特許異議申立
2023-700382
炉内点検装置及び炉内点検方法
- 審判番号
- 2023-700382
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-154264
- 登録番号
- 7154716
- 請求日
- 2023年04月14日
- 審決日
- 2023年09月04日
- 公報発行日
- 2023年10月27日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】中外炉工業株式会社
- 【権利者代理人】松川 克明
- 【異議申立人】日置 綾子
- 審判長/審判官
- 審判長 井上 猛
- 審判官 山口 大志
- 審判官 土屋 知久
- 分類
- P1652.113-Y (F27D) / P1652.121-Y (F27D) / P1652.537-Y (F27D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7154716号発明「炉内点検装置及び炉内点検方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7154716号の請求項1、3ないし4に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7154716号の請求項1~4に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願(以下、「本願」という。)は、令和 1年 8月27日の出願であって、令和 4年10月 7日にその特許権の設定登録がなされ、同年10月18日にその特許掲載公報が発行された。
本件は、その後、その特許について、令和 5年 4月14日に特許異議申立人日置綾子(以下、「申立人」という。)により請求項1、3~4に対してなされた特許異議申立事件である。
第2 本件特許発明
本件特許の特許請求の範囲の請求項1~4に係る発明は、本願の願書に添付された特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定される以下のとおりのものである(以下、請求項1~4に記載された発明を、それぞれ「本件特許発明1」~「本件特許発明4」という。また、これらを総称して「本件特許発明」という。)。
「【請求項1】
炉内の状態を点検する炉内点検装置において、炉内を飛行させる回転翼式無人小型飛行体に、炉内を点検するカメラを装着させると共に複数の温度測定器を設け、前記の温度測定器によって測定された温度に基づいて、前記の回転翼式無人小型飛行体における回転翼の回転数を制御して、回転翼式無人小型飛行体の飛行をコントロールするコントローラーを設けたことを特徴とする炉内点検装置。
【請求項2】
請求項1に記載の炉内点検装置において、前記の温度測定器として、広い範囲の温度を測定できる赤外線サーモグラフィーを用いたことを特徴とする炉内点検装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の炉内点検装置において、前記の各温度測定器によって測定された温度に基づいて、炉内の所定位置における空気密度の変化を算出し、この結果に基づいて、前記のコントローラーにより各回転翼の回転数を制御することを特徴とする炉内点検装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の炉内点検装置を用いて炉内の状態を点検する炉内点検方法において、炉内を点検するカメラを装着させると共に複数の温度測定器を設けた前記の回転翼式無人小型飛行体における各温度測定器によって測定された温度に基づいて、前記のコントローラーにより回転翼式無人小型飛行体における各回転翼の回転数を制御しながら、前記の回転翼式無人小型飛行体を炉内の所定位置に飛行させて、回転翼式無人小型飛行体に設けた前記のカメラを通して、炉内の状態を点検することを特徴とする炉内点検方法。」
第3 特許異議申立理由の概要
申立人は、次の甲第1号証~甲第6号証(以下、それぞれ「甲1」~「甲6」という。)を提出し、以下の1~3の特許異議申立理由を主張している。
(証拠方法)
甲1:中国特許出願公開第107643762号明細書および翻訳文
甲2:中国特許出願公開第108545208号明細書および抄訳
甲3:国際公開第2017/162197号および抄訳
甲4:無人航空機の空気動力学と飛行原理、西北工業大学出版社、2018年 6月、p.1~35および抄訳
甲5:無人小型航空機により屋外で行う航空測量作業に関連する一般的な問題及び対策検討、北京報刊発行局、2019年 3月、p.92~93および抄訳
甲6:特開2018-188250号公報
1 本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。
2 本件特許の請求項1、4に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明および甲2に記載された事項、または、甲1に記載された発明および甲6に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。
本件特許の請求項3に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明ならびに甲2および甲3~5に記載された事項、または、甲1に記載された発明ならびに甲6および甲3~5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。
