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特許異議申立

2024-700486

計算システム、方法及び非一時的コンピュータ可読媒体

審判番号
2024-700486
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-562937
登録番号
7387117
請求日
2024年05月24日
審決日
2025年02月04日
公報発行日
2025年06月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社Mujin
  • 【権利者代理人】稲葉 良幸
  • 【権利者代理人】大貫 敏史
  • 【権利者代理人】江口 昭彦
  • 【権利者代理人】内藤 和彦
  • 【権利者代理人】中塚 隆志
  • 【異議申立人】上野 彰大
審判長/審判官
  • 審判長 刈間 宏信
  • 審判官 大山 健
  • 審判官 田々井 正吾
分類
P1651.113-YAA(B25J) / P1651.121-YAA(B25J) / P1651.537-YAA(B25J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7387117号発明「計算システム、方法及び非一時的コンピュータ可読媒体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7387117号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~11〕、〔12~19〕、20について訂正することを認める。 特許第7387117号の請求項1~8、11~16、19、20に係る特許を維持する。 特許第7387117号の請求項9、10、17、18に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7387117号(以下「本件特許」という。)の請求項1~20に係る特許についての出願は、2022年8月9日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2021年8月9日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日として出願され、令和5年11月17日にその特許権の設定登録がされ、同月28日に特許掲載公報が発行された。その後、本件特許について、令和6年5月24日に特許異議申立人 上野 彰大(以下「申立人」という。)により、請求項1~20に係る特許に対して特許異議の申立てがされ、当審は、令和6年8月20日付けで取消理由を通知した。その後、特許権者 株式会社Mujin(以下「特許権者」という。)は、その指定期間内である令和6年10月22日に意見書及び訂正請求書(以下、この訂正請求書により請求された訂正を「本件訂正」という。)を提出した。また、申立人は令和6年12月4日に意見書(以下「申立人意見書」という。)を提出した。 第2 訂正の適否についての判断 1 本件訂正の内容 本件訂正の内容は、以下のとおりである。(なお、下線部は訂正事項について特許権者が付したものである。) (1)訂正事項 [請求項1~11に係る訂正] ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「三次元空間における前記物体モデルの複数の視点を決定することと、」と記載されているのを、 「前記物体モデルの軸の周りでの前記物体モデルの相対回転に基づいて、前記物体モデルの対称性を決定することと、 決定された前記物体モデルの対称性に基づいて、三次元空間における前記物体モデルの複数の視点を決定することと、」と訂正する(請求項1を引用する請求項2~8、11も同様に訂正する。)。 イ 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項8に「前記物体認識テンプレートのセットのサブセットは、異なる位置及び異なるカメラ回転角度に対応する視点に対応する物体認識テンプレートを含む」と記載されているのを、 「前記物体認識テンプレートのセットは、異なる位置及び異なるカメラ回転角度に対応する視点に対応する物体認識テンプレートを含む」と訂正する。 ウ 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項9を削除する。 エ 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項10を削除する。 オ 訂正事項5 (ア)(訂正事項5-1) 特許請求の範囲の請求項11に「前記物体の物体外観が回転後に変化するという判定及び前記物体の軸の識別のうちの少なくとも一方に従って、前記物体の対称性を決定することをさらに含む」と記載されているのを、 「前記物体モデルの対称性を決定することは、前記物体モデルの物体外観が回転後に変化するという判定に従う」と訂正する。 (イ)(訂正事項5-2) 特許請求の範囲の請求項11に「請求項10に記載の計算システム。」 と記載されているのを、 「請求項2に記載の計算システム。」と訂正する。 [請求項12~19に係る訂正] カ 訂正事項6 特許請求の範囲の請求項12に「三次元空間における前記物体モデルの複数の視点を決定することと、」と記載されているのを、 「前記物体モデルの軸の周りでの前記物体モデルの相対回転に基づいて、前記物体モデルの対称性を決定することと、 決定された前記物体モデルの対称性に基づいて、三次元空間における前記物体モデルの複数の視点を決定することと、」と訂正する(請求項12を引用する請求項13~16、19も同様に訂正する。)