特許異議申立
2023-701163
発泡性エアゾール製品および毛髪洗浄方法
- 審判番号
- 2023-701163
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-001615
- 登録番号
- 7280045
- 請求日
- 2023年10月31日
- 審決日
- 2024年08月05日
- 公報発行日
- 2024年11月29日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社ミルボン
- 【権利者代理人】加藤 秀忠
- 【権利者代理人】合路 裕介
- 【異議申立人】山田 はるみ
- 審判長/審判官
- 審判長 井上 典之
- 審判官 小石 真弓
- 審判官 関 美祝
- 分類
- P1651.113-YAA(A61K) / P1651.121-YAA(A61K) / P1651.537-YAA(A61K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の8
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7280045号発明「発泡性エアゾール製品および毛髪洗浄方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7280045号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕について訂正することを認める。
特許第7280045号の請求項1、2、4及び5に係る特許を維持する。
特許第7280045号の請求項3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7280045号(以下「本件特許」という。)の請求項1~5に係る特許についての出願(特願2019-1615号)は、平成31年1月9日に出願され、令和5年5月15日にその特許権の設定登録がされ、同年同月23日に特許掲載公報が発行されたものである。
その後、令和5年10月31日に特許異議申立人 山田 はるみ (以下「申立人」という。)により、本件特許の請求項1~5(全請求項)に係る特許に対し、特許異議の申立てがされ、令和6年2月9日付けで当審合議体は特許権者に対して取消理由を通知し、その指定期間内である同年4月11日に特許権者から意見書及び訂正請求書が提出され、同年同月26日付けで当審合議体は申立人に対して特許法第120条の5第5項の規定に基づく訂正請求があった旨の通知をし、その指定期間内である同年5月31日付けで申立人から意見書の提出があったものである。
第2 訂正請求について
1 訂正の趣旨
令和6年4月11日付けの訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の趣旨は、
「特許第7280045号の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~5について訂正することを求める。」
というものである。
2 訂正の内容
本件訂正の内容は、訂正請求書の記載及び訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の記載からみて、次の訂正事項1~5からなるものであると認められる。下線は、訂正による記載の変更箇所を示す。
なお、訂正前の請求項1~5について、請求項2~5は、いずれも請求項1の記載を直接的又は間接的に引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1~5にそれぞれ対応する訂正後の請求項1~5に係る本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に対してされたものである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「噴射剤としての二酸化炭素と、炭及びアニオン界面活性剤が配合された毛髪洗浄用組成物と、が容器に充填され、
泡状の毛髪洗浄用組成物を吐出する」
とあるのを、
「噴射剤としての二酸化炭素及び液化石油ガスと、炭及びアニオン界面活性剤が配合された毛髪洗浄用組成物と、が容器に充填され、
前記二酸化炭素に対する前記液化石油ガスの質量比LPG/CO2が200以下であり、泡状の毛髪洗浄用組成物を吐出する」
に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~5も同様に訂正する。)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に
「前記噴射剤として液化石油ガスが前記容器に充填された」
とあるのを、
「前記容器に充填された液化石油ガスの充填量の上限は、噴射剤及び毛髪洗浄用組成物の総量を100質量%としたときに7質量%である」
に訂正する(請求項2の記載を直接的又は間接的に引用する請求項4及び5も同様に訂正する。)。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に
「請求項1~3のいずれか1項に記載」
とあるのを、
「請求項1又は2に記載」
に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項5も同様に訂正する。)。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5に
「請求項1~4のいずれか1項に記載」
とあるのを、
「請求項1、2、4のいずれか1項に記載」
に訂正する。
3 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否についての判断
(1)訂正事項1について
訂正事項1による訂正は、訂正前の請求項1に記載されている「噴射剤としての二酸化炭素と、・・・と、が容器に充填され」ることについて、「噴射剤」として「二酸化炭素」が容器に充填されること以外は、噴射剤の成分及び組成が特定されていないところ、「液化石油ガス」も含むものとして、「噴射剤としての二酸化炭素及び液化石油ガスと、・・・と、が容器に充填され」ると特定するとともに(当審注:下線は当審合議体が付した。「・・・」は摘記の省略を示す。以下同じ。)、「二酸化炭素」に対する「液化石油ガス」の「質量比LPG/CO2」を「200以下」に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
そして、訂正事項1による訂正は、本件特許の願書に添付した明細書又は特許請求の範囲(以下「本件明細書等」という。)において、【請求項2】に「前記噴射剤として液化石油ガスが前記容器に充填された」と記載され、【請求項3】に「前記噴射剤として二酸化炭素及び液化石油ガスが前記容器に充填され、前記二酸化炭素に対する前記液化石油ガスの質量比LPG/CO2が200以下である」と記載され、明細書の【0008】に「前記噴射剤として液化石油ガスが前記容器に充填されたものが良い。」と記載され、同【0009】に「前記二酸化炭素に対する前記液化石油ガスの質量比LPG/CO2は200以下が好ましい。」と記載されており、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではないから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(2)訂正事項2について
訂正事項2による訂正は、訂正前の請求項2に「前記噴射剤として液化石油ガスが前記容器に充填された」と記載されているところ、訂正事項1により同項が記載を引用する請求項1において「噴射剤としての二酸化炭素及び液化石油ガスと、・・・と、が容器に充填され、」と特定されることに伴い、請求項2における「前記噴射剤として液化石油ガスが」の記載部分を削除するとともに、訂正前の請求項2では、容器に充填される液化石油ガスの充填量について特定がないところ、「液化石油ガスの充填量の上限は、噴射剤及び毛髪洗浄用組成物の総量を100質量%としたときに7質量%である」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
そして、訂正事項2による訂正は、本件明細書等の【0021】に「本実施形態における液化石油ガスの充填量は、噴射剤及び洗浄用組成物の総量を100質量%としたときに、・・・、液化石油ガスの充填量の上限は、・・・、例えば7質量%である。」との記載に基づくものであって、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではないから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項2による訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(3)訂正事項3について
訂正事項3による訂正は、請求項3を削除するというものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(4)訂正事項4及び5について
訂正事項4及び5による訂正は、請求項4及び5において、それぞれ記載を引用する請求項から、請求項3を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(5)独立特許要件について
