(実施可能要件)
請求項1には、「X線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率と物品との関係を教師データとして学習させたアルゴリズムまたは識別器に基づき、一つのX線画像を入力情報として、リチウムイオン二次電池の有無を判断する」と記載されているが、本件特許の発明の詳細な説明には、「X線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率と物品との関係を教師データとして学習させたアルゴリズムまたは識別器に基づき」、「リチウムイオン二次電池の有無を判断する」ことについて、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているとはいえない。
請求項2、3についても、同様の理由により、発明の詳細な説明には、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていない。
よって、本件特許の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1~3及び請求項1または3を引用する請求項4~10に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。
第6 当審の判断
1 取消理由1(明確性)について
本件訂正により、本件発明1は「アルゴリズムまたは識別器」についての発明特定事項を有していないものとなっている。
また、「前記第1の判断部は、判断アルゴリズムまたは分類器に基づき判断がなされ、」との発明特定事項により、本件発明1は、「判断」が「前記第1の判断部」により、「判断アルゴリズムまたは分類器に基づき」行われることが明らかとなっており、さらに、引用発明1には、当該発明特定事項と矛盾する発明特定事項はない。
よって、本件発明1は、取消理由1における「「判断」を担う手段を一義的に明確に把握できない。」との理由により、明確でないとはいえない。
本件発明2、3についても、同様の理由により、取消理由1は有していない。
また、本件発明4、5、7~10は削除されているので、本件発明4、5、7~10について、取消理由1は存在していない。
2 取消理由2(実施可能要件)について
本件訂正により、本件発明1は、リチウムイオン二次電池の有無の判断を、「X線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率と物品との関係を教師データとして学習させたアルゴリズムまたは識別器に基づき」行うとの発明特定事項を有していないものとなっている。
よって、取消理由2における、「本件特許の発明の詳細な説明には、「X線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率と物品との関係を教師データとして学習させたアルゴリズムまたは識別器に基づき」、「リチウムイオン二次電池の有無を判断する」ことについて、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているとはいえない。」との理由により、本件特許の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明1を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでないとはいえない。
本件発明2、3についても、同様の理由により、本件特許の発明の詳細な説明に、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないとはいえない。
また、本件発明4~10は削除されているので、本件発明4~10について、取消理由2は存在していない。
3 申立理由(進歩性)について
(1)甲号証の記載
ア 甲1について
(ア)甲1には、以下の記載がある。(下線は当審で付加した。以下同様。)。
a 「【0008】
文献1に記載されたX線検査装置では、X線画像の濃淡から異物を検出する。しかし、例えば、携帯電話用のリチウムイオンバッテリは、比較的厚みのあるプラスチックと同程度の濃度の画像になる場合がある。したがって、X線画像の濃淡だけでは、リチウムイオンバッテリとプラスチックとの判別ができないことがあり、自動判別は困難である。」
b 「【0022】
本発明は、例えば、発火性危険物であるLi-ionバッテリやアルカリ乾電池やスプレー缶など、材料毎のX線透過スペクトルを、参照スペクトルとして予め記憶しておき、これらと検出スペクトルとを比較することにより、被検査物の材料を推定することを特徴とする。」
c 「【0027】
本発明の実施形態に係る材料判別装置は、家庭ゴミや事業ゴミ等(例えば、プラスチック容器やペットボトルや紙や食品等)を被検査物として、その材料を推定する材料判別装置である。」
d 「【0029】
この材料判別装置は、図1に示すように、被検査物2にX線を照射するX線源1と、被検査物2を透過したX線の所定帯域のスペクトルである検出スペクトルを検出する検出部10とを備えている。検出部10は、受光部11及びメモリ12を有している。受光部11は、所定帯域のX線を波長ごとに分けて検出できるマルチエナジーセンサである。
【0030】
受光部11(マルチエナジーセンサ)は、X線波長帯における波長分解能を有している。例えば、「Detection Technology社」のマルチエナジーセンサは、20keVから160keVまでを等間隔に128分割した波長分解能を有している。様々な波長を含むX線を被検査物2に照射すると、被検査物2の構成元素により、一部波長のX線が被検査物2に吸収される。このとき、吸収されなかったX線は被検査物2を透過して、受光部11により受光され、被検査物2に特有の検出スペクトルが得られる。受光部11は、センサの素子を2次元に配列したエリアカメラや、1次元に配列したライセンサカメラ等、センサ数や配列に依らず採用可能である。
【0031】
X線源1は、被検査物2の検出スペクトル広い波長帯域で取得するため、様々な波長のX線を発するものを使用する。受光部11(マルチエナジーセンサ)の受光波長に鑑みて、主に80kV以上の管電圧を有するX線源を選定することが好ましい。
【0032】
検出部10は、受光部11でX線を受光すると、受光データをメモリ12に蓄えるとともに、制御部20に出力させる。制御部20は、送られた検出スペクトルを演算する演算部21と、演算部21の演算結果が送られる比較部22とを有している。比較部22は、演算部21から送られた検出スペクトルを、予め記憶された既知の材料のX線透過スペクトルである参照スペクトルと比較する。比較部22には、少なくとも1以上の参照スペクトルが予め記憶されている。制御部20においては、後述するように、比較部22における比較結果に基づいて、検出スペクトルと参照スペクトルとの同一性により、被検査物2の材料を推定する。
【0033】
また、この材料判別装置は、被検査物2を搬送する搬送部3を備えている。搬送部3は、一対の搬送ローラ4a、4b間に架け渡された無端搬送ベルト5上に被検査物2を載置させ、一方の搬送ローラ4aを回転操作することにより、被検査物2を搬送するコンベアとして構成されている。この搬送部3は、検出部10に対して、被検査物2を移動操作(搬送)する。被検査物2の移動中に検出部10により検出スペクトルが取得される。大量の家庭ゴミの判別作業を効率よく行うためには、搬送部3は、コンベアの形態が適しているが、フリーローラ、スロープなど、様々な搬送方法を採用してもよい。」
e 「【0039】
制御部20は、図3に示すように、予め取得された種々の材料の参照スペクトルを比較部22のメモリ31に記憶させている。例えば、リチウムイオンバッテリの参照スペクトル31aが記憶され、アルカリ乾電池の参照スペクトル31bが記憶され、スプレー缶の参照スペクトル31cが記憶され、・・・となっている。
【0040】
比較部22においては、被検査物2の検出スペクトル30と各種材料の参照スペクトル31a、31b、31c・・・とを比較した結果から、被検査物2の材料を特定する判定32が導かれる。
【0041】
〔事前の準備〕
次に、演算部21における信号処理を具体的に示す。
【0042】
まず、受光部11により被検査物2の検出スペクトルを得るためには、事前に2つの補正値を求めておく必要がある。
【0043】
1つめの補正値は、X線を照射していない状態で、受光部11からの出力値を記憶しておくことである。X線を照射していない状態では、受光部11へ入射するX線がないため、いずれの波長帯でも受光量は零である。しかしながら、受光部11への通電時には、微弱な電流が流れてしまうことや電子ノイズ等により、受光部11からの出力は零とならない。そこで、X線を照射していない状態で受光部11からの出力値を読み、これを基準値IBとする。
【0044】
2つめの補正値は、被検査物2を透さない状態において、X線を照射したときの、受光部11からの出力値を記憶しておくことである。このとき、X線の管電圧、管電流や、X線源1と受光部11との距離や、無端搬送ベルト5の有無や、受光部11の露光時間など、を被検査物2の撮影条件と同一とする。X線源1からの様々な波長を含むX線は、波長毎のフォトンの量が一定ではない。さらに、無端搬送ベルト5や受光部11を覆うカバー等にX線が吸収されることもあるので、受光部11からの出力値を波長毎に予め調べておく必要がある。ここで得られる受光部11からの出力値をILとする。ILは先のIBのオフセットを含んでいるので、実際の出力値は、IBを除いたIL-IBとなる。
【0045】
〔被検査物の検出スペクトルの算出〕
X線を被検査物2に照射して、センサの出力値Iobjを取得する。Iobjは上記したIBのオフセットを含んでいるので、実際の出力値はIBを除いたIobj-IBとなる。
【0046】
このように被検査物2を透過したX線の光量Iobj-IBと、被検査物2を透さないX線の光量IL-IBとの比率は、次の〔数1〕に示すようになる。
【数1】
[図:0001424563000001.jpg]
」
f 「【図1】
[図:0001424563000002.jpg]
」
上記a~fの記載事項及び図面から、以下、g、hの事項が導かれる。
g 段落【0033】には、「搬送部3は、一対の搬送ローラ4a、4b間に架け渡された無端搬送ベルト5上に被検査物2を載置させ、一方の搬送ローラ4aを回転操作することにより、被検査物2を搬送するコンベアとして構成されている。この搬送部3は、検出部10に対して、被検査物2を移動操作(搬送)する。」と記載されていることを参酌すると、第1図には、検出部10は、無端搬送ベルト5の下に設けられている点が図示されているといえる。
h 段落【0041】~【0046】には、「演算部21における信号処理を具体的に示す。・・・まず、受光部11により被検査物2の検出スペクトルを得るためには、事前に2つの補正値を求めておく必要がある。・・・〔被検査物の検出スペクトルの算出〕・・・このように被検査物2を透過したX線の光量Iobj-IBと、被検査物2を透さないX線の光量IL-IBとの比率は、次の〔数1〕に示すようになる。」と記載されており、上記記載において、被検査物2を透過したX線の光量Iobj-IBと、被検査物2を透さないX線の光量IL-IBとの比率は、演算部21が、その信号処理によって、被検査物の検出スペクトルの算出のために求めるものであることは、明らかである。
よって、甲1には、演算部21は被検査物の検出スペクトルの算出のため被検査物2を透過したX線の光量Iobj-IBと、被検査物2を透さないX線の光量IL-IBとの比率を求める点が記載されているといえる。
(イ)上記(ア)より、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「a1 家庭ゴミや事業ゴミ等を被検査物とし、発火性危険物であるLi-ionバッテリやアルカリ乾電池やスプレー缶など、材料毎のX線透過スペクトルを、参照スペクトルとして予め記憶しておき、これらと検出スペクトルとを比較することにより、被検査物の材料を推定する材料判別装置であり、(段落【0022】、【0027】)
d1 被検査物2にX線を照射するX線源1と、(段落【0029】)
e1 被検査物2を載置させる無端搬送ベルト5の下に設けられ、被検査物2を透過したX線の所定帯域のスペクトルである検出スペクトルを検出する検出部10と、を備え、検出部10は、受光部11及びメモリ12を有し、受光部11は、所定帯域のX線を波長ごとに分けて検出できるマルチエナジーセンサであり、(認定事項g、段落【0029】、【0033】)
g1 演算部21とメモリ31を備える比較部22とを有する制御部20を備え、演算部21は被検査物の検出スペクトルの算出のため被検査物2を透過したX線の光量Iobj-IBと、被検査物2を透さないX線の光量IL-IBとの比率を求め、制御部20は、予め取得された種々の材料の参照スペクトルを比較部22のメモリ31に記憶させ、リチウムイオンバッテリの参照スペクトル31aが記憶され、比較部22においては、被検査物2の検出スペクトル30と各種材料の参照スペクトル31a、31b、31c・・・とを比較した結果から、被検査物2の材料を特定する判定32が導かれる、(段落【0032】、【0039】、【0040】、認定事項h)
j1 材料判別装置。(段落【0027】」
イ 甲2について
(ア)甲2には、以下の記載がある。
a 「【0016】図示のように、搬送部3は、搬送長が筐体5より長いため、前カバー32、後カバー33は、それぞれ開口部35部分が最も筐体5に対して突出する如く上下部分がそれぞれ所定角度の傾斜面を有して形成されている。この傾斜面によりX線を装置内部方向に反射させ、開口部35からのX線の漏洩を低減させることができる。また、正面カバー34は、筐体5の正面側に設けられ搬送部3の正面側を覆う。この正面カバー34は、両側部が前カバー32、後カバー33の形状に沿った略台形状に形成され、下部に設けられたヒンジ36に軸支され前方側に開放自在に構成されている。」
b 「【図1】
[図:0001424563000003.jpg]
」
ウ 甲3について
(ア)甲3には、以下の記載がある。
a 「【0007】被検査物Wに検査用のX線を照射するX線管1は、散乱X線Sなど外部へ漏洩するX線(漏洩X線)を遮蔽するために、遮蔽部材からなるフード2内に収納されている。また、被検査物Wを透過したX線を検出するラインセンサ3もこのフード2内に配置されている。そして、被検査物Wに検査用のX線が照射されて発生した散乱X線Sまでも遮蔽するように、被検査物Wを搬送するベルトコンベヤ4も、フード2及びフード5内に配置されている。」
b「【図1】
[図:0001424563000004.jpg]
」
エ 甲4について
(ア)甲4には、以下の記載がある。
a 「【0014】
X線検査装置1は、被検査物MにX線を照射する照射室2と、その照射室2に被検査物Mを搬入する搬入コンベア3と、照射室2の入口側と出口側に設けられて、照射室2の出入口から漏れるX線を外部に漏らさないトンネル形の防護カバー4と、搬入コンベア3に被検査物Mが乗り移る際の被検査物Mの転倒を防止する転倒防止手段5と、被検査物Mをその両サイドから挟んで搬送するベルト式の乗り継ぎコンベア6とを備える。」
b 「【図1】
[図:0001424563000005.jpg]
」
オ 甲5について
