特許拒絶査定不服審判
2024-014794
ロコモティブシンドローム予防又は改善用組成物
- 審判番号
- 2024-014794
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2023-541401外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年09月17日
- 審決日
- 2025年11月10日
- 公報発行日
- 2026年01月30日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .113-Z (A23L) / P18 .121-Z (A23L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2023-541401「ロコモティブシンドローム予防又は改善用組成物」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 2月16日国際公開、WO2023/017739〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2022年(令和4年)7月28日(優先権主張2021年(令和3年)8月12日、日本国)を国際出願日とする出願であって、その主な手続の経緯は、次のとおりである。
令和5年 9月19日 手続補正書及び早期審査に関する事情説明書の提出
同年12月 7日付け 拒絶理由通知
令和6年 4月 9日 意見書及び手続補正書の提出
同年 6月13日付け 拒絶査定
同年 9月17日 審判請求書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1~5に係る発明は、令和6年4月9日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「フィコシアニンを含有する、ロコモティブシンドローム改善用組成物。」
第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、以下のものを含むと認める。
「1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
●理由1(新規性)、理由2(進歩性)について
・・・
(その3)
・請求項1、2、4、5
・引用文献等6、2~4
・・・
(その5)
・請求項1、2、4、5
・引用文献等8
・・・
<引用文献等一覧>
・・・
2.国際公開第2018/003599号(周知技術を示す文献)
3.国際公開第2011/052635号(周知技術を示す文献)
4.国際公開第2020/230347号(周知技術を示す文献)
・・・
6.韓国登録特許第10-2076459号公報
・・・
8.米国特許出願公開第2021/0077574号明細書」
・・・
第4 当審の判断
当審は、原査定の拒絶の理由1(新規性)、理由2(進歩性)のうち、(その3)に示すとおり、本願の請求項1に係る発明は、本願優先日時点の技術常識を考慮すると、引用文献6に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができず、また引用文献6に記載された発明に基いて、本願優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、と判断する。
また、当審は、原査定の拒絶の理由1(新規性)、理由2(進歩性)のうち、((その5))に示すとおり、本願の請求項1に係る発明は、本願優先日時点の技術常識を考慮すると、引用文献8に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができず、また引用文献8に記載された発明に基いて、本願優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、と判断する。
理由は、以下のとおりである。
1 原査定の拒絶の理由1(新規性)、理由2(進歩性)のうち、(その3)に示す理由について
(1)引用文献6(韓国登録特許第10-2076459号公報)の記載事項
原査定で引用された引用文献6には、次の記載がある。訳文にて示す。なお、原文にない下線は、当審が付したものである。
記載(6-1)
「請求項7
チャイロコメノゴミムシダマシのアルカラーゼ酵素処理物、焙煎発芽鼠目太黒豆きな粉、焙煎ハトムギ粉末、焙煎エン麦粉末、シイタケ粉末、五加皮エキス、クコの実エキス、トックリイチゴエキス、陳皮エキスおよびスピルリナ粉末を含むことを特徴とする、サルコペニアの予防または改善用の健康機能食品。」
記載(6-2)
