特許拒絶査定不服審判
2024-017738
サービス支援システム、及び、サービス支援方法
- 審判番号
- 2024-017738
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-122663外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年11月06日
- 審決日
- 2025年09月16日
- 公報発行日
- 2025年12月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】パナソニックIPマネジメント株式会社
- 【請求人代理人】新居 広守
- 【請求人代理人】寺谷 英作
- 【請求人代理人】道坂 伸一
- 分類
- P18 .113-Z (G06Q) / P18 .121-Z (G06Q) / P18 .561-Z (G06Q)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-122663「サービス支援システム、及び、サービス支援方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 1月27日出願公開、特開2022- 19085〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件特許出願は、令和2年7月17日を出願日とするものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年 2月15日付け:拒絶理由の通知
同年 4月18日 :意見書、手続補正書の提出
同年 7月25日付け:拒絶査定(以下、「原査定」という。)
同年11月 6日 :審判請求書及び手続補正書の提出
令和7年 2月26日付け:前置報告書
第2 令和6年11月6日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年11月6日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲
本件補正により、特許請求の範囲の記載は次のとおり補正された。(下線は、補正箇所である。)
「 【請求項1】
施設内の人の状況に関する情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記情報に基づいて、前記施設において提供される巡回監視サービスの需要に関する情報を出力する出力部とを備える
サービス支援システム。
【請求項2】
前記巡回監視サービスの需要に関する情報は、前記巡回監視サービスの要否に関する情報を含む
請求項1に記載のサービス支援システム。
【請求項3】
前記巡回監視サービスの需要に関する情報は、前記巡回監視サービスの優先順位に関する情報を含む
請求項1または2に記載のサービス支援システム。
【請求項4】
前記巡回監視サービスの需要に関する情報は、前記巡回監視サービスを提供する際の巡回ルートに関する情報を含む
請求項1~3のいずれか1項に記載のサービス支援システム。
【請求項5】
前記巡回監視サービスの需要に関する情報は、前記巡回監視サービスの提供頻度に関する情報を含む
請求項1~4のいずれか1項に記載のサービス支援システム。
【請求項6】
前記巡回監視サービスの需要に関する情報は、前記施設において前記巡回監視サービスを提供する人を補助するためのサービス補助情報を含む
請求項1~5のいずれか1項に記載のサービス支援システム。
【請求項7】
前記サービス補助情報は、前記巡回監視サービスの手順及び前記巡回監視サービスの留意事項の少なくとも一方に関する情報を含む
請求項6に記載のサービス支援システム。
【請求項8】
前記施設は、複数の領域を含み、
前記出力部は、前記領域毎の前記巡回監視サービスの需要に関する情報を出力する
請求項1~7のいずれか1項に記載のサービス支援システム。
【請求項9】
前記取得部によって取得された前記情報は、前記領域毎に当該領域の利用者数を示し、
前記出力部によって出力される前記領域毎の前記巡回監視サービスの需要に関する情報は、利用者数が多い前記領域ほど前記巡回監視サービスの需要が高いことを示す
請求項8に記載のサービス支援システム。
【請求項10】
前記取得部によって取得された前記情報は、前記領域毎に当該領域の利用者数を示し、
前記出力部によって出力される前記領域毎の前記巡回監視サービスの需要に関する情報は、利用者数が少ない前記領域ほど前記巡回監視サービスの需要が高いことを示す
請求項8に記載のサービス支援システム。
【請求項11】
前記出力部は、前記巡回監視サービスの種類毎の前記巡回監視サービスの需要に関する情報を出力する
請求項1~10のいずれか1項に記載のサービス支援システム。
【請求項12】
