特許異議申立
2024-700450
照明器具
- 審判番号
- 2024-700450
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-146083
- 登録番号
- 7378240
- 請求日
- 2024年05月13日
- 審決日
- 2026年04月14日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】三菱電機株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
- 【権利者】三菱電機照明株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
- 【異議申立人】橋立 優
- 審判長/審判官
- 審判長 倉橋 紀夫
- 審判官 草野 顕子
- 審判官 高橋 学
- 分類
- P1651.113-YAA(F21V) / P1651.121-YAA(F21V) / P1651.537-YAA(F21V)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第6項、特許法第126条第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7378240号発明「照明器具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7378240号の明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕、4~7について訂正することを認める。
特許第7378240号の請求項1~3、5~7に係る特許を維持する。
特許第7378240号の請求項4に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7378240号(以下「本件特許」という。)の請求項1~7に係る特許についての出願は、令和元年8月8日に出願され、令和5年11月2日にその特許権の設定登録がなされ、同年11月13日に特許掲載公報が発行された。
その後、特許異議申立人橋立優(以下「申立人」という。)による特許異議の申立てがされた。
本件特許についての申立人による本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和6年 5月13日 :特許異議の申立て(全請求項)
同年 9月 5日付け:取消理由通知書
同年10月30日 :特許権者による訂正請求書・意見書の提出
同年11月27日 :特許権者による手続補正書(方式)の提出
令和7年 1月17日 :申立人による意見書の提出
同年 3月25日付け:取消理由通知書(決定の予告)
同年 5月27日 :特許権者による訂正請求書・意見書の提出
同年 7月 9日 :申立人による意見書の提出
同年10月23日付け:取消理由通知書(決定の予告)
同年12月23日 :特許権者による訂正請求書・意見書の提出
令和8年 1月27日付け:訂正拒絶理由通知書
同年 2月24日 :手続補正書・意見書の提出
なお、令和6年11月27日提出の手続補正書(方式)により補正された令和6年10月30日提出の訂正請求書による訂正の請求、及び令和7年5月27日提出の訂正請求書による訂正の請求は、令和8年2月24日提出の手続補正書により補正された令和7年12月23日提出の訂正請求書による訂正の請求がされたので、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。
第2 本件訂正の適否
1 令和7年12月23日提出の訂正請求書(以下「本件訂正請求書」という。)による訂正の内容
本件訂正請求書による訂正(以下「本件訂正(1)」という。)の内容は以下のとおりである(下線部は訂正箇所を示す。以下同様。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「光源部と、
前記光源部を固定したベース部と、
前記ベース部の縁に配置された補強部と
を備え、
前記補強部は、前記ベース部を間に配置した上板と下板とを有し、
前記上板と前記ベース部と前記下板とは、固定具がはめ込まれる穴を有する照明器具。」
と記載されているのを、
「光源部と、
ヒートシンクのベース部であって、前記光源部を固定した矩形状のベース部と、
前記ベース部の縁に取り付けられ、前記ベース部の変形を抑制する補強部と
を備え、
前記補強部は、前記ベース部の前記縁を間に配置した上板と下板とを有し、
前記補強部は、前記ベース部の側辺に沿って延びるように形成され、
前記上板と前記ベース部の前記縁と前記下板とは、固定具がはめ込まれる穴を有するともに、前記穴にはめ込まれる前記固定具によって固定されている照明器具。」
に訂正する(請求項1の記載を引用する従属請求項2、3も同様に訂正する。)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項4に
「光源部と、
前記光源部を固定したベース部と、
前記ベース部の縁に配置された補強部と
を備え、
前記補強部は、断面が略Lの字状の部品であり、前記ベース部の縁と端面とを覆っている照明器具。」と記載されているのを
「光源部と、
ヒートシンクのベース部であって、前記光源部を固定した矩形状のベース部と、
前記ベース部の縁に取り付けられ、前記ベース部の変形を抑制する補強部と
を備え、
前記補強部は、断面が略Lの字状の部品であり、前記ベース部の縁と端面とを覆っており、
前記補強部は、前記ベース部の側辺に沿って延びるように形成されており、
前記ベース部は、前記光源部を固定しており縁が前記ベース部の前記縁となる光源固定部と、前記光源固定部の端部から折り曲げられて前記ベース部の前記端面となる曲げ部とを有し、
前記補強部は、前記光源固定部の前記縁と、前記曲げ部とを覆っている照明器具。」
に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項5に
「光源部と、
前記光源部を下面に固定したベース部と、
前記ベース部の縁に配置された補強部とを備え、
前記補強部は、前記ベース部の端部で前記ベース部の前記下面の方向に折り曲げられた曲げ部である照明器具。」
と記載されているのを
「光源部と、
ヒートシンクのベース部であって、前記光源部を下面に固定したベース部と、
前記光源部を覆うように前記ベース部に取り付けられ、周囲にカバー鍔部を有するカバーと、
前記ベース部の縁に配置され、前記ベース部の変形を抑制する補強部と
を備え、
前記補強部は、前記ベース部の端部で前記ベース部の前記下面の方向に折り曲げられた曲げ部であり、
前記曲げ部の高さは、前記カバー鍔部の厚さ以下である照明器具。」
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項6に、
「光源部と、
前記光源部を固定したベース部と、
前記ベース部の縁に配置された補強部と
を備え、
前記補強部は、前記ベース部を間に配置した上板と背板と下板とを有し、
前記上板と前記下板とは、中央が前記背板に向かってへこんでいるへこみ部を有する照明器具。」
と記載されているのを、
「光源部と、
ヒートシンクのベース部であって、前記光源部を固定した矩形状のベース部と、
前記ベース部の縁に取り付けられ、前記ベース部の変形を抑制する補強部と
を備え、
前記補強部は、前記ベース部の前記縁を間に配置した上板と背板と下板とを有し、
前記補強部は、前記ベース部の側辺に沿って延びるように形成され、
前記上板と前記下板とは、中央が前記背板に向かってへこんでいるへこみ部を有する照明器具。」
に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項7に
「光源部と、
前記光源部を固定したベース部と、
前記ベース部の縁に配置された補強部と
を備え、
前記補強部は、前記ベース部を間に配置した上板と下板とを有し、
前記上板と前記下板とは、前記ベース部を挿し込みやすくするための傾斜部を有する照明器具。」
と記載されているのを、
「光源部と、
ヒートシンクのベース部であって、前記光源部を固定した矩形状のベース部と、
前記ベース部の縁に取り付けられ、前記ベース部の変形を抑制する補強部と
を備え、
前記補強部は、前記ベース部の前記縁を間に配置した上板と下板とを有し、
前記補強部は、前記ベース部の側辺に沿って延びるように形成され、
前記上板と前記下板とは、前記ベース部の前記縁を挿し込みやすくするための傾斜部を有する照明器具。」
(6)訂正事項6
明細書の【0005】に「本発明は、板金で構成されたヒートシンクの変形を防止する。」と記載されているのを、
「本発明は、ヒートシンクのベース部の変形を抑制して、板金で構成されたヒートシンクの変形を防止する。」に訂正する。
(7)訂正事項7
ア 明細書の【0121】に「光源固定部1112の外側端部から下方に向けて」とあるのを
「光源固定部1112の外側端部から上方に向けて」に訂正する。
イ 明細書の【0122】に「光源固定部1112の端部から90度下方に」とあるのを
「光源固定部1112の端部から90度上方に」に訂正する。
ウ 明細書の【0123】に「光源固定部1112の端部から90度超180度以下のいずれかの角度で、下方に向けて」とあるのを
「光源固定部1112の端部から90度超180度以下のいずれかの角度で、上方に向けて」
に訂正する。
(8)一群の請求項について
本件訂正前の請求項1~3について、請求項2及び3は請求項1を引用するものであって、訂正事項1によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、本件訂正前の請求項1~3に対応する本件訂正後の請求項1~3は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項を構成する。
また、本件訂正前の請求項4~7は、それぞれ、独立形式の請求項であるから、本件訂正前の請求項4~7に対応する訂正後の請求項4~7のそれぞれは、別の一群の請求項である。
そして、明細書の訂正に係る訂正事項6は、本件訂正前の請求項1に係る発明の解決しようとする課題が記載された段落【0005】を訂正するものであり、本件訂正前の請求項2及び3は、請求項1を引用するものであるから、当該明細書の訂正に係る請求項1を含む一群の請求項の全てについて訂正するものである。
また、訂正事項7は、誤記を訂正するものであって、訂正後のいずれの請求項に記載の発明の認定においても考慮する必要がないものである。
2 訂正拒絶理由の概要
令和8年1月27日付け訂正拒絶理由通知の概要は、以下のとおりである。
本件訂正(1)における訂正事項2に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合しないものである。
よって、請求項4についてする本件訂正は認められない。
3 令和8年2月24日提出の手続補正書による手続補正について
訂正請求書の補正は、その要旨を変更するものであってはならない(特許法第120条の5第9項で準用する同法第131条の2第1項)。
そして、訂正拒絶理由通知に対しては、訂正事項の削除、軽微な瑕疵の補正等、訂正請求書の要旨を変更しないものであれば補正することができる。しかし、新たな訂正事項を加えることや、訂正事項を変更することは、訂正の要旨を変更するものである(審判便覧67―05.3の4.(3)イ参照)。
