特許拒絶査定不服審判
2023-020082
麺類用原料粉-油脂混合組成物、及び麺類の製造方法
- 審判番号
- 2023-020082
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-014817
- 請求日
- 2023年11月28日
- 審決日
- 2025年06月04日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】昭和産業株式会社
- 【請求人代理人】野村 悟郎
- 審判長/審判官
- 審判長 植前 充司
- 審判官 宮久保 博幸
- 審判官 中村 和正
- 分類
- P18 .57 -Z (A23L) / P18 .575-Z (A23L) / P18 .113-Z (A23L) / P18 .121-Z (A23L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法17条の2第5項特許法17条の2第6項特許法29条1項3号特許法29条2項特許法53条1項特許法159条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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特願2019- 14817「麺類用原料粉-油脂混合組成物、及び麺類の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 8月13日出願公開、特開2020-120614〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成31年1月30日の出願であって、その手続の経緯は、概略、次のとおりである。
令和5年 2月27日付け 拒絶理由通知
同年 5月 8日 意見書及び手続補正書の提出
同年 8月28日付け 拒絶査定
同年11月28日 審判請求書及び手続補正書の提出
第2 令和5年11月28日提出の手続補正書による手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年11月28日提出の手続補正書による手続補正を却下する。
[理由]
1 令和5年11月28日提出の手続補正書による手続補正の内容
令和5年11月28日提出の手続補正書による手続補正(以下「本件補正」 という。)は、本件補正前の(すなわち、令和5年5月8日に提出された手続補正書により補正された)下記(1)に示す特許請求の範囲を、下記(2)に示す特許請求の範囲とするものである。なお、下線は、合議体が補正箇所に対して付したものである。
(1) 本件補正前の特許請求の範囲
「 【請求項1】
小麦粉を含む原料粉、及び食用油脂を含む油脂組成物を含有し、前記食用油脂が小麦粉粒子を少なくとも部分的にコーティングしていることを特徴とする麺類用原料粉-油脂混合組成物。
【請求項2】
前記食用油脂の含有量が、前記原料粉100質量部に対して1~10質量部である請求項1に記載の麺類用原料粉-油脂混合組成物。
【請求項3】
乳化剤を含有する請求項1又は2に記載の麺類用原料粉-油脂混合組成物。
【請求項4】
食感が軟らかく口溶けが良好な麺類を製造するための請求項1~3のいずれか1項に記載の麺類用原料粉-油脂混合組成物。
【請求項5】
麺類の製造方法であって、
小麦粉を含む原料粉、食用油脂を含む油脂組成物、及び必要に応じてその他の材料を混合し、麺類用原料粉-油脂混合組成物を調製する工程であり、前記食用油脂が、混合時に液状又はペースト状である工程、並びに
前記麺類用原料粉-油脂混合組成物、及び水を含む材料を混捏し、麺類用生地を調製する工程、
を含むことを特徴とする麺類の製造方法。
【請求項6】
前記麺類用原料粉-油脂混合組成物として、請求項1~4のいずれか1項に記載の麺類用原料粉-油脂混合組成物を用いる請求項5に記載の麺類の製造方法。」
(2)本件補正後の特許請求の範囲
「 【請求項1】
麺類の製造方法であって、
小麦粉を含む原料粉、液状又はペースト状である食用油脂、及び必要に応じてその他の材料を混合し、麺類用原料粉-油脂混合組成物を調製する工程、並びに
前記麺類用原料粉-油脂混合組成物、及び水を含む材料を混捏し、麺類用生地を調製する工程、
を含むことを特徴とする麺類の製造方法。
【請求項2】
食感が軟らかく口溶けが良好な麺類の製造方法である、請求項1に記載の麺類の製造方法。
【請求項3】
前記麺類が焼き餃子用の皮である、請求項1又は2に記載の麺類の製造方法。
【請求項4】
前記食用油脂の含有量が、前記原料粉100質量部に対して1~10質量部である請求項1~3のいずれか1項に記載の麺類の製造方法。
【請求項5】
前記麺類用原料粉-油脂混合組成物が、乳化剤を含有する請求項1~4のいずれか1項に記載の麺類の製造方法。」