施設内に設けられた設備の利用状況及び前記施設内の人の状況の少なくとも一方に関する情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記情報に基づいて、前記施設において提供される巡回監視サービスの需要に関する情報を出力する出力部とを備える
サービス支援システム。
【請求項13】
前記巡回監視サービスは、設備の点検を含む
請求項12に記載のサービス支援システム。
【請求項14】
施設内の人の状況に関する情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得された前記情報に基づいて、前記施設において提供される巡回監視サービスの需要に関する情報を出力する出力ステップとを含む
サービス支援方法。
【請求項15】
施設内に設けられた設備の利用状況及び前記施設内の人の状況の少なくとも一方に関する情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得された前記情報に基づいて、前記施設において提供される巡回監視サービスの需要に関する情報を出力する出力ステップとを含む
サービス支援方法。
【請求項16】
請求項14または15に記載のサービス支援方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の令和6年4月18日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の記載は次のとおりである。
「 【請求項1】
施設内の人の状況に関する情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記情報に基づいて、前記施設において提供されるサービスの需要に関する情報を出力する出力部とを備える
サービス支援システム。
【請求項2】
前記サービスの需要に関する情報は、前記サービスの要否に関する情報を含む
請求項1に記載のサービス支援システム。
【請求項3】
前記サービスの需要に関する情報は、前記サービスの優先順位に関する情報を含む
請求項1または2に記載のサービス支援システム。
【請求項4】
前記サービスの需要に関する情報は、前記サービスを提供する際の巡回ルートに関する情報を含む
請求項1~3のいずれか1項に記載のサービス支援システム。
【請求項5】
前記サービスの需要に関する情報は、前記サービスの提供頻度に関する情報を含む
請求項1~4のいずれか1項に記載のサービス支援システム。
【請求項6】
前記サービスの需要に関する情報は、前記施設において前記サービスを提供する人を補助するためのサービス補助情報を含む
請求項1~5のいずれか1項に記載のサービス支援システム。
【請求項7】
前記サービス補助情報は、前記サービスの手順及び前記サービスの留意事項の少なくとも一方に関する情報を含む
請求項6に記載のサービス支援システム。
【請求項8】
前記施設は、複数の領域を含み、
前記出力部は、前記領域毎の前記サービスの需要に関する情報を出力する
請求項1~7のいずれか1項に記載のサービス支援システム。
【請求項9】
前記取得部によって取得された前記情報は、前記領域毎に当該領域の利用者数を示し、
前記出力部によって出力される前記領域毎の前記サービスの需要に関する情報は、利用者数が多い前記領域ほど前記サービスの需要が高いことを示す
請求項8に記載のサービス支援システム。
【請求項10】
前記取得部によって取得された前記情報は、前記領域毎に当該領域の利用者数を示し、
前記出力部によって出力される前記領域毎の前記サービスの需要に関する情報は、利用者数が少ない前記領域ほど前記サービスの需要が高いことを示す
請求項8に記載のサービス支援システム。
【請求項11】
前記サービスの需要に関する情報は、清掃サービスの需要に関する情報である
請求項9または10に記載のサービス支援システム。
【請求項12】
前記出力部は、前記サービスの種類毎の前記サービスの需要に関する情報を出力する
請求項1~11のいずれか1項に記載のサービス支援システム。
【請求項13】
施設内に設けられた設備の利用状況及び前記施設内の人の状況の少なくとも一方に関する情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記情報に基づいて、前記施設において提供される巡回監視サービスの需要に関する情報を出力する出力部とを備える
サービス支援システム。
【請求項14】
前記巡回監視サービスは、設備の点検を含む
請求項13に記載のサービス支援システム。
【請求項15】
施設内に設けられた設備の利用状況及び前記施設内の人の状況の少なくとも一方に関する情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記情報に基づいて、前記施設においてロボットにより提供されるサービスの需要に関する情報を出力する出力部とを備える
サービス支援システム。
