特許拒絶査定不服審判
2024-016229
講義出席登録システム
- 審判番号
- 2024-016229
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-120661
- 請求日
- 2024年10月09日
- 審決日
- 2025年05月27日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】学校法人自治医科大学
- 【請求人代理人】弁理士法人特許事務所サイクス
- 【請求人】株式会社ダナフォーム
- 【請求人代理人】弁理士法人特許事務所サイクス
- 審判長/審判官
- 審判長 山澤 宏
- 審判官 村松 貴士
- 審判官 野崎 大進
- 分類
- P18 .121-Z (G06Q) / P18 .113-Z (G06Q)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-120661「講義出席登録システム」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 1月26日出願公開、特開2022- 17854〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年7月14日の出願であって、その手続の経緯は概略以下のとおりである。
令和5年 5月11日 手続補正書(方式)の提出
令和6年 1月19日付け 拒絶理由通知
令和6年 7月 5日付け 拒絶査定(原査定)
令和6年10月 9日 審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和6年10月9日の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和6年10月9日にされた手続補正を却下する。
[補正却下の理由]
1.手続補正の内容
令和6年10月9日の手続補正(以下、「本件補正」という)により、本件補正前の特許請求の範囲の請求項2の記載は、後記(1)のとおりの記載から、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の後記(2)のとおりの記載に補正された(下線は本件補正により変更された部分を示す)。
(1)本件補正前の請求項1および請求項2
本件補正前の特許請求の範囲の請求項1および2は、出願当初の特許請求の範囲の請求項1および2に記載された以下のとおりのものである。
「【請求項1】
受講者の携帯端末と、前記携帯端末と通信可能に接続される管理サーバとを備える講義出席登録システムであって、
前記携帯端末は、
講義が実施される室内に表示された、講義識別情報を含む二次元コードを撮影し、撮影された前記二次元コードから前記講義識別情報を抽出する手段と、
前記二次元コードから抽出された前記講義識別情報及び前記受講者の識別情報を含む出席申請情報を管理サーバに送信する手段とを備え、
前記管理サーバは、
前記携帯端末から前記出席申請情報を受信する手段と、
受信した前記出席申請情報に基づき、前記受講者が講義に出席していることを登録する手段とを備える講義出席登録システム。
【請求項2】
前記携帯端末は、
講義時間内に案内される代返防止用情報の入力を受け付ける手段と、
前記携帯端末に入力された前記代返防止用情報を前記管理サーバに送信する手段とを更に備え、
前記管理サーバは、
前記携帯端末から前記代返防止用情報を受信する手段を更に備え、
前記代返防止用情報を受信した場合に、前記受講者が前記講義に出席していることを登録する
請求項1に記載の講義出席登録システム。」
(2)本件補正後の請求項1
「【請求項1】
受講者の携帯端末と、前記携帯端末と通信可能に接続される管理サーバとを備える講義出席登録システムであって、
前記携帯端末は、
講義が実施される室内に表示された、講義識別情報を含む二次元コードを撮影し、撮影された前記二次元コードから前記講義識別情報を抽出する手段と、
前記二次元コードから抽出された前記講義識別情報及び前記受講者の識別情報を含む出席申請情報を管理サーバに送信する手段と、
講義時間内に案内される代返防止用情報の入力を受け付ける手段と、
前記携帯端末に入力された前記代返防止用情報を前記管理サーバに送信する手段とを備え、
前記管理サーバは、
前記携帯端末から前記出席申請情報を受信する手段と、
受信した前記出席申請情報に基づき、前記受講者が講義に出席していることを登録する手段と、
前記携帯端末から前記代返防止用情報を受信する手段とを備え、
前記管理サーバは、前記代返防止用情報を受信した場合に、前記受講者が前記講義に出席していることを登録する、講義出席登録システム(但し、管理サーバが、講義識別情報及び管理者しか知らない文字又は数字列に関する情報を含む二次元コードを作成する手段、及び携帯端末において撮影され、送信された二次元コードから得られる情報に含まれる管理者しか知らない文字又は数字列を対比する手段を有する場合は除く)を備える講義出席登録システム。」
なお、上記請求項1の記載において、「講義出席登録システム(但し、管理サーバが、講義識別情報及び管理者しか知らない文字又は数字列に関する情報を含む二次元コードを作成する手段、及び携帯端末において撮影され、送信された二次元コードから得られる情報に含まれる管理者しか知らない文字又は数字列を対比する手段を有する場合は除く)を備える講義出席登録システム。」というように、「講義出席登録システム」という記載が重複しており、末尾の「を備える講義出席登録システム」という部分は不要であって、明らかな誤記と認められる。
2.補正の適否
(1)本件補正の目的
