特許異議申立
2022-700115
ロボット制御方法およびロボット
- 審判番号
- 2022-700115
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-567485
- 登録番号
- 6917551
- 請求日
- 2022年02月10日
- 審決日
- 2023年10月17日
- 公報発行日
- 2024年02月22日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】パナソニックIPマネジメント株式会社
- 【権利者代理人】吉田 将明
- 【権利者代理人】鎌田 健司
- 【権利者代理人】野村 幸一
- 【異議申立人】釣 美根子
- 審判長/審判官
- 審判長 刈間 宏信
- 審判官 大山 健
- 審判官 田々井 正吾
- 分類
- P1651.537-YAA(B25J) / P1651.536-YAA(B25J) / P1651.121-YAA(B25J) / P1651.113-YAA(B25J)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第7項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第36条第4項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6917551号発明「ロボット制御方法およびロボット」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6917551号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2について訂正することを認める。
特許第6917551号の請求項1~2に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6917551号の請求項1~2に係る特許についての出願は、2018年(平成30年)2月8日(優先権主張 2017年2月13日)を国際出願日とする出願であって、令和3年7月26日にその特許権の設定登録がされ、同年8月11日に特許掲載公報が発行された。その後、請求項1~2に係る特許に対して、特許異議の申立て(以下「本件特許異議申立て」という。)があり、次のとおりに手続が行われた。
令和4年 2月10日 :特許異議申立人 釣 美根子(以下「申立人」という。)による請求項1~2に係る特許に対する本件特許異議の申立て
令和4年 5月31日付け:取消理由を通知
令和4年 8月 2日 :特許権者パナソニックIPマネジメント株式会社(以下「特許権者」という。)による訂正(以下「先の訂正」という。)の請求と意見書の提出
令和4年 8月30日付け:申立人へ先の訂正が請求された旨の通知
令和4年 9月30日 :申立人による意見書の提出
令和5年 1月24日 :面接審理
令和5年 2月28日付け:取消理由(決定の予告)を通知
令和5年 4月28日 :特許権者による訂正(以下「本件訂正」という。)の請求と意見書(以下「特許権者意見書」という。)の提出
令和5年 6月 8日付け:申立人へ本件訂正が請求された旨の通知
令和5年 7月14日 :申立人による意見書(以下「申立人意見書」という。)の提出
また、先の訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。
第2 本件訂正の適否
1 請求項1に係る訂正
(1)訂正事項
本件訂正のうち、特許請求の範囲の請求項1に係る訂正事項は、次のア~ウのとおりである。(下線は訂正箇所。)
ア 訂正事項1
本件訂正前の請求項1に「ロボットの少なくとも一部を覆う領域であるロボット監視モデルを設定し、」とあるのを、「ロボットの少なくとも一部を覆う領域であるロボット監視モデルを前記ロボットの座標系上で設定し、」に訂正する。
イ 訂正事項2
本件訂正前の請求項1に「前記ロボット監視モデルに含まれる任意の点である構成点の位置を、前記ロボットの座標系とは異なる座標系における位置に変換し、」とあるのを、「前記ロボット監視モデルに含まれる任意の点である構成点の位置に、前記ロボットの座標系から前記ロボットの座標系とは異なる座標系へ変換するための変換行列の逆行列をかけることにより、前記ロボットの座標系とは異なる座標系における位置に変換し、」に訂正する。
ウ 訂正事項3
本件訂正前の請求項1に「変換後の前記構成点の位置を用いて、前記ロボット監視モデルが前記監視領域の境界面に接触するか否かを判定し、」とあるのを、「変換後の前記構成点の位置を前記ロボットの座標系から見た位置と、前記ロボットの座標系に平行に設定された前記監視領域とを用いて、前記ロボット監視モデルに含まれる前記変換後の前記構成点の位置を前記ロボットの座標系から見た位置が前記監視領域の境界面に接触するか否かを前記ロボットの座標系上で判定し、」に訂正する。
(2)訂正事項1~3の訂正の適否の検討
訂正事項1~3に対して、特許法第120条の5第2項ただし書各号に掲げる事項を目的とするか否か、及び同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するか否かについて検討する。
なお、本件においては、本件訂正前の全ての請求項1~2について特許異議の申立てがされているので、訂正事項1~3については、いずれも特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
ア 訂正事項1
(ア)訂正の目的
訂正事項1に係る訂正は、本件訂正前の請求項1における「ロボットの少なくとも一部を覆う領域であるロボット監視モデル」が、同請求項のロボットの座標系と、ロボットの座標系とは異なる座標系のいずれで設定されるかが規定されていないところ、ロボットの座標系であることを明確化するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)特許請求の範囲の拡張・変更
訂正事項1に係る訂正は、上記(ア)のとおり明瞭でない記載の釈明をするものであって、カテゴリーや対象、目的の変更を伴うものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(ウ)新規事項
訂正事項1に関し、請求項1のロボット監視モデルについて、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)の段落【0020】には「ステップST5において、セーフティユニット11はステップST4で計算したモータ位置に基づいてロボットの座標系(以下、「ロボット座標系」という)におけるロボット監視モデルおよび監視領域の位置を計算する。」との記載がされている。
この記載から、ロボット監視モデルについては、ロボットの座標系で設定されることが把握されるから、訂正事項1に係る「ロボットの少なくとも一部を覆う領域であるロボット監視モデルを前記ロボットの座標系上で設定し、」は、本件明細書等に記載した事項であるといえる。
したがって、上記訂正事項1に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
イ 訂正事項2
(ア)訂正の目的