【請求項16】
施設内の人の状況に関する情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得された前記情報に基づいて、前記施設において提供されるサービスの需要に関する情報を出力する出力ステップとを含む
サービス支援方法。
【請求項17】
施設内に設けられた設備の利用状況及び前記施設内の人の状況の少なくとも一方に関する情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得された前記情報に基づいて、前記施設において提供される巡回監視サービスの需要に関する情報を出力する出力ステップとを含む
サービス支援方法。
【請求項18】
施設内に設けられた設備の利用状況及び前記施設内の人の状況の少なくとも一方に関する情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得された前記情報に基づいて、前記施設においてロボットにより提供されるサービスの需要に関する情報を出力する出力ステップとを含む
サービス支援方法。
【請求項19】
請求項16~18のいずれか1項に記載のサービス支援方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。」
(3)補正事項
本件補正は、次の補正事項を含むものである。(下線は当審が付した。以下、同様。)
(補正事項1)
本件補正前の請求項1の「前記施設において提供されるサービスの需要に関する情報」との記載を、本件補正後の請求項1の「前記施設において提供される巡回監視サービスの需要に関する情報」とする補正事項。
2 本件補正の適否
本件補正が特許法第17条の2第3項の規定に適合するか否かについて検討する。
(1)上記補正事項1に関連して、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)には、以下の記載がある。
「【0047】
[動作例4]
次に、サービス支援システム100の動作例4について説明する。上記動作例1~3では、サービス支援システム100は、施設60における人の状況(トイレの利用者数)に基づいて、清掃サービスを支援した。動作例4では、施設60における設備51の状況に基づいて、設備51の巡回監視(目視点検)サービスを支援する例について説明する。図11は、サービス支援システム100の動作例4のフローチャートである。
【0048】
まず、取得部34は、統合管理情報を記憶部32から取得し(S41)、出力部35は、取得した統合管理情報に基づいて、施設60における監視対象の複数の設備51それぞれの累積稼働時間を特定する(S42)。図12は、複数の設備51(設備A~D)のそれぞれの累積稼働時間の一例を示す図である。なお、累積稼働時間に代えて、使用年数(稼働の有無を問わない、設備51が導入されてからの年数)などが用いられてもよい。
【0049】
次に、出力部35は、特定した累積稼働時間に基づいて、複数の設備A~Dそれぞれを人が目視確認すべき時間間隔(目視点検の頻度)を決定する(S43)。一般に、累積稼働時間が長いほど、故障などの異常の発生の可能性が高まる。そこで、出力部35は、例えば、累積稼働時間が長い設備51ほど、目視間隔を行うべき時間間隔を、短い時間間隔に決定する。
【0050】
次に、出力部35は、設備51の巡回監視サービスとして、目視点検を行うべき時間間隔を示すサービス支援情報を生成し、出力する(S44)。この場合のサービス支援情報は、施設60に提供されるサービスの提供頻度に関する情報の一例である。出力されたサービス支援情報は、通信部31によって情報端末40に送信される(S45)。情報端末40は、サービス支援情報を受信すると、受信したサービス支援情報に基づいて図13に示されるような表示画面を表示部41に表示する。図13は、設備51の巡回監視サービスを支援するための表示画面の第一の例を示す図である。
【0051】
以上説明したように、サービス支援システム100は、サービスの提供頻度に関する情報を、情報端末40を介してサービスの提供者に提示することができる。つまり、サービス支援システム100は、サービスの提供者を支援することができる。
【0052】
なお、動作例4は、施設60における人の状況(トイレの利用者数)に基づいて、清掃サービスを支援するときにも適用できる。出力部35は、例えば、1日の利用者数が多いトイレほど、1日当たりに必要な清掃回数(清掃頻度)が多いことを示すサービス支援情報を生成し、出力することができる。」
「【0076】
また、例えば、サービスの需要に関する情報は、サービスの提供頻度に関する情報を含む。」
(2)検討
上記補正事項1について検討する。