2 本件補正の適否
(1)本件補正の目的(特許法第17条の2第5項)についての検討
本件補正は、本件補正前の請求項5の記載を整理の上、本件補正後の請求項1とするとともに、本件補正前の請求項1、4及び5を引用する請求項6を、本件補正後の請求項1を引用する請求項2にした上で、本件補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「小麦粉を含む原料粉、及び食用油脂を含む油脂組成物を含有し、前記食用油脂が小麦粉粒子を少なくとも部分的にコーティングしていることを特徴とする麺類用原料粉-油脂混合組成物」から、「前記食用油脂が小麦粉粒子を少なくとも部分的にコーティングしている」を削除する補正事項を含むものである。
そこで、上記補正事項を含む請求項2の補正の目的について検討するに、本件補正前の請求項6は、「小麦粉を含む原料粉、及び食用油脂を含む油脂組成物を含有し、前記食用油脂が小麦粉粒子を少なくとも部分的にコーティングしていることを特徴とする麺類用原料粉-油脂混合組成物」を用いることを特定するものであったところ、上記補正事項は、「麺類用原料粉-油脂混合組成物」の「前記食用油脂が小麦粉粒子を少なくとも部分的にコーティングしている」という発明特定事項を削除するもの、すなわち、本件補正前の請求項1で特定する麺類用原料粉-油脂混合組成物を用いるもの以外のものも含むものとするものであるから、特許請求の範囲を減縮するものであるとはいえない。
よって、上記補正事項は、特許法第17条の2第5項第2号に規定するところのいわゆる限定的減縮を目的とするものであるとはいえない。
また、本件補正による請求項2の補正が、特許法第17条の2第5項各号に掲げるその他の事項、すなわち、「請求項の削除」、「誤記の訂正」、「明りょうでない記載の釈明」を目的とするものでもないことも明らかである。
したがって、本件補正による請求項2の補正は、特許法第17条の2第5項各号に掲げるいずれの目的にも合致しないものであるから、特許法第17条の2第5項に規定する要件に違反する補正である。よって、本件補正は、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
本件補正による請求項2を引用する請求項3ないし5についても同様である。
(2)独立特許要件(特許法第17条の2第6項)についての検討
上記(1)のとおり、本件補正は特許法第17条の2第5項に掲げるいずれの事項を目的とするものでもないが、念のため、仮に、特許法第17条の2第5項第2号に規定するところのいわゆる限定的減縮を目的とする補正であるとして、本件補正後の請求項に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討する。
ア 本件補正発明
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし5に係る発明は、上記1(2)のとおりであるところ、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)は、次のものであると認める。
「【請求項1】
麺類の製造方法であって、
小麦粉を含む原料粉、液状又はペースト状である食用油脂、及び必要に応じてその他の材料を混合し、麺類用原料粉-油脂混合組成物を調製する工程する工程、並びに
前記麺類用原料粉-油脂混合組成物、及び水を含む材料を混捏し、麺類用生地を調製する工程、
を含むことを特徴とする麺類の製造方法。」
イ 引用文献1を主たる証拠とする新規性・進歩性の検討
(ア)引用文献1の記載事項等
A 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された、特開2008-212036号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある。
・「【0026】
次に、本発明の麺皮用油脂組成物で使用する食用油脂について説明する。
上記食用油脂としては、食用に適する油脂であればよく、その代表例としては、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ひまわり油等の常温で液体の油脂が挙げられるが、その他に、パーム油、パーム核油、ヤシ油、サル脂、マンゴ脂、乳脂、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の常温で固体の油脂も用いることができ、更に、これらの食用油脂に水素添加、分別、エステル交換等の物理的又は化学的処理の1種又は2種以上の処理を施した油脂を使用することもできる。本発明においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明において、上記食用油脂の含有量は、油相基準で好ましくは65~99.5質量%、より好ましくは70~98質量%、更に好ましくは75~96質量%である。
