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特許異議申立

2022-700245

ヘッドライトカバー用シート

審判番号
2022-700245
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-099281
登録番号
6944726
請求日
2022年03月24日
審決日
2023年03月31日
公報発行日
2023年07月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社洗車の王国
  • 【権利者代理人】辻田 朋子
  • 【異議申立人】エフイートレード 株式会社
  • 【異議申立人代理人】泉 通博
審判長/審判官
  • 審判長 藤井 昇
  • 審判官 三宅 龍平
  • 審判官 筑波 茂樹
分類
P1651.111-YAA(F21S) / P1651.112-YAA(F21S) / P1651.113-YAA(F21S) / P1651.121-YAA(F21S) / P1651.832-YAA(F21S) / P1651.841-YAA(F21S) / P1651.851-YAA(F21S)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項第1号、特許法第29条第1項第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第36条第4項第1号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6944726号発明「ヘッドライトカバー用シート」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6944726号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。 特許第6944726号の請求項1~5に係る特許を維持する。 特許第6944726号の請求項6に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6944726号の請求項1~5に係る特許についての出願は、平成31年5月28日を出願日(優先権主張 平成30年7月27日)とする出願であって、令和3年9月15日にその特許権の設定登録がされ、令和3年10月6日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和 4年 3月24日(受付日): 特許異議申立人エフイートレード株式会社(以下、「申立人」という。)による請求項1~6に係る特許に対する特許異議の申立て 令和 4年 5月24日付け: 審尋 令和 4年 6月15日(受付日): 回答書 令和 4年10月 6日付け: 取消理由通知書 令和 4年12月12日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和 4年12月28日付け: 訂正請求があった旨の通知書 令和 5年 2月 2日 : 申立人による意見書の提出 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 令和4年12月12日付けの訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)は、特許第6944726号(以下「本件特許」という。)の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~6について訂正することを求めるものであり、その内容は、以下のとおりである(なお、訂正箇所に下線を付した。)。 訂正前の請求項1~6は、請求項2~6が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるから、本件訂正は、一群の請求項1~6について請求されている。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「奥行きを有するヘッドライトカバー全面の立体形状を2次元平面に展開することで、このヘッドライトカバー全面を覆って設けられるヘッドライトカバー用シートであって、 シート本体を備え、 前記シート本体は、その周縁に連設する切り込み部を有し、 前記切り込み部を複数有し、 前記複数の切り込み部には、前記シート本体の周縁に向かうに伴い漸次離間する一対の当接辺が形成され、 前記複数の切り込み部において、前記一対の当接辺により形成される外形状が、それぞれ異なることを特徴とするヘッドライトカバー用シート。」 とあるのを、 「奥行きを有するヘッドライトカバー全面の立体形状を2次元平面に展開することで、このヘッドライトカバー全面を覆って設けられるヘッドライトカバー用シートであって、 シート本体を備え、 前記シート本体は、その周縁に連設する切り込み部を有し、 前記切り込み部を複数有し、 前記複数の切り込み部には、前記シート本体の周縁に向かうに伴い漸次離間する一対の当接辺が形成され、 前記複数の切り込み部において、前記一対の当接辺により形成される外形状が、それぞれ異なり、 前記シート本体の表面積は、前記シート本体に張力が付与されていない状態で、前記ヘッドライトカバーの表面積と同一に構成されていることを特徴とするヘッドライトカバー用シート。」 と訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~5も同様に訂正する)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項6を削除する。 