訂正事項2に係る訂正は、本件訂正前の請求項1における「前記ロボット監視モデルに含まれる任意の点である構成点の位置を、前記ロボットの座標系とは異なる座標系における位置に変換し、」の発明特定事項について、ロボットの座標系からロボットの座標系とは異なる座標系へ変換するための変換行列の逆行列をかけることが変換の手段であることを明確化するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)特許請求の範囲の拡張・変更
訂正事項2に係る訂正は、上記(ア)のとおり明瞭でない記載の釈明をするものであって、カテゴリーや対象、目的の変更を伴うものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(ウ)新規事項
訂正事項2に関し、請求項1のロボット監視モデルの構成点の変換手段に関し、本件明細書等の段落【0052】には、以下の記載がある。
「【0052】
そこで、本実施形態では、(式5)の変換計算をロボット監視モデルに対してのみ行い、監視領域は変更しない。そのため、ロボット監視モデルの位置のみが変わるので、ステップST6の判定処理は変更しないで済むようになる。」
そして、段落【0052】の(式5)は、以下のとおりである。
「【0043】
【数2】
[図:0001406662000001.jpg]
」
これらを考慮すると、段落【0052】における「(式5)の変換計算をロボット監視モデルに対してのみ行うこと」は、ロボット監視モデルに含まれる任意の点である構成点の位置に、ロボットの座標系からロボットの座標系とは異なる座標系へ変換するための変換行列の逆行列をかけることにほかならない。
したがって、上記訂正事項2に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
ウ 訂正事項3
(ア)訂正の目的
訂正事項3に係る訂正は、本件訂正前の請求項1における「変換後の前記構成点の位置を用いて、前記ロボット監視モデルが前記監視領域の境界面に接触するか否かを判定」することについて、ロボット監視モデルに含まれる前記変換後の構成点の位置をロボットの座標系から見た位置が、ロボットの座標系に平行に設定された監視領域の境界面に接触するか否かを、ロボット座標系上で判定するものであることを明確化するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)特許請求の範囲の拡張・変更
訂正事項3に係る訂正は、上記(ア)のとおり明瞭でない記載の釈明をするものであって、カテゴリーや対象、目的の変更を伴うものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(ウ)新規事項
訂正事項3に関し、本件明細書等の段落【0052】には、(式5)の変換計算をロボット監視モデルに対してのみ行って、ロボット監視モデルの位置のみを変える一方、監視領域は変更しないことで、ステップST6の判定処理は変更しないで済むことが示されており(上記イ(ウ))、さらに、段落【0053】には、以下の記載がある。
「【0053】
この時のロボット監視モデルと監視領域との位置関係を示したものが図8Bである。図8Bは、監視領域26は変更せず、変換処理をロボット監視モデルに対してのみ行った場合の変換後のロボット監視モデル34を示している。」
上記段落【0052】及び【0053】のとおり、ロボット監視モデルの位置のみが、ロボット座標系において変更されており、監視領域は、ロボット座標系において、平行に位置しており(段落【0020】及び図5)、ステップST6の判定処理は、ロボット座標系において判定する(段落【0031】)から、訂正事項3に係る「変換後の前記構成点の位置を前記ロボットの座標系から見た位置と、前記ロボットの座標系に平行に設定された前記監視領域とを用いて、前記ロボット監視モデルに含まれる前記変換後の前記構成点の位置を前記ロボットの座標系から見た位置が前記監視領域の境界面に接触するか否かを前記ロボットの座標系上で判定」することは、本件明細書等に記載した事項である。
したがって、上記訂正事項3に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
2 請求項2に係る訂正
(1)訂正事項
本件訂正のうち、特許請求の範囲の請求項2に係る訂正事項は、次のア~ウのとおりである。(下線は訂正箇所。)
ア 訂正事項4
本件訂正前の請求項2に「前記ロボット本体の少なくとも一部を覆う領域であるロボット監視モデルを設定し、」とあるのを、「前記ロボット本体の少なくとも一部を覆う領域であるロボット監視モデルを前記ロボット本体の座標系上で設定し、」に訂正する。
イ 訂正事項5
本件訂正前の請求項2に「前記ロボット監視モデルに含まれる任意の点である構成点の位置を、前記ロボットの座標系とは異なる座標系における位置に変換し、」とあるのを、「前記ロボット監視モデルに含まれる任意の点である構成点の位置に、前記ロボット本体の座標系から前記ロボット本体の座標系とは異なる座標系へ変換するための変換行列の逆行列をかけることにより、前記ロボット本体の座標系とは異なる座標系における位置に変換し、」に訂正する。
ウ 訂正事項6
本件訂正前の請求項2に「変換後の前記構成点の位置を用いて、前記ロボット監視モデルが前記監視領域の境界面に接触するか否かを判定し、」とあるのを、「変換後の前記構成点の位置を前記ロボット本体の座標系から見た位置と、前記ロボット本体の座標系に平行に設定された前記監視領域とを用いて、前記ロボット監視モデルに含まれる前記変換後の前記構成点の位置を前記ロボット本体の座標系から見た位置が前記監視領域の境界面に接触するか否かを前記ロボット本体の座標系上で判定し、」に訂正する。
(2)訂正事項4~6の訂正の適否の検討
請求項2に係る発明は、「ロボット」という物の発明であるが、請求項1に係る「ロボット制御方法」という方法の発明と比較すると、請求項2においては、ロボット制御の主体である「制御装置」が記載される等の発明のカテゴリーの差違による表現上の差違のみが存在するに過ぎない。そして、請求項2に対する訂正事項4~6は、請求項1に対する訂正事項1~3と同様の訂正をしようとするものであるから、上記1(2)ア~ウで検討した訂正事項1~3と同様に、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とし、また、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
なお、訂正事項4~6については、訂正事項1~3と同様に、いずれも特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
3 明細書に係る訂正
(1)訂正事項
本件訂正のうち、願書に添付した明細書に係る訂正は、次のア~イのとおりである。(下線は訂正箇所。)
ア 訂正事項7
