特許拒絶査定不服審判
2023-021925
決済分割装置、制御方法、及びプログラム
- 審判番号
- 2023-021925
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-245539外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年12月25日
- 審決日
- 2024年10月02日
- 公報発行日
- 2024年12月27日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZB(G06Q) / P18 .113-WZB(G06Q)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第4項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-245539「決済分割装置、制御方法、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和2年7月9日出願公開、特開2020-107094、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成30年12月27日に出願された特願2018-245539号であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。
令和4年 9月28日付け:拒絶理由通知書
令和4年12月 5日 :意見書及び手続補正書の提出
令和5年 4月 3日付け:拒絶理由通知書(最後)
令和5年 6月 9日 :意見書及び手続補正書の提出
令和5年 9月20日付け:令和5年6月9日になされた手続補正についての補正の却下の決定、及び拒絶査定
令和5年12月25日 :審判請求書及び手続補正書の提出
第2 令和5年12月25日になされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年12月25日になされた手続補正を却下する。
[理由]
1 令和5年12月25日になされた手続補正(本件補正)の内容
令和5年12月25日になされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲を、令和4年12月5日付け手続補正書により補正された「本件補正前の特許請求の範囲」から、本件補正により補正された「本件補正後の特許請求の範囲」へと補正するものである。
ここで、本件補正は、特許請求の範囲の請求項1についての補正を含むものであり、当該補正前後の請求項1は、それぞれ以下のとおりである。
以下、本件補正前の請求項1に係る発明を「本願発明1」といい、本件補正後の請求項1に係る発明を「本願補正発明1」という。
なお、下線は、補正箇所を示したものである。また、当審にて、本願発明1と本願補正発明1を、それぞれ発明特定事項に分説して1A~4Aとし、以下それぞれ「発明特定事項1A」等という。
(1)本願発明1(本件補正前の請求項1に係る発明)
「【請求項1】
(1A) 複数の商品の決済に関する決済情報を取得する取得部と、
(1B) 前記決済情報に係る支払いを行う複数の顧客それぞれについて、その顧客の支払金額を示す分割決済情報を生成する生成部と、を有し、
(1C) 前記取得部は、前記複数の商品別に、当該商品の支払いを行う複数の顧客を示す対応情報を取得し、
(1D) 前記生成部は、前記商品別に、前記対応情報が示す前記複数の顧客のそれぞれの支払比率を取得し、当該商品の金額を当該支払比率で按分することで、前記分割決済情報に示す支払金額を算出する
(1F)決済分割装置。」
(2)本願補正発明1(本件補正後の請求項1に係る発明)
「【請求項1】
(1A) 複数の商品の決済に関する決済情報を取得する取得部と、
(1B) 前記決済情報に係る支払いを行う複数の顧客それぞれについて、その顧客の支払金額を示す分割決済情報を生成する生成部と、を有し、
(1C) 前記取得部は、前記複数の商品別に、当該商品の支払いを行う複数の顧客を示す対応情報を取得し、
(1D) 前記生成部は、前記商品別に、前記対応情報が示す前記複数の顧客のそれぞれの支払比率を取得し、当該商品の金額を当該支払比率で按分することで、前記分割決済情報に示す支払金額を算出し、
(1E) 前記支払比率は、店員又は顧客によって入力される、或いは記憶装置から取得される、
(1F)決済分割装置。」
2 補正の適否について
上記1のとおり、本件補正は、上記1(1)に示した本願発明1に、上記1(2)に示した本願補正発明1において下線部で示した記載(発明特定事項1E)を追加して、本願補正発明1とする補正である。
すなわち、本件補正は、本願発明1に、発明特定事項1Eの「前記支払比率は、店員又は顧客によって入力される、或いは記憶装置から取得される」との限定を追加して、本願補正発明1とするものである。
以下、補正事項の補正の適否について検討する。
(1)補正の目的
本件補正は、本願発明1の発明特定事項1Dの「支払比率」について、「店員又は顧客によって入力される、或いは記憶装置から取得される」との限定を付して、減縮するものである。
そして、当該補正による請求項1についての補正は、補正前の請求項1に記載された発明(本願発明1)と補正後の請求項1に記載された発明(本願補正発明1)の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものである。
(2)新規事項の追加の有無、発明の特別な技術的特徴を変更の有無
当該補正事項による請求項1についての補正は、本願の願書に最初に添付した明細書の「支払い比率を示す情報は、店員によって入力されてもよいし、顧客20によって入力されてもよい。その他にも例えば、支払比率を示す情報を、生成部2040からアクセス可能な記憶装置に予め記憶させておいてもよい。この場合、生成部2040は、この情報を記憶装置から取得することにより、支払比率を特定する。」(段落【0050】)との記載(下線は、強調のために当審にて付した。)に基づくものであり、新たな技術事項を導入するものではない。
また、当該補正事項による補正は、本願発明1の発明特定事項1Dの「支払比率」を、「店員又は顧客によって入力される、或いは記憶装置から取得される」とするものであるから、発明の特別な技術的特徴を変更するものではない。
よって、補正事項1による請求項1についての補正は、新たな技術事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たし、発明の特別な技術的特徴を変更するものではないから、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たす。
(3)独立特許要件
