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特許異議申立

2022-701262

ベシクル組成物およびこれを含有する皮膚外用剤又は化粧料

審判番号
2022-701262
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-081032
登録番号
7086354
請求日
2022年12月19日
審決日
2023年07月28日
公報発行日
2023年11月24日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】日光ケミカルズ株式会社
  • 【権利者代理人】加藤 実
  • 【権利者】日本サーファクタント工業株式会社
  • 【権利者代理人】加藤 実
  • 【異議申立人】竹ノ下 真央
審判長/審判官
  • 審判長 木村 敏康
  • 審判官 瀬良 聡機
  • 審判官 野田 定文
分類
P1651.121-YAA(A61K) / P1651.537-YAA(A61K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7086354号発明「ベシクル組成物およびこれを含有する皮膚外用剤又は化粧料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7086354号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1-4]について訂正することを認める。 特許第7086354号の請求項1~4に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7086354号(以下「本件特許」という。)の請求項1~4に係る特許についての出願は、平成30年4月20日(優先権主張 平成29年5月29日(以下「優先日」という。))を出願日として出願され、令和4年6月10日に特許権の設定登録がされ、同年6月20日にその特許掲載公報が発行され、その後、同年12月19日に、特許異議申立人 竹ノ下 真央(以下「特許異議申立人」という。)によりその全請求項に対して特許異議の申立てがされたものである。 そして、令和5年3月1日付けで当審合議体から特許権者に対し取消理由通知が通知され、同年4月27日に特許権者から訂正請求書及び意見書が提出され、同年5月8日付けで当審合議体から特許異議申立人に対し特許法第120条の5第5項に基づく通知書が通知されたが、特許異議申立人からは、指定した期間内に何ら応答はなかった。 第2 訂正の適否についての判断 令和5年4月27日に提出された訂正請求書を「本件訂正請求書」といい、本件訂正請求書による訂正の請求を「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。 1 本件訂正の内容 本件訂正の請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~4について訂正することを求める、というものであり、その内容は、以下の訂正事項1のとおりである(下線部は訂正箇所を示す。)。 なお、訂正事項1に係る訂正前の請求項1について、請求項2~4は、それぞれ請求項1の記載を直接的又は間接的に引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、本件訂正請求は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である請求項1~4についてされたものである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、 「皮膚や毛髪への有効成分の浸透性向上を目的とした皮膚外用剤又は化粧料に配合するベシクル組成物において、次の(A)~(D)を含有する平均粒子径が30~300nmであることを特徴とするベシクル組成物。 (A) 混合ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値が8.0~15.0であるポリグリセリン脂肪酸エステル (B)ポリオール (C)水 (D)ベシクル安定化剤 かつ、(D)=0~(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル/(D)ベシクル安定化剤が99.5/0.5~25/5の範囲のもの。」 とあるのを、 「皮膚や毛髪への有効成分の浸透性向上を目的とした皮膚外用剤又は化粧料に配合するベシクル組成物において、次の(A)~(D)を含有する平均粒子径が30~300nmであることを特徴とするベシクル組成物。 (A) 混合ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値が8.0~15.0であるポリグリセリン脂肪酸エステル (B)ポリオール (C)水 (D)ベシクル安定化剤 かつ、(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル/(D)ベシクル安定化剤が99.5/0.5~25/5の範囲のもの。」 に訂正する 請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~4も同様に訂正する。 2 訂正事項についての訂正要件の判断 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的の適否について 訂正事項1は、請求項1において、本件訂正前に「(D)=0~(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル/(D)ベシクル安定化剤が99.5/0.5~25/5の範囲」と特定され、「(D)=0~」との記載が存在するため、「(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル/(D)ベシクル安定化剤が99.5/0.5~25/5の範囲」との特定事項が不明瞭であったところ、本件訂正後に「(D)=0~」との記載を削除し、本来の「(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル/(D)ベシクル安定化剤」の「99.5/0.5~25/5」という「範囲」であることを明確にしたものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、請求項1の上記訂正に連動する請求項2~4の訂正も、同様の理由により、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 新規事項の追加の有無について 訂正事項1に係る訂正は、上記アのとおり、訂正前の不明確な記載を本来意図していた記載に訂正したものであり、本件明細書の【0017】には、「本発明のベシクル組成物の成分(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルと成分(D)ベシクル安定化剤の配合比率は特に限定されるものではないが、(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル/(D)ベシクル安定化剤=99.9/0.1~50/50の範囲とすることにより皮膚や毛髪への浸透性が高く、さらに経時安定性に優れたベシクルを調製することが可能となり、好ましくは99.8/0.2~30/15であり、より好ましくは99.5/0.5~25/5である。」との記載がある一方で、「(D)=0~」といった記載は存在しない。 