なお、以下に述べるその他の成分として、バター、クリーム等の乳製品や、チョコレート、ナッツペースト等の油脂を含有する食品を使用した場合は、その油脂分については、上記食用油脂の含有量に算入することとする。」
・「【0031】
次に、本発明の麺皮用油脂組成物の好ましい製造方法について説明する。
先ず、上記主要構成脂肪酸がベヘン酸であるポリグリセリン脂肪酸エステルを0.5~35質量%(油相基準)含有する油相を融点以上、好ましくは70~85℃に加熱して溶解する。次に必要により該油相に水相を混合乳化する。そして次に殺菌処理を行うことが好ましい。殺菌方法は、タンクでのバッチ式、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続式等の何れの方法を用いてもよい。
次に、冷却し、結晶化する。好ましくは冷却可塑化する。冷却条件は、好ましくは-0.5℃/分以上、さらに好ましくは-1℃/分以上とする。この際、徐冷却より、急速冷却の方が好ましい。なお、冷却可塑化する機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えば、ボテーター、コンピネーター、パーフェクター等のマーガリン製造機やプレート型熱交換機等が挙げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターとの組み合わせも挙げられる。
本発明の麺皮用油脂組成物を製造する際の何れかの工程で、窒素、空気等を含気させてもよい。
また、本発明の麺皮用油脂組成物は粉体との混合性を良好にするために、噴霧冷却乾燥機等を用いて、ビーズ状、粉末状にしてもよい。
【0032】
次に、本発明の麺皮について説明する。
本発明の麺皮は、本発明の麺皮用油脂組成物を使用して製造されるものであり、具体的には、該麺皮用油脂組成物を麺皮に塗布するか、または麺皮製造時に練込んでなるものである。」
・「【0034】
また、上記練り込む方法としては、麺皮中に麺皮用油脂組成物を均一に分散させることが可能な方法であれば特に制限なく選択することができ、例えば、麺皮製造のミキシング時に本発明の麺皮用油脂組成物を練りこむ方法や、麺皮原料のうちの粉体原料と本発明の麺皮用油脂組成物を混合したミックス粉をいったん製造し、水性原料を添加してミキシングして得る方法などを挙げることができる。
また練り込む場合の本発明の麺皮用油脂組成物の練込量は、麺皮中0.5~10質量%、好ましくは1~8質量%、より好ましくは2~5質量%となる量である。麺皮用油脂組成物の練込量が0.5質量部未満では本発明の効果が十分に得難く、10質量部を越えるとワキシーな食感となるおそれがある。」
・「【0038】
〔実施例1~実施例9、比較例1~4〕
<油脂組成物の製造>
下記表1に記載の配合からなる油相を80℃に加熱溶解した後、パーフェクターを使用して急冷可塑化し、本発明の麺皮用油脂組成物A~I、及び、比較例の麺皮用油脂組成物J~Mを得た。得られた麺皮用油脂組成物の油相中のトランス脂肪酸含量を表1に併せて記載した。なお、冷却速度は-1℃/分であった。
また、表1に記載の乳化剤の、製造者、乳化剤の種類、主要結合脂肪酸の種類、構成脂肪酸中のベヘン酸の含有量、グリセリン重合度、脂肪酸結合数、及びエステル化率については表2に記載した。
【0039】
【表1】
[図:0001425191000001.jpg]
【0040】
【表2】
[図:0001425191000002.jpg]
【0041】
<春巻きの皮の製造1>
本発明の麺皮を、上記<油脂組成物の製造>で得られた麺皮用油脂組成物A~Mを使用して、表3に記載の配合で以下の手順により製造した。
先ず小麦粉に上記麺皮用油脂組成物を混合してミックス粉を製造した。このミックス粉に、食塩を溶解した水を添加して十分に混合して生地を得た。この生地を使用して、定法により、厚さ0.5mmの、本発明の麺皮である春巻きの皮A~I、及び、比較例の春巻きの皮J~Mを得た。なお、春巻きの皮を得る際の加熱条件は、200℃17秒とした。
【0042】
【表3】
[図:0001425191000003.jpg]
」
B 引用文献1に記載された発明
引用文献1の実施例について整理すると、引用文献1には、次の発明(以下、それぞれ、「引用発明1」及び「引用発明2」という。)が記載されていると認める。
<引用発明1>
「表1に記載の配合からなる油脂と乳化剤を含む油相を80℃に加熱溶解した後、パーフェクターを使用して急冷可塑化し、麺皮用油脂組成物を得、小麦粉に上記麺皮用油脂組成物を混合してミックス粉を製造し、このミックス粉に、食塩を溶解した水を添加して十分に混合して生地を得、この生地を使用して、定法により、厚さ0.5mmの、春巻きの皮を得る製造方法。」