この補正は、本件補正前の請求項2(請求項1を引用する請求項2を独立請求項の形式としたもの)に、「(但し、管理サーバが、講義識別情報及び管理者しか知らない文字又は数字列に関する情報を含む二次元コードを作成する手段、及び携帯端末において撮影され、送信された二次元コードから得られる情報に含まれる管理者しか知らない文字又は数字列を対比する手段を有する場合は除く)」との技術的限定を付加するものであって、本件補正の前後で、請求項1(および2)に記載の発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定された特許出願の際独立して特許を受けられるものであるか否かについて以下検討する。
(2)独立特許要件についての判断
ア 本件補正発明
本件補正発明は、上記1.(2)の記載から、上述したように、明らかな誤記と認められる、末尾の「を備える講義出席登録システム」という記載を除いて特定される以下の通りのものである。
「【請求項1】
受講者の携帯端末と、前記携帯端末と通信可能に接続される管理サーバとを備える講義出席登録システムであって、
前記携帯端末は、
講義が実施される室内に表示された、講義識別情報を含む二次元コードを撮影し、撮影された前記二次元コードから前記講義識別情報を抽出する手段と、
前記二次元コードから抽出された前記講義識別情報及び前記受講者の識別情報を含む出席申請情報を管理サーバに送信する手段と、
講義時間内に案内される代返防止用情報の入力を受け付ける手段と、
前記携帯端末に入力された前記代返防止用情報を前記管理サーバに送信する手段とを備え、
前記管理サーバは、
前記携帯端末から前記出席申請情報を受信する手段と、
受信した前記出席申請情報に基づき、前記受講者が講義に出席していることを登録する手段と、
前記携帯端末から前記代返防止用情報を受信する手段とを備え、
前記管理サーバは、前記代返防止用情報を受信した場合に、前記受講者が前記講義に出席していることを登録する、講義出席登録システム(但し、管理サーバが、講義識別情報及び管理者しか知らない文字又は数字列に関する情報を含む二次元コードを作成する手段、及び携帯端末において撮影され、送信された二次元コードから得られる情報に含まれる管理者しか知らない文字又は数字列を対比する手段を有する場合は除く)。」
イ 引用文献
(ア)引用文献1
原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2010-170494号公報(以下、「引用文献1」という)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付加した。以下同様。)。
a 「【技術分野】
【0001】
本発明は、出欠、参加、出退勤又は診察申込み受付の状況確認システム、及び、該システムを使用した出欠、参加、出退勤又は診察申込み受付の状況の確認方法に関する。
更に詳しくは、確認を行う側がコンピュータで作成し表示する改竄防止手段が取り入れられたQRコードを、確認を受ける側が自己の携帯電話のカメラでQRコードを読み込むだけで、出欠、参加、出退勤又は診察申込み受付の情報を通知する電子メールが携帯電話で自動作成され、当該電子メールを確認を行う側のコンピュータへ送信すれば出欠、参加、出退勤又は診察申込み受付の登録がなされるものに関する。」
b 図1
[図:0001425594000001.jpg]
c 「【0025】
本発明の実施形態をより具体的に説明するため、講義における出欠状況の確認システムを例として、如何にその実施態様を説明する。然しながら、本発明においては、出欠状況の確認システムに限定されるものではなく、本例示に示す発明の概念から、その他のシステム(例えば参加状況の確認、出退勤の状況確認や診察受付の確認・登録等)に本発明が適用されることが容易に理解される。
本発明の実施の形態を図面に基づき更に詳細に説明する。
図1は出欠状況の確認システムの構成の概略を示す説明図である。
以下で説明する出欠状況の確認システムSは、大学の講義においてのものであり、出欠状況を確認する側(以下「大学側」と称する。)のコンピュータ2(以下、コンピュータの語にはサーバを含む意味で使用する。)と、出欠確認を受ける側である受講者の携帯電話1により構成されている。
(中略)
【0027】
〔受講者の携帯電話1の構成〕
受講者の携帯電話1は、少なくとも、デジタルカメラと、デジタルカメラで撮影したQRコードを読み込むソフトウェアと、電子メールの送受信機能と、電子メール等を表示する携帯電話表示画面100と、を備えている。
【0028】
〔大学側コンピュータ2の構成〕
大学側コンピュータ2は、少なくとも下記(1)~(8)の機能を有する構成である(具体的には、以下の機能を有するソフトウェアが実行可能な状態にある)。
【0029】
(1)暗号化鍵を作成する機能を有するソフトウェア(以下「暗号化鍵作成ソフトウェア」と称する。)
【0030】
暗号化鍵作成ソフトウェアは、入力された情報(テキストデータ)を変換して暗号化し、文字及び数字の組み合わせであるハッシュ値として出力するものである。
【0031】
本実施の形態においては、暗号化鍵作成ソフトウェアとして、MD5(エムディーファイブ、Message Digest Algorithm 5。与えられた入力に対して128ビットのハッシュ値を出力するハッシュ関数。)規格を採用した暗号化鍵作成ソフトウェアを使用するが、これに限定するものではなく、他の規格の暗号化鍵作成ソフトウェアを使用してもよい。なお、他の規格の暗号化鍵作成ソフトウェアを使用する場合、暗号化鍵作成ソフトウェアは、MD5規格と同様に、暗号化の対象であるテキストデータの文字数の多寡に関わらず、常に一定の長さの暗号化鍵が作成され、テキストデータが一文字でも違う場合には同一の暗号化鍵が作成されないものが好ましい。
【0032】