「[0005] 健康な人でも40歳以降は毎年筋肉が減るのだが、甚だしい場合は毎年1%ずつ減少する人もいる。特に、運動をせずに、食べ物もまともに食べられないまま長期間横になって過ごせば筋肉ははっきりと減少する。筋肉減少が目立つサルコペニアまでもが誘発される場合、生命さえ脅かされるおそれがある。入院前に筋力を付けておくことをおろそかにしていた患者は急激に状態が悪化したりもするが、筋肉減少症がある患者は、平均2年8か月寿命が短くなり、合併症が増加すると言われている。・・・。
[0006] 人間の老化と関連した重大な変化は、強度および機能性の減少を招きかねない下向螺旋形で進行する筋肉量の減少である。筋肉が減れば筋力が弱くなり、これを放置すれば転倒による怪我のリスクが高まるだけでなく、心臓血管系疾患および骨粗しょう症など各種の病気にかかる確率が高くなる。年を取れば筋肉が減少する原因としては、年を取るほど筋肉の収縮と弛緩を担当する神経の敏感度が低下して機能が弱まり、筋繊維機能も低下して、筋繊維の中の毛細血管の数も減少するが、これによって筋肉へ行く血流の供給が減ると筋肉細胞の大きさが小さくなって筋力が減少する。」
記載(6-3)
「[0019] スピルリナ(Spirulina)は、地球で最も古い藻類(algae)であり、細胞壁が薄い多細胞生物である。スピルリナに含まれている主成分は、タンパク質、炭水化物、水溶性食物繊維をはじめとして抗酸化性の色素成分(クロロフィル、カロチノイド、フィコシアニン)、坑酸化酵素(SOD)、リノレン酸(GLA)等である。」
記載(6-4)
「[0030] また、本発明は、チャイロコメノゴミムシダマシ酵素処理物、焙煎発芽鼠目太黒豆きな粉、焙煎ハトムギ粉末、焙煎エン麦粉末、シイタケ粉末、五加皮エキス、クコの実エキス、トックリイチゴエキス、陳皮エキスおよびスピルリナ粉末を含む筋肉量増強用健康機能食品を提供して、筋肉疾患の予防または治療用の薬学組成物、筋肉疾患の予防または改善用の健康機能食品を提供することができる。前記筋肉疾患は、サルコペニア、筋萎縮症、筋肉退行萎縮症、心萎縮症、緊張減退症、筋異栄養症、筋肉退化症および筋無力症からなる群の中から選択することができる。」
記載(6-5)
「[0046] スピルリナ粉末は、生の状態、または98~100℃で10~30分間茹でて殺菌した状態で、乾燥して粉末化することが望ましい。この時、湯がく温度および時間が基準以下である時は殺菌がしっかりできないおそれがあり、基準以上である時は栄養分の消失になるおそれがある。または一般的に添加剤なしで乾燥粉末化されたものをそのまま購入して使ってもかまわない。」
記載(6-6)
「[0079] <実施例6. スピルリナ粉末の製造>
[0080] ニュージーランドのハイウェルのスピルリナ粉末を購入して、試料として用いた。スピルリナ粉末の化学成分は、粗タンパク質52%、葉緑素a 0.005%、灰分11.5%、水分6.5%だった。」
記載(6-7)
「[0116] <製造例1. 混合組成物の製造I>
[0117] 実施例1ないし6および比較例1ないし3において製造した各粉末試料を、下記の表6のように混合して、混合粉末が100gずつになるように製造した。
[0118]
表6
[図:0001430763000001.jpg]
」
(2)引用文献6に記載された発明
記載(6-1)及び記載(6-4)にいう「予防または改善用の健康機能食品」とは、予防用の健康機能食品と改善用の健康機能食品の両方を示す語であると認められるので、記載(6-1)、記載(6-4)、及び記載(6-6)~(6-7)から、引用文献6には、次の発明(以下、「引用発明6」という。)が記載されているといえる。
<引用発明6>
「チャイロコメノゴミムシダマシのアルカラーゼ酵素処理物、焙煎発芽鼠目太黒豆きな粉、焙煎ハトムギ粉末、焙煎エン麦粉末、シイタケ粉末、五加皮エキス、クコの実エキス、トックリイチゴエキス、陳皮エキスおよびスピルリナ粉末を含む、サルコペニアの改善用の健康機能食品。」
(3)対比・判断
ア 対比
本願発明と引用発明6とを対比する。
引用発明6にいう「健康機能食品」は、本願発明にいう「組成物」に該当する。
そうすると、本願発明と引用発明6とは、
「組成物」である点で一致し、以下の2点で文言上は相違する。
文言上の相違点(6-1):
組成物に含まれるものについて、本願発明においては「フィコシアニンを含有する」とされるのに対し、引用発明6においては「チャイロコメノゴミムシダマシのアルカラーゼ酵素処理物、焙煎発芽鼠目太黒豆きな粉、焙煎ハトムギ粉末、焙煎エン麦粉末、シイタケ粉末、五加皮エキス、クコの実エキス、トックリイチゴエキス、陳皮エキスおよびスピルリナ粉末を含む」とされる点
文言上の相違点(6-2):
