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特許異議申立

2023-701255

包装材、及びその製造方法

審判番号
2023-701255
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-157613
登録番号
7283622
請求日
2023年11月29日
審決日
2024年02月20日
公報発行日
2024年03月29日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】東洋インキSCホールディングス株式会社
  • 【異議申立人】千野 肇
  • 【異議申立人】中川 賢治
審判長/審判官
  • 審判長 井上 茂夫
  • 審判官 金丸 治之
  • 審判官 藤井 眞吾
分類
P1651.121-Y (B65D) / P1651.537-Y (B65D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第1号
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7283622号発明「包装材、及びその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7283622号の請求項1~8に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7283622号の請求項1~8に係る特許についての出願は、令和4年9月30日(優先権主張 令和3年11月10日)の出願であって、令和5年5月22日にその特許権の設定登録がされ、同年5月30日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和5年11月29日に特許異議申立人千野肇(以下「申立人1」という。)により、その請求項1~8に対して本件特許異議の申立(以下「申立1」という。)がされ、令和5年11月30日に特許異議申立人中川賢治(以下「申立人2」という。)により、その請求項1~8に対して本件特許異議の申立(以下「申立2」という。)がされたものである。 第2 本件発明 請求項1~8に係る発明(以下「本件発明1」等といい、これらを総称して「本件発明」という場合がある。)は、それぞれ、本件の特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 基材、印刷層、接着剤層、及びシーラントを順次有する包装材であって、 前記印刷層が、ポリエステル系ウレタン樹脂を含むグラビアインキを印刷してなり、 前記ポリエステル系ウレタン樹脂の分子量分布(Mw/Mn)が、2~10であり、 前記接着剤層が、ポリエステル樹脂とイソシアネート化合物とを含む接着剤を塗布してなり、 前記ポリエステル樹脂の分子量分布(Mw/Mn)が1.5~5.0であり、 前記イソシアネート化合物が、2官能以上の脂肪族イソシアネート類及び/又は2官能以上の脂環族イソシアネート類を含み、 前記イソシアネート化合物のイソシアネート基と前記ポリエステル樹脂の水酸基との比率NCO/OHが、1.0~8.0である、包装材。 【請求項2】 ポリエステル系ウレタン樹脂が、二塩基酸とジオールとの縮合物であるポリエステル由来の構成単位を含有し、前記二塩基酸は、セバシン酸及び/又はコハク酸を含む、請求項1に記載の包装材。 【請求項3】 ポリエステル系ウレタン樹脂が、二塩基酸とジオールとの縮合物であるポリエステル由来の構成単位を含有し、前記ジオールは、分岐状ジオール及び直鎖状ジオールを含む請求項1又は2に記載の包装材。 【請求項4】 グラビアインキが、更に、セルロース系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ロジン系樹脂及びアクリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を含有する、請求項1又は2に記載の包装材。 【請求項5】 接着剤層に含まれるポリエステル樹脂が、二塩基酸由来の構成単位を有しており、前記二塩基酸が、セバシン酸及び/又はコハク酸由来の構成単位を含有する、請求項1又は2に記載の包装材。 【請求項6】 グラビアインキが、更に、重量平均分子量800~8000のイソシアネート系硬化剤を含有する請求項1又は2に記載の包装材。 【請求項7】 グラビアインキが、更に、シランカップリング剤を含有する、請求項1又は2に記載の包装材。 【請求項8】 基材、印刷層、接着剤層、及びシーラントを順次有する包装材の製造方法であって、ポリエステル系ウレタン樹脂を含むグラビアインキを印刷して印刷層を形成する工程、及び、ポリエステル樹脂とイソシアネート化合物とからなる接着剤を塗布して、接着剤層を形成する工程を含んでなり、前記ポリエステル系ウレタン樹脂の分子量分布(Mw/Mn)が、2~10であり、かつ、前記ポリエステル樹脂の分子量分布(Mw/Mn)が、1.5~5.0であ り、前記イソシアネート化合物が、2官能以上の脂肪族イソシアネート類及び/又は2官能以上の脂環族イソシアネート類を含み、 前記イソシアネート化合物のイソシアネート基と前記ポリエステル樹脂の水酸基との比率NCO/OHが、1.0~8.0である、包装材の製造方法。」 第3 申立理由の概要 申立人1及び申立人2は、特許異議申立書に(1)の証拠を添付して、(2)及び(3)の申立理由を主張している。 (1) 証拠方法 ア 申立人1の提出した証拠 甲第1号証:特開2018-8422号公報 甲第2号証の1:特許第6915739号公報 甲第2号証の2:神尾(責任者),山之上(主担当者),山本及び畑山(担当者)、“ラミネート接着剤の分析(TM-550)―分子量分布―”、(株)三井化学分析センター、2023年11月8日 甲第3号証:特開2020-90627号公報 甲第4号証:特開2021-109706号公報 甲第5号証:特開2015-166261号公報 甲第6号証:特開2006-150617号公報 甲第7号証:特開2010-269515号公報 (以下甲第1号証、甲第3号証~甲第7号証を「申立1甲1」等という。また、甲第2号証の1及び甲第2号証の2をそれぞれ「申立1甲2の1」及び「申立1甲2の2」という。) イ 申立人2の提出した証拠 甲第1号証:特開2020-50727号公報 甲第2号証:特許第6915739号公報 甲第3号証:特開2006-150617号公報 甲第4号証:東原知哉,上田充重、“重縮重合”、「ネットワークポリマー」、合成樹脂工業会、2009年、Vol.30、No.5、p.261~p.272 甲第5号証:特開2016-117801号公報 (以下甲第1号証~甲第5号証を「申立2甲1」等という。) (2) 進歩性に係る申立理由 本件特許の請求項1~8に係る特許は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明及び周知技術に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 ア 申立1甲1を主たる引用例とする理由 イ 申立2甲1を主たる引用例とする理由 (3) サポート要件に係る申立理由 本件特許の請求項1~8に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでないから、本件特許の特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないため、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 第4 甲号証及び引用文献に記載された事項及び発明 1 申立人1の提出した証拠 (1) 申立1甲1に記載された事項及び発明 ア 申立1甲1の記載事項 「【請求項1】 基材フィルム層、接着剤層、シーラント層を含む積層体であり、前記接着剤層はポリオール化合物とポリイソシアネート化合物の反応物を含み、前記ポリオール化合物の水酸基とポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の当量比が1:3~1:18である接着剤により形成され、前記接着剤層は易引き裂き性積層体1平方メートルあたり1.5グラム以上となるように形成されている、易引き裂き性積層体。 【請求項2】 前記ポリオール化合物が、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールから選ばれる1種以上を含む、請求項1記載の易引き裂き性積層体。 【請求項3】 前記ポリイソシアネート化合物が、3官能以上のイソシアネート化合物を含む、請求項1または2記載の易引き裂き性積層体。 【請求項4】 さらに、印刷インキ層を含む請求項1~3のいずれかに記載の易引き裂き性積層体。」 「【請求項7】 請求項1~6のいずれかに記載の易引き裂き性積層体を用いる、包装容器。」 