特許異議申立
2023-700674
照明器具
- 審判番号
- 2023-700674
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-002799
- 登録番号
- 7197029
- 請求日
- 2023年06月27日
- 審決日
- 2024年03月29日
- 公報発行日
- 2024年06月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】三菱電機株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
- 【権利者】三菱電機照明株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
- 【異議申立人】河南 満洋
- 審判長/審判官
- 審判長 一ノ瀬 覚
- 審判官 藤井 昇
- 審判官 八木 誠
- 分類
- P1651.113-YAA(F21S) / P1651.121-YAA(F21S) / P1651.832-YAA(F21S) / P1651.841-YAA(F21S) / P1651.851-YAA(F21S) / P1651.853-YAA(F21S)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7197029号発明「照明器具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7197029号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~8〕について訂正することを認める。
特許第7197029号の請求項1~8に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7197029号の請求項1~8に係る特許についての出願は、平成30年5月28日に出願した特願2018-101764号の一部を令和4年1月12日に新たな特許出願としたものであって、同年12月19日にその特許権の設定登録がされ、同年12月27日に特許掲載公報が発行された。
この請求項1~8に係る特許について、令和5年6月27日に特許異議申立人 河南 満洋(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがあり、同年10月26日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年12月20日差出で特許権者により意見書の提出及び訂正請求がされ、令和6年2月28日に申立人により意見書の提出がされたものである。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和5年12月20日差出の訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)は、特許第7197029号(以下「本件特許」という。)の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~8〕について訂正することを求めるものであり、その内容は、以下のとおりである(訂正箇所に下線を付した。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、「前記ユニットは、前記器具本体と前記化粧部との間に少なくとも部分的に位置する筐体部と、前記筐体部から前記開口を通って前記化粧部の外側へ突出した突出部と、を備え、前記開口の縁部を平行移動した軌跡からなる仮想の筒状図形の内側に前記突出部が位置する」と記載されているのを、「前記ユニットは、前記器具本体と前記化粧部との間に少なくとも部分的に位置する筐体部と、前記筐体部から前記開口を通って前記化粧部の外側へ突出した突出部と、前記突出部の根元から外周側へ庇のように出ている面を形成している鍔部と、を備え、前記鍔部は、前記化粧部の内側に位置し、前記開口の縁部を平行移動した軌跡からなる仮想の筒状図形の内側に前記突出部が位置する」に訂正する(請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項5~8も同様に訂正する。)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に、「前記ユニットは、前記器具本体と前記化粧部との間に少なくとも部分的に位置する筐体部と、前記筐体部から前記開口を通って前記化粧部の外側へ突出した突出部と、を備え、前記突出部は、前記第一面に対して傾斜したカバーを有し、」と記載されているのを、「前記ユニットは、前記器具本体と前記化粧部との間に少なくとも部分的に位置する筐体部と、前記筐体部から前記開口を通って前記化粧部の外側へ突出した突出部と、前記突出部の根元から外周側へ庇のように出ている面を形成している鍔部と、を備え、前記鍔部は、前記化粧部の内側に位置し、前記突出部は、前記第一面に対して傾斜したカバーを有し、」に訂正する(請求項2の記載を直接又は間接的に引用する請求項5~8も同様に訂正する。)。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に、「前記ユニットは、前記器具本体と前記化粧部との間に少なくとも部分的に位置する筐体部と、前記筐体部から前記開口を通って前記化粧部の外側へ突出した突出部と、を備え、第一方向は、前記第一面に対して垂直な方向であり、」と記載されているのを、