3 本件特許は、次の(1)および(2)の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、取り消されるべきものである。
(1)請求項1には、「前記の温度測定器によって測定された温度に基づいて、前記の回転翼式無人小型飛行体における回転翼の回転数を制御して、回転翼式無人小型飛行体の飛行をコントロールするコントローラー」との記載があるが、「温度測定器」の種類が特定されておらず、また「測定された温度」とは何の温度であるかが特定されていないため、何の温度に基づいて「回転翼の回転数を制御」するのか不明確である。
(2)請求項4には、「複数の温度測定器を設けた前記の回転翼式無人小型飛行体における各温度測定器によって測定された温度に基づいて、前記のコントローラーにより回転翼式無人小型飛行体における各回転翼の回転数を制御しながら、前記の回転翼式無人小型飛行体を炉内の所定位置に飛行させて、」との記載があるが、「温度測定器」の種類が特定されておらず、また「測定された温度」とは何の温度であるかも特定されていないため、何の温度に基づいて「回転翼の回転数を制御」するのか不明確である。
第4 特許法第29条第1項第3号(上記第3の1)、特許法第29条第2項(上記第3の2)について
1 甲1の記載
甲1には、次の記載がある。(日本語訳は当審で作成したものである。なお、各甲号証に記載された発明の認定に関連する箇所には、当審で下線を付した。また、・・・は省略を表す。以下、同じ。)
「
[図:0001402790000001.jpg]
[図:0001402790000002.jpg]
(当審訳:[0002] 現在各国で生産されている小型航空機は、測位とナビゲーションを衛星に大部分依拠しており、ただ予め設定された航路に従って飛行することができ、かつ障害物の回避操作の能力を備えない。これは、小型航空機を都市領域や路地に用いるのをとても難しくし、あるいは使用時容易に衝突する。同時に、建物内部の偵察または危険品探知などのタスクを実行するとき、小型航空機は役に立たなくなってしまう。」
[0003] 本発明の目的は、上記問題を解決するため、自律航法の無人機システムおよびそのナビゲーション方法を提供することであり、障害物を回避することができ、自律航法を実現することである。)」
「
[図:0001402790000003.jpg]
(当審訳:[0082] 実施例1は、図1に示すように、本発明の実施例に係る自律航法の無人機システムであり、飛行物体プラットフォーム、センサーサブシステム、自動操縦装置、リモコンと地上追跡管制局を含む。)」
「
[図:0001402790000004.jpg]
(当審訳:[0083] 飛行物体プラットフォームはクワッドコプターとし、クワッドコプターにGPS測位モジュールを設け、GPS測位モジュールは衛星信号を受信して、クワッドコプターの現在の場所の緯度と経度を決定し、ナビゲーション用の基本データを提供する。そのうち、クワッドコプターの翼は4軸の飛行物体とし、回転翼は4個の軸上に対称に取り付け、同一の対角線上の回転翼は一組として、4つの回転翼のシャフトに4個の小型のブラシレス直流モーターを対称に取り付けて、4個の回転翼を駆動して高速で回転させる。ブラシレス直流モーターの回転速度を変更することで、前方飛行、横飛行、上昇、下降などの飛行機能を実現する。使用する飛行物体プラットフォームは、小型で構造が簡単であり、プラットフォームの成熟度は高く、負荷能力が高いなどの多くの利点があり、室内での低速飛行および屋外での高速飛行が可能で、回転翼は、機体の各設定ポイントに対称に設けられ、同一の対角線上の回転翼は一組であることとする。回転翼のアタック角度は固定し、回転翼の回転速度を制御することによって、飛行制御を実現する。)」
「
[図:0001402790000005.jpg]
(当審訳:[0084] 本発明のクワッドコプターの動作モードは3種類がある。)」
「
[図:0001402790000006.jpg]
(当審訳:[0087] 全自動モード:オペレータは、地上追跡管制局のクワッドコプターから返されたビデオピクチャを観測して、自動操縦装置を操作し、クワッドコプターを事前に計画された経路に沿うように自動飛行を行わせて、途中で障害物に遭遇した場合は、障害物の大きさによってローカル経路計画を行い、障害物を迂回し、さらに自動で目標点へ飛行する。
[0088] センサーサブシステムは、クワッドコプターの内部に取り付けられた慣性測定ユニットと、クワッドコプターの底部に取り付けられたマイクロカメラを含み、クワッドコプターの底部に取り付けられた超音波センサーと、クワッドコプター頂部に取り付けられたレーザー走査レーダーを含む。マイクロカメラはクワッドコプター前方の画像情報を採取し、環境認知と画像ナビゲーションを行うのに用いる。レーザー走査レーダーはクワッドコプター周囲の環境情報を測定し;超音波センサーはレーザー走査レーダーを補助して障害物の探知を行ってレーザー走査レーダーの誤差を補償する;慣性測定ユニットはクワッドコプターの姿勢情報を測定する。)」
「
[図:0001402790000007.jpg]
(当審訳:[0096] 超音波センサーは、レーザー走査レーダーを補助して障害物の検出を行う。検知距離は5m、重量5g、供給電圧5V、RS232シリアルインタフェースデータを出力する。