本件訂正前の明細書の段落【0051】に「具体例として、図6Aの監視領域48をZ軸まわりにθ回転した場合の変換後の監視領域52と球モデル49との関係を図6Cに示している。この図から分かるように、X方向またはY方向において、球モデル49の中心から安全と非安全とを分ける監視領域48の境界面までの距離は、球の半径Rよりも大きい。そのため、球モデル49が監視領域48内に存在する場合の判定式である(式1)および(式2)を満たしている。それにも関わらず、球モデル49の一部は監視領域48外に出ている。球モデル49の一部が監視領域48の外部に出ていれば、それは非安全と判定されるべきである。」とあるのを、「具体例として、図6Aの監視領域48をZ軸まわりにθ回転した場合の変換後の監視領域52と球モデル49との関係を図6Cに示している。この図から分かるように、X方向またはY方向において、球モデル49の中心から安全と非安全とを分ける監視領域52の境界面までの距離は、球の半径Rよりも大きい。そのため、球モデル49が監視領域52内に存在する場合の判定式である(式1)および(式2)を満たしている。それにも関わらず、球モデル49の一部は監視領域52外に出ている。球モデル49の一部が監視領域52の外部に出ていれば、それは非安全と判定されるべきである。」と訂正する。
イ 訂正事項8
本件訂正前の明細書の段落【0054】に「図8Bのロボット監視モデル27と監視領域26との位置関係は図10で監視領域を変換した場合の位置関係と一致している。しかし、監視領域26はロボット座標系25と平行に配置されているため、従来の計算処理をそのまま使用しながら、変換したロボット監視モデルで接触判定をすることができることが分かる。」とあるのを、「図8Bのロボット監視モデル34と監視領域26との位置関係は図10で監視領域を変換した場合の位置関係と一致している。しかし、監視領域26はロボット座標系25と平行に配置されているため、従来の計算処理をそのまま使用しながら、変換したロボット監視モデルで接触判定をすることができることが分かる。」と訂正する。
(2)訂正事項7~8の訂正の適否の検討
ア 訂正事項7
(ア)訂正の目的
訂正事項7に係る訂正は、本件訂正前の明細書の段落【0051】に記載の「監視領域」について、図6Cの符号を引用して「監視領域52」と記載すべきところを「監視領域48」と誤って記載していることから、これを訂正するものであって、特許法第120条の5第2項ただし書き第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものである。
(イ)特許請求の範囲の拡張・変更
訂正事項7に係る訂正は、上記(ア)のとおり誤記の訂正をするものであって、カテゴリーや対象、目的の変更を伴うものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(ウ)新規事項
訂正事項7に関し、ロボット監視モデルについて、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件当初明細書等」という。)の図6Cでは監視領域に「52」の符号が使用されており、「監視領域52」は本件当初明細書等に記載した事項であるといえる。
したがって、上記訂正事項7に係る訂正は、本件当初明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(エ)請求項との関係
訂正事項7に係る明細書の訂正は、請求項1及び2に係るものである。
イ 訂正事項8
(ア)訂正の目的
訂正事項8に係る訂正は、本件訂正前の明細書の段落【0054】に記載の「ロボット監視モデル」について、図8Bの符号を引用して「ロボット監視モデル34」と記載すべきところを「ロボット監視モデル27」と誤って記載していることから、これを訂正するものであって、特許法第120条の5第2項ただし書き第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものである。
なお、訂正請求書第8~9ページの「監視領域34」との記載は、「ロボット監視モデル34」の誤記と認める。
(イ)特許請求の範囲の拡張・変更
訂正事項8に係る訂正は、上記(ア)のとおり誤記の訂正をするものであって、カテゴリーや対象、目的の変更を伴うものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(ウ)新規事項
訂正事項8に関し、請求項1のロボット監視モデルについて、本件当初明細書等の図8Bではロボット監視モデルに「34」の符号が使用されており、「ロボット監視モデル34」は本件当初明細書等に記載した事項であるといえる。
したがって、上記訂正事項8に係る訂正は、本件当初明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(エ)請求項との関係
訂正事項8に係る明細書の訂正は、請求項1及び2に係るものである。
4 小括
したがって、上記の訂正事項1~8に係る訂正は、いずれも特許法第120条の5第2項ただし書各号に掲げる事項を目的とするものであり、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、本件訂正後の請求項1~2について訂正することを認める。
第3 本件発明
第2のとおり、本件訂正の請求は認められたから、本件請求項1~2に係る発明は、訂正特許請求の範囲の請求項1~2に記載した以下の事項により特定されるとおりのものである。(以下、本件請求項1に係る発明を「本件発明1」、同様に本件請求項2に係る発明を「本件発明2」という。また、本件発明1~2に係る発明をまとめて「本件発明」ということがある。なお、本件発明1については、特許権者意見書第4~5ページに倣って、「A」~「F」の構成に分説する。)
「【請求項1】
A ロボットの少なくとも一部を覆う領域であるロボット監視モデルを前記ロボットの座標系上で設定し、
B 前記ロボットの動作可能範囲を監視するための監視領域を、前記ロボットの座標系に平行に設定し、
C 前記ロボット監視モデルに含まれる任意の点である構成点の位置に、前記ロボットの座標系から前記ロボットの座標系とは異なる座標系へ変換するための変換行列の逆行列をかけることにより、前記ロボットの座標系とは異なる座標系における位置に変換し、
D 変換後の前記構成点の位置を前記ロボットの座標系から見た位置と、前記ロボットの座標系に平行に設定された前記監視領域とを用いて、前記ロボット監視モデルに含まれる前記変換後の前記構成点の位置を前記ロボットの座標系から見た位置が前記監視領域の境界面に接触するか否かを前記ロボットの座標系上で判定し、
E 接触する場合は前記ロボットの動作を停止させる
F ロボット制御方法。
【請求項2】
ロボット本体と、
前記ロボット本体を制御する制御装置とを備えるロボットであって、
前記制御装置は、
前記ロボット本体の少なくとも一部を覆う領域であるロボット監視モデルを前記ロボット本体の座標系上で設定し、
前記ロボット本体の動作可能範囲を監視するための監視領域を、前記ロボット本体の座標系に平行に設定し、
前記ロボット監視モデルに含まれる任意の点である構成点の位置に、前記ロボット本体の座標系から前記ロボット本体の座標系とは異なる座標系へ変換するための変換行列の逆行列をかけることにより、前記ロボット本体の座標系とは異なる座標系における位置に変換し、
変換後の前記構成点の位置を前記ロボット本体の座標系から見た位置と、前記ロボット本体の座標系に平行に設定された前記監視領域とを用いて、前記ロボット監視モデルに含まれる前記変換後の前記構成点の位置を前記ロボット本体の座標系から見た位置が前記監視領域の境界面に接触するか否かを前記ロボット本体の座標系上で判定し、