「前記ユニットは、前記器具本体と前記化粧部との間に少なくとも部分的に位置する筐体部と、前記筐体部から前記開口を通って前記化粧部の外側へ突出した突出部と、前記突出部の根元から外周側へ庇のように出ている面を形成している鍔部と、を備え、前記鍔部は、前記化粧部の内側に位置し、第一方向は、前記第一面に対して垂直な方向であり、」に訂正する(請求項3の記載を直接又は間接的に引用する請求項5~8も同様に訂正する。)。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に、「前記ユニットは、前記器具本体と前記化粧部との間に少なくとも部分的に位置する筐体部と、前記筐体部から前記開口を通って前記化粧部の外側へ突出した突出部と、を備え、前記開口の縁部を平行移動した軌跡からなる仮想の筒状図形の内側に前記突出部の全体が位置する」と記載されているのを「前記ユニットは、前記器具本体と前記化粧部との間に少なくとも部分的に位置する筐体部と、前記筐体部から前記開口を通って前記化粧部の外側へ突出した突出部と、前記突出部の根元から外周側へ庇のように出ている面を形成している鍔部と、を備え、前記鍔部は、前記化粧部の内側に位置し、前記開口の縁部を平行移動した軌跡からなる仮想の筒状図形の内側に前記突出部の全体が位置する」に訂正する(請求項4の記載を直接又は間接的に引用する請求項5~8も同様に訂正する。)。
(5)訂正事項5
明細書の段落【0006】に「本開示に係る照明器具は、第一面を有する器具本体と、器具本体に取り付けられたユニットと、開口を有し、器具本体に取り付けられた化粧部と、を備える照明器具において、ユニットは、器具本体と化粧部との間に少なくとも部分的に位置する筐体部と、筐体部から開口を通って化粧部の外側へ突出した突出部と、を備え、開口の縁部を平行移動した軌跡からなる仮想の筒状図形の内側に突出部が位置するものである。
また、本開示に係る照明器具は、第一面を有する器具本体と、器具本体に取り付けられたユニットと、開口を有し、器具本体に取り付けられた化粧部と、を備える照明器具において、ユニットは、器具本体と化粧部との間に少なくとも部分的に位置する筐体部と、筐体部から開口を通って化粧部の外側へ突出した突出部と、を備え、突出部は、第一面に対して傾斜したカバーを有し、開口の縁部を平行移動した軌跡からなる仮想の筒状図形の内側に突出部が位置するものである。
また、本開示に係る照明器具は、第一面を有する器具本体と、器具本体に取り付けられたユニットと、開口を有し、器具本体に取り付けられた化粧部と、を備える照明器具において、ユニットは、器具本体と化粧部との間に少なくとも部分的に位置する筐体部と、筐体部から開口を通って化粧部の外側へ突出した突出部と、を備え、第一方向は、第一面に対して垂直な方向であり、開口の縁部を第一方向へ平行移動した軌跡からなる仮想の筒状図形の内側に突出部が位置するものである。
また、本開示に係る照明器具は、第一面を有する器具本体と、器具本体に取り付けられたユニットと、開口を有し、器具本体に取り付けられた化粧部と、を備える照明器具において、ユニットは、器具本体と化粧部との間に少なくとも部分的に位置する筐体部と、筐体部から開口を通って化粧部の外側へ突出した突出部と、を備え、開口の縁部を平行移動した軌跡からなる仮想の筒状図形の内側に突出部の全体が位置するものである。」と記載されているのを、
「本開示に係る照明器具は、第一面を有する器具本体と、器具本体に取り付けられたユニットと、開口を有し、器具本体に取り付けられた化粧部と、を備える照明器具において、ユニットは、器具本体と化粧部との間に少なくとも部分的に位置する筐体部と、筐体部から開口を通って化粧部の外側へ突出した突出部と、突出部の根元から外周側へ庇のように出ている面を形成している鍔部と、を備え、鍔部は、化粧部の内側に位置し、開口の縁部を平行移動した軌跡からなる仮想の筒状図形の内側に突出部が位置するものである。
また、本開示に係る照明器具は、第一面を有する器具本体と、器具本体に取り付けられたユニットと、開口を有し、器具本体に取り付けられた化粧部と、を備える照明器具において、ユニットは、器具本体と化粧部との間に少なくとも部分的に位置する筐体部と、筐体部から開口を通って化粧部の外側へ突出した突出部と、突出部の根元から外周側へ庇のように出ている面を形成している鍔部と、を備え、鍔部は、化粧部の内側に位置し、突出部は、第一面に対して傾斜したカバーを有し、開口の縁部を平行移動した軌跡からなる仮想の筒状図形の内側に突出部が位置する
ものである。
また、本開示に係る照明器具は、第一面を有する器具本体と、器具本体に取り付けられたユニットと、開口を有し、器具本体に取り付けられた化粧部と、を備える照明器具において、ユニットは、器具本体と化粧部との間に少なくとも部分的に位置する筐体部と、筐体部から開口を通って化粧部の外側へ突出した突出部と、突出部の根元から外周側へ庇のように出ている面を形成している鍔部と、を備え、鍔部は、化粧部の内側に位置し、第一方向は、第一面に対して垂直な方向であり、開口の縁部を第一方向へ平行移動した軌跡からなる仮想の筒状図形の内側に突出部が
位置するものである。