そこで、令和8年2月24日提出の手続補正書(以下「本件手続補正書」という。)による手続補正(以下「本件補正」という。)が、訂正請求書の要旨を変更しないものであるか否かについて検討するに、本件補正は、本件訂正請求書の訂正事項2に関して(本件訂正請求書第3ページ9行~第4ページ1行、第10ページ7行~12ページ21行、及び本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲)、本件手続補正書に添付した訂正請求書及び訂正特許請求の範囲のとおり手続補正するものであるところ、その内容は、訂正事項2について「特許請求の範囲の請求項4を削除する。」と補正するものである。
そして、このような本件補正は、審理の対象がなくなるだけであると解されるものであり、審理対象の拡張変更を伴わないため、訂正請求書の請求の要旨を変更するものではないと認められる(審判便覧54-05.1の2.(1)参照)。
以上から、本件補正は、訂正請求書の要旨を変更しないものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第131条の2第1項の規定に適合するので、これを認める。
4 訂正についての当審の判断
(1)訂正の内容について
前記3のとおり、本件補正は認められるので、本件補正後の本件訂正請求書による訂正(以下「本件訂正(2)」という。)の内容は、以下のとおりである。
ア 訂正事項1
前記1(1)に示すとおり。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項4を削除する。
ウ 訂正事項3~7
前記1(3)~(7)に示すとおり。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正事項1について
(ア)訂正の目的
訂正事項1のうち、本件訂正(2)前の請求項1における「前記光源部を固定したベース部」との記載を、「ヒートシンクのベース部であって、前記光源部を固定した矩形状のベース部」とする訂正(以下「訂正事項1-1」という。)は、「ベース部」が「ヒートシンクのベース部」であり、「矩形状」であることを特定するものである。
また、訂正事項1のうち、本件訂正(2)前の請求項1における「前記ベース部の縁に配置された補強部」との記載を、「前記ベース部の縁に取り付けられ、前記ベース部の変形を抑制する補強部」とする訂正(以下「訂正事項1-2」という。)は、「補強部」が「前記ベース部の縁に取り付けられ、前記ベース部の変形を抑制する」ことを特定するものである。
そして、本件訂正(2)前の請求項1における「前記補強部は、前記ベース部を間に配置した上板と下板とを有し」との記載を、「前記補強部は、前記ベース部の前記縁を間に配置した上板と下板とを有し」とする訂正(以下「訂正事項1-3」という。)は、「補強部」の「上板と下板」の「間に配置」されるものが「ベース部の縁」であることを特定するものである。
更に、訂正事項1のうち、「前記補強部は、前記ベース部の側辺に沿って延びるように形成され、」との事項を追加する訂正(以下「訂正事項1-4」という。)は、「補強部」が「前記ベース部の側辺に沿って延びるように形成され」ることを特定するものである。
また、訂正事項1のうち、本件訂正(2)前の請求項1の「前記上板と前記ベース部と前記下板とは、固定具がはめ込まれる穴を有する」との記載を「前記上板と前記ベース部の前記縁と前記下板とは、固定具がはめ込まれる穴を有するともに、前記穴にはめ込まれる前記固定具によって固定されている」とする訂正(以下「訂正事項1-5」という。)は、「前記上板と前記ベース部と前記下板」が「前記穴にはめ込まれる前記固定具によって固定されている」ことを特定し、かつ、「前記ベース部」が有する「固定具がはめ込まれる穴」の位置を「前記縁」であることを特定するものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無
訂正事項1-1は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)の段落【0014】及び図4等の記載に基づくものである。
また、訂正事項1-2は、本件明細書等の段落【0035】、【0103】、及び【0107】等の記載に基づくものである。
そして、訂正事項1-3は、本件明細書等の段落【0107】、並びに図4及び7等の記載に基づくものである。
更に、訂正事項1-4は、本件明細書等の段落【0022】、【0111】、及び図4等の記載に基づくものである。
また、訂正事項1-5は、本件明細書等の段落【0035】、【0092】、【0099】、【0108】、及び図7等の記載に基づくものである。
したがって、訂正事項1は、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
イ 訂正事項2について
(ア)訂正の目的
訂正事項2は、請求項4を削除するというものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無
訂正事項2は、本件訂正前の請求項4を削除するというものであるから、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮を行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 訂正事項3について
(ア)訂正の目的
訂正事項3のうち、本件訂正(2)前の請求項5の「前記光源部を下面に固定したベース部」との記載を「ヒートシンクのベース部であって、前記光源部を下面に固定したベース部」とする訂正は、「ベース部」が「ヒートシンクのベース部であ」ることを特定するものである。
また、訂正事項3のうち、「前記光源部を覆うように前記ベース部に取り付けられ、周囲に力バー鍔部を有するカバ―と、」との事項を追加する訂正は、本件訂正(2)前の請求項5における「照明器具」が「カバー」を「備え」ることを特定するものである。
そして、訂正事項3のうち、本件訂正(2)前の請求項5の「前記ベース部の縁に配置された補強部」との記載を「前記ベース部の縁に配置され、前記ベース部の変形を抑制する補強部」とする訂正は、「補強部」が「ベース部の変形を抑制する」ことを特定するのである。
更に、訂正事項3のうち、「前記曲げ部の高さは、前記カバー鍔部の厚さ以下である」との事項の追加は、本件訂正(2)前の請求項5における「曲げ部」の高さを特定するものである。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無
訂正事項3は、本件明細書等の前記ア(イ)で参照した箇所のほか、段落【0024】、及び【0207】等の記載に基づくものであるので、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
エ 訂正事項4について
(ア)訂正の目的
訂正事項4は、本件訂正(2)前の請求項6に対して訂正事項1-1~1-4と同じ内容の訂正を行うものである。
したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無
訂正事項4は、訂正事項1-1~1-4と同じ内容の訂正であるので、前記ア(イ)で述べたように、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。
したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項4は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
オ 訂正事項5について
(ア)訂正の目的
訂正事項5のうち、本件訂正(2)前の請求項7に対して行う訂正事項1-1~1-4と同じ内容の訂正は、前記ア(ア)で述べたように、本件訂正前の請求項7における「ベース部」及び「補強部」の構成を更に特定するものである。
そして、訂正事項5のうち、本件訂正(2)前の請求項7の「前記ベース部を挿し込みやすくするための傾斜部を有する」との記載を「前記ベース部の前記縁を挿し込みやすくするための傾斜部」とする訂正は、「ベース部の前記縁」が「傾斜部」に「挿し込」まれることを特定するものである。
したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無
訂正事項5のうち、訂正事項1-1~1-4と同じ内容の訂正については、前記ア(イ)で述べたとおりであり、また、訂正事項5のうち、「前記ベース部の前記縁を挿し込みやすくするための傾斜部」については、本件明細書等の段落【0111】及び図7等に基づくものであるので、訂正事項5は、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。
したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項5は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
カ 訂正事項6について
(ア)訂正の目的
訂正事項1及び3~5により、特許請求の範囲の請求項1~3及び5~7には、ベース部について「ヒートシンクのベース部であ」ること及び「変形を抑制する」ことが追加された。
一方、本件訂正(2)前の本件明細書等の段落【0005】には「本発明は、板金で構成されたヒートシンクの変形を防止する。」とのみ記載されていたところ、訂正事項6は、本件明細書等の段落【0005】の記載を「本発明は、ヒートシンクのベース部の変形を抑制して、板金で構成されたヒートシンクの変形を防止する。」と訂正して、本件訂正後の特許請求の範囲の記載と整合させるものである。
したがって、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無
訂正事項6は、本件明細書等の段落【0035】、【0103】、及び【0107】等の記載に基づくものであるので、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。
したがって、訂正事項6は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項6は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、そのカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
キ 訂正事項7について
(ア)訂正の目的
本件明細書等の段落【0120】の記載から、段落【0120】~【0123】の記載が図17の記載と対応するものであると認められるところ、本件訂正(2)前の段落【0121】~【0123】の記載では、「曲げ部1111」の「曲げられ」る方向が「下方」と記載されており、図17における「曲げ部1111」が「曲げられ」る方向が上方であることと異なる記載となっていた。
したがって、訂正事項7は、段落【0121】~【0123】の記載において「下方」とされていた「曲げ部1111」の「曲げられ」る方向を図17に示される「曲げ部1111」の「曲げられ」る方向である上方に正すものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無
