特許異議申立
2023-701184
運転経路生成装置、運転経路生成方法、運転経路生成プログラム、およびドローン
- 審判番号
- 2023-701184
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-550415
- 登録番号
- 7270265
- 請求日
- 2023年11月08日
- 審決日
- 2025年05月15日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社ナイルワークス
- 【権利者代理人】粕川 敏夫
- 【権利者代理人】栗原 潔
- 【権利者代理人】清水 喜幹
- 【権利者代理人】狩生 咲
- 【異議申立人】神田 紀子
- 審判長/審判官
- 審判長 山本 信平
- 審判官 中尾 麗
- 審判官 八木 誠
- 分類
- P1651.121-YAA(G05D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7270265号発明「運転経路生成装置、運転経路生成方法、運転経路生成プログラム、およびドローン」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7270265号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~11〕、12、13、14について訂正することを認める。
特許第7270265号の請求項1~14に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7270265号(以下、「本件特許」という。)についての出願は、令和元年9月30日を出願日とする特許出願であって、令和5年4月27日にその特許権の設定登録(請求項の数14)がされ、同年5月10日に特許掲載公報が発行されたものである。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和 5年11月 8日 :特許異議申立人神田紀子(以下、「申立人 」という。)による請求項1~14に係る 特許に対する特許異議の申立て
令和 6年 1月11日付け:取消理由通知書
同年 3月15日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提 出
同年 3月27日付け:通知書(訂正請求があった旨の通知)
同年 4月26日 :申立人による意見書の提出
同年 5月30日付け:取消理由通知書(決定の予告)
同年 7月30日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提 出
同年 8月13日付け:手続補正指令書(方式)
同年 8月29日 :手続補正書(方式)の提出(特許権者)
同年 9月 5日付け:通知書(訂正請求があった旨の通知)
なお、令和6年9月5日付け通知書により、期間を指定して申立人に意見を提出する機会を与えたが、期間内に意見書等の提出はなかった。
また、令和6年3月15日に提出された訂正請求書は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和6年7月30日提出の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~14について訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は以下のとおりである。(下線は訂正箇所を示す。)
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「障害物の座標情報に基づいて、前記障害物および前記障害物周辺の進入禁止エリアを決定する進入禁止エリア決定部と、取得される対象エリアから前記進入禁止エリアを除くことで、前記対象エリアの内部において移動装置が安全を確保して移動可能な移動許可エリアを決定する移動許可エリア決定部と、を備え、前記進入禁止エリア決定部は、前記障害物の外縁から前記進入禁止エリアの外縁に至る距離を、前記障害物の種類により決定する、」と記載されているのを、「使用者によってポインティングされた端点又は端辺上の座標を検出する座標測量装置によって測量された障害物の外周の座標情報、および前記座標測量装置から入力される、壁、法面、電柱および電線を含む前記障害物の種類に基づいて、前記障害物および前記障害物周辺の進入禁止エリアを決定する進入禁止エリア決定部と、取得される薬剤散布のために飛行する対象エリアから前記進入禁止エリアを除くことで、前記対象エリアの内部において薬剤散布をする移動装置が安全を確保して移動可能な移動許可エリアを決定する移動許可エリア決定部と、を備え、前記進入禁止エリア決定部は、前記障害物の外縁から前記進入禁止エリアの外縁に至る距離を、前記障害物の種類により決定し、前記障害物の外縁から前記進入禁止エリアの外縁に至る距離は、前記移動装置が衝突した場合の危険度が大きい障害物ほど大きい、」に訂正する。
(請求項1を引用する請求項2-11も同様に訂正する)。
(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項4に「前記進入禁止エリア決定部は、前記障害物の座標情報と、当該障害物の種類と、に基づいて、前記進入禁止エリアを決定する」と記載されているのを、「前記進入禁止エリア決定部は、前記座標測量装置によって測量された障害物の座標情報と、当該障害物の種類と、に基づいて、前記進入禁止エリアを決定する」に訂正する。
(請求項4を引用する請求項5-11も同様に訂正する)。
(3) 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項5に「前記移動許可エリア決定部は、前記障害物の高さ方向の座標情報に基づいて前記進入禁止エリアを算出し、3次元方向に規定される前記進入禁止エリアを前記対象エリアから除くことで、前記移動許可エリアを生成する」と記載されているのを、「前記移動許可エリア決定部は、前記座標測量装置によって測量された障害物の高さ方向の座標情報に基づいて前記進入禁止エリアを算出し、3次元方向に規定される前記進入禁止エリアを前記対象エリアから除くことで、前記移動許可エリアを生成する」に訂正する。
(請求項5を引用する請求項6-11も同様に訂正する)。
(4) 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項12に「障害物の座標情報に基づいて、前記障害物および前記障害物周辺の進入禁止エリアを決定するステップと、取得される対象エリアから前記進入禁止エリアを除くことで、前記対象エリアの内部において移動装置が安全を確保して移動可能な移動許可エリアを決定するステップと、前記障害物の外縁から前記進入禁止エリアの外縁に至る距離を、前記障害物の種類により決定するステップと、を実行する、」と記載されているのを、「使用者によってポインティングされた端点又は端辺上の座標を検出する座標測量装置によって測量された障害物の外周の座標情報、および前記座標測量装置から入力される、壁、法面、電柱および電線を含む前記障害物の種類に基づいて、前記障害物および前記障害物周辺の進入禁止エリアを決定するステップと、取得される薬剤散布のために飛行する対象エリアから前記進入禁止エリアを除くことで、前記対象エリアの内部において薬剤散布をする移動装置が安全を確保して移動可能な移動許可エリアを決定するステップと、前記障害物の外縁から前記進入禁止エリアの外縁に至る距離を、前記障害物の種類により決定するステップと、を実行し、前記障害物の外縁から前記進入禁止エリアの外縁に至る距離は、前記移動装置が衝突した場合の危険度が大きい障害物ほど大きい、」に訂正する。