接触する場合は前記ロボット本体の動作を停止させる
ロボット。」
第4 当審の令和5年2月28日付け取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由
令和5年2月28日付け取消理由通知(決定の予告)(以下、単に「決定の予告」という。)では、以下の1~2を要旨とする取消理由を通知した。
1 令和4年5月31日付け取消理由通知で通知し、先の訂正で解消していない取消理由
(明確性)本件特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(1)理由1
訂正前の請求項1における「前記ロボットの動作可能範囲を監視するための監視領域を、前記ロボットの座標系に平行に設定し、」との発明特定事項と、訂正前の請求項1における「前記ロボット監視モデルに含まれる任意の点である構成点の位置を、前記ロボットの座標系とは異なる座標系における位置に変換し、変換後の前記構成点の位置を用いて、」との発明特定事項との間の技術的関係を明確に把握することができない(決定の予告第4~5における理由1の1。以下「理由1」という。)。
(2)理由2
訂正前の請求項1における「前記ロボットの動作可能範囲を監視するための監視領域を、前記ロボットの座標系に平行に設定し、前記ロボット監視モデルに含まれる任意の点である構成点の位置を、前記ロボットの座標系とは異なる座標系における位置に変換し、変換後の前記構成点の位置を用いて、前記ロボット監視モデルが前記監視領域の境界面に接触するか否かを判定し、」との発明特定事項からは、「監視領域」と「ロボット監視モデルに含まれる任意の点である構成点の位置」は同一の座標系には存在しないと解されるが、同一の座標系には存在しない「監視領域」と「ロボット監視モデルに含まれる任意の点である構成点の位置」をどのように比較するのかが明らかでない(決定の予告第4~5における理由1の2。以下「理由2」という。)。
(3)理由3
訂正前の請求項2における「前記ロボット本体の動作可能範囲を監視するための監視領域を、前記ロボット本体の座標系に平行に設定し、」との発明特定事項と、訂正前の請求項2における「前記ロボット監視モデルに含まれる任意の点である構成点の位置を、前記ロボットの座標系とは異なる座標系における位置に変換し、変換後の前記構成点の位置を用いて、」との発明特定事項の間の技術的関係を明確に把握することができない(決定の予告第4~5における理由2の1。以下「理由3」という。)。
(4)理由4
訂正前の請求項2における「前記ロボット本体の動作可能範囲を監視するための監視領域を、前記ロボット本体の座標系に平行に設定し、前記ロボット監視モデルに含まれる任意の点である構成点の位置を、前記ロボットの座標系とは異なる座標系における位置に変換し、変換後の前記構成点の位置を用いて、前記ロボット監視モデルが前記監視領域の境界面に接触するか否かを判定し、」との発明特定事項からは、「監視領域」と「ロボット監視モデルに含まれる任意の点である構成点の位置」は同一の座標系には存在しないと解されるが、同一の座標系には存在しない「監視領域」と「ロボット監視モデルに含まれる任意の点である構成点の位置」をどのように比較するのかが明らかでない(決定の予告第4~5における理由2の2。以下「理由4」という。)。
2 決定の予告で新たに通知した取消理由の要旨
(1)理由5
(サポート要件)本件特許は、特許請求の範囲が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
本件発明1~2が解決しようとする課題は、従来の技術では、安全領域をロボット座標系と平行に設定していたため、安全領域が必要以上に大きくなってしまい、ロボットの動作可能な領域の比率が低下したことであると解される(【0006】)。
そして、当該課題は、監視領域を従来の大きさ(監視領域をロボット座標系と平行に設定することで必要以上に設定された大きさ)よりも、小さく設定することで解決されるというほかないが、監視領域を従来の大きさよりも、小さく設定することは、本件発明1~2に特定されていないし、発明の詳細な説明にも記載されていない(決定の予告第6における理由1。以下「理由5」という。)。
(2)理由6~7
(明確性)本件特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
ア 理由6
請求項1における「前記ロボットの動作可能範囲を監視するための監視領域を、前記ロボットの座標系に平行に設定し、・・・、変換後の前記構成点の位置と、前記ロボットの座標系に平行に設定された前記監視領域とを用いて・・・」との発明特定事項から、「監視領域」は、ロボットの座標系に平行に設定されて、他の座標系に変換されないものと理解される。 他方、請求項1における「前記監視領域に変換行列をかけた領域を設定する場合」との発明特定事項から、「監視領域」は、変換行列がかけられて、他の座標系に変換されるものと理解される。
そうすると、「監視領域」に関し、請求項1の発明特定事項から理解される内容が整合しないため、発明の内容が不明確である(決定の予告第6における理由2(1)。以下「理由6」という。)。
よって、本件発明1は明確でない。
イ 理由7
上記アと同様に、請求項2における「前記ロボット本体の動作可能範囲を監視するための監視領域を、前記ロボット本体の座標系に平行に設定し、・・・、変換後の前記構成点の位置と、前記ロボット本体の座標系に平行に設定された前記監視領域とを用いて・・・」との発明特定事項から理解される内容と、請求項2における「前記監視領域に変換行列をかけた領域を設定する場合」との発明特定事項から理解される内容が整合しないため、発明が不明確である(決定の予告第6における理由2(2)。以下「理由7」という。)。
第5 当審の判断
1 理由1について
本件訂正により、本件発明1は、「前記ロボット監視モデルに含まれる任意の点である構成点の位置に、前記ロボットの座標系から前記ロボットの座標系とは異なる座標系へ変換するための変換行列の逆行列をかけることにより、前記ロボットの座標系とは異なる座標系における位置に変換」すること(以下「本件構成C」という。)、及び「変換後の前記構成点の位置を前記ロボットの座標系から見た位置と、前記ロボットの座標系に平行に設定された前記監視領域とを用いて、前記ロボット監視モデルに含まれる前記変換後の前記構成点の位置を前記ロボットの座標系から見た位置が前記監視領域の境界面に接触するか否かを前記ロボットの座標系上で判定」すること(以下「本件構成D」という。)が明確化された。
この明確化により、特許権者意見書の5(4)(4-1)イ「(認定1)について」(第5ページ第3行~第7ページ第5行)にも記載されているように、本件発明1は、監視領域をロボット座標系に対して+θ回転させる変換を行う代わりに、ロボット座標系から見たロボット監視モデルの構成点の位置を-θ回転させる変換(逆変換)を行うもの(段落【0052】及び図8B)であり、この逆変換後の構成点の位置と監視領域の位置との相対的な位置関係(図8Bの位置関係)は、監視領域をロボット座標系に対して+θ回転させる変換を行った位置とロボット監視モデルの構成点の位置との相対的な位置関係(図10の位置関係)に一致するものである(段落【0054】)。
