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特許異議申立

2024-700117

情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム

審判番号
2024-700117
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2023-107535
登録番号
7325881
請求日
2024年02月09日
審決日
2025年05月22日
公報発行日
2025年08月29日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社アスター
  • 【権利者代理人】加藤 卓士
  • 【異議申立人】IPセイル 合同会社
審判長/審判官
  • 審判長 伏本 正典
  • 審判官 古川 哲也
  • 審判官 松田 直也
分類
P1651.113-YAA(G16H) / P1651.121-YAA(G16H) / P1651.537-YAA(G16H) / P1651.536-YAA(G16H) / P1651.832-YAA(G16H) / P1651.854-YAA(G16H)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の8第1項、特許法第135条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7325881号発明「情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7325881号の特許請求の範囲を、令和7年2月7日提出の訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕、7、8、9について訂正することを認める。 特許第7325881号の請求項3、4、6、7、8及び9に係る特許を維持する。 特許第7325881号の請求項1、2及び5に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 経緯 特許第7325881号の請求項1~9に係る特許についての出願は、令和5年6月29日の出願であって、同年8月4日にその特許権の設定登録がされ、同年8月15日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、令和6年2月9日に特許異議申立人IPセイル合同会社(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされた。 その後の手続の経緯は以下のとおりである。 令和6年 3月 6日 手続補正書(方式)の提出(申立人) 令和6年 4月24日 取消理由通知書(起案日) 令和6年 7月 1日 訂正請求書・意見書の提出(特許権者) 令和6年 7月11日 手続補正指令書(方式)(起案日) 令和6年 8月 9日 手続補正書(方式)の提出(特許権者) 令和6年10月 7日 通知書(訂正請求があった旨の通知)(起案日) 令和6年11月 6日 意見書の提出(申立人) 令和6年12月 5日 取消理由通知書(決定の予告)(起案日) 令和7年 2月 7日 訂正請求書の提出(特許権者) 令和7年 3月10日 通知書(訂正請求があった旨の通知)(起案日) なお、申立人から、令和7年3月10日付け通知書に対する意見書の提出はなかった。 第2 令和7年2月7日にされた訂正請求について 1 訂正請求の趣旨 特許第7325881号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~9について訂正することを求める。 なお、以下、本訂正請求書でする訂正を「本件訂正」という。 2 訂正の内容 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3を独立形式に改めるため、元の請求項1に記載されていた「医療機関または介護施設で行われる診療行為に対応する傷病データまたは疾病分類コードと、前記医療機関または前記介護施設の施設構成データとを入力データとし、前記傷病データまたは疾病分類コードと前記施設構成データとに対応するレセプトデータを教師データとして、診療報酬を予測するための第1学習モデルを生成する第1学習モデル生成部」を追加する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4を独立形式に改め、明確性の取消理由3を解消するため、元の請求項1に記載されていた「医療機関または介護施設で行われる診療行為に対応する傷病データまたは疾病分類コードと、前記医療機関または前記介護施設の施設構成データとを入力データとし、前記傷病データまたは疾病分類コードと前記施設構成データとに対応するレセプトデータを教師データとして、診療報酬を予測するための第1学習モデルを生成する第1学習モデル生成部」と、元の請求項2に記載されていた「傷病データまたは疾病分類コードと、施設構成データとを入力して、前記第1学習モデルを用いて予測した診療報酬の予測値を出力する診療報酬予測部」と、元の請求項3に記載されていた「前記第1学習モデル生成部は、前記教師データとしてレセプト審査機関による審査結果をさらに用いた」とを追加する。 (5)訂正事項5 請求項5を削除する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6を独立形式に改めるため、元の請求項1に記載されていた「医療機関または介護施設で行われる診療行為に対応する傷病データまたは疾病分類コードと、前記医療機関または前記介護施設の施設構成データとを入力データとし、前記傷病データまたは疾病分類コードと前記施設構成データとに対応するレセプトデータを教師データとして、診療報酬を予測するための第1学習モデルを生成する第1学習モデル生成部」と、元の請求項2に記載されていた「傷病データまたは疾病分類コードと、施設構成データとを入力して、前記第1学習モデルを用いて予測した診療報酬の予測値を出力する診療報酬予測部」と元の請求項3に記載されていた「前記第1学習モデル生成部は、前記教師データとしてレセプト審査機関による審査結果をさらに用いた」とを追加する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項7に、元の請求項4の「前記診療報酬の予測値と、前記医療機関または介護施設により発行されたレセプトデータに含まれる診療報酬と、を対比して表示する表示制御部」と元の請求項3に記載されていた「前記第1学習モデル生成部は、前記教師データとしてレセプト審査機関による審査結果をさらに用いた」とを追加して、 「医療機関または介護施設で行われる診療行為に対応する傷病データまたは疾病分類コードと、前記医療機関または介護施設の施設構成データとを入力データとし、前記傷病データまたは疾病分類コードと前記施設構成データとに対応するレセプトデータを教師データとして生成された第1学習モデルを用いて予測した診療報酬の予測値を出力する情報処理装置であって、 前記診療報酬の予測値と、前記医療機関または介護施設により発行されたレセプトデータに含まれる診療報酬と、を対比して表示する表示制御部を備え、 前記第1学習モデル生成部は、前記教師データとしてレセプト審査機関による審査結果をさらに用いた情報処理装置。」に訂正する。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項8に、「医療機関または介護施設で行われる診療行為に対応する傷病データまたは疾病分類コードと、前記医療機関または介護施設の施設構成データとを入力データとし、前記傷病データまたは疾病分類コードと前記施設構成データとに対応するレセプトデータを教師データとして、診療報酬を予測するための第1学習モデルを生成する」と記載されているのを、「医療機関または介護施設で行われる診療行為に対応する傷病データまたは疾病分類コードと、前記医療機関または介護施設の施設構成データとを入力データとし、前記傷病データまたは疾病分類コードと前記施設構成データとに対応するレセプトデータ及びレセプト審査機関による審査結果を教師データとして、診療報酬を予測するための第1学習モデルを生成する」に訂正する。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項9に、「医療機関または介護施設で行われる診療行為に対応する傷病データまたは疾病分類コードと、前記医療機関または介護施設の施設構成データとを入力データとし、前記傷病データまたは疾病分類コードと前記施設構成データとに対応するレセプトデータを教師データとして、診療報酬を予測するための第1学習モデルを生成する」と記載されているのを、「医療機関または介護施設で行われる診療行為に対応する傷病データまたは疾病分類コードと、前記医療機関または介護施設の施設構成データとを入力データとし、前記傷病データまたは疾病分類コードと前記施設構成データとに対応するレセプトデータ及びレセプト審査機関による審査結果を教師データとして、診療報酬を予測するための第1学習モデルを生成する」に訂正する。 