(ア)甲5には、以下の記載がある。また、原文の摘記の後に翻訳文を示す(下線は当審において付与した。以下同様。)。なお、翻訳文は、甲5の日本語ファミリー文献である特表2023-507490号公報を参照し、当審で付したものであり、翻訳文の後に、特表2023-507490号公報における対応する段落番号を示す。
a 明細書第1頁第6~9行
「The invention relates to a method and system for performing characterization of one or more materials. The invention further relates to a computer program product. Furthermore, the invention relates to a recycling device configured to sort a waste stream.」
(本発明は、1以上の物質の特徴付けを行う方法及びシステムに関する。本発明は更に、コンピュータプログラム製品に関する。更に、本発明は、廃棄物ストリーム(waste stream)を選別するように構成されたリサイクルデバイス(recycling device)に関する。)(段落【0001】)
b 明細書第2頁第8~26行
「Thereto, the invention provides for a method of performing characterization of one or more materials, the method comprising: scanning the one or more materials by means of a sensory system including an X-ray sensor configured to perform multi-energy imaging for obtaining at least a lower-energy X-ray image and a higher-energy X-ray image; performing segmentation of images obtained by means of the sensory system in order to separate one or more distinct objects in the images, wherein data indicative of an area of the segmented objects is determined; determining, for each of the segmented objects, data indicative of an area density and data indicative of an atom number by analysis of the lower-energy X-ray image and the higher-energy X-ray image, the data indicative of the area density and atom number being determined by means of a model which is calibrated by performing multi-energy X-ray imaging with different materials with known area densities and atom numbers; calculating, for each of the segmented objects, data indicative of a mass based on the data indicative of the area density and the data indicative of the area of each of the segmented objects; and providing, for each of the segmented objects, at least the data indicative of the atom number as input to a trained neural network, wherein the trained neural network is configured to label each segmented object, wherein the data indicative of the mass is coupled to each of the labeled segmented objects.」
(その為に、1以上の物質の特徴付けを行う方法であって、より低いエネルギーのX線画像とより高いエネルギーのX線画像とを少なくとも取得する為のマルチエネルギー画像化を行うように構成されたX線センサを備えている知覚システムによって、該1以上の物質をスキャンすること;該画像内の別個の1以上のオブジェクトを分離する為に該知覚システムによって取得された画像のセグメント化を行うこと、ここで、該セグメント化されたオブジェクトの面積を示すデータが決定される;該セグメント化されたオブジェクトごとに、該より低いエネルギーのX線画像及び該より高いエネルギーのX線画像の分析によって、面積密度を示すデータ及び原子番号を示すデータを決定すること、ここで、該面積密度及び原子番号を示す該データが、既知の面積密度及び原子番号を有する異なる物質を用いて、マルチエネルギーX線画像化を行うことによって較正されるモデルによって決定される;該セグメント化されたオブジェクトごとに、該セグメント化されたオブジェクトごとの該面積密度を示す該データ及び該面積を示す該データに基づいて、質量を示すデータを計算すること;並びに、該セグメント化されたオブジェクトごとに、少なくとも該原子番号を示す該データを、訓練されたニューラルネットワークに対する入力として提供すること、ここで、該訓練されたニューラルネットワークが、各セグメント化されたオブジェクトにラベル付けするように構成されており、ここで、該質量を示す該データが、該ラベル付けされたセグメント化されたオブジェクトの各々に結合される;を含む、上記方法を提供する。)(段落【0008】)
c 明細書第4頁第22~第5頁4行
「Advantageously, the invention may provide for an improved labeling using a trained artificial neural network. In this way, a better determination of objects/components of analyzed one or more materials can be obtained. For instance, a better determination of the material composition of a stream of material can be achieved. The labels of the segmented objects can also be considered as additional characterization data presentable to a user, for instance by means of a general user interface. In some examples, the determined data is used for drawing up a virtual model (digital twin of the one or more materials, e.g. material stream), enabling virtual experimentation or modelling. In some examples, the determined features/characteristics of the segmented objects are generic. The labels can provide more application- specific information (for example, labels for classes of batteries; wood and plastic; pine; oak; plastic; ferrous materials; non-ferrous materials; minerals; electrical components; metal scrap; concrete; etc.). It will be appreciated that the data can be used in different ways and that many different uses are envisaged. For example, a label can also be a price, or a quality type, a chemical composition and/or content, etc.」
(有利には、本発明は、訓練された人工ニューラルネットワークを使用して、改善されたラベル付けを提供しうる。このようにして、分析された1以上の物質のオブジェクト/構成要素のより良好な決定が取得されることができる。例えば、物質のストリームの物質組成のより良好な決定が達成されることができる。該セグメント化されたオブジェクトのラベルがまた、例えば一般的なユーザインターフェースによって、ユーザに提示可能な付加的な特徴付けデータとして考慮されることができる。幾つかの例において、決定されたデータは、仮想モデル(該1以上の物質、例えば物質ストリーム、のデジタルツイン)を描く為に使用され、仮想実験又はモデル化を可能にする。幾つかの例において、該セグメント化されたオブジェクトの決定された特徴/特性は包括的である。該ラベルは、より用途固有の情報(例えば、バッテリの分類の為のラベル、すなわち、木材及びプラスチック、マツ、オーク、プラスチック、鉄物質、非鉄物質、鉱物、電気部品、金属スクラップ、コンクリート等)を提供することができる。該データは、異なる手法において使用されることができること、及び多くの異なる使用が予期されることが、認識されるであろう。例えば、ラベルは、価格、又は品質タイプ、化学組成及び/若しくは含有量等であることがまたできる。)(段落【0017】)
d 明細書第7頁第3~14行
「Optionally, for each of the one or more segmented objects further characteristic features relating to at least one of a volume, dimension, diameter, shape, texture, color, or eccentricity are determined. Other characteristic features can also be determined, such as for instance mean, standard deviation, third and higher moments, histograms, etc. of object pixel values of the different sensor images e.g. x-ray absorption, height, color, etc. and derived images such as atomic number, area density, density, chemical composition and gradients. Some exemplary shape parameters which can be determined are: perimeter, solidity, area, convex area, convexity, roundness, straightness, curliness, sphericity, aspect ratio, ferret diameter, equivalent diameter, minor and major axis length, max & min chord length, other diameter definitions. It will be appreciated that Any combination of previous characteristic features are also possible.」
(任意的に、該セグメント化された1以上のオブジェクトごとに、体積、寸法、直径、形状、テクスチャ、色、又は偏心のうちの少なくとも1つに関連する、更なる特性的特徴が決定される。該異なるセンサ画像、例えばX線吸収率、高さ、色等、並びに導出された画像、例えば原子番号、面積密度、密度、化学組成及び勾配、のオブジェクトピクセル値の他の特性的特徴、例えば平均値、標準偏差、三次以上のモーメント、ヒストグラム等、がまた決定されることができる。決定されることができる幾つかの例示的な形状パラメータは、外周、固体性、面積、凸部面積、凸性、真円度、直線度、カール性、球形度、縦横比、フェレット直径、相当直径、短軸長さ及び長軸長さ、最大及び最小コード長さ、他の直径定義である。先行する特性的特徴のいかなる組み合わせがまた可能であることが認識されるであろう。)(段落【0031】)
e 明細書第9頁第10~20行
「The invention provides significant advantages when applied for sorting of waste batteries. Batteries may have a same appearance (e.g. from the outside some batteries may often look the same). A stream of batteries including different battery types can be guided along a conveyor belt. Different types of batteries can be effectively distinguished from each other using the method according to the invention. For example, a distinction can be made between alkaline batteries and lithium ion batteries. Furthermore, features such as size, shape, arrangement (e.g. battery pack), can also be used for making a distinction between the different batteries in the battery stream. It is also possible to identify what material is included in an identified/segmented battery, for instance, which cathode material is housed in the battery (e.g. cobalt-nickel, ...).」