。 キ 訂正事項7 特許請求の範囲の請求項17を削除する。 ク 訂正事項8 特許請求の範囲の請求項18を削除する。 ケ 訂正事項9 (ア)(訂正事項9-1) 特許請求の範囲の請求項19に「前記物体の物体外観が回転後に変化するという判定及び前記物体の軸の識別のうちの少なくとも一方に従って、前記物体の対称性を決定することをさらに含む」と記載されているのを、 「前記物体モデルの対称性を決定することは、前記物体モデルの物体外観が回転後に変化するという判定に従う」と訂正する。 (イ)(訂正事項9-2) 特許請求の範囲の請求項19に「請求項18に記載の方法。」 と記載されているのを、 「請求項13に記載の方法。」と訂正する。 [請求項20に係る訂正] コ 訂正事項10 特許請求の範囲の請求項20に「三次元空間における前記物体モデルの複数の視点を生成するための処理を行うことと、」と記載されているのを、 「前記物体モデルの軸の周りでの前記物体モデルの相対回転に基づいて、前記物体モデルの対称性を決定するための処理を行うことと、 決定された前記物体モデルの対称性に基づいて、三次元空間における前記物体モデルの複数の視点を生成するための処理を行うことと、」と訂正する。 (2)一群の請求項についての説明 本件訂正前の請求項1~11について、本件訂正前の請求項2~11は、請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、本件訂正後の請求項〔1~11〕は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 同様に、本件訂正前の請求項12~19について、本件訂正前の請求項13~19は、請求項12を引用しているものであって、訂正事項6によって訂正される請求項12に連動して訂正されるものであるから、本件訂正後の請求項〔12~19〕は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 [一群の請求項〔1~11〕に係る訂正] (1)訂正事項1 ア 訂正の目的について 訂正事項1は、「物体モデルの複数の視点を決定する」ことについて、「前記物体モデルの軸の周りでの前記物体モデルの相対回転に基づいて、前記物体モデルの対称性を決定すること」との構成を付加し、当該「決定された前記物体モデルの対称性に基づいて、」物体モデルの複数の視点を決定することを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1のうち、「決定された前記物体モデルの対称性に基づいて、」物体モデルの複数の視点を決定することについては、本件明細書等の請求項10に「前記物体の対称性に基づいて、前記複数の視点を決定することをさらに含む、請求項2に記載の計算システム。」、及び.段落【0105】に「別の実施形態では、複数の視点4120は、物体モデル4200の対称性(又はその欠如)に基づいて決定され得る。」と記載されている。 また、訂正事項1のうち、「前記物体モデルの軸の周りでの前記物体モデルの相対回転に基づいて、前記物体モデルの対称性を決定すること」については、本件明細書等の段落【0105】に「物体モデル4200の対称性は、物体モデル4200の回転後に、物体モデル4200の外観4140が、物体モデル4200の軸の周りの度数によって変化するかどうかに基づいて判定され得る。例えば、180度回転の後に実質的に同じように見える物体モデル4200は、双方向対称性を有する。120度回転の後に実質的に同じように見える物体モデル4200は、三方対称性を有する。90度回転の後に実質的に同じように見える物体モデル4200は、四方対称性を有する。60度の回転の後に実質的に同じように見える物体モデル4200は、六方対称性を有する。異なる物体に対して他の対称性が可能であってよい。実質的に同じ外観は、類似性の閾値に従って決定され得る。」と記載されており、本件明細書等には、実質的に、物体モデル4200を回転軸の周りで回転させることによって物体モデル4200の対称性を決定することが記載されているといえる。 したがって、訂正事項1は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合する。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合する。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的について 訂正事項2について、本件明細書等の段落【0099】、【0106】(下記イを参照。)から、本件明細書等には「物体認識テンプレートのセット」が「異なる位置及び異なるカメラ回転角度に対応する視点に対応する物体認識テンプレートを含む」ことが記載されていると解されることや、本件明細書等にセットとサブセットを区別するような記載は見当たらないことに鑑みれば、請求項8における、物体認識テンプレートのセットとサブセットとは同一のものであると解して差し支えないから、訂正事項2は、物体認識テンプレートのセットとサブセットについて重複する一方を削除して明瞭にするものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記アのとおり、訂正前の請求項8の「サブセット」は「物体認識テンプレートのセット」と同一のものと解されるところ、「物体認識テンプレートのセット」が「異なる位置及び異なるカメラ回転角度に対応する視点に対応する物体認識テンプレートを含む」ことは、本件明細書等の段落【0106】に、「一実施形態では、物体認識テンプレートセット4301の物体認識テンプレート4300の各々は、物体モデル4200の周りの多数の異なる位置及び配向(すなわち、三次元平面内の多数の位置)に配置される仮想カメラ4110に対応する複数の視点4120のそれぞれの視点4120からの、物体モデル4200の複数の外観4140のそれぞれの外観4140に対応するか、又は表すことができる。」