3 訂正についての当審の判断 (1)一群の請求項について 訂正前の請求項1~6について、請求項2~6は、請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項1~6に対応する訂正後の請求項1~6は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 (2)一群の請求項1~6について ア 訂正事項1、2、5について (ア)訂正の目的について 訂正事項1、2、5は、それぞれ、訂正前の請求項1、2、5を削除する訂正である。 したがって、訂正事項1、2、5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 (イ)事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項1、2、5は、それぞれ、訂正前の請求項1、2、5を削除する訂正である。 したがって、訂正事項1、2、5は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(この項において、以下、「明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1、2、5は、それぞれ、訂正前の請求項1、2、5を削除する訂正である。 したがって、訂正事項1、2、5は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 (エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができるか否か 特許法第120条の5第9項により読み替えて準用する同法126条第7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)については、本件特許の訂正前の全請求項である請求項1~9に係る特許が特許異議の申立ての対象とされているものであるから、訂正事項1、2、5による訂正後の請求項1、2、5に係る発明については課されない。 イ 訂正事項3について (ア)訂正の目的について 訂正事項3は、本件訂正により、訂正前の請求項1を削除する訂正に連動して、訂正前の請求項3を独立形式の請求項とする(以下、「訂正事項3A」という。)とともに、訂正前の請求項3の「前記第1学習モデル生成部は、前記教師データとしてレセプト審査機関による審査結果をさらに含む」を、本件訂正により、「前記第1学習モデル生成部は、前記教師データとしてレセプト審査機関による審査結果をさらに用いた」と、表現を明確にする(以下、「訂正事項3B」という。)訂正である。 したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」、又は、同第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。 (イ)事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項3は、訂正前の請求項1を削除する訂正に連動して、訂正前の請求項3を独立形式の請求項とするとともに、表現を明確にする訂正である。 したがって、訂正事項3は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (ウ)明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項3は、訂正前の請求項1を削除する訂正に連動して、訂正前の請求項3を独立形式の請求項とするとともに、表現を明確にする訂正である。 そして、訂正事項3Bについて、明細書等には次の記載がある。なお、下線は当審で付与した。 「【0017】 [第2実施形態] 次に、本発明の第2実施形態に係る情報処理装置について説明する。本実施形態に係る情報処理装置は、診療行為に対応する傷病データまたは疾病分類コードと、医療機関または介護施設の施設構成データとを入力データとし、傷病データまたは疾病分類コードと施設構成データとに対応するレセプトデータを教師データとして、診療報酬を予測するための学習モデルを生成する。そして、実際に発生した診療行為に対応する傷病データまたは疾病分類コードと施設構成データに基づいて、学習モデルで予測された診療報酬の予測値(以下、予測診療報酬とも称す)と発行したレセプトデータに含まれる算出された診療報酬(以下、算出診療報酬とも称す)とを対比して表示し、レセプトの改善を提案する。また、教師データとして、レセプト審査機関による審査結果をさらに含み、学習モデルはレセプト審査機関の審査で承認されるレセプトデータを予測する。なお、本実施形態では、医療機関または介護施設の売上としてレセプトデータに含まれる診療報酬を例に説明するが、売上はレセプトデータに含まれる診療報酬のみに限定されない。」 そうすると、学習モデルに生成のために「教師データ」として、さらに「レセプト審査機関による審査結果」を「用いる」ことが記載されていることは明らかである。 したがって、訂正事項3は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 (エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができるか否か 特許法第120条の5第9項により読み替えて準用する同法126条第7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)について、訂正事項3は、「明瞭でない記載の釈明」、又は、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであるから、訂正事項3による訂正後の請求項3に係る発明については課されない。 ウ 訂正事項4について (ア)訂正の目的について 訂正事項4は、訂正前の請求項1を削除する訂正に連動して、訂正前の請求項4を独立形式の請求項とするとともに、令和6年4月24日付け取消理由通知の明確性の取消理由3を解消するために訂正前の請求項2に記載されていた「傷病データまたは疾病分類コードと、施設構成データとを入力して、前記第1学習モデルを用いて予測した診療報酬の予測値を出力する診療報酬予測部」を追加することで明確にし、さらに訂正前の請求項3に記載されていた「前記第1学習モデル生成部は、前記教師データとしてレセプト審査機関による審査結果をさらに用いた」を追加する訂正である。 したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、同第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」、又は、同第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。 (イ)事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項4は、訂正前の請求項1を削除する訂正に連動して、訂正前の請求項4を独立形式の請求項とするとともに、不明瞭な記載を明確にし、さらに、「第1学習モデル生成部」の機能を「前記教師データとしてレセプト審査機関による審査結果をさらに用いた」と減縮する訂正である。 したがって、訂正事項4は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (ウ)明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項4は、訂正前の請求項1を削除する訂正に連動して、訂正前の請求項4を独立形式の請求項とし、さらに、訂正前の請求項2、3の構成を追加する訂正である。 したがって、訂正事項4は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 (エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができるか否か 特許法第120条の5第9項により読み替えて準用する同法126条第7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)について、本件特許の訂正前の全請求項である請求項1~9に係る特許が特許異議の申立ての対象とされているものであるから、訂正事項4による訂正後の請求項4に係る発明については課されない。 エ 訂正事項6について (ア)訂正の目的について 訂正事項6は、訂正前の請求項1及び2を削除する訂正に連動して、訂正前の請求項6を独立形式の請求項とし、さらに訂正前の請求項3に記載されていた「前記第1学習モデル生成部は、前記教師データとしてレセプト審査機関による審査結果をさらに用いた」を追加する訂正である。 したがって、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、又は、同第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。 (イ)事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項6は、訂正前の請求項1及び2を削除する訂正に連動して、訂正前の請求項6を独立形式の請求項とし、さらに、「第1学習モデル生成部」の機能を「前記教師データとしてレセプト審査機関による審査結果をさらに用いた」と減縮する訂正である。 