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特許拒絶査定不服審判

2024-001894

埋め込み不揮発性メモリデバイス、およびその製造方法

審判番号
2024-001894
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-022030外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2024年02月02日
審決日
2024年11月27日
公報発行日
2025年05月30日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .575-Z (H01L) / P18 .111-Z (H01L) / P18 .121-Z (H01L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第44条第1項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022- 22030「埋め込み不揮発性メモリデバイス、およびその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 5月13日出願公開、特開2022- 70982〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 11項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、2018年(平成30年)7月13日(パリ条約よる優先権主張外国庁受理2017年7月19日(以下「優先日」という)、米国、2017年12月20日、米国)を国際出願日とする出願の一部を、2022年(令和4年)2月16日に特許法第44条第1項の規定による新たな特許出願(特願2022-022030号)としたものであって、その手続の概要は以下のとおりである。

令和 4年 3月16日 :上申書、手続補正書の提出
令和 5年 5月22日付け:拒絶理由通知書
令和 5年 8月22日 :意見書、手続補正書の提出
令和 5年 9月28日付け:拒絶査定(原査定)
令和 6年 2月 2日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和6年2月2日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という)を却下する。

[理 由]

1 本件補正について(補正の内容)

(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載

本件補正は、特許請求の範囲を補正するものであり、補正後の請求項1の記載は、次のとおりである。(下線部は、補正箇所である。)。

「 【請求項1】
基板の第1の領域において、電荷トラップ層を覆うポリシリコンのメモリゲートを含むメモリセルと、
前記基板の第2の領域において、高誘電率誘電体の上に配置された金属ゲートを含むロジックFETと、
を備え、
前記メモリセルの前記メモリゲートおよび前記ロジックFETの前記金属ゲートは、実質的に同じ高さであり、
前記メモリゲートは、誘電体層に囲まれており、
前記メモリゲートは、保護マスクにより保護されている、
半導体デバイス。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載

本件補正前の、令和5年8月22日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。

「 【請求項1】
基板の第1の領域において、電荷トラップ層を覆うポリシリコンのメモリゲートを含むメモリセルと、
前記基板の第2の領域において、高誘電率誘電体の上に配置された金属ゲートを含むロジックFETと、
を備え、
前記メモリセルの前記メモリゲートおよび前記ロジックFETの前記金属ゲートは、実質的に同じ高さであり、
前記メモリゲートは、誘電体層に囲まれている、
半導体デバイス。」

2 補正の適否

本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「メモリゲート」について、上記のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明

本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項

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ア 引用文献1

(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の原出願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2014-175666号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は、合議体が付加した。以下、同じ。)。