「【0006】 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、下記の積層体及び包装容器を発明した。 本発明は、下記の構成を有するものである。 (1)基材フィルム層、接着剤層、シーラント層を含む積層体であり、前記接着剤層はポリオール化合物とポリイソシアネート化合物の反応物を含み、前記ポリオール化合物の水酸基とポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の当量比が1:3~1:18である接着剤により形成され、前記接着剤層は易引き裂き性積層体1平方メートルあたり1.5グラム以上となるように形成されている、易引き裂き性積層体。 (2)前記ポリオール化合物が、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールから選ばれる1種以上を含む、上記(1)記載の易引き裂き性積層体。 (3)前記ポリイソシアネート化合物が、3官能以上のイソシアネート化合物を含む、上記(1)又は(2)に記載の易引き裂き性積層体。 (4)さらに、印刷インキ層を含む上記(1)~(3)のいずれかに記載の易引き裂き性積層体。 (5)前記印刷インキ層が、顔料及びポリウレタン樹脂を含み、前記ポリウレタン樹脂が(A)高分子ジオール化合物、(B)有機ジイソシアネート化合物、及び(C)鎖伸長剤、を含む成分を反応させて得られる、上記(4)記載の易引き裂き性積層体。 (6)前記印刷インキ層が、さらに塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を含む、上記(5)記載の易引き裂き性積層体。 (7)上記(1)~(6)のいずれかに記載の易引き裂き性積層体を用いる、包装容器。」 「【0011】 (接着剤層) 本発明の接着剤層は、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物を含有する接着剤を基剤フィルム層に直接、及び/又はラミネート用印刷インキ組成物による印刷層を介して、塗布、押出等の公知の手段によって積層させ、これを硬化させて得られる。このような接着剤としては2液硬化型ポリウレタン樹脂系接着剤であることが好ましい。 得られた接着剤層は、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物の反応物を含み、従来から、押出ラミネート加工、ドライラミネート加工で使用されている接着剤を使用することができる。 ポリオールとしては、分子内に少なくとも2個以上の水酸基を有するポリオール成分である。このようなポリオール成分としては、ポリウレタンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ラミネート用樹脂組成物ポリオールなどが挙げられ、このようなポリオール成分を2種以上混合して用いても構わない。中でも、ガラス転移温度と貯蔵弾性率の制御が容易なポリウレタンポリオール、ポリエステルポリオールやポリエーテルポリオールが好ましく、特に芳香族ポリエステルポリオールが好ましい。 【0012】 また、分子内に少なくとも2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート成分としては、芳香脂肪族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート等を挙げることができる。芳香脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、1,3-又は1,4-キシリレンジイソシアネート若しくはその混合物、1,3-又は1,4-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン若しくはその混合物、ω,ω’-ジイソシアナト-1,4-ジエチルベンゼン等を挙げることができる。脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2-メチル-ペンタン-1,5-ジイソシアネート、3-メチル-ペンタン-1,5-ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリオキシエチレンジイソシアネート等を挙げることができる。脂環族ジイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート等を挙げることができる。なお、このようなイソシアネート成分を2種以上混合して用いても構わない。なかでも3官能以上のイソシアネート成分を採用することが好ましい。 【0013】 具体的には、押出ラミネート加工で使用されている接着剤(アンカーコート剤)、A-3210/A-3070、A-3210/A3072、A-3210/A-3075(三井化学社製)、セイカダイン2710A/セイカダイン2810C(T)、セイカダイン2730A/セイカダイン2730B、セイカダイン2710A/セイカダイン2710C(大日精化工業社製)、LX-500、LX-901、LX747A等、ドライラミネート加工で使用されている接着剤としては、ディックドライLX-401A、75A、719、703VL、500、510等(DICグラフィック社製、ディックドライは、DICグラフィックスの登録商標)、タケラック/タケネート A-909/A-5、A-977/A-92、A-606/A-50、A-515/A-50、A-626/A-50、A-525/A-52、A-666/A-65等(三井化学社製)、RU-77、771、3600、3900等(ロックペイント社製)等を使用することが挙げられる。 接着剤層を形成する前の接着剤中の前記ポリオール化合物の水酸基とポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の当量比は1:3~1:18であり、好ましくは1:5~1:16であり、より好ましくは1:6~1:15、更に好ましくは1:7~1:14である。また、前記ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物の配合割合は、質量比として、ポリオール化合物:ポリイソシアネート化合物=2:1~10:1とすることが好ましい。なお、接着剤層を形成して硬化した後には、上記水酸基とイソシアネート基が反応する等するために、上記の当量比は異なる範囲となる。 前記ポリオール化合物の水酸基の当量が高く、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の当量比が1:3よりも大きくなると引き裂き性不良となる場合がある。また前記ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の当量が1:18を超えるとラミネート強度不良となる場合がある。 前記接着剤層の量は、易引き裂き性積層体1平方メートルあたり1.5グラム以上であり、好ましくは1平方メートルあたり2.0グラム以上であり、より好ましくは1平方メートルあたり3.0グラム以上である。1平方メートルあたり1.5グラムを下回ると引き裂き性不良、ラミネート強度不良となる場合がある。」 「【0015】 <易引き裂き性積層体> 本発明の易引き裂き性積層体について説明する。 まず、上記の印刷基材に、所望により一般的なグラビア印刷方式又はフレキソ印刷方式等を用いて、本発明中のラミネート用印刷インキ組成物により任意の模様や文字等を印刷する。 得られた印刷物にシーラントと呼ばれる熱融着性ポリマーを積層するラミネート加工を行う。このラミネート加工には、主として2つの方法が利用されている。 一つ目は、ラミネート用印刷インキ組成物により印刷を行い、その印刷面の表面に接着剤(アンカーコート剤ともいう)を塗布した後、熱融着性ポリマーを溶融樹脂として、これを積層させる押出ラミネート加工方法である。押出ラミネート加工方法は、印刷物の表面に、接着剤(例えば、水酸基を有するポリエステル系接着剤及びイソシアネート基を含有するイソシアネート系接着剤を含有する接着剤等)を塗布した後、既知の押出ラミネート機によって、溶融樹脂を積層させてなるものである。さらにその溶融樹脂を中間層として、他の材料を積層することによりサンドイッチ状に積層することもできる。なお、接着剤としてイミン系アンカーコート剤を使用するよりイソシアネート系アンカーコート剤を使用する方が接着力に優れる点において好ましい。 【0016】 二つ目は、ラミネート用印刷インキ組成物により印刷を行い、その印刷層の表面に接着剤(例えば、水酸基を有するポリエステル系接着剤及びイソシアネート基を含有するイソシアネート系接着剤を含有する接着剤等)を塗布した後、無延伸プラスチックフィルムを積層させるドライラミネート加工である。特に、レトルト用途で使用される金属箔を予めはさんでなる複層からなるフィルムを用いてラミネートすることもできる。 これらの方法により得られた易引き裂き性積層体は、その後、最終的にシーラント面同士がヒートシーラーなどで溶封されて易引き裂き性積層袋となる。 