(本発明は、廃棄物バッテリの選別に対して適用される場合、有意な利点を提供する。バッテリは、同じ外観を有しうる(例えば、外部からは、幾つかのバッテリは同じに見えることが多い)。異なるバッテリタイプを含む、バッテリのストリームは、コンベヤベルトに沿って案内されることができる。異なるタイプのバッテリは、本発明に従う方法を使用して、互いに効果的に区別されることができる。例えば、アルカリ電池とリチウムイオン電池との間で区別が行われることができる。更に、特徴、例えばサイズ、形状、構成(例えば、バッテリパック)、がまた、該バッテリストリーム内の該異なるバッテリ間で区別を行う為に使用されることができる。識別された/セグメント化されたバッテリに何の物質が含まれているか、例えば、どのカソード物質(例えば、コバルト・ニッケル等)が該バッテリに収容されているか、を識別することも可能である。)(段落【0044】)
f 明細書第10頁第6~26行
「According to an aspect, the invention provides for a system for performing characterization of one or more materials, the system comprising: a sensory unit arranged for scanning the one or more materials, the sensory unit including an X-ray sensor configured to perform multi-energy imaging for obtaining at least a lower-energy X-ray image and a higher-energy X-ray image; wherein the system includes a controller configured to perform the steps of: performing segmentation of images obtained by means of the sensory system in order to separate one or more distinct objects in the images, wherein data indicative of an area of the segmented objects is determined; determining, for each of the segmented objects, data indicative of an area density and data indicative of an atom number by analysis of the lower-energy X-ray image and the higher- energy X-ray image, the data indicative of the area density and atom number being determined by means of a model which is calibrated by performing multi-energy X- ray imaging with different materials with known area densities and atom numbers; calculating, for each of the segmented objects, data indicative of a mass based on the data indicative of the area density and the data indicative of the area of each of the segmented objects; and providing, for each of the segmented objects, at least the data indicative of the atom number as input to a trained neural network, wherein the trained neural network is configured to label each segmented object, wherein the data indicative of the mass is coupled to each of the labeled segmented objects.」
(一つの観点によれば、本発明は、1以上の物質の特徴付けを行う為のシステムであって、該1以上の物質をスキャンする為に配置された知覚ユニットを備えており、ここで、該知覚ユニットは、より低いエネルギーのX線画像とより高いエネルギーのX線画像とを少なくとも取得する為のマルチエネルギー画像化を行うように構成されたX線センサを備えており;ここで、該システムが、該画像内の別個の1以上のオブジェクトを分離する為に、該知覚システムによって取得された画像のセグメント化を行うこと、ここで、該セグメント化されたオブジェクトの面積を示すデータが決定される;該セグメント化されたオブジェクトごとに、該より低いエネルギーのX線画像及び該より高いエネルギーのX線画像の分析によって、面積密度を示すデータ及び原子番号を示すデータを決定すること、ここで、該面積密度及び原子番号を示す該データが、既知の面積密度及び原子番号を有する異なる物質を用いて、マルチエネルギーX線画像化を行うことによって較正されるモデルによって決定される;該セグメント化されたオブジェクトごとに、該セグメント化されたオブジェクトごとの該面積密度を示す該データ及び該面積を示す該データに基づいて、質量を示すデータを計算すること;並びに、該セグメント化されたオブジェクトごとに、少なくとも該原子番号を示す該データを、訓練されたニューラルネットワークに対する入力として提供すること、ここで、該訓練されたニューラルネットワークが、各セグメント化されたオブジェクトにラベル付けするように構成されており、ここで、該質量を示す該データが、該ラベル付けされたセグメント化されたオブジェクトの各々に結合される、の工程を実行するように構成されたコントローラを備えている、上記のシステムを提供する。)(段落【0048】)
g 明細書第11頁第13~31行
「Advantageously, pre-processing and features extraction steps can be performed prior to feeding data to the trained artificial neural network for labeling objects. A plurality of features/characteristics can be determined per segmented object. A label can then be assigned to each object. A trained neural network can be used for automatic determination of a label associated with each segmented object, taking into account the plurality of determined features/characteristics linked to the segmented object. According to the invention, instead of directly feeding imaging data to a neural network, the imaging data is segmented in order to identify individual components for which the features/characteristics are fed to the trained neural network. Optionally, imaging data from different sensors/detectors are aligned enabling a data fusion. Significantly more accurate results can be obtained in this way. It is also possible to additionally input the imaging data to the trained neural network. Hence, instead of giving the pixels of an image as input, the features/characteristics coupled to each of the objects are given as input. That can be performed effectively for each object. The input to the trained neural network can for instance be (cf. input nodes at the first layer of the neural network): mass, volume, atomic number, shape parameters such as eccentricity, etc. The output of the neural network may provide a classification of the segmented object.」
(有利には、前処理工程及び特徴抽出工程は、オブジェクトにラベル付けする為に、該訓練された人工ニューラルネットワークに対してデータを供給する前に、行われることができる。複数の特徴/特性は、セグメント化されたオブジェクトごとに決定されることができる。次に、ラベルが、オブジェクトごとに割り当てられることができる。訓練されたニューラルネットワークは、各セグメント化されたオブジェクトに関連付けられたラベルの自動決定の為に、該セグメント化されたオブジェクトに結びつけられた該複数の決定された特徴/特性を考慮に入れて、使用されることができる。本発明によれば、ニューラルネットワークに対して画像化データを直接供給する代わりに、該特徴/特性が該訓練されたニューラルネットワークに対して供給される個々の構成要素を識別する為に、該画像化データがセグメント化される。任意的に、異なるセンサ/検出器からの画像化データは、アラインされ、データ融合を可能にする。有意に、より正確な結果は、このようにして取得されることができる。該訓練されたニューラルネットワークに対して該画像化データを追加的に入力することがまた可能である。従って、画像のピクセルを入力として与える代わりに、該オブジェクトの各々に結合された該特徴/特性が入力として与えられる。それは、オブジェクトごとに効果的に行われることができる。該訓練されたニューラルネットワークに対する該入力は、例えば、質量、体積、原子番号、形状パラメータ、例えば偏心、等、であることができる(該ニューラルネットワークの第1の層における入力ノードを参照)。該ニューラルネットワークの出力は、該セグメント化されたオブジェクトの分類を提供しうる。)(段落【0051】)
h 明細書第12頁第19~32行
「According to an aspect, the invention provides for an inline characterization system adapted for the in-line characterization of complex heterogeneous material streams. The system can be equipped with multiple sensors positioned above a conveyor belt of for example lm width moving with speeds up to 1 m/s. Materials may be presented in a mono-layer on the belt. Optionally, means are provided for ensuring a mono-layer. Installed sensors include dual-energy x-ray transmission (DE-XRT), allowing to directly measure the average atomic number and mass and basically ‘see through materials’; an optional 3d laser triangulation (3D-LT), allowing to determine the exact volume and shape; and an optional high-resolution colour camera. The data from these sensors can be processed by a controller. The controller may be configured to align and fuse received data of different sensors/detectors, as well as apply models and algorithms based on artificial intelligence and machine learning to detect, classify and measure individual objects/components on the belt.」
(一つの観点によれば、本発明は、複雑で不均一な物質ストリームのインライン特徴付けの為に適合されたインライン特徴付けシステムを提供する。該システムには、1m/sまでの速度で移動する、例えば1mの幅のコンベヤベルトの上方に配置された複数のセンサが搭載されることができる。物質は、該ベルト上の単層において提示されうる。任意的に、単層を確実にする為の手段が提供される。設置されるセンサは、平均原子番号及び質量を直接測定すること、並びに基本的に「物質を透視する」ことを可能にするデュアルエネルギーX線透過(DE-XRT:dual-energy x-ray transmission)と、厳密な体積及び形状を決定することを可能にする任意的な3dレーザ三角測量(3D-LT:3d laser triangulation)と、任意的な高解像度カラーカメラとを含む。これらのセンサからのデータは、コントローラによって処理されることができる。該コントローラは、異なるセンサ/検出器の受信されたデータをアラインし、融合させるように、並びに、該ベルト上の個々のオブジェクト/構成要素を検出し、分類し、測定する為に、人工知能及び機械学習に基づいたモデル及びアルゴリズムを適用するように、構成されうる。)(段落【0058】)
i 明細書第14頁第23~第15頁第15行
