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特許異議申立

2024-701025

照明器具

審判番号
2024-701025
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2023-077905
登録番号
7471491
請求日
2024年10月17日
審決日
2026年04月28日
公報発行日
2026年09月25日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】三菱電機株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人きさ特許商標事務所
  • 【権利者】三菱電機照明株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人きさ特許商標事務所
  • 【異議申立人】橋立 優
審判長/審判官
  • 審判長 草野 顕子
  • 審判官 藤崎 詔夫
  • 審判官 高橋 学
分類
P1651.121-YAA(F21S) / P1651.537-YAA(F21S)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第7項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7471491号発明「照明器具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7471491号の明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕について訂正することを認める。 特許第7471491号の請求項1及び2に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7471491号(以下「本件特許」という。)の請求項1及び2に係る特許についての出願は、令和元年7月4日に出願した特願2019-124926号の一部を令和5年5月10日に新たな特許出願としたものであって、令和6年4月11日にその特許権の設定登録がなされ、同年4月19日に特許掲載公報が発行された。 その後、特許異議申立人橋立優(以下「申立人」という。)による特許異議の申立てがされた。 本件特許についての申立人による本件特許異議の申立ての経緯の概要は、次のとおりである。 令和6年10月17日 :特許異議の申立て(全請求項) 同年11月 5日付け:審尋 同年11月15日 :異議申立人による回答書の提出 令和7年 1月30日 :異議申立人による回答書に対する手続補正書(方式)の提出 同年 3月24日付け:取消理由通知書 同年 5月21日 :特許権者による訂正請求書・意見書の提出 同年 8月 1日 :申立人による意見書の提出 同年11月10日付け:取消理由通知書(決定の予告) 令和8年 1月 7日 :特許権者による訂正請求書・意見書の提出 同月30日 :訂正請求書に対する手続補正書(方式)の提出 同年 3月11日 :申立人による意見書の提出 なお、令和7年5月21日提出の訂正請求書による訂正の請求は、令和8年1月30日提出の手続補正書(方式)により補正された同年1月7日提出の訂正請求書による訂正の請求がされたので、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 令和8年1月30日提出の手続補正書(方式)により補正された同年1月7日提出の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。なお、下線は、訂正箇所を示す。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、「被取付部に取り付けられるアーム」と記載されているのを、 「被取付部に取り付けられるU字状に形成されたアーム」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に、「前記アームに揺動自在に取り付けられた光源ユニットと」と記載されているのを、 「前記アームに対して揺動自在に取り付けられた固定部によって保持される光源ユニットと」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する)。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項1に、「電線が接続される端子台」と記載されているのを、 「電線が接続される接続面を有する端子台」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する)。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項1に、「前記電源回路及び前記端子台」と記載されているのを、 「前記電源回路、及び、前記接続面を露出させた前記端子台」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する)。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項1に、「前記端子台を収納し、」と記載されているのを、 「前記端子台を収納するケースと、を有し、」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する)。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項1に、「前記アームの位置が」と記載されているのを、 「前記ケースには、前記端子台の前記被取付部の側を遮蔽するとともに、前記アームに沿わせて配置された前記電線が挿入され、前記アームの位置が」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する)。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項1に、「前記アームの揺動範囲の中央にある状態で前記アームと隣接」と記載されているのを、 「前記アームの揺動範囲の中央にある状態で前記アームと前記固定部とが重なる方向に視て前記アームと隣接」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する)。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項1に、「前記アームと隣接して設けられた前記電線が挿入される空間が形成されたケースと、を有する」と記載されているのを、 「前記アームと隣接する対向空間を、前記ケースとの間において前記端子台より前記アーム側に形成するカバーが設けられている」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する)。 (9)訂正事項9 明細書の段落【0006】に、「本発明に係る照明器具は、被取付部に取り付けられるアームと、アームに揺動自在に取り付けられた光源ユニットと、を備えた照明器具であって、光源ユニットは、光を照射する光源部と、光源部が取り付けられる一面と、一面の反対側の他面とが形成され、光源部から発生する熱を放散するヒートシンクと、ヒートシンクの他面に配置され、光源部に電源を供給する電源ユニットとを備え、電源ユニットは、電源回路と、電源回路に電源を供給する電線が接続される端子台と、電源回路及び端子台を収納し、アームの位置がアームの揺動範囲の中央にある状態でアームと隣接して設けられた電線が挿入される空間が形成されたケースと、を有する。」と記載されているのを、 「本発明に係る照明器具は、被取付部に取り付けられるU字状に形成されたアームと、アームに対して揺動自在に取り付けられた固定部によって保持される光源ユニットと、を備えた照明器具であって、光源ユニットは、光を照射する光源部と、光源部が取り付けられる一面と、一面の反対側の他面とが形成され、光源部から発生する熱を放散するヒートシンクと、ヒートシンクの他面に配置され、光源部に電源を供給する電源ユニットと、を備え、電源ユニットは、電源回路と、電源回路に電源を供給する電線が接続される接続面を有する端子台と、電源回路、及び、接続面を露出させた端子台を収納するケースと、を有し、ケースには、端子台の被取付部の側を遮蔽するとともに、アームに沿わせて配置された電線が挿入され、アームの位置がアームの揺動範囲の中央にある状態でアームと固定部とが重なる方向に視てアームと隣接する対向空間を、ケースとの間において端子台よりアーム側に形成するカバーが設けられている。」に訂正する。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的 訂正事項1は、本件訂正前の請求項1における「アーム」が「U字状に形成された」ことを特定するものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項1は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)の段落【0011】の記載に基づくものであるので、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的 訂正事項2は、本件訂正前の請求項1における「アーム」への「光源ユニット」の取り付けに関して、「アームに対して」「固定部」が「揺動自在に取り付けられ」、その「固定部によって」「光源ユニット」が「保持される」ことを特定するものである。