審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許異議申立

2023-701136

高内相W/O型乳化組成物及びこれを利用した化粧料

審判番号
2023-701136
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-227945
登録番号
7265860
請求日
2023年10月24日
審決日
2024年07月01日
公報発行日
2024年10月25日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社ヤクルト本社
  • 【権利者代理人】デロイトトーマツ弁理士法人
  • 【異議申立人】新井 晶代
  • 【異議申立人】竹ノ下 真央
審判長/審判官
  • 審判長 阪野 誠司
  • 審判官 松元 麻紀子
  • 審判官 冨永 保
分類
P1651.113-YAA(A61K) / P1651.121-YAA(A61K) / P1651.537-YAA(A61K) / P1651.536-YAA(A61K) / P1651.851-YAA(A61K) / P1651.857-YAA(A61K) / P1651.841-YAA(A61K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7265860号発明「高内相W/O型乳化組成物及びこれを利用した化粧料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7265860号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9及び10について訂正することを認める。 特許第7265860号の特許の請求項1~10に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7265860号(以下「本件特許」という。)の請求項1~10に係る特許についての出願は、平成30年12月5日に出願され、令和5年4月19日に特許権の設定登録がされ、同年同月27日に特許掲載公報が発行され、その請求項1~10に係る発明の特許に対し、同年10月24日付けで新井昌代(以下「申立人1」という。)により、同年同月26日付けで竹ノ下真央(以下「申立人2」という。)により特許異議の申立てがされたものである。 その後の手続の経緯は次のとおりである。 令和5年12月26日付け 取消理由通知 令和6年 3月 5日 意見書・訂正請求書(特許権者) 同年 同月15日付け 訂正請求があった旨の通知 同年 4月15日 意見書(申立人1) なお、令和6年3月15日付けの訂正請求があった旨の通知に対して、申立人2から応答はなかった。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 令和6年3月5日付けの訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の「請求の趣旨」は『特許第7265860号の特許請求の範囲を本請求書に添付した特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~10について訂正することを求める。』というものであり、その内容は、以下の訂正事項1~10からなるものである(なお、訂正箇所に下線を付す。)。 (1)訂正事項1 訂正前の請求項1の、 「(A)乳化剤と、(B)油と 、(C)水と、(D)水溶性有効成分とを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤はポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、前記(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、ヒアルロン酸及び/又はその塩、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.02質量%以上5.0質量%以下であり、前記組成物は、更に(E)モノアルコール及び/又は多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されていることを特徴とする高内相W/O型乳化組成物。」 との記載を、 「(A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分と、(E)多価アルコールとを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤はHLB4以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、前記(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、ヒアルロン酸及び/又はその塩、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.02質量%以上5.0質量%以下であり、前記(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、該(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下であり、前記組成物は、前記(E)多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されていることを特徴とする高内相W/O型乳化組成物。」 との記載に訂正する。 (2)訂正事項2 訂正前の請求項2の、 「(A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分とを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤はポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、前記(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.01質量%以上5.0質量%以下であり、前記組成物は、更に(E)モノアルコール及び/又は多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されていることを特徴とする高内相W/O型乳化組成物。」 との記載を、 「(A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分と、(E)多価アルコールとを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤はHLB4以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、前記(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.01質量%以上5.0質量%以下であり、前記(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、該(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下であり、前記組成物は、前記(E)多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されていることを特徴とする高内相W/O型乳化組成物。」 との記載に訂正する。 (3)訂正事項3 訂正前の請求項3の、 「前記(E)モノアルコール及び/又は多価アルコールは、炭素数2~6のモノアルコール、炭素数2~6の多価アルコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上を含む、請求項1又は2記載の高内相W/O型乳化組成物。」 との記載を、 「(A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分と、(E)多価アルコールとを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤はHLB4以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、前記(D)水溶性有効成分が微生物発酵産物であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.02質量%以上5.0質量%以下であり、前記(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、該(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下であり、前記組成物は、前記(E)多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されていることを特徴とする高内相W/O型乳化組成物。」 との記載に訂正する。 (4)訂正事項4 訂正前の請求項4の、 「前記(E)モノアルコール及び/又は多価アルコールは、エタノール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上を含む、請求項1又は2記載の高内相W/O型乳化組成物。」 との記載を、 「(A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分と、(E)多価アルコールとを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤はHLB4以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、前記(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、ヒアルロン酸及び/又はその塩、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.02質量%以上5.0質量%以下であり、前記(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、及びジプロピレングリコールからなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、該(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下であり、前記組成物は、前記(E)多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されていることを特徴とする高内相W/O型乳化組成物。」 との記載に訂正する。 (5)訂正事項5 訂正前の請求項5の、 「前記(E)モノアルコール及び/又は多価アルコールを組成物全量中に3質量%以上40質量%以下含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の高内相W/O型乳化組成物。」 との記載を、 「(A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分と、(E)多価アルコールとを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤はHLB4以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、前記(D)水溶性有効成分が微生物発酵産物であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.02質量%以上5.0質量%以下であり、前記(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、及びジプロピレングリコールからなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、該(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下であり、前記組成物は、前記(E)多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されていることを特徴とする高内相W/O型乳化組成物。」 との記載に訂正する。 (6)訂正事項6 訂正前の請求項6の、 「前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが親油性のものである、請求項1~5のいずれか1項に記載の高内相W/O型乳化組成物。」 との記載を、 「(A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分と、(E)多価アルコールとを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤はHLB4以下であり、且つ、不飽和脂肪酸及び/又は分岐脂肪酸を残基に有するポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、前記(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、ヒアルロン酸及び/又はその塩、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.02質量%以上5.0質量%以下であり、前記(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、該(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下であり、前記組成物は、前記(E)多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されていることを特徴とする高内相W/O型乳化組成物。」 との記載に訂正する。 (7)訂正事項7 訂正前の請求項7の、 「前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、不飽和脂肪酸及び/又は分岐脂肪酸を残基に有するものである、請求項1~6のいずれか1項に記載の高内相W/O型乳化組成物。」 との記載を、 「(A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分と、(E)多価アルコールとを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤はHLB4以下であり、且つ、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル及びペンタオレイン酸ポリグリセリルからなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、前記(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、ヒアルロン酸及び/又はその塩、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.02質量%以上5.0質量%以下であり、前記(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、該(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下であり、前記組成物は、前記(E)多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されていることを特徴とする高内相W/O型乳化組成物。」 との記載に訂正する。 (8)訂正事項8 訂正前の請求項8の、 「前記組成物は、油ゲル化剤を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の高内相W/O型乳化組成物。」 との記載を、 「(A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分と、(E)多価アルコールと、油ゲル化剤とを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤はHLB4以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、前記(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、ヒアルロン酸及び/又はその塩、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.02質量%以上5.0質量%以下であり、前記(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、該(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下であり、前記(E)多価アルコール及び前記油ゲル化剤を含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されていることを特徴とする高内相W/O型乳化組成物。」 との記載に訂正する。 (9)訂正事項9 訂正前の請求項9の、 「化粧料の形態である、請求項1~8のいずれか1項に記載の高内相W/O型乳化組成物。」 との記載を、 「(A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分と、(E)多価アルコールとを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤はHLB4以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、前記(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、ヒアルロン酸及び/又はその塩、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.02質量%以上5.0質量%以下であり、前記(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、該(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下であり、前記組成物は、前記(E)多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されており、化粧料の形態であることを特徴とする高内相W/O型乳化組成物。」 との記載に訂正する。 (10)訂正事項10 訂正前の請求項10の、 「請求項1~8のいずれか1項に記載の高内相W/O型乳化組成物を含む化粧料。」 との記載を、 「(A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分と、(E)多価アルコールとを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤はHLB4以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、前記(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、ヒアルロン酸及び/又はその塩、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.02質量%以上5.0質量%以下であり、前記(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、該(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下であり、前記組成物は、前記(E)多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されている高内相W/O型乳化組成物を含む化粧料。」 との記載に訂正する。 2 本件訂正による訂正の適否 (1)訂正事項1について 訂正事項1は、 訂正事項1-1:W/O型乳化組成物が(A)~(D)と「(E)多価アルコール」とを含むものとし、当該(E)について、「(E)モノアルコール及び/又は多価アルコール」であったのを、モノアルコールの選択肢を削除して「(E)多価アルコール」とした上で「(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上」であるとし、その含有量を「(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下」であるとし、「更に(E)」との記載を「前記(E)」とする訂正 及び 訂正事項1-2:(A)乳化剤であるポリグリセリン脂肪酸エステルについて、「HLB4以下の」とする訂正 からなる。 ア 訂正事項1-1について 訂正事項1-1は、(E)の種類及び含有量を限定し、それに伴って関連する記載を整理したものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 また、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲(以下「特許明細書等」ということがある。)の請求項4に、「前記(E)モノアルコール及び/又は多価アルコールは、エタノール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上を含む」との記載があり(下線は当審合議体が付与した。以下同様。)、同請求項5に「前記(E)モノアルコール及び/又は多価アルコールを組成物全量中に3質量%以上40質量%以下含有する」との記載、同【0073】の表3に、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルのそれぞれを、8質量部含有する高内相W/O型乳化組成物が記載されているから、訂正事項1-1は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてする訂正に該当する。 そして、この訂正は実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 イ 訂正事項1-2について 訂正事項1-2は、(A)乳化剤であるポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 また、特許明細書等の【0026】に、「ポリグリセリン脂肪酸エステルは親油性のものを用いることが好ましく、その場合、親油度の指標となるHLB値としては、8以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましい。」との記載があるから、訂正事項1-2は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてする訂正に該当する。 そして、この訂正は実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 ウ まとめ したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当し、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、訂正事項1と同様に、W/O型乳化組成物が(A)~(D)と「(E)多価アルコール」とを含むものとし、当該(E)について、「(E)モノアルコール及び/又は多価アルコール」であったのを、モノアルコールの選択肢を削除して「(E)多価アルコール」とした上で「(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上」であるとし、その含有量を「(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下」であるとし、「更に(E)」との記載を「前記(E)」とする訂正、それらに伴って関連する記載を整理する訂正、並びに(A)乳化剤であるポリグリセリン脂肪酸エステルについて、「HLB4以下の」とする訂正からなる。それゆえ、訂正事項1と同様に、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当し、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (3)訂正事項3について 訂正事項3は、 訂正事項3-1:請求項3の記載が請求項1又は2の記載を引用するものであったのを、請求項2の記載の引用を削除して、請求項1の記載を引用するものについて当該記載を引用しないものとする訂正、 訂正事項3-2:請求項1の記載を引用するものについて、W/O型乳化組成物が(A)~(D)と「(E)多価アルコール」とを含むものとし、当該(E)について、「(E)モノアルコール及び/又は多価アルコールは、炭素数2~6のモノアルコール、炭素数2~6の多価アルコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上を含む」であったのを、モノアルコールの選択肢を削除して「(E)多価アルコール」とした上で「(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上」であるとし、その含有量を「(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下」であるとし、「更に(E)」との記載を「前記(E)」とする訂正、 訂正事項3-3:請求項1の記載を引用するものについて、(A)乳化剤であるポリグリセリン脂肪酸エステルを、「HLB4以下の」とする訂正 及び 訂正事項3-4:請求項1の記載を引用するものについて、(D)水溶性有効成分が、「微生物発酵産物、ヒアルロン酸及び/又はその塩、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上」であったのを「微生物発酵産物」とする訂正 からなる。 ア 訂正事項3-1について 訂正事項3-1は、請求項2の記載の引用を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当し、また、請求項1の記載を引用しないものとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当する。 また、訂正事項3-1は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてする訂正に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 イ 訂正事項3-2及び3-3について 訂正事項3-2は、訂正事項1-1と同様に、(E)の種類及び含有量を限定し、それに伴って関連する記載を整理したものであり、訂正事項3-3は、訂正事項1-2と同様に、(A)乳化剤であるポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値を限定するものであるから、訂正事項3-2及び訂正事項3-3は、訂正事項1-1及び訂正事項1-2からなる訂正事項1と同様に、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当し、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてする訂正に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 ウ 訂正事項3-4について 訂正事項3-4は、(D)水溶性有効成分の種類を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当し、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてする訂正に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 エ まとめ したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号及び第4号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当し、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (4)訂正事項4について 訂正事項4は、 訂正事項4-1:請求項4の記載が請求項1又は2の記載を引用するものであったのを、請求項2の記載の引用を削除して、請求項1の記載を引用するものについて当該記載を引用しないものとする訂正、 訂正事項4-2:請求項1の記載を引用するものについて、W/O型乳化組成物が(A)~(D)と「(E)多価アルコール」とを含むものとし、当該(E)について、「(E)モノアルコール及び/又は多価アルコールは、エタノール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上を含む」であったのを、モノアルコールの選択肢を削除して「(E)多価アルコール」とした上で「(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、及びジプロピレングリコールからなる群から選ばれた1種又は2種以上」であるとし、その含有量を「(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下」であるとし、「更に(E)」との記載を「前記(E)」とする訂正 及び 訂正事項4-3:請求項1の記載を引用するものについて、(A)乳化剤であるポリグリセリン脂肪酸エステルを、「HLB4以下の」とする訂正 からなる。 ア 訂正事項4-1について 訂正事項4-1は、請求項2の記載の引用を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当し、また、請求項1の記載を引用しないものとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当する。 また、訂正事項4-1は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてする訂正に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 イ 訂正事項4-2及び4-3について 訂正事項4-2は、訂正事項1-1と同様に、(E)の種類及び含有量を限定し、それに伴って関連する記載を整理したものであり、訂正事項4-3は、訂正事項1-2と同様に、(A)乳化剤であるポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値を限定するものであるから、訂正事項4-2及び訂正事項4-3は、訂正事項1-1及び訂正事項1-2からなる訂正事項1と同様に、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当し、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてする訂正に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 ウ まとめ したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号及び第4号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当し、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (5)訂正事項5について 訂正事項5は、 訂正事項5-1:請求項5の記載が請求項1~4いずれか1項の記載を引用するものであったのを、請求項2~4の記載の引用を削除して、請求項1の記載を引用するものについて当該記載を引用しないものとする訂正、 訂正事項5-2:請求項1の記載を引用するものについて、W/O型乳化組成物が(A)~(D)と「(E)多価アルコール」とを含むものとし、当該(E)について、「(E)モノアルコール及び/又は多価アルコール」であったのを、モノアルコールの選択肢を削除して「(E)多価アルコール」とした上で「(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、及びジプロピレングリコールからなる群から選ばれた1種又は2種以上」であるとし、その含有量について、「(E)モノアルコール及び/又は多価アルコールを組成物全量中に3質量%以上40質量%以下含有する」とあったのを、「(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下」であるとし、「更に(E)」との記載を「前記(E)」とする訂正、 訂正事項5-3:請求項1の記載を引用するものについて、(A)乳化剤であるポリグリセリン脂肪酸エステルを、「HLB4以下の」とする訂正 及び 訂正事項5-4:請求項1の記載を引用するものについて、(D)水溶性有効成分が、「微生物発酵産物、ヒアルロン酸及び/又はその塩、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上」であったのを「微生物発酵産物」とする訂正 からなる。 