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特許無効審判

2017-800104

ランタン化合物を含む医薬組成物

審判番号
2017-800104
法域
特許
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
特願2015-196982
登録番号
特許第6093829号(P6093829)
請求日
2017年08月04日
審決日
2018年12月12日
公報発行日
2021年02月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】コーアイセイ 株式会社
  • 【請求人代理人】牧野 知彦
  • 【請求人代理人】堀籠 佳典
  • 【被請求人】バイエル薬品 株式会社
  • 【被請求人代理人】小野 誠
  • 【被請求人代理人】金山 賢教
  • 【被請求人代理人】坪倉 道明
  • 【被請求人代理人】川嵜 洋祐
  • 【被請求人代理人】五味渕 琢也
審判長/審判官
  • 審判長 蔵野 雅昭
  • 審判官 村上 騎見高
  • 審判官 穴吹 智子
分類
P1113.832-ZDA(A61K) / P1113.841-ZDA(A61K) / P1113.851-ZDA(A61K) / P1113.854-ZDA(A61K) / P1113.857-ZDA(A61K) / P1113.113-ZDA(A61K) / P1113.121-ZDA(A61K) / P1113.536-ZDA(A61K) / P1113.537-ZDA(A61K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法169条2項民事訴訟法61条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第134条の2第9項、特許法第134条の2第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第29条第2項、特許法第36条、特許法第36条第4項第1号、特許法第134条の2第6項、特許法第169条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

上記当事者間の特許第6093829号発明「ランタン化合物を含む医薬組成物」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 特許第6093829号の特許請求の範囲を平成30年8月3日付け訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔5、10~27〕、〔6、28~45〕、〔7、46~63〕について訂正することを認める。 特許第6093829号の請求項6、28~45に係る発明についての特許を無効とする。 特許第6093829号の請求項5、7、10~27、46~63に係る発明についての特許についての審判請求は、成り立たない。 特許第6093829号の請求項1~4、8~9に係る発明についての審判請求を却下する。 審判に関する費用については、その63分の44を請求人の負担とし、63分の19を被請求人の負担とする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 1 本件特許第6093829号(以下、「本件特許」ともいう。)の請求項1~27に係る発明についての出願(以下、「本件特許出願」ともいう。)は、平成27年10月2日に出願されたものであり、平成29年2月17日に特許権の設定登録がされたものである。 2 これに対して、請求人は平成29年8月4日付けで、上記請求項1~27に係る発明についての特許を無効にすることを求めて、本件特許無効審判を請求し、被請求人は平成29年10月30日付けで審判事件答弁書及び訂正請求書を提出した。これに対し、請求人は平成29年12月8日付け弁駁書を提出した。その後、被請求人は平成30年4月13日付け上申書と平成30年4月18日付け上申書を提出し、請求人は平成30年4月17日付け上申書を提出した。そして、平成30年4月19日に行われた口頭審理において、請求人は、審判請求書、平成29年12月8日付け弁駁書、平成30年4月5日付け口頭審理陳述要領書、及び平成30年4月17日付け上申書に記載のとおりの陳述をし、被請求人は平成29年10月30日付け審判事件答弁書、平成30年4月4日付け口頭審理陳述要領書、平成30年4月13日付け上申書及び平成30年4月18日付け上申書に記載のとおりの陳述をした。 3 その後、当審から平成30年5月31日付けで審決の予告がされ、被請求人は平成30年8月3日付け訂正請求書及び上申書を提出した。これに対し、請求人は平成30年9月12日付け弁駁書を提出した。 なお、平成30年8月3日付けで訂正の請求がされたので、平成29年10月30日付けの訂正の請求は、特許法第134条の2第6項により、取り下げられたものとみなされる。 第2 訂正請求について 1 訂正請求の趣旨 平成30年8月3日付けの訂正請求は、その請求の趣旨を「特許第6093829号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~63について訂正することを求める。」とするものである。 2 訂正事項 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5に「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、」との記載を組み入れ、「請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物」とあるうち、請求項1を引用するものについて独立形式に改める訂正をする(請求項5を直接的又は間接的に引用する請求項10~27も同様に訂正する)。 訂正事項6 特許請求の範囲の請求項5に「前記崩壊剤が、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、コムギデンプン、コメデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン及び部分アルファー化デンプンからなる群より選択される少なくとも一種を含む、」と記載されているのを、「前記崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であることを特徴とする、」に訂正する(請求項5を直接的又は間接的に引用する請求項10~27も同様に訂正する)。 訂正事項7 特許請求の範囲の請求項6に「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、」との記載を組み入れ、「請求項1~5のいずれか一項に記載の」とあるうち、請求項1を引用するものについて独立形式に改める訂正をする(請求項6を直接的又は間接的に引用する訂正前の請求項10~27に対応する訂正後の請求項28~45も同様に訂正する)。 訂正事項8 特許請求の範囲の請求項6に「前記崩壊剤が、少なくともクロスポビドンを含む、」と記載されているのを、「前記崩壊剤が、クロスポビドンであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%であり、但し、崩壊剤がGRANFILLER-D(登録商標)から成る錠剤は除く、」に訂正する(請求項6を直接的又は間接的に引用する訂正前の請求項10~27に対応する訂正後の請求項28~45も同様に訂正する)。 訂正事項9 特許請求の範囲の請求項7に「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、」との記載を組み入れ、「請求項1~6のいずれか一項に記載の」とあるうち、請求項1を引用するものについて独立形式に改める訂正をする(請求項7を直接的又は間接的に引用する訂正前の請求項10~27に対応する訂正後の請求項46~63も同様に訂正する)。 訂正事項10 特許請求の範囲の請求項7に「前記崩壊剤が、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む、」と記載されているのを、「前記崩壊剤が、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であることを特徴とする、」に訂正する(請求項7を直接的又は間接的に引用する訂正前の請求項10~27に対応する訂正後の請求項26~63も同様に訂正する)。 訂正事項11 特許請求の範囲の請求項8を削除する。 訂正事項12 特許請求の範囲の請求項9を削除する。 訂正事項13 特許請求の範囲の請求項10に「請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬組成物」とあるのを、「請求項5に記載の医薬組成物」と訂正する(請求項10を引用する請求項11~13も同様に訂正する)。 訂正事項14 特許請求の範囲の請求項14に「請求項1~13のいずれか一項に記載の医薬組成物」とあるのを、「請求項5及び10~13のいずれか一項に記載の医薬組成物」と訂正する(請求項14を引用する請求項15~17も同様に訂正する)。 訂正事項15 特許請求の範囲の請求項18に「請求項1~17のいずれか一項に記載の医薬組成物」とあるのを、「請求項5及び10~17のいずれか一項に記載の医薬組成物」と訂正する(請求項18を引用する請求項19~22も同様に訂正する)。 訂正事項16 特許請求の範囲の請求項23に「請求項1~22のいずれか一項に記載の医薬組成物」とあるのを、「請求項5及び10~22のいずれか一項に記載の医薬組成物」と訂正する。 訂正事項17 特許請求の範囲の請求項24に「請求項2~23のいずれか一項に記載の医薬組成物」とあるのを、「請求項5及び10~23のいずれか一項に記載の医薬組成物」と訂正する。 訂正事項18 特許請求の範囲の請求項25に「請求項2~24のいずれか一項に記載の医薬組成物」とあるのを、「請求項5及び10~24のいずれか一項に記載の医薬組成物」と訂正する。 訂正事項19 特許請求の範囲の請求項26に「請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬組成物」とあるのを、「請求項5及び10~25のいずれか一項に記載の医薬組成物」と訂正する。 訂正事項20 特許請求の範囲の請求項27に「請求項1~26のいずれか一項に記載の医薬組成物」とあるのを、「請求項5及び10~26のいずれか一項に記載の医薬組成物」と訂正する。 訂正事項21 特許請求の範囲の請求項10に「請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬組成物」とあるうち、「請求項6に記載の医薬組成物」に係る部分を、新たに請求項28として訂正する(請求項10を引用する請求項11~13も同様に、新たに請求項29~31として訂正する)。 訂正事項22 特許請求の範囲の請求項14に「請求項1~13のいずれか一項に記載の医薬組成物」とあるうち、「請求項6に記載の医薬組成物」に係る部分を、「請求項6及び28~31のいずれか一項に記載の医薬組成物」として、新たな請求項32として訂正する(請求項14を引用する請求項15~17も同様に、新たな請求項33~35として訂正する)。 訂正事項23 特許請求の範囲の請求項18に「請求項1~17のいずれか一項に記載の医薬組成物」とあるうち、「請求項6に記載の医薬組成物」に係る部分を、「請求項6及び28~35のいずれか一項に記載の医薬組成物」として、新たな請求項36として訂正する(請求項18を引用する請求項19~22も同様に、新たな請求項37~40として訂正する)。 訂正事項24 特許請求の範囲の請求項23に「請求項1~22のいずれか一項に記載の医薬組成物」とあるうち、「請求項6に記載の医薬組成物」に係る部分を、「請求項6及び28~40のいずれか一項に記載の医薬組成物」として、新たな請求項41として訂正する。 訂正事項25 特許請求の範囲の請求項24に「請求項2~23のいずれか一項に記載の医薬組成物」とあるうち、「請求項6に記載の医薬組成物」に係る部分を、「請求項6及び28~41のいずれか一項に記載の医薬組成物」として、新たな請求項42として訂正する。 訂正事項26 特許請求の範囲の請求項25に「請求項2~24のいずれか一項に記載の医薬組成物」とあるうち、「請求項6に記載の医薬組成物」に係る部分を、「請求項6及び28~42のいずれか一項に記載の医薬組成物」として、新たな請求項43として訂正する。 訂正事項27 特許請求の範囲の請求項26に「請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬組成物」とあるうち、「請求項6に記載の医薬組成物」に係る部分を、「請求項6及び28~43のいずれか一項に記載の医薬組成物」として、新たな請求項44として訂正する。 訂正事項28 特許請求の範囲の請求項27に「請求項1~26のいずれか一項に記載の医薬組成物」とあるうち、「請求項6に記載の医薬組成物」に係る部分を、「請求項6及び28~44のいずれか一項に記載の医薬組成物」として、新たな請求項45として訂正する。 訂正事項29 特許請求の範囲の請求項10に「請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬組成物」とあるうち、「請求項7に記載の医薬組成物」に係る部分を、新たに請求項46として訂正する(請求項10を引用する請求項11~13も同様に、新たに請求項47~49として訂正する)。 訂正事項30 特許請求の範囲の請求項14に「請求項1~13のいずれか一項に記載の医薬組成物」とあるうち、「請求項7に記載の医薬組成物」に係る部分を、「請求項7及び46~49のいずれか一項に記載の医薬組成物」として、新たな請求項50として訂正する(請求項14を引用する請求項15~17も同様に、新たな請求項51~53として訂正する)。 訂正事項31 特許請求の範囲の請求項18に「請求項1~17のいずれか一項に記載の医薬組成物」とあるうち、「請求項7に記載の医薬組成物」に係る部分を、「請求項7及び46~53のいずれか一項に記載の医薬組成物」として、新たな請求項54として訂正する(請求項18を引用する請求項19~22も同様に、新たな請求項55~58として訂正する)。 訂正事項32 特許請求の範囲の請求項23に「請求項1~22のいずれか一項に記載の医薬組成物」とあるうち、「請求項7に記載の医薬組成物」に係る部分を、「請求項7及び46~58のいずれか一項に記載の医薬組成物」として、新たな請求項59として訂正する。 訂正事項33 特許請求の範囲の請求項24に「請求項2~13のいずれか一項に記載の医薬組成物」とあるうち、「請求項7に記載の医薬組成物」に係る部分を、「請求項7及び46~59のいずれか一項に記載の医薬組成物」として、新たな請求項60として訂正する。 訂正事項34 特許請求の範囲の請求項25に「請求項2~24のいずれか一項に記載の医薬組成物」とあるうち、「請求項7に記載の医薬組成物」に係る部分を、「請求項7及び46~60のいずれか一項に記載の医薬組成物」として、新たな請求項61として訂正する。 訂正事項35 特許請求の範囲の請求項26に「請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬組成物」とあるうち、「請求項7に記載の医薬組成物」に係る部分を、「請求項7及び46~61のいずれか一項に記載の医薬組成物」として、新たな請求項62として訂正する。 訂正事項36 特許請求の範囲の請求項27に「請求項1~26のいずれか一項に記載の医薬組成物」とあるうち、「請求項7に記載の医薬組成物」に係る部分を、「請求項7及び46~62のいずれか一項に記載の医薬組成物」として、新たな請求項63として訂正する。 3 訂正の適否 (1)訂正の目的について 訂正事項1~訂正事項4は、それぞれ訂正前の請求項1~請求項4を削除するものであるから、いずれも特許法第134条の2第1項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項5及び訂正事項6は、訂正前の請求項5が訂正前の請求項1~4のいずれか一項を引用して記載されていたものであるところ、当該請求項を引用する旨の記載を削除するとともに、訂正前の請求項1を引用して記載されていたものを、訂正前の「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする、」との発明特定事項を、「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、」との発明特定事項にすることにより、さらに限定し、訂正前の「前記崩壊剤が、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、コムギデンプン、コメデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン及び部分アルファー化デンプンからなる群より選択される少なくとも一種を含む、」との発明特定事項を、「前記崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」との発明特定事項にすることにより、さらに限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項7及び訂正事項8は、訂正前の請求項6が訂正前の請求項1~5のいずれか一項を引用して記載されていたものであるところ、当該請求項を引用する旨の記載を削除するとともに、訂正前の請求項1を引用して記載されていたものを、訂正前の「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする、」との発明特定事項を、「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、」との発明特定事項にすることにより、さらに限定し、訂正前の「前記崩壊剤が、少なくともクロスポビドンを含む、」との発明特定事項を、「前記崩壊剤が、クロスポビドンであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%であり、但し、崩壊剤がGRANFILLER-D(登録商標)から成る錠剤は除く、」との発明特定事項にすることにより、さらに限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項9及び訂正事項10は、訂正前の請求項7が訂正前の請求項1~6のいずれか一項を引用して記載されていたものであるところ、当該請求項を引用する旨の記載を削除するとともに、訂正前の請求項1を引用して記載されていたものを、訂正前の「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする、」との発明特定事項を、「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、」との発明特定事項にすることにより、さらに限定し、訂正前の「前記崩壊剤が、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む、」との発明特定事項を、「前記崩壊剤が、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であることを特徴とする、」との発明特定事項にすることにより、さらに限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項11、訂正事項12は、それぞれ訂正前の請求項8、請求項9を削除するものであるから、いずれも特許法第134条の2第1項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項13は、訂正前の請求項10が訂正前の請求項1~9のいずれか一項を引用して記載されていたものであるところ、当該請求項を引用する旨の記載を削除するとともに、訂正事項5及び訂正事項6に係る訂正後の請求項5を引用して記載することにより、限定するものである。そして、その限定により、訂正前の請求項10を引用して記載されていた訂正前の請求項11、訂正前の請求項10又は11を引用して記載されていた訂正前の請求項12、訂正前の請求項10~12のいずれか一項を引用して記載されていた訂正前の請求項13もまた限定し、それぞれ訂正後の請求項11、訂正後の請求項12、訂正後の請求項13として記載するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項14は、訂正前の請求項14が訂正前の請求項1~13のいずれか一項を引用して記載されていたものであるところ、当該請求項を引用する旨の記載を削除するとともに、訂正後の請求項5及び10~13のいずれか一項を引用して記載することにより、限定するものである。そして、その限定により、訂正前の請求項14を引用して記載されていた訂正前の請求項15、訂正前の請求項14又は15を引用して記載されていた訂正前の請求項16、訂正前の請求項14~16のいずれか一項を引用して記載されていた訂正前の請求項17もまた限定し、それぞれ訂正後の請求項15、訂正後の請求項16、訂正後の請求項17として記載するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項15は、訂正前の請求項18が訂正前の請求項1~17のいずれか一項を引用して記載されていたものであるところ、当該請求項を引用する旨の記載を削除するとともに、訂正後の請求項5及び10~17のいずれか一項を引用して記載することにより、限定するものである。そして、その限定により、訂正前の請求項18を引用して記載されていた訂正前の請求項19、訂正前の請求項18又は19を引用して記載されていた訂正前の請求項20、訂正前の請求項18~20のいずれか一項を引用して記載されていた訂正前の請求項21、請求項18~21のいずれか一項を引用して記載されていた訂正前の請求項22もまた限定し、それぞれ訂正後の請求項19、訂正後の請求項20、訂正後の請求項21、訂正後の請求項22として記載するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項16は、訂正前の請求項23が訂正前の請求項1~22のいずれか一項を引用して記載されていたものであるところ、当該請求項を引用する旨の記載を削除するとともに、訂正後の請求項5及び10~22のいずれか一項を引用して記載することにより、限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項17は、訂正前の請求項24が訂正前の請求項2~23のいずれか一項を引用して記載されていたものであるところ、当該請求項を引用する旨の記載を削除するとともに、訂正後の請求項5及び10~23のいずれか一項を引用して記載することにより、限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項18は、訂正前の請求項25が訂正前の請求項2~24のいずれか一項を引用して記載されていたものであるところ、当該請求項を引用する旨の記載を削除するとともに、訂正後の請求項5及び10~24のいずれか一項を引用して記載することにより、限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項19は、訂正前の請求項26が訂正前の請求項1~25のいずれか一項を引用して記載されていたものであるところ、当該請求項を引用する旨の記載を削除するとともに、訂正後の請求項5及び10~25のいずれか一項を引用して記載することにより、限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項20は、訂正前の請求項27が訂正前の請求項1~26のいずれか一項を引用して記載されていたものであるところ、当該請求項を引用する旨の記載を削除するとともに、訂正後の請求項5及び10~26のいずれか一項を引用して記載することにより、限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項21は、訂正前の請求項10が訂正前の請求項1~9のいずれか一項を引用して記載されていたものであるところ、当該請求項を引用する旨の記載を削除するとともに、訂正後の請求項6を引用する訂正後の請求項28として記載することにより、限定するものであって、その限定により、訂正前の請求項10を引用して記載されていた訂正前の請求項11、訂正前の請求項10又は11を引用して記載されていた訂正前の請求項12、訂正前の請求項10~12のいずれか一項を引用して記載されていた訂正前の請求項13もまた限定し、それぞれ訂正後の請求項29、訂正後の請求項30、訂正後の請求項31として記載するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項22は、訂正前の請求項14が訂正前の請求項1~13のいずれか一項を引用して記載されていたものであるところ、当該請求項を引用する旨の記載を削除するとともに、訂正後の請求項6及び28~31のいずれか一項を引用する訂正後の請求項32として記載することにより、限定するものであって、その限定により、訂正前の請求項14を引用して記載されていた訂正前の請求項15、訂正前の請求項14又は15を引用して記載されていた訂正前の請求項16、訂正前の請求項14~16のいずれか一項を引用して記載されていた訂正前の請求項17もまた限定し、それぞれ訂正後の請求項33、訂正後の請求項34、訂正後の請求項35として記載するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項23は、訂正前の請求項18が訂正前の請求項1~17のいずれか一項を引用して記載されていたものであるところ、当該請求項を引用する旨の記載を削除するとともに、訂正後の請求項6及び28~35のいずれか一項を引用する訂正後の請求項36として記載することにより、限定するものである。そして、その限定により、訂正前の請求項18を引用して記載されていた訂正前の請求項19、訂正前の請求項18又は19を引用して記載されていた訂正前の請求項20、訂正前の請求項18~20のいずれか一項を引用して記載されていた訂正前の請求項21、訂正前の請求項18~21のいずれか一項を引用して記載されていた訂正前の請求項22もまた限定し、それぞれ訂正後の請求項37、訂正後の請求項38、訂正後の請求項39、訂正後の請求項40として記載するものである。 したがって、訂正事項23は、特許法第134条の2第1項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項24は、訂正前の請求項23が訂正前の請求項1~22のいずれか一項を引用して記載されていたものであるところ、当該請求項を引用する旨の記載を削除するとともに、訂正後の請求項6及び28~40のいずれか一項を引用する訂正後の請求項41として記載することにより、限定するものであるから、訂正事項24は、特許法第134条の2第1項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項25は、訂正前の請求項24が訂正前の請求項2~23のいずれか一項を引用して記載されていたものであるところ、当該請求項を引用する旨の記載を削除するとともに、訂正後の請求項6及び28~41のいずれか一項を引用する訂正後の請求項42として記載することにより、限定するものであるから、訂正事項25は、特許法第134条の2第1項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項26は、訂正前の請求項25が訂正前の請求項2~24のいずれか一項を引用して記載されていたものであるところ、当該請求項を引用する旨の記載を削除するとともに、訂正後の請求項6及び28~42のいずれか一項を引用する訂正後の請求項43として記載することにより、限定するものであるから、訂正事項26は、特許法第134条の2第1項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項27は、訂正前の請求項26が訂正前の請求項1~25のいずれか一項を引用して記載されていたものであるところ、当該請求項を引用する旨の記載を削除するとともに、訂正後の請求項6及び28~43のいずれか一項を引用する訂正後の請求項44として記載することにより、限定するものであるから、訂正事項27は、特許法第134条の2第1項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項28は、訂正前の請求項27が訂正前の請求項1~26のいずれか一項を引用して記載されていたものであるところ、当該請求項を引用する旨の記載を削除するとともに、訂正後の請求項6及び28~44のいずれか一項を引用する訂正後の請求項45として記載することにより、限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項29は、訂正前の請求項10が訂正前の請求項1~9のいずれか一項を引用して記載されていたものであるところ、当該請求項を引用する旨の記載を削除するとともに、訂正後の請求項7を引用する訂正後の請求項46として記載することにより、限定するものである。そして、その限定により、訂正前の請求項10を引用して記載されていた訂正前の請求項11、訂正前の請求項10又は11を引用して記載されていた訂正前の請求項12、訂正前の請求項10~12のいずれか一項を引用して記載されていた訂正前の請求項13もまた限定し、それぞれ訂正後の請求項47、訂正後の請求項48、訂正後の請求項49として記載するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項30は、訂正前の請求項14が訂正前の請求項1~13のいずれか一項を引用して記載されていたものであるところ、当該請求項を引用する旨の記載を削除するとともに、訂正後の請求項7及び46~49のいずれか一項を引用する訂正後の請求項50として記載することにより、限定するものである。そして、その限定により、訂正前の請求項14を引用して記載されていた訂正前の請求項15、訂正前の請求項14又は15を引用して記載されていた訂正前の請求項16、訂正前の請求項14~16のいずれか一項を引用して記載されていた訂正前の請求項17もまた限定し、それぞれ訂正後の請求項51、訂正後の請求項52、訂正後の請求項53として記載するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項31は、訂正前の請求項18が訂正前の請求項1~17のいずれか一項を引用して記載されていたものであるところ、当該請求項を引用する旨の記載を削除するとともに、訂正後の請求項7及び46~53のいずれか一項を引用する訂正後の請求項54として記載することにより、限定するものである。そして、その限定により、訂正前の請求項18を引用して記載されていた訂正前の請求項19、訂正前の請求項18又は19を引用して記載されていた訂正前の請求項20、訂正前の請求項18~20のいずれか一項を引用して記載されていた訂正前の請求項21、訂正前の請求項18~21のいずれか一項を引用して記載されていた訂正前の請求項22もまた限定し、それぞれ訂正後の請求項55、訂正後の請求項56、訂正後の請求項57、訂正後の請求項58として記載するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項32は、訂正前の請求項23が訂正前の請求項1~22のいずれか一項を引用して記載されていたものであるところ、当該請求項を引用する旨の記載を削除するとともに、訂正後の請求項7及び46~58のいずれか一項を引用する訂正後の請求項41として記載することにより、限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項33は、訂正前の請求項24が訂正前の請求項2~23のいずれか一項を引用して記載されていたものであるところ、当該請求項を引用する旨の記載を削除するとともに、訂正後の請求項7及び46~59のいずれか一項を引用する訂正後の請求項60として記載することにより、限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項34は、訂正前の請求項25が訂正前の請求項2~24のいずれか一項を引用して記載されていたものであるところ、当該請求項を引用する旨の記載を削除するとともに、訂正後の請求項7及び46~60のいずれか一項を引用する訂正後の請求項61として記載することにより、限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項35は、訂正前の請求項26が訂正前の請求項1~25のいずれか一項を引用して記載されていたものであるところ、当該請求項を引用する旨の記載を削除するとともに、訂正後の請求項7及び46~61のいずれか一項を引用する訂正後の請求項62として記載することにより、限定するものであるから、訂正事項35は、特許法第134条の2第1項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項36は、訂正前の請求項27が訂正前の請求項1~26のいずれか一項を引用して記載されていたものであるところ、当該請求項を引用する旨の記載を削除するとともに、訂正後の請求項7及び46~62のいずれか一項を引用する訂正後の請求項63として記載することにより、限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2)新規事項追加の有無 訂正事項1~訂正事項4は、それぞれ訂正前の請求項1~請求項4を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。 訂正事項5については、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の段落【0004】に「水なしで容易に服用できる製剤としては、唾液又は少量の水により口腔内で崩壊させて経口投与する、口腔内崩壊製剤(Orally Disintegrating Preparation;OD製剤ともいう)が知られている。これらの剤形は錠剤やフィルム剤が多く、特に汎用剤形の錠剤、つまり口腔内崩壊錠(Orally Disintegrating Tablet;OD錠ともいう)においては、速やかな崩壊性と高い硬度という、相反する製剤特性を両立する必要があり、多種多様な製剤技術や関連製品が公開・市販されている。」と記載され、同段落【0014】に「本発明により、炭酸ランタンを薬効成分とする、服用感に優れ、高品質なOD製剤が得られる。当該OD製剤は、速やかな崩壊性と高い硬度、さらには低い摩損度を両立し、炭酸ランタンに由来する微量の不純物や分解物の定量的評価が可能で、通常の包装形態で安定である。」と記載され、同段落【0018】に「本発明の一形態は、錠剤である前記医薬組成物である。」と記載され、同段落【0058】以降に実施例として、錠剤であるOD製剤が記載されていることから、訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に規定する要件に適合する。 訂正事項6については、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の段落【0023】に「本発明の医薬組成物は崩壊剤を含有することができ、……、クロスポビドン、……、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、……からなる群より選択される少なくとも一種を含むのが好ましく、優れた錠剤特性(速やかな崩壊性、高い硬度、低い摩損度)のためには、少なくともクロスポビドンを含むのがより好ましく、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含むのが特に好ましい。……、当該低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率は1~12質量%の範囲内が好ましい。」と記載され、同段落【0079】に「日局崩壊時間以外の目標品質を満たした、実施例2(表3)の処方をベースとした改良検討の結果を表4及び5に示す。」と記載されるとともに同段落【0081】に 「崩壊剤として、クロスポビドンと低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを特定の比率で組み合わせることにより、すべての目標品質(錠剤硬度、摩損度、崩壊時間(日局、口腔内)、微量不純物・分解物の評価)を満たした。 【表4】 【表5】 」と記載されており、医薬組成物に崩壊剤としてクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含むとともに、クロスポビドンの含有率の下限を1.7質量%にし、上限を12質量%にすること、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの含有率の1.7質量%にし、上限を12質量%にすることが示されていることから、訂正事項6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に規定する要件に適合する。 訂正事項7については、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の段落【0004】に「水なしで容易に服用できる製剤としては、唾液又は少量の水により口腔内で崩壊させて経口投与する、口腔内崩壊製剤(Orally Disintegrating Preparation;OD製剤ともいう)が知られている。これらの剤形は錠剤やフィルム剤が多く、特に汎用剤形の錠剤、つまり口腔内崩壊錠(Orally Disintegrating Tablet;OD錠ともいう)においては、速やかな崩壊性と高い硬度という、相反する製剤特性を両立する必要があり、多種多様な製剤技術や関連製品が公開・市販されている。」と記載され、同段落【0014】に「本発明により、炭酸ランタンを薬効成分とする、服用感に優れ、高品質なOD製剤が得られる。当該OD製剤は、速やかな崩壊性と高い硬度、さらには低い摩損度を両立し、炭酸ランタンに由来する微量の不純物や分解物の定量的評価が可能で、通常の包装形態で安定である。」と記載され、同段落【0018】に「本発明の一形態は、錠剤である前記医薬組成物である。」と記載され、同段落【0058】以降に実施例として、錠剤であるOD製剤が記載されていることから、訂正事項7は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に規定する要件に適合する。 訂正事項8については、訂正前の請求項8に「前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5~12質量%であることを特徴とする、請求項5~7のいずれか一項に記載の医薬組成物。」と記載されており、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の段落【0023】に「本発明の医薬組成物は崩壊剤を含有することができ、……、クロスポビドン、……、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、……からなる群より選択される少なくとも一種を含むのが好ましく、優れた錠剤特性(速やかな崩壊性、高い硬度、低い摩損度)のためには、少なくともクロスポビドンを含むのがより好ましく、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含むのが特に好ましい。当該クロスポビドンの医薬組成物中の含有率は5~12質量%の範囲内が好ましく、……。」と記載され、同段落【0079】に「日局崩壊時間以外の目標品質を満たした、実施例2(表3)の処方をベースとした改良検討の結果を表4及び5に示す。」と記載されるとともに同段落【0081】に 「崩壊剤として、クロスポビドンと低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを特定の比率で組み合わせることにより、すべての目標品質(錠剤硬度、摩損度、崩壊時間(日局、口腔内)、微量不純物・分解物の評価)を満たした。 【表4】 【表5】 」と記載されており、医薬組成物に崩壊剤としてクロスポビドンを含むとともに、クロスポビドンの含有率を12.4質量%、12.3質量%、12.3質量%、5.6質量%にすることが示されており、さらに、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の段落【0066】に 「[プレミックス型添加剤を利用したOD製剤] 市販のプレミックス型添加剤の中でも、高含量化・小型化に適していると言われるGRANFILLER-D(登録商標)を用いた検討結果を表1に示す。」と記載されるとともに同段落【0069】に 「【表1】 」と記載され、プレミックス型添加剤のGRANFILLER-D(登録商標)を用いた例が実施例としてではなく比較例1として示されていることから、訂正事項8は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に規定する要件に適合する。 訂正事項9については、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の段落【0004】に「水なしで容易に服用できる製剤としては、唾液又は少量の水により口腔内で崩壊させて経口投与する、口腔内崩壊製剤(Orally Disintegrating Preparation;OD製剤ともいう)が知られている。これらの剤形は錠剤やフィルム剤が多く、特に汎用剤形の錠剤、つまり口腔内崩壊錠(Orally Disintegrating Tablet;OD錠ともいう)においては、速やかな崩壊性と高い硬度という、相反する製剤特性を両立する必要があり、多種多様な製剤技術や関連製品が公開・市販されている。」と記載され、同段落【0014】に「本発明により、炭酸ランタンを薬効成分とする、服用感に優れ、高品質なOD製剤が得られる。当該OD製剤は、速やかな崩壊性と高い硬度、さらには低い摩損度を両立し、炭酸ランタンに由来する微量の不純物や分解物の定量的評価が可能で、通常の包装形態で安定である。」と記載され、同段落【0018】に「本発明の一形態は、錠剤である前記医薬組成物である。」と記載され、同段落【0058】以降に実施例として、錠剤であるOD製剤が記載されていることから、訂正事項9は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に規定する要件に適合する。 訂正事項10については、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の段落【0023】に「本発明の医薬組成物は崩壊剤を含有することができ、……、クロスポビドン、……、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、……からなる群より選択される少なくとも一種を含むのが好ましく、優れた錠剤特性(速やかな崩壊性、高い硬度、低い摩損度)のためには、少なくともクロスポビドンを含むのがより好ましく、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含むのが特に好ましい。……、当該低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率は1~12質量%の範囲内が好ましい。」と記載され、同段落【0079】に「日局崩壊時間以外の目標品質を満たした、実施例2(表3)の処方をベースとした改良検討の結果を表4及び5に示す。」と記載されるとともに同段落【0081】に 「崩壊剤として、クロスポビドンと低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを特定の比率で組み合わせることにより、すべての目標品質(錠剤硬度、摩損度、崩壊時間(日局、口腔内)、微量不純物・分解物の評価)を満たした。 【表4】 【表5】 」と記載されており、医薬組成物に崩壊剤としてクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含むとともに、クロスポビドンの含有率の下限を1.7質量%にし、上限を12質量%にすること、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの含有率の1.7質量%にし、上限を12質量%にすることが示されていることから、訂正事項10は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に規定する要件に適合する。 訂正事項11、訂正事項12はそれぞれ、訂正前の請求項11、同請求項4を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。 訂正事項13~訂正事項20はそれぞれ、訂正前の請求項10、同請求項14、同請求項18、同請求項23、同請求項24、同請求項25、同請求項26、同請求項27が引用する請求項から請求項1~4及び6~9を除外するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。 訂正事項21は、訂正前の請求項10が引用する請求項から請求項1~5及び7~9を除外した上で新たな請求項28とし、それに伴い、訂正前の請求項11~13をそれぞれ対応する新たな請求項29~31とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。 訂正事項22は、訂正前の請求項14が引用する請求項1~13のうち請求項1~5及び7~9を除外するとともに、訂正前の請求項10~13が訂正事項21により新たな請求項28~31とされたことに対応させて、訂正前の請求項14を新たな請求項6及び28~31を引用する新たな請求項32とし、それに伴い、訂正前の請求項15~17をそれぞれ対応する新たな請求項33~35とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。 訂正事項23は、訂正前の請求項18が引用する請求項のうち請求項1~5及び7~9を除外するとともに、訂正前の請求項10~13が訂正事項21により新たな請求項28~31とされ、訂正前の請求項14~17が訂正事項22により新たな請求項32~35とされたことに対応させて、訂正前の請求項18を新たな請求項6及び28~35を引用する新たな請求項36とし、それに伴い、訂正前の請求項19~22をそれぞれ対応する新たな請求項37~40とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。 訂正事項24は、訂正前の請求項23が引用する請求項のうち請求項1~5及び7~9を除外するとともに、訂正前の請求項10~13が訂正事項21により新たな請求項28~31とされ、訂正前の請求項14~17が訂正事項22により新たな請求項32~35とされ、訂正前の請求項18~22が訂正事項23により新たな請求項36~40とされたことに対応させて、訂正前の請求項23を新たな請求項6及び28~40を引用する新たな請求項41とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。 訂正事項25は、訂正前の請求項24が引用する請求項のうち請求項2~5及び7~9を除外するとともに、訂正前の請求項10~13が訂正事項21により新たな請求項28~31とされ、訂正前の請求項14~17が訂正事項22により新たな請求項32~35とされ、訂正前の請求項18~22が訂正事項23により新たな請求項36~40とされ、訂正前の請求項23が訂正事項24により新たな請求項41とされたことに対応させて、訂正前の請求項24を新たな請求項6及び28~41を引用する新たな請求項42とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。 訂正事項26は、訂正前の請求項25が引用する請求項のうち請求項2~5及び7~9を除外するとともに、訂正前の請求項10~13が訂正事項21により新たな請求項28~31とされ、訂正前の請求項14~17が訂正事項22により新たな請求項32~35とされ、訂正前の請求項18~22が訂正事項23により新たな請求項36~40とされ、訂正前の請求項23が訂正事項24により新たな請求項41とされ、訂正前の請求項24が訂正事項25により新たな請求項42とされたことに対応させて、訂正前の請求項25を新たな請求項6及び28~42を引用する新たな請求項43とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。 訂正事項27は、訂正前の請求項26が引用する請求項のうち請求項1~5及び7~9を除外するとともに、訂正前の請求項10~13が訂正事項21により新たな請求項28~31とされ、訂正前の請求項14~17が訂正事項22により新たな請求項32~35とされ、訂正前の請求項18~22が訂正事項23により新たな請求項36~40とされ、訂正前の請求項23が訂正事項24により新たな請求項41とされ、訂正前の請求項24が訂正事項25により新たな請求項42とされ、訂正前の請求項25が訂正事項26により新たな請求項43とされたことに対応させて、訂正前の請求項26を新たな請求項6及び28~43を引用する新たな請求項44とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。 