そうすると、訂正事項1に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係で、新たな技術的事項の導入をするものとはいえない。 したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 また、請求項1の上記訂正に連動する請求項2~4の訂正も、同様の理由により、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて 訂正事項1に係る訂正は、上記アのとおり、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であって、本来の記載にするべく記載の一部を削除したものにすぎないし、発明のカテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 また、請求項1の上記訂正に連動する請求項2~4の訂正も、同様の理由により、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないので、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 (2)独立特許要件について 本件特許異議申立事件においては、訂正前の請求項1~4に係る特許に対して特許異議の申立てがされているから、訂正後の請求項1~4については、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する要件(いわゆる「独立特許要件」)は課されない。 3 本件訂正請求についてのまとめ 以上総括するに、訂正事項1からなる本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するから、訂正後の請求項〔1~4〕について訂正することを認める。 第3 本件訂正後の本件特許発明 上記第2のとおり、本件訂正は認められるので、本件訂正により訂正された特許請求の範囲の請求項1~4に係る発明(以下、「本件特許発明1」~「本件特許発明4」という。まとめて、「本件特許発明」ということもある。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 皮膚や毛髪への有効成分の浸透性向上を目的とした皮膚外用剤又は化粧料に配合するベシクル組成物において、次の(A)~(D)を含有する平均粒子径が30~300nmであることを特徴とするベシクル組成物。 (A)混合ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値が8.0~15.0であるポリグリセリン脂肪酸エステル (B)ポリオール (C)水 (D)ベシクル安定化剤 かつ、(D)ポリグリセリン脂肪酸エステル/(D)ベシクル安定化剤が99.5/0.5~25/5の範囲のもの。 【請求項2】 請求項1に記載の成分(A)が、炭素数6~22の脂肪酸から選択される1種以上の脂肪酸と重合度5~20であるポリグリセリンとをエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれた1種以上である請求項1に記載のベシクル組成物。 【請求項3】 蛍光色素であるDPH(ジフェニルヘキサトリエン)の偏光蛍光強度比による膜流動性の数値が0.03~0.15であることを特徴とする請求項1~2に記載のベシクル組成物。 【請求項4】 請求項1~3に記載のベシクル組成物を含有する皮膚外用剤又は化粧料。」 第4 特許異議申立理由及び取消理由の概要 1 特許異議申立理由の概要 特許異議申立人は、下記の甲第1~4号証を提出し、以下の異議申立理由を主張している。 (1)進歩性 異議申立理由1:訂正前の本件の請求項1~4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証に記載された発明及び甲第4号証に記載された技術的事項に基いて、本件特許の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第1項第2号に該当し、取り消されるべきものである。 異議申立理由2:訂正前の本件の請求項1~4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第2号証に記載された発明及び甲第4号証に記載された技術的事項に基いて、本件特許の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第1項第2号に該当し、取り消されるべきものである。 異議申立理由3:訂正前の本件の請求項1~4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第3号証に記載された発明及び甲第4号証に記載された技術的事項に基いて、本件特許の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第1項第2号に該当し、取り消されるべきものである。 記 甲第1号証:特開2016-88902号公報 甲第2号証:特開2012-6862号公報 甲第3号証:特開2016-84345号公報 甲第4号証:J.Oleo Sci.、2016年、65(3)p.201~206 2 取消理由の概要 本件訂正前の請求項1~4に係る特許に対して、当審合議体が令和5年3月1日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は次のとおりである。 理由:(明確性要件) 請求項1~4の記載に関して、本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 記 1 請求項1及び引用する請求項2~4の記載について、請求項1には、「(D)を含有する・・・ベシクル組成物」との特定事項と、「(D)=0」との特定事項がともに存在し、(D)の成分を含まない場合が、請求項1に係る発明に含まれるのか否か不明であり、結果として、発明の範囲が不明確となっている。 2 請求項1及び引用する請求項2~4の記載について、請求項1の「かつ、(D)=0~(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル/(D)ベシクル安定化剤」との特定事項が、(D)の成分の範囲及び、「(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル/(D)ベシクル安定化剤」の比の範囲としてどのような範囲を特定しようとしているのか不明であり、上記特定事項の技術的意味及び数値特定の範囲が不明確である。 第5 当審合議体の判断 当審合議体は、上記取消理由通知で通知した理由及び特許異議申立人の申し立てた理由によって、本件特許の請求項1~4に係る特許は取り消されるべきではないと判断する。 その理由は次のとおりである。 I 取消理由についての判断 1 明確性要件の理由の1の点について 本件訂正によって取消理由の対象となった訂正前の本件特許発明1~4に関し、請求項1の「(D)=0~」という記載が削除され、(D)の成分を含まない場合が、請求項1に係る発明に含まれないことが明確となって、発明の範囲が明確になったから、理由の1の点は解消している。 2 明確性要件の理由の2の点について 本件訂正によって取消理由の対象となった訂正前の本件特許発明1~4に関し、請求項1の「(D)=0~」という記載が削除され、「(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル/(D)ベシクル安定化剤が99.5/0.5~25/5の範囲」となったので、(D)の成分の範囲及び、「(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル/(D)ベシクル安定化剤」の比の範囲としてどのような範囲を特定しようとしているのか明確となったので、理由の2の点も解消している。 