a 「 【0011】
図1には、半導体基板16と、基板16の一部分の内部及び上方の不揮発性メモリ領域12と、基板16の一部分の内部及び上方の論理領域14と、基板16の上のハードマスク層18とを有する半導体デバイス10が示されている。同じ基板16の内部及び上方に、他の領域が存在してもよい。単一の論理トランジスタ及び単一の不揮発性メモリセルを形成するための工程が、後続の図面に示され、これはこれらの領域に形成されることになる他のトランジスタ及びメモリセルの例示である。ハードマスク層18は窒化物であってもよく、約100オングストローム厚であってもよい。他の材料及び厚さも使用されてもよい。」
b 「 【0015】
図5には、不揮発性メモリ領域12及び論理領域14内の電荷蓄積層20上にゲート材料30を形成した後の半導体デバイスが示されている。ゲート材料30は、約800~1000オングストロームの厚さを有してもよい。ゲート材料30は、ポリシリコンを上回る利点を提供することができる金属であってもよい。ポリシリコンも使用されてもよい。ゲート材料30はまた、金属及びポリシリコンなどからなる複数の導電性材料から形成される積層、すなわちスタックであってもよい。」
c 「 【0016】
図6には、ゲート材料30及び電荷蓄積層20をエッチングした後の半導体デバイス10が示されている。ゲート材料30にはパターニングする以外に何ら変更する必要はないが、結果として不揮発性メモリ領域12における機能的構造、すなわち制御ゲート32として使用されることになるものになる。ゲート材料30、電荷蓄積層20、及びハードマスク層18は論理領域14から除去され、それによって、論理領域14において基板16の上面が露出される。不揮発性メモリ領域12における基板16の上部も、制御ゲート32が存在する場所を除いて露出される。」
d 「 【0017】
図7には、不揮発性メモリ領域12及び論理領域14の露出部上ならびに制御ゲート32上に絶縁体層21を形成した後の半導体デバイス10が示されている。基板16上の絶縁体層21は熱成長し、堆積される酸化物層ではなく、熱を使用して成長される酸化物層である、熱酸化物層と称される場合がある。制御ゲート上の絶縁体層21も酸化物であるが、主に堆積された酸化物である。したがって、絶縁体層21は酸化物層21とし称される場合がある。制御ゲート32上の酸化物層21は一致する酸化物層を最初に堆積して、その後、制御ゲート32の周囲に側壁スペーサを形成し基板16から一致する酸化物層を除去する異方性エッチングを行うことによって形成される。その後、熱酸化ステップが実行されて、結果として酸化物層21が基板16上に成長される。この基板16上の酸化物層21の成長は相対的に高温であり、金属層が以前に形成されている場合に金属層に対する損傷を引き起こし得る温度よりも高い。結果として、基板16上の酸化物層21は形成されることになる選択ゲートのゲート絶縁体として高品質かつ効率的になる。酸化物層21は、ほぼすべてが堆積されわずかにのみ成長される制御ゲート32上で、成長のみが行われ得る基板16上よりも厚くなってもよい。不揮発性メモリ領域12及び論理領域14内で酸化物層21上にポリシリコンの層23が形成される。ポリシリコン23は酸化物層21よりも厚いが、制御ゲート32の高さよりも大幅に薄い。層23は、論理領域14の処理の間ハードマスクとして機能し、酸化物層21の保護において特に重要であり、当該酸化物層は基板16上にあって形成されることになる選択ゲートのゲート絶縁体として機能することになる。」
e 「 【0018】
図8には、論理領域14から酸化物層21及びポリシリコン層23を除去し、高k絶縁体層34、及び、形成されることになる論理トランジスタの仕事関数設定層として機能することになる金属層35を堆積した後の半導体デバイス10が示されている。」
f 「 【0020】
図10には、不揮発性メモリ領域12においてはポリシリコン層23と同一の層を形成するが、論理領域14においては単純に金属層35の上に堆積するポリシリコン層を堆積することから生じる、ポリシリコン層36を形成した後の半導体デバイス10が示されている。その結果、ポリシリコン層36は不揮発性メモリ領域12において、論理領域14の上よりも厚くなる。」
g 「 【0022】
図12には、選択ゲートを画定するための、制御ゲート32の第1の側壁面33から外方に延在する第1の側壁39を有する、不揮発性メモリ領域12内の、制御ゲート32の上の第1の部分を有するパターン化フォトレジスト38を形成した後の半導体デバイス10が示されている。パターン化フォトレジスト38の、不揮発性メモリ領域12内の第1の部分は、酸化物層21に実質的に位置整合されている第2の側壁41を有し、酸化物層21は制御ゲート32の第2の側壁面37に沿っている。制御ゲート32の第2の側壁面37は制御ゲート32の第1の側壁面33の反対側にある。酸化物層21の制御ゲート32の側壁面に沿った水平厚さは好適には、不揮発性メモリ領域12内のフォトレジスト38の第2の側壁41が制御ゲート32の上にもポリシリコン層36の上にもなく、制御ゲート32の第2の側壁面37に沿った酸化物層21の上のみにあるように、不揮発性メモリ領域12内のフォトレジスト38の第2の側壁41の位置整合許容範囲の少なくとも2倍である。パターン化フォトレジスト38は、論理トランジスタのゲートを画定するのに使用されることになる、論理領域14内の第2の部分を有する。」
h 「 【0023】
図13には、パターン化フォトレジスト38を、選択ゲートであり、選択ゲート61と称される場合がある、ポリシリコン層36の、不揮発性メモリ領域12内の制御ゲート32に隣接する不揮発性メモリ領域12内の第1の部分、及び、ダミーゲート63と称される場合がある、ポリシリコン層36の、論理領域14内の第2の部分を残すマスクとして使用してエッチングを実行した後の半導体デバイス10が示されている。酸化物層21の、パターン化フォトレジスト38によって被覆されていなかった部分も除去される。酸化物層21は制御ゲート32の上に留まってもよい。ダミーゲート63は、後続の処理の間に充填金属に置換されることになる。代替の実施形態において、選択ゲート及びダミー論理ゲートをパターニングするステップは別個のステップにおいて行われてもよい。」
i 「 【0025】
図15には、層間絶縁体52を堆積によって形成し、その後、化学的機械研磨(CMP)を行った後の半導体デバイス10が示されている。したがって、図15は、側壁スペーサ40,42の周囲の部分を有する層間絶縁体52を示している。CMPの結果として、選択ゲート61、制御ゲート32及びダミーゲート63が露出される。CMPは、側壁スペーサ40,42の形成の間に選択ゲート61及び制御ゲート32の上部の間に形成する場合がある小さい間隙領域を除去する。」
j 「 【0026】
図16には、不揮発性メモリ部分12の上にハードマスク層43を形成し、その後ダミーゲート63を除去した後の半導体デバイス10が示されている。ハードマスク層43は窒化ケイ素を含んでもよい。ダミーゲート63の除去はマスクを用いずに達成されてもよい。ハードマスク層43は、ブランケット堆積を行い、その後、ブランケット堆積の論理領域の上の部分を除去することによって形成されてもよい。ダミーゲート63を除去することによって、側壁スペーサ42の内部に開口45が残り、仕事関数設定層である金属層35の上面が露出される。」
k 「 【0027】
図17には、図16に示すようにダミーゲート63を除去することによって形成された開口45を充填するゲート材料56を形成した後の半導体デバイス10が示されている。ゲート材料56は、金属または金属及びポリシリコンの何らかの組合せであってもよい。」
l 「 【0028】
図18には、CMPを実行した後の半導体デバイス10が示されている。その結果、不揮発性メモリ領域12においてはハードマスク層43及びゲート材料56が除去され、論理領域14においては層間絶縁体52の上のゲート材料56が除去される。これによって、側壁スペーサ42の内部にある、図16に示す開口45内に含まれる、論理領域14内の論理ゲート56が残る。この結果、不揮発性メモリ領域12内の不揮発性メモリセルが完成し、論理領域14内の論理トランジスタが完成する。」

