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特許異議申立

2023-701187

廃電池からの有価金属回収方法

審判番号
2023-701187
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-177018
登録番号
7333098
請求日
2023年11月08日
審決日
2024年05月07日
公報発行日
2024年06月28日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社フラップリソース
  • 【権利者代理人】田村 善光
  • 【異議申立人】斎藤 明子
審判長/審判官
  • 審判長 粟野 正明
  • 審判官 相澤 啓祐
  • 審判官 佐藤 陽一
分類
P1651.121-Y (C22B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7333098号発明「廃電池からの有価金属回収方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7333098号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7333098号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~3に係る特許についての出願(特願2021-177018号。以下、「本願」という。)は、令和 3年10月29日に出願され、令和 5年 8月16日にその特許権の設定登録がされ、同年 8月24日に特許掲載公報が発行されたものである。 その後、その請求項1~3(全請求項)に係る特許に対し、同年11月 8日差出で特許異議申立人である斎藤 明子(以下、「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされた。 第2 本件発明 本件特許の請求項1~3に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」等という。)は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 廃電池を、底壁近傍を含む周壁に複数の空気穴を有する鉄製容器内に収納し、収納した該鉄製容器を複数個載置したトレー状の鉄製受け皿を焙焼炉内に載置した状態で前記廃電池を焙焼する焙焼工程と、 該焙焼工程後に前記鉄製容器から焙焼物を取り出して、該焙焼物を衝撃荷重で破砕する破砕工程と、 該破砕工程後に、破砕物に対する磁選と同時に篩別を実施する、磁選・篩別工程と、を備えたことを特徴とする廃電池からの有価金属回収方法。 【請求項2】 前記破砕工程が、垂設された回転軸の下部の、前記焙焼物に衝撃荷重を与えることが可能な所定の高さに、かつ金属製チェーンの回転速度を遅くすると、ホウキで掃くように破砕物を排出させることができる高さに、一方端を固定され他方端を自由端にした金属製チェーンを複数有するチェーン式破砕手段を備えて、前記チェーン式破砕手段の衝撃力を基にして、前記廃電池の構成部材別に固形物と粉末物に分けることができるように、前記廃電池の種類ごとに設定した所定の投入量及び所定の破砕時間で前記チェーン式破砕手段を作動させて破砕することを特徴とする請求項1に記載の廃電池からの有価金属回収方法。 【請求項3】 前記磁選・篩別工程が、予め定めた大きさの粉末状の破砕物を篩別可能な大きさの目開きを有するスクリーンを備えた、下流側を下方に斜設した篩用振動装置と、該篩用振動装置の上方に磁性体の破砕物を引き寄せ可能な磁石を有する磁選手段とを備え、前記破砕工程後の破砕物を、磁性体の破砕物、所定の大きさ以上の非磁性体の破砕物、及び、所定の大きさ未満の非磁性体の破砕物に分離することを特徴とする請求項1又は2に記載の廃電池からの有価金属回収方法。」 第3 申立理由の概要 申立人は、証拠方法として、後述の甲第1号証~甲第4号証(以下、「甲1」等という。)を提出し、以下の申立理由1により、本件特許の請求項1~3に係る特許は取り消されるべきものである旨主張している。 1 申立理由1(進歩性) (1)申立理由1-1 本件発明1は、甲1に記載された発明及び甲2に記載された事項に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、同発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (2)申立理由1-2 本件発明2は、甲1に記載された発明及び甲3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、同発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (3)申立理由1-3 本件発明3は、甲1に記載された発明及び甲4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、同発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 2 証拠方法 甲1:特開2021-150282号公報 甲2:特開2018-53303号公報 甲3:特開2021-139019号公報 甲4:小平・村山・大和衛生組合のホームページ、粗大・不燃ごみプラント系統概略図の詳細説明4~6(http://kmy-eiseikumiai.jp/02_2_02_plant.html) 第4 当審の判断 以下に述べるとおり、当審は、上記第3の1の申立理由1によっては、本件特許の請求項1~3に係る特許を取り消すことはできないと判断する。 1 申立理由1-1(進歩性) (1)甲1の記載事項及び甲1に記載された発明 ア 甲1の記載事項 本願出願前に公知となった甲1には、以下の記載がある(下線は当審が付したものであり、「・・・」は記載の省略を表すものである。以下同様。)。 (ア)「【0011】 (リチウムの回収方法及びリチウムイオン二次電池の処理方法) 本発明のリチウムの回収方法は、熱処理工程と、破砕工程と、リチウム回収工程とを含み、分級工程を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の工程を含む。 また、本発明のリチウムイオン二次電池の処理方法は、熱処理工程を含み、破砕工程、分級工程、浸出工程、湿式磁力選別工程を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の工程を含む。」 (イ)「【0018】 本発明のリチウムの回収方法は、リチウムイオン二次電池からリチウムを回収するための方法である。 また、本発明においては、リチウム以外の物質を更に回収してもよく、例えば、リチウムイオン二次電池に含まれるリチウム以外の有価物を更に回収してもよい。 ここで、有価物とは、廃棄せずに取引対象たりうるものを意味し、例えば、各種金属などが挙げられる。リチウムイオン二次電池における有価物としては、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)などが挙げられる。 