訂正事項28は、訂正前の請求項27が引用する請求項のうち請求項1~5及び7~9を除外するとともに、訂正前の請求項10~13が訂正事項21により新たな請求項28~31とされ、訂正前の請求項14~17が訂正事項22により新たな請求項32~35とされ、訂正前の請求項18~22が訂正事項23により新たな請求項36~40とされ、訂正前の請求項23が訂正事項24により新たな請求項41とされ、訂正前の請求項24が訂正事項25により新たな請求項42とされ、訂正前の請求項25が訂正事項26により新たな請求項43とされ、訂正前の請求項26が訂正事項27により新たな請求項44とされたことに対応させて、訂正前の請求項27を新たな請求項6及び28~44を引用する新たな請求項45とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。 訂正事項29は、訂正前の請求項10が引用する請求項から請求項1~6及び8~9を除外した上で新たな請求項46とし、それに伴い、訂正前の請求項11~13をそれぞれ対応する新たな請求項47~49とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。 訂正事項30は、訂正前の請求項14が引用する請求項1~13のうち請求項1~6及び8~9を除外するとともに、訂正前の請求項10~13が訂正事項29により新たな請求項46~49とされたことに対応させて、訂正前の請求項14を新たな請求項7及び46~49を引用する新たな請求項50とし、それに伴い、訂正前の15~17をそれぞれ対応する新たな請求項51~53とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。 訂正事項31は、訂正前の請求項18が引用する請求項のうち請求項1~6及び8~9を除外するとともに、訂正前の請求項10~13が訂正事項29により新たな請求項46~49とされ、訂正前の請求項14~17が訂正事項30により新たな請求項50~53とされたことに対応させて、訂正前の請求項18を新たな請求項7及び46~53を引用する新たな請求項54とし、それに伴い、訂正前の請求項19~22をそれぞれ対応する新たな請求項55~58とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。 訂正事項32は、訂正前の請求項23が引用する請求項のうち請求項1~6及び8~9を除外するとともに、訂正前の請求項10~13が訂正事項29により新たな請求項46~49とされ、訂正前の請求項14~17が訂正事項30により新たな請求項50~53とされ、訂正前の請求項18~22が訂正事項31により新たな請求項54~58とされたことに対応させて、訂正前の請求項23を新たな請求項7及び46~58を引用する新たな請求項59とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。 訂正事項33は、訂正前の請求項24が引用する請求項のうち請求項2~6及び8~9を除外するとともに、訂正前の請求項10~13が訂正事項29により新たな請求項46~49とされ、訂正前の請求項14~17が訂正事項30により新たな請求項50~53とされ、訂正前の請求項18~22が訂正事項31により新たな請求項54~58とされ、訂正前の請求項23が訂正事項32により新たな請求項59とされたことに対応させて、訂正前の請求項24を新たな請求項7及び46~59を引用する新たな請求項60とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。 訂正事項34は、訂正前の請求項25が引用する請求項のうち請求項2~6及び8~9を除外するとともに、訂正前の請求項10~13が訂正事項29により新たな請求項46~49とされ、訂正前の請求項14~17が訂正事項30により新たな請求項50~53とされ、訂正前の請求項18~22が訂正事項31により新たな請求項54~58とされ、訂正前の請求項23が訂正事項32により新たな請求項59とされ、訂正前の請求項24が訂正事項33により新たな請求項60とされたことに対応させて、訂正前の請求項25を新たな請求項7及び46~60を引用する新たな請求項61とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。 訂正事項35は、訂正前の請求項26が引用する請求項のうち請求項1~6及び8~9を除外するとともに、訂正前の請求項10~13が訂正事項29により新たな請求項46~49とされ、訂正前の請求項14~17が訂正事項30により新たな請求項50~53とされ、訂正前の請求項18~22が訂正事項31により新たな請求項54~58とされ、訂正前の請求項23が訂正事項32により新たな請求項59とされ、訂正前の請求項24が訂正事項33により新たな請求項60とされ、訂正前の請求項25が訂正事項34により新たな請求項61とされたことに対応させて、訂正前の請求項26を新たな請求項7及び46~61を引用する新たな請求項62とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。 訂正事項36は、訂正前の請求項27が引用する請求項のうち請求項1~6及び8~9を除外するとともに、訂正前の請求項10~13が訂正事項29により新たな請求項46~49とされ、訂正前の請求項14~17が訂正事項30により新たな請求項50~53とされ、訂正前の請求項18~22が訂正事項31により新たな請求項54~58とされ、訂正前の請求項23が訂正事項32により新たな請求項59とされ、訂正前の請求項24が訂正事項33により新たな請求項60とされ、訂正前の請求項25が訂正事項34により新たな請求項61とされ、訂正前の請求項26が訂正事項35により新たな請求項62とされたことに対応させて、訂正前の請求項27を新たな請求項7及び46~62を引用する新たな請求項63とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。 (3)特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項1~訂正事項4は、それぞれ訂正前の請求項1~請求項4を削除するものであって、いずれも実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に規定する要件に適合する。 訂正事項5は、請求項5及び請求項5を直接的又は間接的に引用する請求項10~27に係る発明を「医薬組成物」から「口腔内崩壊錠」にするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に規定する要件に適合する。 訂正事項6は、請求項5及び請求項5を直接的又は間接的に引用する請求項10~27に係る発明における「崩壊剤」の種類及び含有割合を限定するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に規定する要件に適合する。 訂正事項7は、請求項6及び請求項6を直接的又は間接的に引用する請求項28~45に係る発明を「医薬組成物」から「口腔内崩壊錠」にするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に規定する要件に適合する。 訂正事項8は、請求項6及び請求項6を直接的又は間接的に引用する請求項28~45に係る発明における「崩壊剤」の種類及び含有割合を限定するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に規定する要件に適合する。 訂正事項9は、請求項7及び請求項7を直接的又は間接的に引用する請求項46~63に係る発明を「医薬組成物」から「口腔内崩壊錠」にするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に規定する要件に適合する。 訂正事項10は、請求項7及び請求項7を直接的又は間接的に引用する請求項46~63に係る発明における「崩壊剤」の含有割合を限定するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に規定する要件に適合する。 訂正事項11、訂正事項12は、それぞれ訂正前の請求項8、請求項9を削除するものであって、いずれも実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に規定する要件に適合する。 訂正事項13~訂正事項20はそれぞれ、訂正前の請求項10、同請求項14、同請求項18、同請求項23、同請求項24、同請求項25、同請求項26、同請求項27が引用する請求項から請求項1~4及び6~9を除外するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に規定する要件に適合する。 訂正事項21は、訂正前の請求項10が引用する請求項から請求項1~5及び7~9を除外した上で新たな請求項28とし、それに伴い、訂正前の請求項11~13をそれぞれ対応する新たな請求項29~31とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に規定する要件に適合する。 訂正事項22は、訂正前の請求項14が引用する請求項1~13のうち請求項1~5及び7~9を除外するとともに、訂正前の請求項10~13が訂正事項21により新たな請求項28~31とされたことに対応させて、訂正前の請求項14を新たな請求項6及び28~31を引用する新たな請求項32とし、それに伴い、訂正前の15~17をそれぞれ対応する新たな請求項33~35とするものでああって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に規定する要件に適合する。 訂正事項23は、訂正前の請求項18が引用する請求項のうち請求項1~5及び7~9を除外するとともに、訂正前の請求項10~13が訂正事項21により新たな請求項28~31とされ、訂正前の請求項14~17が訂正事項22により新たな請求項32~35とされたことに対応させて、訂正前の請求項18を新たな請求項6及び28~35を引用する新たな請求項36とし、それに伴い、訂正前の請求項19~22をそれぞれ対応する新たな請求項37~40とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に規定する要件に適合する。 訂正事項24は、訂正前の請求項23が引用する請求項のうち請求項1~5及び7~9を除外するとともに、訂正前の請求項10~13が訂正事項21により新たな請求項28~31とされ、訂正前の請求項14~17が訂正事項22により新たな請求項32~35とされ、訂正前の請求項18~22が訂正事項23により新たな請求項36~40とされたことに対応させて、訂正前の請求項23を新たな請求項6及び28~40を引用する新たな請求項41とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に規定する要件に適合する。 訂正事項25は、訂正前の請求項24が引用する請求項のうち請求項2~5及び7~9を除外するとともに、訂正前の請求項10~13が訂正事項21により新たな請求項28~31とされ、訂正前の請求項14~17が訂正事項22により新たな請求項32~35とされ、訂正前の請求項18~22が訂正事項23により新たな請求項36~40とされ、訂正前の請求項23が訂正事項24により新たな請求項41とされたことに対応させて、訂正前の請求項24を新たな請求項6及び28~41を引用する新たな請求項42とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に規定する要件に適合する。 訂正事項26は、訂正前の請求項25が引用する請求項のうち請求項2~5及び7~9を除外するとともに、訂正前の請求項10~13が訂正事項21により新たな請求項28~31とされ、訂正前の請求項14~17が訂正事項22により新たな請求項32~35とされ、訂正前の請求項18~22が訂正事項23により新たな請求項36~40とされ、訂正前の請求項23が訂正事項24により新たな請求項41とされ、訂正前の請求項24が訂正事項25により新たな請求項42とされたことに対応させて、訂正前の請求項25を新たな請求項6及び28~42を引用する新たな請求項43とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に規定する要件に適合する。 訂正事項27は、訂正前の請求項26が引用する請求項のうち請求項1~5及び7~9を除外するとともに、訂正前の請求項10~13が訂正事項21により新たな請求項28~31とされ、訂正前の請求項14~17が訂正事項22により新たな請求項32~35とされ、訂正前の請求項18~22が訂正事項23により新たな請求項36~40とされ、訂正前の請求項23が訂正事項24により新たな請求項41とされ、訂正前の請求項24が訂正事項25により新たな請求項42とされ、訂正前の請求項25が訂正事項26により新たな請求項43とされたことに対応させて、訂正前の請求項26を新たな請求項6及び28~43を引用する新たな請求項44とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に規定する要件に適合する。 訂正事項28は、訂正前の請求項27が引用する請求項のうち請求項1~5及び7~9を除外するとともに、訂正前の請求項10~13が訂正事項21により新たな請求項28~31とされ、訂正前の請求項14~17が訂正事項22により新たな請求項32~35とされ、訂正前の請求項18~22が訂正事項23により新たな請求項36~40とされ、訂正前の請求項23が訂正事項24により新たな請求項41とされ、訂正前の請求項24が訂正事項25により新たな請求項42とされ、訂正前の請求項25が訂正事項26により新たな請求項43とされ、訂正前の請求項26が訂正事項27により新たな請求項44とされたことに対応させて、訂正前の請求項27を新たな請求項6及び28~44を引用する新たな請求項45とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に規定する要件に適合する。 訂正事項29は、訂正前の請求項10が引用する請求項から請求項1~6及び8~9を除外した上で新たな請求項46とし、それに伴い、訂正前の請求項11~13をそれぞれ対応する新たな請求項47~49とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に規定する要件に適合する。 訂正事項30は、訂正前の請求項14が引用する請求項1~13のうち請求項1~6及び8~9を除外するとともに、訂正前の請求項10~13が訂正事項29により新たな請求項46~49とされたことに対応させて、訂正前の請求項14を新たな請求項7及び46~49を引用する新たな請求項50とし、それに伴い、訂正前の15~17をそれぞれ対応する新たな請求項51~53とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に規定する要件に適合する。 訂正事項31は、訂正前の請求項18が引用する請求項のうち請求項1~6及び8~9を除外するとともに、訂正前の請求項10~13が訂正事項29により新たな請求項46~49とされ、訂正前の請求項14~17が訂正事項30により新たな請求項50~53とされたことに対応させて、訂正前の請求項18を新たな請求項7及び46~53を引用する新たな請求項54とし、それに伴い、訂正前の請求項19~22をそれぞれ対応する新たな請求項55~58とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に規定する要件に適合する。 訂正事項32は、訂正前の請求項23が引用する請求項のうち請求項1~6及び8~9を除外するとともに、訂正前の請求項10~13が訂正事項29により新たな請求項46~49とされ、訂正前の請求項14~17が訂正事項30により新たな請求項50~53とされ、訂正前の請求項18~22が訂正事項31により新たな請求項54~58とされたことに対応させて、訂正前の請求項23を新たな請求項7及び46~58を引用する新たな請求項59とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に規定する要件に適合する。 訂正事項33は、訂正前の請求項24が引用する請求項のうち請求項2~6及び8~9を除外するとともに、訂正前の請求項10~13が訂正事項29により新たな請求項46~49とされ、訂正前の請求項14~17が訂正事項30により新たな請求項50~53とされ、訂正前の請求項18~22が訂正事項31により新たな請求項54~58とされ、訂正前の請求項23が訂正事項32により新たな請求項59とされたことに対応させて、訂正前の請求項24を新たな請求項7及び46~59を引用する新たな請求項60とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に規定する要件に適合する。 訂正事項34は、訂正前の請求項25が引用する請求項のうち請求項2~6及び8~9を除外するとともに、訂正前の請求項10~13が訂正事項29により新たな請求項46~49とされ、訂正前の請求項14~17が訂正事項30により新たな請求項50~53とされ、訂正前の請求項18~22が訂正事項31により新たな請求項54~58とされ、訂正前の請求項23が訂正事項32により新たな請求項59とされ、訂正前の請求項24が訂正事項33により新たな請求項60とされたことに対応させて、訂正前の請求項25を新たな請求項7及び46~60を引用する新たな請求項61とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に規定する要件に適合する。 訂正事項35は、訂正前の請求項26が引用する請求項のうち請求項1~6及び8~9を除外するとともに、訂正前の請求項10~13が訂正事項29により新たな請求項46~49とされ、訂正前の請求項14~17が訂正事項30により新たな請求項50~53とされ、訂正前の請求項18~22が訂正事項31により新たな請求項54~58とされ、訂正前の請求項23が訂正事項32により新たな請求項59とされ、訂正前の請求項24が訂正事項33により新たな請求項60とされ、訂正前の請求項25が訂正事項34により新たな請求項61とされたことに対応させて、訂正前の請求項26を新たな請求項7及び46~61を引用する新たな請求項62とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に規定する要件に適合する。 訂正事項36は、訂正前の請求項27が引用する請求項のうち請求項1~6及び8~9を除外するとともに、訂正前の請求項10~13が訂正事項29により新たな請求項46~49とされ、訂正前の請求項14~17が訂正事項30により新たな請求項50~53とされ、訂正前の請求項18~22が訂正事項31により新たな請求項54~58とされ、訂正前の請求項23が訂正事項32により新たな請求項59とされ、訂正前の請求項24が訂正事項33により新たな請求項60とされ、訂正前の請求項25が訂正事項34により新たな請求項61とされ、訂正前の請求項26が訂正事項35により新たな請求項62とされたことに対応させて、訂正前の請求項27を新たな請求項7及び46~62を引用する新たな請求項63とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に規定する要件に適合する。 (4)独立特許要件 請求項1~27のうち、特許無効審判の請求がされていない請求項はないので、訂正事項1~36に関して、特許法第134条の2第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の規定は適用されない。 (5)一群の請求項ごとに訂正の請求をするものであることについて 訂正前の請求項1~27は、請求項2~27が訂正前の請求項1を引用する関係にあるから、請求項1~27を訂正の請求の対象とする訂正事項1~36は、一群の請求項ごとにされたものである。 (6)別の訂正単位とする求めについて 平成30年8月3日付け訂正請求書43頁31行~44頁7行において、被請求人は、 ・訂正後の請求項5と、訂正後の請求項5の記載を引用する訂正後の請求項10~27については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求める。 ・訂正後の請求項6と、訂正後の請求項6の記載を引用する訂正後の請求項28~45については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求める。 ・訂正後の請求項7と、訂正後の請求項7の記載を引用する訂正後の請求項46~63については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求める。 と述べている。 上記(1)~(5)のとおり、 ・訂正後の請求項5、訂正後の請求項10~27についての訂正 ・訂正後の請求項6、訂正後の請求項28~45についての訂正 ・訂正後の請求項7、訂正後の請求項46~63についての訂正 が認められるものであるため、 ・請求項5及び請求項10~27は、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正すること ・請求項6及び請求項28~45は、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正すること ・請求項7及び請求項46~63は、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正すること を認める。 (7)請求人の平成30年9月12日付け弁駁書における主張について 平成30年9月12日付け弁駁書2頁17~18行において、請求人は、 「(1)平成30年8月3日付訂正請求書について 請求人として、被請求人による訂正について意見を述べることは控えます。」と述べる。 したがって、平成30年8月3日付けの訂正請求による訂正の適否についての請求人からの意見はないものとして扱う。 (8)小括 上記(1)~(7)に述べたとおり、平成30年8月3日付けの訂正請求による訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同法同条第9項において準用する同法第126条第5~6項に規定する要件に適合するものであるので、当該訂正を認める。 第3 本件第2訂正発明 前記訂正の結果、本件特許第6093829号の特許請求の範囲の請求項1~63に係る発明は、訂正後の特許請求の範囲の請求項1~63に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。(以下、請求項の順にそれぞれ、「本件第2訂正発明1」、……、「本件第2訂正発明63」といい、まとめて「本件第2訂正発明」ともいう。) 【請求項1】 (削除) 【請求項2】 (削除) 【請求項3】 (削除) 【請求項4】 (削除) 【請求項5】 唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であることを特徴とする、医薬組成物。 【請求項6】 唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、クロスポビドンであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%であり、但し、崩壊剤がGRANFILLER-D(登録商標)から成る錠剤は除く、医薬組成物。 【請求項7】 唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であることを特徴とする、医薬組成物。 【請求項8】 (削除) 【請求項9】 (削除) 【請求項10】 さらに流動化剤を含有する、請求項5に記載の医薬組成物。 【請求項11】 前記流動化剤が、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、重質無水ケイ酸、水酸化アルミナマグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項10に記載の医薬組成物。 【請求項12】 前記流動化剤が、少なくとも軽質無水ケイ酸を含む、請求項10又は11に記載の医薬組成物。 【請求項13】 前記流動化剤の医薬組成物中の含有率が0.5~2.0質量%であることを特徴とする、請求項10~12のいずれか一項に記載の医薬組成物。 【請求項14】 さらに滑沢剤を含有する、請求項5及び10~13のいずれか一項に記載の医薬組成物。 【請求項15】 前記滑沢剤が、カルナウバロウ、含水二酸化ケイ素、含水無晶形酸化ケイ素、乾燥水酸化アルミニウムゲル、ケイ酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、重質無水ケイ酸、ショ糖脂肪酸エステル、水酸化アルミニウムゲル、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、セタノール、タルク、炭酸マグネシウム、沈降炭酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、無水ケイ酸水加物及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項14に記載の医薬組成物。 【請求項16】 前記滑沢剤が、少なくともステアリン酸マグネシウムを含む、請求項14又は15に記載の医薬組成物。 【請求項17】 前記滑沢剤の医薬組成物中の含有率が0.5~2.0質量%であることを特徴とする、請求項14~16のいずれか一項に記載の医薬組成物。 【請求項18】 さらに甘味剤を含有する、請求項5及び10~17のいずれか一項に記載の医薬組成物。 【請求項19】 前記甘味剤が、アスパルテーム、エリスリトール、果糖、キシリトール、黒砂糖、サッカリン、サッカリンナトリウム水和物、スクラロース、精製白糖、精製白糖球状顆粒、D-ソルビトール、デキストレイト、乳糖水和物、白糖、ブドウ糖、マルチトール、マルトース水和物、D-マンニトール及びタウマチンからなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項18に記載の医薬組成物。 【請求項20】 前記甘味剤が、少なくともアスパルテームを含む、請求項18又は19に記載の医薬組成物。 【請求項21】 前記甘味剤が粉末状であることを特徴とする、請求項18~20のいずれか一項に記載の医薬組成物。 【請求項22】 前記甘味剤の医薬組成物中の含有率が0.5~2.0質量%であることを特徴とする、請求項18~21のいずれか一項に記載の医薬組成物。 【請求項23】 炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を除き、医薬組成物中の含有率が2.0質量%を超える配合成分のいずれも、明確な粉末X線回折ピークを有さないことを特徴とする、請求項5及び10~22のいずれか一項に記載の医薬組成物。 【請求項24】 錠剤硬度が100ニュートン以上であることを特徴とする、請求項5及び10~23のいずれか一項に記載の医薬組成物。 【請求項25】 摩損度が0.5%未満であることを特徴とする、請求項5及び10~24のいずれか一項に記載の医薬組成物。 【請求項26】 ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン又はこのどちらかにポリクロロトリフロロエチレンを積層したフィルムを用いて成形したPTP(Press Through Package)に充填することにより、30℃/相対湿度65%の環境下、少なくとも3ヵ月間、明確な品質の変化がないことを特徴とする、請求項5及び10~25のいずれか一項に記載の医薬組成物。 【請求項27】 ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン又はこのどちらかにポリクロロトリフロロエチレンを積層したフィルムを用いて成形したPTPに充填し、さらにアルミニウム袋に充填することにより、40℃/相対湿度75%の環境下、少なくとも6ヵ月間、明確な品質の変化がないことを特徴とする、請求項5及び10~26のいずれか一項に記載の医薬組成物。 【請求項28】 さらに流動化剤を含有する、請求項6に記載の医薬組成物。 【請求項29】 前記流動化剤が、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、重質無水ケイ酸、水酸化アルミナマグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項28に記載の医薬組成物。 【請求項30】 前記流動化剤が、少なくとも軽質無水ケイ酸を含む、請求項28又は29に記載の医薬組成物。 【請求項31】 前記流動化剤の医薬組成物中の含有率が0.5~2.0質量%であることを特徴とする、請求項28~30のいずれか一項に記載の医薬組成物。 【請求項32】 さらに滑沢剤を含有する、請求項6及び28~31のいずれか一項に記載の医薬組成物。 【請求項33】 前記滑沢剤が、カルナウバロウ、含水二酸化ケイ素、含水無晶形酸化ケイ素、乾燥水酸化アルミニウムゲル、ケイ酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、重質無水ケイ酸、ショ糖脂肪酸エステル、水酸化アルミニウムゲル、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、セタノール、タルク、炭酸マグネシウム、沈降炭酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、無水ケイ酸水加物及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項32に記載の医薬組成物。 【請求項34】 前記滑沢剤が、少なくともステアリン酸マグネシウムを含む、請求項32又は33に記載の医薬組成物。 【請求項35】 前記滑沢剤の医薬組成物中の含有率が0.5~2.0質量%であることを特徴とする、請求項32~34のいずれか一項に記載の医薬組成物。 【請求項36】 さらに甘味剤を含有する、請求項6及び28~35のいずれか一項に記載の医薬組成物。 【請求項37】 前記甘味剤が、アスパルテーム、エリスリトール、果糖、キシリトール、黒砂糖、サッカリン、サッカリンナトリウム水和物、スクラロース、精製白糖、精製白糖球状顆粒、D-ソルビトール、デキストレイト、乳糖水和物、白糖、ブドウ糖、マルチトール、マルトース水和物、D-マンニトール及びタウマチンからなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項36に記載の医薬組成物。 【請求項38】 前記甘味剤が、少なくともアスパルテームを含む、請求項36又は37に記載の医薬組成物。 【請求項39】 前記甘味剤が粉末状であることを特徴とする、請求項36~38のいずれか一項に記載の医薬組成物。 【請求項40】 前記甘味剤の医薬組成物中の含有率が0.5~2.0質量%であることを特徴とする、請求項36~39のいずれか一項に記載の医薬組成物。 【請求項41】 炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を除き、医薬組成物中の含有率が2.0質量%を超える配合成分のいずれも、明確な粉末X線回折ピークを有さないことを特徴とする、請求項6及び28~40のいずれか一項に記載の医薬組成物。 【請求項42】 錠剤硬度が100ニュートン以上であることを特徴とする、請求項6及び28~41のいずれか一項に記載の医薬組成物。 【請求項43】 摩損度が0.5%未満であることを特徴とする、請求項6及び28~42のいずれか一項に記載の医薬組成物。 【請求項44】 ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン又はこのどちらかにポリクロロトリフロロエチレンを積層したフィルムを用いて成形したPTP(Press Through Package)に充填することにより、30℃/相対湿度65%の環境下、少なくとも3ヵ月間、明確な品質の変化がないことを特徴とする、請求項6及び28~43のいずれか一項に記載の医薬組成物。 【請求項45】 ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン又はこのどちらかにポリクロロトリフロロエチレンを積層したフィルムを用いて成形したPTPに充填し、さらにアルミニウム袋に充填することにより、40℃/相対湿度75%の環境下、少なくとも6ヵ月間、明確な品質の変化がないことを特徴とする、請求項6及び28~44のいずれか一項に記載の医薬組成物。 【請求項46】 さらに流動化剤を含有する、請求項7に記載の医薬組成物。 【請求項47】 前記流動化剤が、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、重質無水ケイ酸、水酸化アルミナマグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項46に記載の医薬組成物。 【請求項48】 前記流動化剤が、少なくとも軽質無水ケイ酸を含む、請求項46又は47に記載の医薬組成物。 【請求項49】 前記流動化剤の医薬組成物中の含有率が0.5~2.0質量%であることを特徴とする、請求項46~48のいずれか一項に記載の医薬組成物。 【請求項50】 さらに滑沢剤を含有する、請求項7及び46~49のいずれか一項に記載の医薬組成物。 【請求項51】 前記滑沢剤が、カルナウバロウ、含水二酸化ケイ素、含水無晶形酸化ケイ素、乾燥水酸化アルミニウムゲル、ケイ酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、重質無水ケイ酸、ショ糖脂肪酸エステル、水酸化アルミニウムゲル、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、セタノール、タルク、炭酸マグネシウム、沈降炭酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、無水ケイ酸水加物及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項50に記載の医薬組成物。 【請求項52】 前記滑沢剤が、少なくともステアリン酸マグネシウムを含む、請求項50又は51に記載の医薬組成物。 【請求項53】 前記滑沢剤の医薬組成物中の含有率が0.5~2.0質量%であることを特徴とする、請求項50~52のいずれか一項に記載の医薬組成物。 【請求項54】 さらに甘味剤を含有する、請求項7及び46~53のいずれか一項に記載の医薬組成物。 【請求項55】 前記甘味剤が、アスパルテーム、エリスリトール、果糖、キシリトール、黒砂糖、サッカリン、サッカリンナトリウム水和物、スクラロース、精製白糖、精製白糖球状顆粒、D-ソルビトール、デキストレイト、乳糖水和物、白糖、ブドウ糖、マルチトール、マルトース水和物、D-マンニトール及びタウマチンからなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項54に記載の医薬組成物。 【請求項56】 前記甘味剤が、少なくともアスパルテームを含む、請求項54又は55に記載の医薬組成物。 【請求項57】 前記甘味剤が粉末状であることを特徴とする、請求項54~56のいずれか一項に記載の医薬組成物。 【請求項58】 前記甘味剤の医薬組成物中の含有率が0.5~2.0質量%であることを特徴とする、請求項54~57のいずれか一項に記載の医薬組成物。 【請求項59】 炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を除き、医薬組成物中の含有率が2.0質量%を超える配合成分のいずれも、明確な粉末X線回折ピークを有さないことを特徴とする、請求項7及び46~58のいずれか一項に記載の医薬組成物。 【請求項60】 錠剤硬度が100ニュートン以上であることを特徴とする、請求項7及び46~59のいずれか一項に記載の医薬組成物。 【請求項61】 摩損度が0.5%未満であることを特徴とする、請求項7及び46~60のいずれか一項に記載の医薬組成物。 【請求項62】 ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン又はこのどちらかにポリクロロトリフロロエチレンを積層したフィルムを用いて成形したPTP(Press Through Package)に充填することにより、30℃/相対湿度65%の環境下、少なくとも3ヵ月間、明確な品質の変化がないことを特徴とする、請求項7及び46~61のいずれか一項に記載の医薬組成物。 【請求項63】 ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン又はこのどちらかにポリクロロトリフロロエチレンを積層したフィルムを用いて成形したPTPに充填し、さらにアルミニウム袋に充填することにより、40℃/相対湿度75%の環境下、少なくとも6ヵ月間、明確な品質の変化がないことを特徴とする、請求項7及び46~62のいずれか一項に記載の医薬組成物。 第4 当事者の主張 1 請求人の主張 請求人の提出した、審判請求書、平成29年12月8日付け弁駁書、平成30年4月5日付け口頭審理陳述要領書、平成30年4月17日付け上申書及び平成30年9月12日付け弁駁書によれば、請求人は、「特許第6093829号の請求項1乃至27に係る発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、本件特許が無効とされるべき理由として、以下の無効理由を主張し、証拠方法として以下の書証を提出している。(以下、甲第1号証、乙第1号証等を、甲1、乙1等と省略して記載する。) [無効理由1](甲2に基く進歩性欠如) 本件発明1~27は、甲2に記載された発明、周知の事項(もしくは甲4の記載事項、甲5の記載事項)、甲8の記載事項、甲9の記載事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。(審判請求書7~16頁、38~72頁、平成29年12月8日付け弁駁書13~27頁、平成30年4月5日付け口頭審理陳述要領書14~17頁、平成30年4月17日付け上申書5~8頁) [無効理由2](甲4に基く進歩性欠如) 本件発明1~27は、甲4に記載された発明、甲2の記載事項、周知の事項(必要であれば、さらに、甲3の記載事項、甲7の記載事項)、甲8の記載事項、甲9の記載事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。(審判請求書16~25頁、72~111頁、平成29年12月8日付け弁駁書27~40頁、平成30年4月5日付け口頭審理陳述要領書5~17頁、平成30年4月17日付け上申書5~8頁) [無効理由3](甲6に基く進歩性欠如) 本件発明1~27は、甲6に記載された発明、周知の事項(もしくは甲4の記載事項、甲5の記載事項)、甲8の記載事項、甲9の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。(審判請求書25~33頁、111~135頁、平成29年12月8日付け弁駁書40~45頁、平成30年4月5日付け口頭審理陳述要領書14~17頁、平成30年4月17日付け上申書5~10頁) [無効理由4](サポート要件違反) 本件発明1~27は、本件特許明細書に記載された課題を解決できないものである。したがって、本件発明1~27は、サポート要件(特許法36条6項1号)に違反して特許されたものである。(審判請求書33頁、135~140頁、平成29年12月8日付け弁駁書45~51頁、平成30年4月5日付け口頭審理陳述要領書14~17頁、平成30年4月17日付け上申書5~8頁) [無効理由5](実施可能要件違反) 本件特許明細書は、本件発明1~27について「当業者が実施できる程度に明瞭かつ十分に説明されている」とはいえない。したがって、本件発明1~27は、実施可能要件(特許法36条4項1号)に違反して特許されたものである。(審判請求書33頁、140~141頁、平成29年12月8日付け弁駁書45~51頁、平成30年4月5日付け口頭審理陳述要領書14~17頁、平成30年4月17日付け上申書5~8頁) [証拠方法] 甲1:特許第6093829号の特許公報 甲2:中国公開特許公報(CN 101077338A)(訳文添付) 甲3:公益社団法人日本薬学会、「薬学用語解説」の「結晶セルロース」と題するウェブページ(http://www.phram.or.jp/dictionary/wiki.cgi?結晶セルロース)の印刷物(印刷日:平成29年7月16日) 甲4:米国特許公報第8974824号(US8974824B2)(訳文添付) 甲5:特表2013-544287号公報 甲6:特開2011-6377号公報 甲7:PHARM TECH JAPAN,Vol.28,No.1(2012),39~42頁 甲8:特表平11-503119号公報 甲9の1:三宅由子、他2名「口腔内速崩壊錠の製剤設計-崩壊剤のスクリーニング-」,平成21年度三重県工業研究所研究報告No.34(2010) 甲9の2:平成21年度三重県工業研究所研究報告No.34(2010)と題するウェブページ(http://www.pref.mie.lg.jp/kougi/hp/59096032868.htm)の印刷物(印刷日:平成29年7月29日) 甲10の1:「AEROSIL(R)200 Pharma」(「(R)」は原文では「○」内に「R」)の英語パンフレット(第1頁右下端に「Jul 2017 Page 1/2」の印字あり) 甲10の2:「AEROSIL(R)200 Pharma」(「(R)」は原文では「○」内に「R」)の中国語パンフレット(第1頁右下端に「Jul 2017 Page 1/2」の印字あり) 甲11の1:日本医薬品添加剤協会 訳編「改訂 医薬品添加物ハンドブック」,2007年2月28日,336~339頁、表紙及び奥付 甲11の2:日本医薬品添加剤協会 編集「医薬品添加物事典2007」,2009年11月6日第2刷,97頁、表紙及び奥付 甲12の1:ジェイゾロフト(R)25mg、50mg及び100mg並びにジェイゾロフト(R)OD錠25mg、50mg及び100mgの医薬品インタビューフォーム(「(R)」は原文では「○」内に「R]),2016年3月改訂(第15版),1頁及び7~12頁 甲12の2:バルサルタン錠20mg/40mg/80mg/160mg「トーワ」及びバルサルタンOD錠20mg/40mg/80mg/160mg「トーワ」の医薬品インタビューフォーム,2016年3月(改訂第3版),1頁及び7~8頁 甲12の3:フェキソフェナジン塩酸塩錠30mg/60mg「トーワ」、フェキソフェナジン塩酸塩OD錠30mg/60mg「トーワ」及びフェキソフェナジン塩酸塩DS6%「トーワ」の医薬品インタビューフォーム,2016年3月(改訂第6版),1頁及び7~8頁 甲13:再公表特許WO98/02185号公報 甲14:桐生厚生総合病院 薬剤部発行「薬剤部季刊誌 くすり箱 25号」,2012年9月,1~2頁 甲15:特開2011-153098号公報 甲16:日本医薬品添加剤協会 訳編「改訂 医薬品添加物ハンドブック」,2007年2月28日,18~20頁、表紙及び奥付 甲17:特表2007-503400号公報 甲18:特表2009-514986号公報 甲19:カルタン(R)錠250、カルタン(R)錠500及びカルタン(R)細粒83%の添付文書(「(R)」は原文では「○」内に「R」),1~2頁(第1頁左上端に「※※2008年2月改訂(第7版 社名変更)」の印字あり) 甲20:ホスレノール(R)顆粒分包250mg及びホスレノール(R)顆粒分包500mgの添付文書(「(R)」は原文では「○」内に「R」),1~4頁(第1頁左上端に「※2013年8月改訂(第2版)」の印字あり) (以上、審判請求書にいずれも写しを原本として添付) 甲21:「GRANFILLER-D(R) GNF-D211」のカタログ(頒布日不明) 甲22:特開2015-63521号公報 甲23:特開2014-70034号公報 甲24:PHARM TECH JAPAN, 2015年2月臨時増刊号(Vol.31,No.4),平成27年2月5日,表紙、710~719頁、822頁及び裏見返し 甲25:PHARM TECH JAPAN,Vol.30,No.2(2014),323~327頁 甲26:医療薬学,Vol.32,No.11(2006),1124~1132頁 甲27:PHARM TECH JAPAN,Vol.28,No.2(2012),203~207頁 甲28:本城政稔、他3名「チュアブル型ビタミン製剤の処方設計」(頒布日を示す記載なし) 甲29:特表2010-529073号公報 甲30:特表2008-512420号公報 甲31:櫻井淳子「チュアブル錠の添付文書の記載に関する調査報告書」,2017年12月5日付け 甲32:「weblio辞書」の「ざいけい」と題するウェブページ(http://www.weblio.jp/content/%E5%89%A4%E5%BD%A2)の印刷物(印刷日:平成29年12月6日) 甲33:特開2017-119655号公報 甲34:特開2015-147812号公報 (以上、平成29年12月8日付け弁駁書に、甲21~30及び甲32~34は写しを原本として添付、甲31は原本を添付) 甲35:「(1151)Pharmaceutical Dosage Forms」の「General Information」,704~705頁(抄訳添付)、及び「SIX-MONTH IMPLEMENTATION GUIDELINE」(頒布日を示す記載なし) 甲36:神戸英芳「実験成績報告書」,2018年3月20日付け 甲37:神戸英芳「実験成績報告書」,2018年3月20日付け 甲38:「第16改正日本薬局方」,厚生労働省告示第65号(平成23年3月24日付け)の印刷頁及び9~12頁 甲39:「第16改正日本薬局方解説書」,廣川書店,2011年6月26日,表紙、A-31頁、A-34~37頁及び奥付 甲40:神戸英芳「実験成績報告書」,2018年3月20日付け (以上、平成30年4月5日付け口頭審理陳述要領書に、甲35及び甲38~39は写しを原本として添付、甲36~37及び甲40は原本を添付) 2 被請求人の主張 被請求人の提出した、平成29年10月30日付け審判事件答弁書、平成30年4月4日付け口頭審理陳述要領書、平成30年4月13日付け上申書、平成30年4月18日付け上申書及び平成30年8月3日付け上申書によれば、被請求人は、本件特許には上記無効理由は理由がない旨を主張し、証拠方法として以下の書証を提出している。 [証拠方法] 乙1:「第十七改正 日本薬局方」,10~11頁(頒布日を示す記載なし) 乙2:大日本住友製薬による「健康情報サイト」の「なるほど!おくすり飲み方ガイド」と題するウェブページ(http://kanja.ds-phrma/life/guide/type/type02.html)の印刷物(印刷日:平成29年10月17日) 乙3:公益社団法人日本薬学会による「薬学用語解説」の「チュアブル錠」と題するウェブページ(http://www.phram.or.jp/dictionary/wiki.cgi?チュアブル錠)の印刷物(印刷日:平成29年10月17日) 乙4:特許第4562797号の特許公報 (以上、平成29年10月30日付け審判事件答弁書にいずれも写しを原本として添付) 乙5:「第16改正日本薬局方」,厚生労働省告示第65号(平成23年3月24日付け)の印刷頁、目次頁及び116~117頁 乙6:角谷亮、他3名「口腔内崩壊錠の新規崩壊試験器」,製剤機械技術学会誌,Vol.21,No.4(2012),455~459頁 乙7:東郷太一郎、他3名「アルピプラゾール錠「オーハラ」およびアルピプラゾールOD錠「オーハラ」の製剤設計」,PHARMA TECH JAPAN,Vol.33,No.9(2017),1883~1887頁 乙8:篠崎寛「実験成績証明書」2018年3月30日 乙9:「FMC BioPolymer PRODUCT SPECIFICATION BULLETIN Avicel(R)CE-15」(「(R)」は原文では「○」内に「R」)(http://www.signetchen.com/Content/Upload/581X99SpecificationAvicelCE15.pdf)(抄訳添付)(最終頁右下枠内最終行に「(C)2005 FMC Corpration. All rights reserved. 03/14/04」(「(C)」は原文では「○」中に「C」)の印字あり) 乙10:「HIGHLIGHTS OF PRESCRIBING INFORMATION」(Reference ID:3010005)(https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2011/021468s016lbl.pdf)(抄訳添付)(第1頁右欄中ほどに「Revised: 08/2011」の印字あり) 乙11の1:日比野剛、他1名「口腔内速報錠の製剤設計(第3報)-ロータリー打錠機による錠剤成形及びキャッピング防止(流動層造粒法)-」,平成22年度三重県工業研究所研究報告No.35(2011) 乙11の2:平成22年度三重県工業研究所研究報告No.35(2011)と題するウェブページ(http://www.pref.mie.lg.jp/kougi/hp/67477032869.htm)の印刷物(印刷日:平成30年3月29日) 乙12:日進化成株式会社による「医薬用セルロース」の「セルロース誘導品」と題するウェブページ(http://www.e-nisshin.com/products/ethocel4.html)の印刷物(印刷日:平成30年3月29日) 乙13:「「規格及び試験方法」,「規格及び試験方法の設定に関する資料」,「安定性に関する資料」等について注意していただきたい項目です」(http://www.pref.osaka.lg.jp/artach/5912/00241437/sub5-memo.pdf)(頒布日を示す記載なし) (以上、平成30年4月4日付け口頭審理陳述要領書に、乙5~7及び乙9~13は写しを原本として添付、乙8は原本を添付) 乙14:特開2003-63951号公報 乙15:特開2010-248106号公報 乙16:国際公開第2013/161823号 乙17:特開2006-282551号公報 乙18:篠崎寛「実験成績証明書」2018年7月23日 乙19:平成23年(行ケ)第10339号 審決取消請求事件 判決(平成24年12月13日判決言渡) 乙20:平成24年(行ケ)第10076号 審決取消請求事件 判決(平成24年10月29日判決言渡) (以上、平成30年8月3日付け上申書に、乙14~17及び乙19~20は写しを原本として添付、乙18は原本を添付) 第5 証拠の記載事項 1 請求人の提出した証拠のうち甲2~甲9、甲17~甲20、甲22及び甲38~甲39、並びに被請求人の提出した証拠のうち乙9は本件特許の出願日前に頒布された刊行物であり、それらには以下の事項が記載されている。