特許異議申立
2023-700660
ロボット制御システム、ロボット制御装置、ロボット制御方法及びプログラム
- 審判番号
- 2023-700660
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-089195
- 登録番号
- 7199101
- 請求日
- 2023年06月22日
- 審決日
- 2024年11月05日
- 公報発行日
- 2025年01月31日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社YOODS
- 【権利者代理人】木村 満
- 【権利者代理人】湯浅 夏樹
- 【権利者代理人】竹内 幸子
- 【権利者代理人】森川 泰司
- 【異議申立人】藤江 桂子
- 審判長/審判官
- 審判長 鈴木 貴雄
- 審判官 田々井 正吾
- 審判官 本庄 亮太郎
- 分類
- P1651.537-YAA(B25J) / P1651.121-YAA(B25J) / P1651.113-YAA(B25J) / P1651.55 -YAA(B25J)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第4項、特許法第17条の2第3項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第5項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7199101号発明「ロボット制御システム、ロボット制御装置、ロボット制御方法及びプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7199101号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~2〕、〔3~5〕、〔6~7〕、〔8~9〕について訂正することを認める。
特許第7199101号の請求項1~9に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7199101号の請求項1~9に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、令和2年5月21日(優先権主張 令和元年10月30日)に出願され、令和3年5月28日及び令和4年9月12日にそれぞれ手続補正書が提出され、令和4年12月22日にその特許権の設定登録がされ、令和5年1月5日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての主な経緯は、次のとおりである。
1 令和5年6月22日
特許異議申立人藤江桂子(以下「申立人」という。)による請求項1~9に係る特許に対する特許異議の申立て
2 令和5年10月17日付け
特許権者株式会社YOODS(以下「特許権者」という。)に対して取消の理由(以下「取消理由」という。)を通知(以下、この取消理由通知を「第1回取消理由通知」という。)
3 令和5年12月7日
特許権者による訂正の請求(以下「先にした訂正請求」という。)と意見書の提出(受理日:同月8日)
4 令和6年2月2日
申立人による意見書の提出(受理日:同月5日)
5 令和6年2月27~28日
特許権者との電話及び電子メールでの応対(同月29日付け応対記録)
6 令和6年3月4~13日
特許権者との電話及び電子メールでの応対(同月19日付け応対記録)
7 令和6年4月22日付け
特許権者に対して取消理由を通知(決定の予告)(以下、この取消理由通知を単に「決定の予告」という。)
8 令和6年5月29日
特許権者による訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)と意見書の提出
9 令和6年7月24日
特許権者による本件訂正請求の訂正請求書を補正の対象とする手続補正書の提出(補正がされた訂正請求書を、以下「本件訂正請求書」という。)
本件訂正請求がされたため、先にした訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。
なお、本件訂正請求については、令和6年8月1日付けで特許法第120条の5第5項の規定に基づく通知をし、申立人に期間を指定して意見書の提出の機会を与えたが、申立人より意見書は提出されなかった。
第2 本件訂正請求による訂正の適否
本件訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の適否について検討する。
1 請求の趣旨
本件訂正請求の趣旨は、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~9について訂正することを求めるものである。
2 一群の請求項についての説明
(1)請求項1~2
本件訂正前の請求項1~2について、請求項2は、請求項1を引用しているものであって、本件訂正によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、本件訂正前の請求項1~2に対応する本件訂正後の請求項1~2は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
(2)請求項3~5
本件訂正前の請求項3~5について、請求項4~5は、請求項3を引用しているものであって、本件訂正によって記載が訂正される請求項3に連動して訂正されるものである。したがって、本件訂正前の請求項3~5に対応する本件訂正後の請求項3~5は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
(3)請求項6~7
本件訂正前の請求項6~7について、請求項7は、請求項6を引用しているものであって、本件訂正によって記載が訂正される請求項6に連動して訂正されるものである。したがって、本件訂正前の請求項6~7に対応する本件訂正後の請求項6~7は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
(4)請求項8~9
本件訂正前の請求項8~9について、請求項9は、請求項8を引用しているものであって、本件訂正によって記載が訂正される請求項8に連動して訂正されるものである。したがって、本件訂正前の請求項8~9に対応する本件訂正後の請求項8~9は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
3 独立特許要件
本件特許異議の申立てにおいては、本件訂正前の全ての請求項1~9について特許異議の申立てがされているので、本件訂正に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。
4 請求項1~2に係る訂正
(1)訂正事項(下線部は訂正箇所。以下第2において同じ。)
ア 訂正事項1
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1に「前記基準位置取得部が取得した基準位置と前記再生位置取得部が取得した再生位置との間の変位量を変換データとしてロボット座標系で算出する変換データ算出部と」とあるのを、「前記基準位置取得部が取得した基準位置と前記再生位置取得部が取得した再生位置とを、それぞれロボット座標系での座標に変換した上でマッチングさせ、基準位置の座標を再生位置の座標に変換する座標変換行列を変換データとして算出する変換データ算出部と」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する。)
イ 訂正事項2
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1に「前記教示データを再生する際に用いる座標系を、前記変換データ算出部が算出した変換データで切り替えてから、前記教示データを再生することによって前記ロボットアームを動かす再生部と」とあるのを、「教示時のロボットが扱う座標系である座標系Cを、前記変換データを用いて変換することで、再生時のロボットが扱う座標系である座標系C’を定義し、前記座標系Cを前記座標系C’に切り替える指示を前記ロボットアームに出すことにより、前記教示データに含まれる教示点の座標を再生時の座標としてそのまま用いて前記教示データを再生することによって前記ロボットアームを動かす再生部と」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する。)
ウ 訂正事項3
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項2に「さらに、前記教示データのうち、最初の教示データから修正が必要な教示データである修正必要教示データまで再生した後に再度教示を受けて、前記修正必要教示データを修正する教示部を備える、」とあるのを、「さらに、前記教示データのうち、最初の教示データから修正が必要な教示データである修正必要教示データまで前記再生部で再生した後に再度教示を受けて、前記座標系C’で前記修正必要教示データを修正する教示部を備えることで、前記修正必要教示データを前記座標系Cでの座標で記憶部に記憶することができる、」に訂正する。
エ 訂正事項4
本件訂正前の明細書の段落【0006】に「前記基準位置取得部が取得した基準位置と前記再生位置取得部が取得した再生位置との間の変位量を変換データとしてロボット座標系で算出する変換データ算出部と、
前記教示データを再生する際に用いる座標系を、前記変換データ算出部が算出した変換データで切り替えてから、前記教示データを再生することによって前記ロボットアームを動かす再生部と」とあるのを、「前記基準位置取得部が取得した基準位置と前記再生位置取得部が取得した再生位置とを、それぞれロボット座標系での座標に変換した上でマッチングさせ、基準位置の座標を再生位置の座標に変換する座標変換行列を変換データとして算出する変換データ算出部と、
教示時のロボットが扱う座標系である座標系Cを、前記変換データを用いて変換することで、再生時のロボットが扱う座標系である座標系C’を定義し、前記座標系Cを前記座標系C’に切り替える指示を前記ロボットアームに出すことにより、前記教示データに含まれる教示点の座標を再生時の座標としてそのまま用いて前記教示データを再生することによって前記ロボットアームを動かす再生部と」に訂正する。
オ 訂正事項5
本件訂正前の明細書の段落【0007】に「さらに、前記教示データのうち、最初の教示データから修正が必要な教示データである修正必要教示データまで再生した後に再度教示を受けて、前記修正必要教示データを修正する教示部を備える、」とあるのを、「さらに、前記教示データのうち、最初の教示データから修正が必要な教示データである修正必要教示データまで前記再生部で再生した後に再度教示を受けて、前記座標系C’で前記修正必要教示データを修正する教示部を備えることで、前記修正必要教示データを前記座標系Cでの座標で記憶部に記憶することができる、」に訂正する。
(2)一群の請求項の訂正事項であること
特許請求の範囲に係る訂正事項1~3は、上記2(1)の一群の請求項である請求項1~2を訂正するものであり、明細書に係る訂正事項4~5は、上記2(1)の一群の請求項である請求項1~2に関係するものである。
(3)訂正事項1~5の訂正要件の検討
ア 訂正事項1
(ア)訂正の目的
訂正事項1の訂正は、本件訂正前の請求項1における変換データ算出部について、第1回取消理由通知及び決定の予告で示した明確でない旨の取消理由を解消するために、変換データ算出部が算出する変換データについて、基準位置と再生位置とをそれぞれロボット座標系での座標に変換した上でマッチングさせ、基準位置の座標を再生位置の座標に変換する座標変換行列であることを明確化する訂正を行うものである。
したがって、当該訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1の訂正は、本件訂正前の請求項1の「前記基準位置取得部が取得した基準位置と前記再生位置取得部が取得した再生位置との間の変位量を変換データとしてロボット座標系で算出する変換データ算出部」の発明特定事項における変換データに関し、基準位置と再生位置とを共通のロボット座標系での座標に変換してマッチングさせた状態で、基準位置の座標を再生位置の座標に変換する座標変換行列であることを明確化したものであって、本件訂正前の上記発明特定事項に、段落【0050】記載の具体的な技術的事項を反映させて明確化したものである。
したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(ウ)本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること
本件明細書等の段落【0037】には、基準位置取得部に関し「基準位置取得部111は、対象物体310の点群の3次元位置のデータ(点群データ)を取得する(ステップS103)。ステップS103は、基準位置取得ステップとも呼ばれる。」との記載、及び段落【0042】に「基準位置取得部111は、ステップS104で編集された後の点群データをマスターデータとして、記憶部120に記憶する(ステップS105)。点群データの座標は、上述したように3次元計測カメラ150から見た座標系(カメラ座標系)における座標(カメラ座標)で表されているが、マスターデータとして記憶する際には、ロボット座標系における座標(ロボット座標)に変換できるようにして記憶する。」との記載がある。
また、再生位置取得部に関し、段落【0049】に「再生位置取得部112は、対象物体310の点群データを取得する(ステップS203)。ステップS203は、教示処理のステップS103と同様の処理であるが、ステップS203で取得される点群データは、再生時の対象物体310の3次元位置である再生位置を表しているデータである。ステップS203は、再生位置取得ステップとも呼ばれる。」との記載がある。
そして、基準位置取得部が取得した基準位置、及び再生位置取得部が取得した再生位置に関し、段落【0050】に「変換データ算出部113は、ステップS203で取得した点群データと、教示処理のステップS105で記憶部120に記憶したマスターデータと、をマッチングさせて、教示時の座標(基準位置)を再生時の座標(再生位置)に変換する変換データを算出する(ステップS204)。ステップS204は、変換データ算出ステップとも呼ばれる。例えば、変換データ算出部113は、ステップS203で取得した点群データ(再生時の座標)と、マスターデータ(教示時の座標)と、をそれぞれ同じ座標系(例えばロボット座標系)での座標に変換した上で、ICP(Iterative Closest Point)アルゴリズム等を用いてマッチングさせ、教示時の座標を再生時の座標に変換する座標変換行列Aを算出する。」との記載がある。
上記各段落の記載からみて、本件明細書等には、変換データ算出部は基準位置と再生位置を(段落【0037】、【0042】、【0049】)それぞれ同じ座標系であるロボット座標系での座標に変換した上でマッチングさせ、基準位置の座標を再生位置の座標に変換する座標変換行列を変換データとして算出すること(段落【0050】)が記載されている。