また、本開示に係る照明器具は、第一面を有する器具本体と、器具本体に取り付けられたユニットと、開口を有し、器具本体に取り付けられた化粧部と、を備える照明器具において、ユニットは、器具本体と化粧部との間に少なくとも部分的に位置する筐体部と、筐体部から開口を通って化粧部の外側へ突出した突出部と、突出部の根元から外周側へ庇のように出ている面を形成している鍔部と、を備え、鍔部は、化粧部の内側に位置し、開口の縁部を平行移動した軌跡からなる仮想の筒状図形の内側に突出部の全体が位置するものである。」に訂正する。
(6)一群の請求項についての説明
請求項5~8は、請求項1~請求項4のいずれかを直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1~4によって記載が訂正される請求項1~4に連動して訂正されるものである。
したがって、明細書に係る訂正を含む本件訂正請求は、一群の請求項〔1~8〕について請求されたものである。
2 訂正の適否についての判断
(1)訂正事項1~4
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の請求項1の発明特定事項である「ユニット」が備えるものについて「前記突出部の根元から外周側へ庇のように出ている面を形成している鍔部と、」との事項を加えると共に、当該「鍔部」について「前記鍔部は、前記化粧部の内側に位置し」と限定するものであり、この訂正は、構成要件の直列的付加に該当する。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
同様に、訂正事項2は、訂正前の請求項2の発明特定事項である「ユニット」が備えるものについて「前記突出部の根元から外周側へ庇のように出ている面を形成している鍔部と、」との事項を加えると共に、当該「鍔部」について「前記鍔部は、前記化粧部の内側に位置し」と限定するものであり、この訂正は、構成要件の直列的付加に該当する。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
同様に、訂正事項3は、訂正前の請求項3の発明特定事項である「ユニット」が備えるものについて「前記突出部の根元から外周側へ庇のように出ている面を形成している鍔部と、」との事項を加えると共に、当該「鍔部」について「前記鍔部は、前記化粧部の内側に位置し」と限定するものであり、この訂正は、構成要件の直列的付加に該当する。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
同様に、訂正事項4は、訂正前の請求項4の発明特定事項である「ユニット」が備えるものについて「前記突出部の根元から外周側へ庇のように出ている面を形成している鍔部と、」との事項を加えると共に、当該「鍔部」について「前記鍔部は、前記化粧部の内側に位置し」と限定するものであり、この訂正は、構成要件の直列的付加に該当する。
したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてした訂正であること
特許明細書の段落【0039】に「鍔部440は、突出部420の根元から外周側へ庇のように出ている面を形成している。」と記載されている。また、図6、8~10、14には、鍔部440は、化粧部200の内側に位置していることが記載されている。
したがって、訂正事項1~4による訂正は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アの理由から明らかなように、訂正事項1~4による訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項1~4による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(2)訂正事項5
ア 訂正の目的について
訂正事項5は、上記訂正事項1~4に係る訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正である。
したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であること
訂正事項5は、訂正事項1~4に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正である。
上述したとおり、訂正事項1~4による訂正は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるから、訂正事項5による訂正も同様に、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
したがって、訂正事項5による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項5は、訂正事項1~4に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
したがって、訂正事項5による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(3)小括
上記のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~8〕について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
