特許異議申立
2023-701006
冷蔵庫
- 審判番号
- 2023-701006
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-026984
- 登録番号
- 7254227
- 請求日
- 2023年09月21日
- 審決日
- 2024年02月05日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
- 【異議申立人】中里 昭恵
- 審判長/審判官
- 審判長 間中 耕治
- 審判官 水野 治彦
- 審判官 槙原 進
- 分類
- P1651.121-Y (F25D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第113条第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7254227号発明「冷蔵庫」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7254227号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7254227号の請求項1ないし請求項4の特許(以下、「本件特許」という。)に係る出願は、平成29年10月26日に出願された特願2017-206769号の一部を令和4年2月24日に新たな特許出願とされたものであり、令和5年3月30日にその特許権の設定登録がされ、令和5年4月7日に特許掲載公報が発行された。
その後、令和5年9月21日に特許異議申立人中里昭恵(以下、「特許異議申立人」という。)により請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申し立てがされたものである。
第2 特許異議の申立てについて
1.本件発明
本件特許の請求項1ないし請求項4に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明4」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし請求項4に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
冷凍温度帯室の上方に第一冷蔵温度帯室、前記冷凍温度帯室の下方に冷蔵温度帯に固定された野菜室とを備え、
前記第一冷蔵温度帯室の略背部に位置する第一蒸発器と、該第一蒸発器を収納する第一蒸発器収納室と、前記第一蒸発器と熱交換した空気を前記第一蒸発器収納室から前記第一冷蔵温度帯室に導く第一送風経路と、前記第一冷蔵温度帯室から前記第一蒸発器収納室に空気を導く第一戻り経路と、前記第一冷蔵温度帯室に循環気流を形成する第一送風機と、
前記冷凍温度帯室の略背部に位置し、冷凍運転中の温度が冷蔵運転中の前記第一蒸発器よりも低い第二蒸発器と、該第二蒸発器を収納する第二蒸発器収納室と、前記第二蒸発器と熱交換した空気を前記第二蒸発器収納室から前記冷凍温度帯室に導く第二送風経路と、前記冷凍温度帯室から前記第二蒸発器収納室に空気を導く第二戻り経路と、前記第二送風経路から前記野菜室に空気を導く野菜室送風路と、前記野菜室から前記第二蒸発器収納室に空気を導く野菜室戻り風路と、前記冷凍温度帯室及び前記野菜室に循環気流を形成する第二送風機と、を有し、
前記第二蒸発器と熱交換した空気を、前記第二送風機の駆動により送風して前記冷凍温度帯室及び前記野菜室を冷却し、
前記冷凍温度帯室と前記第一冷蔵温度帯室とを隔てる第一の断熱仕切壁と、前記冷凍温度帯室と前記野菜室とを隔てる第二の断熱仕切壁と、をさらに備え、
前記野菜室戻り風路は、前記第二の断熱仕切壁内に設けられ、
前記野菜室に冷気を送る際には、圧縮機の回転速度を、冷蔵運転中の回転速度よりも高速駆動状態にすることで、前記第二蒸発器を、冷蔵運転中の前記第一蒸発器の温度よりも低温にし、
