商標拒絶査定不服審判
2024-650049
メゾンプシシェアルシオーネ、メゾンプシシェ、メゾン、プシシェ、プシケ、プシュケ、プシュケー、サイケ、サイキ、アルシオーネ、アルシオネ、アルキオネ
- 審判番号
- 2024-650049
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 1677933
- 請求日
- 2024年06月13日
- 審決日
- 2024年12月18日
- 公報発行日
- 2025年07月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】Maison Psyche
- 【請求人代理人】弁理士法人大島・西村・宮永商標特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 大森 友子
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 田中 瑠美
- 分類
- T18 .261-Z (W03) / T18 .262-Z (W03) / T18 .263-Z (W03)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
国際登録第1677933号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。
結論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
1 手続の経緯
本願は、2021年(令和3年)12月14日にFranceにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2022年(令和4年)6月13日に国際商標登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
2023年(令和5年) 5月26日付け:暫定拒絶通報
2023年(令和5年)10月10日 :意見書の提出
2024年(令和6年) 3月14日付け:拒絶査定
2024年(令和6年) 6月13日 :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第3類「Perfumery products; perfumes; eau de toilette; eau de parfum; air fragrancing preparations; essential oils for personal use; make-up products; make-up removing products; hair and body lotions; soaps; dentifrices; deodorants for personal use; shower gels; shampoos; beauty creams for the body.」を指定商品として、国際商標登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第6520329号商標(以下「引用商標」という。)は、「アルシオネ」の文字を標準文字で表してなり、令和3年8月11日登録出願、第3類「せっけん類,化粧品,香料,薫料」及び第35類「商品の販売に関する情報の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定商品及び指定役務として、同4年3月1日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標について
本願商標は、別掲のとおり、円の内部において、中央に蝶を象ったと思しき図形(以下「図形部分」という。)を配し、上方に円弧に沿って「・MAISON PSYCHE・」(「E」の文字にはアクサンテギュが付されている。以下同じ。)の文字を、図形部分を挟んだ下方に同じく円弧に沿って「ALCYONE」の文字をそれぞれ表した構成よりなるものであるところ、図形部分と各文字部分とは、相互に一定の間隔を空けて、重なり合うことなく、独立して表されていることから、視覚上分離して看取し得るものである。
そして、図形部分は、中央に蝶を象ったと思しき図形ではあるものの、その構成態様から特定の意味合いを想起させるとまではいい難く、特定の称呼及び観念を生じないものである。
また、「・MAISON PSYCHE・」の文字部分のうち、「MAISON」は、「メゾン」の読みにおいて、「家。住居。」等を意味するフランス語であり、「PSYCHE」は、「プシュケー」や「プシケ」の読みにおいて、「ギリシア神話で、エロスに愛された美女。」等を意味する語として辞書に載録が認められ(いずれも出典は、株式会社岩波書店「広辞苑 第七版」)、さらに、「ALCYONE」の文字部分は、原審説示のとおり、「アルシオネ」又は「アルシオーネ」の読みにおいて、「牡牛座中の三等星」(出典:株式会社小学館「ランダムハウス 第2版」)等を意味する語として用いられているものである。
そうすると、本願商標を構成する図形部分と各文字部分の間には、観念上のつながりもないことに加え、「・MAISON PSYCHE・」の文字部分と「ALCYONE」の文字部分とは、それぞれ円の内部において、上方と下方に離れて配置されており、各文字部分は、文字の大きさ、セリフの有無により書体が異なっていることも相まって、視覚上分離して把握されるものであり、図形部分と各文字部分とを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえない。
以上よりすれば、本願商標は、その構成中の図形部分と各文字部分が、それぞれ独立して出所識別標識としての機能を有する要部となり得るものであるところ、「ALCYONE」の文字部分を要部として抽出し、引用商標と比較して、商標の類否を判断することも許されるというべきである。
したがって、本願商標は、その要部の一つである「ALCYONE」の文字部分(以下「本願要部」という。)に相応して、「アルシオネ」又は「アルシオーネ」の称呼を生じ、「牡牛座中の三等星」程の観念を生じるものである。
イ 引用商標について