[0097] 慣性測定ユニットは、ADIの会社のADIS16480の高性能センサーを用いて、三軸ジャイロ、三軸加速度計、温度センサー、三軸磁気探知器および気圧計から組成し、姿勢角の舵取り角度の出力機能を有し、工場で、感度、ゼロ偏差の校正および直交度補償を行い、かつ全温度範囲の校正を行う。体積は1立方インチより小さく、SPIインターフェースで、そのパフォーマンスパラメーターは表3に示す。)」
「
[図:0001402790000008.jpg]
[図:0001402790000009.jpg]
(当審訳:[0105] 自動操縦装置は、無線ネットワークによってGPS測位モジュールおよびセンサーサブシステムと通信し、センサーサブシステムのデータを受信して処理し、クワッドコプターの飛行姿勢を制御する。本発明の小型飛行機の寸法は小さく、負荷容量が限定的であり、自動操縦装置は、重量が軽く、寸法が小さく、低消費電力であることを要求する。同時に、屋内飛行と自動障害物回避機能を実現するため、自動操縦装置には、マップ構築アルゴリズム、統合ナビゲーションアルゴリズム、画像処理アルゴリズムなどの複合アルゴリズムを処理する演算能力を有することが要求される。自動操縦装置は、ハウジングとケース内に設置するフライトコントローラーから組成し、図2に示すように、フライトコントローラーは環境認識モジュール、測位ナビゲーションモジュール、経路設計モジュールおよび決定制御モジュールを含み、センサーサブシステムは環境認識モジュールと接続され、環境認識モジュールは測位ナビゲーションと接続され、測位ナビゲーションモジュールは経路設計モジュールと接続され、経路設計モジュールは決定制御モジュールと接続され、決定制御モジュールはクワッドコプターに接続される。
[0106] そのうち、環境認識モジュールは以下を含む。
[0107] 視覚認知モジュールは、マイクロカメラに接続され、クワッドコプターの前方の画像情報を採取する。
[0108] 障害検知モジュールは、レーザー走査レーダーおよび超音波センサーと接続され、クワッドコプター周囲の環境情報と障害物情報を測定し、障害物の分布状況を取得する。
[0109] マルチセンサー情報提携モジュールは、慣性測定ユニットと接続し、クワッドコプターの飛行姿勢情報を取得する。)」
「
[図:0001402790000010.jpg]
[図:0001402790000011.jpg]
(当審訳:[0110]測位ナビゲーションモジュールは以下を含む。
・・・
[0113] データ融合モジュールは、マルチセンサー情報融合モジュールが取得した飛行姿勢情報、GPS測位モジュールの測位情報、障害検知モジュールが検出した環境情報を融合して更新し、クワッドコプターの現在位置および速度を取得する。
[0114] 経路設計モジュールは以下を含む。
[0115] グローバル経路設計モジュールは、クワッドコプターの環境情報およびクワッドコプターの所在位置によって、目標位置までのクワッドコプターのグローバル経路を計算する。
[0116] ローカル経路設計モジュールは、障害物の分布状況によって、クワッドコプターの目標位置までの最適ルートを計算する。
[0117] 決定制御モジュールは以下を含む。
[0118] 決定モジュールは、経路設計モジュールによって出力される最適ルートから、クワッドコプターの目標位置までの飛行に必要な距離と舵取り角度を算出し、且つ制御コマンドを発行して飛行制御モジュールに指令する。
[0119] 飛行制御モジュールは、飛行制御モジュールの制御コマンドによって、クワッドコプターの自律飛行を制御する。
[0120] そのうち、決定モジュールは、クワッドコプターの回転翼の回転速度を制御することによって、すなわちブラシレス直流モーターを制御することで、ホバリング、前方飛行、横飛行、上昇および低下を実現し、具体的に以下を含む。)」
「
[図:0001402790000012.jpg]
(当審訳:[0126] 地上追跡管制局は、無線ネットワークによって自動操縦装置と通信し、センサーサブシステムのデータを受信して、記憶および表示し、フライトコントローラーの経路計画データを受信して地図に表示する。図3に示すように、地上追跡管制局は以下を含む。
[0127] 遠隔測定データのリアルタイム受信と表示モジュールは、そのGPS測位モジュール、慣性測定ユニット、レーザー走査レーダーおよび超音波センサーが測定したデータ情報を表示する。
[0128] 画像を遠隔測定するリアルタイム処理および表示モジュールは、マイクロカメラが取得した画像情報を取得して表示する。)」
「
[図:0001402790000013.jpg]
(当審訳:[0136] 実施例2、自律航法の無人機システムのナビゲーション方法は、以下の工程を含む。)」
「
[図:0001402790000014.jpg]
(当審訳:[0141] ステップ4で、クワッドコプターは、タスクによって飛行を開始し、GPS測位モジュールが衛星信号を受信し、クワッドコプターの現在の緯度と経度の位置を確定し、ナビゲーション用の基本データを提供する。
[0142] マイクロカメラは、クワッドコプターの前方の画像情報を採取する。レーザー走査レーダーはクワッドコプターの周囲の環境情報を測定し、超音波センサーは、レーザー走査レーダーを補助して障害物の探知を行ってレーザー走査レーダーの誤差を補償し、障害物の分布状況を取得する。慣性測定ユニットは、クワッドコプターの姿勢情報を測定する。