本件特許の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件当初明細書等」という。)の図17には、「曲げ部1111」が「曲げられ」る方向が上方であることが示されており、訂正事項7は、本件当初明細書等の図17の記載に基づくものであると認められる。
そうすると、訂正事項7は本件当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項7は、誤記の訂正を目的とするものであり、そのカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項7は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(3)一群の請求項について
本件訂正前の請求項1~3について、請求項2及び3は請求項1を引用するものであって、訂正事項1によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、本件訂正前の請求項1~3に対応する本件訂正後の請求項1~3は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項を構成する。
また、本件訂正前の請求項4~7は、それぞれ、独立形式の請求項であるから、本件訂正前の請求項4~7に対応する訂正後の請求項4~7のそれぞれは、別の一群の請求項である。
また、明細書の訂正に係る訂正事項6は、本件訂正前の請求項1に係る発明の解決しようとする課題が記載された段落【0005】を訂正するものであり、本件訂正前の請求項2及び3は、請求項1を引用するものであるから、当該明細書の訂正に係る請求項1を含む一群の請求項の全てについて訂正するものである。
また、訂正事項7は、誤記を訂正するものであって、訂正後のいずれの請求項に記載の発明の認定においても考慮する必要がないものである。
5 小括
以上のとおり、訂正事項1~7に係る本件訂正(2)は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号~第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。さらに、訂正事項1に係る本件訂正(2)は、特許法第120条の5第4項の規定に適合し、訂正事項6に係る本件訂正(2)は、同条第9項で準用する同法第126条第4項の規定に適合する。
したがって、明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕、4~7について訂正することを認める。
なお、本件訂正(2)は、令和7年10月23日付け取消理由通知(決定の予告)後において提出された、本件補正後の本件訂正請求書によるものであるところ、本件訂正(2)における訂正事項2(請求項4の削除)及び7(本件特許の明細書中の誤記の訂正)以外の訂正事項1及び3~6は、令和7年5月27日提出の訂正請求書における訂正事項1及び3~6と同じ内容の訂正である。
そうすると、本件訂正(2)後の特許請求の範囲については、既に令和7年7月9日提出の申立人の意見書によって、申立人は、意見の提出の機会が与えられており、また、本件訂正(2)によって相当程度減縮され、既に提出された全ての証拠や意見等を踏まえて更に審理を進めたとしても前記結論のとおり合議体が判断できるものであるので、特許法第120条の5第5項のただし書きで規定する「特許異議申立人に意見書を提出する機会を与える必要がないと認められる特別の事情」があるものといえる(審判便覧67-05.5の4.(1)参照)。
したがって、当審においては、令和7年10月23日付け取消理由通知(決定の予告)後において、申立人に対して意見書の提出の機会を与えなかった。
第3 本件発明
前記第2で説示したように本件訂正(2)は認められるから本件訂正(2)後の請求項1~7に係る発明(以下、「本件発明1」などという。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
光源部と、
ヒートシンクのベース部であって、前記光源部を固定した矩形状のベース部と、
前記ベース部の縁に取り付けられ、前記ベース部の変形を抑制する補強部と
を備え、
前記補強部は、前記ベース部の前記縁を間に配置した上板と下板とを有し、
前記補強部は、前記ベース部の側辺に沿って延びるように形成され、
前記上板と前記ベース部の前記縁と前記下板とは、固定具がはめ込まれる穴を有するともに、前記穴にはめ込まれる前記固定具によって固定されている照明器具。
【請求項2】
前記ベース部に固定され前記光源部を覆うカバー部を備え、
前記補強部は、断面が略コの字状の部品であり、前記ベース部と前記カバー部とを挟み込んでいる請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記カバー部は、カバーとカバーパッキンとを備え、
前記補強部は、前記ベース部と前記カバーパッキンと前記カバーとを挟み込んでいる請求項2に記載の照明器具。
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
光源部と、
ヒートシンクのベース部であって、前記光源部を下面に固定したベース部と、
前記光源部を覆うように前記ベース部に取り付けられ、周囲にカバー鍔部を有するカバーと、
前記ベース部の縁に配置され、前記ベース部の変形を抑制する補強部と
を備え、
前記補強部は、前記ベース部の端部で前記ベース部の前記下面の方向に折り曲げられた曲げ部であり、
前記曲げ部の高さは、前記カバー鍔部の厚さ以下である照明器具。
【請求項6】
光源部と、
ヒートシンクのベース部であって、前記光源部を固定した矩形状のベース部と、
前記ベース部の縁に取り付けられ、前記ベース部の変形を抑制する補強部と
を備え、
前記補強部は、前記ベース部の前記縁を間に配置した上板と背板と下板とを有し、
前記補強部は、前記ベース部の側辺に沿って延びるように形成され、
前記上板と前記下板とは、中央が前記背板に向かってへこんでいるへこみ部を有する照明器具。
【請求項7】
光源部と、
ヒートシンクのベース部であって、前記光源部を固定した矩形状のベース部と、
前記ベース部の縁に取り付けられ、前記ベース部の変形を抑制する補強部と
を備え、
前記補強部は、前記ベース部の前記縁を間に配置した上板と下板とを有し、
前記補強部は、前記ベース部の側辺に沿って延びるように形成され、
前記上板と前記下板とは、前記ベース部の前記縁を挿し込みやすくするための傾斜部を有する照明器具。」
第4 取消理由通知(決定の予告)の概要
本件訂正(2)前の請求項1~7に係る特許に対して、当審において特許権者に通知した令和7年10月23日付け取消理由通知(決定の予告)における取消理由の概要は、以下のとおりである。
理由:(進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
記
<甲号証一覧>
甲第1号証:特開2018-147561号公報
以下、甲第○号証を甲○という。
<請求項と引用文献の関係>
・請求項 4
引用文献 甲1
第5 当審の判断
1 取消理由(進歩性)について
本件訂正(2)により、請求項4は、削除されたため、令和7年10月23日付け取消理由通知(決定の予告)における取消理由の対象となった本件発明4は、存在しないものとなった。
第6 令和7年10月23日付け取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
申立人は、特許異議申立書等において、前記第4の甲号証一覧で示した証拠(甲1)以外に、次の証拠を提出し、以下の特許異議申立理由(以下「申立理由」という。)を主張している。
甲2 :特開2018-77956号公報
甲3 :特開2016-103392号公報
甲4 :特開2017-50188号公報
参考資料1:特開2018-133261号公報(令和7年1月17日提出の意見書及び令和7年7月9日提出の意見書に添付)
参考資料2:特開2018-195499号公報(令和7年1月17日提出の意見書及び令和7年7月9日提出の意見書に添付)
1 申立理由の概要
(1)本件発明1、2、及び4は、甲1発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1、2、及び4に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(2)本件発明1は、甲2発明及び甲1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(3)本件発明3は、甲1発明及び甲1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(4)本件発明5は、甲3発明及び甲1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(5)本件発明6は、甲1発明及び甲4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(6)本件発明7は、甲1発明及び甲1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(7)本件特許は、特許請求の範囲の請求項1~7の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
2 申立理由についての検討
(1)甲号証
ア 甲1について
(ア)認定事項
甲1の実施の形態4に関する記載(特に、段落【0143】、【0145】、【0164】、並びに図41(a)及び42)から、甲1には、以下の事項が認められる。
a 図42から、クリップ950は受熱体260の縁に配置される。
b 段落【0164】に記載された「クリップ950で、カバー110の縁部981と受熱体260と受熱板部582とを挟み込む。」について、図42を参照すれば、クリップ950は、クリップ950の一方の押え板951と他方の押え板952の間に、カバー110と受熱体260を挟み込むものである。
c 段落【0145】に記載された「クリップ950は、カバー110の縁部981と受熱体260と受熱板部582とを挟み込み、ネジ115でネジ止めされる。」との事項に関し、【0143】及び【0145】の記載及び図41(a)から、一方の押え板951のボス孔959及び他方の押え板952のネジ孔、受熱体260を貫通するネジ孔との関係は、ネジ115が、他方の押え板952のネジ孔及び受熱体260を貫通するネジ孔に挿通されるとともに、ネジボス992にネジ切り加工することにより形成されたネジ孔に固定され、ネジボス992が一方の押え板951のボス孔959に挿入される。
(イ)甲1発明
前記(ア)及び甲1の段落【0032】、【0033】、【0037】、【0127】、【0143】、【0145】、及び【0164】、並びに図41(a)及び42から、甲1には、以下の発明(「甲1発明」という。)が記載されていると認められる(括弧内は主な参照箇所を示す。以下同様。)
「光源素子140を搭載した光源基板150と(【0127】)、
