特許異議申立
2023-700968
照明装置
- 審判番号
- 2023-700968
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-034212
- 登録番号
- 7242345
- 請求日
- 2023年09月14日
- 審決日
- 2025年01月30日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】三菱電機株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人きさ特許商標事務所
- 【権利者】三菱電機照明株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人きさ特許商標事務所
- 【異議申立人】日高 恵美子
- 審判長/審判官
- 審判長 筑波 茂樹
- 審判官 八木 誠
- 審判官 澤崎 雅彦
- 分類
- P1652.113-YAA(F21S) / P1652.121-YAA(F21S) / P1652.851-YAA(F21S) / P1652.853-YAA(F21S) / P1652.857-YAA(F21S)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7242345号発明「照明装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7242345号の明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6、9〕、7、8について訂正することを認める。
特許第7242345号の請求項1~3、5~8に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7242345号の請求項1~9に係る特許についての出願は、平成31年2月27日に出願され、令和5年3月10日にその特許権の設定登録がされ、同年3月20日に特許掲載公報が発行された。
請求項1~3、5~8に係る特許についての特許異議申立人日高恵美子(以下「申立人」という。)による本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和5年 9月14日 特許異議の申立て
同年12月 5日付け 取消理由通知
令和6年 2月 5日 特許権者より意見書・訂正請求書
同年 3月11日 申立人より意見書
同年 5月23日付け 取消理由通知(決定の予告)
同年 7月26日 特許権者より意見書・訂正請求書
同年 9月18日 申立人より意見書
なお、令和6年2月5日の訂正請求書による訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和6年7月26日の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下の(1)~(7)のとおりである。下線は、訂正箇所を示す。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、「被取付部側に配置される照明器具と、前記照明器具に取り付けられ、照射対象空間に光を照射する光源ユニットと、前記被取付部と前記照明器具との間に介在し、前記被取付部に取り付けられた状態で前記照明器具を前記被取付部に接続する接続ユニットと、を備え、前記接続ユニットは、前記照明器具の両側面の全面をそれぞれ覆う一対の枠側部と、前記一対の枠側部の上部を接続し、前記被取付部に取り付けられる枠ブラケット部と、前記一対の枠側部の両端部を塞ぎ、前記枠ブラケット部と共に前記一対の枠側部を接続する枠端部と、を有する」と記載されているのを、「被取付部側に配置される照明器具と、前記照明器具に対して着脱自在に取り付けられ、照射対象空間に光を照射する光源ユニットと、前記被取付部と前記照明器具との間に介在し、前記被取付部に取り付けられた状態で前記照明器具を前記被取付部に接続する接続ユニットと、を備え、前記接続ユニットは、前記照明器具の両側面の全面をそれぞれ覆う一対の枠側部と、前記一対の枠側部の上部を接続し、前記照明器具と共に前記被取付部に設けられた固定具に取り付けられる枠ブラケット部と、前記一対の枠側部の両端部を塞ぎ、前記枠ブラケット部と共に前記一対の枠側部を接続する枠端部と、を有する」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項6も同様に訂正する。)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に、「前記照明器具に取り付けられ、照射対象空間に光を照射する光源ユニット」と記載されているのを、「前記照明器具に対して着脱自在に取り付けられ、照射対象空間に光を照射する光源ユニット」に訂正する(請求項2の記載を直接又は間接的に引用する請求項3、5及び6も同様に訂正する。)。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4において、「前記傾斜部は、前記被取付部側に延びている請求項3記載の照明装置。」と記載されているのを、「被取付部側に配置される照明器具と、前記照明器具に取り付けられ、照射対象空間に光を照射する光源ユニットと、前記被取付部と前記照明器具との間に介在し、前記被取付部に取り付けられて前記照明器具を前記被取付部に接続する接続ユニットと、を備え、前記接続ユニットは、前記照明器具の両側面をそれぞれ覆う一対の枠側部と、前記一対の枠側部の上部を接続し、前記被取付部に取り付けられる枠ブラケット部と、前記一対の枠側部の両端部を塞ぎ、前記枠ブラケット部と共に前記一対の枠側部を接続する枠端部と、を有し、前記枠側部は、前記枠ブラケット部の下部に当たる側板接続部と、前記側板接続部から下方に延び、前記照明器具の側面を覆う側板本体部と、を有し、前記側板本体部は、前記側板接続部から垂直下方に延びる垂直部と、前記垂直部の先端から、前記照明器具とは反対方向に傾斜する傾斜部と、を有し、前記傾斜部は、前記被取付部側に延びている照明装置。」に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項5も同様に訂正する。)。