特許異議申立
2023-700651
飛行制御装置
- 審判番号
- 2023-700651
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-541921
- 登録番号
- 7194682
- 請求日
- 2023年06月20日
- 審決日
- 2025年02月25日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社NTTドコモ
- 【権利者代理人】弁理士法人朝日特許事務所
- 【異議申立人】神田 紀子
- 審判長/審判官
- 審判長 筑波 茂樹
- 審判官 澤崎 雅彦
- 審判官 横溝 顕範
- 分類
- P1651.113-YAA(B64C) / P1651.121-YAA(B64C) / P1651.537-YAA(B64C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7194682号発明「飛行制御装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7194682号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3、5~9〕について訂正することを認める。
特許第7194682号の請求項1~9に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7194682号(以下「本件特許」という。)の請求項1~9に係る特許についての出願は、2018年(平成30年)7月11日(優先権主張 平成29年9月15日)を国際出願日とする出願であって、令和4年12月14日にその特許権の設定登録がされ、同年12月22日に特許掲載公報が発行された。
その特許についての特許異議申立人神田紀子(以下「申立人」という。)による本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和5年 6月20日 特許異議の申立て
同年10月26日付け 取消理由通知書
同年12月26日 特許権者より意見書・訂正請求書
令和6年 4月26日 申立人より意見書
同年 7月 8日 特許権者による技術説明
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和5年12月26日提出の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(下線は、訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1、2、及び5に
「前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合には前記飛行計画の前記複数の第1飛行条件の一部と前記第2飛行条件とに併せて従って、前記飛行体の飛行を自律制御する」
と記載されているのを、
「前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合には前記飛行計画の前記複数の第1飛行条件の一部以外の部分を無効にして前記複数の第1飛行条件の一部と前記第2飛行条件とに併せて従って、前記飛行体の飛行を自律制御する」
に訂正する。(請求項1、2、及び5の記載を引用する請求項8及び9も同様に訂正する。)
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項6及び7に
「前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合には前記第1飛行条件の一部と前記決定された第2飛行条件とに従って、飛行体の飛行を制御する」
と記載されているのを、
「前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合には前記飛行計画の前記第1飛行条件の一部以外の部分を無効にして前記第1飛行条件の一部と前記決定された第2飛行条件とに従って、飛行体の飛行を制御する」
に訂正する。(請求項6及び7の記載を引用する請求項8及び9も同様に訂正する。)
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に
「前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合には前記第1飛行条件の一部と前記決定された第2飛行条件とに従って、飛行体の飛行を制御する」
と記載されているのを、
「前記判定された通信の状態が前記所定の状態であり、且つ、前記所定の状態が前記所定の時間継続する場合には前記第1飛行条件の一部と前記決定された第2飛行条件とに従って、飛行体の飛行を制御する」
に訂正する。(請求項3の記載を引用する請求項9も同様に訂正する。)
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の請求項1、2、及び5の「前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合」において「前記飛行体の飛行を自律制御する」ことについて、「前記飛行計画の前記複数の第1飛行条件の一部と前記第2飛行条件とに併せて従って」制御することを、「前記飛行計画の前記複数の第1飛行条件の一部以外の部分を無効にして前記複数の第1飛行条件の一部と前記第2飛行条件とに併せて従って」制御することに限定するものである。
したがって、訂正事項1は特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項について
本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)には、「一方、上述したステップS205において、例えばサーバ装置20から運航管理指示を前回受信した時から所定の時間経過している場合には、サーバ装置20との間の通信が「不良」である状態が所定の時間継続していると判定される(ステップS205:YES)。この場合、ステップS207に進む。」(段落【0070】)(下線部は当審で付した。以下同様。)、「ステップS207において、決定部118は、飛行計画121に記載された飛行条件の一部を無効にして、測位部116により測定された位置及び検出部117により検出された物体に基づいて、新たな飛行条件を決定する。例えば決定部118は、飛行計画121に記載された飛行経路R1を無効にする。そして、決定部118は、検出部117により検出された物体との衝突を回避しつつ、測位部116により測定された位置から、飛行計画121に記載された経由地P2からP8を通って目的地P10へと向かう新たな飛行経路R3を決定する。・・・」(段落【0071】)、「ステップS208において、飛行制御部119は、運航管理制御の要素を一部含む自律制御を行う。具体的には、飛行制御部119は、飛行計画121に記載された有効な飛行条件と、ステップS207において決定された新たな飛行条件とに従って飛行を制御する。例えば、上述したステップS207において飛行経路R1が無効になった場合、有効な飛行条件は、飛行経路R1以外の飛行条件、すなわち出発地P1、目的地P10、経由地P2からP8、及び待機場所P9である。例えば飛行制御部119は、ステップS207において決定された新たな飛行経路R3を通るように飛行制御を行う。この飛行制御により、飛行体10は、飛行経路R3を通って経由地P2からP8を介して目的地P10へと飛行する。」(段落【0072】)と記載されており、「前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合」において「前記飛行体の飛行を自律制御する」ことについて、「前記飛行計画の前記複数の第1飛行条件の一部以外の部分を無効にして前記複数の第1飛行条件の一部と前記第2飛行条件とに併せて従って」制御するものに特定することは、本件明細書等の記載から導かれる事項であり、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項1は、本件明細書等に記載した事項の範囲内のものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を行うものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(2)訂正事項2
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、訂正前の請求項6及び7の「前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合」において「飛行体の飛行を制御する」ことについて、「前記第1飛行条件の一部と前記決定された第2飛行条件とに従って」制御することを、「前記飛行計画の前記第1飛行条件の一部以外の部分を無効にして前記第1飛行条件の一部と前記決定された第2飛行条件とに従って」制御することに限定するものである。
したがって、訂正事項2は特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項について
上記(1)イで説示したとおり、「前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合」において「飛行体の飛行を制御する」ことについて、「前記飛行計画の前記第1飛行条件の一部以外の部分を無効にして前記第1飛行条件の一部と前記決定された第2飛行条件とに従って」制御するものに特定することは、本件明細書等の記載から導かれる事項であり、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項2は、本件明細書等に記載した事項の範囲内のものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮を行うものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(3)訂正事項3
ア 訂正の目的について
訂正事項3は、訂正前の請求項3の「前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合には前記第1飛行条件の一部と前記決定された第2飛行条件とに従って、飛行体の飛行を制御する」という記載が、「前記判定された通信の状態が所定の状態であり、且つ、前記所定の状態が所定の時間継続する場合には、第2飛行条件を前記飛行計画によらずに決定する条件決定部」という記載との関係において不合理を生じていたものを、「前記判定された通信の状態が前記所定の状態であり、且つ、前記所定の状態が前記所定の時間継続する場合には前記第1飛行条件の一部と前記決定された第2飛行条件とに従って、飛行体の飛行を制御する」と記載することによって正すものである。