3 したがって、明確性要件に関する取消理由は解消し、取消理由通知で通知した取消理由には、理由がない。 II 取消理由で採用しなかった特許異議申立理由についての検討 1 各甲号証の記載 (1)甲第1号証の記載 (1a)「【請求項1】 オレイン酸ポリグリセリル及び炭素数10以上20以下の脂肪酸のショ糖脂肪酸エステルからなる群より選択される1種以上の界面活性剤を含む、ミセル、ベシクル、又は液晶からなる徐放担体。 【請求項2】 前記オレイン酸ポリグリセリル及び/又は前記炭素数10以上20以下の脂肪酸のショ糖脂肪酸エステルのHLB値が9以上18以下である、請求項1記載の徐放担体。 【請求項3】 前記オレイン酸ポリグリセリルがモノオレイン酸デカグリセリルである、請求項1又は2記載の徐放担体。 ・・・ 【請求項5】 請求項1~4のいずれか1項に記載の徐放担体に、有効成分が担持された徐放担体複合体。 ・・・ 【請求項7】 請求項1~6のいずれか1項に記載の徐放担体又は徐放担体複合体を1種又は2種以上含有してなる組成物。 【請求項8】 皮膚外用剤である、請求項7記載の組成物。 【請求項9】 化粧料(ただし、医薬部外品を含む)である、請求項7又は8記載の組成物。 ・・・ 【技術分野】 【0001】 本発明は、オレイン酸ポリグリセリル及びショ糖脂肪酸エステルからなる群より選択される1種以上の界面活性剤を含むミセル、ベシクル、又は液晶からなる徐放担体に関する。 ・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 表皮基底層は、ケラチノサイト(表皮細胞)の親となる細胞や、美白に重要なメラニンを生成するメラノサイトが存在する。すなわち、表皮基底層は、健やかな肌を保つ上で、非常に重要な部位であると考えられる。 最近の研究で、表皮基底層のケラチノサイトが、メラニン生成に関与していることがわかってきた。メラニンキャップの形成など、表皮基底層近傍で起こる現象に効果的に作用するためには、表皮基底層近傍で有効成分を持続的に作用させることが求められる。 本発明者は、有効成分を表皮基底層近傍まで浸透するように表皮への浸透性を高めようとすると、その高い拡散性により、表皮基底層近傍も素早く通過してしまうという問題を見出した。 本発明は、上記の点を鑑み、表皮への浸透性が高く、かつ表皮基底層近傍で持続的に有効成分の効果を発揮させることができる徐放担体を提供することを課題とする。」 (1b)「【0019】 上記の原料を用いて得られるオレイン酸ポリグリセリルとしては、具体的には以下のものが挙げられる。すなわち、モノオレイン酸ペンタグリセリル(オレイン酸ポリグリセリル-5)(HLB値13.0)、モノオレイン酸デカグリセリル(オレイン酸ポリグリセリル-10)(HLB値12.0)などである。なかでも、モノオレイン酸デカグリセリルは4-n-ブチルレゾルシノールや油溶性甘草エキス、ビワ葉エキスなどのメラニン生成抑制剤と組み合わせることで、表皮基底層ケラチノサイト近傍でメラニン生成を抑制し、好ましい。 モノオレイン酸デカグリセリルの純度としては、特に限定されないが、製造の性質上、平均重合度10のポリグリセリン脂肪酸モノエステルの他に、若干のジエステルやトリエステルを含んでいてもよい。 ・・・ 【0027】 ベシクルは、界面活性剤の1種もしくは2種以上を組み合わせることで得られる。本発明において、オレイン酸ポリグリセリル及び脂肪酸の炭素数が10以上20以下であるショ糖脂肪酸エステルからなる群より選択される1種以上の界面活性剤を含むベシクルは、構成する界面活性剤として、オレイン酸ポリグリセリル及び/又は脂肪酸の炭素数が10以上20以下であるショ糖脂肪酸エステルを含み、公知の方法で調製することができる。例えば、界面活性剤を有機溶剤で溶解し、該溶液から溶剤を除去し、界面活性剤の薄膜とした後、水を加え静置することで製造することができる。」 (1c)「【0053】 多価アルコールとしては、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3-ブタンジオール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2-ペンタンジオール、2,4-ヘキシレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール等が挙げられる。」 (2)甲第2号証の記載 (2a)「【請求項1】 水と植物性1,3-ブチレングリコールとオレイン酸ポリグリセリル-10とを主成分とし、植物性1,3-ブチレングリコールを1に対して、オレイン酸ポリグリセリル-10を1、水を2乃至3の割合で混合した主成分を含み、動物性原料及び鉱物性原料を含まず、ポリグリセリル脂肪酸エステルからなることを特徴とするクレンジングゲル。 【請求項2】 水を45~55重量%と、植物性1,3-ブチレングリコールを18~22重量%と、オレイン酸ポリグリセリル-10を18~22重量%と、グリセリンを4.5~5.5重量%と、イソステアリン酸グリセリルを2~4重量%と、ジェランガムを0.3~0.5重量%と、アルギン酸ナトリウムを0.1~0.3重量%と、カプリン酸グリセリルとラウリン酸ポリグリセリル-2とラウリン酸ポリグリセリル-10との1種類又は2種類以上を0.4~0.6重量%と、アミノ酸及びアミノ酸塩を0.01~0.03重量%と、を混合したことを特徴とするクレンジングゲル。」 (2b)「【技術分野】 【0001】 本発明は洗顔に使用するクレンジングゲルに関するものであり、更に詳細には、水と植物性1,3-ブチレングリコールとオレイン酸ポリグリセリル-10とを主成分とし、動物性原料及び鉱物性原料を配合せず、更に、ポリグリセリル脂肪酸エステルによりクレンジング効果を持たせたクレンジングゲルに関するものである。 【背景技術】 【0002】 この種の洗顔用クレンジングゲルは多種が市場に出ており、それなりに有効に用いられているが、ダブル洗顔を必要としたり、人によりアレルギーを起こし肌に合わない製品も市場に氾濫しており、安全に使用できる洗顔用クレンジングゲルが切望されている。」 (2c)「【0022】 更には、グルタミン酸を0.01~0.03重量%を加えたもので、グルタミン酸は、α-アミノ酸の一つの酸性アミノ酸であり、肌自体の保水力をアップして、皮膚をツルツルの膜で覆い、保水シートの役割して、肌の内側と外側、両方から潤いを保つ働きをするもので、お風呂上りのようなぷるぷるの潤いを持続するものである。」 (3)甲第3号証の記載 (3a)「【請求項1】 以下の成分(ア)、(イ)及び(ウ) (ア)グリセリン又はポリグリセリンのモノラウリルエーテルと、グリセリン又はポリグリセリンのモノオレイルエーテル。 (イ)疎水基として炭化水素鎖を有するイオン性界面活性剤。 (ウ)1種または2種以上のポリオール(ただし、成分(ア)を除く)。 を含有することを特徴とする、発色性組成物。 ・・・ 【請求項8】 前記成分(ア)がグリセリン又はポリグリセリンのモノオレイン酸エステルを含むことを特徴とする、請求項1~7の何れか一項に記載の発色性組成物。 【請求項9】 前記成分(ア)が、ジグリセリンのモノオレイン酸エステルを含むことを特徴とする、請求項8に記載の発色性組成物。」 (3b)「【技術分野】 【0001】 本発明は、結晶の析出を起こしにくく、振動安定性に優れた発色性組成物に関する。 【背景技術】 【0002】 従来から、クリーム、乳液、美容液等のいわゆるスキンケア品には、その基本的機能として、肌の水分保持等の、肌改善効果が求められてきた。