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項7に、「前記一対の枠側部の上部を接続し、前記被取付部に取り付けられる枠ブラケット部と、前記一対の枠側部の両端部を塞ぎ、前記枠ブラケット部と共に前記一対の枠側部を接続する枠端部と、を有し、前記枠ブラケット部は、前記被取付部に取り付けられるブラケット本体部と、前記ブラケット本体部の両側部から延び、前記枠側部に接続されるブラケット側部と、を有する」と記載されているのを、「前記一対の枠側部の上部を接続し、前記照明器具と共に前記被取付部に設けられた固定具に取り付けられる枠ブラケット部と、前記一対の枠側部の両端部を塞ぎ、前記枠ブラケット部と共に前記一対の枠側部を接続する枠端部と、を有し、前記枠ブラケット部は、前記被取付部に取り付けられるブラケット本体部と、前記ブラケット本体部の両側部から延び、前記一対の枠側部の外側に配置された状態で前記枠側部に接続されるブラケット側部と、を有する」に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項8に、「被取付部側に配置される照明器具と、前記照明器具に取り付けられ、照射対象空間に光を照射する光源ユニットと、前記被取付部と前記照明器具との間に介在し、前記被取付部に取り付けられて前記照明器具を前記被取付部に接続する接続ユニットと、を備え、前記接続ユニットは、前記照明器具の両側面をそれぞれ覆う一対の枠側部と、前記一対の枠側部の上部を接続し、前記被取付部に取り付けられる枠ブラケット部と、前記一対の枠側部の両端部を塞ぎ、前記枠ブラケット部と共に前記一対の枠側部を接続する枠端部と、を有し、」と記載されているのを、「被取付部側に配置される、長尺状に形成された照明器具と、前記照明器具に取り付けられ、照射対象空間に光を照射する光源ユニットと、前記照明器具の長手方向に延びるように前記被取付部と前記照明器具との間に介在し、前記被取付部に取り付けられて前記照明器具を前記被取付部に接続する接続ユニットと、を備え、前記接続ユニットは、前記照明器具の両側面をそれぞれ覆う、長尺状に形成された一対の枠側部と、前記一対の枠側部の上部を接続し、前記照明器具と共に前記被取付部に設けられた固定具に取り付けられる枠ブラケット部と、前記一対の枠側部の両端部を塞ぎ、前記枠ブラケット部と共に前記一対の枠側部を接続する枠端部と、を有し、」に訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項9において、「前記接続ユニットは、前記被取付部に取り付けられる背面枠と、前記背面枠に取り付けられ、前記背面枠との間に前記照明器具及び前記光源ユニットを収納する前面枠と、を有する請求項1記載の照明装置。」と記載されているのを、「被取付部側に配置される照明器具と、前記照明器具に取り付けられ、照射対象空間に光を照射する光源ユニットと、前記被取付部と前記照明器具との間に介在し、前記被取付部に取り付けられた状態で前記照明器具を前記被取付部に接続する接続ユニットと、を備え、前記接続ユニットは、前記照明器具の両側面の全面をそれぞれ覆う一対の枠側部と、前記一対の枠側部の上部を接続し、前記被取付部に取り付けられる枠ブラケット部と、前記一対の枠側部の両端部を塞ぎ、前記枠ブラケット部と共に前記一対の枠側部を接続する枠端部と、を有し、前記接続ユニットは、前記被取付部に取り付けられる背面枠と、前記背面枠に取り付けられ、前記背面枠との間に前記照明器具及び前記光源ユニットを収納する前面枠と、を有する照明装置。」に訂正する。
(7)訂正事項7
明細書の【0006】に、「本発明に係る照明装置は、被取付部側に配置される照明器具と、照明器具に取り付けられ、照射対象空間に光を照射する光源ユニットと、被取付部と照明器具との間に介在し、被取付部に取り付けられた状態で照明器具を被取付部に接続する接続ユニットと、を備え、接続ユニットは、照明器具の両側面の全面をそれぞれ覆う一対の枠側部と、一対の枠側部の上部を接続し、被取付部に取り付けられる枠ブラケット部と、一対の枠側部の両端部を塞ぎ、枠ブラケット部と共に一対の枠側部を接続する枠端部と、を有する。」と記載されているのを、「本発明に係る照明装置は、被取付部側に配置される照明器具と、照明器具に対して着脱自在に取り付けられ、照射対象空間に光を照射する光源ユニットと、被取付部と照明器具との間に介在し、被取付部に取り付けられた状態で照明器具を被取付部に接続する接続ユニットと、を備え、接続ユニットは、照明器具の両側面の全面をそれぞれ覆う一対の枠側部と、一対の枠側部の上部を接続し、照明器具と共に被取付部に設けられた固定具に取り付けられる枠ブラケット部と、一対の枠側部の両端部を塞ぎ、枠ブラケット部と共に一対の枠側部を接続する枠端部と、を有する。」に訂正する。
(8)一群の請求項
本件訂正の請求は、一群の請求項〔1~6、9〕に対して請求されたものであり、請求項7、8それぞれに対して請求されたものである。
2 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、及び、新規事項の有無
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1の「前記照明器具に取り付けられ」との事項に、「対して着脱自在に」との限定を付加し、訂正前の請求項1の「前記被取付部に取り付けられる枠ブラケット部」との事項の「前記被取付部」の前後にそれぞれ「前記照明器具と共に」、「に設けられた固定具」との限定を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
また、訂正事項1は、願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)の【0032】、【0074】~【0076】、【0079】、【0080】、図22~24に基づくものであると認められるから、新規事項を追加するものではない。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項2の「前記照明器具に取り付けられ」との事項に、「対して着脱自在に」との限定を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
また、訂正事項2も、本件明細書等の【0032】に基づくものであると認められるから、新規事項を追加するものではない。
(3)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項4に、訂正前の請求項3及び請求項3が引用する請求項2の発明特定事項を追加し、訂正前の請求項3及び請求項3が引用する請求項2との引用関係を解消するものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、新規事項を追加するものではない。
(4)訂正事項4について
訂正事項4は、訂正前の請求項7の「前記被取付部に取り付けられる枠ブラケット部」との事項の「前記被取付部」の前後にそれぞれ「前記照明器具と共に」、「に設けられた固定具」との限定を付加し、訂正前の請求項7の「前記枠側部に接続されるブラケット側部」との事項に、「前記一対の枠側部の外側に配置された状態で」との限定を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
また、訂正事項4は、本件明細書等の【0074】~【0076】、【0079】、【0080】及び図17、22~24等に基づくものであると認められるから、新規事項を追加するものではない。
(5)訂正事項5について
訂正事項5は、訂正前の請求項8の「照明器具」及び「一対の枠側部」との事項に、「長尺状に形成された」との限定を付加し、訂正前の請求項8の「接続ユニット」との事項に、「前記照明器具の長手方向に延びるように」との限定を付加し、訂正前の請求項8の「前記被取付部に取り付けられる枠ブラケット部」との事項の「前記被取付部」の前後にそれぞれ「前記照明器具と共に」、「に設けられた固定具」との限定を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