【0019】 -リチウムイオン二次電池- 本発明において、リチウムイオン二次電池としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リチウムイオン二次電池の製造過程で発生した不良品のリチウムイオン二次電池、使用機器の不良、使用機器の寿命などにより廃棄されるリチウムイオン二次電池、寿命により廃棄される使用済みのリチウムイオン二次電池などが挙げられる。」 (ウ)「【0030】 <熱処理工程> 熱処理工程は、定格の電圧に対し80%以上の電圧を残存させたリチウムイオン二次電池を熱処理することにより、熱処理物を得る工程である。 また、熱処理物(焙焼物)は、リチウムイオン二次電池を熱処理して得られたものを意味する。 このように、一定量以上の電圧が残存するリチウムイオン二次電池を熱処理することで、電池内の電気エネルギーが熱エネルギーに変換されて、リチウムイオン二次電池自体が発熱し、正極活物質中のLi(Ni/Co/Mn)O2や電解質中のLiPF6におけるリチウムが、フッ化リチウム(LiF)や炭酸リチウム(Li2CO3)や酸化リチウム(Li2O)などリチウムが水溶液に可溶な形態の物質を形成するようになる。」 (エ)「【0044】 また、本発明では、熱処理工程において、リチウムイオン二次電池自体の発熱による燃焼(発火)が終了した後に、再び熱の供給量を上げることで、リチウムイオン二次電池を750℃以上1,085℃未満で更に熱処理することが好ましい。この追加の熱処理により、リチウムイオン二次電池の自燃のみでは熔融しなかったアルミニウムを熔融させて分離回収することができる。 具体的には、この熱処理温度で更に熱処理を行うことで、例えば、リチウムイオン二次電池セルの外装容器や、モジュール又はパックの構成部材にアルミニウムが用いられているとき、これらのアルミニウムを溶融させて回収することができる。すなわち、熱処理工程においてリチウムイオン二次電池を750℃以上で熱処理することにより、リチウムイオン二次電池の筐体に含まれるアルミニウムと、リチウムイオン二次電池における他の部分(例えば、電極など)とを、容易に選別(分離)して、筐体由来のアルミニウムを簡便に回収することができる。 ・・・」 (オ)「【0045】 <<収容容器>> 本発明では、熱処理工程において、リチウムイオン二次電池を収容容器に収容して熱処理を行うことが好ましい。 ・・・ 【0051】 ここで、収容容器は、気体を流通可能な開口部を有することが好ましい。この場合、収容容器は、開口部以外の部分では気体が流通しないように、リチウムイオン二次電池を収容することが好ましい。収容容器が開口部を有することにより、収容容器の内部の圧力や雰囲気を制御できる。 開口部の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、収容容器における開口部の位置としては、熱処理時に気体を流通可能な位置であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、開口部は、収容容器に複数設けられていてもよい。 また、開口部として、リチウムイオン二次電池のパック又はモジュールの外装容器に設けられた孔を用いてもよい。リチウムイオン二次電池のパックには、通常、充放電を行うケーブルやプラグを、パック又はモジュール内部の通電部に接続するための孔が設けられており、これを開口部として活用することが可能である。 ・・・ 【0055】 また、収容容器の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱処理温度(熱処理における最高温度)より高い融点の材質であることが好ましい。つまり本発明においては、収容容器の融点が、リチウムイオン二次電池を熱処理する際の温度より高いことが好ましい。こうすることにより、熱処理を行う際における、収容容器の脆化や溶融を防止できる。 収容容器における具体的な材質としては、例えば、鉄、ステンレス鋼などが挙げられる。例えば、熱処理温度を660℃以上1,085℃未満とする場合、鉄及びステンレス鋼の融点は熱処理温度よりも高いため、鉄又はステンレス鋼で形成された収容容器を用いることにより、熱処理を行う際における、収容容器の脆化や溶融を防止できる。」 (カ)「【0057】 <破砕工程> 破砕工程は、熱処理物(リチウムイオン二次電池を熱処理したもの)を破砕することにより、破砕物を得る工程である。 破砕工程としては、熱処理物(焙焼物)を破砕して、破砕物を得る工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、破砕物とは、熱処理物を破砕したものを意味する。 破砕工程としては、例えば、熱処理物を衝撃により破砕して破砕物を得る工程であることが好ましい。また、リチウムイオン二次電池の外装容器(リチウムイオン二次電池のパックやモジュールにおける外装ケースを含む)が熱処理中に溶融しない場合には、熱処理物に衝撃を与える前に、切断機により熱処理物を切断する予備破砕しておくことがより好ましい。 【0058】 衝撃により破砕を行う方法としては、例えば、回転する打撃板により熱処理物を投げつけ、衝突板に叩きつけて衝撃を与える方法や、回転する打撃子(ビーター)により熱処理物を叩く方法が挙げられ、例えば、ハンマークラッシャーなどにより行うことができる。また、衝撃により破砕を行う方法としては、例えば、セラミックなどのボールにより熱処理物を叩く方法でもよく、この方法は、ボールミルなどにより行うことができる。また、衝撃による破砕は、例えば、圧縮による破砕を行う刃幅、刃渡りの短い二軸破砕機等を用いて行うこともできる。 さらに、衝撃により破砕を行う方法としては、例えば、回転させた2本のチェーンにより、熱処理物を叩いて衝撃を与える方法も挙げられ、例えば、チェーンミルなどにより行うことができる。 【0059】 衝撃により熱処理物を破砕することで、正極集電体(例えば、アルミニウム)の破砕が促進されるが、形態が著しく変化していない負極集電体(例えば、銅)は、箔状などの形態で存在する。そのため、破砕工程において、負極集電体は切断されるにとどまるため、後述する分級工程において、正極集電体由来の有価物(例えば、アルミニウム)と負極集電体由来の有価物(例えば、銅)とを、効率的に分離できる状態の破砕物を得ることができる。」 (キ)「【0062】 <分級工程> 分級工程は、破砕物を分級することにより、粗粒産物と細粒産物とを得る工程である。 分級工程としては、破砕物を分級して粗粒産物(篩上物)と細粒産物(篩下物)を得ることができる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。 【0063】 分級方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、振動篩、多段式振動篩、サイクロン、JIS Z8801の標準篩などを用いて行うことができる。分級により、銅、鉄、アルミニウム等を粗粒産物中に分離でき、リチウムを細粒産物中に濃縮できる。 分級の粒度(分級点、篩の目開き)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。分級により、銅、鉄、アルミニウム等を粗粒産物中に分離し、リチウム、コバルト、ニッケル等を細粒産物中に濃縮することを目的とする場合は、分級の粒度としては、0.6mm以上2.4mm以下が好ましく、0.85mm以上1.7mm以下がより好ましい。