組成物の用途について、本願発明においては「ロコモティブシンドローム改善用」とされるのに対し、引用発明6においては「サルコペニアの改善用」とされる点
イ 文言上の相違点についての判断
(ア)文言上の相違点(6-1)についての判断
記載(6-3)には、スピルリナに含まれる主成分として「抗酸化性の色素成分(クロロフィル、カロチノイド、フィコシアニン)」が示されており、また、スピルリナにフィコシアニンが含有されていることは、技術常識でもある(必要ならば、原査定で引用された引用文献2(国際公開第2018/003599号)(特に、段落0018、段落0056)、引用文献3(国際公開第2011/052635号)(特に、段落0003、段落0012)、及び引用文献4(国際公開第2020/230347号)(特に、段落0002、段落0020-0021、段落0025)を参照)。
引用発明6に含まれるスピルリナ粉末は、記載(6-5)に示されるとおり、スピルリナを乾燥して粉末化したものであって、フィコシアニンを含有すると認められ、フィコシアニンが含有されると認められるスピルリナ粉末を含む引用発明6は、フィコシアニンを含有するものである。
したがって、文言上の相違点(6-1)は実質的な相違点ではない。
(イ)文言上の相違点(6-2)についての判断
本願明細書の段落[0012]の記載からみて、本願発明にいう「ロコモティブシンドローム」とは、「筋肉、骨、関節、神経等の運動器が加齢等により機能低下をきたす状態」である。そして、同段落には、「運動器の機能低下を引き起こす原因としては筋肉量の低下等のサルコペニア症状、・・・が挙げられる。」と記載されている。そうすると、筋肉量の低下等により運動器の機能低下を引き起こす原因であるサルコペニア症状を改善する引用発明6の「サルコペニアの改善用の組成物」は、サルコペニア症状を改善することで運動器である筋肉の機能低下を改善するものであるといえるから、ロコモティブシンドロームを改善するものであり、本願発明にいう「ロコモティブシンドローム改善用組成物」に該当する。
また、記載(6-2)に、サルコペニアでは筋肉減少が目立つこと、筋肉が減れば筋力が弱くなること、及び、筋肉量の減少が筋肉の機能性の減少につながることが記載されていることから、引用文献6には、サルコペニアでは、筋肉等が機能低下をきたす状態にあることが示されているといえる。そうすると、引用発明6の「サルコペニアの改善用の組成物」は、サルコペニアを改善することで筋肉等の運動器の機能低下をきたす状態を改善するものであるといえるから、この点からも、本願発明にいう「ロコモティブシンドローム改善用組成物」に該当するといえる。
したがって、文言上の相違点(6-2)も実質的な相違点ではない。
仮に、文言上の相違点(6-2)が実質的な相違点であるとした場合についても、念のため検討する。
ロコモティブシンドロームを予防または改善する機能性食品を提供することは、本願優先日において当業者に広く知られた課題である(必要ならば、インフォーマ マーケッツ ジャパン株式会社主催「健康食品博覧会」のウェブサイト掲載の2020年8月12日付けHealthcare News「特別企画【ロコモティブシンドローム対策素材】 機能性表示、250品目を突破」(URL:https://www.this.ne.jp/news/4696/)、日本経済新聞電子版の2021年2月16日付け記事「TPCマーケティングリサーチ、ロコモティブシンドローム市場について調査結果を発表」(URL:https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP605148_W1A210C2000000/?msockid=3e59dd9d358d606001ebcbe534b86129)及び添付リリース(URL:https://release.nikkei.co.jp/attach/605148/02_202102161105.pdf)、並びに、矢澤一良,「農山漁村地域ビジネス創出人材プログラム 食品の機能性-科学的に考える新たな商品価値」,2015年10月9日(特に、5頁,7頁,9頁,35頁)(URL:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/renkei/6jika/pdf/b-13.pdf)等を参照)。
また、ロコモティブシンドロームを構成する疾患には、サルコペニア等があることは本願優先日時点での技術常識である(必要であれば、浦野友彦,“骨粗鬆症と骨折(ロコモティブシンドロームを含む)”,日本内科学会雑誌,107巻12号(2018年),p.2451-2460(URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/107/12/107_2451/_pdf)等を参照)。