なお、原文が外国語で記載されているものについては、日本語訳で示す。 (1)甲2の記載事項 甲2には、以下の記載事項(甲2-1)~記載事項(甲2-7)が記載されている。 ・記載事項(甲2-1) 「1.ナノ炭酸ランタン口腔内崩壊錠の調製方法。 1)以下の製剤成分を調合し、 炭酸ランタンナノ結晶  5~40部 崩壊剤  10~70部 充填剤  15~60部 矯味剤  0~5部 発泡剤炭酸水素ナトリウム  0~5部 流動促進剤微粉シリカゲル  0~4部 滑沢剤ステアリン酸マグネシウムまたはタルク  0~2部 粘着剤  0.5~3部 2)成分を40~80℃で2~4時間乾燥し、40~100メッシュのふるいに通し、その後、打錠して口腔内崩壊錠を得る。 ……(中略)…… 4.前記崩壊剤は、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋カルボキシメチルデンプンナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、架橋ポリビニルピロリドンもしくは微結晶セルロースのうち1種または2種以上の重合体の組合せであることを特徴とする、請求項1または2に記載のナノ炭酸ランタン口腔内崩壊錠の調製方法。 5.前記充填剤は、マンニトール、1-ブタノール、乳糖、ショ糖、キシリトールもしくはソルビトールのうち1種または2種以上の重合体の組合せであることを特徴とする、請求項1または2に記載のナノ炭酸ランタン口腔内崩壊錠の調製方法。 ……(中略)…… 7.前記粘着剤は、ポビドン、ポリエチレングリコール、α化デンプン、デキストリンもしくはメチルセルロースのうち1種または2種以上の重合体の組合せであることを特徴とする、請求項1または2に記載のナノ炭酸ランタン口腔内崩壊錠の調製方法。 ……(後略)」(特許請求の範囲) ・記載事項(甲2-2) 「リン酸塩結合剤は、食物中のリンをキレートし、胃腸管のリンに対する吸収を阻止することができる。第1世代のリン結合剤は、アルミニウム塩であり、それは慢性腎不全患者の血清中のリン酸塩レベルを有効に低下させることができるが、長期間使用すれば、認知症および骨軟化症を引き起こすことがあり、そのためその臨床応用は制限されている。カルシウムを含むリン結合剤(酢酸カルシウム、炭酸カルシウムなど)も高リン血症患者の血清リンレベルを低下させることができるが、高カルシウム血症およびカルシウム化の発生率を上昇させることがある。このような状況は、ビタミンDを使用する患者で特に際立ち、しかも患者のこの種の薬物に対するコンプライアンスは低い。このため人々は、非アルミニウム、非カルシウム系のリン結合剤の研究開発を望んでいる。」(説明書1頁8~12行) ・記載事項(甲2-3) 「ランタン(原子番号57、原子量159)は、酸素ドナー原子に対して強い親和力を有する希元素であり、ランタン塩は、オキソカーボンおよびリン酸塩系化合物と結合して、水溶性が低く、生物膜を透過しにくいリン酸ランタン分子を生成することができる。非カルシウム、非アルミニウム系のリン結合剤としては、塩化ランタン、炭酸ランタンなどが従来の結合剤と同様、患者の血清中のリン酸塩レベルを低下させる作用を有し、しかも血清カルシウムの上昇および深刻な副作用の発生を引き起こさず、忍容性も高く、新世代の高リン血症治療薬になりうる。英国シェーリング社が発表した炭酸ランタン薬Fosrenlはチュアブル錠であり、2004年に上市された。その中の有効成分炭酸ランタンの粒径は、薬物治療効果に影響を及ぼす鍵であるが、シェーリング社は炭酸ランタン結晶体粒径の大きさには触れていない。従来の炭酸ランタン結晶体顆粒寸法は大きく、このため比表面積は小さく、したがって、吸着能力は高くない。」(説明書1頁17~23行) ・記載事項(甲2-4) 「発明の内容 従来技術の欠点を解決するため、本発明はナノ炭酸ランタン口腔内崩壊錠および調製方法ならびにナノ炭酸ランタンの調製方法を提供する。 ナノ炭酸ランタン口腔内崩壊錠の調製方法は以下のとおりである。 1)以下の製剤成分を調合する。 炭酸ランタンナノ000結晶5~40部 崩壊剤10~70部 充填剤15~60部 矯味剤0~5部 発泡剤0~5部 流動促進剤0~4部 滑沢剤0~2部 粘着剤0.5~3部 乾式打錠および湿式打錠の2種類の技術を用いて、ナノ炭酸ランタン口腔内崩壊錠を調製する。乾式打錠は、主薬および補助材料などを40~80℃下で2~4時間乾燥し、40~100メッシュのふるいに通し、その後、打錠して口腔内崩壊錠を得る。補助材料には、崩壊剤、充填剤、発泡剤、流動促進剤、滑沢剤、矯味剤などが含まれる。湿式打錠は、まず主薬と崩壊剤、充填剤、矯味剤および粘着剤の一部とを混合し、30~60メッシュのふるいに通し、40~90℃下で2~10時間乾燥し、その後、残った崩壊剤、充填剤、矯味剤および発泡剤、流動促進剤、滑沢剤と均一に混合し、打錠して口腔内崩壊錠を得る。上記製錠における圧力は2~15Mpaであり、得られる口腔内崩壊錠の硬度は2~5kgであり、体外崩壊時間は20~80秒である。 前記崩壊剤は、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(cCMC-Na)、架橋カルボキシメチルデンプンナトリウム(CMS-Na)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(LSHPC)、架橋ポリビニルピロリドン(PPVP)または微結晶セルロース(MCC)のうち1種および上記2種または2種以上の上記重合体の組合せである。 ……(中略)…… 前記充填剤は、マンニトール、1-ブタノール、乳糖、ショ糖、キシリトールもしくはソルビトールのうち1種または2種以上の重合体の組合せである。 前記矯味剤は、メントール、ハッカ油、カンゾウ、クエン酸、酒石酸、ニッキもしくはフレーバーのうち1 種または2 種以上の重合体の組合せである。 前記発泡剤は、炭酸水素ナトリウムである。 前記流動促進剤は、微粉シリカゲルである。 前記滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムまたはタルクである。 前記粘着剤は、ポビドン、ポリエチレングリコール、α化デンプン、デキストリンもしくはメチルセルロースのうち1種または2種以上の重合体の組合せである。」(説明書1頁24行~2頁25行) ・記載事項(甲2-5) 「炭酸ランタンナノ結晶は、既存の製品を使用してもよく、当然、我々が発明した方法によって調製した炭酸ランタンナノ結晶を用いてもよい。 本発明によって調製されるナノ炭酸ランタンは、以下の方法を用いて調製される。 1)0.1~10wt%の安定剤溶液と、0.01~0.9mol/Lのランタン化合物溶液とを調合し、2種類の溶液を均一に混合し、10~30分間静置し、調合した0.01~1.2mol/Lの炭酸塩溶液を上記混合溶液中に加え、核温度を5~30℃に制御し、5~20分間攪拌反応させ、その後、10~50℃下かつ攪拌下で30分~4時間反応を継続させ、攪拌を停止し、濃度0.1~5wt%の界面活性剤溶液を加え、その後、10~60分間放置する。 2)上記で得られた産物を10~40分間遠心沈降し、蒸留水で2~4回洗浄し、その後、固体乾燥産物をマッフル炉中で1~5時間焙焼し、温度を150~400℃に制御し、昇温速度を5~10℃/分とする。」(説明書2頁26~33行) ・記載事項(甲2-6) 「本発明の特徴は以下の点にある。 1.沈殿法を用いて、ナノサイズの炭酸ランタン結晶体を調製し、温度を調節することによって、結晶体の核生成および結晶体の成長を制御することができる。 2.添加材料調整方式によって、結晶体の大きさを制御する。 3.安定剤分子の吸着、安定および空間制限作用を利用して、炭酸ランタン結晶体の寸法および形状を制御する。 4.界面活性剤を加えて、結晶体の分散をより均一にし、凝集を防止することができる。 ナノ炭酸ランタン口腔内崩壊錠は、薬物作用機序を十分考慮し、薬物の治療効果を最大限に発揮させ、患者の服薬量を減少させ、患者のコンプライアンスを高めることができる。」(説明書3頁5~11行) ・記載事項(甲2-7) 「実施例16 上記で得られた炭酸ランタンナノ結晶体40部を用意し、マンニトール20部、微結晶セルロース16部と十分に混合し、40メッシュのふるいに通し、60℃で5時間乾燥した。その後、60℃で3時間乾燥した微結晶セルロース21部、ポリエチレングリコール3部とともに100メッシュのふるいに通した。均一に混合し、その後、10Mpaの圧力下で打錠し、口腔内崩壊錠を得た。錠剤硬度は5kgであり、体外崩壊時間は80秒であった。」(説明書6頁7~11行) (2)甲3の記載事項 甲3には、以下の記載事項(甲3-1)が記載されている。 ・記載事項(甲3-1) 「結晶セルロース セルロース(結晶)、microcrystalline cellulose ……白色の粉末状で、水に溶けない。味はなく、化学的に不活性であることから薬物と混合した場合にも変化がなく、優れた賦形剤である。また、打錠機で圧縮すると、粒子が絡み合い容易に成型できること、水分により容易に崩壊すること、流動性がよいことから、錠剤の結合剤、崩壊剤としても優れた機能を発揮する。……」(表題、副表題及び本文2~6行) (3)甲4の記載事項 甲4には、以下の記載事項(甲4-1)~記載事項(甲4-16)が記載されている。 ・記載事項(甲4-1) 「技術分野 本発明は、炭酸ランタンを含む固体経口医薬組成物およびそれを作製する方法に関する。」(1欄1~7行) ・記載事項(甲4-2) 「背景技術 経口摂取は、薬物投与に使用される主な経路の一つである。この経路は、局所効果と全身効果の両方を効果的に達成する便宜な方法をもたらす。ランタンの性質は、ランタンをリン酸塩結合剤の良好な候補にする。ランタンは、リンへの結合に高い親和性を有し、その炭酸塩の形態で溶解性が低く、それは消化管吸収を制限する。胃に塩酸が存在する場合、投与された炭酸ランタンの一部は、二酸化炭素の放出とともにより溶解性の高い塩化物塩に変換される。 市販のランタン組成物は、チュアブル錠であり、FOSRENOL(R)の商標名で500mg、750mgおよび1000mgの力価で販売されている。」(「(R)」は原文では「○」内に「R」)(1欄9~25行) ・記載事項(甲4-3) 「これらの上述の先行技術は、次のように要約することができる: a)3~6個の水分子の水和を有する炭酸ランタンが好ましい; b)水/湿式造粒を避け、乾式法-コンパクション/直接圧縮が好ましいことが言及される; c)単糖または二糖の賦形剤が、ヒドロキシ炭酸塩の不純物の生成を回避/低下させるために好ましい安定化剤である。 当技術分野では、安定していて費用対効果のある、炭酸ランタンを含む経口医薬組成物を提供することが必要とされている。現在の規制要件は、患者への投与のために検出可能な脱カルボキシル化を起きないようにすることなので、その組成物は、代わりの技術を利用して調製され、それでもなお炭酸ランタンの分解を防ぐ。 本発明は、炭酸ランタンの安定で効果的な固体経口投与剤形は、湿式造粒技術および高い水和状態の炭酸ランタン薬物でさえ調製されることができるという知見に基づく。本発明で使用される炭酸ランタンは高水和状態であるが、それでもなお本発明によって調製される組成物は、FOSRENOL(R)に匹敵するかまたはそれよりも高いインビトロでのリン酸塩結合を有する。本発明によって調製した組成物は、組成物の約60重量%を上回る、好ましくは組成物の65%~約80重量%の間の高い添加量の炭酸ランタンを有する。また、より微細なサイズの炭酸ランタンが、実際的に組成物での使用に好ましい。110ミクロン以下のd(0.9)を有する薬物粒子が好ましい。」(「(R)」は原文では「○」内に「R」)(2欄23~52行) ・記載事項(甲4-4) 「発明の目的 本発明は、炭酸ランタン分子1個につき6個を超える水分子、好ましくは8個の水分子を有する炭酸ランタンと、担体または希釈剤(そのような希釈剤には単糖または二糖は含まれない)を含み、市販されている商標FOSRENOL(R)に匹敵するかまたはそれよりも高いインビトロでのリン酸塩結合能をもつ、安定な固体経口組成物に関する。 本発明の目的は、湿式造粒技術により調製された、炭酸ランタン分子1個につき6個を超える水分子-好ましくは8個の分子-を有する炭酸ランタンと製薬上許容される1または複数の希釈剤/担体の安定な医薬組成物を提供することである。該組成物は単糖および/または二糖を安定剤として含まない。 本発明のもう一つの目的は、好ましくは八水和物形態の炭酸ランタンの安定な医薬組成物を提供することである。該組成物は薬物含量が高く、好ましくは組成物の65重量%を上回る。 ……(中略)…… もう一つの実施形態では、本発明は、腎不全患者において高リン酸血症を治療し、慢性腎不全の患者において副甲状腺機能亢進症を制御し、慢性腎不全の患者において副甲状腺機能亢進症を制御するための、本明細書に記載される本発明に従って調製された組成物を投与することを含む方法に関する。」(「(R)」は原文では「○」内に「R」)(2欄54行~3欄35行) ・記載事項(甲4-5) 「本発明の好ましい実施形態では、炭酸ランタン組成物は、d(0.9)が110ミクロンよりも小さい、好ましくは80ミクロンよりも小さいような薬物粒度をもつ、薬物が組成物の65重量%超を構成するような薬物の八水和物形態と、担体/希釈剤(かかる希釈剤は単糖または二糖を含まない)を含む。好ましい実施形態のさらなる態様は、組成物を作製するための湿式造粒技術の使用を想定する。」(3欄47~56行) ・記載事項(甲4-6) 「図1および2の解説: XRDデータは、炭酸ランタンチュアブル錠が安定していること、および炭酸ランタンの脱カルボキシル化は、実験全体にわたって見られず、その月の間に促進条件で組成物を貯蔵した後でさえも見られなかったことをはっきりと表した。」(4欄29~33行) ・記載事項(甲4-7) 「本発明による組成物の活性薬剤は、250~1000mg、例えば250mg、500mg、750mgまたは1000mgの量で存在する。約2140mgの炭酸ランタン八水和物は、1000mgの元素のランタンに相当する。」(5欄4~8行) ・記載事項(甲4-8) 「本明細書において、『安定な組成物』または『安定化された組成物』または『安定化された炭酸ランタン組成物』とは、(高水和状態の)炭酸ランタンと、単糖または二糖を除く1または複数の希釈液または担体とを含有する組成物をさす。安定化された炭酸ランタン組成物中の炭酸ランタンは、炭酸ランタン単独と、またはその他の材料の不在下と比較して遅い速度で水酸化炭酸ランタンに分解する。 本発明のための高水和状態の炭酸ランタンとは、6個を超える水分子、7~10個の間の、好ましくは8個の水分子を有する炭酸ランタン塩、すなわち、炭酸ランタンの八水和物形態を意味する。 組成物は、当技術分野で公知の製薬上許容される添加剤をさらに含んでよい。用語「製薬上許容される添加剤」には、「製薬上許容される賦形剤」をその範囲内に含み、単数の用語は複数も同様に含む。製薬上許容される賦形剤は、単糖または二糖が組成物中で使用されないような1または複数の希釈剤、結合剤、界面活性剤、滑沢剤、流動化剤、アミノ酸、甘味剤、着色剤および香味料であってよい。」(5欄9~31行) ・記載事項(甲4-9) 「用語『希釈液』または『担体』は、本明細書において、単糖および二糖に基づく賦形剤または安定剤を除いて錠剤およびカプセル剤の調製において所望の原末、流動性、および圧縮特性を作り出すための担体として使用される不活性物質を意味することを意図する。許容される担体または希釈液としては、限定されるものではないが、アミノ酸、Avicel pH102、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、三塩基性リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、微結晶セルロース、ケイ化微結晶セルロース、粉末セルロース、および同類のものが挙げられ、使用することができる。製薬上不活性の希釈液は、剤形の総重量の約15%~約25重量%の量で使用されてよい。 用語『結合剤/造粒剤』は、錠剤の造粒の際に粉末粒子を接着させるために使用する物質を意味することを意図する。本発明による適した結合剤は、アルキルセルロース、例えばメチルセルロース、エチルセルロースなど、ヒドロキシアルキルセルロース、例えばヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなど、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドンおよびオイドラギットから選択することができる。」(5欄45~53行) ・記載事項(甲4-10) 「流動化剤は、製造中に錠剤を構成する粉末の流動性を改善する。流動化剤は、二酸化ケイ素、コロイド状二酸化ケイ素、ヒュームド二酸化ケイ素、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、粉末セルロース、微結晶セルロース、トウモロコシデンプン、安息香酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アスベストフリータルク、金属ステアリン酸塩、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、Stearowet C、ラウリル硫酸マグネシウム、または酸化マグネシウムからなる群から選択されることができ、コロイド状二酸化ケイ素が好ましい流動化剤である。 用語『滑沢剤』は、本明細書において、錠剤圧縮中の摩擦を減らすために錠剤製剤中で使用される物質を意味することを意図する。本発明による適した滑沢剤は、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、鉱油、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、コロイド状二酸化ケイ素、ベヘン酸グリセリル、ポリエチレングリコール、ステアリルフマル酸ナトリウム、水素化綿実油、安息香酸ナトリウム、ロイシンまたはその組合せおよびその他の当業者に公知のそのような材料から選択することができる。」(5欄58行~6欄10行) ・記載事項(甲4-11) 「甘味剤は、水溶性甘味剤、水溶性人工甘味剤、およびジペプチド系甘味剤などの(その混合物を含む)広範囲の材料から選択されてよい。含まれるがそれに限定されない甘味剤の具体例は、アセスルファムカリウム、サッカリン酸カルシウム、サイクラミン酸アンモニウム、アンモニウムグリシリジナート(ammonium glycirhizinate)、アスパルテーム(N-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル)である。」(6欄17~24行) ・記載事項(甲4-12) 「実施例7 製造プロセス: 1.全ての成分を、適したメッシュサイズを備えたメカニカルシフターによって移した。 2.炭酸ランタン、アビセル CE15、アセスルファムK、コロイド状二酸化ケイ素および微結晶セルロース(その1)などの成分を高速混合物造粒機に装入し、低速の羽根車でチョッパーを外して10分間乾式混合した。 3.HPCを精製水に連続的に撹拌しながら溶解し、透明な溶液を得ることによって結合剤溶液を調製した。 4.ステップ3の結合剤溶液を使用して、ステップ2を低速の羽根車でチョッパーを外した高速混合物造粒機に10分間入れて造粒した。 5.湿った顆粒を乾燥させて必要なLODを実現し、適したメッシュサイズを備えたQuadra-coミルで製粉した。 6.ステップ5の顆粒をビンブレンダー中でステアリン酸マグネシウムおよび微結晶セルロース(その2)と10分間混ぜた。 7.ステップ6の潤滑ブレンドを適した成形用具を用いて圧縮した。」(10欄51行~11欄25行) ・記載事項(甲4-13) 「安定性調査: 炭酸ランタンチュアブル錠1000mgの安定性調査を、密封したHDPE容器で実施し、この密封したHDPE容器を安定性の促進された条件の40℃/相対湿度75%で貯蔵し、1、2および3カ月の所定の間隔(internals)で回収した錠剤についてXRDを実施した。XRDグラフは図1および2に示され、例1および例4の安定性試験結果を要約する。炭酸ランタンの脱カルボキシル化は実験全体にわたって見られなかった。そのことはXRDグラフに水酸化炭酸ランタンのピークがないことによっても確かめられる。」(13欄15~27行) ・記載事項(甲4-14) 「実施例7と実施例9の溶解比較研究: 溶解試験を、修正したUSP III装置を10DPM、900mlのpH0.25N HCl、37±0.5℃で使用して実施した。 実施例7:粒度分布d(0.9)が約105ミクロンである炭酸ランタンを含む製剤 実施例8:粒度分布d(0.9)が約250ミクロンである炭酸ランタンを含む製剤 表2 」(13欄61~67行及び14欄TABLE2) ・記載事項(甲4-15) 「炭酸ランタンチュアブル錠の粉っぽさ、ザラザラ感および乾燥についての評価: 選ばれた12名の健康なヒトボランティアのパネルに、炭酸ランタンチュアブル錠をそれが崩壊するまで口内に保持することによって味をみて、それを0~5の範囲の知覚スケールに位置付けるように求めた。 実施例7:粒度分布d(0.9)が約105ミクロンである炭酸ランタンを含む製剤 実施例8:粒度分布d(0.9)が約250ミクロンである炭酸ランタンを含む製剤 実施例9:炭酸ランタンを含まない製剤」(14欄19~29行) ・記載事項(甲4-16) 「特許請求の範囲 請求項1 a)70重量%よりも多い炭酸ランタン八水和物と; b)1または複数の単糖および1または複数の二糖を除く製薬上許容される希釈液または担体と;を含む、ヒト使用のための錠剤の形態の安定な湿式造粒医薬組成物であって、 前記組成物が、40℃および湿度75%で3カ月貯蔵した後に炭酸ランタンの脱カルボキシル化を示さない、組成物。 ……(中略)…… 請求項4 前記組成物が、結合剤、崩壊剤、甘味剤、香料、界面活性剤、磨砕剤、滑沢剤およびその混合物からなる群から選択される1または複数の製薬上許容される賦形剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。 ……(中略)…… 請求項11 前記組成物が、所望により、崩壊剤、甘味剤、香料、界面活性剤、磨砕剤、およびその混合物からなる群から選択される1または複数の製薬上許容される賦形剤を含む、請求項6に記載の方法。 ……(後略)」(14欄54行~16欄34行) (4)甲5の記載事項 甲5には、以下の記載事項(甲5-1)~記載事項(甲5-4)が記載されている。 ・記載事項(甲5-1) 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 シェルと、炭酸ランタン又は炭酸ランタン水和物と、潤滑剤とを含む経口医薬品カプセルであって、前記シェルが前記炭酸ランタン又はランタン水和物と、前記潤滑剤とを封入することを特徴とする、経口医薬品カプセル。 ……(中略)…… 【請求項18】 (1)86.7重量%炭酸ランタン水和物と、(2)8.2重量%デキストレートと、(3)1.0重量%コロイド状二酸化ケイ素と、(4)4.0重量%クロスポビドンと、(5)0.025重量%タルクとを含むカプセルであって、ここで、前記シェルが前記炭酸ランタン水和物と、デキストレートと、コロイド状二酸化ケイ素と、クロスポビドンと、タルクとを封入し、前記重量パーセントはカプセル内容物の重量に基づくものであることを特徴とする、請求項1に記載のカプセル。 ……(後略)」(2頁1行~4頁28行) ・記載事項(甲5-2) 「【0006】 チュアブル錠剤としての非カルシウム、非樹脂リン酸塩結合剤の炭酸ランタン(ホスレノール(FOSRENOL)(登録商標)、シャイア ファーマシューティカルズ(ベージングストーク,イギリス))が、透析を受けているステージ5のCKD患者の血中リンを減少させるための臨床診療で広く使用されている。炭酸ランタン錠剤を咀嚼するのが困難か、チュアブル錠剤を受け入れがたいか、又は錠剤を1日に数回噛み砕くのが面倒な患者のために、当技術分野では、炭酸ランタン又は炭酸ランタン水和物を含む代替となる製剤が必要とされている。 【0007】 本発明は、炭酸ランタン又は炭酸ランタン水和物と、タルクなどの潤滑剤とを封入するシェルを含む経口医薬品カプセルを含む。前記カプセルのシェルは、例えばゼラチンを含む。本発明の前記カプセルは、貯蔵の前後で、同様の速度で溶解する。カプセルは、希釈剤、崩壊剤及び流動補助剤などのさらに封入される賦形剤を含む場合がある。 【0008】 また、本発明は、炭酸ランタン又は炭酸ランタン水和物と、薬学的に許容可能な賦形剤とを含む経口医薬品粉末を含む。本発明の前記粉末は、炭酸ランタンチュアブル錠剤と類似の薬物動態特性を有する。粉末は、希釈剤、崩壊剤、潤滑剤及び流動補助剤などの封入される賦形剤を含む場合がある。」(5頁19~37行) ・記載事項(甲5-3) 「【0035】 粉末中か、又はカプセルのシェル内に封入された炭酸ランタンの量は、粉末又はカプセルの内容物の全重量に対して、約50重量%から約95重量%までの範囲であり、好ましくは約75重量%から約90重量%までの範囲であり、最も好ましくは約85重量%から90重量%までの範囲である。一実施態様では、粉末中又はカプセルのシェルに封入された炭酸ランタンの量は、粉末又はカプセルの内容物の全重量に対して、約87重量%である。」(10頁11~17行) ・記載事項(甲5-4) 「【0045】 有用な潤滑剤は、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、鉱物油(流動パラフィン)、ポリエチレングリコール、シリカ、コロイド状無水シリカ、コロイド状二酸化ケイ素、硬化植物性油脂、ベヘン酸グリセリン、L-ロイシン、L-ロイシン/ポリエチレングリコール 6000、ポリエチレングリコール 6000又はモノステアリン酸グリセリンから選択可能である。有用な流動補助剤は、例えば、シリカ、コロイド状無水シリカ又はコロイド状二酸化ケイ素から選択可能である。一般に、潤滑剤は製剤が処理装置に付着するのを防ぐのに対して、流動補助剤は処理している間に製剤がスムーズに流れるようにする。一成分が、潤滑剤にも流動補助剤にもなる場合がある。1種類又は2種類以上の潤滑剤が製剤中に存在する場合がある。1種類又は2種類以上の流動補助剤が製剤中に存在する場合がある。一実施態様では、前記潤滑剤がタルクであり、前記流動補助剤がコロイド状二酸化ケイ素である場合がある。 【0046】 前記潤滑剤の量は、製剤の粉末又はカプセル内容物の約0.01重量%から約0.05重量%までであり、好ましくは約0.01重量%から約0.04重量%までであり、最も望ましくは約0.01重量%から約0.03重量%までである場合がある。前記流動補助剤は、製剤の粉末又はカプセル内容物の重量の約0.1重量%から約4重量%まで、好ましくは約0.1重量%から約3重量%まで、最も望ましくは約0.1重量%から約2重量%までである場合がある。 【0047】 崩壊剤は、クロスポビドンと、クロスカルメロースナトリウムと、でんぷんグリコール酸ナトリウム及びトウモロコシアルファでんぷん(pregelatinized corn starches)などのでんぷんと、粘土と、精製セルロース、微結晶性セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロースと、アルギン酸塩と、寒天、グアーガム、ローカストビーンガム、カラヤガム、ペクチン及びトラガカントガムなどのガムとから選択される場合がある。1種類又は2種類以上の崩壊剤が、製剤に存在する場合がある。崩壊剤の全量は、製剤の粉末又はカプセル内容物の重量の約1.0重量%から約15重量%まで、好ましくは約3重量%から約10重量%まで、最も望ましくは約3重量%から約5重量%までである場合がある。」(11頁41行~12頁20行) (5)甲6の記載事項 甲6には、以下の記載事項(甲6-1)~記載事項(甲6-10)が記載されている。 ・記載事項(甲6-1) 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 沈降炭酸カルシウムを有効成分とし、賦形剤、崩壊剤および滑沢剤を含有する口腔内崩壊錠であって、賦形剤が結晶セルロース、崩壊剤が低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドンおよびカルメロースカルシウムからなる群から選択される少なくとも1種であり、0.5~3ton/cm2の圧力で圧縮成形して調製されることを特徴とする、口腔内崩壊錠。 ……(中略)…… 【請求項4】 口腔内崩壊錠100質量%中に含まれる沈降炭酸カルシウムの割合が、80~90質量%である、請求項1乃至3のいずれかに記載する口腔内崩壊錠。 【請求項5】 高リン血症治療剤である、請求項1乃至4のいずれかに記載する口腔内崩壊錠。 【請求項6】 (a)沈降炭酸カルシウム、賦形剤として結晶セルロース、崩壊剤として低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドンおよびカルメロースカルシウムからなる群から選択される少なくとも1種、並びに必要に応じて結合剤を混合し、湿式造粒して、打錠用顆粒を調製する工程、および (b)打錠用顆粒に滑沢剤を配合して混合後、0.5~3ton/cm2の圧力で圧縮成形する工程 を有する、沈降炭酸カルシウムを有効成分とする口腔内崩壊錠の製造方法。 ……(後略)」(2頁1~32行) ・記載事項(甲6-2) 「【0001】 本発明は沈降炭酸カルシウムを有効成分とする口腔内崩壊錠に関する。より詳細には、硬度が比較的高いにも拘わらず、口腔内で速やかに崩壊する特性を有する、沈降炭酸カルシウムを有効成分とした口腔内崩壊錠に関する。 【背景技術】 【0002】 慢性腎不全や透析療法を継続する患者では、腎臓の機能低下に伴って血液中のリン濃度が高くなることによって、高リン血症を発症し、その状態が持続すると、動脈硬化につながる血管壁の石灰化や、骨が痛む、脆くなる、変形する、骨折しやすい等の症状を特徴とする腎性骨症などの合併症を起こしやすくなる。かかる高リン血症を改善する方法として、従来から、沈降炭酸カルシウムなどのリン結合作用を有するカルシウム化合物を有効成分とするリン吸着薬が使用されている(特許文献1等参照)。 【0003】 現在販売されている沈降炭酸カルシウムを有効成分とするリン吸着薬は、錠剤および細粒であり、高齢者や嚥下困難な患者にあっては必ずしも服用しやすいとはいえず、さらなる剤型の改良が求められている。 【0004】 一方、近年、高齢者や嚥下困難な患者にも服用しやすい剤型として、水なしで服用できる口腔内崩壊錠が注目されている(特許文献2~6等)。かかる口腔内崩壊錠は、水なしで服用しても口腔内で速やかに崩壊する特性(口腔内での易崩壊性)を有すると同時に、打錠障害を起こすことなく、且つ携帯やPTP包装からの取り出しに耐えられる程度の硬度を備える必要がある。」(2頁35行~3頁6行) ・記載事項(甲6-3) 「【0006】 本発明は、かかる事情に鑑みて開発されたものであり、高リン血症の患者のリン吸着薬として有用な、沈降炭酸カルシウムを有効成分とする口腔内崩壊錠を提供することを目的とする。特に、打錠障害を起こすことなく、且つ携帯やPTP包装からの取り出しに耐えられる程度の硬度を備えるとともに、水なしで服用しても口腔内で速やかに崩壊する特性を有する口腔内崩壊錠を提供することを目的とする。」(3頁18~23行) ・記載事項(甲6-4) 「【0008】 すなわち、本発明は下記の実施形態を備えるものである。 (I)口腔内崩壊錠 (I-1)沈降炭酸カルシウムを有効成分とし、賦形剤、崩壊剤および滑沢剤を含有する口腔内崩壊錠であって、賦形剤が結晶セルロース、崩壊剤が低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドンおよびカルメロースカルシウムからなる群から選択される少なくとも1種であり、0.5~3ton/cm2の圧力で圧縮成形して調製されることを特徴とする、口腔内崩壊錠。 【0009】 なお、ここで結晶セルロースは、賦形剤として使用される他、結合剤としての作用および崩壊剤としての作用を有する。また同様に、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは崩壊剤として使用される他、結合剤としての作用も有する。従って、本発明でいう賦形剤、崩壊剤および結合剤といった添加剤の分類は、厳格なものではない。ゆえに、沈降炭酸カルシウムを有効成分とする錠剤において、滑沢剤に加えて、上記添加剤の区分けに拘泥せず、実質的に結晶セルロース、並びに低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドンおよびカルメロースカルシウムからなる群から選択される少なくとも1種を含有する口腔内崩壊錠であれば全て、上記本発明の口腔内崩壊錠に含まれるものとする。」(3頁34~50行) ・記載事項(甲6-5) 「【0015】 本発明の口腔内崩壊錠は、沈降炭酸カルシウムを有効成分とする錠剤であって、添加剤として滑沢剤に加えて、賦形剤として結晶セルロース、並びに崩壊剤として低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、およびカルメロースカルシウムからなる群から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする。 【0016】 沈降炭酸カルシウムは、従来より胃・十二指腸潰瘍、胃炎(急・慢性胃炎、薬剤性胃炎を含む)、および上部消化管機能異常(神経性食思不振、いわゆる胃下垂症、胃酸過多症を含む)の疾患における制酸作用と症状の改善、並びに高リン血症の改善の有効成分として使用されている薬剤であり、本発明においても日本薬局方規定の沈降炭酸カルシウムを広く使用することができる。口腔内崩壊錠中に含まれる沈降炭酸カルシウムの割合として80質量%以上を挙げることができる。好ましくは80~95質量%、より好ましくは80~90質量%である。」(5頁19~31行) ・記載事項(甲6-6) 「【0022】 また沈降炭酸カルシウムに組み合わせて使用される崩壊剤としては、前述するように低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、およびカルメロースカルシウムからなる群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。 【0023】 低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、少量のヒドロキシプロピル基をセルロースのグルコース環に導入したものであり、医薬品添加剤(崩壊剤、結合剤など)として広く使用されている成分である。本発明においても日本薬局方で規定される低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを広く使用することができる。 【0024】 低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとして、例えばヒドロキシプロピルセルロースにおけるヒドロキシプロポキシル基含量(以下、HPC基含量と略記することもある)が、約7~13重量%である低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを挙げることができる。中でも、崩壊性改善作用から、HPC基含量が約7~9.9重量%である低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。これらの低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、商業的に入手することができ、例えば信越化学工業(株)から、LH-11、LH-21、B1およびLH-31(以上、HPC基含量:10-12.9%)、並びにLH-22およびLH-32(以上、HPC基含量:7.0-9.9%)として販売されている。 【0025】 クロスポビドンは、1-エテニルピロリジン-2-オンの架橋ホモポリマーであり、医薬品添加剤(崩壊剤など)として広く使用されている成分である。本発明においても医薬品添加物規格で規定されるクロスポビドンを広く使用することができる。かかるクロスポビドンは、商業的に入手することができ、例えばコリドンCL(BASF社製)、ポリプラスドンXL、ポリプラスドンXL-10、およびポリプラスドンINF-10(以上、ISP社製)などを挙げることができる。」(6頁6~30行) ・記載事項(甲6-7) 「【0027】 これらの崩壊剤は、各成分を単独で使用することもできるし、また二種以上を任意に併用することもできる。例えば低置換度ヒドロキシプロピルセルロース単独、あるいは低置換度ヒドロキシプロピルセルロースと他の崩壊剤との併用が挙げられる。かかる崩壊剤の口腔内崩壊錠中の割合として、通常1~17質量%を挙げることができる。好ましくは3~17質量%、より好ましくは3~15質量%である。また、口腔内崩壊錠に含まれている沈降炭酸カルシウム100質量部に対する崩壊剤の割合としては、1.2~24質量部、好ましくは3.6~24質量部、より好ましくは3.6~18質量部を挙げることができる。 【0028】 また滑沢剤としては、従来から錠剤の製造において、粉体の流動性をよくし圧縮形成を容易にするために用いられる医薬品添加剤を同様に使用することができる。かかる滑沢剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、水素添加植物油、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、フマル酸ステアリルナトリウムを挙げることができる。好ましくはステアリン酸マグネシウム、およびフマル酸ステアリルナトリウムである。 【0029】 かかる滑沢剤の口腔内崩壊錠中の割合として、通常0.1~5質量%を挙げることができる。好ましくは0.1~3質量%、より好ましくは0.1~2質量%である。また、口腔内崩壊錠に含まれている沈降炭酸カルシウム100質量部に対する滑沢剤の割合としては、0.1~6質量部、好ましくは0.1~3.6質量部、より好ましくは0.1~2.4質量部を挙げることができる。 【0030】 本発明の口腔内崩壊錠は、これらの医薬品添加物に加えて、さらに結合剤を配合することもできる。結合剤としては、本発明の効果を損なわない限り、従来から錠剤の製造において、原料の粉体粒子同士を結びつけて錠剤の機械的強度を調整するために用いられる医薬品添加剤を同様に使用することができる。かかる結合剤としては、デンプン(トウモロコシデンプン、バレイショデンプン等)、加工デンプン(アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、トウモロコシデンプン造粒物、酸化デンプン、半消化体デンプン、酸処理デンプン、アルカリ処理デンプン、漂白デンプン、焙焼デキストリン、酵素処理デンプン、トウモロコシシロップ、アクリル酸デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、α又はβシクロデキストリン、ヒドロキシプロピルスターチ、アミロペクチン、低置換度カルボキシメチルスターチナトリウム、デンプンリン酸エステル、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、アセチル化酸化デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、酢酸デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプン、リン酸架橋デンプン、デンプングリコール酸ナトリウムなど)、アラビアガム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、プルランなどが挙げられる。これらの結合剤はいずれも汎用の成分であり、商業的に入手することができる。なお、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースといったセルロース誘導体は、通常結合剤として使用されるものの、口腔内で崩壊する特性を有する製剤が得られなくなる傾向が高いため、本発明では配合を避けることが好ましい。」(6頁38行~7頁29行) ・記載事項(甲6-8) 「【0040】 また本発明の口腔内崩壊錠は、例えばPTP包装からの取り出しや携帯によっても破損しないような硬度を備えていることが好ましい。かかる硬度は、3kgf以上を挙げることができる。耐破損性と口腔内での崩壊性との兼ね合いから、錠剤硬度として好ましくは3~10kgf、より好ましくは4~10kgf、特に好ましくは5~10kgfを挙げることができる。なお、かかる錠剤硬度は、測定する錠剤を打錠後、室温、相対湿度60%以下の条件で保存し、8時間以内に錠剤破壊強度測定器(例えば、TH-203MP、富山産業(株)製)を用いて、直径方向の強度を測定することで求めることができる。 【0041】 斯くして調製される本発明の錠剤は、特に口腔内崩壊錠として有用であり、水なしで、または水とともに服用することができる。かかる服用方法としては、具体的には、口に含みそのまま飲み込まず少量の水、または水なしで口腔内の唾液で溶解または崩壊させて服用する方法を挙げることができる。かかる口腔内崩壊錠は、近くに飲用水がない場合、錠剤を飲み込むことが困難な患者(嚥下困難者)が服用する場合、または通常の錠剤の場合に喉に詰まらせてしまう恐れのある高齢者や子供が服用する場合などに有利に用いられる。但し、本発明の錠剤は、水とともに服用されることを制限するものではない。 【0042】 口腔内乾燥症などの唾液分泌障害がない健常者の場合、上記の服用方法、特に水なしの方法で本発明の口腔内崩壊錠を服用すると、唾液により、口腔内で速やかに崩壊し分散する。その口腔内で錠剤が完全に崩壊して分散する時間(口腔内崩壊時間)は、通常60秒以内であり、好ましくは50秒以内、より好ましくは40秒以内である。」(8頁38行~9頁8行) ・記載事項(甲6-9) 「【0045】 (2)沈降炭酸カルシウムを有効成分とする錠剤の口腔内崩壊特性の向上方法 また本発明は、沈降炭酸カルシウムを有効成分とする錠剤を対象として、口腔内崩壊特性を向上する方法を提供する。当該方法は、錠剤の製造にあたり、有効成分である沈降炭酸カルシウム、および滑沢剤に加えて、賦形剤として結晶セルロース、並びに崩壊剤として低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドンおよびカルメロースカルシウムからなる群から選択される少なくとも1種を用いることによって達成することができる。 【0046】 対象とする錠剤は、好ましくは最終錠剤100質量%中に沈降炭酸カルシウムを80~95質量%もの高含有量で含むものである。 【0047】 ここで使用する、沈降炭酸カルシウム、滑沢剤、賦形剤および崩壊剤の種類およびその割合、ならびに錠剤の製造方法は、(1)で説明する通りである。また、滑沢剤、賦形剤および崩壊剤に加えて、さらに結合剤を配合することもできる。結合剤の種類およびその割合も(1)で説明する通りである。結合剤として、特にデンプンまたは加工デンプン、より好ましくはアルファー化デンプンや部分アルファー化デンプン等の加工デンプンを用いることで、錠剤硬度を高めるとともに、口腔内での崩壊性をより向上させることができる。 【0048】 本発明の方法によれば、沈降炭酸カルシウムを有効成分とする錠剤について、当該錠剤を水なしで服用した場合の口腔内崩壊時間を60秒以内に短縮することができる。また、本発明の方法で崩壊性を向上させてなる口腔内崩壊錠は、所定の硬度(3kgf以上)(径方向)を有するため、PTP包装からの取り出しや携帯による破損を受けにくいという耐破損性を備える。」(9頁21~45行) ・記載事項(甲6-10) 「【0050】 実験例1 (1)被験錠剤の調製 表1に記載する処方に従って1錠600mg、直径10mm、厚み5.5mmの錠剤(被験錠剤1~12)を調製した。具体的には、まず撹拌造粒機(LFS-GS-1J、深江パウテック(株)製)を用いて、沈降炭酸カルシウム500g、賦形剤60.8gおよび崩壊剤35gを混合し、これに精製水230mLを加えて練合し造粒した。その後、これを棚式通風乾燥機(DAE-20、三和加工機製)にて乾燥し、次いで整粒機(P-02S、ダルトン製)を用いて整粒し、打錠用顆粒を調製した。斯くして得られた顆粒に滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム)を4.2g加え混合し、次いでロータリー式打錠機(VIRG 0512SS2AZ、菊水製作所)にて1.5~2ton/cm2圧で打錠して圧縮成形することにより、1錠当たり500mgの沈降炭酸カルシウムを有効成分とする600mgの錠剤(直径10mm、厚み5.5mm)を得た。 【0051】 (2)被験錠剤の評価 (1)で調製した各錠剤(被験錠剤1~12)について、下記試験法に従って錠剤硬度および口腔内崩壊時間を測定した。 【0052】 (2-1)硬度試験 錠剤破壊強度測定器(TH-203MP、富山産業(株)製)を用いて、各錠剤の直径方向の硬度を測定した。なお、試験は測定する対象の錠剤を打錠後、室温、相対湿度60%以下の条件で保存し、8時間以内に行った。また試験は5回行い、その平均値を求めた。 【0053】 (2-2)口腔内崩壊時間 各錠剤を口腔内に水なしに含ませ、錠剤が口腔内の唾液のみで完全に崩壊、分散するまでの時間を測定した。試験は5回行い、その平均値を求めた。 【0054】 結果を表1に併せて示す。なお、表1には錠剤1錠あたりの各成分の含有量(mg)を記載する。 【0055】 【表1】 【0056】 この結果からわかるように、有効成分として沈降炭酸カルシウムを80%以上含む錠剤において、賦形剤として結晶セルロースを用いることで、全体として錠剤硬度が向上しながら口腔内での崩壊時間が短くなる傾向があること(被験錠剤9~12)、特に結晶セルロースに加えて、崩壊剤として、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、またはカルメロースカルシウムを併用することで、錠剤硬度5kgf以上、口腔内崩壊時間60秒以内の、口腔内崩壊錠に適した特性を有する錠剤(被験錠剤9~11:実施例1~3)が調製できることが確認された。」(10頁1~49行) (6)甲7の記載事項 甲7には、以下の記載事項(甲7-1)~記載事項(甲7-3)が記載されている。 ・記載事項(甲7-1) 「弊社では,慢性腎不全患者ならびに腎透析患者の高リン血症改善剤およびコンプライアンス向上を目的とした剤型として,沈降炭酸カルシウムの錠剤であるカルタン(R)錠500(沈降炭酸カルシウム500mg含有),カルタン(R)錠250((沈降炭酸カルシウム250mg含有)(図1),カルタン(R)細粒83%(沈降炭酸カルシウム83%含有)を開発し,発売するに至っている。 しかしながら,昨今の服用コンプライアンス向上への高まりを受け,水分摂取制限がある透析患者ならびに錠剤の大きさから服用に支障を来している患者へのさらなる服用コンプライアンスの向上を目的として,沈降炭酸カルシウムの口腔内崩壊錠(以下OD錠)を開発し,カルタン(R)OD錠500mgおよびカルタン(R)OD錠250mgとして発売するに至った。 本稿ではその製剤設計について紹介する。」(「(R)は原文では「○」内に「R」)(39頁右欄2行~40頁左欄2行) ・記載事項(甲7-2) 「OD錠の開発にあたり,最大の問題点はその有効成分含有率にあった。既存品と同等の大きさを目標として設定したため,1錠あたりの有効成分合有率は約83%となり.処方設計領域が非常に小さい。通常,OD錠に適している有効成分含有率は原薬の特性にもよるが10%程度と考えられている。」(40頁左欄16~21行) ・記載事項(甲7-3) 「(1)崩壊剤の選定 初期検討において,ポリビニルピロリドン系に代表されるような導水型の添加剤を用いて崩壊性を評価したところ,速やかな崩壊性を得ることはできなかった。水と接触した際に有効成分が引き起こす凝集により,水の錠剤内部への浸透を阻害することが原因と推察された。 そのため,水に触れて速やかに膨潤する機能(膨潤性)と,水を錠剤内部に速やかに引き込む機能(導水性)を製剤に付与する崩壊剤の選定が必要であった。 種々の添加剤について崩壊性と添加量のバランスを検討した結果,膨潤性と吸水能の異なる結晶セルロースおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの組み合わせが最適であり,これらを採用した。」(40頁右欄1~13行) (7)甲8の記載事項 甲8には、以下の記載事項(甲8-1)~記載事項(甲8-2)が記載されている。 ・記載事項(甲8-1) 「本発明は、新規性、かつ、進歩性のある医薬組成物及び方法に関する。より特に、本発明は、高リン酸血症(hyperphosphataemia)の治療用組成物に関する。 