当該補正事項による請求項1についての補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるので、同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について検討する。
ア 本願補正発明1
本願補正発明1は、上記1(2)のとおりである。
イ 各引用文献の記載と、各引用文献に記載の発明及び事項
(ア)特許第4282700号公報(本願出願前である平成21年6月24日特許公報発行。以下「引用文献1」という。)
A 引用文献1の記載
引用文献1には、以下の記載がある。
なお、下線は、当審にて強調のために付した。(以下同様)
「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会計処理装置、会計処理方法、会計処理プログラムおよびプログラム記録媒体に関し、特に、1品の割り勘処理を可能とするShared精算処理機能を有する会計処理装置、会計処理方法、会計処理プログラムおよびプログラム記録媒体に関する。」
「【0011】
前述のように、本発明は、例えば、飲食店において、単品のメニューについて複数の人が分け合って食した場合、その単品の支払い金額については、該当する複数の人で割り勘処理を行うことを可能とするものである。すなわち、既存の割り勘処理のように、グループの個々人が個別にメニュー項目を選択して、メニュー項目を単位として個別精算を行う場合や、グループ全員で合計金額を頭割りするような場合とは異なり、数人で取り分けを行ったメニュー1品に対しても、割り勘処理を可能とするものである。」
「【0014】
図1に示すように、本実施例における会計処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)11、入力部12、タッチ入力部13、カードリーダ14、ドロア15、通信部16、表示部17、印字部18、メモリ19、記憶装置20、記録媒体21を備え、記録媒体21を除く各部はバス22により相互に接続されている。」
「【0016】
なお、CPU11は、飲食料金等の会計処理を行う際に、複数の客からなるグループ客の場合、一取引における客人数や割り勘の種別をメモリ19に一時的に記憶させる登録処理や、割り勘精算を要求された場合の割り勘形態として、個別精算処理や、単純割り勘処理や、Shared精算処理(Shared Item処理)を実行する。
【0017】
ここで、個別精算処理とは、複数の人からなるグループが飲食したメニュー項目の金額を割り勘にする場合に、各個人が飲食したメニュー項目に該当する金額を個々人それぞれの支払い金額とするものであり、単純割り勘処理とは、グループ全体で飲食した複数のメニュー項目の合計金額を、単純に、グループ客の人数で均等に割った平均金額を一人あたりの支払い金額とするものである。また、Shared精算処理とは、個別割り勘をさらに進めた分割会計処理であり、複数からなるグループが飲食したメニュー項目の金額を割り勘にする場合に、1品からなる単一のメニュー項目であっても複数の人で分け合ったような場合には、当該メニュー項目の金額を分け合った複数の人に分割して負担させることにより、分け合ったメニュー項目も含めて各個人が飲食したメニュー項目に該当する金額を一人あたりの支払い金額とするものである。」
「【0027】
例えば、メモリ19は、割り勘処理用データメモリ、売上データメモリ、売上合計レジスタ、割り勘種別レジスタ、置数レジスタ、客人数レジスタ、ワークメモリ等を有している。割り勘処理用データメモリは、当日のグループ客に対する割り勘処理を可能とする各種データを蓄積し、また、売上データメモリは、当日の売上に関するデータを蓄積している。」
「【0029】
売上データメモリは、商品名、単価、売上個数、売上金額などの各項目を互いに対応付けて記憶する。商品名としては、例えば飲食店が顧客に提供する商品名データ(例えば、A定食やB料理等)を記憶し、単価としては、各商品の単価データを記憶し、売上個数としては、商品毎の売上個数データを記憶し、売上金額としては、商品毎に、クレジットカード、プリペイドカードによる売上金額データや現金による売上金額データを記憶する。」
「【図2】
[図:0001417425000001.jpg]
」
「【0031】
(実施例の動作)
次に、一つのメニュー項目を複数の人で分け合った場合の支払い金額の分割処理すなわちShared精算処理について、図2のフローチャートを用いて説明する。図2は、本発明による会計処理装置における会計処理の一例を示すフローチャートであり、一つのメニュー項目を複数の人で分け合った場合の支払い金額の分割処理すなわちShared精算処理を含む会計処理の一例を示している。
【0032】
図2のフローチャートにおいて、まず、複数の人からなるグループの支払い金額に関する会計処理に当たって、メニュー項目の割り勘を行うか否かを確認する(ステップS1)。割り勘処理をしないで、いずれか一人の人がまとめて支払い処理を行う旨の指示があって、入力部12またはタッチ入力部13からその旨の入力があった場合は(ステップS1のNO)、従来通りの通常の会計処理を行い、まとめた金額の支払いを受け取って、入力部12の「現金」キー等の操作が行われることにより、ドロア15に支払い金額を収納して、印字部18により領収書を印字して金額の支払いを行った人に配布する処理が行われる(ステップS10)。
【0033】
一方、複数の人による割り勘処理を行う旨の指示があって、入力部12またはタッチ入力部13からその旨の入力があった場合は(ステップS1のYES)、合計の支払い金額を、人数で均等に頭割りするか否かを確認する(ステップS2)。均等に頭割りする旨の指示があって、入力部12またはタッチ入力部13からその旨の入力があった場合は(ステップS2のYES)、従来通り、合計金額を人数で割った一人当たりの平均金額を算出する既存の頭割り処理を行い、個々人から、順次、頭割り金額の支払いを受け取って、入力部12の「現金」キー等の操作が行われることにより、ドロア15に支払い金額を収納して、印字部18により領収書を印字して金額の支払いを行った人に配布する処理が行われる(ステップS11)。
【0034】
一方、均等に頭割りしないで、各人の個別精算を行う旨の指示があって、入力部12またはタッチ入力部13からその旨の入力があった場合は(ステップS2のNO)、それぞれの注文メニュー項目に応じて、各人に支払い金額を分配する個別精算処理を行うために、注文メニュー項目とそれぞれの単価、その数量、および注文メニューごとの小計金額等を表示部17に一覧表示する。
【0035】
一覧表示された注文メニューについて、各人が個別に注文したメニュー項目として同一のメニュー項目が複数存在している場合は、各人の個別精算が可能なように、1つずつのメニュー項目に分ける処理を行い、表示部17に一覧表示した注文メニューの表示内容のメニュー項目、金額、数量を、個別精算単位に分割した表示に変更する(ステップS3)。