ア 訂正事項5-1について 訂正事項5-1は、請求項2~4の記載の引用を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当し、また、請求項1の記載を引用しないものとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当する。 また、訂正事項5-1は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてする訂正に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 イ 訂正事項5-2及び5-3について 訂正事項5-2は、訂正事項1-1と同様に、(E)の種類及び含有量を限定し、それに伴って関連する記載を整理したものであり、訂正事項5-3は、訂正事項1-2と同様に、(A)乳化剤であるポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値を限定するものであるから、訂正事項5-2及び訂正事項5-3は、訂正事項1-1及び訂正事項1-2からなる訂正事項1と同様に、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当し、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてする訂正に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 ウ 訂正事項5-4について 訂正事項5-4は、(D)水溶性有効成分の種類を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当し、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてする訂正に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 エ まとめ したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号及び第4号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当し、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (6)訂正事項6について 訂正事項6は、 訂正事項6-1:請求項6の記載が請求項1~5いずれか1項の記載を引用するものであったのを、請求項2~5の記載の引用を削除して、請求項1の記載を引用するものについて当該記載を引用しないものとする訂正、 訂正事項6-2:請求項1の記載を引用するものについて、W/O型乳化組成物が(A)~(D)と「(E)多価アルコール」とを含むものとし、当該(E)について、「(E)モノアルコール及び/又は多価アルコール」であったのを、モノアルコールの選択肢を削除して「(E)多価アルコール」とした上で「(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上」であるとし、その含有量を「(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下」であるとし、「更に(E)」との記載を「前記(E)」とする訂正 及び 訂正事項6-3:請求項1の記載を引用するものについて、(A)乳化剤であるポリグリセリン脂肪酸エステルが、「親油性のものである」であったのを、「HLB4以下であり、且つ、不飽和脂肪酸及び/又は分岐脂肪酸を残基に有する」とする訂正 からなる。 ア 訂正事項6-1について 訂正事項6-1は、請求項2~5の記載の引用を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当し、また、請求項1の記載を引用しないものとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当する。 また、訂正事項6-1は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてする訂正に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 イ 訂正事項6-2について 訂正事項6-2は、訂正事項1-1と同様に、(E)の種類及び含有量を限定し、それに伴って関連する記載を整理したものであるから、訂正事項1-1と同様に、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当し、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてする訂正に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 ウ 訂正事項6-3について 訂正事項6-3は、親油性とされていたポリグリセリン脂肪酸エステルについて、親油度の指標となる(特許明細書等の【0026】参照。)HLB値を限定し、さらに、その残基を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 また、HLBが4以下であることが特許明細書等に記載されていることは、上記(1)イで述べたとおりであり、ポリグリセリン脂肪酸エステルが不飽和脂肪酸及び/又は分岐脂肪酸を残基に有することは、特許明細書等の請求項7に記載されているから、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてする訂正に該当する。 そして、この訂正は実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 エ まとめ したがって、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号及び第4号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当し、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (7)訂正事項7について 訂正事項7は、 訂正事項7-1:請求項7の記載が請求項1~6いずれか1項の記載を引用するものであったのを、請求項2~6の記載の引用を削除して、請求項1の記載を引用するものについて当該記載を引用しないものとする訂正、 訂正事項7-2:請求項1の記載を引用するものについて、W/O型乳化組成物が(A)~(D)と「(E)多価アルコール」とを含むものとし、当該(E)について、「(E)モノアルコール及び/又は多価アルコール」であったのを、モノアルコールの選択肢を削除して「(E)多価アルコール」とした上で「(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上」であるとし、その含有量を「(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下」であるとし、「更に(E)」との記載を「前記(E)」とする訂正 及び 訂正事項7-3:請求項1の記載を引用するものについて、(A)乳化剤であるポリグリセリン脂肪酸エステルが、「不飽和脂肪酸及び/又は分岐脂肪酸を残基に有するもの」であったのを、「HLB4以下であり、且つ、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル及びペンタオレイン酸ポリグリセリルからなる群から選ばれた1種又は2種以上」とする訂正 からなる。 ア 訂正事項7-1について 訂正事項7-1は、請求項2~6の記載の引用を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当し、また、請求項1の記載を引用しないものとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当する。 また、訂正事項7-1は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてする訂正に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 イ 訂正事項7-2について 訂正事項7-2は、訂正事項1-1と同様に、(E)の種類及び含有量を限定し、それに伴って関連する記載を整理したものであるから、訂正事項1-1と同様に、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当し、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてする訂正に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 ウ 訂正事項7-3について 訂正事項7-3は、不飽和脂肪酸及び/又は分岐脂肪酸を残基に有するものとされていたポリグリセリン脂肪酸エステルについて、HLB値を限定し、さらに、不飽和脂肪酸及び/又は分岐脂肪酸を残基に有する化合物である、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル及びペンタオレイン酸ポリグリセリルからなる群から選ばれた1種又は2種以上に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 HLBが4以下であることが特許明細書等に記載されていることは、上記(1)イで述べたとおりである。また、ポリグリセリン脂肪酸エステルについて、特許明細書等には、 「【0027】 更に、高内相W/O型乳化組成物の安定性の観点からは、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、不飽和脂肪酸及び/又は分岐脂肪酸を残基に有するものであることが好ましい。この場合、不飽和脂肪酸としては、ポリリシノレイン酸、オレイン酸、ヒドロキシステアリン酸、パルミトオレイン酸、エルカ酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、マカダミアナッツ脂肪酸等が挙げられる。・・・ 【0028】 本発明に用いるポリグリセリン脂肪酸エステルを、更に具体的に例示するとすれば、例えば、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-5、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-6、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-2、オレイン酸ポリグリセリル-3、オレイン酸ポリグリセリル-4、トリオレイン酸ポリグリセリル -10、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10、ヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-10、デカマカダミアナッツ脂肪酸ポリグリセリル-10、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10等が挙げられる。 【0029】 成分(A)の乳化剤として、上記したポリグリセリン脂肪酸エステルは、その1種類のものを単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。」との記載があるから、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてする訂正に該当する。 そして、この訂正は実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 エ まとめ したがって、訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号及び第4号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当し、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (8)訂正事項8について 訂正事項8は、 訂正事項8-1:請求項8の記載が請求項1~7いずれか1項の記載を引用するものであったのを、請求項2~7の記載の引用を削除して、請求項1の記載を引用するものについて当該記載を引用しないものとする訂正、 訂正事項8-2:請求項1の記載を引用するものについて、W/O型乳化組成物が(A)~(D)及び油ゲル化剤と「(E)多価アルコール」を含むものとし、当該(E)について、「(E)モノアルコール及び/又は多価アルコール」であったのを、モノアルコールの選択肢を削除して「(E)多価アルコール」とした上で「(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上」であるとし、その含有量を「(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下」であるとし、「前記組成物は、更に(E)」との記載を「前記(E)」とする訂正、 訂正事項8-3:請求項1の記載を引用するものについて、(A)乳化剤であるポリグリセリン脂肪酸エステルを、「HLB4以下の」とする訂正 及び 訂正事項8-4:請求項1の記載を引用するものについて、「(E)・・・多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されている」であったのを、「(E)多価アルコール及び前記油ゲル化剤を含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されている」とする訂正 からなる。 ア 訂正事項8-1について 訂正事項8-1は、請求項2~7の記載の引用を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当し、また、請求項1の記載を引用しないものとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当する。 また、訂正事項8-1は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてする訂正に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 イ 訂正事項8-2及び8-3について 訂正事項8-2は、訂正事項1-1と同様に、(E)の種類及び含有量を限定し、それに伴って関連する記載を整理したものであり、訂正事項8-3は、訂正事項1-2と同様に、(A)乳化剤であるポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値を限定するものであるから、訂正事項1-1及び訂正事項1-2からなる訂正事項1と同様に、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当し、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてする訂正に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 ウ 訂正事項8-4について 訂正事項8-4は、多価アルコールに加えて油ゲル化剤を含むことにより、高内相W/O型乳化組成物の乳化状態が安定化されていることを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 特許明細書等には、 「【0057】 本発明に係る高内相W/O型乳化組成物には、その乳化状態のより一層の安定化のためには、油ゲル化剤を含有せしめてもよい。」との記載があるから、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてする訂正に該当する。 そして、この訂正は実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 エ まとめ したがって、訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号及び第4号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当し、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (9)訂正事項9について 訂正事項9は、 訂正事項9-1:請求項9の記載が請求項1~8いずれか1項の記載を引用するものであったのを、請求項2~8の記載の引用を削除して、請求項1の記載を引用するものについて当該記載を引用しないものとする訂正、 訂正事項9-2:請求項1の記載を引用するものについて、W/O型乳化組成物が(A)~(D)及び油ゲル化剤と「(E)多価アルコール」を含むものとし、当該(E)について、「(E)モノアルコール及び/又は多価アルコール」であったのを、モノアルコールの選択肢を削除して「(E)多価アルコール」とした上で「(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上」であるとし、その含有量を「(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下」であるとし、「更に(E)」との記載を「前記(E)」とする訂正 及び 訂正事項9-3:請求項1の記載を引用するものについて、(A)乳化剤であるポリグリセリン脂肪酸エステルを、「HLB4以下の」とする訂正 ア 訂正事項9-1について 訂正事項9-1は、請求項2~8の記載の引用を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当し、また、請求項1の記載を引用しないものとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当する。 また、訂正事項9-1は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてする訂正に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 イ 訂正事項9-2及び9-3について 訂正事項9-2は、訂正事項1-1と同様に、(E)の種類及び含有量を限定し、それに伴って関連する記載を整理したものであり、訂正事項9-3は、訂正事項1-2と同様に、(A)乳化剤であるポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値を限定するものであるから、訂正事項1-1及び訂正事項1-2からなる訂正事項1と同様に、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当し、訂正事項9-2及び訂正事項9-3は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてする訂正に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 ウ まとめ したがって、訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号及び第4号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当し、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (10)訂正事項10について 訂正事項10は、 訂正事項10-1:請求項10の記載が請求項1~9いずれか1項の記載を引用するものであったのを、請求項2~9の記載の引用を削除して、請求項1の記載を引用するものについて当該記載を引用しないものとする訂正、 訂正事項10-2:請求項1の記載を引用するものについて、W/O型乳化組成物が(A)~(D)及び油ゲル化剤と「(E)多価アルコール」を含むものとし、当該(E)について、「(E)モノアルコール及び/又は多価アルコール」であったのを、モノアルコールの選択肢を削除して「(E)多価アルコール」とした上で「(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上」であるとし、その含有量を「(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下」であるとし、「更に(E)」との記載を「前記(E)」とし、「乳化状態が安定化されていることを特徴とする」との記載を「乳化状態が安定化されている」とする訂正 及び 訂正事項10-3:請求項1の記載を引用するものについて、(A)乳化剤であるポリグリセリン脂肪酸エステルを、「HLB4以下の」とする訂正 ア 訂正事項10-1について 訂正事項10-1は、請求項2~8の記載の引用を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当し、また、請求項1の記載を引用しないものとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当する。 また、訂正事項10-1は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてする訂正に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 イ 訂正事項10-2及び10-3について 訂正事項10-2は、訂正事項1-1と同様に、(E)の種類及び含有量を限定し、それに伴って関連する記載を整理したものであり、訂正事項10-3は、訂正事項1-2と同様に、(A)乳化剤であるポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値を限定するものであるから、訂正事項1-1及び訂正事項1-2からなる訂正事項1と同様に、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当し、訂正事項10-2及び訂正事項10-3は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてする訂正に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 ウ まとめ したがって、訂正事項10は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号及び第4号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当し、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (11)独立特許要件について 本件特許異議申立においては、訂正前の全ての請求項である請求項1~10に係る特許に対して特許異議の申立てがされているから、訂正後の請求項1~10に係る発明については、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する要件(いわゆる「独立特許要件」)は課されない。 (12)一群の請求項について 本件訂正に係る訂正前の請求項1~10について、その請求項3~10は直接又は間接的に請求項1及び2を引用するものであるから、訂正前の請求項1と請求項3~10は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項であり、訂正前の請求項2と請求項3~10は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 そして、上記2つの一群の請求項は、請求項3~10が共通するから、合わさって請求項1~10が一群の請求項となる。 したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に対してなされたものである。 3 まとめ 以上総括するに、訂正事項1~10による本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号及び/又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 ここで、本件訂正請求において、請求項2~10は、請求項1とは別途訂正することを求めるとする引用関係の解消の求めがされている。 したがって、訂正後の請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9及び10について訂正を認める。 第3 本件発明 本件訂正により訂正された請求項1~10に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明10」ともいい、併せて「本件発明」ともいう。)は、その特許請求の範囲の請求項1~10に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 (A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分と、(E)多価アルコールとを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤はHLB4以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、前記(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、ヒアルロン酸及び/又はその塩、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.02質量%以上5.0質量%以下であり、前記(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、該(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下であり、前記組成物は、前記(E)多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されていることを特徴とする高内相W/O型乳化組成物。 【請求項2】 (A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分と、(E)多価アルコールとを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤はHLB4以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、前記(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.01質量%以上5.0質量%以下であり、前記(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、該(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下であり、前記組成物は、前記(E)多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されていることを特徴とする高内相W/O型乳化組成物。 【請求項3】 (A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分と、(E)多価アルコールとを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤はHLB4以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、前記(D)水溶性有効成分が微生物発酵産物であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.02質量%以上5.0質量%以下であり、前記(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、該(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下であり、前記組成物は、前記(E)多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されていることを特徴とする高内相W/O型乳化組成物。 【請求項4】 (A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分と、(E)多価アルコールとを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤はHLB4以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、前記(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、ヒアルロン酸及び/又はその塩、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.02質量%以上5.0質量%以下であり、前記(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、及びジプロピレングリコールからなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、該(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下であり、前記組成物は、前記(E)多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されていることを特徴とする高内相W/O型乳化組成物。 【請求項5】 (A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分と、(E)多価アルコールとを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤はHLB4以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、前記(D)水溶性有効成分が微生物発酵産物であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.02質量%以上5.0質量%以下であり、前記(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、及びジプロピレングリコールからなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、該(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下であり、前記組成物は、前記(E)多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されていることを特徴とする高内相W/O型乳化組成物。 