そして、ユーザー座標系からみたロボット監視モデルの構成点の位置(言い換えると、逆変換を行ったロボット監視モデルの構成点の位置)をロボット座標系へ変換する(言い換えると、逆変換後のロボット監視モデルの構成点の位置をロボット座標系から見る)ことにより、ロボット座標系上でのロボット監視モデルと監視領域との接触判定が、既存の判定処理を変更せずに行えることが認められる(本件構成Cの「前記ロボット座標系とは異なる座標系における位置に変換し」という記載は、逆変換後のロボット監視モデルの構成点の位置と監視領域の位置との位置関係が、ユーザー座標系の監視領域の位置とロボット監視モデルの構成点の位置との位置関係に一致することを言い換えている表現であり、ロボット監視モデルの構成点の位置をユーザー座標系における位置に実際に変換することを意味するものではない。)。
すなわち、ロボット監視モデルに含まれる任意の点である構成点の位置について逆変換を行い、その逆変換後の位置が、ロボットの座標系とは異なる座標系であるユーザー座標系からみたロボット監視モデルの位置に相当することで、ロボット座標系のX軸、Y軸、Z軸がユーザー設備(ユーザー座標系)のX軸、Y軸、Z軸に対して平行でない場合を規定することができ、接触判定では当該構成点をロボット座標系から見ることで、ロボット座標系上のX軸、Y軸、Z軸がユーザー設備のX軸、Y軸、Z軸に対してそれぞれ平行である場合と同様に、既存の判定処理を変更せずに、ロボット監視モデルとロボットの座標系に平行に設定した監視領域との接触の判定を行うことができるものであることが理解される。
したがって、本件発明1において、上記本件構成C及びD、並びに特許権者意見書の内容からみて、構成点の位置を「ロボットの座標系とは異なる座標系における位置に変換」することについては、構成点の位置をロボットの座標系からロボットの座標系とは異なる座標系(ユーザー座標系)における位置に実際に変換することを意味するのではなく、逆変換後のロボット監視モデルの構成点の位置と監視モデルの位置との相対的な位置関係(図8Bの位置関係)が、ユーザー座標系の監視領域の位置とロボット監視モデルの構成点の位置との相対的な位置関係(図10の位置関係)に一致すること(段落【0054】)を言い換えている意味であることが理解できるようになり、また接触判定にあたっては構成点の位置をロボット座標系からみるものであることが理解できるようになったことで、ロボット監視モデルと監視領域との接触判定がロボット座標系上で行われることが明確化され、監視領域をロボットの座標系に平行に設定することの技術的な意味が把握されるから、理由1は解消した。
2 理由2について
本件訂正により、本件発明1は、本件構成Dが明確化され、「監視領域」と「ロボット監視モデルに含まれる任意の点である構成点の位置」が、同一のロボットの座標系上で比較され、接触判定が行われることが理解できるようになったから、理由2は解消した。
3 理由3、及び理由4について
請求項2に対して通知した理由3、及び理由4について、上記第2の2(2)で説示したとおり、請求項2に係る発明は、「ロボット」という物の発明であるが、請求項1に係る「ロボット制御方法」という方法の発明とは、発明のカテゴリーの差違による表現上の差違のみが存在するのみに過ぎないところ、当該理由3、及び理由4は、それぞれ上記1~2で検討した理由1、及び理由2と実質的に同じ内容であるから、解消したものと認められる。
4 理由5について
本件発明1~2の課題に関し、明細書段落【0006】には、「しかしながら、特許文献1の技術では、ロボットの座標系のX軸、Y軸、Z軸がユーザー設備のX軸、Y軸、Z軸に対してそれぞれ平行であることを前提として、ロボットの可動範囲全体を含むように安全領域が設定される。そのため、ロボットの座標系のX軸、Y軸、Z軸がユーザー設備のX軸、Y軸、Z軸に対して平行でない場合も、ロボットの可動範囲全体が含まれるように安全領域が設定されてしまう。そうすると、安全領域が大きくならざるを得ず、その安全領域内には本来は必要でない余計な非安全領域ができてしまい、ロボットの動作可能な領域の比率が低下する。」と記載されている。
これに対して、本件発明1~2においては、監視領域を、ロボットの座標系に対して平行に設定し、ロボット監視モデルの構成点の位置を逆変換することで、ロボット座標系に対して平行でないユーザー座標系からみたロボット監視モデルの構成点の位置と同様の位置関係とすることができる(段落【0054】)から、ロボットの可動範囲全体が含まれるように安全領域を設定しても、本来は必要でない余計な範囲が含まれないように設定することができる(特許権者意見書の5(4)エ「(認定3)について」も参照のこと。)。
したがって、上記段落【0006】記載の課題を解決するものであるから、本件発明1~2は、発明の詳細な説明に記載した発明といえ、理由5は解消した。
5 理由6について
本件訂正により、本件構成Cが明確化され、「前記監視領域に変換行列をかけた領域を設定する場合」の発明特定事項を含まなくなったから、理由6は解消したことが明らかである。
6 理由7について
上記理由6と同様に、請求項2は、「前記監視領域に変換行列をかけた領域を設定する場合」の発明特定事項を含んでいないから、理由7は解消したことが明らかである。
第6 取消理由として採用しなかった特許異議申立理由
1 取消理由として採用しなかった特許異議申立理由の概要
(1)理由A
(新規性)本件請求項1~2に係る発明は、甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件請求項1~2に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(2)理由B
(進歩性)本件請求項1~2に係る発明は、甲1~甲3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1~2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(3)理由C
(実施可能要件)本件特許は、明細書の記載が不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(4)理由D
(サポート要件)本件特許は、特許請求の範囲が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(5)理由E
(明確性)本件特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
2 申立人が提出した証拠及び各甲号証の記載
(1)申立人が提出した証拠
ア 甲第1号証及び抄訳文:Seung-Min Baek et al、"Systems and Algorithms for Development of the Robot Safety Function"、2012 9th International Conference on Ubiquitous Robots and Ambient Intelligence (URAI)、IEEE、2012年11月、p.471-475
イ 甲第2号証:特開昭59-189415号公報
ウ 甲第3号証:特開2016-59980号公報
(以下、甲第1号証を「甲1」、同様に甲第2号証、及び甲第3号証をそれぞれ「甲2」、及び「甲3」という。)
(2)各甲号証の記載事項
