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特許異議申立

2023-700031

人工爪組成物

審判番号
2023-700031
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-098975
登録番号
7104391
請求日
2023年01月13日
審決日
2023年06月30日
公報発行日
2023年09月29日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】三宅 竜司
  • 【異議申立人】新井 晶代
審判長/審判官
  • 審判長 木村 敏康
  • 審判官 野田 定文
  • 審判官 瀬良 聡機
分類
P1651.113-YAA(A61K) / P1651.121-YAA(A61K) / P1651.16 -YAA(A61K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条の2、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7104391号発明「人工爪組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7104391号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〕について訂正することを認める。 特許第7104391号の請求項1に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7104391号の請求項1に係る特許についての出願は、令和4年6月20日に出願され、同年7月12日にその特許権の設定登録がされ、同年同月21日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、令和5年1月13日に特許異議申立人 新井 晶代(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審合議体から、同年3月17日付けで取消理由通知を通知した。これに対し、特許権者は、その指定期間内である同年4月21日に意見書の提出及び訂正の請求を行った。その後、同年5月8日付けで訂正の請求があった旨の通知が申立人にされ、申立人は同年6月6日に意見書を提出した。 第2 訂正の適否についての判断 1 請求の趣旨及び訂正の内容 令和5年4月21日提出の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の請求の趣旨は、「特許第7104391号の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを求める。」というものであり、その内容は以下の訂正事項1のとおりである。 訂正事項1: 本件訂正前の請求項1に係る「以下の(A)成分から(C)成分を含有する人工爪組成物。」との記載を、 「以下の(A)成分から(C)成分を含有する人工爪組成物であって、(A)成分として少なくともイソボルニルアクリレート及びイソボルニルメタクリレートを含有する人工爪組成物。」(下線は訂正による変更箇所を示す。)に訂正する。 2 訂正の目的の適否 訂正事項1は、請求項1の「(A)成分:分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物」について、「イソボルニルアクリレート」及び「イソボルニルメタクリレート」という1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物を少なくとも含有するものとして、更に限定するものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 3 新規事項の追加の有無 訂正事項1について、本件特許の願書に添付した明細書及び特許請求の範囲(以下「本件明細書等」という。)の【0015】~【0023】には、以下の記載がある(以下「・・・」は記載の省略を表し、下線の一部は当審合議体が追記した。)。 「【0015】 〔(A)成分:分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物〕 (A)成分の種類は、特に限定されない。例えば、単官能モノマーとして、・・・ 【0017】 二官能以上のモノマーとして、・・・ 【0018】 ポリオールのアルキレンオキサイドの(メタ)アクリレートとして、・・・ 【0020】 また、(メタ)アクリル基とイソボルニル基(イソボルネオ―ルからOHが一つ取れたもの)とが結合したイソボルニル(メタ)アクリレート等も例示される。・・・ 【0022】 なお、本実施形態において、(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートの総称であり、アクリロイル基含有重合性モノマーとメタクリロイル基含有重合性モノマーとのいずれも含むものとする。 【0023】 (A)成分は、1種類でなく、2種類以上の混合物であってもよい。また、人工爪組成物は、(A)成分以外に、他の重合性化合物、例えば分子内に少なくとも1個以上の重合性基を有する単量体のオリゴマー又はポリマーを含んでいてもよい。また、酸性基やフルオロ基等の置換基を同一分子内に有していてもよい。」 上記記載によると、「(A)成分」の例示の一つとして、「イソボルニル(メタ)アクリレート」があり、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」と「メタクリレート」の総称であることから、本件明細書等には、「(A)成分」の例示として、「イソボルニルアクリレート」と「イソボルニルメタクリレート」が記載されているといえる。 さらに、「(A)成分」が「2種以上の混合物」である態様の想定も記載されているから、「(A)成分」が、その例示に含まれる「イソボルニルアクリレート」と「イソボルニルメタクリレート」を含有するものとする限定は、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものといえる。 したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合している。 4 実質上特許請求の範囲の拡張・変更の有無 上記2及び3で検討したとおり、訂正事項1は、本件明細書等に記載された事項の範囲内において、特許請求の範囲を減縮したものであり、発明の対象やカテゴリーを変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合している。 5 小括 以上のとおり、本件訂正の訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するから、訂正後の請求項〔1〕について訂正を認める。 第3 訂正後の本件発明 本件訂正により訂正された請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 以下の(A)成分から(C)成分を含有する人工爪組成物であって、(A)成分として少なくともイソボルニルアクリレート及びイソボルニルメタクリレートを含有する人工爪組成物。 (A)成分:分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物 (B)成分:以下の式で表される化合物 【化1】 [図:0001401679000001.jpg] (C)成分:ラジカル重合開始剤」 第4 特許異議申立理由及び取消理由の概要 1 特許異議申立理由の概要 (1) 理由1(拡大先願) 訂正前の請求項1に係る発明は、本件特許の出願の日前の特許出願であって、本件特許の出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面である甲第1号証に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許の出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許の出願の時において、本件特許の出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができないものであるから、訂正前の請求項1に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (2) 理由2(新規性) 訂正前の請求項1に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第2号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、訂正前の請求項1に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (3) 理由3(進歩性) 訂正前の請求項1に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第2号証に記載された発明、甲第2号証及び甲第3号証に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許の出願前に本件特許の発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、訂正前の請求項1に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 甲第1号証:特開2022-111991号公報(特願2021-201525号) 甲第2号証:特開2015-209375号公報 甲第3号証:特開2006-49225号公報 (以下「甲第1号証」等を「甲1」等という。) 2 取消理由の概要 本件訂正前の請求項1に係る特許に対して、当審合議体から令和5年3月17日に特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 理由A(拡大先願) (A1) 理由A1 本件請求項1に係る発明は、本件特許の出願の日前の他の特許出願であって、本件特許の出願後に出願公開がされた先願1の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないから、本件請求項1に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものであり、取り消すべきものである。 (A2) 理由A2 本件請求項1に係る発明は、本件特許の出願の日前の他の特許出願であって、本件特許の出願後に出願公開がされた先願4の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないから、本件請求項1に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものであり、取り消すべきものである。 先願1:特願2021-201525号(特開2022-111991号公報:甲1) 先願4:特願2021-72869号(特開2022-167213号公報) 第5 当審における判断 当審合議体は、上記取消理由通知で通知した理由及び申立人の申立て理由によっては、本件の請求項1に係る特許は取り消されるべきではないと判断する。 その理由は次のとおりである。 1 先願1(甲1)、甲2、甲3、及び先願4の記載事項について (1) 先願1(甲1)の当初明細書等の記載 その出願後に出願公開された先願1(甲1)の願書に最初に添付された明細書及び特許請求の範囲(以下「先願1の当初明細書等」ともいう。)には、次のとおりの記載があり、その優先権の主張の基礎とされた特願2021-7337号(令和3年1月20日出願)の願書に最初に添付した明細書及び特許請求の範囲にも先願1の当初明細書等と同一の記載がされている。 摘記1a:請求項1~3 「【請求項1】 (a)アクリレート基を有するラジカル重合性リン酸化合物、 (b)(メタ)アクリレート基を有しリン原子を有しないラジカル重合性化合物、 (c)光重合開始剤、 を含む光硬化性人工爪組成物。 【請求項2】 (a)アクリレート基を有するラジカル重合性リン酸化合物が、アクリレート基を有するラジカル重合性リン酸エステル化合物である、請求項1に記載の光硬化性人工爪組成物。 【請求項3】 (a)アクリレート基を有するラジカル重合性リン酸化合物が、リン酸2-アクリロイルオキシエチル及び/又はリン酸ビス(2-アクリロイルオキシエチル)である、請求項1又は2に記載の光硬化性人工爪組成物。」 摘記1b:段落0012、0017及び0032~0035 「【0012】 以下、(a)アクリレート基を有するラジカル重合性リン酸化合物、(b)(メタ)アクリレート基を有しリン原子を有しないラジカル重合性化合物、(c)光重合開始剤、を含む光硬化性人工爪組成物について詳細に説明する。 本明細書においては、(メタ)アクリレートは、アクリレート及びメタクリレートの両者を意味する。・・・ 【0017】 (メタ)アクリレート基を有しリン原子を有しないラジカル重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリレート基を有しリン原子を有しないラジカル重合性オリゴマー(以下、「(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー」という場合がある。)や(メタ)アクリレート基を有しリン原子を有しないラジカル重合性モノマー(以下、「ラジカル重合性モノマー」という場合がある。)があげられる。 本発明においては、(メタ)アクリレート基を有しリン原子を有しないラジカル重合性化合物として、1種類以上の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマーと、1種類以上のラジカル重合性モノマーとを混合して用いることが好ましい。・・・ 【0032】 <ラジカル重合性モノマー> ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリレート基を有するラジカル重合性モノマー(以下、「(メタ)アクリレートモノマー」という場合がある。)や(メタ)アクリレート基以外のラジカル重合性不飽和基を有する化合物があげられる。 【0033】 ((メタ)アクリレートモノマー) (メタ)アクリレートモノマーは、(メタ)アクリレート基を1個以上有し、分子内にリン原子を有しないモノマーであれば、特に制限されない。一分子中に含まれる(メタ)アクリレート基の数は特に制限されないが、光硬化性人工爪組成物の硬化性、硬化塗膜の硬度等の観点から、1個以上であり、例えば10個以下、好ましくは8個以下、より好ましくは6個以下である。 本発明では、(メタ)アクリレートモノマーとして、(メタ)アクリレート基を1個有する(メタ)アクリレートモノマーより選ばれる1種類以上を用いることが好ましい。また、(メタ)アクリレート基を1個有する(メタ)アクリレートモノマーより選ばれる1種類以上と、(メタ)アクリレート基を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーより選ばれる1種類以上との混合物を用いることが好ましい。 