分級の粒度が2.4mm以下の場合、細粒産物中への銅・鉄・アルミニウム等の混入を抑制できる。分級の粒度が0.6mm以上の場合、粗粒産物中へのリチウム、コバルト、ニッケル等の混入を抑制できる。」 (ク)「【0066】 <リチウム回収工程> 本発明のリチウムの回収方法におけるリチウム回収工程は、破砕物等からリチウムを回収する工程である。リチウム回収工程としては、破砕物、細粒産物、リチウムを含む浸出液、リチウムを含む溶液などから、リチウムを回収することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。 本発明では、リチウム回収工程において、破砕物又は細粒産物を水に浸けることにより、リチウムを含む浸出液を得る(浸出液にリチウムを浸出させて回収する)ことが好ましい。言い換えると、本発明において、リチウム回収工程は、破砕物又は細粒産物を水に浸 けることにより、リチウムを含む浸出液を得る浸出工程を含むことが好ましい。 浸出工程としては、破砕工程において破砕した破砕物又は分級工程において回収した細粒産物を水に浸ける(浸す、水に入れる)ことにより、水にリチウムを浸出させて浸出液を得ることができる工程であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、浸出工程においては、分級工程において回収した細粒産物を水に浸けることが好ましい。 なお、浸出液は、通常、スラリー状の液体(懸濁液)となる。」 (ケ)「【0069】 <湿式磁選工程> 本発明においては、浸出工程の後に、浸出液に湿式磁選(湿式磁力選別)を行ってもよい。湿式磁選によりコバルトとニッケルとマンガンなどの正極活物質由来の成分、及び鉄などの磁性を有するリチウムイオン二次電池部材由来の成分を回収できる。これは後段のろ過工程の負荷を減らす意味でも有効である。 つまり、本発明では、リチウム回収工程において、浸出液に対して湿式磁力選別を行うことにより、浸出液を、リチウム及び非磁着物を含むスラリーと、コバルト及びニッケルの少なくともいずれかを含む磁着物とに選別することが好ましい。 【0070】 <固液分離工程> 本発明においては、リチウム回収工程において、リチウムを含む浸出液をろ過することにより、当該浸出液を、リチウムを含む溶液と残渣とに固液分離する(リチウムを溶液に回収する)ことが好ましい。言い換えると、本発明において、リチウム回収工程は、リチウムを含む浸出液をろ過することにより、浸出液を、リチウムを含む溶液と残渣とに固液分離する固液分離工程を含むことが好ましい。 また、本発明では、浸出液に対して湿式磁力選別を行う場合、湿式磁力選別により得たスラリーをろ過することにより、当該スラリーを、リチウムを含む溶液と非磁着物を含む残渣とに固液分離することが好ましい。」 (コ)「【0073】 <フッ素除去工程> 本発明のリチウムの回収方法においては、上述した固液分離工程の後に、リチウムを含む溶液におけるフッ素イオンを除去するフッ素除去工程を更に含んでいてもよい。こうすることにより、例えば、フッ素除去工程後のリチウム溶液から、不純物であるフッ素の品位を低減した炭酸リチウムを、晶析可能とすることができる。 リチウムを含む溶液からのフッ素の除去には、例えば、水酸化カルシウム(消石灰)を用いることができる。水酸化カルシウムを用いることにより、溶液中のフッ素をフッ化カルシウムとして固化し、固液分離で除去できる。つまり、本発明では、リチウム回収工程において、溶液に水酸化カルシウムを添加して、溶液に含まれるフッ素をフッ化カルシウムとして固化させた後、溶液をろ過して固液分離することにより、溶液からフッ素を除去することが好ましい。 リチウムを含む溶液に水酸化カルシウムを添加することで、フッ素とカルシウムイオンによりフッ化カルシウムが形成され、固液分離することにより除去可能となる。また、カルシウムイオンは、後述する二酸化炭素の添加により容易に除去することができるため、リチウムを含む溶液(リチウム溶液)における不純物をより低減することができる。」 (サ)「【0080】 <濃縮工程(晶析工程)> 本発明のリチウムの回収方法においては、上述した固液分離工程又はフッ素除去工程の後に、溶液におけるリチウムを濃縮する濃縮工程を更に含んでいてもよい。こうすることにより、例えば、溶液に含まれるリチウムを、炭酸リチウムとして容易に晶析可能とすることができる。 濃縮工程における濃縮の手法としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、蒸発濃縮、膜分離による濃縮、真空濃縮などが挙げられるが、蒸発濃縮が好ましい。これは、工場排熱の利用などでコストを小さく実施できる点、蒸発濃縮時に後述の加熱による炭酸リチウムの晶析も同時に実施でき、プロセスを簡易にできるためである。リチウムの濃縮は、液中のリチウム濃度が1500mg/L以上となるまで行うことが望ましい。」 (シ)「【0085】 <その他の工程> その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乾式磁選工程などが挙げられる。 【0086】 <<乾式磁選工程>> 本発明では、分級工程の後に、粗粒産物に乾式磁選(乾式磁力選別)を行うことにより、粗粒産物を、磁着物と非磁着物とに選別する乾式磁選工程を更に含んでいてもよい。 乾式磁選工程としては、乾式磁選により、粗粒産物を、磁着物と非磁着物とに選別できる工程であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。 本発明においては、例えば、粗粒産物に乾式磁選(乾式磁力選別)を行うことにより、非磁着物に銅(銅濃縮物)を回収することが好ましい。負極集電体の銅はカーボンが塗布されてバインダで結合されているが、例えば、リチウムイオン二次電池の残電圧を活用した自燃によりこのバインダは分解するため、カーボン品位が低減された高品位の銅を非磁着物に回収することができる。 【0087】 乾式磁選工程は、公知の磁力選別機(磁選機)などを用いて行うことができる。 本発明で用いることができる磁力選別機としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、棒磁石、ハンドマグネット、格子型マグネット、ロータリーマグネット、マグネットストレーナー、高磁力プーリ(マグネットプーリ)磁選機、吊下げ型磁選機などが挙げられる。」 (ス)「【0092】 本発明のリチウムイオン二次電池の処理方法では、本発明のリチウムの回収方法と同様に、リチウムイオン二次電池がアルミニウムを含む外装ケース(筐体)を有し、リチウムイオン二次電池自体の発熱による燃焼(自燃)が終了した後に行う熱処理工程において、外装ケースを溶融させることによりアルミニウムを回収することが好ましい。具体的には、例えば、リチウムイオン二次電池自体の発熱による燃焼(自燃)が終了した後に行う熱処理工程においてリチウムイオン二次電池を750℃以上で熱処理することにより、リチウムイオン二次電池の外装ケース(筐体)に含まれるアルミニウムと、リチウムイオン二次電池における他の部分(例えば、電極など)とを、容易に選別(分離)して、筐体由来のアルミニウムを簡便に回収することができる。 また、この場合には、リチウムイオン二次電池を網の上に載置して熱処理することや、リチウムイオン二次電池を溝(スリット)の上に載置して熱処理することなどにより、溶融したアルミニウムをより容易に回収できるようにすることが好ましい。