したがって、訂正事項3は明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 新規事項について
本件明細書等には、「一方、上述したステップS205において、例えばサーバ装置20から運航管理指示を前回受信した時から所定の時間経過している場合には、サーバ装置20との間の通信が「不良」である状態が所定の時間継続していると判定される(ステップS205:YES)。この場合、ステップS207に進む。すなわち、サーバ装置20との間の通信の状態が「不良」であり、且つ、この状態が所定の時間継続する場合には、ステップS207に進む。」(段落【0070】)、「ステップS207において、決定部118は、飛行計画121に記載された飛行条件の一部を無効にして、測位部116により測定された位置及び検出部117により検出された物体に基づいて、新たな飛行条件を決定する。例えば決定部118は、飛行計画121に記載された飛行経路R1を無効にする。そして、決定部118は、検出部117により検出された物体との衝突を回避しつつ、測位部116により測定された位置から、飛行計画121に記載された経由地P2からP8を通って目的地P10へと向かう新たな飛行経路R3を決定する。・・・」(段落【0071】)、「ステップS208において、飛行制御部119は、運航管理制御の要素を一部含む自律制御を行う。具体的には、飛行制御部119は、飛行計画121に記載された有効な飛行条件と、ステップS207において決定された新たな飛行条件とに従って飛行を制御する。例えば、上述したステップS207において飛行経路R1が無効になった場合、有効な飛行条件は、飛行経路R1以外の飛行条件、すなわち出発地P1、目的地P10、経由地P2からP8、及び待機場所P9である。例えば飛行制御部119は、ステップS207において決定された新たな飛行経路R3を通るように飛行制御を行う。この飛行制御により、飛行体10は、飛行経路R3を通って経由地P2からP8を介して目的地P10へと飛行する。」(段落【0072】)と記載されており、「前記判定された通信の状態が前記所定の状態であり、且つ、前記所定の状態が前記所定の時間継続する場合には前記第1飛行条件の一部と前記決定された第2飛行条件とに従って、飛行体の飛行を制御する」ものに特定することは、本件明細書等の記載から導かれる事項であり、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項3は、本件明細書等に記載した事項の範囲内のものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項3は、訂正前の請求項3の「前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合には前記第1飛行条件の一部と前記決定された第2飛行条件とに従って、飛行体の飛行を制御する」という発明特定事項を、概念的により下位の「前記判定された通信の状態が前記所定の状態であり、且つ、前記所定の状態が前記所定の時間継続する場合には前記第1飛行条件の一部と前記決定された第2飛行条件とに従って、飛行体の飛行を制御する」ことにするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
3 一群の請求項
本件訂正前の請求項1、8、9は、請求項8、9が、本件訂正前の請求項1の記載を直接又は間接的に引用する関係にあるから、一群の請求項である。
本件訂正前の請求項2、8、9は、請求項8、9が、本件訂正前の請求項2の記載を直接又は間接的に引用する関係にあるから、一群の請求項である。
本件訂正前の請求項3、9は、請求項9が、本件訂正前の請求項3の記載を直接又は間接的に引用する関係にあるから、一群の請求項である。
本件訂正前の請求項5、8、9は、請求項8、9が、本件訂正前の請求項5の記載を直接又は間接的に引用する関係にあるから、一群の請求項である。
本件訂正前の請求項6、8、9は、請求項8、9が、本件訂正前の請求項6の記載を直接又は間接的に引用する関係にあるから、一群の請求項である。
本件訂正前の請求項7、8、9は、請求項8、9が、本件訂正前の請求項7の記載を直接又は間接的に引用する関係にあるから、一群の請求項である。
上記6つの一群の請求項は、いずれも請求項9が共通するから、これら6つの一群の請求項は組み合わされて、1つの一群の請求項となる。
したがって、本件訂正の請求は、一群の請求項〔1~3、5~9〕について請求されたものである。
4 申立人の主張
(1)申立人の主張概要
本件訂正に関し、申立人は、令和6年4月26日提出の意見書(以下「意見書」という。)において、以下のような主張をしている。
(新規事項の追加)訂正事項1及び2の記載によれば、本件明細書等に記載の出発地P1、目的地P10、及び待機場所P9(以下「出発地等」と称する)を無効にすることも含み得るが、本件明細書等には飛行経路R1を無効にすることしか記載されておらず、出発地等を無効にすることは想定されていないし、そもそも出発地等を無効にすることに意味はない。よって、訂正事項1及び2は、本件明細書等に記載のない事項を含んでいることは明らかである。
(2)当審の判断
本件明細書等には、「ステップS207において、決定部118は、飛行計画121に記載された飛行条件の一部を無効にして、測位部116により測定された位置及び検出部117により検出された物体に基づいて、新たな飛行条件を決定する。例えば決定部118は、飛行計画121に記載された飛行経路R1を無効にする。そして、決定部118は、検出部117により検出された物体との衝突を回避しつつ、測位部116により測定された位置から、飛行計画121に記載された経由地P2からP8を通って目的地P10へと向かう新たな飛行経路R3を決定する。・・・」(段落【0071】)、「ステップS208において、飛行制御部119は、運航管理制御の要素を一部含む自律制御を行う。具体的には、飛行制御部119は、飛行計画121に記載された有効な飛行条件と、ステップS207において決定された新たな飛行条件とに従って飛行を制御する。例えば、上述したステップS207において飛行経路R1が無効になった場合、有効な飛行条件は、飛行経路R1以外の飛行条件、すなわち出発地P1、目的地P10、経由地P2からP8、及び待機場所P9である。例えば飛行制御部119は、ステップS207において決定された新たな飛行経路R3を通るように飛行制御を行う。この飛行制御により、飛行体10は、飛行経路R3を通って経由地P2からP8を介して目的地P10へと飛行する。」(段落【0072】)と記載されている。
当該記載に触れた当業者であれば、飛行計画に記載された飛行条件のうち有効な飛行条件(第1飛行条件の一部)と新たな飛行条件(第2飛行条件)に従って飛行を制御すると共に、飛行計画に記載された飛行条件のうち有効でない飛行条件(第1飛行条件の一部以外)を無効にするものであることが理解でき、また、飛行経路R1を無効にするケースがあくまで一例として示されたものであることは明らかである。
そうすると、申立人が例示する出発地等についていえば、判定された通信の状態が所定の状態である場合において飛行体の飛行を制御するにあたり、出発地等が有効なものであるならば第1飛行条件の一部として、新たな飛行条件(第2飛行条件)と共に従うことになるし、出発地等が有効でないものであるならば第1飛行条件の一部以外として無効にすることが理解できる。
したがって、訂正事項1及び2は、本件明細書等の記載から導かれる事項であり、新たな技術的事項を導入するものではないから、申立人の主張を採用することはできない。
5 小括
以上によれば、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3、5~9〕について訂正することを認める。
第3 本件訂正発明
上記第2のとおり本件訂正は認められたから、本件訂正後の本件特許の請求項1~9に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」等という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定される、以下のとおりのものであると認められる。
「【請求項1】
サーバ装置と通信を行うことにより、飛行計画に従って飛行体の飛行を制御するために用いられる複数の第1飛行条件が記載された前記飛行計画を取得する取得部と、
前記通信の状態を判定する状態判定部と、
前記判定された通信の状態が所定の状態である場合には、前記飛行体の飛行を自律制御するために用いられる第2飛行条件を前記飛行計画によらずに決定する条件決定部と、
前記判定された通信の状態が前記所定の状態ではない場合には前記飛行計画の前記複数の第1飛行条件に従って前記飛行体の飛行を制御し、前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合には前記飛行計画の前記複数の第1飛行条件の一部以外の部分を無効にして前記複数の第1飛行条件の一部と前記第2飛行条件とに併せて従って、前記飛行体の飛行を自律制御する飛行制御部と
を備える飛行制御装置。
【請求項2】
サーバ装置と通信を行うことにより、飛行計画に従って飛行体の飛行を制御するために用いられる複数の第1飛行条件が記載された前記飛行計画を取得する取得部と、
前記通信の状態を判定する状態判定部と、
前記判定された通信の状態が所定の状態である場合には、前記飛行体の飛行を自律制御するために用いられる第2飛行条件を前記飛行計画によらずに決定する条件決定部と、
前記判定された通信の状態が前記所定の状態ではない場合には前記飛行計画の前記複数の第1飛行条件に従って前記飛行体の飛行を制御し、前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合には前記飛行計画の前記複数の第1飛行条件の一部以外の部分を無効にして前記複数の第1飛行条件の一部と前記第2飛行条件とに併せて従って、前記飛行体の飛行を自律制御する飛行制御部とを備え、
前記条件決定部は、前記飛行体が前記飛行計画から外れて飛行する間に判定された前記通信の状態が前記所定の状態である場合には、前記第2飛行条件を前記飛行計画によらずに決定する