【0036】
次に、1個のみの単一の注文メニュー項目についても支払い金額を複数の人で分割するShared Item機能すなわちShared精算処理を使用するか否かを確認する(ステップS4)。Shared精算処理を行わない旨の指示があって、入力部12またはタッチ入力部13からその旨の入力があった場合は(ステップS4のNO)、ステップS9に移行して、従来の個別精算処理を行うことになる。
【0037】
一方、Sharedd精算処理を行う旨の指示があって、入力部12またはタッチ入力部13からその旨の入力があった場合は(ステップS4のYES)、ステップS5以降の処理に移行して、単一の注文メニュー項目についても複数の人で分け合った場合のように、数量“1”の単一の注文メニュー項目に対する支払い金額を複数の人に分割する会計処理を可能にするために、本発明によるShared精算処理(Shared Item処理)機能の実行に移る。
【0038】
まず、ステップS5においては、単一の注文メニュー項目のうち、Shared精算処理を行うメニュー項目を指定する指示があって、入力部12またはタッチ入力部13からその旨の入力がなされると、表示部17に一覧表示されている注文メニュー項目のうち、該当する注文メニュー項目に、その旨の表示が追加される(ステップS5)。しかる後、Shared精算処理機能を記憶装置20からメモリ19に読み出して起動する(ステップS6)
【0039】
次いで、Shared精算処理機能を適用する該当の注文メニュー項目について、分割する人数の登録を指定する指示があって、入力部12またはタッチ入力部13からその旨の入力がなされると(ステップS7)、該当するメニュー項目を、指定された人数分に分割するとともに、当該メニュー項目の金額を人数分に応じて均等に配分する分割金額(Shared精算金額)を算出することにより、表示部17に一覧表示した注文メニューの表示内容のメニュー項目、金額、数量を、1つのメニュー項目であっても、分割する人数分に対応して均等に分配したShared精算単位にさらに分割した表示に変更する(ステップS8)。
【0040】
ステップS3において個別精算単位に分割するとともに、ステップS8においてShared精算単位にさらに分割した表示に変更した注文メニュー一覧が表示されると、その注文メニュー一覧に関して、Shared精算処理の対象となる単一のメニュー項目を分割したShared項目も含めて、既存の個別精算処理と同様の精算処理を行う(ステップS9)。
【0041】
すなわち、ステップS9における個別精算処理においては、Shared精算項目および個別精算項目をそれぞれの人数分に分割した細分メニュー項目も含めて、各注文メニュー項目とその金額を一覧表示するとともに、割り勘処理を行う対象の人数分の対象人別の欄を表示する。しかる後、一覧表示された注文メニュー項目について、Shared精算項目および個別精算項目の細分メニュー項目も含めて、各人が個別に分担するそれぞれのメニュー項目の指示があって、入力部12またはタッチ入力部13からその旨の入力があると、それぞれの注文メニュー項目を該当する対象人欄に移行する処理を行うとともに、その支払い金額を該当する対象人欄に分配するための移行処理を行う。
【0042】
各注文メニュー項目のすべてについて、かかる対象人欄へのメニュー項目の移行処理が終了して、入力部12またはタッチ入力部13からその旨の入力があると、対象人欄の各人ごとの支払い金額の集計がなされる個別精算処理(Shared精算処理も含まれた処理)が実行され、個々人から、順次、個別精算金額の支払いを受け取って、入力部12の「現金」キー等の操作が行われることにより、ドロア15に支払い金額を収納して、印字部18により領収書を印字して金額の支払いを行った人に配布する処理が行われる。」(当審注:【0037】について、原文ママ。「Sharedd精算処理」との記載は、「Shared精算処理」の明らかな誤記。)
「【図4】
[図:0001417425000002.jpg]
」
「【0047】
図4は、本発明による会計処理装置においてShared精算も含む個別精算を行う際のオペレータ表示画面の一例を示す表示画面図である。図4(A)の画面は、図2のフローチャートのステップS5において表示部17に表示されるメニュー項目一覧表の表示例であり、各人別のShared精算処理を含む個別精算処理を実行する前の準備段階における準備画面31の表示例を示すものである。また、図4(B)の画面は、図2のフローチャートのステップS8、9において表示部17に表示されるメニュー項目一覧表の表示例であり、各人別のShared精算処理を含む個別精算処理を実行した後の個別精算画面32の表示例を示すものである。
【0048】
図4(A)の準備画面31においては、グループの構成員(顧客)が客1 311、客2 312、客3 313の3人であった場合の例を示し、かつ、当該グループの注文したメニュー項目の一覧とその金額を、代表者の客1 311のメニュー項目311b、金額311cにまとめて表示している例を示しており、客2 312、客3 313それぞれのメニュー項目311b,313b、金額311c,313cは、Sahred精算処理も含めて個別精算処理を行う前であり、空白状態になっている。
【0049】
なお、図4(A)の準備画面31において、客1 311のチェック311a欄に「○」印が付与されているメニュー項目が、図3の売上処理データの個別精算フラグ25a,26aに示す「○」印と同様、複数の数量の注文があったメニュー項目について1メニュー項目単位の個別精算対象の項目であることを示し、「※」印が付与されているメニュー項目が、図3の売上処理データのSharedフラグ25b,26bに示す「※」印と同様、1個の数量の注文があったメニュー項目について1メニュー項目をさらに細分化したShared項目単位のShared精算対象の項目であることを示している。」
「【0051】
図4(B)の個別精算画面32は、図4(A)の準備画面31を参照しながら、客1 311のメニュー項目311bにあった各メニュー項目について、金額の支払いを分担する客1 321、客2 322 客 323それぞれのメニュー項目322b,323bに、客1 321のメニュー項目321bから移動操作を行うことによって、そのメニュー項目に対応する金額、チェック表示も、客1 321の金額321c、チェック321aからそれぞれの客2 322、客3 323の金額322c,323c、チェック322a,323aに移動し、それぞれの客ごとに集計した支払い金額の合計を各人ごとの個別精算金額として画面表示している。」(当審注:原文ママ。「客2 322 客 323」との記載は、「客2 322、客3 323」の誤記と認められる。)
「【0053】