[0143] 同時に、GPS測位モジュールの測位情報、慣性測定ユニット、レーザー走査レーダーおよび超音波センサーの測定データ情報、及びマイクロカメラが取得した画像情報は地面監視ステーションにアップロードされ、画面に表示される。
[0144] ステップ5で、自動操縦装置中の測位ナビゲーションモジュールは、取得した画像を処理し、且つレーザー走査レーダーと超音波センサーが検出した環境情報と結合し、クワッドコプターの周囲環境に対して三次元再構成を行う。
[0145] 同時に、取得した飛行姿勢情報とGPS測位モジュールの測位情報を融合、更新し、クワッドコプターの現在位置および速度を取得する。)」
「
[図:0001402790000015.jpg]
(当審訳:[0156] 本発明は、室内と室外どちらでもナビゲーションを実現することができ、主な違いは、測位とナビゲーション方式が異なり、具体的に以下を含む。
[0157] GPS信号が安定している場合、GPS測位モジュールは衛星信号を受信し、クワッドコプターの現在の経度および緯度位置を確定し、且つ、測位情報を自動操縦装置の測位ナビゲーションモジュール中にアップロードし、測位ナビゲーションモジュールが測位情報を経路計画モジュールにリアルタイムで同期出力して、経路計画を行う。
[0158] GPS信号が不安定あるいは一時的に失われた場合、慣性測定ユニットが測定することができた角速度信号、加速度信号、温度信号、地磁気信号、気圧信号および高度信号を含む姿勢情報が、自動操縦装置の測位ナビゲーションモジュール中にアップロードされ、測位ナビゲーションモジュールは、カルマンフィルターアルゴリズムを用いてこれらの信号を処理し、測位ナビゲーションモジュールは、処理後の姿勢情報と測位情報を経路設計モジュールへリアルタイム出力し、経路計画を行う。)」
2 甲1に記載された発明
(1)上記1によれば、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「室内または室外を飛行する、自律航法の無人機システムにおける小型のクワッドコプターにおいて、
前記クワッドコプターにGPS測位モジュールを設け、前記GPS測位モジュールは衛星信号を受信して、クワッドコプターの現在の場所の緯度と経度を決定し、ナビゲーション用の基本データを提供するものであり、
前記無人機システムにおけるセンサーサブシステムは、前記クワッドコプターの内部に取り付けられた慣性測定ユニットと、前記クワッドコプターの底部に取り付けられたマイクロカメラ、前記クワッドコプターの底部に取り付けられた超音波センサー、前記クワッドコプター頂部に取り付けられたレーザー走査レーダーを含み、
前記慣性測定ユニットは前記クワッドコプターの姿勢情報を測定し、前記マイクロカメラは前記クワッドコプター前方の画像情報を採取し、環境認知と画像ナビゲーションを行うのに用いられ、超音波センサーはレーザー走査レーダーを補助して障害物の探知を行ってレーザー走査レーダーの誤差を補償し、前記レーザー走査レーダーは前記クワッドコプター周囲の環境情報を測定するものであり、
前記慣性測定ユニットは、三軸ジャイロ、三軸加速度計、温度センサー、三軸磁気探知器および気圧計から組成されるものであり、
前記無人機システムにおける自動操縦装置に含まれるフライトコントローラーは、環境認識モジュール、測位ナビゲーションモジュール、経路設計モジュールおよび決定制御モジュールを含み、
前記環境認識モジュールは、前記レーザー走査レーダーおよび前記超音波センサーと接続され、前記クワッドコプター周囲の環境情報と障害物情報を測定し、障害物の分布状況を取得する障害検知モジュールと、前記慣性測定ユニットと接続し、前記クワッドコプターの飛行姿勢情報を取得するマルチセンサー情報提携モジュールとを含み、
前記測位ナビゲーションモジュールは、前記マルチセンサー情報融合モジュールが取得した飛行姿勢情報、前記GPS測位モジュールの測位情報、前記障害検知モジュールが検出した環境情報を融合して更新し、前記クワッドコプターの現在位置および速度を取得するデータ融合モジュールを含み、
前記経路設計モジュールは、グローバル経路設計モジュールとローカル経路設計モジュールを含み、
前記グローバル経路設計モジュールは、前記クワッドコプターの環境情報および前記クワッドコプターの所在位置によって、目標位置までの前記クワッドコプターのグローバル経路を計算し、前記ローカル経路設計モジュールは、障害物の分布状況によって、前記クワッドコプターの目標位置までの最適ルートを計算するものであり、
前記決定制御モジュールは、決定モジュールと飛行制御モジュールを含み、
前記決定モジュールは、前記経路設計モジュールによって出力される最適ルートから、クワッドコプターの目標位置までの飛行に必要な距離と舵取り角度を算出し、且つ制御コマンドを発行して飛行制御モジュールに指令し、前記飛行制御モジュールは、飛行制御モジュールの制御コマンドによって、クワッドコプターの自律飛行を制御するものであり、
さらに、前記決定モジュールは、前記クワッドコプターの回転翼の回転速度を制御することによって、すなわちブラシレス直流モーターを制御することで、ホバリング、前方飛行、横飛行、上昇および低下を実現し、