上記(1)の記載によれば、当初明細書等には「巡回監視(目視点検)サービスを支援する」にあたり、「取得部」が取得する情報として、「施設60における監視対象の複数の設備51それぞれの累積稼働時間」等の「施設60における設備51の状況」が記載されているのみであり、出力部は、取得部によって取得された当該情報に基づいて、「複数の設備A~Dそれぞれを人が目視確認すべき時間間隔(目視点検の頻度)」を出力するものである。また、「複数の設備A~Dそれぞれを人が目視確認すべき時間間隔(目視点検の頻度)」は、当初明細書等の段落【0076】の記載によれば「サービスの需要に関する情報」の概念に含まれるものである。
したがって、当初明細書等には、「取得部」が取得した「施設60における設備51の状況」に基づいて、「出力部」が「サービスの需要に関する情報」を出力することまでは記載されているといえる。
しかしながら、「施設60における設備51の状況」は、明らかに「施設内の人の状況に関する情報」とは異なるものであり、してみると、当初明細書等には、「取得部」が取得した「施設内の人の状況に関する情報」に基づいて、「出力部」が「サービスの需要に関する情報」を出力することまでは記載されておらず、また、示唆もされていない。
(3)以上によれば、上記補正事項1に相当する構成は、当初明細書等に記載がなく、当初明細書等から自明でもないから、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。したがって、補正事項1を含む本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
3 目的要件について
上記「2」で検討したとおり、上記補正事項1は、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たすものではないが、仮に、当該補正事項1が当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであるとした場合、補正事項1を含む本件補正が、特許法第17条の2第5項の各号に掲げる事項を目的とするものに該当するかについても一応検討する。
補正事項1は、上記「1(3)」に示すとおりのものであって、「サービスの需要に関する情報」に関して、当該サービスを、より具体的な「巡回監視サービス」に限定するものであるから、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものと認められ、また、その補正前の請求項1に記載された発明とその補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題についても同一であると認められる。
したがって、本件補正事項は、特許法第17条の2第5項第2号でいうところの「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
4 上記「3」で述べたように、補正事項1を含む本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、補正後の請求項1に記載された発明(以下、「補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に適合するか)について検討する。
(1) 引用文献の記載について
ア 引用文献の記載
原査定の拒絶の理由に引用された、特開2020-86736号公報(以下、「引用文献」という。)には、以下の事項が記載されている。(なお、下線は当審にて付した。)
「【0016】
図2は、実施の形態に係る情報提供システムの構成を示す。情報提供システム10は、施設20のトイレ室21に設置された複数の便器装置30と、複数の便器装置30の使用状況に関する情報を提供する情報提供装置50と、複数の便器装置30の使用状況に関する情報を情報提供装置50に送信する通信装置22と、トイレ室21が設置された施設20を管理する主体の管理主体端末40と、トイレ室21の清掃を担当する清掃者の清掃者端末42と、トイレ室21を使用する使用者の使用者端末44と、便器装置30又はトイレ室21の内部若しくは周辺に設置された設備若しくは機器の保守を担当する主体の保守主体端末46と、これらの装置の間で通信を行うための通信手段の一例であるインターネット12とを備える。」
「【0019】
図3は、実施の形態に係る情報提供装置50の構成を示す。情報提供装置50は、通信装置51、表示装置52、入力装置53、記憶装置70、及び制御装置60を備える。情報提供装置50は、サーバ装置であってもよいし、パーソナルコンピュータなどの装置であってもよいし、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット端末などの携帯端末であってもよい。」
「【0026】