以上のように、会計処理装置100において、Shared精算処理を含む個別精算処理を行った結果に基づいて、店舗の売上処理を行うことになるが、売上処理実行に当たっては、図3に示す初期売上画面25に画面表示した初期売上処理データと、図4(B)の個別精算画面32に画面表示したShared精算処理を含む個別精算処理結果を示す精算処理後売上処理データとを用いて、売上レポートが作成され、表示部17に画面表示されるとともに、記憶装置20に記憶される。さらには、入力部12またはタッチ入力部13からの印字指示があった場合は、印字部18より印字出力される。ここで、図3に示す初期売上画面25に画面表示した初期売上処理データは、商品の売上データとして扱われ、図4(B)の個別精算画面32に画面表示した精算処理後売上処理データは、当該店舗の実際の売上データとして扱われる。」
B 引用文献1の記載から把握できる事項
引用文献1には、上記Aのとおり、ステップ5において「表示部17に一覧表示されている注文メニュー項目のうち、該当する注文メニュー項目に、その旨の表示が追加され」(【0038】)、「図4(A)の画面は、図2のフローチャートのステップS5において表示部17に表示されるメニュー項目一覧表の表示例であり、各人別のShared精算処理を含む個別精算処理を実行する前の準備段階における準備画面31の表示例を示すものである」(【0047】)との記載、及び【0048】【0049】の記載があり、これらの記載を踏まえると、【図4】(A)から、以下の事項(以下「記載事項1」という。)が把握できる。
(記載事項1)
「ステップS5において表示部17に表示される各人別のShared精算処理を含む個別精算処理を実行する前の準備段階における準備画面31の一覧表には、グループの注文したメニュー項目の一覧とその金額を、代表者の客1 311のメニュー項目311b、金額311cにまとめて表示し、客1 311のチェック311a欄に「○」印が付与されているメニュー項目複数の数量の注文があったメニュー項目について1メニュー項目単位の個別精算対象の項目であることを示し、「※」印が付与されているメニュー項目が、1個の数量の注文があったメニュー項目について1メニュー項目をさらに細分化したShared項目単位のShared精算対象の項目であることを示しており、各「メニュー項目」の「金額」を集計した「合計」として「¥5,278」が表示されること。」
C 引用文献1に記載された発明(引用発明)
上記A、Bによれば、引用文献1に記載された発明(以下「引用発明」という。)は、以下のとおりである。
なお、当審にて引用発明を1a~1qに分説し、以下それぞれ「構成1a」等という。また、各構成の末尾の( )内に、引用文献1における記載箇所を示した。
(引用発明)
「(1a)1品の割り勘処理を可能とするShared精算処理機能を有する会計処理装置であって、(【0001】)
(1b)会計処理装置100は、CPU11、メモリ19を備え、(【0014】)
(1c)CPU11はShared精算処理を実行し、(【0016】)
(1d)メモリ19は売上データメモリを有し、売上データメモリは、商品名、単価、売上個数、売上金額などの各項目を互いに対応付けて記憶し(【0027】【0029】)
(1e)個別精算処理とは、複数の人からなるグループが飲食したメニュー項目の金額を割り勘にする場合に、各個人が飲食したメニュー項目に該当する金額を個々人それぞれの支払い金額とするものであり、(【0017】)
(1f)Shared精算処理とは、個別割り勘をさらに進めた分割会計処理であり、複数からなるグループが飲食したメニュー項目の金額を割り勘にする場合に、1品からなる単一のメニュー項目であっても複数の人で分け合ったような場合には、当該メニュー項目の金額を分け合った複数の人に分割して負担させることにより、分け合ったメニュー項目も含めて各個人が飲食したメニュー項目に該当する金額を一人あたりの支払い金額とするものであり、(【0017】)
(1g)一つのメニュー項目を複数の人で分け合った場合の支払い金額の分割処理すなわちShared精算処理は、(【0031】)
(1h)複数の人による割り勘処理を行う旨の指示があった場合は(ステップS1のYES)、合計の支払い金額を、人数で均等に頭割りするか否かを確認し、(【0033】)
(1i)均等に頭割りしないで、各人の個別精算を行う旨の指示があった場合は(ステップS2のNO)、それぞれの注文メニュー項目に応じて、各人に支払い金額を分配する個別精算処理を行うために、注文メニュー項目とそれぞれの単価、その数量、および注文メニューごとの小計金額等を表示部17に一覧表示し、一覧表示された注文メニューについて、各人が個別に注文したメニュー項目として同一のメニュー項目が複数存在している場合は、各人の個別精算が可能なように、1つずつのメニュー項目に分ける処理を行い、表示部17に一覧表示した注文メニューの表示内容のメニュー項目、金額、数量を、個別精算単位に分割した表示に変更し(ステップS3)、(【0034】【0035】)
(1j)Shared精算処理を行う旨の指示があった場合は(ステップS4のYES)、Shared精算処理機能の実行に移り、(【0037】)
(1k)単一の注文メニュー項目のうち、Shared精算処理を行うメニュー項目を指定する指示がなされると、表示部17に一覧表示されている注文メニュー項目のうち、該当する注文メニュー項目に、その旨の表示が追加され(ステップS5)、(【0038】)
(1l)Shared精算処理機能を適用する該当の注文メニュー項目について、分割する人数の登録を指定する指示がなされると(ステップS7)、該当するメニュー項目を、指定された人数分に分割するとともに、当該メニュー項目の金額を人数分に応じて均等に配分する分割金額を算出し、表示部17に一覧表示した注文メニューの表示内容のメニュー項目、金額、数量を、1つのメニュー項目であっても、分割する人数分に対応して均等に分配したShared精算単位にさらに分割した表示に変更し(ステップS8)、ステップS3において個別精算単位に分割するとともに、ステップS8においてShared精算単位にさらに分割した表示に変更した注文メニュー一覧が表示され(【0039】【0040】)
(1m)ステップS9における個別精算処理においては、Shared精算項目および個別精算項目をそれぞれの人数分に分割した細分メニュー項目も含めて、各注文メニュー項目とその金額を一覧表示するとともに、割り勘処理を行う対象の人数分の対象人別の欄を表示し、一覧表示された注文メニュー項目について、Shared精算項目および個別精算項目の細分メニュー項目も含めて、各人が個別に分担するそれぞれのメニュー項目の指示があると、それぞれの注文メニュー項目を該当する対象人欄に移行する処理を行うとともに、その支払い金額を該当する対象人欄に分配するための移行処理を行い、(【0041】)