よって、訂正事項1は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
イ 訂正事項2
(ア)訂正の目的
訂正事項2の訂正は、
a 本件訂正前の請求項1に記載した「前記教示データを再生する際に用いる座標系を、前記変換データ算出部が算出した変換データで切り替えてから」の事項に関し、以下の(a)~(c)の限定と明確化を行ったものである。
(a)「変換データで切り替え」る前の座標系について「教示時のロボットが扱う座標系である座標系C」であることを限定する。
(b)「変換データで切り替え」た後の座標系である本件訂正前の「教示データを再生する際に用いる座標系」について、「変換データを用いて変換することで」「定義」する「再生時のロボットが扱う座標系である座標系C’」であることに明確化する。
(c)本件訂正前の「変換データ算出部が算出した変換データで切り替えてから」を「前記座標系Cを前記座標系C’に切り替える指示を前記ロボットアームに出すことにより」と明確化する。
b 加えて、本件訂正前の請求項1に記載した「前記教示データを再生することによって前記ロボットアームを動かす」の事項に関し、「前記教示データに含まれる教示点の座標を再生時の座標としてそのまま用い」ることを限定するものである。
よって、上記a~bより、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、及び同項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項2の訂正は、上記(ア)のとおり特許請求の範囲を減縮し、記載を明確化するものであって、上記a~bの限定及び明確化を本件訂正前の発明特定事項に対してそれぞれ行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないことが明らかである。
よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(ウ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
本件明細書等の段落【0054】には「ロボットによっては、ロボットアーム160の位置を指定する際に用いる座標系C’を定義し、教示時の座標系Cをその定義した座標系C’に切り替える機能を持っている場合がある。この機能は、ロボットに、基準とする座標系を(教示時の座標系である)座標系Cから(現在の再生位置の基準となっている座標系である)座標系C’に切り替えるように指示を出すことにより、ロボットアーム160の位置を指定したり教示を受けたりする際の座標を座標系C’における座標にすることができる機能である。」と記載され、段落【0055】には「ロボットに、マスターデータの座標系(教示時の座標系C)を、再生時の座標系C’に切り替える指示を出すことにより、図4に示す教示時の(座標系Cでの)座標を図6に示すように再生時の座標(座標系C’に投影した座標)としてそのまま用いることができるようにしてもよい。このように、ロボットが扱う座標系を切り替えることによって、座標の値自体は変更せずに、教示時の座標を再生時の座標に変換することも、結局は、ロボット側で教示時の座標を(例えば座標変換行列Aを用いて)再生時の座標に変換しているので、教示データの変換に含まれるものとする。」と記載され、段落【0056】には「再生部114は、ステップS205で変換した教示データを再生して、ロボットアーム160を制御し(ステップS206)、再生処理を終了する。ステップS206では、例えば、図6に示すように、再生部114は、まずロボットアーム160を教示点301’に動かし、次に教示点302’に動かしてロボットハンド161で物体300をつかませ、次に教示点303’にロボットアーム160を移動させる。ステップS206は、再生ステップとも呼ばれる」との記載がある。
上記各段落の記載からみて、本件明細書等には、再生部が教示時のロボットが扱う座標系である座標系Cを、変換データを用いて変換することで、再生時のロボットが扱う座標系である座標系C’を定義すること(段落【0054】~【0055】)、及び座標系Cを前記座標系C’に切り替える指示をロボットアームに出すことにより、教示データに含まれる教示点の座標を再生時の座標としてそのまま用いて教示データを再生することによって前記ロボットアームを動かすこと(段落【0054】、【0056】)が記載されている。
よって、訂正事項2は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
ウ 訂正事項3
(ア)訂正の目的
訂正事項3の訂正は、本件訂正前の請求項2のロボット制御装置に関し、「前記教示データのうち、最初の教示データから修正が必要な教示データである修正必要教示データまで再生した後に再度教示を受けて、前記修正必要教示データを修正する教示部を備える」の発明特定事項に関し、教示データのうち、最初の教示データから修正が必要な教示データである修正必要教示データまで再生することを「再生部」で行うこと、教示部は修正必要教示データを修正することを「座標系C’」で行うこと、「修正必要教示データを前記座標系Cでの座標で記憶部に記憶することができる」ことを限定するものであって特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項3の訂正は、上記(ア)のとおり再教示処理に関して特許請求の範囲を減縮するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(ウ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
本件明細書等には、段落【0067】には「ステップS301からステップS304までは、再生処理(図5)のステップS201からステップS204までの処理と同様」との記載が、段落【0069】には「教示部115は、ユーザからロボットアーム160の動作について、座標系C’において再教示を受け、それによって得られた教示データを記憶部120に記憶し(ステップS306)、再教示処理を終了する。ステップS306は再教示ステップとも呼ばれる」との記載が、段落【0071】には「再教示で得られる教示データを、教示時の座標系である座標系Cにおける座標で表された教示データとして記憶部120に記憶することができる」との記載が、段落【0072】には「教示部115は、教示データのうち、最初の教示データから、修正が必要な教示データ(ユーザが修正したいと考えている教示データ(修正必要教示データ))まで、再生することにより、ロボットアーム160を最初の位置から順次動かしていく。そして教示データの再生が、修正必要教示データまで進んだら、新たな(再教示したい)座標や動作をユーザに指定してもらうことによって再度教示を受けて、当該教示データを修正する」との記載がある。
上記各段落の記載からみて、本件明細書等には、教示データのうち、最初の教示データから修正が必要な教示データである修正必要教示データまで前記再生部で再生した(段落【0067】、【0072】)後に再度教示を受けて、前記座標系C’で前記修正必要教示データを修正する(段落【0069】)教示部を備えることで、前記修正必要教示データを前記座標系Cでの座標で記憶部に記憶すること(段落【0071】)が記載されている。
よって、当該訂正事項3は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
エ 訂正事項4
(ア)明細書の訂正と関係する請求項
訂正事項4により訂正される本件特許の明細書の段落【0006】には、請求項1に対応する技術的事項が課題を解決する手段として記載されている。そして、訂正事項4は、本件特許の明細書の段落【0006】を、訂正事項1~2による訂正後の特許請求の範囲の請求項1に整合させるものであり、この請求項1を含む上記2(1)の一群の請求項である請求項1~2に関係するから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定における明細書の訂正に係る請求項を含む一群の請求項の全てについて訂正をするものである。
(イ)訂正要件について
訂正事項4の訂正は、本件特許の明細書の段落【0006】を、本件訂正の訂正事項1~2による訂正後の特許請求の範囲の請求項1に整合させるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、さらに段落【0006】において訂正事項1~2と同じ文言の訂正をするものであるから、訂正事項1~2と同様に実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、かつ本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
オ 訂正事項5
(ア)明細書の訂正と関係する請求項
訂正事項5により訂正される本件特許の明細書の段落【0007】には、請求項2に対応する技術的事項が課題を解決する手段として記載されている。そして、訂正事項5は、本件特許の明細書の段落【0007】を、訂正事項3による本件訂正後の特許請求の範囲の請求項2に整合させるものであり、この請求項2を含む上記2(1)の一群の請求項である請求項1~2に関係するから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定における明細書の訂正に係る請求項を含む一群の請求項の全てについて訂正をするものである。
(イ)訂正要件について
訂正事項5の訂正は、本件特許の明細書の段落【0007】を、本件訂正の訂正事項3による訂正後の特許請求の範囲の請求項2に整合させるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、さらに段落【0007】において訂正事項3と同じ文言の訂正をするものであるから、訂正事項3と同様に実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、かつ本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
5 請求項3~5に係る訂正
(1)訂正事項
ア 訂正事項6
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項3に「前記基準位置取得部が取得した基準位置と前記再生位置取得部が取得した再生位置との間の変位量を変換データとしてロボット座標系で算出する変換データ算出部と」とあるのを、「前記基準位置取得部が取得した基準位置と前記再生位置取得部が取得した再生位置とを、それぞれロボット座標系での座標に変換した上でマッチングさせ、基準位置の座標を再生位置の座標に変換する座標変換行列を変換データとして算出する変換データ算出部と」に訂正する。(請求項3の記載を引用する請求項4~5も同様に訂正する。)
イ 訂正事項7
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項3に「前記教示データを再生する際に用いる座標系を、前記変換データ算出部が算出した変換データで切り替えてから、前記教示データを再生することによって前記ロボットアームを動かす再生部と」とあるのを、「教示時のロボットが扱う座標系である座標系Cを、前記変換データを用いて変換することで、再生時のロボットが扱う座標系である座標系C’を定義し、前記座標系Cを前記座標系C’に切り替える指示を前記ロボットアームに出すことにより、前記教示データに含まれる教示点の座標を再生時の座標としてそのまま用いて前記教示データを再生することによって前記ロボットアームを動かす再生部と」に訂正する。(請求項3の記載を引用する請求項4~5も同様に訂正する。)
ウ 訂正事項8
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項4に「さらに、前記教示データのうち、最初の教示データから修正が必要な教示データである修正必要教示データまで再生した後に再度教示を受けて、前記修正必要教示データを修正する教示部を備える、」とあるのを、「さらに、前記教示データのうち、最初の教示データから修正が必要な教示データである修正必要教示データまで前記再生部で再生した後に再度教示を受けて、前記座標系C’で前記修正必要教示データを修正する教示部を備えることで、前記修正必要教示データを前記座標系Cでの座標で記憶部に記憶することができる、」に訂正する。(請求項4の記載を引用する請求項5も同様に訂正する。)
エ 訂正事項9
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項5に「前記基準位置を表す点群データを編集する点群データ編集部をさらに備え、」とあるのを、「前記基準位置を表す点群データを編集する点群データ編集部をさらに備え、
前記点群データ編集部は、ユーザの指示に基づいて前記点群データの編集を行い、」に訂正する。
オ 訂正事項10
本件訂正前の明細書の段落【0008】に「前記基準位置取得部が取得した基準位置と前記再生位置取得部が取得した再生位置との間の変位量を変換データとしてロボット座標系で算出する変換データ算出部と、
前記教示データを再生する際に用いる座標系を、前記変換データ算出部が算出した変換データで切り替えてから、前記教示データを再生することによって前記ロボットアームを動かす再生部と」とあるのを、「前記基準位置取得部が取得した基準位置と前記再生位置取得部が取得した再生位置とを、それぞれロボット座標系での座標に変換した上でマッチングさせ、基準位置の座標を再生位置の座標に変換する座標変換行列を変換データとして算出する変換データ算出部と、
教示時のロボットが扱う座標系である座標系Cを、前記変換データを用いて変換することで、再生時のロボットが扱う座標系である座標系C’を定義し、前記座標系Cを前記座標系C’に切り替える指示を前記ロボットアームに出すことにより、前記教示データに含まれる教示点の座標を再生時の座標としてそのまま用いて前記教示データを再生することによって前記ロボットアームを動かす再生部と」に訂正する。
カ 訂正事項11
本件訂正前の明細書の段落【0009】に「さらに、前記教示データのうち、最初の教示データから修正が必要な教示データである修正必要教示データまで再生した後に再度教示を受けて、前記修正必要教示データを修正する教示部を備える、」とあるのを、「さらに、前記教示データのうち、最初の教示データから修正が必要な教示データである修正必要教示データまで前記再生部で再生した後に再度教示を受けて、前記座標系C’で前記修正必要教示データを修正する教示部を備えることで、前記修正必要教示データを前記座標系Cでの座標で記憶部に記憶することができる、」に訂正する。
キ 訂正事項12
本件訂正前の明細書の段落【0010】に「前記基準位置を表す点群データを編集する点群データ編集部をさらに備え、」とあるのを、「前記基準位置を表す点群データを編集する点群データ編集部をさらに備え、
前記点群データ編集部は、ユーザの指示に基づいて前記点群データの編集を行い、」に訂正する。
(2)一群の請求項の訂正事項であること