と記載され、段落【0099】に、「一実施形態では、複数の視点4120の各々は、さらに、三次元空間4100内の仮想カメラ4110の回転角度、すなわち、その光学軸4130に対する、1~360°のカメラの回転角度に相当し得る。」と記載されている。 したがって、訂正事項2は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合する。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アのとおり、訂正前の請求項8の「サブセット」は「物体認識テンプレートのセット」と同一のものと解され、訂正事項2は、重複する「サブセット」の記載を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合する。 (3)訂正事項3、4 ア 訂正の目的について 訂正事項3、4は、請求項9、10を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること、及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項3、4は、請求項を削除するものであるから、新規事項を追加するものではなく、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合する。 (4)訂正事項5 ア 訂正の目的について (ア)(訂正事項5-1) 訂正事項5-1は、本件訂正前の請求項11における「物体の対称性を決定すること」について、「前記物体の物体外観が回転後に変化するという判定及び前記物体の軸の識別のうちの少なくとも一方に従って、前記物体の対称性を決定する」との選択的な記載から、「物体の軸の識別」に従って物体の対称性を決定するとの選択肢を削除して、「前記物体モデルの物体外観が回転後に変化するという判定に従」って物体の対称性を決定することに限定するとともに、「前記物体モデルの対称性を決定すること」を文章の主語にして、その記載を明瞭にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、及びただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (イ)(訂正事項5-2) 訂正事項5-2は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項11に「請求項10に記載の計算システム。」と記載され、請求項10に「前記物体の対称性に基づいて、前記複数の視点を決定することをさらに含む、請求項2に記載の計算システム。」と記載されていたところ、訂正事項1、4により実質的に請求項10の構成が請求項1に繰り入れられて請求項10が削除されたことに整合させるために、本件訂正後の請求項11が請求項2を引用するように訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること、及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項5は、上記アのとおり、「物体の軸の識別」に従って物体の対称性を決定するとの選択肢を削除して記載を明瞭にし、さらに、請求項の引用関係を整合させるものであるから、新規事項を追加するものではなく、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合する。 [一群の請求項〔12~19〕に係る訂正] (5)訂正事項6~9 訂正事項6~9は、請求項12、17~19について、実質的に、訂正事項1、3~5と同様の訂正を行うものであるから、上記(1)、(3)、(4)と同様の理由により、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、及びただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項6~9は、やはり上記(1)、(3)、(4)と同様の理由により、新規事項を追加するものではなく、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合する。 [請求項20に係る訂正] (6)訂正事項10 訂正事項10は、請求項20について、実質的に、訂正事項1と同様の訂正を行うものであるから、上記(1)と同様の理由により、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項10は、やはり上記(1)と同様の理由により、新規事項を追加するものではなく、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合する。 