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特許異議申立

2023-700517

照明器具

審判番号
2023-700517
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-178327
登録番号
7175146
請求日
2023年05月18日
審決日
2024年06月20日
公報発行日
2024年09月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】三菱電機株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人きさ特許商標事務所
  • 【権利者】三菱電機照明株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人きさ特許商標事務所
  • 【異議申立人】田中 哲也
審判長/審判官
  • 審判長 一ノ瀬 覚
  • 審判官 八木 誠
  • 審判官 横溝 顕範
分類
P1651.113-YAA(F21S) / P1651.121-YAA(F21S) / P1651.537-YAA(F21S) / P1651.851-YAA(F21S) / P1651.853-YAA(F21S)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7175146号発明「照明器具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7175146号の明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~12〕について訂正することを認める。 特許第7175146号の請求項1、2、4~9、11、12に係る特許を維持する。 特許第7175146号の請求項3、10に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7175146号の請求項1~12に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、平成30年9月25日に出願され、令和4年11月10日にその特許権の設定登録がされ、同年11月18日に特許掲載公報が発行された。 本件特許についての異議申立人田中哲也(以下「申立人」という。)による本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和5年 5月18日 申立人による請求項1~12に係る特許に対する特許異議の申立て 同年 8月17日付け 取消理由通知 同年10月19日 特許権者による意見書・訂正請求書の提出 同年12月20日 申立人よる意見書の提出 令和6年 1月29日付け 取消理由通知(決定の予告) 同年 3月27日 特許権者による意見書・訂正請求書の提出 同年 5月13日 申立人よる意見書の提出 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 令和6年3月27日の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下の(1)~(11)(なお、下線は訂正箇所である。)のとおりである。 そして、本件訂正の請求がされたので、令和5年10月19日の訂正請求書による訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「光を発する光源部と、前記光源部と対向し、前記光源部から発せられた光が入射する入光面と、前記入光面で入射した光を出射する発光面とを有するカバーと、を備え、」と記載されているのを、「発光素子によって光を発する光源部と、前記光源部と対向し、前記光源部から発せられた光が入射する入光面と、前記入光面で入射した光を出射する発光面とを有する樹脂製のカバーと、を備え、」に訂正する。 また、特許請求の範囲の請求項1に「前記第二入光部の少なくとも一部は、前記第一入光部と比較して前記発光面と前記入光面との間の距離が異なるように形成されており、前記第二入光部は、直線状に形成された溝である」と記載されているのを、「前記第一入光部は、平面状に形成されており、前記第二入光部の少なくとも一部は、前記第一入光部と比較して前記発光面と前記入光面との間の距離が異なるように形成されており、前記第二入光部は、直線状に形成された溝であり、前記第二入光部の少なくとも一部は、前記入光面と前記発光面との間において、前記第一入光部よりも前記発光面側に位置しており、前記発光面は、前記光源部が前記光を発する状態において、前記第二発光部によって少なくとも二つの前記第一発光部に区切られる」に訂正する。 (請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2、4~9、11、12も同様に訂正する。) (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4に「請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の照明器具」と記載されているのを、「請求項1又は請求項2に記載の照明器具」に訂正する。 (請求項4を直接又は間接的に引用する請求項5~9、11、12も同様に訂正する。) (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項5に「請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の照明器具」と記載されているのを、「請求項1、請求項2、請求項4のいずれか1項に記載の照明器具」に訂正する。 (請求項5を直接又は間接的に引用する請求項6~9、11、12も同様に訂正する。) (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項6に「請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の照明器具」と記載されているのを、「請求項1、請求項2、請求項4、請求項5のいずれか1項に記載の照明器具」に訂正する。 (請求項6を直接又は間接的に引用する請求項8、9、11、12も同様に訂正する。) (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項7に「請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の照明器具」と記載されているのを、「請求項1、請求項2、請求項4、請求項5のいずれか1項に記載の照明器具」に訂正する。 (請求項7を直接又は間接的に引用する請求項8、9、11、12も同様に訂正する。) (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項8に「請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の照明器具」と記載されているのを、「請求項1、請求項2、請求項4~請求項7のいずれか1項に記載の照明器具」に訂正する。 (請求項8を直接又は間接的に引用する請求項9、11、12も同様に訂正する。) (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項9に「請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の照明器具」と記載されているのを、「請求項1、請求項2、請求項4~請求項8のいずれか1項に記載の照明器具」に訂正する。 (請求項9を直接又は間接的に引用する請求項11、12も同様に訂正する。) (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項10を削除する。 (10)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項11に「請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の照明器具」と記載されているのを、「請求項1、請求項2、請求項4~請求項9のいずれか1項に記載の照明器具」に訂正する。 (請求項11を引用する請求項12も同様に訂正する。) (11)訂正事項11 明細書の段落【0006】に「本発明に係る照明器具は、光を発する光源部と、光源部と対向し、光源部から発せられた光が入射する入光面と、入光面で入射した光を出射する発光面とを有するカバーと、を備え、発光面は、光が出射する少なくとも二つの第一発光部と、二つの第一発光部に挟まれた第二発光部と、を有し、入光面は、第一発光部と対向する第一入光部と、第二発光部と対向する第二入光部と、を有し、第二入光部の少なくとも一部は、第一入光部と比較して発光面と入光面との間の距離が異なるように形成されており、第二入光部は、直線状に形成された溝である。」と記載されているのを、「本発明に係る照明器具は、発光素子によって光を発する光源部と、光源部と対向し、光源部から発せられた光が入射する入光面と、入光面で入射した光を出射する発光面とを有する樹脂製のカバーと、を備え、発光面は、光が出射する少なくとも二つの第一発光部と、二つの第一発光部に挟まれた第二発光部と、を有し、入光面は、第一発光部と対向する第一入光部と、第二発光部と対向する第二入光部と、を有し、第一入光部は、平面状に形成されており、第二入光部の少なくとも一部は、第一入光部と比較して発光面と入光面との間の距離が異なるように形成されており、第二入光部は、直線状に形成された溝であり、第二入光部の少なくとも一部は、入光面と発光面との間において、第一入光部よりも発光面側に位置しており、発光面は、光源部が光を発する状態において、第二発光部によって少なくとも二つの第一発光部に区切られるものである。」に訂正する。 (12)一群の請求項 本件訂正前の請求項1~12は、請求項2~12が、請求項1の記載を直接又は間接的に引用する関係にあるから、本件訂正の請求は、一群の請求項〔1~12〕について請求されたものである。また、明細書に係る訂正は、一群の請求項〔1~12〕について請求されたものである。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について 訂正事項1は、訂正前の請求項1の「光を発する光源部」との事項に、「発光素子によって」との限定を付加するものであり、訂正前の請求項1の「カバー」との事項に、「樹脂製の」との限定を付加するものであり、訂正前の請求項1の「第一入光部」との事項について、「前記第一入光部は、平面状に形成されており」との限定を付加するものであり、訂正前の請求項1の「第二入光部」との事項について、「前記第二入光部の少なくとも一部は、前記入光面と前記発光面との間において、前記第一入光部よりも前記発光面側に位置しており、前記発光面は、前記光源部が前記光を発する状態において、前記第二発光部によって少なくとも二つの前記第一発光部 に区切られる」との限定を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項1のうち、上記光源部についての訂正は、願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)の「発光素子210は、電力の供給を受けて発光する。