特許請求の範囲に係る訂正事項6~9は、上記2(2)の一群の請求項である請求項3~5を訂正するものであり、明細書に係る訂正事項10~12は、上記2(2)の一群の請求項である請求項3~5に関係するものである。
(3)訂正事項6~12の訂正要件の検討
ア 訂正事項6
訂正事項6は本件訂正前の特許請求の範囲の請求項3の「変換データ算出部」に関し、訂正事項1による請求項1の「変換データ算出部」についての訂正と、同じ文言の訂正をするものであるから、訂正事項1と同じく特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とし、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
イ 訂正事項7
訂正事項7は本件訂正前の特許請求の範囲の請求項3の「再生部」に関し、訂正事項2による請求項1の「再生部」についての訂正と、同じ文言の訂正をするものであるから、訂正事項2と同じく特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、及び同項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とし、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
ウ 訂正事項8
訂正事項8は本件訂正前の特許請求の範囲の請求項4の「教示部」及び「修正必要教示データ」に関し、訂正事項3による請求項2の「教示部」及び「修正必要教示データ」についての訂正と、同じ文言の訂正をするものであるから、訂正事項3と同じく特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とし、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
エ 訂正事項9
(ア)訂正の目的
訂正事項9の訂正は、特許請求の範囲の請求項5において、「前記点群データ編集部は、ユーザの指示に基づいて前記点群データの編集を行い」との記載により点群データ編集部を限定するものであり、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。したがって、訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項9の訂正は、上記(ア)のとおり、点群データ編集部を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。したがって、訂正事項9は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(ウ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
本件明細書等の段落【0040】には「基準位置取得部111は、ステップS103で取得した点群データを編集する(ステップS104)。ステップS104は、編集ステップとも呼ばれる。また、ステップS104において、基準位置取得部111は、点群データ編集部として機能する。」との記載があり、段落【0041】には「ステップS104での編集は、具体的には、例えば、表示部132に点群を表示し(必要に応じて点群にする前の画像も重ね合わせて表示してもよい)、操作入力部133を介して、ユーザに、表示された点群に含まれる背景等の不要な点の削除をしてもらうことにより行う。その際は、Z方向(鉛直方向)で境界となる高さをユーザに入力してもらい、Z座標が当該入力された高さに満たない点群については背景とみなして消去する処理を行ってもよい。」との記載があり、これらの段落の記載からみて、点群データ編集部について、ユーザの指示に基づいて点群データの編集を行うことが記載されている。
よって、訂正事項9は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
オ 訂正事項10
(ア)明細書の訂正と関係する請求項
訂正事項10により訂正される本件特許の明細書の段落【0008】には、請求項3に対応する技術的事項が課題を解決する手段として記載されている。そして、訂正事項10は、本件特許の明細書の段落【0008】を、訂正事項6~7による訂正後の特許請求の範囲の請求項3に整合させるものであり、この請求項3を含む上記2(2)の一群の請求項である請求項3~5に関係するから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定における明細書の訂正に係る請求項を含む一群の請求項の全てについて訂正をするものである。
(イ)訂正要件について
訂正事項10の訂正は、本件特許の明細書の段落【0008】を、本件訂正の訂正事項6~7による訂正後の特許請求の範囲の請求項3に整合させるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、さらに段落【0008】において訂正事項6~7と同じ文言の訂正をするものであるから、訂正事項6~7と同様に実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、かつ本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
カ 訂正事項11
(ア)明細書の訂正と関係する請求項
訂正事項11により訂正される本件特許の明細書の段落【0009】には、請求項4に対応する技術的事項が課題を解決する手段として記載されている。そして、訂正事項11は、本件特許の明細書の段落【0009】を、訂正事項8による訂正後の特許請求の範囲の請求項4に整合させるものであり、この請求項4を含む上記2(2)の一群の請求項である請求項3~5に関係するから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定における明細書の訂正に係る請求項を含む一群の請求項の全てについて訂正をするものである。
(イ)訂正要件について
訂正事項11の訂正は、本件特許の明細書の段落【0009】を、本件訂正の訂正事項8による訂正後の特許請求の範囲の請求項4に整合させるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、さらに段落【0009】において訂正事項8と同じ文言の訂正をするものであるから、訂正事項8と同様に実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、かつ本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
キ 訂正事項12
(ア)明細書の訂正と関係する請求項
訂正事項12により訂正される本件特許の明細書の段落【0010】には、請求項5に対応する技術的事項が課題を解決する手段として記載されている。そして、訂正事項12は、本件特許の明細書の段落【0010】を、訂正事項9による訂正後の特許請求の範囲の請求項5に整合させるものであり、この請求項5を含む上記2(2)の一群の請求項である請求項3~5に関係するから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定における明細書の訂正に係る請求項を含む一群の請求項の全てについて訂正をするものである。
(イ)訂正要件について
訂正事項12の訂正は、本件特許の明細書の段落【0010】を、本件訂正の訂正事項9による訂正後の特許請求の範囲の請求項5に整合させるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、さらに段落【0010】において訂正事項9と同じ文言の訂正をするものであるから、訂正事項9と同様に実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、かつ本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
6 請求項6~7に係る訂正
(1)訂正事項
ア 訂正事項13
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項6に「前記基準位置取得ステップで取得された基準位置と前記再生位置取得ステップで取得された再生位置との間の変位量を変換データとしてロボット座標系で算出する変換データ算出ステップと」とあるのを、「前記基準位置取得ステップで取得された基準位置と前記再生位置取得ステップで取得された再生位置とを、それぞれロボット座標系での座標に変換した上でマッチングさせ、基準位置の座標を再生位置の座標に変換する座標変換行列を変換データとして算出する変換データ算出ステップと」に訂正する。(請求項6の記載を引用する請求項7も同様に訂正する。)
イ 訂正事項14
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項6に「前記教示データを再生する際に用いる座標系を、前記変換データ算出ステップで算出された変換データで切り替えてから、前記教示データを再生することによって前記ロボットアームを動かす再生ステップと」とあるのを、「教示時のロボットが扱う座標系である座標系Cを、前記変換データを用いて変換することで、再生時のロボットが扱う座標系である座標系C’を定義し、前記座標系Cを前記座標系C’に切り替える指示を前記ロボットアームに出すことにより、前記教示データに含まれる教示点の座標を再生時の座標としてそのまま用いて前記教示データを再生することによって前記ロボットアームを動かす再生ステップと」に訂正する。(請求項6の記載を引用する請求項7も同様に訂正する。)
ウ 訂正事項15
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項7に「さらに、前記教示データのうち、最初の教示データから修正が必要な教示データである修正必要教示データまで再生した後に再度教示を受けて、前記修正必要教示データを修正する再教示ステップを備える、」とあるのを、「さらに、前記教示データのうち、最初の教示データから修正が必要な教示データである修正必要教示データまで前記再生ステップで再生した後に再度教示を受けて、前記座標系C’で前記修正必要教示データを修正する再教示ステップを備えることで、前記修正必要教示データを前記座標系Cでの座標で記憶部に記憶することができる、」に訂正する。
エ 訂正事項16
本件訂正前の明細書の段落【0011】に「前記基準位置取得ステップで取得された基準位置と前記再生位置取得ステップで取得された再生位置との間の変位量を変換データとしてロボット座標系で算出する変換データ算出ステップと、
前記教示データを再生する際に用いる座標系を、前記変換データ算出ステップで算出された変換データで切り替えてから、前記教示データを再生することによって前記ロボットアームを動かす再生ステップと」とあるのを、「前記基準位置取得ステップで取得された基準位置と前記再生位置取得ステップで取得された再生位置とを、それぞれロボット座標系での座標に変換した上でマッチングさせ、基準位置の座標を再生位置の座標に変換する座標変換行列を変換データとして算出する変換データ算出ステップと、
教示時のロボットが扱う座標系である座標系Cを、前記変換データを用いて変換することで、再生時のロボットが扱う座標系である座標系C’を定義し、前記座標系Cを前記座標系C’に切り替える指示を前記ロボットアームに出すことにより、前記教示データに含まれる教示点の座標を再生時の座標としてそのまま用いて前記教示データを再生することによって前記ロボットアームを動かす再生ステップと」に訂正する。
オ 訂正事項17
本件訂正前の明細書の段落【0012】に「さらに、前記教示データのうち、最初の教示データから修正が必要な教示データである修正必要教示データまで再生した後に再度教示を受けて、前記修正必要教示データを修正する再教示ステップを備える、」とあるのを、「さらに、前記教示データのうち、最初の教示データから修正が必要な教示データである修正必要教示データまで前記再生ステップで再生した後に再度教示を受けて、前記座標系C’で前記修正必要教示データを修正する再教示ステップを備えることで、前記修正必要教示データを前記座標系Cでの座標で記憶部に記憶することができる、」に訂正する。
(2)一群の請求項の訂正事項であること
特許請求の範囲に係る訂正事項13~15は、上記2(3)の一群の請求項である請求項6~7を訂正するものであり、明細書に係る訂正事項16~17は、上記2(3)の一群の請求項である請求項6~7に関係するものである。
(3)訂正事項13~17の訂正要件の検討
ア 訂正事項13
訂正事項13は本件訂正前の特許請求の範囲の請求項6の「変換データ算出ステップ」に関し、訂正事項1による請求項1の「変換データ算出部」についての訂正と、同じ文言の訂正をするものであるから、訂正事項1と同じく特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とし、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
イ 訂正事項14
訂正事項14は本件訂正前の特許請求の範囲の請求項6の「再生ステップ」に関し、訂正事項2による本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1の「再生部」の訂正と、同じ文言の訂正をするものであるから、訂正事項2と同じく特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、及び同項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とし、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
ウ 訂正事項15
訂正事項15は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項7の「再教示ステップ」及び「修正必要教示データ」に関し、訂正事項3による請求項2の「教示部」及び「修正必要教示データ」についての訂正と、同じ文言の訂正をするものであるから、訂正事項3と同じく特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とし、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
エ 訂正事項16
(ア)明細書の訂正と関係する請求項
訂正事項16により訂正される本件特許の明細書の段落【0011】には、請求項6に対応する技術的事項が課題を解決する手段として記載されている。そして、訂正事項16は、本件特許の明細書の段落【0011】を、訂正事項13~14による訂正後の特許請求の範囲の請求項6に整合させるものであり、この請求項6を含む上記2(3)の一群の請求項である請求項6~7に関係するから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定における明細書の訂正に係る請求項を含む一群の請求項の全てについて訂正をするものである。