この技術常識を踏まえて、サルコペニアを改善することで、筋肉等に係るロコモティブシンドロームが改善されることを当業者は期待するから、ロコモティブシンドロームを改善する機能性食品を提供するという当業者に広く知られた課題を解決するために、「サルコペニアの改善用」である引用発明6を「ロコモティブシンドロームの改善用」とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
したがって、仮に、文言上の相違点(6-2)が実質的な相違点であるとしても、引用発明6に対して文言上の相違点(6-2)に係る構成をとることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(ウ)文言上の相違点についての判断のまとめ
上記(ア)及び(イ)に示したとおり、文言上の相違点(6-1)及び(6-2)はいずれも実質的な相違点ではなく、本願発明は引用発明6である。
また、上記(イ)に示したとおり、仮に、本願発明が、引用発明6と文言上の相違点(6-2)で実質的に相違するとしても、引用発明6に対して文言上の相違点(6-2)に係る構成をとることは、当業者が容易に想到し得たことである。
ウ 効果についての判断
上記イに示したとおり、本願発明は引用発明6であるので、本願発明の効果は引用発明6の効果と差異がない。
仮に、本願発明が、引用発明6と文言上の相違点(6-2)で実質的に相違するとしても、サルコペニアを改善することで、筋肉等に係るロコモティブシンドロームが改善されることは、本願優先日時点での技術常識を踏まえて当業者が予想し得ることであって、「サルコペニアの改善用」である引用発明6を、「フィコシアニンを含有する」点を変更せずに「ロコモティブシンドロームの改善用」としたものである本願発明により、当業者の予想し得ない顕著な効果が得られるとは認められない。
エ 審判請求人の主張について
審判請求人は、審判請求書(特に、[請求の理由]3.)において、
「(2) 理由1(特許法第29条第1項第3号)について
・・・。
引用文献6には、スピルリナ粉末を含むこと筋肉量増強用組成物が記載されています。
・・・。
スピルリナに含有されている主要成分には、フィコシアニン以外にも、タンパク質、炭水化物、水溶性食物繊維の他、抗酸化性色素成分(クロロフィル、カロチノイド)、抗酸化酵素(SOD)、ガンマリノレン酸(GLA)などがあり、ビタミンとしては、ベータカロチン、ビタミンB1、B2、B6、B12、ビタミンE、イノシトール、葉酸などが含まれており、無機質成分としては、カルシウム、鉄、カリウム、マグネシウム、亜鉛、マンガン、セレンが含有されています。
また、フィコシアニンは、スピルリナのような藍藻の他、灰色藻、紅藻、クリプト藻、および有殻糸状根足虫のPaulinella chromatophoraが持つ光合成色素です。
よって、スピルリナにフィコシアニンが含有されているから、引用文献に記載されている「スピルリナ」に等しい事項として、「フィコシアニン」を認定すべきではなく、本願請求項1に係る発明は、「フィコシアニンを含有する、ロコモティブシンドローム改善用組成物」である点で、引用文献1、5~7に記載された発明と相違します。
・・・。
以上より、本願請求項1に係る発明は、引用文献1、5~8に記載された発明に対して、新規性を有すると思料します。」、及び
「(3) 理由2(特許法第29条第2項)について
・・・。
引用文献6には、スピルリナ粉末を含むこと筋肉量増強用組成物が記載されていますが、当該筋肉量増強用組成物にはスピルリナ粉末以外にも、チャイロコメノゴミムシダマシのアルカラーゼ酵素処理物、炒めた発芽ジヌニ豆粉末、炒めた鳩麦粉末、炒めた燕麦粉末、シイタケ粉末、五加皮抽出物、枸杞の実抽出物、トックリイチゴ抽出物、真皮抽出物を含みます。また、製造例や実験例から見ると、チャイロコメノゴミムシダマシのアルカラーゼ酵素処理物を90質量%以上含む群において、筋肉体積量が最も多かったことから、チャイロコメノゴミムシダマシのアルカラーゼ酵素処理物が筋肉量増強用組成物の主成分であることが自明です。さらに、スピルリナ粉末を含まない製造例1-2の混合物を用いた場合、スピルリナ粉末を4質量%含む製造例1-3の混合物を用いた場合より、筋肉体積量が多かったことから(表6、表10)、筋肉量増強に効果的なものは、スピルリナではないことが明らかです。
引用文献6にスピルリナ粉末を含む筋肉量増強用組成物が記載されているとしても、有効成分でもないスピルリナを選択し、さらに、スピルリナに含有されている数多い成分の中から色素成分の一つであるフィコシアニンを、ロコモティブシンドローム改善用組成物の有効成分として用いることは、当業者が容易になし得たことではないと思います。