2 訂正の適否についての判断 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的について 訂正事項1は、訂正前の請求項1の「シート本体」に関して、「前記シート本体の表面積は、前記シート本体に張力が付与されていない状態で、前記ヘッドライトカバーの表面積と同一に構成されている」との事項を付加することで、シート本体をより具体的に特定し、さらに限定するものであるから、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲、又は図面(以下「特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてした訂正であること 特許明細書等における段落【0031】には「本発明の好ましい形態では、前記シート本体の表面積と前記ヘッドライトカバーの表面積とが、略同一に構成されている」と、段落【0032】には「このような構成とすることで、シート本体を一切引っ張ることなく、ヘッドライトカバーに貼付けることができるため、シート本体の素材が、施工性に影響を受けることがない」と記載されている。ここで、「略同一」が「同一」を含む概念であることは明らかである。 そうすると、上記訂正事項1による訂正は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1は、上記アの理由から明らかなように、発明特定事項をより具体的に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法126条第6項の規定に適合するものである。 (2)訂正事項2 訂正事項2は、訂正前の請求項6を削除する訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、請求項を削除する訂正であるから、特許明細書等に記載された事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないのは明らかであるので、特許法第120条の5第9項において準用する同法126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (3)小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 よって、特許請求の範囲を,訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 上記「第2」で述べたとおり、本件訂正は認められるので、本件訂正請求により訂正された請求項1~5に係る発明(以下、「本件発明1~5」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~5に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 奥行きを有するヘッドライトカバー全面の立体形状を2次元平面に展開することで、このヘッドライトカバー全面を覆って設けられるヘッドライトカバー用シートであって、 シート本体を備え、 前記シート本体は、その周縁に連設する切り込み部を有し、 前記切り込み部を複数有し、 前記複数の切り込み部には、前記シート本体の周縁に向かうに伴い漸次離間する一対の当接辺が形成され、 前記複数の切り込み部において、前記一対の当接辺により形成される外形状が、それぞれ異なり、 前記シート本体の表面積は、前記シート本体に張力が付与されていない状態で、前記ヘッドライトカバーの表面積と同一に構成されていることを特徴とする、ヘッドライトカバー用シート。 【請求項2】 前記一対の当接辺の少なくとも何れか一方は、湾曲していることを特徴とする、請求項1に記載のヘッドライトカバー用シート。 【請求項3】 前記シート本体と別体に構成された補助シートを備え、 前記補助シートは、その周縁が、前記シート本体の周縁に当接可能に構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のヘッドライトカバー用シート。 【請求項4】 前記補助シートを複数備えていることを特徴とする、請求項3に記載のヘッドライトカバー用シート。 【請求項5】 基シートを備え、 前記シート本体又は前記補助シートの少なくとも何れか一方は、前記基シートに着脱可能に積層されていることを特徴とする、請求項3又は4に記載のヘッドライトカバー用シート。」 第4 取消理由通知に記載した取消理由について 1 取消理由の概要 請求項1~6に係る特許に対して、当審が令和4年10月6日付けの取消理由通知で特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 理由1:(新規性・公知)本件特許の下記の請求項に係る発明は、その出願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において公然知られた発明であるから、その発明に係る特許は、特許法第29条第1項第1号の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 理由2:(新規性・公然実施)本件特許の下記の請求項に係る発明は、優先日前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明であるから、その発明に係る特許は、特許法第29条第1項第2号の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 理由3:(新規性・刊行物公知)本件特許の下記の請求項に係る発明は、優先日前に日本国内又は外国において頒布された下記刊行物に記載された発明であるから、その発明に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 理由4:(進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、優先日前に日本国内又は外国において公然知られた発明、公然実施をされた発明、あるいは、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、その発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 記 <理由1~4> ・請求項 1~2、6 ・甲号証 52、21、27、34 <理由4> ・請求項 3、4 ・甲号証 52、21、27、34、41 ・請求項 5、6 ・甲号証 52、21、27、34、41、49 <証拠一覧>(以下、甲第1~73号証を、それぞれ「甲1~甲73」という。) 