(イ)訂正要件について
訂正事項16の訂正は、本件特許の明細書の段落【0011】を、本件訂正の訂正事項13~14による訂正後の特許請求の範囲の請求項6に整合させるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、さらに段落【0011】において訂正事項13~14と同じ文言の訂正をするものであるから、訂正事項13~14と同様に実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、かつ本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
オ 訂正事項17
(ア)明細書の訂正と関係する請求項
訂正事項17が訂正する本件特許の明細書の段落【0012】には、請求項7に対応する技術的事項が課題を解決する手段として記載されている。そして、訂正事項17は、本件特許の明細書の段落【0012】を、訂正事項15による訂正後の特許請求の範囲の請求項7に整合させるものであり、この請求項7を含む上記2(3)の一群の請求項である請求項6~7に関係するから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定における明細書の訂正に係る請求項を含む一群の請求項の全てについて訂正をするものである。
(イ)訂正要件について
訂正事項17の訂正は、本件特許の明細書の段落【0012】を、本件訂正の訂正事項15による訂正後の特許請求の範囲の請求項7に整合させるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、さらに段落【0012】において訂正事項15と同じ文言の訂正をするものであるから、訂正事項15と同様に実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、かつ本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
7 請求項8~9に係る訂正
(1)訂正事項
ア 訂正事項18
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項8に「前記基準位置取得ステップで取得された基準位置と前記再生位置取得ステップで取得された再生位置との間の変位量を変換データとしてロボット座標系で算出する変換データ算出ステップ」とあるのを、「前記基準位置取得ステップで取得された基準位置と前記再生位置取得ステップで取得された再生位置とを、それぞれロボット座標系での座標に変換した上でマッチングさせ、基準位置の座標を再生位置の座標に変換する座標変換行列を変換データとして算出する変換データ算出ステップ」に訂正する。(請求項8の記載を引用する請求項9も同様に訂正する。)
イ 訂正事項19
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項8に「前記教示データを再生する際に用いる座標系を、前記変換データ算出ステップで算出された変換データで切り替えてから、前記教示データを再生することによって前記ロボットアームを動かす再生ステップ」とあるのを、「教示時のロボットが扱う座標系である座標系Cを、前記変換データを用いて変換することで、再生時のロボットが扱う座標系である座標系C’を定義し、前記座標系Cを前記座標系C’に切り替える指示を前記ロボットアームに出すことにより、前記教示データに含まれる教示点の座標を再生時の座標としてそのまま用いて前記教示データを再生することによって前記ロボットアームを動かす再生ステップ」に訂正する。(請求項8の記載を引用する請求項9も同様に訂正する。)
ウ 訂正事項20
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項9に「さらに、前記教示データのうち、最初の教示データから修正が必要な教示データである修正必要教示データまで再生した後に再度教示を受けて、前記修正必要教示データを修正する再教示ステップ、
を実行させる請求項8に記載のプログラム」とあるのを、「さらに、前記教示データのうち、最初の教示データから修正が必要な教示データである修正必要教示データまで前記再生ステップで再生した後に再度教示を受けて、前記座標系C’で前記修正必要教示データを修正する再教示ステップ、
を実行させることで、前記修正必要教示データを前記座標系Cでの座標で記憶部に記憶することができる、
請求項8に記載のプログラム」に訂正する。
エ 訂正事項21
本件訂正前の明細書の段落【0013】に「前記基準位置取得ステップで取得された基準位置と前記再生位置取得ステップで取得された再生位置との間の変位量を変換データとしてロボット座標系で算出する変換データ算出ステップ、及び、
前記教示データを再生する際に用いる座標系を、前記変換データ算出ステップで算出された変換データで切り替えてから、前記教示データを再生することによって前記ロボットアームを動かす再生ステップ」とあるのを、「前記基準位置取得ステップで取得された基準位置と前記再生位置取得ステップで取得された再生位置とを、それぞれロボット座標系での座標に変換した上でマッチングさせ、基準位置の座標を再生位置の座標に変換する座標変換行列を変換データとして算出する変換データ算出ステップ、及び、
教示時のロボットが扱う座標系である座標系Cを、前記変換データを用いて変換することで、再生時のロボットが扱う座標系である座標系C’を定義し、前記座標系Cを前記座標系C’に切り替える指示を前記ロボットアームに出すことにより、前記教示データに含まれる教示点の座標を再生時の座標としてそのまま用いて前記教示データを再生することによって前記ロボットアームを動かす再生ステップ」に訂正する。
オ 訂正事項22
本件訂正前の明細書の段落【0014】に「さらに、前記教示データのうち、最初の教示データから修正が必要な教示データである修正必要教示データまで再生した後に再度教示を受けて、前記修正必要教示データを修正する再教示ステップ、
を実行させるようにしてもよい」とあるのを、「さらに、前記教示データのうち、最初の教示データから修正が必要な教示データである修正必要教示データまで前記再生ステップで再生した後に再度教示を受けて、前記座標系C’で前記修正必要教示データを修正する再教示ステップ、
を実行させることで、前記修正必要教示データを前記座標系Cでの座標で記憶部に記憶することができる、
ようにしてもよい」に訂正する。
(2)一群の請求項の訂正事項であること
特許請求の範囲に係る訂正事項18~20は、上記2(4)の一群の請求項である請求項8~9を訂正するものであり、明細書に係る訂正事項21~22は、上記2(4)の一群の請求項である請求項8~9に関係するものである。
(3)訂正事項18~22の訂正要件の検討
ア 訂正事項18
訂正事項18は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項8の「変換データ算出ステップ」に関し、訂正事項1による請求項1の「変換データ算出部」についての訂正と、同じ文言の訂正をするものであるから、訂正事項1と同じく特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とし、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
イ 訂正事項19
訂正事項19は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項8の「再生ステップ」に関し、訂正事項2による請求項1の「再生部」についての訂正と、同じ文言の訂正をするものであるから、訂正事項2と同じく特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、及び同項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とし、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
ウ 訂正事項20
訂正事項20は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項9の「再教示ステップ」及び「修正必要教示データ」に関し、訂正事項3による請求項2の「教示部」及び「修正必要教示データ」についての訂正と、同じ文言の訂正をするものであるから、訂正事項3と同じく特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とし、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
エ 訂正事項21
(ア)明細書の訂正と関係する請求項
訂正事項21により訂正される本件特許の明細書の段落【0013】には、請求項8に対応する技術的事項が課題を解決する手段として記載されている。そして、訂正事項21は、本件特許の明細書の段落【0013】を、訂正事項18~19による訂正後の特許請求の範囲の請求項8に整合させるものであり、この請求項8を含む上記2(4)の一群の請求項である請求項8~9に関係するから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定における明細書の訂正に係る請求項を含む一群の請求項の全てについて訂正をするものである。
(イ)訂正要件について
訂正事項21の訂正は、本件特許の明細書の段落【0013】を、本件訂正の訂正事項18~19による訂正後の特許請求の範囲の請求項8に整合させるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、さらに段落【0013】において訂正事項18~19と同じ文言の訂正をするものであるから、訂正事項18~19と同様に実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、かつ本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
オ 訂正事項22
(ア)明細書の訂正と関係する請求項
訂正事項22により訂正される本件特許の明細書の段落【0014】には、請求項8に対応する技術的事項が課題を解決する手段として記載されている。そして、訂正事項22は、本件特許の明細書の段落【0014】を、訂正事項20による訂正後の特許請求の範囲の請求項9に整合させるものであり、この請求項9を含む上記2(4)の一群の請求項である請求項8~9に関係するから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定における明細書の訂正に係る請求項を含む一群の請求項の全てについて訂正をするものである。
(イ)訂正要件について
訂正事項22の訂正は、本件特許の明細書の段落【0014】を、本件訂正の訂正事項20による訂正後の特許請求の範囲の請求項9に整合させるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、さらに段落【0014】において訂正事項20と同じ文言の訂正をするものであるから、訂正事項20と同様に実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、かつ本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
8 小括
以上のとおりであるから、本件訂正の訂正事項1~22は、いずれも特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、又は、同第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、同法同条第9項で準用する同法第126条第5~6項の規定に適合するものである。
したがって、明細書及び特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~2〕、〔3~5〕、〔6~7〕、〔8~9〕について訂正することを認める。
第3 本件特許発明
上記第2のとおり、本件訂正請求は認められたから、本件特許の請求項1~9に係る発明(以下、請求項1の特許に係る発明を「本件特許発明1」、他の請求項○に係る発明を同様に「本件特許発明○」といい、まとめて「本件特許発明」ということがある。)は、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1~9に記載した以下の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
3次元計測カメラと、ロボットアームと、ロボット制御装置と、を備えるロボット制御システムであって、
前記3次元計測カメラは、前記ロボットアームに取り付けられ、対象物体の3次元位置を計測し、
前記ロボット制御装置は、
予め教示された教示データを再生することによって前記ロボットアームを動かすロボット制御装置であって、
教示時の前記対象物体の3次元位置である基準位置を前記3次元計測カメラから取得する基準位置取得部と、
再生時の前記対象物体の3次元位置である再生位置を前記3次元計測カメラから取得する再生位置取得部と、
前記基準位置取得部が取得した基準位置と前記再生位置取得部が取得した再生位置とを、それぞれロボット座標系での座標に変換した上でマッチングさせ、基準位置の座標を再生位置の座標に変換する座標変換行列を変換データとして算出する変換データ算出部と、
教示時のロボットが扱う座標系である座標系Cを、前記変換データを用いて変換することで、再生時のロボットが扱う座標系である座標系C’を定義し、前記座標系Cを前記座標系C’に切り替える指示を前記ロボットアームに出すことにより、前記教示データに含まれる教示点の座標を再生時の座標としてそのまま用いて前記教示データを再生することによって前記ロボットアームを動かす再生部と、
を備える、
ロボット制御システム。
【請求項2】
前記ロボット制御装置は、
さらに、前記教示データのうち、最初の教示データから修正が必要な教示データである修正必要教示データまで前記再生部で再生した後に再度教示を受けて、前記座標系C’で前記修正必要教示データを修正する教示部を備えることで、前記修正必要教示データを前記座標系Cでの座標で記憶部に記憶することができる、
請求項1に記載のロボット制御システム。
【請求項3】
対象物体の3次元位置を計測する3次元計測カメラが取り付けられたロボットアームを、予め教示された教示データを再生することによって動かすロボット制御装置であって、
教示時の前記対象物体の3次元位置である基準位置を前記3次元計測カメラから取得する基準位置取得部と、
再生時の前記対象物体の3次元位置である再生位置を前記3次元計測カメラから取得する再生位置取得部と、
前記基準位置取得部が取得した基準位置と前記再生位置取得部が取得した再生位置とを、それぞれロボット座標系での座標に変換した上でマッチングさせ、基準位置の座標を再生位置の座標に変換する座標変換行列を変換データとして算出する変換データ算出部と、