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項2は、本件明細書等の段落【0011】の記載に基づくものであるので、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (3)訂正事項3について ア 訂正の目的 訂正事項3は、本件訂正前の請求項1における「端子台」が「接続面を有する」ことを特定するものである。 したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項3は、本件明細書等の段落【0027】の記載に基づくものであるので、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。 したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項3は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (4)訂正事項4及び5について ア 訂正の目的 訂正事項4及び5は、本件訂正前の請求項1における「前記電源回路及び前記端子台を収納す」る「ケース」に関して、「接続面を露出させた端子台を収納するケース」との訂正によって、「端子台」が「接続面を露出させ」て「ケース」に「収納」されることを特定するとともに、「前記電源回路、及び、」「前記端子台を収納するケース」との訂正によって、「ケース」が「前記電源回路」と「前記端子台」「を収納する」ことの明瞭化を図るものである。 したがって、訂正事項4及び5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、及び同項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項4及び5は、本件明細書等の段落【0029】及び【0031】の記載に基づくものであるので、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。 したがって、訂正事項4及び5は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項4及び5は、特許請求の範囲の減縮を目的とするもの、及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、そのカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項4及び5は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (5)訂正事項6~8について ア 訂正の目的 訂正事項6~8は、本件訂正前の請求項1において、「電線が挿入される空間」と「ケース」の関係が明瞭ではなかったところ、「ケースには、端子台の被取付部の側を遮蔽するとともに、アームに沿わせて配置された電線が挿入され、アームの位置がアームの揺動範囲の中央にある状態でアームと固定部とが重なる方向に視てアームと隣接する対向空間を、ケースとの間において端子台よりアーム側に形成するカバーが設けられている」との訂正によって、「ケース」に「端子台の被取付部の側を遮蔽するとともに、」「対向空間を、」「形成するカバーが設けられ」ること、及び「対向空間」が、「アームに沿わせて配置された電線が挿入され」るものであり、「ケースとの間において端子台よりアーム側に形成」されるものであり、「アームの位置がアームの揺動範囲の中央にある状態でアームと固定部とが重なる方向に視てアームと隣接する」ものであることを特定して、「電線が挿入される空間」と「ケース」との関係の明瞭化を図るものである。 したがって、訂正事項6~8は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項6~8は、本件明細書等の段落【0007】、【0033】~【0035】、【0043】~【0045】、並びに図8及び10~13の記載に基づくものであるので、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。 したがって、訂正事項6~8は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項6~8は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、そのカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項6~8は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (6)訂正事項9について ア 訂正の目的 訂正事項9は、訂正事項1~8に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と、明細書の記載との整合性を図るためのものである。 したがって、訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項9は、訂正事項1~8と同じ内容の訂正であるので、前記(1)イ~(5)イで述べたように、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。 したがって、訂正事項9は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項9は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、そのカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項9は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 3 一群の請求項 本件訂正前の請求項1及び2について、請求項2は請求項1を引用しているものであって、訂正事項1~8によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、本件訂正前の請求項1及び2に対応する訂正後の請求項1及び2は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 また、明細書の訂正に係る訂正事項9は、本件訂正前の請求項1に係る課題解決手段が記載された段落【0006】を訂正するものであり、本件訂正前の請求項2は、請求項1を引用するものであるから、当該明細書の訂正に係る請求項1を含む一群の請求項の全てについて訂正するものである。 4 小括 以上のとおり、訂正事項1~9に係る本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。さらに、訂正事項1~8に係る本件訂正は、特許法第120条の5第4項の規定に適合し、訂正事項9に係る本件訂正は、同条第9項で準用する同法第126条第4項の規定に適合する。 したがって、明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕について訂正することを認める。 第3 本件訂正後の発明 前記第2で説示したように本件訂正は認められるから本件訂正後の請求項1及び2に係る発明(以下「本件発明1」などという。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 被取付部に取り付けられるU字状に形成されたアームと、 前記アームに対して揺動自在に取り付けられた固定部によって保持される光源ユニットと、を備えた照明器具であって、 前記光源ユニットは、 光を照射する光源部と、 前記光源部が取り付けられる一面と、前記一面の反対側の他面とが形成され、前記光源部から発生する熱を放散するヒートシンクと、 前記ヒートシンクの前記他面に配置され、前記光源部に電源を供給する電源ユニットと、を備え、 前記電源ユニットは、 電源回路と、 前記電源回路に電源を供給する電線が接続される接続面を有する端子台と、 前記電源回路、及び、前記接続面を露出させた前記端子台を収納するケースと、を有し、 前記ケースには、前記端子台の前記被取付部の側を遮蔽するとともに、前記アームに沿わせて配置された前記電線が挿入され、前記アームの位置が前記アームの揺動範囲の中央にある状態で前記アームと前記固定部とが重なる方向に視て前記アームと隣接する対向空間を、前記ケースとの間において前記端子台より前記アーム側に形成するカバーが設けられている 照明器具。 【請求項2】 前記端子台は、 前記ヒートシンクの前記他面に対して傾斜した状態で保持される 請求項1記載の照明器具。」 第4 取消理由通知書(決定の予告)の概要 本件訂正前の請求項1及び2に係る特許に対して、当審において特許権者に通知した令和7年11月10日付け取消理由通知書(決定の予告)における取消理由の概要は、以下のとおりである。 