本実施の形態においては、暗号化する情報として、大学側又は講師が入力した講義に関する情報、コンピュータが自動生成する情報、管理者しか知らない文字又は数字列、を入力するが、これに限定するものではなく、前記情報を減じたり、他の情報を付加してもよい。
大学側又は講師が入力した講義に関する情報としては、講義名、講師氏名、教棟、教場階、教場番号、講義がある時限等が挙げられる。
コンピュータが自動生成する情報とは、暗号化鍵作成時点での年月日、時刻等が挙げられる。
管理者しか知らない文字又は数字列とは、いわゆるパスワードと呼ばれるものであり、任意の文字或いは数字、文字及び数字の組み合わせであればよく、受講者が推測しにくいものが好ましい。ここでいう管理者は、大学職員、講師等のいずれか又はいずれもであってもよい。
【0033】
(2)QRコードを作成する機能を有するソフトウェア(以下「QRコード作成ソフトウェア」と称する。)
【0034】
QRコード作成ソフトウェアは、受講者の携帯電話1で読み込むためのQRコード3を作成する。
作成されるQRコード3に含まれる情報は、少なくとも、
(ア)受講者の携帯電話1に大学側コンピュータ2宛てに送信する電子メールを自動作成させ、当該電子メールを決定ボタンを押すだけで送信可能な状態におくコマンド、
(イ)受講者の携帯電話1において作成される電子メールの本文に表示される文面(テキストデータ)、
である。
【0035】
なお、前記(イ)の電子メールに表示される文面は、大学側又は講師が入力した講義に関する情報、コンピュータが自動生成する情報、暗号化鍵作成ソフトウェアにより出力されたハッシュ値(文字及び数字を組み合わせた文字列)であって、前記暗号化の際に入力した「管理者しか知らない文字又は数字列」が除かれており、該情報は表示されない(自動的にブラインド化される)。後述するハッシュ値の改竄又は改変防止のためである。
【0036】
本実施の形態においては、QRコード作成ソフトウェアは、コンピュータが自動生成する情報である暗号化鍵作成時点での時刻に対応して、QRコードを毎秒ごとに更新可能なものを使用する。QRコードが頻繁に変化する方が、後述するハッシュ値の改竄又は改変が行いにくいためである。
【0037】
(3)作成されたQRコードを各種情報伝達媒体に出力するソフトウェア(以下「QRコード出力ソフトウェア」という)及びQRコードを表示する各種情報伝達媒体(以下「QRコード表示媒体」という)
【0038】
本実施の形態においては、QRコード表示媒体は、受講者が撮影しやすく、かつ、導入コストが不要か又は低廉であるので、教場にある黒板又はホワイトボード、スクリーンが使用され、当該黒板等へプロジェクター240によってQRコード3を映し出す。なお、入退場時のみ出欠をチェックする場合は、入り口へに液晶モニター等設置してもよい。
また、QRコードは、大学内に敷設された通信網(LAN)を使用して、ホストコンピュータが作成し、教場内に設置されたモニター、プロジェクターによる黒板又はホワイトボードへの映写、講師又は受講者が使用する個人用コンピュータへの送信を行うこともできる(図1参照)。
【0039】
(4)電子メールの受信機能、及び、受講者の携帯電話から送られた電子メールを受信し、受信した電子メールに記載されたテキストデータとハッシュ値を読み込むソフトウェア
【0040】
(5)前記(4)で受信したテキストデータに、事前に登録した管理者しか知らない文字又は数字列を加えて、検証用のハッシュ値を作成する暗号化鍵作成ソフトウェア
【0041】
本実施の形態においては、前記の場合と同じく、MD5規格を採用した暗号化鍵作成ソフトウェアを使用する。
【0042】
(6)前記(5)において作成した検証用のハッシュ値と、受信した電子メールに記載されたハッシュ値を対比し、その正誤又は適否を検証又は判断するソフトウェア(以下「ハッシュ値検証ソフトウェア」という)
【0043】
(7)前記(6)のソフトウェアにより検証又は判断した結果に基づき、出席申請の受理又は不受理を通知する電子メールを自動作成し、事前に登録された受講者の携帯電話の電子メールアドレスへ送信するソフトウェア
【0044】
(8)前記(7)のソフトウェアによる電子メールの送信又は返信後に、受理又は不受理を通知した電子メールの両方に関して自動的に集計を行い、集計内容を出力可能な状態にするソフトウェア
【0045】
なお、本実施の形態においては、前記(1)~(8)のソフトウェアを個別のものとして記載しているが、例えば、使用するソフトウェアの一部又は全部が、(1)~(8)に挙げられたソフトウェアの機能のうち二以上の機能を備えたもの(例えば、前記(6)と(7)の機能を備える一のソフトウェア等)であってもよい。
(中略)
【0047】
〔事前準備〕
(1)前記〔大学側コンピュータ2の構成〕で述べた(1)~(8)のソフトウェアをインストールした大学側コンピュータ2に、受講者が使用する携帯電話1の電子メールアドレスを登録しておく。このとき、他の付帯的情報(例えば、受講者の氏名、受講番号、住所等の連絡先、等)を登録してもよい。
【0048】
(2)講師等は、大学側コンピュータ2にインストールされた暗号化鍵作成ソフトウェア及びQRコード作成ソフトウェアを使用して、受講者へ提示するQRコード3の作成を行う。」
d 図3
[図:0001425594000002.jpg]
e 「【0050】
〔出欠状況又は参加状況の確認作業〕
(1)講義の開始時に、講師等は、大学側コンピュータ2と連動するプロジェクター240を使用し、教場にある黒板又はホワイトボードへQRコード3を映写する(図3参照。図3は映写される画像の一例である。)。
そして、講師等は、受講者の所持する携帯電話1のQRコードを読み込むソフトウェアを起動させ、表示されたQRコード3を携帯電話1付属のデジタルカメラで撮影し、作成された電子メールを速やかに送信するよう、受講者に伝達する。
【0051】