「Fig. 1 shows a schematic diagram of an embodiment of a system 1 for performing characterization of one or more materials 3, the system 1 comprising: a sensory unit 5 arranged for scanning the one or more materials 3. The sensory unit 5 includes an X-ray sensor configured to perform multi-energy imaging for obtaining at least a lower-energy X-ray image and a higher-energy X-ray image. The system 1 includes a controller configured to perform the steps of: performing segmentation of images obtained by means of the sensory system 5 in order to separate one or more distinct objects in the images, wherein data indicative of an area of the segmented objects is determined; determining, for each of the segmented objects, data indicative of an area density and data indicative of an atomic number by analysis of the lower-energy X-ray image and the higher-energy X-ray image, the data indicative of the area density and atom number being determined by means of a model which is calibrated by performing multi-energy X- ray imaging with different materials with known area densities and atom numbers; calculating, for each of the segmented objects, data indicative of a mass based on the data indicative of the area density and the data indicative of the area of each of the segmented objects; and providing, for each of the segmented objects, at least the data indicative of the atom number as input to a trained neural network, wherein the trained neural network is configured to label each segmented object, wherein the data indicative of the mass is coupled to each of the labeled segmented objects. In this example the sensory unit 5 and the one or more materials 3 are movable with respect to each other as indicated by arrow A. In this way, the sensory unit can scan the one or more materials 3. For instance, a conveyor belt can be used for guiding the one or more materials 3 along the sensory unit 5. However, it is also possible that the sensory unit 5 is moved with respect to one or more materials 3.」
(図1は、1以上の物質3の特徴付けを行う為のシステム1の実施態様の概略図を示しており、該システム1は、該1以上の物質3をスキャンする為に配置された知覚ユニット5を備えている。該知覚ユニット5は、より低いエネルギーのX線画像とより高いエネルギーのX線画像とを少なくとも取得する為のマルチエネルギー画像化を行うように構成されたX線センサを備えている。該システム1は、該画像内の別個の1以上のオブジェクトを分離する為に、該知覚システム5によって取得された画像のセグメント化を行うこと、ここで、該セグメント化されたオブジェクトの面積を示すデータが決定される、該より低いエネルギーのX線画像及び該より高いエネルギーのX線画像の分析によって、該セグメント化されたオブジェクトごとに、面積密度を示すデータ及び原子番号を示すデータを決定すること、ここで、該面積密度及び原子番号を示す該データが、既知の面積密度及び原子番号を有する異なる物質を用いて、マルチエネルギーX線画像化を行うことによって較正されるモデルによって決定される、該セグメント化されたオブジェクトごとの該面積密度を示す該データ及び該面積を示す該データに基づいて、該セグメント化されたオブジェクトごとに、質量を示すデータを計算すること、並びに、該セグメント化されたオブジェクトごとに、訓練されたニューラルネットワークに対する入力として、少なくとも該原子番号を示す該データを提供すること、ここで、該訓練されたニューラルネットワークが、各セグメント化されたオブジェクトにラベル付けするように構成されており、ここで、該質量を示す該データが、該ラベル付けされたセグメント化されたオブジェクトの各々に結合される、の工程を行うように構成されたコントローラを含む。この例において、該知覚ユニット5及び該1以上の物質3は、矢印Aによって示されるように、互いに対して移動可能である。このようにして、該知覚ユニットは、該1以上の物質3をスキャンすることができる。例えば、コンベヤベルトが、該知覚ユニット5に沿って該1以上の物質3を案内する為に使用されることができる。しかしながら、該知覚ユニット5が、該1以上の物質3に対して移動されることがまた可能である。)(段落【0064】)
j 明細書第15頁第25~第16頁第12行
「Fig. 2 shows a schematic diagram of an embodiment of a system 1. In this example, at least one of an optional (color) camera 7 or optional 3D laser triangulation unit 9 are arranged in order to enable determining additional characteristics linked to each of the segmented objects. Hence, in some examples, next to features/characteristics relating to material type, mass, etc., it is also possible to make a distinction between the identified and/or segmented objects based on at least one of size, shape, color, texture, visual insights, etc. Such information may also enable virtual experimenting. In this example, the sensory unit 5 includes an X-ray sensor 11 having two X-ray sub-units 11a, lib for performing dual-energy X-ray imaging. Furthermore, the camera 7 and 3D laser triangulation unit 9 are integrated in the sensory unit 5. In this way, the sensory unit 5 provides a plurality of images which can be aligned and/or fused, for instance by a computer unit 13. Aligning and/or fusing of the imaging data obtained from different camera’s/detectors can enable a better determination of the features/characteristics of the segmented objects. The one or more materials are segmented and the individual segmented objects 3i are analyzed for determining relevant features/characteristics thereof. In this example, the following features 15 are determined for each segmented object: density, material, shape, size and mass. It will be appreciated that other sets of features are also possible. From the data it is also possible to derive a (relative) weight (percentage) of each of the segmented objects.」
(図2は、システム1の実施態様の概略図を示す。この例において、任意的な(カラー)カメラ7又は任意的な3Dレーザ三角測量ユニット9のうちの少なくとも1つが、該セグメント化されたオブジェクトの各々に結びつけられた付加的な特性を決定することを可能にする為に配置される。従って、幾つかの例において、物質タイプ、質量等に関連する特徴/特性の次に、サイズ、形状、色、テクスチャ、視覚的洞察等のうちの少なくとも1つに基づいて、該識別された及び/又はセグメント化されたオブジェクト間の区別を行うことがまた可能である。そのような情報はまた、仮想実験を可能にしうる。この例において、該知覚ユニット5は、デュアルエネルギーX線画像化を行う為の2つのX線サブユニット11a、11bを有するX線センサ11を含む。更に、該カメラ7及び3Dレーザ三角測量ユニット9は、該知覚ユニット5に一体化される。このようにして、該知覚ユニット5は、例えばコンピュータユニット13によって、アラインされること及び/又は融合されることができる複数の画像を提供する。異なるカメラ/検出器から取得された画像化データをアラインすること及び/又は融合することは、該セグメント化されたオブジェクトの該特徴/特性のより良好な決定を可能にすることができる。該1以上の物質はセグメント化され、該個々のセグメント化されたオブジェクト3iは、該個々のセグメント化されたオブジェクト3iの関連する特徴/特性を決定する為に分析される。この例において、以下の特徴15、すなわち密度、物質、形状、サイズ及び質量、が、セグメント化されたオブジェクトごとに決定される。特徴の他のセットがまた可能であることが認識されるであろう。該データから、該セグメント化されたオブジェクトの各々の(相対的な)重量(割合)を導出することがまた可能である。)(段落【0068】)
k 明細書第17頁第28~33行
「The absorption of X-rays are measured by means of X-ray imaging. The absorption of X-rays can be proportional to the mass for a particular material. However, a relatively thin material with a lot of absorption (e.g. lead) can give a similar X-ray image as a very thick material with little absorption. A lower energy image and a higher energy image can be used in order to make a distinction between such cases, enabling material discrimination.」
(X線の吸収率は、X線画像化によって測定される。X線の吸収率は、特定の物質の質量に比例することができる。しかしながら、高い吸収率を有する比較的薄い物質(例えば、鉛)は、小さい吸収率を有する非常に厚い物質と同様のX線画像を与えることができる。より低いエネルギー画像及びより高いエネルギー画像は、そのような場合の間で区別を行う為に使用されることができ、物質の区別を可能にする。)(段落【0075】)
l 「
[図:0001424563000006.jpg]
」
上記a~lの記載事項及び図面から、以下、mの事項が導かれる。
m FIG.2には、符号3が付された物を搬送するコンベヤ状の搬送路の上下に、それぞれ符号11が付された装置が配置されている点が図示されている。
また、甲5には、「該システム1は、該1以上の物質3をスキャンする為に配置された知覚ユニット5を備えている。」(記載事項i)及び「該知覚ユニット5は、デュアルエネルギーX線画像化を行う為の2つのX線サブユニット11a、11bを有するX線センサ11を含む。」(記載事項j)と記載されていることを参酌すれば、FIG.2には、X線センサ11の一方側の構成部材が物質3の搬送路の上に設けられ、X線センサ11の他方側の構成部材であるX線サブユニット11a、11bが物質3の搬送路の下に設けられている点が記載されているといえる。
(イ)上記(ア)より、甲5には、次の発明(以下、「甲5発明」という。)が記載されていると認められる。
「a5 訓練された人工ニューラルネットワークを使用して、改善されたラベル付けを提供し、ラベルは、バッテリの分類の為のラベルであることができ、アルカリ電池とリチウムイオン電池との間で区別が行われることができる、廃棄物ストリームを選別するように構成されたリサイクルデバイスであって、(記載事項a、c、e)(段落【0001】、【0017】、【0044】)
d5 物質3の搬送路の上に設けられたXセンサ11の一方側の構成部材と、(認定事項m)