高リン酸血症は、透析装置を使用する、腎不全患者の有する特別な問題である。慣用の透析は、その血中リン酸(phosphate)レベルを減少させることができず、そのレベルは、時々上昇する。アルミニウム塩又はカルシウム塩の経口投与によりリン酸レベルを制御することが知られている。アルミニウムの知られた毒性によって、アルミニウムに基づく治療は、回避される傾向にある。カルシウム塩の場合には、カルシウムは、消化管から直ちに吸収され、そして次に高カルシウム血症(hypercalcaemia)を引き起こす。」(3頁5~11行) ・記載事項(甲8-2) 「特定の形の炭酸ランタンが、さまざまなテストにおいて、8水塩の型であると信じられている標準的な商業的な炭酸ランタン、及びLa2(CO3)3・H2O又は類似の化合物を上廻る改善された性能を示すことが今般発見された。」(4頁6~8行) (8)甲9-1の記載事項 甲9-1には、以下の記載事項(甲9-1)~記載事項(甲9-5)が記載されている。 ・記載事項(甲9-1) 「一般用医薬品のうち,薬物含量が少ない鼻炎用内服薬や乗物酔い薬では,崩壊性に優れた成分を多く配合できるため,十分な速崩壊性を備えた市販品が多数発売されている.これに対し,解熱鎮痛薬や胃腸薬では薬物含量が80%を超えるものが多く,このような一般用医薬品を口腔内崩壊錠にするためには,崩壊剤等の配合成分や製造方法について詳細に検討する必要がある. 本研究では,口腔内速崩壊剤の製造に適した崩壊剤を選定するために,一般に崩壊剤として利用されている11種類の崩壊剤を添加した錠剤を試作し,崩壊剤の添加量や添加方法,錠剤成型用顆粒の造粒方法,及び錠剤の成型圧力が錠剤硬度や崩壊時間に与える影響について検討したので,その結果を報告する. 」(1頁右下欄2~16行) ・記載事項(甲9-2) 「 」(2頁表1) ・記載事項(甲9-3) 「口腔内速崩壊錠に配合するモデル薬物として,解熱鎮痛薬等に汎用されているアセトアミノフェン(岩城製薬,以下AAPと略す」,賦形剤としてD-マンニトール(Merck,以下MANと略す),結合剤としてヒドロキシプロピルセルロースのSL及びLグレード(日本曹達,以下HPC-SL及びHPC-Lと略す),滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム(太平化学産業,以下Mg-Stと略す)を使用した.」(2頁左欄13~20行) ・記載事項(甲9-4) 「モデル薬物としたAAPの普通錠における配合量は80%程度であるが,最初から高含量で検討を行うのは困難であるため,本研究ではAAPの配合量を50%に設定した.崩壊剤の添加量は5,10,及び20%の3水準とし,崩壊剤の増量分はMANを減量した.崩壊剤の添加方法は,崩壊剤を添加して造粒する顆粒内添加法と,崩壊剤を含まない顆粒を調製した後,打錠前に顆粒と崩壊剤を混合する後末添加法の2種類の方法を実施した.錠剤調製用顆粒は湿式造粒法として一般的な撹拌造粒法と流動層造粒法の2種類の方法で調製した.」(2頁左欄24行~右欄5行) ・記載事項(甲9-5) 「4.  まとめ 口腔内速崩壊錠の製造に適した崩壊剤を選定するために,一般的に崩壊剤として使用されている11種類の崩壊剤を添加した錠剤を試作し,崩壊剤の添加量及び添加方法,錠剤成形用顆粒の造粒方法,及び錠剤の成形圧力が錠剤硬度や崩壊時間に与える影響について検討した.その結果,以下のことが明らかになった. (1)成形圧力の増加とともに錠剤硬度は増加した.MCC及びPCは成形圧力の増加とともに崩壊時間が遅延したが,その他の崩壊剤では崩壊時間にほとんど影響がなかった.崩壊剤5%後末添加の場合,CP1,CP2,CMC,L-HPC,及びSSGにおいて,30秒以内の速やかな崩壊が認められた.」(7頁右欄1~15行) (9)甲17の記載事項 甲17には、以下の記載事項(甲17-1)~記載事項(甲17-2)が記載されている。 ・記載事項(甲17-1) 「【0077】 5.この試験は、ランダム化された非盲検の多施設治験における慣用の炭酸ランタン(LC)の有効性、安全性および耐容性を炭酸カルシウム(CC)のそれらと比較するものである。 ……(中略)…… 【0079】 結果 LCとCCにより処置された類似の比率の患者において、血清リンレベルのコントロールを達成する(9週:67.9%対65.8%;25週:65.8%対63.9%)。LCには、9週においてCCよりもカルシウム×リン積の著しく大きい減少(-1.80対-1.35ミリモル2/L2;P=0.009)と、25週において数字的に大きい減少(-1.59対-1.26ミリモル2/L2)を伴う。LCについてはランタンの血漿レベルは処置の間極めて低い:25週で投与される最高ランタン用量において0.49ng/mLである。副作用は重症度において一般に軽度または中程度であり、LCを受ける患者の77.7%およびCCを受ける患者の79.8%で起こる。高カルシウム血症は、LCを受ける患者(0.4%)と比較してCCを受ける患者においては実質的に高い頻度(20.2%)で起こる。 【0080】 LCは、末期腎疾患の患者における血清リンのコントロールにおいてCCに等価の有効性を示す。LCは耐容性が良好であり、高カルシウム血症のリスクがCCよりも低い。 ……(中略)…… 【0084】 LCは耐容性が良好であり、少なくとも1年の期間有効である。短期治験においてLCについて観察される高カルシウム血症の低下した発生率を1年間維持する。」(16頁3行~17頁6行) ・記載事項(甲17-2) 「【0085】 7.大規模なランダム化された1年治験において、骨パラメーターに対する慣用の炭酸ランタン(LC)または炭酸カルシウム(CC)を用いた長期治療の影響の安全性と有効性を評価する。 ……(中略)…… 【0087】 結果 98人の患者は、すべて包括解析(intent-to-treat)の有効性および安全性の集団に含めた。副作用プロフィールはLCとCCについて類似であったが、高カルシウム血症副作用(>2.65ミリモル/Lの血清カルシウム)はLC(6%)についてはCC(35%)よりも低頻度であった。LCまたはCCの治療の間に生命徴候が臨床的に関連する変化はなかった。血漿ランタンレベルは、ベースラインにおいてはLC-およびCC処置の患者(範囲、0.31-0.11ng/mL)においては類似であり、終点においてはLC処置の患者(<0.03-1.95ng/mL)においてはCC処置の患者(すべて<0.03ng/mL)よりも高かった。 ……(中略)…… 【0088】 LCは等しく良好な耐容性のようであり、そしてCCに同等の有効性を示したが、高カルシウム血症のリスクは処置の1年にわたって大きく減少した。他の長期試験のように、長期のLC治療は血漿ランタン蓄積を生じなかった。」(17頁7~37行) (10)甲18の記載事項 甲18には、以下の記載事項(甲18-1)が記載されている。 ・記載事項(甲18-1) 「【0005】 ESRD患者における高リン酸塩血症は、カルシウム含有型リン吸着薬であるセベラマー(すなわち、例えばGenzyme(ケンブリッジ、マサチューセッツ州)からリナゲル(Renagel、登録商標)錠剤(セベラマー塩酸塩)として入手可能な正に荷電したポリマー)と、アルミニウム含有型リン吸着薬とを使用して制御される場合がある。カルシウム含有型リン吸着薬を受け入れる患者は、1日当たりのカルシウムの推奨摂取量を超える摂取をせずには所望のリン酸塩レベルを実現できないことが多く、摂取しなければならない薬剤の量に苦しめられることが多い。加えてカルシウム含有型リン吸着薬は、以下に説明されるように、高カルシウム血症を引き起こす場合と異所性石灰化を悪化させる場合とがある。セベラマーを処方される患者は、この薬剤の効力が足りないために手に負えないほどに大きな丸薬も負担する。アルミニウム含有型リン吸着薬は非常に強力かつ有効だが、長期間にわたり使用されるときには中枢神経系毒性及び骨毒性に関連する。 【0006】 チュアブル錠剤の形態の炭酸ランタン(Shire Pharmaceuticals(ウェイン、ペンシルバニア州)からフォスレノール(Fosrenol、登録商標)として入手可能)も、ESRD患者における高リン酸塩血症を治療するためにFDAにより 承認されている。他の問題の多いリン吸着薬と異なり炭酸ランタン含有型リン吸着薬は、扱いやすい用法で強力であり、高カルシウム血症を引き起こさず、長期間にわたり毒性がない。」(3頁35行~4頁3行) (11)甲19の記載事項 甲19には、以下の記載事項(甲19-1)~記載事項(甲19-3)が記載されている。 ・記載事項(甲19-1) 「【効能・効果】 下記患者における高リン血症の改善 保存期及び透析中の慢性腎不全患者 【用法・用量】 通常、成人には、沈降炭酸カルシウムとして1日3.0gを3回に分割して、食直後、経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減する。」(1頁左欄) ・記載事項(甲19-2) 「2.重要な基本的注意 ……(中略)…… (2)本剤の投与にあたっては、定期的に血中リン及びカルシウム濃度を測定しながら慎重に投与すること。〔血中カルシウム濃度の上昇を来すことがある。〕 また、本剤の投与が長期にわたる場合には、患者の状態を観察しながら必要に応じ、血中マグネシウム濃度を測定すること。〔血中マグネシウム濃度が上昇するおそれがある。〕」(1頁右欄4~13行) ・記載事項(甲19-3) 「4.副作用 承認時における安全性評価対象症例205例中、臨床検査値異常を含む副作用は7例(3.4%)9件に認められた。 再審査終了時における安全性評価対象症例3、453例中、臨床検査値異常を含む副作用は118例(3.4%)132件に認められた。」(2頁左欄1~6行) (12)甲20の記載事項 甲20には、以下の記載事項(甲20-1)~記載事項(甲20-2)が記載されている。 記載事項(甲20-1) 「2.重要な基本的注意 ……(中略)…… (2)本剤の投与にあたっては,定期的に血清リン,カルシウム及びPTH濃度を測定しながら慎重に投与すること. 血清リン及びカルシウム濃度の管理目標値は学会のガイドライン1)等,最新の情報を参考にすること.低カルシウム血症及び二次性副甲状腺機能亢進症の発現あるいは発現のおそれがある場合には,ビタミンD製剤やカルシウム製剤の投与あるいは他の適切な治療法に切り替えることを考慮すること.」(1頁左欄下から3行~右欄8行) 記載事項(甲20-2) 「4.副作用注1),注2) *国内で実施された透析中の慢性腎不全患者を対象とした臨床試験において,305例注82例(26.9)%)に副作用が認められた.……(中略)……また,透析中の慢性腎不全患者を対象とした3年間長期投与試験では,42例中26例(61.9%)に副作用が認められた.……(中略)……国内で保存期の慢性腎臓病患者を対象として実施された比較試験において,87例中20例(23.0%)に副作用が認められた.……(中略)……また,保存期の慢性腎臓病患者を対象とした長期投与試験では,123例注29例(23.6%)に副作用が認められた.」(1頁右欄下から15行~2頁左欄4行) (13)甲22の記載事項 甲22には、以下の記載事項(甲22-1)が記載されている。 ・記載事項(甲22-1) 「【0002】 錠剤の大きさについて患者の服用性を考慮すると、錠剤は小型である方が飲みやすいとされている。例えば、錠剤の直径が5mmから9mmである場合は服用しやすいと感じる患者が多い一方で、直径が11mm以上になると服用しにくいと感じる患者の方が多くなると報告されている(非特許文献1)。しかし、錠剤のサイズが小さすぎる場合にはPTPシートや包装容器からの錠剤の取り出し難さ、摘みにくさ等のハンドリング性が問題となるため、服用性とハンドリング性の双方を考慮すると、一般的に、錠剤の直径は6mmから10mmの範囲とすることが好ましい。すなわち、錠剤の大きさは、患者の服用コンプライアンスやQOLを左右するだけでなく、医療従事者の取り扱い易さやハンドリング性にも影響を及ぼすため、経口投与用の医薬品を開発する上で極めて重要なポイントとなる。 【0003】 1回服用量が多い薬物を含有する錠剤を設計する場合、錠剤の大型化、もしくは1回に服用する錠剤数量が増える傾向にあるため、前述の医療ニーズを確保するためには、錠剤を小型化することが求められる。錠剤を小型化するためには、製造時に添加する医薬品添加物の含有量をできる限り少なくし、錠剤の薬物含有率を高くする必要があるが、それに伴い、薬物の物性が打錠工程に与える影響は大きくなる。実際、経口投与用の有効成分として使用される薬物の多くは、錠剤の薬物含有率を高くするほど、各々の薬物の物性により、ラミネーションやキャッピングと呼ばれる打錠障害が発生するため、錠剤の製造が困難となる。」(3頁21~39行) (14)甲38の記載事項 甲38には、以下の記載事項(甲38-1)が記載されている。 ・記載事項(甲38-1) 「1.1.1.口腔内崩壊錠 Orally Disintegrating Tablets/Orodispersible Tablets (1)口腔内崩壊錠は,口腔内で速やかに溶解又は崩壊させて服用できる錠剤である. (2)本剤は,適切な崩壊性を有する. 1.1.2.チュアブル錠 Chewable Tablets (1)チュアブル錠は,咀嚼して服用できる錠剤である. (2)本剤は,服用時の窒息を防止できる形状とする.」(10頁左欄23~32行) (15)甲39の記載事項 甲39には、以下の記載事項(甲39-1)~記載事項(甲39-2)が記載されている。 ・記載事項(甲39-1) 「1.1.1.口腔内崩壊錠 Orally Disintegrating Tablets/Orodispersible Tablets (1)口腔内崩壊錠は,口腔内で速やかに溶解又は崩壊させて服用できる錠剤である.(注14) (2)本剤は,適切な崩壊性を有する.(注15) 1.1.2.チュアブル錠 Chewable Tablets (1)チュアブル錠は,咀嚼して服用できる錠剤である.(注16) (2)本剤は,服用時の窒息を防止できる形状とする.(注17)」(A-34頁6~14行) ・記載事項(甲39-2) 「(注14)口腔内で速やかに溶解又は崩壊する口腔内崩壊錠は,易水溶性の賦形剤,崩壊能の高い崩壊剤を用いるなどの組成の工夫や,特殊な製造方法を用いることで,多孔性,膨潤性の高い錠剤である. (注15)通常の素錠と比較して,口腔内崩壊錠は口腔内で速やかに溶解又は崩壊させるため,崩壊性に優れる. (注16)服用時,口中で溶かすか,かみ砕いて使う錠剤である. (注17)服用時の窒息を防ぐため,錠剤に穴が開いているものがある.」(A-36頁33行~A-37頁2行) (16)乙9の記載事項 乙9には、以下の記載事項(乙9-1)が記載されている。 ・記載事項(乙9-1) 「Avicel CE-15 微結晶セルロースおよびグアーガムは、チュアブル錠において優れた口当たりの性能を提供する賦形剤である。Avicel CE-15を配合した錠剤を噛むと、使用者は以下を体験する。 ・少ないザラザラ感 ・歯の詰まりの減少 ・最小の粉っぽさ ・全体的な嗜好性の向上」(1頁本文1~7行) 第6 当審の判断 1 無効理由1(甲2に基く進歩性欠如)について (1)請求人の主張する無効理由1の論旨 平成30年9月12日付け弁駁書2頁19行~3頁2行において、請求人は、 「(2)被請求人による平成30年8月3日付上申書について 被請求人は、今回の訂正によって審決の予告に記載された無効理由が解消されたとして縷々主張していますが、少なくとも、いくつかの請求項については、審決の予告に記載された無効理由の解消には至っていないものと考えます。」と述べる。 審判請求書、平成29年12月8日付け弁駁書、平成30年4月5日付け口頭審理陳述要領書、平成30年4月17日付け上申書及び平成30年9月12日付け弁駁書の記載からみて、請求人の主張する無効理由1の論旨は、概略、以下のとおりであると認められる。 甲2には、以下の発明(以下、「請求人甲2発明」という。)が記載されており、本件第2訂正発明と請求人甲2発明の相違点に係る構成は、単なる設計事項であるか、周知の事項(もしくは甲4記載事項、甲5記載事項)、甲8記載事項、甲9記載事項を適用することにより、容易に想到できたものである。そして、本件明細書には、それにより奏する格別の効果は記載されていない。 したがって、本件第2訂正発明は、請求人甲2発明並びに周知の事項(もしくは甲4記載事項、甲5記載事項)、甲8記載事項及び甲9記載事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものである。(審判請求書38頁1行~72頁12行、平成29年12月8日付け弁駁書13頁12行~27頁11行) (請求人甲2発明) 「a ナノ炭酸ランタン口腔内崩壊錠である。 b 崩壊剤(微結晶セルロース)を16%含有する。 c 医薬組成物中の含有率が40%である。 d 炭酸ランタンを含有する。 e 前記崩壊剤が微結晶セルロースである。 f 医薬組成物(高リン血症治療薬)である。」 (2)本件第2訂正発明1~4、8~9についての当審の判断 前記第2に示したとおり、平成30年8月3日付け訂正請求による訂正が認められた結果、本件第2訂正発明1~4、8~9は削除されたので、本件第2訂正発明1~4、8~9についての審判請求は却下すべきものである。 (3)本件第2訂正発明5についての当審の判断 ア 甲2発明 記載事項(甲2-7)によれば、甲2には、実施例16として以下の口腔内崩壊錠が記載されている。 「炭酸ランタンナノ結晶体40部をマンニトール20部及び微結晶セルロース16部と十分に混合し、40メッシュのふるいに通し、60℃で5時間乾燥し、その後、60℃で3時間乾燥した微結晶セルロース21部、ポリエチレングリコール3部とともに100メッシュのふるいに通し、均一に混合した後、10MPaの圧力下で打錠して得られる、錠剤硬度5kgであり体外崩壊時間80秒である口腔内崩壊錠。」 ここで、記載事項(甲2-1)及び記載事項(甲2-4)によれば、マンニトールは充填剤の例とされ、微結晶セルロースは崩壊剤の例とされ、ポリエチレングリコールは粘着剤の例とされている。 そうすると、甲2には以下の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されているといえる。 「炭酸ランタンナノ結晶体40部を充填剤としてのマンニトール20部及び崩壊剤としての微結晶セルロース16部と十分に混合し、40メッシュのふるいに通し、60℃で5時間乾燥し、その後、60℃で3時間乾燥した崩壊剤としての微結晶セルロース21部、粘着剤としてのポリエチレングリコール3部とともに100メッシュのふるいに通し、均一に混合した後、10MPaの圧力下で打錠して得られる、錠剤硬度5kgであり体外崩壊時間80秒である口腔内崩壊錠。」 イ 対比 以下、本件第2訂正発明5と甲2発明とを対比する。 (ア)甲2発明における「炭酸ランタン」は、本件第2訂正発明5における「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」に相当する。 (イ)甲2発明における「口腔内崩壊錠」には「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする」との文言はないものの、記載事項(甲38-1)、記載事項(甲39-1)及び記載事項(甲39-2)並びに記載事項(甲6-8)に示されるように、「口腔内崩壊錠」は、唾液分泌障害がない者の場合は唾液又は少量の水により、口腔内乾燥症などの唾液分泌障害がある者の場合は少量の水により、口腔内で速やかに溶解又は崩壊させて経口投与するものであることが技術常識であるから、甲2発明における「口腔内崩壊錠」は、本件第2訂正発明5における「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」に相当する。 (ウ)甲2発明における口腔内崩壊錠の調製に際しては十分な乾燥が行われていることから、水分の存在は無視することができる。また、各成分の割合(部)は特段の言及がなければ質量部で表現されることが技術常識であるから、各成分の合計質量部は、40部(炭酸ランタンナノ結晶体)+20部(マンニトール)+16部(微結晶セルロース)+21部(微結晶セルロース)+3部(ポリエチレングリコール)=100部である。したがって、甲2発明における炭酸ランタンナノ結晶体の含有率は40質量%であり、微結晶セルロースの含有率は37質量%である。 (エ)本件第2訂正発明5においてはその調製条件、錠剤硬度及び体外崩壊時間が特定されておらず、それらに対応する物性等も特定されていないことから、調製条件、錠剤硬度及び体外崩壊時間の点では本件第2訂正発明5と甲2発明は相違しない。 上記(ア)~(エ)を総合すると、本件第2訂正発明5と甲2発明との間の一致点及び相違点は、以下のとおりであると認められる。 <一致点> 「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤及び炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有する、医薬組成物。」 <相違点1> 「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」について、甲2発明においては「炭酸ランタンナノ結晶体」と特定されているのに対し、本件第2訂正発明5においては「ナノ結晶体」との特定がされていない点。 <相違点2> 「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」の医薬組成物中の含有率が、甲2発明においては40質量%であるのに対し、本件第2訂正発明5においては70~90質量%である点。 <相違点3> 「崩壊剤」について、甲2発明においては「崩壊剤としての微結晶セルロース37質量%」とされるのに対し、本件第2訂正発明5においては「崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」とされる点。 ウ 相違点についての判断 以下、上記相違点1~3について検討する。 記載事項(甲2-3)~記載事項(甲2-4)及び記載事項(甲2-6)によれば、甲2発明が解決しようとする課題は、従来の炭酸ランタン含有錠剤においては炭酸ランタン結晶体の吸着能力が高くないという欠点を有するものであったところ、薬物の治療効果を最大限に発揮させ、患者の服薬量を減少させ、患者のコンプライアンスを高めるというものと認められる。 (ア)相違点1及び相違点2について まず、甲2発明にいう「炭酸ランタンナノ結晶体」が、本件第2訂正発明5にいう「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」と、実質的に相違するものであるかについて、検討する。 記載事項(甲2-3)、記載事項(甲2-5)及び記載事項(甲2-6)によれば、甲2発明にいう「炭酸ランタンナノ結晶体」は、従来の炭酸ランタン結晶体がその顆粒寸法は大きく比表面積は小さいものであるのに対し、特定の調製条件により得られるナノサイズの結晶体であって、当業界において通常用いられる「炭酸ランタン」とは異なるものと認められる。一方、本件明細書の発明の詳細な説明には、「本発明の医薬組成物に使用される炭酸ランタンは、物理的・化学的・生物学的特性が既知の、一般式La2(CO3)3・xH2O(式中、x=3~8)で表される化合物が好ましく、x=4~5が特に好ましい。」(段落【0019】)との記載があることから、本件第2訂正発明5にいう「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」が当業界において通常用いられる「炭酸ランタン」であることが示されているといえる。また、本件第2訂正発明5にいう「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」が、「ナノ結晶体」であることも、甲2発明にいう「炭酸ランタンナノ結晶体」と同様の調製条件により得られるものであることも、記載されていない。また、本件第2訂正発明5にいう「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」が「ナノ結晶体」であることが明細書の発明の詳細な説明の記載及び技術常識から明らかであるともいえない。 したがって、本件第2訂正発明5にいう「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」は「ナノ結晶体」ではなく、甲2発明にいう「炭酸ランタンナノ結晶体」は本件第2訂正発明5にいう「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」とは実質的に相違するものである。 次に、甲2発明に対して、「炭酸ランタンナノ結晶体」を医薬組成物中に40質量%で含有することを、本件第2訂正発明5にいう「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」を医薬組成物中に70~90質量%で含有することに変更する動機が存在するかについて検討する。 甲2発明は、記載事項(甲2-6)~記載事項(甲2-7)に示されるように、「炭酸ランタン」として「炭酸ランタンナノ結晶体」を医薬組成物中に40質量%で含有する口腔内崩壊錠により、薬物の治療効果を最大限に発揮させ、患者の服薬量を減少させ、患者のコンプライアンスを高めるという課題を解決したものと認められるので、その「炭酸ランタンナノ結晶体」をあえて「ナノ結晶体」ではない「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」に変更した上に、医薬組成物中の含有量を40質量%から70~90質量%に増加させる動機が存在するとはいえない。 また、記載事項(甲2-3)には「従来の炭酸ランタン結晶体顆粒寸法は大きく、このため比表面積は小さく、したがって、吸着能力は高くない。」との記載があり、「ナノ結晶体」でない「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」のリン吸着能力が高くないことが示されていることから、「炭酸ランタンナノ結晶体」を「ナノ結晶体」ではない「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」に変更すれば、口腔内崩壊錠によるリン吸着能力は低下することを、当業者は予想するといえる。 また、記載事項(甲22-1)によれば、錠剤の直径が11mm以上になると服用しにくいと感じる患者の方が多くなること、及び、1回服用量が多い薬物を含有する錠剤を設計する場合、錠剤を小型化することが求められるが、医薬品添加物の含有量をできる限り少なくし、薬物含有率を高くするにしても、経口投与用の有効成分として使用される薬物の多くは、錠剤の薬物含有率を高くするほど、打錠障害が発生し、錠剤の製造が困難となること、が技術常識であると認められる。 すると、甲2発明に対して、錠剤のサイズを大きくすることなく、「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」の医薬組成物中の含有率をさらに高くすれば、錠剤の製造に際して打錠障害が発生して製造が困難になることを、当業者は予想するといえる。 したがって、そのような変更を当業者が行うことは想定できず、甲2発明に対して、「炭酸ランタンナノ結晶体」を医薬組成物中に40質量%で含有することを、本件第2訂正発明5にいう「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」を医薬組成物中に70~90質量%で含有することに変更することには阻害要因が存在するといえる。 さらに、各甲号証の他の記載事項及び技術常識を検討しても、相違点1及び相違点2を当業者が容易に想到し得たものとすべき根拠を見出すことはできない。 したがって、相違点1及び相違点2は、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 (イ)相違点3について 甲2発明に対して、「崩壊剤としての微結晶セルロース37質量%」を「崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」に変更する動機が存在するかについて検討する。 甲2発明は、記載事項(甲2-6)~記載事項(甲2-7)に示されるように、「炭酸ランタン」として「炭酸ランタンナノ結晶体」を医薬組成物中に40質量%で含有する口腔内崩壊錠により、薬物の治療効果を最大限に発揮させ、患者の服薬量を減少させ、患者のコンプライアンスを高めるという課題を解決したものと認められるので、その甲2発明の口腔内崩壊錠の特性を得るために重要な要素である「崩壊剤としての微結晶セルロース37質量%」を、あえて「崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」に変更する動機が存在するとはいえない。 また、記載事項(甲7-3)には、口腔内崩壊錠に用いる崩壊剤の選定にあたっては、一般的に崩壊剤として使用されているものを選定するのみでは口腔内崩壊錠を得ることができず、崩壊剤の機能を考慮しつつ崩壊性と添加量のバランスを検討した上で、崩壊剤を選定する必要があることが示されている。 また、記載事項(甲9-1)~記載事項(甲9-5)は、記載事項(甲9-1)に記されるとおり、薬物含量が80%を超える解熱鎮痛薬や胃腸薬を口腔内崩壊錠にするための崩壊剤のスクリーニング方法及び結果についてのものであり、そのうち、記載事項(甲9-4)にはモデル薬物AAPについて「最初から高含量で検討を行うのは困難である」との記載があって、口腔内崩壊錠の1錠あたりの有効成分含有率が高い場合には崩壊剤の選定が困難であることが示されている。 さらに、記載事項(甲9-5)にも、口腔内崩壊錠に用いる崩壊剤の選定にあたっては、一般的に崩壊剤として使用されているものを選定するのみでは口腔内崩壊錠を得ることができず、様々な要因を考慮した上で崩壊剤を選定する必要があることが示されている。 微結晶セルロース、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの崩壊剤としての性質は、いずれも相違しないことが技術常識であるといえる根拠を上記各甲号証の記載からは見出せないことも併せて考慮すると、甲2発明における、「崩壊剤としての微結晶セルロース37質量%」を「崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」に変更するためには、炭酸ランタンナノ結晶体を含む口腔内崩壊錠の崩壊剤に求められる機能や他の様々な要因を改めて考慮する必要性が生じることを、当業者は予想するといえる。 したがって、そのような変更を当業者が行うことは想定できず、甲2発明に対して、「崩壊剤としての微結晶セルロース37質量%」を「崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」に変更することには阻害要因が存在するといえる。 さらに、各甲号証の他の記載事項及び技術常識を検討しても、相違点3を当業者が容易に想到し得たものとすべき根拠を見出すことはできない。 したがって、相違点3は、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 (ウ)甲2に記載された発明の認定及び相違点に関する請求人の主張について 請求人は、前記(1)に記した「請求人甲2発明」を甲2に実施例16として記載された発明である旨主張している。(審判請求書7~8頁、42頁、平成29年12月8日付け弁駁書13~14頁) しかし、甲2に実施例16として記載された発明は、「請求人甲2発明」ではなく「甲2発明」であると認定されるものであることは前記(3)アに示したとおりであって、本件第2訂正発明5と「甲2発明」とは相違点1~3で相違することは前記(3)イに示したとおりである。 しかも、請求人は平成30年8月3日付け訂正請求後に提出された平成30年9月12日付け弁駁書において、本件第2訂正発明5と「請求人甲2発明」との相違点について何も述べていないところ、本件第2訂正発明5と「請求人甲2発明」との相違点については、当審の認定した相違点1~3のうち相違点2及び相違点3についての検討において実質的に検討されており、当審の認定した相違点2及び相違点3は当業者が容易に想到し得たものではないことは、前記(ア)及び(イ)に示したとおりである。 (エ)相違点についてのまとめ 以上(ア)~(ウ)のとおり、上記相違点1~3は当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 よって、本件第2訂正発明5は、甲2発明並びに周知の事項(もしくは甲4記載事項、甲5記載事項)、甲8記載事項及び甲9記載事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。 (4)本件第2訂正発明10~27についての当審の判断 前記第3に示したとおり、本件第2訂正発明10~27はいずれも、本件第2訂正発明5にさらなる発明特定事項を付加したものであるところ、上記(3)のとおり、本件第2訂正発明5は、甲2発明並びに周知の事項(もしくは甲4記載事項、甲5記載事項)、甲8記載事項及び甲9記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 したがって、本件第2訂正発明10~27のいずれもまた、甲2発明並びに周知の事項(もしくは甲4記載事項、甲5記載事項)、甲8記載事項及び甲9記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件第2訂正発明6についての当審の判断 ア 甲2発明 前記(3)アに示したとおり、甲2には以下の甲2発明が記載されているといえる。 「炭酸ランタンナノ結晶体40部を充填剤としてのマンニトール20部及び崩壊剤としての微結晶セルロース16部と十分に混合し、40メッシュのふるいに通し、60℃で5時間乾燥し、その後、60℃で3時間乾燥した崩壊剤としての微結晶セルロース21部、粘着剤としてのポリエチレングリコール3部とともに100メッシュのふるいに通し、均一に混合した後、10MPaの圧力下で打錠して得られる、錠剤硬度5kgであり体外崩壊時間80秒である口腔内崩壊錠。」 イ 対比 以下、本件第2訂正発明6と甲2発明とを対比する。 (ア)甲2発明における「炭酸ランタン」は、本件第2訂正発明6における「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」に相当する。 (イ)甲2発明における「口腔内崩壊錠」には「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする」との文言はないものの、記載事項(甲38-1)、記載事項(甲39-1)及び記載事項(甲39-2)並びに記載事項(甲6-8)に示されるように、「口腔内崩壊錠」は、唾液分泌障害がない者の場合は唾液又は少量の水により、口腔内乾燥症などの唾液分泌障害がある者の場合は少量の水により、口腔内で速やかに溶解又は崩壊させて経口投与するものであることが技術常識であるから、甲2発明における「口腔内崩壊錠」は、本件第2訂正発明6における「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」に相当する。 (ウ)甲2発明における口腔内崩壊錠の調製に際しては十分な乾燥が行われていることから、水分の存在は無視することができる。また、各成分の割合(部)は特段の言及がなければ質量部で表現されることが技術常識であるから、各成分の合計質量部は、40部(炭酸ランタンナノ結晶体)+20部(マンニトール)+16部(微結晶セルロース)+21部(微結晶セルロース)+3部(ポリエチレングリコール)=100部である。したがって、甲2発明における炭酸ランタンナノ結晶体の含有率は40質量%であり、微結晶セルロースの含有率は37質量%である。 (エ)本件第2訂正発明6においてはその調製条件、錠剤硬度及び体外崩壊時間が特定されておらず、それらに対応する物性等も特定されていないことから、調製条件、錠剤硬度及び体外崩壊時間の点では本件第2訂正発明6と甲2発明は相違しない。 上記(ア)~(エ)を総合すると、本件第2訂正発明6と甲2発明との間の一致点及び相違点は、以下のとおりであると認められる。 <一致点> 「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤及び炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有する、医薬組成物。」 <相違点1> 「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」について、甲2発明においては「炭酸ランタンナノ結晶体」と特定されているのに対し、本件第2訂正発明6においては「ナノ結晶体」との特定がされていない点。 <相違点2> 「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」の医薬組成物中の含有率が、甲2発明においては40質量%であるのに対し、本件第2訂正発明6においては70~90質量%である点。 <相違点3> 「崩壊剤」について、甲2発明においては「崩壊剤としての微結晶セルロース37質量%」とされるのに対し、本件第2訂正発明6においては「崩壊剤が、クロスポビドンであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%であり、」かつ「崩壊剤がGRANFILLER-D(登録商標)から成る錠剤は除く、」とされる点。 ウ 相違点についての判断 以下、上記相違点1~3について検討する。 記載事項(甲2-3)~記載事項(甲2-4)及び記載事項(甲2-6)によれば、甲2発明が解決しようとする課題は、従来の炭酸ランタン含有錠剤においては炭酸ランタン結晶体の吸着能力が高くないという欠点を有するものであったところ、薬物の治療効果を最大限に発揮させ、患者の服薬量を減少させ、患者のコンプライアンスを高めるというものと認められる。 (ア)相違点1及び相違点2について まず、甲2発明にいう「炭酸ランタンナノ結晶体」が、本件第2訂正発明6にいう「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」と、実質的に相違するものであるかについて、検討する。 記載事項(甲2-3)、記載事項(甲2-5)及び記載事項(甲2-6)によれば、甲2発明にいう「炭酸ランタンナノ結晶体」は、従来の炭酸ランタン結晶体がその顆粒寸法は大きく比表面積は小さいものであるのに対し、特定の調製条件により得られるナノサイズの結晶体であって、当業界において通常用いられる「炭酸ランタン」とは異なるものと認められる。一方、本件明細書の発明の詳細な説明には、「本発明の医薬組成物に使用される炭酸ランタンは、物理的・化学的・生物学的特性が既知の、一般式La2(CO3)3・xH2O(式中、x=3~8)で表される化合物が好ましく、x=4~5が特に好ましい。」(段落【0019】)との記載があることから、本件第2訂正発明6にいう「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」が当業界において通常用いられる「炭酸ランタン」であることが示されているといえる。また、本件第2訂正発明6にいう「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」が、「ナノ結晶体」であることも、甲2発明にいう「炭酸ランタンナノ結晶体」と同様の調製条件により得られるものであることも、記載されていない。また、本件第2訂正発明6にいう「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」が「ナノ結晶体」であることが明細書の発明の詳細な説明の記載及び技術常識から明らかであるともいえない。 したがって、本件第2訂正発明6にいう「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」は「ナノ結晶体」ではなく、甲2発明にいう「炭酸ランタンナノ結晶体」は本件第2訂正発明6にいう「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」とは実質的に相違するものである。 次に、甲2発明に対して、「炭酸ランタンナノ結晶体」を医薬組成物中に40質量%で含有することを、本件第2訂正発明6にいう「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」を医薬組成物中に70~90質量%で含有することに変更する動機が存在するかについて検討する。 甲2発明は、記載事項(甲2-6)~記載事項(甲2-7)に示されるように、「炭酸ランタン」として「炭酸ランタンナノ結晶体」を医薬組成物中に40質量%で含有する口腔内崩壊錠により、薬物の治療効果を最大限に発揮させ、患者の服薬量を減少させ、患者のコンプライアンスを高めるという課題を解決したものと認められるので、その「炭酸ランタンナノ結晶体」をあえて「ナノ結晶体」ではない「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」に変更した上に、医薬組成物中の含有量を40質量%から70~90質量%に増加させる動機が存在するとはいえない。 また、記載事項(甲2-3)には「従来の炭酸ランタン結晶体顆粒寸法は大きく、このため比表面積は小さく、したがって、吸着能力は高くない。」との記載があり、「ナノ結晶体」でない「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」のリン吸着能力が高くないことが示されていることから、「炭酸ランタンナノ結晶体」を「ナノ結晶体」ではない「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」に変更すれば、口腔内崩壊錠によるリン吸着能力は低下することを、当業者は予想するといえる。 また、記載事項(甲22-1)によれば、錠剤の直径が11mm以上になると服用しにくいと感じる患者の方が多くなること、及び、1回服用量が多い薬物を含有する錠剤を設計する場合、錠剤を小型化することが求められるが、医薬品添加物の含有量をできる限り少なくし、薬物含有率を高くするにしても、経口投与用の有効成分として使用される薬物の多くは、錠剤の薬物含有率を高くするほど、打錠障害が発生し、錠剤の製造が困難となること、が技術常識であると認められる。 すると、甲2発明に対して、錠剤のサイズを大きくすることなく、「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」の医薬組成物中の含有率をさらに高くすれば、錠剤の製造に際して打錠障害が発生して製造が困難になることを、当業者は予想するといえる。 したがって、そのような変更を当業者が行うことは想定できず、甲2発明に対して、「炭酸ランタンナノ結晶体」を医薬組成物中に40質量%で含有することを、本件第2訂正発明6にいう「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」を医薬組成物中に70~90質量%で含有することに変更することには阻害要因が存在するといえる。 さらに、各甲号証の他の記載事項及び技術常識を検討しても、相違点1及び相違点2を当業者が容易に想到し得たものとすべき根拠を見出すことはできない。 したがって、相違点1及び相違点2は、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 (イ)相違点3について 甲2発明に対して、「崩壊剤としての微結晶セルロース37質量%」を「崩壊剤が、クロスポビドンであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%であり、」かつ「崩壊剤がGRANFILLER-D(登録商標)から成る錠剤は除く、」に変更する動機が存在するかについて検討する。 甲2発明は、記載事項(甲2-6)~記載事項(甲2-7)に示されるように、「炭酸ランタン」として「炭酸ランタンナノ結晶体」を医薬組成物中に40質量%で含有する口腔内崩壊錠により、薬物の治療効果を最大限に発揮させ、患者の服薬量を減少させ、患者のコンプライアンスを高めるという課題を解決したものと認められるので、その甲2発明の口腔内崩壊錠の特性を得るために重要な要素である「崩壊剤としての微結晶セルロース37質量%」を、あえて「崩壊剤が、クロスポビドンであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%であり、」かつ「崩壊剤がGRANFILLER-D(登録商標)から成る錠剤は除く、」に変更する動機が存在するとはいえない。 また、記載事項(甲7-3)には、口腔内崩壊錠に用いる崩壊剤の選定にあたっては、一般的に崩壊剤として使用されているものを選定するのみでは口腔内崩壊錠を得ることができず、崩壊剤の機能を考慮しつつ崩壊性と添加量のバランスを検討した上で、崩壊剤を選定する必要があることが示されている。 また、記載事項(甲9-1)~記載事項(甲9-5)は、記載事項(甲9-1)に記されるとおり、薬物含量が80%を超える解熱鎮痛薬や胃腸薬を口腔内崩壊錠にするための崩壊剤のスクリーニング方法及び結果についてのものであり、そのうち、記載事項(甲9-4)にはモデル薬物AAPについて「最初から高含量で検討を行うのは困難である」との記載があって、口腔内崩壊錠の1錠あたりの有効成分含有率が高い場合には崩壊剤の選定が困難であることが示されている。 さらに、記載事項(甲9-5)にも、口腔内崩壊錠に用いる崩壊剤の選定にあたっては、一般的に崩壊剤として使用されているものを選定するのみでは口腔内崩壊錠を得ることができず、様々な要因を考慮した上で崩壊剤を選定する必要があることが示されている。 微結晶セルロース、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの崩壊剤としての性質は、いずれも相違しないことが技術常識であるといえる根拠を上記各甲号証の記載からは見出せないことも併せて考慮すると、甲2発明における「崩壊剤としての微結晶セルロース37質量%」を「崩壊剤が、クロスポビドンであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%であり、」かつ「崩壊剤がGRANFILLER-D(登録商標)から成る錠剤は除く、」に変更するためには、炭酸ランタンナノ結晶体を含む口腔内崩壊錠の崩壊剤に求められる機能や他の様々な要因を改めて考慮する必要性が生じることを、当業者は予想するといえる。 したがって、そのような変更を当業者が行うことは想定できず、甲2発明に対して、「崩壊剤としての微結晶セルロース37質量%」を「崩壊剤が、クロスポビドンであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%であり、」かつ「崩壊剤がGRANFILLER-D(登録商標)から成る錠剤は除く、」に変更することには阻害要因が存在するといえる。 さらに、各甲号証の他の記載事項及び技術常識を検討しても、相違点3を当業者が容易に想到し得たものとすべき根拠を見出すことはできない。 したがって、相違点3は、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 (ウ)甲2に記載された発明の認定及び相違点に関する請求人の主張について 請求人は、前記(1)に記した「請求人甲2発明」を甲2に実施例16として記載された発明である旨主張している。(審判請求書7~8頁、42頁、平成29年12月8日付け弁駁書13~14頁) しかし、甲2に実施例16として記載された発明は、「請求人甲2発明」ではなく「甲2発明」であると認定されるものであることは前記(3)アに示したとおりであって、本件第2訂正発明6と「甲2発明」とは相違点1~3で相違することは、前記(5)イに示したとおりである。 しかも、請求人は平成30年8月3日付け訂正請求後に提出された平成30年9月12日付け弁駁書において、本件第2訂正発明6と「請求人甲2発明」との相違点について何も述べていないところ、本件第2訂正発明6と「請求人甲2発明」との相違点については、当審の認定した相違点1~3のうち相違点2及び相違点3についての検討において実質的に検討されており、当審の認定した相違点2及び相違点3は当業者が容易に想到し得たものではないことは、前記(ア)及び(イ)に示したとおりである。 (エ)相違点についてのまとめ 以上(ア)~(ウ)のとおり、上記相違点1~3は当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 よって、本件第2訂正発明6は、甲2発明並びに周知の事項(もしくは甲4記載事項、甲5記載事項)、甲8記載事項及び甲9記載事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。 (6)本件第2訂正発明28~45についての当審の判断 前記第3に示したとおり、本件第2訂正発明28~45はいずれも、本件第2訂正発明6にさらなる発明特定事項を付加したものであるところ、上記(5)のとおり、本件第2訂正発明6は、甲2発明並びに周知の事項(もしくは甲4記載事項、甲5記載事項)、甲8記載事項及び甲9記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 したがって、本件第2訂正発明28~45のいずれもまた、甲2発明並びに周知の事項(もしくは甲4記載事項、甲5記載事項)、甲8記載事項及び甲9記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (7)本件第2訂正発明7についての当審の判断 ア 甲2発明 前記(3)アに示したとおり、甲2には以下の甲2発明が記載されているといえる。 「炭酸ランタンナノ結晶体40部を充填剤としてのマンニトール20部及び崩壊剤としての微結晶セルロース16部と十分に混合し、40メッシュのふるいに通し、60℃で5時間乾燥し、その後、60℃で3時間乾燥した崩壊剤としての微結晶セルロース21部、粘着剤としてのポリエチレングリコール3部とともに100メッシュのふるいに通し、均一に混合した後、10MPaの圧力下で打錠して得られる、錠剤硬度5kgであり体外崩壊時間80秒である口腔内崩壊錠。」 