なお、この2つの方法に共通する事項として、ラミネート用印刷インキ組成物により印刷を行い、この印刷部を硬化剤による硬化を行った後に、接着剤を塗布する場合には、ラミネート用印刷インキ組成物と接着剤とは、互いに異なる官能基による硬化、つまり異なる硬化機構により硬化しても良く、同じ官能基が作用する硬化剤を使用することもできる。この結果、より適切な、ラミネート用印刷インキ組成物及び接着剤の組み合わせを選択することが可能になる。 一方、ラミネート用印刷インキ組成物により印刷を行い、この印刷部を硬化剤による硬化を行なう前に、接着剤を塗布する場合には、ラミネート用印刷インキ組成物と接着剤とは、互いに同じ官能基が作用する硬化剤を使用することもできる。」 「【0022】 [ポリウレタン樹脂] ポリウレタン樹脂としては、従来からラミネート用グラビア印刷インキ組成物に使用されているポリウレタン樹脂を使用できる。 なかでも、本発明の課題に係る性能を向上させるのに有利であるという面から、多官能イソシアネート化合物のイソシアネート基と反応しうる反応基を有するポリウレタン樹脂を使用するのが好ましい。多官能イソシアネート化合物のイソシアネート基と反応しうる反応基を有するポリウレタン樹脂としては、末端に第1級アミノ基及び第2級アミノ基のうちの1種以上及び/又は水酸基を有するポリウレタン樹脂を使用することができる。特に、(1)末端に第1級アミノ基及び第2級アミノ基のうちの1種以上を有し、且つ水酸基を有するポリウレタン樹脂及び/又は(2)末端に第1級アミノ基及び第2級アミノ基のうちの1種以上を有するポリウレタン樹脂が好ましい。 このようなポリウレタン樹脂は、有機ジイソシアネート化合物と高分子ジオール化合物との反応によりウレタンプレポリマーを合成し、得られたウレタンプレポリマーに対して、(1)両末端が第1級アミノ基及び第2級アミノ基のうちの1種以上であるポリアミン化合物を含有するアミン化合物、及び水酸基を有するアミン化合物とを反応させることにより、(2)両末端が第1級アミノ基及び第2級アミノ基のうちの1種以上であるポリアミン化合物を含有するアミン化合物を反応させることにより得られる。 このとき、該ウレタンプレポリマーと(1)両末端が第1級アミノ基及び第2級アミノ基のうちの1種以上であるポリアミン化合物を含有するアミン化合物、及び水酸基を有するアミン化合物とを反応させる方法、(2)両末端が第1級アミノ基及び第2級アミノ基のうちの1種以上であるポリアミン化合物を含有するアミン化合物を反応させる方法としては、(1)ウレタンプレポリマーを鎖伸長剤により鎖伸長させた後に、反応停止剤により反応停止させる方法、及び(2)ウレタンプレポリマーを鎖伸長剤による鎖伸長と、反応停止剤による反応停止を同時に反応させる方法等が挙げられる。 【0023】 (有機ジイソシアネート化合物) バインダー樹脂を得るための有機ジイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物、及び、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート化合物が、単独又は2種以上混合して使用できる。中でも脂環族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート及び芳香脂肪族ジイソシアネートがより好ましい。 【0024】 (高分子ジオール化合物) バインダー樹脂を得るための高分子ジオール化合物としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等アルキレンオキサイド付加物等のポリエーテルジオール化合物、アジピン酸、セバシン酸、無水フタール酸等の二塩基酸の1種又は2種以上と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール等のグリコール類の1種又は2種以上を縮合反応させて得られるポリエステルジオール類、ポリカプロラクトンジオール類等のポリエステルジオール化合物等の各種高分子ジオール化合物を単独又は2種以上混合して使用できる。 さらに上記高分子ジオール化合物に加えて、1,4-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール等のアルカンジオールや、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール等の低分子ジオール化合物を単独又は2種以上混合して併用することができる。 なお、エステル系溶剤とアルコール系溶剤との混合物系では、高分子ジオール化合物としてポリエーテルジオール化合物を利用する方が、得られるポリウレタン樹脂の溶解性が高くなる傾向があり、必要性能に合わせて幅広くインキの設計が可能となる点で好ましい。 また、上記有機ジイソシアネート化合物と高分子ジオール化合物の使用比率は、イソシアネート基:水酸基の当量比(イソシアネートインデックス)が、通常、1.2:1~3.0:1、より好ましくは1.3:1~2.0:1となる範囲である。上記のイソシアネートインデックスが1.2より小さくなると、柔軟なポリウレタン樹脂となる傾向があり、インキを印刷して耐ブロッキング性等が低いとき等は、他の硬質の樹脂と併用することが好ましい場合がある。」 「【実施例】 【0033】 以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、 「部」は「質量部」を意味する。 【0034】 (ポリウレタン樹脂ワニスの製造) 撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、平均分子量2000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール100質量部、平均分子量2000のポリプロピレングリコール100質量部、及びイソホロンジイソシアネート44.4質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル521質量部、イソプロピルアルコール92質量部を加えた後、イソホロンジアミン15.6質量部を加えて鎖伸長させ、さらにモノエタノールアミン0.31質量部を加え反応させ、その後、イソホロンジアミン1.68質量部、ジエチレントリアミン0.17質量部を加えて反応停止させてポリウレタン樹脂ワニス(固形分30質量%、粘度250mPa・s/25℃)を得た。 【0035】 (塩化ビニル酢酸ビニル共重合体ワニスの製造) 塩化ビニル酢酸ビニル共重合体(商品名:ソルバインTA3、日信化学工業社製)20部を、メチルエチルケトン40部、酢酸エチル20部、酢酸プロピル20部からなる混合有機溶剤中に溶解させて固形分20%の塩化ビニル酢酸ビニル共重合体ワニスを得た。 【0036】 (ラミネート用印刷インキ組成物の製造) 顔料(酸化チタン)35部、ポリウレタン樹脂ワニス24部、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体ワニス9部、混合溶剤A10部を配合した後にペイントコンデショナーを用いて混練し、さらに混合溶剤Aで希釈して、粘度を離合社製ザーンカップ#3で15秒に調整したラミネート用印刷インキ組成物Aを調製した。なお、混合溶剤Aは、酢酸エチル/酢酸プロピル/イソプロピルアルコール=50/25/25(質量比)である。 【0037】 <性能評価> ラミネート用印刷インキ組成物Aを、彫刻版(ヘリオ175線)を備えたグラビア印刷機(東谷製作所社製)にて、基材フィルム(東洋紡社製、N-1102、厚さ15μm)の処理面に印刷速度100m/分で印刷を行った。 【0038】 (接着剤の製造) ポリオール化合物であるタケラックA-515(三井化学社製)61部、ポリイソシアネート化合物であるタケネートA-50(三井化学社製)10部、及び、溶剤である酢酸エチル61部を混合して、実施例1の接着剤を得た。この接着剤における、ポリオール化合物の水酸基とポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の当量比は、1:3である。 同様にして、表1に従って実施例1~11、比較例1~3の各接着剤を得た。 【0039】 (ドライラミネート) 上記の印刷物に、表1で示される各接着剤を塗布し、ドライラミネート機にてシーラントフィルム(東洋紡社製、L-4104)を積層し、実施例1~11、比較例1~3の各積層体を得た。 なお、表1の各ポリオール化合物及びポリイソシアネート化合物の詳細は次の通りである。 