e5 物質3の搬送路の下に設けられ、X線センサ11の他方側の構成部材であり、デュアルエネルギーX線透過の画像化を行う為の2つのX線サブユニット11a、11bを有するX線センサ11を含む知覚ユニット5と、(記載事項h、j、認定事項m)(段落【0058】、【0068】、認定事項m)
g5 各セグメント化されたオブジェクトにラベル付けするように構成されているニューラルネットワークとを備え、(記載事項b)(段落【0008】)
i5 知覚システムによって取得された画像のセグメント化を行い、該セグメント化されたオブジェクトごとに、該より低いエネルギーのX線画像及び該より高いエネルギーのX線画像の分析によって、原子番号を示すデータを決定し、該セグメント化されたオブジェクトごとに、少なくとも該原子番号を示す該データを、訓練されたニューラルネットワークに対する入力として提供し、該訓練されたニューラルネットワークに対する該入力は、形状パラメータ等であることができ、該訓練されたニューラルネットワークが、各セグメント化されたオブジェクトにラベル付けするように構成されている、(記載事項b、f、g)(段落【0008】、【0048】、【0051】)
j5 廃棄物ストリームを選別するように構成されたリサイクルデバイス。(記載事項a)(段落【0001】」
カ 甲6について
(ア)甲6には、以下の記載がある。
a 「【0019】
例えば、ある物流事業者では、リチウム電池を内蔵させたまま荷受される小型家電に悩んでいる場合、リチウム電池や小型家電を好適に検出できるように最適化された学習モデルを用意する。そして、当該物流事業者の航空便貨物検査場では、選別支援装置は、使用条件(リチウム電池検出)に対応するこの学習モデルを利用して前記検査対象物の判定を行う。」
b 「【0062】
例えば、航空危険物に指定されているリチウム電池は、小型家電製品などと一緒に同封されている場合があるが、本発明によれば、店頭での荷受時の確認や空港でのX線検査において、複数の学習モデルの中から、リチウム電池の検出に最適化された学習モデルを用いることで、効率よく検出することが可能となる。」
キ 甲7について
(ア)甲7には、以下の記載がある。
a 「【0022】また、処理不適物検出装置として、X線透視検査装置及び金属検出装置を用いい、そのうちの金属検出装置を主搬送路上に設置し、副搬送路上にX線透視検査装置を設置してもよい。これによれば、処理炉が焼却炉であろうと粉砕炉であろうと、また処理不適物としてガスボンベ、モータ等の金属物や大形磁器等、いずれの不燃物又はこれらの不燃物を含むものであっても、換言すれば粗大ごみを含む広範な種類のごみについて、対処できるばかりか、金属検出装置により金属物について粗選別できるので上述実施例に比較してX線透視検査装置の負担を軽減させ得る。」
ク 甲8について
(ア)甲8には、以下の記載がある。
a 「【0020】廃棄プラスチック梱包物1をベルトコンベア8にて搬送して、X線異物検知器10にて、硬質異物を検知する。硬質異物が検知された廃棄プラスチック梱包物1は、梱包物排除装置11でベルトコンベア8から排除され、梱包物バケット12に移される。硬質異物が検知されなかった廃棄プラスチック梱包物1は、そのままベルトコンベア8にて移送され、解梱機13にて梱包を解かれる。廃棄プラスチック梱包物1の大きさが小さい場合は、そのまま、プラスチック破砕機14に移送され、廃棄プラスチックは破砕される。廃棄プラスチック梱包物1が大きい場合は、解梱機13にて、梱包を解いた後に、プラスチック破砕機14にて、破砕する。解梱機13は、種々の型式があるが、カッターを持つ回転部が廃棄プラスチック梱包物1の周りを回転する型式と大型の切断刃を油圧等の力で押し込み梱包を切る、いわゆるギロチン式、が最も効率がいい装置である。その後、プラスチック破砕機14に移送され、廃棄プラスチックは破砕される。」
b 「【図3】
[図:0001424563000007.jpg]
」
(2)甲1発明を主引用発明とした場合について
ア 本件発明1
(ア)対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
a 構成1Aについて
構成a1の「被検査物」及び「Li-ionバッテリ」は、それぞれ、構成1Aの「検査対象の物品または物品群」及び「リチウムイオン二次電池」に相当する。
また、構成a1において、「材料を推定する」ことは、「被検査物」に対して行うことであるから、構成1Aの「検査する」ことに相当する。
構成a1において、「発火性危険物であるLi-ionバッテリやアルカリ乾電池やスプレー缶など、材料毎のX線透過スペクトルを、参照スペクトルとして予め記憶しておき、これらと検出スペクトルとを比較することにより、被検査物の材料を推定する」ことは、「参照スペクトルとして予め記憶してお」いた「Li-ionバッテリ」の「X線透過スペクトル」と「検出スペクトルとを比較すること」で、「被検査物の材料」が「Li-ionバッテリ」であることを「推定する」ことであるから、構成1Aの「検査対象の物品または物品群にリチウムイオン二次電池が含まれているかどうかを検査する」ことに相当する。
よって、構成a1において「家庭ゴミや事業ゴミ等を被検査物とし、発火性危険物であるLi-ionバッテリやアルカリ乾電池やスプレー缶など、材料毎のX線透過スペクトルを、参照スペクトルとして予め記憶しておき、これらと検出スペクトルとを比較することにより、被検査物の材料を推定する材料判別装置」は、構成1Aにおいて「検査対象の物品または物品群にリチウムイオン二次電池が含まれているかどうかを検査するためのもの」に相当する。
b 構成1Dについて
構成d1の「X線源1」は、構成1Dの「X線源」に相当する。
よって、構成d1は、構成1Dと、「X線源」を含む点で共通する。
c 構成1Eについて
構成e1の「被検査物2」、「無端搬送ベルト5」、「被検査物2を透過したX線の所定帯域のスペクトルである検出スペクトルを検出する検出部10」は、それぞれ、構成1Eの「物品」、「搬送路」、「X線のX線センサ」に相当する。そうすると、構成e1の「被検査物2を載置させる無端搬送ベルト5の下に設けられ、被検査物2を透過したX線の所定帯域のスペクトルである検出スペクトルを検出する検出部10」は、構成1Eの「前記物品が通過する搬送路の下に設けられたX線のX線センサ」に相当する。
よって、構成e1は、構成1Eと、「前記物品が通過する搬送路の下に設けられたX線のX線センサとを含」む点で共通する。
d 構成1Gについて
構成g1の「リチウムイオンバッテリ」は構成1Gの「リチウムイオン二次電池」に相当する。
構成g1において、「被検査物2の検出スペクトル30と各種材料の参照スペクトル31a、31b、31c・・・とを比較した結果から、被検査物2の材料を特定する判定32が導かれ」る際には、「各種材料の参照スペクトル31a、31b、31c・・・」に「リチウムイオンバッテリの参照スペクトル31a」が含まれているから、「被検査物2の材料」が「リチウムイオンバッテリ」であることを「特定」する、すなわち、「リチウムイオンバッテリ」の有無を判断することができるものといえる。また、構成g1の「演算部21とメモリ31を備える比較部22とを有する制御部20」は構成1Gの「第1の判断部」に相当する。
よって、構成g1において、「演算部21とメモリ31を備える比較部22とを有する制御部20を備え、演算部21は被検査物の検出スペクトルの算出のため被検査物2を透過したX線の光量Iobj-IBと、被検査物2を透さないX線の光量IL-IBとの比率を求め、制御部20は、予め取得された種々の材料の参照スペクトルを比較部22のメモリ31に記憶させ、リチウムイオンバッテリの参照スペクトル31aが記憶され、比較部22においては、被検査物2の検出スペクトル30と各種材料の参照スペクトル31a、31b、31c・・・とを比較した結果から、被検査物2の材料を特定する判定32が導かれ」ることは、構成1Gにおいて、「前記リチウムイオン二次電池の有無を判断する第1の判断部を含」むことに相当する。
e 構成1Hについて
構成g1において、「演算部21は被検査物の検出スペクトルの算出のため被検査物2を透過したX線の光量Iobj-IBと、被検査物2を透さないX線の光量IL-IBとの比率を求め、制御部20は、予め取得された種々の材料の参照スペクトルを比較部22のメモリ31に記憶させ、リチウムイオンバッテリの参照スペクトル31aが記憶され、比較部22においては、被検査物2の検出スペクトル30と各種材料の参照スペクトル31a、31b、31c・・・とを比較した結果から、被検査物2の材料を特定する判定32が導かれ」るとの「演算部21とメモリ31を備える比較部22とを有する制御部20」の動作が、所定のアルゴリズムに基づいて行われることは、当業者にとって自明である。また、「被検査物2の材料を特定する」ことは、「被検査物2の材料」を判断することといえる。
よって、構成g1の「演算部21とメモリ31を備える比較部22とを有する制御部20」は、判断アルゴリズムに基づき判断がなされるものといえる。
また、構成g1において、「制御部20は、予め取得された種々の材料の参照スペクトルを比較部22のメモリ31に記憶させ、リチウムイオンバッテリの参照スペクトル31aが記憶され、比較部22においては、被検査物2の検出スペクトル30と各種材料の参照スペクトル31a、31b、31c・・・とを比較した結果から、被検査物2の材料を特定する判定32が導かれ」ることは、「被検査物2の材料」を、「各種材料の参照スペクトル31a、31b、31c」に対応するそれぞれの材料のいずれに該当するか、分類するものといえるから、「演算部21とメモリ31を備える比較部22とを有する制御部20」が有する上記判断アルゴリズムは、分類器であるといえる。
以上より、構成g1において、「演算部21とメモリ31を備える比較部22とを有する制御部20を備え、演算部21は被検査物の検出スペクトルの算出のため被検査物2を透過したX線の光量Iobj-IBと、被検査物2を透さないX線の光量IL-IBとの比率を求め、制御部20は、予め取得された種々の材料の参照スペクトルを比較部22のメモリ31に記憶させ、リチウムイオンバッテリの参照スペクトル31aが記憶され、比較部22においては、被検査物2の検出スペクトル30と各種材料の参照スペクトル31a、31b、31c・・・とを比較した結果から、被検査物2の材料を特定する判定32が導かれる」ことは、構成1Hにおいて、「前記第1の判断部は、判断アルゴリズムまたは分類器に基づき判断がなされ」ることに相当する。
f 構成1Iについて
構成g1において、「予め取得された種々の材料の参照スペクトルを比較部22のメモリ31に記憶させ、リチウムイオンバッテリの参照スペクトル31aが記憶され、比較部22においては、被検査物2の検出スペクトル30と各種材料の参照スペクトル31a、31b、31c・・・とを比較した結果から、被検査物2の材料を特定する判定32が導かれる」ことは、「被検査物2の検出スペクトル30」に基づいて「リチウムイオンバッテリ」の有無を判断することといえる。
また、構成g1の「被検査物2の検出スペクトル30」は、「被検査物2を透過したX線の光量Iobj-IBと、被検査物2を透さないX線の光量IL-IBとの比率」であるから、X線に関するものであるといえる。
よって、構成g1と構成1Iとは、「X線」「に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する」点で共通する。
g 構成1Jについて
構成j1の「材料判別装置」は、構成e1より「被検査物2を透過したX線の所定帯域のスペクトルである検出スペクトルを検出する検出部10」を備えるから、X線を用いるものであり、構成a1より「被検査物の材料を推定する」ものであるから、検査をするものといえる。
よって、構成j1の「材料判別装置」は、構成1Jの「X線検査システム」に相当する。
(イ)一致点・相違点
上記(ア)のとおりであるから、本件発明1と甲1発明とは、下記aの点で一致し、下記b~gの点で相違する。
a 一致点
「1A 検査対象の物品または物品群にリチウムイオン二次電池が含まれているかどうかを検査するためのものであり、
1D’X線源と、
1E’前記物品が通過する搬送路の下に設けられたX線のX線センサとを含み、
1G 前記リチウムイオン二次電池の有無を判断する第1の判断部を含み、
1H 前記第1の判断部は、判断アルゴリズムまたは分類器に基づき判断がなされ、
1I’X線に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する
1J X線検査システム。」
b 相違点1-11(構成1B)
本件発明1は、「検査室」を含むと特定されているのに対し、甲1発明はそのように特定されていない点。
c 相違点1-12(構成1C)
本件発明1は、「前記検査室に前記物品を導入するためのトンネル導入部」を含むと特定されているのに対し、甲1発明はそのように特定されていない点。
d 相違点1-13(構成1D)
本件発明1は、「前記検査室の天井に設けられたX線源」と特定されているのに対し、甲1発明の「X線源1」は、検査室の天井に設けられると特定されていない点。
e 相違点1-14(構成1E)
本件発明1は、「前記検査室において前記物品が通過する搬送路の下に設けられたX線のX線センサ」を含むと特定されているのに対し、甲1発明の「検出部10」(Xセンサ)は、「被検査物2を載置させる無端搬送ベルト5の下に設けられ」ているものの、検査室において物品が通過する搬送路の下に設けられたものとは特定されていない点。
f 相違点1-15(構成1F)
本件発明1は、「前記トンネル導入部は、X線源から発したX線が外部に漏れないようにするためのものであ」ると特定されているのに対し、甲1発明はそのように特定されていない点。
g 相違点1-16(構成1I)
本件発明1は「一つのX線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する」と特定されているのに対し、甲1発明は、一つのX線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率に基づき判断すると特定されていない点。
(ウ)相違点に対する判断
事案に鑑み、相違点1-16について検討する。
a 甲1には、「一つのX線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する」ことについて、記載も示唆もない。
また、甲1発明は、「演算部21とメモリ31を備える比較部22とを有する制御部20を備え、演算部21は被検査物の検出スペクトルの算出のため被検査物2を透過したX線の光量Iobj-IBと、被検査物2を透さないX線の光量IL-IBとの比率を求め、制御部20は、予め取得された種々の材料の参照スペクトルを比較部22のメモリ31に記憶させ、リチウムイオンバッテリの参照スペクトル31aが記憶され、比較部22においては、被検査物2の検出スペクトル30と各種材料の参照スペクトル31a、31b、31c・・・とを比較した結果から、被検査物2の材料を特定する判定32が導かれる」(構成g1)ものであって、「X線」における「被検査物の検出スペクトル」を用いるものである。
そして、X線におけるスペクトルは、X線における波長毎の強度の情報を意味するから、甲1発明において、「被検査物の検出スペクトル」をX線画像から得る場合、波長毎の複数のX線画像が必要となるといえる。