3 独立特許要件 本件訂正前の全ての請求項(請求項1~20)について特許異議の申立てがされているので、訂正事項1~10について、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 4 小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及びただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、本件訂正後の請求項〔1~11〕、〔12~19〕、20について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり、本件訂正は認められたから、本件特許の請求項1~20に係る発明(以下、請求項1~20に係る発明を、それぞれ「本件発明1」などという。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~20に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。なお、請求項9、10、17、18は本件訂正により削除された。 「【請求項1】 シーン内の物体を識別するための物体認識テンプレートセットを生成するように構成された計算システムであって、 少なくとも一つの処理回路を備え、 前記少なくとも一つの処理回路は、 前記物体を表す物体モデルを含む、前記物体の登録データを取得することと、 前記物体モデルの軸の周りでの前記物体モデルの相対回転に基づいて、前記物体モデルの対称性を決定することと、 決定された前記物体モデルの対称性に基づいて、三次元空間における前記物体モデルの複数の視点を決定することと、 前記複数の視点の各々で、前記物体モデルの複数の外観を推定することと、 前記複数の外観に従って、それぞれが前記複数の外観の一つに対応する複数の物体認識テンプレートを生成することと、 前記複数の物体認識テンプレートを、前記物体認識テンプレートセットとしてロボット制御システムに伝達することと、 を行うように構成され、 前記複数の物体認識テンプレートの各々は、前記シーン内の前記物体の画像情報を生成するカメラの光学軸に対して前記物体が有し得る姿勢を表す、計算システム。 【請求項2】 前記三次元空間は、表面によって囲まれ、 前記複数の視点の各々は、前記表面上のカメラ位置に対応し、 前記物体認識テンプレートの各々は、前記複数の視点のうちの一つの視点に対応し、前記一つの視点からの前記物体の外観を含む、請求項1に記載の計算システム。 【請求項3】 前記複数の視点の各々は、カメラ回転角度にさらに対応する、請求項1に記載の計算システム。 【請求項4】 前記物体モデルは、前記三次元空間内に固定される、請求項2に記載の計算システム。 【請求項5】 前記三次元空間は、実質的に球状であり、 前記物体モデルは、前記三次元空間の中心に固定される、請求項2に記載の計算システム。 【請求項6】 前記複数の視点は、前記表面にわたる均等分布に従って選択される、請求項2に記載の計算システム。 【請求項7】 各カメラ位置は、視点のセットに対応し、 前記視点のセットの各視点は、異なるカメラ回転角度に対応する、請求項3に記載の計算システム。 【請求項8】 前記物体認識テンプレートのセットは、異なる位置及び異なるカメラ回転角度に対応する視点に対応する物体認識テンプレートを含む、請求項3に記載の計算システム。 【請求項9】 (削除) 【請求項10】 (削除) 【請求項11】 前記物体モデルの対称性を決定することは、前記物体モデルの物体外観が回転後に変化するという判定に従う、請求項2に記載の計算システム。 【請求項12】 シーン内の物体を識別するための物体認識テンプレートセットを生成する方法であって、 前記物体を表す物体モデルを含む、前記物体の登録データを取得することと、 前記物体モデルの軸の周りでの前記物体モデルの相対回転に基づいて、前記物体モデルの対称性を決定することと、 決定された前記物体モデルの対称性に基づいて、三次元空間における前記物体モデルの複数の視点を決定することと、 前記複数の視点の各々で、前記物体モデルの複数の外観を推定することと、 前記複数の外観に従って、それぞれが前記複数の外観の一つに対応する複数の物体認識テンプレートを生成することと、 前記複数の物体認識テンプレートを、前記物体認識テンプレートセットとしてロボット制御システムに伝達することと、を含み、 前記複数の物体認識テンプレートの各々は、前記シーン内の前記物体の画像情報を生成するカメラの光学軸に対して前記物体が有し得る姿勢を表す、方法。 【請求項13】 前記三次元空間は、表面によって囲まれ、 当該方法は、 前記複数の視点を前記表面上のカメラ位置に対応させることと、 前記物体認識テンプレートのそれぞれを、前記複数の視点のうちの一つの視点に対応させることと、をさらに含む、請求項12に記載の方法。 【請求項14】 前記複数の視点の各々をカメラ回転角度に対応させることをさらに含む、請求項13に記載の方法。 【請求項15】 前記三次元空間内に前記物体モデルを固定することをさらに含む、請求項13に記載の方法。 【請求項16】 前記表面にわたる均等分布に従って、前記複数の視点を選択することをさらに含む、請求項13に記載の方法。 【請求項17】 (削除) 【請求項18】 (削除) 【請求項19】 前記物体モデルの対称性を決定することは、前記物体モデルの物体外観が回転後に変化するという判定に従う、請求項13に記載の方法。 