上記「第2」で述べたとおり、本件訂正は認められるので、本件訂正がされた請求項1~8に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、特許請求の範囲の請求項1~8に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
第一面を有する器具本体と、
前記器具本体に取り付けられたユニットと、
開口を有し、前記器具本体に取り付けられた化粧部と、
を備える照明器具において、
前記ユニットは、
前記器具本体と前記化粧部との間に少なくとも部分的に位置する筐体部と、
前記筐体部から前記開口を通って前記化粧部の外側へ突出した突出部と、
前記突出部の根元から外周側へ庇のように出ている面を形成している鍔部と、
を備え、
前記鍔部は、前記化粧部の内側に位置し、
前記開口の縁部を平行移動した軌跡からなる仮想の筒状図形の内側に前記突出部が位置する照明器具。
【請求項2】
第一面を有する器具本体と、
前記器具本体に取り付けられたユニットと、
開口を有し、前記器具本体に取り付けられた化粧部と、
を備える照明器具において、
前記ユニットは、
前記器具本体と前記化粧部との間に少なくとも部分的に位置する筐体部と、
前記筐体部から前記開口を通って前記化粧部の外側へ突出した突出部と、
前記突出部の根元から外周側へ庇のように出ている面を形成している鍔部と、
を備え、
前記鍔部は、前記化粧部の内側に位置し、
前記突出部は、前記第一面に対して傾斜したカバーを有し、
前記開口の縁部を平行移動した軌跡からなる仮想の筒状図形の内側に前記突出部が位置する照明器具。
【請求項3】
第一面を有する器具本体と、
前記器具本体に取り付けられたユニットと、
開口を有し、前記器具本体に取り付けられた化粧部と、
を備える照明器具において、
前記ユニットは、
前記器具本体と前記化粧部との間に少なくとも部分的に位置する筐体部と、
前記筐体部から前記開口を通って前記化粧部の外側へ突出した突出部と、
前記突出部の根元から外周側へ庇のように出ている面を形成している鍔部と、
を備え、
前記鍔部は、前記化粧部の内側に位置し、
第一方向は、前記第一面に対して垂直な方向であり、
前記開口の縁部を前記第一方向へ平行移動した軌跡からなる仮想の筒状図形の内側に前記突出部が位置する照明器具。
【請求項4】
第一面を有する器具本体と、
前記器具本体に取り付けられたユニットと、
開口を有し、前記器具本体に取り付けられた化粧部と、
を備える照明器具において、
前記ユニットは、
前記器具本体と前記化粧部との間に少なくとも部分的に位置する筐体部と、
前記筐体部から前記開口を通って前記化粧部の外側へ突出した突出部と、
前記突出部の根元から外周側へ庇のように出ている面を形成している鍔部と、
を備え、
前記鍔部は、前記化粧部の内側に位置し、
前記開口の縁部を平行移動した軌跡からなる仮想の筒状図形の内側に前記突出部の全体が位置する照明器具。
【請求項5】
前記化粧部は、前記第一面に対して傾斜した板状の傾斜部を有し、
前記傾斜部に前記開口が形成されている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の照明器具。
【請求項6】
前記化粧部は、
前記第一面の反対側にあり、第一光源が取り付けられる部分である第一光源取付部と、
前記第一光源取付部に隣接して設けられ、前記第一光源取付部から離れるにつれて前記
第一面に近づくように傾斜した傾斜部と、
を備え、
前記傾斜部に前記開口が形成されている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の照明器具。
【請求項7】
前記突出部は、前記第一面に対して傾斜したカバーを有し、
前記第一面に対する前記カバーの傾斜角度は、前記第一面に対する前記傾斜部の傾斜角
度に等しいか、または、前記第一面に対する前記傾斜部の傾斜角度よりも大きい請求項5または請求項6に記載の照明器具。
【請求項8】
前記突出部は、前記第一面に対して傾斜したカバーを有し、
前記ユニットは、前記カバーの内面に対して空間を介して対向する表面部を有する電波センサを備え、
前記カバーは、前記表面部に対して平行に位置する請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の照明器具。」
第4 取消理由通知に記載した取消理由の概要について
1 取消理由の概要
訂正前の請求項1~8に係る特許に対して、当審が令和5年10月26日付けの取消理由通知で特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
1)(新規性)本件特許の請求項1~7に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、その発明に係る特許は、取り消されるべきものである。
2)(進歩性)本件特許の請求項1~8に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、その発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
記
<理由1><理由2>
・請求項 1~6
・引用文献 1
・請求項 1、3~6
・引用文献 2
・請求項 1、2、4、5、7
・引用文献 3
<理由2>
・請求項 1~4、8
・引用文献 4
・請求項 7
・引用文献 1
・請求項 8