(1n)各注文メニュー項目のすべてについて、かかる対象人欄へのメニュー項目の移行処理が終了して、その旨の入力があると、対象人欄の各人ごとの支払い金額の集計がなされる個別精算処理が実行され、(【0042】)
(1o)ステップS5において表示部17に表示される各人別のShared精算処理を含む個別精算処理を実行する前の準備段階における準備画面31の一覧表には、グループの注文したメニュー項目の一覧とその金額を、代表者の客1 311のメニュー項目311b、金額311cにまとめて表示し、客1 311のチェック311a欄に「○」印が付与されているメニュー項目複数の数量の注文があったメニュー項目について1メニュー項目単位の個別精算対象の項目であることを示し、「※」印が付与されているメニュー項目が、1個の数量の注文があったメニュー項目について1メニュー項目をさらに細分化したShared項目単位のShared精算対象の項目であることを示しており、各「メニュー項目」の「金額」を集計した「合計」として「¥5,278」が表示され、(上記Bの記載事項1)
(1p)ステップS8、9において表示部17に表示されるメニュー項目一覧表の表示例であり、各人別のShared精算処理を含む個別精算処理を実行した後の個別精算画面32は、準備画面31を参照しながら、客1 311のメニュー項目311bにあった各メニュー項目について、金額の支払いを分担する客1 321、客2 322、客3 323それぞれのメニュー項目322b、323bに、客1 321のメニュー項目321bから移動操作を行うことによって、そのメニュー項目に対応する金額、チェック表示も、客1 321の金額321c、チェック321aからそれぞれの客2 322、客3 323の金額322c、323c、チェック322a、323aに移動し、それぞれの客ごとに集計した支払い金額の合計を各人ごとの個別精算金額として画面表示され、(【0047】【0051】【図4】(B))
(1q)個別精算画面32に画面表示した精算処理後売上処理データは、当該店舗の実際の売上データとして扱われる、(【0053】)
(1a)会計処理装置。(【0001】)」
(イ)特開2001-155257号公報(本願出願前である平成13年6月8日出願公開。令和5年9月20日付け補正の却下の決定の引用文献3。以下「引用文献2」という。)
A 引用文献2の記載
引用文献2には、以下の記載がある。
「【0020】飲食店等において利用者が飲食代金の支払いをする時に、電子貨幣により割り勘での支払いを行う代金決済の流れについて図5の代金決済のフローチャートに従って説明する。なお、電子貨幣はリアルな通貨と同等なものであり、利用者同士が加盟店において代金債務が可能なものとし、説明を理解し易くするため通貨単位を「円」とする。
【0021】利用者が飲食代を『電子貨幣により支払う』旨を飲食したテーブル等から申告すると小売店主は決済端末機2を利用者に貸与する。この貸与時にはサーバ3により決済金額が計算され、小売店売上機1を介して決済端末機2にそれらの決済情報(支払総金額や利用者数など)が送信され、表示されると共に記憶部23に記憶される。
【0022】利用者は決済端末機2の操作部22に表示される「割り勘」又は「一括」支払キーを操作して、いずれかの支払方法を選択する(101)。ここで、「割り勘」キーが押下された場合には図6(イ)に示すように合計金額等の表示を行い、割り勘払いを行う支払人数,ランク(支払比率)の有無をランク指定キー22bにより指示入力させる(102)。支払人数,ランクが数字キー22aにより入力されると、制御部24は予め設定されているプログラムに従って各人の支払比率等を入力するよう、例えば図6(ロ)に示すようなランク入力エリア22cを表示する。」
B 引用文献2に記載された技術(文献2技術)
上記Aの記載から、引用文献2には、以下の技術(以下「文献2技術」という。)が記載されているといえる。
(文献2技術)
「飲食店等において利用者が飲食代金の支払いをする時に、「割り勘」キーが押下された場合には合計金額等の表示を行い、割り勘払いを行う支払人数、ランク(支払比率)の有無を指示入力させること。」
ウ 本願補正発明1と引用発明の対比
(ア)発明特定事項1A
A 引用発明の「会計処理装置」は、構成1aによれば「1品の割り勘処理を可能とするShared精算処理機能を有」し、構成1jによれば「Shared精算処理を行う旨の指示があった場合は」、「Shared精算処理機能の実行に移り」、構成1pによれば「表示部17」に「各人別のShared精算処理を含む個別精算処理を実行する前の準備段階における準備画面31」を「表示」し、構成1oによれば、「一覧表には、グループの注文したメニュー項目の一覧とその金額を、代表者の客1 311のメニュー項目311b、金額311cにまとめて表示」すると共に、「各「メニュー項目」の「金額」を集計した「合計」として「¥5,278」が表示され」るものである。
B 引用発明の「メニュー項目」の欄で特定されるものは、本願補正発明1の「商品」に相当する。また、引用発明の「各「メニュー項目」の「金額」を集計した「合計」」の欄の情報は、決裁金額である「¥5,278」を特定することができる点で、本願補正発明1の「複数の商品に関する決済情報」に相当する。
C 引用発明は「合計」として「¥5,278」を表示するから、会計処理装置が「各「メニュー項目」の「金額」を集計した「合計」を取得する機能を有する」ことは明らかである。
D よって、引用発明の当該機能を実現する手段は、本願補正発明1の発明特定事項1Aである「複数の商品の決済に関する決済情報を取得する取得部」に相当する。
(イ)発明特定事項1B
A 引用発明は、構成1oによれば「準備画面31の一覧表には、グループの注文したメニュー項目の一覧とその金額を、代表者の客1 311のメニュー項目311b、金額311cにまとめて表示し、客1 311のチェック311a欄に「○」印が付与されているメニュー項目複数の数量の注文があったメニュー項目について1メニュー項目単位の個別精算対象の項目であることを示し、「※」印が付与されているメニュー項目が、1個の数量の注文があったメニュー項目について1メニュー項目をさらに細分化したShared項目単位のShared精算対象の項目であることを示しており、各「メニュー項目」の「金額」を集計した「合計」として「¥5,278」が表示され」るものであり、構成1pによれば「各人別のShared精算処理を含む個別精算処理を実行した後の個別精算画面32は、準備画面31を参照」することで表示されるものであって、「客1 311のメニュー項目311bにあった各メニュー項目について、金額の支払いを分担する客1 321、客2 322、客3 323それぞれのメニュー項目322b、323bに、客1 321のメニュー項目321bから移動操作を行うことによって、そのメニュー項目に対応する金額、チェック表示も、客1 321の金額321c、チェック321aからそれぞれの客2 322、客3 323の金額322c、323c、チェック322a、323aに移動し、それぞれの客ごとに集計した支払い金額の合計を各人ごとの個別精算金額として画面表示され」るものである。