【請求項20】 ロボットシステムと通信するように構成された通信インターフェースを介して少なくとも一つの処理回路によって動作可能な非一時的コンピュータ可読媒体であって、シーン内の物体を識別するための物体認識テンプレートセットを生成するための方法を実行するための実行可能な命令を有する非一時的コンピュータ可読媒体であって、 前記方法は、 前記物体を表す物体モデルを含む、前記物体の登録データを受信することと、 前記物体モデルの軸の周りでの前記物体モデルの相対回転に基づいて、前記物体モデルの対称性を決定するための処理を行うことと、 決定された前記物体モデルの対称性に基づいて、三次元空間における前記物体モデルの複数の視点を生成するための処理を行うことと、 前記複数の視点の各々で、前記物体モデルの複数の外観を推定する処理を行うことと、 前記複数の外観に従って、それぞれが前記複数の外観の一つに対応する複数の物体認識テンプレートを生成する処理を行うことと、 前記複数の物体認識テンプレートを、前記ロボットシステムに前記物体認識テンプレートセットとして出力することと、を含み、 前記複数の物体認識テンプレートの各々は、前記シーン内の前記物体の画像情報を生成するカメラの光学軸に対して前記物体が有し得る姿勢を表す、非一時的コンピュータ可読媒体。」 第4 取消理由通知に記載した取消理由について 1 取消理由の概要 本件特許に対して、当審が令和6年8月20日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 取消理由1(新規性)本件の請求項1、2、4~6、12、13、15、16、20に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明(下記甲第1号証に記載された発明)であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件の請求項1、2、4~6、12、13、15、16、20に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 取消理由2(進歩性)本件の請求項3、7~11、14、17~19に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明(下記甲第1号証に記載された発明、及び甲第3号証~甲第5号証に記載の技術的事項)に基いて、本件特許の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項3、7~11、14、17~19に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 取消理由3(明確性要件)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 2 証拠方法 取消理由に関連して、申立人が提出した証拠方法は以下のとおりである。 甲第1号証:特開2019-3407号公報 甲第2号証:Yoshinori Konishi 他2名,“Real-Time 6D Object Pose Estimation on CPU”,2019年8月26日,arXiv:1811.08588v3[cs.CV] 甲第3号証:特開2016-207147号公報 甲第4号証:特開2010-186219号公報 甲第5号証:特開2015-72581号公報 (以下、それぞれ「甲1」などという。) 第5 取消理由1(新規性)、取消理由2(進歩性)についての検討 1 本件発明1について (1)甲1 ア 甲1の記載(下線部は、当審で付した。以下同様。) 甲1には、次の事項が記載されている。 「【0002】 物体認識画像から対象物体を検出する方法の一つとしてテンプレートマッチングがある。テンプレートマッチングは、検出対象となる物体のモデル(テンプレート)を予め用意しておき、入力画像とモデルのあいだの画像特徴の一致度を評価することで、入力画像に含まれる物体の2次元位置や姿勢を検出するというものである。テンプレートマッチングによる物体検出は、FA(Factory Automation)における検査やピッキング、ロボット・ビジョン、監視カメラなど多岐にわたる分野で利用されている。特に、近時のテンプレートマッチングにおいては、2次元計測を利用した対象物体の位置・姿勢の検出から、3次元計測を利用した対象物体の位置・姿勢の検出へ応用する技術に注目が集まっている。 【0003】 3次元計測を利用したテンプレートマッチングとして、対象物体を様々な視点から見た姿勢ごとに個別のテンプレートを用意し、それらのテンプレートに対して総当たりでマッチングを行う探索処理方法が提案されているが、2次元計測を利用した場合に比べて用意しなければならないテンプレートの数が非常に多くなり、テンプレートを用いたマッチングのための処理時間の増大が問題となる。 【0004】 このような問題への対応策として、粗密探索によるテンプレートマッチングが知られている。粗密探索は、テンプレートマッチングによる探索処理を高速化する技術の一つであり、解像度を段階的に異ならせた画像群(いわゆる、画像ピラミッド)を用意し、低解像度の画像で粗い探索を行い、探索結果をもとに探索範囲を絞り込み、絞り込んだ探索範囲について高解像度の画像でさらに探索を行う、という処理を繰り返し行い、最終的に元の解像度における対象物体の位置・姿勢を検出(物体の位置・姿勢を認識;以下、単に「物体認識」と略称)するといったものである。 【0005】 ここで、図10は、画像ピラミッドを利用した粗密探索の基本概念を示す図である。 図10に示すように、粗密探索では、解像度を段階的に異ならせた第1層から第k層(k≧2以上の整数)のk枚の画像群(画像ピラミッド)を用いる。第1層の解像度が最も解像度が低く、第2層、…、第k層の順位で解像度が高くなる。図10は、k=3の例であり、第3層が元画像に対応しており、第2層、第1層の順で解像度が低くなっている。 【0006】 粗密探索では、最初に最も低解像度の第1層画像に対してテンプレートマッチング(照合)による探索処理が行われ、第1層のなかでの物体の存在位置(正解候補)が検出される(図10の第1層画像内に示す検出位置参照)。