本実施の形態では、発光素子210として、発光ダイオード(Light Emitting Diode;以下、LEDと称す)素子を用いている。・・・また、発光素子210は、LEDの代わりに、例えば、固体レーザ(Solid State Laser)、半導体レーザ(Semiconductor Laser)、有機EL(Electro Luminescence)又は無機EL等が用いられてもよい。」(【0016】)に開示されているのは明らかであり、上記カバーについての訂正は、本件明細書等の「カバー300の材料は、例えば、乳白の樹脂材料でもよく、拡散材が混ぜられた樹脂材料でもよい。」(【0017】)に開示されているのは明らかであり、上記第一入光部についての訂正は、本件明細書等の請求項10に記載されており、上記第二入光部についての訂正は、本件明細書等の請求項3及び「光源部200を発光させると、発光面310が第二発光部312によって複数に区切られる。」(【0027】)に記載されているから、訂正事項1は新規事項を追加するものではない。 また、訂正事項1は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (2)訂正事項2、9について 訂正事項2、9は、それぞれ請求項3、10を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (3)訂正事項3~8、10について 訂正事項3~8、10は、それぞれ、請求項3を削除するのに伴って、引用する請求項から請求項3を削除するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (4)訂正事項11について 訂正事項11は、請求項1の訂正に合わせて明細書を訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 3 小括 以上によれば、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~12〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり本件訂正は認められたから、本件訂正後の本件特許の請求項1、2、4~9、11、12に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1、2、4~9、11、12に記載された事項により特定される、以下のとおりのものであると認められる。 「【請求項1】 発光素子によって光を発する光源部と、 前記光源部と対向し、前記光源部から発せられた光が入射する入光面と、前記入光面で入射した光を出射する発光面とを有する樹脂製のカバーと、 を備え、 前記発光面は、 光が出射する少なくとも二つの第一発光部と、 二つの前記第一発光部に挟まれた第二発光部と、 を有し、 前記入光面は、 前記第一発光部と対向する第一入光部と、 前記第二発光部と対向する第二入光部と、 を有し、 前記第一入光部は、平面状に形成されており、 前記第二入光部の少なくとも一部は、前記第一入光部と比較して前記発光面と前記入光面との間の距離が異なるように形成されており、 前記第二入光部は、直線状に形成された溝であり、 前記第二入光部の少なくとも一部は、 前記入光面と前記発光面との間において、前記第一入光部よりも前記発光面側に位置しており、 前記発光面は、前記光源部が前記光を発する状態において、前記第二発光部によって少なくとも二つの前記第一発光部に区切られるものである照明器具。 【請求項2】 前記カバーは、長尺状に形成されており、 前記第二入光部は、前記カバーの短手方向に延びるように直線状に形成された溝である請求項1に記載の照明器具。 【請求項3】 (削除) 【請求項4】 前記第二入光部の少なくとも一部は、 前記入光面と前記発光面との間において傾斜面を形成している請求項1又は請求項2に記載の照明器具。 【請求項5】 前記第二入光部は、 前記入光面において凹形状に形成された部分である請求項1、請求項2、請求項4のいずれか1項に記載の照明器具。 【請求項6】 前記第二入光部は、 前記カバーにおける断面がV字形状に形成された溝部である請求項1、請求項2、請求項4、請求項5のいずれか1項に記載の照明器具。 【請求項7】 前記第二入光部は、 前記入光面よりも前記発光面に近い位置に、平面状に形成された平面部を有する請求項1、請求項2、請求項4、請求項5のいずれか1項に記載の照明器具。 【請求項8】 前記第二入光部は、 前記カバーの長手方向に複数形成されている請求項1、請求項2、請求項4~請求項7のいずれか1項に記載の照明器具。 【請求項9】 前記第二入光部は、 前記カバーの短手方向に複数形成されている請求項1、請求項2、請求項4~請求項8のいずれか1項に記載の照明器具。 【請求項10】 (削除) 【請求項11】 前記カバーは、 前記第二入光部の長手方向の端部の延長線上に、平面状に形成された補強部を有し、 前記補強部の表面と前記発光面との間の距離は、前記第二入光部の最深部と前記発光面との間の距離よりも大きい請求項1、請求項2、請求項4~請求項9のいずれか1項に記載の照明器具。 【請求項12】 前記補強部は、 前記入光面と面一状に形成されている請求項11に記載の照明器具。」 