よって、甲1発明において、「被検査物の検出スペクトル」をX線画像から得るものとすることが当業者が容易に想到し得ることであったとしても、「一つの」X線画像から得るものとすることには、阻害要因があるといえる。
以上より、甲1発明において、「一つのX線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する」ものとし、相違点1-16に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
b(a)甲5発明において、「バッテリの分類の為のラベルであることができ、アルカリ電池とリチウムイオン電池との間で区別が行われることができる」(構成a5)ことから、「ラベル」は、「リチウムイオン電池」の有無を判断するためのものといえる。よって、甲5発明において、「該訓練されたニューラルネットワークが、各セグメント化されたオブジェクトにラベル付けする」(構成i5)ことは、構成1Iの「リチウムイオン二次電池の有無を判断する」ことに相当する。
甲5発明の「形状パラメータ」(構成i5)は、構成1Iの「物品の形状」に相当する。また、甲5発明の「原子番号を示すデータ」(構成i5)は、「より低いエネルギーのX線画像及び該より高いエネルギーのX線画像の分析によって」「決定」されるものであるから、X線画像から得られるX線に基づくものといえる。
よって、甲5発明は、本件発明1における、「物品の形状」および「X線画像から得られる」「X線」「に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する」ことに相当する構成を有しているといえる。
しかしながら、甲5発明は、リチウムイオン二次電池の有無を、「一つのX線画像から得られる」X線に基づいて判断するものではない。また、甲5には、他に、リチウムイオン二次電池の有無を、「一つのX線画像から得られる」X線に基づいて判断することを示唆する記載はない。
(b)さらに、甲5発明は、「該セグメント化されたオブジェクトごとに、少なくとも該原子番号を示す該データを、訓練されたニューラルネットワークに対する入力として提供し」、「該訓練されたニューラルネットワークが、各セグメント化されたオブジェクトにラベル付けする」(構成i5)ものであるから、「オブジェクトにラベル付けする」際に、「該原子番号を示す該データ」が必須であるといえる。
そして、「原子番号を示すデータ」は、「該セグメント化されたオブジェクトごとに、該より低いエネルギーのX線画像及び該より高いエネルギーのX線画像の分析によって」「決定」(構成i5)されるものであるから、「原子番号を示すデータ」を得るためには、「該より低いエネルギーのX線画像及び該より高いエネルギーのX線画像」が必要である、すなわち、少なくとも2つ(2種類のエネルギー)のX線画像が必須であるといえる。
よって、甲5発明において、「一つのX線画像から得られる」「X線」「に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する」ようにして、甲1発明に適用することには、阻害要因があるといえる。
(c)以上の通りであるから、甲1発明において、甲5発明の構成を適用しても、「一つのX線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する」との、相違点1-16に係る本件発明1の構成とすることが、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
c また、甲2~4、6~8号証のいずれにも、「一つのX線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する」ことについては、記載も示唆もされていない。
d 以上より、甲1発明において、相違点1-16に係る本件発明1の構成とすることは、甲5発明及び甲2~4、6~8に記載された事項を参酌しても、当業者が容易になし得たことではない。
(エ)小括
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、甲5発明及び甲2~4、6~8に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
イ 本件発明2
(ア)対比、一致点・相違点
上記ア(ア)の対比を踏まえると、本件発明2と甲1発明とは、下記aの点で一致し、下記b~gの点で相違する。
a 一致点
「2A 検査対象の物品または物品群にリチウムイオン二次電池が含まれているかどうかを検査するためのものであり、
2D’X線源と、
2E’前記物品が通過する搬送路の下に設けられたX線のX線センサとを含み、
2G 前記リチウムイオン二次電池の有無を判断する第1の判断部を含み、
2H 前記第1の判断部は、判断アルゴリズムまたは分類器に基づき判断がなされ、
2I’X線に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する、
2K X線検査システム。」
b 相違点2-11(構成2B)
本件発明2は、「検査室」を含むと特定されているのに対し、甲1発明はそのように特定されていない点。
c 相違点2-12(構成2C)
本件発明2は、「前記検査室に前記物品を導入するためのトンネル導入部」を含むと特定されているのに対し、甲1発明はそのように特定されていない点。
d 相違点2-13(構成2D)
本件発明2は、「前記検査室の天井に設けられたX線源」と特定されているのに対し、甲1発明の「X線源1」は、検査室の天井に設けられると特定されていない点。
e 相違点2-14(構成2E)
本件発明2は、「前記検査室において前記物品が通過する搬送路の下に設けられたX線のX線センサ」を含むと特定されているのに対し、甲1発明の「検出部10」(Xセンサ)は、「被検査物2を載置させる無端搬送ベルト5の下に設けられ」ているものの、検査室において物品が通過する搬送路の下に設けられたものとは特定されていない点。
f 相違点2-15(構成2F)
本件発明2は、「前記トンネル導入部は、X線源から発したX線が外部に漏れないようにするためのものであ」ると特定されているのに対し、甲2発明はそのように特定されていない点。
g 相違点2-16(構成2I)
本件発明2は「一つのX線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断」すると特定されているのに対し、甲1発明は、一つのX線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率に基づき判断するとは特定されていない点。
h 相違点2-17(構成2J)
本件発明2は「前記判断アルゴリズムまたは分類器を学習させる第1の学習部を含む」と特定されているのに対し、甲1発明はそのように特定されていない点。
(イ)相違点に対する判断
事案に鑑み、相違点2-16について検討する。
相違点2-16については、相違点1-16と同様に、上記ア(ウ)で検討したとおりであるから、甲1発明において、相違点2-16に係る本件発明2の構成とすることは、甲5発明及び甲2~4、6~8の記載事項を参酌しても、当業者が容易になし得たことではない。
(ウ)小括
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は、甲1発明、甲5発明及び甲2~4、6~8に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
ウ 本件発明3
(ア)対比
本件発明3と甲1発明とを対比する。
a 構成3Aについて
構成a1の「被検査物」および「Li-ionバッテリ」は、それぞれ、構成3Aの「検査対象の物品または物品群」、「リチウムイオン二次電池」に相当する。
また、構成a1において、「材料を推定する」ことは、「被検査物」に対して行うことであるから、構成3Aの「検査する」ことに相当する。
構成a1において、「発火性危険物であるLi-ionバッテリやアルカリ乾電池やスプレー缶など、材料毎のX線透過スペクトルを、参照スペクトルとして予め記憶しておき、これらと検出スペクトルとを比較することにより、被検査物の材料を推定する」ことは、「参照スペクトルとして予め記憶してお」いた「Li-ionバッテリ」の「X線透過スペクトル」と「検出スペクトルとを比較すること」で、「被検査物の材料」が「Li-ionバッテリ」であることを「推定する」ことであるから、構成3Aの「検査対象の物品または物品群にリチウムイオン二次電池が含まれているかどうかを」「検査する」ことに相当する。
よって、構成a1において「家庭ゴミや事業ゴミ等を被検査物とし、発火性危険物であるLi-ionバッテリやアルカリ乾電池やスプレー缶など、材料毎のX線透過スペクトルを、参照スペクトルとして予め記憶しておき、これらと検出スペクトルとを比較することにより、被検査物の材料を推定する材料判別装置」は、構成3Aと、「検査対象の物品または物品群にリチウムイオン二次電池が含まれているかどうかを」「検査するためのもの」である点で共通する。
b 構成3Bについて
構成d1の「X線源1」は、構成3Bの「X線源」に相当する。
よって、構成d1は、構成3Bと、「X線源」を含む点で共通する。
c 構成3Dについて
甲1発明において、「被検査物2を透過したX線の所定帯域のスペクトルである検出スペクトルを検出」(構成e1)し、「リチウムイオンバッテリの参照スペクトル31aが記憶され」ており「被検査物2の検出スペクトル30と各種材料の参照スペクトル31a、31b、31c・・・とを比較した結果から、被検査物2の材料を特定する」(構成g1)ことは、構成3Dにおいて、「リチウムイオン二次電池が混在している物品を透過したX線を受け、当該透過X線に基づき前記リチウムイオン二次電池の有無を検査」することに相当する。
d 構成3Eについて
(a)構成g1の「リチウムイオンバッテリ」は構成3Eの「リチウムイオン二次電池」に相当する。また、構成g1の「被検査物2の検出スペクトル30」は、「被検査物2を透過したX線の光量Iobj-IBと、被検査物2を透さないX線の光量IL-IBとの比率」であるから、X線に関するものであるといえる。
さらに、構成g1において、「被検査物2の検出スペクトル30と各種材料の参照スペクトル31a、31b、31c・・・とを比較した結果から、被検査物2の材料を特定する判定32が導かれ」る際には、「各種材料の参照スペクトル31a、31b、31c・・・」に「リチウムイオンバッテリの参照スペクトル31a」が含まれているから、「被検査物2の材料」が「リチウムイオンバッテリ」であることを「特定」する、すなわち、「リチウムイオンバッテリ」の有無を判断することができるものといえる。
よって、構成g1において、「被検査物2の検出スペクトル30と各種材料の参照スペクトル31a、31b、31c・・・とを比較した結果から、被検査物2の材料を特定する判定32が導かれる」ものである「演算部21とメモリ31を備える比較部22とを有する制御部20」は、構成3Eの「X線」「に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する」「第1の判断部」に相当する。
(b)構成g1において、「演算部21は被検査物の検出スペクトルの算出のため被検査物2を透過したX線の光量Iobj-IBと、被検査物2を透さないX線の光量IL-IBとの比率を求め、制御部20は、予め取得された種々の材料の参照スペクトルを比較部22のメモリ31に記憶させ、リチウムイオンバッテリの参照スペクトル31aが記憶され、比較部22においては、被検査物2の検出スペクトル30と各種材料の参照スペクトル31a、31b、31c・・・とを比較した結果から、被検査物2の材料を特定する判定32が導かれ」るとの「演算部21とメモリ31を備える比較部22とを有する制御部20」の動作が、所定のアルゴリズムに基づいて行われることは、当業者にとって自明である。また、「被検査物2の材料を特定する」ことは、「被検査物2の材料」を判断することといえる。
よって、構成g1の「演算部21とメモリ31を備える比較部22とを有する制御部20」は、判断アルゴリズムに基づき判断をするものといえる。
また、構成g1において、「制御部20は、予め取得された種々の材料の参照スペクトルを比較部22のメモリ31に記憶させ、リチウムイオンバッテリの参照スペクトル31aが記憶され、比較部22においては、被検査物2の検出スペクトル30と各種材料の参照スペクトル31a、31b、31c・・・とを比較した結果から、被検査物2の材料を特定する判定32が導かれ」ることは、「被検査物2の材料」を、「各種材料の参照スペクトル31a、31b、31c」に対応するそれぞれの材料のいずれに該当するか、分類するものといえるから、「演算部21とメモリ31を備える比較部22とを有する制御部20」が有する上記判断アルゴリズムは、分類器であるといえる。
以上より、構成g1において、「演算部21とメモリ31を備える比較部22とを有する制御部20」は、判断アルゴリズムまたは分類器に基づき判断がなされるものいえる。
(c)以上より、構成g1において、「演算部21とメモリ31を備える比較部22とを有する制御部20を備え、演算部21は被検査物の検出スペクトルの算出のため被検査物2を透過したX線の光量Iobj-IBと、被検査物2を透さないX線の光量IL-IBとの比率を求め、制御部20は、予め取得された種々の材料の参照スペクトルを比較部22のメモリ31に記憶させ、リチウムイオンバッテリの参照スペクトル31aが記憶され、比較部22においては、被検査物2の検出スペクトル30と各種材料の参照スペクトル31a、31b、31c・・・とを比較した結果から、被検査物2の材料を特定する判定32が導かれる」ことと、構成3Eとは、「判断アルゴリズムまたは分類器に基づき判断する第1の判断部が、」「X線」「に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する」点で共通する。
e 構成3Fについて
構成j1の「材料判別装置」は、構成e1より「被検査物2を透過したX線の所定帯域のスペクトルである検出スペクトルを検出する検出部10」を備えるから、X線を用いるものであり、構成a1より「被検査物の材料を推定する」ものであるから、検査をするものといえる。
よって、構成j1の「材料判別装置」は、構成3Fの「X線検査システム」に相当する。
(イ)一致点・相違点
上記(ア)のとおりであるから、本件発明1と甲1発明とは、下記aの点で一致し、下記b~eの点で相違する。
a 一致点
「3A’検査対象の物品または物品群にリチウムイオン二次電池が含まれているかどうかを検査するためのものであり、
3B’X線源と、を含み、
3D リチウムイオン二次電池が混在している物品を透過したX線を受け、当該透過X線に基づき前記リチウムイオン二次電池の有無を検査し、
3E’判断アルゴリズムまたは分類器に基づき判断する第1の判断部が、X線に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する
3F X線検査システム。」
b 相違点3-11(構成3A)
本件発明3は、「検査対象の物品または物品群にリチウムイオン二次電池が含まれているかどうかを検査室内で検査する」と特定されているのに対し、甲1発明は検査室内で検査するとは特定されていない点。
c 相違点3-12(構成3B)
本件発明3は、「前記検査室に設けられたX線源」と特定されているのに対し、甲1発明の「X線源1」は、検査室に設けられているとは特定されていない点。