【請求項6】 (A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分と、(E)多価アルコールとを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤はHLB4以下であり、且つ、不飽和脂肪酸及び/又は分岐脂肪酸を残基に有するポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、前記(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、ヒアルロン酸及び/又はその塩、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.02質量%以上5.0質量%以下であり、前記(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、該(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下であり、前記組成物は、前記(E)多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されていることを特徴とする高内相W/O型乳化組成物。 【請求項7】 (A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分と、(E)多価アルコールとを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤はHLB4以下であり、且つ、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル及びペンタオレイン酸ポリグリセリルからなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、前記(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、ヒアルロン酸及び/又はその塩、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.02質量%以上5.0質量%以下であり、前記(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、該(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下であり、前記組成物は、前記(E)多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されていることを特徴とする高内相W/O型乳化組成物。 【請求項8】 (A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分と、(E)多価アルコールと、油ゲル化剤とを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤はHLB4以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、前記(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、ヒアルロン酸及び/又はその塩、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.02質量%以上5.0質量%以下であり、前記(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、該(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下であり、前記(E)多価アルコール及び前記油ゲル化剤を含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されていることを特徴とする高内相W/O型乳化組成物。 【請求項9】 (A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分と、(E)多価アルコールとを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤はHLB4以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、前記(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、ヒアルロン酸及び/又はその塩、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.02質量%以上5.0質量%以下であり、前記(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、該(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下であり、前記組成物は、前記(E)多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されており、化粧料の形態であることを特徴とする高内相W/O型乳化組成物。 【請求項10】 (A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分と、(E)多価アルコールとを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤はHLB4以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、前記(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、ヒアルロン酸及び/又はその塩、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.02質量%以上5.0質量%以下であり、前記(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、該(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下であり、前記組成物は、前記(E)多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されている高内相W/O型乳化組成物を含む化粧料。」 第4 特許異議申立理由及び取消理由の概要 1 特許異議申立理由の概要 (1)申立人1の申立理由 [申立理由1-1]特許法第29条第1項第3号(同法第113条第2号) 訂正前の請求項1~10に係る発明は、甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証、及び甲第4号証に記載された発明である。 [申立理由1-2]特許法第29条第2項(同法第113条第2号) 訂正前の請求項1~10に係る発明は、甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証又は甲第5号証に記載された発明と、甲第6号証~甲第14号証に記載の事項を初めとする出願時の技術常識とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 申立理由1-1及び1-2について、提出された証拠は次のとおりである。 甲第1号証:特開2002-241219号公報 甲第2号証:特開2015-209378号公報 甲第3号証:特開2003-81757号公報 甲第4号証:特開2002-201355号公報 甲第5号証:特開2001-181180号公報 甲第6号証:特開2013-72056号公報 甲第7号証:特開2008-308464号公報 甲第8号証:特開2010-280643号公報 甲第9号証:特開2014-80377号公報 甲第10号証:特開2013-199453号公報 甲第11号証:特開2018-100308号公報 甲第12号証:特開2018-80117号公報 甲第13号証:特開2000-186014号公報 甲第14号証:特開2011-136963号公報 甲第15号証:日本油化学会誌、(1999)、第48巻、第10号、1177~1184頁 甲第16号証:粧技誌、(1982)、第16巻、第1号、34~42頁 甲第17号証:色材、(2004)、77〔10〕、462~469頁 甲第18号証:J.Jpn.Soc.Colour Mater.、(2016)、89〔4〕、135~138頁 甲第19号証:粧技誌、(2013)、第47巻、第1号、19~25頁 甲第20号証:オレオサイエンス、(2013)、第13巻、第2号、73~77頁 甲第21号証:特開2002-128627号公報 甲第22号証:特開平8-24616号公報 以下では、申立人1が提出した甲第1号証~甲第22号証を「甲1」~「甲22」ということがある。 [申立理由1-3]特許法第36条第6項第1号(同法第113条第4号) 訂正前の請求項1~10に係る発明は、特許明細書等の発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 [申立理由1-4]特許法第36条第4項第1号(同法第113条第4号) 特許明細書等の発明の詳細な説明の記載には不備があり、訂正前の請求項1~10に係る発明は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 申立理由1-3及び1-4について具体的に指摘されている不備の概要は、次のとおりである。 (ア)油ゲル化剤を含むことを特定しない、訂正前の請求項1~7、9及び10に係る発明はサポート要件及び実施可能要件を満たさない。 (イ)「(B)油」の成分について、何らの特定のない訂正前の請求項1~10に係る発明は、本件特許発明の課題を解決することができない発明を包含することが明らかであり、且つ本件特許発明を特許明細書等の開示を踏まえても実施することができないから、訂正前の請求項1~10に係る発明はサポート要件及び実施可能要件を満たさない。 (ウ)「(E)モノアルコール及び/ 又は多価アルコール」を具体的成分に特定せず、もしくはその含有量を特定しない訂正前の請求項1~10に係る発明は、課題を解決できない発明を含むものであり、特許明細書等の開示を踏まえても実施することができない。特に、本件特許発明は「(E)モノアルコール及び/又は多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されている」との構成を含むところ、「乳化状態が安定化されている」かどうかを判断する基準も判然としないため、本件特許発明に係る高内相W/O型乳化組成物を製造することが困難である。よって、訂正前の請求項1~10に係る発明はサポート要件及び実施可能要件を満たさない。 (エ)「(D)水溶性有効成分」が「植物抽出物」や「微生物発酵産物」である場合に関して、本件特許発明の課題を解決することができない発明を包含することが明らかであり、且つ訂正前の請求項1~10に係る発明を特許明細書等の開示を踏まえても実施することができない。よって、訂正前の請求項1~10に係る発明はサポート要件及び実施可能要件を満たさない。 [申立理由1-5]特許法第36条第6項第2号(同法第113条第4号) 訂正前の請求項6の記載は、特許を受けようとする発明を明確に記載したものではないから、訂正前の請求項6に係る発明及び請求項6に従属する請求項7~10に係る発明は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 申立理由1-5について具体的に指摘されている不備の概要は、次のとおりである。 訂正前の請求項6に係る発明における「親油性」が、どのような油にどの程度溶ける性質を意味するのか不明であり、また、HLB値としてどのように定義されるのか明らかではない。よって、訂正前の請求項6に係る発明及び請求項6に従属する訂正前の請求項7~10に係る発明は当業者にとって不明確である。 (2)申立人2の申立理由 [申立理由2-1]特許法第29条第1項第3号(同法第113条第2号) 訂正前の請求項1、3、5~7、9及び10に係る発明は、甲第1号証に記載された発明である。 [申立理由2-2]特許法第29条第2項(同法第113条第2号) 訂正前の請求項1~10に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第1号証~甲第9号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 申立理由2-1及び2-2について、提出された証拠は次のとおりである。 甲第1号証:特開2004-59526号公報 甲第2号証:特開平11-302151号公報 甲第3号証:特開2014-1155号公報 甲第4号証:特開2014-111584号公報 甲第5号証:特開2014-111585号公報 甲第6号証:特開2011-148750号公報 甲第7号証:特開2012-116815号公報 甲第8号証:特開2008-127306号公報 甲第9号証:特開平11-246354号公報 以下では、申立人2が提出した甲第1号証~甲第9号証を「甲1’」~「甲9’」ということがある。 [申立理由2-3]特許法第36条第6項第1号(同法第113条第4号) 訂正前の請求項1~6及び8~10に係る発明は、特許明細書等の発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 申立理由2-3について具体的に指摘されている不備の概要は、次のとおりである。 出願時の技術常識に照らしても、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-5とペンタオレイン酸ポリグリセリン-10の例のみからポリグリセリン脂肪酸エステル全てまで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。 2 取消理由の概要 令和5年12月26日付けの取消理由通知で通知された取消理由は、次の理由1~3からなるものである。 [理由1](明確性)訂正前の請求項1~10に係る発明の特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に適合するものではない。 よって、訂正前の請求項1~10に係る特許は、同法第36条第6項の規定を満たしていない特許出願に対してされたものである。 具体的に指摘した不備の概要は、次のとおりである。 (1)訂正前の請求項1に記載の「(E)モノアルコール及び/又は多価アルコール」がどのような範囲の物質を包含するものであるかが明確でない。 また、仮に成分(E)のアルコールを単に水酸基を有する化合物として把握すると、訂正前の請求項1に係る発明の成分(A)、(B)及び(D)について、本件明細書又は特許請求の範囲に例示又は特定されているものは「アルコール」又は「多価アルコール」に該当するといえるから、かかる物質を(A)、(B)又は(D)の成分として把握すればよいのか、(E)の成分として把握すればよいのかが明確でない。 さらに、訂正前の請求項1に係る発明は「(E)モノアルコール及び/又は多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されている」ことが特定されている点について、特開2002-128627号公報(申立人1が提示した甲21)及び特開平8-24616号公報(同甲22)の記載からみて、多価アルコールはエマルションを不安定化する物質であることが本件出願時の技術常識であるといえ、上記特定事項は、本件出願時の技術常識と齟齬する事項を含むものであるから、その技術的意味を理解することができず、不明確である。 (2)訂正前の請求項6に「前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが親油性のものである」との記載があるところ、「親油性」がどの程度の範囲を意味するのかが明確でない。 [理由2](新規性)訂正前の請求項1~10に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、甲1~4及び甲1’に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項1~10に係る発明の特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 [理由3](進歩性)訂正前の請求項1~10に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、甲1~4及び甲1’に記載された発明、並びに甲1~12及び甲1’~9’に記載の技術的事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1~10に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 引用した文献は次のとおりである。 甲1:特開2002-241219号公報(申立人1が提示した甲1) 甲2:特開2015-209378号公報(同甲2) 甲3:特開2003-81757号公報(同甲3) 甲4:特開2002-201355号公報(同甲4) 甲5:特開2001-181180号公報(同甲5) 甲6:特開2013-72056号公報(同甲6) 甲7:特開2008-308464号公報(同甲7) 甲8:特開2010-280643号公報(同甲8) 甲9:特開2014-80377号公報(同甲9) 甲10:特開2013-199453号公報(同甲10) 甲11:特開2018-100308号公報(同甲11) 甲12:特開2018-80117号公報(同甲12) 甲1’:特開2004-59526号公報(申立人2が提示した甲1’) 甲2’:特開平11-302151号公報(同甲2’) 甲3’:特開2014-1155号公報(同甲3’) 甲4’:特開2014-111584号公報(同甲4’) 甲5’:特開2014-111585号公報(同甲5’) 甲6’:特開2011-148750号公報(同甲6’) 甲7’:特開2012-116815号公報(同甲7’) 甲8’:特開2008-127306号公報(同甲8’) 甲9’:特開平11-246354号公報(同甲9’) 第5 当審の判断 1 甲1~甲22及び甲1’~甲9’の記載事項 (1)甲1 甲1には以下の記載がある。 甲1a)「【請求項1】親油性ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機変性モンモリロナイトからなる油中水型乳化組成物。 【請求項2】親油性ポリグリセリン脂肪酸エステルが、ポリグリセリンの縮合度が3以上で、ポリグリセリンに対する脂肪酸のエステル化度が2以上である請求項1に記載の油中水型乳化組成物。 【請求項3】親油性ポリグリセリン脂肪酸エステル2~10重量%、有機変性モンモリロナイト0.5~15重量%、油相成分15~98重量%、水2~85重量%からなる請求項1~2の何れか1項記載の油中水型乳化組成物。 【請求項4】油相成分にシリコーン油を含有する請求項1~3の何れか1項記載の油中水型乳化組成物。 【請求項5】請求項1~4の何れか1項記載の油中水型乳化組成物を用いた化粧料。」 甲1b)「【0012】本発明においては多価アルコール及び糖を併用することにより、更に感触を良好なものにすることができる。多価アルコール及び糖としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、ソルビトール、ソルビトール多糖類、マンニトール、ラフィノース、エリスリトール、グルコース、ショ糖、果糖、キシリトール、ラクトース、マルトース、マルチトール、トレハロース、アルキル化トレハロース、混合異性化糖、水溶性多糖類、硫酸化トレハロース、プルラン等が挙げられる。またこれらの化学修飾体等も使用可能である。多価アルコール及び糖の、水相中における好適な比率は10重量%~90重量%である。 ・・・ 【0017】例えば、水相成分としてエタノール、プロパノール、及びヒアルロン酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸塩などの保湿剤、無機顔料や有機顔料等の色材、紫外線吸収剤、ビタミンC・E・A及びその誘導体などの薬剤、収れん剤、防腐剤、酸化防止剤、クエン酸及びクエン酸塩、乳酸及び乳酸塩、アミノ酸及びアミノ酸塩、キレート剤等を本発明の油中水型乳化組成物に適宜配合することができる。」 甲1c)「【0018】 【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の技術範囲がこれらに限定されるものではない。なお配合量は重量%で示す。実施例1~5、比較例1~5 (1)試料の調製 油中水型乳化法の常法に従い実施例および比較例の乳化組成物を調製した。 (2)評価方法 安定性の評価は実施例及び比較例の試料を密閉容器に取り、蓋で密閉して室温及び40℃±0.5℃の恒温室に一ヶ月間放置後、目視で下記基準に従って評価した。 ○;油相の分離は僅かで、水相の分離は見られな。 △;かなりの油相の浮きが見られ、また若干の水相の分離が見られる。 ×;乳化が完全に分離。 使用性については25~40才の女性をモニターとして(10名)、使用性(ノビの良さ、みずみずしさ)を下記基準で官能評価することで行った。 ○;10名のモニターのうち7名以上が良好と判定した。 △;10名のモニターのうち4名~6名が良好と判定した。 ×;10名のモニターのうち0名~3名が良好と判定した。」 甲1d)「【0022】 実施例7:美白クリーム (処方) 油相 重量% 有機変性モンモリロナイト 1.0 デカメチルシクロペンタシロキサン 8.0 架橋型メチルポリシロキサン 5.0 トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 1.5 スクワラン 1.0 ホホバオイル 1.3 酢酸トコフェロール 0.2 デカイソステアリン酸デカグリセリル 3.0 水相 メチルパラベン 0.2 変性エタノール 2.0 グリセリン 10.0 1,3-ブチレングリコール 3.0 水溶性多糖類 2.0 ポリエチレングリコール 0.5 アスコルビン酸マグネシウム 3.0 エデト酸ナトリウム 0.1 クエン酸ソーダ 0.5 精製水 残部 (調製法) 油中水型乳化法の常法に従い乳化組成物を調製した。」 甲1e)「【0027】 ・・・安定性及び使用性の評価は実施例1~5、比較例1~5と同様にして行った。これらの結果を表3に示す。 【0028】 【表3】 [図:0001415292000001.jpg] 表3に示されるように有機変性モンモリロナイトと、ポリグリセリンの縮合度が5以上でエステル化度が5以上の不飽和又は分岐を持つ脂肪酸のエステルによる化粧品の実施例は安定性、使用性(ノビの良さ、みずみずしさ)ともに優れる。」 (2)甲2 甲2には以下の記載がある。 甲2a)「【請求項1】 4-アルキルレゾルシノールを含む油中水乳化組成物であって、 該乳化組成物の油相は極性油を主成分として含む、油中水乳化組成物。 【請求項2】 油相全量に占める極性油の割合が50質量%以上である、請求項1に記載の油中水乳化組成物。 【請求項3】 前記極性油のIOB値が0.1~0.4であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の油中水乳化組成物。 【請求項4】 さらにポリグリセリンの脂肪酸エステルを含む、請求項1~3の何れかに記載の油中水乳化組成物。 【請求項5】 さらに有機変性粘土鉱物を含む、請求項1~4の何れかに記載の油中水乳化組成物。 【請求項6】 有機変性粘土鉱物とポリグリセリンの脂肪酸エステルの含有質量比が1:0.6~1:10である、請求項5に記載の油中水乳化組成物。 【請求項7】 4-アルキルレゾルシノールを油相に含む、請求項1~6の何れかに記載の油中水乳化組成物。 【請求項8】 さらに、アスコルビン酸若しくはその誘導体、トラネキサム酸若しくはその誘導体、及びアルブチン若しくはその誘導体から選ばれる化合物を含む、請求項1~7の何れかに記載の油中水乳化組成物。 【請求項9】 皮膚外用剤である、請求項1~8の何れかに記載の油中水乳化組成物。 【請求項10】 4-アルキルレゾルシノールを極性油に溶解し油相を調製し、得られた油相を水相と混合し乳化することを特徴とする、油中水乳化組成物の製造方法。 【請求項11】 4-アルキルレゾルシノールを含む油中水乳化組成物の黄変を抑制する方法であって、該乳化組成物の油相の主成分として、極性油を用いることを特徴とする、方法。」 甲2b)「【0025】 <界面活性剤> 本発明の好ましい形態では、油中水乳化組成物は、界面活性剤を含む。これにより、安定した乳化状態を得ることができる。 界面活性剤としては、好ましくは非イオン性界面活性剤を好ましく用いる。 非イオン性界面活性剤としては、特にポリグリセリンの脂肪酸エステルが好ましく用いられる。」 甲2c)「【実施例】 【0039】 <製造例> 表1に記載の処方にしたがってA及びCの中間溶液を作製した。 ここで、実施例1~7の中間溶液A(油相)の調製にあたっては、まず、4-n-ブチルレゾルシノールを極性油(フタル酸ジイソプロピル、エチルヘキサン酸セチル、トリエチルヘキサノイン、セバシン酸イソプロピル、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル)に十分溶解させ、その後、他の成分と混合することで調製した。 【0040】 【表1】 [図:0001415292000002.jpg] 【0041】 次に、中間溶液Aを75℃に加熱し、撹拌しながらB(ジステアルジモニウムヘクトライト)の粉末を投入した。ここへ75℃に加熱した中間溶液Cを撹拌しながら投入した。そして、かかる混合溶液を撹拌しながら冷却し、30℃まで冷却された時点で撹拌を停止し、実施例1~7及び比較例1の油中水乳化組成物を得た。」 甲2d)「【0047】 <試験例2>油中水乳化組成物の安定性の評価 次に上記製造例で作製した実施例1~7及び比較例1の油中水乳化組成物の安定性を評価した。 安定性の評価は、チューブ中で40℃の条件下で1及び3ヶ月静置した際の油中水乳化組成物の状態を以下の基準にしたがって三段階で評価することで行った。 ○:水相と油相の分離が観察されない。 △:チューブ先端に透明液が観察される。 ×:水相と油相の分離が観察される。 結果を表3に示す。 【0048】 【表3】 [図:0001415292000003.jpg] 【0049】 表3に示した結果より、界面活性剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルであるトリオレイン酸ポリグリセリル-5を使用した油中水乳化組成物(実施例4、6及び7)は、その他の界面活性剤を使用した油中水乳化組成物(実施例1~3及び5)に比して、安定性が高いことがわかった。 この結果より、界面活性剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを含む場合に、油中水乳化組成物の安定性が向上し、保存時の品質安定性が向上することがわかった。」 甲2e)「【0051】 本発明は、化粧料の製造に応用できる。」 (3)甲3 甲3には以下の記載がある。 甲3a)「【請求項1】次の成分(A)~(D); (A)下記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン変性シリコーン 【化1】 [図:0001415292000004.jpg] [式中、k;30~300、l;0~30、R1;炭素数1~3のアルキル基又はフェニル基、R2;-(CH2)pO-(C2H4O)q-(C3H6O)r-R5、R3;炭素数1~3のアルキル基又はフェニル基、又は-(CH2)pO-(C2H4O)q-(C3H6O)r-R5、p;1~5、q;5~30、r;0~5、R5;H、CH3、CH2CH3であって、l;0のとき、R3は-(CH2)pO-(C2H4O)q-(C3H6O)r-R5である。] (B)油剤 (C)アスコルビン酸及び/又は水溶性アスコルビン酸誘導体 0.1~10質量% (D)水相成分 を含有し、且つ、成分(C)と(D)の合計配合量が85質量%以上であることを特徴とする油中水型乳化化粧料。 【請求項2】成分(A)と成分(B)の配合質量比が、(A)/(B)=0.03~0.2であることを特徴とする請求項1記載の油中水型乳化化粧料。 【請求項3】成分(D)中に、エタノールを全量に対して1~30質量%含有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の油中水型乳化化粧料。 【請求項4】成分(B)中の50質量%以上がシリコーン油であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の油中水型乳化化粧料。」 甲3b)「【0015】本発明に用いられる成分(D)の水相成分としては、水、水溶性成分、水系分散物全般の通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、親水性界面活性剤、電解質、アルコール類、水溶性高分子、粘土鉱物、保湿成分、美容成分、紫外線吸収剤、防腐剤、酸化防止剤、色素等を配合することができる。この水相成分には、必要に応じて粉体類を分散したり、更に乳化又は可溶化等により油性物質を配合することが可能である。 【0016】成分(D)の水相成分として、配合可能な保湿成分を例示すると、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、マルチトール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル、ムコ多糖類及びそれらの塩類、コラーゲン等のタンパク質及びそれらの誘導体並びにそれらの塩類等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。」 甲3c)「【0023】実施例1~7及び比較例1~4:油中水型乳化化粧料 下記表1に示す組成の油中水型乳化化粧料を製造し、 (1)経時安定性、(2)みずみずしさ、(3)スプラッシュ感、(4)伸び広がりの良さ、(5)使用後のべたつきのなさの評価項目について下記の方法により評価し、結果を併せて表1に示した。 ・・・ 【0027】[評価項目(1)の評価方法]得られた各試料を50℃及び0℃の恒温槽にそれぞれ2週間保存し、調製直後及び2週間保存後の両者の状態を目視により観察し、下記判定基準に従い評価した。 [判定基準] ◎:全く変化なし。 ○:変化なし。 △:やや変化あり。 ×:明らかに変化あり。」 甲3d)「【0032】 実施例9:サンスクリーンクリーム (成分) (%) 1.デカメチルシクロペンタシロキサン 5.0 2.イソノナン酸イソノニル 3.0 3.カプリル・カプリン酸トリグリセリル 1.0 4.メトキシケイ皮酸-2-エチルヘキシル 3.0 5.オクチルトリアゾン 1.0 6.4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン 0.5 7.ブチルヒドロキシトルエン 0.1 8.ポリオキシアルキレン変性シリコーン(注1) 1.0 9.香料 0.05 10.L-アスコルビン酸リン酸マグネシウム 1.0 11.エタノール 15.0 12.パラオキシ安息香酸メチル 0.2 13.