本件特許異議申立事件においては、訂正前の全ての請求項である請求項1~5に係る特許に対して特許異議の申立てがされているから、訂正事項1~5による訂正は、いずれも特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるが、訂正後の請求項1~5に係る発明については、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する要件(いわゆる「独立特許要件」)は課されない。
(6)申立人の主張について
申立人は、令和6年5月31日付けの意見書の第2~3頁において、訂正後の請求項1に係る発明は、訂正前の特許発明に対し、皮脂の除去量が約1/3と大幅に減少しており、もはや皮脂の除去効率を高める技術提案という発明が解決しようとする課題を解決し得ないものであり、作用効果が同一であるとはいえないから、訂正事項1は実質上特許請求の範囲を変更するものであり、訂正要件に違反するものである旨の主張をしている。
しかしながら、上記(1)で述べたとおり、訂正事項1による訂正は、本件明細書等に記載された事項の範囲内において、特許請求の範囲を減縮するものであり、訂正要件を満たすものであると認められる。そして、訂正後の請求項1に係る発明の範囲内の実施例について示された効果が、訂正後の請求項1の範囲外となった他の実施例の効果よりも低いことは、訂正事項1による訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更することの理由にはならず、当該理由をもって、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものではない、とはいえない。
4 訂正請求についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
よって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕について訂正することを認める。
第3 本件訂正発明
上記第2のとおり、本件訂正は認められるので、本件訂正後の本件特許の請求項1~5の記載は、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1~5に記載された以下のとおりのものである(下線は、訂正による記載の変更箇所を示す。)。
本件訂正により請求項3が削除されるところ、本件訂正請求項1、2、4及び5に係る発明は、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1、2、4及び5に記載された以下の事項により特定されるとおりのものである(以下、請求項の番号順に「本件訂正発明1」などといい、これらをまとめて「本件訂正発明」ということがある。)。
「【請求項1】
噴射剤としての二酸化炭素及び液化石油ガスと、炭及びアニオン界面活性剤が配合された毛髪洗浄用組成物と、が容器に充填され、
前記二酸化炭素に対する前記液化石油ガスの質量比LPG/CO2が200以下であり、
泡状の毛髪洗浄用組成物を吐出することを特徴とする発泡性エアゾール製品。
【請求項2】
前記容器に充填された液化石油ガスの充填量の上限は、噴射剤及び毛髪洗浄用組成物の総量を100質量%としたときに7質量%である請求項1に記載の発泡性エアゾール製品。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
前記毛髪洗浄用組成物におけるアニオン界面活性剤の配合量が5質量%以上である請求項1又は2に記載された発泡性エアゾール製品。
【請求項5】
請求項1、2、4のいずれか1項に記載の発泡性エアゾール製品を使用する毛髪洗浄方法。」
第4 特許異議の申立ての理由及び取消理由の概要
1 特許異議申立人が申し立てた理由の概要
申立人は、証拠方法として、特許異議申立書(以下「申立書」という。)に添付して下記(7)に示す甲第1号証~甲第13号証(以下、それぞれ番号順に「甲1」~「甲13」ともいう。)を提出し、申立書の全体の記載からみて、本件訂正前の請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由として、下記(1)~(6)に概要を示す特許異議の申立ての理由(以下「申立理由」という。)を主張しているものと認められる。
また、令和6年5月31日付け意見書に添付して下記(8)に示す参考資料1~6を提出している。
(1)申立理由1(甲1を主引例とする新規性欠如及び進歩性欠如)
本件特許の請求項1~5に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は甲1に記載された発明及び甲1~13に記載された事項に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの請求項に係る特許は、同法第29条第1項及び第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(2)申立理由2(甲2を主引例とする新規性欠如及び進歩性欠如)
本件特許の請求項1~5に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は甲2に記載された発明及び甲2~8に記載された事項に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの請求項に係る特許は、同法第29条第1項及び第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(3)申立理由3(甲4を主引例とする進歩性欠如)
本件特許の請求項1~5に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲4に記載された発明及び甲2~8に記載された事項に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(4)申立理由4(甲5を主引例とする新規性欠如及び進歩性欠如)
本件特許の請求項1~5に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲5に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は甲5に記載された発明及び甲5~8に記載された事項に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの請求項に係る特許は、同法第29条第1項及び第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(5)申立理由5(サポート要件違反)
本件特許の特許請求の範囲の記載は、アニオン界面活性剤や炭の種類や配合量が記載されておらず、またLPG/CO2が200以下という範囲まで本件特許の効果を奏するかどうかは明らかでないので、本件特許の請求項1~5に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
(6)申立理由6(明確性要件違反)
本件特許の請求項4の記載は、「アニオン界面活性剤の配合量が5質量%以上」とされていて、含有量の上限の記載がなく、発明の外延が不明確であるため、本件特許の請求項4及びその記載を引用する請求項5に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
(7)証拠方法
甲1:「Amazon」のウェブサイト,「SIMFORT シムフォート スパークリングスカルプシャンプー」の製品販売情報,[online],公知日不明,[出力日令和5年7月14日],インターネット<URL:https://www.amazon.co.jp/SIMFORT-スパークリングスカルプシャンプー-150g/dp/B075DXJRYM>
甲2:特開2013-241359号公報
甲3:特開2011-84490号公報
甲4:特開2018-115267号公報
甲5:特開2015-98463号公報
甲6:「貝印株式会社」のウェブサイト,プレスリリース「炭成分配合の薬用シェービングフォームを発売」,[online],2009年3月26日,インターネット,<URL:https://www.kai-group.com/news/id/135/>
甲7:「ヨドバシ.com」のウェブサイト,貝印株式会社の「炭シェービングフォーム」の商品情報,[online],公知日不明,[出力日令和5年9月4日],インターネット,<URL:https://www.yodobashi.com/product/100000001001632993/>
甲8:「Amazon」のウェブサイト,「ジュン・コスメティック炭シャンプー」の製品販売情報,[online],公知日不明,[出力日令和5年9月13日],インターネット,<URL:https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%82%B9%E3%83%A1%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%AF-%E7%82%AD%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%BC-600ml/dp/B000FQRKGG/ref=sr_15?keywords=%E7%82%AD%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%BC&qid=1693541796&sr=8-5>
甲9:特開2016-87142号公報
甲10:特開2018-164898号公報