理由1:(明確性要件)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 理由2:(進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 記 1 甲号証一覧 甲第1号証:特開2018-77955号公報 甲第3号証:特開2010-192371号公報 甲第4号証:特開2007-172919号公報 以下、申立人の提出した甲第○号証を甲○という。 2 取消理由、請求項、及び引用文献の関係 (1)理由1(明確性要件) ・本件発明1及び2について ア 本件発明1において、「アーム」全体としての構成がどのようなものであるのかが不明であり、「対向空間」が「前記アーム」のどの部位と「隣接」するのかが明確でない。 更に、「照明装置」をどの方向から見た場合に、「前記アームの位置が前記アームの揺動範囲の中央にある状態」において、「対向空間」と「前記アーム」が「隣接」するのかが明確ではない。 イ 本件発明1において、「前記アームの位置が前記アームの揺動範囲の中央にある状態」における「前記アーム」と「カバー」の位置関係が不明であり、「カバー」の「前記アーム側」がどの方向又は位置を示すのかが明確でない。 ウ 本件発明1において、「前記電源回路及び前記端子台を収納し」及び「前記端子台を遮蔽する」のそれぞれが、「カバー」又は「ケース」の何れに係るものであるのかが明瞭でない。 エ 本件発明1において、「カバー」が、どのように「前記電線が挿入される対向空間」を「形成」するのかが不明である。 オ 本件発明1は、「ケース」内に入れられた「端子台」を「カバー」が「遮蔽する」ことを含むのであり、このことが、どのような状態を示しているのかが不明である。 カ 本件発明1において、「カバー」と「前記電線が挿入される対向空間」の関係が明確でない。 (2)理由2(進歩性) ・請求項 1、2 引用文献 甲1、並びに甲3及び4 第5 当審の判断 1 理由1(明確性要件) (1)本件発明1及び2について ア 前記第4の2(1)アについて 本件発明1の「被取付部に取り付けられるU字状に形成されたアームと、前記アームに対して揺動自在に取り付けられた固定部によって保持される光源ユニット」との発明特定事項により、「アーム」が「U字状に形成された」ものであり、「光源ユニット」を「保持」する「固定部」に「揺動自在に取り付けられ」ることが明確であるところ、技術常識を踏まえれば、「U字状に形成された」「アーム」の2つの自由端が「固定部」に「揺動自在に取り付けられ」ることは明らかと認められる。 そして、これらのことを踏まえて、本件発明1の「前記アームの位置が前記アームの揺動範囲の中央にある状態で前記アームと前記固定部とが重なる方向に視て前記アームと隣接する対向空間」との発明特定事項をみると、「前記アームと前記固定部とが重なる方向」は、「U字状に形成された」「アーム」のいずれか一方の自由端と「固定部とが重なる方向」であると認められ、そうすると、その方向からみた場合、視認される「アーム」の部分は、「U字状に形成された」「アーム」のいずれか一方の自由端側の部分であると認められる。 そうすると、本件発明1において、「前記アームの位置が前記アームの揺動範囲の中央にある状態で前記アームと前記固定部とが重なる方向に視て」「対向空間」と「隣接する」「前記アーム」の部分は、「U字状に形成された」「アーム」のいずれか一方の自由端側の部分であると認められる。 以上から、本件発明1において、「アーム」全体としての構成、「対向空間」が「前記アーム」のどの部位と「隣接」するのか、「前記アームの位置が前記アームの揺動範囲の中央にある状態」において、「対向空間」と「前記アーム」が「隣接」するのが「照明装置」をどの方向から見た場合であるのか、のいずれもが、明確である。 イ 前記第4の2(1)イについて 本件発明1において、「カバー」は、「前記端子台の前記被取付部の側を遮蔽する」ものであるとともに、「対向空間を、前記ケースとの間において前記端子台より前記アーム側に形成する」ものであり、また、「前記端子台」は、「前記接続面を露出させ」て「ケース」に収納されるものである。 そして、本件発明1において、「対向空間」は、「前記アームの位置が前記アームの揺動範囲の中央にある状態で前記アームと前記固定部とが重なる方向に視て前記アームと隣接する」ものであるところ、前記アで述べたように、「前記アームの位置が前記アームの揺動範囲の中央にある状態で前記アームと前記固定部とが重なる方向に視」た場合に、「対向空間」と「隣接」するのは「U字状に形成された」「アーム」のいずれか一方の自由端側の部分であると認められる。 そうすると、本件発明1において、「前記アームの位置が前記アームの揺動範囲の中央にある状態で前記アームと前記固定部とが重なる方向に視」た場合に、「対向空間」が、「カバー」と「前記ケースとの間において」、「カバー」で「遮蔽」された「前記端子台」の「露出」した「接続面」と「U字状に形成された」「アーム」のいずれか一方の自由端側の部分の間に位置することは、明確であるといえる。 したがって、本件発明1において、「前記アームの位置が前記アームの揺動範囲の中央にある状態で前記アームと前記固定部とが重なる方向に視」た場合における「対向空間」と「前記アーム」の位置関係、及び「カバー」と「前記アーム」の位置関係は、明確である。 ウ 前記第4の2(1)ウについて 本件発明1において、「前記電源回路、及び、前記接続面を露出させた前記端子台を収納するケース」との発明特定事項により、「ケース」が「前記電源回路」及び「前記端子台」を「収納する」ことは、明確である。 エ 前記第4の2(1)エ及びカについて 前記イで述べたように、本件発明1において、「前記アームの位置が前記アームの揺動範囲の中央にある状態で前記アームと前記固定部とが重なる方向に視」た場合に、「対向空間」が、「カバー」と「前記ケースとの間において」、「カバー」で「遮蔽」された「前記端子台」の「露出」した「接続面」より「U字状に形成された」「アーム」のいずれか一方の自由端側の部分の間に形成されることは、明確である。 オ 前記第4の2(1)オについて 本件発明1において、「前記電源回路、及び、前記接続面を露出させた前記端子台を収納するケースと、を有し、」「前記ケースには、前記端子台の前記被取付部の側を遮蔽するとともに、」「対向空間を、前記ケースとの間において前記端子台より前記アーム側に形成するカバーが設けられている」との発明特定事項から、「カバー」が「前記端子台」の「ケース」から「露出」した「接続面」を「遮蔽」することは明らかである。 (2)小括 以上のとおり、本件発明1及び2は、明確であり、本件特許にかかる出願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしている。 したがって、取消理由1によって、本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。 2 理由2(進歩性) (1)甲1について ア 甲1の記載事項 甲1には、以下の事項が記載されている。なお、下線については、当審で付したものである。 (ア)「【0013】 本実施形態の照明器具は、例えば図1に示すように、光源ユニット1と、電源ユニット2と、放熱部材3と、保持部材4とを備えている。電源ユニット2は、光源ユニット1に給電する。放熱部材3は、光源ユニット1の放熱を行う。本実施形態の放熱部材3は、一例として、複数の放熱板30から構成されている。 【0014】 保持部材4は、光源ユニット1を保持する。保持部材4は、天板40と、底板41と、天板40及び底板41を支持する支持部42とを有する。なお、本実施形態では、支持部42は、一対の側板420と、一対の連結板421とから構成されている。 【0015】 放熱部材3は、底板41の厚み方向における第1面411(図1では上面)に取り付けられる。光源ユニット1は、底板41の厚み方向における第1面411とは反対側の第2面412(図1では下面)と対向するように保持される。 【0016】 電源ユニット2は、天板40の厚み方向における一表面401(図1では上表面)に取り付けられる。支持部42は、底板41の第1面411を、天板40の厚み方向における一表面401とは反対側の面(図1では下表面)に対向させて天板40及び底板41を支持する。保持部材4は、天板40と底板41との間において、放熱部材3と対向する箇所に開口5を有する。なお、本実施形態では、図3に示すように、一例として2つの開口5(5A,5B)が設けられている。」 (イ)「【0019】 本実施形態の照明器具は、「(1)概要」の欄で説明したように、光源ユニット1と、電源ユニット2と、放熱部材3と、保持部材4とを備えている。さらに、本実施形態の照明器具は、アーム6を備えている。」 (ウ)「【0025】 (2.3)電源ユニット 電源ユニット2は、電源ブロックと、電源ブロックを内部に収容するケース20と、端子台26(図5参照)と、端子台26を覆う端子台カバー21と、を有する。電源ブロックは、外部電源から供給される電力(例えば、商用電源から供給される交流電力)を光源ユニット1に必要とされる電力(直流電力)に変換する電力変換回路を有する。