(5) 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項13に「障害物の座標情報に基づいて、前記障害物および前記障害物周辺の進入禁止エリアを決定する命令と、取得される対象エリアから前記進入禁止エリアを除くことで、前記対象エリアの内部において移動装置が安全を確保して移動可能な移動許可エリアを決定する命令と、前記障害物の外縁から前記進入禁止エリアの外縁に至る距離を、前記障害物の種類により決定する命令と、をコンピュータに実行させる、」と記載されているのを、「使用者によってポインティングされた端点又は端辺上の座標を検出する座標測量装置によって測量された障害物の外周の座標情報、および前記座標測量装置から入力される、壁、法面、電柱および電線を含む前記障害物の種類に基づいて、前記障害物および前記障害物周辺の進入禁止エリアを決定する命令と、取得される薬剤散布のために飛行する対象エリアから前記進入禁止エリアを除くことで、前記対象エリアの内部において薬剤散布をする移動装置が安全を確保して移動可能な移動許可エリアを決定する命令と、前記障害物の外縁から前記進入禁止エリアの外縁に至る距離を、前記障害物の種類により決定する命令と、をコンピュータに実行させ、前記障害物の外縁から前記進入禁止エリアの外縁に至る距離は、前記移動装置が衝突した場合の危険度が大きい障害物ほど大きい、」に訂正する。
(6) 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項14に「障害物の座標情報に基づいて、前記障害物および前記障害物周辺の進入禁止エリアを決定する進入禁止エリア決定部と、取得される対象エリアから前記進入禁止エリアを除くことで、前記対象エリアの内部において前記ドローンが安全を確保して移動可能な移動許可エリアを決定する移動許可エリア決定部と、を備え、前記進入禁止エリア決定部は、前記障害物の外縁から前記進入禁止エリアの外縁に至る距離を、前記障害物の種類により決定する、」と記載されているのを、「使用者によってポインティングされた端点又は端辺上の座標を検出する座標測量装置によって測量された障害物の外周の座標情報、および前記座標測量装置から入力される、壁、法面、電柱および電線を含む前記障害物の種類に基づいて、前記障害物および前記障害物周辺の進入禁止エリアを決定する進入禁止エリア決定部と、取得される薬剤散布のために飛行する対象エリアから前記進入禁止エリアを除くことで、前記対象エリアの内部において薬剤散布をする前記ドローンが安全を確保して移動可能な移動許可エリアを決定する移動許可エリア決定部と、を備え、前記進入禁止エリア決定部は、前記障害物の外縁から前記進入禁止エリアの外縁に至る距離を、前記障害物の種類により決定し、前記障害物の外縁から前記進入禁止エリアの外縁に至る距離は、前記移動装置が衝突した場合の危険度が大きい障害物ほど大きい、」に訂正する。
2 一群の請求項について
本件訂正前の請求項1~14について、請求項2~11は、それぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、上記訂正事項1によって訂正される請求項1に連動して訂正される(請求項4は、訂正事項2によっても訂正され、請求項5~11は、訂正事項2および訂正事項3によっても訂正されている。)。
したがって、訂正前の請求項1~11に対応する訂正後の請求項1~11は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
3 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1) 訂正事項1
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の請求項1の進入禁止エリアについて、「使用者によってポインティングされた端点又は端辺上の座標を検出する座標測量装置によって測量された障害物の外周の座標情報、および前記座標測量装置から入力される、壁、法面、電柱および電線を含む前記障害物の種類」に基づいて決定することを特定し、対象エリアについて、「薬剤散布のために飛行する」ことを特定し、移動装置について、「薬剤散布をする」ことを特定し、さらに、障害物の種類によって決定される障害物の外縁から進入禁止エリアの外縁に至る距離について、「前記移動装置が衝突した場合の危険度が大きい障害物ほど大きい」ことを特定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、当該訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
「使用者によってポインティングされた端点又は端辺上の座標を検出する座標測量装置によって測量された障害物の外周の座標情報、および前記座標測量装置から入力される、壁、法面、電柱および電線を含む前記障害物の種類」の訂正について、段落【0045】には、「座標測量装置2は、RTK-GPSの移動局の機能を有する装置であり、圃場の座標情報を測量することができる。座標測量装置2は、使用者により保持して歩行することが可能な小型の装置であり、例えば棒状の装置である。座標測量装置2は、下端を地面についた状態で、使用者が直立して上端部を保持できる程度の長さの、杖のような装置であってもよい。・・・」との記載がされ、また段落【0046】には、「また、座標測量装置2は、圃場における障害物の情報を測量することができる。障害物は、ドローン100が衝突する危険のある壁や法面、電柱、電線などや、薬剤散布又は監視を要さない各種物体を含む。」との記載がされ、また段落【0047】には、「座標測量装置2は、入力部201、座標検出部202および送信部203を備える。」との記載がされており、当該座標測量装置2の使用についても段落【0048】には、「入力部201は、座標測量装置2の上端部に設けられる構成であり、例えば使用者の押下を受け付けるボタンである。使用者は、座標測量装置2の下端の座標を測量する際に、入力部201のボタンを押下する。」との記載がされ、また段落【0049】には、「さらに、入力部201は、障害物の外周の座標を、障害物の種類と関連付けて入力可能である。」との記載がされ、また段落【0050】には、「座標検出部202は、基地局404と適宜通信を行って座標測量装置2の下端の3次元座標を検出可能な機能部である。」との記載がされ、また段落【0052】には、「圃場の座標情報を読み取る工程において、使用者は、座標測量装置2を持って圃場を移動する。まず、当該圃場の3次元座標を取得する。使用者は、圃場の端点又は端辺上において入力部201によるポインティングを行う。次いで、使用者は、障害物の端点又は端辺上において入力部201によるポインティングを行う。」との記載がされている。
また、「薬剤散布のために飛行する対象エリア」及び「薬剤散布をする移動装置」の訂正について、段落【0032】には、「圃場403は、ドローン100による薬剤散布の対象となる田圃や畑等である。・・・」との記載がされ、また段落【0044】には、「・・・圃場は、対象エリアの例である。ドローン100は、移動装置の例である。」との記載がされている。
したがって、当該訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アの理由から明らかなように、訂正事項1は、発明特定事項を上位概念から下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(2) 訂正事項2及び3
ア 訂正の目的について
訂正前の請求項4及び5に係る発明は、訂正前の請求項1に係る発明を引用するものであるところ、訂正事項1で請求項1の「障害物」が「使用者によってポインティングされた端点又は端辺上の座標を検出する座標測量装置によって測量された障害物」に訂正されたことに伴い、訂正後の請求項4及び5に係る発明の「障害物」が指し示すものが当該座標測量装置によって測量された障害物であることを明確にすると共に、訂正後の請求項4及び5に係る発明における障害物をより具体的に特定し、更に限定するものであるため、訂正事項2及び3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮及び第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