前記野菜室に供給する風量は前記冷凍温度帯室に供給する風量より少ない
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記冷凍温度帯室は、冷凍温度帯に固定した貯蔵室であり、
前記第一冷蔵温度帯室は、冷蔵温度帯に固定した貯蔵室である
ことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記野菜室戻り風路の流入口は、前記第二の断熱仕切壁の前方側に備えられる
ことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記野菜室は、
前記第二の断熱仕切壁を介して、前記冷凍温度帯室の、前記第二蒸発器と熱交換した空気により冷却されると共に、
前記野菜室の冷却の過不足に応じて前記第二蒸発器と熱交換した空気が送風され、
前記野菜室の下方には、貯蔵室を備えない
ことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。」
2.特許異議の申立ての概要
本件特許に対して特許異議申立人が申し立てた特許異議の申立ての概要は、大略、次のとおりである。
本件発明1ないし本件発明4は、その出願前日本国内または外国において頒布された甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、特許法第113条第2号の規定により、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
甲第1号証:特開2004-69218号公報
甲第2号証:特開2016-44866号公報
甲第3号証:特開2001-91130号公報(技術常識を示す文献)
甲第4号証:特開2005-265267号公報(技術常識を示す文献)
第3 当審の判断
特許異議申立人の申し立てについて、以下、検討する。
1 甲第1号証ないし甲第4号証
(1) 甲第1号証
ア 甲第1号証には、「冷蔵庫」に関し、次の記載事項、図示事項及び認定事項がある(下線は、当審で付与した。以下同様。)。
(ア)「【0018】
本発明による冷蔵庫は、図で示すように、背面下部に機械室1を備えた外箱2と、内箱3との間に断熱材4を充填してなる断熱箱体5の内部を、前記内箱3に接続された複数の断熱仕切体6により上下に区画して冷蔵室7、野菜室8および冷凍室9を設けた構成になっている。(当審注:「野菜室9および冷凍室8を設けた構成になっている。」の誤記と認める。)」
(イ)「【0026】
また、前記冷蔵室7および前記冷凍室8の後部には冷却器16が設けられ、同冷却器16の前方には、冷気供給口17を有する前面カバー18を設けて前記冷却器16を備えた冷気生成室19を形成している。
【0027】
前記冷気供給口17を臨ませた所定位置には冷気循環用の送風ファン20が設けられる一方、前記前面カバー18に形成された冷気吸込口21から、庫内の冷気を前記冷気生成室19に戻すための冷気戻しダクト22が設けられている。」
(ウ)「【0034】
以上の構成により、次にその動作について説明する。
前記負イオン発生ユニット23が、前記冷気生成室19から前記冷気戻しダクト22に到る冷気循環経路の所定位置に設けられたことにより、同負イオン発生ユニット23で発生させた負イオンが、例えば図3で示すように、前記冷蔵室7および前記冷凍室8の冷気供給口17から前記冷却器16で生成された冷気といっしょに送出される。」
(エ)「【0038】
なお、前記冷蔵室7または前記冷凍室8に送出された前記負イオンおよび前記冷気は、前記野菜室9にも循環することによって上記と同様の作用効果を奏することになる。」
(オ)「【図3】
[図:0001407857000001.jpg]
」
(カ) (ア)の記載事項及び(オ)の図示事項、並びに、一般に野菜室は冷蔵温度帯に固定されているとの技術常識を踏まえると、冷蔵庫は、冷凍庫8の上方に冷蔵室7を備え、冷凍室8の下方に冷蔵温度帯に固定された野菜室9を備えるといえる。