このような網や溝は、例えば、収容容器に設けてもよい。」 (セ)「【0102】 (実施例1) <熱処理> まず、重量の合計が400kgのリチウムイオン二次電池(正極活物質中のCo・Ni・Mn・Al量に占めるNiの割合が平均75%、電圧が100%残存)を、幅2350mm、奥行1650mm、高さ400mm、板厚4mmのSUS304製収容容器に入れ、この容器を、炉内幅3050mm、奥行8950mm、高さ3940mmの炉内の中央部に配した。炉内温度は、炉内上部に設けられた排ガス出口の壁面に設置された熱電対より測定した。 この収容容器には、蓋中央部に直径500mmの開口部が設けられていると共に、収容容器底面には熔融したアルミニウムを回収するための幅30mmのスリット(溝)が設けられている。また、この収容容器中のリチウムイオン二次電池の上部及び下部の表面に、熱電対を配置し、後述する熱処理の際のリチウムイオン二次電池のパック本体の温度を測定した。 【0103】 続いて、炉の開口部から1000mmの位置の両側面に配された灯油バーナー2本と、炉開口部から7950mmの位置の両側面に配された灯油バーナー2本の計4本のバーナーを燃焼させることにより炉内を加温し、バーナーの火炎が収容容器に当たらないように熱処理した。つまり、実施例1では、リチウムイオン二次電池を熱処理するための火炎の放射方向を、収容容器に向けずに熱処理を行った。 バーナーの火炎による熱処理では、まず、炉内温度が約20℃から1時間で400℃まで昇温した。そして、炉内温度400℃を1時間保持した段階で、炉内カメラの画像により収容容器の開口部及び蓋と本体の隙間から火炎が発生し、収容容器の内部のリチウムイオン二次電池の自己燃焼(自燃)による発火が開始したことを確認された。そして、リチウムイオン二次電池の自己燃焼が確認されたときから、バーナーに用いる灯油の供給量を、炉内温度を400℃に保持するときの灯油の供給量を100%とした場合の20%まで低下させた。 【0104】 リチウムイオン二次電池の自己燃焼(自燃)による発火は、30分間継続し、リチウムイオン二次電池本体温度は、自己燃焼直前の430℃から最高温度800℃まで到達した。リチウムイオン二次電池の自己燃焼の終了後(収容容器から火炎が確認されなくなった後)、すべてのバーナーの燃焼を停止して、1時間放熱した後、炉内から収容容器を取り出して、内部のリチウムイオン二次電池(熱処理後)と、収容容器下部のスリットに回収されたアルミニウムを回収した。 【0105】 <破砕及び分級> 次いで、破砕装置として、ハンマークラッシャー(マキノ式スイングハンマークラッシャーHC-20-3.7、槇野産業株式会社製)を用い、50Hz(ハンマー周速38m/s)、出口部分のパンチングメタルの孔径10mmの条件で、熱処理を行ったリチウムイオン二次電池(リチウムイオン二次電池の熱処理物)を破砕し、リチウムイオン二次電池の破砕物を得た。 続いて、篩目の目開き(分級点)が1.2mmの篩(直径200mm、東京スクリーン株式会社製)を用いて、リチウムイオン二次電池の破砕物を篩分け(分級)した。そして、篩分け後の1.2mmの篩上(粗粒産物)と篩下(細粒産物)をそれぞれ採取した。 【0106】 <粗粒産物の乾式磁選(銅濃縮物の回収)> 次に、得られた粗粒産物を、磁束密度が1500G(0.15T)の乾式ドラム型磁選機(CC 15“φ×20”W、日本エリーズマグネチックス株式会社製)を用いて、フィード速度0.5kg/分の条件で、磁力選別(乾式磁選)を行い、磁着物と非磁着物(銅濃縮物)を分離して回収した。 【0107】 <細粒産物の浸出及び湿式磁選> また、分級により得られた細粒産物100kgを、400Lの水に浸けて、固液比25%、攪拌速度400rpm、浸出時間1時間の条件で、水にリチウムを浸出させた。この水にリチウムを浸出させて得たスラリーを、ドラム型磁選機(商品名:WD L-8ラボモデル、エリーズマグネチックス社製)を用いて、磁力:1500G、ドラム回転数45rpm、固液比25%、スラリー供給速度100L/h/minで湿式磁選(湿式磁力選別)を行い、磁着物と、非磁着物を含むスラリー200Lとを回収した。この非磁着物を含むスラリーをろ布(品名PP934K、中尾フィルター工業株式会社製)を用いたフィルタープレスで0.6MPaの圧力で加圧ろ過して非磁着物を固液分離し、リチウム浸出液(リチウムを含む溶液)を得た。 【0108】 <リチウム浸出液のフッ素除去> 得られたリチウム浸出液(pH約10.5、フッ素濃度500mg/L)をFRP製タンク(製作品、直径1084mm、高さ1500mm)内に準備した。これを攪拌機(HP-5006、阪和化工機製)で攪拌した状態で、スラリー濃度25%の消石灰(水酸化カルシウム)及び水を添加し、pH12.0に調整しながら、1時間反応させた(フッ化カルシウムの形成)後、ろ布(品名PP934K、中尾フィルター工業株式会社製)を用いたフィルタープレスで0.6MPaの圧力の加圧ろ過で固液分離して、フッ素を除去したリチウム溶液(フッ素除去後液、フッ素濃度15mg/L)を得た。 【0109】 <リチウム溶液中のカルシウム除去> リチウム溶液(フッ素除去後液)におけるカルシウムの濃度を測定したところ、リチウム溶液にカルシウムが135mg/L溶存していた。これを除去するため、二酸化炭素(CO2)ガスを、直径5mmの穴を20箇所あけた20Aの塩ビ管(硬質ポリ塩化ビニル管)を用いて、リチウム溶液中に25L/分で30分間かけて散気し、リチウム溶液に残存するカルシウム(Ca2+イオン)を、炭酸カルシウムとして析出させた。 そして、この炭酸カルシウムを析出させたリチウム溶液を、ろ布(品名PP934K、中尾フィルター工業株式会社製)を用いたフィルタープレスで0.6MPaの圧力の加圧ろ過で固液分離して、カルシウムを除去したリチウム溶液(カルシウム除去後液)を得た。 【0110】 <炭酸リチウムの晶析> リチウム溶液(カルシウム除去後液、450L)を250LのSUS304製円筒容器(製作品、内径650mm、高さ1180mm)内に、初めに200Lを準備した後に、撹拌機(品名:スーパーアジテーター、型番TTF-2V、トヨキ工業製)で200rpmの攪拌速度で攪拌しながら、残りを7L/hの速度で連続的に供給した。さらに、この容器内に配されたテフロン(登録商標)製のチューブ型熱交換器(カンセツ産業製、製作品、伝熱面積1.4m2)内に158℃の蒸気を供給して液温が100℃となる条件で熱交換して、常圧で5倍(蒸発濃縮後液(炭酸リチウムの晶析物を含む)の容積が90L)に蒸発濃縮し、蒸発濃縮した液をろ布(品名PP934K、中尾フィルター工業株式会社製)を用いたフィルタープレスで0.6MPaの圧力で加圧ろ過して、炭酸リチウムの晶析物を得た。 【0111】 (実施例2) 実施例1において、リチウムイオン二次電池の自己燃焼の終了後、再度バーナー4本の燃焼を再開して炉内温度800℃まで1hで昇温後、800℃を1時間保持し、追加の熱処理を行った以外は、実施例1と同様にして熱処理を行った。実施例2では、この熱処理後にすべてのバーナーの燃焼を停止して、1時間放熱した後、炉内から収容容器を取り出して、内部のリチウムイオン二次電池(熱処理後)と、収容容器下部のスリットに回収されたアルミニウムを回収した。 また、実施例2では、熱処理以降の処理を、実施例1と同様にして行い、炭酸リチウム等を回収した。」 (ソ)「【0115】 ここで、処理の対象としたリチウムイオン二次電池に含まれていた、各元素の量を100%とした場合の、各回収物への各元素の回収率を表1に示す。 【0116】 【表1】 [図:0001411348000001.jpg] 【0117】 また、各回収物中の各元素の品位を表2に示す。 【0118】 【表2】 [図:0001411348000002.jpg] 【0119】 また、いずれの実施例においても、リチウムイオン二次電池を収容容器内に収容したことにより、リチウムイオン二次電池の破裂による炉体の損傷を防止できた。また、いずれの実施例においても、電解液は完全に除去されていた。」 イ 甲1に記載された発明 (ア)上記ア(セ)及び(ソ)に記載の実施例2に着目すると、甲1には、次の発明が記載されていると認められる。 (イ)「重量の合計が400kgのリチウムイオン二次電池(正極活物質中のCo・Ni・Mn・Al量に占めるNiの割合が平均75%、電圧が100%残存)を、幅2350mm、奥行1650mm、高さ400mm、板厚4mmのSUS304製収容容器であって、蓋中央部に直径500mmの開口部が設けられていると共に、収容容器底面には熔融したアルミニウムを回収するための幅30mmのスリット(溝)が設けられている収容容器に入れ、この容器を、炉内幅3050mm、奥行8950mm、高さ3940mmの炉内の中央部に配し、続いて、炉の開口部から1000mmの位置の両側面に配された灯油バーナー2本と、炉開口部から7950mmの位置の両側面に配された灯油バーナー2本の計4本のバーナーを燃焼させることにより炉内を加温し、バーナーの火炎が収容容器に当たらないように熱処理し、バーナーの火炎による熱処理では、まず、炉内温度が約20℃から1時間で400℃まで昇温し、炉内温度400℃を1時間保持した段階で、炉内カメラの画像により収容容器の開口部及び蓋と本体の隙間から火炎が発生し、収容容器の内部のリチウムイオン二次電池の自己燃焼(自燃)による発火が開始したことを確認し、リチウムイオン二次電池の自己燃焼が確認されたときから、バーナーに用いる灯油の供給量を、炉内温度を400℃に保持するときの灯油の供給量を100%とした場合の20%まで低下させ、リチウムイオン二次電池の自己燃焼(自燃)による発火は、30分間継続し、リチウムイオン二次電池本体温度は、自己燃焼直前の430℃から最高温度800℃まで到達し、リチウムイオン二次電池の自己燃焼の終了後(収容容器から火炎が確認されなくなった後)、再度バーナー4本の燃焼を再開して炉内温度800℃まで1hで昇温後、800℃を1時間保持する追加の熱処理を行い、この熱処理後にすべてのバーナーの燃焼を停止して、1時間放熱した後、炉内から収容容器を取り出して、内部のリチウムイオン二次電池(熱処理後)と、収容容器下部のスリットに回収されたアルミニウムを回収し、 次いで、破砕装置として、ハンマークラッシャー(マキノ式スイングハンマークラッシャーHC-20-3.7、槇野産業株式会社製)を用い、50Hz(ハンマー周速38m/s)、出口部分のパンチングメタルの孔径10mmの条件で、熱処理を行ったリチウムイオン二次電池(リチウムイオン二次電池の熱処理物)を破砕し、リチウムイオン二次電池の破砕物を得て、続いて、篩目の目開き(分級点)が1.2mmの篩(直径200mm、東京スクリーン株式会社製)を用いて、リチウムイオン二次電池の破砕物を篩分け(分級)し、篩分け後の1.2mmの篩上(粗粒産物)と篩下(細粒産物)をそれぞれ採取し、 次に、得られた粗粒産物を、磁束密度が1500G(0.15T)の乾式ドラム型磁選機(CC 15“φ×20”W、日本エリーズマグネチックス株式会社製)を用いて、フィード速度0.5kg/分の条件で、磁力選別(乾式磁選)を行い、磁着物と非磁着物(銅濃縮物)を分離して回収し、 また、分級により得られた細粒産物100kgを、400Lの水に浸けて、固液比25%、攪拌速度400rpm、浸出時間1時間の条件で、水にリチウムを浸出させ、この水にリチウムを浸出させて得たスラリーに、ドラム型磁選機(商品名:WD L-8ラボモデル、エリーズマグネチックス社製)を用いて、磁力:1500G、ドラム回転数45rpm、固液比25%、スラリー供給速度100L/h/minで湿式磁選(湿式磁力選別)を行い、磁着物と、非磁着物を含むスラリー200Lとを回収し、この非磁着物を含むスラリーをろ布(品名PP934K、中尾フィルター工業株式会社製)を用いたフィルタープレスで0.6MPaの圧力で加圧ろ過して非磁着物を固液分離し、リチウム浸出液(リチウムを含む溶液)を得て、 得られたリチウム浸出液(pH約10.5、フッ素濃度500mg/L)をFRP製タンク(製作品、直径1084mm、高さ1500mm)内に準備し、これを攪拌機(HP-5006、阪和化工機製)で攪拌した状態で、スラリー濃度25%の消石灰(水酸化カルシウム)及び水を添加し、pH12.0に調整しながら、1時間反応させた(フッ化カルシウムの形成)後、ろ布(品名PP934K、中尾フィルター工業株式会社製)を用いたフィルタープレスで0.6MPaの圧力の加圧ろ過で固液分離して、フッ素を除去したリチウム溶液(フッ素除去後液、フッ素濃度15mg/L)を得て、 リチウム溶液(フッ素除去後液)におけるカルシウムの濃度を測定し、リチウム溶液に135mg/L溶存していたカルシウムを除去するため、二酸化炭素(CO2)ガスを、直径5mmの穴を20箇所あけた20Aの塩ビ管(硬質ポリ塩化ビニル管)を用いて、リチウム溶液中に25L/分で30分間かけて散気し、リチウム溶液に残存するカルシウム(Ca2+イオン)を、炭酸カルシウムとして析出させ、この炭酸カルシウムを析出させたリチウム溶液を、ろ布(品名PP934K、中尾フィルター工業株式会社製)を用いたフィルタープレスで0.6MPaの圧力の加圧ろ過で固液分離して、カルシウムを除去したリチウム溶液(カルシウム除去後液)を得て、 リチウム溶液(カルシウム除去後液、450L)を250LのSUS304製円筒容器(製作品、内径650mm、高さ1180mm)内に、初めに200Lを準備した後に、撹拌機(品名:スーパーアジテーター、型番TTF-2V、トヨキ工業製)で200rpmの攪拌速度で攪拌しながら、残りを7L/hの速度で連続的に供給し、さらに、この容器内に配されたテフロン(登録商標)製のチューブ型熱交換器(カンセツ産業製、製作品、伝熱面積1.4m2)内に158℃の蒸気を供給して液温が100℃となる条件で熱交換して、常圧で5倍(蒸発濃縮後液(炭酸リチウムの晶析物を含む)の容積が90L)に蒸発濃縮し、蒸発濃縮した液をろ布(品名PP934K、中尾フィルター工業株式会社製)を用いたフィルタープレスで0.6MPaの圧力で加圧ろ過して、炭酸リチウムの晶析物を得て、 炭酸リチウム等を回収し、処理の対象としたリチウムイオン二次電池に含まれていた、各元素の量を100%とした場合の、炭酸リチウムへのリチウムの回収率が22%、乾式磁選の非磁着物への銅の回収率が82%、湿式磁選の磁着物へのニッケルの回収率が90%、湿式磁選の磁着物へのコバルトの回収率が90%、熱処理の溶融物へのアルミニウムの回収率が76%である方法。」(以下、「甲1発明」という。) (2)甲2の記載事項 本願出願前に公知となった甲2には、以下の記載がある。 