イ 対比 以下、本件第2訂正発明7と甲2発明とを対比する。 (ア)甲2発明における「炭酸ランタン」は、本件第2訂正発明7における「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」に相当する。 (イ)甲2発明における「口腔内崩壊錠」には「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする」との文言はないものの、記載事項(甲38-1)、記載事項(甲39-1)及び記載事項(甲39-2)並びに記載事項(甲6-8)に示されるように、「口腔内崩壊錠」は、唾液分泌障害がない者の場合は唾液又は少量の水により、口腔内乾燥症などの唾液分泌障害がある者の場合は少量の水により、口腔内で速やかに溶解又は崩壊させて経口投与するものであることが技術常識であるから、甲2発明における「口腔内崩壊錠」は、本件第2訂正発明7における「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」に相当する。 (ウ)甲2発明における口腔内崩壊錠の調製に際しては十分な乾燥が行われていることから、水分の存在は無視することができる。また、各成分の割合(部)は特段の言及がなければ質量部で表現されることが技術常識であるから、各成分の合計質量部は、40部(炭酸ランタンナノ結晶体)+20部(マンニトール)+16部(微結晶セルロース)+21部(微結晶セルロース)+3部(ポリエチレングリコール)=100部である。したがって、甲2発明における炭酸ランタンナノ結晶体の含有率は40質量%であり、微結晶セルロースの含有率は37質量%である。 (エ)本件第2訂正発明7においてはその調製条件、錠剤硬度及び体外崩壊時間が特定されておらず、それらに対応する物性等も特定されていないことから、調製条件、錠剤硬度及び体外崩壊時間の点では本件第2訂正発明7と甲2発明は相違しない。 上記(ア)~(エ)を総合すると、本件第2訂正発明7と甲2発明との間の一致点及び相違点は、以下のとおりであると認められる。 <一致点> 「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤及び炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有する、医薬組成物。」 <相違点1> 「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」について、甲2発明においては「炭酸ランタンナノ結晶体」と特定されているのに対し、本件第2訂正発明7においては「ナノ結晶体」との特定がされていない点。 <相違点2> 「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」の医薬組成物中の含有率が、甲2発明においては40質量%であるのに対し、本件第2訂正発明7においては70~90質量%である点。 <相違点3> 「崩壊剤」について、甲2発明においては「崩壊剤としての微結晶セルロース37質量%」とされるのに対し、本件第2訂正発明7においては「崩壊剤が、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」とされる点。 ウ 相違点についての判断 以下、上記相違点1~3について検討する。 記載事項(甲2-3)~記載事項(甲2-4)及び記載事項(甲2-6)によれば、甲2発明が解決しようとする課題は、従来の炭酸ランタン含有錠剤においては炭酸ランタン結晶体の吸着能力が高くないという欠点を有するものであったところ、薬物の治療効果を最大限に発揮させ、患者の服薬量を減少させ、患者のコンプライアンスを高めるというものと認められる。 (ア)相違点1及び相違点2について まず、甲2発明にいう「炭酸ランタンナノ結晶体」が、本件第2訂正発明7にいう「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」と、実質的に相違するものであるかについて、検討する。 記載事項(甲2-3)、記載事項(甲2-5)及び記載事項(甲2-6)によれば、甲2発明にいう「炭酸ランタンナノ結晶体」は、従来の炭酸ランタン結晶体がその顆粒寸法は大きく比表面積は小さいものであるのに対し、特定の調製条件により得られるナノサイズの結晶体であって、当業界において通常用いられる「炭酸ランタン」とは異なるものと認められる。一方、本件明細書の発明の詳細な説明には、「本発明の医薬組成物に使用される炭酸ランタンは、物理的・化学的・生物学的特性が既知の、一般式La2(CO3)3・xH2O(式中、x=3~8)で表される化合物が好ましく、x=4~5が特に好ましい。」(段落【0019】)との記載があることから、本件第2訂正発明7にいう「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」が当業界において通常用いられる「炭酸ランタン」であることが示されているといえる。また、本件第2訂正発明7にいう「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」が、「ナノ結晶体」であることも、甲2発明にいう「炭酸ランタンナノ結晶体」と同様の調製条件により得られるものであることも、記載されていない。また、本件第2訂正発明7にいう「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」が「ナノ結晶体」であることが明細書の発明の詳細な説明の記載及び技術常識から明らかであるともいえない。 したがって、本件第2訂正発明7にいう「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」は「ナノ結晶体」ではなく、甲2発明にいう「炭酸ランタンナノ結晶体」は本件第2訂正発明7にいう「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」とは実質的に相違するものである。 次に、甲2発明に対して、「炭酸ランタンナノ結晶体」を医薬組成物中に40質量%で含有することを、本件第2訂正発明7にいう「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」を医薬組成物中に70~90質量%で含有することに変更する動機が存在するかについて検討する。 甲2発明は、記載事項(甲2-6)~記載事項(甲2-7)に示されるように、「炭酸ランタン」として「炭酸ランタンナノ結晶体」を医薬組成物中に40質量%で含有する口腔内崩壊錠により、薬物の治療効果を最大限に発揮させ、患者の服薬量を減少させ、患者のコンプライアンスを高めるという課題を解決したものと認められるので、その「炭酸ランタンナノ結晶体」をあえて「ナノ結晶体」ではない「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」に変更した上に、医薬組成物中の含有量を40質量%から70~90質量%に増加させる動機が存在するとはいえない。 また、記載事項(甲2-3)には「従来の炭酸ランタン結晶体顆粒寸法は大きく、このため比表面積は小さく、したがって、吸着能力は高くない。」との記載があり、「ナノ結晶体」でない「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」のリン吸着能力が高くないことが示されていることから、「炭酸ランタンナノ結晶体」を「ナノ結晶体」ではない「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」に変更すれば、口腔内崩壊錠によるリン吸着能力は低下することを、当業者は予想するといえる。 また、記載事項(甲22-1)によれば、錠剤の直径が11mm以上になると服用しにくいと感じる患者の方が多くなること、及び、1回服用量が多い薬物を含有する錠剤を設計する場合、錠剤を小型化することが求められるが、医薬品添加物の含有量をできる限り少なくし、薬物含有率を高くするにしても、経口投与用の有効成分として使用される薬物の多くは、錠剤の薬物含有率を高くするほど、打錠障害が発生し、錠剤の製造が困難となること、が技術常識であると認められる。 すると、甲2発明に対して、錠剤のサイズを大きくすることなく、「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」の医薬組成物中の含有率をさらに高くすれば、錠剤の製造に際して打錠障害が発生して製造が困難になることを、当業者は予想するといえる。 したがって、そのような変更を当業者が行うことは想定できず、甲2発明に対して、「炭酸ランタンナノ結晶体」を医薬組成物中に40質量%で含有することを、本件第2訂正発明7にいう「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」を医薬組成物中に70~90質量%で含有することに変更することには阻害要因が存在するといえる。 さらに、各甲号証の他の記載事項及び技術常識を検討しても、相違点1及び相違点2を当業者が容易に想到し得たものとすべき根拠を見出すことはできない。 したがって、相違点1及び相違点2は、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 (イ)相違点3について 甲2発明に対して、「崩壊剤としての微結晶セルロース37質量%」を「崩壊剤が、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」に変更する動機が存在するかについて検討する。 甲2発明は、記載事項(甲2-6)~記載事項(甲2-7)に示されるように、「炭酸ランタン」として「炭酸ランタンナノ結晶体」を医薬組成物中に40質量%で含有する口腔内崩壊錠により、薬物の治療効果を最大限に発揮させ、患者の服薬量を減少させ、患者のコンプライアンスを高めるという課題を解決したものと認められるので、その甲2発明の口腔内崩壊錠の特性を得るために重要な要素である「崩壊剤としての微結晶セルロース37質量%」を、あえて「微結晶セルロース37質量%」から「崩壊剤が、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」に変更する動機が存在するとはいえない。 また、記載事項(甲7-3)には、口腔内崩壊錠に用いる崩壊剤の選定にあたっては、一般的に崩壊剤として使用されているものを選定するのみでは口腔内崩壊錠を得ることができず、崩壊剤の機能を考慮しつつ崩壊性と添加量のバランスを検討した上で、崩壊剤を選定する必要があることが示されている。 また、記載事項(甲9-1)~記載事項(甲9-5)は、記載事項(甲9-1)に記されるとおり、薬物含量が80%を超える解熱鎮痛薬や胃腸薬を口腔内崩壊錠にするための崩壊剤のスクリーニング方法及び結果についてのものであり、そのうち、記載事項(甲9-4)にはモデル薬物AAPについて「最初から高含量で検討を行うのは困難である」との記載があって、口腔内崩壊錠の1錠あたりの有効成分含有率が高い場合には崩壊剤の選定が困難であることが示されている。 さらに、記載事項(甲9-5)にも、口腔内崩壊錠に用いる崩壊剤の選定にあたっては、一般的に崩壊剤として使用されているものを選定するのみでは口腔内崩壊錠を得ることができず、様々な要因を考慮した上で崩壊剤を選定する必要があることが示されている。 微結晶セルロース、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの崩壊剤としての性質は、いずれも相違しないことが技術常識であるといえる根拠を上記各甲号証の記載からは見出せないことも併せて考慮すると、甲2発明における「崩壊剤としての微結晶セルロース37質量%」を「崩壊剤が、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」に変更するためには、炭酸ランタンナノ結晶体を含む口腔内崩壊錠の崩壊剤に求められる機能や他の様々な要因を改めて考慮する必要性が生じることを、当業者は予想するといえる。 したがって、そのような変更を当業者が行うことは想定できず、甲2発明に対して、「崩壊剤としての微結晶セルロース37質量%」を「崩壊剤が、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」に変更することには阻害要因が存在するといえる。 さらに、各甲号証の他の記載事項及び技術常識を検討しても、相違点3を当業者が容易に想到し得たものとすべき根拠を見出すことはできない。 したがって、相違点3は、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 (ウ)甲2に記載された発明の認定及び相違点に関する請求人の主張について 請求人は、前記(1)に記した「請求人甲2発明」を甲2に実施例16として記載された発明である旨主張している。(審判請求書7~8頁、42頁、平成29年12月8日付け弁駁書13~14頁) しかし、甲2に実施例16として記載された発明は、「請求人甲2発明」ではなく「甲2発明」であると認定されるものであることは前記(3)アに示したとおりであって、本件第2訂正発明7と「甲2発明」とは相違点1~3で相違することは前記(7)イに示したとおりである。 しかも、請求人は平成30年8月3日付け訂正請求後に提出された平成30年9月12日付け弁駁書において、本件第2訂正発明7と「請求人甲2発明」との相違点について何も述べていないところ、本件第2訂正発明7と「請求人甲2発明」との相違点については、当審の認定した相違点1~3のうち相違点2及び相違点3についての検討において実質的に検討されており、当審の認定した相違点2及び相違点3は当業者が容易に想到し得たものではないことは、前記(ア)及び(イ)に示したとおりである。 (エ)相違点についてのまとめ 以上(ア)~(ウ)のとおり、上記相違点1~3は当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 よって、本件第2訂正発明7は、甲2発明並びに周知の事項(もしくは甲4記載事項、甲5記載事項)、甲8記載事項及び甲9記載事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。 (8)本件第2訂正発明46~63についての当審の判断 前記第3に示したとおり、本件第2訂正発明46~63はいずれも、本件第2訂正発明7にさらなる発明特定事項を付加したものであるところ、上記(7)のとおり、本件第2訂正発明7は、甲2発明並びに周知の事項(もしくは甲4記載事項、甲5記載事項)、甲8記載事項及び甲9記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 したがって、本件第2訂正発明46~63のいずれもまた、甲2発明並びに周知の事項(もしくは甲4記載事項、甲5記載事項)、甲8記載事項及び甲9記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (9)小括 上記(2)~(8)で説示したとおり、請求人の主張する無効理由1は理由がない。 2 無効理由2(甲4に基く進歩性欠如)について (1)請求人の主張する無効理由2の論旨 平成30年9月12日付け弁駁書2頁19行~3頁2行において、請求人は、 「(2)被請求人による平成30年8月3日付上申書について 被請求人は、今回の訂正によって審決の予告に記載された無効理由が解消されたとして縷々主張していますが、少なくとも、いくつかの請求項については、審決の予告に記載された無効理由の解消には至っていないものと考えます。」と述べる。 審判請求書、平成29年12月8日付け弁駁書、平成30年4月5日付け口頭審理陳述要領書、平成30年4月17日付け上申書及び平成30年9月12日付け弁駁書の記載からみて、請求人の主張する無効理由2の論旨は、概略、以下のとおりであると認められる。 甲4には、以下の発明(以下、「請求人甲4発明」という。)が記載されており、本件第2訂正発明は、請求人甲4発明並びに甲2記載事項、周知の事項(必要であれば、さらに、甲3記載事項、甲7記載事項)、甲8記載事項及び甲9記載事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものである。(審判請求書72頁13行~111頁6行、平成29年12月8日付け弁駁書27頁20行~40頁9行) (請求人甲4発明) 「a 炭酸ランタンのチュアブル錠であり、口に含んで崩壊する。 b 微結晶セルロースを15.5%含有する。 c 医薬組成物中の含有率が77.4%である。 d 炭酸ランタン8水和物を含有する。 e 前記崩壊剤が微結晶セルロースである。 f 医薬組成物である。」 (2)本件第2訂正発明1~4、8~9についての当審の判断 前記第2に示したとおり、平成30年8月3日付け訂正請求による訂正が認められた結果、本件第2訂正発明1~4、8~9は削除されたので、本件第2訂正発明1~4、8~9についての審判請求は却下すべきものである。 (3)本件第2訂正発明5についての当審の判断 ア 甲4発明 記載事項(甲4-12)によれば、甲4には、実施例7として以下のチュアブル錠が記載されている。 「以下の成分及び製造プロセスにより得られる組成物。 製造プロセス: 1.全ての成分を、適したメッシュサイズを備えたメカニカルシフターによって移した。 2.炭酸ランタン、Avicel CE 15、アセスルファムK、コロイド状二酸化ケイ素および微結晶セルロース(その1)の成分を高速混合物造粒機に装入し、低速の羽根車でチョッパーを外して10分間乾式混合した。 3.HPCを精製水に連続的に撹拌しながら溶解し、透明な溶液を得ることによって結合剤溶液を調製した。 4.ステップ3の結合剤溶液を使用して、ステップ2を低速の羽根車でチョッパーを外した高速混合物造粒機に10分間入れて造粒した。 5.湿った顆粒を乾燥させて必要なLODを実現し、適したメッシュサイズを備えたQuadra-coミルで製粉した。 6.ステップ5の顆粒をビンブレンダー中でステアリン酸マグネシウムおよび微結晶セルロース(その2)と10分間混ぜた。 7.ステップ6の潤滑ブレンドを適した成形用具を用いて圧縮した。」 ここで、記載事項(甲4-5)に「本発明の好ましい実施形態」としてではあるが、「炭酸ランタン組成物は、d(0.9))が110ミクロンよりも小さい……薬物粒度をもつ、薬物が組成物の65重量%超を構成するような薬物の八水和物形態と、担体/希釈剤(かかる希釈剤は単糖または二糖を含まない)を含む。」との記載があり、記載事項(甲4-9)に「本発明による組成物の活性薬剤は、250~1000mg、例えば250mg、500mg、750mgまたは1000mgの量で存在する。約2140mgの炭酸ランタン八水和物は、1000mgの元素のランタンに相当する。」との記載があり、記載事項(甲4-8)に「本明細書において、『安定な組成物』または『安定化された組成物』または『安定化された炭酸ランタン組成物』とは、(高水和状態の)炭酸ランタンと、単糖または二糖を除く1または複数の希釈液または担体とを含有する組成物をさす。……本発明のための高水和状態の炭酸ランタンとは、6個を超える水分子、7~10個の間の、好ましくは8個の水分子を有する炭酸ランタン塩、すなわち、炭酸ランタンの八水和物形態を意味する。」との記載があり、実施例7はこれに対応した実施態様と認められることから、実施例7にいう「炭酸ランタン」は「炭酸ランタン八水和物」であると認められる。 また、記載事項(甲4-15)には、実施例7の組成物を用いた「炭酸ランタンチュアブル錠の粉っぽさ、ザラザラ感および乾燥についての評価」が記載されていることから、実施例7の組成物は「炭酸ランタンチュアブル錠」として記載されているといえる。さらに、記載事項(甲4-1)~記載事項(甲4-4)には甲4が炭酸ランタンを含む経口医薬組成物の発明に関するものであることも示されている。 そうすると、甲4には以下の発明(以下、「甲4発明」という。)が記載されているといえる。 「成分(a)d(0.9)が105ミクロンの炭酸ランタン八水和物 2166.3 mg/錠剤 成分(b)Avicel CE 15        88.67 mg/錠剤 成分(c)ヒドロキシプロピルセルロース      30.0 mg/錠剤 成分(d)アセスルファムカリウム         30.0 mg/錠剤 成分(e)微結晶セルロース(その1)      173.208mg/錠剤 成分(f)微結晶セルロース(その2)      259.812mg/錠剤 成分(g)コロイド状二酸化ケイ素         32.01 mg/錠剤 成分(h)ステアリン酸マグネシウム        20.0 mg/錠剤 成分(i)精製水                 適量 を用いて、以下の製造プロセスにより得られる、錠剤重量2800.00mgの炭酸ランタンチュアブル錠である経口医薬組成物。 製造プロセス: ステップ1;全ての成分を、適したメッシュサイズを備えたメカニカルシフターによって移す。 ステップ2;成分(a)、(b)、(d)、(g)及び(e)を高速混合物造粒機に装入し、低速の羽根車でチョッパーを外して10分間乾式混合する。 ステップ3;成分(c)を成分(i)に連続的に撹拌しながら溶解し、透明な溶液を得ることによって結合剤溶液を調製する。 ステップ4;ステップ3で調製した結合剤溶液を使用して、ステップ2で得られた混合物を低速の羽根車でチョッパーを外した高速混合物造粒機に10分間入れて造粒する。 ステップ5;湿った顆粒を乾燥させて必要なLODを実現し、適したメッシュサイズを備えたQuadra-coミルで製粉する。 ステップ6;ステップ5で得られた顆粒をビンブレンダー中で成分(h)及び(f)と10分間混ぜる。 ステップ7;ステップ6で得られた混合物を適した成形用具を用いて圧縮する。」 イ 対比 以下、本件第2訂正発明5と甲4発明とを対比する。 (ア)甲4発明における「炭酸ランタン八水和物」は本件第2訂正発明5における「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」に相当する。 (イ)甲4発明における「炭酸ランタン八水和物」の錠剤重量に対する比率は、 2166.3mg÷2800.00mg×100(%)=77.4% と算出され、これは本件第2訂正発明5における「医薬組成物中の含有率が70~90質量%」に相当する。 (ウ)記載事項(甲4-12)には甲4発明に相当する実施例7の組成物が「崩壊剤」を含むものであることは明示されていない。 そこで、実施例7の組成物の成分について、甲4の記載を検討すると ・ヒドロキシプロピルセルロースは、記載事項(甲4-9)において「結合剤」の例とされており、「崩壊剤」であることを示す記載はない。 ・アセスルファムKは、「アセスルファムカリウム」を示す略語と認められるところ、記載事項(甲4-11)において「甘味剤」の例とされており、「崩壊剤」であることを示す記載はない。 ・微結晶セルロースは、記載事項(甲4-8)において「担体または希釈剤」の例とされ、記載事項(甲4-9)において「結合剤」の例とされ、記載事項(甲4-10)において「流動化剤」の例とされているが、「崩壊剤」であることを示す記載はない。 ・コロイド状二酸化ケイ素及びステアリン酸マグネシウムはいずれも、記載事項(甲4-10)において「流動化剤」の例とされるとともに「滑沢剤」の例ともされているが、「崩壊剤」であることを示す記載はない。 ・「Avicel CE 15」の内容についての説明は甲4の記載に見当たらないが、記載事項(乙9-1)によれば微結晶セルロースとグアーガムを含む混合物であり、「賦形剤」として用いられるものであると認められる。 また、記載事項(甲4-16)には「崩壊剤」との記載はあるものの、甲4には「崩壊剤」の例示はなく、どのような成分が「崩壊剤」として使用されるかは示されていないので、甲4発明が「崩壊剤」を含む根拠にはならない。仮に、甲4発明の成分(a)~(i)のいずれかが「崩壊剤」として機能するとしても、成分(a)~(i)のいずれも「崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」に該当しない。 (エ)本件第2訂正発明5においてはその調製条件が特定されておらず、それに対応する物性等も特定されていないことから、調製条件の点では本件第2訂正発明5と甲4発明は相違しない。 以上(ア)~(エ)を総合すると、本件第2訂正発明5と甲4発明との間の一致点及び相違点は、以下のとおりであると認められる。 <一致点> 「経口投与することを特徴とする錠剤であって、医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有する、医薬組成物。」 <相違点1> 本件第2訂正発明5が「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させ……口腔内崩壊錠」であるのに対し、甲4発明は「チュアブル錠」である点。 <相違点2> 本件第2訂正発明5においては「崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」とされるのに対し、甲4発明は「崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」ものではない点。 ウ 相違点についての判断 以下、上記相違点1及び相違点2について検討する。 (ア)相違点1について まず、甲4発明にいう「チュアブル錠」が本件第2訂正発明5にいう「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」に相当するかについて、検討する。 記載事項(甲38-1)及び記載事項(甲39-1)~記載事項(甲39-2)によれば、「チュアブル錠」とは「咀嚼して服用する錠剤」あるいは「服用時、口中で溶かすか、かみ砕いて使う錠剤」であって「服用時の窒息を防止できる形状」(錠剤に穴が開いているなど)のものである一方、「口腔内崩壊錠」とは「口腔内で速やかに溶解又は崩壊させて服用できる錠剤」である。 してみると、「チュアブル錠」と「口腔内崩壊錠」とは、使用態様として服用時に口腔内で溶かす態様を包含する点では類似しているとはいえるものの、「チュアブル錠」においては「口中で溶かす」との使用態様について「速やかに」とはされない一方、「口腔内崩壊錠」においては「口腔内で速やかに溶解又は崩壊させて」として「速やかに」とされる点で、異なる概念のものである。 しかも、記載事項(甲4-14)には、甲4発明に対応する実施例7の組成物の溶解試験では、試験開始後20分を経過しても溶解炭酸ランタンの累積%は56%にとどまるものであったことが示されている。この溶解試験が口腔内を再現したものではないとしても、この溶解速度からみて、甲4発明に対応する実施例7の組成物は、口腔内で「速やかに」溶解又は崩壊させて服用できる錠剤であるとは到底いえるものではない。 したがって、甲4発明にいう「チュアブル錠」は本件第2訂正発明5にいう「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」に相当するものではなく、相違点1は実質的な相違点である。 次に、甲4発明にいう「チュアブル錠」を「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」に変更する動機が存在するかについて検討する。 記載事項(甲4-4)に「もう一つの実施形態では、本発明は、腎不全患者において高リン酸血症を治療し、慢性腎不全の患者において副甲状腺機能亢進症を制御し、慢性腎不全の患者において副甲状腺機能亢進症を制御するための、本明細書に記載される本発明に従って調製された組成物を投与することを含む方法に関する。」と記載されることから、甲4発明は腎不全患者ないし慢性腎不全患者を投与対象に含むものであるところ、腎不全患者ないし慢性腎不全患者に対しては、服薬コンプライアンス向上が求められていることが記載事項(甲2-2)及び記載事項(甲7-1)にも示されており、また、腎不全患者ないし慢性腎不全患者であって高齢者や嚥下困難な患者にも服薬しやすい剤型が求められていることが記載事項(甲6-2)に示されている。 したがって、腎不全患者ないし慢性腎不全患者を投与対処に含む医薬組成物において、コンプライアンス向上のために服薬しやすい剤型にすることは、当業界における周知の課題であるといえる。 そして、服薬しやすい剤型としては、記載事項(甲2-6)、記載事項(甲6-2)~記載事項(甲6-3)、記載事項(甲6-8)及び記載事項(甲7-1)にも示されるように、口腔内崩壊錠が知られている。 したがって、甲4発明にいう「チュアブル錠」を「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」に変更する動機は存在するといえる。 したがって、相違点1は、当業者が容易に想到し得たものといえる。 (イ)相違点2について 甲4発明の成分(c)である「ヒドロキシプロピルセルロース」は、記載事項(甲4-9)において「低置換度ヒドロキシプロピルセルロース」とは別の用語として記載されることにも示されるように、「低置換度ヒドロキシプロピルセルロース」とは別異のものである。一方、甲4発明の成分(e)及び成分(f)であり、記載事項(乙9-1)により成分(b)にも含まれると認められる「微結晶セルロース」は、甲3に記載される「結晶セルロース」の英語表記「miceosrystalline cellulose」を直訳すれば「微結晶セルロース」となることにも示されるように、「結晶セルロース」とも呼ばれるものである。 記載事項(甲3-1)、記載事項(甲6-4)及び記載事項(甲6-6)によれば、「結晶セルロース」は、賦形剤として使用されるとともに、結合剤及び崩壊剤としても作用するものであるとされる。 しかし、各甲号証の記載を検討しても、崩壊剤としても作用するものである「微結晶セルロース」を含有する「チュアブル錠」において、「微結晶セルロース」を「クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」崩壊剤に変更することにより「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」に変更させた例は示されておらず、「微結晶セルロース」を含有する「チュアブル錠」において、「微結晶セルロース」を「クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」崩壊剤に変更することにより「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」に変更できることを示す根拠を見出すこともできない。また、「微結晶セルロース」を含有する「チュアブル錠」において、「微結晶セルロース」を「クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」に変更することにより「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」に変更できることが、技術常識であるともいえない。 したがって、甲4発明を、「崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」ものに変更する動機が存在するとはいえない。 また、記載事項(甲7-2)~記載事項(甲7-3)及び記載事項(甲9-1)~記載事項(甲9-5)によれば、口腔内崩壊錠に用いる崩壊剤の選定にあたっては、一般的に崩壊剤として使用されているものを選定するのみでは口腔内崩壊錠を得ることができず、崩壊剤の機能を考慮しつつ崩壊性と添加量のバランスを検討した上で、崩壊剤を選定する必要があることが示されるとともに、口腔内崩壊錠の1錠あたりの有効成分含有率が高い場合には崩壊剤の選定が困難であることが示されており、記載事項(甲22-1)によれば、経口投与用の有効成分として使用される薬物の多くは、錠剤の薬物含有率を高くするほど、打錠障害が発生し、錠剤の製造が困難となることが示されている。 甲4発明における、炭酸ランタン八水和物の含有率は77.4%という高いものであることから、甲4発明にいう「微結晶セルロース」を含有する「チュアブル錠」において、「微結晶セルロース」を「クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」崩壊剤に変更すれば、その変更に伴い崩壊性と添加量のバランスが崩れるとともに打錠障害が発生して錠剤の製造が困難になることを、当業者は予想するといえる。 したがって、そのような変更を当業者が行うことは想定できず、甲4発明を、「崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」ものに変更することには阻害要因が存在するといえる。 さらに、各甲号証の他の記載事項及び技術常識を検討しても、相違点2を当業者が容易に想到し得たものとすべき根拠を見出すことはできない。 したがって、相違点2は、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 (ウ)甲4に記載された発明の認定及び相違点に関する請求人の主張について 請求人は、前記(1)に記した「請求人甲4発明」を甲4に実施例7として記載された発明である旨主張している。(審判請求書16~17頁、90頁、平成29年12月8日付け弁駁書28頁) しかし、甲4に実施例7として記載された発明は、「請求人甲4発明」ではなく「甲4発明」であると認定されるものであることは前記(3)アに示したとおりであって、本件第2訂正発明5と「甲2発明」とは相違点1及び相違点2で相違することは前記(3)イに示したとおりである。 しかも、請求人は平成30年8月3日付け訂正請求後に提出された平成30年9月12日付け弁駁書において、本件第2訂正発明5と「請求人甲4発明」との相違点について何も述べていないところ、本件第2訂正発明5と「請求人甲4発明」との相違点については、当審の認定した相違点1及び相違点2についての検討において実質的に検討されており、当審の認定した相違点1及び相違点2のうち相違点2は当業者が容易に想到し得たものでないことは、前記(イ)に示したとおりである。 (エ)相違点についてのまとめ 以上(ア)~(ウ)のとおり、上記相違点1及び相違点2のうち相違点2は当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 よって、本件第2訂正発明5は、甲4発明並びに甲2記載事項、周知の事項、甲3記載事項、甲7記載事項、甲8記載事項及び甲9記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件第2訂正発明10~27についての当審の判断 前記第3に示したとおり、本件第2訂正発明10~27はいずれも、本件第2訂正発明5にさらなる発明特定事項を付加したものであるところ、上記(3)のとおり、本件第2訂正発明5は、甲4発明並びに甲2記載事項、周知の事項、甲3記載事項、甲7記載事項、甲8記載事項及び甲9記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 したがって、本件第2訂正発明10~27のいずれもまた、甲4発明並びに甲2記載事項、周知の事項、甲3記載事項、甲7記載事項、甲8記載事項及び甲9記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件第2訂正発明6についての当審の判断 ア 甲4発明 前記(3)アに示したとおり、甲4には以下の甲4発明が記載されているといえる。 「成分(a)d(0.9)が105ミクロンの炭酸ランタン八水和物 2166.3 mg/錠剤 成分(b)Avicel CE 15        88.67 mg/錠剤 成分(c)ヒドロキシプロピルセルロース      30.0 mg/錠剤 成分(d)アセスルファムカリウム         30.0 mg/錠剤 成分(e)微結晶セルロース(その1)      173.208mg/錠剤 成分(f)微結晶セルロース(その2)      259.812mg/錠剤 成分(g)コロイド状二酸化ケイ素         32.01 mg/錠剤 成分(h)ステアリン酸マグネシウム        20.0 mg/錠剤 成分(i)精製水                 適量 を用いて、以下の製造プロセスにより得られる、錠剤重量2800.00mgの炭酸ランタンチュアブル錠である経口医薬組成物。 製造プロセス: ステップ1;全ての成分を、適したメッシュサイズを備えたメカニカルシフターによって移す。 ステップ2;成分(a)、(b)、(d)、(g)及び(e)を高速混合物造粒機に装入し、低速の羽根車でチョッパーを外して10分間乾式混合する。 ステップ3;成分(c)を成分(i)に連続的に撹拌しながら溶解し、透明な溶液を得ることによって結合剤溶液を調製する。 ステップ4;ステップ3で調製した結合剤溶液を使用して、ステップ2で得られた混合物を低速の羽根車でチョッパーを外した高速混合物造粒機に10分間入れて造粒する。 ステップ5;湿った顆粒を乾燥させて必要なLODを実現し、適したメッシュサイズを備えたQuadra-coミルで製粉する。 ステップ6;ステップ5で得られた顆粒をビンブレンダー中で成分(h)及び(f)と10分間混ぜる。 ステップ7;ステップ6で得られた混合物を適した成形用具を用いて圧縮する。」 イ 対比 以下、本件第2訂正発明6と甲4発明とを対比する。 (ア)甲4発明における「炭酸ランタン八水和物」は本件第2訂正発明6における「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」に相当する。 (イ)甲4発明における「炭酸ランタン八水和物」の錠剤重量に対する比率は、 2166.3mg÷2800.00mg×100(%)=77.4% と算出され、これは本件第2訂正発明6における「医薬組成物中の含有率が70~90質量%」に相当する。 (ウ)記載事項(甲4-12)には甲4発明に相当する実施例7の組成物が「崩壊剤」を含むものであることは明示されていない。 そこで、実施例7の組成物の成分について、甲4の記載を検討すると ・ヒドロキシプロピルセルロースは、記載事項(甲4-9)において「結合剤」の例とされており、「崩壊剤」であることを示す記載はない。 ・アセスルファムKは、「アセスルファムカリウム」を示す略語と認められるところ、記載事項(甲4-11)において「甘味剤」の例とされており、「崩壊剤」であることを示す記載はない。 ・微結晶セルロースは、記載事項(甲4-8)において「担体または希釈剤」の例とされ、記載事項(甲4-9)において「結合剤」の例とされ、記載事項(甲4-10)において「流動化剤」の例とされているが、「崩壊剤」であることを示す記載はない。 ・コロイド状二酸化ケイ素及びステアリン酸マグネシウムはいずれも、記載事項(甲4-10)において「流動化剤」の例とされるとともに「滑沢剤」の例ともされているが、「崩壊剤」であることを示す記載はない。 ・「Avicel CE 15」の内容についての説明は甲4の記載に見当たらないが、記載事項(乙9-1)によれば微結晶セルロースとグアーガムを含む混合物であり、「賦形剤」として用いられるものであると認められる。 また、記載事項(甲4-16)には「崩壊剤」との記載はあるものの、甲4には「崩壊剤」の例示はなく、どのような成分が「崩壊剤」として使用されるかは示されていないので、甲4発明が「崩壊剤」を含む根拠にはならない。仮に、甲4発明の成分(a)~(i)のいずれかが「崩壊剤」として機能するとしても、成分(a)~(i)のいずれも「クロスポビドンであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%であり、」かつ「GRANFILLER-D(登録商標)から成る」ものを除いたものに該当しない。 (エ)本件第2訂正発明6においてはその調製条件が特定されておらず、それに対応する物性等も特定されていないことから、調製条件の点では本件第2訂正発明6と甲2発明は相違しない。 以上(ア)~(エ)を総合すると、本件第2訂正発明6と甲4発明との間の一致点及び相違点は、以下のとおりであると認められる。 <一致点> 「経口投与することを特徴とする錠剤であって、医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有する、医薬組成物。」 <相違点1> 本件第2訂正発明6が「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させ……口腔内崩壊錠」であるのに対し、甲4発明は「チュアブル錠」である点。 <相違点2> 本件第2訂正発明6が「崩壊剤が、クロスポビドンであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%であり、」かつ「崩壊剤がGRANFILLER-D(登録商標)から成る錠剤は除く、」とされるのに対し、甲4発明は「崩壊剤が、クロスポビドンであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%であり、」かつ「崩壊剤がGRANFILLER-D(登録商標)から成る錠剤は除く、」ものではない点。 ウ 相違点についての判断 以下、上記相違点1及び相違点2について検討する。 (ア)相違点1について まず、甲4発明にいう「チュアブル錠」が本件第2訂正発明6にいう「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」に相当するかについて、検討する。 記載事項(甲38-1)及び記載事項(甲39-1)~記載事項(甲39-2)によれば、「チュアブル錠」とは「咀嚼して服用する錠剤」あるいは「服用時、口中で溶かすか、かみ砕いて使う錠剤」であって「服用時の窒息を防止できる形状」(錠剤に穴が開いているなど)のものである一方、「口腔内崩壊錠」とは「口腔内で速やかに溶解又は崩壊させて服用できる錠剤」である。 してみると、「チュアブル錠」と「口腔内崩壊錠」とは、使用態様として服用時に口腔内で溶かす態様を包含する点では類似しているとはいえるものの、「チュアブル錠」においては「口中で溶かす」との使用態様について「速やかに」とはされない一方、「口腔内崩壊錠」においては「口腔内で速やかに溶解又は崩壊させて」として「速やかに」とされる点で、異なる概念のものである。 しかも、記載事項(甲4-14)には、甲4発明に対応する実施例7の組成物の溶解試験では、試験開始後20分を経過しても溶解炭酸ランタンの累積%は56%にとどまるものであったことが示されている。この溶解試験が口腔内を再現したものではないとしても、この溶解速度からみて、甲4発明に対応する実施例7の組成物は、口腔内で「速やかに」溶解又は崩壊させて服用できる錠剤であるとは到底いえるものではない。 したがって、甲4発明にいう「チュアブル錠」は本件第2訂正発明6にいう「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」に相当するものではなく、相違点1は実質的な相違点である。 次に、甲4発明にいう「チュアブル錠」を「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」に変更する動機が存在するかについて検討する。 記載事項(甲4-4)に「もう一つの実施形態では、本発明は、腎不全患者において高リン酸血症を治療し、慢性腎不全の患者において副甲状腺機能亢進症を制御し、慢性腎不全の患者において副甲状腺機能亢進症を制御するための、本明細書に記載される本発明に従って調製された組成物を投与することを含む方法に関する。」と記載されることから、甲4発明は腎不全患者ないし慢性腎不全患者を投与対象に含むものであるところ、腎不全患者ないし慢性腎不全患者に対しては、服薬コンプライアンス向上が求められていることが記載事項(甲2-2)及び記載事項(甲7-1)にも示されており、また、腎不全患者ないし慢性腎不全患者であって高齢者や嚥下困難な患者にも服薬しやすい剤型が求められていることが記載事項(甲6-2)に示されている。 したがって、腎不全患者ないし慢性腎不全患者を投与対処に含む医薬組成物において、コンプライアンス向上のために服薬しやすい剤型にすることは、当業界における周知の課題であるといえる。 そして、服薬しやすい剤型としては、記載事項(甲2-6)、記載事項(甲6-2)~記載事項(甲6-3)、記載事項(甲6-8)及び記載事項(甲7-1)にも示されるように、口腔内崩壊錠が知られている。 したがって、甲4発明にいう「チュアブル錠」を「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」に変更する動機は存在するといえる。 したがって、相違点1は、当業者が容易に想到し得たものといえる。 (イ)相違点2について 甲4発明の成分(c)である「ヒドロキシプロピルセルロース」は、記載事項(甲4-9)において「低置換度ヒドロキシプロピルセルロース」とは別の用語として記載されることにも示されるように、「低置換度ヒドロキシプロピルセルロース」とは別異のものである。一方、甲4発明の成分(e)及び成分(f)であり、記載事項(乙9-1)により成分(b)にも含まれると認められる「微結晶セルロース」は、甲3に記載される「結晶セルロース」の英語表記「miceosrystalline cellulose」を直訳すれば「微結晶セルロース」となることにも示されるように、「結晶セルロース」とも呼ばれるものである。 記載事項(甲3-1)、記載事項(甲6-4)及び記載事項(甲6-6)によれば、「結晶セルロース」は、賦形剤として使用されるとともに、結合剤及び崩壊剤としても作用するものであるとされる。 しかし、各甲号証の記載を検討しても、崩壊剤としても作用するものである「微結晶セルロース」を含有する「チュアブル錠」において、「微結晶セルロース」を、「クロスポビドンであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%」である崩壊剤に変更することにより「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」に変更させた例は示されておらず、「微結晶セルロース」を含有する「チュアブル錠」において、「微結晶セルロース」を、「クロスポビドンであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%」である崩壊剤に変更することにより「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」に変更できることを示す根拠を見出すこともできない。また、「微結晶セルロース」を含有する「チュアブル錠」において、「微結晶セルロース」を、「クロスポビドンであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%」であるものに変更することにより「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」に変更できることが、技術常識であるともいえない。 したがって、甲4発明を、「崩壊剤が、クロスポビドンであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%であり、」かつ「崩壊剤がGRANFILLER-D(登録商標)から成る錠剤は除く、」ものに変更する動機が存在するとはいえない。 また、記載事項(甲7-2)~記載事項(甲7-3)及び記載事項(甲9-1)~記載事項(甲9-5)によれば、口腔内崩壊錠に用いる崩壊剤の選定にあたっては、一般的に崩壊剤として使用されているものを選定するのみでは口腔内崩壊錠を得ることができず、崩壊剤の機能を考慮しつつ崩壊性と添加量のバランスを検討した上で、崩壊剤を選定する必要があることが示されるとともに、口腔内崩壊錠の1錠あたりの有効成分含有率が高い場合には崩壊剤の選定が困難であることが示されており、記載事項(甲22-1)によれば、経口投与用の有効成分として使用される薬物の多くは、錠剤の薬物含有率を高くするほど、打錠障害が発生し、錠剤の製造が困難となることが示されている。 甲4発明における、炭酸ランタン八水和物の含有率は77.4%という高いものであることから、甲4発明にいう「微結晶セルロース」を含有する「チュアブル錠」において、「微結晶セルロース」を、「クロスポビドンであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%」である崩壊剤に変更すれば、その変更に伴い崩壊性と添加量のバランスが崩れるとともに打錠障害が発生して錠剤の製造が困難になることを、当業者は予想するといえる。 したがって、そのような変更を当業者が行うことは想定できず、甲4発明を、「崩壊剤が、クロスポビドンであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%であり、」かつ「崩壊剤がGRANFILLER-D(登録商標)から成る錠剤は除く、」ものに変更することには阻害要因が存在するといえる。 さらに、各甲号証の他の記載事項及び技術常識を検討しても、相違点2を当業者が容易に想到し得たものとすべき根拠を見出すことはできない。 したがって、相違点2は、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 (ウ)甲4に記載された発明の認定及び相違点に関する請求人の主張について 請求人は、前記(1)に記した「請求人甲4発明」を甲4に実施例7として記載された発明である旨主張している。(審判請求書16~17頁、90頁、平成29年12月8日付け弁駁書28頁) しかし、甲4に実施例7として記載された発明は、「請求人甲4発明」ではなく「甲4発明」であると認定されるものであることは前記(3)アに示したとおりであって、本件第2訂正発明6と「甲4発明」とは相違点1及び相違点2で相違することは前記(5)イに示したとおりである。 