(キ) (イ)、(ウ)の記載事項及び(オ)の図示事項から、冷蔵庫は、冷蔵室7の後部に設けられた冷却器16と、該冷却器16の前方に形成された、冷気供給口17を有する冷気生成室19を備えており、該冷気供給口17は、冷却器16と熱交換した冷気を冷気生成室19から冷蔵室7に導く送風経路であるといえる。
(ク) (イ)の記載事項及び(オ)の図示事項から、冷蔵庫は、冷蔵室7から冷気生成室19に庫内の冷気を戻す冷気戻しダクト22を備えるといえる。
(ケ) (キ)及び(ク)の認定事項から、冷蔵室7における冷気は、冷気生成室19の冷気供給口17から冷蔵室7に導かれ、冷気戻しダクト22により冷蔵室7から冷気生成室19に戻される循環気流を形成するといえる。そして、(イ)の記載事項及び(オ)の図示事項から、冷蔵室7の冷気供給口17に設けられた送風ファン20は、冷蔵室7に循環気流を形成する送風ファン20といえる。
(コ) (イ)、(ウ)の記載事項及び(オ)の図示事項から、冷蔵庫は、冷凍室8の後部に設けられた冷却器16と、該冷却器16の前方に形成された、冷気供給口17を有する冷気生成室19を備えており、該冷気供給口17は、冷却器16と熱交換した冷気を冷気生成室19から冷凍室8に導く送風経路であるといえる。
(サ) (ウ)の記載事項及び(エ)の記載事項から、冷却器16で生成され、冷凍室8の冷気供給口17から送出された冷気は、冷凍庫8から野菜室9に冷気を導く送風路により、野菜室9にも循環するといえる。
(シ) (ア)の記載事項及び(オ)の図示事項から、冷蔵庫は、前記冷凍室8と前記冷蔵室7とを区画する断熱仕切体6と、前記冷凍室8と前記野菜室9とを区画する断熱仕切体6を備えるといえる。
(ス) (イ)の記載事項、(オ)の図示事項、(サ)の認定事項及び(シ)の認定事項から、冷蔵庫は、冷凍室8から送出され、野菜室9に循環した冷気を冷気生成室19に戻す、冷凍室8と野菜室9とを区画する断熱仕切体6に設けられた冷気戻しダクト22を備えるといえる。
(セ) (コ)ないし(ス)の認定事項から、冷凍室8の後部に設けられた冷気生成室19の冷気供給口17から冷凍室8に導かれた冷気は、野菜室9に循環し、冷気戻しダクト22により野菜室9から冷気生成室19に戻される循環気流を形成するといえる。そして、(イ)の記載事項及び(オ)の図示事項から、冷凍室8の冷気供給口17に設けられた送風ファン20は、冷凍室8及び野菜室9に循環気流を形成する送風ファン20といえる。
イ 上記記載事項、図示事項及び認定事項を総合し、整理すると、甲第1号証には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。
「 冷凍室8の上方に冷蔵室7、前記冷凍室8の下方に冷蔵温度帯に固定された野菜室9とを備え、
前記冷蔵室7の後部に設けられた冷却器16と、該冷却器16を備えた冷気生成室19と、前記冷却器16と熱交換した冷気を前記冷気生成室19から前記冷蔵室7に導く送風経路と、前記冷蔵室7から前記冷気生成室19に冷気を戻す冷気戻しダクト22と、前記冷蔵室7に循環気流を形成する送風ファン20と、
前記冷凍庫8の後部に設けられた、冷却器16と、該冷却器16を備えた冷気生成室17と、前記冷却器16と熱交換した冷気を前記冷気生成室19から前記冷凍庫8に導く送風経路と、前記冷凍室8から前記野菜室9に冷気を導く送風路と、前記野菜室9から前記冷気生成室19に冷気を戻す冷気戻しダクト22と、前記冷凍室8及び前記野菜室9に循環気流を形成する送風ファン20と、を有し、
前記冷却器16と熱交換した冷気を、前記送風ファン20の駆動により送風して前記冷凍室8及び前記野菜室9を冷却し、
前記冷凍室8と前記冷蔵室7とを区画する断熱仕切体6と、前記冷凍室8と前記野菜室9とを区画する断熱仕切体6と、をさらに備え、
前記冷気戻しダクト22は、前記断熱仕切体6に設けられた
