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特許拒絶査定不服審判

2024-014000

情報処理システムおよび情報処理方法

審判番号
2024-014000
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-177021外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2024年09月02日
審決日
2025年09月18日
公報発行日
2025年12月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-WZ (G06Q) / P18 .121-WZ (G06Q)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022-177021「情報処理システムおよび情報処理方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年12月22日出願公開、特開2022-190120〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 9項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、平成30年1月5日を出願日とする特願2018-000611号の一部を、令和4年11月4日に分割して新たな特許出願とした特願2022-177021号であり、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。

令和4年11月 4日 : 上申書の提出
令和6年 1月11日付け: 拒絶理由通知

同年 3月18日 : 意見書及び手続補正書の提出

同年 5月30日付け: 拒絶査定

同年 9月 2日 : 審判請求書及び手続補正書の提出

令和7年 4月10日付け: 拒絶理由通知(当審)

同年 6月16日 : 意見書及び手続補正書の提出

第2 本願発明

本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和7年6月16日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】
商品を識別するための第1の情報を含む識別面を有する、顧客が所有する媒体であって前記商品とは異なる可搬媒体と、
情報処理端末と、を備える情報処理システムであって、
前記情報処理端末は、
前記可搬媒体の識別面を読み取ることにより、前記第1の情報を取得する読み取り手段と、
前記読み取り手段が取得した第1の情報を用いて前記商品がある場所に関する第2の情報を取得し、当該第2の情報を店員に対し出力する出力手段と、を有する、
情報処理システム。」

第3 拒絶の理由

令和7年4月10日付けで当審が通知した拒絶の理由は、次のとおりである。

「1 理由1(新規性)
本願の請求項1、4~6、8~10に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法29条第1項第3項に該当し、特許を受けることができない。
2 理由2(進歩性)
(1)本願の請求項1、4~6、8~10に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(2)本願の請求項2、3に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載の技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(3)本願の請求項7に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献3に記載の技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特開2001-351179号公報
引用文献2:特開2021-59249号公報
引用文献3:特開2005-332257号公報 」

第4 引用文献の記載及び引用発明

1 引用文献1の記載

(1) 引用文献1に記載されている事項

引用文献1には以下の事項が記載されている。なお、下線は合議体により付したものである。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はPOSシステムに係わり、特に、売場案内機能を備えたPOSシステムに関する。」
「【0019】図1は、本実施形態に係る売場案内機能を備えたPOSシステムのシステム構成を示すブロック図である。
【0020】同図において、1はシステム全体のコントロールを行うCPU、2はシステムをコントロールするためのマイクロ命令、固定的な表示、印字メッセージテーブル等を予め記憶したROM、3はタッチパネルの押下認識時間、押下誤りの回数等を記憶するRAM、4は各種のエラー等の警告音を発するためのブザー、5は売上げ、釣り銭、小切手等を収納するためのドロワー、6はレシート、ジャーナル用紙に取引、点検、精算データ等を印字するためのプリンタ、7はタッチパネル上のキーイメージ、入力データ、エラー表示、操作ガイド表示するためのLCD、8は登録、設定データを入力するためのタッチパネル、9はスキャナー、10は操作者を選択するための担当者キー、11はシステム本体に外部接続されるPC(パソコン)である。」
「【0033】図8は、図6の設定モードにおけるPOS位置設定が表示されたタッチパネル表示画面を示す図である。
【0034】同図に示すように、タッチパネル表示画面の左側に複数のPOS端末群が表示され、右側に商品売場やPOS端末群の商品別売場地図が表示されており、左側のPOS端末群のいずか(例えば、POS2)をタッチし、右側の商品別売場地図上で配置位置(例えば、左下端)をタッチすることにより、POS端末2の座標位置が設定される。」
「【0044】図12は、POS操作者による、客の要望により入力されたデータに基づいて、商品別売場地図情報を出力するまでの処理手順を示すフローチャートである。
【0045】はじめに、顧客がPOS担当者に対して、顧客が見出したい商品の売場はどこにあるかを尋ねると、POS担当者はタッチパネル8上で「売場案内」をキー入力する。次いで、ステップ1にて、キー入力かスキャナー入力かの選択を待つ。ステップ2にて、スキャナーによる顧客の所望する売場商品のバーコード読み取りによる入力であるかを判定する。スキャナー9によるバーコードの読み取り入力の場合は、ステップ3にて、読み取られたバーコードから売場の部門番号を検索する。また、ステップ2にて、スキャナー9による入力でない場合は、ステップ4にて、商品売場の部門番号をキー入力するかを判定する。部門番号のキー入力でない場合は、ステップ5にてエラーであると判定して、ブザーや画面表示によって操作者に知らせる。
【0046】ステップ3およびステップ4にて、部門番号が検索または部門番号が入力されると、ステップ6にて、部門番号から商品位置座標を検索する。ステップ7にて、POS端末位置から商品売場へのルートを探索する。次いで、ステップ8にて、検索結果である商品別売場地図情報をLCD7に表示する。次いで、ステップ9にて、検索結果である商品別売場地図情報をプリンタ6によってレシートに印字して出力する。」