【0034】 (メタ)アクリレート基を1個有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等の一価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物;アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ-tert-ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジヘプチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジオクチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ-tert-オクチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジドデシル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジオクタデシル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリレート基含有アミド化合物;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の含窒素アルキル(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート;4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2-シクロヘキシル-1,3-ジオキソラン、アダマンチル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4イル)メチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、(2-イソブチル-2-メチル-1,3-ジオキソラン-4イル)メチル(メタ)アクリレート、(2-エチル-2-メチル-1,3-ジオキソラン-4イル)メチル(メタ)アクリレート、(1,4-ジオキサスピロ[4,5]デカン-2イル)メチル(メタ)アクリレート、テトラフルフリルアルコールオリゴ(メタ)アクリレート、アルコキシ化テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、(メタ)アクリロイルモルホリン、N-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレ-ト、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、トリアジントリ(メタ)アクリレート、N-(メタ)アクリルオキシスクシンイミド、N-(メタ)アクリルオキシフタルイミド等の複素環含有(メタ)アクリレート等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。 【0035】 これらの(メタ)アクリレート基を1個有する(メタ)アクリレートモノマーのうち、(i)メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の一価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物、 (ii)2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート、 からなる群より選ばれる1種類以上が好ましい。」 摘記1c:実施例1~9に関する記載(段落0058、0059及び0062) 「【0058】 <実施例1~9、比較例1~5> 表1に示す成分を、表1に示す量比(質量部)となるように容器内に投入し、ディゾルバーにより撹拌しつつ50℃に加温し撹拌した。撹拌後80℃で2時間静置し脱泡し、光硬化性人工爪組成物を得た。これらの工程は、全て遮光下にて行った。 【0059】 表1中の成分は、それぞれ以下のとおりである。 PA:リン酸2-アクリロイルオキシエチル及びリン酸ビス(2-アクリロイルオキシエチル)を含む混合物 PU:ヒドロキシエチルメタクリレート、イソホロンジイソシアネート及びポリカーボネートジオールから得られるポリカーボネートポリウレタンメタクリレート IBXA:イソボルニルアクリレート HEMA:ヒドロキシエチルメタクリレート TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド HPK:1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン PM1:リン酸ビスメタクリロイルオキシエチル PM2:リン酸カプロン酸メタクリロイルオキシエチル・・・ 【0062】 【表1】 [図:0001401679000002.jpg] 」 (2) 甲2の記載 摘記2a:請求項1 「【請求項1】 下記成分(A)~(D)を含む人工爪原料組成物。 (A)1分子内に1個以上のラジカル重合性不飽和結合を有するラジカル重合性化合物 (B)1分子内に1個以上のラジカル重合性不飽和結合を有するシランカップリング剤 (C)1分子内に1個以上のラジカル重合性不飽和結合を有するリン酸エステル、および、1分子内に1個以上のラジカル重合性不飽和結合を有する亜リン酸エステルの少なくとも一方 (D)光重合開始剤」 摘記2b:段落0023~0025、0028及び0033 「【0023】 [成分(A)] 本発明の前記成分(A)において、1分子内に1個以上のラジカル重合性不飽和結合を有する前記ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合し得る化合物であれば特に制限はない。前記成分(A)における前記ラジカル重合性化合物は、前記成分(B)および成分(C)以外の化合物であることが好ましい。すなわち、前記成分(A)における前記ラジカル重合性化合物は、1分子内に1個以上のラジカル重合性不飽和結合を有するシランカップリング剤、1分子内に1個以上のラジカル重合性不飽和結合を有するリン酸エステル、および、1分子内に1個以上のラジカル重合性不飽和結合を有する亜リン酸エステル以外の化合物であることが好ましい。前記成分(A)における前記ラジカル重合性化合物は、分子中にケイ素原子およびリン原子を含まないラジカル重合性化合物であることがより好ましい。前記成分(A)における前記ラジカル重合性化合物は、その分子が、炭素原子ならびに、水素原子、酸素原子および窒素原子からなる群から選択される少なくとも一つにより形成されていることが特に好ましい。 【0024】 前記成分(A)における前記ラジカル重合性化合物は、光重合可能な化合物を含むことが好ましいが、熱重合可能な化合物を含んでいても良い。例えば、前記成分(A)が光重合可能な化合物を含み、前記成分(D)の光重合開始剤により重合開始可能であっても良い。また、例えば、前記成分(A)が熱重合可能な化合物を含む場合、本発明の人工爪原料組成物が、さらに熱重合開始剤を含んでいても良い。前記成分(A)における前記ラジカル重合性化合物としては、例えば、公知の単官能モノマー、多官能モノマー、および、ラジカル重合性の不飽和結合を1個以上保有するオリゴマー等が挙げられる。 【0025】 前記単官能モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート(すなわち、(メタ)アクリル酸のエステル)等が挙げられる。前記(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸、ネオペンチルグリコール-アクリル酸-安息香酸エステル等が挙げられる。ただし、前記単官能モノマーは、これらに限定されるものではない。なお、本発明において、(メタ)アクリル酸は、「アクリル酸および/またはメタクリル酸」を意味し、(メタ)アクリレートは、「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味し、(メタ)アクリロイロキシは、「アクリロイロキシおよび/またはメタクリロイロキシ」を意味する。・・・ 【0028】 また、前記ラジカル重合性の不飽和結合を1個以上保有するオリゴマーとしては、前記ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー以外に、例えば、(メタ)アクリロイル基を1個以上結合させたウレタン骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーがある。前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、光重合硬化樹脂の主たる成分として数多く市販されている。