「座標測量装置によって測量された障害物」の訂正については、上記(1)イに記載のように、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アの理由から明らかなように、訂正事項2及び3は、発明特定事項を上位概念から下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(3) 訂正事項4~6
訂正事項4~6に係る請求項12~14についての訂正は、訂正事項1に係る請求項1についての訂正と同じ内容の訂正であるから、上記(1)と同じ理由で、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(4)小括
上記のとおり、訂正事項1~6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。なお、本件においては、本件訂正前の全ての請求項1~14に係る特許に対して特許異議の申立てがされているので、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、本件訂正後の請求項〔1~11〕、12、13、14について訂正することを認める。
第3 特許異議の申立てについて
1 本件特許発明
本件訂正は前記第2のとおり認められたから、本件特許の請求項1~14に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」~「本件発明14」といい、これらを総称して「本件発明」という。)は、次に示す本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1~14に記載された事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
使用者によってポインティングされた端点又は端辺上の座標を検出する座標測量装置によって測量された障害物の外周の座標情報、および前記座標測量装置から入力される、壁、法面、電柱および電線を含む前記障害物の種類に基づいて、前記障害物および前記障害物周辺の進入禁止エリアを決定する進入禁止エリア決定部と、
取得される薬剤散布のために飛行する対象エリアから前記進入禁止エリアを除くことで、前記対象エリアの内部において薬剤散布をする移動装置が安全を確保して移動可能な移動許可エリアを決定する移動許可エリア決定部と、
を備え、
前記進入禁止エリア決定部は、前記障害物の外縁から前記進入禁止エリアの外縁に至る距離を、前記障害物の種類により決定し、前記障害物の外縁から前記進入禁止エリアの外縁に至る距離は、前記移動装置が衝突した場合の危険度が大きい障害物ほど大きい、
運転経路生成装置。
【請求項2】
前記進入禁止エリア決定部は、前記障害物の種類と前記進入禁止エリアの大きさとが関連付けられる障害物テーブルをあらかじめ記憶し、前記障害物テーブルを参照して、前記障害物の外縁から前記進入禁止エリアの外縁に至る前記距離を、前記障害物の種類により決定する、
請求項1記載の運転経路生成装置。
【請求項3】
前記移動許可エリア決定部は、少なくとも前記対象エリアの地面の高さと、前記対象エリアに生育する作物の高さと、飛行を制御する際に安全が担保できるマージンと、を合計して、前記移動許可エリアの高さ方向の範囲を決定する、
請求項1又は2記載の運転経路生成装置。
【請求項4】
前記進入禁止エリア決定部は、前記座標測量装置によって測量された障害物の座標情報と、当該障害物の種類と、に基づいて、前記進入禁止エリアを決定する、
請求項1乃至3のいずれかに記載の運転経路生成装置。
【請求項5】
前記対象エリアは3次元方向に規定されていて、
前記移動許可エリア決定部は、前記座標測量装置によって測量された障害物の高さ方向の座標情報に基づいて前記進入禁止エリアを算出し、3次元方向に規定される前記進入禁止エリアを前記対象エリアから除くことで、前記移動許可エリアを生成する、
請求項1乃至4のいずれかに記載の運転経路生成装置。
【請求項6】
前記移動許可エリア内に、1又は複数の整形エリアと、前記整形エリアよりも1個当たりの面積が小さい1又は複数の異形エリアと、を策定するエリア策定部と、
前記整形エリアと前記異形エリアとに、互いに異なる経路パターンで移動装置の運転経路の生成を行う経路生成部と、
をさらに備える、
請求項1乃至5のいずれかに記載の運転経路生成装置。
【請求項7】
前記エリア策定部は、凹多角形状の前記移動許可エリアに対し、それぞれが凸多角形である複数の前記整形エリアを生成可能である、
請求項6記載の運転経路生成装置。
【請求項8】
前記整形エリアの外縁を成す環状の外周エリアを生成する外周エリア生成部と、前記外周エリアを周回する周回運転経路を生成する外周経路生成部と、をさらに備える、
請求項6又は7記載の運転経路生成装置。
【請求項9】
前記外周エリアの内側に内側エリアを生成する内側エリア生成部と、前記内側エリアに往復する往復運転経路を生成する内側経路生成部と、をさらに備える、
請求項8記載の運転経路生成装置。
【請求項10】
前記整形エリアおよび異形エリアに対し、前記移動装置の運転性能に基づいて経路生成が可能か否かを判定する経路生成対象エリア確定部をさらに備える、
請求項6乃至9のいずれかに記載の運転経路生成装置。
【請求項11】
前記経路生成部は、前記対象エリアに複数種類の運転経路を生成可能であり、いずれの運転経路に決定するかを選択可能な経路選択部をさらに備え、前記経路選択部は、入力される優先順位の情報に基づいて運転経路を選択する、
請求項6乃至10のいずれかに記載の運転経路生成装置。
【請求項12】
コンピュータが、
使用者によってポインティングされた端点又は端辺上の座標を検出する座標測量装置によって測量された障害物の外周の座標情報、および前記座標測量装置から入力される、壁、法面、電柱および電線を含む前記障害物の種類に基づいて、前記障害物および前記障害物周辺の進入禁止エリアを決定するステップと、
取得される薬剤散布のために飛行する対象エリアから前記進入禁止エリアを除くことで、前記対象エリアの内部において薬剤散布をする移動装置が安全を確保して移動可能な移動許可エリアを決定するステップと、
前記障害物の外縁から前記進入禁止エリアの外縁に至る距離を、前記障害物の種類により決定するステップと、
を実行し、前記障害物の外縁から前記進入禁止エリアの外縁に至る距離は、前記移動装置が衝突した場合の危険度が大きい障害物ほど大きい、運転経路生成方法。
【請求項13】
使用者によってポインティングされた端点又は端辺上の座標を検出する座標測量装置によって測量された障害物の外周の座標情報、および前記座標測量装置から入力される、壁、法面、電柱および電線を含む前記障害物の種類に基づいて、前記障害物および前記障害物周辺の進入禁止エリアを決定する命令と、
取得される薬剤散布のために飛行する対象エリアから前記進入禁止エリアを除くことで、前記対象エリアの内部において薬剤散布をする移動装置が安全を確保して移動可能な移動許可エリアを決定する命令と、
前記障害物の外縁から前記進入禁止エリアの外縁に至る距離を、前記障害物の種類により決定する命令と、
をコンピュータに実行させ、前記障害物の外縁から前記進入禁止エリアの外縁に至る距離は、前記移動装置が衝突した場合の危険度が大きい障害物ほど大きい、運転経路生成プログラム。
【請求項14】
運転経路生成装置および飛行制御部を備えるドローンであって、
前記運転経路生成装置は、
使用者によってポインティングされた端点又は端辺上の座標を検出する座標測量装置によって測量された障害物の外周の座標情報、および前記座標測量装置から入力される、壁、法面、電柱および電線を含む前記障害物の種類に基づいて、前記障害物および前記障害物周辺の進入禁止エリアを決定する進入禁止エリア決定部と、