制御装置60は、使用状況情報取得部61、使用状況予測部62、所要時間推定部63、使用状況情報提供部64、清掃順序提供部65、清掃状況情報取得部66、状態情報取得部67、清掃計画生成部68、及び清掃装置制御部69を備える。これらの構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIなどにより実現され、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、またはハードウエアとソフトウエアの組合せなど、いろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0027】
使用状況情報取得部61は、施設20のトイレ室21に設置された便器装置30の使用状況情報を通信装置22から取得して、使用状況情報保持部73に格納する。使用状況情報取得部61は、便器装置30の使用状態を示す情報、コントローラ31の操作状況を示す情報、トイレ室21のドア23又は個室24のドア25に設置された開閉センサにより検知されたドアの開閉状況を示す情報、トイレ室21の内部又は外部に設置された照明、換気扇、ペーパーホルダーなどの設備又は機器の使用状況又は状態を示す情報、トイレ室21の内部又は外部に設置された人感センサ、温度センサ、臭気センサなどのセンサにより検知された情報、便器装置30に設けられた着座センサ、温度センサ、水位センサなどのセンサにより検知された情報、トイレ室21の内部又は外部に設置された撮像装置により撮像された画像、トイレ室21の内部又は外部に設置されたマイクロフォンにより取得された音声などを、便器装置30の使用状況情報として取得する。使用状況情報取得部61は、取得された使用状況情報に基づいて、便器装置30が使用中であるか否かを判定するとともに、使用中であると判定された場合は、使用開始からの使用継続時間を算出する。」
「【0031】
清掃順序提供部65は、複数の便器装置30のそれぞれの使用継続時間に基づいて、清掃者が複数の便器装置30を清掃する順序を決定して清掃者端末42に提供する。清掃順序提供部65は、複数の便器装置30のそれぞれの現在の使用継続時間のみに基づいて清掃順序を決定してもよいし、使用状況情報保持部73に格納された過去の便器装置30の使用回数などの使用実績に更に基づいて清掃順序を決定してもよい。清掃順序提供部65は、清掃者がトイレ室21にいて、使用中の便器装置30が空くまで待機している場合、そのまま待機すべきか別のトイレ室21に移動すべきかを判定する。清掃順序提供部65は、便器装置30の使用終了までの所要時間、別のトイレ室21の便器装置30の過去の所定期間における使用回数、現在の使用状況、将来の予想使用状況、別のトイレ室21の便器装置30の清掃の済否、別のトイレ室21までの移動に要する時間などに基づいて、そのまま待機すべきか別のトイレ室21に移動すべきかを判定してもよい。清掃順序提供部65は、清掃者がトイレ室21にいない場合、清掃者の現在位置を示す情報を清掃者端末42から取得し、清掃者の現在位置の周辺にある便器装置30のうち、現在空いている便器装置30、又は清掃者がトイレ室21に到着するときまでに使用が終了すると予想される便器装置30の情報を提供する。清掃順序提供部65は、現在空いている便器装置30と到着までに空くと予想される便器装置30の合計数が多いトイレ室21を優先してもよい。また、清掃順序提供部65は、設置された全ての便器装置30が現在空いている又は到着までに空くと予想されるトイレ室21を優先してもよい。これにより、清掃の効率を向上させることができる。」
「【0034】
状態情報取得部67は、便器装置30の状態を示す情報を清掃者端末42又は使用者端末44から取得して、トイレ情報データベース71に格納する。状態情報取得部67は、便器装置30の汚れの程度や不具合の有無などの情報を取得してもよい。状態情報取得部67は、便器装置30の修理や交換などが必要とされる状態であることを示す情報を取得した場合、その便器装置30が設置された施設の管理者の管理主体端末40又は保守主体の保守主体端末46に通知してもよい。状態情報取得部67は、清掃者端末42の位置情報を所定の時間間隔で取得し、清掃者の位置や滞在時間などを解析することにより、便器装置30の状態を自動的に判定して取得してもよい。例えば、清掃者が個室24内に所定時間以上滞在した場合に、その個室24に設置された便器装置30の汚れの程度が高いと判定してもよい。
【0035】
清掃計画生成部68は、使用状況情報保持部73に保持された過去の複数の便器装置30のそれぞれの使用状況を示す情報に基づいて、次回以降の複数の便器装置30の清掃の実行計画を生成する。清掃計画生成部68は、トイレ室21の混雑が少ない時間帯に便器装置30を清掃することができるような清掃の実行計画を生成してもよい。清掃計画生成部68は、過去の複数の便器装置30のそれぞれの使用状況を示す情報を学習データとして人工知能を学習させてもよい。例えば、強化学習により最適な清掃の計画を生成するためのアルゴリズムを学習してもよい。この場合、待ち時間が少ないこと、全体の所要時間が短いこと、移動量が少ないことなどが加味された報酬値を使用して強化学習が実行されてもよい。清掃計画生成部68は、提供した清掃計画に基づいて清掃者により実行された清掃の状況を示す情報を取得し、待ち時間、全体の所要時間、移動量などに基づいて清掃計画の良否を評価し、評価された結果を更に使用して清掃計画を生成するためのアルゴリズムを学習してもよい。これにより、清掃の効率を向上させることができる。