・・・。
さらに、スピルリナに含まれるフィコシアニンは、約10%の割合で存在していると知られています。そうすると、本願実施例1と実施例2で経口投与されたフィコシアニンの1日投与量は、実質的に一緒です(実施例1:スピルリナ600mg/日;実施例2:フィコシアニン60mg/日)。しかし、フィコシアニンの1日投与量が実質的に一緒でも、スピルリナからフィコシアニンを抽出して経口投与する実施例2が、スピルリナをそのまま摂取する実施例1よりも、関節への効果や移動機能の改善において優れていることが確認できました。これは、フィコシアニンが持つ生物学的機能が、抽出して摂取した場合により効果的に発揮されるのが原因だと思われます。この効果は、引用文献1、5、6、7に基づいて、出願当時の技術水準から当業者が予測できる範囲を超えた顕著なものだと考えます。
・・・。
以上より、本願請求項1に係る発明は、引用文献1~8、10に対して、進歩性を有すると思料します。」
などと主張するので、審判請求人のこれらの主張について検討する。
(ア)理由1に対する審判請求人の主張について
たとえ、スピルリナにフィコシアニン以外の成分も含有されており、フィコシアニンがスピルリナ以外のものにも含有される色素であるとしても、引用発明6は、フィコシアニンを含有すると認められるスピルリナ粉末を含むことで、フィコシアニンを含有するものになっているから、本願発明は「フィコシアニンを含有する」ものである点では、引用発明6と相違しない。
したがって、理由1に対する審判請求人の上記主張は受け入れられない。
(イ)理由2に対する審判請求人の主張について
仮に、本願発明が「ロコモティブシンドローム改善用」のものである点で、「サルコペニアの改善用」のものである引用発明6と異なるとして、さらに、引用発明6が、スピルリナ粉末以外にも、チャイロコメノゴミムシダマシのアルカラーゼ酵素処理物、焙煎発芽鼠目太黒豆きな粉、焙煎ハトムギ粉末、焙煎エン麦粉末、シイタケ粉末、五加皮エキス、クコの実エキス、トックリイチゴエキス、陳皮エキスを含むものであり、チャイロコメノゴミムシダマシのアルカラーゼ酵素処理物による筋肉量増強効果が推認されるものであるとしても、サルコペニアを改善することで、筋肉等に係るロコモティブシンドロームが改善されることは、本願優先日時点での技術常識を踏まえて当業者が予想し得ることであって、「サルコペニアの改善用」である引用発明6を、「フィコシアニンを含有する」点を変更せずに「ロコモティブシンドロームの改善用」としたものである本願発明により、当業者の予想し得ない顕著な効果が得られるとは認められない。
したがって、理由2に対する審判請求人の上記主張も受け入れられない。
(ウ)審判請求人の主張についてのまとめ
上記(ア)及び(イ)に示したとおり、審判請求人の上記主張は受け入れられない。
オ 小括
以上のとおり、審判請求人の主張を検討しても、本願発明は、本願優先日時点の技術常識を考慮すると、引用文献6に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないし、引用例6に記載された発明に基いて、本願優先日前に当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
2 原査定の拒絶の理由1(新規性)、理由2(進歩性)のうち、(その5)に示す理由について
(1)引用文献8(米国特許出願公開第2021/0077574号明細書)の記載事項
原査定で引用された引用文献8には、次の記載がある。訳文にて示す。なお、原文にない下線は、当審が付したものである。
記載(8-1)
「請求項1.ヒトまたは動物における骨吸収を抑制する方法であって、前記ヒトまたは動物にフィコシアニン組成物を投与することを含む、方法。
・・・
請求項9.前記フィコシアニン組成物がヒトまたは獣医用の医薬組成物に含まれる、請求項1に記載の方法。
・・・
請求項12.前記医薬組成物が、I型またはII型骨粗鬆症、続発性骨粗鬆症、ページェット病、骨量減少またはプロテーゼ近傍で観察される骨溶解から選択される病態の予防または治療を目的とする、請求項9に記載の方法。
・・・」
記載(8-2)
「[0016] 骨代謝の不均衡に関連する病的障害としては、骨粗鬆症、ページェット病、骨量減少、あるいはプロテーゼ近傍で観察される骨溶解などが挙げられる。」
記載(8-3)
「[0020] 骨粗鬆症は、骨量の減少および骨組織の微細構造の劣化を特徴とし、骨の脆弱性と骨折感受性の増大を伴う全身性骨格疾患である。」
記載(8-4)