・引用文献 3、4
引用文献一覧
1.特開2017-107828号公報(申立人の提出した甲第1号証)
2.特開2005-158461号公報(申立人の提出した甲第2号証)
3.特開2014-93122号公報(申立人の提出した甲第3号証)
4.特開2017-220316号公報(申立人の提出した甲第4号証)
以下、甲第○号証を甲〇ともいう。
第5 当審の判断
1 引用文献1(甲1)を主引用文献とする新規性、進歩性について
(1)引用文献の記載及び甲1発明
ア 引用文献1
・図10
[図:0001411319000001.jpg]
・図18に説明用の符号を付した参考図1-1
[図:0001411319000002.jpg]
・図16に説明用の符号を付した参考図1-2
[図:0001411319000003.jpg]
引用文献1には、実施の形態1で器具本体の変形例を示す図18に着目すると、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる(括弧内に、根拠となる箇所を示した(便宜上、実施の形態1の符号や参照箇所も用いた。)以下同様。)。
「本体底面部111の裏面を有する本体凹部110を含む部分と(段落【0022】、図3、図4)、
本体凹部110を含む部分と隣接して設けられ一体化された非常用光源ユニット200と(段落【0020】、図4)、
本体凹部110を含む部分の開口に傾斜形状をした反射部114が対に形成されるとともに、切り欠き114aを有する一方の反射部114と(段落【0050】、参考図1-1)、
を備える照明装置1Aにおいて(参考図1-1)、
前記非常用光源ユニット200は、
本体凹部110を含む部分と反射部114との間に少なくとも部分的に位置する部分1Aと、
部分1Aから切り欠き114aを通って反射部114の外側へ突出した部分1Bと、
を備え(段落【0050】、参考図1-1、1-2)、
切り欠き114aの縁部を平行移動した軌跡からなる仮想の筒状図形1Dの内側に、非常用光源ユニット200のうちの部分1Aから切り欠き114aを通って反射部の外側に突出した部分1Bが位置する(参考図1-1)、
照明装置1A。」
(2)本件発明1について
ア 対比
(ア)本件発明1と甲1発明とを対比すると、後者の「本体底面部111の裏面」は前者の「第一面」に相当し、以下同様に、「本体凹部110を含む部分」は「器具本体」に、「非常用光源ユニット200」は「ユニット」に、「反射部114」は照明装置1Aの外装の一部を形成する部材であるから「化粧部」に、「照明装置1A」は「照明器具」に、「部分A」は「筐体部」に、外側に突出した「部分1B」は「突出部」に、「切り欠き114a」は「開口」に、「筒状図形1D」は「筒状図形」に、それぞれ相当する。
上記相当関係(ア)を踏まえると以下のことがいえる。
(イ)後者の「本体底面部111の裏面を有する本体凹部110を含む部分」は、前者の「第一面を有する器具本体」に相当する。
(ウ)後者の「本体凹部110を含む部分と隣接して設けられ一体化された非常用光源ユニット200」は、前者の「前記器具本体に取り付けられたユニット」に相当する。
(エ)後者の「本体凹部110を含む部分の開口に傾斜形状をした反射部114が対に形成されるとともに、切り欠き114aを有する一方の反射部114」は、前者の「開口を有し、前記器具本体に取り付けられた化粧部」に相当する。
(オ)後者の「本体凹部110を含む部分と反射部114との間に少なくとも部分的に位置する部分1A」は、前者の「前記器具本体と前記化粧部との間に少なくとも部分的に位置する筐体部」に相当する。
(カ)後者の「部分1Aから切り欠き114aを通って反射部114の外側へ突出した部分1B」は、前者の「前記筐体部から前記開口を通って前記化粧部の外側へ突出した突出部」に相当する。
(キ)後者の「切り欠き114aの縁部を平行移動した軌跡からなる仮想の筒状図形1Dの内側に、非常用光源ユニット200のうちの部分1Aから切り欠き114aを通って反射部の外側に突出した部分1Bが位置する」ことは、前者の「前記開口の縁部を平行移動した軌跡からなる仮想の筒状図形の内側に前記突出部が位置する」ことに相当する。
そうすると、両者は、
「第一面を有する器具本体と、
前記器具本体に取り付けられたユニットと、
開口を有し、前記器具本体に取り付けられた化粧部と、
を備える照明器具において、
前記ユニットは、
前記器具本体と前記化粧部との間に少なくとも部分的に位置する筐体部と、
前記筐体部から前記開口を通って前記化粧部の外側へ突出した突出部と、
を備え、
前記開口の縁部を平行移動した軌跡からなる仮想の筒状図形の内側に前記突出部が位置する
照明器具。」
の点で一致し、以下の点で相違すると認められる。
<相違点1>
ユニットが、本件発明1では、「前記突出部の根元から外周側へ庇のように出ている面を形成している鍔部と、」を備え、「前記鍔部は、前記化粧部の内側に位置し」ているのに対して、甲1発明では、そのような構成を有していない点。
イ 相違点の判断
上記相違点1は、実質的な相違点であるので、本件発明1は甲1発明ではない。
そして、相違点1に係る本件発明1の構成は、申立人の提出したいずれの証拠にも、開示されておらず、また、甲1発明において、相違点1に係る本件発明1の構成を有するよう変更することが、設計的事項であるとする理由もないので、本件発明1は、甲1発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。