また、訂正事項5は、本件明細書等の【0013】、【0071】、【0074】~【0076】、【0079】、【0080】及び図13、22~24等に基づくものであると認められるから、新規事項を追加するものではない。
(6)訂正事項6について
訂正事項6は、訂正前の請求項9に、訂正前の請求項1の発明特定事項を追加し、訂正前の請求項1との引用関係を解消するものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、新規事項を追加するものではない。
(7)訂正事項7について
訂正事項7は、訂正事項1による請求項1の訂正に合わせて、明細書の記載を訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、上記(1)で説示したように、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、新規事項を追加するものではない。
3 小括
以上によれば、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6、9〕、7、8について訂正することを認める。
なお、訂正事項3、6については、請求項間の引用関係の解消を目的とするものであるから、独立特許要件は課されない。
第3 本件発明
上記第2のとおり本件訂正は認められたから、本件訂正後の請求項1~9に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」~「本件発明9」という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定される、以下のとおりのものであると認められる。
「【請求項1】
被取付部側に配置される照明器具と、
前記照明器具に対して着脱自在に取り付けられ、照射対象空間に光を照射する光源ユニットと、
前記被取付部と前記照明器具との間に介在し、前記被取付部に取り付けられた状態で前記照明器具を前記被取付部に接続する接続ユニットと、
を備え、
前記接続ユニットは、
前記照明器具の両側面の全面をそれぞれ覆う一対の枠側部と、
前記一対の枠側部の上部を接続し、前記照明器具と共に前記被取付部に設けられた固定具に取り付けられる枠ブラケット部と、
前記一対の枠側部の両端部を塞ぎ、前記枠ブラケット部と共に前記一対の枠側部を接続する枠端部と、を有する
照明装置。
【請求項2】
被取付部側に配置される照明器具と、
前記照明器具に対して着脱自在に取り付けられ、照射対象空間に光を照射する光源ユニットと、
前記被取付部と前記照明器具との間に介在し、前記被取付部に取り付けられて前記照明器具を前記被取付部に接続する接続ユニットと、を備え、
前記接続ユニットは、
前記照明器具の両側面をそれぞれ覆う一対の枠側部と、
前記一対の枠側部の上部を接続し、前記被取付部に取り付けられる枠ブラケット部と、
前記一対の枠側部の両端部を塞ぎ、前記枠ブラケット部と共に前記一対の枠側部を接続する枠端部と、を有し、
前記枠側部は、
前記枠ブラケット部の下部に当たる側板接続部と、
前記側板接続部から下方に延び、前記照明器具の側面を覆う側板本体部と、を有する
照明装置。
【請求項3】
前記側板本体部は、
前記側板接続部から垂直下方に延びる垂直部と、
前記垂直部の先端から、前記照明器具とは反対方向に傾斜する傾斜部と、を有する
請求項2記載の照明装置。
【請求項4】
被取付部側に配置される照明器具と、
前記照明器具に取り付けられ、照射対象空間に光を照射する光源ユニットと、
前記被取付部と前記照明器具との間に介在し、前記被取付部に取り付けられて前記照明器具を前記被取付部に接続する接続ユニットと、を備え、
前記接続ユニットは、
前記照明器具の両側面をそれぞれ覆う一対の枠側部と、
前記一対の枠側部の上部を接続し、前記被取付部に取り付けられる枠ブラケット部と、
前記一対の枠側部の両端部を塞ぎ、前記枠ブラケット部と共に前記一対の枠側部を接続する枠端部と、を有し、
前記枠側部は、
前記枠ブラケット部の下部に当たる側板接続部と、
前記側板接続部から下方に延び、前記照明器具の側面を覆う側板本体部と、を有し、
前記側板本体部は、
前記側板接続部から垂直下方に延びる垂直部と、
前記垂直部の先端から、前記照明器具とは反対方向に傾斜する傾斜部と、を有し、
前記傾斜部は、
前記被取付部側に延びている
照明装置。
【請求項5】
前記枠側部は、
前記側板本体部の先端から水平方向に延びる側板鍔部を更に有する
請求項2~4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記接続ユニットは、
前記照明器具側に突出する突起を有する
請求項1又は2記載の照明装置。
【請求項7】
被取付部側に配置される照明器具と、
前記照明器具に取り付けられ、照射対象空間に光を照射する光源ユニットと、
前記被取付部と前記照明器具との間に介在し、前記被取付部に取り付けられて前記照明器具を前記被取付部に接続する接続ユニットと、を備え、
前記接続ユニットは、
前記照明器具の両側面をそれぞれ覆う一対の枠側部と、
前記一対の枠側部の上部を接続し、前記照明器具と共に前記被取付部に設けられた固定具に取り付けられる枠ブラケット部と、
前記一対の枠側部の両端部を塞ぎ、前記枠ブラケット部と共に前記一対の枠側部を接続する枠端部と、を有し、
前記枠ブラケット部は、
前記被取付部に取り付けられるブラケット本体部と、
前記ブラケット本体部の両側部から延び、前記一対の枠側部の外側に配置された状態で前記枠側部に接続されるブラケット側部と、を有する
照明装置。
【請求項8】
被取付部側に配置される、長尺状に形成された照明器具と、
前記照明器具に取り付けられ、照射対象空間に光を照射する光源ユニットと、
前記照明器具の長手方向に延びるように前記被取付部と前記照明器具との間に介在し、前記被取付部に取り付けられて前記照明器具を前記被取付部に接続する接続ユニットと、を備え、
前記接続ユニットは、
前記照明器具の両側面をそれぞれ覆う、長尺状に形成された一対の枠側部と、
前記一対の枠側部の上部を接続し、前記照明器具と共に前記被取付部に設けられた固定具に取り付けられる枠ブラケット部と、
前記一対の枠側部の両端部を塞ぎ、前記枠ブラケット部と共に前記一対の枠側部を接続する枠端部と、を有し、
前記枠端部は、
前記一対の枠側部の両端部を塞ぐ端板本体部と、
前記端板本体部から前記照明器具側に延び、前記枠側部に接続される端板側部と、
前記端板本体部から、前記照明器具とは反対方向に延びる端板鍔部と、を有する
照明装置。
【請求項9】
被取付部側に配置される照明器具と、
前記照明器具に取り付けられ、照射対象空間に光を照射する光源ユニットと、
前記被取付部と前記照明器具との間に介在し、前記被取付部に取り付けられた状態で前記照明器具を前記被取付部に接続する接続ユニットと、
を備え、
前記接続ユニットは、
前記照明器具の両側面の全面をそれぞれ覆う一対の枠側部と、