飛行制御装置。
【請求項3】
サーバ装置と通信を行うことにより、第1飛行条件が記載された飛行計画を取得する取得部と、
前記通信の状態を判定する状態判定部と、
前記判定された通信の状態が所定の状態であり、且つ、前記所定の状態が所定の時間継続する場合には、第2飛行条件を前記飛行計画によらずに決定する条件決定部と、
前記判定された通信の状態が前記所定の状態ではない場合には前記第1飛行条件に従って、前記判定された通信の状態が前記所定の状態であり、且つ、前記所定の状態が前記所定の時間継続する場合には前記第1飛行条件の一部と前記決定された第2飛行条件とに従って、飛行体の飛行を制御する飛行制御部とを備え、
前記所定の状態は、前記通信が切断された切断状態と、前記通信が遅延する遅延状態とを含み、
前記所定の時間は、前記判定された通信の状態が前記切断状態である場合と前記遅延状態である場合とで変化する
飛行制御装置。
【請求項4】
サーバ装置と通信を行うことにより、第1飛行条件が記載された飛行計画を取得する取得部と、
前記通信の状態を判定する状態判定部と、
前記判定された通信の状態が所定の状態である場合には、第2飛行条件を前記飛行計画によらずに決定する条件決定部と、
前記判定された通信の状態が前記所定の状態ではない場合には前記第1飛行条件に従って、前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合には前記第1飛行条件の一部と前記決定された第2飛行条件とに従って、飛行体の飛行を制御する飛行制御部とを備え、
前記取得部は、前記通信を行うことにより、前記サーバ装置から前記飛行計画の更新指示を取得し、
前記所定の状態は、前記通信が遅延する遅延状態を含み、
前記判定された通信の状態が前記所定の状態以外の状態である場合には、前記取得された更新指示に従って前記飛行計画を更新し、前記判定された通信の状態が前記遅延状態である場合には、前記更新指示を前記飛行計画に反映しない更新部を更に備える
飛行制御装置。
【請求項5】
サーバ装置と通信を行うことにより、飛行計画に従って飛行体の飛行を制御するために用いられる複数の第1飛行条件が記載された前記飛行計画を取得する取得部と、
前記通信の状態を判定する状態判定部と、
前記判定された通信の状態が所定の状態である場合には、前記飛行体の飛行を自律制御するために用いられる第2飛行条件を前記飛行計画によらずに決定する条件決定部と、
前記判定された通信の状態が前記所定の状態ではない場合には前記飛行計画の前記複数の第1飛行条件に従って前記飛行体の飛行を制御し、前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合には前記飛行計画の前記複数の第1飛行条件の一部以外の部分を無効にして前記複数の第1飛行条件の一部と前記第2飛行条件とに併せて従って、前記飛行体の飛行を自律制御する飛行制御部とを備え、
前記飛行計画には、経由地、目的地、及び経路が記載され、
前記条件決定部は、前記経由地を通って前記目的地に向かう新たな経路を前記飛行計画によらずに決定する
飛行制御装置。
【請求項6】
サーバ装置と通信を行うことにより、第1飛行条件が記載された飛行計画を取得する取得部と、
前記通信の状態を判定する状態判定部と、
前記判定された通信の状態が所定の状態である場合には、第2飛行条件を前記飛行計画によらずに決定する条件決定部と、
前記判定された通信の状態が前記所定の状態ではない場合には前記第1飛行条件に従って、前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合には前記飛行計画の前記第1飛行条件の一部以外の部分を無効にして前記第1飛行条件の一部と前記決定された第2飛行条件とに従って、飛行体の飛行を制御する飛行制御部とを備え、
前記飛行計画には、目的地及び経路が記載され、
前記条件決定部は、前記経路に含まれる位置に戻ってから前記目的地へ向かう新たな経路を前記飛行計画によらずに決定する
飛行制御装置。
【請求項7】
サーバ装置と通信を行うことにより、第1飛行条件が記載された飛行計画を取得する取得部と、
前記通信の状態を判定する状態判定部と、
前記判定された通信の状態が所定の状態である場合には、第2飛行条件を前記飛行計画によらずに決定する条件決定部と、
前記判定された通信の状態が前記所定の状態ではない場合には前記第1飛行条件に従って、前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合には前記飛行計画の前記第1飛行条件の一部以外の部分を無効にして前記第1飛行条件の一部と前記決定された第2飛行条件とに従って、飛行体の飛行を制御する飛行制御部とを備え、
前記飛行計画には、目的地及び経路が記載され、
前記取得部は、複数の空域における通信の状態を示す状態情報を取得し、
前記条件決定部は、前記複数の空域のうち、前記状態情報により示される前記通信の状態が前記所定の状態以外の状態である空域を通って前記目的地へ向かう新たな経路を前記飛行計画によらずに決定する
飛行制御装置。
【請求項8】
前記条件決定部は、前記判定された通信の状態が前記所定の状態であり、且つ、前記所定の状態が所定の時間継続する場合には、前記第2飛行条件を前記飛行計画によらずに決定する
請求項1、2、及び4から7のいずれか1項に記載の飛行制御装置。
【請求項9】
前記飛行制御部は、前記判定された通信の状態に応じて、前記第1飛行条件に従う第1飛行制御と、前記第1飛行条件の一部と前記第2飛行条件とに従う第2飛行制御とを切り替える
請求項1から8のいずれか1項に記載の飛行制御装置。」
第4 取消理由の概要
本件訂正前の請求項1~3、5~9に係る特許に対して当審が通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
理由1:(新規性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
理由2:(進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
理由3:(明確性要件)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、取り消されるべきものである。
記
<証拠>
以下、申立人が提出した「甲第○号証」を「甲○」という。
引用文献1:国際公開第2017/115807号(甲1)
引用文献2:特開2012-70260号公報(甲2)
引用文献3:米国特許第9467922号明細書(甲3)
<取消理由と請求項に係る発明及び証拠との関係>
(1)理由1及び理由2
請求項 :1、2、5、6、9
引用文献等:1
(2)理由2
請求項 :7
引用文献等:1、3
請求項 :8
引用文献等:1~3
(3)理由3
請求項 :3
所定の状態が所定の時間継続しない場合において「第2飛行条件」がどのように決定されるのかが明確でないから、請求項3に係る発明は明確でない。
第5 取消理由についての判断
1 理由3(明確性要件)について
事案に鑑み、まず理由3(明確性要件)について検討する。
本件訂正前の請求項3では、「前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合には前記第1飛行条件の一部と前記決定された第2飛行条件とに従って、飛行体の飛行を制御する飛行制御部」という発明特定事項では、所定の状態が所定の時間継続しない場合においても「前記第1飛行条件の一部と前記決定された第2飛行条件とに従って、飛行体の飛行を制御する」こととされており、この場合「第2飛行条件」がどのように決定されるのかが明確でなかった。
これを、本件訂正により「前記判定された通信の状態が前記所定の状態であり、且つ、前記所定の状態が前記所定の時間継続する場合には前記第1飛行条件の一部と前記決定された第2飛行条件とに従って、飛行体の飛行を制御する飛行制御部」と訂正することで、飛行制御部は、所定の状態が所定の時間継続する場合に「前記第1飛行条件の一部と前記決定された第2飛行条件とに従って、飛行体の飛行を制御する」ものとなったことにより、所定の状態が所定の時間継続しない場合における第2飛行条件の決定を要しないものとなった。
したがって、請求項3に係る発明は、明確である。
2 理由1(新規性)及び理由2(進歩性)について
(1)甲1発明
ア 甲1の記載から認められる事項
甲1の記載から、以下の事項が認定できる(なお、括弧内に主な参照箇所を示す。以下同様。)。
(ア)飛行体制御装置20は、制御装置通信部213と飛行状態制御部214を備えるものである(段落[0034]、[0038])。
(イ)飛行許可空域設定装置3は、飛行体2が飛行する空域を設定し、設定した空域を示す空域情報を飛行体2に対して送信して、飛行体2をその空域情報に従って飛行させるものである(段落[0023])。
(ウ)飛行状態制御部214は、無線部27と制御装置通信部213とを介して取得した情報として、飛行体2を飛行させる飛行計画を示す空域情報などの情報を受信するものである(段落[0045])。
(エ)上記(イ)及び(ウ)を踏まえると、制御装置通信部213は、飛行許可空域設定装置3と通信を行うことにより、飛行体2を飛行させる飛行計画を示す空域情報などの情報を取得するものといえる。
(オ)飛行状態制御部214は、電波品質が悪いか否か判断するものである(段落[0050])。
(カ)飛行状態制御部214は、無線制御モードと自律制御モードを切り替えて飛行体2を飛行させるものである(段落[0046])。
(キ)無線制御モードは、利用者による操縦モードであり(段落[0051])、飛行状態制御部214は、制御装置通信部213が無線基地局6を介して受信する制御情報に基づいて飛行体2の飛行状態を制御する(段落[0046])。
(ク)自律制御モードは、自動運転モードであり(段落[0051])、飛行状態制御部214は、受信した空域情報に基づいて飛行する位置を決定し、決定した位置を通過するように飛行コースを定め、定めた飛行コースに沿って自動操縦による自律飛行を実施させるものである(段落[0046])。
(ケ)空域情報は、飛行体2の位置情報、高度情報、基地局識別情報、判定空域情報などを含むものであり(段落[0083])、判定空域情報は、飛行可能空域や飛行禁止空域の情報を含み(段落[0077]、[0078]、[図7])、位置情報は、飛行コース中の通過点を通過する順に示す情報である(段落[0084])。そして、位置情報が飛行コース中の通過点を通過する順に示す情報である場合、上記(ク)を踏まえれば、自律制御モードでは、飛行状態制御部214が、受信した空域情報に含まれる通過点に基づいて飛行コースを定め、定めた飛行コースに沿って飛行体2の飛行状態を制御するものと認められる。