B 引用発明において、準備画面31で表示されているものを、個別精算画面32の「客1」、「客2」、「客3」へ振り分ける目的で移動等をさせるためには、1メニュー項目単位ごとに、各「メニュー項目」の「金額」と、客1~客3の何れかとが対応付けられていることは明らかである。そして、この「金額」を集計したものが「合計」であるから、引用発明の「客1」、「客2」、「客3」は、本願補正発明1の「前記決済情報に係る支払いを行う複数の顧客」に相当する。
また、引用発明の「それぞれの客ごとに集計した支払い金額の合計」は、本願補正発明1の「前記決済情報に係る支払いを行う複数の顧客それぞれについて、その顧客の支払金額」に相当し、引用発明の「それぞれの客ごとに集計した支払い金額の合計を各人ごとの個別精算金額」は、本願補正発明1の「前記決済情報に係る支払いを行う複数の顧客それぞれについて、その顧客の支払金額を示す分割決済情報」に相当する。
C 上記A、Bのとおりであって、引用発明は「個別精算金額」について「それぞれの客ごとに集計」する機能を有することから、引用発明の当該機能を実現する手段は、本願補正発明の発明特定事項1Bである「前記決済情報に係る支払いを行う複数の顧客それぞれについて、その顧客の支払金額を示す分割決済情報を生成する生成部」に相当する。
(ウ)発明特定事項1C
A 引用発明は、上記(イ)Aのとおりのものを含む。
B また、上記(イ)Bのとおりであるから、引用発明の、1メニュー項目単位ごとに、各「メニュー項目」の「金額」と、客1~客3の何れかとを対応付けるものは、本願補正発明1の「対応情報」に相当する。
C そして、引用発明において、「準備画面31」を参照して「個別精算画面32」の画面を表示するためには、1メニュー項目単位ごとに、各「メニュー項目」の「金額」と、客1~客3の何れかとを対応付けるものが必要であることは明らかである。
D 上記A~Cのとおりであるから、引用発明における、1メニュー項目単位ごとに、各「メニュー項目」の「金額」と、客1~客3の何れかとを対応付けるものを取得することは、本願補正発明1の発明特定事項1Cである「前記取得部は、前記複数の商品別に、当該商品の支払いを行う複数の顧客を示す対応情報を取得」することに相当する。
(エ)発明特定事項1D
A 引用発明は、構成1jによれば「Shared精算処理機能の実行に移り」、構成1kによれば「単一の注文メニュー項目のうち、Shared精算処理を行うメニュー項目を指定する指示がなされると、表示部17に一覧表示されている注文メニュー項目のうち、該当する注文メニュー項目に、その旨の表示が追加され」、構成1lによれば「Shared精算処理機能を適用する該当の注文メニュー項目について、分割する人数の登録を指定する指示がなされると」、「該当するメニュー項目を、指定された人数分に分割するとともに、当該メニュー項目の金額を人数分に応じて均等に配分する分割金額を算出し、表示部17に一覧表示した注文メニューの表示内容のメニュー項目、金額、数量を、1つのメニュー項目であっても、分割する人数分に対応して均等に分配したShared精算単位にさらに分割した表示に変更し」、「ステップS3において個別精算単位に分割するとともに、ステップS8においてShared精算単位にさらに分割した表示に変更した注文メニュー一覧が表示され」るものであって、構成1oによれば「準備画面31の一覧表には、グループの注文したメニュー項目の一覧とその金額を、代表者の客1 311のメニュー項目311b、金額311cにまとめて表示し、客1 311のチェック311a欄に「○」印が付与されているメニュー項目複数の数量の注文があったメニュー項目について1メニュー項目単位の個別精算対象の項目であることを示し、「※」印が付与されているメニュー項目が、1個の数量の注文があったメニュー項目について1メニュー項目をさらに細分化したShared項目単位のShared精算対象の項目であることを示しており」、構成1pによれば、「ステップS8、9において表示部17に表示されるメニュー項目一覧表の表示例であり、各人別のShared精算処理を含む個別精算処理を実行した後の個別精算画面32は、準備画面31を参照しながら、客1 311のメニュー項目311bにあった各メニュー項目について、金額の支払いを分担する客1 321、客2 322、客3 323それぞれのメニュー項目322b、323bに、客1 321のメニュー項目321bから移動操作を行うことによって、そのメニュー項目に対応する金額、チェック表示も、客1 321の金額321c、チェック321aからそれぞれの客2 322、客3 323の金額322c、323c、チェック322a、323aに移動し、それぞれの客ごとに集計した支払い金額の合計を各人ごとの個別精算金額として画面表示」するものである。
B 上記Aから、引用発明の1メニュー項目単位ごとに各「メニュー項目」の「金額」と客1~客3の何れかとを対応付けるものとして、「○」、「※」の情報が含まれていることは明らかである。
C そうすると、
引用発明の、チェック321a、322a、323aに「○」印が付与されているメニュー項目が「複数の数量の注文があったメニュー項目について1メニュー項目単位の個別精算対象の項目」、「※」印が付与されているメニュー項目が「1個の数量の注文があったメニュー項目について1メニュー項目をさらに細分化したShared項目単位のShared精算対象の項目」にそれぞれ対応する個々の「メニュー項目」の、金額321c、322c、323cの「金額」を、「客1」~「客3」ごとに集計することと、
本願補正発明1の発明特定事項1Dである「前記生成部は、前記商品別に、前記対応情報が示す前記複数の顧客のそれぞれの支払比率を取得し、当該商品の金額を当該支払比率で按分することで、前記分割決済情報に示す支払金額を算出」することとは、
「前記生成部は、前記商品別に、前記対応情報が示す前記複数の顧客のそれぞれの分配情報を取得し、当該商品の金額を当該分配情報に基づくことで、前記分割決済情報に示す支払金額を算出」する点(以下「発明特定事項1D’」という。)で共通する。
(オ)発明特定事項1E
本願補正発明1は、発明特定事項1Eで特定されるとおり、「前記支払比率は、店員又は顧客によって入力される、或いは記憶装置から取得される」ものであるが、引用発明は、そのような構成がない点で相違する。
(カ)発明特定事項1F