電力変換回路は、例えば、全波整流器、力率改善回路(昇圧チョッパ回路)、及びDC/DCコンバータ(降圧チョッパ回路)などを有する。電源ブロックは、例えば、プリント配線板の表面に、電力変換回路を構成する多数の回路部品が実装されて構成される。また、電源ブロックは、先端にプラグコネクタが設けられた出力ケーブルを有する。」 (エ)「【0028】 端子台26は、ケース20の前壁の外表面に設けられている。端子台26は、電源ブロックと電気的に接続される。外部電源と繋がっている電力線は、ケース20の前壁と端子台カバー21との間の隙間22(図1参照)を通じて、端子台カバー21内に引き込まれ、端子台26に接続される。」 (オ)「【0034】 (2.5)保持部材 保持部材4は、「(1)概要」の欄で説明したように、天板40と、底板41と、天板40及び底板41を支持する支持部42とを有する。 【0035】 天板40は、亜鉛鋼板などの金属板により、略矩形板状に形成されている。また、天板40は、その周縁が僅かに下方に突出するように折り曲げられることで、下面が開口した扁平な箱状に形成されている。なお、天板40の一表面401には、「(2.3)電源ユニット」の欄で説明したように、電源ユニット2が取り付けられている。」 (カ)「【0037】 底板41は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金などの熱伝導性に優れた金属板により、略矩形板状に形成されている。ここでは、底板41は、略矩形板状に形成されて天板40と対向する平板部413と、平板部413の周縁から天板40に向かって突出する突起片414とを有する。突起片414は、平板部413と一体に形成されている。本実施形態では、突起片414は、平板部413の前端縁、後端縁、右側縁及び左側縁、それぞれから天板40に向かって突出する4つの突起片から構成されている。以下の説明では、これらをまとめて単に「突起片414」と呼ぶ。なお、底板41は、全ての突起片414が平板部413の全周縁にわたって繋がって形成されていてもよいし、突起片414の間に隙間を空けて形成されていてもよい。 【0038】 底板41の、すなわち平板部413の第1面411には、「(2.4)放熱部材」の欄で説明したように、放熱部材3が取り付けられている。底板41は、その第1面411から上方に突出する複数のボス416を有し、ボス416を各放熱板30のベース部301のボス孔に通してかしめることで、各放熱板30が底板41に固定される。」 (キ)「【0055】 (2.6)保持部材の開口 ところで、このように構成された本実施形態の保持部材4は、天板40と底板41との間において、放熱部材3と対向する箇所に開口5を2つ(第1開口5A及び第2開口5B)有している。第1開口5A、天板40及び第2開口5Bは、天板40の一表面401側から見たときに、第1開口5Aと第2開口5Bとの間に天板40を挟むように配置されている。」 (ク)「【0058】 このように、本実施形態の保持部材4は、第1開口5A及び第2開口5Bを有しているため、第1開口5A及び第2開口5Bを通じて、光源ユニット1から底板41及び放熱部材3に伝わる熱を照明器具の外部へ逃がすことができる。 (ケ)「【0061】 (2.7)アーム アーム6は、亜鉛鋼板などの長尺の金属板が長手方向における両端で同一方向に略直角に曲げられてU字状に形成されている(図1参照)。アーム6は、長手方向の両端部が、保持部材4の一対の側板420に設けられた一対のアーム支持部位に取り付けられていて、所定の範囲内で回転可能となっている。本実施形態の照明器具は、アーム6のボルト挿通孔に挿通される一対の吊りボルトにナットが締め付けられることで建物の天井に設置される。ただし、本実施形態の照明器具は、アーム6が吊りボルトから外れたとしても照明器具が落下しないように、ワイヤなどでさらに支持されていることが好ましい。」 (コ)図1は、以下に示すとおりである。 「 [図:0001439176000001.jpg] 」 (サ)図3は、以下に示すとおりである。 「 [図:0001439176000002.jpg] 」 (シ)図4は、以下のとおりである。 「 [図:0001439176000003.jpg] 」 (ス)図5は、以下のとおりである。 「 [図:0001439176000004.jpg] 」 イ 甲1の認定事項 前記アから、甲1には、以下の事項が示されていると認められる。 (ア)段落【0013】、【0019】、【0061】から、照明器具は、光源ユニット1と、電源ユニット2と、放熱部材3と、保持部材4と、天井に設けられた吊りボルトに固定されるアーム6を備える。 (イ)段落【0014】~【0016】から、保持部材4は、天板40と、底板41と、天板40の下表面と底板41の上面である第1面411を対向させて天板40及び底板41を支持する支持部42とを有する。 (ウ)段落【0014】~【0016】から、保持部材4の底板41の第1面411に放熱部材3が取り付けられ、第1面411とは反対側の下面である第2面412に光源ユニット1が保持され、保持部材4の天板40の上表面である一表面401に電源ユニット2が取り付けられて、照明ユニットが構成される。 (エ)段落【0014】、【0061】、図4、5、及び前記(イ)から、アーム6は、U字状に形成され、その長手方向の両端部が、支持部42の一対の側板420に設けられた一対のアーム支持部位に取り付けられ、照明ユニットに対して、所定の範囲内で回転可能である。 (オ)段落【0055】及び【0058】から、保持部材4は、天板40と底板41との間において、放熱部材3と対向する箇所に第1開口5A及び第2開口5Bを有し、第1開口5A及び第2開口5Bを通じて、光源ユニット1から底板41及び放熱部材3に伝わる熱を照明器具の外部へ逃がす。 (カ)段落【0025】及び図3~5から、電源ユニット2は、電源ブロックと、電源ブロックを内部に収容するケース20と、端子台26と、ケース20に設けられ、端子台26の上方及び前方を覆う端子台カバー21と、を有し、電源ブロックは、プリント配線板の表面に、電力変換回路を構成する多数の回路部品が実装されて構成される。 (キ)図5から、端子台26が接続面を有することが看取できる。 そうすると、段落【0028】及び図5から、端子台26は、ケース20の前壁の外表面に設けられ、電源ブロックと電気的に接続され、外部電源と繋がる電力線は、ケース20の前壁と端子台カバー21との間の隙間22を通じて、端子台カバー21内に引き込まれ、端子台26の接続面に接続する。 (ク)図1及び3~5から、左側からみて、端子台26の接続面は、端子台カバー21の側面よりも奥に位置することが看取できる。 そうすると、図1及び3~5から、端子台カバー21は、ケース20との間において、端子台26の接続面からアーム6の上下方向に延びる両端部のうち左側の端部の側に隙間22を形成しているといえる。 また、図3~5から、アーム6が所定の回転範囲の中央にある状態において、照明器具の左側から見て、照明器具の前後方向に沿った方向において、隙間22はアーム6の上下方向に延びる両端部のうち左側の端部の隣側の近くに位置することが看取できるので、隙間22とアーム6の上下方向に延びる両端部のうち左側の端部は、照明器具の前後方向に沿った方向で隣接しているといえる。 ウ 甲1に記載された発明 前記ア及びイから、甲1には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。なお、括弧内は、参照箇所を示す。 「光源ユニット1と、電源ユニット2と、放熱部材3と、保持部材4と、天井に設けられた吊りボルトに固定されるアーム6を備える照明器具であって(前記イ(ア))、 前記保持部材4は、天板40と、底板41と、前記天板40の下表面と底板41の上面である第1面411を対向させて前記天板40及び前記底板41を支持する支持部42とを有し(前記イ(イ))、 前記底板41の第1面411に前記放熱部材3が取り付けられ、前記第1面411とは反対側の下面である第2面412に前記光源ユニット1が保持され、前記天板40の上表面である一表面401に前記電源ユニット2が取り付けられて、照明ユニットが構成され(前記イ(ウ))、 前記アーム6は、U字状に形成され、その長手方向の両端部が、前記支持部42の一対の側板420に設けられた一対のアーム支持部位に取り付けられ、前記照明ユニットに対して、所定の回転範囲内で回転可能であり(前記イ(エ))、 前記保持部材4は、前記天板40と前記底板41との間において、前記放熱部材3と対向する箇所に第1開口5A及び第2開口5Bを有し、前記第1開口5A及び前記第2開口5Bを通じて、前記光源ユニット1から前記底板41及び前記放熱部材3に伝わる熱を照明器具の外部へ逃がし(前記イ(オ))、 前記電源ユニット2は、電源ブロックと、前記電源ブロックを内部に収容するケース20と、端子台26と、前記ケース20に設けられ、前記端子台26の上方及び前方を覆う端子台カバー21と、を有し、前記電源ブロックは、プリント配線板の表面に、電力変換回路を構成する多数の回路部品が実装されて構成され(前記イ(カ))、 前記端子台26は、前記ケース20の前壁の外表面に設けられ、前記電源ブロックと電気的に接続され、外部電源と繋がる電力線は、前記ケース20の前壁と前記端子台カバー21との間の隙間22を通じて、前記端子台カバー21内に引き込まれ、前記端子台26の接続面に接続し(前記イ(キ))、 前記端子台カバー21は、前記ケース20との間において、前記端子台26の接続面から前記アーム6の上下方向に延びる前記両端部のうちの前記左側の端部の側に隙間22を形成し、前記アーム6が前記所定の回転範囲の中央にある状態において、照明器具の左側から見て、照明器具の前後方向に沿った方向で前記隙間22は前記アーム6の上下方向に延びる前記両端部のうちの前記左側の端部と隣接している(前記イ(ク)) 照明器具。」 (2)甲3について ア 甲3の記載事項 (ア)「【0020】 ・・・これらの図に示すように照明装置1は、照明器具2と、この照明器具2の左右両側面を回動可能、かつその回動角保持可能に挟持するコ字状のアーム3と、を具備している。 【0021】 照明器具2は、本体ケースとしての光源ユニット4と、この光源ユニット4に所要の間隙を置いて同軸状に連結された投影ユニット5を有する。図5に示すように光源ユニット4は、例えば8角筒等角筒状の本体ケースの一例である光源ユニットケース4a内に、主に光源部の一例である面状光源6、ヒートシンクからなる放熱器7、電源ユニット8、点灯回路ユニット9をそれぞれ収容している。」 (イ)「【0032】 そして、図1や図4等により示すように光源ユニット4は、その光源ユニット4aの他端側である背面4d側の左右両側面4e,4fに、背面4d側(他端側)に向けて幅寸法が小さくなる方向に傾斜されたテーパ4g,4hを形成している。したがって、これらテーパ4g,4hには、光源ユニットケース4aの背面4d側に向けて傾斜面がそれぞれ形成される。これらテーパ4g,4hの一方、例えば4hの外面には、単数または複数のコネクタ23,24が配設されている。」 (ウ)「【0035】 これらコネクタ23,24は銘板25の一部に設けられる。銘板25には、この外にメインスイッチ26や電力端子台27が配設される。」 (エ)図1は、以下に示すとおりである。 「 [図:0001439176000005.jpg] 」 (オ)図6は、以下に示すとおりである。 「 [図:0001439176000006.jpg] 」 イ 甲3の認定事項 甲3の段落【0020】、【0021】、【0032】、【0035】、並びに図1及び6から、甲3には、以下の各記載事項(以下「甲3記載事項1」などという。)が示されていると認められる。 [甲3記載事項1] 「照明器具2と、この照明器具2の左右両側面を回動可能に挟持するコ字状のアーム3と、を具備する照明装置1において、照明器具2の電源ユニット8を収容する光源ユニットケース4aは、光源ユニットケース4aの外面に、その接続部が露出するように電力端子台27を収容すること。」 [甲3記載事項2] 「照明器具2と、この照明器具2の左右両側面を回動可能に挟持するコ字状のアーム3と、を具備する照明装置1において、照明器具2の電源ユニット8を収容する光源ユニットケース4aの背面4d側に向けて形成された傾斜面に、電力端子台27を配設すること。」 (3)甲4について ア 甲4の記載事項 (ア)「【0019】 図1において、第1の実施形態に係る有機ELスポットライト等SDAは、直流電力の供給を受けることにより発光する有機EL照明パネル1と、有機EL照明パネル1の背面に設けられた、取付け面に配設された後述の取付け部材5A(図4参照)と回転可能に係合する係合部材2Aとを備えて構成される。係合部材2Aは、第1及び第2係合部材3A、4を備えて構成される。」 (イ)「【0032】 そして、本実施形態では、第1係合部材3Aは、商用電源から電力供給を受け、有機EL照明パネル1に給電する機能も有している。このため、本体31の上面Fdには、一方端に、商用電源から電力の供給を受けるための電源コンセント35が配設されている。電源コンセント35は、本体31に内蔵されている不図示の電源回路に接続されている。この電源回路は、商用電源の交流を有機EL照明パネル1の定格に応じた電圧の直流に変換する回路であり、例えば、商用電源の交流を直流に整流する整流回路と、整流された直流を平滑するコンデンサと、平滑された直流を有機EL照明パネル1の定格に応じた電圧に変換するDC-DCコンバータとを備えて構成される。・・・」 (ウ)図4は、以下に示すとおりである。 「 [図:0001439176000007.jpg] 」 イ 甲4の認定事項 (ア)甲4の図4(B)に対して、電源コンセント35を示す矢印を付記した参考図は、以下のとおりである。 [参考図] [図:0001439176000008.jpg] 前記ア及び(ア)から、甲4には、以下の記載事項(以下「甲4記載事項」という。)が示されていると認められる。 [甲4記載事項] 「有機EL照明パネル1と、有機EL照明パネル1の背面に設けられた係合部材2Aと、係合部材2Aと回転可能に係合する取付け部材5Aとを備えた有機ELスポットライト等SDAにおいて、係合部材2Aにおける電源回路を内蔵する第2係合部材3Aは、第2係合部材3Aの外面に、その接続部が露出するように電源コンセント35を収容すること。」 (4)本件発明1について ア 本件発明1と甲1発明の対比 本件発明1と甲1発明を対比する。 (ア)後者の「光源ユニット1」は、光を照射するものなので、前者の「光を照射する光源部」に相当する。 (イ)後者の「天井に設けられた吊りボルト」は、前者の「被取付部」に相当するので、後者の「天井に設けられた吊りボルトに固定されるアーム6」は、前者の「被取付部に取り付けられる」「アーム」に相当する。また、後者の「U字状に形成され」た「前記アーム6」は、前者の「U字状に形成されたアーム」に相当する。 (ウ)後者の「電源ユニット2」は、「光源ユニット1」に電源を供給することは明らかなので、前者の「前記光源部に電源を供給する電源ユニット」に相当する。 (エ)後者の「前記保持部材4は、天板40と、底板41と、前記天板40の下表面と底板41の上面である第1面411を対向させて前記天板40及び前記底板41を支持する支持部42とを有し、前記底板41の第1面411に前記放熱部材3が取り付けられ、」「前記保持部材4は、前記天板40と前記底板41との間において、前記放熱部材3と対向する箇所に第1開口5A及び第2開口5Bを有し、前記第1開口5A及び前記第2開口5Bを通じて、前記光源ユニット1から前記底板41及び前記放熱部材3に伝わる熱を照明器具の外部へ逃が」すことにおいて、「前記保持部材4」及び「前記放熱部材3」が協働して「前記光源ユニット1から前記底板41及び前記放熱部材3に伝わる熱を照明器具の外部へ逃が」しているといえる。 そうすると、後者の「前記放熱部材3」及び「天板40と、底板41と、前記天板40の下表面と底板41の上面である第1面411を対向させて前記天板40及び前記底板41を支持する支持部42とを有し、前記底板41の第1面411に前記放熱部材3が取り付けられ、」「前記天板40と前記底板41との間において、前記放熱部材3と対向する箇所に第1開口5A及び第2開口5Bを有し、前記第1開口5A及び前記第2開口5Bを通じて、前記光源ユニット1から前記底板41及び前記放熱部材3に伝わる熱を照明器具の外部へ逃が」す「前記保持部材4」は、前者の「前記光源部から発生する熱を放散するヒートシンク」に相当する。 (オ)前記(エ)から、後者の「前記保持部材4」が「有」する「底板41」の「前記光源ユニット1が保持され」る「前記第1面411とは反対側の下面である第2面412」が前者の「ヒートシンク」に「形成され」た「前記光源部が取り付けられる一面」に相当する。 そして、「前記保持部材4」が「有」する「天板40」の「前記電源ユニット2が取り付けられ」る「前記天板40の上表面である一表面401」は、「底板41」の「第2面412」とは反対側にあることは明らかなので、前者の「ヒートシンク」に「形成され」た「前記一面の反対側の他面」及び「前記光源部に電源を供給する電源ユニット」が「配置され」た「前記ヒートシンクの前記他面」に相当する。 (カ)前記(ウ)~(オ)から、後者の「前記保持部材4は、天板40と、底板41と、天板40の下表面と底板41の上面である第1面411を対向させて前記天板40及び前記底板41を支持する支持部42とを有し、前記底板41の第1面411に前記放熱部材3が取り付けられ、前記第1面411とは反対側の下面である第2面412に前記光源ユニット1が保持され、前記天板40の上表面である一表面401に電源ユニット2が取り付けられて」「構成され」る「照明ユニット」は、前者の「光を照射する光源部と、前記光源部が取り付けられる一面と、前記一面の反対側の他面とが形成され、前記光源部から発生する熱を放散するヒートシンクと、前記ヒートシンクの前記他面に配置され、前記光源部に電源を供給する電源ユニットと、を備え」る「前記光源ユニット」に相当する。 (キ)前記(カ)から、後者の「前記アーム6は、」「その長手方向の両端部が、前記支持部42の一対の側板420に設けられた一対のアーム支持部位に取り付けられ、前記照明ユニットに対して、所定の回転範囲内で回転可能であ」ることにおいて、後者の「前記支持部42の一対の側板420に設けられた一対のアーム支持部位」は、「照明ユニット」を構成する「前記支持部42」を保持するものといえるので、前者の「光源ユニット」を「保持」する「固定部」に相当する。 