「[0058] より正確には、発明者らは、フィコシアニン組成物が、エストロゲン欠乏個体における破骨細胞活性の抑制作用を有することを示した。……。」
記載(8-5)
「[0061] 発明者らはまた、フィコシアニン組成物が骨芽細胞の増殖を誘導することを示した。」
記載(8-6)
「[0064] いかなる理論にも拘束されることなく、発明者らは、エストロゲン欠乏個体の骨代謝に対するフィコシアニン組成物の作用は、主として骨吸収の抑制活性によるものと考えているが、骨芽細胞の増殖誘導も示されていることから、その一部は骨形成の刺激活性による可能性もあると考えている。」
記載(8-7)
「[0069] 「フィコシアニン組成物」とは、本発明において、フィコシアニンを強化した組成物、すなわち当該組成物の総乾燥重量に対して少なくとも40重量%のフィコシアニンを含有する組成物を意味する。」
記載(8-8)
「[0081] 特に、本発明に係るヒトまたは獣医用の栄養組成物または医薬組成物は、I型またはII型骨粗鬆症、続発性骨粗鬆症、ページェット病、骨量減少、またはプロテーゼ近傍で観察される骨溶解といった生理的状況の治療に有用である。」
記載(8-9)
「[0130] 他の観点によれば、本発明に係るヒトまたは獣医用の医薬組成物は、骨形成と骨吸収との比率の不均衡に関連する障害または病態の予防または治療に有用である。」
記載(8-10)
「[0131] ある態様では、本発明に係るヒトまたは獣医用の医薬組成物は、骨リモデリングの不均衡に関連する生理的障害、例えば骨減少症、I型またはII型骨粗鬆症、続発性骨粗鬆症、ページェット病、骨量減少またはプロテーゼ近傍で観察される骨溶解の治療に有用である。」
記載(8-11)
「[0219] これらの結果は、卵巣摘除により実験的にホルモン欠乏を引き起こした動物において、フィコシアニンの投与が骨吸収を遮断できることを示す。」
記載(8-12)
「[0225] これらの結果は、フィコシアニンが破骨細胞の増殖に対して抑制効果を有することを示し、フィコシアニンが骨吸収に対して抑制効果を有することを示すin vivoの結果と一致する。」
記載(8-13)
「[0234] 生後8週齢の卵巣摘除マウスで実施した動物実験は、フィコシアニンの生体重1kgあたり500mgの用量での日次補給が、骨に潜在的に有益な作用を有することを明らかにした。実際、大腿骨海綿骨BMDの測定結果は、この栄養介入が、エストロゲン曝露の低下により誘導される骨量減少を部分的に予防し、またOPGのような骨リモデリングの生物学的マーカーを改善しうることを示す。
[0235] これらin vivoの結果を検証するため、様々な濃度のフィコシアニンに曝露した不死化マウス骨芽細胞株および破骨細胞株での実験も実施した。
[0236] この化合物は本質的に破骨細胞の分化および増殖を標的とし、TRAP合成の用量依存的低下およびTRAP、MMP9、カルシトニン受容体、NOS2およびNFATc1の発現の用量依存的低下をもたらす。程度は小さいが、骨芽細胞に対しては増殖促進作用が認められる。」
(2)引用文献8に記載された発明
記載(8-1)の請求項12及び記載(8-9)にいう「予防または治療」とは、「予防」と「治療」の両方を示す語であり、記載(8-8)及び記載(8-10)には「・・・治療に有用である」との記載があるので、記載(8-1)、記載(8-7)、記載(8-8)、及び記載(8-10)から、引用文献8には、次の発明(以下、「引用発明8」という。)が記載されているといえる。
<引用発明8>
「総乾燥重量に対して少なくとも40重量%のフィコシアニンを含有する組成物を含む、I型またはII型骨粗鬆症、続発性骨粗鬆症、ページェット病、骨量減少またはプロテーゼ近傍で観察される骨溶解から選択される病態の治療を目的とする、ヒトまたは獣医用の医薬組成物。」
(3)対比・判断
ア 対比
本願発明と引用発明8とを対比する。
引用発明8にいう「ヒトまたは獣医用の医薬組成物」は、本願発明にいう「組成物」に該当する。
引用発明8にいう「総乾燥重量に対して少なくとも40重量%以上のフィコシアニンを含有する組成物を含む」は、本願発明にいう「フィコシアニンを含有する」に該当する。
そうすると、本願発明と引用発明8とは、
「フィコシアニンを含有する組成物」である点で一致し、以下の点で文言上は相違する。
文言上の相違点(8-1):
組成物について、本願発明においては「ロコモティブシンドローム改善用」とされるのに対し、引用発明8においては「I型またはII型骨粗鬆症、続発性骨粗鬆症、ページェット病、骨量減少またはプロテーゼ近傍で観察される骨溶解から選択される病態の治療を目的とする」とされる点
イ 文言上の相違点についての判断