前記光源基板150が固定される円盤形状をした金属板である受熱体260と(【0033】、【0164】)、
前記受熱体260と、前記受熱体260に固定された複数の放熱片270と放熱片275と、前記受熱体260と接続部300とに固定された複数のアーム580とを有する放熱部200と(【0032】)、
前記受熱体260の縁に配置されたクリップ950と(前記(ア)a)、を備え、
前記クリップ950は、断面がコ字状をしており、背板953と一方の押え板951と他方の押え板952を有し(【0143】)、前記一方の押え板951と前記他方の押え板952の間に、カバー110と前記受熱体260を挟み込み(前記(ア)b)、前記カバー110は、光源基板150全体を覆っており(【0127】)、
ネジ115が、前記他方の押え板952のネジ孔及び前記受熱体260を貫通するネジ孔に挿通されるとともに、ネジボス992にネジ切り加工することにより形成されたネジ孔に固定され、前記ネジボス992が前記一方の押え板951のボス孔959に挿入され(前記(ア)c)、
前記一方の押え板951は先端にテーパ部958を有し(【0143】)、前記テーパ部958を前記アーム580の前記受熱体260に固定される受熱板部582の端部に引っかけて、2枚の押え板の間隔を広くし、前記クリップ950を中心軸にむけて押し込む(【0037】、【0164】)、照明装置1000。」
(ウ)甲1記載事項
また、甲1の段落【0021】、【0055】、【0201】、及び図14の記載から、甲1には、以下の各事項(以下「甲1記載事項1」などという。)が記載されていると認められる。
[甲1記載事項1]
「カバー110の縁部111にパッキン113が被せられ、ネジ115を締め付けることにより、カバー110の縁部111とパッキン113が受熱体260に固定されること。」
[甲1記載事項2]
「照明装置1000の平面視の外形形状を四角形としてもよいこと。」
イ 甲2について
(ア)認定事項
甲2の段落【0018】、【0019】、【0029】、【0033】、【0036】、【0039】、【0043】、【0046】、【0050】、及び【0053】から、甲2には、以下の事項が示されていると認められる。
a 段落【0018】から、照明器具は、光源ユニット1と、放熱部材3と、保持部材4とを備える。
b 段落【0033】及び【0036】から、保持部材4は、天板40と、底板41と、天板40及び底板41を支持する支持部42とを有し、底板41は、略矩形板状に形成された平板部413と、平板部413の周縁から天板40に向かって突出する突起片414とを有する。
c 段落【0019】から、光源ユニット1は、LEDモジュールと、カバー10と、パッキン11とを有し、LEDモジュールは、底板41に固定される。
d 段落【0029】から、放熱部材3は、複数の放熱板30から構成され、複数の放熱板30は、底板41に固定される。
e 段落【0039】、【0043】、及び【0046】から、支持部42は、一対の側板420と、一対の連結板421とを有する。
f 段落【0043】及び【0046】から、側板420は、側板本体4200と、突出片4204とを有し、突出片4204は、側板本体4200の下端から光源ユニット1に近づく向きに突出するように設けられ、前後方向に延びる帯板状に形成され、側板本体4200は、かしめ片70を有する。
g 段落【0050】及び【0053】から、連結板421は、本体片4210と、突出片4211と、かしめ用突片4212とを有し、突出片4211は、本体片4210の下端から内向きに突出するように設けられ、左右方向に延びる帯板状に形成される。
h 段落【0046】から、カバー10のフランジ部102、パッキン11及び底板41が、この順番で突出片4204に載せ置かれ、かしめ片70は、底板41の突起片414の上端に対して上方から覆うように、塑性変形され、底板41は、かしめ片70及び突起片414によって、側板420とかしめ固定されるとともに、側板420と光源ユニット1のカバー10と底板41とがねじ75で固定される。
i 段落【0053】から、フランジ部102、パッキン11及び底板41が、この順番で突出片4211に載せ置かれ、かしめ用突片4212は、底板41の突起片414の上端に対して上方から接触して覆うように、塑性変形され、底板41は、かしめ用突片4212及び突起片414によって、連結板421とかしめ固定される。
(イ)甲2発明
前記(ア)から、甲2には、以下の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「光源ユニット1と、放熱部材3と、保持部材4とを備える照明器具であって(前記(ア)a)、
前記保持部材4は、天板40と、底板41と、前記天板40及び前記底板41を支持する支持部42とを有し、前記底板41は、略矩形板状に形成された平板部413と、前記平板部413の周縁から前記天板40に向かって突出する突起片414とを有し(前記(ア)b)、
前記光源ユニット1は、LEDモジュールと、カバー10と、パッキン11とを有し、前記LEDモジュールは、前記底板41に固定され(前記(ア)c)、
前記放熱部材3は、複数の放熱板30から構成され、前記複数の放熱板30は、前記底板41に固定され(前記(ア)d)、
前記支持部42は、一対の側板420と、一対の連結板421とを有し(前記(ア)e)、
前記側板420は、側板本体4200と、突出片4204とを有し、前記突出片4204は、前記側板本体4200の下端から前記光源ユニット1に近づく向きに突出するように設けられ、前後方向に延びる帯板状に形成され、前記側板本体4200は、かしめ片70を有し(前記(ア)f)、
前記連結板421は、本体片4210と、突出片4211と、かしめ用突片4212とを有し、前記突出片4211は、前記本体片4210の下端から内向きに突出するように設けられ、左右方向に延びる帯板状に形成され(前記(ア)g)、
前記カバー10のフランジ部102、前記パッキン11及び前記底板41が、この順番で前記突出片4204に載せ置かれ、前記かしめ片70は、前記突起片414の上端に対して上方から覆うように、塑性変形され、前記底板41は、前記かしめ片70及び前記突起片414によって、前記側板420とかしめ固定されるとともに、前記側板420と前記カバー10と前記底板41とがねじ75で固定され(前記(ア)h)、
前記フランジ部102、前記パッキン11及び前記底板41が、この順番で前記突出片4211に載せ置かれ、前記かしめ用突片4212は、前記突起片414の上端に対して上方から接触して覆うように、塑性変形され、前記底板41は、前記かしめ用突片4212及び前記突起片414によって、前記連結板421とかしめ固定される(前記(ア)i)、照明器具。」
ウ 甲3について
(ア)認定事項
甲3の段落【0014】、【0021】、【0022】、【0024】、及び図1から、甲3には、以下の事項が示されていると認められる。
a 段落【0014】、【0021】、【0022】、及び図1から、照明装置1は、競技場等に設置されてグラウンドなどに対して照明光を照射するものであるから、照明光は少なくとも下方に向けて照射されるものといえる。そうすると、装置本体5の底面部5aについて、側壁部5bで囲まれ発光体2を収納している側を下面、複数の放熱フィン5cが設けられる側を上面ということができるので、放熱フィン5cが底面部5aの上面に設けられ、発光体2が底面部5aの下面に固定され、また、側壁部5bは、底面部5aの縁から下方に向けて延出している。
b 段落【0021】の記載から、底面部5aと側壁部5bは一体に形成されている。
c 段落【0014】、【0024】、図1、及び前記aから、カバー部6は、外縁部が側壁部5bの下端に取り付けられるカバー6aを有する。
(イ)甲3発明
前記(ア)a及び甲3の段落【0014】、【0021】、【0022】、【0022】、【0024】、及び図1から、甲3には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
「発光体2と(【0014】)、
放熱フィン5cが上面に設けられ、前記発光体2が下面に固定されている平板状の底面部5aと(【0022】、前記(ア)a)、
前記底面部5aと一体に形成され、前記底面部5aの縁から下方に向けて延出している側壁部5bと(前記(ア)a、b)、
外縁部が前記側壁部5bの下端に取り付けられたカバー6aを有するカバー部6と(前記(ア)c)、
を備える照明装置1。」
エ 甲4について
甲4の【請求項1】及び段落【0057】の記載から、甲4には、以下の事項(以下「甲4記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「光源と、光源が内部に配置され、光源の光軸を囲む筒状のセード部を備える器具本体と、セード部の内面に配置される筒状部材と、筒状部材に保持される略平板状のスプレッドフィルタとを備えた照明器具において、スプレッドフィルタの周縁に切り欠き部及びマークが形成され、切り欠き部は、筒状部材の内面に突起を設ける場合に、当該突起との干渉を避けるための切り欠きであること。」
(2)申立理由(1)及び(3)について
ア 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と甲1発明を対比する。
a 後者の「光源素子140を搭載した光源基板150」が前者の「光源部」に相当する。
b 後者の「前記受熱体260と、前記受熱体260に固定された複数の放熱片270と放熱片275と、前記受熱体260と接続部300とに固定された複数のアーム580とを有する放熱部200」は、前者の「ヒートシンク」に相当する。
c 前記a及びbから、後者の「前記光源基板150が固定される円盤形状をした金属板である受熱体260」であり、「放熱部200」が有する「前記受熱体260」は、前者の「ヒートシンクのベース部であって、前記光源部を固定した」「ベース部」に相当する。
d 後者の「前記受熱体260の縁に配置されたクリップ950」であり、「断面がコ字状をしており、背板953と一方の押え板951と他方の押え板952を有し、前記一方の押え板951と前記他方の押え板952の間に、カバー110と前記受熱体260を挟み込」む「前記クリップ950」は、これがないときに比べ、局所的ではあるものの、「前記受熱体260の縁」の変形を抑制するように「前記受熱体260の縁」を補強しているといえる。
そうすると、後者の「前記受熱体260の縁に配置されたクリップ950」であり、「断面がコ字状をしており、背板953と一方の押え板951と他方の押え板952を有し、前記一方の押え板951と前記他方の押え板952の間に、カバー110と前記受熱体260を挟み込」む「前記クリップ950」は、前者の「前記ベース部の縁に取り付けられ、前記ベース部の変形を抑制する補強部」に相当する。
e 後者の「前記クリップ950は、断面がコ字状をしており、背板953と一方の押え板951と他方の押え板952を有し、前記一方の押え板951と前記他方の押え板952の間に、カバー110と前記受熱体260を挟み込」むことにおいて、図41及び42も踏まえると、「一方の押え板95」が「他方の押え板952」よりも上側に位置することは明らかである。