したがって、訂正事項6は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (ウ)明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項6は、訂正前の請求項1及び2を削除する訂正に連動して、訂正前の請求項6を独立形式の請求項とし、さらに、訂正前の請求項3の構成を追加する訂正である。 したがって、訂正事項6は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 (エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができるか否か 特許法第120条の5第9項により読み替えて準用する同法126条第7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)については、本件特許の訂正前の全請求項である請求項1~9に係る特許が特許異議の申立ての対象とされているものであるから、訂正事項6による訂正後の請求項6に係る発明については課されない。 (3)訂正事項7について ア 訂正の目的について 訂正事項7は、訂正前の請求項7について、本件訂正により、訂正前の請求項4の「前記診療報酬の予測値と、前記医療機関または介護施設により発行されたレセプトデータに含まれる診療報酬と、を対比して表示する表示制御部」及び訂正前の請求項3に記載されていた「前記第1学習モデル生成部は、前記教師データとしてレセプト審査機関による審査結果をさらに用いた」との構成を追加する訂正である。 したがって、訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 イ 事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項7は、訂正前の請求項7について、本件訂正により、「情報処理装置」が「表示制御部」を備えるとすることで減縮し、「第1学習モデル生成部」の機能を「前記教師データとしてレセプト審査機関による審査結果をさらに用いた」と減縮する訂正である。 したがって、訂正事項7は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 ウ 明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項7は、訂正前の請求項7を、本件訂正により、訂正前の請求項3、4の構成を追加する訂正である。 したがって、訂正事項7は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができるか否か 特許法第120条の5第9項により読み替えて準用する同法126条第7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)については、本件特許の訂正前の全請求項である請求項1~9に係る特許が特許異議の申立ての対象とされているものであるから、訂正事項7による訂正後の請求項7に係る発明については課されない。 (4)訂正事項8について ア 訂正の目的について 訂正事項8は、訂正前の請求項8の「前記傷病データまたは疾病分類コードと前記施設構成データとに対応するレセプトデータを教師データとして」を、本件訂正により、「前記傷病データまたは疾病分類コードと前記施設構成データとに対応するレセプトデータ及びレセプト審査機関による審査結果を教師データとして」とする訂正である。 したがって、訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 イ 事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項8は、訂正前の請求項8の「前記傷病データまたは疾病分類コードと前記施設構成データとに対応するレセプトデータを教師データとして」を、本件訂正により、「前記傷病データまたは疾病分類コードと前記施設構成データとに対応するレセプトデータ及びレセプト審査機関による審査結果を教師データとして」と減縮する訂正である。 したがって、訂正事項8は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 ウ 明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項8は、訂正前の請求項8の「前記傷病データまたは疾病分類コードと前記施設構成データとに対応するレセプトデータを教師データとして」を、本件訂正により、「前記傷病データまたは疾病分類コードと前記施設構成データとに対応するレセプトデータ及びレセプト審査機関による審査結果を教師データとして」とする訂正である。 そして、明細書等には、上記(2)イ(ウ)で摘記した【0017】の記載があり、レセプトデータ及びレセプト審査機関による審査結果を教師データとすることが記載されている。 したがって、訂正事項8は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができるか否か 特許法第120条の5第9項により読み替えて準用する同法126条第7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)については、本件特許の訂正前の全請求項である請求項1~9に係る特許が特許異議の申立ての対象とされているものであるから、訂正事項8による訂正後の請求項8に係る発明については課されない。 (5)訂正事項9について ア 訂正の目的について 訂正事項9は、訂正前の請求項9の「前記傷病データまたは疾病分類コードと前記施設構成データとに対応するレセプトデータを教師データとして」を、本件訂正により、「前記傷病データまたは疾病分類コードと前記施設構成データとに対応するレセプトデータ及びレセプト審査機関による審査結果を教師データとして」とする訂正である。 したがって、訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 イ 事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項9は、訂正前の請求項9の「前記傷病データまたは疾病分類コードと前記施設構成データとに対応するレセプトデータを教師データとして」を、本件訂正により、「前記傷病データまたは疾病分類コードと前記施設構成データとに対応するレセプトデータ及びレセプト審査機関による審査結果を教師データとして」と減縮する訂正である。 したがって、訂正事項9は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 ウ 明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項9は、訂正前の請求項9の「前記傷病データまたは疾病分類コードと前記施設構成データとに対応するレセプトデータを教師データとして」を、本件訂正により、「前記傷病データまたは疾病分類コードと前記施設構成データとに対応するレセプトデータ及びレセプト審査機関による審査結果を教師データとして」とする訂正である。 そして、明細書等には、上記(2)イ(ウ)で摘記した【0017】の記載があり、レセプトデータ及びレセプト審査機関による審査結果を教師データとすることが記載されている。 したがって、訂正事項9は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができるか否か 特許法第120条の5第9項により読み替えて準用する同法126条第7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)については、本件特許の訂正前の全請求項である請求項1~9に係る特許が特許異議の申立ての対象とされているものであるから、訂正事項9による訂正後の請求項9に係る発明については課されない。 4 訂正についてのまとめ 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号、第4号に掲げる事項を目的とするものであり、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものであるから、訂正要件を満たすものである。 また、本件訂正は、特許法第120条の5第9項により読み替えて準用する同法126条第7項に規定する要件(独立特許要件)は課されない。 よって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~9について訂正することを認める。 第3 訂正後の特許請求の範囲 上記「第2」のとおり、訂正請求による特許請求の範囲の訂正は認められることから、訂正後の特許請求の範囲は、令和7年2月7日に提出された訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲に記載された、次のとおりのものである(以下、「請求項1」~「請求項9」に係る発明を、それぞれ、「本件訂正発明1」~「本件訂正発明9」といいこれらをまとめて「本件訂正発明」という。なお、下線は訂正箇所。特許権者が付与した。)。 「訂正特許請求の範囲 【請求項1】(削除) 【請求項2】(削除) 【請求項3】 医療機関または介護施設で行われる診療行為に対応する傷病データまたは疾病分類コードと、前記医療機関または前記介護施設の施設構成データとを入力データとし、前記傷病データまたは疾病分類コードと前記施設構成データとに対応するレセプトデータを教師データとして、診療報酬を予測するための第1学習モデルを生成する第1学習モデル生成部を備え、 前記第1学習モデル生成部は、前記教師データとしてレセプト審査機関による審査結果をさらに用いた情報処理装置。 