(2)受講者は、所持する携帯電話1のQRコードを読み込むソフトウェアを起動させ、表示されたQRコード3を携帯電話1付属のデジタルカメラで撮影する。
すると、受講者の携帯電話1では、撮影されたQRコード3に含まれるコマンドにより、電子メールが自動作成される。具体的には、受講者の携帯電話1において、送信先(大学側コンピュータ2の電子メールアドレス)及び送信内容が記載された電子メールが作成され、送信ボタンを押すだけで送信可能な状態にされる。
【0052】
このとき、読み取ったQRコード3により作成される電子メールの送信内容(文面)には、〔事前準備〕(2)で講師が入力した情報104と、コンピュータが自動生成する情報102と、ハッシュ値106しか表示されず、情報(イ)(その講師しか知らない文章、文字及び数字の列)は表示されない。ハッシュ値の改竄を防止し、その場にいない者からの偽の出席申請を未然に防止するためである。
同一のハッシュ値が作成されない以上、QRコードの改竄も防止されるか又は改竄がしにくくなる。
(中略)
【0054】
(3)受講者は、前記自動作成された電子メールを、携帯電話1から大学側コンピュータ2へ速やかに送信する。
【0055】
(4)大学側コンピュータ2は、受講者から送信された電子メールを受信し、当該電子メールに記載されている情報102,104とハッシュ値106を、ソフトウェアにより読み取る。
【0056】
(5)前記(4)で読み取った情報102,104に、事前に登録した管理者しか知らない文字又は数字列を加え、暗号化鍵作成ソフトウェアによって検証用のハッシュ値を作成する。
【0057】
(6)ハッシュ値検証ソフトウェアが、前記(5)において作成した検証用のハッシュ値と、受信した電子メールに記載されたハッシュ値106を対比し、その正誤又は適否を検証又は判断する。
また、ハッシュ値の正誤又は適否のみならず、受信した電子メールの到着時間が著しく遅い場合についても、当該出席申請を行う電子メールの真贋について判断する。その理由は以下の通りである。
【0058】
(ア)表示されるQRコード3は、単位時間毎に表示内容(表示されるQRコード3のパターン)が刻一刻と変化している。この結果、複数の者が同一のQRコード3を読み取りにくくなるので、同一の送信文面の電子メールが多く届いたとすれば、その電子メールは、出席者の一部が、撮影したQRコード3の画像又はQRコード3により作成された電子メールの送信内容を、教場外にいる欠席者に対して電子メールで送付し、その欠席者が出席を申請する電子メールを大学側コンピュータ2へ送付した「なりすまし(代返行為)」の出席申請であることが推測される。
【0059】
(イ)また、作成された電子メールを速やかに送信するよう受講者に伝達しているので、前記と同様に、出席者が教場外にいる欠席者へQRコード又はQRコードにより作成された電子メールの送信内容を電子メールで送付した出席者の一部が、撮影したQRコード3の画像又はQRコード3により作成された電子メールの送信内容を、教場外にいる欠席者に対して電子メールで送付し、その欠席者が出席を申請する電子メールを大学側コンピュータ2へ送付したとしても、大学側コンピュータ2に届く電子メールの受信時間に時間差が生じ、著しく遅く届いた出席申請の電子メールについては、欠席者が同じQRコード等を使用した「なりすまし(代返行為)」と推測される。
【0060】
(7)大学側コンピュータ2は、受信したハッシュ値106と検証用のハッシュ値を比較した結果、受信したハッシュ値106が真正なものであり、更に受信した電子メールの到着時間の基準を満たしている電子メールの送信者に対して、正式な出席である旨の文章(例えば「貴方の電子メールを受信しました」、「出席申請を受理しました」という文章)の電子メールを自動作成し、大学側コンピュータ2に登録された受講者の携帯電話1のメールアドレスへ電子メールを自動送信する。」
(イ)引用発明
上記(ア)より、引用文献1の、特に下線を付加した記載に着目すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「出欠状況の確認システムSは、大学の講義においてのものであり、出欠状況を確認する大学側コンピュータ2(サーバ)と、出欠確認を受ける側である受講者の携帯電話1により構成されており、
受講者の携帯電話1は、デジタルカメラと、デジタルカメラで撮影したQRコードを読み込むソフトウェアと、電子メールの送受信機能と、電子メール等を表示する携帯電話表示画面100と、を備えており、
大学側コンピュータ2は、暗号化鍵作成ソフトウェアを有しており、暗号化鍵作成ソフトウェアは、入力された情報(テキストデータ)を変換して暗号化し、文字及び数字の組み合わせであるハッシュ値として出力するものであり、
暗号化する情報として、大学側又は講師が入力した講義に関する情報、コンピュータが自動生成する情報、管理者しか知らない文字又は数字列、を入力するが、これに限定するものではなく、前記情報を減じたり、他の情報を付加してもよく、
大学側又は講師が入力した講義に関する情報としては、講義名、講師氏名、教棟、教場階、教場番号、講義がある時限等が挙げられ、
コンピュータが自動生成する情報とは、暗号化鍵作成時点での年月日、時刻等が挙げられ、
管理者しか知らない文字又は数字列とは、いわゆるパスワードと呼ばれるものであり、任意の文字或いは数字、文字及び数字の組み合わせであればよく、
大学側コンピュータ2は、さらに、QRコード作成ソフトウェアを有しており、
作成されるQRコード3に含まれる情報は、(ア)受講者の携帯電話1に大学側コンピュータ2宛てに送信する電子メールを自動作成させ、当該電子メールを決定ボタンを押すだけで送信可能な状態におくコマンド、(イ)受講者の携帯電話1において作成される電子メールの本文に表示される文面(テキストデータ)、であり、電子メールに表示される文面は、大学側又は講師が入力した講義に関する情報、コンピュータが自動生成する情報、暗号化鍵作成ソフトウェアにより出力されたハッシュ値(文字及び数字を組み合わせた文字列)であり、