甲1 「マニュアル」、スバル インプレッサスポーツ(H28.10-R1.10) ヘッドライト(右) 基本作業手順、UNIGLOBE(商標) Paint Protection System 甲2 「注文書」、伝票番号5/8No.447、得意先コード:11749、得意先名:スミケン、受注日:5月7日、スバルインプレッサスポーツ 受注商品:0703H1605A0SH等 甲3 「出荷表」、伝票No.447、お客様コードNo.11749 トータルカーネイル スミケン、コード・商品名:0703H1605A0SH インプレッサSH16ヘッドライトセットA等、18年5月8日 甲4 ヤマト運輸宅配便の「送り状 ご依頼主控」、送り状番号:4284-2450-3636、お届け先:トータルカーネイル スミケン、ご依頼主:エフ・イー・トレード(株)、受付日:2018年5月8日 甲5 トータルカーネイル スミケン社と申立人の担当者間の電子メールの印刷物、日付:2022年1月20日9時42分、件名:RE:【エフーイートレード】ヘッドライトプロテクション受注関連書類提出ご確認依頼 甲6 「出荷表」、伝票No.253、お客様コードNo.03108 S・TRIP、コード・商品名:0703H1605A0SH インプレッサSHヘッドライトセットA等、18年2月2日 甲7 「納品書(控)」、No.253、お客様コードNo.03108 S・TRIP、品番・品名:0703H1605A インプレッサSHヘッドライトセットA等、エフイートレード株式会社、18年2月2日 甲8 ヤマト運輸宅配便の「送り状 発送元控」、送り状番号:3784-5782-6390、お届け先:S・TRIP、発送元:エフイートレード株式会社、受付日:2018年2月2日 甲9 エス・トリップ社と申立人の担当者間の電子メールの印刷物、日付:2022年1月20日9時18分、件名:【エフーイートレード】ヘッドライトプロテクション受注関連書類提出ご確認依頼 甲10 エス・トリップ社と申立人の担当者間の電子メールの印刷物、日付:2022年1月24日14時41分、件名:RE:【エフーイートレード】ヘッドライトプロテクション受注関連書類提出ご確認依頼 甲11 カーケアワークスポリサージュと申立人の担当者間の電子メールの印刷物、送信日時:2018年7月13日11時53分、件名:エフイートレード ご注文を受け付けました。 甲12 「出荷表」、伝票No.1105、お客様コードNo.07249 カーケアワークスポリサージュ、コード・商品名:0703H1605A0SH インプレッサSH16ヘッドライトセットA等、18年7月13日 甲13 「納品書(控)」、No.1105、お客様コードNo. 07249 カーケアワークスポリサージュ、品番・品名:0703H1605AインプレッサSHヘッドライトセットA等、エフイートレード株式会社、18年7月13日 甲14 ヤマト運輸宅配便の「送り状 発送元控」、送り状番号:3784-7280-2886、お届け先:カーケアワークスポリサージュ、発送元:エフ・イー・トレード(株)、受付日:2018年7月13日 甲15 カーケアワークスポリサージュと申立人の担当者間の電子メールの印刷物、日付:2022年1月24日15時45分、件名:【エフーイートレード】ヘッドライトプロテクション受注関連書類提出ご確認依頼 甲16 PRIVATE-GRAGEと申立人の担当者間の電子メールの印刷物、日付:2018年6月11日11時59分、件名:エフイートレード ご注文を受け付けました。 甲17 「出荷表」、伝票No.870、お客様コード12557 PRIVATE-GRAGE、コード・商品名:0703H1605A0SH インプレッサSH16ヘッドライトセットA等、18年6月11日 甲18 「納品書(控)」、No.870、お客様コードNo. 12557 PRIVATE-GRAGE、品番・品名:0703H1605AインプレッサSHヘッドライトセットA等、エフイートレード株式会社、18年6月11日 甲19 ヤマト運輸宅配便の「送り状 発送元控」、送り状番号:3794-6480-1166、お届け先:PRIVATE-GRAGE、発送元:エフ・イー・トレード(株)、受付日2018年6月11日 甲20 PRIVATE-GRAGEと申立人の担当者間の電子メールの印刷物、日付:2022年1月20日9時34分、件名:Re:【エフーイートレード】ヘッドライトプロテクション受注関連書類提出ご確認依頼 甲21 「マニュアル」、トヨタ ピクシスバンハイルーフ(H29.11-) ヘッドライト(右) 基本作業手順、UNIGLOBE(商標) Paint Protection System 甲22 注文受付メールの印刷物、送信日時:2018年4月19日22時36分、件名:エフイートレードご注文を受け付けました。 甲23 「出荷表」、伝票No.1741、お客様コード03070 プロテック関西(株)、コード・商品名:0113R1705A0SH ピクシスバンHRR17ヘッドライトセットA等、18年4月20日 甲24 「納品書(控)」、No1741、お客様コードNo. 