ア 「【請求項1】 融点が1000℃以下の金属を含む廃棄物を前記金属の融点よりも高い温度で焼却処理する焼却炉に用いられる溶融金属の回収容器であって、 前記廃棄物が載せられ、前記廃棄物から流出した溶融金属を受け止める形状を有し、 該回収容器の内面は前記溶融金属の固着を抑制する固着抑制面となっており、 該回収容器の底部内面より高い位置で前記廃棄物を支持する支持部と前記溶融金属が貯留する貯留部とが形成されるように、該回収容器の底部内面から上方に突出する前記廃棄物の支持部材が設けられている、溶融金属の回収容器。 【請求項2】 前記固着抑制面は、該回収容器の内面に形成された、前記溶融金属の固着を抑制するコート層の表面である、請求項1に記載にされた溶融金属の回収容器。 【請求項3】 前記支持部材は、該回収容器の底部内面から先端部に向けて尖るように形成されている、請求項1又は2に記載された溶融金属の回収容器。 【請求項4】 前記支持部材は、前記貯留部が複数の領域に分割されるように形成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載された溶融金属の回収容器。 【請求項5】 前記溶融金属がアルミニウムである、請求項1~4のいずれか一項に記載された溶融金属の回収容器。」 イ 「【0021】 本実施形態の焼却炉10における搬送台車30の移動はこのようにして行われる。次に、搬送台車30に載せられる溶融金属の回収容器1について説明する。 【0022】 図6~図8に示すように本実施形態の回収容器1は、平面視において四角形状であって、底部1aと側壁1bを有し、かつ、上部が開口したような形状となっている。即ち、回収容器1は、金属製のパンのような形状であって、廃棄物Wから流出した溶融金属を受け止めることが可能な形状となっている。なお、回収容器1の形状は四角形状に限定されない。また、回収容器1の素材としては例えばSUS304が用いられるが、金属以外の他の材料であっても良い。回収容器1の素材は、廃棄物Wから流出した溶融金属により回収容器1が損傷しないような材料であれば良い。 【0023】 回収容器1の底部内面には、廃棄物Wの底面を支持する支持部材2が設けられており、支持部材2は回収容器1の底部内面から上方に向けて突出するような形状を有している。これにより、図7のように回収容器1の底部内面よりも鉛直方向の上下関係において高い位置で廃棄物Wを支持する支持部1cと、廃棄物Wから流出した溶融金属を受け止めて貯留させる貯留部1dが形成される。 【0024】 また、本実施形態の支持部材2として、回収容器1の内面において、対向する一方の側壁1bから他方の側壁1bまで延伸するようにして第1の支持部材2aと第2の支持部材2bが設けられている。第1の支持部材2aと第2の支持部材2bは延伸方向が互いに異なっている。第1の支持部材2aは、図6に示す平面視において縦方向が延伸方向であって、横方向に所定の間隔で3つ並ぶように配置されている。一方、第2の支持部材2bは、図6に示す平面視において横方向が延伸方向であって、縦方向に所定の間隔で6つ並ぶように配置されている。第1の支持部材2aと第2の支持部材2bとが、このように直交するように設けられていることで、回収容器1の貯留部1dが複数の領域に分割されている。換言すると、回収容器1を水平面で輪切りにした場合に、その水平面が支持部材2により複数の領域に分割された状態となっている。 【0025】 支持部材2は、延伸方向に垂直な断面視において回収容器1の底部内面から先端部に向けて尖るような形状を有している。これにより、溶融金属が貯留部1dに流れやすくなり、廃棄物Wと支持部材2との間に溶融金属が溜まり難くなる。その結果、廃棄物Wと支持部材2との間で溶融金属が凝固することに起因した廃棄物Wの固着を抑制することができる。なお、本明細書における“支持部材が尖る”とは、支持部材2の先端に近づくにつれて支持部材2の水平断面の断面積が徐々に小さくなるような形状を言い、ピンの先端のように点状に尖る形状のほか、紙の端のように線状に尖る形状も含まれる。 【0026】 また、回収容器1の内面には、溶融金属が回収容器1に固着することを抑制するためのコート剤が塗布されることでコート層が形成されている。溶融金属がアルミニウムである場合、コート剤としては例えばヨータイ株式会社製のCOAT-ALが用いられる。コート剤として溶融金属の回収容器1として適したものを用いた点も本実施形態の特徴点の一つである。通常の廃棄物焼却炉では、耐熱性、酸性ガスに対する耐腐食性および耐摩耗性などを考慮して長期間の連続運転に適した炉材が選定されており、溶融金属に対する耐食性は通常では考慮されていない。一方、本実施形態においては、電気炉での溶融による乾式金属 製錬で用いられるコート剤を使用している。また、金属表面にコート層を設ける本実施形態の構成は、溶融金属の回収容器1の伝熱性、高温環境下での強度を担保し、作製にかかるコストを抑制するという観点でも好ましい構成である。」 ウ 「【図6】 [図:0001411348000003.jpg] 【図7】 [図:0001411348000004.jpg] 【図8】 [図:0001411348000005.jpg] 」 (3)本件発明1と甲1発明との対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 ア 上記(1)ア(イ)によれば、甲1発明における「処理の対象としたリチウムイオン二次電池」は、本件発明1における「廃電池」に相当すると解される。 また、上記(1)ア(ウ)によれば、甲1発明における「熱処理」は、本件発明1における「焙焼」に相当するから、甲1発明における「炉」「熱処理物」は、それぞれ本件発明1における「焙焼炉」「焙焼物」に相当する。 さらに、上記(1)ア(オ)によれば、甲1発明における「収容容器」の「蓋中央部に」「設けられている」「開口部」は、本件発明1における「鉄製容器」が「有する」「空気穴」に相当すると解される。 イ 上記アによれば、甲1発明における「リチウムイオン二次電池」「を、」「収容容器であって、蓋中央部に」「開口部が設けられている」「収容容器に入れ、この容器を、」「炉内の中央部に配し、続いて、炉の開口部から1000mmの位置の両側面に配された灯油バーナー2本と、炉開口部から7950mmの位置の両側面に配された灯油バーナー2本の計4本のバーナーを燃焼させることにより炉内を加温し、バーナーの火炎が収容容器に当たらないように熱処理し、」「リチウムイオン二次電池の自己燃焼の終了後(収容容器から火炎が確認されなくなった後)、再度バーナー4本の燃焼を再開して炉内温度800℃まで1hで昇温後、800℃を1時間保持する追加の熱処理を行」う事項は、本件発明1における「廃電池を、」「空気穴を有する」「容器内に収納し、収納した」「容器を」「焙焼炉内に載置した状態で前記廃電池を焙焼する焙焼工程」に相当する。 ウ 甲1発明における「SUS304製」収容容器と、本件発明1における「鉄製」容器とは、「金属製」容器である点で共通している。 エ 甲1発明における「破砕装置として、ハンマークラッシャー(マキノ式スイングハンマークラッシャーHC-20-3.7、槇野産業株式会社製)を用い、」「熱処理を行ったリチウムイオン二次電池(リチウムイオン二次電池の熱処理物)を破砕」することは、本件発明1における「焙焼物を衝撃荷重で破砕する」ことに相当する。 