(合議体注:「表1」(【0039】の【表1】)の記載は省略する。以下同様。)
<引用発明2>
「表1に記載の配合からなる油脂と乳化剤を含む油相を80℃に加熱溶解した後、パーフェクターを使用して急冷可塑化し、麺皮用油脂組成物を得、小麦粉に上記麺皮用油脂組成物を混合して製造したミックス粉。」
(イ)対比・判断
本件補正発明1と引用発明1とを対比する。
引用発明1の「春巻きの皮」、「小麦粉」、小麦粉と麺皮用油脂組成物を混合し得られたものである「ミックス粉」及び「生地」は、それぞれ、本件補正発明1の「麺類」、「小麦粉を含む原料粉」、「麺類用原料粉-油脂混合組成物」及び「麺類用生地」に相当する。
引用発明1は、春巻きの皮を得る製造方法であって、小麦粉に麺皮用油脂組成物を混合してミックス粉を製造するものであるから、本件補正発明1の「麺類の製造方法であって、
小麦粉を含む原料粉、食用油脂、及び必要に応じてその他の材料を混合し、麺類用原料粉-油脂混合組成物を調製する工程する工程・・・を含む」との特定事項を満たす。
引用発明1は、ミックス粉に食塩を溶解した水を添加して十分に混合して生地を得るものであるから、本件補正発明1の「麺類用原料粉-油脂混合組成物、及び水を含む材料を混捏し、麺類用生地を調製する工程、
を含む」との特定事項を満たす。
そうすると、両者は次の点で一致する。
<一致点>
「麺類の製造方法であって、
小麦粉を含む原料粉、食用油脂、及び必要に応じてその他の材料を混合し、麺類用原料粉-油脂混合組成物を調製する工程、並びに
前記麺類用原料粉-油脂混合組成物、及び水を含む材料を混捏し、麺類用生地を調製する工程、
を含むことを特徴とする麺類の製造方法。」
そして、両者は次の点で一応相違する。
<相違点1>
本件補正発明1は、食用油脂が「液状又はペースト状である」のに対して、引用発明1は、そのようには特定されていない点。
相違点1について検討する。
引用発明1の「麺皮用油脂組成物」は、急冷可塑化されたものであり、液状又はペースト状であることは明らかであるから、本件補正発明1の「液状又はペースト状である食用油脂」に相当する。
したがって、相違点1は実質的な相違点ではない。
仮にそうでないとしても、引用文献1の【0026】には、麺皮用油脂組成物で使用する食用油脂の代表例として常温で液体の油脂が挙げられていることから、引用発明1の「麺皮用油脂組成物」は、常温で液体の油脂を含むものと認められる。
(ウ)引用文献1を主たる証拠とする新規性・進歩性についてのまとめ
したがって、本件補正発明1は、引用発明1であるか、また仮にそうではないとしても、本件補正発明1は、引用発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
ウ 独立特許要件についてのまとめ
上記イで検討したとおり、本件補正発明1は、引用発明1に基いて、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
よって、本件補正発明は、補正の目的が仮に特許法第17条の2第5項第2号に規定するものであったとしても、特許出願の際独立して特許を受けることができないから、特許法第17条の2第6項に違反するものである。
3 補正の適否についてのむすび
したがって、本件補正は、上記2(1)の検討のとおり、特許法第17条の2第5項に規定する要件に違反する補正であり、仮にそうではないとしても、上記2(2)の検討のとおり特許法第17条の2第6項に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、第2のとおり却下されたので、請求項1ないし6に係る発明は、令和5年5月8日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1及び請求項5に係る発明(以下、それぞれ、「本願発明1」及び「本願発明5」という。)は、次のとおりのものであると認める。
「【請求項1】
小麦粉を含む原料粉、及び食用油脂を含む油脂組成物を含有し、前記食用油脂が小麦粉粒子を少なくとも部分的にコーティングしていることを特徴とする麺類用原料粉-油脂混合組成物。」
「【請求項5】
麺類の製造方法であって、
小麦粉を含む原料粉、食用油脂を含む油脂組成物、及び必要に応じてその他の材料を混合し、麺類用原料粉-油脂混合組成物を調製する工程であり、前記食用油脂が、混合時に液状又はペースト状である工程、並びに
前記麺類用原料粉-油脂混合組成物、及び水を含む材料を混捏し、麺類用生地を調製する工程、
を含むことを特徴とする麺類の製造方法。」