03070 プロテック関西(株)、品番・品名:0113R1705A ピクシスバンHRR17ヘッドライトセットA等、エフイートレード株式会社、18年4月20日 甲25 ヤマト運輸宅配便の「送り状 発送元控」、送り状番号:3784-7280-8490、お届け先:プロテック関西(株)、発送元:エフ・イー・トレード(株)、受付日2018年4月20日 甲26 プロテック関西担当者と申立人の担当者間の電子メールの印刷物、日付:2022年1月20日15時19分、件名:Re:【エフーイートレード】ヘッドライトプロテクション受注関連書類提出ご確認依頼 甲27 「マニュアル」、トヨタ パッソ(H16.6-H18.11) ヘッドライト(右)の基本作業手順、UNIGLOBE(商標) Paint Protection System 甲28 「注文書」、伝票No.762、お客様コード08477 サカモト自動車、コード・商品名:0132H0405A0SH パッソH04ヘッドライトセットA等、18年6月8日 甲29 注文受付メールの印刷物、送信日時:2018年5月7日17時59分、件名 ヘッドライトプロテクションフィルムお問い合わせフォーム 甲30 「出荷表」、伝票No.762、お客様コード08477 サカモト自動車、コード・商品名:0132H0405A0SH パッソH04ヘッドライトセットA等、18年6月8日 甲31 「納品書(控)」、No.762、お客様コードNo.08477 サカモト自動車、品番品名:0132H0405A パッソH04ヘッドライトセットA等、エフイートレード株式会社、18年4月20日 甲32 ヤマト運輸宅配便の「送り状 ご依頼主控」、送り状番号4490-1876-3060、お届け先:サカモト自動車、ご依頼主:エフ・イー・トレード(株)、受付日2018年6月8日 甲33 サカモト自動車担当者と申立人の担当者間の電子メールの印刷物、日付2022年1月25日18時34分、件名:RE: フイートレード】ヘッドライトプロテクション受注関連書類提出ご確認依頼 甲34 「マニュアル」、ホンダ ライフ(H13.5-H15.8) ヘッドライト(右) 基本作業手順、UNIGLOBE(商標) Paint Protection System 甲35 注文受付メールの印刷物、送信日時:2017年8月17日13時12分、件名「エフイートレード ご注文を受け付けました」 甲36 申立人の社内の商品開発部PPSチーム(Paint Protection System Team)担当者と営業部担当者間の電子メールの印刷物、日付2017年8月10日19時10分、件名:★再送★【ヘッドライトPPS】販売可能案内 甲37 「出荷表」、伝票No.1000、お客様コードNo.11778 KONFIDO、コード・商品名:0000000000200 ホンダライフ【H13.5-H15.8】ヘッドライトセット等、17年8月17日 甲38 「納品書(控)」、No.1000、お客様コードNo.11778 KONFIDO、品番・品名:0000000000 ホンダライフ【H13.5-H15.8】ヘッドライト等、エフイートレード株式会社、17年8月17日 甲39 ヤマト運輸宅配便の「送り状 ご依頼主控」、送り状番号:4475-9508-7284、お届け先:KONFIDO、受付日2017年8月17日 甲40 KONFIDO担当者と申立人の担当者間の電子メールの印刷物、日付2022年1月21日23時06分、件名:RE:【エフイートレード】ヘッドライトプロテクション受注関連書類提出ご確認依頼 甲41 「マニュアル」、日産クリッパー(H17.12-H24.1) ヘッドライト(右) 基本作業手順、UNIGLOBE(商標) Paint Protection System 甲42 日産クリッパーのヘッドライトカバー用フィルムのCADデータをコンピュータに表示させたものの印刷物 甲43 甲42に示すヘッドライトカバー用フィルムのCADデータの2つの三角形状のフィルムを重ねたものの印刷物 甲44 注文受付メールの印刷物、送信日時:2018年3月1日12時50分、件名:エフイートレード ご注文を受け付けました 甲45 「出荷表」、伝票No.122、お客様コード13464 SKStyle、コード・商品名:0343A0505A0SH クリッパーA05ヘッドライトセットA等、18年3月14日 甲46 「納品書(控)」、No.122、お客様コードNo. 13464 SKStyle、品番・品名:0343A0505A クリッパーA05ヘッドライトセットA等、エフイートレード株式会社、18年3月14日 甲47 ヤマト運輸宅配便の「送り状 発送元控」、送り状番号3784-4923-9534、お届け先:SKStyle、発送元:エフ・イー・トレード(株)、受付日2018年3月4日 甲48 SKStyle担当者と申立人の担当者間の電子メール、日付2022年2月2日17時40分、件名:Re:【エフーイートレード】ヘッドライトプロテクション受注関連書類提出ご確認依頼 甲49 佐藤高信編集監修、「Boost Up Your Performance FE TRADE CO.,LTD CATALOG Vol.7」、ページ不明、エフイートレード株式会社、2014 甲50 特許第6329568号公報 甲51 UNIGLOBE プロ用カット済みフィルム検索システムのインターネット・ウェブサイトの印刷物、作成日:令和4年6月1日、作成者:申立人、種類:ヘッドライトプロテクション、メーカー:スバル、車種名:インプレッサスポーツ【GT2型/GT3型】、年式:H28.10-R1.10 甲52 「マニュアル」、スバルインプレッサスポーツ(H28.10-) ヘッドライト(右) 基本作業手順、UNIGLOBE(商標) Paint Protection System 甲53 2019年のECサイトリニューアルに伴う商品コードのルール変更を説明する資料、作成日:令和4年6月1日、作成者:申立人 甲54 UNIGLOBE プロ用カット済みフィルム検索システムのインターネット・ウェブサイトの印刷物、作成日:令和4年6月1日、作成者:申立人、種類:ヘッドライトプロテクション、メーカー:トヨタ 車種名:ピクシスバンハイルーフ 年式:H29.11-R3.11 甲55 UNIGLOBE プロ用カット済みフィルム検索システムのインターネット・ウェブサイトの印刷物、作成日:令和4年6月1日、作成者:申立人、種類:ヘッドライトプロテクション、メーカー:トヨタ 車種名:パッソ 年式:H16.6-H18.11 甲56 UNIGLOBE プロ用カット済みフィルム検索システムのインターネット・ウェブサイトの印刷物、作成日:令和4年6月1日、作成者:申立人、種類:ヘッドライトプロテクション、メーカー:ホンダ 