取得される薬剤散布のために飛行する対象エリアから前記進入禁止エリアを除くことで、前記対象エリアの内部において薬剤散布をする前記ドローンが安全を確保して移動可能な移動許可エリアを決定する移動許可エリア決定部と、
を備え、
前記進入禁止エリア決定部は、前記障害物の外縁から前記進入禁止エリアの外縁に至る距離を、前記障害物の種類により決定し、前記障害物の外縁から前記進入禁止エリアの外縁に至る距離は、前記移動装置が衝突した場合の危険度が大きい障害物ほど大きい、
ドローン。」
2 取消理由(決定の予告)の概要
令和6年5月30日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。
令和6年3月15日付けの訂正の請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1~請求項14に係る特許は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証~甲第6号証及び甲第8号証に記載された発明及び技術事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
甲第1号証:特開2017-33232号公報
甲第2号証:特開2017-142850号公報
甲第4号証:特開2015-113100号公報
甲第5号証:韓国公開特許第10-2018-0057021号公報
甲第6号証:中国特許出願公開第106289264号明細書
甲第8号証:特開2017-144811号公報
3 取消理由(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由及び引用しなかった甲号証及び参考資料
上記取消理由(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由はない。
また、上記取消理由(決定の予告)で引用しなかった甲号証及び参考資料は以下のとおりである。
甲第3号証:特開2008-152599号公報
甲第7号証:特表2018-510423号公報
参考資料1:特開2002-243505号公報
甲第1号証ないし甲第8号証(以下「甲1」等という。)は特許異議申立書に添付され、参考資料1は令和6年4月26日に申立人が提出した意見書に添付されたものである。
4 甲号証及び参考資料
(1) 甲1
ア 甲1の記載事項
甲1には以下の記載がある(下線は、当審において付した。以下、同様。)。
(ア)「【0001】
本発明は、移動空間内を自律的に飛行する自律飛行ロボットに関する。」
(イ)「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような飛行制御の場合、突風が生じたときに対応が追い付かず障害物に衝突してしまう恐れがあった。また、急に風向きが変化した場合も、機体の傾斜する方向が前後方向や左右方向に大きく変化して、機体動揺してしまい、障害物に衝突してしまう恐れがあった。
【0006】
そこで、本発明は、風速が大きいほど障害物などの飛行禁止エリアから大きく離れるような移動経路を設定することにより、自律飛行ロボットが風によって飛行禁止エリアに進入する危険性を少なくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの態様は、移動空間内を自律飛行する自律飛行ロボットであって、前記移動空間内に設定された飛行禁止エリアを記憶した記憶部と、前記移動空間における前記自律飛行ロボットの自己位置を推定する位置推定手段と、前記移動空間における風速を計測する風測定手段と、前記自己位置から所定の移動目標位置に至る移動経路を算出する経路探索手段と、前記移動経路に沿って移動するよう制御する移動制御手段と、を有し、前記経路探索手段は、前記風速が大きいほど前記飛行禁止エリアからより遠くに離れた位置に前記移動経路を生成することを特徴とする自律飛行ロボットである。」
(ウ)「【0009】
また、前記経路探索手段は、現在から過去の所定期間における最大瞬間風速が大きいほど前記飛行禁止エリアからより遠くに離れた位置に前記移動経路を生成することが好適である。」
(エ)「【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、移動空間内に生じている風によって、飛行禁止エリアへの意図しない侵入の危険性を少なくすることができる自律飛行ロボットを提供することができる。」
(オ)「【0014】
自律飛行ロボット1は、図2のシステム構成図に示すように、外部の警備センタ100や管理装置102と通信し、移動空間内に存在する所定の移動物体を目標対象物Mとして追跡し、当該目標対象物Mに対して所定の機能を発揮するように構成されている。目標対象物Mとなる移動物体は、例えば、監視領域内に侵入した人物(賊等)や車両等である。本実施形態では、所定の機能として、目標対象物Mを撮像する機能を例に説明するが、特に限定されるものではなく、目標対象物Mに対して音を発したり、発光による警告を行ったりする等の機能であってもよい。
【0015】
警備センタ100と管理装置102とはインターネット等の情報通信網110を介して情報伝達可能に接続される。また、自律飛行ロボット1と管理装置102は、無線通信等によって情報伝達可能に接続される。
【0016】
警備センタ100は、管理装置102を介して自律飛行ロボット1と通信を行い、自律飛行ロボット1によって撮像された目標対象物Mの撮像画像を受信する。警備センタ100は、撮像画像に対して画像処理を行い、警備センタ100にて異常監視している管理者等(図示しない)に警告を発するような機能を備えていてもよい。また、管理装置102から目標対象物Mの位置(座標)に関する情報を受信し、当該目標対象物Mと自律飛行ロボット1によって撮像された撮像画像とを関連付けて管理するというような機能を備えてもよい。」
(カ)「【0025】
記憶部8は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の情報記憶装置である。記憶部8は、各種プログラムや各種データを記憶し、制御部7との間でこれらの情報を入出力する。各種データには、目標対象物位置81、風速情報82、ボクセル情報83、移動空間グラフ情報84、各種パラメータ85等の制御部7の各処理に用いられる情報、各センサ等の出力値及び撮像画像等が含まれる。」
(キ)「【0028】
ボクセル情報83は、移動空間をボクセル空間として複数のボクセルに分割して移動空間の障害物の構造等を表した情報であり、予め管理者等によって設定され記憶部8に記憶され、また、後述するように位置推定手段71及び経路探索手段73にて更新される情報である。本実施形態では、移動空間を所定の大きさ(例えば15cm×15cm×15cm)のボクセルに等分割し、各ボクセルの識別子であるボクセルIDと、移動空間におけるボクセルの位置(三次元座標)と、ボクセル属性と、ボクセルコスト値とを対応付けてボクセル情報83として記憶する。ボクセル属性には、飛行禁止エリアに相当するボクセルを「占有ボクセル」と定義して、自律飛行ロボット1が移動できない空間とする。なお飛行禁止エリアには、例えば建造物等の障害物に相当するエリア、飛行が許可された敷地外のエリア、飛行が許可された高度よりも高いエリアなどが挙げられる。そして、占有ボクセルの近くに存在する空間に位置するボクセルを「近接ボクセル」、それ以外の自由に飛行可能なエリアに位置するボクセルを「自由ボクセル」として定義する。」
(ク)「【0030】
移動空間グラフ情報84は、ボクセル情報83に基づいて作成された3次元グラフ情報である。」
(ケ)「【0032】
制御部7は、CPU等を備えたコンピュータで構成され、位置推定処理、速度推定処理、ボクセル情報更新処理、移動経路生成処理、移動制御処理(経路追従制御)を行う一連の処理として、位置推定手段71、速度推定手段72、経路探索手段73、移動制御手段74を含んでいる。」
(コ)「【0036】