【請求項4】 医療機関または介護施設で行われる診療行為に対応する傷病データまたは疾病分類コードと、前記医療機関または前記介護施設の施設構成データとを入力データとし、前記傷病データまたは疾病分類コードと前記施設構成データとに対応するレセプトデータを教師データとして、診療報酬を予測するための第1学習モデルを生成する第1学習モデル生成部と、 傷病データまたは疾病分類コードと、施設構成データとを入力して、前記第1学習モデルを用いて予測した診療報酬の予測値を出力する診療報酬予測部と、 前記診療報酬の予測値と、前記医療機関または介護施設により発行されたレセプトデータに含まれる診療報酬と、を対比して表示する第1表示制御部と、を備え、 前記第1学習モデル生成部は、前記教師データとしてレセプト審査機関による審査結果をさらに用いた情報処理装置。 【請求項5】(削除) 【請求項6】 医療機関または介護施設で行われる診療行為に対応する傷病データまたは疾病分類コードと、前記医療機関または前記介護施設の施設構成データとを入力データとし、前記傷病データまたは疾病分類コードと前記施設構成データとに対応するレセプトデータを教師データとして、診療報酬を予測するための第1学習モデルを生成する第1学習モデル生成部と、 傷病データまたは疾病分類コードと、施設構成データとを入力して、前記第1学習モデルを用いて予測した診療報酬の予測値を出力する診療報酬予測部と、 を備え、 前記診療報酬予測部は、所定の施設構成の変更後の施設構成データを入力して、前記診療報酬の第2予測値を出力し、 前記所定の施設構成の変更と、前記医療機関または介護施設により発行されたレセプトデータに含まれる診療報酬と、前記第2予測値とを対比して表示する第3表示制御部をさらに備え、 前記第1学習モデル生成部は、前記教師データとしてレセプト審査機関による審査結果をさらに用いた情報処理装置。 【請求項7】 医療機関または介護施設で行われる診療行為に対応する傷病データまたは疾病分類コードと、前記医療機関または介護施設の施設構成データとを入力データとし、前記傷病データまたは疾病分類コードと前記施設構成データとに対応するレセプトデータを教師データとして生成された第1学習モデルを用いて予測した診療報酬の予測値を出力する情報処理装置であって、 前記診療報酬の予測値と、前記医療機関または介護施設により発行されたレセプトデータに含まれる診療報酬と、を対比して表示する表示制御部を備え、 前記第1学習モデル生成部は、前記教師データとしてレセプト審査機関による審査結果をさらに用いた情報処理装置。 【請求項8】 第1学習モデル生成部が、医療機関または介護施設で行われる診療行為に対応する傷病データまたは疾病分類コードと、前記医療機関または介護施設の施設構成データとを入力データとし、前記傷病データまたは疾病分類コードと前記施設構成データとに対応するレセプトデータ及びレセプト審査機関による審査結果を教師データとして、診療報酬を予測するための第1学習モデルを生成する情報処理方法。 【請求項9】 医療機関または介護施設で行われる診療行為に対応する傷病データまたは疾病分類コードと、前記医療機関または介護施設の施設構成データとを入力データとし、前記傷病データまたは疾病分類コードと前記施設構成データとに対応するレセプトデータ及びレセプト審査機関による審査結果を教師データとして、診療報酬を予測するための第1学習モデルを生成する第1学習モデル生成ステップをコンピュータに実行させる情報処理プログラム。」 第4 取消理由 1 令和6年4月24日付けの取消理由の概要 令和6年4月24日付けの取消理由の概要は次のとおりである。 1.(新規性)下記の請求項1、2、5、7、8、9に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、下記の請求項1、2、5、7、8、9に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 2.(進歩性)下記の請求項1、2、5、7、8、9に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項1、2、5、7、8、9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 3.(明確性)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) <引用文献等一覧> 1.特許第7193897号(甲第1号証) 2 令和6年12月5日付け取消理由(決定の予告)の概要 令和6年12月5日付け取消理由(決定の予告)の概要は次のとおりである。 1.(進歩性)請求項4、6、7に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項4、6、7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 <引用文献等一覧> 1.特許第7193897号(甲第1号証) 第5 引用文献等について 1 引用文献1に記載されている事項、引用文献1に記載された発明 (1)引用文献1に記載されている事項 本件特許の出願前である令和4年12月21日に発行された引用文献1(甲第1号証)には、次の事項が記載されている。なお、下線は、当審で付与した。 「【請求項1】 医療機関または介護施設で行われる可能性のある複数の診療行為のそれぞれに対して、傷病データと、診療報酬項目と、診療報酬点数と、前記診療報酬点数を請求するための施設についての施設基準と、前記診療報酬点数を請求するための患者に関する算定要件と、を関連付けて記憶する記憶部と、 前記記憶部を参照し、前記施設基準に関連する施設構成データおよび複数の傷病データを入力して、現状の施設構成における診療報酬点数の第1理論値を算出し、施設構成を変更した場合の診療報酬点数の第2理論値を算出する算出部と、 前記第1理論値から前記第2理論値への増分が第1所定値よりも大きい場合に、施設構成の変更を提示する表示制御部と、 を備えた情報処理装置。 【請求項2】 前記表示制御部は、現状の施設構成における診療報酬点数の実績値と、増分が前記第1所定値よりも大きい前記第2理論値とを表示する請求項1に記載の情報処理装置。」 「【請求項8】 前記記憶部は、診療報酬項目と施設基準と算定要件とを用いて、診療報酬点数を目的変数とし、傷病データおよび施設構成データを説明変数として生成された学習モデルを記憶し、 前記算出部は、複数の傷病データを入力して、前記学習モデルを用いて前記第1理論値および前記第2理論値を予測する予測部である請求項1に記載の情報処理装置。」 「【0007】 上記目的を達成するため、本発明に係る方法は、 医療機関または介護施設で行われる可能性のある複数の診療行為のそれぞれに対して、傷病データと、診療報酬項目と、診療報酬点数と、前記診療報酬点数を請求するための施設についての施設基準と、前記診療報酬点数を請求するための患者に関する算定要件と、を関連付けて記憶する記憶部を参照し、前記施設基準に関連する施設構成データおよび複数の傷病データを入力して、現状の施設構成における診療報酬点数の第1理論値を算出し、施設構成を変更した場合の診療報酬点数の第2理論値を算出する算出ステップと、 前記第1理論値から前記第2理論値への増分が第1所定値よりも大きい場合に、施設構成の変更を提示する表示制御ステップと、 を含む情報処理方法である。」 「【0012】 なお、本明細書で使用する「施設構成」は、病床数、医療従事者数、リハビリセンタ構成、専門スペース構成の有無および医療機器の種類、の少なくとも1つを含む。なお、「施設構成」はこれに限らず、診療報酬点数に影響を与える「施設基準」に関連する全ての構成を含むものである。また、「施設の環境データ」とは、病院の施設構成に影響を与える医療機関や介護施設内部の「内部要因」と対比する、医療圏(どの地域にいるか)の人口、近隣の医療機関構成、医療機関や介護施設が果たすべき役割などを含む、医療機関や介護施設の施設構成に影響を与える「外部要因」を示す。また、「医療圏」とは、適切な医療サービスを効率的に提供するため、地理的条件、交通事情、日常生活の需要の充足状況、行政の区域等を総合的に考慮しながら、日常的な医療から一般的な入院医療、特殊な医療に至る医療サービスを提供する地域的単位として段階的に設定するものである。例えば、「一次医療圏」とは、日常の健康相談や健康管理等の保健サービスの需要および一般的な疾病の診断・治療の医療需要に対応するために設定する区域であり、原則として市町村を単位とする。また、「二次医療圏」とは、医療法第30条の4第2項第12号に規定されている区域であり、一般的な入院医療需要に対応し、保健・医療・福祉の連携した総合的な取組を行うために市町村域を越えて設定する区域である。また、「三次医療圏」とは、医療法第30条の4第2項第13号に規定されている区域であり、特殊な診断・治療を必要とする医療需要に対応するために設定する区域であり、県全域を単位とするものである。 【0013】 [第1実施形態] 本発明の第1実施形態としての情報処理装置100について、図1を用いて説明する。