次に、第2層に対する探索処理では、第1層での検出位置に対応する第2層画像が探索範囲として設定され、その探索範囲に対する探索処理が行われる(図10の第2層画像内に示す検出位置参照)。同様に、第2層での検出結果に基づき第3層画像での探索範囲が設定され、その探索範囲に対する探索処理が行われ、最終的に第3層(元画像)内での物体位置が特定される(図10の第3層画像内に示す検出位置参照)。 【0007】 通常のテンプレートマッチングであれば多くのテンプレートとのマッチングが必要となるが、粗密探索では低解像度の画像(以下、「低解像度画像」ともいう。)から高解像度の画像(以下、「高解像度画像」ともいう。)に向けて探索範囲を段階的に絞りこんでいくことで、テンプレートのマッチング回数を削減でき、処理時間を短縮することができる。 【0008】 近時においては、粗密探索によるテンプレートマッチングの処理を高速化するため、テンプレートを作成する際、階層ごとに(解像度ごとに)、様々なカメラの位置(視点)からみた2次元投影後の画像どうしを比較し、それら画像の類似度に基づいて、似たような見え方となる視点をグルーピングし、マッチングに用いるテンプレート数を間引くことでマッチング処理の高速化を図る技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。 ・・・ 【0010】 上記方法を採用した場合、似たような見え方をする視点が近くに集中している箇所では、視点のグルーピングによって間引くことができるテンプレートの数が多くなり、テンプレートを用いたマッチング処理を高速化することができる一方、似たような見え方をする視点が近くに集中していない箇所では、視点のグルーピングによって間引くことができるテンプレートの数は少なく、テンプレートを用いたマッチング処理を高速化することは難しい。このように、上記方法では、似たような見え方をする視点が近くに集中している場所と、似たような見え方をする視点が近くに集中していない場所との間に、マッチング処理にかかる時間に大きなばらつきが生じる。 また、上記方法では、テンプレートを作成する際に、似たような見え方をする視点があるか否かを逐次判別する必要があり、さらに、似たような見え方をする視点が見つかった場合には、これらをまとめてグルーピングしていかなければならず、テンプレートの作成に多くの時間を費やす必要があった。 【0011】 本発明は、以上説明した事情を鑑みてなされたものであり、テンプレートマッチングによる物体認識で用いられるテンプレートの作成時間を短縮する技術を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0012】 本発明の一態様に係るテンプレート作成装置は、テンプレートマッチングに利用される物体認識用の階層的なテンプレートを作成するテンプレート作成装置であって、各頂点の間隔が略均等、かつ、各頂点が各視点位置として設定される近似球形状を複数作成する作成部であり、作成する近似球形状ごとに、各視点位置の間隔が異なっている視点位置作成部と、近似球形状ごとに、設定された各視点位置から見た対象物体に対応する複数のテンプレートを作成するテンプレート作成部とを具備する。 【0013】 上記構成によれば、各頂点の間隔が略均等、かつ、各頂点が各視点位置として設定される複数の近似球形状を利用して、テンプレートを作成する。ここで、近似球形状の頂点に設定される各視点位置の間隔は、近似球形状ごとに異なっている。視点位置の間隔が広い近似球形状(別言すれば、設定される視点の数が少ない近似球形状)については、各視点位置から見た対象物体の2次元投影後の画像に基づき、各視点に対応する低解像度用のテンプレートを作成する。一方、視点位置の間隔が狭い近似球形状(別言すれば、設定される視点の数が多い近似球形状)については、各視点位置から見た対象物体の2次元投影後の画像に基づき、各視点に対応する高解像度用のテンプレートを作成する。かかる構成によれば、従来技術のごとく、テンプレートを作成する際に、似たような見え方をする視点があるか否かを逐次判別する処理や、似たような見え方をする視点をまとめてグルーピングする処理を実施する必要はなく、従来技術に比べてテンプレートの作成時間を短縮することができる。」 「【0020】 物体認識装置1は、ピッキングシステムを備えた生産ラインなどに設置され、カメラ11から取り込まれた画像を用いて、テンプレートマッチングによりトレイ3上の物体2の位置・姿勢を認識(3次元の物体認識)するシステムである。トレイ3上には、認識対象の物体(以下、「対象物体」ともいう。)2がバラ積みされている。物体認識装置1は、カメラ11から所定の時間間隔で画像を取り込み、画像処理装置10によって画像に含まれる各対象物体2の位置及び姿勢を認識する処理を実行し、その結果を例えばPLC(プログラマブルロジックコントローラ)4やディスプレイ12などに出力する。物体認識装置1の出力である認識結果は、例えば、ピッキング・ロボットの制御、加工装置や印字装置の制御、対象物体2の検査や計測などに利用される。 【0021】 A-2.(ハードウェア構成) 図2を参照して、物体認識装置1のハードウェア構成を説明する。物体認識装置1は、概して、カメラ11と画像処理装置10から構成される。 カメラ11は、対象物体2のデジタル画像を画像処理装置10に取り込むための撮像デバイスであり、例えばCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)カメラやCCD(Charge-Coupled Device)カメラを好適に用いることができる。