そして、前記dも踏まえると、後者の「前記クリップ950は、断面がコ字状をしており、背板953と一方の押え板951と他方の押え板952を有し、前記一方の押え板951と前記他方の押え板952の間に、カバー110と前記受熱体260を挟み込」むことは、前者の「前記補強部は、前記ベース部の前記縁を間に配置した上板と下板とを有」することに相当する。
f 後者の「ネジ115が、前記他方の押え板952のネジ孔及び前記受熱体260を貫通するネジ孔に挿通されるとともに、ネジボス992にネジ切り加工することにより形成されたネジ孔に固定され、前記ネジボス992が前記一方の押え板951のボス孔959に挿入され」ることにおいて、後者の「ネジ115」及び「ネジボス992」は、「前記他方の押え板952」、「前記受熱体260」及び「前記一方の押え板951」を固定する固定具として機能することは明らかであるので、前者の「固定具」に相当し、また、後者の「ネジ115」が「挿通」する「前記他方の押え板952のネジ孔及び前記受熱体260を貫通するネジ孔」並びに「前記ネジボス992が」「挿入され」る「前記一方の押え板951のボス孔959」は、前者の「前記上板と前記ベース部の前記縁と前記下板と」が「有する」「固定具がはめ込まれる穴」に相当する。
そうすると、後者の「ネジ115が、前記他方の押え板952のネジ孔及び前記受熱体260を貫通するネジ孔に挿通されるとともに、ネジボス992にネジ切り加工することにより形成されたネジ孔に固定され、前記ネジボス992が前記一方の押え板951のボス孔959に挿入され」ることは、前者の「前記上板と前記ベース部の前記縁と前記下板とは、固定具がはめ込まれる穴を有するともに、前記穴にはめ込まれる前記固定具によって固定されている」ことに相当する。
g 以上の限りにおいて、後者の「照明装置1000」は、前者の「照明器具」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲1発明は、
「光源部と、
ヒートシンクのベース部であって、前記光源部を固定したベース部と、
前記ベース部の縁に取り付けられ、前記ベース部の変形を抑制する補強部と
を備え、
前記補強部は、前記ベース部の前記縁を間に配置した上板と下板とを有し、
前記上板と前記ベース部の前記縁と前記下板とは、固定具がはめ込まれる穴を有するともに、前記穴にはめ込まれる前記固定具によって固定されている照明器具。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1-1-1]
本件発明1は、ベース部が「矩形状」であるのに対して、甲1発明は、受熱体260が円盤形状である点。
[相違点1-1-2]
本件発明1は、補強部が「前記ベース部の側辺に沿って延びるように形成され」るのに対して、甲1発明は、クリップ950は、受熱体260の側辺に沿って延びるように形成されていない点。
(イ)判断
相違点1-1-1及び1-1-2は、実質的な相違点であるので、本件発明1は、甲1発明ではない。
イ 本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものである。
そうすると、前記ア(イ)と同様の理由により、本件発明2は、甲1発明ではない。
ウ 本件発明3について、
本件発明3は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものである。
そうすると、本件発明3と甲1発明は、少なくとも、前記ア(ア)で示した相違点1-1-1及び1-1-2で相違する。
そして、事案に鑑み、相違点1-1-2について検討するに、甲1には、クリップ950を受熱体260の側辺に沿って延びるように形成することについての記載も示唆もない。さらにいえば、甲1の段落【0011】及び【0141】等の記載から、甲1発明のクリップ950は、カバー110を受熱体260にクリップ止めすることにより、光源部100が落下することを防止していればよいものであり、受熱体260の側辺に沿って延びるように形成する動機付けがあるとはいえない。
また、申立人が提出した他の証拠(甲2~4)についてみても、甲2には、放熱板30が固定される底板41を保持部材4における支持部42の側板420の突出片4204及び連結板421の突出片4211に載置して固定すること、及び突出片4204を底板41の前後方向に延びるように形成し、突出片4211を底板41の左右方向に延びるように形成することが記載されているものの、突出片4204を有する側板420及び突出片4211を有する連結板421は、上板及び下板を有するようなクリップ状の部材ではないので、甲2に記載された側板420及連結板421に関する事項を甲1発明に適用する動機付けはない。
そして、甲3及び4には、上板と下板とを有する補強部をベース部の側辺に沿って延びるように形成することについては、記載も示唆もされていない。
そうすると、甲1発明において、甲1記載事項1を踏まえ、相違点1-1-2に係る本件発明3の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことではないと認められる。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明3は、甲1発明及び甲1記載事項1された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)申立理由(2)について
ア 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と甲2発明を対比する。
a 後者の「LEDモジュール」が前者の「光源部」に相当する。
b 後者の「前記放熱部材3は、複数の放熱板30から構成され、前記複数の放熱板30は、前記底板41に固定され」ることにおいて、「前記底板41」は、「前記放熱部材3」ともに、ヒートシンクを構成するといえ、また、後者の「略矩形板状に形成された平板部413」「を有」する「前記底板41」は、矩形状であるといえる。
そして、前記aも踏まえると、後者の「前記複数の放熱板30」が「固定され」る「前記底板41」であり、「略矩形板状に形成された平板部413」「を有」する「前記底板41」であり、「前記LEDモジュール」が「固定され」る「前記底板41」は、前者の「ヒートシンクのベース部であって、前記光源部を固定した矩形状のベース部」に相当する。
c 前記a及びbから、後者の「光源ユニット1と、放熱部材3と、保持部材4とを備え」、「前記保持部材4は、」「底板41」「を有し、前記底板41は、略矩形板状に形成された平板部413」「を有し、」「前記光源ユニット1は、LEDモジュール」「を有し、前記LEDモジュールは、前記底板41に固定され、前記放熱部材3は、複数の放熱板30から構成され、前記複数の放熱板30は、前記底板41に固定され」ることは、前者の「光源部と、ヒートシンクのベース部であって、前記光源部を固定した矩形状のベース部と、」「を備え」ることに相当する。
d 後者の「前記保持部材4は、天板40と、底板41と、前記天板40及び前記底板41を支持する支持部42とを有し、前記底板41は、略矩形板状に形成された平板部413と、前記平板部413の周縁から前記天板40に向かって突出する突起片414とを有し、」「前記支持部42は、一対の側板420と、一対の連結板421とを有し、」「前記側板420は、側板本体4200と、突出片4204とを有し、前記突出片4204は、前記側板本体4200の下端から光源ユニット1に近づく向きに突出するように設けられ、」「前記側板本体4200は、かしめ片70を有し、前記連結板421は、本体片4210と、突出片4211と、かしめ用突片4212とを有し、前記突出片4211は、前記本体片4210の下端から内向きに突出するように設けられ、」「前記カバー10のフランジ部102、前記パッキン11及び前記底板41が、この順番で前記突出片4204に載せ置かれ、前記かしめ片70は、前記突起片414の上端に対して上方から覆うように、塑性変形され、前記底板41は、前記かしめ片70及び前記突起片414によって、前記側板420とかしめ固定されるとともに、前記側板420と前記カバー10と前記底板41とがねじ75で固定され、前記フランジ部102、前記パッキン11及び前記底板41が、この順番で前記突出片4211に載せ置かれ、前記かしめ用突片4212は、前記突起片414の上端に対して上方から接触して覆うように、塑性変形され、前記底板41は、前記かしめ用突片4212及び前記突起片414によって、前記連結板421とかしめ固定される」ことにおいて、「一対の側板420」及び「一対の連結板421」は、「底板41」の「周縁」に取り付けられるものであり、「一対の側板420」及び「一対の連結板421」のそれぞれ単体で、又は「前記フランジ部102」及び「前記パッキン11」と協働して、「底板41」の変形を抑制する機能を有するものであるといえる。
そうすると、後者の「保持部材4」「を備え」、「前記保持部材4は、天板40と、底板41と、前記天板40及び前記底板41を支持する支持部42とを有し、前記底板41は、略矩形板状に形成された平板部413と、前記平板部413の周縁から前記天板40に向かって突出する突起片414とを有し、」「前記支持部42は、一対の側板420と、一対の連結板421とを有し、」「前記側板420は、側板本体4200と、突出片4204とを有し、前記突出片4204は、前記側板本体4200の下端から光源ユニット1に近づく向きに突出するように設けられ、」「前記側板本体4200は、かしめ片70を有し、前記連結板421は、本体片4210と、突出片4211と、かしめ用突片4212とを有し、前記突出片4211は、前記本体片4210の下端から内向きに突出するように設けられ、」「前記カバー10のフランジ部102、前記パッキン11及び前記底板41が、この順番で前記突出片4204に載せ置かれ、前記かしめ片70は、前記突起片414の上端に対して上方から覆うように、塑性変形され、前記底板41は、前記かしめ片70及び前記突起片414によって、前記側板420とかしめ固定されるとともに、前記側板420と前記カバー10と前記底板41とがねじ75で固定され、前記フランジ部102、前記パッキン11及び前記底板41が、この順番で前記突出片4211に載せ置かれ、前記かしめ用突片4212は、前記突起片414の上端に対して上方から接触して覆うように、塑性変形され、前記底板41は、前記かしめ用突片4212及び前記突起片414によって、前記連結板421とかしめ固定される」ことは、前者の「前記ベース部の縁に取り付けられ、前記ベース部の変形を抑制する補強部」「を備え」ることに相当する。
e 後者の「前記突出片4204は、」「前後方向に延びる帯板状に形成され、」「前記突出片4211は、」「左右方向に延びる帯板状に形成され」ることは、「前記突出片4204」が「底板41」の「前後方向に延びる帯板状」であり、「前記突出片4211」が「底板41」の「左右方向に延びる帯板状」であることなので、前記dから、前者の「前記補強部は、前記ベース部の側辺に沿って延びるように形成され」ることに相当する。