教示時のロボットが扱う座標系である座標系Cを、前記変換データを用いて変換することで、再生時のロボットが扱う座標系である座標系C’を定義し、前記座標系Cを前記座標系C’に切り替える指示を前記ロボットアームに出すことにより、前記教示データに含まれる教示点の座標を再生時の座標としてそのまま用いて前記教示データを再生することによって前記ロボットアームを動かす再生部と、
を備えるロボット制御装置。
【請求項4】
さらに、前記教示データのうち、最初の教示データから修正が必要な教示データである修正必要教示データまで前記再生部で再生した後に再度教示を受けて、前記座標系C’で前記修正必要教示データを修正する教示部を備えることで、前記修正必要教示データを前記座標系Cでの座標で記憶部に記憶することができる、
請求項3に記載のロボット制御装置。
【請求項5】
前記基準位置を表す点群データを編集する点群データ編集部をさらに備え、
前記点群データ編集部は、ユーザの指示に基づいて前記点群データの編集を行い、
前記基準位置取得部は、前記点群データ編集部が編集した点群データで表される基準位置を取得する、
請求項3又は4に記載のロボット制御装置。
【請求項6】
対象物体の3次元位置を計測する3次元計測カメラが取り付けられたロボットアームを、予め教示された教示データを再生することによって動かすロボット制御方法であって、
教示時の前記対象物体の3次元位置である基準位置を前記3次元計測カメラから取得する基準位置取得ステップと、
再生時の前記対象物体の3次元位置である再生位置を前記3次元計測カメラから取得する再生位置取得ステップと、
前記基準位置取得ステップで取得された基準位置と前記再生位置取得ステップで取得された再生位置とを、それぞれロボット座標系での座標に変換した上でマッチングさせ、基準位置の座標を再生位置の座標に変換する座標変換行列を変換データとして算出する変換データ算出ステップと、
教示時のロボットが扱う座標系である座標系Cを、前記変換データを用いて変換することで、再生時のロボットが扱う座標系である座標系C’を定義し、前記座標系Cを前記座標系C’に切り替える指示を前記ロボットアームに出すことにより、前記教示データに含まれる教示点の座標を再生時の座標としてそのまま用いて前記教示データを再生することによって前記ロボットアームを動かす再生ステップと、
を備えるロボット制御方法。
【請求項7】
さらに、前記教示データのうち、最初の教示データから修正が必要な教示データである修正必要教示データまで前記再生ステップで再生した後に再度教示を受けて、前記座標系C’で前記修正必要教示データを修正する再教示ステップを備えることで、前記修正必要教示データを前記座標系Cでの座標で記憶部に記憶することができる、
請求項6に記載のロボット制御方法。
【請求項8】
対象物体の3次元位置を計測する3次元計測カメラが取り付けられたロボットアームを、予め教示された教示データを再生することによって動かすロボット制御装置のコンピュータに、
教示時の前記対象物体の3次元位置である基準位置を前記3次元計測カメラから取得する基準位置取得ステップ、
再生時の前記対象物体の3次元位置である再生位置を前記3次元計測カメラから取得する再生位置取得ステップ、
前記基準位置取得ステップで取得された基準位置と前記再生位置取得ステップで取得された再生位置とを、それぞれロボット座標系での座標に変換した上でマッチングさせ、基準位置の座標を再生位置の座標に変換する座標変換行列を変換データとして算出する変換データ算出ステップ、及び、
教示時のロボットが扱う座標系である座標系Cを、前記変換データを用いて変換することで、再生時のロボットが扱う座標系である座標系C’を定義し、
前記座標系Cを前記座標系C’に切り替える指示を前記ロボットアームに出すことにより、前記教示データに含まれる教示点の座標を再生時の座標としてそのまま用いて前記教示データを再生することによって前記ロボットアームを動かす再生ステップ、
を実行させるためのプログラム。
【請求項9】
前記コンピュータに、
さらに、前記教示データのうち、最初の教示データから修正が必要な教示データである修正必要教示データまで前記再生ステップで再生した後に再度教示を受けて、前記座標系C’で前記修正必要教示データを修正する再教示ステップ、
を実行させることで、前記修正必要教示データを前記座標系Cでの座標で記憶部に記憶することができる、
請求項8に記載のプログラム。」
第4 特許権者に決定の予告で通知した取消理由
1 通知した取消理由の要旨
(明確性)本件特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(1)第1回取消理由通知で特許権者に通知した取消理由であって、依然として解消していないもの(決定の予告の第5の2(2))
ア 請求項1、3、6、8に記載した「ロボット座標系」、「座標系C」及び「座標系C’」の関係が不明であり、「前記教示データを再生する際に用いる座標系を、・・・切り替えてから、・・・再生する」本件発明1、3、6,8の「変換データの算出」について、「・・・基準位置・・・再生位置との間の変位量を変換データとしてロボット座標系で算出する」とはどんなことか、上記「ロボット座標系」の用語の意味を理解することができない。
よって、本件特許の請求項1、3、6、8に係る特許発明、及びこれらを引用する本件特許の請求項2、4~5,7、9に係る特許発明は、明確でない。(決定の予告の第5の2(2)ア(ア)、及び同イ(ア))
イ 請求項1、3に記載した「再生部」、及び請求項6、8に記載した「再生ステップ」による「再生」に関し、教示データを再生する際に用いる座標系について、前記変換データ算出部が算出した変換データで何を何に切り替えるかが不明である。また、仮に変換データが「ロボット座標系」を切り替えるとした場合に、切り替えた後の座標系は「ロボット座標系」以外の座標系になると解されるが、どのような座標系に切り替えるかも不明である。 よって、本件特許の請求項1、3、6、8に係る特許発明、及びこれらを引用する本件特許の請求項2、4~5,7、9に係る特許発明は、明確でない。(決定の予告の第5の2(2)ア(イ)、及び同イ(イ))
(2)決定の予告で新たに特許権者に通知した取消理由(決定の予告の第6の2)
ア 本件特許の請求項1に係る特許発明の変換データ算出部が、基準位置の座標を再生位置の座標に変換する座標変換行列を変換データとして算出するために、基準位置取得部が3次元計測カメラから取得した基準位置と、再生位置取得部が3次元計測カメラから取得した再生位置を、どのように処理するのかが技術的に不明瞭である。
そして、この点は、本件特許の請求項1に係る特許発明と共通の変換データ算出部を備えた本件特許の請求項3に係る特許発明、あるいは対応する変換データ算出ステップを備えた本件特許の請求項6、8に係る特許発明、及び本件特許の請求項1、3、6、8に係る特許発明を引用する本件特許の請求項2、4~5、7、9に係る特許発明についても同様であり、よって、本件特許の請求項1~9に係る特許発明は明確でない。(決定の予告の第6の2(1))
イ 本件特許の請求項2に係る特許発明は「前記教示部は、前記再度の教示によって得られた教示データに含まれる前記座標系C’での座標を前記座標変換行列の逆行列に基づいて前記座標系Cでの座標に変換」するものであり、座標系C’から座標系Cへの座標変換が行われ、両座標系の座標が異なるのに対して、本件特許の請求項1に係る特許発明では「教示時の座標系Cを、算出された前記変換データで再生時の座標系C’に切り替える指示を前記ロボットアームに出すことにより、前記教示データに含まれる教示点の座標を再生時の座標としてそのまま用いて」と、座標系Cと座標系C’の座標が同じであることから、本件特許の請求項1に係る特許発明を引用する本件特許の請求項2に係る特許発明において、座標系Cと座標系C’の座標に関する内容が技術的に矛盾している。
そして、この点は、本件特許の請求項2に係る特許発明と共通の教示部を備えた本件特許の請求項4に係る特許発明、あるいは対応する教示部ステップを備えた本件特許の請求項7、9に係る特許発明、及び本件特許の請求項4に係る特許発明を引用する本件特許の請求項5に係る特許発明についても同様であり、よって、本件特許の請求項2、4~5、7、9に係る特許発明は明確でない。(決定の予告の第6の2(2))
2 上記1の取消理由(明確性)の検討
(1)上記1(1)アの理由について
本件訂正の訂正事項1~2、6~7、13~14、18~19の請求項1、3、6、8の変換データ算出及び再生に関する訂正内容により、請求項1、3、6、8において、「ロボット座標系」は「基準位置」と「再生位置」をマッチングさせる際に用いる共通のロボット座標系、座標系Cは教示時のロボットが扱う座標系、座標系C’再生時のロボットが扱う座標系は明確化され、請求項1、3、6、8に記載した再生部、再生ステップに関する内容、及び変換データ算出部、変換データ算出ステップの内容が明らかになったから、上記1(1)アの記載不備は解消された。
(2)上記1(1)イの理由について
本件訂正の訂正事項2、7、14、19の請求項1、3、6、8の再生に関する訂正内容により、請求項1、3、6、8において、変換データは、教示時のロボットが扱う座標系である座標系Cを、再生時のロボットが扱う座標系C’に切り換えることが明確化されたから、上記1(1)イの記載不備は解消された。
(3)上記1(2)アの理由について
本件訂正の訂正事項1、6、13、18の請求項1、3、6、8の変換データ算出に関する訂正内容により、請求項1、3、6、8において、基準位置の座標を再生位置の座標に変換する座標変換行列を変換データとして算出するために、基準位置取得部が3次元計測カメラから取得した基準位置と、再生位置取得部が3次元計測カメラから取得した再生位置とを、それぞれロボット座標系での座標に変換した上でマッチングさせる処理をすることが明確化されたから、上記1(2)アの記載不備は解消された。
(4)上記1(2)イの理由について
本件訂正の訂正事項3、8、15、20の請求項2、4、7、9の教示部に関する訂正内容により、請求項2、4、7、9において、座標系C’で修正必要教示データを修正する教示部を備えることで、この修正必要教示データを座標系Cでの座標で記憶部に記憶することができること、すなわち、請求項2、4、7、9が引用する請求項1、3、6、8と同様に、座標系Cと座標系C’の座標が同じであるため、座標系C’で修正した後の修正必要教示データを座標系Cでの座標で記憶部に記憶することができることが明確化され、請求項2、4、7,9は、引用する請求項1、3、6,8と技術的に矛盾しなくなったから、上記1(2)イの記載不備は解消された。
3 小括
したがって、本件特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたとはいえないから、決定の予告で通知した取消理由(明確性)によっては、請求項1~9に係る特許を取り消すことはできない。
第5 決定の予告において採用しなかった特許異議申立理由について
1 非採用申立理由1(新規事項)
(1)特許異議申立書における申立理由1の要旨
本件特許は、次のア~イの新規事項事由1~2により、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものである。(下線部が補正箇所)
ア 新規事項事由1
請求項1、3、6、8において、令和4年9月12日提出の手続補正書により補正をしたすなわち本件訂正前の「基準位置取得部が取得した基準位置と前記再生位置取得都が取得した再生位置との間の変位量を変換データとしてロボット座標系で算出する」(請求項1、3)の事項及び「前記基準位置取得ステップで取得された基準位置と前記再生位置取得ステップで取得された再生位置との間の変位量を変換データとしてロボット座標系で算出する」(請求項6、8)の事項について、「(基準位置と再生位置の間の)変位量」という長さの物理量を「変換データ」とすることも、「(基準位置と再生位置との間の)変位量」という長さの物理量を「ロボット座標系で算出」することも、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件当初明細書等」という。)に記載した範囲内の事項ではない。
イ 新規事項事由2
請求項1、3、6、8において、令和3年5月28日提出の手続補正書により補正をした「前記教示データを再生する際に用いる座標系を、前記変換データ算出部が算出した変換データで変換して」(請求項1、3)の事項及び「前記教示データを再生する際に用いる座標系を、前記変換データ算出ステップで算出された変換データで変換して」(請求項6、8)の事項について、上記の「(前記変換データ算出郡が算出した)変換データ」又は「(前記変換データ算出ステップで算出された)変換データ」は、その前記の記載から、「ロボット座標系で算出する変換データ」であるところ、前記の「ロボット座標系で算出する変換データ」で、「(前記教示データを再生する際に用いる)座標系」を変換する(切り替える)ことは、本件当初明細書等に記載した範囲内の事項ではない。
(2)上記(1)の申立理由1(新規事項)の検討
ア 新規事項事由1について
(ア)本件訂正について
上記第2のとおり、本件訂正により、上記(1)アの「基準位置取得部が取得した基準位置と前記再生位置取得都が取得した再生位置との間の変位量を変換データとしてロボット座標系で算出する」(請求項1、3)の事項は、訂正後の「前記基準位置取得部が取得した基準位置と前記再生位置取得部が取得した再生位置とを、それぞれロボット座標系での座標に変換した上でマッチングさせ、基準位置の座標を再生位置の座標に変換する座標変換行列を変換データとして算出する」の事項に訂正された。そして、同じく「前記基準位置取得ステップで取得された基準位置と前記再生位置取得ステップで取得された再生位置との間の変位量を変換データとしてロボット座標系で算出する」(請求項6、8)の事項は、訂正後の「前記基準位置取得ステップで取得された基準位置と前記再生位置取得ステップで取得された再生位置とを、それぞれロボット座標系での座標に変換した上でマッチングさせ、基準位置の座標を再生位置の座標に変換する座標変換行列を変換データとして算出する」の事項に訂正された。
(イ)訂正後の各事項と本件当初明細書等に記載した事項について
上記(ア)の訂正後の各事項は、本件当初明細書等の段落【0050】に「変換データ算出部113は、ステップS203で取得した点群データ(再生時の座標)と、マスターデータ(教示時の座標)と、をそれぞれ同じ座標系(例えばロボット座標系)での座標に変換した上で、ICP(Iterative Closest Point)アルゴリズム等を用いてマッチングさせ、教示時の座標を再生時の座標に変換する座標変換行列Aを算出する。」と記載した事項の範囲内であることが明らかであり(上記第2の4(3)ア(ウ)を併せて参照。)、また、本件訂正の効果は本件特許の出願時にまで遡るから、新規事項事由1により、本件特許が特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたとはいえない。
イ 新規事項事由2について
(ア)本件訂正について