引用発明の構成1aにおける「会計処理装置」は、「Shared精算処理機能」において、上記(ア)、(イ)のとおり、本願補正発明1の発明特定事項1Aの「取得部」及び発明特定事項1Bの「生成部」に相当する構成を備えるものであるから、上記(エ)、(オ)の相違点を除いて、本願補正発明1の発明特定事項1Fにおける「決済分割装置」に相当する。
(キ)一致点・相違点
上記(ア)~(カ)のとおりであるから、本願補正発明1と引用発明は、以下の一致点で一致し、以下の相違点(相違点1、2)で相違する。
【一致点】
「(1A) 複数の商品の決済に関する決済情報を取得する取得部と、
(1B) 前記決済情報に係る支払いを行う複数の顧客それぞれについて、その顧客の支払金額を示す分割決済情報を生成する生成部と、を有し、
(1C) 前記取得部は、前記複数の商品別に、当該商品の支払いを行う複数の顧客を示す対応情報を取得し、
(1D’) 前記生成部は、前記商品別に、前記対応情報が示す前記複数の顧客のそれぞれの分配情報を取得し、当該商品の金額を当該分配情報に基づいて前記分割決済情報に示す支払金額を算出する
(1F)決済分割装置。」
【相違点】
・相違点1: 「分配情報」が、
本願補正発明1では、「支払比率」であって、「当該商品の金額を当該支払比率で按分する」ことで、分割決済情報に示す支払金額を算出しているのに対し、
引用発明では、「○」印が付与されているメニュー項目が「複数の数量の注文があったメニュー項目について1メニュー項目単位の個別精算対象となる項目」であり、「※」印が付与されているメニュー項目が「1個の数量の注文があったメニュー項目について1メニュー項目をさらに細分化したShared項目単位のShared精算対象の項目」であり、「個別精算処理とは、複数の人からなるグループが飲食したメニュー項目の金額を割り勘にする場合に、各個人が飲食したメニュー項目に該当する金額を個々人それぞれの支払い金額とする」ものであり、「Shared精算処理とは、個別割り勘をさらに進めた分割会計処理であり、複数からなるグループが飲食したメニュー項目の金額を割り勘にする場合に、1品からなる単一のメニュー項目であっても複数の人で分け合ったような場合には、当該メニュー項目の金額を分け合った複数の人に分割して負担させることにより、分け合ったメニュー項目も含めて各個人が飲食したメニュー項目に該当する金額を一人あたりの支払い金額とするもの」であって、「支払比率」といえるか定かではなく、更には、「当該支払比率で按分する」ものか定かではない点。
・相違点2: 本願補正発明1は、「前記支払比率は、店員又は顧客によって入力される、或いは記憶装置から取得される」ものであるが、引用発明は、そのような構成がない点。
エ 相違点についての判断
(ア)相違点1、2について
事案に鑑み、相違点1、2をまとめて検討する。
A 本願補正発明1の「支払比率」について、本願の発明の詳細な説明には次の記載がある。
「【0049】
<<方法2>>
例えば生成部2040は、決済情報10に示されている合計支払金額を、定められた比率で按分する。この場合、生成部2040は、顧客20間の支払金額の比率(以下、支払比率)を特定する。そして、生成部2040は、決済情報10に示されている合計支払金額を支払比率で按分することで、各顧客20の支払金額を算出する。例えば、合計支払金額が3,000円であり、顧客Aと顧客Bのグループにおいて、顧客Aと顧客Bの支払比率が1:2であるとする。この場合、生成部2040は、顧客Aの支払金額を1,000円とし、顧客Bの支払金額を2,000円とする。
【0050】
支払比率を特定する方法は様々である。例えば決済分割装置2000は、支払い比率を示す情報(顧客と支払比率との対応関係を示す情報)を入力する入力操作を受け付けることで、支払比率を特定する。支払い比率を示す情報は、店員によって入力されてもよいし、顧客20によって入力されてもよい。その他にも例えば、支払比率を示す情報を、生成部2040からアクセス可能な記憶装置に予め記憶させておいてもよい。この場合、生成部2040は、この情報を記憶装置から取得することにより、支払比率を特定する。
【0051】
決済情報10に係る決済を行う顧客20の特定(S206)は、例えば、上記支払い比率を示す情報を取得することによって実現できる。その他にも例えば、生成部2040は、方法1で説明した種々の方法で、決済情報10に係る決済を行う顧客20を特定してもよい。この場合、生成部2040は、特定した各顧客20についての支払い比率を入力する入力画面を出力し、その入力画面に対する入力の結果に基づいて、各顧客20の支払い比率を特定する。」
B 引用文献1の【図4】(B)の「○」印が付与されているメニュー項目が「複数の数量の注文があったメニュー項目について1メニュー項目単位の個別精算対象の項目」で特定される、例えば、「客1」、「客3」の「Item1」、「¥480」との情報は、客1と客3が支払うことを示しており、このとき、客2は、Item1について支払わないことを意味する。
また、引用文献1の【図4】(B)の「※」印が付与されているメニュー項目が「1個の数量の注文があったメニュー項目について1メニュー項目をさらに細分化したShared項目単位のShared精算対象の項目」で特定される、例えば、「客1」、「客2」、「客3」の「Item2」、「¥400」との情報は、客1~客3がItem2について均等に¥400を支払うことを示している。
C 引用発明は、上記Bについての支払い処理を、「○」印が付与されているメニュー項目が「個別精算処理」、「※」印が付与されているメニュー項目が「Shared精算処理」であるとするものである。
そして、「個別精算処理」は、上記Aのとおり、「○」印が付与されているメニュー項目が「複数の数量の注文があったメニュー項目について1メニュー項目単位の個別精算対象の項目」で特定される「メニュー項目」を一人の客が全額の支払いを行い、他の客は支払いを行わない点で、上記Bの「Item1」の例では、支払の比率は、客1:客2:客3=1:0:1であるといえる。
また、「Shared精算処理」は、上記Aのとおり、「※」印が付与されているメニュー項目が「1個の数量の注文があったメニュー項目について1メニュー項目をさらに細分化したShared項目単位のShared精算対象の項目」で特定される「メニュー項目」を客の全員が均等に支払う点で、支払の比率は、客1:客2:客3=1:1:1であるといえる。
そして、いずれの場合であっても、「金額」は、上記の比率に基づいて算出されるものであるから、引用発明において「○」、「※」は「支払比率」を示していることと等しいといえるから、上記相違点1は文言上の差違にすぎず、実質的な相違点ではない。