ア 甲1の記載内容(申立人提出の抄訳文による)
(ア)「ロボットの安全機能システムは、マニピュレータと、ロボットコントローラと、安全機能監視と機能安全通信のための回路基板と、図1に示された安全パラメータを設定するツールからなる従来から知られたロボットシステムで構成されている。」(2章 第1行目~第5行目)
(イ)「安全空間内では、セル領域または直交監視空間でロボットツールを監視するために、ロボットのツールは、両端の半球と中央の円筒により図2のように構成されたカプセル型に簡略化される。」(3.1節 第2行目~第6行目)
(ウ)「セル領域または直交監視空間のためのアルゴリズムは、ツールカプセルの全容積を監視するように設計されているので、ツールカプセルがロボットツールの全体を包み込むように定義されている場合、三次元空間における監視機能は完全に動作する。」(3.1節 第6行目~第11行目)
(エ)「直交作業空間は特定の作業を実行するための三次元領域であり、ロボットツールは直交作業空間を離れることができない。これに対して、直交保護空間はロボットツールから保護される三次元領域である。」(3.3節 第4行目~第9行目)
(オ)「それから、2つの球の中心位置が、直交監視空間の座標系に変換される。」(4章 第11行目~第13行目)
(カ)「直交作業空間の場合、ツールカプセルが直交作業空間から脱出するとロボットの緊急停止が実行される。これに対して、直交保護空間の場合、ツールカプセルが直交保護空間に侵入するとロボットは停止する。」(4章 第13行目~第18行目)
(キ)「ベース座標系における2つの球の中心位置が、式(1)により直交監視空間の座標系に変換される場合、直方体の特性によりツールカプセルと直交監視空間の重なりが容易に確認できる。」(4.1節 第4行目~第9行目)
(ク)「球と直交作業空間との重なりは、式(2-1)、式(2-2)及び式(2-3)のような簡潔な条件式を用いて調べられる。」(4.2節 第6行目~第9行目)
(ケ)「2つの球のいずれかの球が保護空間と重なる場合、ツールカプセルは保護空間に侵入する。式(3-1)、式(3-2)及び式(3-3)はこの文を満たすための条件である。」(4.3節 第4行目~第7行目)
(コ)上記(ア)~(ケ)より、甲1には以下の発明が記載されているといえる。
「ロボットを包み込むツールカプセルを設計し、前記ロボットを監視するための直交作業空間を設定し、前記ツールカプセルと直交作業空間の重なりを判定し、重なる場合は前記ロボットの動作を停止させるロボット制御方法。」(以下「甲1発明」という。)
イ 甲2記載の記載内容
(ア)「〔発明の目的〕
「本発明は上述の事柄にもとづいてなされたもので、ロボットと作業対象個所との相対的な位置関係が異っても、予め教示した作業内容を実行させることができるロボットの動作教示方法を提供することを目的とする。
〔発明の概要〕
本発明の1つの特徴とするところは、同一の作業対象個所にそれぞれ移動されてその個所の作業を行う工業用ロボットにおいて、第2以降の作業対象個所に対して作業の再生を行う際に、この第2以降の作業対象個所上における第1の作業対象個所上の基準参照情報に対応する比較参照情報を教示し、この教示によって得られた第2以降の作業対象個所とロボットとの位置関係を演算し、この演算値によって第1の作業対象個所における作業内容を、第2以降の作業対象個所の作業に適応するように補正することを特徴とする工業用ロボットの動作教示方法にある。」(第3ページ右上欄第3行~左下欄第1行)
(イ)「ロボットRの座標系とこれに対応する作業対象個所の座標系との2軸が平行である場合には、2軸の平行移動の座標変換が可能であるので、ロポットRによる一方の作業対象上の教示のための基準参照点は任意の一点でよく、これにともなって他方の作業対象上の比較参照点も基準参照点に対応する位置に設定すれば足りるものである。」(第8ページ右下欄第9~16行)
(ウ)上記(ア)~(イ)より、甲2には以下の事項が記載されていると言える。
「ロボットRの座標系と作業対象個所の座標系との2軸が平行である場合には、2軸の平行移動の座標変換が可能であること。」(以下「甲2記載の技術的事項」という。)
ウ 甲3記載の記載内容
(ア)発明の詳細な説明
「【0003】
通常、ロボットの制御装置は動作監視機能を備えている。ロボットの制御点またはロボットの着目部位が予め設定された動作監視領域から逸出する場合には、この動作監視機能によって、ロボットを停止させる。その結果、ロボットの制御点またはロボットの着目部位などが周辺機器に衝突するのが防止される。
【0004】
そのような動作監視領域は、球体モデルまたは直方体モデルとして教示制御盤またはコンピュータの表示部に一緒にロボットの三次元モデル等と一緒に表示される。・・・
・・・
【0016】
ここで、動作監視領域Zとは、ロボットRの制御点または着目部位が動作を行うべき領域である。言い換えれば、ロボットRの制御点などは動作監視領域Z内に留まるよう制御される必要がある。あるいは、ロボットRの制御点などが進入できない領域、ロボットの制御点などの速度が制限される領域、またはロボットRの制御点などが進入した場合に信号が出力される領域を動作監視領域Zとしてもよい。以下においては、ロボットRの制御点などが動作を行うべき領域が動作監視領域Zであるものとして説明する。
・・・
【0027】
図3Bに示されるように、直方体の動作監視領域モデルZmの場合には、中心Oと、中心OからXYZ方向にそれぞれ延びる直方体の辺の先端に位置する点X、Y、Zとの四つの点が基準部位として設定されている。・・・
・・・
【0029】
・・・このようにして、動作監視領域モデルZmで囲まれた表示部11内の領域はロボットRが認識可能な座標値に変換され、それにより、動作監視領域Zが設定されるようになる。」
(イ)図面
「【図3B】
[図:0001406662000002.jpg]
」
(ウ)上記(ア)~(イ)より、甲3には以下の事項が記載されていると言える。
「ロボットの動作可能範囲を監視するための監視領域(動作監視領域Z)を、ロボットの座標系に平行に設定すること。」(以下「甲3記載の技術的事項」という。)
3 理由A(新規性)の検討
(1)本件発明1について
ア 本件発明1と甲1発明の対比
本件発明1と甲1発明を対比すると、甲1発明においてもロボット監視モデルとしての「ツールカプセル」はロボットの座標系上で設定することが明らかであるから、両発明は、以下の点で一致及び相違するといえる。
イ 一致点(本件発明1の用語の隣の( )内に甲1発明の用語を記載した。)
a ロボットの少なくとも一部を覆う領域であるロボット監視モデル(ツールカプセル)を前記ロボットの座標系上で設定し、
b 前記ロボットの動作可能範囲を監視するための監視領域(直交作業空間)を、前記ロボットの座標系に平行に設定し、
d 前記ロボット監視モデルに含まれる任意の点である構成点の位置が前記監視領域の境界面に接触するか否か(ツールカプセルと直交作業空間の重なり)を前記ロボットの座標系上で判定し、
e 接触する(重なる)場合は前記ロボットの動作を停止させる
f ロボット制御方法。
ウ 相違点
本件発明1は、本件構成C及びDを備えているのに対して、甲1発明は、本件構成C及びDを備えていない点。
エ 理由Aに対する判断
甲1発明は、本件構成C及びDを備えていないから、本件発明1は、甲1発明であるとはいえない。