そうすると、後者の「前記アーム6は、」「その長手方向の両端部が、前記支持部42の一対の側板420に設けられた一対のアーム支持部位に取り付けられ、前記照明ユニットに対して、所定の回転範囲内で回転可能であ」ることは、前者の「光源ユニット」が「前記アームに対して揺動自在に取り付けられた固定部によって保持される」ことに相当する。 (ク)前記(ア)~(カ)から、後者の「光源ユニット1と、電源ユニット2と、放熱部材3と、保持部材4と、天井に設けられた吊りボルトに固定されるアーム6を備える」ことは、前者の「被取付部に取り付けられるU字状に形成されたアームと、前記アームに対して揺動自在に取り付けられた固定部によって保持される光源ユニットと、を備え」ることに相当する。 (ケ)後者の「プリント配線板の表面に、電力変換回路を構成する多数の回路部品が実装されて構成され」る「前記電源ブロック」は、前者の「電源回路」に相当する。 (コ)後者の「前記端子台26は、」「前記電源ブロックと電気的に接続され、外部電源と繋がる電力線は、」「前記端子台26の接続面に接続」することにおいて、「外部電源と繋がる電力線」は、「端子台26」を介して「前記電源ブロック」に電力を供給するものなので、前者の「前記電源回路に電源を供給する電線」に相当する。 そうすると、後者の「外部電源と繋がる電力線」が「接続面に接続」し、「前記電源ブロックと電気的に接続され」る「前記端子台26」は、前者の「前記電源回路に電源を供給する電線が接続される接続面を有する端子台」に相当する。 (サ)後者の「前記電源ブロックを内部に収容するケース20」は、前者の「前記電源回路」「を収納するケース」に相当する。 (シ)前記(ウ)及び(ケ)~(サ)から、後者の「前記電源ユニット2は、電源ブロックと、前記電源ブロックを内部に収容するケース20と、端子台26と、」「を有」することは、前者の「前記電源ユニットは、電源回路と、前記電源回路に電源を供給する電線が接続される接続面を有する端子台と、前記電源回路」「を収納するケースと、を有」することに相当する。 (ス)後者の「前記端子台26の上方及び前方を覆う端子台カバー21」は、「端子台カバー21」が「前記端子台26」を遮蔽しており、また、図4及び5から、「上方」が「吊りボルト」が「設けられた」「天井」側であるといえるので、前者の「前記端子台の前記被取付部の側を遮蔽する」「カバー」に相当する。 そうすると、後者の「前記端子台26の上方及び前方を覆う端子台カバー21」が「設けられ」た「前記ケース20」は、前者の「前記端子台の前記被取付部の側を遮蔽する」「カバーが設けられている」「前記ケース」に相当する。 (セ)後者の「外部電源と繋がる電力線」を「前記端子台カバー21内に引き込」む「前記ケース20の前壁と前記端子台カバー21との間の隙間22」は、前者の「前記電線が挿入され」る「対向空間」に相当する。 (ソ)前記(コ)、(サ)、(ス)、及び(セ)から、後者の「前記ケース20との間において、前記端子台26の接続面から前記アーム6の上下方向に延びる前記両端部のうちの前記左側の端部の側に隙間22を形成」する「前記端子台カバー21」は、前者の「対向空間を、前記ケースとの間において前記端子台より前記アーム側に形成するカバー」に相当する。 (タ)後者の「照明器具の左側から見て」は、図1及び5から、「前記アーム6」の「長手方向の両端部」のうちの左側の端部と「前記支持部42の一対の側板420に設けられた一対のアーム支持部位」が重なる方向から「見て」なので、前記(キ)から、前者の「前記アームと前記固定部とが重なる方向に視て」に相当し、後者の「前記アーム6が前記所定の回転範囲の中央にある状態において」は、前者の「前記アーム6が前記所定の回転範囲の中央にある状態で」に相当する。 そうすると、後者の「前記アーム6が前記所定の回転範囲の中央にある状態において、照明器具の左側から見て、照明器具の前後方向に沿った方向」で「前記アーム6の上下方向に延びる前記両端部のうちの前記左側の端部と隣接している」「前記隙間22」は、前者の「前記アームの位置が前記アームの揺動範囲の中央にある状態で前記アームと前記固定部とが重なる方向に視て前記アームと隣接する対向空間」に相当する。 (チ)以上の限りにおいて、後者の「照明器具」は、前者の「照明器具」に相当する。 そうすると、本件発明1と甲1発明は、 「被取付部に取り付けられるU字状に形成されたアームと、 前記アームに対して揺動自在に取り付けられた固定部によって保持される光源ユニットと、を備えた照明器具であって、 前記光源ユニットは、 光を照射する光源部と、 前記光源部が取り付けられる一面と、前記一面の反対側の他面とが形成され、前記光源部から発生する熱を放散するヒートシンクと、 前記ヒートシンクの前記他面に配置され、前記光源部に電源を供給する電源ユニットと、を備え、 前記電源ユニットは、 電源回路と、 前記電源回路に電源を供給する電線が接続される接続面を有する端子台と、 前記電源回路を収納するケースと、を有し、 前記ケースには、前記端子台の前記被取付部の側を遮蔽するとともに、前記電線が挿入され、前記アームの位置が前記アームの揺動範囲の中央にある状態で前記アームと前記固定部とが重なる方向に視て前記アームと隣接する対向空間を、前記ケースとの間において前記端子台より前記アーム側に形成するカバーが設けられている 照明器具。」 との点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 本件発明1は、前記電源回路、「及び、前記接続面を露出させた端子台」を収納するケースであるのに対して、甲1発明は、端子台26は、ケース20の「前壁の外表面に設けられ」る点。 [相違点2] 本件発明1は、「前記アームに沿わせて配置された」前記電線が挿入される対向空間であるのに対して、甲1発明は、外部電源と繋がる電力線が隙間22を通じて、前記端子台カバー21内に引き込まれるものの、電力線とアーム6の関係が定かではない点。 イ 相違点についての検討 事案に鑑み、相違点2について検討する。 甲1には、アーム6に沿わせて配置された電力線を隙間22を通じて、端子台カバー21内に引き込むことについて記載も示唆もされていない。 また、甲3及び4には、光源ユニットを保持する固定部に揺動自在に取り付けられたU字状のアームを備えた照明器具において、アームの位置がその揺動範囲の中央にある状態でアームと固定部が重なる方向に視てアームに隣接する空間に対して、アームに沿わせて配置された電線を挿入することについて記載も示唆もされておらず、この点は、申立人が提示した他の証拠(甲2、5~8)についても同様である。 そして、照明器具において、アームとの位置関係が前述のような関係にある空間に対して、アームに沿わせて配置された電線を挿入することが設計的事項であるとする理由も見当たらない。 そうすると、甲1発明において、甲3記載事項1及び2、並びに甲4記載事項を踏まえ、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到することができたことであるとは認められない。 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、甲3記載事項1及び2、並びに甲4記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件発明2について 本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものである。 そうすると、前記(4)イと同様の理由により、本件発明2は、甲1発明、甲3記載事項1及び2、並びに甲4記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)令和8年3月11日提出の申立人の意見書について ア 申立人の主張の概要 令和8年3月11日提出の意見書(以下「意見書」という。)における申立人の主張の概要は、以下のとおりである。 (ア)明確性要件について a「前記電源回路、及び、前記接続面を露出させた前記端子台を収納するケース」とは、接続面もケース内に収容するものであるといえ、接続面がケースに収容されているので、電源回路に電源を供給する電線がどのようにして接続されるのか不明であるので、「前記電源回路、及び、前記接続面を露出させた前記端子台を収納するケース」との記載は明確でない(第3ページ1行~7行)。 b「前記アームに沿わせて配置された前記電線が挿入され、」の記載において、「前記アームに沿わせ」るとは、電線がU字状に沿って配置されるのか、アームの一部分に沿って配置されるのかが不明確であり、また、「挿入され、」が「対向空間」に係るのか、「カバー」に係るのかが不明確である(第3ページ8~13行)。 c「対向空間を、前記ケースとの間において前記端子台より前記アーム側に形成するカバー」との記載から、対向空間は、カバーとケースとの間において、カバーとケースとの間にある端子台を基準としてアーム側に形成されることが理解できる一方、「前記電源回路、及び、前記接続面を露出させた前記端子台を収納するケース」から、ケースは端子台を収容するので、カバーとケースとの間において形成される対向空間は、カバーと接続端子との間において形成されているともいえるので、カバーとケースとの間において接続端子は存在しない。 このため、「対向空間を、前記ケースとの間において前記端子台より前記アーム側に形成する」との記載は不明確である(第3ページ14~25行)。 (イ)進歩性について 電線をどのように配置するかは、電線の両端部のうち端子台と接続される端部とは異なる端部が、どこに接続されるかに依存する。そのため、電線をアームに沿わせて配置することは設計事項である(第9ページ11~13行)。 イ 申立人の主張の検討 (ア)明確性要件について a 前記ア(ア)aについて 請求項1の「前記接続面を露出させた前記端子台を収納するケース」との記載において、「露出」の字義が「あらわになること、むき出しになること」(広辞苑第7版)であり、「収納」の字義が「物をかたづけてしまうこと」(広辞苑第7版)であることを踏まえれば、「ケース」、「前記端子台」、及び「前記接続面」の関係は、「ケース」の中に入っている「前記端子台」の「前記接続面」が「ケース」からむき出しになっていると解することができるので、「前記接続面を露出させた前記端子台を収納するケース」とは、「前記接続面を露出させた」状態で「前記端子台を収納するケース」の意味であると理解できる。 そして、このような理解は、本件明細書等におけるケース270、端子台232、及び接続面232aに関する記載と矛盾するものでもない。 したがって、「前記電源回路、及び、前記接続面を露出させた前記端子台を収納するケース」との記載は、第三者に対して不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとは認められない。 b 前記ア(ア)bについて 請求項1の「前記アームに沿わせて配置された前記電線が挿入され」の記載は、「前記アーム」の「前記電線」が「沿」う部分について特定していないことから、その記載どおり、「前記電線」が「前記アーム」のどこか一部でも「沿わせて配置され」ることを含むものであると理解することができる。 また、請求項1の「前記ケースには、前記端子台の前記被取付部の側を遮蔽するとともに、前記アームに沿わせて配置された前記電線が挿入され、前記アームの位置が前記アームの揺動範囲の中央にある状態で前記アームと前記固定部とが重なる方向に視て前記アームと隣接する対向空間を、前記ケースとの間において前記端子台より前記アーム側に形成するカバーが設けられている」との記載において、「前記ケースには、前記端子台の前記被取付部の側を遮蔽するとともに、」「対向空間を、前記ケースとの間において前記端子台より前記アーム側に形成するカバーが設けられている」との記載で「前記ケース」と「カバー」の関係が表され、また、「前記アームに沿わせて配置された前記電線が挿入され、前記アームの位置が前記アームの揺動範囲の中央にある状態で前記アームと前記固定部とが重なる方向に視て前記アームと隣接する対向空間」との記載は、「前記アームに沿わせて配置された前記電線が挿入され、前記アームの位置が前記アームの揺動範囲の中央にある状態で前記アームと前記固定部とが重なる方向に視て前記アームと隣接する」との記載によって、「対向空間」を説明するものであるので、「前記アームに沿わせて配置された前記電線が挿入され、」が「対向空間」に係ることは明らかである。 したがって、「前記アームに沿わせて配置された前記電線が挿入され」との記載は、第三者に対して不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとは認められない。 c 前記ア(ア)cについて 前記aで述べたように、請求項1の「前記接続面を露出させた前記端子台を収納するケース」との記載から、「前記端子台の接続面」は、「ケース」から露出するものであるところ、請求項1の「対向空間を、前記ケースとの間において前記端子台より前記アーム側に形成するカバー」との記載は、該「ケース」から「露出」した「前記端子台の接続面」より「前記アーム側に」「ケースとの間において」、「カバー」が「対向空間」を「形成」することを特定していることは明らかであり、このような解釈は、本願明細書等の記載、特に、図12の記載と矛盾するものではない。 したがって、請求項1の「対向空間を、前記ケースとの間において前記端子台より前記アーム側に形成するカバー」との記載は、第三者に対して不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとは認められない。 以上のとおりであるから、請求項1の記載は、第三者に対して不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとは認められず、本件発明1は、明確であるので、前記ア(ア)における明確性要件に関する申立人の主張を採用することはできない。 (イ)進歩性について 前記(4)イで述べたように、甲1には、アーム6に沿わせて配置された電力線を隙間22を通じて、端子台カバー21内に引き込むことについて記載も示唆もされていない。 また、甲2~8にも、光源ユニットを保持する固定部に揺動自在に取り付けられたU字状のアームを備えた照明器具において、アームの位置がその揺動範囲の中央にある状態でアームと固定部が重なる方向に視てアームに隣接する空間に対して、アームに沿わせて配置された電線を挿入することについて記載も示唆もされていない。 そして、照明器具において、アームとの位置関係が前述のような関係にある空間に対して、アームに沿わせて配置された電線を挿入することが設計的事項であるとする理由も見当たらない。 したがって、前記ア(イ)における進歩性に関する申立人の主張を採用することはできない。 (7)小括 以上から、本件発明1及び2は、明確であり、本件特許にかかる出願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしている。 また、本件発明1及び2は、甲1発明、甲3記載事項1及び2、甲4記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないので、請求項1及び2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。 したがって、取消理由1及び2によって、請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。 第6 取消理由通知書(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について 申立人は、令和6年10月17日提出の特許異議申立書(以下「異議申立書」という。)及び令和7年1月30日提出の手続補正書(方式)によって補正された令和6年11月15日提出の回答書において、前記第4の1の甲号証一覧で示した証拠(甲1、3、及び4)に加え、次の証拠を提出し、以下の特許異議申立理由(以下「申立理由」という。)を主張している。 <甲号証一覧> 甲2:特開2016-100318号公報 甲5:特開2013-182777号公報 甲6:米国特許第9353924号明細書 甲7:中国実用新案第206817348号明細書 甲8:特開2013-4168号公報 1 申立理由の概要 (1)本件発明1は、甲1発明、甲2~7に記載された事項、及び設計的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (2)本件発明2は、甲1発明、甲2~8に記載された事項、及び設計的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (3)本件特許は、特許請求の範囲の請求項1の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 2 申立理由についての検討 (1)申立理由(1)及び(2)について ア 甲2の認定事項 甲2の段落【0012】、【0015】、【0020】~【0022】、及び【0025】、並びに図1及び5から、甲2には、以下の事項(以下「甲2記載事項」)という。)が示されていると認められる。 「4つの光源ユニット1と、4つの光源ユニット1を保持する保持部材と、4つの光源ユニット1に給電する電源ユニット8と、U字状に形成されたアーム16を備える照明器具において、アーム16は、長手方向の両端部が保持部材のアーム取付部材13に回転可能に支持され、電源ユニット8は、2つの電源ブロック80、ケース81、第1端子台88、第2端子台89を有し、各電源ブロック80は、出力ケーブルを有し、該出力ケーブルは、ケース81の外に引き出され、光源ユニット1に接続され、アーム16が回転範囲の中央にある状態で照明器具の後ろ側から見て、ケース81の第2側板85の右側の端部に第1端子台88が取り付けられ、ケース81の第2側板85の左側の端部に第2端子台89が取り付けられること。」 イ 甲5の認定事項 甲5の段落【0009】及び図1から、甲5には、以下の事項(以下「甲5記載事項」)という。)が示されていると認められる。 「アーム部110、電源装置120、天面カバー130、本体140、LED基板170、反射板181、カバー184を備えるLED照明装置100において、アーム部110と電源装置120の間に空間が形成されること。」 ウ 甲6の認定事項 甲6の第5欄4行~23行、第11欄18行~第12欄49行、及びFIG.1A~FIG.6Eから、甲6には、以下の事項(以下「甲6記載事項」)という。)が示されていると認められる。 