D 仮に相違点1、2が実質的な相違点であるとしても、引用発明は、構成1lのとおり、Shared精算処理機能において、「Shared精算処理機能を適用する該当の注文メニュー項目について、分割する人数の登録を指定する」ことができる点で、「※」印が付与されているメニュー項目が「1個の数量の注文があったメニュー項目について1メニュー項目をさらに細分化したShared項目単位のShared精算対象の項目」で特定される「メニュー項目」の支払の比率は、分割する人数に応じて任意に設定可能なものであり、「個別精算処理」は、1メニュー項目についての支払いをする人数が一人の場合と同等のものといえ、引用文献1において、誰に支払いを行わせるかの調整が可能であることは示唆されているといえる。
そして、複数人の客からなるグループによる料金の支払いにおいて、割り勘による支払い、傾斜配分に基づく支払いは、文献2技術のとおり周知技術にすぎない。
そうすると、引用発明に当該周知技術を適用して、上記相違点1の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものである。
E そして、上記相違点1の構成が、実質的な相違点でない、又は、当業者が容易に想到することができたものであるときのいずれであっても、構成1lのとおり、引用発明は、「Shared精算処理機能を適用する該当の注文メニュー項目について、分割する人数の登録を指定する」ことができることから、引用発明においても「前記支払比率は、店員又は顧客によって入力される」構成となっているといえるといえ、上記相違点2は文言上の差違にすぎず、実質的な相違点ではない。
また、本願補正発明1の「前記支払比率」は、「記憶装置から取得される」との構成について、念のため検討しても、引用発明は、構成1b~構成1dのとおり、会計処理装置100は「メモリ19」を備え、「メモリ19は売上データメモリを有し、売上データメモリは、商品名、単価、売上個数、売上金額などの各項目を互いに対応付けて記憶」すること、「個別精算画面32に画面表示した精算処理後売上処理データは、当該店舗の実際の売上データとして扱われる」ことを勘案すると、引用発明において、「前記支払比率」は、「記憶装置から取得される」構成とすることで、上記相違点2の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものである。
(イ)効果について
本願補正発明1における、上記相違点1、2の構成を採用することによって奏する効果(複数の顧客のグループによって購入される商品について、各顧客による個別の決済を容易に行えること(本願【0009】参照))は、当業者が予測し得る範囲内のものである。
オ 請求人の主張について
(ア)請求人の主張の概要
本件審判請求の請求人は、審判請求書の3(B)において、「引用文献1に記載されているのは、…指定された人数に分割することまでです」とし、支払比率を適用する際には、均一に分割する構成を取り除く必要があるため、「当業者はこのようなことを想到しない」と主張している。
(イ)請求人の主張についての検討
本願補正発明1は、「前記生成部は、前記商品別に、前記対応情報が示す前記複数の顧客のそれぞれの支払比率を取得し、当該商品の金額を当該支払比率で按分することで、前記分割決済情報に示す支払金額を算出し」とするのみで、「支払比率」が顧客全員に均一になるよう、分割人数から算出することを含んでおり、また、引用発明は、「Shared精算処理機能を適用する該当の注文メニュー項目について、分割する人数の登録を指定する」ことができることから、顧客全員に均一になるものでない場合も示唆されている。そして、請求人が主張する構成は、上記エ(ア)のとおり、引用発明との間では文言上の差違にすぎず、仮に相違点であるとしても、周知技術にすぎず、引用発明と上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、上述の請求人の主張は、採用できない。
カ まとめ
上記ア~オのとおり、本願補正発明1は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない、又は、本願補正発明1は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたもの、若しくは、本願補正発明1は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正却下の決定の結論]のとおり、決定する。
第3 本願の特許請求の範囲
1 本願発明
令和5年12月25日になされた手続補正は、上記「第2」のとおり却下されたから、本願の特許請求の範囲は、令和4年12月5日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲のとおり(上記「第2」の[理由]の1(1)に記載したとおり)のものである。以下に、本願の請求項1に係る発明である本願発明1を再掲する。
(本願発明1)
「【請求項1】
(1A) 複数の商品の決済に関する決済情報を取得する取得部と、
(1B) 前記決済情報に係る支払いを行う複数の顧客それぞれについて、その顧客の支払金額を示す分割決済情報を生成する生成部と、を有し、
(1C) 前記取得部は、前記複数の商品別に、当該商品の支払いを行う複数の顧客を示す対応情報を取得し、
(1D) 前記生成部は、前記商品別に、前記対応情報が示す前記複数の顧客のそれぞれの支払比率を取得し、当該商品の金額を当該支払比率で按分することで、前記分割決済情報に示す支払金額を算出する
(1F)決済分割装置。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、次のとおり。
1.(新規性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1.特許第4282700号公報
3 本願発明の拒絶理由について
本願発明1は、本願補正発明1から、発明特定事項1Eを除いたものであるから、本願発明1と引用発明との対比は、発明特定事項1Eに係る点を除いて、上記「第2」[理由]2(3)ウのとおりであり、引用発明と本願発明1との相違点は、発明特定事項1Eに係る相違点である上記相違点2を除いた、上記相違点1のみである。
そして、相違点の判断は、上記「第2」[理由]2(3)エ(ア)のとおりであるから、本願発明1は、引用発明である、又は、本願発明1は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである、若しくは、本願発明1は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明1は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、特許を受けることができない。
または、本願発明1は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができた、若しくは、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-021925