なお、位置推定手段71は、目標対象物Mの位置に基づいてボクセル情報83を更新する処理を行う。具体的には、記憶部8のボクセル情報83に基づいたボクセル空間に目標対象物Mの位置を中心として予め定めた目標対象物Mの大きさと略同じ大きさの円柱モデル(例えば、監視対象の目標対象物Mを侵入者であるとしたとき、底面の半径0.3m、高さ1.7mの円柱モデル)を配置し、当該円柱モデルと干渉するボクセルを占有ボクセルとして設定することによりボクセル情報83を更新する。後述するように、自律飛行ロボット1は、占有ボクセルには移動しないように飛行制御されるが、上記のように目標対象物Mの位置に基づいてボクセル情報83を更新することにより、自律飛行ロボット1と目標対象物Mとの接触を回避することができる。」
(サ)「【0038】
経路探索手段73は、自律飛行ロボットの現在位置(自己位置)から所定の移動目標位置に至る移動経路を算出する処理を行う。特に、本実施形態における経路探索手段73は、移動経路を算出する際、風速情報82に基づいて風速が大きいほど占有ボクセル(飛行禁止エリア)からより遠くに離れた位置に移動経路を生成する。
【0039】
まず、経路探索手段73は、記憶部8に記憶された風速情報82に基づいてボクセル情報83を更新するボクセル情報更新処理を行う。以下、ボクセル情報更新処理の詳細について説明する。ボクセル情報更新処理では、移動空間における風速情報82の風速値が大きいほど、近接ボクセルの範囲が大きく(広く)設定されるように、ボクセルコスト値を算出する。なお、本実施形態におけるボクセル情報更新処理では、自己位置に最も近い位置に設置された風速計105の風速値を利用することとして以下で説明する。自律飛行ロボット1自体が風速計105を搭載している他の実施形態においては、当該搭載している風速計105の風速値をボクセル情報更新処理にて利用することとし、搭載している風速計105が故障等によって利用できないときは、自己位置に近い位置に設置された風速計105の風速値を利用することとする。」
(シ)「【0041】
図5は、ボクセル情報更新処理によって再設定されたボクセル情報83を説明する図であり、時刻tのときにボクセルで表示した移動空間の一部を真上から見下ろしたときの図について表している。図5において、符号B1で表わした黒色で塗られた領域は「占有ボクセル」を示し、例えば、建造物などを構成する物体が占有する空間である。また、符号B2で表わしたハンチングで塗られた領域は「近接ボクセル」であり、符号B3で表わした白色の領域(何も塗られていない領域)は「自由ボクセル」である。図5(a)は、風速が小さい(弱風)のときに設定されたボクセル情報83を表しており、図5(b)は、風速が大きい(強風)のときに設定されたボクセル情報83を表している。図5に表すように、移動空間における風速が大きくなるほど、占有ボクセルから離れた位置にあるボクセルが、(自由ボクセルではなく)近接ボクセルとして設定されることになる。」
(ス)「【0043】
続いて、経路探索手段73は、位置推定手段71で推定された自己位置及び目標対象物位置81と、記憶部8に記憶された各種情報とを用いて自律飛行ロボット1の移動経路を算出する移動経路生成処理を行う。」
(セ)「【0048】
以下に、A*経路探索法による移動経路の生成について簡単に説明する。A*経路探索法では、まず、スタートノードに隣接する一又は複数のノード(隣接ノード)を評価ノードとして設定するところから開始する。この際、ボクセル情報83のボクセル属性を参照し、占有ボクセル又は近接ボクセルに相当する位置にある隣接ノードは評価ノードから除外し、占有ボクセル又は近接ボクセルに移動経路が生成されないようにする。そして、それぞれの評価ノードについて式(2)により総コスト値を求める。次に、評価ノードの中で最小の総コスト値となるノードを注目ノードと称したとき、当該注目ノードの(これまで評価ノードと設定されていない新たな)隣接ノードを新たに評価ノードとして追加し、新たに追加された評価ノードに対しても同様に総コスト値を求める。続いて、同様に全ての評価ノードの中で最小の総コスト値となる評価ノードを注目ノードに再設定する。このように、評価ノードの総コスト値に基づいた注目ノードの再設定と、当該再設定に伴う新たな評価ノードの追加及び総コスト値の計算を繰り返し、最終的にゴールノードが注目ノードとして設定されたとき、経路の探索は終了する。」
(ソ)「【0050】
なお、経路の探索方法は、A*経路探索法に限定されるものでなく、ダイクストラ法等の他の経路探索方法を適用してもよい。
【0051】
移動制御手段74は、経路探索手段73にて算出された移動経路と位置推定手段71にて推定された自己位置と速度推定手段72で推定された飛行速度とを用いて、自律飛行ロボット1が経路探索手段73で算出された移動経路に沿って飛行するように経路追従制御を行う。具体的には、移動経路、自己位置及び飛行速度を用いて各時刻での飛行制御値である制御指令値を求め、当該制御指令値に基づいてモータ4を制御し、ロータ2の回転数を制御する。」
(タ)「
[図:0001425713000001.jpg]
」
(チ)「
[図:0001425713000002.jpg]
」
イ 甲1の認定事項
(ア)上記ア(キ)の記載事項から、占有ボクセルは、障害物の位置(座標)に基づいて設定されることは明らかである。
(イ)上記ア(オ)の記載事項から、「移動空間」は、目標対象物Mを撮像するために飛行するエリアであり、「自律飛行ロボット」は、目標対象物Mを撮像する装置である、と認められる。
ウ 甲1記載の発明及び事項
上記アの記載事項及び上記イの認定事項を総合すると、甲1には、「自律飛行ロボット」に関して、次の発明(以下、「甲1発明」という。)及び事項(以下、「甲1記載事項」という。)が記載されている。
〔甲1発明〕
「障害物の位置(座標)に基づいて、占有ボクセルと、前記占有ボクセルの近くに存在する空間に位置する近接ボクセルを設定するボクセル情報更新処理を行う位置推定手段71及び経路探索手段73と、
目標対象物Mを撮像するために飛行する移動空間における前記占有ボクセルと前記近接ボクセル以外の、目標対象物Mを撮像する自律飛行ロボットが自由に飛行可能なエリアに位置するボクセルを、自由ボクセルとして設定するボクセル情報更新処理を行う前記位置推定手段71及び前記経路探索手段73と、
を備え、
前記移動空間における風速が大きくなるほど、前記占有ボクセルから離れた位置にあるボクセルを前記近接ボクセルとして設定する、
制御部7。」
〔甲1記載事項〕
「位置推定手段71、経路探索手段73及び移動制御手段74を備える自律飛行ロボット。」
(2) 甲2
ア 甲2の記載事項
甲2には以下の記載がある。
(ア)「【0002】
あらゆる国の航空交通管制(例えば、米国では、FAA)は、空港または他の区域の近くの領空に対する様々な規制を有する。例えば、空港のある特定の距離内において、全てのUAVは、高度または範囲でも、飛行を禁止される。つまり、UAVを空港のある特定の距離内で飛行させることは違法である。実際、それはまた、極めて危険である。」
(イ)「【0112】
図7は、本発明のある態様に従って、機上メモリユニット750を備えた無人航空機700の例である。UAVは、UAVの飛行に作用する1つ以上のコマンド信号を生成し得る飛行制御装置720を有し得る。位置ユニット740は設置され得る。位置ユニットは、UAVの位置を示すデータを提供し得る。位置ユニットは、UAVの位置を判定するために有用な以下のデバイスであり得る。GPS受信機、位置データを外部デバイスから受信している通信モジュール、超音波センサ、視覚センサ、IRセンサ、慣性センサ、または任意の他の種類のデバイス。飛行制御装置は、UAVの位置を使用して、飛行コマンド信号を生成できる。
【0113】