上記第2のとおり、令和3年5月28日提出の手続補正書により補正をした上記(1)イの「前記教示データを再生する際に用いる座標系を、前記変換データ算出部が算出した変換データで変換して」(本件特許発明1、3)の事項は、本件訂正後の「教示時のロボットが扱う座標系である座標系Cを、前記変換データを用いて変換することで、再生時のロボットが扱う座標系である座標系C’を定義し、前記座標系Cを前記座標系C’に切り替える指示を前記ロボットアームに出すことにより、前記教示データに含まれる教示点の座標を再生時の座標としてそのまま用いて」の事項に訂正された。そして、同じく「前記教示データを再生する際に用いる座標系を、前記変換データ算出ステップで算出された変換データで変換して」は、本件訂正後の「教示時のロボットが扱う座標系である座標系Cを、前記変換データを用いて変換することで、再生時のロボットが扱う座標系である座標系C’を定義し、前記座標系Cを前記座標系C’に切り替える指示を前記ロボットアームに出すことにより、前記教示データに含まれる教示点の座標を再生時の座標としてそのまま用いて」の事項に訂正された。
(イ)訂正後の各事項と本件当初明細書等に記載した事項について
上記(ア)の訂正後の各事項は、本件当初明細書等の段落【0055】に「すなわち、ステップS204及びステップS205では、再生部114は、上述のように座標の変換をする代わりに、再生時の座標系C’を定義し、ロボットに、マスターデータの座標系(教示時の座標系C)を、再生時の座標系C’に切り替える指示を出すことにより、図4に示す教示時の(座標系Cでの)座標を図6に示すように再生時の座標(座標系C’に投影した座標)としてそのまま用いることができるようにしてもよい。このように、ロボットが扱う座標系を切り替えることによって、座標の値自体は変更せずに、教示時の座標を再生時の座標に変換することも、結局は、ロボット側で教示時の座標を(例えば座標変換行列Aを用いて)再生時の座標に変換しているので、教示データの変換に含まれるものとする。」と記載した事項の範囲内であることが明らかであり(上記第2の4(3)イ(ウ)を併せて参照。)、また、本件訂正の効果は本件特許の出願時にまで遡るから、新規事項事由2により、本件特許が特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたとはいえない。
(3)小括
上記(2)のとおりであるから、請求項1~9に係る特許は、非採用申立理由1(新規事項)によって取り消すことはできない。
2 非採用申立理由2(サポート要件)
(1)特許異議申立書における申立理由2の要旨
本件特許は、特許請求の範囲の記載が、次のア~イのサポート要件事由1~2の不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
ア サポート要件事由1
本件特許発明1、3、6、8の「基準位置取得部が取得した基準位置と前記再生位置取得部が取得した再生位置との間の変位量を変換データとしてロボット座標系で算出する」(本件特許発明1、3)の事項、及び「前記基準位置取得ステップで取得された基準位置と前記再生位置取得ステップで取得された再生位置との間の変位量を変換データとしてロボット座標系で算出する」(本件特許発明6、8)の事項について、
「(基準位置と再生位置との間の)変位量」という長さの物理量を「変換データ」とすることも、「(基準位置と再生位置との間の)変位量」という長さの物理量を「ロボット座標系で算出」することも、発明の詳細な説明に記載されていない。
発明の詳細な説明においては、変換データとして「教示時の座標を再生時の座標に変換する座標変換行列A」を算出することが記載されているのであって、変換データとして上記のような「変位量」という長さを表す物理量を算出することは一切記載されていない。
イ サポート要件事由2
本件特許発明1、3,6、8の「前記教示データを再生する際に用いる座標系を、前記変換データ算出部が算出した変換データで切り替えて」(本件特許発明1、3)の事項、及び「前記教示データを再生する際に用いる座標系を、前記変換データ算出ステップで算出された変換データで切り替えて」(本件特許発明6、8)の事項について、
上記の「(前記変換データ算出部が算出した)変換データ」又は「(前記変換データ算出ステップで算出された)変換データ」は、その前記の記載から、「ロボット座標系で算出する変換データ」であるところ、前記の「ロボット座標系で算出する変換データ」で、「(前記教示データを再生する際に用いる)座標系を切り替えることは、明細書の発明の詳細な説明に記載されていない。
発明の詳細な説明においては、「教示時の座標(基準位置)を再生時の座標(再生位置)に変換する変換データを算出する」と記載されており、変換データは、座標(基準位置)を座標(再生位置)に変換するものであることが記載されているのであって、変換データで、座標系を変換することについては、明細書に一切記載されていない。
(2)上記(1)の取消申立理由2(サポート要件)の検討
ア サポート要件事由1
上記(1)アの本件特許発明1、3、6、8の各事項は、上記1(2)ア(ア)のとおり訂正され、また、1(2)ア(イ)のとおり本件当初明細書等の段落【0050】に記載した事項の範囲内のものであり、出願後に段落【0050】に補正をしていないことから、本件明細書等の発明の詳細な説明の段落【0050】に記載された発明ともいえるため、サポート要件事由1に該当するとはいえない。
イ サポート要件事由2
上記(1)イの本件特許発明1、3、6、8の各事項は、上記1(2)イ(ア)のとおり補正され、また、1(2)イ(イ)のとおり本件当初明細書等の段落【0055】に記載した事項の範囲内のものであり、出願後に段落【0055】に補正をしていないことから、本件明細書等の発明の詳細な説明の段落【0055】に記載された発明ともいえるため、サポート要件事由2に該当するとはいえない。
(3)小括
上記(2)のとおり、本件特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたとはいえないから、請求項1~9に係る特許は、非採用申立理由2(サポート要件)によって取り消すことはできない。
3 非採用申立理由3(進歩性)
(1)特許異議申立書における申立理由3の要旨
<甲3を主引用例とする進歩性欠如の申立理由>
請求項1、3、6、8に係る発明は、甲3及び甲1に記載された発明に基いて、請求項2、4,7、9に係る発明は、甲3、甲1、及び甲2に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~4、6~9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(2)甲号証について
特許異議申立理由で引用された甲号証(以下、甲第○号証を「甲○」という。)
甲1:特開2010-172969号公報
甲2:特開平8-286726号公報
甲3:特開2017-124470号公報
(3)主引用例の甲3について
ア 明細書の記載事項(下線は当審で付与。)
「【0023】
<ロボットシステムの構成>
まず、ロボットシステム1の構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係るロボットシステム1の構成の一例を示す図である。ロボットシステム1は、撮像部10と、ロボット20と、ロボット制御装置30を備える。
【0024】
撮像部10は、例えば、集光された光を電気信号に変換する撮像素子であるCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を備えたカメラである。この一例において、撮像部10は、ロボット20が作業を行うことが可能な領域を含む範囲を撮像可能な位置に設置される。
・・・
【0026】
ロボット20は、アームAと、アームAを支持する支持台Bを備える単腕ロボットである。単腕ロボットは、この一例におけるアームAのような1本のアーム(腕)を備えるロボットである。なお、ロボット20は、単腕ロボットに代えて、複腕ロボットであってもよい。複腕ロボットは、2本以上のアーム(例えば、2本以上のアームA)を備えるロボットである。なお、複腕ロボットのうち、2本のアームを備えるロボットは、双腕ロボットとも称される。すなわち、ロボット20は、2本のアームを備える双腕ロボットであってもよく、3本以上のアーム(例えば、3本以上のアームA)を備える複腕ロボットであってもよい。
・・・
【0037】
ロボット制御装置30は、ロボット20に制御信号を送信することにより、ロボット20を動作させる。これにより、ロボット制御装置30は、ロボット20に所定の作業を行わせる。なお、ロボット制御装置30は、ロボット20の外部に設置される構成に代えて、ロボット20に内蔵される構成であってもよい。
・・・
【0040】
マーカーMKは、対象物O1の位置及び姿勢を表す三次元局所座標系である第1対象物座標系を示す印である。対象物O1の位置及び姿勢は、対象物O1のロボット座標系における位置及び姿勢のことである。第1対象物座標系の原点の位置は、例えば、対象物O1の位置として、対象物O1の重心の位置を表す。また、第1対象物座標系の各座標軸それぞれの方向は、対象物O1の姿勢を表す。
・・・
【0047】
第1作業においてロボット20が対象物O1の外周部をツールT1によって研磨する際、ロボット制御装置30は、予め記憶された教示点情報を読み出す。教示点情報は、位置情報と、姿勢情報と、順序情報とが対応付けられた情報である。位置情報は、基準となる位置である基準位置とロボット20がアームAを動かす際に制御点TC1を一致させる点である教示点を示す位置との相対的な位置を示す情報である。姿勢情報は、基準となる姿勢である基準姿勢と当該位置における制御点TC1の姿勢との相対的な姿勢を示す情報である。順序情報は、当該位置に制御点TC1を一致させる順を示す情報である。ロボット制御装置30は、読み出した教示点情報に基づいて位置制御によりアームAを動かすことによって制御点TC1の位置及び姿勢、すなわちエンドエフェクターEの位置及び姿勢を変化させることにより、ロボット20に対象物O1の外周部をツールT1によって研磨させる。
【0048】
位置制御は、教示点情報に含まれる位置情報が示す位置(すなわち、教示点)に制御点TC1の位置を一致させることにより、アームAを移動させる制御である。具体的には、この一例における位置制御は、教示点情報に含まれる順序情報が示す順に、当該教示点情報に含まれる位置情報が示す位置(すなわち、教示点)に制御点TC1の位置を一致させるとともに、当該教示点情報に含まれる姿勢情報が示す姿勢に制御点TC1の姿勢を一致させることにより、アームAを移動させる制御である。
【0049】
また、ロボット制御装置30は、ダイレクトティーチングによる教示によって教示点情報を記憶する。この一例におけるダイレクトティーチングによる教示は、ロボット20のアームAの制御点TC1の位置及び姿勢をユーザーが手で変化させ、変化させた後の当該位置及び姿勢に基づく教示点情報をロボット制御装置30に記憶させることである。以下では、一例として、このようなダイレクトティーチングにおいて、ロボット制御装置30が、力検出部21によって検出された力であってユーザーが手でエンドエフェクターEに加えた力に基づく制御によって制御点TC1の位置及び姿勢を変化させる場合について説明する。なお、ロボット制御装置30は、これに代えて、トルクセンサーの出力やサーボモーターの電流に基づく制御によって制御点TC1の位置及び姿勢を変化させる構成であってもよい。なお、ロボット制御装置30は、ダイレクトティーチングによる教示によって教示点情報を記憶する構成に代えて、オンラインティーチングによる教示等の他の方法によって教示点情報を記憶する構成であってもよい。
【0050】
基準位置は、この一例において、ダイレクトティーチングによる教示点情報の教示時において制御点TC1の位置が初期位置と一致している場合の対象物O1の位置、すなわちマーカーMKの位置である。初期位置は、ダイレクトティーチングによる教示点情報の教示時及び第1作業時においてロボット20が最初に制御点TC1の位置を一致させる位置のことである。初期位置は、エンドエフェクターEによって把持された対象物O1に設けられたマーカーMKを撮像部10が撮像可能な位置であれば、如何なる位置であってもよい。基準姿勢は、ダイレクトティーチングによる教示点情報の教示時において制御点TC1の位置が初期位置と一致している場合の制御点TC1の姿勢(初期姿勢)、すなわちマーカーMKの姿勢である。
【0051】
第1作業時において制御点TC1の位置及び姿勢が初期位置及び初期姿勢と一致している場合の対象物O1の位置及び姿勢と、基準位置及び基準姿勢とが一致している場合、ロボット制御装置30は、読み出した教示点情報に基づいて位置制御によりアームAを動かすことによって制御点TC1の位置及び姿勢、すなわちエンドエフェクターEの位置及び姿勢を変化させることにより、ロボット20に対象物O1の外周部をツールT1によって研磨させることができる。
【0052】
しかし、実際には対象物O1をエンドエフェクターEによって把持する際の誤差等によって、基準位置及び基準姿勢と、第1作業時において制御点TC1の位置及び姿勢が初期位置及び初期姿勢と一致している場合の対象物O1の位置及び姿勢とは、必ずしも一致しない。この場合、ロボット制御装置30が予め記憶された教示点情報に基づいてロボット20を動かすと、ロボット20による第1作業の精度が低下してしまう。
【0053】
そこで、この一例におけるロボット制御装置30は、第1作業時において制御点TC1の位置及び姿勢を初期位置及び初期姿勢に一致させた後、撮像部10により対象物O1に設けられたマーカーMKを含む範囲を撮像範囲として撮像する。ロボット制御装置30は、撮像した撮像画像に含まれるマーカーMKに基づいて対象物O1の位置及び姿勢を検出する。なお、ロボット制御装置30は、この一例における検出部の一例である撮像部10により撮像された撮像画像に基づいて検出位置を検出する構成に代えて、検出部としてレーザーセンサーや接触センサー、力センサー等を用いることよって検出位置を検出する構成であってもよい。ロボット制御装置30は、検出した当該位置である検出位置と予め記憶された基準位置とのずれである位置ずれを算出するとともに、検出した当該姿勢である検出姿勢と予め記憶された基準姿勢とのずれである姿勢ずれを算出する。
【0054】
ロボット制御装置30は、算出した位置ずれ及び姿勢ずれに基づいて、読み込んだ教示点情報を補正し、補正した教示点情報に基づいてアームAを移動させ、ロボット20に第1作業を行わせる。これにより、ロボット制御装置30は、第1作業において、検出位置と基準位置との位置ずれ及び検出姿勢と基準姿勢との姿勢ずれが生じた場合であっても、第1作業の精度が低下してしまうことを抑制することができる。なお、基準位置は、記憶位置の一例である。また、基準姿勢は、記憶姿勢の一例である。
・・・
【0064】
位置姿勢検出部43は、画像取得部41が取得した撮像画像に含まれるマーカーMKに基づいて、対象物O1の位置及び姿勢を、検出位置及び検出姿勢として検出する。例えば、位置姿勢検出部43は、パターンマッチング等によって検出位置及び検出姿勢を検出する。
【0065】