「【0052】本願請求項5に記載の発明によれば、割引セール用チラシに掲載されている割引商品別のバーコードから顧客の希望する商品売場に係る位置情報を容易に入手することができる。」

「【請求項1】 複数種類の商品毎の売場とPOS端末とが配置されている商品別売場地図を記憶する記憶手段と、商品売場の位置データに係る情報を入力する商品売場情報入力手段と、前記商品売場の位置データに係る情報の入力に基づいて所定のPOS端末から前記商品売場までの案内情報が付加された商品別売場地図情報を作成する手段と、前記作成された商品別売場地図情報を表示またはプリントする出力手段とを備えていることを特徴とするPOSシステム。」

「【請求項5】 請求項1または請求項2において、前記商品売場情報入力手段は、各売場で販売される割引セール用チラシの割引商品別のバーコード表と、前記バーコード表から任意の商品のバーコードを読み取る読み取り手段と、読み取られたバーコードから商品売場の位置データを取得する位置データ取得手段とからなることを特徴とするPOSシステム。」

「【図1】
[図:0001429694000001.jpg]
」
「【図2】
[図:0001429694000002.jpg]
」
「【図4】
[図:0001429694000003.jpg]
」
「【図8】
[図:0001429694000004.jpg]
」
「【図11】
[図:0001429694000005.jpg]
」
「【図12】
[図:0001429694000006.jpg]
」

(2) 引用文献1に記載されているといえる事項

ア 【0001】の記載によれば、引用文献1には「売場案内機能を備えたPOSシステム」について、記載されている。

イ 【0052】、【請求項5】の記載によれば、引用文献1には「各売場で販売される割引セール用チラシの割引商品別のバーコード表」が記載されている。

ウ 段落【0020】、【0034】、【図1】、【図2】、【図8】等の記載を参酌するに、引用文献1に記載の「POSシステム」には「POS端末」が備わっていることが見て取れるから、引用文献1には「POS端末を備えるPOSシステム」が記載されているといえる。

エ 【0045】、【0052】、【請求項5】の記載によれば、引用文献1には「各売場で販売される割引セール用チラシの割引商品別のバーコード表から商品のバーコードを読み取るスキャナー9」が記載されている。

オ 【0045】、【0046】、【図12】の記載によれば、引用文献1には「スキャナー9により読み取られたバーコードから売場の部門番号を検索し、部門番号から商品位置座標を検索し、POS端末位置から商品売場へのルートを探索し、探索結果である商品別売場地図情報をLCD7に表示する」手段が記載されている。

カ 【0045】、【0052】、【請求項5】によれば、売場案内機能を備えたPOSシステムは、各売場で販売される割引セール用チラシの割引商品別のバーコード表から商品のバーコードをスキャナー9により読み取り、読み取られたバーコードから売場の部門番号を検索し、部門番号から商品位置座標を検索し、POS端末位置から商品売場へのルートを探索するものであって、各売場で販売される割引セール用チラシの割引商品別のバーコード表は、売場案内に必要な情報をPOSシステムに入力するための構成の一部であることから、割引セール用チラシもPOSシステムを構成する要素のひとつといえる。

2 引用発明

上記「1 引用文献1の記載」によると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「各売場で販売される割引セール用チラシの割引商品別のバーコード表と(上記イ)、
POS端末を備えるPOSシステムであって(上記ウ、カ)、
POS端末が、
各売場で販売される割引セール用チラシの割引商品別のバーコード表から商品のバーコードを読み取るスキャナー9と(上記エ)、
スキャナー9により読み取られたバーコードから売場の部門番号を検索し、部門番号から商品位置座標を検索し、POS端末位置から商品売場へのルートを探索し、探索結果である商品別売場地図情報をLCD7に表示する手段と(上記オ)、
を有する売場案内機能を備えたPOSシステム。(上記ア)」

第5 対比

本願発明と引用発明を対比する。

(1)「商品を識別するための第1の情報を含む識別面を有する、顧客が所有する媒体であって前記商品とは異なる可搬媒体と、情報処理端末と、を備える情報処理システムであって、」について

引用発明の「バーコード」は、商品を特定できるものであるから、商品を識別するための情報といえることから、本願発明の「商品を識別するための第1の情報」に相当する。

また、「媒体」とは、「媒体するもの。伝達の媒体となる手段。メディア」という意味である(岩波書店広辞苑第五版)ことを踏まえると、引用発明の「割引セール用のチラシ」は、広告の一形態として、商品等に関する情報を顧客に伝達するための媒体となる手段といえる。そして、チラシは、商品そのものではなく、商品等に関する情報が掲載されたものであって顧客により持ち運びが可能なものであることも明らかである。

