特許拒絶査定不服審判
2024-014917
肉の臭み抑制用葉物野菜、肉との組み合わせ喫食用葉物野菜、及び肉の臭み抑制方法
- 審判番号
- 2024-014917
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-042545
- 請求日
- 2024年09月18日
- 審決日
- 2026年05月08日
- 公報発行日
- 2026年07月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】カゴメ株式会社
- 審判長/審判官
- 審判長 松田 成正
- 審判官 壷内 信吾
- 審判官 加藤 友也
- 分類
- P18 .113-WZ (A23L) / P18 .121-WZ (A23L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020- 42545「肉の臭み抑制用葉物野菜、肉との組み合わせ喫食用葉物野菜、及び肉の臭み抑制方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 9月24日出願公開、特開2021-141845〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年3月12日を出願日とする出願であって、令和5年11月21日付けで拒絶理由が通知され、令和6年3月25日に意見書及び手続補正書が提出され、同年6月14日付けで拒絶査定がされ、同年9月18日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出され、令和8年1月30日付けで拒絶理由が通知され、同年4月2日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和8年4月2日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
肉の臭み抑制及び味の複雑さ付与方法であって、
喫食時に肉の臭みを抑制し、同時に味の複雑さを付与するために、肉と葉物野菜とが同時に喫食するよう組み合わせて提供され、
前記葉物野菜が、ベビーリーフであり、
前記ベビーリーフが、ミズナ、ルッコラ、及びレッドオークから選ばれる、少なくとも一つである。」
第3 令和8年1月30日付けで通知された拒絶理由
令和8年1月30日付けで通知された拒絶理由は、次の理由を含むものである。
1 引用文献7に基づく新規性・進歩性
本願発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献7に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないか、引用文献7に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、同法同条第2項の規定により特許を受けることができない。
2 引用文献8に基づく新規性・進歩性
本願発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献8に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないか、引用文献8に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同法同条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開平5-76323号公報
2.特開昭63-283644号公報
3.特開2006-122008号公報
7.eiko7,"本格的!牛肉のタリアータ",レシピID: 18031955 [online],Cookpad Inc.,2024年12月06日,pp.1,[retrieved on 2024-12-06], Retrieved from <https://cookpad.com/jp/recipes/18031955>,2016年09月15日に公開
8.うちキッチン,"★簡単★牛肉のたたき(タリアータ)",レシピID: 19446176 [online],Cookpad Inc.,2024年12月06日,pp.1-2,[retrieved on 2024-12-06], Retrieved from <https://cookpad.com/jp/recipes/19446176>,2019年01月04日に公開