冷蔵庫。」
(2) 甲第2号証
甲第2号証には、「冷蔵庫」に関し、次の記載事項及び図示事項がある。
ア 「【0018】
また、冷蔵庫100は、圧縮機61と、凝縮器(図示せず)と、減圧装置(図示せず)と、冷却器62(蒸発器)と、が配管を介して環状に順次接続されてなる冷凍装置を備えている。そして、この冷凍装置において周知のヒートポンプサイクルで冷媒を循環させ、冷却器62で放熱して冷やされた空気を各室に送り込むようになっている。
【0019】
なお、圧縮機61が収容される機械室R61は、野菜室R5の背面側に配置され、冷却器62が収容される冷却器収容室R62(収容室)は、下段冷凍室R4の背面側に配置されている。
【0020】
また、冷却器収容室R62において冷却器62の上方には、各室に冷気を送り込んで循環させる送風機7が設置されている。
【0021】
図2に示すように、冷蔵庫100は、冷却器収容室R62から冷蔵室R1に冷気を供給するための冷蔵室送風ダクトD1と、この冷蔵室送風ダクトD1を介した冷気の供給/遮断を切り替える冷蔵室ダンパP1と、を備えている。冷蔵室送風ダクトD1には複数の吹出孔h1が設けられ、この吹出孔h1を介して冷蔵室R1に冷気が送り込まれる。
【0022】
また、冷蔵庫100は、冷却器収容室R62から製氷室R2(図1参照)、上段冷凍室R3、及び下段冷凍室R4に冷気を供給するための冷凍室送風ダクトD2と、この冷凍室送風ダクトD2を介した冷気の供給/遮断を切り替える冷凍室ダンパP2と、を備えている。冷凍室送風ダクトD2には、製氷室R2(図1参照)、上段冷凍室R3、及び下段冷凍室R4に臨む吹出孔h2が設けられ、この吹出孔h2を介して各室に冷気が送り込まれる。
【0023】
また、冷蔵庫100は、冷却器収容室R62から野菜室R5に冷気を供給するための冷気供給流路h5と、この冷気供給流路h5を介した冷気の供給/遮断を切り替える野菜室ダンパP5(開閉装置)と、を備えている。冷気供給流路h5は、図2ではその一部を示しており、実際は送風機7の下流(図2では送風機7の上側であって、冷蔵室ダンパP1と並列位置、下流位置又は上流位置のいずれか)に連結している。より詳しくは、送風機7によって昇圧された冷気が、冷却器収容室R62から送風機7下流に流れて、その後に冷気供給流路h5及び野菜室ダンパP5を介して野菜室R5に至る。
【0024】
なお、野菜室R5に冷気を供給する冷気供給流路h5は、この構成に限らず、冷蔵室R1に供給された後の冷気が冷気供給流路h5に導かれて、野菜室R5に供給される構成であってもよい。」
イ 「【図2】
[図:0001407857000002.jpg]
」
(3) 甲第3号証
甲第3号証には、「冷蔵庫」に関し、次の記載事項及び図示事項がある。
ア 「【0024】ここで、RモードとFモードでの、冷蔵室用蒸発器15及び冷凍室用蒸発器20の圧力変化について図3を参照して説明する。Fモード時の冷凍室用蒸発器20は前述したように約-28℃に冷却され、圧力は前述した通り約0.09MPaである。このとき、出口が冷凍室用蒸発器20の出口側と接続されている冷蔵室用蒸発器15も同様の圧力(約0.09MPa)となる。
【0025】この状態からRモードに切り替えられると、圧縮機24は冷蔵室用蒸発器15の温度が約-5℃となるように、その運転周波数を変化させる(この場合50Hzから30Hzへ)。これに伴い、冷蔵室用蒸発器15の圧力は、約0.24MPaまで上昇する。すると、冷蔵室用蒸発器15と冷凍室用蒸発器20との間に約0.15MPaの圧力差が生じ、冷凍室用蒸発器20の出口に接続された逆止弁29が作用する。つまり、冷凍室用蒸発器20では、約-28℃の冷媒が保持され、圧力はこのときの飽和圧力となり、低温状態が維持されることとなる。
【0026】次に本発明の作用について、図4も参照して説明する。この図4は、各モードにおける切替弁26の状態と、圧縮機24の運転周波数と、冷蔵室用蒸発器15の温度変化(Rエバの温度変化)と、冷凍室用蒸発器20の温度変化(Fエバの温度変化)とを示している。」