前記一対の枠側部の上部を接続し、前記被取付部に取り付けられる枠ブラケット部と、
前記一対の枠側部の両端部を塞ぎ、前記枠ブラケット部と共に前記一対の枠側部を接続する枠端部と、を有し、
前記接続ユニットは、
前記被取付部に取り付けられる背面枠と、
前記背面枠に取り付けられ、前記背面枠との間に前記照明器具及び前記光源ユニットを収納する前面枠と、を有する
照明装置。」
第4 取消理由の概要
令和6年2月5日の訂正請求書による訂正後の請求項1、6~8に係る特許に対して、令和6年5月23日付けで当審が通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。
[取消理由](進歩性)
本件特許の下記請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、下記の頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、この出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、下記請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
以下、申立人が提出した「甲第○号証」を、「甲○」という。
記
甲1:特開2016-126917号公報
甲2:特開2015-141760号公報
甲3:特開2018-73626号公報(周知技術を示す文献)
甲4:特開2018-133205号公報(周知技術を示す文献)
[請求項及び引用文献等の関係]
・請求項 1、6
・引用文献 甲2
・請求項 7
・引用文献 甲1
・請求項 8
・引用文献 甲1、2
・請求項 8
・引用文献 甲2~4
第5 引用文献等の記載事項
1 甲1について
(1)記載事項
甲1には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審が付与。以下同様。)。
「【0034】
照明器具1は、図1に示すように、灯具本体(照明器具本体)10とコーン20,20とを備えている。照明器具1においては、灯具本体10及びコーン20,20は、左右方向に直交する平面Hを基準として、左側に位置する部分と右側に位置する部分とが面対称となっている。また、照明器具1は、前後方向に長く形成されていて、長手方向に直交する断面(以下単に「断面」という。)は、前端及び後端の一部を除いて、図1に示す形状と同形状となる。上述の平面Hのうちの、図1に示す断面に現れる線が中心線Cnとなる。
【0035】
灯具本体10は、ボディ11、リフレクター12、放熱フィン13、及びホルダ14を備えている。これらボディ11、リフレクター12、放熱フィン13、及びホルダ14は、金属の押出し加工又は引抜き加工により一体成形されて、押出し方向又は引抜き方向に長い長尺に形成されている。つまり、灯具本体10は、前後方向に長い長尺に形成されていて、前後方向の任意の位置における断面の形状が図1に示す形状となっている。
【0036】
ボディ11は、図1に示すように、光出射口(開口部)Kを下方に向けた「コ」字形に形成されている。すなわち、ボディ11は、天井部11aと、この天井部11aの左右両端から下方に延びる一対の側壁部11bとを有している。天井部11aの下面は、光源取付面11cとなっていて、光源15が取り付けられている。光源取付面11cの左右方向の中心(中心線Cn上)には、前後方向に沿って光源15が配設されている。光源15は、例えば、LED(不図示)を前後方向に等間隔で多数配設して構成することができる。なお、光源15としては、LEDに限定されるものではない。」
「【0048】
図5~図7に示すように、照明器具1を天井Cに取り付けるには、まず、取付フレーム30を天井Cに固定し、その後、この取付フレーム30に照明器具1を取り付ける。つまり、照明器具1は、取付フレーム30を介して天井Cに取り付ける。
【0049】
取付フレーム30は、図3に示すように、前後方向に長い枠状のフレーム本体31を有している。フレーム本体31は、天部及び底部がなく、上下方向に貫通している。フレーム本体31の上端には、前端側と後端側との2箇所にそれぞれ固定具32が固定されている。この固定具32の前後方向に直交する断面形状は、下方が開口された「コ」字形となっている。固定具32の天部には、それぞれ前後方向に長い、ばね受け孔32aとボルト孔32bとが穿設されている。さらに、安全ワイヤ33が通される小孔32cが穿設されている。」
「【0051】
図5(A),(B)に示すように、天井Cの裏面側には、上端をコンクリートで固定された取付ボルトBoが吊架されている。まず、天井Cの取付孔C1に、下方から取付フレーム30を挿入して、取付ボルトBoの先端(下端)を固定具32のボルト孔32bに通す。取付ボルトBoの先端にナットNを螺合させ、これを締め付けることで、取付フレーム30全体を上昇させて、図6(A),(B)に示すように、天井Cの取付孔C1に固定する。
【0052】
つづいて、安全ワイヤ33を照明器具1側の連結金具19に連結する。V字ばね18の上端を狭めて、固定具32のばね受け孔32aに通して手を放す。取付フレーム30の下方から照明器具1を押し上げると、V字ばね18は、その上端の屈曲部18b側がばね受け孔32aの中で広がる。これにより、照明器具1を、V字ばね18によって上方に付勢した状態で、取付フレーム30を介して天井Cに取り付けることができる。・・・」
「【図1】
[図:0001422389000001.jpg]
」
「【図3】
[図:0001422389000002.jpg]
」
「【図4】
[図:0001422389000003.jpg]
」
「【図5】
[図:0001422389000004.jpg]
」
「【図6】
[図:0001422389000005.jpg]
」
「【図7】
[図:0001422389000006.jpg]
」
(2)認定事項
ア 【0034】~【0036】、【0048】及び図1、3等を参照して、照明器具1と光源15と取付フレーム30とを備えるものを「照明装置」ということにする。そうすると、照明装置において、照明器具1は、天井C側に配置され、前後方向に長く形成されたことが認められる。
イ 【0034】~【0036】の記載及び図1の図示内容によれば、光源15は、照明器具1に取り付けられたことが認められる。
ウ 【0048】、【0049】、【0051】の記載及び図3、5~7の図示内容によれば、取付フレーム30は、前後方向に長くなるように天井Cと照明器具1との間に介在し、天井Cに固定した状態で照明器具1を天井Cに取り付けること、及び、固定具32は、天井Cから吊架されている取付ボルトBoに固定されることが認められる。
エ 図3、5を参照した上で、下記の参考図1に示すように、取付フレーム30のフレーム本体31において、「側部」、「端部」を認定し、取付フレーム30の固定具32において、「側片」を認定する。
オ 【0049】、【0051】の記載及び図3の図示内容によれば、上記エを踏まえると、取付フレーム30は、照明器具1の両側面をそれぞれ覆う、前後方向に長い一対の側部と、前記一対の側部の両端を塞ぎ、前記一対の側部を接続する端部とを備えるフレーム本体31と、前記一対の側部の上端に固定され、天井Cに固定される固定具32とを有することが認められる。