【0036】
清掃計画生成部68は、前回の清掃時から現在までの便器装置30の使用状況を示す情報に基づいて、清掃を実行するタイミングや頻度などを決定してもよい。これにより、便器装置30を適切な状態に維持しつつ、清掃の効率を向上させることができる。清掃計画生成部68は、前回の清掃時から現在までの便器装置30の使用頻度(洗浄回数、着座回数・時間、温水洗浄便座の利用回数、トイレットペーパーの利用量、個室24のドア25開閉回数など)、前回の清掃時に清掃者から取得した便器装置30の状態を示す情報、前回の清掃時以降に使用者から取得した便器装置30の状態を示す情報などに応じて便器装置30の汚れの度合いを指標化し、指標化された汚れの度合いに基づいて清掃計画を生成してもよい。また、施設の種類、便器装置30の使用者の属性、便器装置30の種類、時間帯などの属性情報と、過去の便器装置30の汚れの度合いなどに基づいて、便器装置30の将来の汚れの度合いを予測し、予測された汚れの度合いに基づいて清掃計画を生成してもよい。清掃計画生成部68は、施設の種類、便器装置30の使用者の属性、便器装置30の種類、施設の管理者からの指示などに応じて、要求される清潔度が維持されるように、直近の便器装置30の使用状況や、将来の汚れの度合いの予測などに基づいて清掃計画を生成してもよい。清掃計画生成部68は、生成した清掃計画を清掃者に提供する。清掃計画生成部68は、清掃を実行している清掃者に清掃すべき便器装置30の情報を提供してもよいし、1回の清掃業務における清掃の順序を提案してもよいし、清掃の頻度を提案してもよい。これにより、清掃者は、使用状況に応じて適切な清掃を実施することができるので、便器装置30を清潔に保ちつつ、清掃の効率を向上させることができる。」
「【図2】
[図:0001429769000001.jpg]
」
「【図3】
[図:0001429769000002.jpg]
」
イ 引用文献に記載されているといえる事項
(ア)段落【0016】の記載から、引用文献には、「情報提供装置50を備える情報提供システム10」に関する発明が記載されている。
(イ)段落【0027】の記載から、引用文献には、「施設20のトイレ室21に設置された便器装置30の使用状況情報を通信装置22から取得して、使用状況情報保持部73に格納する使用状況情報取得部61を備える」との事項が記載されている。
(ウ)段落【0035】、【0036】の記載から、引用文献には、「使用状況情報保持部73に保持された過去の複数の便器装置30のそれぞれの使用状況を示す情報のうち、前回の清掃時から現在までの便器装置30の使用状況を示す情報に基づいて、複数の便器装置30の清掃を実行するタイミングや頻度など決定し、清掃者に提供する清掃計画生成部68を備える」との事項が記載されている。
ウ 引用発明
上記「ア」及び「イ」によれば、引用文献には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「施設20のトイレ室21に設置された便器装置30の使用状況情報を通信装置22から取得して、使用状況情報保持部73に格納する使用状況情報取得部61と、(上記(イ))
使用状況情報保持部73に保持された過去の複数の便器装置30のそれぞれの使用状況を示す情報のうち、前回の清掃時から現在までの便器装置30の使用状況を示す情報に基づいて、清掃を実行するタイミングや頻度など決定し、清掃者に提供する清掃計画生成部68と、(上記(ウ))
を有する情報提供装置50を備える情報提供システム10であって、(上記(ア))
前記使用状況情報としては、便器装置30の使用状態を示す情報、コントローラ31の操作状況を示す情報、トイレ室21のドア23又は個室24のドア25に設置された開閉センサにより検知されたドアの開閉状況を示す情報、トイレ室21の内部又は外部に設置された照明、換気扇、ペーパーホルダーなどの設備又は機器の使用状況又は状態を示す情報、トイレ室21の内部又は外部に設置された人感センサ、温度センサ、臭気センサなどのセンサにより検知された情報、便器装置30に設けられた着座センサ、温度センサ、水位センサなどのセンサにより検知された情報、トイレ室21の内部又は外部に設置された撮像装置により撮像された画像、トイレ室21の内部又は外部に設置されたマイクロフォンにより取得された音声などである、(【0027】)
情報提供システム10。」
(2) 対比
補正発明と、引用発明を対比する。