d 相違点3-13(構成3C)
本件発明3は、「前記X線源から発したX線が外部に漏れないようにするためのトンネル導入部」を含むと特定されているのに対し、甲1発明はそのように特定されていない点。
e 相違点3-14(構成3E)
本件発明3は、「判断アルゴリズムまたは分類器に基づき判断する第1の判断部が、一つのX線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する」と特定されているのに対し、甲1発明は、一つのX線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率に基づき判断するとは特定されていない点。
(ウ)相違点に対する判断
事案に鑑み、相違点3-14について検討する。
上記ア(ウ)で検討したとおり、甲1発明において、「一つのX線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率に基づき判断する」構成とすることは、上記ア(ウ)で検討したとおり、甲5発明及び甲2~4、6~8の記載事項を参酌しても、当業者が容易になし得たこととはいえない。
よって、甲1発明において、相違点3-14に係る本件発明3の構成とすることは、甲5発明及び甲2~4、6~8の記載事項を参酌しても、当業者が容易になし得たことではない。
(エ)小括
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明3は、甲1発明、甲5発明及び甲2~4、6~8に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)甲5発明を主引用発明とした場合について
ア 本件発明1
(ア)対比
本件発明1と甲5発明とを対比する。
a 構成1Aについて
(ア)構成a5において、「リチウムイオン電池」及び「ラベル付けを提供し」「区別」することは、それぞれ、構成1Aの「リチウムイオン二次電池」及び「リチウムイオン二次電池」を「検査する」ことに相当する。
構成j5の「廃棄物ストリーム」は、構成1Aの「検査対象の物品または物品群」に相当する。また、構成a5において、「改善されたラベル付けを提供し」「区別」する対象物が「廃棄物ストリーム」であることは明らかであるから、構成a5において「ラベル付けを提供し」「区別」することは、構成1Aにおいて、「検査対象の物品または物品群」の「リチウムイオン二次電池」を「検査する」ことに相当する。
また、構成a5において、「ラベルは、バッテリの分類の為のラベルであることができ、アルカリ電池とリチウムイオン電池との間で区別が行われることができる」ものであるから、「訓練された人工ニューラルネットワークを使用して、改善されたラベル付けを提供」することは、構成1Aにおいて、「リチウムイオン二次電池が含まれているかどうかを検査する」ことに相当する。
よって、甲5発明において、「廃棄物ストリームを選別する」(構成j5)にあたり、「訓練された人工ニューラルネットワークを使用して、改善されたラベル付けを提供し、ラベルは、バッテリの分類の為のラベルであることができ、アルカリ電池とリチウムイオン電池との間で区別が行われることができる、廃棄物ストリームを選別するように構成されたリサイクルデバイス」(構成a5)」は、構成1Aの「検査対象の物品または物品群にリチウムイオン二次電池が含まれているかどうかを検査するためのもの」に相当する。
b 構成1Dについて
構成d5の「X線センサ11の一方側の構成部材」は、構成e5の「X線センサ11の他方側の構成部材であり、デュアルエネルギーX線透過の画像化を行う為の2つのX線サブユニット11a、11bを有するX線センサ11」と共に「X線センサ11」を構成する部材であり、また、「物質3の搬送路の下に設けられ、X線センサ11の他方側の構成部材」であって、透過したX線を画像化する「X線サブユニット11a、11b」に対して「物質3の搬送路の上に設けられ」、また「X線センサ11の一方側」の構成部材であるから、「2つのX線サブユニット11a、11b」に対してX線を照射する部材であることは、当業者にとって自明である。
よって、構成d5の「X線センサ11の一方側の構成部材」は、構成1Dの「X線源」に相当する。
c 構成1Eについて
構成e5の「物質3の搬送路」及び「デュアルエネルギーX線透過の画像化を行う為の2つのX線サブユニット11a、11b」は、それぞれ、構成1Eの「前記物品が通過する搬送路」及び「X線のX線センサ」に相当する。
よって、構成e5は、構成1Eと「前記物品が通過する搬送路の下に設けられたX線のX線センサ」を含む点で共通する。
d 構成1Gについて
構成g5において、「ラベル」は、構成a1より、「バッテリの分類の為のラベルであり、アルカリ電池とリチウムイオン電池との間で区別が行われることができる」もの、すなわち、「リチウムイオン電池」の有無を判断するためのものといえるから、構成g5の「各セグメント化されたオブジェクトにラベル付けするように構成されているニューラルネットワーク」は、構成1Gの「前記リチウムイオン二次電池の有無を判断する第1の判断部」に相当する。
e 構成1Hについて
構成g5において、「各セグメント化されたオブジェクトにラベル付けする」ことは、「各セグメント化されたオブジェクト」を「ラベル」毎に分類することといえる。
よって、構成g5の「各セグメント化されたオブジェクトにラベル付けするように構成されているニューラルネットワーク」は、分類器としての機能を有するといえる。
また、「各セグメント化されたオブジェクトにラベル付けするように構成されているニューラルネットワーク」が、「ラベル付け」の判断をするように構成された、アルゴリズムに基づくものであることは、当業者にとって自明である。
よって、構成g5において、「各セグメント化されたオブジェクトにラベル付けするように構成されているニューラルネットワークとを備え」ることは、構成1Hにおいて、「前記第1の判断部は、判断アルゴリズムまたは分類器に基づき判断がなされ」ることに相当する。
f 構成1Iについて
構成i5の「形状パラメータ」は、構成1Iの「物品の形状」に相当する。また、構成i5の「原子番号を示すデータ」は、「より低いエネルギーのX線画像及び該より高いエネルギーのX線画像の分析によって」「決定」されるものであるから、X線画像から得られるX線に基づくものといえる。
上記dにおいて説示したのと同様に、構成i5の「ラベル」は、構成a1より、「リチウムイオン電池」の有無を判断するためのものといえるから、構成h5において「該訓練されたニューラルネットワークが、各セグメント化されたオブジェクトにラベル付けする」ことは、構成1Hにおいて「リチウムイオン二次電池の有無を判断する」ことに相当する。
よって、構成g5において、「知覚システムによって取得された画像のセグメント化を行い、該セグメント化されたオブジェクトごとに、該より低いエネルギーのX線画像及び該より高いエネルギーのX線画像の分析によって、原子番号を示すデータを決定し、該セグメント化されたオブジェクトごとに、少なくとも該原子番号を示す該データを、訓練されたニューラルネットワークに対する入力として提供し、該訓練されたニューラルネットワークに対する該入力は、形状パラメータ等であることができ、該訓練されたニューラルネットワークが、各セグメント化されたオブジェクトにラベル付けするように構成されている」ことは、構成1Iと、「前記物品の形状」および「X線画像から得られる」「X線」「に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する」点で共通する。
g 構成1Jについて
構成j5の「廃棄物ストリームを選別するように構成されたリサイクルデバイス」は、「廃棄物ストリーム」を検査するものといえ、また、構成e5より、「デュアルエネルギーX線透過の画像化を行う為の2つのX線サブユニット11a、11bを有するX線センサ11」を備えるものであって、X線を用いるものであるから、構成1Jの「X線検査システム」に相当する。
(イ)一致点・相違点
上記(ア)のとおりであるから、本件発明1と甲5発明とは、下記aの点で一致し、下記b~gの点で相違する。
a 一致点
「1A 検査対象の物品または物品群にリチウムイオン二次電池が含まれているかどうかを検査するためのものであり、
1D’X線源と、
1E’前記物品が通過する搬送路の下に設けられたX線のX線センサとを含み、
1G 前記リチウムイオン二次電池の有無を判断する第1の判断部を含み、
1H 前記第1の判断部は、判断アルゴリズムまたは分類器に基づき判断がなされ、
1I’前記物品の形状およびX線画像から得られるX線に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する
1J X線検査システム。」
b 相違点1-51(構成1B)
本件発明1は、「検査室」を含むと特定されているのに対し、甲5発明はそのように特定されていない点。
c 相違点1-52(構成1C)
本件発明1は、「前記検査室に前記物品を導入するためのトンネル導入部」を含むと特定されているのに対し、甲5発明はそのように特定されていない点。
d 相違点1-53(構成1D)
本件発明1は、「前記検査室の天井に設けられたX線源」と特定されているのに対し、甲5発明の「物質3の搬送路の上に設けられたX線センサ11の一方側の構成部材」(X線源)は、検査室の天井に設けられると特定されていない点。
e 相違点1-54(構成1E)
本件発明1は、「前記検査室において前記物品が通過する搬送路の下に設けられたX線のX線センサ」を含むのに対し、甲5発明は「検査室」を備えるとは特定されておらず、甲5発明の「物質3の搬送路」(搬送路)は、「前記検査室において前記物品が通過する」ものであるとは特定されていない点。
f 相違点1-55(構成1F)
本件発明1は、「前記トンネル導入部は、X線源から発したX線が外部に漏れないようにするためのものであ」ると特定されているのに対し、甲5発明はそのように特定されていない点。
g 相違点1-56(構成1I)
本件発明1は「一つのX線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する」と特定されているのに対し、甲5発明は、「形状パラメータ」(物品の形状)が一つのX線画像から得られるものとは特定されておらず、また、「より低いエネルギーのX線画像及び該より高いエネルギーのX線画像」は、一つのX線画像から得られるものではないし、X線吸収率であるとも特定されていない点。
(ウ)相違点に対する判断
事案に鑑み、相違点1-56について検討する。
a 甲5発明、構成i5において、「訓練されたニューラルネットワーク」に入力される「原子番号を示すデータ」は、「該セグメント化されたオブジェクトごとに、該より低いエネルギーのX線画像及び該より高いエネルギーのX線画像の分析によって」「決定」されるものであるから、一つのX線画像から得られるものではない。
また、一つのX線画像のみから撮影された物質の原子番号を特定することはできないことは、当業者にとって自明であるから、甲5発明において「原子番号を示すデータ」を得るためには、「該より低いエネルギーのX線画像及び該より高いエネルギーのX線画像」の2つのX線画像を用いることが必須であるといえる。
よって、甲5発明において、「訓練されたニューラルネットワーク」に入力される「原子番号を示すデータ」を決定するために「より低いエネルギーのX線画像及び該より高いエネルギーのX線画像」を用いる構成に代えて、一つのX線画像のみを用いる構成とすることは、当業者にとって容易であるとはいえない。
以上より、甲5発明において「一つのX線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する」構成とし、相違点1-56に係る本件発明1の構成とすることが、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
b また、甲1発明、甲2~4、6~8のいずれにも、「一つのX線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する」ことについては、記載も示唆もされていない。
c 以上より、甲5発明において、相違点1-56に係る本件発明1の構成とすることは、甲1発明、甲2~4、6~8の記載事項を参酌しても、当業者が容易になし得たことではない。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲5発明及び甲1発明、甲2~4、6~8に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(エ)小括
したがって、本件発明1は、甲5発明、甲1発明及び甲2~4、6~8に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
イ 本件発明2
(ア)対比、一致点・相違点
上記ア(ア)の対比を踏まえると、本件発明2と甲1発明とは、下記aの点で一致し、下記b~hの点で相違する。
a 一致点
「2A 検査対象の物品または物品群にリチウムイオン二次電池が含まれているかどうかを検査するためのものであり、
2D’X線源と、
2E’前記物品が通過する搬送路の下に設けられたX線のX線センサとを含み、
2G 前記リチウムイオン二次電池の有無を判断する第1の判断部とを含み、
2H 前記第1の判断部は、判断アルゴリズムまたは分類器に基づき判断がなされ、
2I’ 前記物品の形状およびX線画像から得られるX線に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する、
2K X線検査システム。」
b 相違点2-51(構成2B)
本件発明2は、「検査室」を含むと特定されているのに対し、甲5発明はそのように特定されていない点。
c 相違点2-52(構成2C)
本件発明2は、「前記検査室に前記物品を導入するためのトンネル導入部」を含むと特定されているのに対し、甲5発明はそのように特定されていない点。
d 相違点2-53(構成2D)
本件発明2は、「前記検査室の天井に設けられたX線源」と特定されているのに対し、甲5発明の「物質3の搬送路の上に設けられたX線センサ11の一方側の構成部材」(X線源)は、検査室の天井に設けられると特定されていない点。
e 相違点2-54(構成2E)
本件発明2は、「前記検査室において前記物品が通過する搬送路の下に設けられたX線のX線センサ」を含むのに対し、甲5発明は「検査室」を備えるとは特定されておらず、甲5発明の「物質3の搬送路」(搬送路)は、「前記検査室において前記物品が通過する」ものであるとは特定されていない点。
f 相違点2-55(構成2F)
本件発明2は、「前記トンネル導入部は、X線源から発したX線が外部に漏れないようにするためのものであ」ると特定されているのに対し、甲5発明はそのように特定されていない点。
g 相違点2-56(構成2I)
本件発明2は「一つのX線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する」と特定されているのに対し、甲5発明は、「形状パラメータ」(物品の形状)が一つのX線画像から得られるものとは特定されておらず、また、「より低いエネルギーのX線画像及び該より高いエネルギーのX線画像」は、一つのX線画像から得られるものではないし、X線吸収率であるとも特定されていない点。