大学側コンピュータ2に、受講者が使用する携帯電話1の電子メールアドレス、受講者の氏名、受講番号等を登録しておき、
講師等は、大学側コンピュータ2にインストールされた暗号化鍵作成ソフトウェア及びQRコード作成ソフトウェアを使用して、受講者へ提示するQRコード3の作成を行い、
講義の開始時に、講師等は、大学側コンピュータ2と連動するプロジェクター240を使用し、教場にある黒板又はホワイトボードへQRコード3を映写し、
受講者は、所持する携帯電話1のQRコードを読み込むソフトウェアを起動させ、表示されたQRコード3を携帯電話1付属のデジタルカメラで撮影し、
受講者の携帯電話1では、撮影されたQRコード3に含まれるコマンドにより、電子メールが自動作成され、
読み取ったQRコード3により作成される電子メールの送信内容(文面)には、講師が入力した情報104と、コンピュータが自動生成する情報102と、ハッシュ値106が表示され、
受講者は、前記自動作成された電子メールを、携帯電話1から大学側コンピュータ2へ速やかに送信し、
大学側コンピュータ2は、受講者から送信された電子メールを受信し、当該電子メールに記載されている情報102,104とハッシュ値106を、ソフトウェアにより読み取り、作成した検証用のハッシュ値と、受信した電子メールに記載されたハッシュ値106を対比し、その正誤又は適否を検証又は判断し、受信した電子メールの到着時間が著しく遅い場合についても、当該出席申請を行う電子メールの真贋について判断し、大学側コンピュータ2に届く電子メールの受信時間に時間差が生じ、著しく遅く届いた出席申請の電子メールについては、欠席者が同じQRコード等を使用した「なりすまし(代返行為)」と推測し、
大学側コンピュータ2は、受信したハッシュ値106と検証用のハッシュ値を比較した結果、受信したハッシュ値106が真正なものであり、更に受信した電子メールの到着時間の基準を満たしている電子メールの送信者に対して、正式な出席である旨の文章(例えば「貴方の電子メールを受信しました」、「出席申請を受理しました」という文章)の電子メールを自動作成し、大学側コンピュータ2に登録された受講者の携帯電話1のメールアドレスへ電子メールを自動送信する
出欠状況の確認システムS。」
(ウ)引用文献2
原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2005-122523号公報(以下、「引用文献2」という)には、図面とともに次の事項が記載されている
「【技術分野】
【0001】
本発明は、大学の講義等において、受講者の出席状況等の管理を行うための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、大学の講義等における出欠席の確認は、主に出席カードと呼ばれるものを用いて行われている。この出席カードは、講義の開始時に学生達に配布され、配布された学生により名前や学生番号等が記入された後、講師により回収され、この回収された出席カードに記載された名前や学生番号により、学生達の出席状況が把握及び管理されている。
【0003】
また、出席状況の管理に関する従来発明としては、次のようなものが開示されている。この従来発明は、学生を特定する学生ID情報が記憶された記憶手段を有するICカードと、前記ICカードをホルダーケース本体に挿入するカード挿入口と、前記カード挿入口から挿入された前記ICカードの学生ID情報を読み取る読取手段と、前記読取手段で読み取った学生ID情報を送信用の情報に変換する変換手段と、前記変換手段によって変換された送信用の情報を送信する送信手段とを有するICカードリモコンホルダーと、前記ICカードリモコンホルダーから送信された情報を受信する受信手段を有する受信装置と、前記受信装置で受信された情報に基づいて学生の授業への出欠情報を記憶する記憶手段とを有して構成されるものである(特許文献1参照)。
【特許文献1】 特開2002-140668号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来からの出席カードによる管理法では、出席カードに不在の学生の名前を記入する不正行為が容易に行われてしまうため、正確な出席状況の把握が困難であった。また、上記特許文献1に記載されるシステムにおいては、ICカード、ICカードリモコンホルダー、受信装置等の特有のハードウェアが必要であり、コスト等の面で不具合があると思われる。また、学生がICカードを持参しなかった場合には、欠席扱いとなってしまうことにも不具合がある。
【0005】
そこで、本発明は、コストの増加を抑えつつ、効率的且つ正確な出席状況の管理を可能にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明は、講義等における出席状況を管理するための出席状況管理システムであって、各種情報を記憶するマスタデータベース、複数の記号又は文字からなる暗証番号を作成する暗証番号作成手段、前記暗証番号と前記講義等に関する情報とを関連付けて前記マスタデータベースに記憶させる情報関連付け手段、任意の記号又は文字の入力を可能にする番号入力手段、前記番号入力手段により入力された入力番号を検知する入力番号検知手段、前記入力番号と前記暗証番号とを照合する番号照合手段、前記番号照合手段による照合結果に基づいて出席状況を判定する判定手段、を備えて構成されることを特徴とするものである(請求項1)。
【0007】