精製水 69.15 注1:X-22-4991(信越化学工業社製) 【0033】 (製造方法) A:成分1~9を80℃にて加熱溶解する。 B:成分10~13を80℃にて加熱溶解する。 C:AにBを添加して乳化混合し、冷却後、サンスクリーンクリームを得た。 得られたサンスクリーンクリームは、経時安定性が良好で、塗布時にみずみずしさ、スプラッシュ感があり、伸び広がりが良く、使用後のべたつきが低減されたものであった。 【0034】 実施例10:ジェルファンデーション (成分) (%) 1.デカメチルシクロペンタシロキサン 8.5 2.架橋型メチルポリシロキサン 0.5 3.ジイソステアリン酸ジグリセリル 1.0 4.シリコーン処理酸化チタン(注1) 2.0 5.シリコーン処理ベンガラ(注1) 0.05 6.シリコーン処理黄酸化鉄(注1) 0.15 7.シリコーン処理黒酸化鉄(注1) 0.01 8.シリコーン処理タルク(注1) 0.5 9.ポリオキシアルキレン変性シリコーン(注2) 2.0 10.L-アスコルビン酸リン酸マグネシウム 2.0 11.エタノール 10.0 13.1,3-ブチレングリコール 5.0 14.パラオキシ安息香酸メチル 0.1 15.精製水 68.19 注1:メチルポリシロキサン2%処理 注2:X-22-4991(信越化学工業社製) 【0035】(製造方法) A:成分3~9をローラーにて混合分散する。 B:成分1~2にAを添加して均一に混合する。 C:成分10~15を均一に混合する。 D:CをBに添加して乳化混合し、ジェルファンデーションを得た。 得られたジェルファンデーションは、経時安定性が良好で、塗布時にみずみずしさ、スプラッシュ感があり、伸び広がりが良く、使用後のべたつきが低減されたものであった。」 (4)甲4 甲4には以下の記載がある。 甲4a)「【請求項4】 (a)下記一般式(1)で示される分子量3万以上の高分子ポリエーテル変性シリコーンの一種または二種以上と、(b)常温で液体であり、HLB4以下であるショ糖脂肪酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステルから選択される一種または二種以上と、(c)シリコーン系油分と、(d)無機塩および/または有機塩の一種または二種以上を含有することを特徴とする油中水型乳化組成物。 ・・・ 【請求項8】 乳化化粧料である請求項1~7のいずれかに記載の油中水型乳化組成物。」 甲4b)「【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者等は上述の課題に鑑み鋭意研究を重ねた結果、界面活性能を有し、かつ外油相をゲル化可能な特定の高分子量ポリエーテル変性シリコーン等を用い、かつ水相中に無機塩または有機塩を含有させることによって、油相成分中にシリコーン油を含む高内水相型油中水型乳化組成物とすることができることを見い出し、本発明を完成した。」 甲4c)「【0019】ポリグリセリン脂肪酸エステルの具体例としては、ポリグリセリンカプリル酸エステル、ポリグリセリンカプリン酸エステル、ポリグリセリンラウリン酸エステル、ポリグリセリンミリスチン酸エステル、ポリグリセリンパルミチン酸エステル、ポリグリセリンステアリン酸エステル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセリンエルカ酸エステルを挙げることができる。またグリセリンの重合度としては2~10が望ましい。本発明においては、(b)成分としてショ糖脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルの1種または2種以上を用いることができる。」 甲4d)「【0027】また、本発明の水中油型乳化組成物には本発明の効果を損なわない範囲で多価アルコールや保湿剤を配合することにより保湿効果を高めることができる。 【0028】例えば、多価アルコールとしては、 エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等の2価のアルコール、 グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6-ヘキサントリオール等の3価のアルコール、ペンタエリスリトール等の4価のアルコール、キシリトール等の5価のアルコール、ソルビトール、マンニトール等の6価のアルコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等の多価アルコール共重合体、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ-2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等の2価のアルコールアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等の2価のアルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジペート、エチレングリコールジサクシネート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等の2価のアルコールエーテルエステル類、キシルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等のグリセリンモノアルキルエーテル、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリスリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコール等の糖アルコール、グリソリッド、テトラハイドロフルフリルアルコール、POEテトラハイドロフルフリルアルコール、POPブチルエーテル、POP・POEブチルエーテル、メチルポリオキシプロピレングリセリンエーテル、POPグリセリンエーテル、POPグリセリンエーテルリン酸、POP・POEペンタエリスリトールエーテル等が挙げられる。」 甲4e)「【0035】 【実施例】次に、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明する。なお%はすべて質量%を意味する。 ・・・ 【0038】(2)安定性の評価 0℃、室温、37℃、50℃に1ヶ月放置した後の外観変化について、次の基準で実験評価を行った。 ◎:異常なし ○:一部でわずかに油浮き △:油浮き ×:分離 ・・・ 【0046】実施例9~12,比較例5~9 表3及び表4の処方によって常法により油中水型乳化組成物である保湿クリームを製造し、その使用性及び安定性について前記の方法にしたがって評価した。評価結果を表3及び表4に併せて示す。表3及び表4より本発明の油中水型乳化組成物は安定性が良好で優れた使用性を有していることが分かる。 【0047】 【表3】 ─────────────────────────────── 実施例 9 10 11 12 ─────────────────────────────── デカメチルシクロペンタシロキサン 10.0 10.0 15.0 5.0 オクタン酸セチル 5.0 5.0 5.0 5.0 ショ糖パルミチン酸エステル 3.0 1.0 - 2.0 デカグリセリンオレイン酸エステル - 1.0 1.5 2.0 高分子ポリエーテル変性シリコーン*3 3.0 1.0 1.5 0.1 精製水 残部 残部 残部 残部 グリセリン 5.0 5.0 5.0 5.0 ビタミンC誘導体 0.1 0.1 0.1 0.1 L-グルタミン酸ソーダ 2.0 2.0 2.0 2.0 ─────────────────────────────── [使用性] みずみずしさ ○ ◎ ○ ○ さっぱり感 ○ ◎ ◎ ○ ─────────────────────────────── [安定性] 0℃ ◎ ◎ ◎ ◎ 室温 ◎ ◎ ◎ ◎ 37℃ ◎ ◎ ◎ ◎ 50℃ ◎ ◎ ◎ ○ ─────────────────────────────── ・・・ 【0049】*3:平均分子量55000」 (5)甲5 甲5には以下の記載がある。 甲5a)「【請求項1】 (A)酸性ムコ多糖類; (B)親油性ソルビタン系界面活性剤;及び (C)親水性非イオン界面活性剤;を含有し、 水相成分量が80質量%以上であることを特徴とする油中水型乳化組成物。」 甲5b)「【0005】 【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するために検討を重ねた結果、酸性ムコ多糖類と、乳化の際に用いる界面活性剤に親油性のソルビタン系活性剤とHLB10以上の非イオン界面活性剤とを組み合わせることで、使用感・保存安定性ともに優れた乳化組成物を得ることができ、本発明を完成するに至った。」 甲5c)「【0013】本発明の油中水型組成物が(A)及び(D)を必須成分とする場合、一般外用剤、化粧品に配合されるアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤、好ましくは非イオン界面活性剤を、単独で又は2種以上を組み合わせて配合するのが好ましい。 【0014】非イオン界面活性剤としては、HLBが10以下、より好ましくは8以下、さらに好ましくは5以下の親油性非イオン界面活性剤を使用することができる。具体的には、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンステロール・水素添加ステロール、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。」 甲5d)「【0015】さらに、本発明のW/O型乳化組成物には、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、一般外用剤、化粧品に用いられる油溶性及び/又は水溶性の薬効成分を配合することができる。例えば、血行促進剤(ビタミンE、アルニカエキス、など)、消炎鎮痛剤(インドメタシン、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、ケトプロフェン、イブプロフェンなど)、抗炎症剤(グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸、ブフェキサマク、アズレン、酸化亜鉛など)、鎮痒剤(クロタミトン、イクタモール、チモール酸など)、抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミンなど)、殺菌剤(塩化ベンザルコニウム、トリクロサン、アクリノール、ヒノキチオールなど)、局所麻酔剤(リドカイン、塩酸ジブカインなど)、生薬抽出物(アロエ抽出物、カンゾウ抽出物、シコン抽出物など)、保湿成分(尿素など)、角質溶解剤(サリチル酸、イオウ、ビタミンA酸、レゾルシンなど)、ステロイド剤(酢酸ヒドロコルチゾンなど)の薬効成分を配合することができる。」 甲5e)「【0016】また、本発明の水相及び油相には、一般外用剤、化粧品に配合される成分であれば、使用目的に応じて適宜組み合わせて配合することができる。具体的には、保湿剤として、例えば、ベタインエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ヘキシルグリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、グルコース、マルトース、キシリトール、ソルビトールなどが挙げられる。・・・ 【0017】本発明は油相と水相とからなり本発明の水相の量、即ち水相成分の量は、80~95質量%、好ましくは80~90質量%である。水相成分量がこの範囲内にあると、使用時に油っぽさが生じることなどがなく使用感が良好であり、乳化不良を起こさないので好ましい。」 甲5f)「【0036】また、上記調製法に従い、下記実施例64~71の油中水型乳化組成物を調製し、上記評価法において、保存安定性及び使用感を評価したところ、いずれも良好な使用感を示し、かつ各温度領域において安定であった。」 甲5g)「【0040】 【表17】 ・・・ [図:0001415292000005.jpg] 」 (6)甲6 甲6には以下の記載がある。 甲6a)「【表8】 [図:0001415292000006.jpg] 」 (7)甲7 甲7には以下の記載がある。 甲7a)「【0017】 本発明に用いられる成分(C)は、通常化粧料に使用されるHLB2~4のイソステアリン酸とポリグリセリンとのエステルであれば特に制限されない。例えばトリイソステアリン酸ヘキサグリセリル、ペンタイソステアリン酸デカグリセリル、デカイソステアリン酸デカグリセリル、ノナイソステアリン酸デカグリセリル、ヘキサイソステアリン酸デカグリセリル、ヘキサ2-エチルヘキサン酸デカグリセリル等が挙げられ、必要に応じて1種又は2種以上用いることができる。」 (8)甲8 甲8には以下の記載がある。 甲8a)「【0033】 【表1】 [図:0001415292000007.jpg] 」 (9)甲9 甲9には以下の記載がある。 甲9a)「【表1】 [図:0001415292000008.jpg] 」 (10)甲10 甲10には以下の記載がある。 甲10a)「【0023】 一方、本発明の乳化化粧料は、(C)HLBが3~8の親油性界面活性剤を更に含有するのが好ましい。親油性界面活性剤(C)を配合することにより安定性及び使用性が更に向上する。 本発明で用いられる親油性界面活性剤は、そのHLBが3~8のものから選択される1種又は2種以上であり、例えば、脂肪酸グリセリルエステル、セチルジメチコンコポリオール(HLB=5.0)、ステアリン酸プロピレングリコール(HLB=6.0)等が挙げられる。中でも、脂肪酸グリセリルエステル、特にイソステアリン酸グリセリルエステル、例えば、モノイソステアリン酸グリセリル(HLB=4.0)、ジイソステアリン酸ジグリセリル(HLB=3.7)が好ましい。」 (11)甲11 甲11には以下の記載がある。 甲11a)「【0125】 ・・・ ・モノオレイン酸デカグリセリル(HLB=12) 67.0g ・・・ 【0129】 ・・・ ・オレイン酸デカグリセリル-10 8.0g (商品名:Decaglyn 1-OV、HLB=12.0、日光ケミカルズ(株))」 (12)甲12 甲12には以下の記載がある。 甲12a)「【0041】 前記オレイン酸デカグリセリルとしては、HLBが13未満のものを用いることができる。HLBが13以上であると、インクジェットヘッドのノズルの目詰まりに起因してかすれ等が発生するなど、吐出安定性が低下する。尚、HLBの下限は、水溶媒に対する溶解度の観点からは、10以上であることが好ましい。また、HLBが13未満のオレイン酸デカグリセリルとしては、市販品を用いることが可能であり、そのような市販品としては、例えば、NIKKOL(登録商標) DECAGLYN 1-OV(商品名、日光ケミカルズ(株)製、HLB値12)、SYグリスターMO-7S(商品名、阪本薬品工業(株)製、HLB値12.9)等が挙げられる。」 (13)甲13 甲13には以下の記載がある。 甲13a)「 [図:0001415292000009.jpg] 」 (14)甲14 甲14には以下の記載がある。 甲14a)「【0097】 (実施例100:クリーム)・・・ モノステアリン酸グリセリル:HLB3(*21) 1.5% ・・・」 (15)甲15 甲15には以下の記載がある。 甲15a)「乳化液を安定化させるための要因として次のことが考えられる。 ○1(原文は○中に1。以下同様。)分散相と分散媒の比重差を少なくする。 ○2連続相の粘度を高くする。 ○3分散相と分散媒の界面張力を低くする。 ○4分散粒子表面に荷電層を作る。 ○5分散粒子表面に強い吸着膜を作る。」(1177頁右欄最下行~1178頁左欄6行) (16)甲16 甲16には以下の記載がある。 甲16a)「乳化系の安定性についてはすでに幾多の研究がなされ,乳化系破壊のメカニズムと影響を与える因子についてはかなり判明している1,2)。これらの報告によると,乳化系の分散状態の変化は大きく分けて凝集と合一からなる。合一は,やがて油水分離へと進むより本質的な変化であるため,乳化系の安定化には合一を防ぐことが重要な手段の一つである。 合一を防ぐ手段は幾つか考えられ,例えば粒子同志の衝突を妨げるために,連続相粘度を上げる,電気二重層をなだらかに広げる,衝突しても滴が一つにならないよう界面膜を強くする,また,蒸気圧差に起因する小滴から大滴への分子の移動を妨げるために,分散質の分散媒への溶解度を下げる,などが考えられる。」(34頁左欄下から6行~右欄7行) (17)甲17 甲17には以下の記載がある。 甲17a)「4.1 エマルションの崩壊 エマルションはエネルギー状態が高いため,安定化の工夫をしないと容易に破壊される。図-4,図-5にエマルションの崩壊パターンを示す。乳化破壊の要因としては,クリーミング,凝集,合一がある7,8)」(463頁右欄7~11行) 甲17b)「5.1 クリーミングとその制御 エマルションの安定性を高めるためには,エマルションの物理化学的な破壊分離現象を抑制する必要がある。クリーミングの目安となる粒子-媒質間の密度差による粒子の浮上(あるいは沈降)速度は,Stokesの法則から導かれる沈降の式により示される。 [図:0001415292000010.jpg] u:沈降速度 a:粒子半径 g:重力加速度 η:連続相の粘度 ρ0ρ1:連続相,分散相の密度 すなわち粒子の沈降あるいは浮上速度uは,粒子半径aの2乗および内相外相の密度差に比例し,外相の粘度ηに反比例するというものである。クリーミングを抑制するためには粒子を小さくすることがもっとも効果的であり,次いで比重差を小さくする,連続相の粘度を大きくすることも効果的である。」(464頁左欄12~24行) (18)甲18 甲18には以下の記載がある。 甲18a)「2.2 乳化物の安定性 乳化物の不安定化プロセスとしては,クリーミング,凝集,合一,オストワルド熟成がある。 クリーミングは分散相と連続相の比重差により,分散相の粒子が浮上または沈降する現象である。浮上および沈降の速度を求める式としてストークスの式が知られている。 V=2gr2Δρ/9η(ストークスの式) ここで,V:粒子の移動速度,g:重力加速度,r:分散相粒子の半径,Δρ:分散相と連続相の密度差,η:連続相の粘度である。この式から,分散相粒子の半径は速度に2乗で寄与するため,粒子径を小さくすることが非常に有効であることがわかる。 次に,凝集は複数の粒子がぶどうの房状に寄り集まる現象で,クリーミング速度の上昇や合一につながる。イオン性界面活性剤による静電反発の利用,親水基の長い非イオン界面活性剤によるエントロピー反発の利用が有効である。 合一は複数の粒子が接触して粒子径の大きな新たな粒子を形成する現象である。連続相の粘度を高めて接触を防ぐことや,会合体を界面に吸着させることにより接触した場合でも合一しないようにする方法が有効である。」(137頁左欄1~19行) 甲18b)「有機変性粘土鉱物による乳化法には,水に分散して増粘する性質を有する粘土鉱物(モンモリロナイトなど)にカチオン性界面活性剤を吸着させて得られる有機変性粘土鉱物を用いる。有機変性粘土鉱物は水に分散する性質が失われ,油に分散して増粘する性質を有している。有機変性粘土鉱物によって調製されたオイルゲルに適切な界面活性剤を加え,続いて水を加えて乳化粒子として保持することでW/Oエマルジョンが得られる。」(137頁右欄11~17行) (19)甲19 甲19には以下の記載がある。 甲19a)「しかし,W/O乳化はO/W乳化に比べて安定化が難しいとされている1),2)。安定性を維持するための技術的手段として,外相を構築する油分をゲル化させ離漿を防止するとともに,水滴を不動化し,粒子同士の衝突頻度を低下させる方法が研究されている3)~5)。有機変性粘土鉱物を用いたW/O乳化の調製方法は山口らにより考案された6)。」(19頁左欄4~10行) (20)甲20 甲20には以下の記載がある。 甲20a)「デキストリンに長鎖脂肪酸をエステル結合した化合物のうち,脂肪酸置換度が単糖単位当たり1以上であるものは,油をゲル化する性質がある。化粧品においては増粘・ゲル化目的での使用はもちろんのこと,乳化系の安定化や感触改良のためにも用いられている。」(73頁左欄2~6行) 甲20b)「これらのデキストリン脂肪酸エステルは,常温で粉末状であり,油のゲル化能のほか,感触改良効果,乳化系の安定化,顔料の分散性向上,ワックス類の改質などの機能を有している。」(74頁右欄13~16行) 甲20c)「3・4 ゲル化以外の機能 ゲル化以外の機能として乳化安定化,顔料分散,ワックス類改質などの機能がある。 シクロメチコンなどの揮発性シリコーンを多量に配合したW/Oクリームにおいて,経時的な油の分離が見られる場合,外層の油に糖脂肪酸エステルを加え増粘させることで,乳化系を安定化することができる。」(76頁左欄下から6行~右欄1行) 甲20d)「4・2 W/Sクリームファンデーションヘの応用 環状シリコーンリッチなW/O型リキッドファンデーションに糖脂肪酸エステルを配合すると,系の分離抑制効果がある。糖脂肪酸エステルは外相を増粘して内水相同士の凝集・融合を防ぎ,系を安定化させる。」(77頁左欄12~16行) (21)甲21 甲21には以下の記載がある。 甲21a)「【0003】しかしながら、油中水型乳化化粧料は水中油型のものに比べて安定性が悪く、一般的には安定化のために多量の乳化剤を使用したり、また内水相の量を増やして増粘を行うなどして、安定化が図られてきた。ところが、このようにして安定化を図ると、エマルジョンが固くなり、使用感の悪いごわついたものとなってしまう。ここで、使用感を改善するために多価アルコールを添加することも考えられるが、安定性が極端に悪化するという問題があった。」 (22)甲22 甲22には以下の記載がある。 甲22a)「【0023】多価アルコールとは3個以上の水酸基を有するアルコールをいうこととする。水酸基が3個未満である場合にはエマルションの安定性が得られないため不適である。例えばグリセリン、ジグリセリン、ソルビタン、ソルビトール、マルチトール等である。」 甲22b)「【0045】(実施例3)実施例2と同様の方法で、表2に示す処方のW/Oエマルションを作成し、実施例2と同様の方法でエマルションの安定性を評価した。結果は表2に示す通りであった。多価アルコールの種類により得られるエマルションの安定性が大きく変わり、1分子内に3個以上の水酸基を有する多価アルコールを使用したときに優れた安定性を示した。 【0046】 【表2】 [図:0001415292000011.jpg] 」 (23)甲1’ 甲1’には以下の記載がある。 甲1’a)「【請求項1】 次の成分(A)~(D): (A)親油性の界面活性剤として、縮合リシノレイン酸ポリグリセリル及び/又はHLB値が7未満であるポリグリセリン脂肪酸エステルが0.5~5.0重量% (B)親水性の界面活性剤として、HLB値が12以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルが(B)/(A)の配合割合(重量比)で1/20~1/5 (C)グリセリン及び/又は水酸基価から算出した平均重合度2~10のポリグリセリンが1.0~10.0重量% (D)水が60.0~90.0重量% を配合してなる油中水型乳化化粧料。」 甲1’b)「【0004】 【発明が解決しようとする課題】 そこで本発明者らは、上記の事情に鑑み、界面活性剤として、ポリオキシアルキレン誘導体を使用せず、ポリグリセリン脂肪酸エステルのみを用いて多量の水を安定に配合した高内相の油中水型乳化化粧料であり、油中水型でありながら油性感が殆どなく、さっぱりとしたみずみずしい感触で使用感が良好で、かつ低温域から高温域の幅広い温度領域において温度安定性に優れた性能を示す油中水型乳化化粧料を得ることを目的とした。」 甲1’c)「【0016】 発明の効果を損なわない範囲で通常の化粧料に使用される成分、例えば、各種ビタミン、アミノ酸、生薬、消炎剤、細胞賦活剤、無機塩類及び有機塩類、グリセリン及びポリグリセリン以外のポリオール類、アルコール類、防腐剤、香料等を適宜配合することができる。」 甲1’d)「【0019】 実施例1~8、比較例1~11 表1、2記載の組成物を調製し、以下の評価方法によりした。その結果を表1、2に示す。 ・・・ 3)安定性 実施例、比較例で調製した組成物を0℃、50℃の恒温槽に放置後の状態を目視にて観察し、以下の評価基準を基に評価した。 (評価基準) ◎:2ヶ月間状態変化なし ○:1ヶ月間状態変化なし ×:1ヶ月以内に分離、離水、離油等の状態変化が起こる 【0021】 【表1】 [図:0001415292000012.jpg] 」 甲1’e)「【0024】 実施例9 (スキンケアクリーム) 以下に示す処方のスキンケアクリームを常法により調製した。 (重量%) ジイソステアリン酸ジグリセリル 2.00 トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 7.00 スクワラン 5.00 モノイソステアリン酸デカグリセリル 0.15 ジグリセリン 5.00 ヒアルロン酸ナトリウム 0.04 精製水 80.81 実施例9は、エモリエント性及び安定性に優れ、使用感の良好なスキンケアクリームであった。」 (24)甲2’ 甲2’には以下の記載がある。 甲2’a)「【0014】(B)水溶性有効成分は、・・・ヒアルロン酸ナトリウム、・・・アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体等の水溶性ビタミン類、・・・等の植物抽出エキス、・・・が挙げられる。」 (25)甲3’ 甲3’には以下の記載がある。 甲3’a)「【請求項2】 さらに成分(E)水溶性有効成分を含む、請求項1に記載の美容オイル。 【請求項3】 請求項2に記載の成分(E)が、コラーゲン若しくはその誘導体、マルトース・ショ糖縮合物、ヒアルロン酸若しくはその誘導体、大豆タンパク分解物、アスコルビン酸若しくはその誘導体、コンフリー葉エキス、アマチャヅルエキス、オタネニンジンエキス、ビルベリー葉エキス、ニコチン酸若しくはその誘導体、グルコシルヘスペリジン、チガヤ根エキス、ポリクオタニウム類、加水分解エラスチン、アルテミアエキス、クリサンテルムインジクムエキス、ライムギ種子エキス、ウメ果実エキス、エーデルワイスエキス、ポリアミン、ヒドロキシエチルウレア、ツボクサエキス、褐藻エキス、紅藻エキス、緑藻エキス、グルコン酸、グリチルリチン酸若しくはその塩、アセチルファルネシルシステイン、グレープフルーツ果実エキス、ラミナリアオクロロイカエキス、フィチン酸、グリコール酸、オトギリソウエキス、メリアアザジラクタ葉エキス、フユボダイジュ花エキス、リンゴエキス、ムクロジエキス、ブドウ種子エキス、マルトデキストリン、ワイルドタイムエキス、白金、マヨラナ葉エキス、コレウスバルバツス根エキス、セイヨウオオバコ種子エキス、シロキクラゲ多糖体、グルコシルトレハロース、アスパラギン酸若しくはその塩、アラニン、アルギニン、グリシン、システイン、セリン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、ロイシン、イソロイシン、リシン、トレオニン、ペプチド類、イザヨイバラエキス、およびメマツヨイグサ種子エキスから選ばれる1種又は2種以上を含む、請求項1又は2に記載の美容オイル。」 甲3’b)「【0014】 本発明に用いられる成分(E)の水溶性成分とは、例えば、糖類、アミノ酸類、動植物抽出液、水溶性高分子、有機酸、低級アルコール、多価アルコール、水溶性ビタミン等が例示されるが、これら例示に限定されるものではない。好ましくは、コラーゲン又はその誘導体、マルトース・ショ糖縮合物、ヒアルロン酸又はその誘導体、大豆タンパク分解物、およびアスコルビン酸又はその誘導体である。」 (26)甲4’ 甲4’には以下の記載がある。 甲4’a)「【請求項1】 下記の成分を含有してなる油中水型乳化組成物 (A)美白剤 (B)HLB2~7のポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーン及び/またはHLB2~7のポリグリセリン・アルキル共変性シリコーンから選ばれる一種または二種以上の界面活性剤 【請求項2】 (A)がアスコルビン酸、その誘導体又は塩、トラネキサム酸、その誘導体又は塩から選ばれる1種又は2種以上である請求項1記載の油中水型乳化組成物」 (27)甲5’ 甲5’には以下の記載がある。 甲5’a)「【請求項1】 下記の成分を含有してなる油中水型乳化組成物 (A)抗炎症剤 (B)HLB2~7のポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーン及び/またはHLB2~7のポリグリセリン・アルキル共変性シリコーンから選ばれる一種または二種以上の界面活性剤 【請求項2】 (A)がグリチルリチン酸、グリチルレチン酸、又はこれらの薬学的に許容される誘導体又は塩の1種又は2種以上である請求項1記載の油中水型乳化組成物」 (28)甲6’ 甲6’には以下の記載がある。 甲6’a)「【請求項1】 下記成分(A)、(B)、(C)、(D)を含み、さらに下記(1)~(3)の条件を満たすことを特徴とする油中水型乳化皮膚化粧料。 成分: (A)イソステアリン酸グリセリン及び/又はオレイン酸グリセリン (B)水性成分 (C)油性成分 (D)美白薬剤から選ばれる一種又は二種以上 条件: (1)成分(B)の水性成分の質量を成分(B)の水性成分と成分(C)の油性成分の質量の和で除することで得られる内水相比が68%以上である。 (2)成分(A)中に含まれるモノイソステアリン酸グリセリン及びモノオレイン酸グリセリンの量が(A)の総量に対して85質量%以上である。 (3)成分(D)の配合量が皮膚化粧料全量に対して0.001~5.0質量%である。 ・・・ 【請求項7】 成分(D)がトラネキサム酸、4-メトキシサリチル酸カリウム塩、アスコルビン酸グルコシド、アスコルビン酸エチルから選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の油中水型乳化皮膚化粧料。」 (29)甲7’ 甲7’には以下の記載がある。 甲7’a)「【請求項1】 油中水型乳化化粧料の全質量を基準として、 0.5~15質量%のシリコーン系界面活性剤(A)、 0.5~20質量%の油剤(B)、 0.01~3質量%の油ゲル化剤(C)、 0.05~3質量%のカルボキシルエチルセルロース(D)、及び 59~98質量%の水(E) を含む油中水型乳化化粧料。」 甲7’b)「【0020】 <油ゲル化剤(C)> 油ゲル化剤(C)としては、脂肪酸デキストリン等のアシル化糖類、脂肪酸カルシウム塩等の金属石鹸類、ジアルキル燐酸アルミ等のリン酸金属塩類、1,2-ヒドロキシステアリン酸等のひまし油誘導体、ジベンジリデンソルビトール等のソルビトール誘導体、アシル化グルタミン酸等のアミノ酸誘導体、有機変性されたベントナイト等のモンモリロナイト鉱物などが挙げられる。特に、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン等の脂肪酸デキストリン、及び有機変性モンモリロナイトが、良好な安定性及び使用感の点から好ましく、そしてパルミチン酸デキストリンが、より良好な安定性の点からより好ましい。」 (30)甲8’ 甲8’には以下の記載がある。 甲8’a)「【請求項1】 次の成分(A)、(B)、(C)、(D): (A)シリコーン系界面活性剤、 (B)油剤、 (C)油ゲル化剤、 (D)水溶性高分子増粘剤、 及び(E)水 61~98質量%を含有する油中水型乳化化粧料。」 甲8’b)「【0027】 成分(C)の油ゲル化剤としては、脂肪酸デキストリン等のアシル化糖類、脂肪酸カルシウム塩等の金属石鹸類、ジアルキル燐酸アルミ等のリン酸金属塩類、12-ヒドロキシステアリン酸等のひまし油誘導体、ジベンジリデンソルビトール等のソルビトール誘導体、アシル化グルタミン酸等のアミノ酸誘導体、有機変性されたベントナイト等のモンモリロナイト鉱物などが挙げられる。