「2以上の光モジュール100と、1つ以上の側部ブラケット300、後側ブラケット400、1つまたは複数の中央インターフェース500、1つまたは複数のブリッジケーブル690、及び装着組立体680を含む照明器具600において、装着組立体680の連結部は、装着組立体680を結合側ブラケット300の中央部320に揺動自在に取付けられ、照明モジュール100は、コネクタ・プラグを含む受信機193と受信機194を側面に有し、ブリッジケーブル690の一端が電気的受信器193のケーブルグランド149に機械的に結合され、光モジュール1100の電源260に電気的に結合され、装着組立体680が揺動範囲の中央にある状態で、装着組立体680の取付ブラケット682と照明モジュール300の上部の間に空間があること。」 エ 甲7の認定事項 甲7の[0049]、[0065]、及び図1~3から、甲7には、以下の事項(以下「甲7記載事項」)という。)が示されていると認められる。 「電源10、ヒートシンク20、光源ユニット30及びレンズ40を含む高棚灯において、電源10に高棚灯の取付角を調整するホルダー81接続され、電源10の上面にケーブルが接続され、ホルダー81が揺動範囲の中央にある状態で、ホルダー81と電源10の上面の間に空間があること。」 オ 甲8の認定事項 甲8の段落【0010】、【0109】~【0111】、及び図1から、甲8には、以下の事項(以下「甲8記載事項」)という。)が示されていると認められる。 「本体2と、LEDモジュール3と、反射板4と、電源ユニット5と、アーム6とを備えているLED照明器具1において、電源ユニット5は、電源回路51と、電源回路51を覆う金属製のケース50とを有し、ケース50は、天板部52と、一対の側板部53と、一対の取付部55と、一対の端板部54と、底板部56とを有し、ケース50は、本体2の放熱面12側に形成された空間58の上方に配置され、天板部52、底板部56および取付部55は放熱面12に対して略平行になり、端板部54は放熱面12に対して略垂直になり、側板部53は、天板部52及び取付部55に対して傾斜して、天板部52と取付部55との間に設けられ、側板部53の天板部52と接続する縁部及び側板部53の取付部55と接続する縁部は、アーム6の長手方向に沿って延びていること。」 カ 本件発明1について (ア)対比 前記第5の2(4)アで述べたとおり、本件発明1と甲1発明は、相違点1及び2で相違する。 (イ)相違点についての検討 事案に鑑み、相違点2について検討するに、前記第5の2(4)イで述べたとおり、甲1には、アーム6に沿わせて配置された電力線を隙間22を通じて、端子台カバー21内に引き込むことについて記載も示唆もされておらず、また、甲3及び4にも、光源ユニットを保持する固定部に揺動自在に取り付けられたU字状のアームを備えた照明器具において、アームの位置がその揺動範囲の中央にある状態でアームと固定部が重なる方向に視てアームに隣接する空間に対して、アームに沿わせて配置された電線を挿入することについて記載も示唆もされていない。 そして、甲2及び5~7にも、光源ユニットを保持する固定部に揺動自在に取り付けられたU字状のアームを備えた照明器具において、アームの位置がその揺動範囲の中央にある状態でアームと固定部が重なる方向に視てアームに隣接する空間に対して、アームに沿わせて配置された電線を挿入することについて記載も示唆もされていない。 更に、照明器具において、アームとの位置関係が前述のような関係にある空間に対して、アームに沿わせて配置された電線を挿入することが設計的事項であるとする理由も見当たらない。 そうすると、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項が設計的事項であるとは認められず、また、甲1発明において、甲2~7記載事項を踏まえ、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとは認められない。 したがって、他の相違点について検討するまでもなく。本件発明1は、甲1発明、甲2~7記載事項、及び設計的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 キ 本件発明2について 本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものである。 そうすると、本件発明2と甲1発明は、少なくとも、前記第5の2(4)アで示した、相違点1及び2で相違する。 そして、事案に鑑み、相違点2について検討するに、甲8には、光源ユニットを保持する固定部に揺動自在に取り付けられたU字状のアームを備えた照明器具において、アームの位置がその揺動範囲の中央にある状態でアームと固定部が重なる方向に視てアームに隣接する空間に対して、アームに沿わせて配置された電線を挿入することについて記載も示唆もされていない。 したがって、前記カ(イ)と同様の理由により、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は、甲1発明、甲2~8記載事項、及び設計的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)申立理由(3)について ア 申立理由(3)の概要 (ア)本件特許発明1において、アームと空間とがどの方向から見て隣接しているのか定義されていないため、本件特許発明1及び2は、明確でない。 (イ)本件特許発明1において、「隣接」がどの程度の範囲を含むものなのか明確でないので、本件特許発明1及び2は、明確でない。 イ 申立理由(3)の検討 (ア)前記ア(ア)について 本件発明1においては、「前記アームの位置が前記アームの揺動範囲の中央にある状態で前記アームと前記固定部とが重なる方向に視て前記アームと隣接する対向空間を、前記ケースとの間において前記端子台より前記アーム側に形成するカバーが設けられている」との記載があり、「対向空間」が「前記アームの位置が前記アームの揺動範囲の中央にある状態で」「前記アームと隣接する」のは、「前記アームと前記固定部とが重なる方向」から見た方向であることは、明らかである。 そして、このような、「前記アーム」と「対向空間」の「隣接」が「前記アームと前記固定部とが重なる方向」から見た方向でのものであるとの理解は、本件明細書等の段落【0035】の記載と矛盾するものではない。 (イ)前記ア(イ)について 本件発明1は、「前記アームに沿わせて配置された前記電線が挿入され、前記アームの位置が前記アームの揺動範囲の中央にある状態で前記アームと前記固定部とが重なる方向に視て前記アームと隣接する対向空間」との発明特定事項を有するものである。 一方、本件明細書等の記載をみると、本件発明1の「隣接」については、本件明細書等の段落【0007】に、「本発明によれば、端子台に接続される電線は、ケースのアームと隣接した空間に挿入されてケースの外部に出されることによって、アームに沿わせて配置され易い。このため、光源ユニットがアームに対して揺動するとき、電線がアームに干渉することを抑制することができる。」との記載がある。 そうすると、本件発明1において、「前記アーム」と「対向空間」の「隣接」に関しては、「前記アームの位置が前記アームの揺動範囲の中央にある状態で前記アームと前記固定部とが重なる方向に視て」、「前記アームに沿わせて配置された前記電線が挿入」できる程度、すなわち、「対向空間」の外部に出された電線がアームに沿わせて配置され易い状態である程度に、「前記アーム」と「対向空間」が「隣接」するものであることが理解できる。 そうすると、本件発明1において、「隣接」の程度は、明確であると認められる。 以上のとおりであるから、本件発明1及び本件発明1を引用する本件発明2は、明確である。 (3)小括 以上から、申立理由(1)~(3)については、以下のとおりである。 (1)本件発明1は、甲1発明、甲2~7に記載された事項、及び設計的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではないので、申立理由(1)によって、請求項1に係る特許を取り消すことはできない。 (2)本件発明2は、甲1発明、甲2~8に記載された事項、及び設計的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、請求項2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではないので、申立理由(2)によって、請求項2に係る特許を取り消すことはできない。 (3)本件発明1及び2は、明確であり、本件特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たすものであるので、申立理由(3)によって、請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。 第7 むすび 以上のとおり、取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。 そして、他に本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-701025

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