第4 取消理由の概要 本件訂正前の請求項1~12に係る特許に対して、令和6年1月29日付けで当審が決定の予告として通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 [取消理由] 本件特許の下記請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、この出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 以下、申立人が提出した「甲第○号証」は「甲○」という。 記 [引用文献一覧] 甲2:特開2017-195036号公報 甲3:特開2017-59373号公報 甲4:実願昭62-112641号(実開昭64-18509号)のマイクロフィルム [上記取消理由における請求項と引用文献の関係] ・請求項 1、2、4~9、11、12 ・引用文献 甲4、2、3 第5 取消理由についての判断 1 引用文献の記載事項等 (1)甲4について ア 記載事項 甲4には、図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は当審が付与。以下同様。)。 (ア)明細書3ページ18行~5ページ2行 「本考案は複数の蛍光灯Aが上方に内設された蛍光灯照明器具1の下方が開口した函状体2の下方域の全面を覆う光フィルターであって、巾と長さと適宜な厚みを有する透明板硝子3の下面側の全面に密着させて半透明のシート状物4を形成し、該板硝子3の上面側へは全面又は部分的にサンドブラスト加工等による磨り硝子面5を形成すると共に部分的にエッチング加工等による深堀した図柄、図形、文字等の深堀部6を形成し、該板硝子3を前記函状体2の下方辺へ適宜方法によって水平に固定したものである。 即ち、本考案は大型の建物、例えばビル、ホテル、劇場等のロビー等、又は、比較的広い部屋、大広間等のロビー等に用いられている複数の蛍光灯Aを上方に内設した大型の蛍光灯照明器具1の光源の下方域の全面を覆う光フィルターであり、本考案は前記照明器具1の函状体2内の下方辺へ適宜方法で水平に固定するものであるが、固定方法は公知の方法で良く、例えば前記函状体2の下方辺の内周の多数箇所へ突出させた金具等を設けて、該金具上へ載置し、別体の押え具をビスで確りと固定しても、或いは、桟状の支え具を該函状体2の下端辺へ渡してその上に載置する等の方法によって固定するものであり、その固定方法は容易に落下事故等が起きない手段によって固定するものである。」 (イ)第1図 「 [図:0001414162000001.jpg] 」 (ウ)第2図 「 [図:0001414162000002.jpg] 」 (エ)第3図 「 [図:0001414162000003.jpg] 」 イ 認定事項 (ア)第1、3図の図示内容によれば、板硝子3は、蛍光灯Aと対向し、蛍光灯Aから発せられる光が入射する上面と、上面で入射した光を出射する下面とを有することが認められる。 (イ)上記ア(ア)の下線部の記載、及び、第2、3図の図示内容によれば、蛍光灯照明器具1は、上面には、全面的に設けられた磨り硝子面5と、部分的に設けられた、図柄、図形、文字等である深掘部6とを有し、下面には、磨り硝子面5に対向する部分と、深掘部6に対向する部分とを有し、深掘部6は、磨り硝子面5と比較して上面と下面との間の距離が短くなるよう形成されていることが認められる。 ウ 甲4発明 上記ア及びイを総合すると、甲4には、次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。 「蛍光灯Aと、 蛍光灯Aと対向し、蛍光灯Aから発せられる光が入射する上面と、上面で入射した光を出射する下面とを有する板硝子3とを、 備え、 上面には、 全面的に設けられた磨り硝子面5と、 部分的に設けられた、図柄、図形、文字等である深掘部6とを有し、 下面には、 磨り硝子面5に対向する部分と、 深掘部6に対向する部分とを有し、 深掘部6は、磨り硝子面5と比較して上面と下面との間の距離が短くなるよう形成されている、蛍光灯照明器具1。」 2 対比・判断 (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲4発明とを対比すると、後者の「蛍光灯A」は、その機能や構造からみて、前者の「光を発する光源部」に相当し、以下同様に、「上面」は「入光面」に、「下面」は「発光面」に、「板硝子3」は「カバー」に、「磨り硝子面5」は「第一入光面」に、「深掘部6」は「第二入光部」に、「磨り硝子面5に対向する部分」は「第一発光部」に、「深掘部6に対向する部分」は「第二発光部」に、「蛍光灯照明器具1」は「照明器具」に、それぞれ相当する。 後者の「蛍光灯Aと対向し、蛍光灯Aから発せられる光が入射する上面と、上面で入射した光を出射する下面とを有する板硝子3」は、前者の「前記光源部と対向し、前記光源部から発せられた光が入射する入光面と、前記入光面で入射した光を出射する発光面とを有するカバー」に相当し、後者の「深掘部6は、磨り硝子面5と比較して上面と下面との間の距離が短くなるよう形成されている」ことは、前者の「前記第二入光部の少なくとも一部は、前記第一入光部と比較して前記発光面と前記入光面との間の距離が異なるように形成されて」いることに相当する。 甲4の第2図、第3図を参照すると、後者において、深掘部6は、磨り硝子面5に挟まれているのは明らかであることを勘案すると、後者の「下面には、磨り硝子面5に対向する部分と、深掘部6に対向する部分とを有」することは、前者の「前記発光面は、光が出射する少なくとも二つの第一発光部と、二つの前記第一発光部に挟まれた第二発光部と、を有」することに相当し、後者の「上面には、全面的に設けられた磨り硝子面5と、部分的に設けられた、図柄、図形、文字等である深掘部6とを有」することは、前者の「前記入光面は、前記第一発光部と対向する第一入光部と、前記第二発光部と対向する第二入光部と、を有」することに相当する。 