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、令和5年8月28日付け拒絶理由通知書に記載した理由1、2であり、その概要は、次のとおりである。
1.(新規性)この出願の請求項1-3、5-6に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)この出願の請求項1-6に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特開2008-212036号公報
引用文献2:特開2017-127250号公報
引用文献3:特開2017-127249号公報
3 判断
(1) 本願発明1について
本願発明1と引用発明2とを対比する。
引用発明2の「小麦粉」、「油脂」、「麺皮用油脂組成物」及び小麦粉と麺皮用油脂組成物を混合し得られたものである「ミックス粉」は、それぞれ、本願発明1の「小麦粉を含む原料粉」、「食用油脂」、「油脂組成物」及び「麺類用原料粉-油脂混合組成物」に相当する。
そうすると、両者は次の点で一致する。
<一致点>
「小麦粉を含む原料粉、及び食用油脂を含む油脂組成物を含有していることを特徴とする麺類用原料粉-油脂混合組成物。」
そして、両者は次の点で一応相違する。
<相違点2>
本願発明1は、「食用油脂が小麦粉粒子を少なくとも部分的にコーティングしている」のに対して、引用発明2は、そのようには特定されていない点。
相違点2について検討する。
引用発明2の「ミックス粉」は、小麦粉に麺皮用油脂組成物を混合して製造したものであり、混合により「油脂」と「小麦粉」が接触した状態である以上、少なくとも接触した部分においては「油脂」が「小麦粉」の粒子をコーティングしている蓋然性が高いことから、引用発明2は、本願発明1の「食用油脂が小麦粉粒子を少なくとも部分的にコーティングしている」との特定事項を満たすものと認められる。
したがって、相違点2は実質的な相違点ではない。
したがって、本願発明1は、引用発明2であるか、また仮にそうではないとしても、本願発明1は、引用発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2) 本願発明5について
本願発明5と引用発明1とを対比する。
引用発明1の「春巻きの皮」、「小麦粉」、「油脂」、小麦粉と麺皮用油脂組成物を混合し得られたものである「ミックス粉」及び「生地」は、それぞれ、本願発明5の「麺類」、「小麦粉を含む原料粉」、「食用油脂」、「麺類用原料粉-油脂混合組成物」及び「麺類用生地」に相当する。
引用発明1は、春巻きの皮を得る製造方法であって、小麦粉に麺皮用油脂組成物を混合してミックス粉を製造するものであるから、本件補正発明1の「麺類の製造方法であって、
小麦粉を含む原料粉、食用油脂を含む油脂組成物、及び必要に応じてその他の材料を混合し、麺類用原料粉-油脂混合組成物を調製する工程・・・を含む」との特定事項を満たす。
引用発明1は、ミックス粉に食塩を溶解した水を添加して十分に混合して生地を得るものであるから、本件補正発明1の「麺類用原料粉-油脂混合組成物、及び水を含む材料を混捏し、麺類用生地を調製する工程、
を含む」との特定事項を満たす。
そうすると、両者は次の点で一致する。
<一致点>
「麺類の製造方法であって、
小麦粉を含む原料粉、食用油脂を含む油脂組成物、及び必要に応じてその他の材料を混合し、麺類用原料粉-油脂混合組成物を調製する工程、並びに
前記麺類用原料粉-油脂混合組成物、及び水を含む材料を混捏し、麺類用生地を調製する工程、
を含むことを特徴とする麺類の製造方法。」
そして、両者は次の点で一応相違する。
<相違点3>
本願発明5は、「前記食用油脂が、混合時に液状又はペースト状である」のに対して、引用発明1は、そのようには特定されていない点。
相違点3について検討する。
引用発明1の「油脂」は、混合により少なくとも部分的に溶解し、結果的に液状又はペースト状となることから、本願発明5の「前記食用油脂が、混合時に液状又はペースト状である」との特定事項を満たすものと認められる。
したがって、相違点3は実質的な相違点ではない。
したがって、本願発明5は、引用発明1であるか、また仮にそうではないとしても、本願発明5は、引用発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
4 結び
以上のとおり、本願発明1及び5は、引用発明1であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。
また、本願発明1及び5は、引用発明1に基いて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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