以下、順に「引用文献1」のようにいう。
第4 令和8年1月30日付けで通知された拒絶理由についての判断
1 引用文献7に基づく新規性・進歩性について
(1)引用文献7に記載された事項等
ア 引用文献7に記載された事項
引用文献7には、「本格的!牛肉のタリアータ」に関して、おおむね次のとおり記載されている。摘記に際し、半角文字は全角文字にし、絵文字、点線の下線及び空白行は省略した。下線は当審で付したものである。以下、同様。
・「材料
2人分
牛肉フィレ 300
ルッコラかベビーリーフ 適量
・・・(略)・・・
粉チーズ.粗挽き胡椒 少々」(第1ページ左欄)
・「作り方
1 お肉を冷蔵庫から出し常温
2 にんにくをスライス
3 お肉に塩胡椒をし強火で焼き上げる
4 お肉を焼いたフライパンにそのままバルサミコ酢とはちみつを入れとろ
みがつくまで煮詰める
5 焼いたお肉を薄くスライスし、ルッコラを添える。4のソースと粗挽き
胡椒、粉チーズをかける」(第1ページ右欄)
イ 引用文献7に記載された発明
引用文献7に記載された事項を整理すると、引用文献7には次の発明(以下、「引用発明7」という。)が記載されていると認める。なお、引用文献7に記載された作り方で作られた「牛肉のタリアータ」は、材料が2人分であることから、少なくとも1人分は誰かに提供するものであると理解される。
<引用発明7>
「焼いたお肉をスライスし、ルッコラを添え、ソースと粗挽き胡椒、粉チーズをかけるという作り方で作った牛肉のタリアータを提供する方法。」
(2)対比
本願発明と引用発明7を対比する。
引用発明7における「焼いたお肉」は本願発明における「肉」に相当する。
引用発明7における「ルッコラ」は本願発明における「葉物野菜」、「ベビーリーフ」及び「ミズナ、ルッコラ、及びレッドオークから選ばれる、少なくとも一つ」に相当する。
引用発明7において、「焼いたお肉」と「ルッコラ」が「同時に喫食するように組み合わせて提供」されることは当業者に明らかであり、引用発明7は本願発明における「肉と葉物野菜とが同時に喫食するよう組み合わせて提供され」という発明特定事項を有する。
引用発明7における「牛肉のタリアータを提供する方法」は本願発明における「喫食時に肉の臭みを抑制し、同時に味の複雑さを付与するために、肉と葉物野菜とが同時に喫食するよう組み合わせて提供され」る「肉の臭み抑制及び味の複雑さ付与方法」と、「肉と葉物野菜とが同時に喫食するよう組み合わせて提供され」る「方法」という限りにおいて一致する。
そうすると、両者は次の点で一致する。
<一致点>
「肉と葉物野菜とが同時に喫食するよう組み合わせて提供される方法であって、
前記葉物野菜が、ベビーリーフであり、
前記ベビーリーフが、ミズナ、ルッコラ、及びレッドオークから選ばれる、少なくとも一つである。」
そして、両者は次の点で相違又は一応相違する。
<相違点1>
「肉と葉物野菜とが同時に喫食するよう組み合わせて提供される方法」に関して、本願発明においては、「喫食時に肉の臭みを抑制し、同時に味の複雑さを付与するために、肉と葉物野菜とが同時に喫食するよう組み合わせて提供され」る「肉の臭み抑制及び味の複雑さ付与方法」と特定されているのに対し、引用発明7においては、「牛肉のタリアータを提供する方法」と特定され、本願発明のようには特定されていない点。
(3)判断
そこで、相違点1について検討する。
野菜と肉を同時に喫食すれば肉臭が抑制されることは、本願出願時の当業者の技術常識である(必要であれば、引用文献1の【0015】、引用文献2の第1ページ右下欄第16ないし19行並びに引用文献3の【0026】及び【0027】参照。)。
また、野菜と肉を同時に喫食すれば、肉の味に野菜の味が加わり、肉だけを喫食する場合よりは味が複雑になることも、当業者に明らかである。
そうすると、引用発明7において「ルッコラを添え」る目的が「喫食時に肉の臭みを抑制し、同時に味の複雑さを付与するため」であることは当業者に明らかであり、引用発明7は「喫食時に肉の臭みを抑制し、同時に味の複雑さを付与するために、肉と葉物野菜とが同時に喫食するよう組み合わせて提供され」る「肉の臭み抑制及び味の複雑さ付与方法」であるといえる。
したがって、相違点1は実質的な相違点であるとはいえない。
仮に、相違点1が実質的な相違点であるとしても、引用発明7において、相違点1に係る本願発明の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであり、本願発明の奏する効果も本願発明の構成から当業者が予測することのできた範囲内のものであって顕著なものとはいえない。