甲11:2013.6.24 高濃度溶解炭酸スキンケア製品説明会「美泡 befo スパークリングシルキーシリーズ」の説明資料「医学的な視点からみた炭酸泉の効果」
甲12:特開2015-151374号公報
甲13:岩田宏著,「化粧品技術者のための処方開発ハンドブック」,株式会社シーエムシー出版,2014年4月7日,表紙,目次V頁,40,41,125~128,134~142頁,奧付
(8)参考資料
参考資料1:特開2014-62208号公報
参考資料2:特開2015-151342号公報
参考資料3:特開2017-95392号公報
参考資料4:特開2017-95393号公報
参考資料5:特開2012-240985号公報
参考資料6:特開2012-240986号公報
2 当審合議体が通知した取消理由の概要
本件訂正前の請求項1~5に係る特許について、当審合議体が令和6年2月9日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
〔取消理由1〕(甲5を主引例とする進歩性欠如)
本件特許の請求項1~5に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲5に記載された発明及び周知技術に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
上記「取消理由1」は、上記1(4)の「申立理由4」のうち、甲5を主引例とする進歩性欠如の理由を採用したものである。
第5 当審合議体の判断
当審合議体は、本件特許の請求項1、2、4及び5に係る特許は、取消理由通知書に記載した取消理由及び申立人が申し立てた申立理由によっては、取り消すことはできないものと判断する。その理由は以下のとおりである。
なお、以下の記載事項の摘記において、下線は当審合議体が付したものであり、「・・・」は摘記の省略を示す。また、以下、証拠の記載事項の摘記は、全て全角で表記する。
1 取消理由1(甲5を主引例とする進歩性欠如)について
(1)引用文献及びその記載事項
ア 甲5の記載事項
甲5には、以下の事項が記載されている。
摘記5a:
「【請求項1】
高重合ポリエチレングリコール、多価アルコール、イオン性界面活性剤および水を含有する水性原液、ならびに炭酸ガスを含有する噴射剤からなる発泡性塗布用組成物。
・・・
【請求項3】
前記イオン性界面活性剤がアニオン性界面活性剤を含有する請求項1または2記載の発泡性塗布用組成物。
【請求項4】
前記噴射剤が、さらに液化ガスを含有する請求項1~3のいずれか1項に記載の発泡性塗布用組成物。」
摘記5b:
「【0006】
本発明は、水性原液に溶解してpHを変動させる炭酸ガスと共にイオン性界面活性剤を含有しているにもかかわらず、内容物の安定性に優れ、また、吐出物の発泡性、伸展性、肌への密着性に優れた発泡性塗布用組成物を提供することを目的とする。」
摘記5c:
「【0026】
イオン性界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤などが挙げられる。
【0027】
前記アニオン性界面活性剤としては、たとえば、ラウリルリン酸カリウム、ラウリルリン酸ナトリウムなどのアルキルリン酸塩;・・・;POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム、・・・;POEラウリルエーテル酢酸カリウム、POEラウリルエーテル酢酸ナトリウム、・・・などが挙げられる。また、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸トリエタノールアミン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸カリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム(ココイルグルタミン酸TEA)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸トリエタノールアミン、・・・などのアミノ酸型界面活性剤を用いてもよい。
・・・
【0030】
なお、イオン性界面性活性剤のなかでも、発泡性に優れ、きめの細かな泡を形成でき、泡持ちがよいという理由からアニオン性界面活性剤が好ましく、さらに、高重合ポリエチレングリコールと併用することでフォームの粘性(曳糸性)が良くなるという理由からアルキルリン酸塩を用いることがより好ましい。
【0031】
イオン性界面活性剤の含有量は、水性原液中1~25質量%が好ましく、さらには3~20質量%が好ましい。イオン性界面活性剤の含有量が1質量%未満の場合は前述の効果が得られにくくなる傾向がある。また、含有量が25質量%を超える場合は塗布面上に残りやすく、べたつくなど使用感が悪くなる傾向がある。なお、イオン性界面活性剤が水やアルコール類などの溶剤に溶解したものを用いる場合の含有量は、溶剤を除いた界面活性剤の含有量である。」
摘記5d:
「【0035】
本発明に用いられる水性原液は、用途や目的などに応じて、イオン性界面活性剤以外の界面活性剤、カチオン性高分子、有効成分、1価アルコール、水溶性高分子、油分、粉体などを含有することができる。
・・・
【0055】
前記粉体は、粉体自体が有効成分として作用する、スクラブなどとして洗浄効果を高くするなどの目的で用いる。
【0056】
粉体としては、たとえば、タルク、カオリン、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、シリカ、ゼオライト、セラミックパウダー、炭粉末、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、シリコーンパウダー、ポリエチレンパウダーなどが挙げられる。」
摘記5e:
「【0059】
前記炭酸ガスを含有する噴射剤は、炭酸ガスのみから構成してもよく、炭酸ガスと共に液化ガスを含有しても良い。
【0060】
前記炭酸ガスはエアゾール容器内では一部が水性原液に溶解しており、吐出物を発泡させる、皮膚に適度な刺激を与えて血行を促進する、洗浄効果を高くするなどを目的として用いる。さらに、吐出物中に炭酸ガスの気泡が分散することでより塗り伸ばしやすくできる。
・・・
【0063】
前記液化ガスとしては、たとえば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタンおよびこれらの混合物である液化石油ガス、ジメチルエーテル、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロパ-1-エン、トランス-2,3,3,3-テトラフルオロプロパ-1-エンなどのハイドロフルオロオレフィンおよびこれらの混合物などが挙げられる。」
摘記5f:
「【0070】
本発明の発泡性塗布用組成物は、内容物の安定性に優れ、また発泡性、伸展性、密着性に優れ、炭酸ガスの保持性に優れたフォームを形成することができるため、例えば、スキンケア用品や頭髪用品として好適に用いることができる。特に、洗顔料やパック料など、皮膚に塗り伸ばして使用する製品、毛髪のトーリートメントやパック、シャンプーなど頭髪に塗り伸ばして使用する製品として用いることにより本願発明の効果が効果的に発揮される。」
摘記5g:
「【0077】
【表1】
・・・
*1:プライオリーB-300D(商品名)、有効成分(ラウリルリン酸カリウム/POEラウリルエーテル酢酸カリウム)35質量%含有、花王株式会社製
・・・
【0086】
処方例3 シャンプー
下記の水性原液47.5g(95質量%)を透明なガラス製耐圧容器およびアルミニウム製耐圧容器に充填し、バルブを取り付け、次いで、液化石油ガス(*15)を2.5g(5質量%)充填した。次いでバルブから炭酸ガスを充填し、容器を振って炭酸ガスを水性原液と液化石油ガスに溶解させた。炭酸ガス充填後の耐圧容器内の25℃における平衡圧力は0.40MPaであった。
【0087】
<水性原液>
ラウリルリン酸カリウム/
POEラウリルエーテル酢酸カリウムの水溶液(*1) 10.0
POEラウリルエーテル硫酸ナトリウムの水溶液(*18) 7.0
高重合ポリエチレングリコール(*2) 0.3
ポリオクタニウム10(*19) 1.0
ジプロピレングリコール(*8) 10.0
ソルビトール 5.0
ラウリン酸アミドプロピルベタイン(*9) 3.5
コカミドプロピルベタイン(*20) 5.0
ヒアルロン酸 0.1
l-メントール 0.1
メチルパラベン 0.2
精製水 57.8
合計(質量部) 100.0
*18:エマール270(商品名)、有効成分(POEラウリルエーテル酢酸ナトリウム)70質量%含有、花王株式会社製
*19:カチナールHC-200(商品名)、東邦化学工業株式会社製
*20:アンヒトール55AB(商品名)、有効成分(POEラウリルエーテル酢酸ナトリウム)30質量%含有、花王株式会社製
【0088】
処方例4 シャンプー
下記の水性原液47.5g(95質量%)を透明なガラス製耐圧容器およびアルミニウム製耐圧容器に充填し、バルブを取り付け、次いで、液化石油ガス(*15)を2.5g(5質量%)充填した。次いでバルブから炭酸ガスを充填し、容器を振って炭酸ガスを水性原液と液化石油ガスに溶解させた。炭酸ガス充填後の耐圧容器内の25℃における平衡圧力は0.50MPaであった。
【0089】
<水性原液>
ラウリルリン酸カリウム/
POEラウリルエーテル酢酸カリウムの水溶液(*1) 15.0
ココイルグルタミン酸TEA水溶液(*21) 7.0
高重合ポリエチレングリコール(*2) 0.4
ポリオクタニウム52(*7) 1.0
ジプロピレングリコール(*8) 10.0