A-615:タケラックA-615(三井化学社製) A-515:タケラックA-515(三井化学社製) A-969V:タケラックA-969V(三井化学社製) A-310:タケラックA-310(三井化学社製) LX-401A:ディックドライLX-401A(DICグラフィックス社製) RU-77T:RU-77T(ロックペイント社製) A-65:タケネートA-65(三井化学社製) A-50:タケネートA-50(三井化学社製) A-5:タケネートA-5(三井化学社製) A-3:タケネートA-3(三井化学社製) A-12:タケネートA-12(三井化学社製) SP-60:SP-60(DICグラフィックス社製) H-7:H-7(ロックペイント社製) 【0040】 (易引き裂き性評価) ドライラミネートで得られた実施例1~11、比較例1~3の各積層体を40℃で3日経時した後、カッターで切れ目を入れ、手で引き裂いた際の引き裂き易さで評価した。 ○:抵抗なく引き裂ける △:抵抗はあるが引き裂ける ×:シーラント伸びが生じて引き裂けない 【0041】 (ラミネート適性評価) 実施例1~11、比較例1~3の各積層体を40℃で3日経時した後、15mm幅の試料片に切断し、安田精機製作所製剥離試験機を用いてT字剥離強度を測定した。評価結果には、強度の実測値(g/15mm)を記載した。 【0042】 【表1】 [図:0001407887000001.jpg] 【0043】 実施例の各積層体は、引き裂き性に優れ、かつ、良好なラミネート強度を示した。一方、比較例では、これらすべての性能に優れたものは得られなかった。よって、本発明によれば、優れた引き裂き性と良好なラミネートのバランスがとれた性質を有する積層体を得ることができた。」 イ 申立1甲1に記載されていると認められる事項 (ア)【0037】の「ラミネート用印刷インキ組成物Aを、彫刻版(ヘリオ175線)を備えたグラビア印刷機(東谷製作所社製)にて、基材フィルム(東洋紡社製、N-1102、厚さ15μm)の処理面に印刷速度100m/分で印刷を行った。」における「基材フィルム」は、【0006】の(1)に記載の「基材フィルム層」に該当することは明らかである。 (イ)【0037】の「ラミネート用印刷インキ組成物Aを、彫刻版(ヘリオ175線)を備えたグラビア印刷機(東谷製作所社製)にて、基材フィルム(東洋紡社製、N-1102、厚さ15μm)の処理面に印刷速度100m/分で印刷を行った。」の記載より、「ラミネート用印刷インキ組成物A」がグラビアインキであることは明らかであり、また、【0006】の(4)に記載の「印刷インキ層」に用いられ得ることは明らかである。 (ウ)【0039】の「上記の印刷物に、表1で示される各接着剤を塗布し、ドライラミネート機にてシーラントフィルム(東洋紡社製、L-4104)を積層し、実施例1~11、比較例1~3の各積層体を得た。」の「ドライラミネート機にてシーラントフィルム(東洋紡社製、L-4104)を積層」することによって得られる層は、【0006】の(1)の「シーラント層」に該当することは明らかである。 (エ)【0034】~【0036】の記載、特に【0034】の記載より、印刷インキがポリエステル系ウレタン樹脂を含むことは明らかである。 ウ 申立1甲1に記載された発明 以上より、申立1甲1の、特に段落【0042】の【表1】で示される実施例1、2、4、5により、甲1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 「基材フィルム層、印刷インキ層、接着剤層、及びシーラント層を順次有する包装容器に用いられる易引き裂き性積層体であって、 前記印刷インキ層が、ポリエステル系ウレタン樹脂を含むグラビアインキを印刷してなり、 前記接着剤層が、ポリオール化合物である三井化学社製タケラックA-515(商品名)とポリイソシアネート化合物である三井化学社製タケネートA-50(商品名)とを含む接着剤を塗布してなり、 前記イソシアネート化合物のイソシアネート基と前記ポリオール化合物の水酸基との比率NCO/OHが、3又は7である、包装容器に用いられる易引き裂き性積層体」 (2) 申立1甲2の1に記載された事項 申立1甲2の1の【請求項1】には、 「印刷層を有するラミネート積層体の前記印刷層形成に用いる、 ポリエステル系ウレタン樹脂を含むグラビアインキと、イソシアネート系化合物を含む硬化剤とからなるグラビアインキ-硬化剤セットであって、 前記ポリエステル系ウレタン樹脂の分子量分布(Mw/Mn)が、2~5であり、かつ、前記イソシアネート系化合物の分子量分布(Mw/Mn)が、2~5である、グラビアインキ-硬化剤セット。」と、【0020】には、 「 以下、本発明の積層体について詳細に説明する。 本発明は、ポリエステル系ウレタン樹脂を含むグラビアインキ、および、イソシアネート系化合物を含む硬化剤からなるグラビアインキ-硬化剤セットであって、 前記ポリエステル系ウレタン樹脂の分子量分布(Mw/Mn)が、2~5であり、かつ、前記硬化剤の分子量分布(Mw/Mn)が、2~5である、グラビアインキ-硬化剤セットである。これは、ラミネート積層体の中間層として位置する印刷層を形成するために用いられる。 分子量分布(Mw/Mn)が2~5であるポリエステル系ウレタン樹脂を使用することで基材等への密着性が良好となり、分子量分布(Mw/Mn)が2~5である硬化剤により架橋・硬化されていることでポリエステル系ウレタン樹脂を含む印刷層が強固となり、積層体全体の耐久性を持たせ、ボイル/レトルトでの加熱後でも易引裂き性を持たせるものである。」 と記載されている。 また、【0078】~【0080】には、[実施例1]として、以下の記載がある。 「【0078】 [実施例1](積層体S1の作製) <グラビアインキS1の調製> 上記合成例/1で得られたウレタン樹脂1を用い、下記のグラビアインキS1を調製した。 ・ポリエステル系ウレタン樹脂 40質量部 ・塩化ビニル共重合樹脂溶液 10質量部 (塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂 日信化学社製 ソルバインTA5R 固形分30質量%酢酸エチル溶液) ・青色有機顔料1 10質量部 (C.I.Pigment Blue 15:4)) ・有機溶剤 40質量部 (酢酸ノルマルプロピル/イソプロパノール=70/30の混合溶剤) 【0079】 <印刷> 上記で得られたグラビアインキS1の100質量部に対し、上記硬化剤1を3質量部を添加して撹拌混合し、更に、混合溶剤(メチルエチルケトン「MEK」:N-プロピルアセテート「NPAC」:イソプロパノール「IPA」=30:40:30)により、粘度が16秒(25℃、ザーンカップNo.3)となるように希釈して硬化性グラビアインキS1を得た。その後、当該インキをヘリオ175線ベタ版(版式コンプレスト、100%ベタ柄)により、二軸延伸NY(ポリアミド)基材(N1102、東洋紡社製、膜厚15μm)のコロナ放電処理面に印刷速度100m/分で印刷し、印刷物S1を得た。 【0080】 <ドライラミネート加工> 印刷物S1の印刷層上に、ポリエステルウレタン系ラミネート接着剤(東洋モートン社製TM-550/CAT-RT37)を固形分30%の酢酸エチル溶液を、乾燥後の接着剤層が3.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、接着剤層に厚さ50μmの未延伸ポリエチレン(PE)を貼り合わせてドライラミネート加工を行って積層体S1を得た。」 (3) 申立1甲2の2に記載された事項 申立1甲2の2の第1頁第1行~第15行には、 「 [図:0001407887000002.jpg] 」 と記載されている。 (4) 申立1甲3に記載された事項 申立1甲3の【請求項1】には、 「脱離層を形成するための、クリアインキまたはカラーインキを含む有機溶剤系印刷インキであって、当該印刷インキは、バインダー樹脂として酸価15~70mgKOH/gのポリウレタン樹脂を含有する、有機溶剤系印刷インキ。」 と、【請求項2】には、 「前記ポリウレタン樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は6以下である、請求項1に記載の有機溶剤系印刷インキ。」 と記載されている。 (5) 申立1甲4に記載された事項 申立1甲4の【請求項1】には、 「外側層としての耐熱性樹脂層と、内側層としての熱可塑性樹脂層と、これら両層間に配設された金属箔層と、前記金属箔層と耐熱性樹脂層との間に配設された第1接着剤層と、前記金属箔層と熱可塑性樹脂層との間に配設された第2接着剤層とを含む成形用包装材であって、 前記第1接着剤層は着色顔料と接着剤を含む着色接着剤組成物からなり、前記着色接着剤組成物は固形成分に対して2質量%以上5質量%未満の着色顔料を含み、前記第1接着剤層は5g/m2~10g/m2の前記着色接着剤組成物が塗布されてなり、前記第1接着剤層は0.25g/m2~0.49g/m2の着色顔料を含有していることを特徴とする成形用包装材。」 と、【請求項2】には、 「前記着色接着剤組成物における接着剤は、主剤としてのポリエステル樹脂と硬化剤としての多官能イソシアネート化合物とによる二液硬化型ポリエステルウレタン樹脂を含み、前記ポリエステル樹脂は、数平均分子量(Mn)が8,000~25,000、重量平均分子量(Mw)が15,000~50,000であり、これらの比率(Mw/Mn)が1.3~2.5であり、前記多官能イソシアネート化合物は50モル%以上の芳香族系イソシアネートを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の成形用包装材。」 