本願明細書の段落[0012]の記載からみて、本願発明にいう「ロコモティブシンドローム」とは、「筋肉、骨、関節、神経等の運動器が加齢等により機能低下をきたす状態」である。そして、同段落には、「運動器の機能低下を引き起こす原因としては・・・、骨量の低減を引き起こす骨粗鬆症、・・・が挙げられる。」と記載されている。
一方、記載(8-3)には、骨粗鬆症が、骨量の減少および骨組織の微細構造の劣化を特徴とし、骨の脆弱性と骨折感受性の増大を伴う全身性骨格疾患であることが記載されていることから、骨粗鬆症等では、骨等の運動器が機能低下をきたす状態にあることが示されているといえる。
そうすると、引用発明8にいう「I型またはII型骨粗鬆症、続発性骨粗鬆症、ページェット病、骨量減少またはプロテーゼ近傍で観察される骨溶解から選択される病態」は、骨等の運動器が機能低下をきたす状態であるといえるから、本願発明にいう「ロコモティブシンドローム」に該当する。
また、記載(8-2)及び記載(8-10)には、「I型またはII型骨粗鬆症、続発性骨粗鬆症、ページェット病、骨量減少またはプロテーゼ近傍で観察される骨溶解」が、骨代謝の不均衡に関連する病的障害であることが示され、記載(8-9)には、フィコシアニンを含有する組成物が、骨形成と骨吸収との比率の不均衡に関連する病態の治療に有用であることが示され、記載(8-4)~(8-6)及び記載(8-11)~(8-13)には、フィコシアニンが、骨吸収を阻害するとともに骨芽細胞増殖を誘導し骨形成を刺激するものであることが示されている。
これらの記載から、引用発明8は、目的とする「I型またはII型骨粗鬆症、続発性骨粗鬆症、ページェット病、骨量減少またはプロテーゼ近傍で観察される骨溶解から選択される病態の治療」を、骨吸収を阻害するとともに骨形成を刺激することで、骨代謝(骨形成対骨吸収)の不均衡を正常に近づけることにより、行うものであると認められる。
引用発明8によって、骨吸収を阻害するとともに骨形成を刺激することで、骨代謝(骨形成対骨吸収)の不均衡を正常に近づけることにより、治療対象の病態が改善されると認められ、また、「治療」とは、一般に、病気や怪我を治癒させたり、症状を軽快にさせるための行為を示す用語であることを踏まえると、引用発明8にいう「治療を目的とする」は、本願発明にいう「改善用」に該当する。
以上より、引用発明8にいう「I型またはII型骨粗鬆症、続発性骨粗鬆症、ページェット病、骨量減少またはプロテーゼ近傍で観察される骨溶解から選択される病態の治療を目的とする」は、本願発明にいう「ロコモティブシンドローム改善用」に該当する。
したがって、文言上の相違点(8-1)は実質的な相違点ではない。
仮に、文言上の相違点(8-1)が実質的な相違点であるとした場合についても、念のため検討する。
上記第4 1(3)イ(イ)に示したとおり、ロコモティブシンドロームを予防または改善する機能性食品を提供することは、本願優先日において当業者に広く知られた課題である。
また、上記第4 1(3)イ(イ)に示したとおり、ロコモティブシンドロームを構成する疾患には、骨粗鬆症等があることは本願優先日時点での技術常識である。
この技術常識を踏まえて、当業者は、骨粗鬆症の治療により骨粗鬆症が治癒することで、骨粗鬆症に伴う骨量の低減に起因する骨等の運動器の機能低下をきたす状態(すなわち、ロコモティブシンドロームの一態様)がより速やかに改善されることを期待するから、ロコモティブシンドロームを改善する機能性食品を提供するという本願優先日において当業者に広く知られた課題を解決するために、「I型またはII型骨粗鬆症、続発性骨粗鬆症、ページェット病、骨量減少またはプロテーゼ近傍で観察される骨溶解から選択される病態の治療を目的とする」ものである引用発明8の組成物を「ロコモティブシンドロームの改善用」とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
したがって、仮に、文言上の相違点(8-1)が実質的な相違点であるとしても、引用発明8に対して文言上の相違点(8-1)に係る構成をとることは、当業者が容易に想到し得たことである。
以上に示したとおり、本願発明は引用発明8である。
また、以上に示したとおり、仮に、本願発明が、引用発明8と文言上の相違点(8-1)で実質的に相違するとしても、引用発明8に対して文言上の相違点(8-1)に係る構成をとることは、当業者が容易に想到し得たことである。
ウ 効果についての判断
上記イに示したとおり、本願発明は引用発明8であるので、本願発明の効果は引用発明8の効果と差異がない。