GPS信号が安定している場合、GPS測位モジュールは衛星信号を受信し、クワッドコプターの現在の経度および緯度位置を確定し、測位情報を測位ナビゲーションモジュールにアップロードし、測位ナビゲーションモジュールが測位情報を経路計画モジュールにリアルタイムで同期出力して、経路計画を行うのに対して、
GPS信号が不安定あるいは一時的に失われた場合、前記慣性測定ユニットが測定することができた角速度信号、加速度信号、温度信号、地磁気信号、気圧信号および高度信号を含む姿勢情報が、測位ナビゲーションモジュールにアップロードされ、測位ナビゲーションモジュールは、これらの信号を処理し、処理後の姿勢情報と測位情報を、経路設計モジュールへリアルタイム出力し、経路計画を行うものであり、
地上追跡管制局における、画像を遠隔測定するリアルタイム処理および表示モジュールは、前記マイクロカメラが採取した画像情報を表示する、
自律航法の無人機システム。」
3 甲2の記載
甲2には、次の記載がある。
「
[図:0001402790000016.jpg]
(当審訳:[0002] 本発明は発電所パトロール分野に関し、特にパトロール用無人機、制御部および制御方法に関する。)」
「
[図:0001402790000017.jpg]
[図:0001402790000018.jpg]
(当審訳:[0074] 図1に示すように、本発明実施例はパトロール用無人機を提供し、前記パトロール用無人機は以下を含むことができる。第1のプロセッサ01、カメラ02、照明装置03および第1の無線通信モジュール04、前記第1のプロセッサ01はそれぞれ前記カメラ02、前記照明装置03および前記第1の無線通信モジュール04と電気的に接続する。)」
「
[図:0001402790000019.jpg]
(当審訳:[0080] そのうち、前記検査対象機器は発電所ボイラなど長期の安定な動作を必要とする機器であってもよく、・・・)」
「
[図:0001402790000020.jpg]
(当審訳:[0093] 図4に示すように、本発明実施例は以下を含むことができる。温度計09、第1の温度センサー10、ガスセンサー11、第2の温度センサー12、加熱装置13およびカメラシールドカバー14。前記カメラシールドカバー14は、前記カメラ02の外に設置し、前記温度計09、第1の温度センサー10、ガスセンサー11、第2の温度センサー12および前記加熱装置13はいずれも前記第1のプロセッサ01と電気的に接続する。
[0094] 前記温度計09は、検査する機器の第一温度を収集し、前記第一温度を前記第1のプロセッサ01に送信する。
[0095] 前記第1の温度センサー10は、周囲環境の第二温度を採取し、前記第二温度を前記第1のプロセッサ01に送信する。
・・・
[0097] 前記第2の温度センサー12は、前記カメラシールドカバー14内の第3の温度を採取し、前記第3の温度を前記第1のプロセッサ01に送信する。
[0098] 前記第1のプロセッサ01は、前記第一温度および前記ガスパラメーターを、前記第1の無線通信モジュール04によって他の機器に出力する。
[0099] 前記第1のプロセッサ01は、前記ガスパラメーター、前記第二温度および前記第3の温度に応じて、前記加熱装置13を制御して前記カメラシールドカバー14に加熱をする。
[0100] 具体的には、前記温度計09は、前記ハウジング05の外側に設置することで、検査対象機器の測温を行うことができる。・・・)」
「
[図:0001402790000021.jpg]
(当審訳:[0102] 同時に、周囲環境の温度、湿度の影響で、前記カメラシールドカバー14の表面は微粒化、着霜あるいは水膜の付着が生じる可能性があり、これらの現象はカメラ02が採取する映像の品質を低下させ、ぼかしなどにつながる。・・・本発明実施例は、同じく前記第二温度および第3の温度の温度差に基づいて、カメラシールドカバー14に間接的に加熱をすることができる。)」
4 甲3の記載
甲3には、次の記載がある。
「
[図:0001402790000022.jpg]
(当審訳:要約:航空機データの取得と処理、および飛行状態の監視のための方法とシステム。この航空機データ取得方法では、測定対象は、航空機の飛行パラメーターのうちのいずれか1つまたは複数のパラメーターであり、航空機入力パラメーターデータを取得するステップであって、入力パラメーターは、飛行パワーバランスルールに基づいて、測定対象の総合運用データを計算するために必要なパラメーターである。取得した入力パラメーターデータと飛行パワーバランスルールに基づいて、測定対象の組み合わせた動作データを取得する。入力パラメーターのうちの元の電力パラメーターの少なくとも1つのタイプのデータは、実測値、測定値または指令値に基づいて決定され、および/または、実測値、測定値、または指令値に基づいて決定される入力パラメーターのうちの機械動作パラメーターの少なくとも1つのタイプのデータに基づいて決定される。)」
5 甲4の記載
甲4には、次の記載がある。
「
[図:0001402790000023.jpg]
(当審訳:1)大気の密度を気温と気圧により算出する。大気の密度ρは(kg/m3)は、その時点の温度tと(℃)と気圧p(mmHg)から、式(1-4)により求めることができる。
ρ=0.465p/(273.15+t) (1-4))」
6 甲5の記載
甲5には、次の記載がある。
「
[図:0001402790000024.jpg]
(当審訳:二、小型無人航空機による測量に及ぶ影響要因の分析
・・・
1、外部環境要因