メモリユニット750は、1つ以上の飛行制限区域の位置に関するデータを含み得る。例えば、1つ以上の機上データベースまたはメモリ755Aは設置され、飛行制限区域とそれらの位置の少なくとも一方の一覧を記憶し得る。1つの例において、空港等の様々な飛行制限区域の座標は、UAVの機上メモリ内に記憶され得る。1つの例において、メモリ記憶デバイスは、多くの空港の緯度及び経度座標を記憶し得る。世界、大陸、国、世界の区域の全ての空港は、メモリユニット内に記憶され得る。他の種類の飛行制限区域は記憶され得る。座標は、緯度及び経度座標だけを含み得る。さらに高度座標を含み得るか、または飛行制限区域の境界を含み得る。このように、位置と関連規則の少なくとも1つ等の飛行制限区域に関する情報は、UAV上に事前にプログラムされ得る。1つの例において、あらゆる空港の緯度及び経度座標は、それぞれ「二重」データタイプとして記憶され得る。例えば、あらゆる空港の位置は、16バイトを占め得る。」
(ウ)「【0115】
ある事例において、他のデータはUAV機上に記憶され得る。例えば、データベース及びメモリ755Bの少なくとも1つは、特定の飛行制限区域または異なる管轄に関係する規則に従事し得る。例えば、メモリは、異なる管轄の飛行規則に関して機上で情報を記憶し得る。例えば、国Aは、UAVに空港の5マイル内での飛行を許可し得ない。一方では、国Bは、UAVに空港の9マイル内での飛行を許可し得ない。別の例において、国Aは、UAVに授業時間中に学校の3マイル内での飛行を許可し得ない。一方では、国Bは、学校の近くでのUAVの飛行に関する一切の制限を有さない。ある事例において、規則は、管轄に特有であり得る。ある事例において、規則は、管轄に関わらず、飛行制限区域に特有であり得る。例えば、国A内で、空港Aは、空港の5マイル内のどこでもUAVの飛行を常時許可し得ない。一方で、空港Bは、午前1:00~5:00に空港の近くでUAVの飛行を許可し得る。その規則は、UAV機上で記憶され得る。場合によっては関連した管轄と飛行制限区域の少なくとも一方に関連し得る。
【0116】
飛行制御装置720は、機上メモリにアクセスして、UAVと飛行制限区域の距離を計算し得る。飛行制御装置は、位置ユニット740からの情報をUAVの位置として使用でき、機上メモリ750からの情報を飛行制限区域の位置に対して使用できる。UAVと飛行制限区域の距離の計算は、プロセッサを利用して、飛行制御装置によって行われ得る。」
(エ)「【図7】
[図:0001425713000003.jpg]
」
イ 甲2記載事項
上記アの記載事項を総合すると、甲2には、次の事項(以下、「甲2記載事項1」、「甲2記載事項2」という。)が記載されている。
〔甲2記載事項1〕
「飛行制限区域を表す座標と飛行制限区域に関係する規則がデータベース及びメモリ755Bに記憶され、例えば、国Aは、UAVに空港の5マイル内での飛行を許可し得ず、授業時間中に学校の3マイル内での飛行を許可し得ないこと。」
〔甲2記載事項2〕
「飛行制限区域の座標は、飛行制限区域の境界を含み得ること。」
(3) 甲4
ア 甲4の記載事項
甲4には以下の記載がある。
(ア)「【0001】
本発明は、無線通信によって無人飛行体を制御して飛行させ、無人飛行体によって目標物の情報を取得する技術に関する。」
(イ)「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、飛行する撮影現場の構造物の状況は、リアルタイムで変化する。
しかし、特許文献1のように、飛行する撮影現場のリアルタイムの状況とは関係なく予め記憶させた飛行ルートに沿ってラジコンヘリコプタを飛行させると、ラジコンヘリコプタが撮影現場の構造物に接触してしまう可能性がある。」
(ウ)「【0041】
図7は、飛行時障害物を測量する一例を説明するための図である。図7に示す例では、飛行時障害物は、道路201の脇のビル202や樹木203となる。なお、飛行時障害物は、本例のような道路脇のビル202や樹木203に限定されないことは言うまでもなく、例えば、道路201に駐車されている自動車等も含む。
【0042】
このような飛行時障害物がある場合、作業者は、飛行時障害物の外観における予め決められた基準点Aを測量装置50によって測量する。ここで、予め決められた基準点とは、飛行時障害物(例えば、ビル202や樹木203)の大きさ(幅、奥行き、高さ等)を特定するために予め決められている飛行時障害物の外観上の位置である。
【0043】
次に、ステップS2では、測量装置50は、測量結果をRC制御装置30に送信する。ここで、測量結果には、RC撮影装置10の位置、撮影目標物の位置、及び飛行時障害物についての基準点の位置が含まれる。さらに、測量結果には、RC撮影装置10の位置、撮影目標物の位置、及び基準点の位置をそれぞれ判別できる付加情報が含まれる。さらに、測量結果には、基準点について、幅、奥行き、高さのどれを示すかを判別できる付加情報が含まれる。
【0044】
これに対して、ステップS3では、RC制御装置30の飛行経路算出部33は、飛行時障害物の幅、奥行き、及び高さを示す基準点の位置を基に、当該飛行時障害物を3次元の四角柱又は円柱の物体として推定する。さらに、このとき、飛行経路算出部33は、予め設定されている補正値を幅、奥行き、及び高さに加算することで、その3次元の四角柱又は円柱の物体を、本来の飛行時障害物よりも大きい物体として推定する。ここで、補正値は、実験的、経験的、又は理論的に予め設定されている値である。また、補正値は、使用者によって変更可能とされても良い。また、飛行経路算出部33は、高さを示す基準点の情報がない場合、物体の高さを予め設定されている高さに推定しても良い。
【0045】
ここで、図8には、飛行経路算出部33が推定した四角柱又は円柱の物体(図8に破線で示す物体)の一例を示す。図8に示すように、本実施形態では、ビル202を実際の大きさよりも大きい四角柱の物体202Aとして推定し、樹木203を実際の大きさよりも大きい円柱の物体203Aとして推定している。」
(エ)「【図8】
[図:0001425713000004.jpg]
」
イ 甲4記載事項
上記アの記載事項(特に、【0042】)を総合すると、甲4には、次の事項(以下、「甲4記載事項」という。)が記載されている。
〔甲4記載事項〕
「作業者は、飛行時障害物(例えば、ビル202や樹木203)の大きさ(幅、奥行き、高さ等)を特定するために予め決められている飛行時障害物の外観上の位置である基準点Aを測量装置50によって測量すること。」
(4) 甲5
ア 甲5の記載事項
甲5には以下の記載がある。付記した訳文は、申立人が特許異議申立書に添付した訳文の記載に基づく。
(ア)「
[図:0001425713000005.jpg]
」
([0002]無人機(UAV、Unmanned Aerial Vehicle)が脚光を浴び始めながら、無人機の多様な活用領域に対する関心も高くなった。無人機は公衆撮影、品物の配達、レジャーなどの分野に使われることができる。これ以外にも無人機は従来へリコプターや軽飛行機を通じて広範囲な耕作地に対して行われた公衆防除を小規模の耕作地でも容易に成り立つことができるようにする。
[0003]無人機を利用して防除を実施する場合、人が直接防除を実施するのではなくて飛行する無人機で防除剤を重力を利用して投下する方式になるので、防除しようとする領域に均一に防除剤を撒布するのに困難がある。しかし全体的に等しい耕作物を育てていたら、均一な防除が成り立たなければならない必要がある。)
(イ)「
[図:0001425713000006.jpg]
」
([0060]防除経路設定部(34)は飛行領域内での防除経路(52、61、62、63、64)を設定する構成要素である。飛行領域はインターフェース部(31)で使用者によって指定された防除領域(40)と防除領域(40)の前後に形成される変速領域(44)を含む領域である。よって指定インターフェース(40)と変速領域(44)に対する情報を受け入れるために防除経路設定部(34)は変速領域設定部(35)及びインターフェース部(31)に連結されている。ここで防除領域(40)と言うのは、無人機(2)が飛行しながら防除を実施しなければならない領域で、使用者が無人機制御装置(3)を通じて指定する。)
(ウ)「
[図:0001425713000007.jpg]