オ 上記エによれば、甲1発明における「この熱処理後にすべてのバーナーの燃焼を停止して、1時間放熱した後、炉内から収容容器を取り出して、内部のリチウムイオン二次電池(熱処理後)」「を回収し、」「次いで、破砕装置として、ハンマークラッシャー(マキノ式スイングハンマークラッシャーHC-20-3.7、槇野産業株式会社製)を用い、」「熱処理を行ったリチウムイオン二次電池(リチウムイオン二次電池の熱処理物)を破砕」する事項は、本件発明1における「焙焼工程後に」「容器から焙焼物を取り出して、該焙焼物を衝撃荷重で破砕する破砕工程」に相当する。 カ 甲1発明における「リチウムイオン二次電池の破砕物を得て、続いて、篩目の目開き(分級点)が1.2mmの篩」「を用いて、リチウムイオン二次電池の破砕物を篩分け(分級)し、篩分け後の1.2mmの篩上(粗粒産物)と篩下(細粒産物)をそれぞれ採取し、」「次に、得られた粗粒産物を、」「乾式ドラム型磁選機」「を用いて、」「磁力選別(乾式磁選)を行い、磁着物と非磁着物(銅濃縮物)を分離して回収」する事項は、本件発明1における「破砕工程後に、破砕物に対する磁選と」「篩別を実施する、磁選・篩別工程」に相当する。 キ 上記(1)ア(イ)によれば、甲1発明における「リチウム」「銅」「ニッケル」「コバルト」「アルミニウム」は、本件発明1における「有価金属」に相当するから、甲1発明における「処理の対象としたリチウムイオン二次電池に含まれていた、各元素の量を100%とした場合の、炭酸リチウムへのリチウムの回収率が22%、乾式磁選の非磁着物への銅の回収率が82%、湿式磁選の磁着物へのニッケルの回収率が90%、湿式磁選の磁着物へのコバルトの回収率が90%、熱処理の溶融物へのアルミニウムの回収率が76%である方法」は、本件発明1における「廃電池からの有価金属回収方法」に相当する。 ク 上記イ、ウ、オ、カ及びキを踏まえると、本件発明1と甲1発明とは、 「廃電池を、空気穴を有する金属製容器内に収納し、収納した該金属製容器を焙焼炉内に載置した状態で前記廃電池を焙焼する焙焼工程と、 該焙焼工程後に前記金属製容器から焙焼物を取り出して、該焙焼物を衝撃荷重で破砕する破砕工程と、 該破砕工程後に、破砕物に対する磁選と篩別を実施する、磁選・篩別工程と、を備えた廃電池からの有価金属回収方法。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1> 廃電池を焙焼するために収納し、空気穴を有する金属製容器について、本件発明1における「容器」は「鉄製」であって、「底壁近傍を含む周壁に複数の空気穴を有する」のに対し、甲1発明における「収容容器」は「SUS304製」であって、「蓋中央部に」「開口部が設けられている」点。 <相違点2> 本件発明1では「廃電池を」「収納した」「容器を複数個載置したトレー状の鉄製受け皿を焙焼炉内に載置」するのに対し、焙焼工程において、甲1発明では「リチウムイオン二次電池」「を、」「収容容器に入れ、この容器を、」「炉内の中央部に配」する、すなわち収容容器を炉内に直接載置する点。 <相違点3> 磁選・篩別工程において、本件発明1では「破砕物に対する磁選と同時に篩別を実施する」のに対し、甲1発明では「破砕物を篩分け(分級)し、篩分け後の1.2mmの篩上(粗粒産物)と篩下(細粒産物)をそれぞれ採取し、」「次に、得られた粗粒産物を、」「磁力選別(乾式磁選)を行い、磁着物と非磁着物(銅濃縮物)を分離して回収」する、すなわち篩別の後に磁選を実施する点。 (4)相違点についての判断 ア 事案に鑑み、まず上記相違点2について検討する。 上記(2)イ及びウによれば、甲2に記載の回収容器1は、金属製のパンのような形状であって、回収容器1の底部内面に設けられている支持部材2によって単独の廃棄物Wの底面を支持しているから、当該回収容器1を甲1発明に適用する場合、甲1発明の収容容器の代わりに上記回収容器1を使用することとなるため、上記「パンのような形状」が本件発明1における「トレー状の」「受け皿」に相当するとしても、「容器を複数個載置したトレー状の」「受け皿を焙焼炉内に載置」するとの上記相違点2に係る事項を得ることはできない。 イ 次に上記相違点3について検討する。 上記(1)ア(シ)によれば、甲1発明の乾式磁選工程は、「分級工程の後に、粗粒産物に乾式磁選(乾式磁力選別)を行うことにより、粗粒産物を、磁着物と非磁着物とに選別する」ものであり、仮に乾式磁選工程と分級工程とを同時に行えば、粗粒産物の磁着物と細粒産物の磁着物とが混ざってしまうため、甲1発明における分級工程及び乾式磁選工程を、本件発明1のような「磁選と同時に篩別を実施する、磁選・篩別工程」に替える動機付けがあるとはいえない。 ウ よって、上記相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (5)申立理由1-1(進歩性)についてのまとめ 以上のとおり、本件発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえないから、申立理由1-1(進歩性)によっては、同発明に係る特許を取り消すことはできない。 2 申立理由1-2(進歩性) (1)甲3の記載事項 本願出願前に公知となった甲3には、以下の記載がある。 ア 「【発明が解決しようとする課題】 【0014】 本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、廃電池に含まれる有価金属を回収する方法において、回収率の低下を抑制しながら、有価金属を効率的に回収することができる方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0015】 本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、廃電池を焙焼して得られる焙焼物を、チェーンミルを用いて破砕する破砕処理を施すことで、効率的に有価金属を回収できることを見出し、本発明を完成するに至った。」 イ 「【0038】 (チェーンミル装置について) 図2は、チェーンミルを用いた破砕処理の一例について説明するための図である。図2に示すように、破砕処理は、チェーンミル装置2を備えた破砕容器1の内部にて行われる。破砕容器1は、試料投入口11と、試料回収口12と、ガス給排気管13とを備える。また、破砕容器1内部の処理空間には、チェーンミル装置2が設けられている。 【0039】 破砕容器1においては、試料投入口11より破砕処理対象の焙焼物が投入され、内部の処理空間に設けられている後述のチェーンミル装置2に供給される。チェーンミル装置2による破砕処理後に得られた破砕物は、試料回収口12から回収される。また、破砕処理においては、破砕容器1の上部(天井部)に設けられたガス給排気管13からガスの排気及びガスの給気が行われ、雰囲気ガスの調整を行うことが可能となっている。 【0040】 チェーンミル装置2は、破砕容器1内部の底面1Fに対して垂直に立設された回転軸棒21と、回転軸棒21の側面に取り付けられるチェーン22と、を備えている。チェーンミル装置2では、回転軸棒21に取り付けられたチェーン22が回転することで、その回転に伴って撓んだチェーン22に、破砕処理対象である焙焼物が衝突することによって、その焙焼物を所定の大きさに破砕する。このように撓んだチェーン22が焙焼物に衝突して破砕するため、その他の従来公知の破砕装置に比べて、より強力に破砕できる。 【0041】 ・回転軸棒 より具体的に、回転軸棒21は、後述するチェーン22が側面の所定位置に取り付けられ、軸を中心として回動することで、側面に取り付けたチェーンを処理空間内において回転させる。