・・・気温が高いほど、気圧と空気密度は低く、翼に発生する揚力が小さくなる。また、気温が高いほど積載量は小さく、同じ消費電力で飛行できる距離は長くなる。)」
7 甲6の記載
甲6には、次の記載がある。
「【0015】
本発明は、カメラを備えたドローンを、荷役機械の吊荷付近や荷役作業付近、及び、次に移動する付近に飛ばし、前記カメラからの映像を運転者が確認できるようにして、運転者の死角が生じないようにすることにより、前記第1の課題を解決したものである。」
「【0029】
本実施形態におけるコンテナ12の移載状況を図6に、同じく固定監視カメラ(以下、固定カメラと称する)60及びメンテナンス室68の配置を図7に、同じく要部構成を図8に、同じく運転者/点検支援制御装置76の構成を図9に示す。
【0030】
本実施形態では、図8中に示したような、本体70A、浮上用の例えばプロペラ(浮上用プロペラと称する)70B、及びカメラ70Cを備えたドローン70を用いる。」
「【0032】
本実施形態の運転室36には、図4に示した如く、周囲の状況を的確に映し出す画像表示装置(モニタと称する)78を備えており、その映像は、図7に例示したような固定カメラ60及びドローン70のカメラ70Cからのものになる。図において、62はセンサである。」
「【0043】
前記ドローン70を、クレーン20の吊荷であるコンテナ12付近や荷役作業付近、及び、次に移動する付近に飛ばし、前記カメラ70Cからの映像を運転者37が確認できるようにして、運転者の死角が生じないようにする。」
「【図4】
[図:0001402790000025.jpg]
」
「【図6】
[図:0001402790000026.jpg]
」
「【図8】
[図:0001402790000027.jpg]
」
8 当審の判断
(1)本件特許発明1について
本件特許発明1と甲1発明とを対比する。
ア 甲1発明の「無人機システム」は、室内または室外を飛行し、「クワッドコプター」の底部に取り付けられたマイクロカメラの画像情報を、地上追跡管制局における表示に用いるものであるから、本件特許発明1の「炉内点検装置」と「点検装置」である事項で共通する。また、甲1発明の「小型のクワッドコプター」は、回転翼を有し、自律航法の無人機システムに係るものであるから、本件特許発明1の「回転翼式無人小型飛行体」と、「回転翼」で飛び、「無人」で飛行する「小型」の「飛行体」である事項で共通する。
イ 甲1発明の「クワッドコプター」に取り付けられた「マイクロカメラ」および「温度センサー」は、それぞれ、本件特許発明1の「回転翼式無人小型飛行体」に装着または設けられた「カメラ」および「温度測定器」に相当する。
ウ 甲1発明において、「温度センサー」は慣性測定ユニットに含まれるものであり、三軸ジャイロ等とあわせて、クワッドコプターの姿勢情報の測定に用いられるものである。
この慣性測定ユニットの姿勢情報は、自動操縦装置内のフライトコントローラーに含まれる、マルチセンサー情報融合モジュールを経由してデータ融合モジュールに入力され、データ融合モジュールは姿勢情報等に基づいてクワッドコプターの現在位置等を取得し、グローバル経路設計モジュールは、クワッドコプターの所在位置等に基づいて、目標位置までのクワッドコプターのグローバル経路を計算する。あるいは、GPS信号が不安定あるいは一時的に失われた場合、慣性測定ユニットが測定した姿勢情報が、測位ナビゲーションモジュールにアップロードされ、測位ナビゲーションモジュールによってこれらの信号が処理され、処理後の姿勢情報と測位情報を、経路設計モジュールへリアルタイム出力し、経路計画を行う。
つまり「温度測定器」によって測定された温度情報は、クワッドコプターの姿勢情報の取得に利用され、姿勢情報はGPS測位モジュールの測位情報と統合されるか、GPS信号が不安定あるいは一時的に失われた場合における測位情報の代替として、グローバル経路計画の計算に部分的に利用されると認められる。
一般的に、飛行体の経路計画には、ホバリング、前方飛行、横飛行、上昇および低下といった回転翼の回転速度の制御を必要とする動作も含まれるから、経路計画に沿って飛行するために、回転翼の回転速度を制御し、クワッドコプターの飛行をコントロールするコントローラーを設けていることは明らかである。また、回転速度の制御は、回転数の制御と同義であると認められる。
よって、甲1発明の無人機システムは、本件特許発明1の「炉内点検装置」と、「少なくとも部分的に、温度測定器によって測定された温度に基づいて」、「回転翼の回転数を制御して」、「飛行をコントロールするコントローラー」を有するという事項で共通する。
エ なお、申立人は、特許異議申立書9ページにおいて、温度信号から得られた情報が処理されて決定モジュールで用いられると主張しているが、甲第1号証の[0113]~[0120]に記載のとおり、決定モジュールは、ローカル経路設計モジュールが障害物の分布状況によって計算した最適ルートに基づいて制御コマンドを発行するものであり、温度信号(姿勢情報)に基づいて動作するものではないから、この主張は採用できない。
オ 上記ア~ウより、本件特許発明1と甲1発明とは、
「点検装置において、
回転翼式無人小型飛行体に、カメラを装着させると共に温度測定器を設け、
少なくとも部分的に、前記の温度測定器によって測定された温度に基づいて、前記の回転翼式無人小型飛行体における回転翼の回転数を制御して、回転翼式無人小型飛行体の飛行をコントロールするコントローラーを設けた、
点検装置。」の点で一致し、次の相違点1~3で相違する。