ソルビトール 5.0
ラウリン酸アミドプロピルベタイン(*9) 4.0
デシルグルコシド(*22) 1.0
ヒアルロン酸 0.1
メチルパラベン 0.2
精製水 56.3
合計(質量部) 100.0
*21:アミソフトCT-12(商品名)、有効成分(ココイルグルタミン酸TEA)30質量%含有、味の素株式会社製
*22:マイドール10(商品名)、花王株式会社製
【0090】
前記の処方例1~4で得られたエアゾール製品について前記(1)~(3)の評価を行った。評価結果を表5に示す。
【0091】
【表5】
[図:0001416470000001.jpg]
」
イ 甲6の記載事項
甲6には、以下の事項が記載されている。
摘記6a:
「貝印株式会社は、炭成分を配合した洗顔性能の高い「炭シェービングフォーム」を、2月23日よりドラッグストア、量販店等を通じ発売しています。
・・・
炭にはミクロン単位のパイプ状の穴が多数存在し、この穴が汚れや嫌な匂いを吸着すると言われ、脱臭剤や洗顔剤などに広く使われています。
今回発売の商品は炭成分を配合しており、シェービングフォーム特有のきめ細かい泡とあいまって毛穴の汚れや古い角質を吸着し、ヒゲソリと同時に洗い落とします。朝にひげを剃る時に衣服を汚さないよう泡の色は白にし、洗顔用としても使えます。」
ウ 引用例A(特開2002-167325号公報)の記載事項
周知技術を示す引用例Aには、以下の事項が記載されている。
摘記Aa:
「【請求項1】 高級脂肪酸塩、炭、多価アルコールを含有することを特徴とする洗浄剤組成物。」
摘記Ab:
「【0011】本発明に係る洗浄剤組成物には、第二の必須成分として炭が配合される。炭は多孔性を有することから、皮膚上の皮脂などの汚れを吸着し、しかも皮膚に対しての刺激性もない。また、炭を配合することにより、高級脂肪酸や界面活性剤の配合量を増加させることなく洗浄力を向上させることができる。」
摘記Ac:
「【0022】尚、本発明に係る洗浄剤組成物は、洗顔フォーム、ボディソープ、ハンドソープ、ボディーシャンプー、シャンプーなどに好ましく用いることができる。」
エ 引用例B(特開2001-58940号公報)の記載事項
周知技術を示す引用例Bには、以下の事項が記載されている。
摘記Ba:
「【請求項1】炭及び茶を含有する化粧品。」
摘記Bb:
「【0004】
【発明の実施の形態】本発明の化粧品は、一般に使用される化粧品全般にわたり、例えばシャンプー、石けん又はパックに関する。本発明の石けんには、固形石けん及び液体石けん例えばいわゆるボディーソープ、洗顔フォーム、洗顔パウダーを含む。・・・
【0005】
【発明の効果】本発明で製造された化粧品は、含有された炭の吸着作用により、炭の微細な孔が、頭皮や皮膚の体臭を吸収して、不快な臭いを除去することができる。さらに、シャンプーや石けんでは取りきれない毛穴のつまり、皮脂、老廃物を取り除き、清潔かつ健康な頭皮及び皮膚を保持することができる。・・・」
オ 引用例C(特開2015-172187号公報)の記載事項
周知技術を示す引用例Cには、以下の事項が記載されている。
摘記Ca:
「【請求項1】
次の成分(a)、(b)および(c);
(a)炭
(b)ポリオキシプロピレンヤシ油脂肪酸モノイソプロパノールアミド
(c)IOB値が3~5の多価アルコール
を含有する洗浄剤組成物。」
摘記Cb:
「【0014】
本発明の洗浄剤組成物は、炭の分散安定性に優れ、毛穴の汚れ落ちがよく、使用後のしっとり感に優れるという利点がある。
本発明の洗浄剤組成物に用いられる成分(a)の炭は、多孔性を有し、皮膚上の余分な皮脂などを吸着する特性があるもので、通常、化粧料に使用可能な成分であれば特に限定されるものではないが、薬用炭、桐炭、竹炭、備長炭、ヒノキ木炭等を例示することができる。また、用いる炭の性状としては粉末状のものが好ましく、平均粒子径としては、1~200μmであるものが好ましく、さらに好ましくは5~100μmのものであり、そしてさらに好ましくは、10~50μmの範囲のものである。・・・
このように特定の範囲のものとすることにより、炭の分散安定性が向上し、さらに炭の皮脂吸着効果も優れるものとなり、また、外観上も一定の品質になることとなるために特に好ましいものとなる。
また、炭は一般的に黒色を有しているが、洗浄剤組成物に含有した場合、その洗浄剤組成物の基剤色によっては、灰色から黒色の特徴的な外観を持たせることができる。
なお、成分(a)には、カーボンブラックは含まないものである。」
摘記Cc:
「【0032】
本発明の洗浄剤組成物には、洗顔料、クレンジング料、ボディソープ、ハンドソープ、ボディシャンプー、シャンプー、リンスインシャンプーなどの用途に好適に用いることができる。これらの中では、本発明の洗浄剤組成物は毛穴の汚れ落ちに優れ、使用後にしっとり感を与える効果があることから、特に、洗顔料に好適に用いることができる。」
カ 引用例D(特開2015-172041公報)の記載事項
周知技術を示す引用例Dには、以下の事項が記載されている。
摘記Da:
「【請求項1】
成分(A)~(C):
(A)高級脂肪酸の有機塩基性塩 3~25質量%
(B)ノニオン性セルロース誘導体 1~2.5質量%
(C)IOB値(無機性値/有機性値)が3.4以下のエタノール及び/又は多価アルコール 3~20質量%
を含有し、無機カチオン濃度が0.001mmol/g以下である洗浄剤組成物。」
摘記Db:
「【0001】
本発明は洗顔料、ボディソープ、シャンプー等の身体用の洗浄剤組成物に関し、さらに詳細には低温安定性に優れ、温度変化に伴う外観の変化が少なく、洗浄剤として良好な使用感と粘性を有する洗浄剤組成物に関する。」
摘記Dc:
「【0031】
成分(E)のうち、炭は多孔性を有し、皮膚上の余分な皮脂等を吸着する性質があるもので、通常、化粧料に使用可能な成分であれば特に限定されないが、薬用炭、桐炭、竹炭、備長炭、ヒノキ木炭等を例示することができる。また、用いる炭の性状としては粉末状のものが好ましい。」
キ 引用例E(国際公開第2012/011190号)の記載事項
周知技術を示す引用例Eには、以下の事項が記載されている。
摘記Ea:
「[0015] 本発明の洗浄剤によれば、光触媒に加えて炭の微粉末を加えることにより、その遮光性によって保存時の光触媒の酸化反応を妨げ、洗浄剤の効果が低下することを防止することができる。また、炭の多孔質構造により余分な皮脂や毛穴の汚れ、角質や老廃物、臭い等を吸着した上で、これらの吸着物を光触媒が分解する、という連携した作用を効率的に発揮することができる。シャンプーに適用した場合、頭皮の状態を健康に維持し、発毛促進の効果をも得ることができる。」
摘記Eb:
「[請求項1] 光触媒と、活性炭である炭の微粉末と、シクロデキストリンと、を含有することを特徴とする洗浄剤。」
(2)甲5に記載された発明
甲5には、【請求項1】に「高重合ポリエチレングリコール、多価アルコール、イオン性界面活性剤および水を含有する水性原液、ならびに炭酸ガスを含有する噴射剤からなる発泡性塗布用組成物」が記載されており(摘記5a)、その具体例の一つである「処方例3」(摘記5g)として、【0087】に記載の水性原液47.5g(95質量%)と、液化石油ガス(2.5g(5質量%))及び炭酸ガスとを耐圧容器に充填したシャンプー(炭酸ガス充填後の耐圧容器内の25℃における平衡圧力0.40MPa)が記載され、別の具体例である「処方例4」(摘記5g)として、【0089】に記載の水性原液47.5g(95質量%)と、液化石油ガス(2.5g(5質量%))及び炭酸ガスとを耐圧容器に充填したシャンプー(炭酸ガス充填後の耐圧容器内の25℃における平衡圧力0.50MPa)が記載されている。
また、甲5の【請求項1】及び【請求項4】(摘記5a)並びに【0059】及び【0063】(摘記5e)の記載からみて、上記「処方例3」及び「処方例4」における液化石油ガス及び炭酸ガスは、噴射剤である。
さらに、甲5の【0090】~【0091】(摘記5g)には「前記の処方例1~4で得られたエアゾール製品」と記載され、泡状態が「○」であったことが記載されていることから、上記「処方例3」及び「処方例4」のシャンプーは、「発泡性」の「エアゾール製品」であるといえる。
してみると、甲5には、「処方例3」及び「処方例4」のシャンプーとして、次の発明(以下、それぞれ「甲5-1発明」及び「甲5-2発明」という。)が記載されていると認められる。
甲5-1発明:
「液化石油ガス(2.5g(5質量%))及び炭酸ガスからなる噴射剤と、下記の水性原液とを耐圧容器に充填した、発泡性のエアゾール製品であるシャンプー(炭酸ガス充填後の耐圧容器内の25℃における平衡圧力0.40MPa)。
<水性原液>
ラウリルリン酸カリウム/
POEラウリルエーテル酢酸カリウムの水溶液 10.0
POEラウリルエーテル硫酸ナトリウムの水溶液 7.0
高重合ポリエチレングリコール 0.3
ポリオクタニウム10 1.0
ジプロピレングリコール 10.0
ソルビトール 5.0
ラウリン酸アミドプロピルベタイン 3.5
コカミドプロピルベタイン 5.0
ヒアルロン酸 0.1
l-メントール 0.1
メチルパラベン 0.2
精製水 57.8
合計(質量部) 100.0」
甲5-2発明:
「液化石油ガス(2.5g(5質量%))及び炭酸ガスからなる噴射剤と、下記の水性原液とを耐圧容器に充填した、発泡性のエアゾール製品であるシャンプー(炭酸ガス充填後の耐圧容器内の25℃における平衡圧力0.50MPa)。
<水性原液>
ラウリルリン酸カリウム/
POEラウリルエーテル酢酸カリウムの水溶液 15.0
ココイルグルタミン酸TEA水溶液 7.0
高重合ポリエチレングリコール 0.4