イ 「【図3】
[図:0001407857000003.jpg]
」
ウ 「【図4】
[図:0001407857000004.jpg]
」
(4) 甲第4号証
甲第4号証には、「冷蔵庫」に関し、次の記載事項及び図示事項がある。
ア 「【0032】
また、圧縮機1は例えばインバーターによる回転数制御で冷媒循環量を制御し冷凍能力を変化させることができる能力可変型としてある。」
イ 「【0039】
冷蔵室9の冷却を開始すると冷蔵室温度検知手段TH1が予め設定された所定の温度t11L、t12L、t13L以下と段階的に、圧縮機1の回転数を低速回転r/s1からr/s2さらにr/s3とシフトアップするように制御手段C1にてある一定の回転数以下で、冷却をする。且つ冷凍室温度検知手段であるTH2が予め設定された所定の温度(t2L)以上を検知以下すると制御手段C1はこの信号を受け冷蔵室用ファン11を停止するとともに冷凍室用ファン12を作動し、三方弁3を第ニのキャピラリ6側に開放し冷凍室10の冷却を開始する(T2)。」
ウ 「【0041】
冷凍室10の冷却は冷凍室温度検知手段TH2が予め設定された所定の温度(t2L)以下になるまで、圧縮機1の回転数は、r/s4の高速で回転する。且つ冷蔵室温度検知手段であるTH1が予め設定された所定の温度(t1H)以上を検知すると制御手段C1はこの信号を受け冷凍室用ファン12を停止するとともに冷蔵室用ファン11を作動し、三方弁3を第一のキャピラリ4側に開放し冷蔵室9の冷却を開始する(T3)。」
エ 「【図2】
[図:0001407857000005.jpg]
」
2 対比及び判断
(1) 本件発明1について
本件発明1と甲1発明とを対比すると、後者の「冷凍室8」は、その機能、構成又は技術的意義からみて前者の「冷凍温度帯室」に相当し、同様に、「冷蔵室7」は「第一冷蔵温度帯室」に、「野菜室9」は「野菜室」にそれぞれ相当する。そうすると、後者の「冷凍室8の上方に冷蔵室7、前記冷凍室8の下方に冷蔵温度帯に固定された野菜室9とを備え」ることは、前者の「冷凍温度帯室の上方に第一冷蔵温度帯室、前記冷凍温度帯室の下方に冷蔵温度帯に固定された野菜室とを備え」ることに相当する。
後者の「後部」は、その機能、構成又は技術的意義からみて前者の「略背部」に相当する。同様に「設けられた」は「位置する」に、「備えた」は「収納する」に、「冷気」は「空気」に、「戻す」は「導く」にそれぞれ相当する。そうすると、後者の「前記冷蔵室7の後部に設けられた冷却器16と、該冷却器16を備えた冷気生成室19と、前記冷却器16と熱交換した冷気を前記冷気生成室19から前記冷蔵室7に導く送風経路と、前記冷蔵室7から前記冷気生成室19に冷気を戻す冷気戻しダクト22と、前記冷蔵室7に循環気流を形成する送風ファン20」は、前者の「前記第一冷蔵温度帯室の略背部に位置する第一蒸発器と、該第一蒸発器を収納する第一蒸発器収納室と、前記第一蒸発器と熱交換した空気を前記第一蒸発器収納室から前記第一冷蔵温度帯室に導く第一送風経路と、前記第一冷蔵温度帯室から前記第一蒸発器収納室に空気を導く第一戻り経路と、前記第一冷蔵温度帯室に循環気流を形成する第一送風機」に相当する。
後者の「前記冷凍庫8の後部に設けられた、冷却器16」と前者の「前記冷凍温度帯室の略背部に位置し、冷凍運転中の温度が冷蔵運転中の前記第一蒸発器よりも低い第二蒸発器」とは、「前記冷凍温度帯室の略背部に位置する第二蒸発器」という限りで一致する。
同様に、後者の「前記冷凍室8から前記野菜室9に冷気を導く送風路」と前者の「前記第二送風経路から前記野菜室に空気を導く野菜室送風路」とは、「前記野菜室に空気を導く野菜室送風路」という限りで一致する。