前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、EBECRYL 230、EBECRYL 270、EBECRYL 4858、EBECRYL 8201、EBECRYL 8402(いずれも、ダイセル・サイテック社の商品名)、オレスター RA1573、オレスター RA1574(いずれも、三井化学社の商品名)、UV-3200B,UV-7000B、UV-7550B、UV-7630B(いずれも、日本合成化学社の商品名)、CN964、CN981、CN996(いずれも、SARTOMER社の商品名)、AH-600、AT-600、UA-306H(いずれも、共栄社化学社の商品名)、UA-4200(新中村化学社の商品名)、アロニックス M-1200(東亞合成社の商品名)、ニューフロンティア R-1304(第一工業製薬社の商品名)等がある。またポリエステル骨格を有するポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーも数多く市販されており、例えばアロニックスM-6200、アロニックスM-7100、アロニックスM-8560(いずれも、東亞合成社の商品名)、オレスター RA1050(三井化学社の商品名)等が挙げられる。ただし、前記ラジカル重合性の不飽和結合を1個以上保有するオリゴマーは、これらに限定されるものではない。・・・ 【0033】 [成分(C)] 本発明において、前記成分(C)の1分子内に1個以上のラジカル重合性不飽和結合を有するリン酸エステル、および、1分子内に1個以上のラジカル重合性不飽和結合を有する亜リン酸エステルとしては、例えば、2-(メタ)アクリロキシエチルホスフェート、ジ(2-(メタ)アクリロキシエチルホスフェート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルヒドロジェンホスフェート、6-(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジヒドロジェンホスフェート、10-(メタ)アクリロイルオキシデシルジヒドロジェンホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、(6-(メタ)アクリロキシ)ヘキシル-3-ホスホノアセテート、(10-(メタ)アクリロキシ)デシル-3-ホスホノアセテート、アルキレンオキシド変性(メタ)アクリレートのリン酸エステル、カプロラクトン変性(メタ)アクリレートのリン酸エステル、およびこれらの中和塩類等が挙げられる。ただし、前記成分(C)における、1分子内に1個以上のラジカル重合性不飽和結合を有するリン酸エステル、および、1分子内に1個以上のラジカル重合性不飽和結合を有する亜リン酸エステルは、これらに限定されるものではない。なお、前記アルキレンオキシド変性(メタ)アクリレートのリン酸エステルは、例えば、下記化学式(I)で表される化合物であるが、これに限定されない。また、前記カプロラクトン変性(メタ)アクリレートのリン酸エステルは、例えば、下記化学式(II)で表される化合物であるが、これに限定されない。」 摘記2c:実施例1~24に関する記載(段落0047~0053) 「【0047】 以下の実施例および比較例で使用した化学品は、以下のとおりである。 (A)ラジカル重合性不飽和結合を有する化合物 A1:ウレタンアクリレートオリゴマー(ポリエーテル系) A2:ウレタンアクリレートオリゴマー(ポリエステル系) A3:ウレタンアクリレートオリゴマー(ポリカーボネート系) A4:トリメチロールプロパントリメタクリレート A5:2-ヒドロキシエチルメタクリレート A6:2-ヒドロキシプロピルメタクリレート A7:イソボルニルアクリレート A8:イソボルニルメタクリレート (B)ラジカル重合性不飽和結合を有するシランカップリング剤 B1: 3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン B2: 3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン B3: ビニルトリメトキシシラン B4: ビニルトリエトキシシラン B5: ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン (C)変性リン酸メタクリレート C1: ジ(2-メタクリロキシエチル)ホスフェート C2: カプロラクトン変性メタクリレートのリン酸エステル (D)光重合開始剤 D1:2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド D2:1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン 【0048】 また、人工爪原料組成物の硬化には、UV照射用光源として、市販のジェルネイル専用UVランプ(36W、ビューティーネイラー製)を使用し、可視光照射用光源として、市販のジェルネイル専用LEDランプ(40W、ネイルラボ製)を使用した。 【0049】 実施例1~24、比較例1~6 下記表1に示した各成分をそれぞれ配合して攪拌により混合し、実施例1~24および比較例1~6の人工爪原料組成物を製造した。さらに、その人工爪原料組成物を、UV照射または可視光照射により硬化させて人工爪を製造した。UVによる硬化では、上記36Wのジェルネイル専用UVランプで2分間照射した。可視光による硬化では、上記40Wジェルネイル専用LEDランプを30秒間照射した。さらに、前記硬化により製造した人工爪を、接着試験および除去試験に供した。なお、下記表1の数値は、質量部を表す。前記質量部は、各実施例または比較例における全成分の合計質量を100質量部として計算した数値である。 【0050】 【表1】 [図:0001401679000003.jpg] 【0051】 [評価判定] 接着性 人工爪の形成(光硬化)から14日後、人工爪の損傷の程度と人工爪の自爪から剥がれた度合いを目視して評価判定した。 ○:損傷もほとんどなく、自爪に密着したままである。 △:損傷している部分や自爪からわずかに剥がれている部分がある。 ×:損傷が激しく、自爪から剥がれている部分が多い。 除去性 光硬化してから14日後に、ファイル(爪用やすり)で傷付けた人工爪上にアセトンを含んだコットンを置き、アルミホイルで包んでアセトンの揮発を防ぐ。10分後にアルミホイルをほどいて、コットンを取り除き、膨潤した人工爪を除去するときの難易度を評価判定した。 ○:人工爪を自爪から除去できる。 △:人工爪の一部が自爪から除去できない。 ×:アセトンでは人工爪を自爪から除去できない。 -:人工爪の損傷が激しく、除去する必要がない。 【0052】 上記評価判定の結果を、下記表2に示す。 【0053】 【表2】 [図:0001401679000004.jpg] 」 (3) 甲3の記載 摘記3a:技術分野及び解決しようとする課題に関する記載(段落0001及び0010) 「【0001】 本発明は、固体高分子電解質膜およびそれを用いた固体高分子型燃料電池に関し、特に燃料として水素、改質水素、メタノール、ジメチルエーテルなどを用い、空気や酸素を酸化剤として用いる固体高分子型燃料電池に関するものである。・・・ 【0010】 しかしながら、リン酸エステルを有するアクリル酸モノマーと機械的強度の高いと言われるモノマーとの共重合体においては、依然としてその強度は十分ではない。強度を上げるために、リン酸エステルを有するアクリル酸モノマーの比を下げて機械的強度の高いモノマーの比を上げると確かに強度は上がるが、プロトン導電性の低下が見られ高分子電解質膜としての機能が低下する。」 摘記3b:リン酸基を有する化合物に関する記載(段落0024~0030) 「【0024】 また、さらにリン酸基を有する下記の一般式(1)および(2)で表される化合物を特に好ましく挙げることができる。 【0025】 【化4】 [図:0001401679000005.jpg] 【0026】 (式中、R1 は水素原子またはアルキル基、R2 は水素原子または置換もしくは無置換のアルキル基を示す。nは1~6の整数である。) 【0027】 【化5】 [図:0001401679000006.jpg] 【0028】 (式中、R3 ~R6 はそれぞれ独立に水素原子または置換もしくは無置換のアルキル基を示す。mおよびkはそれぞれ独立に1~6の整数である。) 