しかしながら、近年、化粧品の価値の多様化とともに、スキンケア品にもメークアップ品と同様の、外観的魅力、いわゆる審美感が求められるようになってきた。」 (3c)「【発明が解決しようとする課題】 【0007】 特許文献5に記載の発色性組成物は、発色の経時安定性及び肌の水分保持機能の向上の観点から開発されたものであり、審美感と機能性に極めて優れたものである。しかし、低温保存時の結晶の析出の防止や、振動を加えた際の白濁、発色性の喪失という観点から改善の余地があった。 また、これまで結晶の析出を抑制し、振動安定性を高めるという観点から発色性組成物の組成が検討されたことは無かった。 また、発色性組成物を一定期間保存すると発色性が失われるという問題があった。特に、低温下での保存後に発色性が失われやすいという問題があった。 【0008】 このような状況に鑑み、本発明は、発色性組成物の結晶析出温度を低下させることで結晶の析出を抑制し、振動安定性を向上させる技術を提供することを課題とする。 また、本発明は発色性組成物の保存安定性、特に低温における保存安定性を向上することを課題とする。」 (3d)「【0029】 (1)成分(ア)グリセリン又はポリグリセリンの脂肪酸エステル又はアルキルエーテル 本発明の発色性組成物は必須成分として、成分(ア)グリセリン又はポリグリセリンの脂肪酸エステル、アルキルエーテルからなる群から選択される2種以上(以下、グリセリン系誘導体という)を含有する。」 (4)甲第4号証の記載 (4a)「超臨界二酸化炭素逆相蒸発法を用いてポリグリセリン脂肪酸エステルで調製した非イオン性ベシクルの調製と性質」と題する論文には、ポリグリセリン脂肪酸エステル(PGエステル)型非イオン性界面活性剤からニオソームを調製したこと、製造したニオソームの2サンプルの蛍光異方性の温度依存性の結果に関する図4が示されている(タイトル及び205頁図4)。 2 甲号証記載の発明 (1)甲第1号証記載の発明 甲第1号証は、オレイン酸ポリグリセリル及び炭素数10以上20以下の脂肪酸のショ糖脂肪酸エステルからなる群より選択される1種以上の界面活性剤を含む、ミセル、ベシクル、又は液晶からなる徐放担体に関する文献であって(摘記(1a))、請求項3のモノオレイン酸デカグリセリルに対応する記載として、摘記(1b)に「モノオレイン酸デカグリセリル(オレイン酸ポリグリセリル-10)(HLB値12.0)」と記載され、請求項5に徐放担体に有効成分が担持された徐放担体複合体が記載され、請求項8又は9には、皮膚外用剤や化粧料に該組成物を使用する記載があり、【0004】の【発明が解決しようとする課題】には、「表皮への浸透性が高く、かつ表皮基底層近傍で持続的に有効成分の効果を発揮させることができる徐放担体を提供することを課題とする。」との記載(摘記(1a))があるから、請求項3を引用する請求項5に係る発明として、以下の発明が認定できるといえる。 「表皮への浸透性が高く、かつ表皮基底層近傍で持続的に有効成分の効果を発揮させることができる徐放担体を提供することを課題とする、モノオレイン酸デカグリセリルを界面活性剤(HLB値12.0)として含むミセル、ベシクル、又は液晶からなる徐放担体に有効成分が担持された皮膚外用剤や化粧料に該組成物を使用する徐放担体複合体」(以下「甲1発明」という。) また、甲第1号証には、皮膚外用剤又は化粧料に甲1発明の徐放担体複合体を用いることも記載されているので、(摘記(1a))、以下の発明も記載されているといえる。 「表皮への浸透性が高く、かつ表皮基底層近傍で持続的に有効成分の効果を発揮させることができる徐放担体を提供することを課題とする、モノオレイン酸デカグリセリルを界面活性剤(HLB値12.0)として含むミセル、ベシクル、又は液晶からなる徐放担体に有効成分が担持された徐放担体複合体を含有する皮膚外用剤又は化粧料」(以下「甲1皮膚外用剤又は化粧料発明」という。) (2)甲第2号証記載の発明 甲第2号証は、洗顔に使用するクレンジングゲルに関するものであり(摘記(2b))、請求項2に記載の発明として、以下の発明が認定できるといえる。 「水を45~55重量%と、植物性1,3-ブチレングリコールを18~22重量%と、オレイン酸ポリグリセリル-10を18~22重量%と、グリセリンを4.5~5.5重量%と、イソステアリン酸グリセリルを2~4重量%と、ジェランガムを0.3~0.5重量%と、アルギン酸ナトリウムを0.1~0.3重量%と、カプリン酸グリセリルとラウリン酸ポリグリセリル-2とラウリン酸ポリグリセリル-10との1種類又は2種類以上を0.4~0.6重量%と、アミノ酸及びアミノ酸塩を0.01~0.03重量%と、を混合したクレンジングゲル。」(以下「甲2発明」という。) (3)甲第3号証記載の発明 甲第3号証は、発色性組成物に関する文献であって(摘記(3b))、請求項1を引用する請求項8をさらに引用する請求項9に記載の発明として、以下の発明が認定できるといえる。 「ジグリセリンのモノオレイン酸エステルを含み、 疎水基として炭化水素鎖を有するイオン性界面活性剤、及び 1種または2種以上のポリオールを含有する、発色性組成物。」 (以下「甲3発明」という。) また、引用文献3には、【0110】の【産業上の利用分野】に「本発明は化粧料等に活用できる。」との記載があることから以下の発明も記載されているといえる。 「ジグリセリンのモノオレイン酸エステルを含み、 疎水基として炭化水素鎖を有するイオン性界面活性剤、及び 1種または2種以上のポリオールを含有する、発色性組成物を用いた化粧料。」 (以下「甲3化粧料発明」という。) 3 異議申立理由1について (1)本件特許発明と甲第1号証記載の発明との対比・判断 ア 本件特許発明1と甲1発明との対比・判断 (ア)対比 まず、甲1発明の「表皮への浸透性が高く、かつ表皮基底層近傍で持続的に有効成分の効果を発揮させることができる徐放担体を提供することを課題とする」ことは、本件特許発明1の「皮膚や毛髪への有効成分の浸透性向上を目的とした」ことに該当する。 また、甲1発明の「モノオレイン酸デカグリセリル」である「界面活性剤(HLB値12.0)」は、本件特許発明1の「(A)混合ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値が8.0~15.0であるポリグリセリン脂肪酸エステル」と、「ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値が8.0~15.0であるポリグリセリン脂肪酸エステル」という限りにおいて共通している。 さらに、甲1発明の「ミセル、ベシクル、又は液晶からなる徐放担体に有効成分が担持された皮膚外用剤や化粧料に該組成物を使用する徐放担体複合体」は、組成物であることは明らかなので、本件特許発明1の「皮膚外用剤又は化粧料に配合するベシクル組成物に」おける「ベシクル組成物」と、「皮膚外用剤又は化粧料に配合する」「組成物」である限りにおいて共通する。 そうすると、本件特許発明1と甲1発明とは、 「皮膚や毛髪への有効成分の浸透性向上を目的とした皮膚外用剤又は化粧料に配合する組成物において、ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値が8.0~15.0であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含む組成物。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点1: 本件特許発明1においては、「ベシクル組成物」であると特定されているのに対して、甲1発明においては、「ミセル、ベシクル、又は液晶からなる徐放担体」である点。 