仮に、本願発明が、引用発明8と文言上の相違点(8-1)で実質的に相違するとしても、骨粗鬆症の治療により骨粗鬆症が治癒することで、骨粗鬆症に伴う骨量の低減に起因する骨等の運動器の機能低下をきたす状態(ロコモティブシンドローム)が、より速やかに改善されることは、本願優先日時点での技術常識を踏まえて、当業者が予想し得ることであって、「I型またはII型骨粗鬆症、続発性骨粗鬆症、ページェット病、骨量減少またはプロテーゼ近傍で観察される骨溶解から選択される病態の治療を目的とする」ものである引用発明8の組成物を「ロコモティブシンドロームの改善用」としたものである本願発明により、当業者の予想し得ない顕著な効果が得られるとは認められない。
エ 審判請求人の主張について
審判請求人は、審判請求書(特に、[請求の理由]3.)において、
「(2) 理由1(特許法第29条第1項第3号)について
・・・。
引用文献8には、フィコシアニンを含有する骨粗鬆症を予防又は治療するための組成物が記載されています。
一方、本願請求項1に係る発明は、フィコシアニンを含有する組成物ですが、当該組成物は、ロコモティブシンドローム改善用組成物である点で、引用文献8に記載された発明と相違します。
以上より、本願請求項1に係る発明は、引用文献1、5~8に記載された発明に対して、新規性を有すると思料します。」、及び
「(3) 理由2(特許法第29条第2項)について
・・・。
引用文献8の動物試験では、フィコシアニンを500mg/kg/日投与することにより、骨量減少を部分的に防ぐことが可能であることは確認されましたが、フィコシアニンによる骨粗鬆症の治療効果は確認されていません(段落[0234])。細胞試験では、フィコシアニン組成物がTRAPなどの破骨細胞活性のタンパク質マーカーを阻害することが確認されており、骨損失を少なくとも部分的に予防することができると推定されています(段落[0059]、[0060]、[0063])。
しかし、引用文献8には、ヒト臨床試験や官能評価等によるフィコシアニンの骨粗鬆症治療効果の結果は開示していません。つまり、フィコシアニンをヒトに経口投与する臨床試験でも、動物試験と細胞試験のような非臨床試験と同様な効果が得られるとは言えません。よって、引用文献8に記載のフィコシアニンを、本願発明のようにロコモティブシンドローム改善用に用いることは、当業者が容易に想到し得たこととは言えません。
・・・。
以上より、本願請求項1に係る発明は、引用文献1~8、10に対して、進歩性を有すると思料します。」
などと主張するので、審判請求人のこれらの主張について検討する。
(ア)理由1に対する審判請求人の主張について
上記(2)に示したとおり、引用文献8には「治療を目的とする」医薬組成物が記載されていると認められる。
また、上記イに示したとおり、引用発明8によって、目的とする病態の治療をおこなうことにより、治療対象の病態が改善されると認められ、また、「治療」とは、一般に、病気や怪我を治癒させたり、症状を軽快にさせるための行為を示す用語であることを踏まえると、引用発明8にいう「治療を目的とする」は、本願発明にいう「改善用」に該当する。
したがって、理由1に対する審判請求人の上記主張は受け入れられない。
(イ)理由2に対する審判請求人の主張について
本願発明においては、ヒトのみを対象とする組成物であることも、経口投与のみで用いられる組成物であることも、発明を特定するための事項とはされていないので、たとえ、引用文献8に、ヒトに経口投与しての臨床試験や官能評価等によるフィコシアニンの骨粗鬆症治療効果の結果が示されていないとしても、本願発明が、引用発明8に基いて当業者が容易に想到し得たものではないことの根拠にはならない。
そして、上記イに示したとおり、仮に、本願発明と引用発明8との文言上の相違点(8-1)が実質的な相違点であるとしても、引用発明8に対して文言上の相違点(8-1)に係る構成をとることは、当業者が容易に想到し得たことであり、また、上記ウに示したとおり、本願発明により、当業者の予想し得ない顕著な効果が得られるとは認められない。
したがって、理由2に対する審判請求人の上記主張は受け入れられない。
(ウ)審判請求人の主張についてのまとめ
上記(ア)及び(イ)に示したとおり、審判請求人の上記主張は受け入れられない。
オ 小括
以上のとおり、本願発明は、本願優先日時点の技術常識を考慮すると、引用文献8に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないし、引用文献8に記載された発明に基いて、本願優先日前に当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第6 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、また、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-014794