特に、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン等の脂肪酸デキストリン、有機変性モンモリロナイトが、安定性、使用感が良好な点から好ましく、更に、パルミチン酸デキストリンが、一層安定性が良好な点から好ましい。」 (31)甲9’ 甲9’には以下の記載がある。 甲9’a)「【請求項1】 次の(a)~(b)成分: (a)パーフルオロポリエーテルアルキルリン酸及びその塩、パーフルオロポリエーテルアルキル硫酸及びその塩、パーフルオロポリエーテルアルキルカルボン酸及びその塩から選択される、分子量が300以上であるパーフルオロポリエーテル基を有する化合物で表面を処理した粉体 (b)抱水性油剤 を含有することを特徴とした油中水型化粧料。 ・・・ 【請求項3】 更に(c)成分として有機変性粘土鉱物、煙霧状シリカ、多糖類脂肪酸エステル、ワックス、ロウ類、金属石鹸、架橋型シリコーン化合物、高重合度シリコーンから選ばれる一種又は二種以上である油ゲル化剤を含有する請求項1又は2記載の油中水型化粧料。」 甲9’b)「【0004】 ・・・また、更に特定の油ゲル化剤を含有することにより、安定性と化粧効果の持続性がより向上することを見出し本発明を完成させた。」 甲9’c)「【0024】 本発明に使用される(c)成分の油ゲル化剤としては、油剤に溶解、分散又は膨潤することにより、増粘又はゲルを形成させるものであればいずれでもよく、例えば有機変性ベントナイト等の有機変性粘土鉱物、煙霧状シリカ、蔗糖脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル、バクモンドウ脂肪酸エステル等の多糖類脂肪酸エステル、トリベヘン酸グリセリルエステル、ミツロウ、シリコーンワックス等のワックス、ロウ類、金属石鹸、架橋型シリコーン、高重合度シリコーン等が挙げられ、これらを必要に応じて一種又は二種以上組み合わせて用いることができる。これらの中で、安定性の観点から、有機変性粘土鉱物、多糖類脂肪酸エステル、架橋型シリコーンが特に好ましい。」 2 取消理由通知で通知された取消理由について (1)理由1(明確性)について ア 理由1(1)について 本件訂正により請求項1の「(E)モノアルコール及び/又は多価アルコール」は、「(E)多価アルコール」とされ、「(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上」であるとされたから、包含される物の範囲は明確となった。 また、成分(A)、(B)及び(D)について、本件明細書及び訂正された特許請求の範囲に例示又は特定されている化合物に、成分(E)に該当するものはない。 さらに、本件明細書の【0066】~【0081】の試験例1~4には、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルによって、高内相W/O型乳化組成物の乳化状態が安定化されることが示されている。 請求項2~10について、「(E)モノアルコール及び/又は多価アルコール」は、「(E)多価アルコール」とされ、さらに、請求項2、3及び6~10は、「(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上」であるとされ、請求項4及び5は、「(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、及びジプロピレングリコールからなる群から選ばれた1種又は2種以上」であるとされたから、請求項1と同様である。 したがって、理由1(1)で指摘した点において明確でないとする理由はない。 イ 理由1(2)について 本件訂正によって請求項6の「親油性」との記載は削除され、請求項1~10において、ポリグリセリン脂肪酸エステルについて親油度の指標となるHLBを用いて、「HLB4以下」であることが特定されたから、理由1(2)で指摘した点において明確でないとする理由はない。 ウ まとめ 以上のとおりであるから、理由1は理由がない。 (2)理由2(新規性)及び理由3(進歩性)について ア 甲1~12及び甲1’~甲9’並びにその記載事項 甲1~12及び甲1’~甲9’並びにその記載事項は上記1に記載したとおりである。 イ 引用発明 (ア)甲1発明 甲1には、親油性ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機変性モンモリロナイトからなる油中水型乳化組成物についての記載があるところ(摘記甲1a~甲1e)、具体例である実施例7として美白クリームの記載があり、当該クリームの安定性が良好であると評価されたことが記載されている(摘記甲1c~甲1e)。 したがって、甲1には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載され ていると認める。 「以下の実施例7の処方の、安定性が良好な美白クリームである油中水型乳化組成物。 実施例7:美白クリーム (処方) 油相 重量% 有機変性モンモリロナイト 1.0 デカメチルシクロペンタシロキサン 8.0 架橋型メチルポリシロキサン 5.0 トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 1.5 スクワラン 1.0 ホホバオイル 1.3 酢酸トコフェロール 0.2 デカイソステアリン酸デカグリセリル 3.0 水相 メチルパラベン 0.2 変性エタノール 2.0 グリセリン 10.0 1,3-ブチレングリコール 3.0 水溶性多糖類 2.0 ポリエチレングリコール 0.5 アスコルビン酸マグネシウム 3.0 エデト酸ナトリウム 0.1 クエン酸ソーダ 0.5 精製水 残部」 (イ)甲2発明 甲2には、4-アルキルレゾルシノールを含む油中水乳化組成物であって、該乳化組成物の油相は極性油を主成分として含む、油中水乳化組成物についての記載があるところ(摘記甲2a~甲2e)、具体例である実施例4、6及び7として油中水乳化組成物の記載があり、当該組成物の安定性が高いことが記載されている(摘記甲2c及び甲2d)。 したがって、甲2には、以下の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認める。 「以下の実施例4、6及び7の処方の、安定性が高い油中水乳化組成物。 [図:0001415292000013.jpg] (単位:質量%)」 (ウ)甲3発明 甲3には、(A)所定のポリオキシアルキレン変性シリコーン、(B)油剤、(C)アスコルビン酸及び/又は水溶性アスコルビン酸誘導体 0.1~10質量%並びに(D)水相成分を含有し、且つ、成分(C)と(D)の合計配合量が85質量%以上であることを特徴とする油中水型乳化化粧料についての記載があるところ(摘記甲3a~甲3d)、具体例である実施例10としてジェルファンデーションの記載があり、当該ジェルファンデーションの経時安定性が良好であることが記載されている(摘記甲3c及び甲3d)。 したがって、甲3には、以下の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認める。 「以下の、実施例10の処方の、経時安定性が良好なジェルファンデーションである油中水型乳化化粧料。 実施例10:ジェルファンデーション (成分) (%) 1.デカメチルシクロペンタシロキサン 8.5 2.架橋型メチルポリシロキサン 0.5 3.ジイソステアリン酸ジグリセリル 1.0 4.シリコーン処理酸化チタン(注1) 2.0 5.シリコーン処理ベンガラ(注1) 0.05 6.シリコーン処理黄酸化鉄(注1) 0.15 7.シリコーン処理黒酸化鉄(注1) 0.01 8.シリコーン処理タルク(注1) 0.5 9.ポリオキシアルキレン変性シリコーン(注2) 2.0 10.L-アスコルビン酸リン酸マグネシウム 2.0 11.エタノール 10.0 13.1,3-ブチレングリコール 5.0 14.パラオキシ安息香酸メチル 0.1 15.精製水 68.19 注1:メチルポリシロキサン2%処理 注2:X-22-4991(信越化学工業社製)」 (エ)甲4発明 甲4には、(a)所定の高分子ポリエーテル変性シリコーンの一種または二種以上と、(b)常温で液体であり、HLB4以下であるショ糖脂肪酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステルから選択される一種または二種以上と、(c)シリコーン系油分と、(d)無機塩および/または有機塩の一種または二種以上を含有することを特徴とする油中水型乳化組成物についての記載があるところ(摘記甲4a~甲4e)、具体例である実施例10~12として保湿クリームの記載があり、当該クリームの安定性が良好であることが記載されている(摘記甲4e)。 なお、実施例における処方の数値は、摘記甲4eの【0035】の記載からみて、質量%であるといえる。 したがって、甲4には、以下の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認める。 「以下の実施例10~12の処方の、安定性が良好な保湿クリームである油中水型乳化組成物。 ──────────────────────────── 実施例 10 11 12 ──────────────────────────── デカメチルシクロペンタシロキサン 10.0 15.0 5.0 オクタン酸セチル 5.0 5.0 5.0 ショ糖パルミチン酸エステル 1.0 - 2.0 デカグリセリンオレイン酸エステル 1.0 1.5 2.0 高分子ポリエーテル変性シリコーン*3 1.0 1.5 0.1 精製水 残部 残部 残部 グリセリン 5.0 5.0 5.0 ビタミンC誘導体 0.1 0.1 0.1 L-グルタミン酸ソーダ 2.0 2.0 2.0 *3:平均分子量55000 (各成分についての数値は質量%である。)」 (オ)甲1’発明 甲1’には、(A)親油性の界面活性剤として、縮合リシノレイン酸ポリグリセリル及び/又はHLB値が7未満であるポリグリセリン脂肪酸エステルを0.5~5.0重量%、(B)親水性の界面活性剤として、HLB値が12以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルを(B)/(A)の配合割合(重量比)で1/20~1/5、(C)グリセリン及び/又は水酸基価から算出した平均重合度2~10のポリグリセリンを1.0~10.0重量%、(D)水を60.0~90.0重量%を配合してなる油中水型乳化化粧料についての記載があるところ(摘記甲1’a~甲1’e)、具体例である実施例9としてスキンケアクリームの記載があり、当該クリームが安定性に優れることが記載されている(摘記甲1’e)。 したがって、甲1’には、以下の発明(以下「甲1’発明」という。)が記載されていると認める。 「以下の実施例9の処方の、安定性に優れるスキンケアクリームである油中水型乳化化粧料。 実施例9 (スキンケアクリーム) (重量%) ジイソステアリン酸ジグリセリル 2.00 トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 7.00 スクワラン 5.00 モノイソステアリン酸デカグリセリル 0.15 ジグリセリン 5.00 ヒアルロン酸ナトリウム 0.04 精製水 80.81」 ウ 対比・判断 (ア)本件発明1について i 甲1発明について 本件発明1と甲1発明を対比する。 甲1発明は「油中水型乳化組成物」であり、その水相は79重量%であると計算される(100重量%―油相の成分の合計の重量%(=21重量%))から、甲1発明は、本件発明1の「水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物」である「高内相W/O型乳化組成物」に相当する(なお、本件明細書の【0002】に「一般に、乳化剤と油と水とを含む乳化組成物であって、分散相の割合が高いものは高内相乳化組成物と呼ばれている」と記載され、【0023】に「本発明に係る高内相W/O型乳化組成物は、水相からなる分散相の占める割合が70質量%以上99質量%以下であることが好ましく」との記載があるから、本件発明1で特定される「水相の占める割合が74質量%以上である」「W/O型乳化組成物」であれば「高内相W/O型乳化組成物」であるといえる。)。 甲1発明の「デカイソステアリン酸デカグリセリル」は、本件発明1の「ポリグリセリン脂肪酸エステル」に相当し、甲2にも記載される(摘記甲2b)とおり、ポリグリセリン脂肪酸エステルが界面活性剤として用いられることは周知であるから、本件発明1の「(A)乳化剤」に相当する。そして、甲1発明の「デカイソステアリン酸デカグリセリル」のHLBについて、甲6及び甲7には、それぞれ、「2.4」及び「2~4」と記載されている(摘記甲6a及び甲7a)から、「4以下」である。 甲1発明の「デカメチルシクロペンタシロキサン」、「トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル」、「スクワラン」及び「ホホバオイル」は、本件発明1の「(B)油」に相当する。 甲1発明の「精製水」は、本件発明1の「(C)水」に相当する。 甲1発明の「アスコルビン酸マグネシウム」は、本件発明1の「(D)水溶性有効成分」であって、「(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、ヒアルロン酸及び/又はその塩、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上」であることに相当する。また、甲1発明における「アスコルビン酸マグネシウム」の含有量が「3.0重量%」であることは、本件発明1の「(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.02質量%以上5.0質量%以下」であることに相当する。 甲1発明の「1,3-ブチレングリコール」は、本件発明1の「(E)多価アルコール」であって、「(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上」であることに相当する。 してみると、本件発明1と甲1発明とは、 「(A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分と、(E)多価アルコールとを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤はHLB4以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、前記(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、ヒアルロン酸及び/又はその塩、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.02質量%以上5.0質量%以下であり、前記(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上である高内相W/O型乳化組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1-甲1-1> (E)多価アルコールについて、本件発明1は、「(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下であり」と特定しているのに対し、甲1発明は、「1,3-ブチレングリコール」の含有量が「3.0重量%」である点。 <相違点1-甲1-2> 本件発明1は、「前記組成物は、前記(E)多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されている」と特定しているのに対し、甲1発明はそのような特定がされていない点。 そして、少なくとも相違点1-甲1-1は実質的な相違点であるから、本件発明1は甲1に記載された発明であるとはいえない。 相違点1-甲1-1について検討する。 甲1には、多価アルコール及び糖の配合量について、「多価アルコール及び糖の、水相中における好適な比率は10重量%~90重量%である」との記載、多価アルコール及び糖として、ジプロピレングリコール及び1,3-ブチレングリコール等が例示されているが(摘記甲1b)、甲1発明は、グリセリンを全組成物中に10.0重量%、1,3-ブチレングリコールを3.0重量%、水溶性多糖類を2.0重量%及びポリエチレングリコールを0.5重量%含有するものであって、上記の記載から、特に1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコールに着目して、その含有量を8質量%以上40質量%以下とする動機付けがあるとはいえない。 したがって、相違点1-甲1-1に係る技術的事項は当業者が容易に想到し得た事項であるとはいえない。 そして、本件発明1は、相違点1-甲1-1を含む技術的事項を備えるものとすることによって、乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを使用した高内相W/O型乳化組成物に、水溶性有効成分を配合しても乳化状態が安定に維持されるという効果を奏するものである(【0020】、【0066】~【0081】の試験例1~4等)。 してみると、相違点1-甲1-2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ii 甲2発明について 本件発明1と甲2発明を対比する。 甲2発明は「油中水乳化組成物」である。また、甲2発明において「C」に分類されている水からクエン酸ナトリウムまでの成分は、それらの物質からみて、全て水相を構成する成分であるといえるところ、合計量は80.1質量%と計算される。したがって、上記iで述べたことも考慮すれば、甲2発明は、本件発明1の「水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって」、「高内相W/O型乳化組成物」であることに相当する。 甲2発明の「トリオレイン酸ポリグリセリル-5」について、甲2には、界面活性剤であることが記載されているから(摘記甲2d、【0049】)、本件発明1の「(A)乳化剤」である「ポリグリセリン脂肪酸エステル」に相当する。 甲2発明の「エチルヘキサン酸セチル」、「トリエチルヘキサノイン」、「セバシン酸イソプロピル」及び「メトキシケイ皮酸エチルヘキシル」は、本件発明1の「(B)油」に相当する。 甲2発明の「水」は、本件発明1の「(C)水」に相当する。 甲2発明の「アスコルビン酸-2-グルコシド」は、本件発明1の「(D)水溶性有効成分」であって、「(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、ヒアルロン酸及び/又はその塩、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上」であることに相当する。また、甲2発明における「アスコルビン酸-2-グルコシド」の含有量が「2質量%」であることは、本件発明1の「(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.02質量%以上5.0質量%以下」であることに相当する。 甲2発明の「BG」(1,3-ブチレングリコール)は、本件発明1の「(E)多価アルコール」であって、「(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上」であることに相当する。 してみると、本件発明1と甲2発明とは、 「(A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分と、(E)多価アルコールとを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤はポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、前記(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、ヒアルロン酸及び/又はその塩、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.02質量%以上5.0質量%以下であり、前記(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上である高内相W/O型乳化組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1-甲2-1> (A)乳化剤について、本件発明1は、「HLB4以下」と特定されているのに対し、甲2発明の「トリオレイン酸ポリグリセリル-5」のHLBについて、甲8に、「7.1」と記載されている(摘記甲8a)から、「HLB4以下」ではない点。 <相違点1-甲2-2> (E)多価アルコールについて、本件発明1は、「(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下であり」と特定しているのに対し、甲2発明は、「BG」(1,3-ブチレングリコール)の含有量が「5.0質量%」である点。 <相違点1-甲2-3> 本件発明1は、「前記組成物は、前記(E)多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されている」と特定しているのに対し、甲2発明はそのような特定がされていない点。 そして、少なくとも相違点1-甲2-1及び相違点1-甲2-2は実質的な相違点であるから、本件発明1は甲2に記載された発明であるとはいえない。 相違点1-甲2-2について検討する。 甲2には、甲2発明のBGの配合量を変えることについてについて何ら記載も示唆もされていないから、甲2の記載に基づいて、その含有量を8質量%以上40質量%以下とする動機付けがあるとはいえない。 したがって、相違点1-甲2-2に係る技術的事項は当業者が容易に想到し得た事項であるとはいえない。 そして、本件発明1は、相違点1-甲2-2を含む技術的事項を備えるものとすることによって、乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを使用した高内相W/O型乳化組成物に、水溶性有効成分を配合しても乳化状態が安定に維持されるという効果を奏するものである(【0020】、【0066】~【0081】の試験例1~4等)。 してみると、相違点1-甲2-1及び相違点1-甲2-3について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 iii 甲3発明について 本件発明1と、甲3発明を対比する。 甲3発明は「油中水型乳化化粧料」である。また、甲3発明の「L-アスコルビン酸リン酸マグネシウム」、「エタノール」、「1,3-ブチレングリコール」及び「精製水」は、それらの物質からみて、全て水相を構成する成分であるといえるところ、合計量は85.19%と計算される。ここで、甲3発明の「%」は、甲3の請求項の記載(摘記甲3a)からみて、「質量%」であると認める。したがって、上記iで述べたことも考慮すれば、甲3発明は、本件発明1の「水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって」、「高内相W/O型乳化組成物」であることに相当する。 上記iで述べたことを踏まえれば、甲3発明の「ジイソステアリン酸ジグリセリル」は、本件発明1の「(A)乳化剤」である「ポリグリセリン脂肪酸エステル」に相当する。また、甲3発明の「ジイソステアリン酸ジグリセリル」のHLBについて、甲9及び甲10には、それぞれ、「3.2」及び「3.7」と記載されている(摘記甲9a及び甲10a)から、「デカイソステアリン酸デカグリセリル」のHLBは「4以下」である。 甲3発明の「デカメチルシクロペンタシロキサン」及び「ポリオキシアルキレン変性シリコーン」は、本件発明1の「(B)油」に相当する。 甲3発明の「精製水」は、本件発明1の「(C)水」に相当する。 甲3発明の「L-アスコルビン酸リン酸マグネシウム」は、本件発明1の「(D)水溶性有効成分」であって、「(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、ヒアルロン酸及び/又はその塩、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上」であることに相当する。また、甲3発明における「L-アスコルビン酸リン酸マグネシウム」の含有量が「2.0%」であることは、本件発明1の「(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.02質量%以上5.0質量%以下」であることに相当する。 甲3発明の「1,3-ブチレングリコール」は、本件発明1の「(E)多価アルコール」であって、「(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上」であることに相当する。 してみると、本件発明1と甲3発明とは、 「(A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分と、(E)多価アルコールとを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤はHLB4以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、前記(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、ヒアルロン酸及び/又はその塩、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.02質量%以上5.0質量%以下であり、前記(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上である高内相W/O型乳化組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1-甲3-1> (E)多価アルコールについて、本件発明1は、「(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下であり」と特定しているのに対し、甲3発明は、「1,3-ブチレングリコール」の含有量が「5.0%」である点。 <相違点1-甲3-2> 本件発明1は、「前記組成物は、前記(E)多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されている」と特定しているのに対し、甲3発明はそのような特定がされていない点。 そして、少なくとも相違点1-甲3-1は実質的な相違点であるから、本件発明1は甲3に記載された発明であるとはいえない。 相違点1-甲3-1について検討する。 甲3には、1,3-ブチレングリコールが含まれる成分(D)の水相成分について、0.1~10質量%配合するとされる(C)アスコルビン酸及び/又は水溶性アスコルビン酸誘導体との合計配合量が85質量%以上であること(摘記甲3a、請求項1)、成分(D)の水相成分として配合可能な保湿成分として、ジプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルが例示されているが(摘記甲3b)、水相成分として水、エタノール、1,3-ブチレングリコール等を含有する甲3発明について、これらの記載から、特に1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルに着目して、その含有量を8質量%以上40質量%以下とする動機付けがあるとはいえない。 また、甲5には、本件発明1の(D)成分に相当する成分に関し、(A)酸性ムコ多糖類、(B)親油性ソルビタン系界面活性剤及び(C)親水性非イオン界面活性剤を含有し、水相成分量が80質量%以上であることを特徴とする油中水型乳化組成物が記載され、配合することができる薬効成分としてグリチルリチン酸ジカリウム、アロエ抽出物等が記載されている(摘記甲5a~甲5g)ものの、かかる甲5の記載をみても上記の動機付けがあるとはいえない。 したがって、相違点1-甲3-1に係る技術的事項は当業者が容易に想到し得た事項であるとはいえない。 そして、本件発明1は、相違点1-甲3-1を含む技術的事項を備えるものとすることによって、乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを使用した高内相W/O型乳化組成物に、水溶性有効成分を配合しても乳化状態が安定に維持されるという効果を奏するものである(【0020】、【0066】~【0081】の試験例1~4等)。 してみると、相違点1-甲3-2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲3及び甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 iv 甲4発明について 本件発明1と甲4発明を対比する。 甲4発明は「油中水型乳化組成物」である。また、甲4発明の「精製水」、「グリセリン」、「ビタミンC誘導体」及び「L-グルタミン酸ソーダ」は、それらの物質からみて、全て水相を構成する成分であるといえるところ、実施例10~12におけるそれらの合計量はそれぞれ、82.0、77.0及び85.9質量%と計算される(100質量%―油相を構成する成分(上記以外の成分)の合計の重量%(=18.0、23.0及び14.1質量%))。したがって、上記iで述べたことも考慮すれば、甲4発明は、本件発明1の「水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって」、「高内相W/O型乳化組成物」であることに相当する。 上記iで述べたことを踏まえれば、甲4発明の「デカグリセリンオレイン酸エステル」は、本件発明1の「(A)乳化剤」である「ポリグリセリン脂肪酸エステル」に相当する。 甲4発明の「デカメチルシクロペンタシロキサン」及び「オクタン酸セチル」は、本件発明1の「(B)油」に相当する。 甲4発明の「精製水」は、本件発明1の「(C)水」に相当する。 甲4発明の「ビタミンC誘導体」は、本件発明1の「(D)水溶性有効成分」であって、「(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、ヒアルロン酸及び/又はその塩、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上」であることに相当する。また、甲4発明における「ビタミンC誘導体」の含有量が「0.1質量%」であることは、本件発明1の「(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.02質量%以上5.0質量%以下」であることに相当する。 甲4発明の「グリセリン」は、本件発明1の「(E)多価アルコール」に相当する。 してみると、本件発明1と甲4発明とは、 「(A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分と、(E)多価アルコールとを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤はポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、前記(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、ヒアルロン酸及び/又はその塩、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.02質量%以上5.0質量%以下である高内相W/O型乳化組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1-甲4-1> (A)乳化剤について、本件発明1は、「HLB4以下」と特定されているのに対し、甲4発明の「デカグリセリンオレイン酸エステル」のHLBについて、甲11及び甲12に、「12.0」及び「12.9」と記載されている(摘記甲11a及び甲12a)から、「HLB4以下」ではない点。 <相違点1-甲4-2> (E)多価アルコールについて、本件発明1は、「前記(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、該(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下であり」と特定しているのに対し、甲4発明は、「グリセリン」である点。 <相違点1-甲4-3> 本件発明1は、「前記組成物は、前記(E)多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されている」と特定しているのに対し、甲4発明はそのような特定がされていない点。 そして、少なくとも相違点1-甲4-1及び相違点1-甲4-2は実質的な相違点であるから、本件発明1は甲4に記載された発明であるとはいえない。 相違点1-甲4-2について検討する。 甲4には、「本発明の水中油型乳化組成物には本発明の効果を損なわない範囲で多価アルコールや保湿剤を配合することにより保湿効果を高めることができる」と記載され、多価アルコールの例として、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等が例示されている(摘記甲4d)ものの、これらの記載から、多価アルコールとしてグリセリンを含有する甲4発明について、グリセリンに変えて、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上を含有するものとした上で、その含有量を8質量%以上40質量%以下とする動機付けがあるとはいえない。 したがって、相違点1-甲4-2に係る技術的事項は当業者が容易に想到し得た事項であるとはいえない。 そして、本件発明1は、相違点1-甲4-2を含む技術的事項を備えるものとすることによって、乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを使用した高内相W/O型乳化組成物に、水溶性有効成分を配合しても乳化状態が安定に維持されるという効果を奏するものである(【0020】、【0066】~【0081】の試験例1~4等)。 してみると、相違点1-甲4-1及び相違点1-甲4-3について検討するまでもなく、本件発明1は、甲4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 v 甲1’発明について 本件発明1と甲1’発明を対比する。 甲1’発明は「油中水型乳化化粧料」である。また、甲1’発明の「精製水」、「ジグリセリン」及び「ヒアルロン酸ナトリウム」は、それらの物質からみて、全て水相を構成する成分であるといえるところ、合計量は85.85重量%と計算される。したがって、上記iで述べたことも考慮すれば、甲1’発明は、本件発明1の「水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって」、「高内相W/O型乳化組成物」であることに相当する。 上記iで述べたことを踏まえれば、甲1’発明の「ジイソステアリン酸ジグリセリル」及び「モノイソステアリン酸デカグリセリル」は、本件発明1の「(A)乳化剤」である「ポリグリセリン脂肪酸エステル」に相当する。また、甲1’発明の「ジイソステアリン酸ジグリセリル」のHLBについて、甲1’には、「3.2」と記載されている(摘記甲1’d)から、「4以下」である。 甲1’発明の「スクワラン」及び「トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル」は、本件発明1の「(B)油」に相当する。 甲1’発明の「精製水」は、本件発明1の「(C)水」に相当する。 甲1’発明の「ヒアルロン酸ナトリウム」は、本件発明1の「(D)水溶性有効成分」であって、「(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、ヒアルロン酸及び/又はその塩、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上」であることに相当する。また、甲1’発明における「ヒアルロン酸ナトリウム」の含有量が「0.04重量%」であることは、本件発明1の「(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.02質量%以上5.0質量%以下」であることに相当する。 甲1’発明の「ジグリセリン」は、本件発明1の「(E)多価アルコール」に相当する。 してみると、本件発明1と甲1’発明とは、 「(A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分と、(E)多価アルコールとを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤はHLB4以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、前記(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、ヒアルロン酸及び/又はその塩、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.02質量%以上5.0質量%以下である高内相W/O型乳化組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1-甲1’-1> (E)多価アルコールについて、本件発明1は、「前記(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、該(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下であり」と特定しているのに対し、甲1’発明は、「ジグリセリン」である点。 <相違点1-甲1’-2> 本件発明1は、「前記組成物は、前記(E)多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されている」と特定しているのに対し、甲1’発明はそのような特定がされていない点。 そして、少なくとも相違点1-甲1’-1は実質的な相違点であるから、本件発明1は甲1’に記載された発明であるとはいえない。 相違点1-甲1’-1について検討する。 甲1’には、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上である多価アルコールを含有するものとすること、その含有量を8質量%以上40質量%以下とすることについては何ら記載も示唆もない。 したがって、相違点1-甲1’-1に係る技術的事項は当業者が容易に想到し得た事項であるとはいえない。 そして、本件発明1は、相違点1-甲1’-1を含む技術的事項を備えるものとすることによって、乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを使用した高内相W/O型乳化組成物に、水溶性有効成分を配合しても乳化状態が安定に維持されるという効果を奏するものである(【0020】、【0066】~【0081】の試験例1~4等)。 してみると、相違点1-甲1’-2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1’に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 vi まとめ したがって、本件発明1は、甲1~甲4及び甲1’に記載された発明であるとはいえず、甲1~甲5及び甲1’に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (イ)本件発明2について 本件発明2は、「高内相W/O型乳化組成物」に係るものであって、本件発明1とは、「(D)水溶性有効成分」について、その選択肢が「微生物発酵産物、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上」であり(すなわち、選択肢に「ヒアルロン酸及び/又はその塩」がない。)、その乾燥固形分換算での含有量の範囲が「0.01質量%以上5.0質量%以下」である点でのみ異なるものである。 これらの点を踏まえて検討する。 i 甲1発明について 上記(ア)iで検討したとおり、甲1発明は、「(D)水溶性有効成分」に相当する成分として「アスコルビン酸マグネシウム」を含み、その含有量は「3.0重量%」であって、本件発明2で特定される「0.01質量%以上5.0質量%以下」の範囲内にある。 したがって、本件発明2と甲1発明とは、 「(A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分と、(E)多価アルコールとを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤はHLB4以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、前記(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.01質量%以上5.0質量%以下であり、前記(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上である高内相W/O型乳化組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点2-甲1-1> (E)多価アルコールについて、本件発明2は、「(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下であり」と特定しているのに対し、甲1発明は、「1,3-ブチレングリコール」の含有量が「3.0重量%」である点。 <相違点2-甲1-2> 本件発明2は、「前記組成物は、前記(E)多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されている」と特定しているのに対し、甲1発明はそのような特定がされていない点。 そして、相違点2-甲1-1及び相違点2-甲1-2は、それぞれ、相違点1-甲1-1及び相違点1-甲1-2と同様の相違点であるから、上記(ア)iで述べたのと同様に、本件発明2は、甲1に記載された発明であるとはいえず、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ii 甲2発明について 上記(ア)iiで検討したとおり、甲2発明は、「(D)水溶性有効成分」に相当する成分として「アスコルビン酸-2-グルコシド」を含み、その含有量は「2質量%」であって、本件発明2で特定される「0.01質量%以上5.0質量%以下」の範囲内にある。 したがって、本件発明2と甲2発明とは、 「(A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分と、(E)多価アルコールとを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤はポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、前記(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.01質量%以上5.0質量%以下であり、前記(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上である高内相W/O型乳化組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点2-甲2-1> (A)乳化剤について、本件発明2は、「HLB4以下」と特定されているのに対し、甲2発明の「トリオレイン酸ポリグリセリル-5」のHLBについて、甲8に、「7.1」と記載されている(摘記甲8a)から、「HLB4以下」ではない点。 <相違点2-甲2-2> (E)多価アルコールについて、本件発明2は、「(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下であり」と特定しているのに対し、甲2発明は、「BG」(1,3-ブチレングリコール)の含有量が「5.0質量%」である点。 <相違点2-甲2-3> 本件発明2は、「前記組成物は、前記(E)多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されている」と特定しているのに対し、甲2発明はそのような特定がされていない点。 そして、相違点2-甲2-1~相違点2-甲2-3は、それぞれ、相違点1-甲2-1~相違点1-甲2-3と同様の相違点であるから、上記(ア)iiで述べたのと同様に、本件発明2は、甲2に記載された発明であるとはいえず、甲2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 iii 甲3発明について 上記(ア)iiiで検討したとおり、甲3発明は、「(D)水溶性有効成分」に相当する成分として「L-アスコルビン酸リン酸マグネシウム」を含み、その含有量は「2.0%」であって、本件発明2で特定される「0.01質量%以上5.0質量%以下」の範囲内にある。 したがって、本件発明2と甲3発明とは、 「(A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分と、(E)多価アルコールとを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤はHLB4以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、前記(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.01質量%以上5.0質量%以下であり、前記(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上である高内相W/O型乳化組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点2-甲3-1> (E)多価アルコールについて、本件発明2は、「(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下であり」と特定しているのに対し、甲3発明は、「1,3-ブチレングリコール」の含有量が「5.0%」である点。 <相違点2-甲3-2> 本件発明2は、「前記組成物は、前記(E)多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されている」と特定しているのに対し、甲3発明はそのような特定がされていない点。 そして、相違点2-甲3-1及び相違点2-甲3-2は、それぞれ、相違点1-甲3-1及び相違点1-甲3-2と同様の相違点であるから、上記(ア)iiiで述べたのと同様に、本件発明2は、甲3に記載された発明であるとはいえず、甲3及び甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 iv 甲4発明について 上記(ア)ivで検討したとおり、甲4発明は、「(D)水溶性有効成分」に相当する成分として「ビタミンC誘導体」を含み、その含有量は「0.1質量%」であって、本件発明2で特定される「0.01質量%以上5.0質量%以下」の範囲内にある。 したがって、本件発明2と甲4発明とは、 「(A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分と、(E)多価アルコールとを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤はポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、前記(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.01質量%以上5.0質量%以下である高内相W/O型乳化組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点2-甲4-1> (A)乳化剤について、本件発明2は、「HLB4以下」と特定されているのに対し、甲4発明の「デカグリセリンオレイン酸エステル」のHLBについて、甲11及び甲12に、「12.0」及び「12.9」と記載されている(摘記甲11a及び甲12a)から、「HLB4以下」ではない点。 <相違点2-甲4-2> (E)多価アルコールについて、本件発明2は、「前記(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、該(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下であり」と特定しているのに対し、甲4発明は、「グリセリン」である点。 <相違点2-甲4-3> 本件発明2は、「前記組成物は、前記(E)多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されている」と特定しているのに対し、甲4発明はそのような特定がされていない点。 そして、相違点2-甲4-1~相違点2-甲4-3は、それぞれ、相違点1-甲4-1~相違点1-甲4-3と同様の相違点であるから、上記(ア)ivで述べたのと同様に、本件発明2は、甲4に記載された発明であるとはいえず、甲4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 v 甲1’発明について 本件発明2と甲1’発明とは、 「(A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分と、(E)多価アルコールとを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤はHLB4以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含む高内相W/O型乳化組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点2-甲1’-1> (E)多価アルコールについて、本件発明2は、「前記(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、該(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下であり」と特定しているのに対し、甲1’発明は、「ジグリセリン」である点。 <相違点2-甲1’-2> 本件発明2は、「前記組成物は、前記(E)多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されている」と特定しているのに対し、甲1’発明はそのような特定がされていない点。 <相違点2-甲1’-3> (D)水溶性有効成分について、本件発明2は、「(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.01質量%以上5.0質量%以下である」と特定しているのに対し、甲1’発明は、水溶性有効成分として含むのが「ヒアルロン酸ナトリウム」であり、微生物発酵産物、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上を含まない点。 そして、相違点2-甲1’-1及び相違点2-甲1’-2は、それぞれ、相違点1-甲1’-1及び相違点1-甲1’-2と同様の相違点である。また、甲2’~甲6’には、油中水型化粧料において、抗炎症剤等としてグリチルリチン酸、その誘導体、その塩を配合すること、美白成分等としてアスコルビン酸、その誘導体、その塩等を配合することが記載されている(摘記甲2’a~甲6’a)に過ぎず、かかる記載を参酌しても、相違点2-甲1’-1に係る多価アルコールとその含有量についての技術的事項を採用することは当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。 なお、甲2’の【0016】に化粧料に1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコールを0.1~20重量%配合することが、甲4’の【0043】及び甲5’の【0043】に1,3-ブチレングリコールを15.0%含有する油中水型乳化組成物であるファンデーションが記載されているが、いずれも、所定の組成物に関する記載であり、これらの記載を参酌しても、相違点2-甲1’-1に係る多価アルコールとその含有量についての技術的事項を採用することは当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。 したがって、相違点2-甲1’-2及び相違点2-甲1’-3について検討するまでもなく、上記(ア)vで述べたのと同様に、本件発明2は、甲1’~甲6’に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 vi まとめ したがって、本件発明2は、甲1~甲4に記載された発明であるとはいえず、甲1~甲5及び甲1’~甲6’に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (ウ)本件発明3について 本件発明3は、「高内相W/O型乳化組成物」に係るものであって、本件発明1とは、「(D)水溶性有効成分」が「微生物発酵産物」のみである点でのみ異なるもの、すなわち、本件発明1について(D)水溶性有効成分がより限定されたものである。 してみると、本件発明1が、甲1~甲4及び甲1’に記載された発明であるとはいえず、甲1~甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本件発明3は、甲1~甲4及び甲1’に記載された発明であるとはいえず、甲1~甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 また、甲2’~甲6’の記載については、上記(イ)vで述べたとおりであるから、本件発明1と同様に、本件発明3は、甲1’~甲6’に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (エ)本件発明4について 本件発明4は、「高内相W/O型乳化組成物」に係るものであって、本件発明1とは、「(E)多価アルコール」について、その選択肢が「1,3-ブチレングリコール、及びジプロピレングリコールからなる群から選ばれた1種又は2種以上」(すなわち、選択肢に「ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル」がない。)である点でのみ異なるもの、すなわち、本件発明1について(E)多価アルコールがより限定されたものである。 してみると、本件発明1が、甲1~甲3に記載された発明であるとはいえず、甲1~甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本件発明4は、甲1~甲3に記載された発明であるとはいえず、甲1~甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (オ)本件発明5について 本件発明5は、「高内相W/O型乳化組成物」に係るものであって、本件発明1とは、「(D)水溶性有効成分」が「微生物発酵産物」のみである点、及び「(E)多価アルコール」について、その選択肢が「1,3-ブチレングリコール、及びジプロピレングリコールからなる群から選ばれた1種又は2種以上」(すなわち、選択肢に「ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル」がない。)である点で異なるもの、すなわち、本件発明1について(D)水溶性有効成分及び(E)多価アルコールがより限定されたものである。 してみると、本件発明1が、甲1~甲4及び甲1’に記載された発明であるとはいえず、甲1~甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本件発明5は、甲1~甲4及び甲1’に記載された発明であるとはいえず、甲1~甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 また、甲2’~甲6’の記載については、上記(イ)vで述べたとおりであるから、本件発明1と同様に、本件発明5は、甲1’~甲6’に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (カ)本件発明6について 本件発明6は、「高内相W/O型乳化組成物」に係るものであって、本件発明1とは、「(A)乳化剤」である「HLB4以下のポリグリセリン脂肪酸エステル」について、「不飽和脂肪酸及び/又は分岐脂肪酸を残基に有する」ものである点で異なるもの、すなわち、本件発明1について(A)乳化剤がより限定されたものである。 してみると、本件発明1が、甲1~甲3に記載された発明であるとはいえず、甲1~甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本件発明6は、甲1~甲3に記載された発明であるとはいえず、甲1~甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 また、甲2’~甲6’の記載については、上記(イ)vで述べたとおりであるから、本件発明1と同様に、本件発明6は、甲1’~甲6’に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (キ)本件発明7について 本件発明7は、「高内相W/O型乳化組成物」に係るものであって、本件発明1とは、「(A)乳化剤」である「HLB4以下のポリグリセリン脂肪酸エステル」について、「HLB4以下であり、且つ、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル及びペンタオレイン酸ポリグリセリルからなる群から選ばれた1種又は2種以上」である点で異なるもの、すなわち、本件発明1について(A)乳化剤がより限定されたものである。 してみると、本件発明1が、甲1~甲4及び甲1’に記載された発明であるとはいえず、甲1~甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本件発明7は、甲1~甲4及び甲1’に記載された発明であるとはいえず、甲1~甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 また、甲2’~甲6’の記載については、上記(イ)vで述べたとおりであるから、本件発明1と同様に、本件発明7は、甲1’~甲6’に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (ク)本件発明8について 本件発明8は、「高内相W/O型乳化組成物」に係るものであって、本件発明1の「高内相W/O型乳化組成物」が、さらに「油ゲル化剤」を含むこと、及び(E)多価アルコールのみで組成物の乳化状態が安定化されているのではなく、「(E)多価アルコール及び前記油ゲル化剤を含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されている」点で異なるもの、すなわち、本件発明1について高内相W/O型乳化組成物がより限定されたものである。 してみると、本件発明1が、甲1~甲4に記載された発明であるとはいえず、甲1~甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本件発明8は、甲1~甲4に記載された発明であるとはいえず、甲1~甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 また、甲7’~甲9’には、油ゲル化剤等について記載されている(摘記甲7’a~甲9’c)に過ぎず、かかる記載を参酌しても、相違点1-甲1’-1(本件発明8と甲1’発明との対比においても相違点1-甲1’-1と同じ相違点がある。)に係る多価アルコールとその含有量についての技術的事項を採用することは当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。そして、甲2’~甲6’の記載については、上記(イ)vで述べたのと同様である。したがって、本件発明1と同様に、本件発明8は、甲1’~甲9’に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (ケ)本件発明9について 本件発明9は、「高内相W/O型乳化組成物」に係るものであって、本件発明1の「高内相W/O型乳化組成物」が、「化粧料の形態である」点で異なるもの、すなわち、本件発明1について高内相W/O型乳化組成物がより限定されたものである。 してみると、本件発明1が、甲1、甲3、甲4及び甲1’に記載された発明であるとはいえず、甲1~甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本件発明9は、甲1、甲3、甲4及び甲1’に記載された発明であるとはいえず、甲1~甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 また、甲2’~甲9’の記載については、上記(イ)v及び(ク)で述べたとおりであるから、本件発明1と同様に、本件発明9は、甲1’~甲9’に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (コ)本件発明10について 本件発明10は、本件発明1の「高内相W/O型乳化組成物」を含む化粧料に係るものであるから、本件発明1について高内相W/O型乳化組成物がより限定されたものであるといえる。 してみると、本件発明1が、甲1、甲3、甲4及び甲1’に記載された発明であるとはいえず、甲1~甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本件発明10は、甲1、甲3、甲4及び甲1’に記載された発明であるとはいえず、甲1~甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 また、甲2’~甲9’の記載については、上記(イ)v及び(ク)で述べたとおりであるから、本件発明1と同様に、本件発明10は、甲1’~甲9’に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 エ まとめ 以上のとおりであるから、理由2及び理由3は理由がない。 3 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について (1)申立理由1-1(新規性)について ア 申立理由1-1は、甲1~甲4のそれぞれを主引用例とするものであるところ、そのうち甲2を主引用例とした訂正前の請求項9及び10についての理由以外は、取消理由通知において理由2として採用した理由である。 イ 甲2を主引用例とした訂正前の請求項9及び10についての理由について検討する。 上記2(2)ウ(ア)iiで述べたとおり、本件発明1は甲2に記載された発明であるとはいえず、同(ケ)及び(コ)で述べたとおり、本件発明9及び本件発明10は、本件発明1がより限定されたものであることから、本件発明9及び本件発明10は甲2に記載された発明であるとはいえない。 ウ したがって、申立理由1-1は理由がない。 (2)申立理由1-2(進歩性)について ア 申立理由1-2は、甲1~甲5のそれぞれを主引用例とするものであるところ、そのうち、甲1を主引用例として甲5を副引用例とする理由(下記イで検討する。)、及び甲5を主引用例とする理由(下記ウで検討する。)以外は、取消理由通知において理由3として採用した理由である(なお、甲6~甲14は各種エステルのHLBが記載されていることを示す証拠である。)。 イ 甲1を主引用例とし、甲5の記載から、甲1発明の「アスコルビン酸マグネシウム」に代えて、又はそれと共に「グリチルリチン酸ジカリウム」又は「生薬抽出物」、すなわち植物抽出物を配合することは容易であるという理由は、取消理由通知で採用しなかったものである。 