m 図1、図5、図6、図7、図8、図12、図13、図15、図16、図17、図18は以下のとおりものもである。

「図1
[図:0001422104000001.jpg]
図5
[図:0001422104000002.jpg]
続きを表示(全23行)
図6
[図:0001422104000003.jpg]
図7
[図:0001422104000004.jpg]
図8
[図:0001422104000005.jpg]
図12
[図:0001422104000006.jpg]
図13
[図:0001422104000007.jpg]
図15
[図:0001422104000008.jpg]
図16
[図:0001422104000009.jpg]
図17
[図:0001422104000010.jpg]
図18
[図:0001422104000011.jpg]
」

(イ)以上の記載から、引用文献1には、次のことが記載されている。

a 上記(ア)aから、引用文献1の段落0011には、半導体デバイス10が、基板16の一部分の内部及び上方の不揮発性メモリ領域12を有していること、上記(ア)bから、引用文献1の段落0015には、不揮発性メモリ領域12において、電荷蓄積層20上にゲート材料30が形成されていること、及び、ゲート材料30としてポリシリコンが使用されてよいこと、上記(ア)cから、引用文献1の段落0016には、ゲート材料30及び電荷蓄積層20がエッチングされ、不揮発性メモリ領域12における制御ゲート32になることが記載されているといえる。

また、上記(ア)lから、引用文献1の段落0028には、図18が、不揮発性メモリ領域12内の不揮発性メモリセルが完成した状態を示す図であることが記載されており、図18から、「20」の上に「32」が形成されていることが見て取れる。