後者の「深掘部6は、磨り硝子面5と比較して上面と下面との間の距離が短くなるよう形成されている」ことは、前者の「前記第二入光部の少なくとも一部は、前記入光面と前記発光面との間において、前記第一入光部よりも前記発光面側に位置する」ことに相当する。 そうすると、本件発明1と甲4発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点1> 「光を発する光源部と、 前記光源部と対向し、前記光源部から発せられた光が入射する入光面と、前記入光面で入射した光を出射する発光面とを有するカバーと、 を備え、 前記発光面は、 光が出射する少なくとも二つの第一発光部と、 二つの前記第一発光部に挟まれた第二発光部と、 を有し、 前記入光面は、 前記第一発光部と対向する第一入光部と、 前記第二発光部と対向する第二入光部と、 を有し、 前記第二入光部の少なくとも一部は、前記第一入光部と比較して前記発光面と前記入光面との間の距離が異なるように形成されており、 前記第二入光部の少なくとも一部は、 前記入光面と前記発光面との間において、前記第一入光部よりも前記発光面側に位置する照明器具。」 <相違点1> 光源部について、本件発明1では、「発光素子によって」光を発するのに対し、甲4発明では、蛍光灯Aによって光を発する点。 <相違点2> カバーについて、本件発明1では、「樹脂製」であるのに対し、甲4発明では、硝子製である点。 <相違点3> 第一入光部について、本件発明1では、「平面状」に形成されているのに対し、甲4発明では、そのような特定はない点。 <相違点4> 第二入光部について、本件発明1では、「直線状に形成された溝であり」、「前記発光面は、前記光源部が前記光を発する状態において、前記第二発光部によって少なくとも二つの前記第一発光部に区切られるものである」のに対し、甲4発明では、図柄、図形、文字等であり、下面は、蛍光灯Aが光を発する状態において、深掘部6に対向する部分によって少なくとも二つの磨り硝子面5に区切られていない点。 イ 相違点についての判断 事案に鑑み、まず相違点4について検討する。 甲4には、下面を、蛍光灯Aが光を発する状態において、深掘部6に対向する部分によって少なくとも二つの磨り硝子面5に区切ることは、記載も示唆も見いだせない。 そして、申立人が提出したいずれの証拠にも、相違点4に係る本件発明1の構成について、記載も示唆も見いだせない。 よって、甲4発明において、相違点4に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 以上により、本件発明1は、相違点1~3を検討するまでもなく、甲4発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものあるとはいえない。 (2)本件発明2、4~9、11、12について 本件発明2、4~9、11、12は、本件発明1の全ての構成を含み、更なる限定を付加したものであるから、上記(1)イで説示したのと同様の理由により、甲4発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものあるとはいえない。 第6 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について 1 特許異議申立理由の内容 申立人は、特許異議申立書において、訂正前の特許請求の範囲の請求項1~12に係る発明(以下、それぞれ、「本件訂正前発明1」~「本件訂正前発明12」という。)について、以下の(1)、(2)を主張する。 [証拠一覧] 甲1:特開2014-11055号公報 甲5:特開2003-297120号公報 (1)特許異議申立理由1(新規性) 本件訂正前発明1、4~6、9は、甲1又は甲2に記載された発明であり、本件訂正前発明3は、甲2に記載された発明であり、本件訂正前発明10は、甲1に記載された発明である。 (2)特許異議申立理由2(進歩性) 本件訂正前発明1、5は、甲1に記載された発明(以下「甲1発明」という。)、甲2に記載された発明(以下「甲2発明」という。)、甲3に記載された発明(以下「甲3発明」という。)及び甲4に記載された事項、又は、甲3発明及び甲5に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、 本件訂正前発明2は、甲1発明及び甲3に記載された事項、又は、甲2発明及び甲3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、 本件訂正前発明3は、甲2発明、甲1発明及び甲4に記載された事項、又は、甲1発明及び甲5に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、 本件訂正前発明4は、甲1発明、甲2発明、又は、甲3発明及び甲4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、 本件訂正前発明6、9は、甲1発明又は甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、 