このシステムによれば、例えば大学の講義等において、前記暗証番号が記載された出席カードを講義開始時に学生に配布し、講義終了後に、学生が自分に配られた出席カードに記載された暗証番号を所定の前記番号入力手段に入力することにより、この学生により入力された番号と、講義内容等と関連付けられて予め記憶された暗証番号とが一致するか否かが前記番号照合手段により照合され、一致する場合には、前記判定手段によってその入力者の出席が認められる。また、授業中使用する配布資料等にも前記暗証番号を付与しておくことにより、この配布物の受け取り状況等を管理することも可能となる。」
ウ 対比
本件補正発明と、引用発明とを対比する。
(ア)引用発明において「出欠状況の確認システムSは、大学の講義においてのものであり、出欠状況を確認する大学側コンピュータ2(サーバ)と、出欠確認を受ける側である受講者の携帯電話1により構成されており、」「受講者は、前記自動作成された電子メールを、携帯電話1から大学側コンピュータ2へ速やかに送信し、大学側コンピュータ2は、受講者から送信された電子メールを受信し、」「大学側コンピュータ2は、受信したハッシュ値106と検証用のハッシュ値を比較した結果、受信したハッシュ値106が真正なものであり、更に受信した電子メールの到着時間の基準を満たしている電子メールの送信者に対して、正式な出席である旨の文章(例えば「貴方の電子メールを受信しました」、「出席申請を受理しました」という文章)の電子メールを自動作成し、大学側コンピュータ2に登録された受講者の携帯電話1のメールアドレスへ電子メールを自動送信する」とされている。
ここで、引用発明の「受講者の携帯電話1」は、本件補正発明の「受講者の携帯端末」に相当するといえる。
また、「出欠状況を確認する大学側コンピュータ2(サーバ)」「は、受講者から送信された電子メールを受信」したり、「「出席申請を受理しました」という文章)の電子メールを」「受講者の携帯電話1のメールアドレスへ電子メールを自動送信」したりしているから、本件補正発明の「管理サーバ」と同様に、「携帯端末と通信可能に接続され」ており、さらに、受講者の出欠状況を確認(管理)している「管理サーバ」であるといえる。
さらに、引用発明の「出欠状況の確認システムS」は、「大学側コンピュータ2」において、「受講者の」「出席申請を受理」することにより、「出欠状況を確認」しているから、本件補正発明の「講義出席登録システム」と同様に、「講義出席」を「登録」する「システム」であるといえる。
したがって、本件補正発明と引用発明とは、「受講者の携帯端末と、前記携帯端末と通信可能に接続される管理サーバとを備える講義出席登録システムであ」る点で共通しているといえる。
(イ)引用発明において、「受講者の携帯電話1は、デジタルカメラと、デジタルカメラで撮影したQRコードを読み込むソフトウェアと、電子メールの送受信機能と、電子メール等を表示する携帯電話表示画面100と、を備えており、」「講師が入力した講義に関する情報としては、講義名、講師氏名、教棟、教場階、教場番号、講義がある時限等が挙げられ、」「講義の開始時に、講師等は、大学側コンピュータ2と連動するプロジェクター240を使用し、教場にある黒板又はホワイトボードへQRコード3を映写し、受講者は、所持する携帯電話1のQRコードを読み込むソフトウェアを起動させ、表示されたQRコード3を携帯電話1付属のデジタルカメラで撮影し、受講者の携帯電話1では、撮影されたQRコード3に含まれるコマンドにより、電子メールが自動作成され、読み取ったQRコード3により作成される電子メールの送信内容(文面)には、講師が入力した情報104と、コンピュータが自動生成する情報102と、ハッシュ値106が表示され、受講者は、前記自動作成された電子メールを、携帯電話1から大学側コンピュータ2へ速やかに送信し、大学側コンピュータ2は、受講者から送信された電子メールを受信し、当該電子メールに記載されている情報102,104とハッシュ値106を、ソフトウェアにより読み取」るとされている。
ここで、引用発明の「QRコード」は、二次元コードの一種であるから、本件補正発明の「二次元コード」に相当するといえる。
また、引用発明の「QRコード」は、「講義の開始時に、講師等は、大学側コンピュータ2と連動するプロジェクター240を使用し、教場にある黒板又はホワイトボードへQRコード3を映写し」ており、「受講者は、所持する携帯電話1のQRコードを読み込むソフトウェアを起動させ、表示されたQRコード3を携帯電話1付属のデジタルカメラで撮影し、受講者の携帯電話1では、撮影されたQRコード3に含まれるコマンドにより、電子メールが自動作成され、読み取ったQRコード3により作成される電子メールの送信内容(文面)には、講師が入力した情報104」である「講義名、講師氏名、教棟、教場階、教場番号、講義がある時限等」が含まれているから、引用発明の「QRコード」も、本件補正発明の「二次元コード」と同様に、「講義が実施される室内に表示された」ものであり、「講義識別情報」に相当する「講義名、講師氏名、教棟、教場階、教場番号、講義がある時限等」を含んでいるといえ、引用発明の「携帯電話1」も、「表示されたQRコード3を携帯電話1付属のデジタルカメラで撮影し、受講者の携帯電話1では、撮影されたQRコード3に含まれるコマンドにより、」「講義識別情報」に相当する「講義名、講師氏名、教棟、教場階、教場番号、講義がある時限等」を「送信内容(文面)」として含んだ「電子メール」を「自動作成」しているから、本件補正発明の「携帯端末」と同様に、「講義識別情報を含む二次元コードを撮影し、撮影された前記二次元コードから前記講義識別情報を抽出する手段」を備えているといえる。
したがって、本件補正発明と引用発明とは、「前記携帯端末は、講義が実施される室内に表示された、講義識別情報を含む二次元コードを撮影し、撮影された前記二次元コードから前記講義識別情報を抽出する手段」「を備え」る点で一致しているといえる。