(相違点1)
本件特許発明1は、「炉内の状態を点検する炉内点検装置」であり、「炉内を飛行させる回転翼式無人小型飛行体に、炉内を点検するカメラを装着させる」のに対して、甲1発明は、点検の対象が明らかでない点。
(相違点2)
本件特許発明1は、回転翼式無人小型飛行体に「複数の」温度測定器を設けるのに対して、甲1発明は、温度センサーの個数が明らかでない点。
(相違点3)
本件特許発明1は、「前記の温度測定器によって測定された温度に基づいて、前記の回転翼式無人小型飛行体における回転翼の回転数を制御して、回転翼式無人小型飛行体の飛行をコントロールするコントローラーを設け」ているのに対して、甲1発明は、温度測定器によって測定された温度情報は、姿勢情報を獲得するための情報の一つとしてクワッドコプターの制御に用いられる点。
カ 事案に鑑み、まず、上記相違点2について検討する。
キ 甲1には、温度センサーの個数について記載されておらず、上記相違点2に係る本件特許発明1の発明特定事項が記載されていない。
ク よって、上記相違点2は実質的な相違点である。
ケ 次に、上記相違点2の容易想到性について検討する。上記ウに示したとおり、温度情報は、クワッドコプターの姿勢情報を測定するための多くのパラメーターの1つであって、クワッドコプターの複数箇所での温度変化はあまりないと考えられるから、温度測定器を複数設けて測定する動機づけが存在しない。
コ なお、申立人は特許異議申立書13ページにおいて、甲2には複数の温度センサーを含むカメラを備えた巡回点検用無人航空機が記載されていると主張している。
しかし、甲2における温度計09は検査対象機器の測温を行うために、また、第1の温度センサー10および第2の温度センサー12は加熱装置13を制御してカメラシールドカバー14を加熱するために、それぞれ設けられるものである。これに対し、甲1には、検査対象の測温を行ったり、カメラシールドカバーを設けたりすることは記載されていないため、甲2に記載された技術事項を甲1発明に適用する動機づけが存在しない。
サ 次に、相違点3について検討する。本願の願書に添付した明細書(以下、「本件特許明細書」という。)の段落【0022】および【0025】に記載のとおり、本件特許発明1におけるコントローラーは、温度測定器の測定結果から空気密度を計算し、それに合わせて揚力を各回転翼の回転数によって自動制御して、回転翼式無人小型飛行体の飛行を安定させるものである。
これに対して、甲1には、温度センサーはクワッドコプターの姿勢情報を測定するためのものであると記載されているものの、測定された温度に基づいて、回転翼の回転速度をどう制御するのか、記載されていない。
シ よって、上記相違点3は実質的な相違点である。
ス 次に、上記相違点3の容易想到性について検討する。本件特許発明1は、本件特許明細書の段落【0015】に記載のとおり、バーナーが存在するような工業炉において、揚力に影響するほどの空気密度の違いのある環境中を、安定した飛行状態で飛行させるために回転翼の回転数を制御するものである。
しかし、甲1にはそのような環境で飛行することについて記載はなく、甲1発明において、「温度測定器によって測定された温度に基づいて」、「回転翼の回転数を制御」する動機づけが存在しない。
そして、本件特許明細書の段落【0015】に記載されるような、「炉内の温度がある程度高い状態であっても」、「安定した飛行状態で」、「回転翼式無人小型飛行体を炉内の所定位置に飛行させ」ることができるという、本件特許発明1の効果は、当業者が予測することができないものである。
セ ここで、上記コに示したとおり、甲2には、発電所ボイラといった熱源付近を点検するパトロール用無人機に、温度計や第1、第2の温度センサーを設けることが記載されているが、温度の測定結果に基づいて回転翼の回転数を制御することは記載されていないので、仮に甲1発明に甲2に記載された事項を適用したとしても、上記相違点3に係る本件特許発明1の発明特定事項を得ることはできない。
ソ また、甲6には、温度測定器を設けることについては記載されていないため、仮に甲1発明に甲6に記載された事項を適用したとしても、上記相違点2、3に係る本件特許発明1の発明特定事項を得ることはできない。
タ よって、上記相違点1について検討するまでもなく、本件特許発明1は甲1発明であるとはいえないし、甲1発明および甲2に記載された事項、または、甲1発明および甲6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。
(4)本件特許発明3について
ア 本件特許発明3は、本件特許発明1を直接又は間接的に引用することによって本件特許発明1の特定事項の全てを備えるものであるから、甲1発明と少なくとも上記(3)オで示した相違点1~3で相違する。
イ 甲1~2、6に記載された事項のほか、甲3~5に記載された事項を検討しても、相違点2、3に係る発明特定事項を得ることはできない。
ウ よって、本件特許発明3は、甲1発明ならびに甲2および甲3~5に記載された事項、または、甲1発明ならびに甲6および甲3~5に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(5)本件特許発明4について
ア 本件特許発明4は、本件特許発明1を直接又は間接的に引用することによって本件特許発明1の特定事項の全てを備えるものであるから、甲1発明と少なくとも上記(3)オで示した相違点1~3で相違する。