【0029】 上記一般式(1)で表される単量体の好ましい具体例としては、例えばメタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、メタクリロイルテトラ(オキシエチレン)アシッドホスフェート、メタクリロイルペンタ(オキシプロピレン)アシッドホスフェート、4-スチリルメトキシブチルアシッドホスフェート、アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、アクリロイルテトラ(オキシエチレン)アシッドホスフェートなどが挙げられる。 【0030】 上記一般式(2)で表される単量体の好ましい具体例としては、例えばビスメタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ビスアクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートなどが挙げられる。」 摘記3c:実施例2に関する記載(段落0047及び0048) 「【0047】 実施例2 ビスアクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート(共栄社化学(株)製、ライトアクリレートP-2A)20g、アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート(共栄社化学(株)製ライトアクリレートP-1A)10g、ウレタンアクリレートプレポリマー(共栄社化学(株)製UF-8001、数平均分子量3200)3gをよく混合し重合性溶液を作製した。 【0048】 この重合性溶液をテフロン(登録商標)シートの表面に厚み50μmで塗工を行った。さらに、電子線照射装置(岩崎電気(株)製、CB250/15/180L)を用いて加速電圧180kV、線量50kGyの条件で電子線を照射し、テフロン(登録商標)シートを剥離し固体高分子電解質膜を得た。」 (4) 先願4の当初明細書等の記載 その出願後に「特開2022-167213号公報」として出願公開された先願4の願書に最初に添付された明細書及び特許請求の範囲(以下「先願4の当初明細書等」ともいう。)には、次のとおりの記載がある。 摘記4a:段落0013、0014及び0025~0027 「【0013】 本発明の硬化性人工爪組成物は、例えば、アクリロイル基含有重合性化合物、メタクリロイル基含有重合性化合物、及び重合開始剤を含み、任意にその他の成分を含んでいてもよい硬化性人工爪組成物により構成できる。 アクリロイル基含有重合性化合物、メタクリロイル基含有重合性化合物、重合開始剤、及びその他の成分としては、硬化性人工爪組成物に使用し得るものであれば特に限定されない。 硬化性人工爪組成物の全成分の合計100質量%に対して、アクリロイル基含有重合性化合物の含有量を30質量%以下と少なく、好ましくは29質量%以下とすることで、硬化時上昇温度を制御することができ、23℃以下にできる。 また、アクリロイル基含有重合性化合物について、硬化性人工爪組成物中のアクリロイル基含有重合性化合物及びメタクリロイル基含有重合性化合物の合計100質量%に対して、その含有量を少なく、例えば20質量%以下、好ましくは15質量%以下。より好ましくは12質量%以下とし、比較的反応性が低いメタクリロイル基含有重合性化合物の使用量を多くすることで、硬化時上昇温度を制御することができ、23℃以下にできる。 さらに、比較的重合度の高い(重量平均分子量の大きい)アクリロイル基含有重合性化合物及び/又はメタクリロイル基含有重合性化合物を用いることで、硬化時上昇温度を制御することができ、23℃以下にできる。 【0014】 アクリロイル基含有重合性化合物としては、アクリレートオリゴマー及びアクリレートモノマーからなる群より選ばれる1種類以上があげられる。 メタクリロイル基含有重合性化合物としては、メタクリレートオリゴマー及びメタクリレートモノマーからなる群より選ばれる1種類以上があげられる。 以下、アクリレートオリゴマー、アクリレートモノマー、メタクリレートオリゴマー及びメタクリレートモノマーについて詳細に説明する。 本明細書においては、アクリレートオリゴマー及びメタクリレートオリゴマーを、「(メタ)アクリレートオリゴマー」とし、アクリレートモノマー及びメタクリレートモノマーを、「(メタ)アクリレートモノマー」とする場合がある。・・・ 【0025】 ((メタ)アクリレートモノマー) (メタ)アクリレートモノマーは、(メタ)アクリロイル基を1個以上有するモノマーであれば、特に制限されない。一分子中に含まれる(メタ)アクリロイル基の数は特に制限されないが、硬化性人工爪組成物の硬化性、硬化塗膜の硬度等の観点から、1~10個、好ましくは1~8個、より好ましくは1~6個である。 本発明では、(メタ)アクリレートモノマーとして、(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレートモノマーより選ばれる1種類以上を用いることが好ましい。また、(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレートモノマーより選ばれる1種類以上と、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーより選ばれる1種類以上との混合物を用いることが好ましい。 【0026】 (メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等の一価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物;アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ-tert-ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジヘプチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジオクチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ-tert-オクチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジドデシル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジオクタデシル(メタ)アクリルアミドN,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリロイル基含有アミド化合物;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の含窒素アルキル(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート;4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2-シクロヘキシル-1,3-ジオキソラン、アダマンチル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4イル)メチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、(2-イソブチル-2-メチル-1,3-ジオキソラン-4イル)メチル(メタ)アクリレート、(2-エチル-2-メチル-1,3-ジオキソラン-4イル)メチル(メタ)アクリレート、(1,4-ジオキサスピロ[4,5]デカン-2イル)メチル(メタ)アクリレート、テトラフルフリルアルコールオリゴ(メタ)アクリレート、アルコキシ化テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、(メタ)アクリロイルモルホリン、N-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレ-ト、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、トリアジントリ(メタ)アクリレート、N-(メタ)アクリルオキシスクシンイミド、N-(メタ)アクリルオキシフタルイミド等の複素環含有(メタ)アクリレート等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。 