カ 【0048】の記載及び図3の図示内容によれば、上記エを踏まえると、固定具32は、天井Cに固定される天部と、該天部の両側部から延び、前記一対の側部に固定される側片とを有することが認められる。
キ 参考図1
[図:0001422389000007.jpg]
(3)甲1発明
上記(1)及び(2)を総合すると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「天井C側に配置され、前後方向に長く形成された照明器具1と、
照明器具1に取り付けられた光源15と、
前後方向に長くなるように天井Cと照明器具1との間に介在し、天井Cに固定した状態で照明器具1を天井Cに取り付ける取付フレーム30と、
を備え、
取付フレーム30は、
照明器具1の両側面をそれぞれ覆う、前後方向に長い一対の側部と、前記一対の側部の両端を塞ぎ、前記一対の側部を接続する端部とを備えるフレーム本体31と、
前記一対の側部の上端に固定され、天井Cから吊架されている取付ボルトBoに固定される固定具32とを有し、
固定具32は、
天井Cに固定される天部と、該天部の両側部から延び、前記一対の側部に固定される側片とを有する、
照明装置。」
2 甲2について
(1)記載事項
甲2には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「【0015】
以下、本発明に係る照明器具の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本実施形態の照明器具は、天井板に設けられる埋込孔に器具本体が埋め込まれる天井埋込型の照明器具である。ただし、本発明の技術思想が適用可能な照明器具は天井埋込型のものに限定されず、例えば、天井板に直付けされる天井直付け型の照明器具であっても構わない。
【0016】
本実施形態の照明器具は、図2に示すように器具本体1と、光源ブロック2とを備える。また、光源ブロック2は、複数(図示例では3つ)の光源ユニット3、電源装置4、複数(図示例では2つ)の反射部材5、取付板6などで構成される。なお、以下の説明では、特に断りの無い限り、図2において上下、前後、左右の各方向を規定する。」
「【0025】
取付板6は、鋼板などの金属板が矩形(正方形)に加工されてなる。ただし、取付板6は、4つの辺が同じ向き(下向き)に曲げ起こされることで強度の向上が図られている。そして、3つの光源ユニット3は、長手方向が前後方向に揃えられ、左右方向に沿って等間隔に並んだ状態で、ねじ止めなどの適宜の方法によって取付板6の下面に取り付けられる。また、電源装置4は、隣り合う2つの光源ユニット3の間において、ねじ止めなどの適宜の方法によって取付板6の下面(取付面)に取り付けられる。ただし、図2では電源装置4を1つしか図示していないが、光源ユニット3の個数に応じて、電源装置4が2つ以上設けられても構わない。」
「【0028】
器具本体1は、角筒状の枠体10と、矩形平板状のベース板(底板)11とが結合されることにより、下面が開放された矩形箱状に形成される。
【0029】
枠体10は、左右方向に対向する一対の第1側板100と、前後方向に対向する一対の第2側板101と、フランジ102とを有する。第1側板100は、矩形板状の縦板1000と、縦板1000の下端縁から斜め下向きに突出する傾斜板1001と、縦板1000の上端縁から傾斜板1001と反対向き且つ水平に突出する取付片1002とが鋼板などの金属板で一体に形成されている。
【0030】
また、第2側板101は、台形状の縦板1010と、縦板1010の上端縁から内向き且つ水平に突出する取付片1011と、縦板1010の両端から上向きに突出する一対の接合片1012とが、鋼板などの金属板で一体に形成されている。
【0031】
第1側板100は、長手方向(前後方向)における両端に第2側板101がそれぞれ接合される。すなわち、第2側板101の接合片1012が第1側板100の縦板1000に溶接されることにより、第1側板100と第2側板101とが接合される。
【0032】
フランジ102は、金属板が加工されることで矩形枠状に形成され、第1側板100及び第2側板101の下端縁に接合される。」
「【0037】
器具本体1は、ベース板11のボルト挿通孔112に挿通される吊りボルトにナット(図示せず)が締め付けられて吊りボルトに固定される。そして、器具本体1は、枠体10のフランジ102が天井板の下面側(照明空間側)に露出し、その他の部分が天井板の埋込孔に挿入されて埋込配設される。つまり、フランジ102は、埋込孔の周縁と器具本体1との間に生じる隙間を塞いで隠すために設けられている。」
「【0039】
一方、取付板6の前後両端には、ラッチ15の摘まみ150が挿通可能な寸法を有する矩形の挿通孔61がそれぞれ2つずつ設けられている。すなわち、埋込孔に埋め込まれた器具本体1内に光源ブロック2を収納する際、取付板6の各挿通孔61に挿通されたラッチ15の摘まみ150が90度回転されることにより、挿通孔61に対して摘まみ150が抜け止めされる。したがって、光源ブロック2は、4つのラッチ15によって器具本体1(枠体10の一対の取付片1011)に取り付けられる。ただし、上述のようなラッチ15は従来周知であるから、詳細な構成の図示並びに説明は省略する。」
「【0061】
導通部14は、図17に示すようにベース板11に設けられる爪140及び貫通孔141、突起142と、枠体10の取付片1002に設けられるブリッジ(第2ブリッジ)143とで構成される。」
「【図2】
[図:0001422389000008.jpg]
」
「【図17】
[図:0001422389000009.jpg]
」
(2)認定事項
ア 【0015】、【0016】の記載及び図2の図示内容によれば、光源ブロック2は、天井側に配置されること、及び、光源ユニット3は、光源ブロック2内に取り付けられることが認められ、【0037】も参照すると、器具本体1は、天井と光源ブロック2との間に介在し、天井に取り付けられる状態で光源ブロック2を天井に取り付けることが認められる。
イ 【0029】~【0032】、【0037】の記載及び図2の図示内容によれば、枠体10は、光源ブロック2の両側部の全面をそれぞれ覆う一対の第1側板100と、一対の第1側板100の両端を塞ぎ、一対の第1側板100を接続する一対の第2側板101とを有すること、ベース板11は、一対の第1側板100の上部を接続し、天井に設けられた吊りボルトに固定されること、フランジ102は、第1側板100及び第2側板101の下端縁から外側に水平方向に延びること、及び、第2側板101は、一対の第1側板100の両端を塞ぐ縦板1010と、縦板1010から突出して第1側板100に接合される接合片1012を有することが認められる。
ウ 【0061】の記載及び図17の図示内容によれば、ベース板11は、下方に延びる突起142を有することが認められる。
(3)甲2発明
上記(1)及び(2)を総合すると、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「天井側に配置される光源ブロック2と、