そうすると、後者の「前記冷凍庫8の後部に設けられた、冷却器16と、該冷却器16を備えた冷気生成室17と、前記冷却器16と熱交換した冷気を前記冷気生成室19から前記冷凍庫8に導く送風経路と、前記冷凍室8から前記野菜室9に冷気を導く送風路と、前記野菜室9から前記冷気生成室19に冷気を戻す冷気戻しダクト22と、前記冷凍室8及び前記野菜室9に循環気流を形成する送風ファン20」と前者の「前記冷凍温度帯室の略背部に位置し、冷凍運転中の温度が冷蔵運転中の前記第一蒸発器よりも低い第二蒸発器と、該第二蒸発器を収納する第二蒸発器収納室と、前記第二蒸発器と熱交換した空気を前記第二蒸発器収納室から前記冷凍温度帯室に導く第二送風経路と、前記冷凍温度帯室から前記第二蒸発器収納室に空気を導く第二戻り経路と、前記第二送風経路から前記野菜室に空気を導く野菜室送風路と、前記野菜室から前記第二蒸発器収納室に空気を導く野菜室戻り風路と、前記冷凍温度帯室及び前記野菜室に循環気流を形成する第二送風機」とは、「前記冷凍温度帯室の略背部に位置する第二蒸発器と、該第二蒸発器を収納する第二蒸発器収納室と、前記第二蒸発器と熱交換した空気を前記第二蒸発器収納室から前記冷凍温度帯室に導く第二送風経路と、前記野菜室に空気を導く野菜室送風路と、前記野菜室から前記第二蒸発器収納室に空気を導く野菜室戻り風路と、前記冷凍温度帯室及び前記野菜室に循環気流を形成する第二送風機」という限りで一致する。
後者の「前記冷却器16と熱交換した冷気を、前記送風ファン20の駆動により送風して前記冷凍室8及び前記野菜室9を冷却」することは、前者の「前記第二蒸発器と熱交換した空気を、前記第二送風機の駆動により送風して前記冷凍温度帯室及び前記野菜室を冷却」することに相当する。
後者の「区画する」は、その機能、構成又は技術的意義からみて前者の「隔てる」に相当する。そうすると、後者の「前記冷凍室8と前記冷蔵室7とを区画する断熱仕切体6と、前記冷凍室8と前記野菜室9とを区画する断熱仕切体6と、をさらに備え」ることは、前者の「前記冷凍温度帯室と前記第一冷蔵温度帯室とを隔てる第一の断熱仕切壁と、前記冷凍温度帯室と前記野菜室とを隔てる第二の断熱仕切壁と、をさらに備え」ることに相当する。
そして、後者の「前記冷気戻しダクト22は、前記断熱仕切体6に設けられ」ることは、冷気戻しダクト22が冷凍室8と前記野菜室9とを区画する断熱仕切体6に設けられることであるから、前者の「前記野菜室戻り風路は、前記第二の断熱仕切壁内に設けられ」ることに相当する。
そうすると、両者は
「 冷凍温度帯室の上方に第一冷蔵温度帯室、前記冷凍温度帯室の下方に冷蔵温度帯に固定された野菜室とを備え、
前記第一冷蔵温度帯室の略背部に位置する第一蒸発器と、該第一蒸発器を収納する第一蒸発器収納室と、前記第一蒸発器と熱交換した空気を前記第一蒸発器収納室から前記第一冷蔵温度帯室に導く第一送風経路と、前記第一冷蔵温度帯室から前記第一蒸発器収納室に空気を導く第一戻り経路と、前記第一冷蔵温度帯室に循環気流を形成する第一送風機と、
前記冷凍温度帯室の略背部に位置する第二蒸発器と、該第二蒸発器を収納する第二蒸発器収納室と、前記第二蒸発器と熱交換した空気を前記第二蒸発器収納室から前記冷凍温度帯室に導く第二送風経路と、前記野菜室に空気を導く野菜室送風路と、前記野菜室から前記第二蒸発器収納室に空気を導く野菜室戻り風路と、前記冷凍温度帯室及び前記野菜室に循環気流を形成する第二送風機と、を有し、
前記第二蒸発器と熱交換した空気を、前記第二送風機の駆動により送風して前記冷凍温度帯室及び前記野菜室を冷却し、
前記冷凍温度帯室と前記第一冷蔵温度帯室とを隔てる第一の断熱仕切壁と、前記冷凍温度帯室と前記野菜室とを隔てる第二の断熱仕切壁と、をさらに備え、
前記野菜室戻り風路は、前記第二の断熱仕切壁内に設けられる冷蔵庫。」
である点で一致し、以下の3点で相違する。
[相違点1]
第二蒸発器に関して、前者は、「冷凍運転中の温度が冷蔵運転中の前記第一蒸発器よりも低い第二蒸発器」であるのに対し、後者は、冷却器16がかかる事項を備えるか不明な点。
[相違点2]