(コ)上記(イ)及び(ケ)によれば、自律制御モードで定められる飛行コースは、空域情報のうち判定空域情報に含まれる飛行可能空域や飛行禁止空域の情報に従ったものであると認められる。
(サ)飛行状態制御部214は、電波品質が悪い場合、飛行体3を自律制御モードに設定する(段落[0050])。
(シ)上記(カ)によれば、飛行状態制御部214は、無線制御モードと自律制御モード のいずれかにより飛行体2を飛行させるものであるところ、上記(サ)によれば、電波品質が悪い場合には自律制御モードに設定するものである。これは、上記(キ)を踏まえると、電波品質が悪い場合には、無線基地局6を介して制御情報を受信することが困難になるため、無線制御モードではなく自律制御モードに設定するものと理解できる。そして、そのように理解した当業者であれば、電波品質が良い場合には、そのような困難が生じないため、無線制御モードと自律制御モードのどちらも設定が可能であると理解できる。
(ス)飛行計画情報には、飛行体の離陸および着陸場所、飛行目的地が含まれている(段落[0106])。
(セ)飛行禁止空域は、天候が悪い区域や基地局障害が発生している区域などである(段落[0029])。
イ 甲1発明
上記アを踏まえると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「飛行許可空域設定装置3と通信を行うことにより、飛行体2を飛行させる飛行計画を示す空域情報などの情報を取得する制御装置通信部213と、
電波品質が悪いか否かを判断する飛行状態制御部214を備え、
受信した空域情報は、飛行体2の位置情報、高度情報、基地局識別情報のほか、飛行可能空域や飛行禁止空域を含む判定空域情報などを含むものであり、位置情報は、飛行コース中の通過点を通過する順に示す情報であり、
飛行状態制御部214は、無線制御モードと自律制御モードを切り替えて飛行体2を飛行させるものであり、
無線制御モードは、利用者による操縦モードであり、
自律制御モードは、受信した空域情報に含まれる通過点に基づいて飛行コースを定め、定めた飛行コースに沿って飛行体2の飛行状態を制御するものであり、定められた飛行コースは空域情報に含まれる飛行可能空域や飛行禁止空域の情報に従ったものであり、
飛行状態制御部214は、電波品質が良い場合、無線制御モード又は自律制御モードを実行し、電波品質が悪い場合、自律制御モードを実行する、
飛行体制御装置20であって、
飛行計画情報には、飛行体の離陸および着陸場所、飛行目的地が含まれており、
飛行禁止空域は、天候が悪い区域や基地局障害が発生している区域などである、
飛行体制御装置20。」
(2)本件発明1について(理由1、2)
ア 対比
本件発明1と甲1発明を対比する。
(ア)甲1発明の「飛行許可空域設定装置3」は、「制御装置通信部213」との通信だけでなく、空域の設定(段落[0023])や統計的な記憶(段落[0029])なども行うものであるから、技術常識を考慮すれば、本件発明1の「サーバ装置」に相当するといえる。
(イ)甲1発明の「空域情報などの情報」は、「自律制御モード」において「飛行体2を飛行させる」ために用いられるものであるから、本件発明1の「複数の第1飛行条件」に相当する。
(ウ)上記(イ)を踏まえると、甲1発明の「空域情報などの情報」が示す「飛行計画」は、本件発明1の「飛行体の飛行を制御するために用いられる複数の第1飛行条件が記載された」「飛行計画」に相当する。
(エ)上記(ア)~(ウ)を踏まえると、甲1発明の「制御装置通信部213」は、本件発明1の「取得部」に相当する。
(オ)甲1発明の「電波品質が悪いか否かを判断する飛行状態制御部214」は、本件発明1の「前記通信の状態を判定する状態判定部」に相当する。
(カ)甲1発明の「電波品質が悪い場合」と「電波品質が良い場合」は、本件発明1の「前記判定された通信の状態が所定の状態である場合」と「前記判定された通信の状態が前記所定の状態ではない場合」にそれぞれ相当する。
(キ)甲1発明の「自律制御モード」は本件発明1の「自律制御」に相当するから、甲1発明の「自律制御モード」で用いられる「飛行コース」は、本件発明1の「自律制御するために用いられる第2飛行条件」に相当する。
(ク)上記(キ)を踏まえると、甲1発明の「自律制御モード」は、「電波品質が悪い場合」にも実行されるものであるから、甲1発明の「電波品質が悪い場合」の「自律制御モード」における「受信した空域情報に含まれる通過点に基づいて飛行コースを定め、定めた飛行コースに沿って飛行体2の飛行状態を制御する」「飛行状態制御部214」と、本件発明1の「前記判定された通信の状態が所定の状態である場合には、前記飛行体の飛行を自律制御するために用いられる第2飛行条件を前記飛行計画によらずに決定する条件決定部」は、「前記判定された通信の状態が所定の状態である場合には、前記飛行体の飛行を自律制御するために用いられる第2飛行条件を決定する条件決定部」の点で共通する。
(ケ)上記(イ)及び(ウ)を踏まえると、甲1発明の「飛行状態制御部214」が「電波品質が良い場合」に「自律制御モードを実行」することは、「複数の第1飛行条件」に相当する「空域情報」に含まれる「通過点」に基づいて定めた飛行コースに沿って飛行体2の飛行状態を制御するものであるから、本件発明1の「飛行制御部」が「前記判定された通信の状態が前記所定の状態ではない場合には前記飛行計画の前記複数の第1飛行条件に従って前記飛行体の飛行を制御」することに相当する。
(コ)上記(キ)~(ケ)を踏まえると、甲1発明の「飛行状態制御部214」が「電波品質が悪い場合」に「受信した空域情報に含まれる通過点に基づいて飛行コースを定め、定めた飛行コースに沿って飛行体2の飛行状態を制御する」「自律制御モードを実行する」ことは、「複数の第1飛行条件」に相当する「空域情報」に含まれる「通過点」と、「第2飛行条件」に相当する「飛行コース」の2つに従っている制御といえるから、本件発明1の「飛行制御部」が「前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合には前記飛行計画の前記複数の第1飛行条件の一部以外の部分を無効にして前記複数の第1飛行条件の一部と前記第2飛行条件とに併せて従って、前記飛行体の飛行を自律制御する」ことと、「前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合には前記複数の第1飛行条件の一部と前記第2飛行条件とに併せて従って、前記飛行体の飛行を自律制御する」ことの点で共通する。
(サ)そうすると、両者は、
「サーバ装置と通信を行うことにより、飛行計画に従って飛行体の飛行を制御するために用いられる複数の第1飛行条件が記載された前記飛行計画を取得する取得部と、
前記通信の状態を判定する状態判定部と、
前記判定された通信の状態が所定の状態である場合には、前記飛行体の飛行を自律制御するために用いられる第2飛行条件を決定する条件決定部と、
前記判定された通信の状態が前記所定の状態ではない場合には前記飛行計画の前記複数の第1飛行条件に従って前記飛行体の飛行を制御し、前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合には前記複数の第1飛行条件の一部と前記第2飛行条件とに併せて従って、前記飛行体の飛行を自律制御する飛行制御部と
を備える飛行制御装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
〔相違点1-1〕
通信状態が所定の状態である場合に飛行体の飛行を自律制御するために用いられる第2飛行条件について、本件発明1は「第2飛行条件を前記飛行計画によらずに決定する」のに対して、甲1発明は「飛行コース」を「飛行計画を示す空域情報」「に含まれる通過点に基づいて」「定める」ものであり、「定められた飛行コースは空域情報に含まれる飛行可能空域や飛行禁止空域の情報に従ったものであ」る点。
〔相違点1-2〕
通信状態が所定の状態である場合に複数の第1飛行条件の一部と第2飛行条件とに併せて従って飛行体の飛行を自律制御する際に、本件発明1は、「前記飛行計画の前記複数の第1飛行条件の一部以外の部分を無効」にするのに対して、甲1発明は、無効にするか否か不明な点。
イ 判断
(ア)理由1(新規性)について
相違点1-1と相違点1-2は、いずれも実質的な相違点であるから、本件発明1は、甲1発明ではない。
(イ)理由2(進歩性)について
a 〔相違点1-1〕
甲1発明の「飛行コース」(第2飛行条件相当)は、「飛行計画を示す空域情報に含まれる通過点」(第1飛行条件相当)に基づいて定めるものであって、定められた飛行コースは「空域情報に含まれる飛行可能空域や飛行禁止空域の情報に従ったもの」であるから、「飛行計画」(飛行計画相当)に基づいて定められるものである。
そして「飛行計画を示す空域情報」は、通過点、飛行可能空域や飛行禁止空域の情報のほかに、位置情報、高度情報、基地局識別情報などを含むものであるが、「飛行コース」(第2飛行条件相当)を、「飛行計画を示す空域情報」に含まれるいずれの情報にもよらずに定めることが、甲1には記載も示唆もされていない。
むしろ甲1発明は、「飛行体2は、飛行条件を満たす範囲で飛行することが必要とされる。」(段落[0028])ことを前提として、「飛行可能空域」や「飛行禁止空域」等の「空域情報」に基づいて飛行体2の飛行を制御するものであるから、飛行コースを、受信した空域情報に基づかずに(よらずに)定めることの阻害事由があるといえる。
したがって、甲1発明において、相違点1-1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
b 申立人の主張について
(a)申立人の主張概要
甲1発明について、申立人は、「ここで、空域情報は飛行計画を示すものであり・・・また、上記のとおり、飛行計画には飛行目的地や通過点が含まれる。そうすると、上記記載によれば、飛行状態制御部214は、・・・自律制御モードを実行する場合には、受信した飛行計画(飛行目的地や通過点)に基づいて、つまり通過点を通って飛行目的地に向かう飛行コースを飛行計画によらずに決定し」ている旨主張している(特許異議申立書6ページ)。
(b)当審の判断
申立人の主張は、飛行目的地や通過点という飛行計画に基づいて飛行コースを決定することと、飛行コースを飛行計画によらずに決定することが矛盾している。