」
([0063]防除経路設定部(34)は障害物(311、312、313、314)が指定された防除領域(40)近隣に位置した場合、防除領域(40)を複数の小領域(431、432、433、434)で分割して防除経路(52、61、62、63、64)をそれぞれの小領域(431、432、433、434)に対して独立的に設定することができる。)
(エ)「
[図:0001425713000008.jpg]
」
([0095]図8を参照すると、基本的に図4と等しいが畑領域の周辺で障害物(311、312、313、314)が形成されていることを確認することができる。障害物(311、312、313、314)には一般的に電信柱、電線、高層建物、高い地形などがあることができるが障害物(311、312、313、314)はこれに限定されない。障害物(311、312、313、314)に対する情報はGIS地図に含まれていることもできるが、使用者がインターフェース部(31)を通じて直接入力することもできる。)
(オ)「
[図:0001425713000009.jpg]
」
([0103]図10では指定された防除領域(40)が計4個の小領域(431、432、433、434)に分割された状況を図示した。
[0104]図11は本発明の他の実施例による無人機制御装置(3)の複数の小領域(431、432、433、434)内に防除経路(61、62、63、64)を設定した状況を示した図面である。)
(カ)図10
「
[図:0001425713000010.jpg]
」
(キ)図11
「
[図:0001425713000011.jpg]
」
(5) 甲6
ア 甲6の記載事項
甲6には以下の記載がある。付記した訳文は、申立人が特許異議申立書に添付した訳文の記載に基づく。
(ア)「
[図:0001425713000012.jpg]
」
([0018]工程B:それぞれの副領域域内に領域幅最小の航跡計画アルゴリズムに基づいて無人機航跡計画を行うことを運用する;)
(イ)「
[図:0001425713000013.jpg]
」
([0040]図7は本発明の所定の1個に覆うまで多角形領域がサブ領域が概略図を分割する;
[0041]図8は本発明の所定の1個に覆うまで多角形領域であり航跡計画およびタスクが概略図を分割することを行う;)
(ウ)図7
「
[図:0001425713000014.jpg]
」
(エ)図8
「
[図:0001425713000015.jpg]
」
(6) 甲8
ア 甲8の記載事項
甲8には以下の記載がある。
(ア)「【図6】 本願発明に係る薬剤散布システムの実施例に係るドローンによる圃場形状把握モードにおける飛行制御方法(周辺部飛行)を表わした図である。
(イ)「【図8】 本願発明に係る薬剤散布システムの実施例に係るドローンによる薬剤散布モードにおける飛行制御方法の例を表わした図である。」
(ウ)「【図6】
[図:0001425713000016.jpg]
」
(エ)「【図8】
[図:0001425713000017.jpg]
」
(7) 甲3
ア 甲3の記載事項
甲3には以下の記載がある。
(ア)「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の移動経路作成方法では、自律移動体に搭載された外界センサにより検出された障害物について、その障害物の周りに仮想的な禁止領域を設定し、禁止領域を回避するような経路を探索していた。このとき、外界センサにより検出された障害物は、全て等価に扱われ、障害物の周りの禁止領域の大きさは一定であった。」
(イ)「【0033】
移動障害物2a,2bに対して設定された禁止領域3a,3bでは、自律移動体10の現在位置から遠い禁止領域3bよりも、自律移動体10の現在位置から近い禁止領域3aの方が大きい。ここで、禁止領域の大きさは、禁止領域の、移動障害物の外周より外側に広がる程度を指す。移動障害物が複数ある場合に、移動障害物の大きさが同じときは、禁止領域が大きいことは禁止領域の面積が大きいことを意味するが、移動障害物の大きさが異なるときは、禁止領域が大きいことは必ずしも禁止領域の面積が大きいことは意味せず、あくまで移動障害物の外周より外側に広がる程度によって禁止領域の大きさが決まる。」
(8)甲7
ア 甲7の記載事項
甲7には以下の記載がある。
(ア)「【図20】実施形態による、複数の飛行制限ストリップにより画定される不規則多角形エリアを示す。
【図21】実施形態による、不規則多角形エリアを埋める複数の飛行制限ストリップを示す。」
(イ)「【図20】
[図:0001425713000018.jpg]
」
(ウ)「【図21】
[図:0001425713000019.jpg]
」
(9)参考文献1
ア 参考資料1の記載事項
参考文献1には以下の記載がある。
(ア)「【0012】
【発明の実施の形態】実施の形態1.本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施の形態に係る測量支援システムは、図1に示すように、顧客側に配置されるパーソナルコンピュータ(PC)1と、測量支援装置(及び測量支援端末)としてのノート型パーソナルコンピュータ(ノートパソコン)2と、物件データベース3と、Webサーバ4とから基本的に構成されている。・・・」
(イ)「【0014】操作部7は、トラックパッド等のポインティングデバイスとキーボード等であり、利用者の操作内容をCPU5に伝達する。表示部8は、液晶ディスプレイなどであり、CPU5から入力される指示に基づいて情報を表示する。カードインタフェース9は、CPU5と位置検出カード10との間で情報を授受するもので、例えばPCMCIAインタフェースである。位置検出カード10は、GPS(Global Positioning System)等、現在位置の情報を測定するもので、具体的にはPCMCIAカードとして市販されているGPSカードを用いる。そしてこの位置検出カード10は、カードインタフェース9を介してCPU5に接続されている。
【0015】ここで、ノートパソコン2のCPU5の測量支援プログラムの処理について説明する。このCPU5が本発明の各手段を実現する。CPU5は、操作部7から測定指示の入力を受けると、位置検出カード10で検出される位置情報(緯度及び経度を含む情報)を取得して、RAM6に蓄積する。また、CPU5は、測定指示の入力を受けている間は、位置検出カード10で検出される現在位置の情報を断続的に取得して、RAM6に蓄積する。これによりRAM6には、図3に示すように、緯度及び経度の組を含んでなる複数の位置情報が測量情報として蓄積されているようになる。尚、図3では、これらの情報を取得した時刻(測定時刻)と高度の情報をも関連づけられているものとしている。また、このCPU5は、測定終了の指示の入力を受けると、RAM6に蓄積した緯度及び経度の情報に基づいて、測定順に経緯度の点を結んで得られる輪郭画像を生成して、表示部8に表示する。この表示結果は、具体的に図4に示すようなものとなる。尚この表示は、地図画像に併せて行うことが好ましい。
【0016】これにより測量しようとする担当者が、このノートパソコン2を携帯して測定指示を行いつつ、測量対象となった物件の外周を辿ることで、ノートパソコン2内にその外周上の緯度・経度の組を含んでなる測量情報が蓄積され、容易に測量を完了できる。」
(ウ)「【0023】これにより顧客はインターネットを介して地番地図の作成依頼を容易に行うことができ、また測量担当者は、測量のために特別の技能を拾得する必要がなく、単にノートパソコン2を所持して物件の外周を辿るだけで容易に測量を完了できる。」
(エ)「【0033】また、本発明によれば、物件の測量を支援するために、測定指示を受けて現在位置の情報を取得し、この取得された現在位置の情報を順次蓄積して測量情報を生成する測量支援装置としているので、測量対象物件の周囲を測定指示を行いながら辿るだけの簡便な操作で測量を行うことができ、低廉なコストで迅速かつ高精度の測量が支援される。」