相違点2: 本件特許発明1においては、「混合ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値が8.0~15.0であるポリグリセリン脂肪酸エステル」であるのに対して、甲1発明においては、「モノオレイン酸デカグリセリルを界面活性剤(HLB値12.0)として含む」と特定されている点。 相違点3: 本件特許発明1においては、「(B)ポリオール、(C)水、(D)ベシクル安定化剤」を含有することが特定されているのに対して、甲1発明においては、それらの成分が含有されることが特定されていない点。 相違点4: 本件特許発明1においては、「(A)~(D)を含有する平均粒子径が30~300nmであることを」特定しているのに対して、甲1発明においては、粒子であることも、その平均粒子径も明らかでない点。 相違点5: 本件特許発明1においては、「(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル/(D)ベシクル安定化剤が99.5/0.5~25/5の範囲のもの」と特定しているのに対して、甲1発明においては、混合ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値が8.0~15.0であるポリグリセリン脂肪酸エステルである(A)のポリグリセリン脂肪酸エステルや(D)のベシクル安定化剤が含まれるものではなく、(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル/(D)ベシクル安定化剤の比も規定されない点。 (イ)判断 a 事案に鑑み、本件特許発明の課題に関連した相違点3~相違点5をまとめて、まず検討する。 甲1発明の認定の基礎となった甲第1号証を検討してみても、【0053】に本件特許発明1の(B)成分に相当すると考えられる多価アルコールの例示の一般的記載があるだけで、(C)成分の水や(D)成分のベシクル安定化剤に関しては、一般的記載としても記載されていない。 そして、(A)~(D)を含有するベシクル組成物の平均粒子径が30~300nmであることについては、全く記載も示唆もない。 さらに、(A)成分や(D)成分を含有させることの記載やそれらを含有させる場合の含有量の記載についても記載がないのであるから、(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル(混合ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値が8.0~15.0であるポリグリセリン脂肪酸エステル)/(D)ベシクル安定化剤が99.5/0.5~25/5の範囲であることについても記載されてはいない。 b そして、甲1発明の徐放担体複合体において、(B)成分に相当すると考えられる多価アルコールを添加した上で(C)成分の水や(D)成分のベシクル安定化剤を含有させること、その前提でベシクル組成物を形成し、その平均粒子径が30~300nmとすること、さらにそれらの前提の上で、(混合ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値が8.0~15.0であるポリグリセリン脂肪酸エステル)/(D)ベシクル安定化剤の比を99.5/0.5~25/5の範囲とする技術的事項を採用することは、いずれも、本願出願時の技術常識であるとはいえないし、甲1発明において、そもそも徐放担体複合体をベシクル状態とすることは、必須のものでないのであるから、そのように構成を変更する動機付けがない。 したがって、甲1発明において、本件特許発明1の上記相違点3~相違点5に係る構成に変更及び特定することは、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。 c そして、本件特許明細書【0008】や、実施例の【0031】~【0043】に示されたような、本件特許発明1の構成全体による、予測できない顕著な効果を奏しているのであるから、本件特許発明1は、相違点1及び相違点2を検討するまでもなく、甲第1号証に記載された発明及び本願出願時の技術常識から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 イ 本件特許発明2及び3と甲1発明との対比・判断 (ア)対比 本件特許発明2は、本件特許発明1において、ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸や構成ポリグリセリンの特定をしたものであるが、甲1発明の「モノオレイン酸デカグリセリル」は、本件特許発明2で明示的に特定されたポリグリセリン脂肪酸エステルに該当するので、新たな相違点とならない。 また、本件特許発明3は、本件特許発明1又は2において、「蛍光色素であるDPH(ジフェニルヘキサトリエン)の偏光蛍光強度比による膜流動性の数値が0.03~0.15である」ことを特定したものであるから、上記相違点1~相違点5に加えて、以下の相違点6を有する。 相違点6: 本件特許発明3においては、「蛍光色素であるDPH(ジフェニルヘキサトリエン)の偏光蛍光強度比による膜流動性の数値が0.03~0.15である」ことを特定しているのに対して、甲1発明においては、偏光蛍光強度比による膜流動性の数値が明らかでない点。 (イ)判断 a 甲1発明において、超臨界二酸化炭素逆相蒸発法を用いてポリグリセリン脂肪酸エステルで調製した非イオン性ベシクルに関する甲第4号証の記載を考慮しても、上記ア(イ)で検討したのと同様に、本件特許発明2及び3の相違点3~相違点5に係る構成を特定することは、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。 そして、本件特許発明2及び3は、それぞれ、本件特許発明2又は3の構成全体による、予測できない顕著な効果を奏しているのであるから、相違点1、相違点2及び相違点6を検討するまでもなく、甲第1号証に記載された発明、甲第4号証記載の技術的事項及び本願出願時の技術常識から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ウ 本件特許発明4と甲1皮膚外用剤又は化粧料発明との対比・判断 (ア)対比 本件特許発明4は、本件特許発明1~3の皮膚外用剤又は化粧料に配合するベシクル組成物の発明を、該組成物を含有する皮膚外用剤又は化粧料の発明としたものにすぎないから、上記ア(ア)及び上記イ(ア)で検討したのと同様に、少なくとも以下の相違点を有する(その他上記の相違点1、2、6と同様の相違点1’、相違点2’及び相違点6’を有する。)。 相違点3’: 本件特許発明4においては、「(B)ポリオール、(C)水、(D)ベシクル安定化剤」を含有することが特定されているのに対して、甲1皮膚外用剤又は化粧料発明においては、それらの成分が含有されることが特定されていない点。 相違点4’: 本件特許発明4においては、「(A)~(D)を含有する平均粒子径が30~300nmであることを」特定しているのに対して、甲1皮膚外用剤又は化粧料発明においては、粒子であることも、その平均粒子径も明らかでない点。 相違点5’: 本件特許発明4においては、「(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル/(D)ベシクル安定化剤が99.5/0.5~25/5の範囲のもの」と特定しているのに対して、甲1皮膚外用剤又は化粧料発明においては、混合ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値が8.0~15.0であるポリグリセリン脂肪酸エステルである(A)のポリグリセリン脂肪酸エステルや(D)のベシクル安定化剤が含まれるものではなく、(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル/(D)ベシクル安定化剤の比も規定されない点。 (イ)判断 a 上記ア(イ)及び上記イ(イ)で検討したのと同様に、甲1皮膚外用剤又は化粧料発明において、本件特許発明4の相違点3’~相違点5’に係る構成に変更及び特定することは、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。 そして、本件特許発明4は、本件特許発明4の構成全体による、予測できない顕著な効果を奏しているのであるから、相違点1’、相違点2’及び相違点6’を検討するまでもなく、甲第1号証に記載された発明、甲第4号証記載の技術的事項及び本願出願時の技術常識から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (2)甲第1号証に基づく進歩性に関する理由(異議申立理由1)についてのまとめ 以上のとおり、本件特許発明1~4は、甲第1号証に記載された発明及び引用文献4に記載された技術的事項から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 したがって、異議申立理由1には理由がない。 4 異議申立理由2について (1)本件特許発明と甲第2号証記載の発明との対比・判断 ア 本件特許発明1と甲2発明との対比・判断 (ア)対比 まず、甲2発明の「オレイン酸ポリグリセリル-10を18~22重量%と、カプリン酸グリセリルとラウリン酸ポリグリセリル-2とラウリン酸ポリグリセリル-10との1種類又は2種類以上を0.4~0.6重量%」とを含有させることは、本件特許発明1の「(A)混合ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値が8.0~15.0であるポリグリセリン脂肪酸エステル」と、「ポリグリセリン脂肪酸エステル」という限りにおいて共通している。 また、甲2発明の「クレンジングゲル」は、組成物であることは明らかで、本件特許発明1の「皮膚外用剤又は化粧料に配合するベシクル組成物に」おける「組成物」である限りにおいて共通する。 さらに、甲2発明の「水を45~55重量%」と、「植物性1,3-ブチレングリコールを18~22重量%と、グリセリンを4.5~5.5重量%と、」を含有することは、本件特許発明1のそれぞれ、「(C)水」と、「(B)ポリオール」とを含有することに相当する。 そして、甲2発明の「イソステアリン酸グリセリルを2~4重量%」含有させることは、本件特許明細書【0016】に(D)ベシクル安定化剤の例示物質に挙げられていることから、本件特許発明1の「(D)ベシクル安定化剤」と、イソステアリン酸グリセリルを含有させるという限りにおいて共通する。 そうすると、本件特許発明1と甲2発明とは、 「ポリグリセリン脂肪酸エステル、 (B)ポリオール、 (C)水、 イソステアリン酸グリセリルを含む組成物。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点1-2: 本件特許発明1においては、「皮膚や毛髪への有効成分の浸透性向上を目的とした皮膚外用剤又は化粧料に配合するベシクル組成物」であると特定されているのに対して、甲2発明においては、「クレンジングゲル」と特定されている点。 相違点2-2: 本件特許発明1においては、「混合ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値が8.0~15.0であるポリグリセリン脂肪酸エステル」であるのに対して、甲2発明においては、「オレイン酸ポリグリセリル-10を18~22重量%と、カプリン酸グリセリルとラウリン酸ポリグリセリル-2とラウリン酸ポリグリセリル-10との1種類又は2種類以上を0.4~0.6重量%」とを含有させると特定されている点。 相違点3-2: 本件特許発明1においては、「(D)ベシクル安定化剤」を含有することが特定されているのに対して、甲2発明においては、イソステアリン酸グリセリルが含有されているものの、その成分がベシクル安定化剤であることが特定されていない点。 相違点4-2: 本件特許発明1においては、「(A)~(D)を含有する平均粒子径が30~300nmであることを」特定しているのに対して、甲2発明においては、粒子であることも、その平均粒子径も明らかでない点。 相違点5-2: 本件特許発明1においては、「(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル/(D)ベシクル安定化剤が99.5/0.5~25/5の範囲のもの」と特定しているのに対して、甲2発明においては、混合ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値が8.0~15.0であるポリグリセリン脂肪酸エステルである(A)のポリグリセリン脂肪酸エステルや(D)のベシクル安定化剤が含まれるものではなく、(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル/(D)ベシクル安定化剤の比も規定されない点。 (イ)判断 a 事案に鑑み、本件特許発明の課題に関連した相違点1-2、相違点4-2、及び相違点5-2をまとめて、まず検討する。 甲2発明の認定の基礎となった甲第2号証を検討してみると、甲2発明のクレンジングゲルを、皮膚や毛髪への有効成分の浸透性向上を目的とした皮膚外用剤又は化粧料に配合するベシクル組成物として用いることに関しては、一般的記載としても記載されていない。 そして、(A)~(D)を含有するベシクル組成物の平均粒子径が30~300nmであることについては、全く記載も示唆もない。 さらに、(A)成分に関連して、ポリグリセリン脂肪酸エステルを2種以上混合する場合があることは示唆されるものの、物質としては本件特許発明1のベシクル安定化剤の例示に入るイソステアリン酸グリセリルが含有されるものの、(混合ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値が8.0~15.0であるポリグリセリン脂肪酸エステル)/(D)ベシクル安定化剤が99.5/0.5~25/5の範囲であることについては記載されてはいない。 b そして、甲2発明のクレンジングゲルにおいて、混合ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値が8.0~15.0であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有させた上で、その前提で皮膚や毛髪への有効成分の浸透性向上を目的とした皮膚外用剤又は化粧料に配合するベシクル組成物に用途変更すること、その平均粒子径を30~300nmとすること、さらにそれらの前提の上で、(混合ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値が8.0~15.0であるポリグリセリン脂肪酸エステル)/(D)ベシクル安定化剤の比を99.5/0.5~25/5の範囲に特定することは、いずれも、本願出願時の技術常識であるとはいえないし、甲2発明において、そもそもクレンジングゲルをベシクル状態とすることは、なんら必要性がなく、そのように構成を変更する動機付けがない。 したがって、甲2発明において、本件特許発明1の上記相違点1-2、相違点4-2、及び相違点5-2に係る構成に変更及び特定することは、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。 