ウ 申立人の主張について
(ア)申立人は、令和6年2月28日の意見書において、
「(2)引用発明の認定
[図:0001411319000004.jpg]
[図:0001411319000005.jpg]
段落【0031】、図10、図12の記載より、甲第1号証には、「レンズ開口213aを有し、本体凹部110に取り付けられたユニット化粧部212」が記載されている。
また、甲第1号証には、「本体凹部110とユニット化粧部212との間において、レンズ開口213aを通ってユニット化粧部212の外側へ突出したレンズ223」及び「レンズ233の根元から外周側へ庇のように出ている面を形成している鍔部」が記載されている(図12、25参照)。さらに、甲第1号証には、「上記鍔部は、ユニット化粧部212の内側に位置し」ている構成が記載されている。
(3)本件訂正発明と証拠に記載された発明との対比
上記より、甲第1号証に記載の発明は、訂正により請求項1に追加された「前記突出部の根元から外周側へ庇のように出ている面を形成している鍔部」(構成要件1H)及び「前記鍔部は、前記化粧板の内側に位置し」ている構成(構成要件1I)を有する。つまり、訂正により請求項1に追加された限定内容は、甲第1号証に記載されている内容にすぎない。」(意見書5ページ2行~7ページ2行)旨主張する。
(イ)検討
しかしながら、申立人が主張する上記相当関係を前提にすると、本件発明1の「ユニット」に相当する甲1の「非常光源用ユニット200」が、「筐体」を有さないことになってしまうから、上記アで示したように、甲1発明の「切欠き114a」は本件発明1の「開口」に、同様に、「反射部114」は「化粧部」に相当すると認定するのが妥当である。
したがって、申立人の上記主張は、前提において誤っており、採用することができない。
エ 小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明ではない。
また、本件発明1は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件発明2~4について
本件発明2~4と甲1発明とを対比すると、いずれも上記相違点1と同様の相違点を有するから、上記(2)で説示したのと同様の理由により、本件発明2~4は、甲1発明ではなく、また、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)本件発明5~8について
本件発明5~8は、本件発明1~4の何れかの発明特定事項をすべて含み、さらに発明特定事項を付加して限定するものであるから、上記(2)で説示したのと同様の理由により、本件発明5~8は、甲1発明ではなく、また、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 引用文献2~4を主引用文献とする新規性、進歩性について
本件発明1の、ユニットが「前記突出部の根元から外周側へ庇のように出ている面を形成している鍔部と、」を備え、「前記鍔部は、前記化粧部の内側に位置し」ているという構成は、引用文献2(甲2)~引用文献4(甲4)のいずれにも、開示されていない。また、本件発明2~8は、本件発明1の上記構成と同様の構成を備えるものである。
したがって、本件発明1~8は、引用文献2~引用文献4に記載された発明ではなく、引用文献2~引用文献4に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3 取消理由通知で採用しなかった特許異議申立理由について
申立人は、異議申立書の18~19ページの理由の要点において、本件発明1、3~6は下記甲5、甲6のいずれかに記載されており、本件発明1、2は下記甲7に記載されており、本件発明1、3は下記甲8に記載されており、本件発明1、5は下記甲9に記載されており、新規性がないことを、異議申立理由として主張している。
また、申立人は、同19ページ~20ページの理由の要点において、本件発明1~6は下記甲5~甲9のいずれかに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり進歩性がないことを異議申立理由として主張している。
しかしながら、本件発明1の、ユニットが「前記突出部の根元から外周側へ庇のように出ている面を形成している鍔部と、」を備え、「前記鍔部は、前記化粧部の内側に位置し」ているという構成は、下記甲5~甲9のいずれにも開示されていない。また、本件発明2~8は、本件発明1の上記構成と同様の構成を備えるものである。
したがって、本件発明1~6は、甲5~甲9に記載された発明ではなく、また、甲5~甲9に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
記
甲5:特開2004-259562号公報
甲6:特開2017-103006号公報
甲7:特開2017-50257号公報
甲8:特開2017-27691号公報
甲9:特開2016-181440号公報
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由及び証拠によっては、本件発明1~8に係る特許を取り消すことはできない。
さらに、他に本件発明1~8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700674