と記載されている。 (6) 申立1甲5に記載された事項 申立1甲5の【請求項1】には、 「 外側層としての耐熱性樹脂層と、内側層としての熱可塑性樹脂層と、これら両層間に配設された金属箔層と、前記金属箔層と耐熱性樹脂層との間に配設された第1接着剤層と、前記金属箔層と熱可塑性樹脂層との間に配設された第2接着剤層とを含む成形用包装材であって、 前記第1接着剤層は、着色顔料と、主剤としてのポリエステル樹脂と硬化剤としての多官能イソシアネート化合物とによる二液硬化型ポリエステルウレタン樹脂を含む接着剤とを含む着色接着剤組成物からなり、 前記ポリエステル樹脂は、数平均分子量(Mn)が8,000~25,000、重量平均分子量(Mw)が15,000~50,000であり、これらの比率(Mw/Mn)が1.3~2.5であり、 前記多官能イソシアネート化合物は50モル%以上の芳香族系イソシアネートを含んでいることを特徴とする成形用包装材。」 と記載されている。 (7) 申立1甲6に記載された事項 申立1甲6の【請求項1】には、 「二軸延伸ポリエステルフィルムと、これ以外の少なくとも一種のフィルムと、蒸着層と、印刷層とからなる積層体であって、二軸延伸ポリエステルフィルムが、ポリエチレンテレフタレート(PET)と、ポリエステルエラストマーとを、PET/ポリエステルエラストマー=70/30~95/5(質量比)の割合で混合した原料を用いて製造されたものであり、蒸着層が酸化アルミニウム、酸化珪素のうち少なくとも一種の金属化合物からなるものであり、蒸着層は二軸延伸ポリエステルフィルムの少なくとも片面に積層され、印刷層は蒸着層面に積層され、積層体の引裂伝播抵抗が1500mN以下であることを特徴とする、ガスバリア性と引裂直進性とを有するポリエステルフィルム積層体。」 と、【請求項3】には、 「印刷層が、シランカップリング剤を添加したインキによって形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステルフィルム積層体。」 と記載されている。 (8) 申立1甲7に記載された事項 申立1甲7の【請求項1】には、 「 少なくとも、基材、インキ層、接着剤層、およびシーラント層がこの順に積層されたラミネートフィルムであって、該インキ層がシランカップリング剤を含有し、かつ該接着剤層を形成する接着剤がエポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤からなるエポキシ樹脂組成物を主成分とするものであり、かつ該エポキシ樹脂組成物が硬化して得られるエポキシ樹脂硬化物中に(1)式に示される骨格構造が40重量%以上含有されることを特徴とするラミネートフィルム。 【化1】 [図:0001407887000003.jpg] 」 と記載されている。 2 申立人2の提出した証拠 (1) 申立2甲1に記載された事項及び発明 ア 申立2甲1の記載事項 「【請求項1】 ポリエステルポリオール(A)及びポリイソシアネート(B)を含有し、下記(1)~(4)の全ての条件を満たす食品包装フィルム用接着剤組成物。 (1)ポリエステルポリオール(A)のガラス転移温度が-20~20℃である。 (2)ポリエステルポリオール(A)の水酸基と、前記ポリイソシアネート(B)のイソシアネート基との当量比(NCO/OH)が1.6~3である。 (3)ポリエステルポリオール(A)1分子中の水酸基の平均官能基数が2.1~2.7である。 (4)ポリイソシアネート(B)1分子中のイソシアネート基の平均官能基数が4~7である。」 「【0017】 本発明の食品包装フィルム用接着剤組成物は、ポリエステルポリオール(A)及びポリイソシアネート(B)を含有し、下記(1)~(4)の全ての条件を満たすことを特徴とする。これら特定のポリエステルポリオール(A)及び特定のポリイソシアネート(B)を所定当量比で用いることで、官能基濃度が高まり、水分とイソシアネートの反応よりも、ポリオールの水酸基とイソシアネートの反応が優先的に進みやすくなり、エポキシ樹脂等の架橋剤を用いることなく、ガスバリア性の高いフィルム同士をラミネートした場合においても、ラミネートフィルム間の接着性に優れ、加熱殺菌処理(ボイル、レトルト等)後も接着力が保持されるだけでなく、良好なラミネート外観をも両立可能とする優れた効果を発揮する。 (1)ポリエステルポリオール(A)のガラス転移温度が-20~20℃である。 (2)ポリエステルポリオール(A)の水酸基と、前記ポリイソシアネート(B)のイソシアネート基との当量比(NCO/OH)が1.6~3である。 (3)ポリエステルポリオール(A)1分子中の水酸基の平均官能基数が2.1~2.7である。 (4)ポリイソシアネート(B)1分子中のイソシアネート基の平均官能基数が4~7である。」 「【0024】 <ポリイソシアネート(B)> ポリイソシアネート(B)は、1分子中のイソシアネート基の平均官能基数が4~7であり、従来公知のポリイソシアネートから選択することができ、2種以上を併用してもよい。ポリイソシアネート(B)としては、以下に限定されるものではないが、周知のジイソシアネートから誘導された化合物である。 例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、2,4,4-又は2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネートメチルカプロエート等の脂肪族ジイソシアネート; 1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4′-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジイソシアネート; 1,3-又は1,4-キシリレンジイソシアネート若しくはその混合物、ω,ω′-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,3-又は1,4-ビス(1-イソシアネート-1-メチルエチル)ベンゼン若しくはその混合物等の芳香脂肪族ジイソシアネート; トルエンジイソシアネート、ジフェニニルメタンジイソシアネートのような芳香族系ジイソシアネート; 又は、上記ジイソシアネート(以下、イソシアネート単量体ともいう)から誘導された、アロファネートタイプ、ヌレートタイプ、ビウレットタイプ、アダクトタイプの誘導体、若しくはその複合体等のポリイソシアネート;等が挙げられる。誘導体として好ましくは、ヌレートタイプ、アダクトタイプの誘導体であり、特に好ましくはアダクトタイプである。 好ましくは、多官能化が容易である脂肪族イソシアネート単量体から誘導されたポリイソシアネートであり、より好ましくは、ラミネート物性のバランスが確保しやすいヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIともいう)から誘導されたポリイソシアネートである。 【0025】 ポリイソシアネート(B)のイソシアネート基の数は、1分子中のイソシアネート基の平均官能基数が4~7であり、好ましくは5~7であり、より好ましくは5~6である。上記範囲であることで、特に、ラミネートフィルム間の初期接着性に優れ、加熱殺菌処理(ボイル、レトルト等)後も接着力が保持されるだけでなく、得られるラミネートフィルム積層体が良好な外観を示す。 複数のポリイソシアネート成分を用いる場合、1分子中のイソシアネート基の平均官能基数は、各ポリイソシアネートの平均官能基数とポリイソシアネート全量に対する質量比とから算出することができる。 【0026】 <食品包装フィルム用接着剤組成物> 本発明の食品包装フィルム用接着剤組成物は、前述のとおり、特定のポリエステルポリオール(A)及び特定のポリイソシアネート(B)を含み、ポリエステルポリオール(A)の水酸基と、前記ポリイソシアネート(B)のイソシアネート基との当量比(NCO/OH)が1.6~3である。当量比(NCO/OH)は、より好ましくは1.8~3であり、特に好ましくは2~3である。」 「【0036】 <食品包装フィルム> 本発明の接着剤組成物は、少なくとも2層のガスバリア層を備えた食品包装フィルムのガスバリア層間の接着に用いられるものであり、本発明の食品包装フィルムは、ガスバリア層、接着剤層、ガスバリア層がこの順に積層された包装材料であり、シーラント層を有していてもよい。 即ち、本発明の食品包装フィルムは、第1のガスバリア層と、第2のガスバリア層と、前記第1のガスバリア層と、前記第2のガスバリア層とを貼り合わせる接着剤層と、を有し、前記接着剤層が、本発明の接着剤組成物より得られる塗膜にて形成されてなる包装材料である。」 「【0046】 本発明の食品包装フィルムは、通常、ガスバリア層を外側、シーラント層を内側(内容物側)として包装に供される。