なお、回転軸棒21に取り付けるチェーンの数は、特に限定されないが、2つ以上であることが好ましい。この点については後述する。 【0042】 回転軸棒21は、破砕容器1内部の底面1Fから垂直に立設されている。そのため、回転軸棒21の側面に取り付けられるチェーン22の取り付け高さ(図2中において「H」で示す)は、破砕容器1の底面1Fを基準とした高さになり、破砕容器1の底面1Fからのチェーン22の取り付け位置までの距離を意味する。 【0043】 ここで、回転軸棒21においては、その側面に取り付けるチェーン22の取り付け高さHを調節できる構造を有することが好ましい。破砕処理では、廃電池の焙焼物を単に細かく破砕できればよいのではなく、回収対象である有価金属とその他の回収対象ではない不純物とを可能な限り明確に分離できるようにすることが、効率性の点で重要となる。例えば、粉砕強度が強過ぎで破砕の程度が細くなり過ぎると、次工程の篩別工程S3の処理で得られる篩下物にまで不純物が多く分配してしまう可能性がある。一方で、粉砕強度が弱過ぎると、篩上物に移行する破砕物に有価金属までもが巻き込まれてしまい、有価金属の回収率が低下してしまう可能性がある。 【0044】 破砕の程度は、破砕時間や破砕のエネルギー等に依存するが、破砕容器1の底面1Fからのチェーン22の取り付け高さH、つまりチェーン高さを調節することで、破砕物の大きさや破砕形状等を高い精度で制御して破砕処理を行うことができる。そしてこのことにより、有価金属の回収率を向上することができる。 【0045】 回転軸棒21においてチェーン22の取り付け高さHを調節できる構造としては、特に限定されず、取り付けたチェーン22の位置を高さ方向の上下に調節できるものであればよい。具体的には、例えば、回転軸棒21の側面に可動溝を設け、自動又は手動で取り付け高さを調節できるものとすることができる。 【0046】 回転軸棒21において、チェーン22の取り付け高さHとしては、特に限定されないが、5mm以上300mm以下の範囲とすることが好ましく、8mm以上200mm以下の範囲とすることがより好ましく、10mm以上100mm以下の範囲とすることが特に好ましい。このような範囲で取り付ける高さHを調整しながらチェーン22を取り付けることで、破砕の程度をより適切に制御して破砕処理を行うことができる。 【0047】 ・チェーン チェーン22は、上述したように回転軸棒21の側面に取り付けられ、回転軸棒21の回動により回転し、破砕対象である焙焼物を衝突させて破砕する。チェーン22は、金属製のリングが所定の長さに連なって構成されている(図2の模式図を参照)。 【0048】 チェーンミル装置2において、回転軸棒21に取り付けるチェーン22の数は、特に限定されないが、回転方向には2つ以上のチェーン22を取り付けることが好ましい。具体的に、回転方向に2つ以上のチェーンを取り付ける場合には、回転軸棒21の側面においてその回転方向の所定の2箇所以上にチェーン22の取り付け位置を設け、その取り付け位置のそれぞれにチェーン22を独立して取り付ける。このように、回転軸棒21に2つ以上のチェーン22を取り付けて破砕処理を行うことによって、破砕強度を高めることができ、焙焼物に含まれる有価金属を粉状の破砕物にし易くなり、より効率的に有価金属を回収することができる。 【0049】 また、回転軸棒21の軸方向に取り付けるチェーン22の数は、1つであってもよく、2つ以上であってもよい。 【0050】 上述したように、回転軸棒21には、好ましくはその側面に取り付けるチェーン22の取り付け高さHを調節できる構造を有する。したがって、その側面に取り付けるチェーン22は、取り付け高さH(破砕容器1の底面1Fからチェーン22の取り付け位置までの高さ)を調節可能となっている。このような構造を有するチェーンミル装置2であることにより、回収対象である有価金属とその他の回収対象ではない不純物とをより明確に分離できるようになり、より効率的に有価金属を回収することができる。」 ウ 「【図2】 [図:0001411348000006.jpg] 」 (2)本件発明2と甲1発明との対比及び判断 本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て含むものである。 上記1(4)ウのとおり、本件発明1は、甲1発明及び甲2の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえず、甲3も上記1(3)クの相違点1~3のうち、少なくとも相違点2、3に係る事項について言及するものではないから、本件発明2も、甲1発明及び甲2、3の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないし、当然のことながら、甲1発明及び甲3の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (3)申立理由1-2(進歩性)についてのまとめ 以上のとおり、本件発明2は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえないから、申立理由1-2(進歩性)によっては、同発明に係る特許を取り消すことはできない。 3 申立理由1-3(進歩性) (1)甲4の記載事項 公知日は不明であるものの、甲4には、以下の記載がある。 ア 「 [図:0001411348000007.jpg] [図:0001411348000008.jpg] 」 (2)本件発明3と甲1発明との対比及び判断 本件発明3は、本件発明1の発明特定事項を全て含むものである。 上記1(4)ウのとおり、本件発明1は、甲1発明及び甲2の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえず、仮に甲4が本願出願前に公知となったものであるとしても、甲4も上記1(3)クの相違点1~3のうち、少なくとも相違点2、3に係る事項について言及するものではないから、本件発明3も、甲1発明及び甲2~4の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないし、当然のことながら、甲1発明及び甲4の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (3)申立理由1-3(進歩性)についてのまとめ 以上のとおり、本件発明3は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえないから、申立理由1-3(進歩性)によっては、同発明に係る特許を取り消すことはできない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、申立人による特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許の請求項1~3に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1~3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-701187

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