車種:ライフ 年式:H13.5-H15.8 甲57 UNIGLOBE プロ用カット済みフィルム検索システムのインターネット・ウェブサイトの印刷物、作成日:令和4年6月1日、作成者:申立人、種類:ヘッドライトプロテクション、メーカー:日産 車種:クリッパー 年式:H17.12-H24.1 甲58 スバル インプレッサスポーツ H28.10- マニュアルと商品コード(発注コード)「0703H1605A0SH」が同一である理由についての説明資料、作成日:令和4年6月1日、作成者:申立人 甲59 トヨタ ピクシスバンハイルーフ H29.11- マニュアルと商品コード(発注コード)「0113R1705A0SH」が同一である理由についての説明資料、作成日:令和4年6月1日、作成者:申立人 甲60 トヨタ パッソ H16.6-H18.11 マニュアルと商品コード(発注コード)「0132H0405A0SH」が同一である理由についての説明資料、作成日:令和4年6月1日、作成者:申立人 甲61 日産 クリッパー H17.12-H24.1 マニュアルと商品コード(発注コード)「0343A0505A0SH」が同一である理由についての説明資料、作成日:令和4年6月1日、作成者:申立人 甲62 甲52、21、27、34、41の作成日及び修正日を示すアプリケーション(アドビ・イラストレータ)の基本画面の印刷物、作成日:令和4年6月1日、作成者:申立人 甲63 申立人社内の電子メールの印刷物、日付:2011年4月18日20時04分、件名:メーカーコードについて 甲64 申立人社内の電子メールの印刷物、日付:2011年5月7日15時、件名:【プロテクション】2点確認 甲65 大出版社と申立人の担当者間の電子メールの印刷物、日付:2011年5月13日19時52分、件名:Re:【プロテクション】ご確認&修正のお願い 甲66 「フロントセクション>>01 フロントバンパー」の印刷物、作成日:不明、作成者:申立人 甲67 大出版社と申立人の担当者間の電子メールの印刷物、日付:不明、件名:不明、作成日:不明、作成者:申立人 甲68 大出版社と申立人の担当者間の電子メールの印刷物、日付:2011年7月19日18時27分、件名:プロテクションサイト請求書 甲69 ソシオアンドアソシエイツ社と申立人担当者間の電子メールの印刷物、日付:2016年5月13日 甲70 「プロ用カット済みフィルム プロテクション部分改修 Vol.08」、2016年5月13日、表紙及び1~22ページ、FE TRADE CO.,LTD 甲71 デフィ社と申立人の担当者間の電子メールの印刷物、日付:2019年11月21日17時28分、件名:本番反映作業のお見積り 甲72 デフィ社と申立人の担当者間の電子メールの印刷物、日付:2019年12月12日20時23分、件名:Re:本アップのご連絡 甲73 UNIGLOBE Paint Protection Filmに関する写真の印刷物、作成日:令和4年6月11日、作成者:申立人 2 甲号証等 (1)甲52 ア 記載事項 甲52には、以下の記載がある。 「 [図:0001399336000001.jpg] 」 イ 認定事項 甲52から以下の事項が認定できる。(当審注:「丸1」、「丸2」、「丸3」・・・は、〇の中に数字(1、2、3、・・・)を示す。以下同様。) (ア)甲52右上には「UNIGLOBE(R) Paint Protection System」と記載されている。この登録商標の名称、「施工時にフィルムをヘッドライトへ重ね」という記載を併せて考えると、甲52に示されるフィルムは、ヘッドライトの「保護(Protection)」を意図したものだと解釈できる。 (イ)甲52の「スバル インプレッサスポーツ」、「ヘッドライト(右)」、「施工時にフィルムをヘッドライトへ重ね、全体のバランスを確認してから施工を始めてください。」、「ヘッドライトの際から1~1.5mm程の隙が目安になります。」という記載及びフィルムの全体的な形状を踏まえると、甲52には「ヘッドライトカバー全面を覆って設けられる、スバルインプレッサスポーツ用のヘッドライトカバー用のフィルム」が記載されているといえる。 (ウ)甲52の「丸2、丸3、丸5で固定したラインに合わせながらフィルムを固定します。」、図面中の「→」「合わせる」、アイコンの説明における「矢印の方向にフィルムを、伸ばします。」、pointDの「合わせ面は、フィルムが重ならないように少しずつ合わせて施工します。」という記載及び図面のフィルムの形状の記載を併せて考えると、「図面の丸2、丸3、丸5の領域と丸9の領域との間」「図面の丸3、丸5の領域と丸7の領域と間」の2箇所の切れ込みに沿って、向かい合う一対の当接辺が合わさるようにフィルムが固定されることが認定できる。このときに、奥行きを有する立体形状になることは、幾何学的に明らかである。 そうすると、甲52には 「奥行きを有するヘッドライトカバー全面の立体形状を2次元平面に展開するフィルムであること」及び、「フィルムを備え、前記フィルムは、その周縁に連設する切り込み部を有し、前記切り込み部を2箇所有すること」が記載されているといえる。 (エ)甲52の図面からみて、「図面の丸2、丸3、丸5の領域と丸9の領域との間」には、フィルムの周縁に向かうに伴い漸次離間する一対の当接辺が形成されていることが看取でき、同様に、「図面の丸2、丸3の領域と丸7の領域と間」には、フィルムの周縁に向かうに伴い漸次離間する一対の当接辺が形成されていることが看取できる。 さらに2箇所の切り込み部において、一対の当接辺により形成される外形状が、それぞれ異なっていることが看取できる。 そうすると、「2箇所の切り込み部には、フィルムの周縁に向かうに伴い漸次離間する一対の当接辺が形成され、前記2箇所の切り込み部において、一対の当接辺により形成される外形状が、それぞれ異なること」が記載されているといえる。 (オ)甲52の「図面の丸2、丸3の領域と丸9の領域との間」、「図面の丸3、丸5の領域と丸7の領域と間」の2箇所の切れ込みの形状に注目すると、「一対の当接辺の両辺は、湾曲していること」が看取できる。 (カ)甲52の「施工時にフィルムをヘッドライトへ重ね、全体のバランスを確認してから施工を始めてください。」、「ヘッドライトの際から1~1.5mm程の隙が目安になります。」という記載及びフィルムの全体的な形状を踏まえると、「フィルム本体の表面積とヘッドライトカバーの表面積とが、略同一に構成されていること」が記載されているといえる。 ウ 甲52から認定される発明(以下「甲52発明」という。) 上記ア、イを総合すると、甲52からは、次の発明が認定できる。 「奥行きを有するヘッドライトカバー全面の立体形状を2次元平面に展開することで、このヘッドライトカバー全面を覆って設けられる、スバルインプレッサスポーツ用のヘッドライトカバー用のフィルムであって、 フィルムを備え、 前記フィルムは、その周縁に連設する切り込み部を有し、 前記切り込み部を2箇所有し、 前記2箇所の切り込み部には、前記フィルムの周縁に向かうに伴い漸次離間する一対の当接辺が形成され、 前記2箇所の切り込み部において、一対の当接辺により形成される外形状が、それぞれ異なり、 一対の当接辺の両辺は、湾曲していて、 前記フィルム本体の表面積と前記ヘッドライトカバーの表面積とが、略同一に構成されている、 スバルインプレッサスポーツ用のヘッドライトカバー用のフィルム。」 (2)甲21 甲21の記載のうち、(1)の甲52と共通又は類似の記載については、説明を割愛する。 甲21からは、次の発明(以下「甲21発明」という。)が認定できる。 「奥行きを有するヘッドライトカバー全面の立体形状を2次元平面に展開することで、このヘッドライトカバー全面を覆って設けられる、トヨタピクシスバンハイルーフ用のヘッドライトカバー用のフィルムであって、 フィルムを備え、 前記フィルムは、その周縁に連設する切り込み部を有し、 前記切り込み部を2箇所有し、 前記2箇所の切り込み部には、前記フィルムの周縁に向かうに伴い漸次離間する一対の当接辺が形成され、 前記2箇所の切り込み部において、一対の当接辺により形成される外形状が、それぞれ異なり、 一対の当接辺の両辺は、湾曲していて、 前記フィルム本体の表面積と前記ヘッドライトカバーの表面積とが、略同一に構成されている、 トヨタピクシスバンハイルーフ用のヘッドライトカバー用のフィルム。」 (3)甲27 甲27の記載のうち、(1)の甲52と共通又は類似の記載については、説明を割愛する。 甲27からは次の発明(以下「甲27発明」という。)が認定できる。 「奥行きを有するヘッドライトカバー全面の立体形状を2次元平面に展開することで、このヘッドライトカバー全面を覆って設けられる、トヨタパッソ用のヘッドライトカバー用のフィルムであって、 フィルムを備え、 前記フィルムは、その周縁に連設する切り込み部を有し、 前記切り込み部を2箇所有し、 前記2箇所の切り込み部には、前記フィルムの周縁に向かうに伴い漸次離間する一対の当接辺が形成され、 前記2箇所の切り込み部において、一対の当接辺により形成される外形状が、それぞれ異なり、 一対の当接辺の両辺は、湾曲していて、 前記フィルム本体の表面積と前記ヘッドライトカバーの表面積とが、略同一に構成されている、 トヨタパッソ用のヘッドライトカバー用のフィルム。」 (4)甲34 甲34の記載のうち、(1)の甲52と共通又は類似の記載については、説明を割愛する。 甲34からは次の発明(以下「甲34発明」という。)が認定できる。 「奥行きを有するヘッドライトカバー全面の立体形状を2次元平面に展開することで、このヘッドライトカバー全面を覆って設けられる、ホンダライフ用のヘッドライトカバー用のフィルムであって、 フィルムを備え、 前記一体的なフィルムは、その周縁に連設する切り込み部を有し、 前記切り込み部を3箇所有し、 前記3箇所の切り込み部には、前記一体的なフィルムの周縁に向かうに伴い漸次離間する一対の当接辺が形成され、 前記3箇所の切り込み部において、一対の当接辺により形成される外形状が、それぞれ異なり、 一対の当接辺の両辺は、湾曲していて、 前記フィルム本体の表面積と前記ヘッドライトカバーの表面積とが、略同一に構成されている、 ホンダライフ用のヘッドライトカバー用のフィルム。」 (5)甲41 甲41からは、次の事項(以下「甲41に記載された事項」という。)が認定できる。 「シート本体と別体に構成された補助シートを備え、 前記補助シートは、その周縁が、前記シート本体の周縁に当接可能に構成されていて、 前記補助シートを2つ備えている、 ヘッドライトカバー用のフィルム。」 (6)甲49 ・甲49の1枚目左上には、「UNIGLOBE Paint Protection System ユニグローブペイントプロテクションシステム」と記載されている。 ・甲49の1枚目右上には、次の記載が読み取れる。 「1.高品質なフィルムの独自開発、提供 車両の塗装面という複雑で立体的な部分に的確に施工が可能で、物理的に大きな保護効果を発揮するペイントプロテクションフィルムとはどのような特性を持っているのでしょうか。素材は高透過高分子ポリウレタンで、名称の通り高い透過率(透明度)と、非常に優れた伸縮性を持った素材です。フィルムは約4倍にも伸び、それが元の大きさに戻るだけの力も併せ持っています。「伸びる」「縮む」の二つを併せ持ったフィルムだからこそ複雑なボディ形状にフィットさせることが可能になったのです。」 3 当審の判断 3-1 本件発明1について (1)甲52発明を主引用発明とする新規性、進歩性等の判断 ア 対比 本件発明1と甲52発明とを対比する。 (ア)後者の「フィルム」は前者の「シート」「シート本体」に相当し、同様に、「2箇所」は「複数」に相当する。 (イ)後者の「奥行きを有するヘッドライトカバー全面の立体形状を2次元平面に展開することで、このヘッドライトカバー全面を覆って設けられる、スバルインプレッサスポーツ用のヘッドライトカバー用のフィルム」は、上記(ア)を踏まえると、前者の「奥行きを有するヘッドライトカバー全面の立体形状を2次元平面に展開することで、このヘッドライトカバー全面を覆って設けられるヘッドライトカバー用シート」に相当する。 (ウ)後者の 「フィルムを備え、 前記フィルムは、その周縁に連設する切り込み部を有し、 前記切り込み部を2箇所有し、 前記2箇所の切り込み部には、前記フィルムの周縁に向かうに伴い漸次離間する一対の当接辺が形成され、 前記2箇所の切り込み部において、一対の当接辺により形成される外形状が、それぞれ異な」 る構成は、上記(ア)を踏まえると、前者の 「前記シート本体は、その周縁に連設する切り込み部を有し、 前記切り込み部を複数有し、 前記複数の切り込み部には、前記シート本体の周縁に向かうに伴い漸次離間する一対の当接辺が形成され、 前記複数の切り込み部において、前記一対の当接辺により形成される外形状が、それぞれ異な」 る構成に相当する。 (エ)後者の「前記フィルム本体の表面積と前記ヘッドライトカバーの表面積とが、略同一に構成されている」ことと、前者の「前記シート本体の表面積は、前記シート本体に張力が付与されていない状態で、前記ヘッドライトカバーの表面積と同一に構成されている」こととは、「前記シート本体の表面積は、前記ヘッドライトカバーの表面積と略同一に構成されている」ことにおいて共通する。 そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。 <一致点1> 「奥行きを有するヘッドライトカバー全面の立体形状を2次元平面に展開することで、このヘッドライトカバー全面を覆って設けられるヘッドライトカバー用シートであって、 シート本体を備え、 前記シート本体は、その周縁に連設する切り込み部を有し、 前記切り込み部を複数有し、 前記複数の切り込み部には、前記シート本体の周縁に向かうに伴い漸次離間する一対の当接辺が形成され、 前記複数の切り込み部において、前記一対の当接辺により形成される外形状が、それぞれ異なり、 前記シート本体の表面積は、前記ヘッドライトカバーの表面積と略同一に構成されている、ヘッドライトカバー用シート。」 <相違点1> シート本体の表面積に関して、本件発明では「前記シート本体に張力が付与されていない状態で、前記ヘッドライトカバーの表面積と同一に構成されている」のに対して、甲52発明では、フィルム本体の表面積とヘッドライトカバーの表面積とが略同一に構成されているものの、「前記シート本体に張力が付与されていない状態」で、前記ヘッドライトカバーの表面積と「同一」に構成されている特定を備えていない点。 イ 判断 相違点1について検討する。 相違点1は、実質的な相違点であるので、本件発明1は、甲52発明ではない。 甲52の「アイコンの説明」の欄には「矢印の方向にフィルムを、伸ばします。」と記載されており、この記載によれば、甲52発明のヘッドライトカバー用のフィルムは、フィルムを伸ばしながら施工するものである。つまり、甲52発明のヘッドライトカバー用フィルムは伸ばすことを前提としたものであり、フィルムを伸ばして施工するために、フィルムの表面積は、ヘッドライトカバーの表面積よりも小さいものになっているのが自然である。そして、このように伸ばすことを前提としたフィルムにおいて、その表面積をヘッドライドカバーの表面積と同一にする動機づけは見いだせない。 加えて、UNIGLOBE Paint Protection Systemについて解説した甲49(上記2(6)参照)には「フィルムは約4倍にも伸び、それが元の大きさに戻るだけの力も併せ持っています。「伸びる」「縮む」の二つを併せ持ったフィルムだからこそ複雑なボディ形状にフィットさせることが可能になったのです」と記載されており、上記伸ばしながら施工することは、複雑な表面にフィットさせるためのものであると解されるから、複雑な3次元形状であるヘッドライトカバーに適用するにあたって、表面積を同一にして、フィルムを伸ばす必要をなくすことは、阻害要因があるといえる。 また、他のいずれの証拠にも、上記相違点1に係る本件発明の構成は開示されていない。 そうすると、甲52発明において、上記相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たとはいえない。 したがって、本件発明1は、甲52発明に基いて、当業者が容易に発明することができたものといえない。 (2)甲21発明、甲27発明、又は甲34発明を主引用発明とする新規性、進歩性等の判断 本件発明1と甲21発明とを対比すると、両者の一致点、相違点は、甲52発明について検討した「一致点1」「相違点1」と同じである。甲27発明、甲34発明についても同様である。 そうすると、上記(1)イにて説示したとおりの理由により、本件発明1は、甲21発明、甲27発明、又は甲34発明ではなく、また、甲21発明、甲27発明、又は甲34発明に基いて、当業者が容易に発明することができたものといえない。 (3)本件発明1の小括 本件発明1は、甲52、甲21、甲27、甲34、甲41から把握される公然知られた発明ではなく、公然実施をされた発明でもなく、また、甲52、甲21、甲27、甲34、甲41のいずれかに記載された発明でもない。 また、本件発明1は、甲52、甲21、甲27、甲34、甲41に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。 3-2 本件発明2~5について 本件発明2~5は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに他の発明特定事項を付加したものであるから、本件発明1と同じ理由により、甲52、甲21、甲27、甲34、甲41、甲49に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。 第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 1 甲50を主引用文献とする進歩性(特許法第29条第2項)について 甲50の【0029】、【0085】、【0086】、【0088】、【0089】、図8等には、車両を構成するパーツの形状を示す複数の形状情報を記憶すること、形状情報に基づく切り出し用データを作成すること、形状情報に基づいて切り出し用データを作成すること、切り出し用データに基づいて保護フィルムの切出しを行うこと、が記載されていると認められる。 