(ウ)引用発明において「大学側コンピュータ2に、受講者が使用する携帯電話1の電子メールアドレス、受講者の氏名、受講番号等を登録しておき、」「大学側コンピュータ2は、受講者から送信された電子メールを受信し、当該電子メールに記載されている情報102,104とハッシュ値106を、ソフトウェアにより読み取り、大学側コンピュータ2は、受信したハッシュ値106と検証用のハッシュ値を比較した結果、受信したハッシュ値106が真正なものであり、更に受信した電子メールの到着時間の基準を満たしている電子メールの送信者に対して、正式な出席である旨の文章(例えば「貴方の電子メールを受信しました」、「出席申請を受理しました」という文章)の電子メールを自動作成し、大学側コンピュータ2に登録された受講者の携帯電話1のメールアドレスへ電子メールを自動送信する」とされている。
ここで、電子メールには、「送信内容(文面)」として表示されないメールヘッダ部分に、電子メール送信者のメールアドレスが含まれていることは、技術常識である。
また、「大学側コンピュータ2に」「受講者の氏名、受講番号等」と共に「登録」された「受講者が使用する携帯電話1の電子メールアドレス」は、「受講者」を識別する「受講者の識別情報」であるといえ、引用発明において、「受講者から送信された電子メール」は、上記(イ)で述べたように、「講義識別情報」を含んでいるから、引用発明において、「受講者から送信された電子メール」は、本件補正発明の「二次元コードから抽出された前記講義識別情報及び前記受講者の識別情報を含む出席申請情報」に相当するといえる。
さらに、引用発明の「携帯電話1は、」「電子メールの送受信機能」「を備え」、「受講者は、前記自動作成された電子メールを、携帯電話1から大学側コンピュータ2へ速やかに送信し」ているから、引用発明の「携帯電話1」も、本件補正発明の「携帯端末」と同様に、「前記二次元コードから抽出された前記講義識別情報及び前記受講者の識別情報を含む出席申請情報を管理サーバに送信する手段」「を備え」ているといえる。
そして、引用発明の「大学側コンピュータ2は、受講者から送信された電子メールを受信し」ているから、本件補正発明の「管理サーバ」と同様に、「前記携帯端末から前記出席申請情報を受信する手段」を備えているといえる。
さらに、「大学側コンピュータ2は、・・・基準を満たしている電子メールの送信者に対して、正式な出席である旨の文章(例えば「貴方の電子メールを受信しました」、「出席申請を受理しました」という文章)の電子メールを自動作成し」ており、これは、本件特許発明と同様に、「受講者が講義に出席していることを登録」しているといえる。
したがって、本件補正発明と引用発明とは、「携帯端末」が「前記二次元コードから抽出された前記講義識別情報及び前記受講者の識別情報を含む出席申請情報を管理サーバに送信する手段」「を備え」、「管理サーバ」が「前記携帯端末から前記出席申請情報を受信する手段と、受信した前記出席申請情報に基づき、前記受講者が講義に出席していることを登録する手段と」「を備え」る点で一致しているといえる。
エ 一致点および相違点
本件補正発明と、引用発明とは、以下(ア)の点で一致し、以下(イ)の点で相違する。
(ア)一致点
「受講者の携帯端末と、前記携帯端末と通信可能に接続される管理サーバとを備える講義出席登録システムであって、
前記携帯端末は、
講義が実施される室内に表示された、講義識別情報を含む二次元コードを撮影し、撮影された前記二次元コードから前記講義識別情報を抽出する手段と、
前記二次元コードから抽出された前記講義識別情報及び前記受講者の識別情報を含む出席申請情報を管理サーバに送信する手段と、を備え、
前記管理サーバは、
前記携帯端末から前記出席申請情報を受信する手段と、
受信した前記出席申請情報に基づき、前記受講者が講義に出席していることを登録する手段と、を備える、講義出席登録システム。」
(イ)相違点
a <相違点1>
本件補正発明では、「携帯端末」が「講義時間内に案内される代返防止用情報の入力を受け付ける手段と、前記携帯端末に入力された前記代返防止用情報を前記管理サーバに送信する手段とを備え」、「管理サーバ」が「前記携帯端末から前記代返防止用情報を受信する手段とを備え、前記管理サーバは、前記代返防止用情報を受信した場合に、前記受講者が前記講義に出席していることを登録する」のに対して、引用発明では、そのような構成を備えていない点。
b <相違点2>
本件補正発明では、「管理サーバが、講義識別情報及び管理者しか知らない文字又は数字列に関する情報を含む二次元コードを作成する手段、及び携帯端末において撮影され、送信された二次元コードから得られる情報に含まれる管理者しか知らない文字又は数字列を対比する手段を有する場合は除く」のに対して、引用発明では、管理サーバが、講義識別情報及び管理者しか知らない文字又は数字列に関する情報を含む二次元コードを作成する手段、及び携帯端末において撮影され、送信された二次元コードから得られる情報に含まれる管理者しか知らない文字又は数字列を対比する手段を有している点。
オ 相違点についての判断
(ア)<相違点1>について
上記イ(ウ)で述べたように、講義において、暗証番号が記載された出席カードを講義開始時に学生に配布したり、授業中使用する配布資料等にも前記暗証番号を付与しておいたりして、講義参加者に当該暗証番号を番号入力手段で入力させ、入力された番号と、講義内容等と関連付けられて予め記憶された暗証番号とが一致するか否かが照合され、一致する場合には、入力者の出席が認められる技術は、本願出願前に、公知であったといえる。(なお、原査定の拒絶理由において、引用文献3として引用された特開2004-258941号公報にも、出退席管理システムにおいて、講義中に講師によって質問や講義情報を生徒に提示されると、生徒はその回答や内容をキーワードとして携帯端末に入力し、講師用管理装置に送信すること、講師用管理装置は携帯端末からの送信の受信を確認し、キーワード情報の登録を行い、出欠確認を行う技術が記載されている。)