また、包装材料としての用途、必要な性能(易引裂性やハンドカット性)、包装材料として要求される剛性や耐久性(例えば、耐衝撃性や耐ピンホール性など)等を考慮した場合、必要に応じてガスバリア層の外側又は内側に他の層を積層することもできる。 【0047】 具体的な積層体構成としては、レトルトパウチ等に好適に用いることが可能な、第1のバリア層/接着層/第2のバリア層/接着層/シーラント層、第1のバリア層/接着層/第2のバリア層/接着層/基材層/接着層/シーラント層、第1のバリア層/接着層/基材層/接着層/第2のバリア層/接着層/シーラント層等が挙げられる。これら積層体は、必要に応じて、印刷層やトップコート層等を有していても構わない。 【0048】 基材層としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)等のポリエステル樹脂フィルム;ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂フィルム;ポリスチレン樹脂フィルム;ナイロン6、ポリ-p-キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)等のポリアミド樹脂フィルム;ポリカーボネート樹脂フィルム;ポリアクリルニトリル樹脂フィルム;ポリイミド樹脂フィルム;これらの複層体(例えば、ナイロン6/MXD6/ナイロン6、ナイロン6/エチレン-ビニルアルコール共重合体/ナイロン6)や混合体等が用いられる。なかでも、機械的強度や寸法安定性を有するものが好ましい。特に、これらの中で二軸方向に任意に延伸されたフィルムが好ましく用いられる。紙層としては、天然紙や合成紙等が挙げられる。基材層及び紙層の外表面又は内面側には、必要に応じて印刷層を設けてもよい。 【0049】 本発明の接着剤を使用して得られる軟包装材料は、通常用いられている方法により製造することができる。 例えば、外層側第1のバリア層と第2のバリア層とを本発明の接着剤を用いて積層し、中間積層体を得る。次いで、本発明の接着剤を用いて中間積層体の第2のバリア層面にシーラント層を積層することができる。 あるいは、本発明の接着剤を用いて第2のバリア層とシーラント層とを積層し、中間積層体を得る。次いで、本発明の接着剤を用いて、中間積層体の第2のバリア層と第1のバリア層とを積層することができる。 前者の場合、本発明の接着剤は、第1のバリア層若しくは第2のバリア層いずれか一方の基材の片面に塗布し、溶剤を揮散させた後、接着剤層に他方の基材を加熱加圧下に重ね合わせ、次いで常温~100℃未満で熟成し、接着剤層を硬化するのが好ましい。100℃以上の熟成ではシーラント層が熱収縮することで成型に影響を及ぼす破断伸度や破断応力が低下したり、熱収縮によるカールで成型生産性が低下する場合がある。本発明では、炭酸ガスの発生を抑える観点から、10~40℃での熟成が好ましい。接着剤総量は、1~15g/m2程度であることが好ましい。 後者の場合も同様に、本発明の接着剤は、第1のバリア層若しくは中間積層体の第2のバリア層面のいずれかに塗布すればよい。」 「【0060】 <ポリエステルポリオール(A)の合成> (合成例1:ポリエステルポリオールA-1) テレフタル酸147.6g、イソフタル酸147.6g、アジピン酸64.9g、ジエチレングリコール39.2g、1,6-ヘキサンジオール115.9g、エチレングリコール45.9g、ネオペンチルグリコール38.5g、トリメチロールプロパン0.4gを仕込み、200~230℃で6時間エステル化反応を行い、所定量の水の留出後、テトライソブチルチタネート0.01gを添加して徐々に減圧し、1.0~2.7hPa、230~250℃で6時間加熱し、グリコール成分の一部を留去し、エステル交換反応を行い、Mnが12,000のポリエステルポリオールを得た。 更に、このポリエステルポリオールを酢酸エチルにて不揮発分60%に調整し、シランカップリング剤としてγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを0.1%添加してポリエステルポリオールA-1の溶液を得た。 【0061】 (合成例2~8:ポリエステルポリオールA-2~5、AH-1~3) 表1に示す仕込み組成(g)になるようにカルボン酸成分と水酸基成分とを仕込んだ以外は合成例1と同様にして、不揮発分60%に調整し、ポリステルポリオールA-2~5、AH-1~3の溶液を得た。いずれのポリオールもMnは12,000であった。 【0062】 【表1】 [図:0001407887000004.jpg] 【0063】 <ポリイソシアネート(B)の調整> (調整例1:ポリイソシアネート溶液B-1) イソシアネート基の平均官能基数が5であるイソシアネート基アダクト体(東ソー社製「コロネート2785」ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導されたポリイソシアネート)を酢酸エチルにて希釈し、不揮発分70質量%、NCO%が13.5%のポリイソシアネートB-1の溶液を得た。 【0064】 (調整例2:ポリイソシアネート溶液B-2) イソシアネート基の平均官能基数が6であるイソシアネート基アダクト体(旭化成社製「デュラネートMHG80」ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソフォロンジイソシアネートから誘導されたポリイソシアネート)を酢酸エチルにて希釈し、不揮発分70質量%、NCO%が13.3%のポリイソシアネートB-2の溶液を得た。」 「【0069】 [3層積層体の作成] 第1の透明シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレート(以下、透明蒸着PET)フィルム(厚さ12μm、表面シリカ蒸着処理面)/第2の透明蒸着PET(厚さ9μm)/未延伸ポリプロピレン(以下、CPP)フィルム(厚さ70μm、表面コロナ放電処理)の3層複合積層体を以下に記載の方法で作成した。 すなわち、第1の透明蒸着PETフィルムに印刷層を設けた後、該印刷層上に接着剤溶液を常温にて透明蒸着PETフィルムに塗布し、溶剤を揮散させた後、塗布面を第2の透明蒸着PETフィルム表面と貼り合せ、中間積層体を得た。さらに、その中間積層体の第2の透明蒸着PETフィルム面に同様に接着剤溶液を塗布し、溶剤を揮散させた後、塗布面をCPPフィルムと貼り合せ、40℃で4日間保温し、3層積層体を作製した。」 「【0073】 【表2】 [図:0001407887000005.jpg] 【0074】 表2に示すように、本発明の接着剤組成物は、ガスバリア性の高いフィルム同士をラミネートする場合においても、ラミネートフィルム積層体が良好な外観を示し、さらに、ラミネートフィルム間の接着性に優れ、加熱殺菌処理後も接着力を保持できることを示しており、食品包装フィルム用として有用であることを示した。」 イ 申立2甲1に記載されていると認められる事項 (ア)【0069】の「第1の透明シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレート(以下、透明蒸着PET)フィルム(厚さ12μm、表面シリカ蒸着処理面)/第2の透明蒸着PET(厚さ9μm)/未延伸ポリプロピレン(以下、CPP)フィルム(厚さ70μm、表面コロナ放電処理)の3層複合積層体を以下に記載の方法で作成した。」における「第1の透明シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレート(以下、透明蒸着PET)フィルム(厚さ12μm、表面シリカ蒸着処理面)」及び「第2の透明蒸着PET(厚さ9μm)」は、【0035】及び【0048】の「ガスバリア層」に該当することは明らかである。そして、【0048】での材料の例示及び【0049】の「前者の場合、本発明の接着剤は、第1のバリア層若しくは第2のバリア層いずれか一方の基材の片面に塗布し、溶剤を揮散させた後、接着剤層に他方の基材を加熱加圧下に重ね合わせ、次いで常温~100℃未満で熟成し、接着剤層を硬化するのが好ましい。」という記載より、【0069】の「第1の透明シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレート(以下、透明蒸着PET)フィルム(厚さ12μm、表面シリカ蒸着処理面)」が基材であることは明らかである。 (イ)【0060】の「合成例1:ポリエステルポリオールA-1」及び【0061】の「合成例2~8:ポリエステルポリオールA-2~5」は、いずれもポリエステル樹脂であることは明らかである。 (ウ)【0063】の「調整例1:ポリイソシアネート溶液B-1」及び【0064】の「調整例2:ポリイソシアネート溶液B-2」は、いずれもイソシアネート化合物であることは明らかである。 ウ 申立2甲1に記載された発明 以上より、申立2甲1の、特に段落【0073】の【表2】で示される実施例1~6により、申立2甲1には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。 