この理由について検討すると、上記2(2)ウ(ア)iで述べたとおりであり、甲5にグリチルリチン酸ジカリウム、生薬抽出物等の記載があることを踏まえても、多価アルコールの含有量についての相違点1-甲1-1に係る技術的事項を採用することが当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。 したがって、本件発明1~10は甲1及び甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ウ 甲5を主引用例とする理由は取消理由で採用しなかったものであり、以下に検討する。 (ア)甲5の記載事項 上記1(5)に示したとおりである。 (イ)甲5発明 甲5には、(A)酸性ムコ多糖類、(B)親油性ソルビタン系界面活性剤及び(C)親水性非イオン界面活性剤を含有し、水相成分量が80質量%以上であることを特徴とする油中水型乳化組成物についての記載があるところ(摘記甲5a~甲5g)、具体例である実施例71として化粧用クリームの記載がある(摘記甲5g)。 したがって、甲5には、以下の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されていると認める。 「以下の実施例71の処方の化粧用クリーム。 [図:0001415292000014.jpg] 」 (ウ)対比・判断 i 本件発明1について 本件発明1と甲5発明を対比する。 甲5発明の化粧用クリームは「油中水型乳化組成物」であり(摘記甲5a)、その水相は80.00重量%であるから、甲5発明は、本件発明1の「水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物」である「高内相W/O型乳化組成物」に相当する(「高内相W/O型乳化組成物」については、上記2(2)ウ(ア)iで述べたとおり。)。 甲5発明の「モノステアリン酸グリセリル」及び「トリステアリン酸POE(20)ソルビタン」は、摘記甲5cの記載からみて、「非イオン界面活性剤」であるから、本件発明1の「(A)乳化剤」に相当する。 甲5発明の「スクワラン」、「パルミチン酸」、「セトステアリルアルコール」、「フィトステロール」及び「ミリスチン酸ミリスチル」は、本件発明1の「(B)油」に相当する。 甲5発明の「精製水」は、本件発明1の「(C)水」に相当する。 甲5発明の「アロエエキス」は、本件発明1の「(D)水溶性有効成分」であって、「(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、ヒアルロン酸及び/又はその塩、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上」であることに相当する。また、甲5発明における「アロエエキス」の含有量が「0.20重量%」であることは、本件発明1の「(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.02質量%以上5.0質量%以下」であることに相当する。 甲5発明の「グリセリン」は、本件発明1の「(E)多価アルコール」に相当する。 してみると、本件発明1と甲5発明とは、 「(A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分と、(E)多価アルコールとを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、ヒアルロン酸及び/又はその塩、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.02質量%以上5.0質量%以下である高内相W/O型乳化組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1-甲5-1> (A)乳化剤について、本件発明1は、「前記(A)乳化剤はHLB4以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含み」と特定しているのに対し、甲5発明は、「モノステアリン酸グリセリル」及び「トリステアリン酸POE(20)ソルビタン」である点。 <相違点1-甲5-2> (E)多価アルコールについて、本件発明1は、「(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、該(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下であり」と特定しているのに対し、甲5発明は、「グリセリン」である点。 <相違点1-甲5-3> 本件発明1は、「前記組成物は、前記(E)多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されている」と特定しているのに対し、甲5発明はそのような特定がされていない点。 相違点1-甲5-2について検討する。 甲5には、保湿剤として、1,3-ブチレングリコール、グリセリン等を配合することができること、水相成分の量は、80~95質量%、好ましくは80~90質量%であることが記載されている(摘記甲5e)ものの、かかる記載から、特に1,3-ブチレングリコールに着目して、その含有量を8質量%以上40質量%以下とする動機付けがあるとはいえない。 したがって、相違点1-甲5-2に係る技術的事項は当業者が容易に想到し得た事項であるとはいえない。 そして、本件発明1は、相違点1-甲5-2を含む技術的事項を備えるものとすることによって、乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを使用した高内相W/O型乳化組成物に、水溶性有効成分を配合しても乳化状態が安定に維持されるという効果を奏するものである(【0020】、【0066】~【0081】の試験例1~4等)。 してみると、相違点1-甲5-1及び相違点1-甲5-3について検討するまでもなく、本件発明1は、甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ii 本件発明2について 本件発明2は、「高内相W/O型乳化組成物」に係るものであって、本件発明1との関係は、上記2(2)ウ(イ)で述べたとおりであることを踏まえて検討する。 上記iで検討したとおり、甲5発明は、「(D)水溶性有効成分」に相当する成分として「アロエエキス」を含み、その含有量は「0.20重量%」であって、本件発明2で特定される「0.01質量%以上5.0質量%以下」の範囲内にある。 したがって、本件発明2と甲5発明とは、 「(A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分と、(E)多価アルコールとを含み、水相の占める割合が74質量%以上であるW/O型乳化組成物であって前記(D)水溶性有効成分が、微生物発酵産物、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体からなる群から選ばれた1種又は2種以上であって、該(D)水溶性有効成分の含有量が乾燥固形分換算で0.01質量%以上5.0質量%以下である高内相W/O型乳化組成物。」 <相違点2-甲5-1> (A)乳化剤について、本件発明2は、「前記(A)乳化剤はHLB4以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含み」と特定しているのに対し、甲5発明は、「モノステアリン酸グリセリル」及び「トリステアリン酸POE(20)ソルビタン」である点。 <相違点2-甲5-2> (E)多価アルコールについて、本件発明2は、「(E)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、該(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下であり」と特定しているのに対し、甲5発明は、「グリセリン」である点。 <相違点2-甲5-3> 本件発明2は、「前記組成物は、前記(E)多価アルコールを含むことにより、該組成物の乳化状態が安定化されている」と特定しているのに対し、甲5発明はそのような特定がされていない点。 そして、相違点2-甲5-1~相違点2-甲5-3は、それぞれ、相違点1-甲5-1~相違点1-甲5-3と同様の相違点であるから、上記iで述べたのと同様に、本件発明2は、甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 iii 本件発明3~7、9及び10について 上記2(2)ウ(ウ)~(キ)、(ケ)及び(コ)で述べたとおり、本件発明3~7、9及び10は、いずれも本件発明1がより限定されたものであるといえるから、本件発明1が甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 iv 本件発明8について 上記2(2)ウ(ク)で述べたとおり、本件発明8は、本件発明1がより限定されたものである。 申立理由1-2は、訂正前の請求項8に係る発明について、甲19及び甲20に、油をゲル化することに関する記載がある(摘記甲19a及び甲20a~甲20d)ことから、かかる技術的事項を甲5発明に適用するのが容易であることを根拠に進歩性を否定する理由である。しかし、甲19及び甲20の記載を参酌しても、(E)多価アルコールの種類及び含有量についての上記相違点1-甲5-2に係る技術的事項を採用することは当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。 したがって、本件発明1が甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本件発明8は、甲5、甲19及び甲20に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 エ したがって、申立理由1-2は理由がない。 (3)申立理由1-3(サポート要件)について ア 判断の前提 特許請求の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 イ 発明の詳細な説明の記載 発明の詳細な説明には、以下の記載がある。 本a)「【技術分野】 【0001】 本発明は、化粧料等への応用に適した乳化組成物に関し、より詳細には、油相に水相が分散してなるW/O型乳化組成物に関する。 【背景技術】 【0002】 一般に、乳化剤と油と水とを含む乳化組成物であって、分散相の割合が高いものは高内相乳化組成物と呼ばれている(特許文献1参照)。高内相乳化組成物のメリットとしては、油相に水相が分散してなるW/O型の乳化化粧料として、さっぱりとした使用感と高い保湿効果の両立が得られる点が挙げられる。一方、そのデメリットとしては、乳化状態を維持するのが難しく、経時安定性が低いことが挙げられる。 ・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 本発明者らの研究によると、高内相W/O型乳化組成物に乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを使用すると、みずみずしさやしっとり感の使用感に優れていた。しかしながら、これに更に、乳酸菌発酵エキス等の水溶性有効成分を配合しようとした場合、水溶性有効成分を配合しない場合に比べて、乳化状態の安定性が悪くなるという問題があった。 【0005】 そこで、本発明の目的は、乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを使用し、乳酸菌発酵エキス等の水溶性有効成分を配合する場合であっても、乳化状態を安定に維持することができるようにした、高内相W/O型乳化組成物及びこれを利用した化粧料を提供することにある。」 本b)「【0007】 すなわち、本発明の第1は、(A)乳化剤と、(B)油と、(C)水と、(D)水溶性有効成分とを含み、水相の占める割合が70質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤はポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、前記組成物は、更に(E)モノアルコール及び/又は多価アルコールを含むことを特徴とする高内相W/O型乳化組成物を提供するものである。 【0008】 本発明に係る高内相W/O型乳化組成物によれば、乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを使用しているので、みずみずしさやしっとり感の使用感に優れている。そして、水溶性有効成分を配合しても、モノアルコール及び/又は多価アルコールを含むことにより、高内相W/O型の乳化状態が安定に維持される。」 本c)「【発明の効果】 【0020】 本発明に係る高内相W/O型乳化組成物によれば、乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを使用したので、みずみずしさやしっとり感のある使用感に優れている。そして、モノアルコール及び/又は多価アルコールを含むことにより、水溶性有効成分を配合しても、高内相W/O型の乳化状態が安定に維持される。よって、これにより、乳化状態の安定性に支障のない、優れたW/O型乳化化粧料を提供することができる。そして、優れた使用感と、水溶性有効成分による作用効果の両立を企図した化粧料を提供することができる。」 本d)「【0022】 ここで、一般に乳化組成物の乳化状態として、油相中に水相が分散してなるW/O型の乳化状態を形成しているかどうかは、当業者に周知の方法により、例えば、試験管に入れた水に乳化物を滴下し、分散しなければW/O型の乳化状態であると判定することができる(希釈法)。また、例えば、乳化物にテスターの電極部分を接触させ電気伝導度を測定することによりW/O型の乳化状態であることを確認することができる(電気伝導度法)。更に、例えば、水溶性または油溶性色素を添加し、顕微鏡像によりW/O型の乳化状態であることを確認することができる(色素法)。 【0023】 本発明に係る高内相W/O型乳化組成物は、水相からなる分散相の占める割合が70質量%以上99質量%以下であることが好ましく、74質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、74質量%以上90質量%以下であることが最も好ましい。水相からなる分散相の占める割合が上記範囲未満であると、例えば、さっぱりとした使用感や高い保湿効果等、高内相W/O型乳化組成物に特徴的な性質が得られなくなる場合があるので好ましくない。」 本e)「【0024】 成分(A)の乳化剤としては、少なくともポリグリセリン脂肪酸エステルを用いる。乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを使用すると、高内相W/O型乳化組成物に特徴的な性質とともに、みずみずしさやしっとり感の使用感に優れている。なお、ここで乳化剤とは、水と油を乳化させる機能性を有する物質一般を指し、例えば、界面活性剤と称される場合であっても、そのような機能性を有する限り、本発明の乳化剤として使用可能である。 【0025】 本発明に用いるポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、一般に化粧料等に使用可能なものであればよく、特に制限はない。例えば、そのグリセリン構成部におけるグリセリンの平均重合度が1~10、より好ましくは5~10であってよい。また、例えば、その脂肪酸エステル構成部における脂肪酸の炭素数が10~24、より好ましくは18~22であってよい。更に、例えば、そのグリセリン構成部におけるグリセリン単位(モノグリセリン)当たりの、その脂肪酸エステル構成部における脂肪酸の分子数が、0.3以上、より典型的には0.5以上であってよい。 【0026】 更に、皮膚と化粧料の親和性の観点からは、ポリグリセリン脂肪酸エステルは親油性のものを用いることが好ましく、その場合、親油度の指標となるHLB値としては、8以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましい。HLB(Hydrophile-Lipophile Balance)値は、乳化剤を構成する分子の親油度/親水度のバランスによって算出される数値であり、乳化剤の性質を示す指標として当業者に周知の指標である(例えば、野々村美宗著「化粧品 医薬部外品 医薬品のための界面化学基礎から応用まで」発行所:フレグランスジャーナル社、出版日:平成27年10月10日、第35-38頁参照)。また、市場に流通する乳化剤の多くは、その乳化剤に固有のHLB値とともに流通している。よって、そのような流通過程の表示に基づいて、上記HLB値が好ましいかどうかの判断をなし得る。 【0027】 更に、高内相W/O型乳化組成物の安定性の観点からは、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、不飽和脂肪酸及び/又は分岐脂肪酸を残基に有するものであることが好ましい。この場合、不飽和脂肪酸としては、ポリリシノレイン酸、オレイン酸、ヒドロキシステアリン酸、パルミトオレイン酸、エルカ酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、マカダミアナッツ脂肪酸等が挙げられる。分岐脂肪酸としては、イソステアリン酸、ネオペンタン酸等が挙げられる。その不飽和脂肪酸及び/又は分岐脂肪酸としては、ポリグリセリン脂肪酸エステルの1分子中に単一種類を有するものであってもよく、複数種類を有するものであってもよい。すなわち、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、その脂肪酸エステル構成部における脂肪酸として、不飽和脂肪酸及び分岐脂肪酸からなる群から選ばれた1種又は2種以上の残基を有するものであることが好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルは、不飽和脂肪酸及び分岐脂肪酸からなる群から選ばれた1種又は2種以上の残基を有するものであって、直鎖状飽和脂肪酸のみを残基に有するものではないことがより好ましく、不飽和脂肪酸及び分岐脂肪酸からなる群から選ばれた1種又は2種以上の残基のみを有するものであることが更により好ましい。 【0028】 本発明に用いるポリグリセリン脂肪酸エステルを、更に具体的に例示するとすれば、例えば、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-5、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-6、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-2、オレイン酸ポリグリセリル-3、オレイン酸ポリグリセリル-4、トリオレイン酸ポリグリセリル -10、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10、ヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-10、デカマカダミアナッツ脂肪酸ポリグリセリル-10、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10等が挙げられる。 【0029】 成分(A)の乳化剤として、上記したポリグリセリン脂肪酸エステルは、その1種類のものを単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。 ・・・ 【0033】 成分(A)の含有量(乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルに属するもの以外のものを含む場合には、ポリグリセリン脂肪酸エステルに属するものと、それ以外のものとの合計量として)としては、成分(B)~(E)の配合量や他の原料の配合量との関係もあり、また、用いる乳化剤の種類によっても一概ではないが、典型的には、例えば、組成物全量中に0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5.0質量%以下であることがより好ましい。この範囲を外れると、安定な高内相W/O型乳化組成物を調製できなくなる場合があるので好ましくない。また、上記したポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量としては、典型的には、例えば、組成物全量中に0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5.0質量%以下であることがより好ましい。上記範囲未満であると、安定な高内相W/O型乳化組成物を調製できなくなる場合があるので好ましくない。また、上記範囲を超えると、みずみずしさやしっとり感を呈する使用感を得る効果が得られない場合があるので好ましくない。」 本f)「【0034】 成分(B)の油としては、一般に化粧料等に使用可能な油を適宜選択して使用すればよく、特に制限はないが、例えば、高内相W/O型乳化組成物を調製する観点からは、その調製温度(例えば80℃)で液体状となる油を用いることが好ましい。また、低粘で肌に塗布しやすい乳化液体状の化粧料とする観点からは、常温(25℃)で液体状となる油を用いることが好ましい。 【0035】 具体的には、例えば、脂肪酸類とアルコール類とをエステル結合してなるエステル油である。エステル油としては、例えば、2-エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、オレイン酸2-オクチルドデシル、ジ2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリイソステアリン酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、2-エチルヘキサン酸ジグリセリド、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル等が挙げられる。低粘性及び安定性の観点からは、2-エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル等が好ましい。 【0036】 また、例えば、炭化水素系の非エステル油である。非エステル油としては、例えば、ミネラルオイル(流動パラフィン)、スクワラン、スクワレン、セレシン等が挙げられる。低粘性及び安定性の観点からは、ミネラルオイル、スクワラン等が好ましい。 【0037】 また、例えば、シリコーン系のシリコーン油である。シリコーン油としては、例えば、ジフェニルシロキシトリメチコン、ジメチコン(ジメチルポリシロキサン)、フェニルトリメチコン、シクロペンタンシロキサン等が挙げられる。メイクなじみや、2種以上の油を使用する場合の他の油相成分との相溶性の観点からは、ジフェニルシロキシトリメチコン、シクロペンタンシロキサン等が好ましい。 【0038】 また、例えば、植物油である。植物油としては、例えば、ホホバ油、オリーブ油、マカダミアナッツ油、ツバキ油、アボガド油、ローズヒップ油、ククイナッツ油、ヘーゼルナッツ油、メドウフォーム油等が挙げられる。安定性の観点からは、マカダミアナッツ油、メドウフォーム油等が好ましい。 【0039】 成分(B)の油として、上記した油は、その1種類のものを単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。 【0040】 成分(B)の油としては、高内相W/O型乳化組成物を調製する温度(例えば80℃)で液体状となる油、もしくは常温(25℃)で液体状となる油に属するもの以外にも、他の油を適宜併用してもよい。他の油としては、一般に化粧料等に使用可能な乳化剤を適宜選択して使用すればよいが、例えば、化粧料の使用感を調整するとの観点から、例えば、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)などの半固形油や、ステアリン酸バチル、ベヘニルアルコール、蜜蝋、コレステロールなどの固形油等が挙げられる。 【0041】 上記した他の油は、成分(B)の油として、その1種類のものを単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。 【0042】 ただし、高内相W/O型乳化組成物の調製温度(例えば80℃)で液体状のものを用いる観点、もしくは低粘で肌に塗布しやすい乳化液体状の化粧料とする観点からは、成分(B)の油の全量中に、上記した他の油の含有量は、含まない、または0質量%超50質量%以下であることが好ましく、含まない、または0質量%超25質量%以下であることがより好ましく、含まない、または0質量%超10質量%以下であることが更により好ましい。また、場合によっては、含まれないことが最も好ましい。 【0043】 成分(B)の含有量(上記した他の油を含む場合や2種類以上の油を含む場合には、それらの合計量として)としては、成分(A)、及び(C)~(E)の配合量や他の原料の配合量との関係もあり、また、用いる油の種類によっても一概ではないが、典型的には、例えば、組成物全量中に0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以上25質量%以下であることがより好ましい。上記範囲を超えると、水相からなる分散相の占有比を維持し難くなる場合がある。また、上記範囲未満であると、W/O型の乳化状態を維持し難くなる場合がある。」 本g)「【0044】 成分(C)の水としては、例えば、精製水、蒸留水、イオン交換水、RO水、滅菌処理水等、一般に化粧料等に使用可能なものを適宜用いればよく、特に制限はない。 【0045】 成分(C)の含有量としては、成分(A)、(B)、(D)、及び(E)の配合量や他の原料の配合量との関係等によっても一概ではないが、典型的には、例えば、組成物全量中に20質量%以上96質量%以下であることが好ましく、30質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、30%質量%以上90質量%以下が特に好ましい。上記範囲未満であると、水相からなる分散相の占有比を維持し難くなる場合がある。また、上記範囲を超えると、W/O型の乳化状態を維持し難くなる場合がある。」 本h)「【0046】 成分(D)の水溶性有効成分としては、一般に化粧料等に使用可能な水溶性有効成分を適宜選択して使用すればよく、特に制限はない。例えば、下記に示すような水溶性有効成分が好ましく例示される。・・・ 【0047】 (微生物発酵産物) 一般に化粧料等に配合される成分を乳酸菌(ビフィズス菌を含む)や酵母で発酵させた培養物、培養上清、その培養物及び/又は培養上清から水もしくは含水アルコール等により抽出した抽出物等が挙げられる。例えば、特公平02-040643号公報に記載されているような乳酸菌/牛乳発酵液、特許第4512265号公報に記載されているような乳酸菌/牛乳発酵液、特許第3795011号公報に記載されているような乳酸桿菌/アロエベラ発酵液、特許第3184114号公報に記載されているような豆乳/ビフィズス菌発酵液、特開2017-212894号公報に記載されているような乳成分含有培地の乳酸菌培養物をクリベロマイセス・マキシアヌスで発酵させた培養物、WO2016/117489公報に記載されているような乳成分含有培地の乳酸菌培養物をウィッカーハモマイセス・ピジュペリで発酵させた培養物等が挙げられる。微生物発酵産物は、これに含まれるアミノ酸等の成分が、皮膚に対して保湿作用などの有効性を与える物質として化粧料に用いられる。 【0048】 (ヒアルロン酸及び/又はその塩) 微生物の発酵物やニワトリのトサカから抽出した抽出物等が挙げられる。具体的には、例えば、特公平4-6356号公報に記載されているようなグルコース含有培地をストレプトコッカスで発酵させた培養物等が挙げられる。ヒアルロン酸及び/又はその塩は、皮膚に対して保湿作用の有効性や良好な使用感を与える物質として化粧料に用いられる。 【0049】 (植物抽出物) 昆布、ワカメ、モズク等の海藻類、チンピ、ヨモギ、エイジツ、ゲットウ、サクラ、シャクヤク、ツボクサ、ボダイジュ、特開2002-179581号公報又は特開2014-2184677号公報に記載されているような水丁香等の植物類を、水もしくはアルコール等により抽出した抽出物等が挙げられる。植物抽出物は、これに含まれるフラボノイド、ポリフェノール等の成分が、皮膚に対して保湿作用、抗酸化作用等の有効性を与える物質として化粧料に用いられる。 【0050】 (グリチルリチン酸及び/又はその塩) カンゾウから抽出した物質に対して、酸加水分解を行って得られたもの等が挙げられる。グリチルリチン酸及び/又はその塩としては、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸アンモニウム等が挙げられる。グリチルリチン酸及び/又はその塩は、皮膚に対して抗炎症作用等の有効性を与える物質として化粧料に用いられる。 【0051】 (アスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体) グルコースや発酵で得られた物質を原料にして、合成により得られた物質を結晶析出したもの、更にこれを合成や発酵により化学修飾した誘導体等が挙げられる。アスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、リン酸アスコルビルマグネシウム、アスコルビン酸硫酸2ナトリウム、ラウリル3-グリセリルアスコルビン酸等が挙げられる。アスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体は、美白作用、真皮コラーゲン合成促進作用、抗酸化作用等の有効性を皮膚に対して与える物質として化粧料に用いられている。 【0052】 成分(D)は、水溶性有効成分として、1種類のものを単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。 【0053】 成分(D)の含有量としては、成分(A)~(C)、及び(E)の配合量や他の原料の配合量との関係もあり、また、用いる水溶性有効成分の種類や配合目的によっても一概ではないが、典型的には、例えば、組成物全量中に乾燥固形分換算で0.01質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.02質量%以上3.0質量%以下であることがより好ましく、0.02質量%以上2.0質量%以下であることが更により好ましい。上記範囲未満であると、当該水溶性有効成分を配合したことによる作用効果を得難くなる場合がある。また、上記範囲を超えると、高内相W/O型乳化組成物の乳化状態を安定に維持し難くなる場合がある。」 本i)「【0054】 成分(E)のモノアルコール及び/又は多価アルコールとしては、一般に化粧料等に使用可能なものを適宜選択して使用すればよいが、高内相W/O型乳化組成物の乳化状態の安定化の観点からは、例えば、炭素数2~6のモノアルコール、炭素数2~6の多価アルコール、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル等を用いることが好ましい。炭素数2~6のモノアルコールとしては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等が挙げられる。なかでも、エタノール、イソプロパノール等を用いることがより好ましい。炭素数2~6の多価アルコールとしては、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール、プロパンジオール、1,2-ヘキサンジオール等が挙げられる。なかでも、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール等を用いることがより好ましい。 