そして、上記aで説示したとおり、甲1発明の「飛行コース」(第2飛行条件相当)は、「飛行計画を示す空域情報に含まれる通過点」(第1飛行条件相当)に基づいて定めるものであって、定められた飛行コースは「空域情報に含まれる飛行可能空域や飛行禁止空域の情報に従ったもの」であるから、「飛行計画」(飛行計画相当)に基づいて定められるもの、すなわち飛行計画によって定められるものであるし、むしろ甲1発明は、飛行コースを、受信した空域情報に基づかずに(よらずに)定めることの阻害事由があるといえる。
したがって、申立人の主張を採用することはできない。
c 〔相違点1-2〕
甲1発明は、第1飛行条件の一部といえる「空域情報に含まれる通過点」等の情報と第2飛行条件といえる「飛行コース」に従っているところ、第1飛行条件といえる情報を部分的に無効にする(「飛行可能空域」や「飛行禁止空域」を含む「判定空域情報」、「高度情報」、「基地局識別情報」などの情報を部分的に無効にする)ことについて、記載も示唆もない。
むしろ甲1発明は、「飛行体2は、飛行条件を満たす範囲で飛行することが必要とされる。」(段落[0028])ことを前提として、「飛行可能空域」や「飛行禁止空域」等の「空域情報」に基づいて飛行体2の飛行を制御するものであるから、「空域情報に含まれる通過点」以外の部分を無効にして、例えば「飛行禁止空域」を無効にして飛行を制御することの阻害事由があるといえる。
また、他の証拠をみても、「空域情報に含まれる通過点」以外の部分を無効にすることについては、記載も示唆もない。
なお、甲1発明が、自律制御モードにおいて、空域情報に含まれる「飛行可能空域」や「飛行禁止空域」等に基づいて飛行体2の飛行を制御することもあるという観点からすれば、自律制御モードでは、空域情報の全て(飛行計画の全て)に従って飛行体の飛行が自律制御されるということもできるものの、この場合、自律制御モードにおいて第1飛行条件の一部(と第2飛行条件)に従って飛行体を制御するものとはいえないし、第1飛行条件の一部以外の条件が無効にされることもあり得ない。
したがって、甲1発明において、相違点1-2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
d 申立人の主張について
(a)申立人の主張概要
申立人は、意見書において、以下のような主張をしている。
(進歩性欠如)参考資料1に示すように、飛行計画に飛行経路を含めることに困難性はない。そして、飛行計画に飛行経路が含まれる場合、飛行体の制御を変更するときは、当然ながら当初の飛行経路を無効にする必要がある。
参考資料1:Aeronautical Information Manual-Japan、公益社団法人日本航空機操縦士協会、2015年12月20日、第63号、p10-20
(b)当審の判断
甲1発明において、「前記複数の第1飛行条件の一部以外の部分を無効」にすることは、当初の飛行経路のみならず、「空域情報に含まれる通過点」以外の部分として、「位置情報」、「高度情報」、「基地局識別情報」のほか、「飛行可能空域」や「飛行禁止空域」を含む「判定空域情報」などを無効にすることを意味するのであり、上記bで説示したように、甲1発明には、これらを無効にすることの記載も示唆もなく、むしろ阻害事由があるといえるし、また、提出されたその他の証拠をみてもこれらを無効にすることを示すものはない。
また、甲1発明が、自律制御モードでは、空域情報の全て(飛行計画の全て)に従って飛行体の飛行が自律制御されるとしても、その場合、自律制御モードにおいて第1飛行条件の一部(と第2飛行条件)に従って飛行体を制御するものとはいえないし、第1飛行条件の一部以外の条件が無効にされることもあり得ない。
したがって、申立人の主張を採用することはできない。
e 小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明に基いて容易に発明をすることができたものということはできない。
(3)本件発明2について(理由1、2)
ア 対比
(ア)本件発明2と甲1発明を対比すると、上記(2)アにおいて検討した本件発明1との対比と同様に、後者の「飛行許可空域設定装置3」、「空域情報などの情報」、「空域情報などの情報」が示す「飛行計画」、「制御装置通信部213」、「電波品質が悪いか否かを判断する飛行状態制御部214」、「電波品質が悪い場合」、「電波品質が良い場合」、「自律制御モード」、「自律制御モード」で用いられる「飛行コース」、「飛行状態制御部214」が「電波品質が良い場合」に「自律制御モードを実行」すること、はそれぞれ、前者の「サーバ装置」、「複数の第1飛行条件」、「飛行体の飛行を制御するために用いられる複数の第1飛行条件が記載された前記飛行計画」、「取得部」、「前記通信の状態を判定する状態判定部」、「前記判定された通信の状態が所定の状態である場合」、「前記判定された通信の状態が前記所定の状態ではない場合」、「自律制御」、「自律制御するために用いられる第2飛行条件」、「飛行制御部」が「前記判定された通信の状態が前記所定の状態ではない場合には前記飛行計画の前記複数の第1飛行条件に従って前記飛行体の飛行を制御」すること、に相当する。
(イ)甲1発明の「電波品質が悪い場合」の「自律制御モード」における「受信した空域情報に含まれる通過点に基づいて飛行コースを定め、定めた飛行コースに沿って飛行体2の飛行状態を制御する」「飛行状態制御部214」と、本件発明2の「前記判定された通信の状態が所定の状態である場合には、前記飛行体の飛行を自律制御するために用いられる第2飛行条件を前記飛行計画によらずに決定する条件決定部」は、「前記判定された通信の状態が所定の状態である場合には、前記飛行体の飛行を自律制御するために用いられる第2飛行条件を決定する条件決定部」の点で共通する。
(ウ)甲1発明の「飛行状態制御部214」が「電波品質が悪い場合」に「受信した空域情報に含まれる通過点に基づいて飛行コースを定め、定めた飛行コースに沿って飛行体2の飛行状態を制御する」「自律制御モードを実行する」ことと、本件発明2の「飛行制御部」が「前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合には前記飛行計画の前記複数の第1飛行条件の一部以外の部分を無効にして前記複数の第1飛行条件の一部と前記第2飛行条件とに併せて従って、前記飛行体の飛行を自律制御する」ことは、「前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合には前記複数の第1飛行条件の一部と前記第2飛行条件とに併せて従って、前記飛行体の飛行を自律制御する」ことの点で共通する。
(エ)そうすると、両者は、
「サーバ装置と通信を行うことにより、飛行計画に従って飛行体の飛行を制御するために用いられる複数の第1飛行条件が記載された前記飛行計画を取得する取得部と、
前記通信の状態を判定する状態判定部と、
前記判定された通信の状態が所定の状態である場合には、前記飛行体の飛行を自律制御するために用いられる第2飛行条件を決定する条件決定部と、
前記判定された通信の状態が前記所定の状態ではない場合には前記飛行計画の前記複数の第1飛行条件に従って前記飛行体の飛行を制御し、前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合には前記複数の第1飛行条件の一部と前記第2飛行条件とに併せて従って、前記飛行体の飛行を自律制御する飛行制御部と
を備える飛行制御装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
〔相違点2-1〕
通信状態が所定の状態である場合に飛行体の飛行を自律制御するために用いられる第2飛行条件について、本件発明2は「第2飛行条件を前記飛行計画によらずに決定する」のに対して、甲1発明は「飛行コース」を「飛行計画を示す空域情報」「に含まれる通過点に基づいて」「定める」ものであり、「定められた飛行コースは空域情報に含まれる飛行可能空域や飛行禁止空域の情報に従ったものであ」る点。
〔相違点2-2〕
通信状態が所定の状態である場合に複数の第1飛行条件の一部と第2飛行条件とに併せて従って飛行体の飛行を自律制御する際に、本件発明2は、「前記飛行計画の前記複数の第1飛行条件の一部以外の部分を無効」にするのに対して、甲1発明は、無効にするか否か不明な点。
〔相違点2-3〕
本件発明2は、「前記条件決定部は、前記飛行体が前記飛行計画から外れて飛行する間に判定された前記通信の状態が前記所定の状態である場合には、前記第2飛行条件を前記飛行計画によらずに決定する」のに対して、甲1発明は、「飛行計画」から外れて飛行しているときの電波品質と飛行制御の関係が不明な点。
イ 判断
(ア)理由1(新規性)について
相違点2-1、相違点2-2、相違点2-3は、いずれも実質的な相違点であるから、本件発明2は、甲1発明ではない。
(イ)理由2(進歩性)について
相違点2-1は、相違点1-1と実質的に同じ相違点であるから、上記(2)イ(イ)において検討した相違点1-1と同様に、甲1発明において、相違点2-1に係る本件発明2の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
相違点2-2は、相違点1-2と実質的に同じ相違点であるから、上記(2)イ(イ)において検討した相違点1-2と同様に、甲1発明において、相違点2-2に係る本件発明2の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
そうすると、相違点2-3について検討するまでもなく、本件発明2は、甲1発明に基いて容易に発明をすることができたものということはできない。
(4)本件発明5について(理由1、2)
ア 対比
(ア)本件発明5と甲1発明を対比すると、上記(2)アにおいて検討した本件発明1との対比と同様に、後者の「飛行許可空域設定装置3」、「空域情報などの情報」、「空域情報などの情報」が示す「飛行計画」、「制御装置通信部213」、「電波品質が悪いか否かを判断する飛行状態制御部214」、「電波品質が悪い場合」、「電波品質が良い場合」、「自律制御モード」、「自律制御モード」で用いられる「飛行コース」、「飛行状態制御部214」が「電波品質が良い場合」に「自律制御モードを実行」すること、はそれぞれ、前者の「サーバ装置」、「複数の第1飛行条件」、「飛行体の飛行を制御するために用いられる複数の第1飛行条件が記載された前記飛行計画」、「取得部」、「前記通信の状態を判定する状態判定部」、「前記判定された通信の状態が所定の状態である場合」、「前記判定された通信の状態が前記所定の状態ではない場合」、「自律制御」、「自律制御するために用いられる第2飛行条件」、「飛行制御部」が「前記判定された通信の状態が前記所定の状態ではない場合には前記飛行計画の前記複数の第1飛行条件に従って前記飛行体の飛行を制御」すること、に相当する。