したがって、引用文献1には、半導体デバイス10が、基板16の一部分の内部及び上方の不揮発性メモリ領域12において、電荷蓄積層20の上にポリシリコンの制御ゲート32を含む不揮発性メモリセルを備えていることが記載されているといえる。

b 上記(ア)aから、引用文献1の段落0011には、半導体デバイス10が、基板16の一部分の内部及び上方の論理領域14を有していることが記載されているといえる。

また、上記(ア)eから、引用文献1の段落0018には、高k絶縁体層34、及び、金属層35を堆積することが記載されており、図8から「32」等の構成が形成された「16」の上の全体に「34」及び「35」が形成されていることが見て取れる。

また、上記(ア)fから、引用文献1の段落0020には、論理領域14において、金属層35の上にポリシリコン層36を形成すること、上記(ア)hから、引用文献1の段落0023には、論理領域14において、ポリシリコン層36をエッチングしてダミーゲート63として残すこと、上記(ア)jから、引用文献1の段落0026には、図16に示されているように、不揮発性メモリ部分12の上に、窒化ケイ素を含むハードマスク層43を形成した後、ダミーゲート63を除去することによって、側壁スペーサ42の内部に開口45が残り、仕事関数設定層である金属層35の上面が露出されること、上記(ア)kから、引用文献1の段落0027には、図17に示されているように、開口45を充填する金属のゲート材料56を形成することが記載されているといえる。

また、上記(ア)lから、引用文献1の段落0028には、図18が、論理領域14において、層間絶縁体52の上のゲート材料56が除去されて、論理領域14内の論理ゲート56が残り、論理トランジスタが完成した状態を示す図であることが記載されており、図18から、「14」で示された箇所において「34」の上に「35」及び「56」が形成されていることが見て取れる。

したがって、引用文献1には、不揮発性メモリ部分12の上に、窒化ケイ素を含むハードマスク層43を形成した後、論理領域14に残されたダミーゲートを除去すること、及び、半導体デバイス10が、基板16の一部分の内部及び上方の論理領域14において、高k絶縁体層34の上に配置された金属層35及び金属の論理ゲート56を含む論理トランジスタを備えていることが記載されているといえる。

c 上記(ア)iから、引用文献1の段落0025には、制御ゲート32は、層間絶縁体52が形成された後に化学的機械研磨(CMP)を行うことにより層間絶縁体52から露出されたものであること、上記(ア)lから、引用文献1の段落0028には、論理ゲート56は、層間絶縁体52の上のゲート材料56を除去することにより形成されたものであることが記載されているといえる。

d 上記(ア)dから、引用文献1の段落0017には、制御ゲート32上に酸化物層21を堆積し、制御ゲート32の周囲に側壁スペーサを形成し、熱酸化ステップを実行することにより、酸化物層21を形成すること、上記(ア)gから、引用文献1の段落0022には、選択ゲートを画定するための、制御ゲート32の第1の側壁面33から外方に延在する第1の側壁39

と、第1の側壁面33の反対側にある制御ゲート32の第2の側壁面37に沿っている酸化物層21に実質的に位置整合されている第2の側壁41を有する、不揮発性メモリ領域12内の、制御ゲート32の上の第1の部分を有するパターン化フォトレジスト38を形成すること、上記(ア)hから、引用文献1の段落0023には、パターン化フォトレジスト38をマスクとして使用してエッチングを実行することが記載されているといえる。

また、不揮発性メモリ領域12内の不揮発性メモリセルが完成した状態を示す図である図18から、「32」の周囲に「21」が形成されていることが見て取れる。

したがって、引用文献1には、制御ゲート32の周囲に酸化物層21が形成されていることが記載されているといえる。

e 上記bに記載したとおり、引用文献1には、図16に示されているように、不揮発性メモリ部分12の上に、窒化ケイ素を含むハードマスク層43を形成した後、ダミーゲート63を除去して側壁スペーサ42の内部に開口45残すことが記載されていているところ、上記(ア)cの段落0016及び上記(ア)jの段落0026によると、図16から、「制御ゲート32」の上に「ハードマスク43」が形成されていることが見て取れる。