ポリオクタニウム52 1.0
ジプロピレングリコール 10.0
ソルビトール 5.0
ラウリン酸アミドプロピルベタイン 4.0
デシルグルコシド 1.0
ヒアルロン酸 0.1
メチルパラベン 0.2
精製水 56.3
合計(質量部) 100.0」
(3)本件訂正発明1について
ア 対比
本件訂正発明1と甲5-1発明及び甲5-2発明とを対比する。
甲5-1発明及び甲5-2発明における「噴射剤」である「炭酸ガス」と「液化石油ガス」は、本件訂正発明1における「噴射剤としての二酸化炭素及び液化石油ガス」に相当する。
甲5-1発明における「ラウリルリン酸カリウム/POEラウリルエーテル酢酸カリウム」及び「POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム」並びに甲5-2発明における「ラウリルリン酸カリウム/POEラウリルエーテル酢酸カリウム」及び「ココイルグルタミン酸TEA」は、甲5の【0027】においてアニオン性界面活性剤として挙げられていることから(摘記5c)、いずれも本件訂正発明1における「アニオン界面活性剤」に相当する。
甲5-1発明及び甲5-2発明における「水性原液」は、シャンプーに用いられるものであるから、本件訂正発明1における「毛髪洗浄用組成物」に相当し、また、甲5-1発明及び甲5-2発明における「噴射剤と・・・水性原液とを耐圧容器に充填した、発泡性のエアゾール製品であるシャンプー」は、本件訂正発明1における「噴射剤・・・と・・・毛髪洗浄用組成物と、が容器に充填され、泡状の毛髪洗浄用組成物を吐出する・・・発泡性エアゾール製品」に相当する。
そうすると、本件訂正発明1と甲5-1発明及び甲5-2発明とは、
「噴射剤としての二酸化炭素及び液化石油ガスと、アニオン界面活性剤が配合された毛髪洗浄用組成物と、が容器に充填され、
泡状の毛髪洗浄用組成物を吐出する発泡性エアゾール製品。」
という点において一致し、以下の点で相違する。
相違点5-1:
本件訂正発明1では、毛髪洗浄用組成物中に炭が配合されているのに対し、甲5-1発明及び甲5-2発明では、水性原液中に炭が配合されていない点。
相違点5-2:
本件訂正発明1では、二酸化炭素に対する液化石油ガスの質量比LPG/CO2が200以下であるのに対し、甲5-1発明及び甲5-2発明では、当該質量比が不明である点。
イ 相違点についての判断
上記相違点5-1について検討する。
(ア)炭を配合する動機付けについて
甲5-1発明及び甲5-2発明は、シャンプーであって、毛髪及び頭皮を洗浄対象とするものである。
また、シャンプー等の人体を対象とする洗浄用の組成物において、皮脂汚れを除去するための成分として、炭を配合することは、当業者にとって周知の技術的事項であり(例えば、摘記6a、摘記Ab及びAc、摘記Bb、摘記Cb及びCc、摘記Db及びDc、並びに摘記Eaを参照。)、甲5にも、「本発明」に用いられる水性原液に「炭粉末」を配合し得ることが記載されている(摘記5d)。
そうすると、甲5-1発明及び甲5-2発明において、炭を配合する一応の動機付けはあるといえる。
(イ)本件訂正発明1の効果について
そこで、事案に鑑み本件訂正発明1の効果について検討する。
本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)において、【0046】に「炭及び二酸化炭素を使用した実施例1bと、炭のみを使用した実施例1a及び二酸化炭素のみを使用した参考例との比較により、人工皮脂の除去量は、実施例1a及び参考例の総量(0.009g+0.016g=0.025g)よりも、実施例1bの量(0.028g)の方が多かったから、実施例1bでは、炭と二酸化炭素の相乗効果を奏したことを確認できる。」と記載されており、その結果は【0045】【表2】に記載されている。
ここで、二酸化炭素と炭を併用した際の効果については、例えば、特開2012-56869号公報の【0023】において「炭酸ガスの気泡を発生させて皮脂汚れを浮き上がらせることで除去効果を高める」と記載されているように、炭酸ガス、すなわち二酸化炭素の皮脂の除去効果は周知であり、また、上記(ア)のとおり、炭は皮脂の洗浄効果を有する物質であるから、当業者ならば、二酸化炭素と炭の併用により二酸化炭素単独よりも皮脂の除去効果が幾らか向上することは予測し得るといえるが、どの程度の効果が実際に得られるかは予測し得るとはいえず、せいぜい相加的な効果が期待されるに留まるというべきである。
しかしながら、上記実施例の結果をみると、実施例1bの結果は、二酸化炭素と炭の両方の効果を発揮できた上に、更にそれを上回る相乗効果を発揮したと認められるものとなっており、このような優れた効果は、当業者といえども予測できたとはいえない。
(ウ)相違点についての判断のまとめ
したがって、甲5-1発明及び甲5-2発明において、上記のような相乗効果を発揮するものとして、更に炭を配合することは、当業者が容易になし得たものであったとはいえない。
ウ 申立人の主張について
申立人は、申立書の第15頁において、炭と二酸化炭素を使用した場合の皮脂の除去量(0.028g)と、炭のみを使用した場合と二酸化炭素のみを使用した場合の総和(0.025g)の違いは、誤差の範囲であり、到底予測できない相乗効果といえるものではない旨を主張している。
また、申立人は、令和6年5月31日付け意見書の9頁において、本件訂正発明1の実施例2a(実施例1bと同じ。二酸化炭素と炭を併用。LPGあり。)が、本件訂正発明1に該当しない実施例2b(二酸化炭素と炭を併用。LPGなし。)よりも皮脂除去量が少ないことをもって、本件訂正発明1の効果が顕著でない旨も主張している。
しかしながら、上記イ(イ)のとおり、本件訂正発明1の具体例に該当する実施例1bは、二酸化炭素と炭の両方の効果を発揮できた上に、更にそれを上回る相乗効果を発揮したものと認められ、それらの値は誤差の範囲内とはいえないし、当該効果が本件訂正発明1には該当しない実施例2bの効果よりも低いからといって、本件訂正発明1の効果を当業者が予測できたのものとはいえないことは何ら左右されるものではない。
したがって、申立人の上記主張はいずれも採用できない。
エ 小括
以上のとおりであるから、相違点5-2について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲5に記載された発明及び甲6及び引用例A~Eに記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
なお、申立人は、令和6年5月31日付け意見書の10頁において、参考資料1~6に記載のとおり、二酸化炭素に対する液化石油ガスの質量比LPG/CO2が200以下であることは、発泡性エアゾール製品における周知慣用技術に過ぎない旨を主張しているが、相違点5-2について検討するまでもなく、本件訂正発明1が、当業者が容易に発明することができたものであるとはいえないことは、上記のとおりである。
(4)本件訂正発明2、4及び5について
本件訂正発明2は、本件訂正発明1の発泡性エアゾール製品について、更に「前記容器に充填された液化石油ガスの充填量の上限は、噴射剤及び毛髪洗浄用組成物の総量を100質量%としたときに7質量%」であることを特定したものであり、本件訂正発明4は、本件訂正発明1又は2の発泡性エアゾール製品について、更に「前記毛髪洗浄用組成物におけるアニオン界面活性剤の配合量が5質量%以上」であることを特定したものであり、本件訂正発明5は、本件訂正発明1、2、4のいずれかの発泡性エアゾール製品を使用する「毛髪洗浄方法」である。
そうすると、本件訂正発明2、4及び5は、上記(3)で説示したのと同様の理由により、甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(5)取消理由1についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正発明1、2、4及び5に係る特許は、甲5を主引例とした場合に、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、取消理由1は理由がない。
2 取消理由で採用しなかった申立理由について
(1)申立理由1(甲1を主引例とする新規性欠如及び進歩性欠如)について
甲1については、申立書の第7頁において、
「甲第1号証(「Amazon」のウェブサイト<https://www.amazon.co.jp/>「SIMFORT シムフォート スパークリングスカルプシャンプー」の製品販売情報 <https://www.amazon.co.jp/SIMFORT-スパークリングスカルプシャンプー-150g/dp/B075DXJRYM> Amazonでの取り扱い開始日2017年9月5日(2023年7月14日閲覧)」
と記載されている。
また、申立書の第10頁において、
「甲第1号証は、製品名「SIMFORT シムフォート スパークリングスカルプシャンプー」の「Amazon」のウェブサイトの製品販売情報を示すものであり、Amazonでの取り扱い開始日として、2006年5月24日が示されている。また2018年8月4日付けで製品のレビューも投稿されている。よって、甲第1号証より、製品名「SIMFORT シムフォートスパークリング スカルプシャンプー」が本件特許の出願日よりも前から市販されていたことが明らかである。」
と記載されている。