引用商標は、「アルシオネ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して、「アルシオネ」の称呼を生じ、「牡牛座中の三等星」程の観念を生じるものである。
ウ 本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標とを比較するに、外観において、全体としては明らかに相違するものであるが、本願要部と引用商標の比較においては、文字種の差異を有するにすぎず、当該差異が、取引者、需要者に対して出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとはいい難いものであり、称呼において、「アルシオネ」の称呼、観念において、「牡牛座中の三等星」程の観念を共通にするものである。
そうすると、これらの外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、本願商標と引用商標は、商品の出所について誤認混同を生じるおそれのある、互いに類似の商標というのが相当である。
エ 本願の指定商品と引用商標の指定商品及び指定役務との類否について
本願の指定商品と引用商標の指定商品及び指定役務とを比較するに、本願の指定商品である第3類「Perfumery products; perfumes; eau de toilette; eau de parfum; air fragrancing preparations; essential oils for personal use; make-up products; make-up removing products; hair and body lotions; soaps; dentifrices; deodorants for personal use; shower gels; shampoos; beauty creams for the body.」は、引用商標の指定商品及び指定役務中の第3類「せっけん類,化粧品,香料,薫料」及び第35類「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と同一又は類似の商品である。
オ 小括
上記アないしエによれば、本願商標は、引用商標と類似の商標であって、かつ、両商標の指定商品及び指定役務は互いに同一又は類似の商品及び役務を含むものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、円の内部に各構成要素がまとまり良く配された1つの標章として認識されるものであり、本願商標は常に全体が一体不可分のものと認識されるものである旨主張する。
しかしながら、上記(1)アで述べたとおり、本願商標を構成する図形部分と各文字部分の間には、観念上のつながりもないことに加え、各文字部分は、それぞれ円の内部において、上方と下方に離れて配置されており、文字の大きさ、セリフの有無により書体が異なっていることも相まって、視覚上分離して把握されるものであり、図形部分と各文字部分とを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえないものというのが相当である。
イ 請求人は、本願商標について、図形部分とともに、そのすぐ上に大きく表された「MAISON PSYCHE」の文字が認識される一方で、図形部分の下方に表された「ALCYONE」の文字は、「MAISON PSYCHE」の文字に比して約2分の1の大きさであり、本願商標の構成中、もっとも存在感が希薄な部分であって、見る者の注意をひくようには構成されていないと述べ、主たる商標の後に、シリーズ商品同士を区別するためにサブブランドを付すことは、我が国の取引実情において極めて顕著な事実といえ、本願商標の外観的特徴から、「ALCYONE」の文字が、出願人のハウスマークに続くサブブランドを表していることは、容易に認識可能なものである旨主張する。
しかしながら、本願商標は、その構成中の図形部分と各文字部分が、それぞれ独立して出所識別標識としての機能を有する要部となり得るものであって、「ALCYONE」の文字部分が、「MAISON PSYCHE」の文字部分に比して約2分の1の大きさであるとしても、外観上殊更「ALCYONE」の文字が見る者の注意をひかないというものではないし、これを要部として抽出し、引用商標と比較して、商標の類否を判断することも許されるというべきであることは、上記(1)アで述べたとおりである。その上、請求人の主張によれば、「ALCYONE」の文字部分は、請求人のハウスマークに続くサブブランドを表したものであり、シリーズ商品同士を区別するために用いられるブランド名であることから、「ALCYONE」の文字部分が、独立して出所識別標識としての機能を有する要部となり得るものであるとの当審の判断とは何ら矛盾しない。
ウ 請求人は、「アルシオネ(ALCYONE)」の文字は、タテハチョウの一種である「Hipparchia alcyone」に由来するものであり、本願商標において顕著な蝶の図形からその観念を想起されるように、図形部分と「ALCYONE」の文字部分とは、意味上のつながりにおいて密接な関連性を有する旨主張する。
しかしながら、上記(1)アで述べたとおり、本願商標中の蝶を象ったと思しき図形部分は、その構成態様から、何らかの蝶を認識する場合があるとしても、写実的に描かれたものではなく、また、請求人が主張するタテハチョウの一種である「Hipparchia alcyone」は、我が国で親しまれているものでないことからすれば、当該図形は、特定の意味合いを想起させるとまではいい難く、特定の称呼及び観念を生じないものである。
加えて、商標に接する取引者、需要者は、必ずしも商標採択の意図に沿って商標を認識し、把握するものではないから、仮に、本願商標が請求人の主張のとおりに採択されたものであったとしても、これによって上記判断が左右されるものではない。
エ したがって、請求人の上記アないしウの主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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