h 相違点2-57(構成2J)
本件発明2は「前記判断アルゴリズムまたは分類器を学習させる第1の学習部を含む」と特定されているのに対し、甲5発明はそのように特定されていない点。
(イ)相違点に対する判断
事案に鑑み、相違点2-56について検討する。
相違点2-56については、相違点1-56と同様に、上記ア(ウ)で検討したとおりであるから、甲5発明において、相違点2-56に係る本件発明2の構成とすることは、甲1発明及び甲2~4、6~8の記載事項を参酌しても、当業者が容易になし得たことではない。
(ウ)小括
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲5発明、甲1発明及び甲2~4、6~8に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
ウ 本件発明3
(ア)対比
本件発明3と甲5発明とを対比する。
a 構成3Aについて
構成a5において、「リチウムイオン電池」及び「ラベル付けを提供し」「区別」することは、それぞれ、構成3Aの「リチウムイオン二次電池」及び「リチウムイオン二次電池」を「検査する」ことに相当する。
構成j5の「廃棄物ストリーム」は、構成3Aの「検査対象の物品または物品群」に相当する。また、構成a5において、「改善されたラベル付けを提供し」「区別」する対象物が「廃棄物ストリーム」であることは明らかであるから、構成a5において「ラベル付けを提供し」「区別」することは、構成3Aにおいて「検査対象の物品または物品群」の「リチウムイオン二次電池」を「検査する」ことに相当する。
また、構成a5において、「ラベルは、バッテリの分類の為のラベルであることができ、アルカリ電池とリチウムイオン電池との間で区別が行われることができる」ものであるから、「訓練された人工ニューラルネットワークを使用して、改善されたラベル付けを提供」することは、構成3Aにおいて、「リチウムイオン二次電池が含まれているかどうかを」「検査する」ことに相当する。
よって、構成a5において、「訓練された人工ニューラルネットワークを使用して、改善されたラベル付けを提供し、ラベルは、バッテリの分類の為のラベルであることができ、アルカリ電池とリチウムイオン電池との間で区別が行われることができる、廃棄物ストリームを選別するように構成されたリサイクルデバイス」は、構成3Aと、「検査対象の物品または物品群にリチウムイオン二次電池が含まれているかどうかを」「検査するためのもの」である点で共通する。
b 構成3Bについて
構成d5の「X線センサ11の一方側の構成部材」は、構成e5の「X線センサ11の他方側の構成部材であり、デュアルエネルギーX線透過の画像化を行う為の2つのX線サブユニット11a、11bを有するX線センサ11」と共に「X線センサ11」を構成する部材であり、また、「物質3の搬送路の下に設けられ、X線センサ11の他方側の構成部材」である「X線サブユニット11a、11b」に対して「物質3の搬送路の上に設けられ」、また「X線センサ11の一方側」の構成部材であるから、「2つのX線サブユニット11a、11b」に対してX線を照射する部材であることは、当業者にとって自明である。
よって、構成d5の「X線センサ11の一方側の構成部材」は、構成3Bの「X線源」に相当する。
c 構成3Dについて
構成j5において、「廃棄物ストリームを選別するように構成されたリサイクルデバイス」は、構成a5より「アルカリ電池とリチウムイオン電池との間で区別が行われることができる」ものであるから、「廃棄物ストリーム」が、少なくとも「リチウムイオン電池」及び「アルカリ電池」を含めたものが混在している物品であることは、明らかである。よって、構成a5の「廃棄物ストリーム」は、構成3Dの「リチウムイオン二次電池が混在している物品」に相当する。
構成a5において、「ラベルは、バッテリの分類の為のラベルであることができ、アルカリ電池とリチウムイオン電池との間で区別が行われることができる」から、「訓練された人工ニューラルネットワークを使用して、改善されたラベル付けを提供」する際に「廃棄物ストリーム」に「リチウムイオン電池」が含まれていれば、「リチウムイオン電池」の「ラベル付け」が提供される、すなわち、「リチウムイオン電池」の有無が検査されるといえる。よって、構成a5において「訓練された人工ニューラルネットワークを使用して、改善されたラベル付けを提供し、ラベルは、バッテリの分類の為のラベルであることができ、アルカリ電池とリチウムイオン電池との間で区別が行われることができる」ことは、構成3Dにおいて、「前記リチウムイオン二次電池の有無を検査」することに相当する。
また、構成i5において、「より低いエネルギーのX線画像及び該より高いエネルギーのX線画像」は、構成e5より、「物質3の搬送路の下に設けられ、X線センサ11の他方側の構成部材であり、デュアルエネルギーX線透過の画像化を行う為の2つのX線サブユニット11a、11bを有するX線センサ11」によりX線画像化されたものであるから、「物質3」を透過したX線に基づくものであることは、明らかである。
よって、構成a5、e5、i5、j5より、甲5発明は、構成3Dの「チウムイオン二次電池が混在している物品を透過したX線を受け、当該透過X線に基づき前記リチウムイオン二次電池の有無を検査」することに相当する構成を有しているといえる。
d 構成3Eについて
(a)構成g5において、「ラベル」は、構成a1より、「バッテリの分類の為のラベルであり、アルカリ電池とリチウムイオン電池との間で区別が行われることができる」もの、すなわち、「リチウムイオン電池」の有無を判断するためのものといえるから、構成g5の「各セグメント化されたオブジェクトにラベル付けするように構成されているニューラルネットワーク」は、構成3Eの「リチウムイオン二次電池の有無を判断する」「第1の判断部」に相当する。
構成g5において、「各セグメント化されたオブジェクトにラベル付けする」ことは、「各セグメント化されたオブジェクト」を「ラベル」毎に分類することといえる。
よって、構成g5の「各セグメント化されたオブジェクトにラベル付けするように構成されているニューラルネットワーク」は、分類器としての機能を有するといえる。
また、「各セグメント化されたオブジェクトにラベル付けするように構成されているニューラルネットワーク」が、「ラベル付け」の判断をするように構成された、アルゴリズムに基づくものであることは、当業者にとって自明である。
よって、構成g5における、「各セグメント化されたオブジェクトにラベル付けするように構成されているニューラルネットワーク」は、構成3Eにおける、「判断アルゴリズムまたは分類器に基づき判断する第1の判断部」に相当する。
構成i5の「形状パラメータ」は、構成3Eの「物品の形状」に相当する。また、構成i5の「原子番号を示すデータ」は、「該より低いエネルギーのX線画像及び該より高いエネルギーのX線画像の分析によって」「決定」されるものであるから、X線画像から得られるX線に基づくものといえる。
以上より、構成g5、i5と構成3Eとは、「判断アルゴリズムまたは分類器に基づき判断する第1の判断部が」、「前記物品の形状」および「X線画像から得られるX線」「に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する」点で共通する。
e 構成3Fについて
構成j5の「廃棄物ストリームを選別するように構成されたリサイクルデバイス」は、「廃棄物ストリーム」を検査するものといえ、また、構成e5より、「デュアルエネルギーX線透過の画像化を行う為の2つのX線サブユニット11a、11bを有するX線センサ11」を備えるものであって、X線を用いるものであるから、構成3Fの「X線検査システム」に相当する。
(イ)一致点・相違点
上記(ア)のとおりであるから、本件発明3と甲5発明とは、下記aの点で一致し、下記b~eの点で相違する。
a 一致点
「3A’検査対象の物品または物品群にリチウムイオン二次電池が含まれているかどうかを検査するためのものであり、
3B’X線源と、を含み、
3D リチウムイオン二次電池が混在している物品を透過したX線を受け、当該透過X線に基づき前記リチウムイオン二次電池の有無を検査し、
3E’判断アルゴリズムまたは分類器に基づき判断する第1の判断部が、前記物品の形状およびX線画像から得られるX線に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する
3F X線検査システム。」
b 相違点3-51(構成3A)
本件発明3は、「検査対象の物品または物品群にリチウムイオン二次電池が含まれているかどうかを検査室内で検査する」と特定されているのに対し、甲5発明は検査室内で検査するとは特定されていない点。
c 相違点3-52(構成3B)
本件発明3は、「前記検査室に設けられたX線源」と特定されているのに対し、甲5発明の「物質3の搬送路の上に設けられたX線センサ11の一方側の構成部材」(X線源)は、検査室に設けられているとは特定されていない点。
d 相違点3-53(構成3C)
本件発明3は、「前記X線源から発したX線が外部に漏れないようにするためのトンネル導入部」を含むと特定されているのに対し、甲5発明はそのように特定されていない点。
e 相違点3-54(構成3E)
本件発明3は、「判断アルゴリズムまたは分類器に基づき判断する第1の判断部が、一つのX線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断する」と特定されているのに対し、甲5発明は、「形状パラメータ」(物品の形状)が一つのX線画像から得られるものとは特定されておらず、また、「より低いエネルギーのX線画像及び該より高いエネルギーのX線画像」は、一つのX線画像から得られるものではないし、X線吸収率であるとも特定されていない点。
(ウ)相違点に対する判断
事案に鑑み、相違点3-54について検討する。
上記ア(ウ)で検討したとおり、甲5発明において、「一つのX線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率に基づき判断する」構成とすることは、甲1発明及び甲2~4、6~8の記載事項を参酌しても、当業者が容易になし得たこととはいえない。
よって、甲5発明において、相違点3-54に係る本件発明3の構成とすることは、甲1発明及び甲2~4、6~8の記載事項を参酌しても、当業者が容易になし得たことではない。
(エ)小括
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明3は、甲5発明、甲1発明及び甲2~4、6~8に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(4)申立人が、令和7年3月11日付けで提出した意見書(以下「意見書」という。)における主張について
申立人は、意見書において、
「訂正後の請求項1のうち、本件特許明細書の段落【0033】の記載を根拠とする限定事項「一つのX線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオンニ次電池の有無を判断するX線検査システム。」に関し、甲第5号証には、以下の記載がある。
・・・
●記載事項3(段落【0046】)
「・・・少なくとも1つの画像を取得する為に、1以上の物質を画像化すること(例えば、X線スキャン)、その画像から構成要素をセグメント化し、クリッピングすること、個々のセグメント化された構成要素についての特徴及び/又は特性、例えば、(例えば、デュアルエネルギーX線画像化又はマルチェネルギーX線画像化に基づく)質量、(例えば、3D画像に基づく)体積、原子番号、形状、偏心、寸法等を識別すること、のうちの少なくとも幾つかを含みうる。」
・・・
このように、「一つのX線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオンニ次電池の有無を判断する」ことは、甲第5号証に記載されている。
・・・
従って、訂正後の請求項1は、甲5発明及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。」
と主張しているので検討する。
申立人の主張における、甲5の明細書第9頁第31行~第10頁第3行(日本語ファミリー文献である特表2023-507490号公報における段落【0046】)には、「1以上の物質を画像化する」との記載があるものの、当該記載において画像化された1以上の画像について、「その画像から構成要素をセグメント化し、クリッピングすること」に用いる旨しか記載されておらず、当該1以上の画像を、リチウムイオンニ次電池の有無を判断するのに用いる、すなわち、甲5発明において、「訓練されたニューラルネットワークに対する入力」となる「原子番号を示す該データ」(構成i5)の取得のために用いることは、記載されていない。
また、仮に、当該「1以上の物質を画像化」した1以上の画像を「原子番号を示す該データ」の取得のために用いることが示唆されていると解釈したとしても、「原子番号を示す該データ」は「該より低いエネルギーのX線画像及び該より高いエネルギーのX線画像の分析によって」決定されるものであって、一つの画像から決定することはできないものであるから、「1以上の物質を画像化」する際の画像化の数として1を選択し、1つのX線画像から「原子番号を示す該データ」を得ることが、甲5に記載されているとはいえない。
よって、「「一つのX線画像から得られる前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオンニ次電池の有無を判断する」ことは、甲第5号証に記載されている。」との主張は、採用できない。
そして、上記(3)に示した通り、本件発明1~3は、甲5発明及び甲1発明、甲2~4、甲6~8に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
よって、申立人の上記主張は採用できない。
(5)申立理由(進歩性)についてのまとめ
以上より、本件発明1~3は、甲1発明、甲5発明、甲2~4及び甲6~8に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないことから、本件発明1~3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、申立理由によって、本件発明1~3に係る特許を取り消すことはできない。
また、本件発明4~10は削除されているので、本件発明4~10について、申立理由は存在していない。
第7 むすび
以上のとおり、本件発明1~3に係る特許は、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された申立理由によって、取り消すことができない。
また、他に本件発明1~3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、訂正前の請求項4~10は削除されているので、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により、請求項4~10に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-700047