しかしながら、ウェブサイト情報である甲1の公知日(掲載日)については、甲1に記載されておらず不明であるところ、甲1の6/9頁の「上位レビュー、対象国:日本」の項目において、「泡がいい感じにふわふわ・・・2022年12月17日に日本でレビュー済み」と記載されていることから、甲1は、早くても2022年12月17日以降に閲覧可能となった情報であると推定され、同じURLのウェブサイトにおいて、2022年12月17日よりも前に如何なる内容の情報が掲載されていたのか特定することはできないし、甲1の記載事項と、どの程度の同一性を有する事項が掲載されていたのかも不明である。
また、甲1の4/9頁に、「SIMFORT シムフォート スパークリングスカルプシャンプー」なる商品の「Amazon」での取り扱い開始日として、「2017/9/5」なる表示があるとしても(申立人は、同取り扱い開始日が「2006年5月24日」であるとしているが、甲1にはそのような記載はない。)、甲1そのものが本件特許の出願日(平成31年1月9日)よりも前に閲覧可能であった情報であることの根拠にはならない。
そして、申立書には、甲1を主引例とする新規性欠如の根拠条文として、特許法第29条第1項第3号が挙げられているが、同法同条同項第1号又は第2号は挙げられていない。
したがって、甲1は、その公知日(掲載日)が不明であるから、特許法第29条第1項第3号の証拠として採用できない。
よって、本件訂正発明1、2、4及び5は、甲1を主引例とした場合に、特許法第29条第1項及び同条第2項の規定に違反してされたものとはいえず、申立理由1は理由がない。
(2)申立理由2(甲2を主引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如)について
ア 甲2に記載された事項
甲2には、次の記載がある。
摘記2a:
「【請求項1】
アニオン性界面活性剤、カチオン性成分、多価アルコールおよび水を含有する水性原液、液化ガス、ならびに炭酸ガスからなり、
多価アルコールが、2~4価アルコールおよび/または単糖類であり、水性原液中に5~30質量%含有する
発泡性エアゾール組成物。」
摘記2b:
「【0019】
前記アニオン性界面活性剤としては、たとえば、ラウリルリン酸カリウム、ラウリルリン酸ナトリウムなどのアルキルリン酸塩;・・・POEアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミンなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;POEラウリルエーテル酢酸カリウム、POEラウリルエーテル酢酸ナトリウム、・・・などのスルホン酸塩などが挙げられる。」
摘記2c:
「【0036】
本発明に用いられる水性原液は、用途や目的などに応じて、前記アニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤以外の界面活性剤、有効成分、1価アルコール、水溶性高分子、油分、粉体などを含有することができる。」
摘記2d:
「【0062】
前記粉体としては、たとえば、タルク、酸化亜鉛、カオリン、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、シリカ、ゼオライト、セラミックパウダー、炭粉末、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、シリコーンパウダー、ポリエチレンパウダーなどが挙げられる。」
摘記2e:
「【0066】
前記液化ガスは、エアゾール容器内では液体であり、外部に吐出されると気化して、水性原液を発泡させて発泡物を形成する、水性原液を冷却して炭酸ガスを発泡物内に長く保持させて炭酸ガスの効果を長く得る、などの目的で用いられる。
・・・
【0074】
本発明のエアゾール組成物は、吐出物が発泡し、もっちりとした泡を形成し、皮膚上で塗り伸ばしても泡が直ぐ消えずに伸びが良いため、たとえば、スキンケア用品として好適に用いることができる。特に、洗顔料やパック用品など、皮膚に塗り伸ばして使用する製品として用いることにより本願発明の効果が効果的に発揮される。」
摘記2f:
「【0088】
処方例1 洗顔フォーム
下記の水性原液95gを透明なガラス製耐圧容器およびアルミニウム製耐圧容器に充填し、バルブを取り付け、バルブから液化石油ガス(*9)を5g充填した。次いでバルブから炭酸ガスを充填し、容器を振って炭酸ガスを水性原液と液化石油ガスに溶解させた。炭酸ガス充填後の耐圧容器内の25℃における平衡圧力は0.55MPaであった。
【0089】
<水性原液>
ラウリルリン酸カリウム/
POEラウリルエーテル酢酸カリウムの水溶液(*1) 15.0
ポリオクタニウム52(*2) 2.0
ジプロピレングリコール(*3) 5.0
ソルビトール 10.0
ラウリン酸デカグリセリル(*5) 5.0
ラウリン酸アミドプロピルベタイン(*7) 3.0
POEソルビタントリイソステアレート(*8) 0.5
ヒアルロン酸 0.01
メチルパラベン 0.2
精製水 59.29
合計(質量部) 100.0
・・・
【0092】
前記の処方例1および2で得られたエアゾール製品について前記(1)~(5)の評価を行った。評価結果を表5に示す。」
イ 甲2に記載された発明
上記摘記2a、2e及び2fの記載からみて、甲2には、下記の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「下記の水性原液95gを耐圧容器に充填し、バルブから液化石油ガスを5g充填し、次いでバルブから炭酸ガスを充填し、容器を振って炭酸ガスを水性原液と液化石油ガスに溶解させて得られた、水性原液を吐出する発泡性エアゾール製品である洗顔フォーム。
<水性原液>
ラウリルリン酸カリウム/
POEラウリルエーテル酢酸カリウムの水溶液 15.0
ポリオクタニウム52 2.0
ジプロピレングリコール 5.0
ソルビトール 10.0
ラウリン酸デカグリセリル 5.0
ラウリン酸アミドプロピルベタイン 3.0
POEソルビタントリイソステアレート 0.5
ヒアルロン酸 0.01
メチルパラベン 0.2
精製水 59.29
合計(質量部) 100.0」
ウ 本件訂正発明1について
(ア)対比
甲2発明における「炭酸ガス」及び「液化石油ガス」は、本件訂正発明1における「二酸化炭素」及び「液化石油ガス」に相当する。また、エアゾール中の炭酸ガスや液化石油ガスは、技術常識からみて噴射剤として用いられることは明らかであるから、本件訂正発明1における「噴射剤」にも相当する。
甲2発明における「ラウリルリン酸カリウム/POEラウリルエーテル酢酸カリウム」は、甲2の摘記2bにおいて「アニオン性界面活性剤」として挙げられていることから、本件訂正発明1における「アニオン界面活性剤」に相当する。
甲2発明における「水性原液95gを耐圧容器に充填し、バルブから液化石油ガスを5g充填し、次いでバルブから炭酸ガスを充填し、容器を振って炭酸ガスを水性原液と液化石油ガスに溶解させて得られた、水性原液を吐出する発泡性エアゾール製品」は、本件訂正発明1における「容器に充填され」、「組成物を吐出する」「発泡性エアゾール製品」に相当する。
甲2発明における「洗顔フォーム」は、本件訂正発明1における「泡状の毛髪洗浄用組成物」と、「泡状の洗浄用組成物」である限りにおいて一致する。
そうすると、本件訂正発明1と甲2発明とは、
「噴射剤としての二酸化炭素及び液化石油ガスと、アニオン界面活性剤が配合された洗浄用組成物と、が容器に充填され、
泡状の洗浄用組成物を吐出する発泡性エアゾール製品。」
という点において一致し、以下の点で相違する。
相違点2-1:
本件訂正発明1では、毛髪洗浄用組成物中に炭が配合されているのに対し、甲2発明では、水性原液中に炭が配合されていない点。
相違点2-2:
本件訂正発明1では、二酸化炭素に対する液化石油ガスの質量比LPG/CO2が200以下であるのに対し、甲2発明では、当該質量比が不明である点。
相違点2-3:
本件訂正発明1では、洗浄用組成物が「毛髪洗浄用組成物」であるのに対し、甲2発明では、「洗顔フォーム」である点。
(イ)相違点についての判断
a.新規性について
上記(ア)のとおり、本件訂正発明1と甲2発明とは、相違点2-1~2-3において相違しているところ、相違点2-1は、炭の配合の有無に係る事項であり、相違点2-2は、二酸化炭素に対する液化石油ガスの質量比に係る事項であり、相違点2-3は、洗浄組成物の用途に係る事項であり、いずれの相違点も実質的な相違点である。
したがって、本件訂正発明1は、甲2に記載された発明ではない。
b.進歩性について
事案に鑑み、まず、相違点2-3について検討する。
甲2に記載されている発泡性エアゾール組成物は、もっちりとした泡を形成し、皮膚上で塗り伸ばしても泡が直ぐ消えずに伸びが良く、スキンケア用品として好適に用いられ、洗顔料やパック用品など、皮膚に塗り伸ばして使用する製品が意図されていることから(例えば、摘記2e【0074】を参照。)、甲2発明の「洗顔フォーム」を、敢えて「毛髪用洗浄組成物」に変更する動機付けがあるとはいえない。
よって、相違点2-1及び2-2について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲2に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(ウ)小括
以上のとおり、本件訂正発明1は、甲2に記載された発明であるとはいえず、甲2に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
エ 本件訂正発明2、4及び5について