ここで、上記暗証番号(キーワード)は、講義中に、講義の参加者に提示されるものであり、講義に参加していない者のための代理出席を防止するものであるから、本件補正発明の「代返防止用情報」に相当するといえる。
引用発明と、上記技術は、講義の出欠を管理する共通の技術分野に属し、代返等の不正を防止する共通の課題を有しているから、引用発明に、上記技術を採用し、例えば、講者の携帯電話1において作成される電子メールの本文に表示される文面に、上記暗証番号(キーワード)を記入させて、大学側コンピュータ2に送信させ、大学側コンピュータ2で、上記暗証番号(キーワード)を受信した場合に講義への出席を登録するようにして、上記<相違点1>に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。
(イ)<相違点2>について
引用発明において、「暗号化鍵作成ソフトウェアを有しており、暗号化鍵作成ソフトウェアは、入力された情報(テキストデータ)を変換して暗号化し、文字及び数字の組み合わせであるハッシュ値として出力するものであり、暗号化する情報として、大学側又は講師が入力した講義に関する情報、コンピュータが自動生成する情報、管理者しか知らない文字又は数字列、を入力するが、これに限定するものではなく、前記情報を減じたり、他の情報を付加してもよ」いとされている(下線は当審が付加した。)から、「管理者しか知らない文字又は数字列」を入力しないよう構成することは、当業者が容易に想到し得たものである。
よって、引用発明において、「管理サーバが、講義識別情報及び管理者しか知らない文字又は数字列に関する情報を含む二次元コードを作成する手段、及び携帯端末において撮影され、送信された二次元コードから得られる情報に含まれる管理者しか知らない文字又は数字列を対比する手段を有する場合は除く」上記<相違点2>に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。
カ 効果について
また、引用発明において、上記<相違点1>及び<相違点2>に係る構成を採用することによる効果も、当業者が容易に想到しうる範囲内のものに過ぎない。
キ 小括
以上により、本件補正発明は、第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
ク 請求人の主張について
(ア)請求人は、審判請求書において、概ね以下の様に主張している。
引用文献1の発明は、管理者しか知らない文字又は数字列を用いたQRコードの読み取り、対比のみで、確認作業が完結することを実現するものであり、暗証番号の利用は想定しておらず、むしろ余計な操作として排除することが前提であり、暗証番号を利用しなくても良いシステムを提供することを目的としています。引用文献1の発明に引用文献2の発明を組み合わせることは、引用文献1の発明の目的に叶わない。
(イ)上記請求人の主張について検討する。
引用文献2には、「講義開始時に学生に配布」する「出席カード」だけでなく、「授業中使用する配布資料等にも前記暗証番号を付与しておくことにより、この配布物の受け取り状況等を管理することも可能となる」との記載もあり、講義の途中で配布する配布資料等にも暗証番号を付与しておくことによって、資料を配付した時点での学生の出席状況を把握可能となることは、当業者にとって明らかであるから、引用発明において、暗証番号を用いた引用文献2に記載の技術を採用する動機付けはあるといえる。
したがって、上記請求人の主張は採用できない。
(3)小活
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1.本願発明
上述のとおり、令和6年10月9日の手続補正は却下されたので、本願の請求項に係る発明は、出願当初の特許請求の範囲の請求項1-7の記載により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、上記第2の1.(1)に記載されたとおりのものである。
2.刊行物に記載された発明
引用文献1の記載事項及び引用発明は、上記第2の2.(2)「イ 引用文献」「(イ) 引用発明」に記載したとおりである。
3.本願発明と引用発明との対比・判断
本願発明は、上記第2の2.(1)で述べたように、本件補正発明から、本件補正前の請求項2に記載した技術的事項、および、除くクレームの限定を省いたものであるから、本願発明と引用発明とは、上記の省いた構成を除いて、上記第2の2.(2)「ウ 対比」と同様に対比でき、本願発明と引用発明との一致点は、上記第2の2.(2)「エ 一致点および相違点」「(ア)一致点」で述べた本願補正発明と引用発明との一致点から、上記技術的事項および限定を除いたものとなり、本願発明は、引用発明と同一であり、また、引用発明に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。
したがって、本願発明は、引用発明と同一であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。また、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に想到し得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。また、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項および拒絶の理由について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-016229