本件訂正前発明7は、甲1発明及び甲4に記載された事項、甲1発明及び甲5に記載された事項、甲2発明及び甲4に記載された事項、甲2発明及び甲5に記載された事項、甲3発明及び甲4に記載された事項、又は、甲3発明及び甲5に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、 本件訂正前発明8は、甲1発明及び甲3に記載された事項、甲2発明及び甲3に記載された事項、甲3発明及び甲4に記載された事項、又は、甲3発明及び甲5に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、 本件訂正前発明10は、甲1発明、甲2発明及び甲4に記載された事項、又は、甲2発明及び甲5に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、 本件訂正前発明11、12は、甲1発明及び甲5に記載された事項、又は、甲2発明及び甲5に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)特許異議申立理由3(サポート要件) 本件訂正前発明1~12は、本件明細書等の発明の詳細な説明に記載されたものであるとはいえない。 2 特許異議申立理由についての判断 (1)特許異議申立理由1(新規性)について ア 本件発明1について 上記「第5 2(1)イ」で説示したように、本件発明1と甲1、2発明とには、少なくとも相違点4と実質的に同じ相違点があることから、本件発明1は、甲1発明、甲2発明のいずれでもない。 イ 本件発明2、4~9、11、12について 本件発明2、4~9、11、12は、本件発明1の全ての構成を含み、更なる限定を付加したものであるから、甲1発明、甲2発明のいずれでもない。 ウ 小括 以上によれば、特許異議申立理由1は成り立たない。 (2)特許異議申立理由2(進歩性)について ア 本件発明1について 上記「第5 2(1)イ」で説示したように、申立人が提出したいずれの証拠にも、相違点4に係る本件発明1の構成について、記載も示唆も見いだせないから、本件発明1と甲1~3発明とには、少なくとも相違点4と実質的に同じ相違点があり、甲1~3発明において、相違点4に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 したがって、本件発明1は、甲1発明、甲2発明又は甲3発明及び甲4、5に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 イ 本件発明2、4~9、11、12について 本件発明2、4~9、11、12は、本件発明1の全ての構成を含み、更なる限定を付加したものであるから、上記アで説示したのと同様の理由により、甲1発明、甲2発明又は甲3発明及び甲4、5に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ウ 小括 以上によれば、特許異議申立理由2も成り立たない。 (3)特許異議申立理由3(サポート要件)について ア 申立人の主張 申立人は、特許異議申立書(63ページ)において、本件明細書等には、「簡単な構成でデザインの表示ができるカバーを有する照明器具を提供する」(【0005】)と課題が記載されており、本件訂正前発明1では、カバーの入光面に形成された、直線状の溝である第二入光部によってデザインを表示するものと解されるところ、カバーの入光面は、照明器具の外観に直接現れない部分であり、そのような部分に形成された直線状の溝によって「デザインの表示」をどのように行うかについて開示されておらず、本件訂正前発明1は、発明の詳細な説明の記載により当業者が上記課題を解決できると認識できる範囲のものであるとはいえないから、発明の詳細な説明に記載されたものではない旨主張する。 イ 申立人の主張についての判断 本件発明1には、「前記第二入光部の少なくとも一部は、前記第一入光部と比較して前記発光面と前記入光面との間の距離が異なるように形成されており」との構成を有するところ、本件明細書等の発明の詳細な説明には、「・・・本発明の照明器具は、第二入光部の少なくとも一部が、第一入光部と比較して発光面と入光面との間の距離が異なるという簡単な構成によって、発光面から照射される光の明るさを異ならせることができ、異なる光の明るさによってカバーにデザインを表示させることができる。」(【0007】)と記載されており、本件発明1の上記構成によって、上記課題を解決できることは当業者であれば明らかであるから、本件発明1は、発明の詳細な説明の記載により当業者が上記課題を解決できると認識できる範囲のものであり、発明の詳細な説明に記載されたものであると認められる。 したがって、申立人の上記主張は、前提において根拠を欠くものであるから採用できない。 ウ 小括 以上によれば、特許異議申立理由3も成り立たない。 第7 むすび 以上のとおり、請求項1、2、4~9、11、12に係る発明は、取消理由通知書に記載した取消理由並びに特許異議申立書に記載された特許異議申立理由及びその証拠によって取り消すことはできない。さらに、他に請求項1、2、4~9、11、12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、請求項3、10は、本件訂正により削除されたため、申立人による特許異議の申立てにおける請求項3、10に係る特許についての申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったので、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700517

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