f 後者の「前記側板420は、側板本体4200と、突出片4204とを有し、」「前記側板本体4200は、かしめ片70を有し、前記連結板421は、本体片4210と、突出片4211と、かしめ用突片4212とを有し、」「前記底板41が、」「前記突出片4204に載せ置かれ、前記かしめ片70は、前記突起片414の上端に対して上方から覆うように、塑性変形され、前記底板41は、前記かしめ片70及び前記突起片414によって、前記側板420とかしめ固定され」、「前記底板41が、」「前記突出片4211に載せ置かれ、前記かしめ用突片4212は、前記突起片414の上端に対して上方から接触して覆うように、塑性変形され、前記底板41は、前記かしめ用突片4212及び前記突起片414によって、前記連結板421とかしめ固定される」ことにおいて、「前記底板41」は、「かしめ片70」と「突出片4204」の間、及び「かしめ用突片4212」と「突出片4211」の間に位置することは明らかであるので、前記dも踏まえると、後者の「突出片4204」及び「突出片4211」は、前者の「下板」に相当する。
したがって、後者の「前記側板420は、側板本体4200と、突出片4204とを有し、」「前記側板本体4200は、かしめ片70を有し、前記連結板421は、本体片4210と、突出片4211と、かしめ用突片4212とを有し、」「前記底板41が、」「前記突出片4204に載せ置かれ、前記かしめ片70は、前記突起片414の上端に対して上方から覆うように、塑性変形され、前記底板41は、前記かしめ片70及び前記突起片414によって、各側板420とかしめ固定され」、「前記底板41が、」「前記突出片4211に載せ置かれ、前記かしめ用突片4212は、前記突起片414の上端に対して上方から接触して覆うように、塑性変形され、前記底板41は、前記かしめ用突片4212及び前記突起片414によって、前記連結板421とかしめ固定される」ことと、前者の「前記補強部は、前記ベース部の前記縁を間に配置した上板と下板とを有」することは、「前記補強部は、前記ベース部の前記縁を間に配置した上側突片と下板とを有」することで共通する。
g 以上の限りにおいて、後者の「照明装置」は、前者の「照明器具」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲2発明は、
「光源部と、
ヒートシンクのベース部であって、前記光源部を固定した矩形状のベース部と、
前記ベース部の縁に取り付けられ、前記ベース部の変形を抑制する補強部と
を備え、
前記補強部は、前記ベース部の前記縁を間に配置した上側突片と下板とを有し、
前記補強部は、前記ベース部の側辺に沿って延びるように形成される照明器具。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1-2-1]
補強部に関して、本件発明1は、前記ベース部の前記縁を間に配置した「上板」と下板とを有し、「前記上板と前記ベース部の前記縁と前記下板とは、固定具がはめ込まれる穴を有するともに、前記穴にはめ込まれる前記固定具によって固定されている」のに対して、甲2発明は、側板420は、突出片4204と「かしめ片70」を有し、連結板421は、突出片4211と「かしめ用突片4212」を有し、底板41は、「前記かしめ片70及び前記突起片414によって、各側板420とかしめ固定されるとともに、前記側板420と前記カバー10と前記底板41とがねじ75で固定され」、「前記かしめ用突片4212及び前記突起片414によって、前記連結板421とかしめ固定される」点。
(イ)相違点についての検討
甲2には、かしめ片70及びかしめ用突片4212を固定具がはめ込まれる穴を有するような上板とするとともに、底板41と側板420の突出片4204及び連結板421の突出片4211にも固定具がはめ込まれる穴を形成し、これらを穴にはめ込まれる固定具によって固定する固定構造とすることについては、記載も示唆もされていない。
むしろ、甲2の段落【0046】には、「底板41は、第2固定部(かしめ片70及び突起片414)によって、各側板420とかしめ固定されている。そのため、底板41と側板420とがねじ止めにより固定される場合に比べて、照明器具全体として部品点数を削減することができる。また、ねじを挿入するためのねじ孔の数も減らすことができ、例えば底板41あるいは側板420の厚み寸法の増加を抑えることができるため、照明器具の小型化及び軽量化も図ることができる。」との記載があることを踏まえると、甲2発明において、かしめ片70及びかしめ用突片4212を固定具がはめ込まれる穴を有するような上板として、前述の固定構造とすることには、阻害要因があると認められる。
そして、甲1には、一方の押え板951と他方の押え板952を有するクリップ950の間に、カバー110と受熱体260を挟み込み、これらを他方の押え板952のネジ孔、前記受熱体260のネジ孔、及びネジボス992のネジ孔に固定されるネジ115と、ネジボス992を一方の押え板951のボス孔959に挿入させることによって固定する固定構造が記載されているが、前述の甲2の段落【0046】の記載を踏まえれば、甲1に記載された固定構造を甲2発明に適用することにも、阻害要因があるといえる。
また、申立人が提出した他の証拠(甲3及び4)についてみても、補強部をベース部の縁を間に配置した上板と下板を有するものとし、上板とベース部の縁と下板に固定具がはめ込まれる穴を設け、穴にはめ込まれる固定具によって固定することについては、記載も示唆もされていない。
そうすると、甲2発明において、甲1に記載された事項を踏まえ、相違点1-2-1に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことではないと認められる。
したがって、本件発明1は、甲2発明及び甲1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)申立理由(4)について
ア 本件発明5について
(ア)対比
本件発明5と甲3発明を対比する。
a 後者の「発光体2」が前者の「光源部」に相当する。
b 後者の「放熱フィン5cが上面に設けられ」た「平板状の底面部5a」は、「放熱フィン5c」とともにヒートシンクを構成しているといえるので、前者の「ヒートシンクのベース部」に相当する。
c a及びbから、後者の「放熱フィン5cが上面に設けられ、前記発光体2が下面に固定されている平板状の底面部5a」は、前者の「ヒートシンクのベース部であって、前記光源部を下面に固定したベース部」に相当する。
d 後者の「外縁部が前記側壁部5bの下端に取り付けられたカバー6aを有するカバー部6」において、「側壁部5b」が「前記底面部5aと一体に形成され、前記底面部5aの縁から下方に向けて延出している」から、「カバー6a」は、「発光体2」を覆うことは明らかであり、また、「前記側壁部5b」を介して「底面部5a」に取り付けられているといえる。
そうすると、後者の「外縁部が前記側壁部5bの下端に取り付けられたカバー6aを有するカバー部6」と、前者の「前記光源部を覆うように前記ベース部に取り付けられ、周囲にカバー鍔部を有するカバー」とは、「前記光源部を覆うように前記ベース部に取り付けられるカバー」との点で共通する。
e 後者の「前記底面部5aと一体に形成され、前記底面部5aの縁から下方に向けて延出している側壁部5b」は、その存在により、「前記底面部5a」の変形を抑制する補強部として機能することは明らかなので、前者の「前記ベース部の縁に配置され、前記ベース部の変形を抑制する補強部」に相当する。
f 後者の「側壁部5b」が「前記底面部5aと一体に形成され、前記底面部5aの縁から下方に向けて延出している」ことは、「側壁部5b」が前記底面部5aの縁から下方に折り曲げられた曲げ部であるといえるので、前者の「前記補強部は、前記ベース部の端部で前記ベース部の前記下面の方向に折り曲げられた曲げ部であ」ることに相当する。
g 以上の限りにおいて、後者の「照明装置1」は、前者の「照明器具」に相当する。
そうすると、本件発明5と甲3発明は、
「光源部と、
ヒートシンクのベース部であって、前記光源部を下面に固定したベース部と、
前記光源部を覆うように前記ベース部に取り付けられるカバーと、
前記ベース部の縁に配置され、前記ベース部の変形を抑制する補強部と
を備え、
前記補強部は、前記ベース部の端部で前記ベース部の前記下面の方向に折り曲げられた曲げ部である照明器具。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点5-3-1]
本件発明5は、「周囲にカバー鍔部を有する」カバーであり、また、「前記曲げ部の高さは、前記カバー鍔部の厚さ以下である」のに対して、甲3発明は、かかる「鍔部」について特定されていない点。
(イ)相違点についての検討
一般に、機械分野において、鍔部とは、フランジとも呼称されるものであり、部材からはみ出すように出っ張った部分の総称であることは、当業者にとって明らかである。
一方、甲3発明において、甲3の図1を踏まえ、カバー6aの外縁部をみると、カバー6aの外縁部は、側壁部5bの下端に取り付けられる部分であり、カバー6aの発光体2を覆う部分からはみ出すように出っ張った部分であると認められる。
そうすると、甲3発明におけるカバー6aの外縁部は、カバー6aの鍔部であると解することができる。
そして、甲3の図1を踏まえ、カバー6aの外縁部の厚さと側壁部5bの底面部5aからの高さの関係をみると、甲3発明において、側壁部5bの底面部5aからの高さは、カバー6aの外縁部の厚さよりも大きいことは明らかである。
また、甲3の段落【0014】、【0021】、及び図1から、照明装置1が、競技場等に設置されてグラウンドなどに対して照明光を照射する投光器であり、装置本体5は、発光体2及び反射体3を収納するものであり、収納空間を側壁部5bが形成することが理解できるところ、このような甲3発明における照明装置1において、側壁部5bの底面部5aからの高さをカバー6aの外縁部の厚さ以下とすることには、阻害要因があるといえる。
更に、甲1には、補強部をベース部の端部でベース部の下面の方向に折り曲げられた曲げ部とし、曲げ部の高さを光源部を覆うカバーのカバー鍔部の厚さ以下とすることについては、記載も示唆もされておらず、また、申立人が提出した他の証拠(甲2及び4)についても同様である。
そうすると、甲3発明において、甲1に記載された事項を踏まえ、相違点5-3-1に係る本件発明5の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことではないと認められる。
したがって、本件発明5は、甲3発明及び甲1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(5)申立理由(5)について
ア 本件発明6について
(ア)対比
本件発明6と甲1発明を対比する。
前記(2)ア(ア)a~eの対比(相当関係)については、本件発明6に関しても同様であるとともに、後者の「前記クリップ950」が「有」する「背板953」は、前者の「前記補強部」が「有」する「背板」に相当する。
そして、前記(2)ア(ア)a~eの対比(相当関係)等の限りにおいて、後者の「照明装置1000」は、前者の「照明器具」に相当する。
そうすると、本件発明6と甲1発明は、
「光源部と、
ヒートシンクのベース部であって、前記光源部を固定したベース部と、
前記ベース部の縁に取り付けられ、前記ベース部の変形を抑制する補強部と
を備え、
前記補強部は、前記ベース部の前記縁を間に配置した上板と背板と下板とを有する照明器具。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点6-1-1]