しかも、請求人は平成30年8月3日付け訂正請求後に提出された平成30年9月12日付け弁駁書において、本件第2訂正発明6と「請求人甲4発明」との相違点について何も述べていないところ、本件第2訂正発明6と「請求人甲4発明」との相違点については、当審の認定した相違点1及び相違点2についての検討において実質的に検討されており、当審の認定した相違点1及び相違点2のうち相違点2は当業者が容易に想到し得たものでないことは、前記(イ)に示したとおりである。 (エ)相違点についてのまとめ 以上(ア)~(ウ)のとおり、上記相違点1及び相違点2のうち相違点2は当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 よって、本件第2訂正発明6は、甲4発明並びに甲2記載事項、周知の事項、甲3記載事項、甲7記載事項、甲8記載事項及び甲9記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)本件第2訂正発明28~45についての当審の判断 前記第3に示したとおり、本件第2訂正発明28~45はいずれも、本件第2訂正発明6にさらなる発明特定事項を付加したものであるところ、上記(5)のとおり、本件第2訂正発明6は、甲4発明並びに甲2記載事項、周知の事項、甲3記載事項、甲7記載事項、甲8記載事項及び甲9記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 したがって、本件第2訂正発明28~45のいずれもまた、甲4発明並びに甲2記載事項、周知の事項、甲3記載事項、甲7記載事項、甲8記載事項及び甲9記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (7)本件第2訂正発明7についての当審の判断 ア 甲4発明 前記(3)アに示したとおり、甲4には以下の甲4発明が記載されているといえる。 「成分(a)d(0.9)が105ミクロンの炭酸ランタン八水和物 2166.3 mg/錠剤 成分(b)Avicel CE 15        88.67 mg/錠剤 成分(c)ヒドロキシプロピルセルロース      30.0 mg/錠剤 成分(d)アセスルファムカリウム         30.0 mg/錠剤 成分(e)微結晶セルロース(その1)      173.208mg/錠剤 成分(f)微結晶セルロース(その2)      259.812mg/錠剤 成分(g)コロイド状二酸化ケイ素         32.01 mg/錠剤 成分(h)ステアリン酸マグネシウム        20.0 mg/錠剤 成分(i)精製水                 適量 を用いて、以下の製造プロセスにより得られる、錠剤重量2800.00mgの炭酸ランタンチュアブル錠である経口医薬組成物。 製造プロセス: ステップ1;全ての成分を、適したメッシュサイズを備えたメカニカルシフターによって移す。 ステップ2;成分(a)、(b)、(d)、(g)及び(e)を高速混合物造粒機に装入し、低速の羽根車でチョッパーを外して10分間乾式混合する。 ステップ3;成分(c)を成分(i)に連続的に撹拌しながら溶解し、透明な溶液を得ることによって結合剤溶液を調製する。 ステップ4;ステップ3で調製した結合剤溶液を使用して、ステップ2で得られた混合物を低速の羽根車でチョッパーを外した高速混合物造粒機に10分間入れて造粒する。 ステップ5;湿った顆粒を乾燥させて必要なLODを実現し、適したメッシュサイズを備えたQuadra-coミルで製粉する。 ステップ6;ステップ5で得られた顆粒をビンブレンダー中で成分(h)及び(f)と10分間混ぜる。 ステップ7;ステップ6で得られた混合物を適した成形用具を用いて圧縮する。」 イ 対比 以下、本件第2訂正発明7と甲4発明とを対比する。 (ア)甲4発明における「炭酸ランタン八水和物」は本件第2訂正発明7における「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」に相当する。 (イ)甲4発明における「炭酸ランタン八水和物」の錠剤重量に対する比率は、 2166.3mg÷2800.00mg×100(%)=77.4% と算出され、これは本件第2訂正発明7における「医薬組成物中の含有率が70~90質量%」に相当する。 (ウ)記載事項(甲4-12)には甲4発明に相当する実施例7の組成物が「崩壊剤」を含むものであることは明示されていない。 そこで、実施例7の組成物の成分について、甲4の記載を検討すると ・ヒドロキシプロピルセルロースは、記載事項(甲4-9)において「結合剤」の例とされており、「崩壊剤」であることを示す記載はない。 ・アセスルファムKは、「アセスルファムカリウム」を示す略語と認められるところ、記載事項(甲4-11)において「甘味剤」の例とされており、「崩壊剤」であることを示す記載はない。 ・微結晶セルロースは、記載事項(甲4-8)において「担体または希釈剤」の例とされ、記載事項(甲4-9)において「結合剤」の例とされ、記載事項(甲4-10)において「流動化剤」の例とされているが、「崩壊剤」であることを示す記載はない。 ・コロイド状二酸化ケイ素及びステアリン酸マグネシウムはいずれも、記載事項(甲4-10)において「流動化剤」の例とされるとともに「滑沢剤」の例ともされているが、「崩壊剤」であることを示す記載はない。 ・「Avicel CE 15」の内容についての説明は甲4の記載に見当たらないが、記載事項(乙9-1)によれば微結晶セルロースとグアーガムを含む混合物であり、「賦形剤」として用いられるものであると認められる。 また、記載事項(甲4-16)には「崩壊剤」との記載はあるものの、甲4には「崩壊剤」の例示はなく、どのような成分が「崩壊剤」として使用されるかは示されていないので、甲4発明が「崩壊剤」を含む根拠にはならない。仮に、甲4発明の成分(a)~(i)のいずれかが「崩壊剤」として機能するとしても、成分(a)~(i)のいずれも「崩壊剤が、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」に該当しない。 (エ)本件第2訂正発明7においてはその調製条件が特定されておらず、それに対応する物性等も特定されていないことから、調製条件の点では本件第2訂正発明7と甲2発明は相違しない。 以上(ア)~(エ)を総合すると、本件第2訂正発明7と甲4発明との間の一致点及び相違点は、以下のとおりであると認められる。 <一致点> 「経口投与することを特徴とする錠剤であって、医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有する、医薬組成物。」 <相違点1> 本件第2訂正発明7が「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させ……口腔内崩壊錠」であるのに対し、甲4発明は「チュアブル錠」である点。 <相違点2> 本件第2訂正発明7においては「崩壊剤が、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」とされるのに対し、甲4発明は「崩壊剤が、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」ものではない点。 ウ 相違点についての判断 以下、上記相違点1及び相違点2について検討する。 (ア)相違点1について まず、甲4発明にいう「チュアブル錠」が本件第2訂正発明7にいう「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」に相当するかについて、検討する。 記載事項(甲38-1)及び記載事項(甲39-1)~記載事項(甲39-2)によれば、「チュアブル錠」とは「咀嚼して服用する錠剤」あるいは「服用時、口中で溶かすか、かみ砕いて使う錠剤」であって「服用時の窒息を防止できる形状」(錠剤に穴が開いているなど)のものである一方、「口腔内崩壊錠」とは「口腔内で速やかに溶解又は崩壊させて服用できる錠剤」である。 してみると、「チュアブル錠」と「口腔内崩壊錠」とは、使用態様として服用時に口腔内で溶かす態様を包含する点では類似しているとはいえるものの、「チュアブル錠」においては「口中で溶かす」との使用態様について「速やかに」とはされない一方、「口腔内崩壊錠」においては「口腔内で速やかに溶解又は崩壊させて」として「速やかに」とされる点で、異なる概念のものである。 しかも、記載事項(甲4-14)には、甲4発明に対応する実施例7の組成物の溶解試験では、試験開始後20分を経過しても溶解炭酸ランタンの累積%は56%にとどまるものであったことが示されている。この溶解試験が口腔内を再現したものではないとしても、この溶解速度からみて、甲4発明に対応する実施例7の組成物は、口腔内で「速やかに」溶解又は崩壊させて服用できる錠剤であるとは到底いえるものではない。 したがって、甲4発明にいう「チュアブル錠」は本件第2訂正発明7にいう「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」に相当するものではなく、相違点1は実質的な相違点である。 次に、甲4発明にいう「チュアブル錠」を「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」に変更する動機が存在するかについて検討する。 記載事項(甲4-4)に「もう一つの実施形態では、本発明は、腎不全患者において高リン酸血症を治療し、慢性腎不全の患者において副甲状腺機能亢進症を制御し、慢性腎不全の患者において副甲状腺機能亢進症を制御するための、本明細書に記載される本発明に従って調製された組成物を投与することを含む方法に関する。」と記載されることから、甲4発明は腎不全患者ないし慢性腎不全患者を投与対象に含むものであるところ、腎不全患者ないし慢性腎不全患者に対しては、服薬コンプライアンス向上が求められていることが記載事項(甲2-2)及び記載事項(甲7-1)にも示されており、また、腎不全患者ないし慢性腎不全患者であって高齢者や嚥下困難な患者にも服薬しやすい剤型が求められていることが記載事項(甲6-2)に示されている。 したがって、腎不全患者ないし慢性腎不全患者を投与対処に含む医薬組成物において、コンプライアンス向上のために服薬しやすい剤型にすることは、当業界における周知の課題であるといえる。 そして、服薬しやすい剤型としては、記載事項(甲2-6)、記載事項(甲6-2)~記載事項(甲6-3)、記載事項(甲6-8)及び記載事項(甲7-1)にも示されるように、口腔内崩壊錠が知られている。 したがって、甲4発明にいう「チュアブル錠」を「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」に変更する動機は存在するといえる。 したがって、相違点1は、当業者が容易に想到し得たものといえる。 (イ)相違点2について 甲4発明の成分(c)である「ヒドロキシプロピルセルロース」は、記載事項(甲4-9)において「低置換度ヒドロキシプロピルセルロース」とは別の用語として記載されることにも示されるように、「低置換度ヒドロキシプロピルセルロース」とは別異のものである。一方、甲4発明の成分(e)及び成分(f)であり、記載事項(乙9-1)により成分(b)にも含まれると認められる「微結晶セルロース」は、甲3に記載される「結晶セルロース」の英語表記「miceosrystalline cellulose」を直訳すれば「微結晶セルロース」となることにも示されるように、「結晶セルロース」とも呼ばれるものである。 記載事項(甲3-1)、記載事項(甲6-4)及び記載事項(甲6-6)によれば、「結晶セルロース」は、賦形剤として使用されるとともに、結合剤及び崩壊剤としても作用するものであるとされる。 しかし、各甲号証の記載を検討しても、崩壊剤としても作用するものである「微結晶セルロース」を含有する「チュアブル錠」において、「微結晶セルロース」を「少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」崩壊剤に変更することにより「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」に変更させた例は示されておらず、「微結晶セルロース」を含有する「チュアブル錠」において「少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」崩壊剤に変更することにより「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」に変更できることを示す根拠を見出すこともできない。また、「微結晶セルロース」を含有する「チュアブル錠」において、「微結晶セルロース」を「少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」に変更することにより「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」に変更できることが、技術常識であるともいえない。 したがって、甲4発明を、「崩壊剤が、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」ものに変更する動機が存在するとはいえない。 また、記載事項(甲7-2)~記載事項(甲7-3)及び記載事項(甲9-1)~記載事項(甲9-5)によれば、口腔内崩壊錠に用いる崩壊剤の選定にあたっては、一般的に崩壊剤として使用されているものを選定するのみでは口腔内崩壊錠を得ることができず、崩壊剤の機能を考慮しつつ崩壊性と添加量のバランスを検討した上で、崩壊剤を選定する必要があることが示されるとともに、口腔内崩壊錠の1錠あたりの有効成分含有率が高い場合には崩壊剤の選定が困難であることが示されており、記載事項(甲22-1)によれば、経口投与用の有効成分として使用される薬物の多くは、錠剤の薬物含有率を高くするほど、打錠障害が発生し、錠剤の製造が困難となることが示されている。 甲4発明における、炭酸ランタン八水和物の含有率は77.4%という高いものであることから、甲4発明にいう「微結晶セルロース」を含有する「チュアブル錠」において、「微結晶セルロース」を「少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」崩壊剤に変更すれば、その変更に伴い崩壊性と添加量のバランスが崩れるとともに打錠障害が発生して錠剤の製造が困難になることを、当業者は予想するといえる。 したがって、そのような変更を当業者が行うことは想定できず、甲4発明を、「崩壊剤が、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」ものに変更することには阻害要因が存在するといえる。 さらに、各甲号証の他の記載事項及び技術常識を検討しても、相違点2を当業者が容易に想到し得たものとすべき根拠を見出すことはできない。 したがって、相違点2は、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 (ウ)甲4に記載された発明の認定及び相違点に関する請求人の主張について 請求人は、前記(1)に記した「請求人甲4発明」を甲4に実施例7として記載された発明である旨主張している。(審判請求書16~17頁、90頁、平成29年12月8日付け弁駁書28頁) しかし、甲4に実施例7として記載された発明は、「請求人甲4発明」ではなく「甲4発明」であると認定されるものであることは前記(3)アに示したとおりであって、本件第2訂正発明7と「甲4発明」とは相違点1及び相違点2で相違することは前記(7)イに示したとおりである。 しかも、請求人は平成30年8月3日付け訂正請求後に提出された平成30年9月12日付け弁駁書において、本件第2訂正発明7と「請求人甲4発明」との相違点について何も述べていないところ、本件第2訂正発明7と「請求人甲4発明」との相違点については、当審の認定した相違点1及び相違点2についての検討において実質的に検討されており、当審の認定した相違点1及び相違点2のうち相違点2は当業者が容易に想到し得たものでないことは、前記(イ)に示したとおりである。 (エ)相違点についてのまとめ 以上(ア)~(ウ)のとおり、上記相違点1及び相違点2のうち相違点2は当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 よって、本件第2訂正発明7は、甲4発明並びに甲2記載事項、周知の事項、甲3記載事項、甲7記載事項、甲8記載事項及び甲9記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (8)本件第2訂正発明46~63についての当審の判断 前記第3に示したとおり、本件第2訂正発明46~63はいずれも、本件第2訂正発明7にさらなる発明特定事項を付加したものであるところ、上記(7)のとおり、本件第2訂正発明7は、甲4発明並びに甲2記載事項、周知の事項、甲3記載事項、甲7記載事項、甲8記載事項及び甲9記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 したがって、本件第2訂正発明46~63のいずれもまた、甲4発明並びに甲2記載事項、周知の事項、甲3記載事項、甲7記載事項、甲8記載事項及び甲9記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (9)小括 上記(2)~(8)で説示したとおり、請求人の主張する無効理由2は理由がない。 3 無効理由3(甲6に基く進歩性欠如)について (1)請求人の主張する無効理由3の論旨 平成30年9月12日付け弁駁書2頁19行~3頁2行において、請求人は、 「(2)被請求人による平成30年8月3日付上申書について 被請求人は、今回の訂正によって審決の予告に記載された無効理由が解消されたとして縷々主張していますが、少なくとも、いくつかの請求項については、審決の予告に記載された無効理由の解消には至っていないものと考えます。」と述べる。 審判請求書、平成29年12月8日付け弁駁書、平成30年4月5日付け口頭審理陳述要領書、平成30年4月17日付け上申書及び平成30年9月12日付け弁駁書の記載からみて、請求人の主張する無効理由3の論旨は、概略、以下のとおりであると認められる。 甲6には、以下の発明(以下、「請求人甲6発明」という。)が記載されており、本件第2訂正発明は、甲7、甲8、17~20に示された動機付けに基づき、請求人甲6発明に甲2記載事項を適用し、周知の事項(ないしは、甲4記載事項、甲5記載事項)に基づいて、当業者が容易に発明できたものである。(審判請求書111頁7行~135頁17行、平成29年12月8日付け弁駁書40頁18行~44頁14行) (請求人甲6発明) 「a 口腔内崩壊錠である。 b 崩壊剤を含む。 c 医薬組成物中の含有率が80~90質量%である。 d 沈降炭酸カルシウムを含有する。 e 崩壊剤が低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン及びカルメロースカルシウムからなる群から選択される少なくとも1種である。 f 医薬組成物である。」 (2)本件第2訂正発明1~4、8~9についての当審の判断 前記第2に示したとおり、平成30年8月3日付け訂正請求による訂正が認められた結果、本件第2訂正発明1~4、8~9は削除されたので、本件第2訂正発明1~4、8~9についての審判請求は却下すべきものである。 (3)本件第2訂正発明5についての当審の判断 ア 甲6発明 記載事項(甲6-1)によれば、甲6の請求項1及び請求項4には以下の記載がある。 「【請求項1】 沈降炭酸カルシウムを有効成分とし、賦形剤、崩壊剤および滑沢剤を含有する口腔内崩壊錠であって、賦形剤が結晶セルロース、崩壊剤が低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドンおよびカルメロースカルシウムからなる群から選択される少なくとも1種であり、0.5~3ton/cm2の圧力で圧縮成形して調製されることを特徴とする、口腔内崩壊錠。」 「【請求項4】 口腔内崩壊錠100質量%中に含まれる沈降炭酸カルシウムの割合が、80~90質量%である、請求項1乃至3のいずれかに記載する口腔内崩壊錠。」 請求項4は請求項1を引用していることから、甲6には以下の発明(以下、「甲6発明」という。)が記載されているといえる。 「沈降炭酸カルシウムを有効成分とし、賦形剤、崩壊剤および滑沢剤を含有する口腔内崩壊錠であって、賦形剤が結晶セルロース、崩壊剤が低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドンおよびカルメロースカルシウムからなる群から選択される少なくとも1種であり、0.5~3ton/cm2の圧力で圧縮成形して調製されることを特徴とし、口腔内崩壊錠100質量%中に含まれる沈降炭酸カルシウムの割合が、80~90質量%である、口腔内崩壊錠。」 イ 対比 以下、本件第2訂正発明5と甲6発明とを対比する。 (ア)甲6発明は、沈降炭酸カルシウムを有効成分とするものであり、沈降炭酸カルシウムは高リン血症治療剤などの有効成分とされるものであるから、本件第2訂正発明5にいう「医薬組成物」に相当する。 (イ)甲6発明における「口腔内崩壊錠」には「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする」との文言はないものの、記載事項(甲38-1)、記載事項(甲39-1)及び記載事項(甲39-2)並びに記載事項(甲6-8)に示されるように、「口腔内崩壊錠」は、唾液分泌障害がない者の場合は唾液又は少量の水により、口腔内乾燥症などの唾液分泌障害がある者の場合は少量の水により、口腔内で速やかに崩壊させて経口投与されるものであることが技術常識であるから、甲2発明における「口腔内崩壊錠」は、本件第2訂正発明5における「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」に相当する。 (ウ)本件第2訂正発明5においては「賦形剤」を含有することも「結晶セルロース」を含有することも特定されていないところ、記載事項(甲6-4)、記載事項(甲6-5)、記載事項(甲6-9)及び記載事項(甲6-10)に示されるように、「口腔内崩壊錠」に「賦形剤」としての「結晶セルロース」を含有させたものが知られていることを参酌すると、技術常識に照らして、「賦形剤」を含有し且つ「賦形剤が結晶セルロース」である点では本件第2訂正発明5と甲6発明は相違しない。 (エ)本件第2訂正発明5においては「滑沢剤」を含有することは特定されていないところ、記載事項(甲2-1)、記載事項(甲6-1)、記載事項(甲6-4)、記載事項(甲6-5)、記載事項(甲6-7)、記載事項(甲6-9)、記載事項(甲6-10)、記載事項(甲9-3)に示されるように、「口腔内崩壊錠」に「滑沢剤」を含有させたものが知られていることを参酌すると、技術常識に照らして、「滑沢剤」を含有する点では本件第2訂正発明5と甲6発明は相違しない。 (オ)本件第2訂正発明5においては圧縮成形して調製されること及び圧縮成形の圧力、のいずれも特定されておらず、それらに対応する物性等も特定されていないことから、圧縮成形して調製されること及び圧縮成形の圧力の点では本件第2訂正発明5と甲6発明は相違しない。 以上(ア)~(オ)を総合すると、本件第2訂正発明5と甲6発明との間の一致点及び相違点は、以下のとおりであると認められる。 <一致点> 「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤を含有し、前記崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択される少なくとも1つを含む、医薬組成物。」 <相違点1> 本件第2訂正発明5が「医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有」するのに対し、甲6発明は「口腔内崩壊錠100質量%中に含まれる割合が80~90質量%の沈降炭酸カルシウムを有効成分として含む」点。 <相違点2> 本件第2訂正発明5では「崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」とされるのに対し、甲6発明では「崩壊剤が低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドンおよびカルメロースカルシウムからなる群から選択される少なくとも1種であり、」とされる点。 ウ 相違点についての判断 以下、上記相違点1及び相違点2について検討する。 (ア)相違点1について 甲6発明における「口腔内崩壊錠100質量%中に含まれる割合が80~90質量%の沈降炭酸カルシウムを有効成分として含む」ことを、「医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有」することに変更する動機が存在するかについて検討する。 医薬組成物の技術分野においては一般に、ある疾病に対する治療効果・予防効果及び副作用などの安全性並びに服薬コンプライアンスなどの使用しやすさ等をすべて総合的に考慮して、従来の医薬組成物よりもより優れた医薬組成物を提供することが周知の課題であると認められる。 ここで、記載事項(甲8-1)~記載事項(甲8-2)、記載事項(甲17-1)~記載事項(甲17-2)及び記載事項(甲18-1)には、腎不全患者等の高リン酸血症に対して、カルシウム含有リン吸着薬を投与すると高カルシウム血症などを起こす場合がある一方、炭酸ランタン含有型リン吸着薬を投与しても高カルシウム血症は起こさないことが記載されている。 しかし、炭酸ランタン水和物顆粒剤であるホスレノール顆粒分包250mg及びホスレノール顆粒分包500mgの添付文書である甲20の記載事項(甲20-1)には「重要な基本的注意」として、投与に際して定期的に血清リン、カルシウム及びPTH濃度を測定しながら慎重に投与すること及び低カルシウム血症及び二次性副甲状腺機能亢進症の発現あるいは発現のおそれに対する対処方法が記載されており、これを、沈降炭酸カルシウムの錠剤であるカルタン錠500、カルタン錠250及びカルタン細粒83%の添付文書である甲19の記載事項(甲19-1)に「重要な基本的注意」として、定期的に血中カルシウム濃度を測定することや長期投与の場合には必要に応じて血中マグネシウム濃度を測定することが記載されていることと比較すると、高リン血症に対して炭酸ランタン含有医薬組成物が炭酸カルシウム含有医薬組成物よりも使いやすいことが技術常識であったとはいえない。 また、記載事項(甲19-2)には沈降炭酸カルシウムの錠剤であるカルタン錠500、カルタン錠250及びカルタン細粒83%の副作用の出現率が3.4%であったことが示される一方、記載事項(甲20-2)には炭酸ランタン水和物顆粒剤であるホスレノール顆粒分包250mg及びホスレノール顆粒分布500mgの副作用の出現率が23.6~61.9%であったことが示されており、副作用の出現率を比較して、炭酸ランタン含有医薬組成物が炭酸カルシウム含有医薬組成物よりも安全性の面で優れることが技術常識であったとはいえない。 してみると、甲6発明における「沈降炭酸カルシウム」を「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」に変更する動機が存在したとはいえない。 さらに、各号証の他の記載事項及び技術常識を検討しても、相違点1を当業者が容易に想到し得たものとすべき根拠を見出すことはできない。 したがって、相違点1は、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 (イ)相違点2について 甲6発明に対して、「崩壊剤が低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドンおよびカルメロースカルシウムからなる群から選択される少なくとも1種であり、」を「崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」に変更することを当業者が容易に想到し得たかについて検討する。 記載事項(甲6-6)には、沈降炭酸カルシウムに組み合わせて使用される崩壊剤として、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドンおよびカルメロースカルシウムが挙げられるとともに、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドンが医薬品添加剤の崩壊剤として広く使用されている成分であることが記載されている。記載事項(甲6-7)には、崩壊剤として、例えば低置換度ヒドロキシプロピルセルロースと他の崩壊剤とを併用すること、崩壊剤の口腔内崩壊錠中の割合としてより好ましくは3~15質量%とすることが記載されている。 してみると、甲6発明において沈降炭酸カルシウムに組み合わせて使用される崩壊剤の成分のうち、記載事項(甲6-6)において医薬品添加剤の崩壊剤としても広く使用されている成分であることが示される低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びクロスポビドンを、記載事項(甲6-7)に記載されるとおり併用するとともに、記載事項(甲6-7)に記載された崩壊剤の口腔内崩壊錠中の好ましい割合を基にして、それぞれの医薬組成物中の含有率を1.7~12質量%の範囲内にすることは、当業者が容易に想到し得たことといえる。 したがって、相違点2は、当業者が容易に想到し得たものといえる。 (ウ)甲6に記載された発明の認定及び相違点に関する請求人の主張について 請求人は、前記(1)に記した「請求人甲6発明」を甲6に記載された発明である旨主張している。(審判請求書25~26頁、118~119頁、平成29年12月8日付け弁駁書41頁) しかし、甲6に記載された発明は「請求人甲6発明」ではなく「甲6発明」であると認定されるものであることは前記(3)アに示したとおりであって、本件第2訂正発明5と「甲6発明」とは相違点1及び相違点2で相違することは、前記(3)イに示したとおりである。 しかも、請求人は平成30年8月3日付け訂正請求後に提出された平成30年9月12日付け弁駁書において、本件第2訂正発明5と「請求人甲6発明」との相違点について何も述べていないところ、本件第2訂正発明5と「請求人甲6発明」との相違点については、当審の認定した相違点1についての検討において実質的に検討されており、当審の認定した相違点1は当業者が容易に想到し得たものでないことは、前記(ア)に示したとおりである。 (エ)相違点についてのまとめ 以上(ア)~(ウ)のとおり、上記相違点1及び相違点2のうち相違点1は当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 よって、本件第2訂正発明5は、甲7、甲8、17~20に示された動機付けに基づき、甲6発明に甲2記載事項を適用し、周知の事項(ないしは甲4記載事項、甲5記載事項)に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。 (4)本件第2訂正発明10~27についての当審の判断 前記第3に示したとおり、本件第2訂正発明10~27はいずれも、本件第2訂正発明5にさらなる発明特定事項を付加したものであるところ、上記(3)のとおり、本件第2訂正発明5は、甲7、甲8、17~20に示された動機付けに基づき、甲6発明に甲2記載事項を適用し、周知の事項(ないしは甲4記載事項、甲5記載事項)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 したがって、本件第2訂正発明10~27のいずれもまた、甲7、甲8、17~20に示された動機付けに基づき、甲6発明に甲2記載事項を適用し、周知の事項(ないしは甲4記載事項、甲5記載事項)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件第2訂正発明6についての当審の判断 ア 甲6発明 前記(3)アに示したとおり、甲6には以下の甲6発明が記載されているといえる。 「沈降炭酸カルシウムを有効成分とし、賦形剤、崩壊剤および滑沢剤を含有する口腔内崩壊錠であって、賦形剤が結晶セルロース、崩壊剤が低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドンおよびカルメロースカルシウムからなる群から選択される少なくとも1種であり、0.5~3ton/cm2の圧力で圧縮成形して調製されることを特徴とし、口腔内崩壊錠100質量%中に含まれる沈降炭酸カルシウムの割合が、80~90質量%である、口腔内崩壊錠。」 イ 対比 以下、本件第2訂正発明6と甲6発明とを対比する。 (ア)甲6発明は、沈降炭酸カルシウムを有効成分とするものであり、沈降炭酸カルシウムは高リン血症治療剤などの有効成分とされるものであるから、本件第2訂正発明6にいう「医薬組成物」に相当する。 (イ)甲6発明における「口腔内崩壊錠」には「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする」との文言はないものの、記載事項(甲38-1)、記載事項(甲39-1)及び記載事項(甲39-2)並びに記載事項(甲6-8)に示されるように、「口腔内崩壊錠」は、唾液分泌障害がない者の場合は唾液又は少量の水により、口腔内乾燥症などの唾液分泌障害がある者の場合は少量の水により、口腔内で速やかに崩壊させて経口投与されるものであることが技術常識であるから、甲2発明における「口腔内崩壊錠」は、本件第2訂正発明6における「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」に相当する。 (ウ)本件第2訂正発明6においては「賦形剤」を含有することも「結晶セルロース」を含有することも特定されていないところ、記載事項(甲6-4)、記載事項(甲6-5)、記載事項(甲6-9)及び記載事項(甲6-10)に示されるように、「口腔内崩壊錠」に「賦形剤」としての「結晶セルロース」を含有させたものが知られていることを参酌すると、技術常識に照らして、「賦形剤」を含有し且つ「賦形剤が結晶セルロース」である点では本件第2訂正発明6と甲6発明は相違しない。 (エ)本件第2訂正発明6においては「滑沢剤」を含有することは特定されていないところ、記載事項(甲2-1)、記載事項(甲6-1)、記載事項(甲6-4)、記載事項(甲6-5)、記載事項(甲6-7)、記載事項(甲6-9)、記載事項(甲6-10)、記載事項(甲9-3)に示されるように、「口腔内崩壊錠」に「滑沢剤」を含有させたものが知られていることを参酌すると、技術常識に照らして、「滑沢剤」を含有する点では本件第2訂正発明6と甲6発明は相違しない。 (オ)本件第2訂正発明6においては圧縮成形して調製されること及び圧縮成形の圧力、のいずれも特定されておらず、それらに対応する物性等も特定されていないことから、圧縮成形して調製されること及び圧縮成形の圧力の点では本件第2訂正発明6と甲6発明は相違しない。 以上(ア)~(オ)を総合すると、本件第2訂正発明6と甲6発明との間の一致点及び相違点は、以下のとおりであると認められる。 <一致点> 「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤を含有し、前記崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択される少なくとも1つを含む、医薬組成物。」 <相違点1> 本件第2訂正発明6が「医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有」するのに対し、甲6発明は「口腔内崩壊錠100質量%中に含まれる割合が80~90質量%の沈降炭酸カルシウムを有効成分として含む」点。 <相違点2> 「崩壊剤」について、甲6発明においては「崩壊剤が低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドンおよびカルメロースカルシウムからなる群から選択される少なくとも1種であり、」とされ、その医薬組成物中の含有率は特定されていないのに対し、本件第2訂正発明6においては「崩壊剤が、クロスポビドンであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%であり、」かつ「崩壊剤がGRANFILLER-D(登録商標)から成る錠剤は除く、」とされる点。 ウ 相違点についての判断 以下、上記相違点1及び相違点2について検討する。 (ア)相違点1について 甲6発明における「口腔内崩壊錠100質量%中に含まれる割合が80~90質量%の沈降炭酸カルシウムを有効成分として含む」ことを、「医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有」することに変更する動機が存在するかについて検討する。 医薬組成物の技術分野においては一般に、ある疾病に対する治療効果・予防効果及び副作用などの安全性並びに服薬コンプライアンスなどの使用しやすさ等をすべて総合的に考慮して、従来の医薬組成物よりもより優れた医薬組成物を提供することが周知の課題であると認められる。 ここで、記載事項(甲8-1)~記載事項(甲8-2)、記載事項(甲17-1)~記載事項(甲17-2)及び記載事項(甲18-1)には、腎不全患者等の高リン酸血症に対して、カルシウム含有リン吸着薬を投与すると高カルシウム血症などを起こす場合がある一方、炭酸ランタン含有型リン吸着薬を投与しても高カルシウム血症は起こさないことが記載されている。 しかし、炭酸ランタン水和物顆粒剤であるホスレノール顆粒分包250mg及びホスレノール顆粒分包500mgの添付文書である甲20の記載事項(甲20-1)には「重要な基本的注意」として、投与に際して定期的に血清リン、カルシウム及びPTH濃度を測定しながら慎重に投与すること及び低カルシウム血症及び二次性副甲状腺機能亢進症の発現あるいは発現のおそれに対する対処方法が記載されており、これを、沈降炭酸カルシウムの錠剤であるカルタン錠500、カルタン錠250及びカルタン細粒83%の添付文書である甲19の記載事項(甲19-1)に「重要な基本的注意」として、定期的に血中カルシウム濃度を測定することや長期投与の場合には必要に応じて血中マグネシウム濃度を測定することが記載されていることと比較すると、高リン血症に対して炭酸ランタン含有医薬組成物が炭酸カルシウム含有医薬組成物よりも使いやすいことが技術常識であったとはいえない。 また、記載事項(甲19-2)には沈降炭酸カルシウムの錠剤であるカルタン錠500、カルタン錠250及びカルタン細粒83%の副作用の出現率が3.4%であったことが示される一方、記載事項(甲20-2)には炭酸ランタン水和物顆粒剤であるホスレノール顆粒分包250mg及びホスレノール顆粒分布500mgの副作用の出現率が23.6~61.9%であったことが示されており、副作用の出現率を比較して、炭酸ランタン含有医薬組成物が炭酸カルシウム含有医薬組成物よりも安全性の面で優れることが技術常識であったとはいえない。 してみると、甲6発明における「沈降炭酸カルシウム」を「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」に変更する動機が存在したとはいえない。 さらに、各号証の他の記載事項及び技術常識を検討しても、相違点1を当業者が容易に想到し得たものとすべき根拠を見出すことはできない。 したがって、相違点1は、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 (イ)相違点2について 甲6発明に対して、「崩壊剤が低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドンおよびカルメロースカルシウムからなる群から選択される少なくとも1種であり、」を「崩壊剤が、クロスポビドンであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%であり、」かつ「崩壊剤がGRANFILLER-D(登録商標)から成る錠剤を除く、」に変更することを当業者が容易に想到し得たかについて検討する。 記載事項(甲6-6)には、沈降炭酸カルシウムに組み合わせて使用される崩壊剤として、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドンおよびカルメロースカルシウムが挙げられるとともに、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドンが医薬品添加剤の崩壊剤として広く使用されている成分であることが記載されている。記載事項(甲6-7)には、崩壊剤として、例えば低置換度ヒドロキシプロピルセルロースと他の崩壊剤とを併用すること、崩壊剤の口腔内崩壊錠中の割合としてより好ましくは3~15質量%とすることが記載されている。 してみると、甲6発明において沈降炭酸カルシウムに組み合わせて使用される崩壊剤の成分のうち、記載事項(甲6-6)において医薬品添加剤の崩壊剤としても広く使用されている成分であることが示されるクロスポビドンを選択するとともに、記載事項(甲6-7)に記載された崩壊剤の口腔内崩壊錠中の好ましい割合を基にして、その医薬組成物中の含有率を5.6~12質量%の範囲内にすることは当業者が容易に想到し得たものといえるし、「GRANFILLER-D」は、本件出願前に頒布された刊行物「PHARM TECH JAPAN」,Vol.30, No.8(2014),34(1542)頁左欄13行~右欄4行「グランフィラーD(GNF-D211)は,日本薬局方収載の既存添加物(D-マンニトール、カルメロース、クロスポビドンおよび結晶セルロース)のみを成分として用い造粒されたプレミックス添加剤である……。グランフィラーD(GNF-D211)は賦形剤と崩壊剤の機能を併せ持った直接打錠可能なOD錠用添加剤であり,優れた導水性により有効成分を高用量で含有する処方であっても錠剤硬度や崩壊性を確保しやすいという特徴があるとされている。高用量化に適しているということは,すなわち,同じ有効成分含量を,より小型のOD錠へと製剤化することに適していると期待される。」との記載により、「クロスポビドン」を含有し崩壊剤の機能も有するものであることが知られていたと認められることから、併せて「崩壊剤がGRANFILLER-D(登録商標)から成る錠剤を除く、」とすることも当業者が容易に想到し得たことといえる。 したがって、相違点2は、当業者が容易に想到し得たものといえる。 (ウ)甲6に記載された発明の認定及び相違点に関する請求人の主張について 請求人は、前記(1)に記した「請求人甲6発明」を甲6に記載された発明である旨主張している。(審判請求書25~26頁、118~119頁、平成29年12月8日付け弁駁書41頁) しかし、甲6に記載された発明は「請求人甲6発明」ではなく「甲6発明」であると認定されるものであることは前記(3)アに示したとおりであって、本件第2訂正発明5と「甲6発明」とは相違点1及び相違点2で相違することは、前記(5)イに示したとおりである。 しかも、請求人は平成30年8月3日付け訂正請求後に提出された平成30年9月12日付け弁駁書において、本件第2訂正発明6と「請求人甲6発明」との相違点について何も述べていないところ、本件第2訂正発明6と「請求人甲6発明」との相違点については、当審の認定した相違点1についての検討において実質的に検討されており、当審の認定した相違点1は当業者が容易に想到し得たものでないことは、前記(ア)に示したとおりである。 (エ)相違点についてのまとめ 以上(ア)~(ウ)のとおり、上記相違点1及び相違点2のうち相違点1は当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 よって、本件第2訂正発明6は、甲7、甲8、17~20に示された動機付けに基づき、甲6発明に甲2記載事項を適用し、周知の事項(ないしは甲4記載事項、甲5記載事項)に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。 (6)本件第2訂正発明28~45についての当審の判断 前記第3に示したとおり、本件第2訂正発明28~45はいずれも、本件第2訂正発明6にさらなる発明特定事項を付加したものであるところ、上記(5)のとおり、本件第2訂正発明6は、甲7、甲8、17~20に示された動機付けに基づき、甲6発明に甲2記載事項を適用し、周知の事項(ないしは甲4記載事項、甲5記載事項)に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。 したがって、本件第2訂正発明28~45のいずれもまた、甲7、甲8、17~20に示された動機付けに基づき、甲6発明に甲2記載事項を適用し、周知の事項(ないしは甲4記載事項、甲5記載事項)に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。 (7)本件第2訂正発明7についての当審の判断 ア 甲6発明 前記(3)アに示したとおり、甲6には以下の甲6発明が記載されているといえる。 「沈降炭酸カルシウムを有効成分とし、賦形剤、崩壊剤および滑沢剤を含有する口腔内崩壊錠であって、賦形剤が結晶セルロース、崩壊剤が低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドンおよびカルメロースカルシウムからなる群から選択される少なくとも1種であり、0.5~3ton/cm2の圧力で圧縮成形して調製されることを特徴とし、口腔内崩壊錠100質量%中に含まれる沈降炭酸カルシウムの割合が、80~90質量%である、口腔内崩壊錠。」 イ 対比 以下、本件第2訂正発明7と甲6発明とを対比する。 (ア)甲6発明は、沈降炭酸カルシウムを有効成分とするものであり、沈降炭酸カルシウムは高リン血症治療剤などの有効成分とされるものであるから、本件第2訂正発明7にいう「医薬組成物」に相当する。 (イ)甲6発明における「口腔内崩壊錠」には「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする」との文言はないものの、記載事項(甲38-1)、記載事項(甲39-1)及び記載事項(甲39-2)並びに記載事項(甲6-8)に示されるように、「口腔内崩壊錠」は、唾液分泌障害がない者の場合は唾液又は少量の水により、口腔内乾燥症などの唾液分泌障害がある者の場合は少量の水により、口腔内で速やかに崩壊させて経口投与されるものであることが技術常識であるから、甲2発明における「口腔内崩壊錠」は、本件第2訂正発明7における「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」に相当する。 (ウ)本件第2訂正発明7においては「賦形剤」を含有することも「結晶セルロース」を含有することも特定されていないところ、記載事項(甲6-4)、記載事項(甲6-5)、記載事項(甲6-9)及び記載事項(甲6-10)に示されるように、「口腔内崩壊錠」に「賦形剤」としての「結晶セルロース」を含有させたものが知られていることを参酌すると、技術常識に照らして、「賦形剤」を含有し且つ「賦形剤が結晶セルロース」である点では本件第2訂正発明7と甲6発明は相違しない。 (エ)本件第2訂正発明7においては「滑沢剤」を含有することは特定されていないところ、記載事項(甲2-1)、記載事項(甲6-1)、記載事項(甲6-4)、記載事項(甲6-5)、記載事項(甲6-7)、記載事項(甲6-9)、記載事項(甲6-10)、記載事項(甲9-3)に示されるように、「口腔内崩壊錠」に「滑沢剤」を含有させたものが知られていることを参酌すると、技術常識に照らして、「滑沢剤」を含有する点では本件第2訂正発明7と甲6発明は相違しない。 (オ)本件第2訂正発明7においては圧縮成形して調製されること及び圧縮成形の圧力、のいずれも特定されておらず、それらに対応する物性等も特定されていないことから、圧縮成形して調製されること及び圧縮成形の圧力の点では本件第2訂正発明7と甲6発明は相違しない。 以上(ア)~(オ)を総合すると、本件第2訂正発明7と甲6発明との間の一致点及び相違点は、以下のとおりであると認められる。 <一致点> 「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤を含有し、前記崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択される少なくとも1つを含む、医薬組成物。」 <相違点1> 本件第2訂正発明7が「医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有」するのに対し、甲6発明は「口腔内崩壊錠100質量%中に含まれる割合が80~90質量%の沈降炭酸カルシウムを有効成分として含む」点。 <相違点2> 「崩壊剤」について、甲6発明においては「崩壊剤が低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドンおよびカルメロースカルシウムからなる群から選択される少なくとも1種であり、」とされ、その医薬組成物中の含有率は特定されていないのに対し、本件第2訂正発明7では「崩壊剤が、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」とされる点。 ウ 相違点についての判断 以下、上記相違点1及び相違点2について検討する。 (ア)相違点1について 甲6発明における「口腔内崩壊錠100質量%中に含まれる割合が80~90質量%の沈降炭酸カルシウムを有効成分として含む」ことを、「医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有」することに変更する動機が存在するかについて検討する。 医薬組成物の技術分野においては一般に、ある疾病に対する治療効果・予防効果及び副作用などの安全性並びに服薬コンプライアンスなどの使用しやすさ等をすべて総合的に考慮して、従来の医薬組成物よりもより優れた医薬組成物を提供することが周知の課題であると認められる。 