c そして、本件特許明細書【0008】や、実施例の【0031】~【0043】に示されたような、本件特許発明1の構成全体による、予測できない顕著な効果を奏しているのであるから、本件特許発明1は、相違点2-2及び相違点3-2を検討するまでもなく、甲第2号証に記載された発明及び本願出願時の技術常識から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 イ 本件特許発明2及び3と甲2発明との対比・判断 (ア)対比 本件特許発明2は、本件特許発明1において、ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸や構成ポリグリセリンの特定をしたものであるが、甲2発明に含有される「オレイン酸ポリグリセリル-10」や「ラウリン酸ポリグリセリル-2」や「ラウリン酸ポリグリセリル-10」は、本件特許発明2で明示的に特定されたポリグリセリン脂肪酸エステルに該当するので、当該特定は新たな相違点とならない。 また、本件特許発明3は、本件特許発明1又は2において、「蛍光色素であるDPH(ジフェニルヘキサトリエン)の偏光蛍光強度比による膜流動性の数値が0.03~0.15である」ことを特定したものであるから、上記相違点1-2~相違点5-2に加えて、以下の相違点6-2を有する。 相違点6-2: 本件特許発明3においては、「蛍光色素であるDPH(ジフェニルヘキサトリエン)の偏光蛍光強度比による膜流動性の数値が0.03~0.15である」ことを特定しているのに対して、甲2発明においては、偏光蛍光強度比による膜流動性の数値が明らかでない点。 (イ)判断 a 甲2発明において、超臨界二酸化炭素逆相蒸発法を用いてポリグリセリン脂肪酸エステルで調製した非イオン性ベシクルに関する甲第4号証の記載を考慮しても、上記ア(イ)で検討したのと同様に、本件特許発明2及び3の相違点1-2、相違点4-2、及び相違点5-2に係る構成を変更又は特定することは、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。 そして、本件特許発明2及び3は、それぞれ、本件特許発明2又は3の構成全体による、予測できない顕著な効果を奏しているのであるから、相違点2-2、相違点3-2及び相違点6-2を検討するまでもなく、甲第2号証に記載された発明、甲第4号証記載の技術的事項及び本願出願時の技術常識から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ウ 本件特許発明4と甲2発明との対比・判断 (ア)対比 本件特許発明4は、本件特許発明1~3の皮膚外用剤又は化粧料に配合するベシクル組成物の発明を、該組成物を含有する皮膚外用剤又は化粧料の発明としたものにすぎないから、上記ア(ア)及び上記イ(ア)で検討したのと同様に、少なくとも相違点1-2、相違点4-2、相違点5-2の相違点を有する(その他上記の相違点2-2、2-3及び6-2を有する。)。 (イ)判断 a 上記ア(イ)及び上記イ(イ)で検討したのと同様に、甲2発明において、本件特許発明4の相違点1-2、相違点4-2、及び相違点5-2に係る構成を特定することは、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。 そして、本件特許発明4は、本件特許発明4の構成全体による、予測できない顕著な効果を奏しているのであるから、相違点2-2、相違点2-3及び相違点6-2を検討するまでもなく、甲第2号証に記載された発明、甲第4号証記載の技術的事項及び本願出願時の技術常識から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (2)甲第2号証に基づく進歩性に関する理由(異議申立理由2)についてのまとめ 以上のとおり、本件特許発明1~4は、甲第2号証に記載された発明及び引用文献4に記載された技術的事項から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 したがって、特許異議申立理由2には理由がない。 5 特許異議申立理由3について (1)本件特許発明と甲第3号証記載の発明との対比・判断 ア 本件特許発明1と甲3発明との対比・判断 (ア)対比 まず、甲3発明の「ジグリセリンのモノオレイン酸エステル」を含有させることは、本件特許発明1の「(A) 混合ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値が8.0~15.0であるポリグリセリン脂肪酸エステル」と、「ポリグリセリン脂肪酸エステル」という限りにおいて共通している。 また、甲3発明の「発色性組成物」は、組成物であることは明らかで、本件特許発明1の「皮膚外用剤又は化粧料に配合するベシクル組成物に」おける「組成物」である限りにおいて共通する。 さらに、甲3発明の「1種または2種以上のポリオール」は、本件特許発明1の「(B)ポリオール」に相当する。 そうすると、本件特許発明1と甲3発明とは、 「ポリグリセリン脂肪酸エステル、 (B)ポリオール、 を含む組成物。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点1-3: 本件特許発明1においては、「皮膚や毛髪への有効成分の浸透性向上を目的とした皮膚外用剤又は化粧料に配合するベシクル組成物」であると特定されているのに対して、甲3発明においては、「発色性組成物」と特定されている点。 相違点2-3: 本件特許発明1においては、「混合ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値が8.0~15.0であるポリグリセリン脂肪酸エステル」を含有させているのに対して、甲3発明においては、「ジグリセリンのモノオレイン酸エステル」を含有させると特定されている点。 相違点3-3: 本件特許発明1においては、「(D)ベシクル安定化剤」を含有することが特定されているのに対して、甲3発明においては、ベシクル安定化剤を含有させることが特定されていない点。 相違点4-3: 本件特許発明1においては、「(A)~(D)を含有する平均粒子径が30~300nmであることを」特定しているのに対して、甲3発明においては、粒子であることも、その平均粒子径も明らかでない点。 相違点5-3: 本件特許発明1においては、「(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル/(D)ベシクル安定化剤が99.5/0.5~25/5の範囲のもの」と特定しているのに対して、甲3発明においては、混合ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値が8.0~15.0であるポリグリセリン脂肪酸エステルである(A)のポリグリセリン脂肪酸エステルや(D)のベシクル安定化剤が含まれることも、(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル/(D)ベシクル安定化剤の比も規定されない点。 (イ)判断 a 事案に鑑み、本件特許発明の課題に関連した相違点3-3~相違点5-3をまとめて、まず検討する。 甲3発明の認定の基礎となった甲第3号証を検討してみると、【0076】に本件特許発明1の(C)成分である水の含有に関する一般的記載があるだけで、(D)成分のベシクル安定化剤に関しては、一般的記載としても記載されていない。 そして、(A)~(D)を含有するベシクル組成物の平均粒子径が30~300nmであることについては、全く記載も示唆もない。 さらに、(A)成分や(D)成分を含有させることの記載やそれらを含有させる場合の含有量の記載についても当然記載がないのであるから、(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル(混合ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値が8.0~15.0であるポリグリセリン脂肪酸エステル)/(D)ベシクル安定化剤が99.5/0.5~25/5の範囲であることについても記載されてはいない。 