したがって、ダミーゲート63を除去するための除去剤と「制御ゲート32」の間には、「ハードマスク43」が存在していることから、引用文献1には、ダミーゲート63を除去して側壁スペーサ42の内部に開口45残す際に、窒化ケイ素を含むハードマスク層43が制御ゲート32の上に形成されており、制御ゲート32が当該ハードマスク層43により保護されていることが記載されているといえる。

(ウ)上記(イ)から、引用文献1には、発明を実施するための形態として、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「基板16の一部分の内部及び上方の不揮発性メモリ領域12において、電荷蓄積層20を覆うポリシリコンの制御ゲート32を含む不揮発性メモリセルと、基板16の一部分の内部及び上方の論理領域14において、高k絶縁体層34の上に配置された金属層35及び金属の論理ゲート56を含む論理トランジスタと、を備え、
制御ゲート32は、層間絶縁体52が形成された後に化学的機械研磨(CMP)を行うことにより層間絶縁体52から露出されたものであり、論理ゲート56は、層間絶縁体52の上のゲート材料56を除去することにより形成されたものであり、
制御ゲート32の周囲に酸化物層21が形成されている、
半導体デバイス10。」

(エ)上記(イ)eから、引用文献1には、次の技術が記載されていると認められる。

「ダミーゲート63を除去して側壁スペーサ42の内部に開口45残す際に、窒化ケイ素を含むハードマスク層43が制御ゲート32の上に形成されており、制御ゲート32を当該ハードマスク層43により保護すること。」

イ 引用文献2

(ア)本願の原出願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった米国特許出願公開第2015/0093864号明細書(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の記載がある(翻訳文は合議体が作成した。)。

a「[0045]Shown in FIG. 14 is semiconductor structure 10 after a polysilicon layer 116 and a portion of recessed ILD 114 are removed and planarized using CMP. A portion of the control gate for logic device 46, and cap layer 23, a portion of control gates 28, and a portion of charge storage layer 24 over select gates 22 of NVM cells 30, 32, is removed. The use of polysilicon layer 116 over ILD 114 before the CMP helps prevent damage to the polysilicon in the control gates 28 of NVM cells 30, 32 during the CMP planarization.」

([0045]図14には、ポリシリコン層116及びリセスILD114の一部が除去され、CMPを用いて平坦化された後の半導体構造10が示されている。論理デバイス46の制御ゲートの一部、NVMセル30、32のキャップ層23、制御ゲート28の一部、及び選択ゲート22上の電荷蓄積層24の一部が除去される。CMP前にILD114上にポリシリコン層116を使用することは、CMP平坦化中にNVMセル30、32の制御ゲート28内のポリシリコンへの損傷を防止するのに役立つ。)

b 「[0046]Shown in FIG. 15 is semiconductor structure 10 after a hard mask is formed over NVM region 11 including a layer of nitride 118 and a layer of oxide 120. Sacrificial polysilicon gate 44 is removed from logic structure 46 using a wet etch to form a gate opening 122 surrounded by first spacer 60 for logic structure 46.」

([0046]図15には、窒化物層118及び酸化物層120を含むハードマスクがNVM領域11上に形成された後の半導体構造10が示されている。犠牲ポリシリコンゲート44は、論理構造46のための第1のスペーサ60によって囲まれたゲート開口部122を形成するために、ウェットエッチングを用いて論理構造46から除去される。)

c 「[0047]Shown in FIG. 16 is semiconductor structure 10 after work function metal 124 is deposited around the sides and bottom of the gate opening 122 in logic structure 46. A gate metal 126 is then deposited over the work function metal 124 to fill the gate opening 122. Combinations of work function metal 124 and the barrier metal 42 (FIG. 11) sets the work function of N channel transistors and provides a highly conductive gate conductor in logic region 13. An alternate combination of barrier metal and work function material can be used for P channel transistors.