ア 「施設内の人の状況に関する情報を取得する取得部と、」について
補正発明の「人の状況」について、本願明細書には「・・・人の状況は、例えば、人の存否の状況であり、センサ53のセンシング結果、及び、カメラ54によって撮影される映像(動画像)などにより特定される。」(【0015】)、「・・・つまり、取得部34は、施設60における人の状況(利用者数など)をトイレ(領域61)ごとに示す情報を取得し、これを集計する。」(【0027】等)と記載されている。
一方、引用発明の使用状況情報取得部61が取得する「使用状況情報」には、「トイレ室21の内部又は外部に設置された人感センサ、温度センサ、臭気センサなどのセンサにより検知された情報」、「便器装置30に設けられた着座センサ、温度センサ、水位センサなどのセンサにより検知された情報」、「トイレ室21の内部又は外部に設置された撮像装置により撮像された画像」等が含まれており、下線で示した情報は補正発明の「人の状況に関する情報」に相当することは明らかである。
そして、上記「使用状況情報」は、施設20のトイレ室21の利用者に関するものであるから、引用発明の「施設20」は、補正発明の「施設」に相当する。
してみると、引用発明の「使用状況情報取得部61」は、補正発明の「施設内の人の状況に関する情報を取得する取得部」に相当する。
イ 「前記取得部によって取得された前記情報に基づいて、前記施設において提供される巡回監視サービスの需要に関する情報を出力する出力部と」について
(ア)引用発明の清掃計画生成部68は、「使用状況情報保持部73に保持された過去の複数の便器装置30のそれぞれの使用状況を示す情報のうち、前回の清掃時から現在までの便器装置30の使用状況を示す情報に基づいて、清掃を実行するタイミングや頻度など決定し、清掃者に提供する」ものであり、前記「使用状況情報保持部73に保持された過去の複数の便器装置30のそれぞれの使用状況を示す情報のうち、前回の清掃時から現在までの便器装置30の使用状況を示す情報」は、補正発明の「前記取得部によって取得された前記情報」に相当する。
(イ)補正発明における「巡回監視サービス」について、本願明細書には「次に、出力部35は、設備51の巡回監視サービスとして、目視点検を行うべき時間間隔を示すサービス支援情報を生成し、出力する(S44)。この場合のサービス支援情報は、施設60に提供されるサービスの提供頻度に関する情報の一例である。・・・」(【0050】)と記載されており、当該記載を参酌すると、補正発明の「巡回監視サービスの需要に関する情報」としては、「サービスの提供頻度に関する情報」も想定されていると解される。
一方、引用発明の清掃計画生成部68においても、使用状況情報保持部73に保持された過去の複数の便器装置30のそれぞれの使用状況を示す情報のうち、前回の清掃時から現在までの便器装置30の使用状況を示す情報に基づいて、「清掃を実行するタイミングや頻度など」を決定している。そして、「清掃」は「施設において提供されるサービス」であることは明らかである。
そうすると、補正発明の「巡回監視サービスの需要に関する情報」と引用発明の「清掃を実行するタイミングや頻度など(の情報)」は、「サービスの需要に関する情報」である点で共通する。
(ウ)引用発明の清掃計画生成部68は、清掃を実行するタイミングや頻度などを「清掃者に提供する」機能も備えており、当該機能は、補正発明の「情報を出力する」に相当するものである。
(エ)上記(ア)から(ウ)で整理したことを踏まえると、補正発明と引用発明は、「前記取得部によって取得された前記情報に基づいて、前記施設において提供されるサービスの需要に関する情報を出力する出力部」という構成を備える点で共通している。
一方、サービスの需要に関する情報における「サービス」について、補正発明は「巡回監視サービス」であるのに対し、引用発明は「清掃(サービス)」である点で、両発明は相違している。
ウ 「サービス支援システム。」について
引用発明は、清掃を実行するタイミングや頻度などを清掃者に提供するものであるから、このことは、いわゆる「サービスを支援する」といえるから、引用発明の「情報提供装置50を備える情報提供システム10」は、以下の相違点を除き、補正発明の「サービス支援システム」に相当する。
以上ア~ウによれば、補正発明と引用発明は次の一致点及び装置点を有する。
[一致点]
「施設内の人の状況に関する情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記情報に基づいて、前記施設において提供されるサービスの需要に関する情報を出力する出力部とを備える
サービス支援システム。」
[相違点]
サービスの需要に関する情報における「サービス」について、補正発明は「巡回監視サービス」であるのに対し、引用発明は「清掃(サービス)」である点。
(3) 判断
相違点について検討する。