「基材、印刷層、接着剤層、ガスバリア層、接着剤層及びシーラント層を順次有する食品包装フィルムであって、 前記印刷層が、ポリエステル系ウレタン樹脂を含むグラビアインキを印刷してなり、 前記ポリエステル系ウレタン樹脂の分子量分布(Mw/Mn)が、2~10であり、 前記接着剤層が、ポリエステル樹脂とイソシアネート化合物とを含む接着剤を塗布してなり、 前記ポリエステル樹脂の分子量分布(Mw/Mn)が1.5~5.0であり、 前記イソシアネート化合物がヘキサメチレンジイソシアネートから誘導されたポリイソシアネート若しくはヘキサメチレンジイソシアネート及びイソフォロンジイソシアネートから誘導されたポリイソシアネートを含み、 前記イソシアネート化合物のイソシアネート基と前記ポリエステル樹脂の水酸基との比率NCO/OHが、2又は3である、食品包装フィルム。」 (2) 申立2甲2に記載された事項 申立2甲2は、申立1甲2と同一の文献である。 申立2甲2に記載された事項は、上記1(2)のとおりである。 (3) 申立2甲3に記載された事項 申立2甲3の【請求項1】には、 「二軸延伸ポリエステルフィルムと、これ以外の少なくとも一種のフィルムと、蒸着層と、印刷層とからなる積層体であって、二軸延伸ポリエステルフィルムが、ポリエチレンテレフタレート(PET)と、ポリエステルエラストマーとを、PET/ポリエステルエラストマー=70/30~95/5(質量比)の割合で混合した原料を用いて製造されたものであり、蒸着層が酸化アルミニウム、酸化珪素のうち少なくとも一種の金属化合物からなるものであり、蒸着層は二軸延伸ポリエステルフィルムの少なくとも片面に積層され、印刷層は蒸着層面に積層され、積層体の引裂伝播抵抗が1500mN以下であることを特徴とする、ガスバリア性と引裂直進性とを有するポリエステルフィルム積層体。」 と、【請求項3】には、 「印刷層が、シランカップリング剤を添加したインキによって形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステルフィルム積層体。」 と記載されている。 (4) 申立2甲4に記載された事項 申立2甲4の第261頁左欄第1行~第7行には、 「 [図:0001407887000006.jpg] 」 と、第262頁右欄第22行~第32行には、 「 [図:0001407887000007.jpg] 」 と、第263頁左欄第32行~第35行には、 「 [図:0001407887000008.jpg] 」 と、第263頁右欄第24行~第29行には、 「 [図:0001407887000009.jpg] 」 と記載されている。 (5) 申立2甲5に記載された事項 申立2甲5の【0059】には、 「(合成例101) イソフタル酸27部、アジピン酸31部、エチレングリコール10部、ネオペンチルグリコール32部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら150℃~240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が1.3(mgKOH/g)になったところで反応温度を200℃にし、反応容器内部を徐々に減圧し、1.3kPa以下で30分反応させ、酸価0.4(mgKOH/g)、水酸基価37(mgKOH/g)、重量平均分子量約6000、数平均分子量約3200の両末端に水酸基を有するポリエステルポリオールを得た。得られたポリエステルポリオールを酢酸エチルで固形分62%に希釈した。 以下、この固形分62%のポリオール溶液をポリエステルポリオール(1)と記す。ポリエステルポリオール(1)の固形分1g当たりに含まれる水酸基の量は、0.66[mmol/g]であった。」 と、【0060】には、 「(合成例102) イソフタル酸11.6部、アジピン酸24.2部、エチレングリコール4.3部、ネオペンチルグリコール13.7部、ジエチレングリコール8.2部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら150℃~240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が1.3(mgKOH/g)になったところで反応温度を200℃にし、反応容器内部を徐々に減圧し、1.3kPa以下で30分反応させ、酸価0.4(mgKOH/g)、水酸基価11(mgKOH/g)、重量平均分子量約20000、数平均分子量約9000の両末端に水酸基を有するポリエステルポリオールを得た。得られたポリエステルポリオールを酢酸エチルで固形分62%に希釈した。 以下、この固形分62%のポリオール溶液をポリエステルポリオール(2)と記す。ポリエステルポリオール(2)の固形分1g当たりに含まれる水酸基の量は、0.20[mmol/g]であった。」 と、【0066】には、 「(合成例108) イソフタル酸18.2部、セバシン酸18.2部、エチレングリコール3.6部、ネオペンチルグリコール18部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら150℃~240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が1.3(mgKOH/g)になったところで反応温度を200℃にし、反応容器内部を徐々に減圧し、1.3kPa以下で30分反応させた後、トリレンジイソシアネート6部を滴下し、80℃で12時間過熱してウレタン化反応を行った。酸価0.4(mgKOH/g)、水酸基価9(mgKOH/g)、重量平均分子量約25000、数平均分子量約12000の両末端に水酸基を有するポリエステルポリウレタンポリオールを得た。得られたポリエステルポリウレタンポリオールを酢酸エチルで固形分64%に希釈した。 以下、この固形分64%のポリオール溶液をポリエステルポリウレタンポリオール(8)と記す。ポリエステルポリオール(8)の固形分1g当たりに含まれる水酸基の量は、0.16[mmol/g]であった。」 と、記載されている。 第5 当審の判断 1 進歩性に係る申立理由(申立1甲1を主たる引用例とする進歩性)について (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と引用発明1とを対比する。 引用発明1の「基材フィルム層」、「印刷インキ層」、「シーラント層」及び「包装容器に用いられる易引き裂き性積層体」は、本件発明1の「基材」、「印刷層」、「シーラント」及び「包装材」に相当する。 そうすると、本件発明1と引用発明1は、以下の点で一致し、かつ、相違する。 <一致点> 「基材、印刷層、接着剤層、及びシーラントを順次有する包装材であって、 前記印刷層が、ポリエステル系ウレタン樹脂を含むグラビアインキを印刷してなり、 前記接着剤層が、ポリエステル樹脂とイソシアネート化合物とを含む接着剤を塗布してなる、包装材。」 <相違点1> 印刷層のポリエステル系ウレタン樹脂の分子量分布(Mw/Mn)について、本件発明1では、「1.5~5.0」であるのに対して、引用発明1では、分子量分布(Mw/Mn)については特定していない点。 <相違点2> 接着剤層が、本件発明1では、「ポリエステル樹脂とイソシアネート化合物とを含む接着剤」であり、「ポリエステル樹脂の分子量分布(Mw/Mn)が1.5~5.0」であり、「イソシアネート化合物が、2官能以上の脂肪族イソシアネート類及び/又は2官能以上の脂環族イソシアネート類を含」んでおり、さらに「イソシアネート化合物のイソシアネート基と前記ポリエステル樹脂の水酸基との比率NCO/OHが、1.0~8.0」であるのに対し、引用発明1では、「ポリオール化合物である三井化学社製タケラックA-515(商品名)とポリイソシアネート化合物である三井化学社製タケネートA-50(商品名)とを含む接着剤」であり、「イソシアネート化合物のイソシアネート基と前記ポリオール化合物の水酸基との比率NCO/OHが、3又は7」であるとともに、ポリエステル樹脂の分子量分布(Mw/Mn)については特定しておらず、「イソシアネート化合物が、2官能以上の脂肪族イソシアネート類及び/又は2官能以上の脂環族イソシアネート類を含」むことについても特定していない点。 イ 判断 事案に鑑み、<相違点2>から検討する。 引用発明1の「イソシアネート化合物のイソシアネート基と前記ポリオール化合物の水酸基との比率NCO/OHが、3又は7」であることは、本件発明1の「イソシアネート化合物のイソシアネート基と前記ポリエステル樹脂の水酸基との比率NCO/OHが、1.0~8.0」の数値範囲内の構成となっているが、引用発明1では、「ポリエステル樹脂の分子量分布(Mw/Mn)」については特定していないものである。