([0047]図16には、論理構造46のゲート開口122の側部及び底部の周りに仕事関数金属124が堆積された後の半導体構造10が示されている。次に、ゲート金属126を仕事関数金属124上に堆積させてゲート開口122を充填する。仕事関数金属124とバリア金属42(図11)との組み合わせは、Nチャネルトランジスタの仕事関数を設定し、論理領域13内に高導電性ゲート導体を提供する。バリア金属と仕事関数材料の別の組合せをPチャネルトランジスタに使用することができる。)

d 「[0048]After gate metal 126 is deposited in logic structure 46, oxide layer 120 is removed by CMP over NVM region 11 and logic region 13. Nitride layer 118 can be left in NVM region 11 or removed.」

([0048]ゲート金属126が論理構造46内に堆積された後、酸化物層120がNVM領域11及び論理領域13の上でCMPによって除去される。窒化物層118は、NVM領域11内に残すか、又は除去することができる。)

e 「[0049]Shown in FIG. 17 is semiconductor structure 10 after an additional layer of interlayer dielectric 128 is deposited over nitride layer 118 in NVM region 11 and in logic region 13. Openings can be formed in dielectric 128 and filled with conductive material 130 to make contact with source/drain contacts 100, 104, 108, 110, 112 of NVM structures 30, 32 and logic structure 46. 」

([0049]図17には、NVM領域11及び論理領域13内の窒化物層118上に層間誘電体128の追加層を堆積した後の半導体構造10が示されている。開口部を誘電体128内に形成し、導電性材料130で充填して、NVM構造30、32及び論理構造48のソース/ドレインコンタクト100、104、108、110、112とのコンタクトを形成することができる。)

f FIG.15~FIG.17は、以下のとおりのものである。

「
[図:0001422104000012.jpg]
[図:0001422104000013.jpg]
[図:0001422104000014.jpg]
」

(イ)以上の記載から、引用文献2には、次の技術が記載されている。

a 上記(ア)bから、引用文献2の段落0046には、図15に示されているように、窒化物層118及び酸化物層120を含むハードマスクが形成された後に、犠牲ポリシリコンゲート44をウェットエッチングにより除去して、ゲート開口部122を形成すること、上記(ア)c、dから、引用文献2の段落0047、0048には、図16に示されているように、ゲート開口122に仕事関数金属124及びゲート金属126を堆積させてゲート開口122を充填すること、ゲート金属126が堆積された後、酸化物層120をCMPによって除去すること、及び、窒化物層118を、NVM領域11内に残すか、又は除去することができること、上記(ア)eから、引用文献2の段落0049には、窒化物層118上に層間誘電体128の追加層を堆積することが記載されているといえる。

また、FIG.17から、「11」で示された箇所に、「118」が残されていることが見て取れる。

したがって、引用文献2には、窒化物層118及び酸化物層120を含むハードマスクをNVM領域11上に形成した後に、犠牲ポリシリコンゲート44を除去してゲート開口部122を形成し、ゲート開口部122にゲート金属126を形成し、CMPを行った後に、窒化物層118をNVM領域11に残すものとすることが記載されているといえる。

b 上記aに記載したとおり、引用文献2には、図15に示されているように、窒化物層118及び酸化物層120を含むハードマスクが形成された後に、犠牲ポリシリコンゲート44を除去して、ゲート開口部122を形成することが記載されているところ、上記(ア)aの段落0045によると、FIG.15から「制御ゲート28」の上に「118」及び「120」が形成されていることが見て取れる。

したがって、犠牲ポリシリコンゲート44をウェットエッチングにより除去するためのエッチング液と「制御ゲート28」の間には「118」及び「120」が存在していることから、引用文献2には、犠牲ポリシリコンゲート44を除去してゲート開口部122を形成する際に、窒化物層118及び酸化物層120を含むハードマスクが制御ゲート28の上に形成されており、制御ゲート28が当該ハードマスクにより保護されていることが記載されているといえる。

c 上記aに記載したとおり、引用文献2には、図16に示されているように、ゲート金属126が堆積された後、酸化物層120をCMPによって除去することが記載されているところ、FIG.16から「制御ゲート28」の上に「118」が残されていることが見て取れる。