情報処理装置100は、医療機関または介護施設で行われる診療行為に対する報酬を評価して施設構成の変更を提示するための装置である。 【0014】 図1に示すように、情報処理装置100は、記憶部101と算出部102と表示制御部103とを含む。記憶部101は、医療機関または介護施設110で行われる可能性のある複数の診療行為のそれぞれに対して、傷病データ111と、診療報酬項目112と、診療報酬点数113と、診療報酬点数を請求するための施設についての施設基準114と、診療報酬点数を請求するための患者に関する算定要件115と、を関連付けて記憶する。算出部102は、記憶部101を参照し、施設基準に関連する施設構成データ116,117および複数の傷病データ120を入力して、現状の施設構成における診療報酬点数の第1理論値121を算出し、施設構成を変更した場合の診療報酬点数の第2理論値122を算出する。表示制御部103は、第1理論値から第2理論値への増分が所定値131よりも大きい場合に、施設構成の変更132を提示する。 【0015】 以上の構成によれば、医療機関または介護施設において、利益の最大化を図るための施設構成の変更が容易になる。 【0016】 [第2実施形態] 次に本発明の第2実施形態に係る情報処理装置について、図2以降を用いて説明する。」 「【0024】 施設基準とは、診療報酬を算定する際に、保険医療機関が満たすべき人員や設備である。診療報酬点数表とは別の厚生労働大臣告示によって定められ、また細かい取扱いが通知で示されている。」 「【0089】 <情報処理装置の構成> 以上の状況下において、本実施形態にかかる情報処理装置300について、図3A以降を用いて説明する。図3Aは、本実施形態に係る情報処理装置300の構成を説明するための図である。情報処理装置300は、医療機関または介護施設で行われる行為に対する診療報酬を評価・分析して、その最大化を図るための診療報酬データベース/プラットフォームである。情報処理装置300は、施設構成の改善提案機能(医療資源の追加・適正化により診療報酬の底上げ・増加を提案)を備えている。 【0090】 情報処理装置300は、記憶部301と算出部302と表示制御部303とを含む。 【0091】 記憶部301は、医療機関または介護施設310で行われる可能性のある複数の診療行為のそれぞれに対して、傷病データと、診療報酬項目と、診療報酬点数と、施設基準と、算定要件とを関連付けて記憶する。施設基準は、診療報酬点数を請求するための施設について要求される基準であり、算定要件は、診療報酬点数を請求するための患者に関する条件である。それぞれの診療報酬項目には、さらに加算項目と加算点数、加算施設基準および加算算定要件が紐付けられている。この記憶部301は、必ずしも情報処理装置300の内部にハードウェアとして存在せずともよく、例えば、日本国外に設置された外部サーバが情報処理装置300の記憶部301として機能する場合なども本発明の概念に含まれる。」 「【0094】 記憶部301には、診療報酬項目(~料)ごとに、全ての施設基準400が登録されており、例えば図4に示すように記憶される。記憶部301は、図5に示すように、疾病分類コードを、算定要件に組み込む形式で(「医科診療報酬点数表」に記載された傷病名と対応付けて)記憶してもよいし、算定要件とは別に記憶してもよい。「医科診療報酬点数表」に記載された「運動器疾患」に対応する疾病分類コードとして、例えば「脊椎損傷」、「関節リウマチ」、「靭帯損失」などを表すコードをそれぞれ記憶する。診療報酬項目については、医師の臨床判断が必要な項目か否か判定できるようにフラグが付されていてもよい。」 「【0098】 算出部302は、算出用テーブル323を有する。算出部302は、医療機関または介護施設310から取得した複数の傷病データ320を用いて記憶部301を参照し、診察報酬項目312と施設基準313と算定要件314と報酬点数315を導き出し、現状の施設構成データ316に基づいて、算定可能な診療報酬点数の合計理論値321を算出する。具体的には、傷病データ320に対応する施設基準313と算定要件314とを病院および患者が満たしている場合には、紐づく報酬点数315をその傷病データの理論値(最大請求可能点数)とする。複数の傷病データ320に対応する理論値を積算して、合計理論値321を導き出す。算出部302は、診療報酬項目が属する分類ごとに理論値の合計値を算出する。算出部302は、加算項目および加算点数をも考慮して理論値を算出する。 【0099】 また、算出部302は、医療機関または介護施設310から取得した複数の傷病データ320を用いて記憶部301を参照し、診察報酬項目312と施設基準313と算定要件314と報酬点数315を導き出し、変更した場合の施設構成データ317に基づいて、算定可能な診療報酬点数の合計理論値322を算出する。 【0100】 図3Cに、現状の施設構成データ316と、変更した場合の施設構成データ317と、算出用テーブル323と、の構成を示す。なお、変更した場合の施設構成データ317としては、無条件ではなく、現状の施設構成データ316からの変更が小さく診療報酬点数が増加する施設構成から設定するのが望ましい。 【0101】 表示制御部303は、医療機関または介護施設310で行われた過去の診療行為について現状の施設構成データ316に基づいて算出した診療報酬点数の合計理論値321から、変更した場合の施設構成データ317に基づいて算出した診療報酬点数の合計理論値322への増分を算出する。そして、増分が所定値331よりも大きい場合に、施設構成の変更を表示する。なお、表示制御部303は、施設構成の変更案の提示に加えて、現状の施設構成データ316における診療報酬点数の実績値と、現状の施設構成データ316における診療報酬点数の理論値に向けた改善策とを表示してもよい。 【0102】 図3Bに、表示制御部303の構成のブロック図を示す。表示制御部303は、差分算出部351と、判定部352と、変更施設記憶部353と、提示選択部354と、を有する。差分算出部351は、現状の施設構成データ316に基づいて算出した診療報酬点数の合計理論値321と、変更した場合の施設構成データ317に基づいて算出した診療報酬点数の合計理論値322との差分を算出する。判定部352は、現状の施設構成データ316に基づいて算出した診療報酬点数の合計理論値321から、変更した場合の施設構成データ317に基づいて算出した診療報酬点数の合計理論値322への増分を所定値331と比較して、所定値331より大きければ、変更施設記憶部353に合計理論値322と対応する施設構成データ317を記憶する。提示選択部354は、変更施設記憶部353に記憶された中で、合計理論値322が最も大きい施設構成データ317を施設構成の変更案として表示部に提示させる。」 「【0104】 図6Aは、現状の施設構成データ316における診療報酬点数の実績値と、現状の施設構成データ316における診療報酬点数の理論値に向けた改善策と、施設構成の変更案と、を表示する表示画面例である。 【0105】 図6Aの画面例610に示すように、診療行為ごとに、自院での算定金額と、現状の施設構成における理論値と、を対比して表示する。例えば、特定疾患療養管理料としては、1,027,500円の請求を行っているが、算出部302による理論値では、1,335,000円であり、算定率77.7%であることが表示されている。この実際の請求金額1,027,500円は、全国平均850,500円からすると高いが、理論値1,335,000円からすると、22%もの請求漏れがあることを示している。同様に、脳血管リハビリ、運動器リハビリなどでも、実際の請求額と理論値とを対比して表示している。なお、表示制御部303は、医療機関または介護施設310で行われた過去の行為について請求した診療報酬点数に含まれていなかった加算点数に対応する加算項目を表示してもよい。「状態」欄には、疾患の割合や、リハビリ実施の患者数などを自動計算して表示することで、施設構成の変更を伴わない算定率の改善のために取り得る方策について提案することが可能である。」 「【0107】 図6Bは、例えば、医療機能を転換することによって診療報酬点数が増加する場合の内訳を示す表示画面である。図6Bのように、療養病床を地域包括ケア病床に変更すると、療養病床時に比べ、看護師の数を増員する必要がある(他にも入院期間を減らす、特定の疾患を持つ患者を入院させるなどがあります)が、単価も増加するので、結果的に増収に繋がることになる。 【0108】 図6Bには、施設構成の変更前(before)と変更後(after)を示し、「看護師3名、助手3名の増員が必要です。患者は1ヵ月で2名の入退院増加が必要となります。さらに助手1名追加で○○科の加算の加算も取得可能となります。」との、施設構成の変更提案コメントを表示している。」 「【0112】 情報処理装置300は、ステップS711において、現状の施設構成データ316を取得する。そして、ステップS713において、現状の施設構成データ316を用いて現状理論値算出処理を実行する。情報処理装置300は、ステップS715において、変更した施設構成データ317の1つを取得する。そして、ステップS717において、変更した施設構成データ317を用いて変更理論値算出処理を実行する。 【0113】 情報処理装置300は、ステップS719において、変更理論値から現状理論値を減算した差分が所定値331より大きいかを判定する。差分が所定値331より大きくなければ、情報処理装置300は、ステップS715に戻って処理を繰り返す。