解像度、カラー/モノクロ、静止画像/動画、階調、データ形式などの入力画像の形式は任意であり、対象物体2の種類やセンシングの目的に合わせて適宜選択することができる。X線画像やサーモ画像など、可視光像以外の特殊な画像を物体認識や検査に利用する場合には、その画像に合わせたカメラを用いてもよい。 【0022】 画像処理装置10は、CPU(中央演算処理装置)10aと、ワークメモリとして用いられるメインメモリ10bと、固定記憶部であるハードディスク10eと、カメラインターフェイス10cと、入力インターフェイス10fと、表示コントローラ10gと、PLCインターフェイス10hと、通信インターフェイス10iと、データリーダ/ライタ10jとを含む。これらの各部は、バス10kを介して、互いにデータ通信可能に接続されている。 【0023】 カメラインターフェイス10cは、CPU10aとカメラ11との間のデータ伝送を仲介する部分であり、カメラ11からの画像データを一時的に蓄積するための画像バッファ10dを有していてもよい。入力インターフェイス10fは、CPU10aと入力部との間のデータ伝送を仲介する。入力部には、マウス13、キーボード、タッチパネル、ジョグコントローラなどが含まれていてもよい。表示コントローラ10gは、液晶モニタなどのディスプレイ12に接続され、当該ディスプレイでの表示を制御する。PLCインターフェイス10hは、CPU10aとPLC4との間のデータ伝送を仲介する。通信インターフェイス10iは、CPU10aとコンソール、あるいはパーソナルコンピュータやサーバ装置などとの間のデータ伝送を仲介する。データリーダ/ライタ10jは、CPU10aと記録媒体であるメモリカード14との間のデータ伝送を仲介する。 【0024】 画像処理装置10は、汎用的なアーキテクチャを有するコンピュータで構成可能であり、CPU10aが、ハードディスク10e又はメモリカード14に格納されたプログラムを読み込むことで、各種処理を実行する。このようなプログラムは、メモリカード14や光ディスクなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に格納された状態で流通するか、インターネットなどを通じて提供される。なお、本実施形態に係るプログラムは単体のアプリケーションプログラムとして提供されてもよいし、他のプログラムの一部に組み込まれるモジュールとして提供されてもよい。また、そのプログラムによって実行される処理の一部又は全部をASICなどの専用回路で実行してもよい。 【0025】 A-3.(画像処理装置の構成) 図3に、画像処理装置10の構成を示す。画像処理装置10は、CPU10aが、ハードディスク10e等に格納されたプログラムを読み込み、実行することで、視点位置作成装置110、テンプレート作成装置120、物体認識処理部130として動作する。 【0026】 視点位置作成装置110は、テンプレート作成に必要な全ての視点位置を作成(設定)し、視点位置関連パラメータ設定部111、視点位置作成部112、最適視点位置作成部113、視点位置情報出力部114を備える。 テンプレート作成装置120は、物体認識処理で利用するテンプレートを作成し、視点位置情報取得部121、3次元CADデータ取得部122、2次元投影画像作成部123、特徴抽出部124、テンプレート作成部125、テンプレート情報出力部126を備える。 物体認識処理装置130は、カメラ11から取り込まれた画像に対し、テンプレート作成装置120によって作成・記憶されたテンプレートを用いてテンプレートマッチングを実行することで、画像中の物体を認識する。物体認識処理装置130は、テンプレート情報取得部131、画像取得部132、画像ピラミッド生成部133、特徴抽出部134、テンプレートマッチング部135、認識結果出力部136を備える。視点位置作成装置110、テンプレート作成装置120及び物体認識処理装置130の詳細は、後述する。 【0027】 A-4.(視点位置の作成原理) A-4-1.(近似球形状の利用) 図4は、本実施形態に係る視点位置の作成原理を示す図である。 本実施形態では、視点間の距離が略均等となるように、多面体で構成された近似球形状AGの頂点を視点位置VPとして利用する(図4に示す近似球形状AG1参照)。そして、解像度の低いテンプレートを作成する場合から、解像度の高いテンプレートを作成する場合へと、作成するテンプレートが変化するのに合わせて視点の数(すなわち頂点数)が多くなる近似球形状AGを利用する。具体的には、最も解像度の低いテンプレート(以下、「第1テンプレート」ともいう。)の作成時に利用する近似球形状AGとして正20面体AG1(頂点数;12)を用い、第1テンプレートよりも解像度の高いテンプレート(以下、「第2テンプレート」ともいう。)の作成時に利用する近似球形状AGとして80面体AG2(頂点数;42)を用いる。同様に、第2テンプレートよりも解像度の高いテンプレート(以下、「第3テンプレート」ともいう。)の作成時に利用する近似球形状AGとして320面体AG3(頂点数;162)を用い、最も解像度の高いテンプレート(以下、「第4テンプレート」ともいう。)の作成時に利用する近似球形状AGとして1280面体AG4(頂点数;642)を用いる。なお、図4ではテンプレートの階層数が「4」である場合を例示するが、いかなる階層数とするかは任意に設定・変更可能である。また、近似球形状AGを求める方法として、オルタネート分割法やトリアコン分割法を用いたジオデシックドーム等が知られているが、本発明は複数の頂点を有する近似球形状であればよく、ジオデシックドームに限定する趣旨でないのはもちろんである。 