(イ)甲1発明の「電波品質が悪い場合」の「自律制御モード」における「受信した空域情報に含まれる通過点に基づいて飛行コースを定め、定めた飛行コースに沿って飛行体2の飛行状態を制御する」「飛行状態制御部214」と、本件発明5の「前記判定された通信の状態が所定の状態である場合には、前記飛行体の飛行を自律制御するために用いられる第2飛行条件を前記飛行計画によらずに決定する条件決定部」は、「前記判定された通信の状態が所定の状態である場合には、前記飛行体の飛行を自律制御するために用いられる第2飛行条件を決定する条件決定部」の点で共通する。
(ウ)甲1発明の「飛行状態制御部214」が「電波品質が悪い場合」に「受信した空域情報に含まれる通過点に基づいて飛行コースを定め、定めた飛行コースに沿って飛行体2の飛行状態を制御する」「自律制御モードを実行する」ことと、本件発明5の「飛行制御部」が「前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合には前記飛行計画の前記複数の第1飛行条件の一部以外の部分を無効にして前記複数の第1飛行条件の一部と前記第2飛行条件とに併せて従って、前記飛行体の飛行を自律制御する」ことは、「前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合には前記複数の第1飛行条件の一部と前記第2飛行条件とに併せて従って、前記飛行体の飛行を自律制御する」ことの点で共通する。
(エ)甲1発明の「通過点」と「飛行目的地」は、それぞれ本件発明5の「経由地」と「目的地」に相当するから、甲1発明の「飛行計画情報には、飛行体の離陸および着陸場所、飛行目的地が含まれて」いることと、本件発明5の「前記飛行計画には、経由地、目的地、及び経路が記載され」ていることは、「前記飛行計画には、経由地、目的地が記載され」ていることの点で共通する。
(オ)そうすると、両者は、
「サーバ装置と通信を行うことにより、飛行計画に従って飛行体の飛行を制御するために用いられる複数の第1飛行条件が記載された前記飛行計画を取得する取得部と、
前記通信の状態を判定する状態判定部と、
前記判定された通信の状態が所定の状態である場合には、前記飛行体の飛行を自律制御するために用いられる第2飛行条件を決定する条件決定部と、
前記判定された通信の状態が前記所定の状態ではない場合には前記飛行計画の前記複数の第1飛行条件に従って前記飛行体の飛行を制御し、前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合には前記複数の第1飛行条件の一部と前記第2飛行条件とに併せて従って、前記飛行体の飛行を自律制御する飛行制御部とを備え、
前記飛行計画には、経由地、目的地が記載されている飛行制御装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
〔相違点5-1〕
通信状態が所定の状態である場合に飛行体の飛行を自律制御するために用いられる第2飛行条件について、本件発明5は「第2飛行条件を前記飛行計画によらずに決定する」のに対して、甲1発明は「飛行コース」を「飛行計画を示す空域情報」「に含まれる通過点に基づいて」「定める」ものであり、「定められた飛行コースは空域情報に含まれる飛行可能空域や飛行禁止空域の情報に従ったものであ」る点。
〔相違点5-2〕
通信状態が所定の状態である場合に複数の第1飛行条件の一部と第2飛行条件とに併せて従って飛行体の飛行を自律制御する際に、本件発明5は、「前記飛行計画の前記複数の第1飛行条件の一部以外の部分を無効」にするのに対して、甲1発明は、無効にするか否か不明な点。
〔相違点5-3〕
本件発明5の飛行計画には、経由地、目的地、「及び経路」が記載されているものであり、「前記条件決定部は、前記経由地を通って前記目的地に向かう新たな経路を前記飛行計画によらずに決定する」のに対して、甲1発明の飛行計画情報には、飛行体の離陸および着陸場所、飛行目的地が含まれているものの経路は含まれておらず、「飛行状態制御部214」は、「飛行コース」を「飛行計画を示す空域情報」「に含まれる通過点に基づいて」「定める」ものであり、「定められた飛行コースは空域情報に含まれる飛行可能空域や飛行禁止空域の情報に従ったものであ」る点。
イ 判断
(ア)理由1(新規性)について
相違点5-1、相違点5-2、相違点5-3は、いずれも実質的な相違点であるから、本件発明5は、甲1発明ではない。
(イ)理由2(進歩性)について
相違点5-1は、相違点1-1と実質的に同じ相違点であるから、上記(2)イ(イ)において検討した相違点1-1と同様に、甲1発明において、相違点5-1に係る本件発明5の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
相違点5-2は、相違点1-2と実質的に同じ相違点であるから、上記(2)イ(イ)において検討した相違点1-2と同様に、甲1発明において、相違点5-2に係る本件発明5の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
そうすると、相違点5-3について検討するまでもなく、本件発明5は、甲1発明に基いて容易に発明をすることができたものということはできない。
(5)本件発明6について(理由1、2)
ア 対比
(ア)本件発明6と甲1発明を対比すると、上記(2)アにおいて検討した本件発明1との対比と同様に、後者の「飛行許可空域設定装置3」、「空域情報などの情報」、「空域情報などの情報」が示す「飛行計画」、「制御装置通信部213」、「電波品質が悪いか否かを判断する飛行状態制御部214」、「電波品質が悪い場合」、「電波品質が良い場合」、「自律制御モード」で用いられる「飛行コース」、「飛行状態制御部214」が「電波品質が良い場合」に「自律制御モードを実行」すること、はそれぞれ、前者の「サーバ装置」、「第1飛行条件」、「第1飛行条件が記載された飛行計画」、「取得部」、「前記通信の状態を判定する状態判定部」、「前記判定された通信の状態が所定の状態である場合」、「前記判定された通信の状態が前記所定の状態ではない場合」、「第2飛行条件」、「飛行制御部」が「前記判定された通信の状態が前記所定の状態ではない場合には前記第1飛行条件に従って」「飛行体の飛行を制御」すること、に相当する。
(イ)甲1発明の「電波品質が悪い場合」の「自律制御モード」における「受信した空域情報に含まれる通過点に基づいて飛行コースを定め、定めた飛行コースに沿って飛行体2の飛行状態を制御する」「飛行状態制御部214」と、本件発明6の「前記判定された通信の状態が所定の状態である場合には、第2飛行条件を前記飛行計画によらずに決定する条件決定部」は、「前記判定された通信の状態が所定の状態である場合には、第2飛行条件を決定する条件決定部」の点で共通する。
(ウ)甲1発明の「飛行状態制御部214」が「電波品質が悪い場合」に「受信した空域情報に含まれる通過点に基づいて飛行コースを定め、定めた飛行コースに沿って飛行体2の飛行状態を制御する」「自律制御モードを実行する」ことと、本件発明6の「飛行制御部」が「前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合には前記飛行計画の前記第1飛行条件の一部以外の部分を無効にして前記第1飛行条件の一部と前記決定された第2飛行条件とに従って、飛行体の飛行を制御する」ことは、「前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合には前記第1飛行条件の一部と前記決定された第2飛行条件とに従って、飛行体の飛行を制御する」ことの点で共通する。
(エ)甲1発明の「飛行目的地」は、本件発明6の「目的地」に相当するから、甲1発明の「飛行計画情報には、飛行体の離陸および着陸場所、飛行目的地が含まれて」いることと、本件発明6の「前記飛行計画には、目的地及び経路が記載され」ていることは、「前記飛行計画には、目的地が記載され」ていることの点で共通する。
(オ)そうすると、両者は、
「サーバ装置と通信を行うことにより、第1飛行条件が記載された飛行計画を取得する取得部と、
前記通信の状態を判定する状態判定部と、
前記判定された通信の状態が所定の状態である場合には、第2飛行条件を決定する条件決定部と、
前記判定された通信の状態が前記所定の状態ではない場合には前記第1飛行条件に従って、前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合には前記第1飛行条件の一部と前記決定された第2飛行条件とに従って、飛行体の飛行を制御する飛行制御部とを備え、
前記飛行計画には、目的地が記載されている飛行制御装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
〔相違点6-1〕
通信状態が所定の状態である場合に飛行体の飛行を制御するために用いられる第2飛行条件について、本件発明6は「第2飛行条件を前記飛行計画によらずに決定する」のに対して、甲1発明は「飛行コース」を「飛行計画を示す空域情報」「に含まれる通過点に基づいて」「定める」ものであり、「定められた飛行コースは空域情報に含まれる飛行可能空域や飛行禁止空域の情報に従ったものであ」る点。
〔相違点6-2〕
通信状態が所定の状態である場合に第1飛行条件の一部と第2飛行条件とに従って飛行体の飛行を制御する際に、本件発明6は、「前記飛行計画の前記第1飛行条件の一部以外の部分を無効」にするのに対して、甲1発明は、無効にするか否か不明な点。
〔相違点6-3〕
本件発明6の飛行計画には、目的地「及び経路」が記載されているものであり、「前記条件決定部は、前記経路に含まれる位置に戻ってから前記目的地へ向かう新たな経路を前記飛行計画によらずに決定する」のに対して、甲1発明の飛行計画情報には、飛行体の離陸および着陸場所、飛行目的地が含まれているものの経路は含まれておらず、「飛行状態制御部214」は、「飛行コース」を「飛行計画を示す空域情報」「に含まれる通過点に基づいて」「定める」ものであり、「定められた飛行コースは空域情報に含まれる飛行可能空域や飛行禁止空域の情報に従ったものであ」って、経路に含まれる位置に戻ってから目的地へ向かう新たな経路を飛行計画によらずに決定することは特定されていない点。
イ 判断
(ア)理由1(新規性)について