ここで、記載事項(甲8-1)~記載事項(甲8-2)、記載事項(甲17-1)~記載事項(甲17-2)及び記載事項(甲18-1)には、腎不全患者等の高リン酸血症に対して、カルシウム含有リン吸着薬を投与すると高カルシウム血症などを起こす場合がある一方、炭酸ランタン含有型リン吸着薬を投与しても高カルシウム血症は起こさないことが記載されている。 しかし、炭酸ランタン水和物顆粒剤であるホスレノール顆粒分包250mg及びホスレノール顆粒分包500mgの添付文書である甲20の記載事項(甲20-1)には「重要な基本的注意」として、投与に際して定期的に血清リン、カルシウム及びPTH濃度を測定しながら慎重に投与すること及び低カルシウム血症及び二次性副甲状腺機能亢進症の発現あるいは発現のおそれに対する対処方法が記載されており、これを、沈降炭酸カルシウムの錠剤であるカルタン錠500、カルタン錠250及びカルタン細粒83%の添付文書である甲19の記載事項(甲19-1)に「重要な基本的注意」として、定期的に血中カルシウム濃度を測定することや長期投与の場合には必要に応じて血中マグネシウム濃度を測定することが記載されていることと比較すると、高リン血症に対して炭酸ランタン含有医薬組成物が炭酸カルシウム含有医薬組成物よりも使いやすいことが技術常識であったとはいえない。 また、記載事項(甲19-2)には沈降炭酸カルシウムの錠剤であるカルタン錠500、カルタン錠250及びカルタン細粒83%の副作用の出現率が3.4%であったことが示される一方、記載事項(甲20-2)には炭酸ランタン水和物顆粒剤であるホスレノール顆粒分包250mg及びホスレノール顆粒分布500mgの副作用の出現率が23.6~61.9%であったことが示されており、副作用の出現率を比較して、炭酸ランタン含有医薬組成物が炭酸カルシウム含有医薬組成物よりも安全性の面で優れることが技術常識であったとはいえない。 してみると、甲6発明における「沈降炭酸カルシウム」を「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩」に変更する動機が存在したとはいえない。 さらに、各号証の他の記載事項及び技術常識を検討しても、相違点1を当業者が容易に想到し得たものとすべき根拠を見出すことはできない。 したがって、相違点1は、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 (イ)相違点2について 甲6発明に対して、「崩壊剤が低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドンおよびカルメロースカルシウムからなる群から選択される少なくとも1種であり、」を「崩壊剤が、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」に変更することを当業者が容易に想到し得たかについて検討する。 記載事項(甲6-6)には、沈降炭酸カルシウムに組み合わせて使用される崩壊剤として、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドンおよびカルメロースカルシウムが挙げられるとともに、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドンが医薬品添加剤の崩壊剤として広く使用されている成分であることが記載されている。記載事項(甲6-7)には、崩壊剤として、例えば低置換度ヒドロキシプロピルセルロースと他の崩壊剤とを併用すること、崩壊剤の口腔内崩壊錠中の割合としてより好ましくは3~15質量%とすることが記載されている。 してみると、甲6発明において沈降炭酸カルシウムに組み合わせて使用される崩壊剤の成分のうち、記載事項(甲6-6)において医薬品添加剤の崩壊剤としても広く使用されている成分であることが示される低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びクロスポビドンを、記載事項(甲6-7)の記載されるとおり併用して含むものとするとともに、記載事項(甲6-7)に記載された崩壊剤の口腔内崩壊錠中の好ましい割合を基にして、それぞれの医薬組成物中の含有率を1.7~12質量%の範囲内にすることは、当業者が容易に想到し得たことといえる。 したがって、相違点2は、当業者が容易に想到し得たものといえる。 (ウ)甲6に記載された発明の認定及び相違点に関する請求人の主張について 請求人は、前記(1)に記した「請求人甲6発明」を甲6に記載された発明である旨主張している。(審判請求書25~26頁、118~119頁、平成29年12月8日付け弁駁書41頁) しかし、甲6に記載された発明は「請求人甲6発明」ではなく「甲6発明」であると認定されるものであることは前記(3)アに示したとおりであって、本件第2訂正発明5と「甲6発明」とは相違点1及び相違点2で相違することは、前記(7)イに示したとおりである。 しかも、請求人は平成30年8月3日付け訂正請求後に提出された平成30年9月12日付け弁駁書において、本件第2訂正発明7と「請求人甲6発明」との相違点について何も述べていないところ、本件第2訂正発明7と「請求人甲6発明」との相違点については、当審の認定した相違点1についての検討において実質的に検討されており、当審の認定した相違点1は当業者が容易に想到し得たものでないことは、前記(ア)に示したとおりである。 (エ)相違点についてのまとめ 以上(ア)~(ウ)のとおり、上記相違点1及び相違点2のうち相違点1は当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 よって、本件第2訂正発明7は、甲7、甲8、17~20に示された動機付けに基づき、甲6発明に甲2記載事項を適用し、周知の事項(ないしは甲4記載事項、甲5記載事項)に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。 (8)本件第2訂正発明46~63についての当審の判断 前記第3に示したとおり、本件第2訂正発明46~63はいずれも、本件第2訂正発明7にさらなる発明特定事項を付加したものであるところ、上記(7)のとおり、本件第2訂正発明7は、甲7、甲8、17~20に示された動機付けに基づき、甲6発明に甲2記載事項を適用し、周知の事項(ないしは甲4記載事項、甲5記載事項)に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。 したがって、本件第2訂正発明46~63のいずれもまた、甲7、甲8、17~20に示された動機付けに基づき、甲6発明に甲2記載事項を適用し、周知の事項(ないしは甲4記載事項、甲5記載事項)に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。 (9)小括 上記(2)~(8)で説示したとおり、請求人の主張する無効理由3は理由がない。 4 無効理由4(サポート要件違反)について (1)請求人の主張する無効理由4の論旨 平成30年9月12日付け弁駁書2頁19行~3頁2行において、請求人は、 「(2)被請求人による平成30年8月3日付上申書について 被請求人は、今回の訂正によって審決の予告に記載された無効理由が解消されたとして縷々主張していますが、少なくとも、いくつかの請求項については、審決の予告に記載された無効理由の解消には至っていないものと考えます。」と述べる。 審判請求書、平成29年12月8日付け弁駁書、平成30年4月5日付け口頭審理陳述要領書、平成30年4月17日付け上申書及び平成30年9月12日付け弁駁書の記載からみて、請求人の主張する無効理由4の論旨は、概略、以下のとおりであると認められる。 本件第2訂正発明は、本件特許明細書に記載された課題である以下の課題1~5(以下、それぞれ「請求人課題1」、「請求人課題2」、…「請求人課題5」という。)を解決できないものである。したがって、本件第2訂正発明は、サポート要件(特許法36条6項1号)に違反して特許されたものである。(審判請求書33頁、135~140頁、平成29年12月8日付け弁駁書45頁5行~51頁1行、平成30年4月5日付け口頭審理陳述要領書14~17頁、平成30年4月17日付け上申書5~8頁) 請求人課題1 炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩の製剤中の含有率を概ね70質量%以上とする 請求人課題2 速やかな崩壊性 請求人課題3 高い硬度 請求人課題4 低い摩損度 請求人課題5 不純物を測定できる (2)被請求人の主張する、無効理由4は理由がない旨の論旨は、概略、以下のとおりである。 本件第2訂正発明5は、崩壊剤を、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの組合せとするものであるから、本件第2訂正発明5及び本件第2訂正発明5を引用する本件第2訂正発明10乃至27は、当業者が発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に照らし当該発明の課題1及び課題3を解決できると認識できる範囲のものであることは、明らかである。 (平成30年8月3日付け上申書12頁9行~13頁2行) 本件第2訂正発明6は、崩壊剤がクロスポビドンである口腔内崩壊錠に係るものであり、且つ、「前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%」と特定するものであるところ、……これらの実施例からすれば、クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%の範囲であれば、速やかな崩壊性の目標品質及び低い摩損度の目標品質が達成できることは、当業者であれば十分に理解できるはずである。 してみれば、本件第2訂正発明6は、当業者が課題1を解決できると認識できる範囲のものであることは明らかであるが、「GRANFILLER-D」については、……それらの具体的な配合比率は当該プレミックスの製造元から公開されていないことから、本件第2訂正発明6では、念のために、「崩壊剤がGRANFILLER-D(登録商標)から成る錠剤は除く」としている。 このように、本件第2訂正発明6及び本件第2訂正発明6を引用する本件第2訂正発明28乃至45は、当業者が発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に照らし当該発明の課題1を解決できると認識できる範囲のものというべきである。 本件特許明細書の実施例4及び実施例3の結果、並びに打錠圧を上げて錠剤硬度を高めることによって、「明らかなひび・割れ・欠け」の発生を抑制し得るとの本件特許の出願日当時の技術常識に照らせば、本件第2訂正発明6及び本件第2訂正発明6を引用する本件第2訂正発明28乃至45は、「明らかなひび・割れ・欠け」のない口腔内崩壊錠の提供という観点からも、当業者が課題1を解決できると認識できる範囲のものというべきである。 (平成30年8月3日付け上申書4頁23行~9頁18行) 本件特許の出願日当時の技術常識を併せて考えれば、本件特許明細書の実施例7、8、13、16、17及び18の口腔内崩壊錠において、崩壊剤をクロスポビドンのみにしたとしても(すなわち、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを除いたとしても)、それらの実施例の結果に基づいて、「通常の包装形態で安定であること」(課題3)を、当業者は理解できたものとみるべきである。 上記のとおり、本件特許の出願日の技術常識を併せて考えれば、本件第2訂正発明6及び本件第2訂正発明6を引用する本件第2訂正発明28乃至45は、本件特許明細書の記載に基づいて、当業者が課題3を解決できると認識できる範囲のものとみるべきである。 また、仮に、本件特許明細書には、崩壊剤がクロスポビドンのみである口腔内崩壊錠の保存安定性に関する実験データが記載されていないことにより、本件第2訂正発明6が課題3を解決できることを示す直接的な裏付けが示されていないとされたとしても、……、本件明細書が、課題3を、課題1に副次するする重要性の低い課題として位置づけていることが明らかである。課題3の解決についての実験データ等が必ずしも示されていなかったとしても、本件第2訂正発明6が、サポート要件を満たしていないということまではできないと思量する。 以上のとおり、本件第2訂正発明6及び本件第2訂正発明6を引用する本件第2訂正発明28乃至45は、当業者が発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に照らし当該発明の課題3を解決できると認識できる範囲のものであるし、また、少なくとも、サポート要件を満たさないということはできないとすべきである。 (平成30年8月3日付け上申書9頁19行~12頁8行) 本件第2訂正発明7は、崩壊剤が、「少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」とするものであるところ、本件特許明細書には、医薬組成物中のクロスポビドンの含有率が1.7質量%であり低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの含有率が12質量%であるもの(実施例9)から、クロスポビドンの含有率が12質量%であり低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの含有率が1.7質量%であるもの(実施例15)までの、様々な含有率で両者を含んだ口腔内崩壊錠が、前記課題1及び課題3を解決できたことが示されている。 してみれば、上記の含有率でクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを崩壊剤とするものに対して、その他の崩壊剤を若干加えたとしても、課題1及び課題3を解決し得る口腔内崩壊錠が製造可能であることは、当業者であれば十分に認識できるものといえ、したがって、本件第2訂正発明7及び本件第2訂正発明7を引用する本件第2訂正発明46乃至63は、当業者が発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に照らし当該発明の課題1及び課題3を解決できると認識できる範囲のものであることは、明らかである。 (平成30年8月3日付け上申書13頁3行~14頁7行) (3)当審の判断 特許請求の範囲の記載が,明細書のサポート要件に適合するか否かは,特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し,特許請求の範囲に記載された発明が,発明の詳細な説明に記載された発明で,発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か,また,その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきとされる。 ア 本件第2訂正発明の課題 明細書の発明の詳細な説明には、以下の記載がある。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物に関する。 【背景技術】 【0002】 炭酸ランタンは、慢性腎臓病患者における高リン血症の改善に有効であること、またその高い安全性が知られている。 【0003】 炭酸ランタンを含有する製剤としては、ホスレノール(登録商標)チュアブル錠及びホスレノール(登録商標)顆粒分包が市販されているが、慢性腎臓病患者は、通常、摂水量を厳しく制限されており、また、咀嚼や嚥下が困難な患者も多いため、水なしで容易に服用できる製剤の開発が望まれている。 【0004】 水なしで容易に服用できる製剤としては、唾液又は少量の水により口腔内で崩壊させて経口投与する、口腔内崩壊製剤(Orally Disintegrating Preparation;OD製剤ともいう)が知られている。これらの剤形は錠剤やフィルム剤が多く、特に汎用剤形の錠剤、つまり口腔内崩壊錠(Orally Disintegrating Tablet;OD錠ともいう)においては、速やかな崩壊性と高い硬度という、相反する製剤特性を両立する必要があり、多種多様な製剤技術や関連製品が公開・市販されている。……。 ……(中略)…… 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 発明者らが検討したところ、炭酸ランタンを薬効成分とした場合、前記特許文献1、前記特許文献2、さらには前記プレミックス型添加剤を含む公知の方法では、OD錠を製造したとしても、速やかな崩壊性、高い硬度及び低い摩損度を両立できずに、使用に適するものにならないことが明らかとなった。 【0010】 まず、炭酸ランタンを薬効成分とする医薬組成物の製法として、水が介在する手法は不適切である。炭酸ランタンは種々の数の水和物を形成し、その物性や安定性が異なることが知られているため、製剤の製造工程において水の使用や加湿、あるいは乾燥すべきではない。特許文献1では、水を少量含む糖類を主体とした湿潤顆粒を圧縮成形した後、乾燥し錠剤を製する。また、特許文献2では、低圧で打錠した後に加湿・乾燥を行う。これらの製造工程を経た後の炭酸ランタンの水和状態を制御することは困難である。 【0011】 プレミックス型添加剤を用いて直打法により錠剤を製する場合、水を介在せず製造することが可能であるが、高含量化・小型化が課題となる。炭酸ランタンの臨床用量は、1回当たりの服用量がランタンとして250~750mg(炭酸ランタン4水和物換算で477~1431mg)と非常に高く、服用感に優れたOD錠とするためには、炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩(以降、原薬)の製剤中の含有率を概ね70質量%以上とする必要がある。ところが、発明者らが検討したところ、前記プレミックス型添加剤を用いて調製した錠剤は、このような高い原薬含有率では速やかな崩壊性と高い硬度、さらには低い摩損度を両立することができなかった。なお、高含量化・小型化は、水が介在する製法にも共通の課題である。 【0012】 さらに、いずれの公知の技術においても共通となる課題は、炭酸ランタンに由来する微量の不純物や分解物の定量的評価である。一般にOD製剤は、その製剤特性上、吸湿しやすく、物性変化はもちろん、化学的な安定性に懸念がある。高い品質の担保を可能とするためには、高感度な純度試験法の確立が必須であるが、炭酸ランタンは無機化合物であるため、粉末X線回折法により行う必要がある。一方、崩壊性と硬度の両立のため、OD錠の処方に汎用される糖類(糖ないし糖アルコール)は、いずれも鋭い粉末X線回折ピークを有し、炭酸ランタンに由来する微量の不純物や分解物の検出感度を著しく低下させる。実際、特許文献1や特許文献2では糖類の使用が必須であるし、前記プレミックス型添加剤の具体例として挙げたGRANFILLER-D(登録商標)、SmartEx(登録商標)及びLudiflash(登録商標)は、いずれもD-マンニトールが主成分である。 【0013】 このように、従来の方法では、炭酸ランタンを薬効成分とする、服用感に優れ、高品質なOD製剤、つまり、速やかな崩壊性、高い硬度及び低い摩損度を両立したOD錠を得ることは困難であった。 【発明の効果】 【0014】 本発明により、炭酸ランタンを薬効成分とする、服用感に優れ、高品質なOD製剤が得られる。当該OD製剤は、速やかな崩壊性と高い硬度、さらには低い摩損度を両立し、炭酸ランタンに由来する微量の不純物や分解物の定量的評価が可能で、通常の包装形態で安定である。 【課題を解決するための手段】 【0015】 このように、炭酸ランタンを薬効成分とする、服用感に優れ、高品質なOD製剤を得るためには、多くの解決すべき課題が存在するが、発明者らが鋭意検討した結果、以下に示す通り、これらの課題をすべて解決できることを見出した。」 この記載から、以下の課題1~4が記載されていると認められる。 「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物」において、 課題1「速やかな崩壊性、高い硬度及び低い摩損度を両立した、唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与する口腔内崩壊錠を提供すること」 課題2「服用感に優れたものとするために有効成分の高含量化・錠剤の小型化を達成すること」 課題3「通常の包装形態で安定であること」 課題4「炭酸ランタンに由来する微量の不純物や分解物の定量的評価が可能であること」 ここで、明細書の発明の詳細な説明には、課題4に関連して、 「【0047】 本発明の医薬組成物は、保存期間中の安定性を含め、高い品質の担保を可能とするため、炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を除き、医薬組成物中の含有率が2.0質量%を超える添加剤が、明確な粉末X線回折ピークを有さない成分のみで構成するのが好ましい。ここで「明確な粉末X線回折ピークを有さない」とは、当業者間では既知の現象であるが、「ハローパターン(Halo Pattern)を示す」とほぼ同義であり、構造の大部分又は全部が非晶質ないしガラス様であるが故、測定範囲(2θ)全体に渡り明確な回折ピークを有さず、ときに幅広い強度分布をもつ光輪状のパターンを示す現象を意味する。こうした特性を有する成分のみで医薬組成物を構成することにより、炭酸ランタンに由来する微量の不純物や分解物の定量的評価が可能であり、保存期間中の安定性を含め、高い品質の担保が可能となる。 【0048】 本発明の一形態は、炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を除き、医薬組成物中の含有率が2.0質量%を超える配合成分のいずれも、明確な粉末X線回折ピークを有さないことを特徴とする、前記医薬組成物である。」 との記載があり、これは、本件第2訂正発明23及び当該発明を引用する本件第2訂正発明24~27、本件第2訂正発明41及び当該発明を引用する本件第2訂正発明42~45、並びに、本件第2訂正発明59及び当該発明を引用する本件第2訂正発明60~63に対応するものであると認められる。 以上より、本件第2訂正発明5及び本件第2訂正発明10~27、本件第2訂正発明6及び本件第2訂正発明28~45、並びに、本件第2訂正発明7及び本件第2訂正発明46~63は、課題1~3をともに発明が解決しようとする課題とするものであり、本件第2訂正発明23~27、本件第2訂正発明41~45、並びに、本件第2訂正発明59~63は、それに併せて課題4も発明が解決しようとする課題とするものであると認められる。 イ 課題1「速やかな崩壊性、高い硬度及び低い摩損度を両立した、唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与する口腔内崩壊錠を提供すること」について (ア)本件第2訂正発明5及び本件第2訂正発明10~27 本件第2訂正発明5及び本件第2訂正発明10~27は、「崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、……、医薬組成物。」及び「崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」ことを発明特定事項としている。 ここで、明細書の発明の詳細な説明の段落【0079】~【0084】には、実施例7~18として「崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、……、医薬組成物。」及び「崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%」に該当する口腔内崩壊錠が記載されており、これらは本件第2訂正発明5に対応するものである。 「速やかな崩壊性」については、明細書の発明の詳細な説明の段落【0049】、段落【0063】及び段落【0064】の記載から、崩壊時間が、「日局(補助盤あり)」で60秒間以内、「日局(補助盤なし)」で30秒間以内、「口腔内(静的)」で60秒間以内、「口腔内(動的)」で30秒間以内、であれば、「速やかな崩壊性」を有するものといえる。 明細書の発明の詳細な説明の段落【0081】の【表4】及び【表5】に示された試験結果によれば、実施例7~8、10~18の口腔内崩壊錠は、その崩壊時間が、「日局(補助盤なし)」で8~40秒、「日局(補助盤あり)」で8~13秒、「口腔内(静的)」で30~51秒、「口腔内(動的)」で10~21秒であって、「速やかな崩壊性」を有するといえるものである。実施例9の口腔内崩壊錠の崩壊時間は、「日局(補助盤なし)」で15秒、「日局(補助盤あり)」で12秒、「口腔内(静的)」で82秒、「口腔内(動的)」で23秒であって、「口腔内(静的)」のみ「速やかな崩壊性」の崩壊時間を超えているが、他の測定法による結果が「速やかな崩壊性」の崩壊時間の範囲内であること、及び、「口腔内(動的)」は「口腔内(静的)」よりも実際の口腔内での使用状態に近い測定条件と見なせることから、実施例9の口腔内崩壊錠も「速やかな崩壊性」を有するといえるものである。 「高い硬度」については、明細書の発明の詳細な説明の段落【0050】及び段落【0061】の記載から、錠剤硬度が100N以上であれば「高い硬度」を有するものといえる。 明細書の発明の詳細な説明の段落【0081】の【表4】及び【表5】に示された試験結果によれば、実施例7~18の口腔内崩壊錠は、その錠剤硬度が129~263Nであって、「高い硬度」を有するといえるものである。 「低い摩損度」については、明細書の発明の詳細な説明の段落【0050】に「「低い」摩損度とは、例えば、錠剤の摩損度試験法(日局参考情報)に従い、試験を行うとき、0.5%未満(明らかなひび・割れ・欠けなし)である。」との記載がある。 また、同段落【0072】に比較例5に関して「10.0質量%までの配合比率で崩壊時間(日局、口腔内)の目標品質に達したのは、クロスポビドンを配合した錠剤のみであった(比較例5)。ただし、摩損度試験において、高い比率で明らかなひび・割れ・欠けが認められた。」との記載がある。 また、同段落【0069】の【表1】、同段落【0073】の【表2】、同段落【0078】の【表3】、並びに、同段落【0081】の【表4】及び【表5】における「摩損度」の欄には「[%]」と「(明らかなひび・割れ・欠けの個数/試験数)」がともに記載されている。 これらの記載から、錠剤の摩損度試験法(日局参考情報)に従った試験を行うとき、摩損度が0.5%未満であり、かつ、「明らかなひび・割れ・欠け」の認められる比率が実用上無視できる程度に低ければ、「低い摩損度」を有するものといえる。 明細書の発明の詳細な説明の段落【0081】の【表4】及び【表5】に示された試験結果によれば、実施例7~18の口腔内崩壊錠は、その摩損度が0.0~0.1%であり、「明らかなひび・割れ・欠けの個数/試験数」が0個/10試験~0個/12試験であるから、「低い摩損度」を有するといえるものである。 したがって、明細書の発明の詳細な説明には、実施例7~18の口腔内崩壊錠が課題1を解決できることが記載されており、実施例7~18の口腔内崩壊錠についての記載に接した当業者は、その記載及び出願時の技術常識に照らし本件第2訂正発明5が課題1を解決できると認識できる。 また、本件第2訂正発明5に対して、口腔内崩壊錠に通常用いられる、流動化剤、滑沢剤、甘味剤等を、口腔内崩壊錠における通常の範囲の含有割合で含有させると、その崩壊性、硬度、摩損度が悪化して課題1を解決できないものになるとは出願時の技術常識に照らしてもいえないことから、実施例7~18の口腔内崩壊錠についての記載に接した当業者は、その記載及び出願時の技術常識に照らし本件第2訂正発明10~27が課題1を解決できると認識できる。 したがって、本件第2訂正発明5及び本件第2訂正発明10~27は、当業者が発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に照らし当該発明の課題1を解決できると認識できる範囲のものであるといえる。 (イ)本件第2訂正発明6及び本件第2訂正発明28~45 本件第2訂正発明6及び本件第2訂正発明28~45は「崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、……、医薬組成物。」及び「崩壊剤が、クロスポビドンであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%であり、但し、崩壊剤がGRANFILLER-D(登録商標)から成る錠剤は除く」ことを発明特定事項としている。 ここで、明細書の発明の詳細な説明の段落【0074】~【0078】には、実施例1~4として「崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、……、医薬組成物。」及び「崩壊剤が、クロスポビドンであり、」に該当する口腔内崩壊錠が記載されている。 なお、実施例1~4のうち実施例1~3の口腔内崩壊錠は、そのクロスポビドンの含有率が本件第2訂正発明6にいう「前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%」の範囲の上限を上回る12.3~12.4質量%であり、実施例4の口腔内崩壊錠は、そのクロスポビドンの含有率が本件第2訂正発明6にいう「前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%」の範囲の下限ちょうどの5.6質量%である。 「速やかな崩壊性」については、明細書の発明の詳細な説明の段落【0049】、段落【0063】及び段落【0064】の記載から、崩壊時間が、「日局(補助盤あり)」で60秒間以内、「日局(補助盤なし)」で30秒間以内、「口腔内(静的)」で60秒間以内、「口腔内(動的)」で30秒間以内、であれば、「速やかな崩壊性」を有するものといえる。 明細書の発明の詳細な説明の段落【0078】の【表3】に示された試験結果によれば、実施例1~4の口腔内崩壊錠の崩壊時間は「口腔内(静的)」で28~45秒である。実施例1及び実施例2の口腔内崩壊錠の崩壊時間は「日局(補助盤なし)」でそれぞれ115秒及び264秒であって「速やかな崩壊性」の崩壊時間を超えているが、「口腔内(静的)」が「速やかな崩壊性」の崩壊時間の範囲内であること、及び、「口腔内(静的)」は「日局(補助盤なし)」よりも実際の口腔内での使用状態に近い測定条件と見なせることから、実施例1~4の口腔内崩壊錠は「速やかな崩壊性」を有するといえるものである。 「高い硬度」については、明細書の発明の詳細な説明の段落【0050】及び段落【0061】の記載から、錠剤硬度が100N以上であれば「高い硬度」を有するものといえる。 明細書の発明の詳細な説明の段落【0078】の【表3】に示された試験結果によれば、実施例1~4の口腔内崩壊錠は、その錠剤硬度が117~190Nであって、「高い硬度」を有するといえるものである。 「低い摩損度」については、明細書の発明の詳細な説明の段落【0050】に「「低い」摩損度とは、例えば、錠剤の摩損度試験法(日局参考情報)に従い、試験を行うとき、0.5%未満(明らかなひび・割れ・欠けなし)である。」との記載がある。 また、同段落【0072】に比較例5に関して「10.0質量%までの配合比率で崩壊時間(日局、口腔内)の目標品質に達したのは、クロスポビドンを配合した錠剤のみであった(比較例5)。ただし、摩損度試験において、高い比率で明らかなひび・割れ・欠けが認められた。」との記載がある。 また、同段落【0069】の【表1】、同段落【0073】の【表2】、同段落【0078】の【表3】、並びに、同段落【0081】の【表4】及び【表5】における「摩損度」の欄には「[%]」と「(明らかなひび・割れ・欠けの個数/試験数)」がともに記載されている。 これらの記載から、錠剤の摩損度試験法(日局参考情報)に従った試験を行うとき、摩損度が0.5%未満であり、かつ、「明らかなひび・割れ・欠け」の認められる比率が実用上無視できる程度に低ければ、「低い摩損度」を有するものといえる。 明細書の発明の詳細な説明の段落【0078】の【表3】に示された試験結果によれば、実施例1~3の口腔内崩壊錠は、その摩損度が0.1%であり、「明らかなひび・割れ・欠けの個数/試験数」が0個/11試験~0個/12試験であるから、「低い摩損度」を有するといえるものである。 しかし、実施例4の口腔内崩壊錠は、その摩損度が0.4%であって「0.5%未満」ではあるものの、その「明らかなひび・割れ・欠けの個数/試験数」が7個/12試験である。 明細書の発明の詳細な説明の段落【0072】において、上記比較例5について「但し、摩損度試験において、高い比率で明らかなひび・割れ・欠けが認められた。」と記載されるところ、実施例4の口腔内崩壊錠の「明らかなひび・割れ・欠けの個数/試験数」は、明細書の発明の詳細な説明の段落【0073】の【表2】に示された上記比較例5の錠剤の「明らかなひび・割れ・欠けの個数/試験数」の5個/12試験よりもさらに比率が高いことからも、実施例4の口腔内崩壊錠の「明らかなひび・割れ・欠け」の認められる比率が実用上無視できる程度に低いとはいえず、実施例4の口腔内崩壊錠は、「低い摩損度」を有するとはいえないものである。 被請求人は、平成30年8月3日付け上申書において、乙14~乙17の記載を示しつつ、本件特許の出願日当時、適切な打錠圧を設定することによって、「明らかなひび・割れ・欠け」の発生を抑制し得ることが技術常識だったことに鑑みれば、実施例4は、それ以外の目標品質を優に満たしているから、打錠圧を上げることで、「明らかなひび・割れ・欠け」のない口腔内崩壊錠となし得ることを、当業者は理解できたものとみるべきである旨を主張するとともに(平成30年8月3日付け上申書6頁1行~7頁33行)、乙18を提出して、組成物中の炭酸ランタン水和物の配合率を、実施例4における含有率89.8質量%よりも多い90.4質量%、クロスポビドンの配合率を、実施例4における含有率5.6質量%よりも少ない5.0質量%に設定し、打錠圧を3000kgf又は3300kgfにすることで、明細書の発明の詳細な説明の段落【0049】及び【0050】に記載された崩壊性、硬度及び摩損度(0.5%未満)を満たし、明らかなひび・割れ・欠けの発生がないOD錠が製造可能であることが示された旨を主張する(平成30年8月3日付け上申書8頁1行~9頁18行)。 しかし、以下のとおり、被請求人のこの主張は受け入れられない。 明細書の発明の詳細な説明の段落【0072】及び同段落【0073】の【表2】に比較例5として記載される錠剤、及び、同段落【0076】及び同段落【0078】の【表3】に比較例7として記載される錠剤は、いずれも、その炭酸ランタン水和物の含有率が本件第2訂正発明6にいう「医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し」の範囲の下限よりわずかに少ない68.1%であり、そのクロスポビドンの含有率が本件第2訂正発明6にいう「前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%」の範囲内の10.0質量%であって、組成の点では一致するものである。 打錠圧は、比較例5では2800kgfであり、比較例7では2300kgfであって、比較例5の打錠圧が高いにもかかわらず、「明らかなひび・割れ・欠けの個数/試験数」は、比較例5で5個/10試験、比較例7で3個/10試験であって、打錠圧を上げることでむしろ「明らかなひび・割れ・欠け」の発生率が増加することが示されている。 また、明細書の発明の詳細な説明の段落【0067】及び同段落【0069】の【表1】に記載される比較例1の錠剤は「GRANFILLER-D」を含有するものであり、「GRANFILLER-D」は、本件出願前に頒布された刊行物「PHARM TECH JAPAN」,Vol.30, No.8(2014),34(1542)頁左欄13行~右欄4行「グランフィラーD(GNF-D211)は,日本薬局方収載の既存添加物(D-マンニトール、カルメロース、クロスポビドンおよび結晶セルロース)のみを成分として用い造粒されたプレミックス添加剤である……。グランフィラーD(GNF-D211)は賦形剤と崩壊剤の機能を併せ持った直接打錠可能なOD錠用添加剤であり,優れた導水性により有効成分を高用量で含有する処方であっても錠剤硬度や崩壊性を確保しやすいという特徴があるとされている。高用量化に適しているということは,すなわち,同じ有効成分含量を,より小型のOD錠へと製剤化することに適していると期待される。」との記載により、「クロスポビドン」を含有し崩壊剤の機能も有するものであることが知られていたと認められるものであるところ、同段落【0069】の【表1】によれば、「明らかなひび・割れ・欠けの個数/試験数」は、打錠圧が2300kgfの場合に3個/10試験数、打錠圧が2800kgfの場合に4個/10試験数であって、打錠圧を上げることでむしろ「明らかなひび・割れ・欠け」の発生率が増加することが示されている。 また、被請求人の提出した乙14~乙17はいずれも、炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、崩壊剤がクロスポビドンである錠剤とは異なる組成の錠剤についての文献であって、実施例4の口腔内崩壊錠と同一の組成を有する錠剤に対して、打錠圧を上げることで「明らかなひび・割れ・欠け」のない口腔内崩壊錠が得られることが、技術常識に照らして明らかであることを示すものではない。 さらに、被請求人の提出した乙18については、明細書の発明の詳細な説明に、当業者が発明の課題を解決できると認識できる程度の記載がされておらず、出願時の技術常識からも解決できることが明らかであるとはいえないにもかかわらず、特許出願後に実験データを提出して発明の詳細な説明の記載内容を記載外で補足することによって、明細書のサポート要件に適合させることは、発明の公開を前提に特許を付与するという特許制度の趣旨に反し許されないというべきである。しかも、乙18に示された組成物中の炭酸ランタン水和物の配合率及びクロスポビドンの配合率は、実施例4の口腔内崩壊錠におけるそれぞれの含有率と異なるばかりでなく、本件第2訂正発明6に規定される範囲を逸脱するものであるので、実施例4の口腔内崩壊錠と同一の組成を有する錠剤に対して、打錠圧を上げることで「明らかなひび・割れ・欠け」のない口腔内崩壊錠が得られることの根拠には到底なり得ない。 以上のとおり、被請求人の主張にもかかわらず、明細書の発明の詳細な説明の記載に接した当業者は、出願時の技術常識に照らしても、実施例4の口腔内崩壊錠と同一の組成を有する錠剤に対しては、打錠圧を上げることで「明らかなひび・割れ・欠け」のない口腔内崩壊錠が得られるとは、理解できない。 したがって、本件第2訂正発明6は、当業者が発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に照らし当該発明の課題1を解決できると認識できる範囲にないものを包含しているといえる。 また、本件第2訂正発明6に対して、口腔内崩壊錠に通常用いられる、流動化剤、滑沢剤、甘味剤等を、口腔内崩壊錠における通常の範囲の含有割合で含有させると、その崩壊性、硬度、摩損度が改善して課題1を解決できるものになるとは出願時の技術常識に照らしてもいえないことから、本件第2訂正発明28~45もまた、当業者が発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に照らし当該発明の課題1を解決できると認識できる範囲にないものを包含しているといえる。 したがって、本件第2訂正発明6及び本件第2訂正発明28~45は、当業者が発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に照らし当該発明の課題1を解決できると認識できる範囲にないものを包含しているといえる。 (ウ)本件第2訂正発明7及び本件第2訂正発明46~63 本件第2訂正発明7及び本件第2訂正発明46~63は「崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、……、医薬組成物。」及び「崩壊剤が、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」ことを発明特定事項としている。 本件第2訂正発明7は、本件第2訂正発明5における発明特定事項「崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」に代えて、「崩壊剤が、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」を発明特定事項としたものといえる。 前記(ア)に示したとおり、実施例7~18の口腔内崩壊錠についての記載に接した当業者は、実施例7~18に対応する本件第2訂正発明5が課題1を解決できると認識できると認められるところ、本件第2訂正発明5に対して、さらに他の崩壊剤も含有させると、その崩壊性、硬度、摩損度が悪化して課題1を解決できないものになるとは出願時の技術常識に照らしてもいえないことから、実施例7~18の口腔内崩壊錠についての記載に接した当業者は、「崩壊剤が、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」を発明特定事項とした本件第2訂正発明7は課題1を解決できると認識できる。 また、本件第2訂正発明7に対して、口腔内崩壊錠に通常用いられる、流動化剤、滑沢剤、甘味剤等を、口腔内崩壊錠における通常の範囲の含有割合で含有させると、その崩壊性、硬度、摩損度が悪化して課題1を解決できないものになるとは出願時の技術常識に照らしてもいえないことから、実施例7~18の口腔内崩壊錠についての記載に接した当業者は、本件第2訂正発明46~63が課題1を解決できると認識できると認められる。 したがって、本件第2訂正発明7及び本件第2訂正発明46~63は、当業者が発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に照らし当該発明の課題1を解決できると認識できる範囲のものであるといえる。 ウ 課題2「服用感に優れたものとするために有効成分の高含量化・錠剤の小型化を達成すること」について 本件第2訂正発明5及び本件第2訂正発明10~27、本件第2訂正発明6及び本件第2訂正発明28~45、並びに、本件第2訂正発明7及び本件第2訂正発明46~63は「医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有」することを発明特定事項としており、これはすなわち「有効成分の高含量化」であるから、「有効成分の高含量化」は達成できるといえる。また、「有効成分の高含量化」が達成できれば、1回あたりの服用量を投与するための錠剤は小型のもので済むから、「錠剤の小型化」も達成できるといえる。 したがって、本件第2訂正発明5及び本件第2訂正発明10~27、本件第2訂正発明6及び本件第2訂正発明28~45、並びに、本件第2訂正発明7及び本件第2訂正発明46~63は、当業者が発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に照らし当該発明の課題2を解決できると認識できる範囲のものであるといえる。 エ 課題3「通常の包装形態で安定であること」について 明細書の発明の詳細な説明には、「安定」に関連して、 「【0010】 まず、炭酸ランタンを薬効成分とする医薬組成物の製法として、水が介在する手法は不適切である。炭酸ランタンは種々の数の水和物を形成し、その物性や安定性が異なることが知られているため、製剤の製造工程において水の使用や加湿、あるいは乾燥すべきではない。」、 「【0012】 さらに、いずれの公知の技術においても共通となる課題は、炭酸ランタンに由来する微量の不純物や分解物の定量的評価である。一般にOD製剤は、その製剤特性上、吸湿しやすく、物性変化はもちろん、化学的な安定性に懸念がある。」及び 「【0053】 本発明の医薬組成物は一定の流通期間における安定性も担保する必要がある。「安定」とは、例えば、元封開封後のPTP包装において、30℃/相対湿度65%の環境下、少なくとも3ヵ月間、明確な品質の変化がないことである。また、例えば、最終包装形態のPTP/アルミピロー包装において、40℃/相対湿度75%の環境下、少なくとも6ヵ月間、明確な品質の変化がないことである。「明確な品質の変化」は、日米EU医薬品規制調和国際会議(International Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use;略称ICH)の策定した安定性試験ガイドラインに定義されている。すなわち、一般に、試験開始時から含量が5%以上変化した場合、特定の分解生成物が判定基準を超えた場合、外観、物理的項目及び機能性試験が判定基準から逸脱した場合(例えば、色、硬度、溶出試験)を意味する。 【0054】 本発明の医薬組成物は、一定の流通期間における安定性を担保するため、ポリ塩化ビニル又はポリプロピレン製のフィルムを用いて成形したPTPに充填することができる。必要に応じて、このどちらかにポリクロロトリフロロエチレンを積層したフィルムを用い、防湿性を高めることもできる。またさらにアルミニウム袋に充填することができる。」との記載はあるものの、本件第2訂正発明5及び本件第2訂正発明10~27、本件第2訂正発明6及び本件第2訂正発明28~45、並びに、本件第2訂正発明7及び本件第2訂正発明46~63が課題3を解決できるものであることを、理論的に説明する記載はない。 また、明細書の発明の詳細な説明には、 「【0046】 また、炭酸ランタンを薬効成分とする上で特に重要なのが、炭酸ランタンに由来する微量の不純物や分解物の定量的評価である。既述の通り、一般にOD製剤は、その製剤特性上、吸湿しやすく、物性変化はもちろん、化学的な安定性に懸念がある。高い品質の担保を可能とするためには、高感度な純度試験法の確立が必須であるところ、炭酸ランタンは無機化合物であるため、粉末X線回折法により行う必要がある。従って、当該医薬組成物の処方成分は、粉末X線回折測定による高感度分析の妨げになってはいけない。 【0047】 本発明の医薬組成物は、保存期間中の安定性を含め、高い品質の担保を可能とするため、炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を除き、医薬組成物中の含有率が2.0質量%を超える添加剤が、明確な粉末X線回折ピークを有さない成分のみで構成するのが好ましい。ここで「明確な粉末X線回折ピークを有さない」とは、当業者間では既知の現象であるが、「ハローパターン(Halo Pattern)を示す」とほぼ同義であり、構造の大部分又は全部が非晶質ないしガラス様であるが故、測定範囲(2θ)全体に渡り明確な回折ピークを有さず、ときに幅広い強度分布をもつ光輪状のパターンを示す現象を意味する。こうした特性を有する成分のみで医薬組成物を構成することにより、炭酸ランタンに由来する微量の不純物や分解物の定量的評価が可能であり、保存期間中の安定性を含め、高い品質の担保が可能となる。」との記載もあるが、これは、粉末X線回折法による高感度分析により医薬組成物中の微量の不純物や分解物の定量的評価を行うことを述べるにとどまり、本件第2訂正発明5及び本件第2訂正発明10~27、本件第2訂正発明6及び本件第2訂正発明28~45、並びに、本件第2訂正発明7及び本件第2訂正発明46~63が課題3を解決できるものであることを示すものではなく、課題3を解決するための手段を示すものでもない。 しかし、本件第2訂正発明5及び本件第2訂正発明10~27について、明細書の発明の詳細な説明の段落【0079】~【0084】に実施例7、8、13、16、17、18として記載される口腔内崩壊錠は「崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%」に該当するものであって、本件第2訂正発明5に対応するものであるところ、同段落【0082】~【0084】には、それらの実施例の口腔内崩壊錠が課題3を解決できるものであることが示されている。 したがって、明細書の発明の詳細な説明には、実施例7、8、13、16、17、18の口腔内崩壊錠が課題3を解決できることが記載されており、実施例7、8、13、16、17、18の口腔内崩壊錠についての記載に接した当業者は、その記載及び出願時の技術常識に照らし「崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%」を発明特定事項とする本件第2訂正発明5が課題3を解決できると認識できる。 また、本件第2訂正発明5に対して、口腔内崩壊錠に通常用いられる、流動化剤、滑沢剤、甘味剤等を、口腔内崩壊錠における通常の範囲の含有割合で含有させると、その安定性が悪化して課題3を解決できないものになるとは出願時の技術常識に照らしてもいえないことから、実施例7、8、13、16、17、18の口腔内崩壊錠についての記載に接した当業者は、その記載及び出願時の技術常識に照らし本件第2訂正発明10~27が課題3を解決できると認識できる。 また、本件第2訂正発明6及び本件第2訂正発明28~45について、明細書の発明の詳細な説明の段落【0079】~【0084】に実施例7、8、13、16、17、18として記載される口腔内崩壊錠のうち、実施例16として記載される口腔内崩壊錠は、その含有する崩壊剤が、クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が8.9%、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.8%というものであって、実施例7、8、13、18として記載される口腔内崩壊錠に比して低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が低いにもかかわらず、安定性は劣らないことが同段落【0084】の【表6】に示されていることから、その記載に接した当業者は、実施例7、8、13、16、17、18として記載される口腔内崩壊錠に含有される崩壊剤のうち低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが安定性に影響を及ぼさないものであることを認識する。 