(2)本件発明2について
本件発明2は、本件構成C及びDと同様の構成を備えているから、本件発明1と同様に、本件発明2は、甲1発明であるとはいえない。
(3)理由Aの小括
したがって、本件発明1~2に係る特許は、特許異議申立書に記載した理由Aによって取り消すことはできない。
4 理由B(進歩性)の検討
(1)本件発明1について
ア 本件構成C及びDに係る相違点の判断
甲1発明は、本件構成C及びDを備えておらず、この点で本件発明1と異なるが、甲1全体の記載をみても、当該本件構成C及びDを示唆する記載を見出すことができない。
さらに、甲2~甲3についてみても、甲2記載の技術的事項(上記2(2)イ(ウ))、及び甲3記載の技術的事項(上記2(2)ウ(ウ))は備えるものの、本件構成C及びDは記載も示唆もされておらず、また、他にこれらの技術的事項が容易であるとする証拠や技術常識の存在も認められないから、本件発明1が、甲1~甲3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(2)本件発明2について
本件発明2は、本件構成C及びDと同様の構成を備えているから、本件発明1と同様に、本件発明2が、甲1~甲3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(3)理由Bの小括
したがって、本件発明1~2に係る特許は、特許異議申立書に記載した理由Bによって取り消すことはできない。
5 理由C(実施可能要件)の検討
(1)理由Cの要旨
本件発明1及び本件発明2は、同一の座標系には存在しない監視領域とロボット監視モデルに含まれる任意の点である構成点の位置を比較して、ロボット監視モデルに含まれる任意の点である構成点が監視領域の境界面に接触するか否かを判定するものである一方で、発明の詳細な説明には、明細書の段落【0031】~【0034】、図6A、図6Bには、単一の座標系であるロボット座標系50において、監視領域とロボットの構成点の位置を比較することが記載されているものの、ロボットの座標系に設定された監視領域と、別の座標系に変換されたロボットの構成要素の位置を、どのようにしてロボットの座標系において比較するかについては、当業者が実施できる程度に開示されていない。また、監視領域とロボット監視モデルの座標系が互いに異なる場合に、段落【0034】に記載された式(1)~式(3)を用いても、ロボット監視モデルと監視領域との接触状態を判定できないことは明らかである。
したがって、本件特許発明1~2は、発明の詳細な説明において当業者が実施できる程度に記載したものとはいえない。(特許異議申立書3(4)エ(ア))
(2)理由Cに対する判断
本件発明1の本件構成Dには、ロボットの構成点の位置をロボットの座標系から見た位置と、ロボットの座標系に平行に設定された監視領域とを用いて、それらの接触の判定をロボットの座標系の上で判定することが特定されており、申立人が主張するように、同一の座標系には存在しない監視領域とロボットの構成点の位置を比較するわけではない。
また、本件発明2にも、同様の特定がされている。
そして、ロポット座標系において、監視領域とロボットの構成点の位置を比較することが、発明の詳細な説明に記載されていることは、異議申立人も認めているから、本件特許発明1~2は、発明の詳細な説明において当業者が実施できる程度に記載されている。
(3)理由Cの小括
したがって、本件発明1~2に係る特許は、特許異議申立書に記載した理由Cによって取り消すことはできない。
6 理由D(サポート要件)の検討
(1)理由Dの要旨
ア 本件発明1は「ロボットの少なくとも一部を覆う領域であるロボット監視モデルを設定し、」という発明特定事項を含み、本件発明2は「前記ロボット本体の少なくとも一部を覆う領域であるロボット監視モデルを設定し、」という発明特定事項を含むが、発明の詳細な説明には、球状やカプセル状の3次元モデル以外の形状は開示も示唆もされていないため、発明の詳細な説明に記載した範囲外を含んでいる。(特許異議申立書3(4)エ(イ)(i))
イ 本件発明1は「前記ロボットの動作可能範囲を監視するための監視領域を、前記ロボットの座標系に平行に設定し、」という発明特定事項を含み、本件発明2は「前記ロボット本体の動作可能範囲を監視するための監視領域を、前記ロボット本体の座標系に平行に設定し、」という発明特定事項を含むが、発明の詳細な説明には、直方体の監視領域以外は開示も示唆もされていないため、発明の詳細な説明に記載した範囲外を含んでいる。(特許異議申立書3(4)エ(イ)(ii))
ウ 本件発明1は「前記ロボット監視モデルに含まれる任意の点である構成点の位置を、前記ロボットの座標系とは異なる座標系における位置に変換し、」という発明特定事項を含み、本件発明2は「前記ロボット監視モデルに含まれる任意の点である構成点の位置を、前記ロボットの座標系とは異なる座標系における位置に変換し、」という発明特定事項を含むが、発明の詳細な説明の段落【0030】には、「ロボット座標系と監視領域とが平行であるとは、ロボット座標系のX軸、Y軸、Z軸がユーザー設備のX軸、Y軸、Z軸に対してそれぞれ平行であること」と定義されており、本件発明1及び2は、それ以外のあらゆる座標系を含むため、発明の詳細な説明に記載した範囲外を含んでいる。(特許異議申立書3(4)エ(イ)(iii))
(2)理由Dに対する判断
ア 上記(1)アについて
上記(1)アの根拠として、申立人は、本件発明1~2のロボット監視モデルがロボット本体の一部を覆う領域であれば良いのに対して、本件の発明の詳細な説明には、段落【0022】に、いわゆる「カプセルモデル」について記載され、「球モデルおよびカプセルモデルが複数組み合わされて構成された立体形状の外殻」以外のどのような形状でもよいことは、具体的に開示も示唆もされていないことを指摘する。
これに対して、カプセルモデルは、ロボット本体と監視領域との接触を判定するためのモデルの一例に過ぎず、このようなモデルは接触判定を数値で評価するためにロボット本体を数学的に表せればよいため、カプセルモデルに限られることはないから、本件発明1~2が、発明の詳細な説明の記載を超えているとまではいえない。
イ 上記(1)イについて
上記(1)イの根拠として、申立人は、本件発明1~2の監視領域があらゆる形状のものを含むのに対して、本件の発明の詳細な説明には、直方体の監視領域以外は開示も示唆もされていないことを指摘する。
しかしながら、本件発明1~2のように、監視領域を、ロボットの座標系、あるいはロボット本体の座標系に平行に設定すれば、X軸、Y軸、Z軸に平行な直方体が構成されるのが通常であるから、本件発明1~2が、発明の詳細な説明の記載を超えているということはない。
ウ 上記(1)ウについて
上記(1)ウの根拠として、申立人は、段落【0030】にロボット座標系の軸とユーザー設備の座標系の軸が平行であるという定義があることを指摘する。
しかし、段落【0030】の定義は、「ロボット座標系と監視領域とが平行である」ことの定義であり、ロボットの座標系とは異なる座標系を定義した記載ではないから、申立人の根拠には誤りがあり、採用できない。
(3)理由Dの小括
したがって、本件発明1~2に係る特許は、特許異議申立書に記載した理由Dによって取り消すことはできない。
7 理由E(明確性)の検討
(1)理由Eの要旨