補正部44は、記憶部32から基準位置姿勢情報を読み出す。補正部44は、記憶部32から読み出した基準位置姿勢情報に基づいて、記憶部32に記憶された教示点情報を補正する。
計時部45は、時刻を計時する。
【0066】
教示制御部46は、力検出情報取得部42が取得した力検出情報に基づいて、ダイレクトティーチングによる教示の開始を行う。また、力検出情報取得部42が取得した力検出情報に基づいて、ダイレクトティーチングによる教示の終了を行う。また、教示制御部46は、ダイレクトティーチングによる教示を開始してから当該教示を終了するまでの間、計時部45による計時によって所定の時間が経過する毎に、基準位置と現在の制御点TC1の位置との相対的な位置を示す位置情報と、基準姿勢と現在の制御点TC1の姿勢との相対的な姿勢を示す姿勢情報と、現在の時刻とを対応付けた教示点情報を記憶部32に記憶させる。すなわち、この一例では、現在の時刻が順序情報である。所定の時間は、この一例において、0.5秒である。なお、所定の時間は、これに代えて、他の時間であってもよい。また、順序情報は、これに代えて、制御点TC1を各教示点に一致させる順を示す番号等の他の情報であってもよい。また、教示制御部46は、ダイレクトティーチングによる教示を開始してから当該教示を終了するまでの間、計時部45による計時によって所定の時間が経過する毎に教示点情報を記憶部32に記憶させる構成に代えて、他のタイミングに教示情報を記憶部32に記憶させる構成であってもよい。この場合、例えば、教示制御部46は、教示点情報を記憶させるための操作を入力受付部33やティーチングペンダントを介して受け付ける毎に教示点情報を記憶部32に記憶させる。また、教示制御部46は、力検出情報取得部42が取得した力検出情報に基づいてダイレクトティーチングによる教示の開始及びダイレクトティーチングによる教示の終了を行う構成に代えて、力検出情報取得部42が取得した力検出情報に基づいてダイレクトティーチングによる教示の開始又はダイレクトティーチングによる教示の終了のうちいずれか一方を行う構成であってもよい。この場合、教示制御部46は、ダイレクトティーチングによる教示の開始又はダイレクトティーチングによる教示の終了のうちの力検出情報に基づいて行わない方を、入力受付部33やティーチングペンダントを介して受け付けた操作に基づいて行う。
【0067】
ロボット制御部47は、制御点TC1の位置及び姿勢を、予め記憶された初期位置及び初期姿勢と一致させる。ロボット制御部47は、記憶部32から教示点情報を読み出す。ロボット制御部47は、補正部44が補正した教示点情報に基づいて、ロボット20に所定の作業を行わせる。
・・・
【0069】
ロボット制御部47は、制御点TC1の位置及び姿勢を、予め記憶された初期位置及び初期姿勢と一致させる(ステップS5)。次に、撮像制御部40は、撮像部10に前述の撮像範囲を撮像させる(ステップS10)。次に、画像取得部41は、ステップS10において撮像部10が撮像した撮像画像を撮像部10から取得する(ステップS20)。次に、位置姿勢検出部43は、ステップS20において画像取得部41が取得した撮像画像に含まれるマーカーMKに基づいて、パターンマッチング等によって検出位置及び検出姿勢を検出する(ステップS30)。
【0070】
次に、補正部44は、記憶部32から基準位置姿勢情報を読み出す(ステップS40)。次に、補正部44は、ステップS40において読み出した基準位置姿勢情報に基づいて、ステップS30において検出した検出位置及び検出姿勢と、基準位置姿勢情報が示す基準位置及び基準姿勢との位置ずれ及び姿勢ずれを算出する。また、補正部44は、記憶部32から教示点情報を読み出す。そして、補正部44は、算出した位置ずれ及び姿勢ずれに基づいて、読み出した教示点情報を補正する(ステップS50)。当該位置ずれは、例えば、検出位置と基準位置とのずれを表す変位ベクトルである。また、当該姿勢ずれは、例えば、検出姿勢と記憶姿勢とのずれを表すオイラー角のそれぞれを成分として有する角度ベクトルである。ここで、ステップS50の処理について説明する。
【0071】
この一例において、補正部44は、教示点情報に含まれる位置情報を、基準位置と教示点を示す位置との相対的な位置を、位置ずれの分だけずらすことによって補正する。また、補正部44は、教示点情報に含まれる姿勢情報を、基準姿勢と当該教示点の位置における制御点TC1の姿勢との相対的な姿勢を、姿勢ずれの分だけずらすことによって補正する。より具体的には、この一例では、位置情報が示す位置が前述の第1対象物座標系における教示点の位置であるため、補正部44は、当該位置ずれに基づいて第1対象物座標系の原点の位置をずらす座標変換を行うとともに、当該姿勢ずれに基づいて第1対象物座標系の姿勢をずらす座標変換を行うことにより、教示点情報を補正する。これにより、ロボット制御装置30は、検出位置と記憶位置との位置ずれが生じた場合であっても、容易に第1作業の精度が低下してしまうことを抑制することができる。
【0072】
次に、ロボット制御部47は、ステップS50において補正された(座標変換された)教示点情報に基づいてロボット20を動作させ、ロボット20に第1作業を行わせる(ステップS60)。この際、ロボット制御部47は、当該教示点情報に基づく位置制御と、力検出情報取得部42が取得した力検出情報に基づく制御とによって、ロボット20に第1作業を行わせる。
【0073】
以上のように、ロボット制御装置30は、対象物O1の位置及び姿勢を検出位置及び検出姿勢として検出し、検出した検出位置及び検出姿勢と、記憶部により記憶された基準位置及び基準姿勢とに基づいて、アームAを移動させる。これにより、ロボット制御装置30は、検出位置と基準位置との位置ずれ及び検出姿勢と基準姿勢との姿勢ずれが生じた場合であっても、第1作業の精度が低下してしまうことを抑制することができる。なお、ロボット制御装置30は、これに代えて、対象物O1の位置を検出位置として検出し、検出した検出位置と、記憶部により記憶された基準位置とに基づいてアームAを移動させる構成であってもよい。この場合、ロボット制御装置30は、第1作業において、検出位置と基準位置との位置ずれが生じた場合であっても、第1作業の精度が低下してしまうことを抑制することができる。ただし、この場合、ロボット20は、例えば、対象物O1を把持する際において、制御点TC1の姿勢とマーカーMKの姿勢との相対的な姿勢が常に略同じ姿勢となる治具を用いて対象物O1を把持する。
・・・
【0075】
ロボット制御装置30の動作モードがダイレクトティーチングによる教示を行う動作モードに切り替えられた後、ロボット制御部47は、制御点TC1の位置及び姿勢を、予め記憶された初期位置及び初期姿勢と一致させる(ステップS90)。次に、撮像制御部40は、撮像部10に撮像範囲を撮像させる(ステップS100)。次に、画像取得部41は、ステップS100において撮像部10が撮像した撮像画像を撮像部10から取得する(ステップS110)。次に、位置姿勢検出部43は、ステップS110において画像取得部41が取得した撮像画像に含まれるマーカーMKに基づいて、パターンマッチング等によって検出位置及び検出姿勢を検出する(ステップS120)。
【0076】
次に、位置姿勢検出部43は、ステップS120において検出した検出位置及び検出姿勢に基づいて、原点の位置が当該検出位置であり当該原点に当該検出姿勢を表す座標軸を有する三次元局所座標系を第1対象物座標系として、第1対象物座標系を示す情報を基準位置姿勢情報として記憶部32に記憶させる(ステップS125)。そして、ロボット制御部47は、制御点TC1の位置及び姿勢を、所定の教示開始位置及び教示開始姿勢と一致させる。教示開始位置は、制御点TC1が移動可能な位置であれば如何なる位置であってもよいが、例えば、第1作業をロボット20に行わせる時間を早くしたい場合、ツールT1の近くの位置であることが望ましい。この一例において、ツールT1の近くの位置は、ツールT1の位置を中心とした半径50センチメートル以内の位置である。なお、ツールT1の近くの位置は、これに代えて、他の位置であってもよい。また、教示開始姿勢は、制御点TC1が変更可能な姿勢であれば如何なる姿勢であってもよい。
・・・
【0080】
ステップS130において、ダイレクトティーチングによる教示の開始を行わせる操作を受け付けたと位置姿勢検出部43が判定した場合(ステップS130-YES)、教示制御部46は、記憶部32に記憶された基準位置姿勢情報が示す基準位置と現在の時刻におけるエンドエフェクターEのロボット座標系における位置を示す位置情報との相対的な位置を示す位置情報と、記憶部32に記憶された基準位置姿勢情報が示す基準姿勢と現在の時刻におけるエンドエフェクターEのロボット座標系における姿勢との相対的な姿勢を示す姿勢情報と、現在の時刻を示す情報(この一例における順序情報)とを対応付けた教示点情報を記憶部32に記憶させる(ステップS140)。
・・・
【0082】
ユーザーがダイレクトティーチングによる教示において、エンドエフェクターEの位置及び姿勢を、対象物O1の外周部のうちの作業部位T1Eに接触している部分が始点部分から当該外周部に沿って一周するように変化させている間、教示制御部46は、所定の時間が経過する毎に、記憶部32に記憶された基準位置姿勢情報が示す基準位置と現在の時刻におけるエンドエフェクターEの位置を示す位置情報との相対的な位置を示す位置情報と、記憶部32に記憶された基準位置姿勢情報が示す基準姿勢と現在の時刻におけるエンドエフェクターEの姿勢との相対的な姿勢を示す姿勢情報と、現在の時刻を示す情報(この一例における順序情報)とを対応付けた教示点情報を記憶部32に記憶させる。
【0083】
この教示点情報は、現在のエンドエフェクターEの位置及び姿勢と、基準位置及び基準姿勢との相対的な位置及び姿勢に対応した教示点情報である。このため、ロボット制御装置30は、図5に示したステップS50において検出位置及び検出姿勢と基準位置及び基準姿勢との位置ずれ及び姿勢ずれに基づいて教示点情報を補正することにより、第1作業の精度が低下してしまうことを抑制することができる。」
イ 図面(なお、甲3の図4及び図5は、甲3の第28~30ページに示される平成28年8月18日提出の手続補正書によって補正がされたとおりのものである。)
(ア)図1
[図:0001418201000001.jpg]
(イ)図4
[図:0001418201000002.jpg]
(ウ)図5
[図:0001418201000003.jpg]
(エ)図6
[図:0001418201000004.jpg]
ウ 甲3の記載事項の整理
(ア)段落【0023】~【0024】、【0026】、【0037】、図1の記載からみて、甲3には、撮像部10と、アームAと、ロボット制御装置30と、を備えるロボットシステムについて記載されている。
(イ)段落【0053】、図1の記載からみて、上記(ア)の撮像部10は、対象物O1の位置及び姿勢を検出する。
(ウ)段落【0047】~【0048】、【0051】、【0066】、図1の記載からみて、上記(ア)のロボット制御装置30は、予め記憶した教示点情報を読み出してアームAを動かすものである。
(エ)段落【0049】~【0050】、【0075】~【0076】、図4、図6の記載からみて、甲3記載のロボットシステムは、教示点情報の教示時において制御点TC1の位置が初期位置と一致している場合の対象物O1の基準位置/姿勢(以下、単に「教示時の対象物O1の基準位置/姿勢」という。)を撮像部10が取得した撮像画像から検出する位置姿勢検出部43を備える。
(オ)段落【0064】、【0069】、【0073】、図4、図5の記載からみて、甲3記載のロボットシステムは、第1作業時において制御点TC1の位置/姿勢を初期位置及び初期姿勢に一致させた後に検出する対象物O1の検出位置/姿勢(以下、単に「第1作業時の対象物O1の検出位置/姿勢」という。)を前記撮像部10が取得した撮像画像から検出する位置姿勢検出部43を備える。
(カ)段落【0040】、【0052】~【0053】、【0065】、【0070】~【0071】、【0073】、【0075】~【0076】、【0080】、【0082】~【0083】、図4、6の記載からみて、甲3記載のロボットシステムは、教示時における対象物O1の基準位置/姿勢と第1作業時における対象物O1の検出位置/姿勢とのロボット座標系における位置/姿勢ずれを算出し、当該位置/姿勢ずれに基づいて対象物O1の第1対象物座標系の原点/姿勢をずらす座標変換を行う変位/角度ベクトルとして算出する補正部44を備える。
(キ)段落【0054】、【0067】、【0071】~【0073】、図4、図5の記載からみて、甲3記載のロボットシステムは、上記(カ)の座標変換を行った教示点情報を再生することによってアームAを移動させ第1作業を行うロボット制御部47を備える。
エ 甲3発明
上記ア~ウからみて、甲3には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されている。
「撮像部10と、アームAと、ロボット制御装置30と、を備えるロボットシステムであって、
前記撮像部10は、対象物O1の位置/姿勢を検出し、
前記ロボット制御装置30は、
予め記憶した教示点情報を読み出して前記アームAを動かすロボット制御装置30であって、
教示時の前記対象物O1の基準位置/姿勢を前記撮像部10が取得した撮像画像から検出する位置姿勢検出部43と、
第1作業時の前記対象物O1の検出位置/姿勢を前記撮像部10が取得した撮像画像から検出する位置姿勢検出部43と、
前記教示時の対象物O1の基準位置/姿勢と前記第1作業時の対象物O1の検出位置/姿勢とのロボット座標系における位置/姿勢ずれを算出し、当該位置/姿勢ずれに基づいて対象物O1の第1対象物座標系の原点/姿勢をずらす座標変換を行う変位/角度ベクトルとして算出する補正部44と、
前記座標変換を行った前記教示点情報を読み出すことによって前記アームAを移動させ第1作業を行うロボット制御部47と、
を備える、
ロボットシステム。」
(4)請求項1
ア 本件特許発明1と甲3発明の対比
(ア)甲3発明の「撮像部10」は本件特許発明1の「3次元計測カメラ」に相当し、以下同様に「アームA」は「ロボットアーム」に、「ロボット制御装置30」は「ロボット制御装置」に、「ロボットシステム」は「ロボット制御システム」に、それぞれ相当する。
(イ)甲3発明の「対象物O1」は本件特許発明1の「対象物体」に相当し、同様に「位置/姿勢」は「3次元位置」に、それぞれ相当する。
(ウ)甲3発明の「教示点情報」は本件特許発明1の「教示データ」に相当し、同様に「読み出して」は「再生することによって」に相当する。そして、甲3発明の「予め記憶した教示点情報」は本件特許発明1の「予め教示された教示データ」に相当する。
(エ)甲3発明の「基準位置/姿勢」は本件特許発明1の「基準位置」に、同様に「撮像部10が取得した撮像画像から検出する」は「3次元計測カメラから取得する」に相当する。ここで、甲3発明の(教示時における前記対象物O1の基準位置/姿勢を前記撮像部10が取得した撮像画像から検出する)「位置姿勢検出部43」は本件特許発明1の「基準位置取得部」に相当する。