上記1(4)で説示したとおり、本件訂正発明2、4及び5は、本件訂正発明1の発明特定事項を全て備え、更に限定したものであるから、上記ウで説示したのと同様の理由により、本件訂正発明2、4及び5は、甲2に記載された発明であるとはいえず、甲2に記載された発明及び甲2~8に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。
オ 申立理由2についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正発明1、2、4及び5に係る特許は、甲2を主引例とした場合に、特許法第29条第1項及び第2項の規定に違反してされたものではなく、申立理由2には理由がない。
(3)申立理由3(甲4を主引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如)について
ア 甲4に記載された事項
甲4には、次の記載がある。
摘記4a:
「【請求項1】
吐出した発泡物を対象物に付着させて使用される発泡性エアゾール製品であり、
界面活性剤を含む原液と液化ガスとからなるエアゾール組成物が充填されたエアゾール容器と、前記エアゾール容器に取り付けられ、前記エアゾール組成物を前記対象物に吐出するための吐出孔が形成された吐出部材とを備え、
前記吐出部材は、
前記エアゾール容器から供給される前記エアゾール組成物を発泡させるための発泡室が内部に形成され、かつ、
前記発泡室において発泡した発泡物が通過するための管路であって、前記発泡室と前記吐出孔とを連通する成形通路が形成されており、
前記成形通路の水平断面は、長孔状であり、
前記発泡物の25℃における硬度は、300~3000(mN)である、発泡性エアゾール製品。
【請求項2】
前記界面活性剤は、アニオン性界面活性剤を含む、請求項1記載の発泡性エアゾール製品。」
摘記4b:
「【0001】
本発明は、発泡性エアゾール製品に関する。より詳細には、本発明は、手のひら等の対象物に、吐出した発泡物を付着させて使用され、発泡物が対象物上で所定形状となるよう成形することのできる発泡性エアゾール製品に関する。
・・・
【0018】
このような構成によれば、それぞれの成形小通路によって成形された発泡物は、それぞれの成形小通路の吐出孔から、同心円状に吐出される。この場合、吐出された発泡物は、それぞれが適度に重なり合い、たとえば花びら状の優れた美観を呈する。また、発泡物は、対象物上に付着しやすくなる。」
摘記4c:
「【0051】
アニオン性界面活性剤は特に限定されない。一例を挙げると、アニオン性界面活性剤は、ラウリルリン酸カリウム、ラウリルリン酸ナトリウム等のアルキルリン酸塩;・・・POEラウリルエーテル酢酸カリウム、POEラウリルエーテル酢酸ナトリウム、・・・である。」
摘記4d:
「【0061】
原液の調製方法は特に限定されない。一例を挙げると、原液は、界面活性剤と、必要に応じて後述する有効成分等の任意成分を、適宜、水や多価アルコールに溶解させて調製することができる。なお、原液には、粉体を分散させてもよい。」
摘記4e:
「【0084】
粉体は、紫外線を散乱させる、粉体自体を有効成分として作用させる、スクラブ等として作用させる、等の目的で適宜含有され得る。粉体は特に限定されない。一例を挙げると、粉体は、タルク、酸化亜鉛、カオリン、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、シリカ、ゼオライト、セラミックパウダー、炭粉末、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、シリコーンパウダー、ポリエチレンパウダー等である。」
摘記4f:
「【0053】
両性界面活性剤は、発泡状態を調整する、洗浄効果を向上させる等の目的で用いられ得る。両性界面活性剤は特に限定されない。」
摘記4g:
「【0096】
(実施例1)
以下の処方に従って原液1を調製し、90gの原液1をアルミニウム製耐圧容器に充填し、バルブ機構を取り付け、バルブ機構から液化ガス(*1)を10g充填した。
・・・
*1:液化石油ガス(20℃での飽和蒸気圧:0.39MPa)
・・・
【0110】
(実施例13)
以下の処方に従って原液2を調製し、95gの原液2をアルミニウム製耐圧容器に充填し、バルブ機構を取り付け、バルブ機構から液化ガス(*1)を5g充填した。さらに、バルブ機構から炭酸ガスを充填して容器内の圧力を0.6MPa(25℃)に調整した。
<原液2>
精製水 47.5
ポリクオタニウム52(*13) 3.33
ジプロピレングリコール(*3) 10.0
メチルパラベン 0.15
ラウリルリン酸/POEラウリルエーテル酢酸 25.0
/ジプロピレングリコール/水酸化カリウム/精製水(*4)
ソルビトール(*5) 10.0
コカミドプロピルベタイン(*6) 3.0
フェノキシエタノール 0.7
センチフォリアバラ花エキス(*7) 0.01
ローズ水(*8) 0.01
香料(*9) 0.3
合計(質量部) 100.0」
イ 甲4に記載された発明
上記摘記4a、4f及び4gの記載からみて、甲4には、下記の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。
「下記の95gの原液2をアルミニウム製耐圧容器に充填し、バルブから液化ガスを5g充填し、次いでバルブから炭酸ガスを充填して得られた、発泡物を吐出する発泡性エアゾール製品。
<原液2>
精製水 47.5
ポリクオタニウム52 3.33
ジプロピレングリコール 10.0
メチルパラベン 0.15
ラウリルリン酸/POEラウリルエーテル酢酸 25.0
/ジプロピレングリコール/水酸化カリウム/精製水
ソルビトール 10.0
コカミドプロピルベタイン 3.0
フェノキシエタノール 0.7
センチフォリアバラ花エキス 0.01
ローズ水 0.01
香料 0.3
合計(質量部) 100.0」
ウ 本件訂正発明1について
(ア)対比
甲4発明における「炭酸ガス」は、本件訂正発明1における「二酸化炭素」に相当する。
甲4発明における「液化ガス」は、「液化石油ガス」を用いていると認められるので(摘記4g)、本件訂正発明1における「液化石油ガス」に相当する。また、エアゾール中の炭酸ガスや液化ガスは、技術常識からみて噴射剤として用いられることは明らかであるから、本件訂正発明1における「噴射剤」にも相当する。
甲4発明における「ラウリルリン酸/POEラウリルエーテル酢酸/ジプロピレングリコール/水酸化カリウム/精製水」は、ラウリルリン酸/POEラウリルエーテル酢酸のカリウム塩であると解され、これらは甲4の摘記4cにおいて「アニオン性界面活性剤」として挙げられていることから、本件訂正発明1における「アニオン界面活性剤」に相当する。
甲4発明における「95gの原液2をアルミニウム製耐圧容器に充填し、バルブから液化ガスを5g充填し、次いでバルブから炭酸ガスを充填して得られた、発泡物を吐出する発泡性エアゾール製品」は、本件訂正発明1における「容器に充填され」、「組成物を吐出する」「発泡性エアゾール製品」に相当する。
甲4発明における「発泡物」は、本件訂正発明1における「泡状の毛髪洗浄用組成物」と、「泡状の組成物」である限りにおいて一致する。
そうすると、本件訂正発明1と甲4発明とは、
「噴射剤としての二酸化炭素及び液化石油ガスと、アニオン界面活性剤が配合された組成物と、が容器に充填され、
泡状の組成物を吐出する発泡性エアゾール製品。」
という点において一致し、以下の点で相違する。
相違点4-1:
本件訂正発明1では、毛髪洗浄用組成物中に炭が配合されているのに対し、甲4発明では、発泡物中に炭が配合されていない点。
相違点4-2:
本件訂正発明1では、二酸化炭素に対する液化石油ガスの質量比LPG/CO2が200以下であるのに対し、甲4発明では、当該質量比が不明である点。
相違点4-3:
本件訂正発明1では、組成物が「毛髪洗浄用組成物」であるのに対し、甲4発明では、「発泡物」である点。
(イ)相違点についての判断
事案に鑑み、まず、相違点4-3について検討する。
甲4には、発泡性エアゾール製品について、吐出した発泡物を如何なる用途に使用するのか具体的な記載はなく、手のひらなどに吐出した発泡物が、花びら状などの所定形状となるように形成することができるようにしたものとされているから(例えば、摘記4b【0001】及び【0018】を参照。)、甲4発明の「発泡性エアゾール製品」を、特に「洗浄用」かつ「毛髪用」とする動機付けがあるとはいえない。
よって、相違点4-1及び4-2について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲4に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(ウ)小括
以上のとおり、本件訂正発明1は、甲4に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
エ 本件訂正発明2、4及び5について
上記1(4)で説示したとおり、本件訂正発明2、4及び5は、本件訂正発明1の発明特定事項を全て備え、更に限定したものであるから、上記ウで説示したのと同様の理由により、本件訂正発明2、4及び5は、甲4に記載された発明であるとはいえず、甲4に記載された発明及び甲2~8に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。
オ 申立理由3についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正発明1、2、4及び5に係る特許は、甲4を主引例とした場合に、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、申立理由3は理由がない。