光源ブロック2内に取り付けられる光源ユニット3と、
天井と光源ブロック2との間に介在し、天井に取り付けられる状態で光源ブロック2を天井に取り付ける器具本体1と、
を備え、
器具本体1は、
光源ブロック2の両側部の全面をそれぞれ覆う一対の第1側板100と、一対の第1側板100の両端を塞ぎ、一対の第1側板100を接続する一対の第2側板101とを有する枠体10と、
一対の第1側板100の上部を接続し、天井に設けられた吊りボルトに固定されるベース板11と、
第1側板100及び第2側板101の下端縁から外側に水平方向に延びるフランジ102とを有し、
ベース板11は、下方に延びる突起142を有し、
第2側板101は、一対の第1側板100の両端を塞ぐ縦板1010と、縦板1010から突出して第1側板100に接合される接合片1012を有する
照明器具。」
第6 取消理由についての判断
1 甲1発明を主引用発明とする場合
(1)本件発明7について
ア 対比
(ア)本件発明7と甲1発明とを対比すると、後者の「天井C」は、前者の「被取付部」に相当し、以下同様に、「照明器具1」は「照明器具」に、「光源15」は「光源ユニット」に、「固定した状態」は「取り付けられ」たことに、「取り付ける」ことは「接続する」ことに、「取付フレーム30」は「接続ユニット」に、「側部」は「枠側部」に、「端部」は「枠端部」に、「前記一対の側部の上端」は「前記一対の枠側部の上部」に、「吊架されている」ことは「設けられた」ことに、「取付ボルトBo」は「固定具」に、「固定具32」は「枠ブラケット部」に、「固定される」ことは「取り付けられる」ことに、「天部」は「ブラケット本体部」に、「側片」は「ブラケット側部」に、「照明装置」は「照明装置」に、それぞれ相当する。
(イ)後者の「光源15」は、照射対象空間に光を照射するのは明らかであるから、上記(ア)を踏まえると、後者の「照明器具1に取り付けられた光源15」は、前者の「前記照明器具に取り付けられ、照射対象空間に光を照射する光源ユニット」に相当する。
(ウ)上記(ア)を踏まえると、後者の「天井Cと照明器具1との間に介在し、天井Cに固定した状態で照明器具1を天井Cに取り付ける取付フレーム30」は、前者の「前記被取付部と前記照明器具との間に介在し、前記被取付部に取り付けられて前記照明器具を前記被取付部に接続する接続ユニット」に相当し、後者の「照明器具1の両側面をそれぞれ覆う」「一対の側部」は、前者の「前記照明器具の両側面をそれぞれ覆う一対の枠側部」に相当し、後者の「前記一対の側部の両端を塞ぎ、前記一対の側部を接続する端部」は、前者の「前記一対の枠側部の両端部を塞ぎ、前記枠ブラケット部と共に前記一対の枠側部を接続する枠端部」に相当し、後者の「前記一対の側部の上端に固定され、天井Cから吊架されている取付ボルトBoに固定される固定具32」は、前者の「前記一対の枠側部の上部を接続し、前記照明器具と共に前記被取付部に設けられた固定具に取り付けられる枠ブラケット部」と、前記一対の枠側部の上部を接続し、前記被取付部に設けられた固定具に取り付けられる枠ブラケット部という点で共通する。
(エ)上記(ア)を踏まえると、後者の「天井Cに固定される天部と、該天部の両側部から延び、前記一対の側部に固定される側片とを有する」ことは、前者の「前記被取付部に取り付けられるブラケット本体部と、前記ブラケット本体部の両側部から延び、」「前記枠側部に接続されるブラケット側部と、を有する」に相当する。
そうすると、本件発明7と甲1発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点1>
「被取付部側に配置される照明器具と、
前記照明器具に取り付けられ、照射対象空間に光を照射する光源ユニットと、
前記被取付部と前記照明器具との間に介在し、前記被取付部に取り付けられて前記照明器具を前記被取付部に接続する接続ユニットと、を備え、
前記接続ユニットは、
前記照明器具の両側面をそれぞれ覆う一対の枠側部と、
前記一対の枠側部の上部を接続し、前記被取付部に設けられた固定具に取り付けられる枠ブラケット部と、
前記一対の枠側部の両端部を塞ぎ、前記枠ブラケット部と共に前記一対の枠側部を接続する枠端部と、を有し、
前記枠ブラケット部は、
前記被取付部に取り付けられるブラケット本体部と、
前記ブラケット本体部の両側部から延び、前記枠側部に接続されるブラケット側部と、を有する
照明装置。」
<相違点1-1>
枠ブラケット部について、本件発明7では、「前記照明器具と共に」前記被取付部に設けられた固定具に取り付けられるのに対し、甲1発明では、照明器具1は取付ボルトBoには取り付けられておらず、固定具32(枠ブラケット部)は、照明器具1と共には取付ボルトBoに取り付けられていない点。
<相違点1-2>
ブラケット側部について、本件発明7では、前記一対の枠側部の「外側に」配置された状態で前記枠側部に接続されるのに対し、甲1発明では、前記一対の側部の外側に配置された状態で前記側部に接続されていない点。
イ 相違点についての判断
まず、相違点1-1について検討する。
甲1の【0052】及び図6、7を参酌すると、甲1発明において、照明器具1は固定具32に取り付けられ、取付ボルトBoには取り付けられていない。そして、照明器具1を取付ボルトBoに取り付けることについては、甲1には記載も示唆もないから、固定具32が照明器具1と共に取付ボルトBoに取り付けられていることについても、記載も示唆もないと認められる。
そして、相違点1-1に係る本件発明7の構成については、申立人が提出した甲1以外の証拠(甲2~4)にも、令和6年9月18日の意見書とともに、申立人が提出した参考資料1~3(下記参照)にも、記載も示唆も見いだせないから、甲1発明において、相違点1-1に係る本件発明7の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとは認められない。
参考資料1:特開2011-249090号公報
参考資料2:「直管LEDランプ搭載フリーコンフォート」、施工説明書、取扱説明書、パナソニック株式会社、2ページ
参考資料3:施設・屋外・店舗用LED照明総合カタログ2015、パナソニック株式会社、2015年11月、2ページ
ウ 申立人の主張について
申立人は、令和6年9月18日の意見書において、参考資料1に記載の「非常灯ボックス16」、「天井施工面」、「器具本体13」、「反射板アダプタ14」は、それぞれ本件発明7等の「固定具」、「被取付部」、「照明器具」、「枠ブラケット部」に相当し、参考資料2に記載の「本体」、「吊り金具」、「天井」、「ボルト」は、それぞれ本件発明7等の「照明器具」、「枠ブラケット部」、「被取付部」、「固定具」に相当し、参考資料1、2には、相違点1-1に係る本件発明7の構成について記載されている旨主張する。
しかしながら、参考資料1の【0001】等を参照すると、参考資料1において、「照明器具10」(本件発明7の「照明装置」に相当。)は、天井施工面に直接取り付けられるものであり、「照明器具10」の一部である「非常灯ボックス16」が、本件発明7の「固定具」に相当するとは認められない。また、参考資料2において、申立人の主張のとおり、「本体」が本件発明7の「照明器具」としても、