(オ)甲3発明の「第1作業時」は「再生時」に相当し、同様に「検出位置/姿勢」は本件特許発明1の「再生位置」に相当する。ここで、甲3発明の(第1作業時における前記対象物O1の検出位置/姿勢を前記撮像部10が取得した撮像画像から検出する)「位置姿勢検出部43」は本件特許発明1の「再生位置取得部」に相当する。
(カ)甲3発明の「補正部44」は本件特許発明1の「ロボット制御部47」に相当する。
また、甲3発明の「前記教示時における対象物O1の基準位置/姿勢と前記第1作業時における対象物O1の検出位置/姿勢とのロボット座標系における位置/姿勢ずれを算出し」は、“対象物O1の基準位置/姿勢”と“対象物O1の検出位置/姿勢”を共通のロボット座標系上で照合し対比して“位置/姿勢ずれを算出”するものであるから、本件特許発明1の「前記基準位置取得部が取得した基準位置と前記再生位置取得部が取得した再生位置とを、それぞれロボット座標系での座標に変換した上でマッチングさせ」に相当する。
次いで、甲3発明の「当該位置/姿勢ずれに基づいて対象物O1の第1対象物座標系の原点/姿勢をずらす座標変換を行う」は、甲3の段落【0071】に“当該位置ずれに基づいて第1対象物座標系の原点の位置をずらす座標変換を行うとともに、当該姿勢ずれに基づいて第1対象物座標系の姿勢をずらす座標変換を行うことにより、教示点情報を補正する”と記載されており、教示点情報を、教示時の基準位置/姿勢と第1作業時の検出位置/姿勢の位置ずれに基づいて補正することが理解されることから、本件特許発明1の「基準位置の座標を再生位置の座標に変換する」に相当する。
そして、甲3発明の「変位/角度ベクトルとして算出する」と本件特許発明1の「座標変換行列を変換データとして算出する」を対比すると、前者の「変位/角度ベクトル」も変換データといえるから、両者は「変換データとして算出する」という点に限り一致する。
(キ)甲3発明の「前記教示点情報を読み出すことによって前記アームAを移動させ第1作業を行うロボット制御部47」は本件特許発明1の「前記教示データを再生することによって前記ロボットアームを動かす再生部」に相当する。
そして、甲3発明の「前記座標変換を行った前記教示点情報を読み出すことによって前記アームAを移動させ第1作業を行うロボット制御部47」と本件特許発明1の「教示時のロボットが扱う座標系である座標系Cを、前記変換データを用いて変換することで、再生時のロボットが扱う座標系である座標系C’を定義し、前記座標系Cを前記座標系C’に切り替える指示を前記ロボットアームに出すことにより、前記教示データに含まれる教示点の座標を再生時の座標としてそのまま用いて前記教示データを再生することによって前記ロボットアームを動かす再生部」とを対比すると、甲3発明の「座標変換」も上記(カ)の変換データを用いて行うものであるから、両者は「前記変換データを用いて変換した前記教示データを再生することによって前記ロボットアームを動かす再生部」という点に限り一致する。
イ 本件特許発明1と甲3発明の一致点及び相違点
したがって、本件特許発明1と甲3発明は次の点で一致する。
[一致点]
3次元計測カメラと、ロボットアームと、ロボット制御装置と、を備えるロボット制御システムであって、
前記対象物体の3次元位置を計測し、
前記ロボット制御装置は、
予め教示された教示データを再生することによって前記ロボットアームを動かすロボット制御装置であって、
教示時の前記対象物体の3次元位置である基準位置を前記3次元計測カメラから取得する基準位置取得部と、
再生時の前記対象物体の3次元位置である再生位置を前記3次元計測カメラから取得する再生位置取得部と、
前記基準位置取得部が取得した基準位置と前記再生位置取得部が取得した再生位置とを、それぞれロボット座標系での座標に変換した上でマッチングさせ、基準位置の座標を再生位置の座標に変換する変換データとして算出する変換データ算出部と、
前記変換データを用いて変換した前記教示データを再生することによって前記ロボットアームを動かす再生部と、
を備える、
ロボット制御システム。
ウ 本件特許発明1と甲3発明の相違点
そして、本件特許発明1と甲3発明は次の(ア)~(ウ)の点で相違する。
(ア)相違点1
本件特許発明1の「3次元計測カメラ」は、ロボットアームに取り付けられているのに対して、甲3発明の「3次元計測カメラ」(撮像部10)は、ロボットアーム(アームA)に取り付けられているか不明である点。
(イ)相違点2
基準位置の座標を再生位置の座標に変換する変換データについて、本件特許発明1が「座標変換行列」であるのに対して、甲3発明は「変位/角度ベクトル」である点。
(ウ)相違点3
変換データを用いて変換した教示データを再生することによってロボットアームを動かす再生部について、本件特許発明1が「教示時のロボットが扱う座標系である座標系Cを、前記変換データを用いて変換することで、再生時のロボットが扱う座標系である座標系C’を定義し、前記座標系Cを前記座標系C’に切り替える指示を前記ロボットアームに出すことにより、前記教示データに含まれる教示点の座標を再生時の座標としてそのまま用いて前記教示データを再生する」ものであるのに対して、甲3発明は「前記変換データを用いて変換した前記教示データを再生する」ものではあるものの、本件特許発明1のように教示時のロボットが扱う座標系である座標系Cを、再生時のロボットが扱う座標系である座標系C’に切り替えることはなく、教示データに含まれる教示点の座標を再生時の座標としてそのまま用いることもない点。
エ 相違点の検討
事案に鑑み、相違点3から検討する。
(ア)甲1について
甲1には、明細書の実施例1の段落【0015】~【0022】、図2の教示動作に関する記載、及び段落【0023】~【0036】、図3の再生動作に関する記載からみて、教示動作で取得した(S206)把持する対象物のマスタデータ、及び再生動作で取得した(S301)把持する対象物の計測データから。マスタデータに対する計測データの位置姿勢を計算して求めた修正量により、教示データを修正する(S303)ロボット制御方法が記載されている。
そして、この甲1記載のロボット制御方法は、このように教示データを修正した再生データにより、教示した動作を再生する点では、本件特許発明1と共通である。
しかしながら、特に段落【0034】には、教示データを修正する(S303)ことに関して、
「(S303)指令生成部111が、教示位置を修正量124にしたがって修正する。教示位置を同次変換行列の形にして、式3の行列を右からかけることによって変換したものが、修正した教示位置となる。すなわち、ロボット座標系から見た教示位置をRTtとすると、修正した教示位置RTt2は式4のようになる。
【数4】
[図:0001418201000005.jpg]
」
と記載されている。
そうすると、ここでの修正動作は、ロボット座標系から見た教示位置をRTtの座標を変換することで修正した教示位置RTt2としており、上記相違点3について、本件特許発明1のように教示時のロボットが扱う座標系である座標系Cを、再生時のロボットが扱う座標系である座標系C’に切り替えることはないし、教示データに含まれる教示点の座標を再生時の座標としてそのまま用いていないことも明らかである。
また、甲1の他の箇所、特に実施例2~7の記載をみても、少なくとも相違点3に係る本件特許発明1の技術的事項が記載も示唆もされていないことが明らかである。
したがって、甲3発明に、甲1記載の発明を適用しても、本件特許発明1とは相違点3において異なるから、本件特許発明1に想到することが容易であるとはいえない。
(イ)甲2について
甲2は、段落【0001】記載のとおり「ティーチングプレイバック方式のロボットの教示装置に関する」ものであって、段落【0005】記載のとおり「作業現場から離れた場所でも簡単にプレイバック時と同一の動作条件下で教示軌跡を修正でき、教示軌跡の修正作業に対する作業者の負担を軽減するロボットの教示補正装置を提供することを目的」とした教示補正装置について記載されている。
そして、甲2の教示補正装置は、【特許請求の範囲】に記載されているとおり「ロボットの教示点位置と現在位置と指令された修正位置に基づいて、あらかじめ定めた動作アルゴリズムに応じて前記ロボットに対する速度指令値を演算する修正動作演算手段」に対する「修正指令値入力手段を用いて、動作中の前記ロボットの教示点の修正及び教示軌跡の修正を行うことを特徴とするロボットの教示補正装置」であり、ロボットの教示点位置と現在位置から判断して、必要な場合に修正指令値を入力して、動作中のロボットの教示点の修正及び教示軌跡の修正をするものであるから、本件特許発明1のように教示時のロボットが扱う座標系である座標系Cを、再生時のロボットが扱う座標系である座標系C’に切り替えることや、教示データに含まれる教示点の座標を再生時の座標としてそのまま用いることとは、関係ないことが明らかであって、甲2の他の箇所をみても、少なくとも相違点3に係る本件特許発明1の技術的事項が記載も示唆もされていないことが明らかである。
したがって、甲3発明に、甲2記載の発明を適用しても、本件特許発明とは相違点3において異なるから、本件特許発明1に想到することが容易であるとはいえない。
(ウ)相違点の検討のまとめ
上記(ア)及び(イ)のとおりであるから、甲1~甲2のいずれにも相違点3について記載も示唆も無く、甲3発明に、甲1~甲2記載の発明のいずれか又は両方を適用しても、本件特許発明1と相違点3において相違する。 したがって、本件特許発明1は、相違点1~2を検討するまでもなく、甲3発明、及び甲1~甲2記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたとはいえないため、非採用申立理由3(甲3を主引用例とする進歩性の申立理由)によって、取り消すことはできない。
(5)請求項3、6、8
本件特許発明3、6、8は、いずれも請求項1に係る「ロボット制御システム」の発明を、それぞれ、「ロボット制御装置」、「ロボット制御方法」、「プログラム」として表現したものに相当し、これらの請求項に記載した発明特定事項と、請求項1に記載した発明特定事項とは、表現上の差異が存するのみであり、相違点3の再生部に係る事項、あるいは相違点3と同様の再生ステップに係る事項を備えるから、上記(4)で本件特許発明1について検討したのと同様の理由で、甲3発明、及び甲1~甲2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。よって、請求項3、6、8に係る特許は、非採用申立理由3(甲3を主引用例とする進歩性の申立理由)によって、取り消すことはできない。
(6)請求項2、4~5、7、9
本件特許発明2は本件特許発明1を引用する発明、本件特許発明4は本件特許発明3を引用する発明、本件特許発明7は本件特許発明6を引用する発明、及び本件特許発明9は本件特許発明8を引用する発明であり、それぞれ、本件発明1、本件特許発明3、本件特許発明6、及び本件特許発明8に対してさらに発明特定事項を追加したものであるから、本件特許発明2、4、7、9は、上記(4)~(5)で検討した本件発明1、3,6、8と同様に、甲3発明、及び甲1~甲2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本件特許発明5は、特許異議申立てにおける非採用申立理由3の対象ではないが、本件特許発明3を引用する発明であるから、やはり、非採用申立理由3によって取り消すことはできない。
したがって、請求項2、4~5、7、9に係る特許は、非採用申立理由3(甲3を主引用例とする進歩性の申立理由)によって、取り消すことはできない。
4 非採用申立理由4(新規性)及び非採用申立理由5(進歩性)
(1)特許異議申立書における申立理由4~5の要旨
ア <甲1を引用例とする新規性欠如の理由>
請求項1、3、5、6、8に係る発明は、甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1、3、5、6、8に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
イ <甲1を主引用例とする進歩性欠如の理由>
請求項1、3、5、6、8に係る発明は、甲1に記載された発明に基いて、請求項2、4、7、9に係る発明は、甲1及び甲2に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(2)上記(1)の申立理由4~5(甲1を引用例とする新規性欠如及び甲1を主引用例とする進歩性欠如)の検討
ア 本件特許発明1
上記3で検討したとおり、甲1には相違点3に係る本件特許発明1の技術的事項が記載も示唆もされていないから、本件特許発明1は甲1記載の発明と同一ではない。
そして、甲2にも相違点3に係る本件特許発明1の技術的事項が記載されていないから、甲1~甲2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
イ 本件特許発明3、6、8
そして、本件特許発明3、6、8に係る発明は、いずれも請求項1に係る「ロボット制御システム」の発明を、それぞれ、「ロボット制御装置」、「ロボット制御方法」、「プログラム」として表現したものに相当し、これらの請求項に記載した発明特定事項と、請求項1に記載した発明特定事項とは、表現上の差異が存するのみであり、相違点3の再生部に係る事項、あるいは相違点3と同様の再生ステップに係る事項を備えるから、甲1記載の発明と同一ではなく、甲1~2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
また、甲3にも甲1及び甲2と同様に相違点3に係る本件特許発明1の技術的事項が記載も示唆もされていないから、甲3を含めて検討しても、同様である。
よって、非採用申立理由4(甲1を引用例とする新規性の申立理由)、あるいは非採用申立理由5(甲1を主引用例とする進歩性の申立理由)によって、取り消すことはできない。
ウ 本件特許発明2、4~5、7,9
本件特許発明2は本件特許発明1を引用する発明、本件特許発明4~5は本件特許発明3を引用する発明、本件特許発明7は本件特許発明6を引用する発明、及び本件特許発明9は本件特許発明8を引用する発明であり、それぞれ、本件特許発明1、本件特許発明3、本件特許発明6、及び本件特許発明8に対してさらに発明特定事項を追加したものであるから、本件特許発明2、4~5、7、9は、本件特許発明1、3,6、8と同様に、非採用申立理由4(甲1を主引用例とする進歩性の申立理由)、あるいは非採用申立理由5(甲1を引用例とする新規性の申立理由)によって、取り消すことはできない。
5 小括
よって、請求項1~9に係る特許は、取消理由通知(決定の予告)においては採用しなかった特許異議申立書に記載された非採用申立理由1~5によって、取り消すことはできない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由、及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1~9に係る特許を取り消すことができない。そして、他に本件請求項1~9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700660