差分が所定値331より大きい場合、情報処理装置300は、ステップS721において、変更した施設構成データ317と変更理論値とを記憶する。」 「【0127】 傷病データとして、例えばレセプトデータ903~905を取得したものとする。つまり、大腿骨骨折で、発症日6月15日とする。そして実際の請求点数は、6月555点、7月3700点とする。これに対して、運動器リハビリテーション料(I)として、発症から6月末までの16日分の、2960点と、7月の31日分の5735点の合計値を理論値として算出する。」 「【0130】 [第3実施形態] 次に、本発明の第3実施形態に係る情報処理装置について説明する。本実施形態に係る情報処理装置は、上記第2実施形態と比べると、施設の環境データをさらに考慮した施設構成の変更を提示する点で異なる。例えば、図6Aの「退院時共同指導料」におけるように、「周辺医療機関との連携を3件ほど増やす必要があります。○○医院、○○ホーム、老健○○が近隣に存在します。」と提示される。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。」 「【0140】 [第4実施形態] 次に、本発明の第4実施形態に係る情報処理装置について説明する。本実施形態に係る情報処理装置は、上記第2実施形態および第3実施形態と比べると、施設構成の変更費用をさらに考慮した施設構成の変更を提示する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態または第3実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。」 「【0149】 [第5実施形態] 次に、本発明の第5実施形態に係る情報処理装置について説明する。本実施形態に係る情報処理装置は、上記第2実施形態および第4実施形態と比べると、機械学習により生成した学習モデルを用いて施設構成の変更を提示する点で異なる。本実施形態は、第1実施形態から第4実施形態に対する変更例として実現される。その他の構成および動作は、第2実施形態または第3実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。 【0150】 <情報処理装置の構成> 図15は、本実施形態に係る情報処理装置1500の構成を示すブロック図である。なお、図15において、図1と同様の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。 【0151】 情報処理装置1500は、記憶部1501と、予測部1502と、表示制御部1503と、を備える。記憶部1501は、診療報酬項目と施設基準と算定要件とを用いて、診療報酬点数を目的変数とし、傷病データおよび施設構成データを説明変数として生成された学習モデル1510を記憶する。予測部1502は図1の算出部102に相当し、複数の傷病データを入力して、学習モデル1510を用いて第1理論値1521および第2理論値1522を予測する。表示制御部1503は、第1理論値1521から第2理論値1522への増分が所定値1531よりも大きい場合に、施設構成の変更1532を提示する。なお、第3実施形態に対応させる場合は、施設の環境データが説明変数として追加されて学習モデルが生成される。 【0152】 本実施形態によれば、医療機関または介護施設の利益の最大化を、より正確により効率的に図ることができる。」 「【0154】 また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に供給され、内蔵されたプロセッサによって実行される場合にも適用可能である。本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるサーバも、プログラムを実行するプロセッサも本発明の技術的範囲に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の技術的範囲に含まれる。」 (2)引用文献1に記載されている発明 上記1から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているといえる。 「 医療機関または介護施設で行われる行為に対する診療報酬を評価・分析して、その最大化を図るための診療報酬データベース/プラットフォームであって、記憶部1501と、予測部1502と、表示制御部1503と、を備える情報処理装置1500であって(【0089】【0149】【0151】)、 記憶部1501は、診療報酬項目と施設基準と算定要件とを用いて、診療報酬点数を目的変数とし、傷病データおよび施設構成データを説明変数として生成された学習モデル1510を記憶し(【請求項8】【0151】)、 予測部1502は、複数の傷病データを入力して、学習モデル1510を用いて第1理論値1521および第2理論値1522を予測し(【請求項8】【0151】)、 表示制御部1503は、第1理論値1521から第2理論値1522への増分が所定値1531よりも大きい場合に、施設構成の変更1532を提示する(【請求項1】【0151】) 情報処理装置1500。」 2 甲第2号証(特許第7158093号(令和4年10月21日発行)に記載されている事項 申立人は、本件訂正前の請求項3について、進歩性の主張のために甲第2号証(以下、「甲2」という。)を引用していることから、甲2に記載されている事項を確認する。 甲2には、次の事項が記載されている。 「【請求項3】 レセプト審査会による判定に応じたユーザの入力に基づいて、前記記憶部に記憶された前記施設基準および算定要件を更新する更新部をさらに備えた請求項1に記載の情報処理装置。」 「【0086】 更新部305は、ユーザの入力に応じて、記憶部301に記憶された施設基準および算定要件の少なくとも一方を更新する。更新部305は、厚生労働省「医科診療報酬点数表」の改定に対応させるために施設基準および算定要件の少なくとも一方を更新してもよい。また、更新部305は、「医科診療報酬点数表」に明確に定められていない施設基準または算定要件について、レセプト審査委員会による審査結果に応じたユーザの入力に基づいて更新する。 【0087】 更新部305は、レセプト審査委員会による判定結果に基づいて、記憶部312に記憶された施設基準および算定要件を更新する。更新部305は、ユーザの入力に応じて、記憶部312に記憶された施設基準および算定要件を更新するべきか否かを判定する判定部351を備える。」 第6 令和6年4月24日付けの取消理由、令和6年12月5日付け取消理由(決定の予告)についての当審の判断 1 明確性について 令和6年4月24日付けの取消理由通知書の指摘は、本件訂正前の請求項4は、請求項1のみを引用しており、請求項2を引用していないので、請求項4における「診療報酬の予測値」と請求項2における「診療報酬の予測値」との関係が明確でないというものである。 これに対して、特許権者は、訂正事項4のとおり訂正を行った。 よって、この取消理由は解消した。 2 本件訂正発明3、4、6に対する進歩性について (1)本件訂正発明3について ア 対比 本件訂正発明3と引用発明1とを対比する。 (ア)引用発明1の説明変数である「傷病データ」は、「医療機関または介護施設で行われる診療行為」に基づくデータであることは明らかであるから、本件訂正発明3の「医療機関または介護施設で行われる診療行為に対応する傷病データ」に相当する。 引用発明1の説明変数である「施設構成データ」は、本件訂正発明3の「前記医療機関または前記介護施設の施設構成データ」に相当する。 (イ)引用発明1の「目的変数」である「診療報酬点数」と、本件訂正発明3の「教師データ」としての「前記傷病データまたは疾病分類コードと前記施設構成データとに対応するレセプトデータ」とは、「教師データ」としての「診療報酬に関するデータ」との点で共通する。 (ウ)引用発明1は「診療報酬項目と施設基準と算定要件とを用いて、診療報酬点数を目的変数とし、傷病データおよび施設構成データを説明変数として」「学習モデル1510」を「生成」することから、上記(ア)、(イ)を踏まえると、引用発明1の「診療報酬項目と施設基準と算定要件とを用いて、診療報酬点数を目的変数とし、傷病データおよび施設構成データを説明変数として生成された学習モデル1510」と、本件訂正発明3の「医療機関または介護施設で行われる診療行為に対応する傷病データまたは疾病分類コードと、前記医療機関または前記介護施設の施設構成データとを入力データとし、前記傷病データまたは疾病分類コードと前記施設構成データとに対応するレセプトデータを教師データとして」生成される「診療報酬を予測するための第1学習モデル」とは、「医療機関または介護施設で行われる診療行為に対応する傷病データと、前記医療機関または前記介護施設の施設構成データとを入力データとし、診療報酬に関するデータを教師データとして」生成される「診療報酬を予測するための第1学習モデル」との点で共通する。 (エ)上記(ア)~(ウ)のとおりであるから、引用発明1の「学習モデル1510」を生成する手段と、本件訂正発明3の「医療機関または介護施設で行われる診療行為に対応する傷病データまたは疾病分類コードと、前記医療機関または前記介護施設の施設構成データとを入力データとし、前記傷病データまたは疾病分類コードと前記施設構成データとに対応するレセプトデータを教師データとして、診療報酬を予測するための第1学習モデルを生成する第1学習モデル生成部」とは、「医療機関または介護施設で行われる診療行為に対応する傷病データと、医療機関または介護施設の施設構成データとを入力データとし、診療報酬に関するデータを教師データとして、診療報酬を予測するための第1学習モデルを生成する第1学習モデル生成部」との点で共通する。 (オ)引用発明1は、「前記第1学習モデル生成部は、前記教師データとしてレセプト審査機関による審査結果をさらに用いた」とするものではない点で、本件訂正発明3と相違する。 (カ)上記(ア)~(エ)のとおりであるから、引用発明1の「情報処理装置1500」は、後述する相違点は別にして、本件訂正発明3の「情報処理装置」に相当する。 (キ)上記(ア)~(カ)のとおりであるから、本件訂正発明3と引用発明1と間には、次の一致点又は相違点がある。 <一致点> 「 医療機関または介護施設で行われる診療行為に対応する傷病データと、前記医療機関または介護施設の施設構成データとを入力データとし、診療報酬に関するデータを教師データとして、診療報酬を予測するための第1学習モデルを生成する第1学習モデル生成部 を備えた情報処理装置。」 <相違点> (相違点1) 「診療報酬に関するデータ」が、本件訂正発明3では、「前記傷病データまたは疾病分類コードと前記施設構成データとに対応するレセプトデータ」であるのに対して、引用発明1では、「診療報酬点数」であって、「前記傷病データまたは疾病分類コードと前記施設構成データとに対応する」ものであるか定かではない点で一応相違する。 (相違点2) 本件訂正発明3は、「前記第1学習モデル生成部は、前記教師データとしてレセプト審査機関による審査結果をさらに用いた」構成であるに対して、引用発明1は、そのような構成を有していない点。 イ 相違点の判断 (ア)相違点1について A 本件訂正発明3の教師データとしての「レセプトデータ」について、本件特許明細書には次の記載がある。 「【0015】 ・・・学習モデル生成部101は、医療機関または介護施設で行われる診療行為に対応する傷病データまたは疾病分類コードと、医療機関または介護施設の施設構成データとを入力データとし、傷病データまたは疾病分類コードと施設構成データとに対応するレセプトデータを教師データとして、診療報酬を予測するための第1学習モデル111を生成する。」(同旨【0017】、【0021】) 「【0023】 さらに、教師データのオプションとして、レセプト審査機関による審査結果を含んでもよい。この場合には、レセプト審査機関の審査で承認される診療報酬を出力する学習モデル311を生成することができる。 【0024】 これらの入力データまたは教師データとなるデータは、医療関連機関から収集されたファイルから抽出される。例えば、以下のファイルが含まれる。 ・UKEファイル:病名、生年月日、性別、診療科、医薬、診療行為、点数データ ・Hファイル:生年月日、重症度、看護必要度データ ・EFファイル:生年月日、性別、病棟、診療科、病名、医薬、診療行為データ・FF1ファイル:患者基本、病棟、診療科、生活履歴、入退院ルート、病状、介護度、アウトカムデータ・病床機能報告:全国医療機関の病床機能、診療科、患者数、ルート、従事者、主たる行為件数等 ・その他公開データ:都道府県医療情報(統一規格)、患者調査、人口動態、全国施設基準一覧、医療施設調査、病院報告、診断群分類(DPC)データ、介護サービス施設・事業所調査等 ・その他病院独自データ:電子カルテデータ、医事データ、人員数、病院構造、財務諸表、労務管理データ、部門別統計等。 ・他にFF3ファイル、FF4ファイル、Dファイル、Kファイルなど。」 「【0044】 ・・・レセプトデータ(学習用)743は、学習モデル311の学習用に収集された傷病データ/疾病分類コード(学習用)742に対応して発行されたレセプトデータである。レセプト審査結果(学習用)744は、レセプトデータ(学習用)743がレセプト審査機関の審査で承認されたか、査定されたか、返戻されたかのレセプト審査結果である。・・・」 「【0048】 情報処理装置300は、ステップS701において、入力データ(傷病データまたは疾病分類コード、施設構成データ)と教師データ(対応するレセプトデータ、オプションのレセプト審査結果)との組を収集する。・・・」 さらに、本件特許明細書には、次の記載がある。 「【0017】 [第2実施形態] 次に、本発明の第2実施形態に係る情報処理装置について説明する。本実施形態に係る情報処理装置は、診療行為に対応する傷病データまたは疾病分類コードと、医療機関または介護施設の施設構成データとを入力データとし、傷病データまたは疾病分類コードと施設構成データとに対応するレセプトデータを教師データとして、診療報酬を予測するための学習モデルを生成する。そして、実際に発生した診療行為に対応する傷病データまたは疾病分類コードと施設構成データに基づいて、学習モデルで予測された診療報酬の予測値(以下、予測診療報酬とも称す)と発行したレセプトデータに含まれる算出された診療報酬(以下、算出診療報酬とも称す)とを対比して表示し、レセプトの改善を提案する。」(同旨【0048】) 【0028】 ・・・予測診療報酬格納部346は、学習モデル311が予測した予測診療報酬を格納し、この予測診療報酬は学習モデル311の学習に使用されてもよい。 」 「【0033】 予測診療報酬テーブル321は、予測対象の施設ID511に対応する施設構成データ512を記憶する。そして、対象年月513における全診療の傷病データまたは疾病分類コード514と、対応する予測診療報酬515と、月単位の合計の予測診療報酬516と、を記憶する。」 「【0050】 本実施形態によれば、学習モデルを用いて傷病データまたは疾病分類コードに基づく予測診療報酬を簡単に取得し、発行されたレセプトデータの診療報酬と対比することができる。・・・」 B 診療報酬明細書に関する技術分野において、診療報酬は「点数」で示されること、教師あり機械学習の技術分野において、学習済みモデルを生成するために、学習(トレーニング)時に使用される、学習前モデルへの入力データと、学習前モデルからの出力データと比較される正解データとの組からなる「教師データ」と、予測(推論)時に使用される、学習済みモデルへの入力データ及び学習済みモデルからの出力データの組は、同じ形式であることは技術常識である。 そうすると、上記Aの記載から、本件特許明細書における教師データとしての「傷病データ」「と施設構成データとに対応するレセプトデータ」には、「点数データ」が含まれていることは明らかである。 C そうすると、引用発明1の「診療報酬点数」は、本件訂正発明3の「レセプトデータ」に相当する。 このとき、引用発明1において、算出される「診療報酬点数」は、「前記傷病データ」「と前記施設構成データとに対応する」ものであることも明らかである。 D よって、上記相違点1は、文言上の差違にすぎない。 (イ)相違点2について 引用文献1には、「レセプト審査機関」の「審査結果」に関する記載はないため、引用発明1において、教師データとしてレセプト審査機関による審査結果を用いようとする動機付けはない。 また、甲2には、上記「第5」の2のとおりの記載はあるものの、「レセプト審査機関」の「審査結果」を教師データとして用いることに関する記載はないため、引用発明1に甲2の当該記載を適用したとしても、相違点2の構成に至らないことは明らかである。 (ウ)効果について そして、本件訂正発明3は、当該相違点2の構成を採用することで、「傷病データまたは疾病分類コードに基づく診療報酬の予測値を簡単に取得することができる」(本件特許明細書【0010】)という、格別顕著な作用効果を奏するものである。 (エ)申立人の主張について 申立人は、特許異議申立書で、次のとおり主張する。 「診療報酬の理論値の算出に際して、より正確な算出を行うためにレセプト審査機関による審査結果を利用することは、例えば甲第2号証において、診療報酬の算定に、レセプト審査委員会(「レセプト審査機関」に相当)による判定結果(「審査結果」に相当)を利用することの記載(甲2記載事項)があるように、当業者にとっては当然知られた周知の事項である。したがって、甲1発明1において、当該周知の事項を適用することにより、本件特許発明2の構成Gとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。」(原文ママ) しかしながら、上述したとおり、甲2には、「レセプト審査機関」の「審査結果」を教師データとして用いることに関する記載はないため、引用発明1に甲2の当該記載を適用したとしても、相違点2の構成に至らないことは明らかであるから、申立人の主張に理由はない。 ウ 小括 よって、本件訂正発明3は、引用発明1(及び甲2に記載された技術的事項)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件訂正発明4、6について 本件訂正発明4、6は、いずれも「レセプト審査機関による審査結果」を「教師データ」とする発明特定事項を有するものであって、引用文献1に記載された発明との間で、実質的に上記(1)ア(キ)の「相違点2」と同じ相違点を有する。 そして、当該相違点の判断は、上記(1)イ(イ)のとおり、当業者であっても容易に想到することができたものではない。 