そうすると、引用発明の「割引セール用のチラシ」は、本願発明の「商品とは異なる可搬媒体」に相当する。

また、割引セール用のチラシの割引商品別のバーコード表を有している面は、本願発明の「識別面」に相当する。

してみると、引用発明の「割引セール用チラシ」は、本願発明の「商品を識別するための第1の情報を含む識別面を有する、前記商品とは異なる可搬媒体」という点で共通し、一方、引用発明の割引セール用チラシが「顧客が所有する媒体である」旨特定されていない点で本願発明とは一応相違する。

さらに、引用発明の「POSシステム」は、情報処理を行っているシステムであるから、本願発明の「情報処理システム」に相当する。

(2)「前記情報処理端末は、」「前記可搬媒体の識別面を読み取ることにより、前記第1の情報を取得する読み取り手段と、」「を有する」について

引用発明の「POS端末」は、本願発明の「情報処理端末」に相当する。

そして、引用発明の「スキャナー9」は、各売場で販売される割引セール用チラシの割引商品別のバーコード表から商品のバーコードを読み取っていることから、本願発明の「可搬媒体の識別面を読み取ることにより、前記第1の情報を取得する読み取り手段」に相当する。

(3)「前記情報処理端末は、」「前記読み取り手段が取得した第1の情報を用いて前記商品がある場所に関する第2の情報を取得し、当該第2の情報を店員に対し出力する出力手段と、」「を有する」について

引用発明の「商品別売場地図情報」は、スキャナー9により読み取られたバーコードから売場の部門番号を検索し、部門番号から商品位置座標を検索し、POS端末位置から商品売場へのルートを探索した探索結果である、POS端末から商品売場へのルートを示すものであるから、本願発明の「商品がある場所に関する第2の情報」といえる。

そして、引用発明の「LCD7」は、顧客ではなくPOS担当者が操作するPOS端末が備えるものであって、引用発明の「商品別売場地図情報をLCD7に表示する」ことは、本願発明の「第2の情報を店員に対して出力」しているといえる。

そうすると、引用発明の「POS端末」は、本願発明の「前記読み取り手段が取得した第1の情報を用いて前記商品がある場所に関する第2の情報を取得し、当該第2の情報を店員に対し出力する出力手段」を有しているといえる。

(一致点)

商品を識別するための第1の情報を含む識別面を有する、顧客が所有する媒体であって前記商品とは異なる可搬媒体と、

情報処理端末と、を備える情報処理システムであって、

前記情報処理端末は、

前記可搬媒体の識別面を読み取ることにより、前記第1の情報を取得する読み取り手段と、

前記読み取り手段が取得した第1の情報を用いて前記商品がある場所に関する第2の情報を取得し、当該第2の情報を店員に対し出力する出力手段と、を有する、

情報処理システム。

(相違点)

本願発明においては、可搬媒体に関して「顧客が所有する媒体」である旨特定されているのに対して、引用発明の割引セール用チラシが「顧客が所有する媒体」である旨特定されていない点。

第6 判断

上記相違点について検討する。

一般に、「ちらし」は、「広告のためにくばる刷物。ビラ。引札。」という意味である(岩波書店広辞苑第五版)。

ここで、引用発明の「割引セール用チラシ」は、「ちらし」であることから、顧客に対して、掲載されている商品を広告するために配られるものである。また、「ちらし」に特定の条件や制限が付されている等の特段の事情がない限り、広告のために配られている「ちらし」を顧客が受け取った時点で、その「ちらし」は当該顧客の所有物になるとするのが社会通念である。

そして、引用発明において、上記のような特段の事情は認められない。

そうすると、引用発明の「割引セール用チラシ」は、顧客が所有するものといえる。

してみると、上記相違点は、実質的な相違点ではない。

仮に、実質的な相違点であるとしても、「ちらし」である引用発明の「割引セール用チラシ」も、広告のために顧客に配られることは自明であり、配られた「割引セール用チラシ」を受け取った顧客の所有するものとすることは、当該「割引セール用チラシ」の内容を受け取った顧客が確認後に配布する者へ返却するなどの特別な事情があるとの理由も無いことから、当業者であれば容易になし得たことである。

なお、令和7年6月16日提出の意見書において、審判請求人は、「本願の請求項1は、「可搬媒体」を構成として少なくとも含む「情報処理システム」となっています。・・・(中略)・・・そして、「顧客が有する媒体」を「可搬媒体」として使用することについて、引用文献1は明確に開示していません。例えば、引用文献1の「割引セール用チラシ」について、「顧客が所有する媒体」であることを明確に開示する記載はありません。」との主張をされているが、上記で検討したとおりであり、審判請求人の主張は採用できない。

したがって、本願発明は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法29条第1項第3項に該当し、特許を受けることができない、あるいは、引用文献1に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第7 むすび

以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、あるいは、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。

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2024-014000

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