しかしながら、形状情報に基づいて切り出し用データを作成する際に、「形状情報」と「切り出し用データ」が全く同一の表面積かどうかは、具体的な記載がないので、その点は明らかではない。つまり、相違点1(上記「第4 3 3-1(1)ア」参照)に係る本件発明1の構成は、甲50に記載も示唆もない。 また、他のいずれの証拠にも、上記相違点1に係る本件発明の構成は開示されていない。 したがって、本件発明1は、甲50に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 2 小括 よって、本件発明1~6は、甲50、52、21、27、34、41に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第6 申立人の主張について 1 意見書における申立人の主張 令和5年2月2日付けの意見書において、申立人は以下の主張をしている。 (1)(理由1) ヘッドライトカバーを保護するという各甲号証に係る商品の性質上、フィルムの表面積とヘッドライトカバーの表面積とが実質的に同一であることは、当業者によって自明のことであり、厳密に同一でないとしても、ヘッドライトカバー用シートの表面積とヘッドライトカバーの表面積とを同一にすることは当業者が容易に想起できることである。 3次元曲面形状に薄いシートを張り付ける場合、本件特許の図面に記載されている程度の数の切込み部が設けられているだけでは、何ら張力をかけることなく皺の発生が生じないようにすることが困難であることは技術常識であり、ヘッドライトカバー用シートの表面積とヘッドライトカバーの表面積とを同一にしたことにより、ヘッドライトカバー用シートを施工する際にヘッドライトカバー用シートに何ら張力をかけることなく、迅速かつきれいに張り付けることができるとするならば、そのような効果を生じさせるための構成が特許請求の範囲に欠けていることは明らかであり、そのような構成が記載されていない以上、本件特許発明は各甲号証に基づいて容易に想起できるものである。(意見書2ページ10行目~3ページ19行目) (2)(理由2) 上述のとおり、本件特許の図面に記載されている程度の数の切込み部が設けられているだけでは、何ら張力をかけることなく皺の発生が生じないようにすることが困難であることは技術常識であり、張力を加えることなく迅速にかつきれいにヘッドライトカバー全体を覆うように施工することが可能であるという点で各甲号証に記載されたフィルムと異なるのであるならば、特許法第36条第6項第1号に係るサポート要件又は同36条第4項第1号に係る実施可能要件を満たさないことは明らかである。(意見書3ページ20行目~9ページ5行目) (3)(理由3) 甲50の記載から、ヘッドライトカバーの形状と同一の形状(すなわち、同一の表面積)の保護フィルムを作成することは、優先日前に公知技術であった。(意見書9ページ6行目~10ページ5行目) 2 当審の判断 (1)理由1について 甲52発明等において、フィルムの表面積とヘッドライトカバーの表面積とが全く同一かは不明なこと、また、甲52発明等に基いて、フィルムの表面積とヘッドライトカバーの表面積とを同一にすることが容易に想到し得たものではないことは、上記「第4 3 3-1(1)」にて説示したとおりである。 申立人は、ヘッドライトカバー用シートを施工する際にヘッドライトカバー用シートに何ら張力をかけることなく、迅速かつきれいに張り付けるための構成が特許請求の範囲に欠けている以上、本件特許発明は各甲号証に基づいて容易に想起できるものであると主張するが、進歩性の判断は、特許法第29条第1項各号に掲げる発明に基いて容易に発明をすることができたものであるかを判断するものであって、特許請求の範囲における特定が不足しているという理由で、当該構成が容易であるとするものではない。 したがって、申立人の主張には理由がない。 (2)理由2について 本件特許は、特許明細書等の【0009】~【0010】、【0015】等を参照すると、ヘッドライドカバーの3次元曲面形状に対して皺を伸ばすように引っ張ることで施工が行われる従来のヘッドライトカバー用フィルムでは皺を作らず、綺麗に張り付けることが困難であるという課題に対して、本件発明では、シート本体の周縁に連接する切り込み部を有するものとしたことで解決したことが記載されており、その解決手段は特許請求の範囲に記載されているから、特許法第36条第6項第1号の規定に適合するものといえる。また、本件発明1で特定されるような周縁に連接する切込み部を複数有し、本体シートの表面積がヘッドライトカバーの表面積と同一であるヘッドライトカバー用フィルムを実施できないとする理由もないから、特許法第36条第4項第1号の規定にも適合するといえる。 したがって、申立人の主張には理由がない。 (3)理由3について 相違点1に係る本件発明1の構成が甲50に記載も示唆もないことは、上記「第5」にて説示したとおりである。 したがって、申立人の主張には理由がない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由及び証拠によっては、本件特許の請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、本件特許の請求項6に係る特許についての特許異議の申立ては、本件訂正により請求項6が削除された結果、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項において準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700245

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