よって、本件訂正発明4、6は、引用文献1に記載された発明(及び甲2に記載された技術的事項)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3 本件訂正発明7~9に対する新規性、進歩性について 本件訂正発明7~9は、いずれも「レセプト審査機関による審査結果」を「教師データ」とする発明特定事項を有するものであって、引用文献1に記載されたそれぞれのカテゴリーに対応する発明との間で、実質的に上記2(1)ア(キ)のとおり、相違点1、2を有し、相違点2は実質的な相違点である。 そうすると、本件訂正発明7~9のそれぞれの発明特定事項と、引用文献1に記載されたそれぞれのカテゴリーに対応する発明の発明特定事項との間に、差違はある。 また、当該相違点2の判断は、上記2(1)イ(イ)のとおり、当業者であっても容易に想到することができたものではない。 よって、本件訂正発明7~9は、引用文献1に記載されたそれぞれのカテゴリーの発明ではなく、引用文献1に記載されたそれぞれのカテゴリーの発明(及び甲2に記載された技術的事項)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第7 採用しなかった申立理由について 申立人がする上記「第4」以外の主張であって、本件訂正によって削除された請求項1、2、5以外の主張は、次のとおりである。 なお、理由番号は当審で付与した。 1 理由1(特許法第36条第6項第2号:明確性) 請求項7に係る特許は、特許請求の範囲の記載が明確でないため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 2 理由2(特許法第36条第6項第1号:サポート要件) 請求項3、4、6~9に係る特許は、特許請求の範囲の記載が発明の詳細な説明に記載したものでないため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 3 理由3(特許法第36条第4項第1号:実施可能要件) 請求項3、4、6~9に係る特許は、明細書の記載が、当業者が発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 4 理由4(特許法第29条第1項第3号:新規性) 請求項3、4、6に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項3、4、6に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 第8 採用しなかった申立理由に対する当審の判断 1 理由1(明確性)について (1)申立人の主張の概要 本件特許発明7の「診療報酬の予測値」は、「傷病データまたは疾病分類コードと、施設構成データとを入力して、前記第1学習モデルを用いて予測」されるものには限定されていないため、本件特許発明7における「診療報酬の予測値」がどのようにして求められるものであるのか特定されておらず、不明確である。 (2)主張の検討 本件訂正発明7において、「第1学習モデル」は、「医療機関または介護施設で行われる診療行為に対応する傷病データまたは疾病分類コードと、前記医療機関または介護施設の施設構成データとを入力データとし、前記傷病データまたは疾病分類コードと前記施設構成データとに対応するレセプトデータを教師データとして生成された第1学習モデル」であるから、第1学習モデルを用いた「診療報酬の予測値」を予測するためには、「第1学習モデル」に対して「医療機関または介護施設で行われる診療行為に対応する傷病データまたは疾病分類コードと、前記医療機関または介護施設の施設構成データ」を「入力データ」とすることは技術常識であって、明確である。 よって、申立人の上記主張の理由はない。 2 理由2(サポート要件)について (1)申立人の主張の概要 ア 主張2-1 本件特許発明3、4、6~9では、第1学習モデルを使用するフェーズ(予測フェーズ)については何ら特定されていないものであるから、出願時の技術常識に照らしても、「傷病データまたは疾病分類コードに基づく診療報酬の予測値を簡単に取得する」という課題を解決することができる範囲を超えていることは明らかである。 イ 主張2-2 本件特許発明2の課題は、「複雑で大量の施設基準と算定要件とを参照する必要」がなく「多くの演算」を必要とせずに、「傷病データまたは疾病分類コードに基づく診療報酬の予測値を簡単に取得する」ことであると理解されるものの、本件特許発明2は、第1学習モデルを使用して診療報酬を予測するに際し、「第1学習モデル」に対して「傷病データまたは疾病分類コード」及び「施設構成データ」以外のデータの入力の有無が特定されていないから、上記課題を解決することができる範囲を超えていることは明らかである。 なお、本件訂正によって請求項2は削除されているものの、この主張は、請求項2の構成を追加した訂正後の請求項4、6、7に当てはまるものとして、次で検討する。 (2)主張の検討 ア 主張2-1について 本件訂正発明3、4、6は、「記第1学習モデルを用いて予測した診療報酬の予測値を出力する診療報酬予測部」を備えることが特定されており、本件訂正発明7は、「第1学習モデルを用いて予測した診療報酬の予測値を出力する」ことが特定されており、本件訂正発明8、9は「診療報酬を予測するための第1学習モデル」が特定されていることから、予測フェーズで予測すること、又は、予測フェーズで使用されることが特定されていることは明らかであるから、課題を解決することができる範囲を超えているということはできない。 よって、申立人の主張に理由はない。 イ 主張2-2について 本件訂正発明4、6、7は「傷病データまたは疾病分類コードと、施設構成データとを入力して、前記第1学習モデルを用いて予測した診療報酬の予測値を出力する診療報酬予測部」であることが特定されており、これらのデータが入力されることで予測値を出力できるものであって、本件特許明細書に記載されている。 このため、「第1学習モデル」に対して「傷病データまたは疾病分類コード」及び「施設構成データ」以外のデータの入力の有無が特定されていないことについて検討する必要はない。 よって、申立人の主張に理由はない。 3 理由3(実施可能要件)について (1)申立人の主張の概要 特許明細書の段落【0074】「第3実施形態の施設構成変更部805と第4実施形態の立地環境変更部1305とを両方設けた実施形態も可能であり、施設構成変更部805と立地環境変更部1305とが互いに関連付けられた構成も実現できる。」とあるものの、発明の詳細においては、「第4実施形態」は存在せず、「立地環境変更部1305」についても以外に記載がない。したがって、「第3実施形態の施設構成変更部805と第4実施形態の立地環境変更部1305とを両方設けた実施形態も可能」とあるものの、当該記載のみでは、「施設構成変更部805と立地環境変更部1305とが互いに関連付けられた構成」について、その技術的手段の相互関係が出願時の技術常識に基づいても当業者が理解できないため、当業者が請求項に係る発明の実施をすることができない。 (2)主張の検討 本件訂正発明3、4、6~9は、「環境立地変更部」を発明特定事項に含んでおらず、本件特許明細書【0074】は「他の実施形態」とすることから、当該段落の記載を当業者が理解することができないとしても、本件訂正発明3、4、6~9を実施することができないものではなく、第三者に不測の事態が生じるものでもない。 よって、申立人の当該主張に理由はない。 4 理由4(新規性)について 本件訂正発明3は、引用発明1との間で、上記「第6」の2(1)ア(キ)のとおり、相違点1、2を有し、相違点2は実質的な相違点である。 このため、本件訂正発明3の発明特定事項と、引用発明1の発明特定事項等の間に、差違はある。 また、本件訂正発明4、6は、いずれも「レセプト審査機関による審査結果」を「教師データ」とする発明特定事項を有するものであって、引用発明との間で、上記「相違点2」と同じ相違点を有し、この相違点は、実質的な相違点である。 このため、本件訂正発明4、6の発明特定事項と、引用発明1の発明特定事項との間に、差違はある。 よって、本件訂正発明3、4、6は、いずれも、引用発明1ではない。 第9 むすび 以上のとおりであるから、本件特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、本件訂正後の請求項1~9について訂正することを認める。 本件訂正後の請求項3、4、6~9に係る特許は、特許異議申立書に記載された申立理由及び取消理由通知に記載した取消理由によっては、取り消すことができない。また、他に本件訂正後の請求項3、4、6~9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 さらに、本件訂正前の請求項1、2及び5は、上記のとおり削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項1、2及び5に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する特許法第135条の規定により却下すべきものである よって、上記の結論のとおり決定する。

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2024-700117

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