5 取消理由(決定の予告)に記載した取消理由について
(1) 本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「障害物の位置(座標)」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本件発明1の「障害物の外周の座標情報」に相当し、以下同様に、「占有ボクセルと、占有ボクセルの近くに存在する空間に位置する近接ボクセル」は「前記障害物および前記障害物周辺の進入禁止エリア」に、「制御部」は「運転経路生成装置」に、それぞれ相当する。
そうすると、甲1発明の「障害物の位置(座標)に基づいて、占有ボクセルと、前記占有ボクセルの近くに存在する空間に位置する近接ボクセルを設定するボクセル情報更新処理を行う位置推定手段71及び経路探索手段73」は、ボクセルの移動空間における位置(三次元座標)がボクセル情報として記憶されるものであるから、本件発明1の「使用者によってポインティングされた端点又は端辺上の座標を検出する座標測量装置によって測量された障害物の外周の座標情報、および前記座標測量装置から入力される、壁、法面、電柱および電線を含む前記障害物の種類に基づいて、前記障害物および前記障害物周辺の進入禁止エリアを決定する進入禁止エリア決定部」と、「障害物の外周の座標情報」「に基づいて、前記障害物および前記障害物周辺の進入禁止エリアを決定する進入禁止エリア決定部」の限りにおいて共通する。
また、甲1発明の「目標対象物Mを撮像するために飛行する移動空間」は、何らかの方法で取得されるものであるから、本件発明1の「取得される薬剤散布のために飛行する対象エリア」と、「取得される」「飛行する対象エリア」の限りにおいて共通し、甲1発明の「目標対象物Mを撮像する自律飛行ロボット」は、本件発明1の「薬剤散布をする移動装置」と、「移動装置」の限りにおいて共通する。
そうすると、甲1発明の「目標対象物Mを撮像するために飛行する移動空間における前記占有ボクセルと前記近接ボクセル以外の、目標対象物Mを撮像する自律飛行ロボットが自由に飛行可能なエリアに位置するボクセルを、自由ボクセルとして設定するボクセル情報更新処理を行う前記位置推定手段71及び前記経路探索手段73」は、本件発明1の「取得される薬剤散布のために飛行する対象エリアから前記進入禁止エリアを除くことで、前記対象エリアの内部において薬剤散布をする移動装置が安全を確保して移動可能な移動許可エリアを決定する移動許可エリア決定部」と、「取得される」「飛行する対象エリアから前記進入禁止エリアを除くことで、前記対象エリアの内部において」「移動装置が安全を確保して移動可能な移動許可エリアを決定する移動許可エリア決定部」の限りにおいて共通する。
したがって、本件発明1と甲1発明とは、次の一致点で一致し相違点1ないし4で相違する。
〔一致点〕
「障害物の外周の座標情報に基づいて、前記障害物および前記障害物周辺の進入禁止エリアを決定する進入禁止エリア決定部と、
取得される飛行する対象エリアから前記進入禁止エリアを除くことで、前記対象エリアの内部において移動装置が安全を確保して移動可能な移動許可エリアを決定する移動許可エリア決定部と、
を備えた、
運転経路生成装置。」
〔相違点1〕
障害物の外周の座標情報に関して、本件発明1は、「使用者によってポインティングされた端点又は端辺上の座標を検出する座標測量装置によって測量され」るのに対し、甲1発明は、そのように測量されていない点。
〔相違点2〕
進入禁止エリアに関して、本件発明1は、「障害物の外周の座標情報、および前記座標測量装置から入力される、壁、法面、電柱および電線を含む障害物の種類」に基づいて決定するのに対し、甲1発明はそのように決定されていない点。
〔相違点3〕
進入禁止エリア決定部に関して、本件発明1は、「障害物の外縁から進入禁止エリアの外縁に至る距離を、前記障害物の種類により決定し、前記障害物の外縁から前記進入禁止エリアの外縁に至る距離は、前記移動装置が衝突した場合の危険度が大きい障害物ほど大きい」のに対し、甲1発明は、移動空間における風速が大きくなるほど、占有ボクセルから離れた位置のボクセルを近接ボクセルとして設定するものの、障害物の外縁から進入禁止エリアの外縁に至る距離を、障害物の種類により決定し、移動装置が衝突した場合の危険度が大きい障害物ほど大きくしていない点。
〔相違点4〕
対象エリア及び移動装置に関して、本件発明1は、「薬剤散布のために飛行する」及び「薬剤散布をする」ものであるのに対し、甲1発明はそのように特定されていない点。
イ 判断
事案に鑑み上記相違点3について検討する。
上記4(2)イにおいて上述したとおり、甲2記載事項1は「飛行制限区域を表す座標と飛行制限区域に関係する規則がデータベース及びメモリ755Bに記憶され」ることを含むものであるが、相違点3に係る本件発明1の発明特定事項を開示ないし示唆するものではない。
さらに、甲4~甲6及び甲8には、上記4(3)ないし上記4(6)に摘記した事項が記載されているが、相違点3に係る本件発明1の発明特定事項を開示あるいは示唆するものではない。
また、取消理由において引用しなかった甲3、甲7及び参考資料1の記載も、相違点3に係る本件発明1の発明特定事項を開示あるいは示唆するものではない。
したがって、甲1発明において、上記相違点3に係る本件発明1の構成とすることは、甲2ないし甲9及び参考資料1の記載を考慮しても、当業者が容易に想到できたものではない。
よって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明並びに甲2ないし甲9及び参考資料1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。
(2)本件発明2ないし11について
本件発明2ないし11は、本件発明1の発明特定事項をすべて有し、さらに構成を付加したものである。
そして、上記(1)イで示したとおり、本件発明1は、少なくとも上記相違点3に係る本件発明1の発明特定事項について、甲2ないし甲9及び参考資料1の記載を考慮しても、当業者が容易に想到できたものではない。
したがって、その余の構成について判断するまでもなく、本件発明2ないし11は、甲1発明並びに甲2ないし甲9及び参考資料1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。
(3)本件発明12について
本件発明12は、「運転経路生成装置」に係る発明である本件発明1を「運転経路生成方法」の発明として表現したものであって、その実質的な内容は本件発明1と同じであるから、上記(1)イに記載した本件発明1と同様の理由により、本件発明12は、甲1発明並びに甲2ないし甲9及び参考資料1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)本件発明13について
本件発明13は、「運転経路生成装置」に係る発明である本件発明1を「運転経路生成プログラム」の発明として表現したものであって、その実質的な内容は本件発明1と同じであるから、上記(1)イに記載した本件発明1と同様の理由により、本件発明13は、甲1発明並びに甲2ないし甲9及び参考資料1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(5)本件発明14について
甲1記載事項の「移動制御手段74を備える自律飛行ロボット」は、本件発明14の「飛行制御部を備えるドローン」に相当することから、本件発明14は、その実質的な内容は本件発明1と同じであるから、上記(1)イに記載した本件発明1と同様の理由により、本件発明14は、甲1発明並びに甲2ないし甲9及び参考資料1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1ないし14に係る特許は、取り消すことはできない。
また、ほかに請求項1ないし14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-701184