「吊り金具」は、「本体」の両側面をそれぞれ覆う一対の部材の上部を接続するものではないから、本件発明7の「枠ブラケット部」に相当するとは認められない。
したがって、申立人の上記主張は、当を得たものではなく、採用することはできない。
エ 小括
以上より、相違点1-2を検討するまでもなく、本件発明7は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(2)本件発明8について
ア 対比
本件発明8と甲1発明とを対比する。
上記(1)アを踏まえると、後者の「前後方向に長く形成された照明器具1」は、前者の「長尺状に形成された照明器具」に相当し、以下同様に、「前後方向に長くなるように」は「前記照明器具の長手方向に延びるように」に、「前後方向に長い一対の側部」は「長尺状に形成された一対の枠側部」に、それぞれ相当する。
そうすると、本件発明8と甲1発明とは、以下の点で相違し、その余の点で一致する。
<相違点1-3>
枠ブラケット部について、本件発明8では、「前記照明器具と共に」前記被取付部に設けられた固定具に取り付けられるのに対し、甲1発明では、照明器具1は取付ボルトBoには取り付けられていない点。
<相違点1-4>
本件発明8では、枠端部が「前記一対の枠側部の両端部を塞ぐ端板本体部と、前記端板本体部から前記照明器具側に延び、前記枠側部に接続される端板側部と、前記端板本体部から、前記照明器具とは反対方向に延びる端板鍔部と、を有する」のに対し、甲1発明では、端部がそのような構成であるのか不明である点。
イ 相違点についての判断
まず、相違点1-3について検討すると、相違点1-3は相違点1-1と実質的に同じであるから、上記(1)イ及びウで説示したのと同様の理由により、甲1発明において、相違点1-3に係る本件発明8の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。
よって、相違点1-4を検討するまでもなく、本件発明8は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2 甲2発明を主引用発明とする場合
(1)本件発明1について
ア 対比
(ア)本件発明1と甲2発明とを対比すると、後者の「天井」は、前者の「被取付部」に相当し、以下同様に、「光源ブロック2」は「照明器具」に、「光源ユニット3」は「光源ユニット」に、「器具本体1」は「接続ユニット」に、「第1側板100」は「枠側部」に、「第2側板101」は「枠端部」に、「吊りボルト」は「固定具」に、「ベース板11」は「枠ブラケット部」に、「照明器具」は「照明装置」に、それぞれ相当する。
(イ)後者の「光源ユニット3」は、照射対象空間に光を照射するのは明らかであるから、上記(ア)を踏まえると、後者の「光源ブロック2内に取り付けられる光源ユニット3」は、前者の「前記照明器具に」「取り付けられ、照射対象空間に光を照射する光源ユニット」に相当する。
(ウ)上記(ア)を踏まえると、後者の「天井と光源ブロック2との間に介在し、天井に取り付けられる状態で光源ブロック2を天井に取り付ける器具本体1」は、前者の「前記被取付部と前記照明器具との間に介在し、前記被取付部に取り付けられて前記照明器具を前記被取付部に接続する接続ユニット」に相当し、後者の「光源ブロック2の両側部の全面をそれぞれ覆う一対の第1側板100」は、前者の「前記照明器具の両側面の全面をそれぞれ覆う一対の枠側部」に相当し、後者の「一対の第1側板100の両端を塞ぎ、一対の第1側板100を接続する一対の第2側板101」は、前者の「前記一対の枠側部の両端部を塞ぎ、前記枠ブラケット部と共に前記一対の枠側部を接続する枠端部」に相当し、後者の「一対の第1側板100の上部を接続し、天井に設けられた吊りボルトに固定されるベース板11」は、前者の「前記一対の枠側部の上部を接続し、前記照明器具と共に前記被取付部に設けられた固定具に取り付けられる枠ブラケット部」と、前記一対の枠側部の上部を接続し、前記被取付部に設けられる固定具に取り付けられる枠ブラケット部という点で共通する。
そうすると、本件発明1と甲2発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点2>
「被取付部側に配置される照明器具と、
前記照明器具に取り付けられ、照射対象空間に光を照射する光源ユニットと、
前記被取付部と前記照明器具との間に介在し、前記被取付部に取り付けられた状態で前記照明器具を前記被取付部に接続する接続ユニットと、
を備え、
前記接続ユニットは、
前記照明器具の両側面の全面をそれぞれ覆う一対の枠側部と、
前記一対の枠側部の上部を接続し、前記被取付部に設けられた固定具に取り付けられる枠ブラケット部と、
前記一対の枠側部の両端部を塞ぎ、前記枠ブラケット部と共に前記一対の枠側部を接続する枠端部と、を有する
照明装置。」
<相違点2-1>
光源ユニットについて、本件発明1は、前記照明器具に対して「着脱自在に」取り付けられるのに対し、甲2発明では、光源ブロック2に対して着脱自在に取り付けられるのか不明である点。
<相違点2-2>
枠ブラケット部について、本件発明1では、「前記照明器具と共に」前記被取付部に設けられた固定具に取り付けられるのに対し、甲2発明では、光源ブロック2は吊りボルトに取り付けられておらず、ベース板11(枠ブラケット部)は、光源ブロック2と共には吊りボルトに取り付けられていない点。
イ 相違点についての判断
事案に鑑み、相違点2-2から検討する。
甲2の【0037】、【0039】及び図2等を参酌すると、光源ブロック2は器具本体1の枠体10に取り付けられ、吊りボルトには取り付けられていない。そして、光源ブロック2を吊りボルトに取り付けることについては、甲2には記載も示唆もないから、ベース板11が光源ブロック2と共に吊りボルトに取り付けられていることについても、記載も示唆もないと認められる。
そして、相違点2-2に係る本件発明1の構成については、申立人が提出した甲2以外の証拠(甲1、3、4)にも、参考資料1~3にも、記載も示唆も見いだせないから、甲2発明において、相違点2-2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。
よって、相違点2-1を検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(2)本件発明6について
本件発明1に従属する本件発明6は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、更なる限定を付加したものであるから、上記(1)イで説示したのと同様の理由により、甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)本件発明8について
ア 対比
本件発明8と甲2発明とを対比すると、後者の「縦板1010」は、前者の「端板本体部」に相当し、以下同様に、「接合片1012」は「端板側部」に、「フランジ102」は「端板鍔部」に、それぞれ相当する。