イ よって、本件特許発明4は、甲1発明および甲2に記載された事項、または、甲1発明および甲6に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
第5 特許法第36条第6項第2号について(上記第3の3)
1 請求項1の記載について
(1)請求項1には、「前記の温度測定器によって測定された温度に基づいて、前記の回転翼式無人小型飛行体における回転翼の回転数を制御して、回転翼式無人小型飛行体の飛行をコントロールするコントローラー」と記載されている。
(2)そして、上記(1)の「温度測定器」の種類と、「測定された温度」とは何の温度であるかが、請求項1に特定されていない。
(3)一方、本件特許明細書には、次の記載がある。
「【0012】
そして、前記の炉内点検装置において、前記の温度測定器としては、広い範囲の温度を測定できる赤外線サーモグラフィーを用いることが好ましい。また、温度測定器を回転翼式無人小型飛行体に複数設けるにあたっては、この飛行体の上面部、下面部及び複数の側面部に設けることができる。」
「【0021】
そして、前記のように炉10内に設けた各ラジアントチューブバーナー15等の状態を点検するにあたり、この実施形態においては、図2(A),(B)等に示すように、回転翼式無人小型飛行体20として、飛行体本体21やこの飛行体本体21から対角方向に延出するように設けた4つの回転翼22等に耐熱性に優れたチタン等を用いた耐熱性飛行ロボットであるドローンを用い、この飛行体本体21の下面21cに、炉10内におけるラジアントチューブバーナー15等の点検を行う耐熱性のカメラ23として、赤外線サーモグラフィーカメラを搭載させると共に、図では明確ではないが、この飛行体本体21における4つの側面21aと、上面21bと、下面21cとに、それぞれ温度測定器24として、飛行する回転翼式無人小型飛行体20の周辺の広い範囲の温度を測定するための赤外線サーミスタを設けている。
【0022】
ここで、回転翼式無人小型飛行体20に設ける前記の温度測定器24の数や位置は特に限定されず、回転翼式無人小型飛行体20を所定の位置に飛行させるようにするため、回転翼式無人小型飛行体20の周囲における適当な位置の温度を測定して空気密度を計算し、計算した空気密度に対応させて各回転翼22の回転数を制御できるようになっていればよい。
【0023】
また、この実施形態においては、前記の回転翼式無人小型飛行体20を図3に示すようなコントローラー30によって制御するにあたり、回転翼式無人小型飛行体20に設けられた前記のカメラ23によって撮影された映像や、各温度測定器24によって測定された各位置の温度等を、前記のコントローラー30に設けられたモニター31等に出力させ、このように出力された映像や各位置の温度に基づく空気密度等に基づいて、このコントローラー30に設けられた操作レバー32により、回転翼式無人小型飛行体20における各回転翼22の回転数を制御して、回転翼式無人小型飛行体20の位置やカメラ23の向きを操作するようにしている。
【0024】
ここで、炉10の内部を点検するとき、炉10の操業は停止させており、炉10の内部の温度は低下しているが、操業時の残熱により、温度の高低が生じている。そのため、各回転翼22の回転数が、そのままだと、温度の高い所では、空気密度が小さくなり、揚力が不足して回転翼式無人小型飛行体20は降下し、温度の低い所では、その逆の現象が起き、回転翼式無人小型飛行体20の飛行が不安定になる。
【0025】
そこで、前記の温度測定器24により回転翼式無人小型飛行体20の進行方向の予め検知し、空気密度を計算し、それに合わせて揚力を各回転翼22の回転数によって自動制御して、回転翼式無人小型飛行体20の飛行を安定させる機能が前記のコントローラー30に備わっている。なお、この機能は回転翼式無人小型飛行体20の飛行体本体21に備わっていてもよい。」
(4)上記(3)に摘記した部分を参照すると、【0012】および【0021】の記載から、「温度測定器」は広い範囲の温度を測定できる機器であること、【0022】~【0025】の記載から、「測定された温度」とは回転翼式無人小型飛行体20の周囲、特にその進行方向の空気の温度であることは明らかである。
(5)したがって、請求項1の上記(1)の記載は明確であるから、請求項1及びそれを引用する請求項3~4に係る発明は、明確である。
2 請求項4の記載について
(1)請求項4には、「複数の温度測定器を設けた前記の回転翼式無人小型飛行体における各温度測定器によって測定された温度に基づいて、前記のコントローラーにより回転翼式無人小型飛行体における各回転翼の回転数を制御しながら、前記の回転翼式無人小型飛行体を炉内の所定位置に飛行させて、」と記載されている。
(2)そして、上記(1)の「温度測定器」の種類と、「測定された温度」とは何の温度であるかが、請求項4に特定されていない。
(3)しかし、上記1(4)において検討したのと同様、これらの点は本件特許明細書を参照すれば明らかなので、請求項4の上記(1)の記載は明確であるから、請求項4に係る発明は、明確である。
第6 むすび
以上のとおり、本件の請求項1、3~4に係る特許は、特許異議申立書に記載された特許異議の申立ての理由によっては、取り消すことはできず、また、他に本件の請求項1、3~4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-700382