引用文献の段落【0034】には、「状態情報取得部67は、便器装置30の状態を示す情報を清掃者端末42又は使用者端末44から取得して、トイレ情報データベース71に格納する。状態情報取得部67は、便器装置30の汚れの程度や不具合の有無などの情報を取得してもよい。」と記載されており、清掃者が、清掃時に、清掃作業に加えて便器装置の不具合の有無の確認を行うことは、特別なことではなく一般的な事項であると考えられる。また、トイレ室の便器装置の不具合の有無の確認は、施設内のトイレ室における設備(便器装置)の監視サービスに該当することは明らかである。
そして、引用発明において、清掃計画生成部68によって決定した「清掃を実行するタイミングや頻度などの情報」を便器装置の不具合の有無の確認などの巡回監視サービスを行う際にも利用することについて、何かしらの阻害要因があるとの合理的な事情は想定し難いことを鑑みると、引用発明の上記「清掃を実行するタイミングや頻度などの情報」を「巡回監視サービスの需要に関する情報」として転用することは当業者であれば容易になし得たものである。
(4)以上のとおりであるから、補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
5 審判請求書による主張について
審判請求人は、審判請求書において、「・・・引用文献1ではトイレの使用状況等に基づいて清掃の実行計画を生成することが記載されているにすぎず、清掃作業は監視をともなうような作業ではないため、巡回監視サービスの需要に関する情報を出力する点は記載も示唆もされていないといえます。引用文献2-4についても同様です。
したがって、引用文献1-4に基づいて、補正後の請求項1に係る発明に想到することは当業者であっても容易ではありません。」(審判請求書第3頁)と主張しているが、上記「4(3)」で言及したとおりであるので、当該主張は採用できない。
6 「補正の却下の決定」についてのむすび
上記「2」で検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項に違反するものであるから、本件補正は、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
仮に、本件補正は、特許法第17条の2第3項に違反するものでないとしても、上記「4」で検討したとおり、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本件補正前の請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2の[理由]の「1(2)」に記載した、以下のとおりのものである。
「施設内の人の状況に関する情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記情報に基づいて、前記施設において提供されるサービスの需要に関する情報を出力する出力部とを備える
サービス支援システム。」
2 原査定の拒絶の理由
本願発明についての原査定の拒絶の理由の概要は、以下のとおりである。
本願請求項1に係る発明は、以下の引用文献1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2020-86736号公報
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献の記載事項及び引用発明は、上記第2の[理由]の「4(1)」のとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、補正発明を構成している発明特定事項のうち上記第2の[理由]の「4(2)[相違点]」で言及した事項である「巡回監視」なる特定事項を除いたものであるから、上記第2の[理由]の「4(2)」で整理したとおり、両発明はその構成として相違するところはない。
したがって、本願発明は、引用文献に記載された発明であり、仮に、両発明の構成に相違する点(つまり、本願発明の取得部が取得する「人の状況に関する情報」が「人の存否の状況」(本願明細書の段落【0015】)や「施設60における人の状況(利用者数など)」(本願明細書の段落【0027】等)のみを意図していると解した場合)があったとしても、引用発明の使用状況情報取得部61が取得する「使用状況情報」を「人感センサ・・・により検知された情報」、「便器装置30に設けられた着座センサ・・・により検知された情報」、「トイレ室21の内部又は外部に設置された撮像装置により撮像された画像」に限定することは、必要に応じて当業者が適宜なし得る設計上の微差といえる程度のものであるから、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は同条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-017738