上記(1)アも踏まえると、本件発明8と甲2発明とは、以下の相違点で相違し、その余の点で一致する。
<相違点2-3>
本件発明8では、照明器具は「長尺状に」形成され、接続ユニットは「前記照明器具の長手方向に延びるように」前記被取付部に接続し、一対の枠側部は「長尺状に」形成されたのに対し、甲2発明では、そのような構成があるとはいえない点。
<相違点2-4>
枠ブラケット部について、本件発明8では、「前記照明器具と共に」前記被取付部に設けられた固定具に取り付けられるのに対し、甲2発明では、光源ブロック2は吊りボルトに取り付けられていない点。
イ 相違点についての判断
事案に鑑み、相違点2-4から検討すると、相違点2-4は相違点2-2と実質的に同じであるから、上記(1)イで説示したのと同様の理由により、甲2発明において、相違点2-4に係る本件発明8の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。
よって、相違点2-3を検討するまでもなく、本件発明8は、甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(4)取消理由についてのまとめ
以上によれば、取消理由通知(決定の予告)での取消理由は解消された。
第7 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許異議申立理由の内容
申立人は、特許異議申立書において、訂正前の特許請求の範囲の請求項1~9に係る発明(以下、それぞれ「本件訂正前発明1」等という。)について、以下の(1)~(3)を主張する。
(1)特許異議申立理由1(新規性、進歩性)
本件訂正前発明1~3、7及び本件訂正前発明2又は3に従属する本件訂正前発明5は甲1発明であり、本件訂正前発明1~3及び本件訂正前発明2又は3に従属する本件訂正前発明5は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2)特許異議申立理由2(新規性)
本件訂正前発明1、8及び本件訂正前発明1に従属する本件訂正前発明6は甲2発明である。
(3)特許異議申立理由3(進歩性)
本件訂正前発明2又は3に従属する本件訂正前発明5は、甲1発明及び甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
2 特許異議申立理由についての判断
(1)特許異議申立理由1について
ア 本件発明1について
本件発明1と甲1発明とを対比すると、両者には、相違点1-1と実質的に同じ相違点があるのは明らかであるから、本件発明1は甲1発明ではなく、上記「第6 1(1)イ及びウ」で説示したのと同様の理由により、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
イ 本件発明2について
本件発明2と甲1発明とを対比すると、両者は少なくとも以下の点で相違する。
<相違点3-1>
光源ユニットについて、本件発明2では、前記照明器具に対して「着脱自在に」取り付けられるのに対し、甲1発明では、そのような特定はない点。
相違点3-1は実質的な相違点であるから、本件発明1は甲1発明ではない。
甲1の【0034】~【0036】の記載や図1の図示内容等を参照すると、甲1発明の「照明器具1」は灯具本体10とコーン20とを備え、灯具本体10はボディ11を備え、ボディ11は天井部11aを備え、天井部11aの下面は光源取付面11cとなっていて、「光源15」が取り付けられているが、光源15が照明器具1の一部である光源取付面11cに「着脱可能に」取り付けられていることは、甲1からは記載も示唆も見いだせない。
そして、甲1(特に、図1等参照。)をみる限り、光源15は灯具本体10のボディ11の光源取付面11cに直接取り付けられており、構造上、光源15は照明器具1の一部である灯具本体10と一体的に扱われるものであり、灯具本体10に対して着脱可能とすることは想定されていないものであると認められ、たとえ、照明装置において、光源が照明器具に対して着脱可能に取り付けられることが周知技術や公知技術であったとしても、甲1発明において、該周知技術や該公知技術を適用する動機付けを見いだせないから、相違点3-1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとは認められない。
よって、本件発明1は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
ウ 本件発明3について
本件発明3は、本件発明2の発明特定事項を全て含み、更なる限定を付加するものであるから、上記イで説示したのと同様の理由により、甲1発明ではなく、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
エ 本件発明2又は3に従属する本件発明5について
本件発明2又は3に従属する本件発明5は、本件発明2又は3の発明特定事項を全て含み、更なる限定を付加するものであるから、上記イ及びウで説示したのと同様の理由により、甲1発明ではなく、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
オ 本件発明7について
上記「第6 1(1)ア」で説示したように、本件発明7と甲1発明とには、相違点1-1及び1-2があり、これら相違点は実質的な相違点であるから、本件発明7は甲1発明ではない。
カ 小括
以上によれば、特許異議申立理由1は成り立たない。
(2)特許異議申立理由2について
ア 本件発明1、8について
上記「第6 2(1)ア」で説示したように、本件発明1と甲2発明とには、相違点2-1及び2-2があり、上記「第6 2(3)ア」で説示したように、本件発明8と甲2発明とには、相違点2-3及び2-4があり、これら相違点は実質的な相違点であるから、本件発明1及び8は甲2発明ではない。
イ 本件発明1に従属する本件発明6について
本件発明1に従属する本件発明6は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、更なる限定を付加するものであるから、上記アで説示したのと同様に、甲2発明ではない。
ウ 小括
以上によれば、特許異議申立理由2も成り立たない。
(3)特許異議申立理由3について
本件発明2又は3に従属する本件発明5は、本件発明2の発明特定事項を全て含み、更なる限定を付加するものであるから、上記2(1)イで説示したのと同様の理由により、甲1発明及び甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、特許異議申立理由3も成り立たない。
第8 むすび
以上のとおり、本件発明1~3、5~8に係る特許は、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由並びに特許異議申立書に記載した特許異議申立理由及び申立人が提出した証拠によっては取り消すことはできない。
さらに他に本件発明1~3、5~8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700968