したがって、酸化物層120をCMPによって除去するための研磨剤と「制御ゲート28」の間には「118」が残されていることから、引用文献2には、窒化物層118が制御ゲート28の上に形成されており、ゲート開口部122にゲート金属126を形成し、CMPを行う際に、制御ゲート28が窒化物層118により保護されていることが記載されているといえる。

d 上記aに記載したとおり、引用文献2には、図17に示されているよう窒化物層118上に層間誘電体128の追加層を堆積することが記載されているところ、FIG.17から、「128」と「制御ゲート28」の間に「118」が形成されていることが見て取れる。

したがって、引用文献2には、制御ゲート28の上に窒化物層118が形成されており、層間誘電体128を形成する際に、制御ゲート28が窒化物層118により保護されていることが記載されているといえる。

(3)引用発明との対比

ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明の「基板16」は、本件補正発明の「基板」に相当する。

(イ)引用発明の「電荷蓄積層20」は、本件補正発明の「電荷トラップ層」に相当する。

(ウ)引用発明の「ポリシリコンの制御ゲート32」は、「電荷蓄積層20を覆う」ものであることから、本件補正発明の「電荷トラップ層を覆う」ものである「ポリシリコンのメモリゲート」に相当する。

(エ)引用発明の「不揮発性メモリセル」は、本件補正発明の「メモリセル」に相当する。

(オ)引用発明の「不揮発性メモリ領域12」は、「不揮発性メモリセル」を備える領域であり、本件補正発明の「第1の領域」は、「メモリセル」を備える領域であるから、引用発明の「不揮発性メモリ領域12」は、本件補正発明の「第1の領域」に相当する。

(カ)引用発明の「高k絶縁体層34」は、本件補正発明の「高誘電率誘電体」に相当する。

(キ)引用発明の「金属層35及び金属の論理ゲート56」は、本件補正発明の「金属ゲート」に相当する。

(ク)引用発明の「論理トランジスタ」は、本件補正発明の「ロジックFET」に相当する。

(ケ)引用発明の「論理領域14」は、「論理トランジスタ」を備える領域であり、本件補正発明の「第2の領域」は、「ロジックFET」を備える領域であるから、引用発明の「論理領域14」は、本件補正発明の「第2の領域」に相当する。

(コ)引用発明の「制御ゲート32の周囲に酸化物層21が形成されている」は、「制御ゲート32」が、その周囲を酸化物層21に囲まれていることを意味するものであるから、本件補正発明の「前記メモリゲートは、誘電体層に囲まれており」と一致する。

(サ)引用発明の「半導体デバイス10」は、本件補正発明の「半導体デバイス」と、「半導体デバイス」である点で共通する。

イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>

「 基板の第1の領域において、電荷トラップ層を覆うポリシリコンのメモリゲートを含むメモリセルと、
前記基板の第2の領域において、高誘電率誘電体の上に配置された金属ゲートを含むロジックFETと、
を備え、
前記メモリゲートは、誘電体層に囲まれている、
半導体デバイス。」

<相違点>

<相違点1>

本件補正発明は、「前記メモリセルの前記メモリゲートおよび前記ロジックFETの前記金属ゲートは、実質的に同じ高さであ」るのに対し、引用発明は、「制御ゲート32は、層間絶縁体52が形成された後に化学的機械研磨(CMP)を行うことにより層間絶縁体52から露出されたものであり、論理ゲート56は、層間絶縁体52の上のゲート材料56を除去することにより形成されたもの」であるものの、「高さ」については明示されていない点。

<相違点2>

本件補正発明では、「前記メモリゲートは、保護マスクにより保護されている」のに対し、引用発明は、「制御ゲート32」について、その点は特定されていない点。

(4)判断

上記相違点について検討する。

ア 上記相違点1について

上記のとおり、引用発明は、「制御ゲート32は、層間絶縁体52が形成された後に化学的機械研磨(CMP)を行うことにより層間絶縁体52から露出されたもの」であることから、「制御ゲート32」の高さと「層間絶縁体52」の高さは、実質的に同じであるといえる。

また、引用発明は、「論理ゲート56は、層間絶縁体52の上のゲート材料56を除去することにより形成されたもの」であることから、「論理ゲート56」の高さと「層間絶縁体52」の高さは、実質的に同じであるといえる。