(4)引用文献7に基づく新規性・進歩性についてのまとめ
したがって、本願発明は引用発明7、すなわち引用文献7に記載された発明であるか、引用文献7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
2 引用文献8に基づく新規性・進歩性について
(1)引用文献8に記載された事項等
ア 引用文献8に記載された事項
引用文献8には、「★簡単★牛肉のたたき(タリアータ)」に関して、おおむね次のとおり記載されている。
・「材料
2人分
牛肉 200g
・・・(略)・・・
ベビーリーフ 少々
ルッコラ 少々」(第1ページ左欄)
・「作り方
1 材料
肉はイチボを使いました。美味しかったです。
2 脂肪と赤身の間をハサミで切って塩を振って室温になるまで置いて置く
。30分位。水分はキッチンペーパーでとる。
3 フライパンにオリーブオイルをひく
4 中火で焼き色がつくまで焼く。1分裏返して弱火で1分位焼く。肉を指
で押して1/3位までしか押せない位まで置く。4分位
5 肉を置いておく意味は、150度(低温)オーブン火入れの簡略化です
。肉をやらかくしたいです。
ホイルに包んだほうがより良い
6 バルサミコ 大さじ3
→ソース、酢1:1
醤油 大さじ2
砂糖 小さじ1
ニンニク 小さじ1
をフライパンで煮詰める
7 肉にコショウをかけて、スライスしてベビーリーフに乗せてソースをか
けて出来上がり
→肉はなるべく薄切りがおいしいです。」(第1ページ右欄及び2ページ)
イ 引用文献8に記載された発明
引用文献8に記載された事項を整理すると、引用文献8には次の発明(以下、「引用発明8」という。)が記載されていると認める。なお、引用文献8に記載された作り方で作られた「牛肉のたたき(タリアータ)」は、材料が2人分であることから、少なくとも1人分は誰かに提供するものであると理解される。
<引用発明8>
「牛肉、ベビーリーフ及びルッコラを材料とし、焼いた牛肉にコショウをかけて、スライスしてベビーリーフに乗せてソースをかけるという作り方で作った牛肉のたたき(タリアータ)を提供する方法。」
(2)対比
本願発明と引用発明8を対比する。
引用発明8における「焼いた牛肉」は本願発明における「肉」に相当する。
引用発明8における「ルッコラ」は本願発明における「葉物野菜」、「ベビーリーフ」及び「ミズナ、ルッコラ、及びレッドオークから選ばれる、少なくとも一つ」に相当する。
引用発明8において、「焼いた牛肉」と「ルッコラ」が「同時に喫食するように組み合わせて提供」されることは当業者に明らかであり、引用発明8は本願発明における「肉と葉物野菜とが同時に喫食するよう組み合わせて提供され」という発明特定事項を有する。
引用発明8における「牛肉のたたき(タリアータ)を提供する方法」は本願発明における「喫食時に肉の臭みを抑制し、同時に味の複雑さを付与するために、肉と葉物野菜とが同時に喫食するよう組み合わせて提供され」る「肉の臭み抑制及び味の複雑さ付与方法」と、「肉と葉物野菜とが同時に喫食するよう組み合わせて提供され」る「方法」という限りにおいて一致する。
そうすると、両者は次の点で一致する。
<一致点>
「肉と葉物野菜とが同時に喫食するよう組み合わせて提供される方法であって、
前記葉物野菜が、ベビーリーフであり、
前記ベビーリーフが、ミズナ、ルッコラ、及びレッドオークから選ばれる、少なくとも一つである。」
そして、両者は次の点で相違又は一応相違する。
<相違点2>
「肉と葉物野菜とが同時に喫食するよう組み合わせて提供される方法」に関して、本願発明においては、「喫食時に肉の臭みを抑制し、同時に味の複雑さを付与するために、肉と葉物野菜とが同時に喫食するよう組み合わせて提供され」る「肉の臭み抑制及び味の複雑さ付与方法」と特定されているのに対し、引用発明8においては、「牛肉のたたき(タリアータ)を提供する方法」と特定され、本願発明のようには特定されていない点。
(3)判断
そこで、相違点2について検討する。
上記1(3)のとおり、野菜と肉を同時に喫食すれば肉臭が抑制されることは、本願出願時の当業者の技術常識である。
また、上記1(3)のとおり、野菜と肉を同時に喫食すれば、肉の味に野菜の味が加わり、肉だけを喫食する場合よりは味が複雑になることも、当業者に明らかである。