【0027】 これらの(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレートモノマーのうち、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の一価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種類以上が好ましい。」 摘記4b:実施例1~11に関する記載(段落0055~0057及び0060) 「【0055】 <実施例1~11、比較例1~9> 表1及び表2に示す成分を、表1及び表2に示す量比(質量部)となるように容器内に投入し、ディゾルバーにより撹拌しつつ50℃に加温し撹拌した。撹拌後80℃で2時間静置し脱泡し、硬化性人工爪組成物を得た。これらの工程は、全て遮光下にて行った。 【0056】 表1及び表2中の成分は、それぞれ以下のとおりである。 (オリゴマー) PUA-1:ヒドロキシエチルメタクリレート、イソホロンジイソシアネート及びポリカーボネートジオールから得られるポリエーテルポリウレタンメタクリレート PUA-2:ヒドロキシエチルメタクリレート、イソホロンジイソシアネート及びポリプロピレングリコール(PPG#2000)から得られるポリエーテルポリウレタンメタクリレート (非反応性高分子) PU1:ポリウレタン樹脂 (重合開始剤) HCPK:1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド TBPB:tert-ブチルベンゾイルペルオキシド (添加剤) SiO2:ジメチルジクロロシラン表面処理疎水性ヒュームドシリカ(AEROSIL R972;日本アエロジル社製)(レオロジー調整剤) BHT:ジブチルヒドロキシトルエン(重合禁止剤) EL:乳酸エチル(溶剤) 【0057】 (メタクリレート系モノマー) HBMA:2-ヒドロキシブチルメタクリレート TMPMA:トリメチロールプロパントリメタクリレート PHME:リン酸ヘキサン酸メタクリル酸エチル及びリン酸ビス(ヘキサン酸メタクリル酸エチル)を含む混合物 n-LM:n-ラウリルメタクリレート IBXMA:イソボルニルメタクリレート BPA-DGEM:ビスフェノールAジグリシジルエーテルメタクリル酸付加物 (アクリレート系モノマー) HEAA:ヒドロキシエチルアクリルアミド IBXA:イソボルニルアクリレート DMAA:ジメチルアクリルアミド PMA:リン酸2-アクリロイルオキシエチル及びリン酸ビス(メタクリル酸オキシヒドロキシプロピル)を含む混合物・・・ 【0060】 【表1】 [図:0001401679000007.jpg] 」 2 当審合議体が通知した取消理由の理由A(拡大先願)の判断 (1) 理由A1について ア 先願発明1について 摘記1cの実施例4の記載からみて、先願1の当初明細書等には、以下の先願発明1が記載されているといえる。 <先願発明1> PA(リン酸2-アクリロイルオキシエチル及びリン酸ビス(2-アクリロイルオキシエチル)を含む混合物)3.4質量部、PU(ヒドロキシエチルメタクリレート、イソホロンジイソシアネート及びポリカーボネートジオールから得られるポリカーボネートポリウレタンメタクリレート)35.0質量部、IBXA(イソボルニルアクリレート)15.0質量部、HEMA(ヒドロキシエチルメタクリレート)38.6質量部、TPO(2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド)4.0質量部、HPK(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)4.0質量部からなる、光硬化性人工爪組成物。 イ 対比・判断 本件発明と先願発明1とを対比すると、先願発明1の「リン酸2-アクリロイルオキシエチル」及び「リン酸ビス(2-アクリロイルオキシエチル)」の各々は、本件発明の「(B)成分:以下の式で表される化合物 [図:0001401679000008.jpg] 」において、「n=1」及び「n=2」である化合物の各々に相当する。 また、先願発明1の「PU(ヒドロキシエチルメタクリレート、イソホロンジイソシアネート及びポリカーボネートジオールから得られるポリカーボネートポリウレタンメタクリレート)」と「IBXA(イソボルニルアクリレート)」と「HEMA(ヒドロキシエチルメタクリレート)」は、いずれも「アクリレート」又は「メタクリレート」に由来する「ラジカル重合性不飽和結合」を分子内に少なくとも1個有し、摘記1aの「(b)(メタ)アクリレート基を有しリン原子を有しないラジカル重合性化合物」に該当することから、本件発明の「(A)成分:分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物」に相当する。さらに、先願発明1の「IBXA(イソボルニルアクリレート)」は、本件発明の「イソボルニルアクリレート」そのものである。 そして、先願発明1の「TPO(2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド)」及び「HPK(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)」は、いずれも光によってラジカルを発生する重合開始剤であるから、本件発明の「(C)成分:ラジカル重合開始剤」に相当するし、先願発明1の「光硬化性人工爪組成物」は、本件発明の「人工爪組成物」に相当する。 そうすると、本件発明と先願発明1は、 「以下の(A)成分から(C)成分を含有する人工爪組成物であって、(A)成分として少なくともイソボルニルアクリレートを含有する人工爪組成物。 (A)成分:分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物 (B)成分:以下の式で表される化合物 [図:0001401679000009.jpg] (C)成分:ラジカル重合開始剤」 という点において一致し、以下の点で相違する。 相違点1:本件発明は、(A)成分としてイソボルニルメタクリレートを含有しているのに対して、先願発明1は、イソボルニルメタクリレートを含有していない点。 相違点1について検討すると、先願発明1は「イソボルニルアクリレート」だけでなく複数種の「(b)(メタ)アクリレート基を有しリン原子を有しないラジカル重合性化合物」を既に含有するものであり、「イソボルニルメタクリレート」も新たに含有させるものとはいえないから、当該相違点は実質的相違点といえる。 また、摘記1cの記載もあわせて検討してみても、先願1の当初明細書等には、「イソボルニルアクリレート」と「イソボルニルメタクリレート」を具体的に併用している光硬化性人工爪組成物の実施例の記載はなく、どの実施例の組成物も「イソボルニルメタクリレート」を含有していない。そして、摘記1bによると、「(b)(メタ)アクリレート基を有しリン原子を有しないラジカル重合性化合物」の膨大な例示のうちの一つとして、「イソボルニルメタクリレート」の記載はあるといえるものの、特定の選択肢に係る技術的思想を積極的あるいは優先的に選択すべき事情がない限り、具体的に「イソボルニルアクリレート」と「イソボルニルメタクリレート」の両方を光硬化性人工爪組成物に含有させるという当該特定の選択肢に係る具体的な技術的思想を抽出することはできないから、特定の「リン化合物」とともに「イソボルニルアクリレート」と「イソボルニルメタクリレート」を含有することが、一まとまりの技術的思想としての引用発明として認定できるとはいえない。 したがって、本件発明は先願1の当初明細書等に記載された発明と同一ではない。 ウ 申立人の意見書での主張について 申立人は、令和5年6月6日提出の意見書において、先願1の当初明細書等(摘記1b)の記載からみて、「イソボルニルアクリレートとイソボルニルメタクリレートの両方を含むものも記載されている」といえる旨の主張をしている。 しかしながら、上記イで説示したとおりであるから、申立人の主張は採用できない。 (2) 理由A2について ア 先願発明4について 摘記4aの【0013】には、「本発明の硬化性人工爪組成物は、例えば、アクリロイル基含有重合性化合物、メタクリロイル基含有重合性化合物、及び重合開始剤を含み、任意にその他の成分を含んでいてもよい硬化性人工爪組成物により構成できる」と記載され、同【0014】には、「アクリロイル基含有重合性化合物としては、アクリレートオリゴマー及びアクリレートモノマーからなる群より選ばれる1種類以上があげられる。メタクリロイル基含有重合性化合物としては、メタクリレートオリゴマー及びメタクリレートモノマーからなる群より選ばれる1種類以上があげられる。」と記載され、それに対応した摘記4bの実施例4、9及び10の記載からみて、先願4の当初明細書等には、以下の先願発明4が記載されているといえる。 <先願発明4> アクリロイル基含有重合性化合物、メタクリロイル基含有重合性化合物、及び重合開始剤を含み、アクリロイル基含有重合性化合物であるアクリレート系モノマーとして、PMA(リン酸2-アクリロイルオキシエチル及びリン酸ビス(メタクリル酸オキシヒドロキシプロピル)を含む混合物)並びにIBXA(イソボルニルアクリレート)を含有し、重合開始剤がHCPK(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、TPO(2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド)及び/又はTBPB(tert-ブチルベンゾイルペルオキシド)である硬化性人工爪組成物。 イ 対比・判断 本件発明と先願発明4とを対比すると、先願発明4の「リン酸2-アクリロイルオキシエチル」は、本件発明の「(B)成分:以下の式で表される化合物 [図:0001401679000010.jpg] 」において、「n=1」である化合物に相当し、先願発明4の「メタクリロイル基含有重合性化合物」及び「リン酸2-アクリロイルオキシエチル」以外の「アクリロイル基含有重合性化合物」は、いずれも本件発明の「(A)成分:分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物」に相当する。さらに、先願発明4の「IBXA(イソボルニルアクリレート)」は、本件発明の「イソボルニルアクリレート」そのものである。 そして、先願発明4の「HCPK(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)」、「TPO(2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド)」及び「TBPB(tert-ブチルベンゾイルペルオキシド)」は、光によってラジカルを発生する開始剤であるから、先願発明4の「重合開始剤」は、本件発明の「(C)成分:ラジカル重合開始剤」といえ、先願発明4の「硬化性人工爪組成物」は、本件発明の「人工爪組成物」に相当する。 そうすると、本件発明と先願発明4は、 「以下の(A)成分から(C)成分を含有する人工爪組成物であって、(A)成分として少なくともイソボルニルアクリレートを含有する人工爪組成物。 (A)成分:分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物 (B)成分:以下の式で表される化合物 [図:0001401679000011.jpg] (C)成分:ラジカル重合開始剤」 という点において一致し、以下の点で相違する。 相違点2:本件発明は、(A)成分としてイソボルニルメタクリレートを含有しているのに対して、先願発明4は、イソボルニルメタクリレートを含有していない点。 相違点2について検討すると、先願発明4は「イソボルニルアクリレート」だけでなく複数種の「モノマー」を既に含有するものであり、「イソボルニルメタクリレート」も新たに含有させているに等しいとはいえないから、当該相違点は実質的相違点といえる。 また、摘記4bの記載もあわせて検討してみても、先願4の当初明細書等には、「イソボルニルアクリレート」と「イソボルニルメタクリレート」を具体的に併用している光硬化性人工爪組成物の実施例の記載はなく、どの実施例の組成物も「イソボルニルアクリレート」と「イソボルニルメタクリレート」のどちらか一方のみを含有するものである。そして、摘記4aによると、「(メタ)アクリレートモノマー」の膨大な例示のうちの一つとして、「イソボルニル(メタ)アクリレート」の記載があるものの、特定の選択肢に係る技術的思想を積極的あるいは優先的に選択すべき事情がない限り、具体的に「イソボルニルアクリレート」と「イソボルニルメタクリレート」の両方を光硬化性人工爪組成物に含有させるという当該特定の選択肢に係る具体的な技術的思想を抽出することはできないから、特定の「リン化合物」とともに「イソボルニルアクリレート」と「イソボルニルメタクリレート」を含有することが、一まとまりの技術的思想としての引用発明として認定できるとはいえない。 したがって、本件発明は先願4の当初明細書等に記載された発明と同一ではない。 ウ 申立人の意見書での主張について 申立人は、令和5年6月6日提出の意見書において、先願4の当初明細書等(摘記4a)の記載からみて、「イソボルニルアクリレートとイソボルニルメタクリレートの両方を含むものも記載されている」といえる旨の主張をしている。 しかしながら、上記イで説示したとおりであるから、申立人の主張は採用できない。 (3) 小括 以上のとおり、本件発明は、先願1の当初明細書等に記載された発明及び先願4の当初明細書等に記載された発明と同一ではない。 したがって、請求項1についての取消理由(理由A)は、本件訂正により解消し、理由がない。 3 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由(理由2及び3)について (1) 理由2(新規性)について ア 甲2発明について 摘記2aによると、甲2には、成分(A)~(D)を含む人工爪原料組成物についての発明が記載され、それに対応した摘記2cの実施例6、13及び23の記載からみて、以下の甲2発明が記載されているといえる。 <甲2発明> 成分(A)1分子内に1個以上のラジカル重合性不飽和結合を有するラジカル重合性化合物、成分(B)、成分(C)、及び成分(D)を含む人工爪原料組成物において、成分(A)がA7(イソボルニルアクリレート)及びA8(イソボルニルメタクリレート)を含有し、成分(B)がB1(3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)又はB5(ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン)であり、成分(C)がC1(ジ(2-メタクリロキシエチル)ホスフェート)であり、成分(D)がD1(2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド)である人工爪原料組成物。 イ 対比・判断 本件発明と甲2発明とを対比すると、甲2発明の「成分(A)1分子内に1個以上のラジカル重合性不飽和結合を有するラジカル重合性化合物」、「A7(イソボルニルアクリレート)」、「A8(イソボルニルメタクリレート)」及び「人工爪原料組成物」は、それぞれ、本件発明の「(A)成分:分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物」、「イソボルニルアクリレート」、「イソボルニルメタクリレート」及び「人工爪組成物」に相当する。 そして、甲2発明の「D1(2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド)」は、光によってラジカルを発生する重合開始剤であるから、本件発明の「(C)成分:ラジカル重合開始剤」に相当する。 また、甲2発明の「C1(ジ(2-メタクリロキシエチル)ホスフェート)」は、本件発明の「(B)成分」同様、「ビニルカルボニルオキシエトキシリン酸化合物」の1種である。 そうすると、本件発明と甲2発明は、 「以下の(A)成分から(C)成分を含有する人工爪組成物であって、(A)成分として少なくともイソボルニルアクリレート及びイソボルニルメタクリレートを含有する人工爪組成物。 (A)成分:分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物 (B’)成分:ビニルカルボニルオキシエトキシリン酸化合物 (C)成分:ラジカル重合開始剤」 という点において一致し、以下の点で相違する。 相違点3:本件発明は、「(B’)成分:ビニルカルボニルオキシエトキシリン酸化合物」が「式 [図:0001401679000012.jpg] で表される化合物」であるのに対して、甲2発明は、「(B’)成分:ビニルカルボニルオキシエトキシリン酸化合物」が「ジ(2-メタクリロキシエチル)ホスフェート」である点。 相違点3について検討すると、甲2発明の「ジ(2-メタクリロキシエチル)ホスフェート」は、本件発明の式において、カルボニル基のα水素がメチル基であり、n=2の化合物である点でその分子構造が相違するから、当該相違点は実質的相違点である。 したがって、本件発明は甲2に記載された発明ではない。 ウ 申立人の主張について 申立人は、特許異議申立書において、甲2(摘記2b)の【0033】の記載からみて、「2-アクリロキシエチルホスフェート又はジ(2-アクリロキシエチルホスフェート」を含有する発明が認定できる旨の主張をしている。 たしかに、摘記2bによると、「(メタ)アクリレートは、「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味し」、「成分(C)」として、「2-(メタ)アクリロキシエチルホスフェート」及び「ジ(2-(メタ)アクリロキシエチルホスフェート」という例示の記載があることから(以下「ジ(2-(メタ)アクリロキシエチルホスフェート」は、「ジ(2-(メタ)アクリロキシエチル)ホスフェート」の誤記と認めた。)、「2-アクリロキシエチルホスフェート」及び「ジ(2-アクリロキシエチル)ホスフェート」についての例示の記載があるといえる。そして、両化合物は、それぞれ、本件発明の上記式において、n=1及び2である化合物に該当する。 しかしながら、摘記2cによると、全ての実施例の「成分(C)」は、「メタクリレート」であって「アクリレート」ではなく、摘記2bの記載では、「成分(C)」の膨大な例示のうちの一つとして、本件発明の「(B)成分」に関する一般的な記載があるにすぎないといえ、具体的に当該化合物を、「イソボルニルアクリレート」と「イソボルニルメタクリレート」とともに人工爪原料組成物に含有させるという技術的思想を甲2の記載から抽出することはできないから、前記2で検討したのと同様に、一まとまりの技術的思想としての引用発明として認定できるとはいえない。 よって、本件発明は甲2に記載された発明ではない。 したがって、申立人の主張は採用できない。 (2) 理由3(進歩性)について ア 甲2発明と本件発明に対する相違点 上記(1)アで示したとおり、甲2には甲2発明が記載され、上記(1)イで示したとおり、本件発明と甲2発明は相違点3で実質的に相違する。 イ 本件発明の容易想到性について (ア) 上記(1)ウで説示したとおり、摘記2bによると、甲2には、「2-アクリロキシエチルホスフェート」及び「ジ(2-アクリロキシエチル)ホスフェート」の記載があるといえたとしても、「(C)1分子内に1個以上のラジカル重合性不飽和結合を有するリン酸エステル」の膨大な例示のなかから、具体的に「2-アクリロキシエチルホスフェート」又は「ジ(2-アクリロキシエチル)ホスフェート」を、特定の成分(A)である「イソボルニルアクリレート及びイソボルニルメタクリレート」とともに、人工爪原料組成物に含有させる動機付けとなる記載はない(なお、甲2に記載の全ての実施例の「成分(C)」は、「メタクリレート」であって「アクリレート」ではない。)。 よって、甲2発明において、「ジ(2-メタクリロキシエチル)ホスフェート」を、特に、「2-アクリロキシエチルホスフェート」又は「ジ(2-アクリロキシエチル)ホスフェート」に変更することは、当業者が容易になし得たものではない。 また、本件発明は、本件明細書等の【0006】に記載のとおり、「本発明の目的は、天然爪と人工爪との良好な接着性と、人工爪を天然爪の爪甲から除去する際の容易な除去性とを両立した人工爪組成物を提供すること」を課題としているから、天然爪に対する単なる接着性の向上だけではなく、使用後の容易な除去性も必要とされるものである。そして、具体的実験例によると、例えば、本件発明の「(B)成分」である「B2:ビス(2-アクリロキシエチル)-フォスフェート」を使用した実施例9は、その成分のみを甲2発明の「ジ(2-メタクリロキシエチル)ホスフェート」である「B4:ビス(2-メタクリロキシエチル)-フォスフェート」に変更した比較例5に対して、接着性は保持したまま除去性が向上している効果が確認できる。そして、当該効果上の違いは、「(A)成分」が異なる他の実施例・比較例からも把握できる事項といえ、「イソボルニルアクリレート」と「イソボルニルメタクリレート」を「(A)成分」として含有する場合でも、「B2:ビス(2-アクリロキシエチル)-フォスフェート」と「B4:ビス(2-メタクリロキシエチル)-フォスフェート」の効果上の顕著な違いが把握できるといえる。 そうすると、本件発明の効果は甲2に記載された事項から、当業者が予測できるものとはいえない。 したがって、本件発明は、甲2に記載された発明に基いて当業者が容易になし得たものとはいえない。 (イ) つぎに、甲2発明と甲3に記載された事項との組合せについて検討する。 摘記3b及び3cによると、甲3には、本件発明の「(B)成分」に該当する化合物が記載されている。 しかしながら、摘記3aによると、甲3には、固体高分子型燃料電池の固体高分子電解質膜に関する発明が記載されているのであって、甲2に記載の技術分野とは全く異なるし、硬化によって得られた膜の機械的強度とプロトン導電性についての記載はあるものの、硬化によって得られた膜自体の接着性や除去性に関する知見は記載されていない。 そうすると、甲2発明と甲3に記載された事項の技術分野が異なり、両者に共通した作用機能の記載も存在しないのであるから、甲2発明において、甲3に記載の技術的事項を採用することの動機付けはないし、仮に組み合わせたとしても、甲3には、硬化した組成物の接着性や除去性についての効果の記載や示唆はなく、機械的強度とプロトン導電性の特性は、接着性や除去性の特性とは関連がないから、本件発明の効果は、甲2発明の効果と甲3に記載された事項から予測できるものでもない。 したがって、本件発明は、甲2及び甲3に記載された発明に基いて当業者が容易になし得たものとはいえない。 ウ まとめ 本件発明は、甲2に記載された発明、又は甲2及び甲3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 エ 申立人の主張について 申立人は、特許異議申立書において、以下の主張をしている。 (ア) 甲2発明に、甲3に記載の市販されている化合物を採用することは当業者が適宜なし得ることか、容易に想到することである。 (イ) 本件発明の除去性に関する効果の評価は、その基準が不明確であって、発明の効果を厳密に示すものではないから、本件発明の効果は格別顕著なものではない。 上記(ア)の主張については、上記イ(イ)で説示したとおり、両者を組み合わせる動機付けがなく、その他具体的な理由を示しておらず、当業者が適宜なし得るなどという主張だけでは、採用できない。 また、上記(イ)の主張については、除去性に関する効果は、明細書の【0079】の表7の除去性1の尺度で分類した「除去性1」と、同【0086】の表8の尺度で分類した「除去性2」の基準にしたがって、被験者が評価できるものであるから、採用できない。 したがって、申立人の主張は採用できない。 (3) 小括 以上より、申立人が申し立てた理由2及び3によっては、請求項1に係る特許を取り消すことはできない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由並びに申立人の申し立てた特許異議申立理由及び証拠によっては、本件請求項1に係る特許を取り消すことはできない。 また、ほかに本件請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700031

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