したがって、引用発明は、「制御ゲート32」の高さと「論理ゲート56」の高さの両方とも、「層間絶縁体52」の高さと実質的に同じであり、「制御ゲート32」の高さと「論理ゲート56」の高さは、実質的に同じであるといえるから、相違点1は実質的な相違点ではない。

イ 上記相違点2について

上記(2)イ(イ)a~dに記載したとおり、引用文献2の記載によると、窒化物層118及び酸化物層120を含むハードマスクをNVM領域11上に形成した後に、犠牲ポリシリコンゲート44を除去してゲート開口部122を形成し、ゲート開口部122にゲート金属126を形成し、CMPを行った後に、窒化物層118をNVM領域11に残すものとすること、犠牲ポリシリコンゲート44を除去してゲート開口部122を形成する際に、窒化物層118及び酸化物層120を含むハードマスクが制御ゲート28の上に形成されており、制御ゲート28が当該ハードマスクにより保護されていること、窒化物層118が制御ゲート28の上に形成されており、ゲート開口部122にゲート金属126を形成し、CMPを行う際に、制御ゲート28が窒化物層118により保護されていること、及び、制御ゲート28の上に窒化物層118が形成されており、層間誘電体128を形成する際に、制御ゲート28が窒化物層118により保護されていることは、本願の原出願の優先日前に知られていたことである。

また、上記(2)イ(イ)aに記載したとおり、窒化物層118を、NVM領域11内に残すか、又は除去するかは、当業者が必要に応じて選択できる事項である。

したがって、引用発明において、引用文献1、2に記載された技術に基づき、「半導体デバイス10」を製造する際に用いた制御ゲート32を保護するハードマスク43を、窒化物層及び酸化物層を含むものとし、層間絶縁体52の上のゲート材料56を除去した後に、当該窒化物層を残すものとすることで、相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

よって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)請求人の主張について

請求人は、令和6年2月2日に提出した審判請求書において、「 上述したように、引用文献1には、『メモリゲートの側面、およびメモリゲートの側面に加えて底面が、誘電体層に囲まれていること』、および『メモリゲートが、保護マスクにより保護されていること』という技術的特徴を備える構成が、開示されておりません。

そして、請求項1に係る発明は、これらの全ての技術的特徴を備える構成を有することにより、引用文献1-3に記載の発明と比較して、『メモリゲートおよびセレクトゲートを含むスプリットゲート不揮発性メモリセルを保護することができる(本願の段落[0026]、図14参照)』、『メモリゲートの少なくとも2つの側面に誘電体層が設けられることにより、スプリットゲート不揮発性メモリデバイスにおいて、当該誘電体層が、ゲート間誘電体として、メモリゲートとセレクトゲートとを分離することができる(本願の段落[0016]、図4参照)』、などの有利な効果を奏することが可能となります。」と主張しているが、上記(4)で判断したとおりであるから、当該主張を採用することはできない。

3 本件補正についてのむすび

よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

令和6年2月2日に提出された手続補正書による補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和5年8月22日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~20に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1~14に係る発明は、その原出願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、また、請求項1~14に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基いて、請求項15~20に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術に基いて、請求項9、14に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献3に記載された技術に基いて、請求項19に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2、3に記載された技術に基いて、その原出願の優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

1.特開2014-175666号公報(上記第2[理由]2(2)アの「引用文献1」)

2.特開2015-103698号公報(周知技術を示す文献)

3.特開2005-183970号公報

3 引用文献

原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及びその記載事項は、前記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、前記第2[理由]2で検討した本件補正発明から、「前記メモリゲートは、保護マスクにより保護されている」との限定事項を削除したものである。

本願発明と引用文献1に記載された発明(引用発明)とを対比すると、前記第2[理由]2(3)ア(ア)~(エ)に記載したとおりであり、前記第2[理由]2(3)イに記載した<相違点1>は、前記第2[理由]2(4)アに記載したとおり実質的な相違点ではないことから、本願発明の構成は全て引用文献1に示されているものであって、本願発明は引用文献1に記載された発明であるといえる。

第4 むすび

以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に掲げる発明に該当し、特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2024-001894

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