b そして、甲3発明の発色性組成物において、(C)成分の水や(D)成分のベシクル安定化剤を含有させること、その前提でベシクル組成物を形成し、その平均粒子径が30~300nmとすること、それらの前提の上で、(混合ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値が8.0~15.0であるポリグリセリン脂肪酸エステル)/(D)ベシクル安定化剤の比を99.5/0.5~25/5の範囲に特定することは、いずれも、本願出願時の技術常識であるとはいえないのはもちろんのこと、甲3発明において、そもそも発色性組成物をベシクル状態とすることは、必須のものでないのであるから、そのように構成を変更する動機付けがない。 そして、(A)~(D)を含有するベシクル組成物の平均粒子径が30~300nmであることや(A)(混合ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値が8.0~15.0であるポリグリセリン脂肪酸エステル)/(D)ベシクル安定化剤が99.5/0.5~25/5の範囲であることについても、(A)成分及び(D)成分を含まない以上当然動機付けられない。 したがって、甲3発明において、本件特許発明1の上記相違点3-3、相違点4-3、及び相違点5-3に係る構成に変更及び特定することは、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。 c そして、本件特許明細書【0008】や実施例の【0031】~【0043】に示されたような、本件特許発明1の構成全体による、予測できない顕著な効果を奏しているのであるから、本件特許発明1は、相違点1-3及び相違点2-3を検討するまでもなく、甲第3号証に記載された発明及び本願出願時の技術常識から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 イ 本件特許発明2及び3と甲3発明との対比・判断 (ア)対比 本件特許発明2は、本件特許発明1において、ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸や構成ポリグリセリンの特定をしたものであるが、甲3発明に含有される「ジグリセリンのモノオレイン酸エステル」は、本件特許発明2で明示的に特定されたポリグリセリン脂肪酸エステルに該当しておらず、新たな相違点(相違点7-3)である。 また、本件特許発明3は、本件特許発明1又は2において、「蛍光色素であるDPH(ジフェニルヘキサトリエン)の偏光蛍光強度比による膜流動性の数値が0.03~0.15である」ことを特定したものであるから、上記相違点1-2~相違点5-2に加えて、以下の相違点6-3を有する。 相違点6-3: 本件特許発明3においては、「蛍光色素であるDPH(ジフェニルヘキサトリエン)の偏光蛍光強度比による膜流動性の数値が0.03~0.15である」ことを特定しているのに対して、甲3発明においては、偏光蛍光強度比による膜流動性の数値が明らかでない点。 (イ)判断 a 甲3発明において、超臨界二酸化炭素逆相蒸発法を用いてポリグリセリン脂肪酸エステルで調製した非イオン性ベシクルに関する甲第4号証の記載を考慮しても、上記ア(イ)で検討したのと同様に、本件特許発明2及び3の相違点3-3、相違点4-3、及び相違点5-3に係る構成を変更又は特定することは、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。 そして、本件特許発明2及び3は、それぞれ、本件特許発明2又は3の構成全体による、予測できない顕著な効果を奏しているのであるから、相違点1-3、相違点2-3、相違点6-3、及び相違点7-3を検討するまでもなく、甲第3号証に記載された発明、甲第4号証記載の技術的事項及び本願出願時の技術常識から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ウ 本件特許発明4と甲3化粧料発明との対比・判断 (ア)対比 本件特許発明4は、本件特許発明1~3の皮膚外用剤又は化粧料に配合するベシクル組成物の発明を、該組成物を含有する皮膚外用剤又は化粧料の発明としたものにすぎないから、上記ア(ア)及び上記イ(ア)で検討したのと同様に、少なくとも相違点3’-3、相違点4’-3、相違点5’-3の相違点を有する(その他上記の相違点1’-3、2’-3及び6’-3、7’-3を有する。)。 相違点3’-3: 本件特許発明4においては、「(C)水、(D)ベシクル安定化剤」を含有することが特定されているのに対して、甲3化粧料発明においては、それらの成分が含有されることが特定されていない点。 相違点4’-3: 本件特許発明4においては、「(A)~(D)を含有する平均粒子径が30~300nmであることを」特定しているのに対して、甲3化粧料発明においては、粒子であることも、その平均粒子径も明らかでない点。 相違点5’-3: 本件特許発明4においては、「(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル/(D)ベシクル安定化剤が99.5/0.5~25/5の範囲のもの」と特定しているのに対して、甲3化粧料発明においては、混合ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値が8.0~15.0であるポリグリセリン脂肪酸エステルである(A)のポリグリセリン脂肪酸エステルや(D)のベシクル安定化剤が含まれることも、(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル/(D)ベシクル安定化剤の比も規定されない点。 (イ)判断 a 上記ア(イ)及び上記イ(イ)で検討したのと同様に、甲3化粧料発明において、本件特許発明4の相違点3’-3~相違点5’-3に係る構成に変更及び特定することは、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。 そして、本件特許発明4は、本件特許発明4の構成全体による、予測できない顕著な効果を奏しているのであるから、相違点1’-3、相違点2’-3及び相違点6’-3(及び相違点7’-3)を検討するまでもなく、甲第3号証に記載された発明、甲第4号証記載の技術的事項及び本願出願時の技術常識から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (2)甲第3号証に基づく進歩性に関する理由(異議申立理由3)についてのまとめ 以上のとおり、本件特許発明1~4は、甲第3号証に記載された発明及び引用文献4に記載された技術的事項から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 したがって、特許異議申立理由3には理由がない。 6 特許異議申立人が申立てた理由の判断のまとめ 以上のとおり、上記特許異議申立理由には、いずれも理由がない。 第6 むすび 以上のとおり、本件の請求項1~4に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由並びに特許異議申立人が申立てた理由及び証拠によっては、取り消されるべきものとはいえない。 また、ほかに本件の請求項1~4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-701262

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