本件発明6は、ベース部が「矩形状」であるのに対して、甲1発明は、受熱体260が円盤形状である点。
[相違点6-1-2]
本件発明6は、補強部が「前記ベース部の側辺に沿って延びるように形成され」るのに対して、甲1発明は、クリップ950は、受熱体260の側辺に沿って延びるように形成されていない点。
[相違点6-1-3]
本件発明6は、「前記上板と前記下板とは、中央が前記背板に向かってへこんでいるへこみ部を有する」のに対し、甲1発明は、一方の押え板951及び他方の押え板952がかかる「へこみ部」を有していない点。
(イ)相違点についての検討
事案に鑑み、相違点6-1-2について検討するに、相違点6-1-2は、前記(2)ア(ア)における相違点1-1-2と同じであるところ、相違点1-1-2については、前記(2)ウで述べたとおりである。
そうすると、甲1発明において、甲4に記載された事項を踏まえ、相違点6-1-2に係る本件発明6の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことではないと認められる。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明6は、甲1発明及び甲4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(6)申立理由(6)について
ア 本件発明7について
(ア)対比
本件発明7と甲1発明を対比する。
a 前記(2)ア(ア)a~eの対比(相当関係)については、本件発明7に関しても同様である。
b 後者の「前記一方の押え板951は先端にテーパ部958を有し、前記テーパ部958を前記アーム580の前記受熱体260に固定される受熱板部582の端部に引っかけて、2枚の押え板の間隔を広くし、前記クリップ950を中心軸にむけて押し込む」ことにおいて、「テーパ部958」は、「前記クリップ950」の「一方の押え板951」と「他方の押え板952」の間隔を広くするものであるから、「前記クリップ950」に「受熱部260」及び「前記受熱体260に固定される受熱板部582」を差し込みやすくするためのものであり、さらに、クリップ950は「前記受熱体260の縁に配置された」ものである。
そうすると、後者の「テーパ部958」は、前者の「前記ベース部の前記縁を挿し込みやすくするための傾斜部」に相当する。
したがって、後者の「前記一方の押え板951は先端にテーパ部958を有し、前記テーパ部958を前記アーム580の前記受熱体260に固定される受熱板部582の端部に引っかけて、2枚の押え板の間隔を広くし、前記クリップ950を中心軸にむけて押し込む」ことと、前者の「前記上板と前記下板とは、前記ベース部を挿し込みやすくするための傾斜部を有する」ことは、「前記上板は、前記ベース部の前記縁を挿し込みやすくするための傾斜部を有する」ことで共通する。
c 以上の限りにおいて、後者の「照明装置1000」は、前者の「照明器具」に相当する。
そうすると、本件発明7と甲1発明は、
「光源部と、
ヒートシンクのベース部であって、前記光源部を固定したベース部と、
前記ベース部の縁に取り付けられ、前記ベース部の変形を抑制する補強部と
を備え、
前記補強部は、前記ベース部の前記縁を間に配置した上板と下板とを有し、
前記上板は、前記ベース部の前記縁を挿し込みやすくするための傾斜部を有する照明器具。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点7-1-1]
本件発明7は、ベース部が「矩形状」であるのに対して、甲1発明は、受熱体260が円盤形状である点。
[相違点7-1-2]
本件発明7は、補強部が「前記ベース部の側辺に沿って延びるように形成され」るのに対して、甲1発明は、クリップ950は、受熱体260の側辺に沿って延びるように形成されていない点。
[相違点7-1-3]
傾斜部に関して、本件発明7は、「前記上板と前記下板」が有するのに対して、本件発明1は、「前記一方の押え板951」が有する点。
(イ)相違点についての検討
事案に鑑み、相違点7-1-2について検討するに、相違点7-1-2は、前記(2)ア(ア)における相違点1-1-2と同じであるところ、相違点1-1-2については、前記(2)ウで述べたとおりである。
そうすると、甲1発明において、甲1に記載された事項を踏まえ、相違点7-1-2に係る本件発明7の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことではないと認められる。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明7は、甲1発明及び甲1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(7)申立理由(7)について
ア 申立理由(7)の概要
特許異議申立書における申立理由(7)の概要は、12ページ~13ページの記載から、以下のとおりであると認められる。
(ア)請求項1~7には、ヒートシンク又はヒートシンクに準ずる構成要素が何ら記載されていないので、発明の課題を解決するための構成が記載されておらず、請求項1~7の記載は不明確である。
(イ)請求項1~3は、補強部が固定具と同程度の大きさであるような構成を含み、補強部によってベース部を十分に補強できないものも含むので、発明の課題を解決するための構成が記載されておらず、請求項1~3の記載は不明確である。
(ウ)請求項1~7は、補強部がベース部に対して変形を防止できる程度の大きさに形成されていない構成を含み、 補強部によってベース部を十分に補強することができないものも含むので、発明の課題を解決するための構成が記載されておらず、請求項1~7の記載は不明確である。
(エ)請求項1~7は、補強部の数が何ら特定されておらず、補強部によってベース部を十分に補強することができない場合も含まれるので、発明の課題を解決するための構成が記載されておらず、請求項1~7の記載は不明確である。
(オ)請求項1~3、6及び7は、上板と下板との位置関係について何ら特定されておらず、上板と下板とが上下方向において重ならない位置に設けられる構成も含むので、発明の課題を解決するための構成が記載されておらず、 請求項 1~3、6及び7の記載は不明確である。
(カ)請求項1~3は、上板が有する穴と、ベース部が有する穴と、下板が有する穴との位置関係について何ら特定されておらず、上板が有する穴とベース部が有する穴と下板が有する穴とが上下方向において重ならない位置に設けられる構成も含みむので、発明の課題を解決するための構成が記載されておらず、 請求項1~3の記載は不明確である。
(キ)請求項1~3、6及び7は、上板とベース部との接触の有無、及び下板とベース部との接触の有無について何ら特定されておらず、上板とベース部とが大きく離れており、下板とベース部とが大きく離れている構成も含むので、発明の課題を解決するための構成が記載されておらず、請求項1~3、6及び7の記載は不明確である。
イ 申立理由(7)の検討
(ア)前記ア(ア)について
本件発明1~7において、「補強部」が「ヒートシンクのベース部」の「変形を抑制する」ものであることが特定されている。
そうすると、ヒートシンクにかかるより具体的な構成要素が特定されていなくても、本件発明1~7において、「板金で構成されたヒートシンクの変形を防止する」との課題を解決するための発明特定事項は明確であるといえる。
(イ)前記ア(イ)~(エ)について
本件発明1~3、6及び7においては、「前記補強部は、前記ベース部の前記縁を間に配置した上板と下板とを有し、前記補強部は、前記ベース部の側辺に沿って延びるように形成され」ることが特定されている。
そして、「前記補強部は、前記ベース部の前記縁を間に配置した上板と下板とを有」することに関しては、「補強部」が「ベース部の変形を抑制する」ものであることから、技術常識を踏まえれば、「上板」と「下板」の間で、「ベース部」が大きくガタつく程の隙間はないと認められることは、当業者にとって明らかである。そして、このような「上板」及び「下板」と「補強部」の理解は、本件明細書等の段落【0033】、【0034】、【0107】、【0110】、【0111】、及び図7の記載と矛盾するものではない。
そうすると、「補強部」の大きさや数がどの程度のものであっても、「前記ベース部の側辺に沿って延びるように形成され」た「補強部」の「上板と下板と」の「間に」「前記ベース部の前記縁を」「配置」した場合には、「前記ベース部の変形」が「抑制」されることは明らかである。
したがって、本件発明1~3、6及び7において、本件特許の課題を解決するための発明特定事項は明確である。
(ウ)前記ア(オ)について
本件発明1~3、6及び7においては、「前記補強部は、前記ベース部の前記縁を間に配置した上板と下板とを有し、前記補強部は、前記ベース部の側辺に沿って延びるように形成され」ることが特定されている。そして、「上板」及び「下板」と「補強部」の理解は、前記(イ)のとおりであるところ、「上板」と「下板」の位置関係がどのようなものであっても、「前記ベース部の側辺に沿って延びるように形成され」た「補強部」の「上板と下板と」の「間に」「前記ベース部の前記縁を」「配置」した場合には、「補強部」が「前記ベース部の変形」を「抑制」することは明らかである。
そうすると、本件発明1~3、6及び7において、本件特許の課題を解決するための発明特定事項は明確である。
(エ)前記ア(カ)について
本件発明1~3においては、「前記補強部は、前記ベース部の前記縁を間に配置した上板と下板とを有し、前記補強部は、前記ベース部の側辺に沿って延びるように形成され、前記上板と前記ベース部の前記縁と前記下板とは、固定具がはめ込まれる穴を有するともに、前記穴にはめ込まれる前記固定具によって固定されている」ことが特定されているところ、「前記穴にはめ込まれる前記固定具」における「前記固定具」は、「固定具がはめ込まれる穴」の「固定具」を受けるものであるので、「前記上板と前記ベース部の前記縁と前記下板」における「固定具がはめ込まれる穴」には、同じ「固定具」が「はめ込まれる」ことは明らかである。
そうすると、「上板が有する穴と、ベース部が有する穴と、下板が有する穴との位置関係について何ら特定されておらず、上板が有する穴とベース部が有する穴と下板が有する穴とが上下方向において重ならない位置に設けられる構成も含む」との申立人の主張は、その前提において誤りがあるといえる。
したがって、本件発明1~3において、本件特許の課題を解決するための発明特定事項は明確である。
(オ)前記ア(キ)について
本件発明1~3、6及び7においては、「前記補強部は、前記ベース部の前記縁を間に配置した上板と下板とを有し、前記補強部は、前記ベース部の側辺に沿って延びるように形成され」ることが特定されているところ、「上板」及び「下板」と「補強部」の理解は、前記(イ)のとおりである。
そうすると、申立人が主張する「上板とベース部とが大きく離れており、下板とベース部とが大きく離れている構成も含む」との申立人の主張は、その前提において誤りがあるといえる。
したがって、本件発明1~3、6及び7において、本件特許の課題を解決するための発明特定事項は明確である。