(4)申立理由4のうち甲5を主引例とする新規性欠如について
上記第4の2で述べたとおり、「申立理由4」のうち甲5を主引例とする進歩性欠如の理由は、取消理由1として採用したものであって、上記1で詳述したとおり、本件訂正発明1、2、4及び5に係る発明は、甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないのであるから、当然に、本件訂正発明1、2、4及び5に係る発明は、甲5に記載された発明であるとはいえない。
したがって、本件訂正発明1、2、4及び5は、甲5を主引例とした場合に、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものとはいえず、申立理由4は理由がない。
(5)申立理由5(サポート要件違反)について
ア 本件訂正発明の解決しようとする課題
本件明細書の記載、特に【0005】の記載からみて、本件訂正発明の解決しようとする課題は、「皮脂の除去効率に優れる泡状毛髪洗浄用組成物を吐出する発泡性エアゾール製品」を提供することにあると認める。
イ 検討
(ア)本件明細書の【0007】、【0024】及び【0026】には、それぞれ、二酸化炭素、炭及びアニオン界面活性剤が、皮脂の除去に寄与する旨が記載されており、同【0016】~【0017】、【0022】、【0024】~【0028】には、それぞれ、皮脂の除去効率と関連した、二酸化炭素、液化石油ガス、炭及びアニオン界面活性剤の配合量、二酸化炭素と液化石油ガスの質量比の好ましい範囲が記載されているから、上記成分を有効な範囲で配合することにより、本件訂正発明の課題の解決ができることを、当業者が認識できるといえる。
(イ)そして、本件明細書の【0038】~【0048】には、実施例として発泡性エアゾール製品が具体的に記載されており、特に実施例1b及び実施例2aにおいて、アニオン界面活性剤や炭を含む洗浄用組成物2と二酸化炭素及びLPGをLPG/CO2比が4.8の質量比で含む発泡性エアゾール製品が、炭や二酸化炭素の配合がない参考例や実施例1aの発泡性エアゾール製品よりも、人工皮脂の除去量が増加したことが記載され、本件訂正発明のエアゾール製品が皮脂の除去効率に優れることが具体的に記載されている。
(ウ)上記(イ)の実施例を含めた本件明細書の発明の詳細な説明の記載全体を参照すれば、本件訂正発明における発泡性エアゾール製品とすることによって、上記アの本件訂正発明の課題を解決できることを当業者は認識できるといえる。
したがって、本件訂正発明1、2、4及び5は、本件明細書の発明の詳細な説明において、その課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲のものであるから、本件特許の請求項1、2、4及び5の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすものである。
ウ 申立人の主張について
(ア)申立人の主張の概要
申立人は、申立書の第22~23頁、及び、令和6年5月31日付け意見書の第3~5頁において、申立理由5について、概略、次の主張をしている。
a.本件発明は、アニオン界面活性剤の種類や配合量、及び炭の配合量を特定していない。そして、甲13の記載も参照すると、アニオン界面活性剤は種類によって特性が異なり、アニオン界面活性剤の種類や配合量、炭の配合量は、皮脂の除去効率に影響を及ぼすところ、本件発明の範囲まで、本件特許の効果を奏するかどうかは明らかでない。
b.本件特許の請求項3(本件訂正後は請求項1)に「質量比LPG/CO2が200以下」と記載されているが、本件明細書に記載の実施例のうち、炭を配合し、LPGと二酸化炭素を併用しているのは、実施例1bのみであり、本件発明の範囲まで本件特許の効果を奏するかどうかは明らかでない。すなわち、「質量比LPG/CO2」の数値が大きくなるほど、皮脂の除去効果を有する二酸化炭素量が減少し、皮脂の除去効果も減少するから、「質量比LPG/CO2が200」という、著しく二酸化炭素量が減少した場合には、十分な皮脂の除去効果を達成し得ない。
(イ)申立人の主張についての判断
上記a.の点については、本件明細書の【0027】に、使用し得る複数のアニオン界面活性剤が挙げられており、同【0028】には、アニオン界面活性剤の配合量は、皮脂などの汚れ除去及び発泡性を効果的とする観点から「5質量%以上」が良いことが記載され、炭の含有量についても、同【0025】に、「0.05質量%以上」であれば皮脂除去の高効率化に適することが記載されているから、当業者であれば、これらの記載を参照して、本件訂正発明の課題の解決に有効なアニオン界面活性剤や炭の配合量や種類を理解でき、本件訂正発明が当該課題を解決し得る範囲のものと認識できるといえる。
上記b.の点については、本件明細書の【0017】に、二酸化炭素の充填量について、皮脂の除去効率を高めるために「0.1重量%以上」が良いことが記載されており、同【0022】に、「質量比LPG/CO2」について、皮脂の除去効率を高める観点から「200以下」が良く、皮脂の除去効率の観点からは「0に近い」ことが最適である一方、泡の持続性などの観点からは、例えば「2以上」の下限を設定することが記載されているから、当業者であれば、これらの記載を参照して、「質量比LPG/CO2が200以下」の範囲の中で、本件訂正発明の課題の解決に有効な液化石油ガスと二酸化炭素の質量比を理解することができ、本件訂正発明が課題を解決し得る範囲のものと認識できるといえる。
したがって、申立人の主張はいずれも採用できない。
エ 申立理由5についてのまとめ
以上のとおり、本件訂正発明1、2、4及び5は、本件明細書の発明の詳細な説明において、その課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲のものであるから、本件特許の請求項1、2、4及び5の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすものである。
よって、申立理由5は理由がない。
(6)申立理由6(明確性要件違反)について
ア アニオン界面活性剤の配合量の上限について
申立人は、申立書の第23~24頁において、本件特許の請求項4には、「アニオン界面活性剤の配合量が5質量%以上」と記載されているが、含有量の上限の記載がないため、発明の外延が不明確となっている旨を主張している。
しかしながら、本件明細書の【0028】に、「アニオン界面活性剤の配合量の上限は、特に限定されないが、例えば15質量%である。」と記載されているように、本件訂正発明における毛髪洗浄用組成物のアニオン界面活性剤の配合量の適切な上限は、当業者が技術常識も踏まえれば理解できることであるから、特許請求の範囲において当該上限が記載されていないことは、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。
イ 質量比LPG/CO2の下限値について
申立人は、令和6年5月31日付け意見書の第5~6頁において、本件訂正後の請求項1の記載は、二酸化炭素に対する液化石油ガスの質量比LPG/CO2の下限値が不明である旨を主張しているが、この主張は、本件訂正前の請求項3に記載されている事項についてのものであって、本件訂正により新たに生じた事項に係るものではないから、判断を要しないが、念のために以下検討する。
本件訂正発明1における毛髪洗浄用組成物は、噴射剤として液化石油ガス(LPG)を含むものであるから、二酸化炭素に対する液化石油ガスの質量比は0より大きい値であることは自明であって、上記(5)ウ(イ)で述べたように、本件明細書の【0022】に、「質量比LPG/CO2」について、皮脂の除去効率の観点からは「0に近い」ことが最適である一方、泡の持続性などの観点からは、例えば「2以上」の下限を設定することが記載されており、その下限値は、当業者が技術常識も踏まえれば理解できることであるから、特許請求の範囲において当該下限値が記載されていないことは、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。
ウ 申立理由6についてのまとめ
以上のとおり、本件特許の請求項4及び当該請求項を引用する請求項5の記載は明確であって、請求項4及び5に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではなく、申立理由6は理由がない。
第6 むすび
以上のとおり、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕について訂正することを認める。
そして、取消理由通知書に記載した取消理由及び証拠、並びに、申立人の特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1、2、4及び5に係る特許を取り消すことはできない。
また、ほかに請求項1、2、4及び5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、本件訂正により、請求項3は削除されたため、申立人の請求項3に係る特許に対する特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しないものとなったので、請求項3に係る特許についての特許異議の申立ては不適法であって、その補正をすることができないものであるから、特許法第120条の8において準用する同法第135条の規定により、却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2023-701163