相違点6-1、相違点6-2、相違点6-3は、いずれも実質的な相違点であるから、本件発明6は、甲1発明ではない。
(イ)理由2(進歩性)について
相違点6-1は、相違点1-1と実質的に同じ相違点であるから、上記(2)イ(イ)において検討した相違点1-1と同様に、甲1発明において、相違点6-1に係る本件発明6の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
相違点6-2は、相違点1-2と実質的に同じ相違点であるから、上記(2)イ(イ)において検討した相違点1-2と同様に、甲1発明において、相違点6-2に係る本件発明6の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
そうすると、相違点6-3について検討するまでもなく、本件発明6は、甲1発明に基いて容易に発明をすることができたものということはできない。
(6)本件発明7について(理由2)
ア 対比
(ア)本件発明7と甲1発明を対比すると、上記(エ)アにおいて検討した本件発明6との対比と同様に、後者の「飛行許可空域設定装置3」、「空域情報などの情報」、「空域情報などの情報」が示す「飛行計画」、「制御装置通信部213」、「電波品質が悪いか否かを判断する飛行状態制御部214」、「電波品質が悪い場合」、「電波品質が良い場合」、「自律制御モード」で用いられる「飛行コース」、「飛行状態制御部214」が「電波品質が良い場合」に「自律制御モードを実行」すること、はそれぞれ、前者の「サーバ装置」、「第1飛行条件」、「第1飛行条件が記載された飛行計画」、「取得部」、「前記通信の状態を判定する状態判定部」、「前記判定された通信の状態が所定の状態である場合」、「前記判定された通信の状態が前記所定の状態ではない場合」、「第2飛行条件」、「飛行制御部」が「前記判定された通信の状態が前記所定の状態ではない場合には前記第1飛行条件に従って」「飛行体の飛行を制御」すること、に相当する。
(イ)甲1発明の「電波品質が悪い場合」の「自律制御モード」における「受信した空域情報に含まれる通過点に基づいて飛行コースを定め、定めた飛行コースに沿って飛行体2の飛行状態を制御する」「飛行状態制御部214」と、本件発明7の「前記判定された通信の状態が所定の状態である場合には、第2飛行条件を前記飛行計画によらずに決定する条件決定部」は、「前記判定された通信の状態が所定の状態である場合には、第2飛行条件を決定する条件決定部」の点で共通する。
(ウ)甲1発明の「飛行状態制御部214」が「電波品質が悪い場合」に「受信した空域情報に含まれる通過点に基づいて飛行コースを定め、定めた飛行コースに沿って飛行体2の飛行状態を制御する」「自律制御モードを実行する」ことと、本件発明7の「飛行制御部」が「前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合には前記飛行計画の前記第1飛行条件の一部以外の部分を無効にして前記第1飛行条件の一部と前記決定された第2飛行条件とに従って、飛行体の飛行を制御する」ことは、「前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合には前記第1飛行条件の一部と前記決定された第2飛行条件とに従って、飛行体の飛行を制御する」ことの点で共通する。
(エ)甲1発明の「飛行目的地」は、本件発明7の「目的地」に相当するから、甲1発明の「飛行計画情報には、飛行体の離陸および着陸場所、飛行目的地が含まれて」いることと、本件発明7の「前記飛行計画には、目的地及び経路が記載され」ていることは、「前記飛行計画には、目的地が記載され」ていることの点で共通する。
(オ)甲1発明の「飛行禁止空域」に含まれる「基地局障害が発生している区域」の情報と、本件発明7の「複数の空域における通信の状態を示す状態情報」とは、「複数の空域における状態情報」の点で共通するから、甲1発明の「制御装置通信部213」が「空域情報などの情報」に含まれる「飛行禁止空域」を「取得」するものであることと、本件発明7の「前記取得部」が「複数の空域における通信の状態を示す状態情報を取得」するものであることとは、「前記取得部」が「複数の空域における状態情報を取得」するものであることの点で共通する。
(カ)上記(オ)を踏まえると、甲1発明の「飛行状態制御部214」が「空域情報に含まれる飛行可能空域や飛行禁止空域の情報に従ったものであ」る「飛行コース」を「定め」ることは、「基地局障害が発生している区域」である「飛行禁止空域」の情報に基づいて「飛行コース」を「定め」ることを含むと理解できるから、本件発明7の「前記条件決定部は、前記複数の空域のうち、前記状態情報により示される前記通信の状態が前記所定の状態以外の状態である空域を通って前記目的地へ向かう新たな経路を前記飛行計画によらずに決定する」ことと、「前記条件決定部は、前記複数の空域のうち、前記状態情報に基づいて前記目的地へ向かう経路を決定する」ことの点で共通する。
(キ)そうすると、両者は、
「サーバ装置と通信を行うことにより、第1飛行条件が記載された飛行計画を取得する取得部と、
前記通信の状態を判定する状態判定部と、
前記判定された通信の状態が所定の状態である場合には、第2飛行条件を決定する条件決定部と、
前記判定された通信の状態が前記所定の状態ではない場合には前記第1飛行条件に従って、前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合には前記第1飛行条件の一部と前記決定された第2飛行条件とに従って、飛行体の飛行を制御する飛行制御部とを備え、
前記飛行計画には、目的地が記載され、
前記取得部は、複数の空域における状態情報を取得し、
前記条件決定部は、前記複数の空域のうち、前記状態情報に基づいて前記目的地へ向かう経路を決定する
飛行制御装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
〔相違点7-1〕
通信状態が所定の状態である場合に飛行体の飛行を制御するために用いられる第2飛行条件について、本件発明7は「第2飛行条件を前記飛行計画によらずに決定する」のに対して、甲1発明は「飛行コース」を「飛行計画を示す空域情報」「に含まれる通過点に基づいて」「定める」ものであり、「定められた飛行コースは空域情報に含まれる飛行可能空域や飛行禁止空域の情報に従ったものであ」る点。
〔相違点7-2〕
通信状態が所定の状態である場合に第1飛行条件の一部と第2飛行条件とに従って飛行体の飛行を制御する際に、本件発明7は、「前記飛行計画の前記第1飛行条件の一部以外の部分を無効」にするのに対して、甲1発明は、無効にするか否か不明な点。
〔相違点7-3〕
本件発明7の飛行計画には、目的地「及び経路」が記載されているものであり、条件決定部は、「新たな経路を前記飛行計画によらずに決定する」のに対して、甲1発明の飛行計画情報には、飛行体の離陸および着陸場所、飛行目的地が含まれているものの経路は含まれておらず、「飛行状態制御部214」は、「飛行コース」を「飛行計画を示す空域情報」「に含まれる通過点に基づいて」「定める」ものであり、「定められた飛行コースは空域情報に含まれる飛行可能空域や飛行禁止空域の情報に従ったものであ」る点。
〔相違点7-4〕
本件発明7は、「通信の状態を示す状態情報」を取得し、「前記状態情報により示される前記通信の状態が前記所定の状態以外の状態である空域を通って」前記目的地へ向かう「新たな経路を前記飛行計画によらずに決定する」のに対して、甲1発明の「定められた飛行コース」は、「空域情報に含まれる飛行可能空域や飛行禁止空域の情報に従ったもの」であり、「飛行禁止空域は、天候が悪い区域や基地局障害が発生している区域など」である点。
イ 判断
相違点7-1は、相違点1-1と実質的に同じ相違点であるから、上記(2)イ(イ)において検討した相違点1-1と同様に、甲1発明において、相違点7-1に係る本件発明7の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
相違点7-2は、相違点1-2と実質的に同じ相違点であるから、上記(2)イ(イ)において検討した相違点1-2と同様に、甲1発明において、相違点7-2に係る本件発明7の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
そうすると、相違点7-3及び7-4について検討するまでもなく、本件発明7は、甲1発明に基いて容易に発明をすることができたものということはできない。
(7)本件発明8について(理由2)
本件発明8は、本件発明1、2、5~7いずれかの発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えるものであるから、上記(2)~(6)で検討したのと同じ理由により、請求項1、2、5~7を引用する本件発明8は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
(8)本件発明9について(理由1、2)
ア 理由1(新規性)について
本件発明9は、本件発明1、2、5~8いずれかの発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えるものであるから、甲1発明との間には、上記(2)~(6)で検討した実質的な相違点が存在するため、請求項1、2、5~8を引用する本件発明9は、甲1発明ではない。
イ 理由2(進歩性)について
本件発明9は、本件発明1、2、5~8いずれかの発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えるものであるから、上記(2)~(7)で検討したのと同じ理由により、請求項1、2、5~8を引用する本件発明9は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 申立人の主張する特許異議申立理由
申立人は、特許異議申立書において、取消理由通知書で通知した取消理由のほか、下記の理由を挙げている
(進歩性)本件訂正前の請求項3及び同項を引用する請求項9に係る発明は、甲1に記載された発明に基いて、又は甲1に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正前の請求項3、9に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(進歩性)本件訂正前の請求項4及び同項を引用する請求項8、9に係る発明に係る発明は、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正前の請求項4、8及び9に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