前者は、「前記冷凍温度帯室から前記第二蒸発器収納室に空気を導く第二戻り経路」を備えるとともに、野菜室送風路に関して「前記第二送風経路から前記野菜室に空気を導く野菜室送風路」を備えるのに対し、後者は、冷凍室8から蒸発器収納室に空気を導く経路を備えず、野菜室送風路に関して「冷凍室8から前記野菜室9に冷気を導く送風路」を備える点。
[相違点3]
前者は「前記野菜室に冷気を送る際には、圧縮機の回転速度を、冷蔵運転中の回転速度よりも高速駆動状態にすることで、前記第二蒸発器を、冷蔵運転中の前記第一蒸発器の温度よりも低温」にするとともに、「前記野菜室に供給する風量は前記冷凍温度帯室に供給する風量より少ない」のに対し、後者はかかる事項を備えるか不明な点。
事案に鑑み、上記相違点2について検討する。
甲第2号証の記載事項及び図示事項から、甲第2号証には、次の技術事項(以下、「甲2記載の技術事項」という。)を開示していると理解できる。
[甲2記載の技術事項]
「冷蔵庫100は、冷却器収容室R62から製氷室R2、上段冷凍室R3、及び下段冷凍室R4に冷気を供給するための、吹出孔h2が設けられた冷凍室送風ダクトD2と、冷却器収容室R62から野菜室R5に冷気を供給するための冷気供給流路h5を備えていること。」
甲2記載の技術事項において、野菜室R5への冷気の供給は、冷凍室送風ダクトD2とは異なる構成である冷却器収納室R62から冷気供給流路h5によりなされているのであるから、仮に甲1発明に甲2記載の技術事項を適用する動機があるとしても、該適用したものは、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項である「前記第二送風経路から前記野菜室に空気を導く野菜室送風路」とはならない。
また、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項は、甲第3号証及び甲第4号証に記載されておらず、示唆もない。
そして、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項により、本件発明1は「野菜室の大小によらず、冷蔵室、冷凍温度帯室及び野菜室を効率よく冷却できる」等の格別顕著な効果を奏する。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、甲2記載の技術事項、甲第3号証の記載事項及び甲第4号証の記載事項から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2) 本件発明2ないし本件発明4について
本件発明2ないし本件発明4は、それぞれ、本件発明1を請求項2ないし請求項4に記載される発明特定事項により特定したものである。そうすると、本件発明2ないし本件発明4も、本件発明1の上記相違点2を有する。
そして、上記相違点2に係る本件発明1の発明特定事項は、本件発明1の上記相違点2の検討で述べたとおり、甲1発明及び甲2記載の技術事項から容易に想到することができたものではない。
そうすると、本件発明2ないし本件発明4は、甲1発明、甲2記載の技術事項、甲第3号証の記載事項及び甲第4号証の記載事項から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3 まとめ
以上のとおり、本件発明1ないし本件発明4は、甲1発明、甲2記載の技術事項、甲第3号証の記載事項及び甲第4号証の記載事項から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第4 むすび
以上のとおり、特許異議申立書に記載した特許異議の申し立ての理由によって、本件特許1ないし本件特許4を取り消すことはできない。
他に、本件特許1ないし本件特許4を取り消すべき理由は発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-701006