そうすると、引用発明8において「ルッコラ」を「材料」にする目的が「喫食時に肉の臭みを抑制し、同時に味の複雑さを付与するため」であることは当業者に明らかであり、引用発明8は「喫食時に肉の臭みを抑制し、同時に味の複雑さを付与するために、肉と葉物野菜とが同時に喫食するよう組み合わせて提供され」る「肉の臭み抑制及び味の複雑さ付与方法」であるといえる。
したがって、相違点2は実質的な相違点であるとはいえない。
仮に、相違点2が実質的な相違点であるとしても、引用発明8において、相違点2に係る本願発明の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであり、本願発明の奏する効果も本願発明の構成から当業者が予測することのできた範囲内のものであって顕著なものとはいえない。
(4)引用文献8に基づく新規性・進歩性についてのまとめ
したがって、本願発明は引用発明8、すなわち引用文献8に記載された発明であるか、引用文献8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
3 請求人の主張について
(1)請求人の主張の概要
請求人は、令和8年4月2日に提出された意見書第2及び3ページにおいて、おおむね次のとおり主張する。摘記に際し、空白行は省略した。
「当該理由2及び3は、解消しました。
本願の請求項1に係る発明と、引用文献5乃至10に記載のものを対比すると、両者の相違点は、以下のとおりです。
相違点A:本願の請求項1に係る発明では、「肉の臭み抑制及び味の複雑さ付与方法」が特定されているのに対して、引用文献5乃至10に記載のものでは、その記載がない点
相違点B:本願の請求項1に係る発明では、「前記ベビーリーフが、ミズナ、ルッコラ、及びレッドオークから選ばれる、少なくとも一つである。」が特定されているのに対して、引用文献5、6、9又は10に記載のものでは、その記載がない点
・・・(略)・・・
引用発明には、単にベビーリーフを含む葉物野菜を肉と組み合わせて喫食する点が記載されているのみです。しかしながら、本願発明は、ベビーリーフであればいずれも同様の効果を奏するというものではなく、特定の品種を選択することにより、肉の臭み抑制効果と、味の複雑さを付与する効果とが顕著に現れる点に技術的特徴を有しています。
例えば、レタスやキャベツと比較しても肉の臭み抑制効果が高く(本願明細書 比較例2、実施例4乃至6)。また、ベビーリーフの中でも特にミズナ、ルッコラ、及びレッドオークにおいて、顕著な肉の臭み抑制作用及び味の複雑さ付与がみられています(本願明細書 表6)。
このような効果は、単に葉物野菜一般やベビーリーフ一般から当業者が当然に予測し得るものではありません。特に、肉の臭み抑制という効果と、味の複雑化という効果は、必ずしも同時に発現するとは限らず(本願明細書 表6、ピノグリーン)、品種による顕著な差異が存在する点において、本願発明は引用発明とは質的に異なる作用効果を奏しています。
したがって、本願発明は、引用発明から当業者が容易に想到し得たものではなく、進歩性を有しています。」
(2)検討
そこで、請求人の上記主張について検討する。
引用発明7及び8はいずれも、「ルッコラ」を「肉」と組み合わせて提供するものであるから、「ベビーリーフの中でも特にミズナ、ルッコラ、及びレッドオーク」を「選択」することは、本願発明との対比に際し、相違点とはならない。
また、本願発明は、請求項1の記載によると、肉の臭み抑制効果と味の複雑さを付与する効果の程度を特定するものではないところ、上記1(3)及び2(3)のとおり、引用発明7及び8のいずれも、「喫食時に肉の臭みを抑制し、同時に味の複雑さを付与するために、肉と葉物野菜とが同時に喫食するよう組み合わせて提供され」る「肉の臭み抑制及び味の複雑さ付与方法」であるといえることから、本願発明と引用発明とが質的に異なる作用効果を奏しているともいえない。
したがって、請求人の上記主張は採用できない。
4 むすび
したがって、本願発明は、引用文献7又は8に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、引用文献7又は8に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
第5 結語
上記第4のとおり、本願発明、すなわち請求項1に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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