当該ポリエステル樹脂としていかなるものを選択するかについては、本件発明1では、単に「分子量分布(Mw/Mn)」の数値範囲のみならず、「イソシアネート化合物のイソシアネート基と前記ポリエステル樹脂の水酸基との比率NCO/OH」についても特定しており、当該「イソシアネート化合物のイソシアネート基と前記ポリエステル樹脂の水酸基との比率NCO/OH」は選択されるポリエステル樹脂に影響を受けるものであるから、申立1甲2の1、申立1甲2の2、申立1甲4及び申立1甲5の記載事項を参照しても、「イソシアネート化合物のイソシアネート基と前記ポリエステル樹脂の水酸基との比率NCO/OHが、1.0~8.0」とし、かつ、「ポリエステル樹脂の分子量分布(Mw/Mn)が1.5~5.0」を選択することは、例え当業者といえども容易に想到し得たとすることはできない。 ウ まとめ 以上から、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2) 本件発明2~8について 本件発明2~7は、直接あるいは間接的に本件発明1を引用し、本件発明1の発明特定事項を全て有したうえでさらに限定する発明であるから、上記に示したことと同様に、申立1甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 さらに、本件発明8は、物を生産する方法の発明として、物の発明である本件発明1の製造方法を特定したものであり、本件発明1の発明特定事項を全て有した発明であるから、上記に示したことと同様に、申立1甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 2 進歩性に係る申立理由(申立2甲1を主たる引用例とする進歩性)について (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と引用発明2とを対比する。 引用発明2の「シーラント層」及び「食品包装フィルム」は、本件発明1の「シーラント」及び「包装材」に相当するから、引用発明2の「基材、印刷層、接着剤層、ガスバリア層、接着剤層及びシーラント層を順次有する食品包装フィルム。」は、本件発明1の「基材、印刷層、接着剤層、及びシーラントを順次有する包装材」に相当する。 引用発明2の「イソシアネート化合物がヘキサメチレンジイソシアネートから誘導されたポリイソシアネート若しくはヘキサメチレンジイソシアネート及びイソフォロンジイソシアネートから誘導されたポリイソシアネートを含み」は、「ヘキサメチレンジイソシアネート」が脂肪族イソシアネート類で「イソフォロンジイソシアネート」が脂環族イソシアネート類であることより、本件発明1の「イソシアネート化合物が、2官能以上の脂肪族イソシアネート類及び/又は2官能以上の脂環族イソシアネート類を含み」に相当する。 そうすると、本件発明1と引用発明2は、以下の点で一致し、かつ、相違する。 <一致点> 「基材、印刷層、接着剤層、ガスバリア層、接着剤層及びシーラント層シーラントを順次有する食品包装フィルム包装材であって、 前記接着剤層が、ポリエステル樹脂とイソシアネート化合物とを含む接着剤を塗布してなり、 前記イソシアネート化合物が、2官能以上の脂肪族イソシアネート類及び/又は2官能以上の脂環族イソシアネート類を含む、包装材。」 <相違点3> 印刷層について、本件発明1ではポリエステル系ウレタン樹脂を含むグラビアインキを印刷してな」るものであり、さらに「ポリエステル系ウレタン樹脂の分子量分布(Mw/Mn)が、2~10であるのに対して、引用発明2では、このような特定はしていない点。 <相違点4> 接着剤層が、本件発明1では、「ポリエステル樹脂の分子量分布(Mw/Mn)が1.5~5.0」であり、さらに「イソシアネート化合物のイソシアネート基と前記ポリエステル樹脂の水酸基との比率NCO/OHが、1.0~8.0」であるのに対し、引用発明2では、ポリエステル樹脂の分子量分布(Mw/Mn)については特定しておらず、「イソシアネート化合物のイソシアネート基と前記ポリエステル樹脂の水酸基との比率NCO/OHが、2又は3」である点。 イ 判断 事案に鑑み、<相違点4>から検討する。 引用発明2の「イソシアネート化合物のイソシアネート基と前記ポリエステル樹脂の水酸基との比率NCO/OHが、2又は3」であることは、本件発明1の「イソシアネート化合物のイソシアネート基と前記ポリエステル樹脂の水酸基との比率NCO/OHが、1.0~8.0」の数値範囲内の構成となっているが、引用発明2では、「ポリエステル樹脂の分子量分布(Mw/Mn)」については特定していないものである。当該ポリエステル樹脂としていかなるものを選択するかについては、本件発明1では、単に「分子量分布(Mw/Mn)」の数値範囲のみならず、「イソシアネート化合物のイソシアネート基と前記ポリエステル樹脂の水酸基との比率NCO/OH」についても特定しており、当該「イソシアネート化合物のイソシアネート基と前記ポリエステル樹脂の水酸基との比率NCO/OH」は選択されるポリエステル樹脂に影響を受けるものであるから、申立2甲4及び申立2甲5の記載事項を参照し得たとしても、「イソシアネート化合物のイソシアネート基と前記ポリエステル樹脂の水酸基との比率NCO/OHが、1.0~8.0」とし、かつ、「ポリエステル樹脂の分子量分布(Mw/Mn)が1.5~5.0」を選択することは、たとえ当業者といえども容易想到し得たとすることはできない。 ウ まとめ 以上から、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2~8について 本件発明2~7は、直接あるいは間接的に本件発明1を引用し、本件発明1の発明特定事項を全て有したうえでさらに限定する発明であるから、上記に示したことと同様に、申立2甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 さらに、本件発明8は、物を生産する方法の発明として、物の発明である本件発明1の製造方法を特定したものであり、本件発明1の発明特定事項を全て有した発明であるから、上記に示したことと同様に、申立2甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 3 サポート要件に係る申立理由について 特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識し得る範囲のものであるか否か、また、発明の詳細な説明に記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識し得る範囲のものであるか否かを検討して判断すべきである。 本件発明は、上記第2に記載したとおりのものである。そして本件特許の明細書の記載から、本件発明の、発明の解決しようとする課題は「包装袋にした際の内容物への溶出の影響が少なく、ラミネート強度に優れ、内容物充填後から時間が経過しても良好な引き裂き性を有する包装材を提供すること」(段落【0007】)である。 本件発明1の、印刷層のポリエステル系ウレタン樹脂の分子量分布(Mw/Mn)が、2~10であり、接着剤層のポリエステル樹脂の分子量分布(Mw/Mn)が1.5~5.0である点については、【0021】で、当該発明が解決しようとする課題との関係で、本件発明1の数値範囲が当該課題を解決することができる数値範囲であることについて説明がされている。そして、【0123】の【表5】では、本件発明1の各構成を有する実施例1~31の包装材が、当該発明が解決しようとする課題との関係で好適な例であり、本件発明1の各構成のうち一部の構成を有しない比較例1~8の包装材が好適な例でない旨説明されている。 そうすると、当業者であれば、本件発明1が、発明の詳細な説明に記載された発明であり、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識し得る範囲のものであるといえる。 以上により、本件発明1及びこれを引用する本件発明2~7、並びに製造方法を特定した本件発明8は、発明の詳細な説明に記載したものである。 第6 むすび したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~8に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1~8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-701255

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    共通の審決分類: 121・B65D、537・B65D
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    共通の審決分類: 121・B65D、537・B65D
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    共通の審決分類: 121・B65D、537・B65D
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