したがって、実施例7、8、13、16、17、18の口腔内崩壊錠についての記載に接した当業者は、その記載及び出願時の技術常識に照らし、崩壊剤として低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含有しない「崩壊剤が、クロスポビドンであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%であり、」を発明特定事項とする本件第2訂正発明6が課題3を解決できると認識できる。 また、本件第2訂正発明6に対して、口腔内崩壊錠に通常用いられる、流動化剤、滑沢剤、甘味剤等を、口腔内崩壊錠における通常の範囲の含有割合で含有させると、その安定性が悪化して課題3を解決できないものになるとは出願時の技術常識に照らしてもいえないことから、実施例7、8、13、16、17、18の口腔内崩壊錠についての記載に接した当業者は、その記載及び出願時の技術常識に照らし本件第2訂正発明28~45が課題3を解決できると認識できる。 また、本件第2訂正発明7及び本件第2訂正発明46~63について、本件第2訂正発明7は、本件第2訂正発明5における発明特定事項「崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」に代えて、「崩壊剤が、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」を発明特定事項としたものといえる。 上記のとおり、実施例7、8、13、16、17、18の口腔内崩壊錠についての記載に接した当業者は、その記載及び出願時の技術常識に照らし本件第2訂正発明5が課題3を解決できると認識できるところ、本件第2訂正発明5に対して、さらに他の崩壊剤を含有させると、その崩壊性、硬度、摩損度が悪化して課題3を解決できないものになるとは出願時の技術常識に照らしてもいえないことから、実施例7、8、13、16、17、18の口腔内崩壊錠についての記載に接した当業者は、その記載及び出願時の技術常識に照らし「崩壊剤が、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」を発明特定事項とする本件第2訂正発明7が課題1を解決できると認識できる。 また、本件第2訂正発明7に対して、口腔内崩壊錠に通常用いられる、流動化剤、滑沢剤、甘味剤等を、口腔内崩壊錠における通常の範囲の含有割合で含有させると、その安定性が悪化して課題3を解決できないものになるとは出願時の技術常識に照らしてもいえないことから、実施例7、8、13、16、17、18の口腔内崩壊錠についての記載に接した当業者は、本件第2訂正発明46~63が課題3を解決できると認識できる。 したがって、本件第2訂正発明5及び本件第2訂正発明10~27、本件第2訂正発明6及び本件第2訂正発明28~45、並びに、本件第2訂正発明7及び本件第2訂正発明46~63は、当業者が発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に照らし当該発明の課題3を解決できると認識できる範囲のものであるといえる。 オ 課題4「炭酸ランタンに由来する微量の不純物や分解物の定量的評価が可能であること」について 本件第2訂正発明23~27、本件第2訂正発明41~45、並びに、本件第2訂正発明59~63は、「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を除き、医薬組成物中の含有率が2.0質量%を超える配合成分のいずれも、明確な粉末X線回折ピークを有さないこと」を発明特定事項にするものである。 そして、明細書の発明の詳細な説明には、 「【0046】 また、炭酸ランタンを薬効成分とする上で特に重要なのが、炭酸ランタンに由来する微量の不純物や分解物の定量的評価である。既述の通り、一般にOD製剤は、その製剤特性上、吸湿しやすく、物性変化はもちろん、化学的な安定性に懸念がある。高い品質の担保を可能とするためには、高感度な純度試験法の確立が必須であるところ、炭酸ランタンは無機化合物であるため、粉末X線回折法により行う必要がある。従って、当該医薬組成物の処方成分は、粉末X線回折測定による高感度分析の妨げになってはいけない。 【0047】 本発明の医薬組成物は、保存期間中の安定性を含め、高い品質の担保を可能とするため、炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を除き、医薬組成物中の含有率が2.0質量%を超える添加剤が、明確な粉末X線回折ピークを有さない成分のみで構成するのが好ましい。ここで「明確な粉末X線回折ピークを有さない」とは、当業者間では既知の現象であるが、「ハローパターン(Halo Pattern)を示す」とほぼ同義であり、構造の大部分又は全部が非晶質ないしガラス様であるが故、測定範囲(2θ)全体に渡り明確な回折ピークを有さず、ときに幅広い強度分布をもつ光輪状のパターンを示す現象を意味する。こうした特性を有する成分のみで医薬組成物を構成することにより、炭酸ランタンに由来する微量の不純物や分解物の定量的評価が可能であり、保存期間中の安定性を含め、高い品質の担保が可能となる。 【0048】 本発明の一形態は、炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を除き、医薬組成物中の含有率が2.0質量%を超える配合成分のいずれも、明確な粉末X線回折ピークを有さないことを特徴とする、前記医薬組成物である。」との記載があり、この記載に接した当業者は、炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を除き、医薬組成物中の含有率が2.0質量%を超える配合成分のいずれも、明確な粉末X線回折ピークを有さないものであれば、粉末X線回折測定による高感度分析の妨げにならず、炭酸ランタンに由来する微量の不純物や分解物の定量的評価が可能であると認識する。 したがって、本件第2訂正発明23~27、本件第2訂正発明41~45、並びに、本件第2訂正発明59~63は、当業者が発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に照らして、課題4を解決できると認識できる範囲のものであるといえる。 カ まとめ ア~オに示したとおり、本件第2訂正発明5及び本件第2訂正発明10~27、並びに、本件第2訂正発明7及び本件第2訂正発明46~63は、当業者が発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえる。 一方、イ(イ)に示したとおり、本件第2訂正発明6及び本件第2訂正発明28~45は、当業者が発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲にないものを包含しているといえる。 したがって、本件第2訂正発明5及び本件第2訂正発明10~27、並びに、本件第2訂正発明7及び本件第2訂正発明46~63は、発明の詳細な説明に記載されたものである。 一方、本件第2訂正発明6及び本件第2訂正発明28~45は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。 (4)小括 上記(3)で説示したとおり、本件第2訂正発明5及び本件第2訂正発明10~27、並びに、本件第2訂正発明7及び本件第2訂正発明46~63に係る特許に対して請求人の主張する無効理由4は理由がない。 一方、本件第2訂正発明6及び本件第2訂正発明28~45に係る特許は、請求人の主張する無効理由4によって、無効にすべきものである。 5 無効理由5(実施可能要件違反)について (1)請求人の主張する無効理由5の論旨 平成30年9月12日付け弁駁書2頁19行~3頁2行において、請求人は、 「(2)被請求人による平成30年8月3日付上申書について 被請求人は、今回の訂正によって審決の予告に記載された無効理由が解消されたとして縷々主張していますが、少なくとも、いくつかの請求項については、審決の予告に記載された無効理由の解消には至っていないものと考えます。」と述べる。 審判請求書、平成29年12月8日付け弁駁書、平成30年4月5日付け口頭審理陳述要領書、平成30年4月17日付け上申書及び平成30年9月12日付け弁駁書の記載からみて、請求人の主張する無効理由5の論旨は、概略、以下のとおりであると認められる。 無効理由4(サポート要件)について記したとおり、本件明細書には、一部の実施態様についてしか、明細書に記載された課題を解決できるようには記載されておらず、本件第2訂正発明の全部の実施ができるようには記載されていない。 本件明細書において一部の実施態様しか実施可能に記載されていない以上、本件第2訂正発明は、実施可能要件(特許法第36条第4項第1号)に違反して特許されたものである。(審判請求書33頁、135~136頁、139~141頁、平成29年12月8日付け弁駁書45頁5行~51頁1行、平成30年4月5日付け口頭審理陳述要領書14~17頁、平成30年4月17日付け上申書5~8頁) ここで、請求人が無効理由4(サポート要件)について述べた本件第2訂正発明が解決しようとする課題は、上記「4 無効理由4(サポート要件)について」に記した請求人課題1~5であり、それらと本件第2訂正発明の発明特定事項との対応関係をみると、 請求人課題1「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩の製剤中の含有率を概ね70質量%以上とする」は、本件第2訂正発明5~7における「医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有」に対応し、 請求人課題2「速やかな崩壊性」は、本件第2訂正発明5~7における「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与する」に対応し、 請求人課題3「高い硬度」は、本件第2訂正発明24、本件第2訂正発明42、本件第2訂正発明60における「錠剤硬度が100ニュートン以上である」に対応し、 請求人課題4「低い摩損度」は、本件第2訂正発明25、本件第2訂正発明43、本件第2訂正発明61における「摩損度が0.5%未満である」に対応し、 請求人課題5「不純物を測定できる」は、本件第2訂正発明23、本件第2訂正発明41、本件第2訂正発明59における「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を除き、医薬組成物中の含有率が2.0質量%を超える配合成分のいずれも、明確な粉末X線回折ピークを有さない」に対応するといえる。 ここで、審判請求書に「本件明細書において、そのすべてを解決した実施例としては、実施例3、4、7~18が記載されている。これらの実施例について、組成に着目すれば、その全ての例において、崩壊剤としては、クロスポビドン及び/又は低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが用いられ、……その配合比についても、その全てにおいて、有効成分と崩壊剤の合計で約95質量%、……という配合比になっていて、それ以外の開示はない。」(139頁)との記載があることも参酌すると、請求人の主張する無効理由5は以下のとおりのものであると認められる。 すなわち、明細書の発明の詳細な説明の記載は、 (i’-1)「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であることを特徴とする、医薬組成物。」を当業者が製造することができる程度のものではないので、本件第2訂正発明5及び当該発明を直接又は間接に引用する本件第2訂正発明10~27の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されておらず、 (i’-2)「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、クロスポビドンであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%であり、但し、崩壊剤がGRANFILLER-D(登録商標)から成る錠剤は除く、医薬組成物。」を当業者が製造することができる程度のものではないので、本件第2訂正発明6及び当該発明を直接又は間接に引用する本件第2訂正発明28~45の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されておらず、 (i’-3)「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であることを特徴とする、医薬組成物。」を当業者が製造することができる程度のものではないので、本件第2訂正発明7及び当該発明を直接又は間接に引用する本件第2訂正発明46~63の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されておらず、 (ii’-1)「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を除き、医薬組成物中の含有率が2.0質量%を超える配合成分のいずれも、明確な粉末X線回折ピークを有さない」ことを特徴とする「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であることを特徴とする、医薬組成物。」を当業者が製造することができる程度のものではないので、本件第2訂正発明23及び当該発明を直接又は間接に引用する本件第2訂正発明24~27の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されておらず、 (ii’-2)「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を除き、医薬組成物中の含有率が2.0質量%を超える配合成分のいずれも、明確な粉末X線回折ピークを有さない」ことを特徴とする「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、クロスポビドンであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%であり、但し、崩壊剤がGRANFILLER-D(登録商標)から成る錠剤は除く、医薬組成物。」を当業者が製造することができる程度のものではないので、本件第2訂正発明41及び当該発明を直接又は間接に引用する本件第2訂正発明42~45の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されておらず、 (ii’-3)「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を除き、医薬組成物中の含有率が2.0質量%を超える配合成分のいずれも、明確な粉末X線回折ピークを有さない」ことを特徴とする「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であることを特徴とする、医薬組成物。」を当業者が製造することができる程度のものではないので、本件第2訂正発明59及び当該発明を直接又は間接に引用する本件第2訂正発明60~63の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されておらず、 (iii’-1)「錠剤硬度が100ニュートン以上である」ことを特徴とする「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であることを特徴とする、医薬組成物。」を当業者が製造することができる程度のものではないので、本件第2訂正発明24及び当該発明を直接又は間接に引用する本件第2訂正発明25~27の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されておらず、 (iii’-2)「錠剤硬度が100ニュートン以上である」ことを特徴とする「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、クロスポビドンであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%であり、但し、崩壊剤がGRANFILLER-D(登録商標)から成る錠剤は除く、医薬組成物。」を当業者が製造することができる程度のものではないので、本件第2訂正発明42及び当該発明を直接又は間接に引用する本件第2訂正発明43~45の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されておらず、 (iii’-3)「錠剤硬度が100ニュートン以上である」ことを特徴とする「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であることを特徴とする、医薬組成物。」を当業者が製造することができる程度のものではないので、本件第2訂正発明60及び当該発明を直接又は間接に引用する本件第2訂正発明61~63の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されておらず、 (iv’-1)「摩損度が0.5%未満である」ことを特徴とする「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であることを特徴とする、医薬組成物。」を当業者が製造することができる程度のものではないので、本件第2訂正発明25及び当該発明を直接又は間接に引用する本件第2訂正発明26~27の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されておらず、 (iv’-2)「摩損度が0.5%未満である」ことを特徴とする「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、クロスポビドンであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%であり、但し、崩壊剤がGRANFILLER-D(登録商標)から成る錠剤は除く、医薬組成物。」を当業者が製造することができる程度のものではないので、本件第2訂正発明42及び当該発明を直接又は間接に引用する本件第2訂正発明43~45の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されておらず、 (iv’-3)「摩損度が0.5%未満である」ことを特徴とする「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であることを特徴とする、医薬組成物。」を当業者が製造することができる程度のものではないので、本件第2訂正発明42及び当該発明を直接又は間接に引用する本件第2訂正発明43~45の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていない、 というものであると認められる。 (2)被請求人の主張する、無効理由5は理由がない旨の論旨は、概略、以下のとおりである。 本件第2訂正発明5は、崩壊剤を、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの組合せとするものであるから、本件特許明細書の発明の詳細な説明及び技術常識に照らして、本件第2訂正発明5及び本件第2訂正発明5を引用する本件第2訂正発明10乃至27に係る口腔内崩壊錠であって、「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与」できるもの、「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与」できるとともに「錠剤硬度が100ニュートン以上である」もの、及び、「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与」できるとともに「摩損度が0.5%未満である」ものを、当業者が製造することができるというべきである。 (平成30年8月3日付け上申書9頁19行~12頁8行) 本件第2訂正発明6に係る口腔内崩壊錠は、崩壊剤としてクロスポビドンを含み、且つ、「前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%」とするものであるところ、本件特許明細書には、実施例4として、当該クロスポビドン含有率が5.6%である口腔内崩壊錠が、速やかな崩壊性の目標品質(例えば、「日局(補助盤あり)」が「7秒」。)、高い硬度の目標品質(「錠剤硬度」が「117N」。)及び低い摩損度の目標品質(「摩損度(%)」が「0.4%」。)を示したことが記載されており、また、実施例1ないし3として、当該クロスポビドン含有率が12.3%ないし12.4%である口腔内崩壊錠が、それぞれ速やかな崩壊性の目標品質及び低い摩損度の目標品質を示したことが記載されている。 また、本件第2訂正発明6に係る口腔内崩壊錠は、「崩壊剤がGRANFILLER-D(登録商標)から成る錠剤は除く」ものである。 したがって、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、本件第2訂正発明6及び本件第2訂正発明6を引用する本件第2訂正発明28乃至45に係る口腔内崩壊錠であって、「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与」でき、「錠剤硬度が100ニュートン以上」であり、「摩損度が0.5%未満である」ものを、当業者が製造することができる程度に記載しているというべきである。 (平成30年8月3日付け上申書14頁29行~16頁2行) 本件第2訂正発明7は、崩壊剤が、「少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である」とするものであるところ、本件特許明細書には、医薬組成物中のクロスポビドンの含有率が1.7質量%であり低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの含有率が12質量%であるもの(実施例9)から、クロスポビドンの含有率が12質量%であり低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの含有率が1.7質量%であるもの(実施例15)までの、様々な含有率で両者を含んだ口腔内崩壊錠が、「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与」できるものであり、「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与」できるとともに「錠剤硬度が100ニュートン以上である」ものであり、また、「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与」できるとともに「摩損度が0.5%未満である」ものであることが示されている。 してみれば、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載及び技術常識に照らして、本件第2訂正発明7及び本件第2訂正発明7を引用する本件第2訂正発明46乃至63に係る口腔内崩壊錠であって、「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与」できるもの、「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与」できるとともに「錠剤硬度が100ニュートン以上である」もの、及び、「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与」できるとともに「摩損度が0.5%未満である」ものを、当業者が製造することができるというべきである。 (平成30年8月3日付け上申書16頁27行~17頁33行) (3)当審の判断 特許法第36条第4項第1号は、明細書の発明の詳細な説明の記載は、「その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したもの」でなければならないと定めるところ、この規定にいう「実施」とは、物の発明においては、当該発明に係る物の生産、使用等をいうものであるから、実施可能要件を満たすためには、明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が当該発明に係る物を生産し、使用することができる程度のものでなければならない。 ア-1 まず、明細書の発明の詳細な説明の記載が、 (i’-1)「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であることを特徴とする、医薬組成物。」、 (iii’-1)「錠剤硬度が100ニュートン以上である」ことを特徴とする「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であることを特徴とする、医薬組成物。」、及び (iv’-1)「摩損度が0.5%未満である」ことを特徴とする「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であることを特徴とする、医薬組成物。」 を当業者が製造することができる程度のものであるか、について検討する。 「口腔内崩壊錠」は、記載事項(甲38-1)、記載事項(甲39-1)及び記載事項(甲39-2)並びに記載事項(甲6-8)に示されるように、唾液分泌障害がない者の場合は唾液又は少量の水により、口腔内乾燥症などの唾液分泌障害がある者の場合は少量の水により、口腔内で速やかに崩壊させて経口投与されるものであることが技術常識である。 ここで、明細書の発明の詳細な説明の段落【0079】~【0084】には、実施例7~18として「崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、……、医薬組成物。」及び「崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%」に該当する口腔内崩壊錠が記載されており、これらは本件第2訂正発明5に対応するものである。 「唾液分泌障害がない者の場合は唾液又は少量の水により、口腔内乾燥症などの唾液分泌障害がある者の場合は少量の水により、口腔内で速やかに崩壊させて経口投与される」については、明細書の発明の詳細な説明の段落【0049】、段落【0063】及び段落【0064】の記載から、崩壊時間が、「日局(補助盤あり)」で60秒間以内、「日局(補助盤なし)」で30秒間以内、「口腔内(静的)」で60秒間以内、「口腔内(動的)」で30秒間以内、であれば、「唾液分泌障害がない者の場合は唾液又は少量の水により、口腔内乾燥症などの唾液分泌障害がある者の場合は少量の水により、口腔内で速やかに崩壊させて経口投与される」ことができるものといえる。 明細書の発明の詳細な説明の段落【0081】の【表4】及び【表5】に示された試験結果によれば、実施例7~8、10~18として記載された口腔内崩壊錠は、その崩壊時間が、「日局(補助盤なし)」で8~40秒、「日局(補助盤あり)」で8~13秒、「口腔内(静的)」で30~51秒、「口腔内(動的)」で10~21秒であって、「唾液分泌障害がない者の場合は唾液又は少量の水により、口腔内乾燥症などの唾液分泌障害がある者の場合は少量の水により、口腔内で速やかに崩壊させて経口投与される」ことができるものといえる。実施例9の口腔内崩壊錠の崩壊時間は、「日局(補助盤なし)」で15秒、「日局(補助盤あり)」で12秒、「口腔内(静的)」で82秒、「口腔内(動的)」で23秒であって、「口腔内(静的)」のみ「速やかな崩壊性」の崩壊時間を超えているが、他の測定法による結果が「速やかな崩壊性」の崩壊時間の範囲内であること、及び、「口腔内(動的)」は「口腔内(静的)」よりも実際の口腔内での使用状態に近い測定条件と見なせることから、実施例9として記載された口腔内崩壊錠も「唾液分泌障害がない者の場合は唾液又は少量の水により、口腔内乾燥症などの唾液分泌障害がある者の場合は少量の水により、口腔内で速やかに崩壊させて経口投与される」ことができるものといえる。したがって、実施例7~18として記載された口腔内崩壊錠は、「唾液分泌障害がない者の場合は唾液又は少量の水により、口腔内乾燥症などの唾液分泌障害がある者の場合は少量の水により、口腔内で速やかに崩壊させて経口投与される」ものに該当する。 また、実施例7~18の口腔内崩壊錠の硬度は、129~263Nであって、「錠剤硬度が100ニュートン以上である」ものに該当する。 また、実施例7~18の口腔内崩壊錠の摩損度は、0.0~0.1%であって、「摩損度が0.5%未満である」ものに該当する。 したがって、医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である口腔内崩壊錠は、明細書の発明の詳細な説明の記載及び技術常識に照らして、「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」であると当業者が理解でき、「錠剤硬度が100ニュートン以上である」ものと当業者が理解でき、「摩損度が0.5%未満である」ものと当業者が理解できるものである。 してみると、「崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であることを特徴とする、医薬組成物」について、明細書の発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に照らして、「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」、「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」かつ「錠剤硬度が100ニュートン以上である」もの、及び、「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」かつ「摩損度が0.5%未満である」ものを、当業者は製造できるといえる。 したがって、明細書の発明の詳細な説明は、上記(i’-1)、(iii’-1)及び(iv’-1)を当業者が製造することができる程度に記載されている。 ア-2 次に、明細書の発明の詳細な説明の記載が、 (i’-2)「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、クロスポビドンであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%であり、但し、崩壊剤がGRANFILLER-D(登録商標)から成る錠剤は除く、医薬組成物。」、 (iii’-2)「錠剤硬度が100ニュートン以上である」ことを特徴とする「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、クロスポビドンであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%であり、但し、崩壊剤がGRANFILLER-D(登録商標)から成る錠剤は除く、医薬組成物。」、及び (iv’-2)「摩損度が0.5%未満である」ことを特徴とする「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、クロスポビドンであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%であり、但し、崩壊剤がGRANFILLER-D(登録商標)から成る錠剤は除く、医薬組成物。」 を当業者が製造することができる程度のものであるか、について検討する。 「口腔内崩壊錠」は、記載事項(甲38-1)、記載事項(甲39-1)及び記載事項(甲39-2)並びに記載事項(甲6-8)に示されるように、唾液分泌障害がない者の場合は唾液又は少量の水により、口腔内乾燥症などの唾液分泌障害がある者の場合は少量の水により、口腔内で速やかに崩壊させて経口投与されるものであることが技術常識である。 ここで、明細書の発明の詳細な説明の段落【0074】~【0078】には、実施例1~4として「崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、……、医薬組成物。」及び「崩壊剤が、クロスポビドンであり、」に該当する口腔内崩壊錠が記載されている。 なお、実施例1~4のうち実施例1~3の口腔内崩壊錠は、そのクロスポビドンの含有率が本件第2訂正発明6にいう「前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%」の範囲の上限を上回る12.3~12.4質量%であり、実施例4の口腔内崩壊錠は、そのクロスポビドンの含有率が本件第2訂正発明6にいう「前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%」の範囲の下限ちょうどの5.6質量%である。 「唾液分泌障害がない者の場合は唾液又は少量の水により、口腔内乾燥症などの唾液分泌障害がある者の場合は少量の水により、口腔内で速やかに崩壊させて経口投与される」については、明細書の発明の詳細な説明の段落【0049】、段落【0063】及び段落【0064】の記載から、崩壊時間が、「日局(補助盤あり)」で60秒間以内、「日局(補助盤なし)」で30秒間以内、「口腔内(静的)」で60秒間以内、「口腔内(動的)」で30秒間以内、であれば、「唾液分泌障害がない者の場合は唾液又は少量の水により、口腔内乾燥症などの唾液分泌障害がある者の場合は少量の水により、口腔内で速やかに崩壊させて経口投与される」ことができるものといえる。 明細書の発明の詳細な説明の段落【0078】の【表3】に示された試験結果によれば、実施例1~4の口腔内崩壊錠の崩壊時間は「口腔内(静的)」で28~45秒である。実施例1及び実施例2の口腔内崩壊錠の崩壊時間は「日局(補助盤なし)」でそれぞれ115秒及び264秒であって「唾液分泌障害がない者の場合は唾液又は少量の水により、口腔内乾燥症などの唾液分泌障害がある者の場合は少量の水により、口腔内で速やかに崩壊させて経口投与される」ことができるものといえる崩壊時間を超えているが、「口腔内(静的)」が「唾液分泌障害がない者の場合は唾液又は少量の水により、口腔内乾燥症などの唾液分泌障害がある者の場合は少量の水により、口腔内で速やかに崩壊させて経口投与される」ことができるものといえる崩壊時間の範囲内であること、及び、「口腔内(静的)」は「日局(補助盤なし)」よりも実際の口腔内での使用状態に近い測定条件と見なせることから、実施例1~4の口腔内崩壊錠は「唾液分泌障害がない者の場合は唾液又は少量の水により、口腔内乾燥症などの唾液分泌障害がある者の場合は少量の水により、口腔内で速やかに崩壊させて経口投与される」ことができるものといえる。したがって、実施例1~4として記載された口腔内崩壊錠は、「唾液分泌障害がない者の場合は唾液又は少量の水により、口腔内乾燥症などの唾液分泌障害がある者の場合は少量の水により、口腔内で速やかに崩壊させて経口投与される」ものに該当する。 また、実施例1~4の口腔内崩壊錠の硬度は、117~190Nであって、「錠剤硬度が100ニュートン以上である」ものに該当する。 また、実施例1~4の口腔内崩壊錠の摩損度は、0.1~0.4%であって、「摩損度が0.5%未満である」ものに該当する。 したがって、医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、クロスポビドンであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%であり、但し、崩壊剤がGRANFILLER-D(登録商標)から成る錠剤は除く、口腔内崩壊錠は、明細書の発明の詳細な説明の記載及び技術常識に照らして、「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」であると当業者が理解でき、「錠剤硬度が100ニュートン以上である」ものと当業者が理解でき、「摩損度が0.5%未満である」ものと当業者が理解できるものである。 してみると、「崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、クロスポビドンであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%であり、但し、崩壊剤がGRANFILLER-D(登録商標)から成る錠剤は除く、医薬組成物」について、明細書の発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に照らして、「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」、「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」かつ「錠剤硬度が100ニュートン以上である」もの、及び、「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」かつ「摩損度が0.5%未満である」ものを、当業者は製造できるといえる。 したがって、明細書の発明の詳細な説明は、上記(i’-2)、(iii’-2)及び(iv’-2)を当業者が製造することができる程度に記載されている。 ア-3 次に、明細書の発明の詳細な説明の記載が、 (i’-3)「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であることを特徴とする、医薬組成物。」、 (iii’-3)「錠剤硬度が100ニュートン以上である」ことを特徴とする「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であることを特徴とする、医薬組成物。」、及び (iv’-3)「摩損度が0.5%未満である」ことを特徴とする「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であることを特徴とする、医薬組成物。」 を当業者が製造することができる程度のものであるか、について検討する。 「口腔内崩壊錠」は、記載事項(甲38-1)、記載事項(甲39-1)及び記載事項(甲39-2)並びに記載事項(甲6-8)に示されるように、唾液分泌障害がない者の場合は唾液又は少量の水により、口腔内乾燥症などの唾液分泌障害がある者の場合は少量の水により、口腔内で速やかに崩壊させて経口投与されるものであることが技術常識である。 ここで、明細書の発明の詳細な説明の段落【0079】~【0084】には、実施例7~18として「崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、……、医薬組成物。」及び「崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%」に該当する口腔内崩壊錠が記載されており、これらは本件第2訂正発明5に対応するものである。 「唾液分泌障害がない者の場合は唾液又は少量の水により、口腔内乾燥症などの唾液分泌障害がある者の場合は少量の水により、口腔内で速やかに崩壊させて経口投与される」については、明細書の発明の詳細な説明の段落【0049】、段落【0063】及び段落【0064】の記載から、崩壊時間が、「日局(補助盤あり)」で60秒間以内、「日局(補助盤なし)」で30秒間以内、「口腔内(静的)」で60秒間以内、「口腔内(動的)」で30秒間以内、であれば、「唾液分泌障害がない者の場合は唾液又は少量の水により、口腔内乾燥症などの唾液分泌障害がある者の場合は少量の水により、口腔内で速やかに崩壊させて経口投与される」ことができるものといえる。 明細書の発明の詳細な説明の段落【0081】の【表4】及び【表5】に示された試験結果によれば、実施例7~8、10~18として記載された口腔内崩壊錠は、その崩壊時間が、「日局(補助盤なし)」で8~40秒、「日局(補助盤あり)」で8~13秒、「口腔内(静的)」で30~51秒、「口腔内(動的)」で10~21秒であって、「唾液分泌障害がない者の場合は唾液又は少量の水により、口腔内乾燥症などの唾液分泌障害がある者の場合は少量の水により、口腔内で速やかに崩壊させて経口投与される」ことができるものといえる。実施例9の口腔内崩壊錠の崩壊時間は、「日局(補助盤なし)」で15秒、「日局(補助盤あり)」で12秒、「口腔内(静的)」で82秒、「口腔内(動的)」で23秒であって、「口腔内(静的)」のみ「速やかな崩壊性」の崩壊時間を超えているが、他の測定法による結果が「速やかな崩壊性」の崩壊時間の範囲内であること、及び、「口腔内(動的)」は「口腔内(静的)」よりも実際の口腔内での使用状態に近い測定条件と見なせることから、実施例9として記載された口腔内崩壊錠も「唾液分泌障害がない者の場合は唾液又は少量の水により、口腔内乾燥症などの唾液分泌障害がある者の場合は少量の水により、口腔内で速やかに崩壊させて経口投与される」ことができるものといえる。したがって、実施例7~18として記載された口腔内崩壊錠は、「唾液分泌障害がない者の場合は唾液又は少量の水により、口腔内乾燥症などの唾液分泌障害がある者の場合は少量の水により、口腔内で速やかに崩壊させて経口投与される」ものに該当する。 また、実施例7~18の口腔内崩壊錠の硬度は、129~263Nであって、「錠剤硬度が100ニュートン以上である」ものに該当する。 また、実施例7~18の口腔内崩壊錠の摩損度は、0.0~0.1%であって、「摩損度が0.5%未満である」ものに該当する。 したがって、医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である口腔内崩壊錠は、明細書の発明の詳細な説明の記載及び技術常識に照らして、「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」であると当業者が理解でき、「錠剤硬度が100ニュートン以上である」ものと当業者が理解でき、「摩損度が0.5%未満である」ものと当業者が理解できるものである。 ここで、さらに他の崩壊剤を含有させると、その崩壊性、硬度、摩損度が悪化して課題1を解決できないものになるとは出願時の技術常識に照らしてもいえないことから、医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%である口腔内崩壊錠もまた、明細書の発明の詳細な説明の記載及び技術常識に照らして、「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」であると当業者が理解でき、「錠剤硬度が100ニュートン以上である」ものと当業者が理解でき、「摩損度が0.5%未満である」ものと当業者が理解できるものである。 してみると、「崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であることを特徴とする、医薬組成物」について、明細書の発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に照らして、「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」、「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」かつ「錠剤硬度が100ニュートン以上である」もの、及び、「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠」かつ「摩損度が0.5%未満である」ものを、当業者は製造できるといえる。 したがって、明細書の発明の詳細な説明は、上記(i’-3)、(iii’-3)及び(iv’-3)を当業者が製造することができる程度に記載されている。 イ 次に、明細書の発明の詳細な説明の記載が、 (ii’-1)「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を除き、医薬組成物中の含有率が2.0質量%を超える配合成分のいずれも、明確な粉末X線回折ピークを有さない」ことを特徴とする「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であることを特徴とする、医薬組成物。」を当業者が製造することができ、 (ii’-2)「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を除き、医薬組成物中の含有率が2.0質量%を超える配合成分のいずれも、明確な粉末X線回折ピークを有さない」ことを特徴とする「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、クロスポビドンであり、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%であり、但し、崩壊剤がGRANFILLER-D(登録商標)から成る錠剤は除く、医薬組成物。」を当業者が製造することができ、 (ii’-3)「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を除き、医薬組成物中の含有率が2.0質量%を超える配合成分のいずれも、明確な粉末X線回折ピークを有さない」ことを特徴とする「唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって、崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し、前記崩壊剤が、少なくともクロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であり、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの医薬組成物中の含有率が1.7~12質量%であることを特徴とする、医薬組成物。」を当業者が製造することができる程度のものであるか、について検討する。 明細書の発明の詳細な説明には、 「ここで「明確な粉末X線回折ピークを有さない」とは、当業者間では既知の現象であるが、「ハローパターン(Halo Pattern)を示す」とほぼ同義であり、構造の大部分又は全部が非晶質ないしガラス様であるが故、測定範囲(2θ)全体に渡り明確な回折ピークを有さず、ときに幅広い強度分布をもつ光輪状のパターンを示す現象を意味する。こうした特性を有する成分のみで医薬組成物を構成することにより、炭酸ランタンに由来する微量の不純物や分解物の定量的評価が可能であり、保存期間中の安定性を含め、高い品質の担保が可能となる。」(段落【0047】との記載があって、「明確な粉末X線回折ピークを有さない」の意味が示されるとともに、 「賦形剤(デキストレイト、D-マンニトール等、糖/糖アルコールすべて)を完全に排した処方を検討した。これら賦形剤は甘味剤としての側面もあるため、別途、ショ糖の200倍の甘味を有するアスパルテームを、粉末X線回折測定に影響しない比率まで配合した。」(段落【0077】との記載及び「アスパルテーム1.8質量%の配合(実施例2)で十分な甘味が得られ、その粉末X線回折パターンは原薬そのものとほぼ一致した(図4)。このように、添加剤に由来する夾雑ピークが存在しないため、炭酸ランタンに由来する微量の不純物や分解物の定量的評価が可能となった。」(段落【0078】との記載があって、「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を除き、医薬組成物中の含有率が2.0質量%を超える配合成分のいずれも、明確な粉末X線回折ピークを有さない」口腔内崩壊錠の例が示されている。 これらの記載から、当業者は、配合成分として「明確な粉末X線回折ピーク」を有さないものを選択して口腔内崩壊錠である医薬組成物中の含有率が2.0質量%を超えるように配合することができる。 そして、上記ア-1~ア-3に示したとおり、明細書の発明の詳細な説明の記載は、上記(i’-1)、(i’-2)及び(i’-3)を当業者が製造することができる程度のものであるから、それらに「「炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を除き、医薬組成物中の含有率が2.0質量%を超える配合成分のいずれも、明確な粉末X線回折ピーク」を有さないことを特徴とする」との発明特定事項を加えたものである上記(ii’-1)、(ii’-2)及び(ii’-3)についても当業者が製造することができる程度のものである。 ウ 以上ア-1~ア-3及びイの検討結果を総合すると、発明の詳細な説明は、当業者が本件第2訂正発明5及び当該発明を直接又は間接に引用する本件第2訂正発明10~27、本件第2訂正発明6及び当該発明を直接又は間接に引用する本件第2訂正発明28~45、並びに、本件第2訂正発明7及び当該発明を直接又は間接に引用する本件第2訂正発明46~63の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されている。 (4)小括 上記(3)で説示したとおり、請求人の主張する無効理由5は理由がない。 第7 結び 請求人の主張する無効理由1~5によって、本件第2訂正発明5、7、10~27、46~63に係る特許を無効とすることはできない。 請求人の主張する無効理由4によって、本件第2訂正発明6、28~45に係る特許は無効とすべきものである。 本件第2訂正発明1~4、8~9は訂正により削除されたので、その発明についての審判請求は却下すべきものである。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、その63分の44を請求人の負担とし、63分の19を被請求人の負担とすべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-800104

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