2 当審の判断
(1)本件発明3の進歩性について
ア 対比
(ア)本件発明3と甲1発明を対比すると、上記第5の2(2)アにおいて検討した本件発明1との対比と同様に、後者の「飛行許可空域設定装置3」、「空域情報などの情報」、「空域情報などの情報」が示す「飛行計画」、「制御装置通信部213」、「電波品質が悪いか否かを判断する飛行状態制御部214」、「電波品質が悪い場合」、「電波品質が良い場合」、「自律制御モード」で用いられる「飛行コース」、「飛行状態制御部214」が「電波品質が良い場合」に「自律制御モードを実行」すること、はそれぞれ、前者の「サーバ装置」、「第1飛行条件」、「第1飛行条件が記載された飛行計画」、「取得部」、「前記通信の状態を判定する状態判定部」、「前記判定された通信の状態が所定の状態」である「場合」、「前記判定された通信の状態が前記所定の状態ではない場合」、「第2飛行条件」、「飛行制御部」が「前記判定された通信の状態が前記所定の状態ではない場合には前記第1飛行条件に従って」「飛行体の飛行を制御」すること、に相当する。
(イ)甲1発明の「電波品質が悪い場合」の「自律制御モード」における「受信した空域情報に含まれる通過点に基づいて飛行コースを定め、定めた飛行コースに沿って飛行体2の飛行状態を制御する」「飛行状態制御部214」と、本件発明3の「前記判定された通信の状態が所定の状態であり、且つ、前記所定の状態が所定の時間継続する場合には、第2飛行条件を前記飛行計画によらずに決定する条件決定部」は、「前記判定された通信の状態が所定の状態である場合には、第2飛行条件を決定する条件決定部」の点で共通する。
(ウ)甲1発明の「飛行状態制御部214」が「電波品質が悪い場合」に「受信した空域情報に含まれる通過点に基づいて飛行コースを定め、定めた飛行コースに沿って飛行体2の飛行状態を制御する」「自律制御モードを実行する」ことと、本件発明3の「飛行制御部」が「前記判定された通信の状態が前記所定の状態であり、且つ、前記所定の状態が前記所定の時間継続する場合には前記第1飛行条件の一部と前記決定された第2飛行条件とに従って、飛行体の飛行を制御する」ことは、「前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合には前記第1飛行条件の一部と前記決定された第2飛行条件とに従って、飛行体の飛行を制御する」ことの点で共通する。
(エ)そうすると、両者は、
「サーバ装置と通信を行うことにより、第1飛行条件が記載された飛行計画を取得する取得部と、
前記通信の状態を判定する状態判定部と、
前記判定された通信の状態が所定の状態である場合には、第2飛行条件を決定する条件決定部と、
前記判定された通信の状態が前記所定の状態ではない場合には前記第1飛行条件に従って、前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合には前記第1飛行条件の一部と前記決定された第2飛行条件とに従って、飛行体の飛行を制御する飛行制御部とを備え
る飛行制御装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
〔相違点3-1〕
第2飛行条件について、本件発明3は「前記判定された通信の状態が所定の状態であり、且つ、前記所定の状態が所定の時間継続する場合には、第2飛行条件を前記飛行計画によらずに決定する」のに対して、甲1発明は「電波品質が悪い場合」に、「飛行コース」を「飛行計画を示す空域情報」「に含まれる通過点に基づいて」「定める」ものであり、「定められた飛行コースは空域情報に含まれる飛行可能空域や飛行禁止空域の情報に従ったものであ」る点。
〔相違点3-2〕
本件発明3は、「前記所定の状態は、前記通信が切断された切断状態と、前記通信が遅延する遅延状態とを含み、前記所定の時間は、前記判定された通信の状態が前記切断状態である場合と前記遅延状態である場合とで変化する」ものであるのに対して、甲1発明は、「電波品質が悪い場合」である点。
イ 判断
相違点3-1のうち、本件発明3が「第2飛行条件を前記飛行計画によらずに決定する」のに対して、甲1発明が「飛行コース」を「飛行計画を示す空域情報」「に含まれる通過点に基づいて」「定める」ものであり、「定められた飛行コースは空域情報に含まれる飛行可能空域や飛行禁止空域の情報に従ったものであ」る部分は、相違点1-1と実質的に同じ相違点であるから、上記第5の2(2)イ(イ)において検討した相違点1-1と同様に、甲1発明において、相違点3-1の上記部分に係る本件発明3の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
そうすると、相違点3-1のうち上記部分以外の部分、及び相違点3-2について検討するまでもなく、本件発明3は、甲1発明に基いて容易に発明をすることができたものということはできない。
(2)本件発明4の進歩性について
ア 対比
(ア)本件発明4と甲1発明を対比すると、上記第5の2(2)アにおいて検討した本件発明1との対比と同様に、後者の「飛行許可空域設定装置3」、「空域情報などの情報」、「空域情報などの情報」が示す「飛行計画」、「制御装置通信部213」、「電波品質が悪いか否かを判断する飛行状態制御部214」、「電波品質が悪い場合」、「電波品質が良い場合」、「自律制御モード」で用いられる「飛行コース」、「飛行状態制御部214」が「電波品質が良い場合」に「自律制御モードを実行」すること、はそれぞれ、前者の「サーバ装置」、「第1飛行条件」、「第1飛行条件が記載された飛行計画」、「取得部」、「前記通信の状態を判定する状態判定部」、「前記判定された通信の状態が所定の状態である場合」、「前記判定された通信の状態が前記所定の状態ではない場合」、「第2飛行条件」、「飛行制御部」が「前記判定された通信の状態が前記所定の状態ではない場合には前記第1飛行条件に従って」「飛行体の飛行を制御」すること、に相当する。
(イ)甲1発明の「電波品質が悪い場合」の「自律制御モード」における「受信した空域情報に含まれる通過点に基づいて飛行コースを定め、定めた飛行コースに沿って飛行体2の飛行状態を制御する」「飛行状態制御部214」と、本件発明4の「前記判定された通信の状態が所定の状態である場合には、第2飛行条件を前記飛行計画によらずに決定する条件決定部」は、「前記判定された通信の状態が所定の状態である場合には、第2飛行条件を決定する条件決定部」の点で共通する。
(ウ)甲1発明の「飛行状態制御部214」が「電波品質が悪い場合」に「受信した空域情報に含まれる通過点に基づいて飛行コースを定め、定めた飛行コースに沿って飛行体2の飛行状態を制御する」「自律制御モードを実行する」ことは、本件発明4の「飛行制御部」が「前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合には前記第1飛行条件の一部と前記決定された第2飛行条件とに従って、飛行体の飛行を制御する」ことに相当する。
(エ)そうすると、両者は、
「サーバ装置と通信を行うことにより、第1飛行条件が記載された飛行計画を取得する取得部と、
前記通信の状態を判定する状態判定部と、
前記判定された通信の状態が所定の状態である場合には、第2飛行条件を決定する条件決定部と、
前記判定された通信の状態が前記所定の状態ではない場合には前記第1飛行条件に従って、前記判定された通信の状態が前記所定の状態である場合には前記第1飛行条件の一部と前記決定された第2飛行条件とに従って、飛行体の飛行を制御する飛行制御部とを備え
る飛行制御装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
〔相違点4-1〕
通信状態が所定の状態である場合に飛行体の飛行を制御するために用いられる第2飛行条件について、本件発明4は「第2飛行条件を前記飛行計画によらずに決定する」のに対して、甲1発明は「飛行コース」を「飛行計画を示す空域情報」「に含まれる通過点に基づいて」「定める」ものであり、「定められた飛行コースは空域情報に含まれる飛行可能空域や飛行禁止空域の情報に従ったものであ」る点。
〔相違点4-2〕
本件発明4は、「前記取得部は、前記通信を行うことにより、前記サーバ装置から前記飛行計画の更新指示を取得し、前記所定の状態は、前記通信が遅延する遅延状態を含み、前記判定された通信の状態が前記所定の状態以外の状態である場合には、前記取得された更新指示に従って前記飛行計画を更新し、前記判定された通信の状態が前記遅延状態である場合には、前記更新指示を前記飛行計画に反映しない更新部を更に備える」ものであるのに対して、甲1発明は、そのような構成の有無が不明な点。
イ 判断
相違点4-1は、相違点1-1と実質的に同じ相違点であるから、上記第5の2(2)イ(イ)において検討した相違点1-1と同様に、甲1発明において、相違点4-1に係る本件発明4の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
そうすると、相違点4-2について検討するまでもなく、本件発明4は、甲1発明に基いて容易に発明をすることができたものということはできない。
(3)本件発明8、9の進歩性について
請求項4を引用する本件発明8は、本件発明4の発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えるものであるから、上記(2)で検討したのと同じ理由により、請求項4を引用する本件発明8は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
請求項3、4を引用する本件発明9は、本件発明3、4いずれかの発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えるものであるから、上記(1)及び(2)で検討したのと同じ理由により、請求項3、4を引用する本件発明9は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
第7 むすび
以上によれば、取消理由通知に記載した取消理由並びに特許異議申立書に記載された特許異議申立理由及び証拠によっては、請求項1~9に係る特許を取り消すことはできないし、他に請求項1~9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700651