以上のとおりであるから、本件発明1~7は、明確である。
3 令和7年1月17日提出の意見書(以下「意見書1」という。)及び令和7年7月9日提出の意見書(以下「意見書2」という。)における申立人の主張について
(1)申立人の主張の概要
意見書1及び2における申立人の主張の概要は、以下のとおりである。
ア 本件特許発明1、4、6、及び7は、甲1発明、甲2に記載された事項、周知技術1(参考資料1)、及び周知技術2(参考資料2)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである(意見書1の3~5ページ、意見書2の3~5ページ)。
イ 本件特許発明5は、甲1発明、甲2に記載された事項、周知技術1(参考資料1)、周知技術2(参考資料2)、及び甲3に記載され事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである(意見書1の5ページ、意見書2の5~6ページ)。
ウ 本件発明1~7に関して、前記2(7)ア(イ)~(キ)の申立理由(7)と同じ内容の明確性要件に関する主張(意見書1の5~7ページ)。
エ 本件発明1の「前記上板と前記ベース部の前記縁と前記下板とは、固定具がはめ込まれる穴を有するともに、前記穴にはめ込まれる前記固定具によって固定されている」との記載おいて、「固定具がはめ込まれる穴を有するともに」の記載は不明確である。
また、仮に、「前記上板と前記ベース部の前記縁と前記下板とは、固定具がはめ込まれる穴を有する」とともに、前記穴にはめ込まれる前記固定具によって固定されている」との記載であったとしても、上板とベース部の縁と下板とが何に対して固定されているのかが不明瞭であり、補強部はベース部の変形を抑制することができないものも含むので、課題を解決するための手段が反映されておらず、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求するものである(意見書2の6~7ページ)。
オ 請求項4~7は、ベース部の変形を抑制するための構成が何ら記載されておらず、ベース部の変形とは、どのような変形であるかも不明確であるので、課題を解決するための手段が反映されておらず、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求するものである(意見書2の7ページ)。
(2)申立人の主張の検討
ア 前記(1)アについて
前記(2)ア(ア)、前記(5)ア、及び前記(6)ア(ア)で述べたように、本件発明1と甲1発明は、少なくとも相違点1-1-2で相違し、本件発明6と甲1発明は、少なくとも相違点6-1-2で相違し、本件発明7と甲1発明は、少なくとも相違点7-1-2で相違する。
そして、相違点1-1-2、相違点6-1-2、及び相違点7-1-2は、何れも同じ相違点であるところ、これらについては、前記(2)ウで述べたとおりであり、甲1には、クリップ950を受熱体260の側辺に沿って延びるように形成することについての記載も示唆もなく、その動機付けもない。
また、甲2に記載された側板420及連結板421に関する事項を甲1発明に適用する動機付けはなく、甲3及び4には、上板と下板とを有する補強部をベース部の側辺に沿って延びるように形成することについては、記載も示唆もされていない。
そして、参考資料1及び2にも、上板と下板とを有する補強部をベース部の側辺に沿って延びるように形成することについては、記載も示唆もされていない。
したがって、本件発明1、6、及び7は、甲1発明、甲2に記載された事項、周知技術1(参考資料1)、及び周知技術2(参考資料2)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 前記(1)イについて
本件発明5は、「前記補強部は、前記ベース部の端部で前記ベース部の前記下面の方向に折り曲げられた曲げ部であり、前記曲げ部の高さは、前記カバー鍔部の厚さ以下である」との発明特定事項を有するものであるところ、甲1~3並びに参考資料1及び2には、このような発明特定事項については、記載も示唆もされていない。
そして、意見書2において、申立人は、「甲第3号証の図1等を参照すると、側壁部5bの下端部にカバー6aの厚さ以下である先端部5cが設けられている」ことも主張するが、該先端部5cは、「前記ベース部の端部で前記ベース部の前記下面の方向に折り曲げられた曲げ部」に相当するものではない。
したがって、本件特許発明5は、甲1発明、甲2に記載された事項、周知技術1(参考資料1)、周知技術2(参考資料2)、及び甲3に記載され事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 前記(1)ウについて
前記前記2(7)イ(イ)~(オ)で述べたとおり、本件発明1~7は明確である。
エ 前記(1)エについて
本件発明1は、「前記補強部は、前記ベース部の前記縁を間に配置した上板と下板とを有し、前記補強部は、前記ベース部の側辺に沿って延びるように形成され、前記上板と前記ベース部の前記縁と前記下板とは、固定具がはめ込まれる穴を有するともに、前記穴にはめ込まれる前記固定具によって固定されている」との発明特定事項を有する。
ここで、本件明細書等の段落【0015】、【0035】及び【0108】、並びに図4、6及び7から、本件明細書等には、上板147は穴筒部141を有し、下板149は補強穴部142を有し、ベース部111は、ネジ穴1118、1119を有し、かつこれら穴筒部141、補強穴部142、及びネジ穴1118、1119に対して、はめ込まれるネジ等のカバー固定具169で、上板147、下板149、及びベース部111が固定されることが示されているといえる。
そうすると、このような、本件明細書等の記載を踏まえると、前記発明特定事項における「前記上板と前記ベース部の前記縁と前記下板とは、固定具がはめ込まれる穴を有するともに、前記穴にはめ込まれる前記固定具によって固定されている」との記載は、「前記上板と前記ベース部の前記縁と前記下板とは、固定具がはめ込まれる穴を有するとともに、前記穴にはめ込まれる前記固定具によって固定されている」の誤記であることは明らかであり(下線は、当審で付記。)、したがって、本件発明1は、第三者に対して不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとは認められない。
また、前記発明特定事項において、「前記穴にはめ込まれる前記固定具」における「前記固定具」は、「固定具がはめ込まれる穴」の「固定具」を受けるものであるので、「前記上板と前記ベース部の前記縁と前記下板」における「固定具がはめ込まれる穴」には、同じ「固定具」が「はめ込まれ」、この「固定具」によって「前記上板と前記ベース部の前記縁と前記下板」が固定されることは明らかである。
そうすると、「上板とベース部の縁と下板とが何に対して固定されているのかが不明瞭であり、補強部はベース部の変形を抑制することができないものも含むので、課題を解決するための手段が反映されておらず、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求するものである」との申立人の主張は、その前提において誤りがあるといえる。
オ 前記(1)オについて
前記(7)イ(イ)、(ウ)、及び(オ)で述べたように、請求項6及び7における「前記補強部は、前記ベース部の前記縁を間に配置した上板と下板とを有」することついては、「補強部」が「ベース部の変形を抑制する」ものであることから、技術常識を踏まえれば、「上板」と「下板」の間で、「ベース部」が大きくガタつく程の隙間はないと認められることは、当業者にとって明らかである。
そうすると、「前記ベース部の側辺に沿って延びるように形成され」た「補強部」の「上板と下板と」の「間に」「前記ベース部の前記縁を」「配置」した場合には、少なくとも、「上板」と「下板」の対向方向における「前記ベース部の変形」が「抑制」されることは明らかである。
また、請求項5において、「前記補強部は、前記ベース部の端部で前記ベース部の前記下面の方向に折り曲げられた曲げ部であ」ると特定がされているところ、このような「曲げ部であ」る「補強部」が「前記ベース部」の上下面方向(厚さ方向)の「変形を抑制」することは明らかである。
以上のとおりであるから、申立人の主張を採用することはできない。
4 小括
以上から、申立理由(1)~(7)については、以下のとおりである。
(1)本件発明1及び2は、甲1発明ではなく、特許法第29条第1項第3号に該当せず、請求項1及び2に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものではないので、申立理由(1)によって取り消すことはできない。
(2)本件発明1は、甲2発明及び甲1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではないので、申立理由(2)によって取り消すことはできない。
(3)本件発明3は、甲1発明及び甲1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、請求項3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではないので、申立理由(3)によって取り消すことはできない。
(4)本件発明5は、甲3発明及び甲1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、請求項5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではないので、申立理由(4)によって取り消すことはできない。
(5)本件発明6は、甲1発明及び甲4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、請求項6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではないので、申立理由(5)によって取り消すことはできない。
(6)本件発明7は、甲1発明及び甲1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、請求項7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではないので、申立理由(6)によって取り消すことはできない。
(7)本件発明1~7は、明確であり、本件特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではないので、申立理由(7)によって取り消すことはできない。
第7 むすび
以上のとおり、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1~3及び5~7に係る特許を取り消すことはできない。
そして、他に本件特許の請求項1~3及び5~7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項4に係る特許に対する特許異議の申立ては、本件訂正(2)により、請求項4が削除されたことにより、特許異議の申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-700450