本件発明1は「前記ロボットの動作可能範囲を監視するための監視領域を、前記ロボットの座標系に平行に設定し、」という発明特定事項を含み、本件発明2は「前記ロボット本体の動作可能範囲を監視するための監視領域を、前記ロボット本体の座標系に平行に設定し、」という発明特定事項を含むが、監視領域の何が平行であるか特定されていないため、不明確である。((特許異議申立書3(4)エ(ウ))
(2)理由Eに対する判断
上記(1)の理由の根拠として、申立人は「ロボットの座標系あるいはロボット本体の座標系に対して、監視領域の何が平行なのかが特定されていない」ことを挙げる。
これに対して、本件の発明の詳細な説明の段落【0030】では、「ロボット座標系と監視領域とが平行であるとは、ロボット座標系のX軸、Y軸、Z軸がユーザー設備のX軸、Y軸、Z軸に対してそれぞれ平行であること」が定義され、段落【0028】には、「図5は、監視領域を説明するための図である。監視領域は構成点Q1、Q2を対角とする直方体として構成される。この2点は本制御フローの開始前にユーザーが操作装置3を使用してロボット座標系上の2点Q1、Q2のXYZ座標を入力して設定している。」と記載されており、ロボットの座標系あるいはロボット本体の座標系に対して、監視領域の各辺が平行であることが理解されるから、上記(1)における発明特定事項の内容が不明確であるとはいえない。
(3)理由Eの小括
したがって、本件発明1~2に係る特許は、特許異議申立書に記載した理由Eによって取り消すことはできない。
8 取消理由として採用しなかった特許異議申立理由の小括
よって、本件請求項1~2に係る特許は、取消理由として採用しなかった特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。
第7 申立人意見書による主張
1 申立人の主張の内容
(1)明確性違反について
ア 申立人は、監視領域はロボット座標系に平行に設定されている一方で、ロボット監視モデルに含まれる任意の点である構成点の位置は、ロボット座標系とは異なる座標系における位置に変換されていることから、「監視領域」と「ロボット監視モデルに含まれる任意の点である構成要素の位置」は同一座標系に存在しないと解されるため、本件発明1に関する理由2が解消しておらず、本件発明2に関する理由4が同様に解消していないことを主張する。(申立人意見書第2ページ第3~9行、第3ページ第1~11行及び第4ページ第3~6行)
イ 申立人は、本件構成Dのように変換後の構成点の位置を監視領域と同じロボット座標系から見るのであれば、本件構成Cの技術的意義が不明であり、他の発明特定事項との関係が不明であるから、本件発明1に関する理由1が解消しておらず、本件発明2に関する理由3が、同様に解消していないことを主張する。(申立人意見書第2ページ第10~27行及び第3ページ第12~29行)
ウ 申立人は、本件構成Cにおける逆行列は、ユーザー座標系からロボット座標系に変換する役割を担うものだと推察され、ロボット座標系に対しこの逆行列をかけると、ユーザー座標系でもロボット座標系でもない座標系に変換される可能性もあることから、本件発明1が、ロボット座標系に対し上記逆行列をかけた座標系を用いたロボット監視モデルを用いて、ロボット座標系に平行な監視領域との判定処理を行えることが理解できないことを主張し、本件発明2についても同様の主張をする。(申立人意見書第2ページ第28~34行及び第3ページ第30行~第4ページ第2行)
(2)サポート要件違反について
申立人は、特許文献1(特開2016-59980号公報)より安全領域を小さくするための手段として「監視領域を回転させること」は必須の発明特定事項であって、「前記ロボット監視モデルに対し、前記監視領域に変換行列をかけた領域を設定する場合に」という発明特定事項が削除された訂正後の本件発明1~2は、課題を解決するための手段が反映されていないため、サポート要件違反である旨を主張する。(申立人意見書第4ページ第7行~第5ページ第13行)
(3)実施可能要件違反について
申立人は、本件発明1及び本件発明2は、同一の座標系には存在しない監視領域とロボット監視モデルに含まれる任意の点である構成点の位置を比較して、ロボット監視モデルに含まれる任意の点である構成点が監視領域の境界面に接触するか否かを判定するものである一方で、発明の詳細な説明には、明細書の段落【0031】~【0034】、図6A、図6Bのとおり、単一の座標系であるロボット座標系50において、監視領域とロボットの構成点の位置を比較することが記載されているものの、ロボットの座標系に設定された監視領域と、別の座標系に変換されたロボットの構成要素の位置を、どのようにしてロボットの座標系において比較するかについては、当業者が実施できる程度に開示されていないことを主張する。また、監視領域とロボット監視モデルの座標系が互いに異なる場合に、段落【0034】に記載された式(1)~ 式(3)を用いても、ロボット監視モデルと監視領域との接触状態を判定できないことは明らかであることを主張する。(申立人意見書第5ページ第14行~第6ページ第10行)
2 判断
(1)上記1(1)アの主張に対する判断
本件発明1については、既に理由2(上記第5の2)で検討したとおりであり、本件発明2については、既に理由4(上記第5の3)で検討したとおりである。
よって、申立人の主張は採用することができない。
(2)上記1(1)イの主張に対する判断
本件発明1については、既に理由1(上記第5の1)で検討したとおりであり、本件発明2については、既に理由3(上記第5の3)で検討したとおりである。
したがって、申立人の主張は採用することができない。
(3)上記1(1)ウの主張に対する判断
本件構成Cの「逆行列をかける」ことは、ロボット監視モデルの位置を変えること(段落【0052】~【0053】及び図8B)であり、申立人のいうような、ユーザー座標系でもロボット座標系でもない座標系に変換することではないから、本件発明1~2のいずれについても、申立人の主張は採用できない。
(4)上記1(2)の主張に対する判断
既に理由5(上記第5の4)で検討したとおり、本件発明1~2においては、監視領域を、ロボットの座標系に対して平行に設定し、ロボット監視モデルの構成点の位置を逆変換することで、ロボット座標系に対して平行でないユーザー座標系からみたロボット監視モデルの構成点の位置と同様の位置とすることができるから、ロボットの可動範囲全体が含まれるように安全領域を設定しても、本来は必要でない余計な範囲が含まれないように設定することができる。
したがって、「監視領域を回転させること」は必須の発明特定事項ではないから、申立人の主張は採用することができない。
(5)上記1(3)の主張に対する判断
既に理由C(上記第6の5)で検討したとおりであるから、申立人の主張は採用することができない。
3 小括
よって、申立人意見書による主張はいずれも採用することができない。
第8 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1~2に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に、本件請求項1~2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-700115