【0055】 成分(E)は、モノアルコール及び/又は多価アルコールとして、1種類のものを単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。 【0056】 成分(E)の含有量としては、成分(A)~(D)の配合量や他の原料の配合量との関係もあり、また、用いるモノアルコール及び/又は多価アルコールの種類によっても一概ではないが、典型的には、例えば、組成物全量中に3.0質量%以上40質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、5.0質量%以上15質量%以下であることが更により好ましい。この範囲を外れると、安定な高内相W/O型乳化組成物を調製できなくなる場合がある。」 本j)「【0057】 本発明に係る高内相W/O型乳化組成物には、その乳化状態のより一層の安定化のためには、油ゲル化剤を含有せしめてもよい。 【0058】 油ゲル化剤としては、一般に化粧料等に使用可能な油ゲル化剤を適宜選択して使用すればよく、特に制限はない。例えば、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン、ステアリン酸イヌリン等の多糖と脂肪酸のエステル、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル、ベヘン酸グリセリル等のグリセリン脂肪酸エステル、バチルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコールや有機変性粘度鉱物等が挙げられる。なかでも、デキストリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等を用いることが好ましく、より具体的には、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル、ベヘン酸グリセリル等を用いることが好ましい。 【0059】 油ゲル化剤は、1種類のものを単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。 【0060】 油ゲル化剤の含有量としては、成分(A)~(E)の配合量や他の原料の配合量との関係もあり、また、用いる油ゲル化剤の種類によっても一概ではないが、典型的には、例えば、組成物全量中におよそ0.05質量%以上程度含有せしめれば、安定な高内相W/O型乳化組成物の形成に寄与し得る。好ましくは0.1質量%以上であり、0.1質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上5質量%以下であることが更により好ましい。上記範囲未満であると、高内相W/O型乳化組成物の乳化状態を安定化する効果に乏しくなる。また、上記範囲を超えて含有せしめても、その含有量に応じて乳化状態を安定化する効果に乏しく、かえって、安定な高内相W/O型乳化組成物の形成を妨げる場合がある。」 本k)「【0063】 本発明に係る高内相W/O型乳化組成物は、通常、当業者に周知の調製方法のとおり、成分(B)の油を主体とし、油によく溶解し又は分散させることができる原料を混合もしくは分散させてなる油性原料と、成分(C)の水を主体とし、水によく溶解し又は分散させることができる原料を混合もしくは分散させてなる水性原料とを調製しておき、必要とあらば、適当な温度条件下、例えば室温~80℃にて、油性原料に水性原料を少量ずつ添加しながら分散させることにより調製することができる。一旦乳化状態を形成した後は、例えば室温等に冷却してもよい。なお、上記した油ゲル化剤は、一般に油に親和性を有する場合が多いので、このような調製の際には、油性原料に混合もしくは分散させることが好ましい。また、成分(A)としてポリグリセリン脂肪酸エステルとして親油性のものを用いる場合も、同様に、油性原料に混合もしくは分散させることが好ましい。一方、成分(D)の水溶性有効成分や成分(E)のモノアルコール及び/又は多価アルコールは、一般に水に親和性を有する場合が多いので、このような調製の際には、水性原料に混合もしくは分散させることが好ましい。 【0064】 本発明に係る高内相W/O型乳化組成物は、それをそのまま化粧料として用いてもよく、あるいは化粧料の原料として化粧料の製造工程で配合するようにして用いてもよい。具体的には、例えば、乳液、クリーム、クレンジング、マッサージ、サンスクリーン、化粧下地、クリームファンデーション等の形態の化粧料あるいはその原料として、好適に用いられる。なお、ここでいう化粧料は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律で定義されている医薬品、医薬部外品、化粧品を含む。」 本l)「【実施例】 ・・・ 【0066】 [試験例1] 表1、2に示す配合で、水相からなる分散相の占める割合が85質量%である高内相W/O型乳化組成物の調製を試みた。具体的には、油相及び水相の各原料を秤量後、それぞれ80℃にて溶解・混合させ、80℃にて油相に水相を少量ずつ添加しながらディスパーミキサー(商品名「スリーワンモータBlh600」(撹拌翼φ40mm)、新東科学株式会社製)により、撹拌翼回転速度700rpmで分散させた後、35℃まで冷却した。 ・・・ 【0068】 上記のようにして得られた調製物について、5℃、25℃、40℃、及び50℃の各温度条件下において、調製物が油相と水相に分離せずに乳化状態を保つかどうか目視にて1~5日間観察し、下記評価基準に従い、その安定性を評価した。 (安定性評価基準) ○:良好(見た目の分離なし) △:やや不良(一部に分離がみられる) ×:不良(見た目の分離が顕著に認められる) 【0069】 【表1】 [図:0001415292000015.jpg] 【0070】 【表2】 [図:0001415292000016.jpg] 【0071】 その結果、水溶性有効成分を配合しない参考調製例に対する調製例1-1~調製例1-5の結果にみられるように、高内相W/O型乳化組成物に各種の水溶性有効成分を配合した場合、いずれも安定性が悪かった。これに対し、更に多価アルコールである1,3-ブチレングリコールを配合すると、調製例1-6~調製例1-19の結果にみられるように、その安定性が顕著に改善した。なお、ここでいう安定性の改善の判断は、化粧料等として利用される場合には、通常様々な温度帯に保管され、また、長時間保管されることが想定されることから、試験した保管条件で得られた結果を総合的に判断した。すなわち、少なくとも1つ以上の保管条件で安定性が改善されていることをもって、安定性が改善されていると判断した。 【0072】 [試験例2] 表3に示す配合で、試験例1と同様にして、水相からなる分散相の占める割合が85質量%である高内相W/O型乳化組成物を調製し、その乳化状態の安定性を評価した。 【0073】 【表3】 [図:0001415292000017.jpg] 【0074】 その結果、調製例2-2~調製例2-5の結果にみられるように、モノアルコールであるエタノール(調製例2-3)や、多価アルコールであるジプロピレングリコール(調製例2-4)やポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル(調製例2-5)でも、上記試験例1でも示された1,3-ブチレングリコール(調製例2-2)と同様にして、それらを配合しない調製例2-1の高内相W/O型乳化組成物と比べて、水溶性有効成分(乳酸菌発酵液(ミルク))を配合したことによる不安定性が改善することが明らかとなった。 【0075】 [試験例3] 表4-1、4-2に示す配合で、試験例1と同様にして、水相からなる分散相の占める割合が85質量%である高内相W/O型乳化組成物を調製し、その乳化状態の安定性を評価した。 【0076】 【表4-1】 [図:0001415292000018.jpg] 【0077】 【表4-2】 [図:0001415292000019.jpg] 【0078】 その結果、調製例3-2~調製例3-8の結果にみられるように、この配合例では、1,3-ブチレングリコールを3~40質量%の含有量で含有させたとき、これを配合しない調製例3-1の高内相W/O型乳化組成物と比べたときの安定性を改善できることが明らかとなった。 【0079】 [試験例4] 表5に示す配合で、試験例1と同様にして、水相からなる分散相の占める割合が85質量%である高内相W/O型乳化組成物を調製し、その乳化状態の安定性を評価した。 【0080】 【表5】 [図:0001415292000020.jpg] 【0081】 その結果、乳化剤として、上記試験例1~3に使用したポリリシノレイン酸ポリグリセリル-5に代えて、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10を使用した場合も、多価アルコールである1,3-ブチレングリコールを配合することによって、水溶性有効成分(乳酸菌発酵液(ミルク))を配合したことによる不安定性が改善することが明らかとなった。」 ウ 判断 本件明細書全体の記載事項、特に【0005】の記載からみて、本件発明1~9の解決しようとする課題は、「乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを使用し、乳酸菌発酵エキス等の水溶性有効成分を配合する場合であっても、乳化状態を安定に維持することができるようにした、高内相W/O型乳化組成物を提供すること」であり、本件発明10の解決しようとする課題は、「乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを使用し、乳酸菌発酵エキス等の水溶性有効成分を配合する場合であっても、乳化状態を安定に維持することができるようにした、高内相W/O型乳化組成物を利用した化粧料を提供すること」であると認める。 そして、本件明細書には、 水溶性有効成分を配合しても、モノアルコール及び/又は多価アルコールを含むことにより、高内相W/O型乳化組成物の乳化状態が安定に維持されることについての記載(摘記本b及び本c)、 乳化組成物の乳化状態として、油相中に水相が分散してなるW/O型の乳化状態を形成しているかどうかを判定する方法についての記載(摘記本d)、 成分(A)乳化剤であるポリグリセリン脂肪酸エステルについて、その具体例及び含有量等についての記載(摘記本e)、 成分(B)油について、その具体例及び含有量等についての記載(摘記本f)、 成分(C)水について、その種類及び含有量等についての記載(摘記本g)、 成分(D)水溶性有効成分である微生物発酵産物、ヒアルロン酸及び/又はその塩、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体について、その具体例及び含有量等についての記載(摘記本h)、 成分(E)多価アルコールである、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルについて、その含有量等についての記載(摘記本i)、 油ゲル化剤についての記載(摘記本j)、 高内相W/O型乳化組成物の調製方法及び該組成物を化粧料として用いることができる旨の記載(摘記本k)、 実施例として、本件発明の高内相W/O型乳化組成物について、その調製方法、組成及び乳化状態の安定性を評価する各種試験例の記載(摘記本l)がある。 そして、上記試験例から、本件発明に係る高内相W/O型乳化組成物は乳化状態を安定に維持できること、かかる組成物を利用した化粧料とすることができることを認識することができるといえる。 してみると、本件発明は、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであり、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえる。 したがって、本件発明は発明の詳細な説明に記載したものであるといえる。 エ 申立理由1-3について申立人1が指摘する具体的な理由について 申立人1は、具体的に、上述の(ア)~(エ)の理由を主張している(第4の1(1)[申立理由1-3]及び[申立理由1-4]を参照。)ので、以下に検討する。 (ア)について 油ゲル化剤について、本件明細書には「乳化状態のより一層の安定化のためには、油ゲル化剤を含有せしめてもよい」と記載されているから(摘記本j)、油ゲル化剤が必須の成分でないことは明らかである。そして、本件明細書には、モノアルコール及び/又は多価アルコールを含むことにより、高内相W/O型乳化組成物の乳化状態が安定に維持されることが記載されており(摘記本b及び本c)、実施例においても、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルを含有する組成物とすることによって、それらを含有しない組成物と比較して乳化状態が安定化されることが示されている(摘記本lの表2~表5)から、たとえ甲15~甲20に記載されるようにエマルションの安定化の要因として連続相の粘度を高めること等が知られていたとしても、油ゲル化剤を含むことを特定しなければ、本件発明の課題を解決できると認識できないとはいえない。 したがって、(ア)については理由がない。 (イ)について 乳化状態が乳化剤、油相及び水相の含有成分によって変化することは明らかであるといえるが、上記(ア)で述べたとおりであって、本件明細書には、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルを含有する組成物とすることによって乳化状態が安定化されることが示されているから、乳化状態の安定性の程度に相違が生じるとしても、油の成分を特定しなければ本件発明の課題を解決できると認識できないとはいえない。 したがって、(イ)については理由がない。 (ウ)について 本件訂正によって、多価アルコールの種類及び含有量が、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、その含有量が8質量%以上40質量%以下に特定され、かかる多価アルコール及び含有量において、乳化状態が安定化することは実施例において示されている(摘記本lの表2~表5)から、甲21及び甲22の記載を参酌しても、上記課題が解決できると認識できないとはいえない(なお、本件発明4及び5においては、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルの選択肢はないが、同様である。)。 また、本件明細書には、乳化状態を形成しているかどうかの判定方法が記載されており(摘記本d)、実施例には、安定性評価基準が見た目の分離の程度によるものであり、当該基準によって安定性を評価したことが記載されている(摘記本l)から、そのような基準に沿って乳化状態が安定化されているかどうかを判断するものであるといえる。 したがって、(ウ)については理由がない。 (エ)について 本件明細書には、「本発明者らの研究によると、高内相W/O型乳化組成物に乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを使用すると、みずみずしさやしっとり感の使用感に優れていた。しかしながら、これに更に、乳酸菌発酵エキス等の水溶性有効成分を配合しようとした場合、水溶性有効成分を配合しない場合に比べて、乳化状態の安定性が悪くなるという問題があった。」(摘記本a)、「本発明に係る高内相W/O型乳化組成物によれば、乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを使用したので、みずみずしさやしっとり感のある使用感に優れている。そして、モノアルコール及び/又は多価アルコールを含むことにより、水溶性有効成分を配合しても、高内相W/O型の乳化状態が安定に維持される。」(摘記本c)と記載されている。これらの記載から、乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを使用した高内相W/O型乳化組成物にさらに、乳酸菌発酵エキス等の水溶性有効成分を配合すると、乳化状態の安定性が悪くなるところ、本件発明は、モノアルコール及び/又は多価アルコールを含むことによって、乳化状態を安定に維持したものであることが理解でき、実施例において、水溶性有効成分として、乳酸菌発酵液(ミルク)、乳酸菌発酵液(アロエ)、ヒアルロン酸Na液、酵母発酵液及びグリチルリチン酸ジカリウムを配合した高内相W/O型乳化組成物の乳化状態が安定化することが示されている(摘記本lの表2~表5)。 そして、上記(イ)で述べたとおり、乳化状態が乳化剤、油相及び水相の含有成分によって変化することは明らかであるといえるが、成分(D)は「水溶性」である点で共通する性質を有するから、乳化状態の安定化において同様の傾向を示すことを認識できるといえる。 したがって、水溶性有効成分の違いによって乳化状態の安定性の程度に相違が生じるとしても、本件発明の課題を解決できると認識できないとはいえない。 オ まとめ 以上のとおりであるから、申立理由1-3は理由がない。 (4)申立理由1-4(実施可能要件)について ア 判断の前提 特許法第36条第4項第1号は、発明の詳細な説明のいわゆる実施可能要件を規定したものであって、物の発明では、その物を作り、かつ、その物を使用する具体的な記載が発明の詳細な説明にあるか、そのような記載が無い場合には、明細書及び図面の記載及び出願時の技術常識に基づき、当業者が過度の試行錯誤や複雑高度な実験等を行う必要なく、その物を作り、その物を使用することができる程度にその発明が記載されていなければならないと解される。 イ 発明の詳細な説明の記載 上記(3)イで示したとおりである。 ウ 判断 上記(3)ウで述べたとおり、本件明細書には、水溶性有効成分を配合しても、モノアルコール及び/又は多価アルコールを含むことにより、高内相W/O型乳化組成物の乳化状態が安定に維持されることについての記載、乳化組成物の乳化状態として、油相中に水相が分散してなるW/O型の乳化状態を形成しているかどうかを判定する方法についての記載、成分(A)乳化剤であるポリグリセリン脂肪酸エステルについて、その具体例及び含有量等についての記載)、成分(B)油について、その具体例及び含有量等についての記載、成分(C)水について、その種類及び含有量等についての記載(摘記本g)、成分(D)水溶性有効成分である微生物発酵産物、ヒアルロン酸及び/又はその塩、植物抽出物、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及びアスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体について、その具体例及び含有量等についての記載、成分(E)多価アルコールである、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルについて、その含有量等についての記載、油ゲル化剤についての記載、高内相W/O型乳化組成物の調製方法及び該組成物を化粧料として用いることができる旨の記載、実施例として、本件発明の高内相W/O型乳化組成物について、その調製方法、組成及び乳化状態の安定性を評価する各種試験例の記載がある。 そして、かかる本件明細書の記載に基づけば、本件発明1~9の高内相W/O型乳化組成物及び本件発明10の化粧料について、それらを作り、かつ、それらを使用する具体的な記載が発明の詳細な説明にあるか、そのような記載が無い場合には、明細書及び図面の記載及び出願時の技術常識に基づき、当業者が過度の試行錯誤や複雑高度な実験等を行う必要なく、それらを作り、それらを使用することができる程度に本件発明が記載されているといえる。 したがって、発明の詳細な説明は、本件発明について、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものである。 エ 申立理由1-4について申立人1が指摘する具体的な理由について 上記(3)エで述べたのと同様の理由により、申立人1が指摘する(ア)~(エ)の理由は理由があるものとすることができない。 オ まとめ 以上のとおりであるから、申立理由1-4は理由がない。 (5)申立理由1-5(明確性)について 申立理由1-5は、取消理由通知において理由1として採用した理由である。 (6)申立理由2-1(新規性)について 申立理由2-1のうち、訂正前の請求項1、3、5、7、9及び10を対象とするものは、取消理由通知において理由2として採用した理由であるが、訂正前の請求項6を対象とするものは、取消理由通知で採用しなかった理由である。 そこで、本件発明6が甲1’に記載された発明であるといえるかについて検討するに、上記2(2)ウ(カ)で述べたとおり、本件発明6は本件発明1がより限定されたものであるといえるから、上記2(2)ウ(ア)vで述べたとおり、本件発明1が甲1’に記載された発明であるといえない以上、本件発明6は甲1’に記載された発明であるとはいえない。 以上のとおりであるから、申立理由2-1は理由がない。 (7)申立理由2-2(進歩性)について 申立理由2-2のうち、訂正前の請求項4を対象とするものは、取消理由通知において採用しなかった理由である(その他の請求項を対象とするものは取消理由通知において理由3として採用した。)。 そこで、本件発明4が甲1’に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるかについて検討するに、上記2(2)ウ(エ)で述べたとおり、本件発明4は本件発明1がより限定されたものであるといえるから、上記2(2)ウ(ア)vで述べたとおり、本件発明1が甲1’に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない以上、本件発明4は甲1’に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 以上のとおりであるから、申立理由2-2は理由がない。 (8)申立理由2-3(サポート要件)について 本件訂正によって、本件発明に係るポリグリセリン脂肪酸エステルは、HLB4以下であるものに特定されたところ、上記(3)で述べたとおり、本件発明は発明の詳細な説明に記載したものであるといえる。 申立人2は、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-5とペンタオレイン酸ポリグリセリン-10の例のみからポリグリセリン脂肪酸エステル全てまで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない旨を主張する。 しかし、本件明細書には、 「【0025】 本発明に用いるポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、一般に化粧料等に使用可能なものであればよく、特に制限はない。・・・ 【0026】 更に、皮膚と化粧料の親和性の観点からは、ポリグリセリン脂肪酸エステルは親油性のものを用いることが好ましく、その場合、親油度の指標となるHLB値としては、8以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましい。」と記載され(摘記本e)、ポリグリセリン脂肪酸エステルは特に制限はないが、4以下であることがより好ましいことが示されていること、実施例として、HLBが4以下であって親油性の高い、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-5(HLB3.0)及びペンタオレイン酸ポリグリセリン-10(HLB3.5)を用いた高内相W/O型乳化組成物の乳化状態が安定であることが記載されている(本l)ことからみて、HLB4以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含むものとすることによって、本件発明の課題を解決できると認識できるといえる。 したがって、申立理由2-3は理由がない。 (9)申立人1の令和6年4月15日付け意見書における主張について ア 申立理由1-3(サポート要件)及び申立理由1-4(実施可能要件)について 申立人1は令和6年4月15日付け意見書において、本件明細書に記載の実施例に開示のW/Oエマルションはいずれも「油ゲル化剤」であるベヘン酸グリセリルを含有していること、油ゲル化剤は「W/Oエマルション」において、連続相である油相の粘度を高めて、乳化系を安定化させることができる周知の成分であることを指摘して、油ゲル化剤を配合しないW/Oエマルションの乳化状態が、本件発明1~7、9及び10によって安定に維持されるかどうかは不明であり、乳化状態が安定に維持された油ゲル化剤を配合しないW/Oエマルションを、本件明細書の記載を参照して得ることができるとはいえない旨主張する。 しかしながら、上記(3)及び(4)で述べたとおり、本件明細書の記載からみて、油ゲル化剤が必須の成分でないことは明らかであり、本件明細書には、モノアルコール及び/又は多価アルコールを含むことにより、高内相W/O型乳化組成物の乳化状態が安定に維持されることが記載され、実施例においても、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルを含有する組成物とすることによって、それらを含有しない組成物と比較して乳化状態が安定化されることが示されているから、油ゲル化剤を含むことを特定しなければ、実施可能要件及びサポート要件を満たしていないとすることはできず、上記申立人1の主張は採用できない。 イ 申立理由1-2(進歩性)について 申立人1は令和6年4月15日付け意見書において、 甲1発明について、甲1には、多価アルコール及び糖の、水相中における好適な比率は10重量%~90重量%である旨が記載されていること、甲1の表1及び表2、実施例7には、多価アルコールとして1,3-ブチレングリコールとグリセリンとを合計13重量%配合していること、参考資料1の実施例1~3並びに参考資料2の実施例8及び9に、8.0質量%の1,3-ブチレングリコールを含有する乳液状組成物が温度安定性に優れること及び15重量%の1,3-ブチレングリコールを含有する油中水型乳化組成物の安定性がよいこと等が記載されていること、本件発明1は、(E)多価アルコールの含有量が8質量%以上40質量%以下であることによって、特別な効果を奏するとはいえないこと等を指摘して、本件発明1は甲1発明から容易になされたものであることを、 甲3発明について、甲3には、成分(D)の水相成分として配合可能な保湿成分として、1,3-ブチレングリコールが例示され、成分(D)の配合量は、成分(C)との合計配合量が85%以上であることが必須であること等が記載されていること、参考資料1及び2に上述のとおりの記載があること、本件発明1は、特別な効果を奏するとはいえないこと等を指摘して、本件発明1は甲3発明から容易になされたものであることを主張する。 しかしながら、上記2(2)ウ(ア)i及びiiiで述べたとおり、本件発明1は甲1又は甲3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 また、参考資料1(特開2006-143686号公報)及び参考資料2(特開2006-335735号公報)には、HLB4以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを配合することについての記載がない(なお、参考資料1には、乳化組成物が含有するアシル化ポリグリセリンはHLBが10以上であることが記載されており(請求項1及び【0016】)、参考資料2には、油中水型乳化組成物はHLB値が8以下の非イオン性界面活性剤を含むこと、該界面活性剤としてポリグリセリン脂肪酸エステル類が挙げられることが記載されている(請求項1及び【0013】)。)。一方、本件発明1は、HLB4以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含む高内相W/O型乳化組成物の乳化状態を安定化することを目的とするものであるから、HLB4以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含まない乳化組成物の安定化に関する参考資料1及び2に記載された技術的事項が、甲1発明又は甲3発明において、特に1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルに着目して、その含有量を8質量%以上40質量%以下とする動機付けになるとはいえない。 そして、本件明細書に記載された実施例の試験例1~4の結果を参酌すれば、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール及びポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルの含有量を8質量%以上40質量%以下である本件発明1の高内相W/O型乳化組成物組成物の乳化状態が安定であることが確認できるから、本件発明1は乳化状態が安定化するという効果を奏するものであるということができる。 本件発明2~10についても同様である。 したがって、上記申立人1の主張を採用することはできない。 第6 まとめ 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由並びに特許異議申立人(申立人1及び申立人2)が申し立てた理由及び証拠によっては、本件発明1~本件発明10に係る特許を取り消すことはできず、ほかに本件発明1~本件発明10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2023-701136

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決32件(新井 晶代、株式会社ヤクルト本社、竹ノ下 真央)
  • 2023-700446異議申立 / 2023-06-30 / 維持安定化した高内相W/O型乳化組成物及びこれを利用した化粧料
    同じ当事者: 株式会社ヤクルト本社、竹ノ下 真央
  • 2022-700820異議申立 / 2023-08-18 / 訂正認容油性化粧料
    同じ当事者: 新井 晶代
  • 2022-701262異議申立 / 2023-07-28 / 訂正認容ベシクル組成物およびこれを含有する皮膚外用剤又は化粧料
    同じ当事者: 竹ノ下 真央
  • 2023-700398異議申立 / 2023-07-03 / 維持油性固形化粧料
    同じ当事者: 竹ノ下 真央
  • 2023-700031異議申立 / 2023-06-30 / 訂正認容人工爪組成物
    同じ当事者: 新井 晶代
同じ論点・分野の審決(審決分類)5,216件(113・A61K、121・A61K、536・A61K ほか)
  • 2017-800104無効審判 / 2018-12-12 / 請求不成立ランタン化合物を含む医薬組成物
    共通の審決分類: 113・A61K、121・A61K、536・A61K、537・A61K ほか3件
  • 2025-700014異議申立 / 2026-03-27 / 訂正認容硬化性ジェルネイル組成物、ジェルネイルベース層、及び、ジェルネイルを設ける方法
    共通の審決分類: 113・A61K、121・A61K、536・A61K、537・A61K ほか2件
  • 2023-701166異議申立 / 2024-06-25 / 訂正認容艶持続型化粧料組成物
    共通の審決分類: 113・A61K、121・A61K、536・A61K、537・A61K ほか2件
  • 2023-700556異議申立 / 2024-01-30 / 訂正認容固形粉末化粧料
    共通の審決分類: 113・A61K、121・A61K、536・A61K、537・A61K ほか2件
  • 2022-701023異議申立 / 2024-01-25 / 訂正認容水中油型乳化組成物
    共通の審決分類: 113・A61K、121・A61K、536・A61K、537・A61K ほか2件

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存