【0028】 ここで、各近似球形状AG1とAG2の間、各近似球形状AG2とAG3の間、各近似球形状AG3とAG4の間の頂点の関連性に言及すると、解像度が低い方のテンプレートに対応する近似球形状AGの各視点(以下、「親視点」ともいう。)に関連づけられる、解像度が高い方のテンプレートに対応する近似球形状AGの各視点(以下、「子視点」ともいう。)の数は、3または4個で略均等にできる。さらに、各近似球形状AGにおける親視点と、親視点に関連づけられる子視点との間の距離が近いものから3または4個選択して、親視点に対する子視点を設定することで、各視点からの見え方の変化は均等になりやすい。このように、近似球形状AGの各頂点を視点位置として利用する本実施形態では、従来技術のごとく、テンプレートを作成する際に、似たような見え方をする視点をまとめてグルーピングするといった処理等を行う必要がないため、テンプレートの作成時間を短縮することができる。」 「【0032】 A-5.(視点位置作成処理) 以下、図6のフローに従って、視点位置作成装置110によって実行される視点位置作成処理を説明する。 視点位置関連パラメータ設定部111は、視点位置を決定するために、いかなる近似球形状AGを利用するかを決定(設定)する(ステップS111)。一例として、ユーザが操作ボタン等を適宜操作することで、図4に示す正20面体AG1、80面体AG2などを利用する複数の近似球形状AGとして設定する。もっとも、利用する近似球形状AGの設定方法は、これに限る趣旨ではない。例えば、視点位置関連パラメータ設定部111は、入力される対象物体の大きさや形状に関する情報(対象物体情報)に基づき、対象物体に適した視点位置間隔などを自動計算し、求めた視点位置間隔などから利用すべき複数の近似球形状AGを設定してもよい。 【0033】 視点位置作成部112は、視点位置関連パラメータ設定部111によって設定された複数の近似球形状AGに対し、各視点位置(すなわち各頂点)を作成する(ステップS112)。例えば、視点位置関連パラメータ設定部111によって、図4に示す正20面体AG1、80面体AG2などが設定されている場合には、視点位置作成部112は、正20面体AG1、80面体AG2などの各頂点に、各視点位置を作成(設定)する。視点位置作成部112は、視点位置間隔の広い近似球形状AG(例えば正20面体AG1)から視点位置間隔の狭い近似球形状AG(例えば1280面体AG4)まで各視点位置を作成すると、各近似球形状AGの視点位置を最適視点位置作成部113に出力する。 【0034】 最適視点位置作成部113は、親視点に関連づけられる子視点の数が略均等、かつ、親視点に関連づけられる子視点の最大距離Lmax(又は親視点と関連づけられる子視点の平均距離Lave)が最小となる回転角度(以下、「最適回転角度」と略称する。)を算出する(ステップS113)。一例として、X軸、Y軸、Z軸のそれぞれの軸周りに所定角a、b、cだけ回転させた場合の上記最大距離Lmaxを求める。そして、最適視点位置作成部113は、各軸周りの所定角a、b、cの値を順次変化させ、そのときに得られる上記最大距離Lmaxから、所定角a、b、cと最大距離Lmaxとの相関を求め、上記最大距離Lmaxが最も小さくなるときの所定角a、b、cを、最適回転角度として算出する。その後、最適視点位置作成部113は、視点位置作成部112から出力される各近似球形状AGの視点位置に対し、算出した最適回転角度で回転させる処理を施すことで最適視点位置を算出する(ステップS114)。最適視点位置作成部113は、算出した最適視点位置を視点位置情報出力部114に出力する。 【0035】 視点位置情報出力部114は、最適視点位置作成部113から供給される複数の最適視点位置について、最適視点位置をあらわす視点位置情報を生成し(ステップS115)、テンプレート作成装置120に出力する。 【0036】 A-6.(テンプレート作成処理) 次に、図7のフローに従って、テンプレート作成装置(テンプレート作成部)120によって実行されるテンプレート作成処理を説明する。 視点位置情報取得部121は、視点位置作成装置110の視点位置情報出力部114から出力される各最適視点位置をあらわす視点位置情報を取得する(ステップ121)。 3次元CADデータ取得部122は、対象物体の3次元形状を表す3次元データを取得する(ステップS122)。3次元CADデータ取得部122は、対象物体を立体図形として認識可能な任意の3次元データを取得することができ、本実施形態では、3次元CADデータを取得するものとする。3次元CADデータ取得部122は、外部の3次元CADサーバ等から3次元CADデータを取得することもできるし、メモリ(図示略)から3次元CADデータを取得することもできる。 【0037】 2次元投影画像作成部123は、視点位置情報取得部121が取得した視点位置情報及び3次元CADデータ取得部122が取得した3次元データを用いて、各最適視点から見た対象物体の投影画像(すなわち2D画像)を生成する(ステップS123)。 【0038】 特徴抽出部124は、最適視点ごとの投影画像から複数の特徴点の特徴量を抽出する(ステップS124)。特徴量としては、例えば、ピクセル値(輝度)、輝度勾配方向、量子化勾配方向、Hog(Histograms of Oriented Gradients)、HAAR-Like、SIFT(Scale-Invariant Feature Transform)などを用いることができる。輝度勾配方向とは、特徴点を中心とする局所領域での輝度の勾配の方向(角度)を連続値で表すものであり、量子化勾配方向とは、特徴点を中心とする局所領域での輝度の勾配の方向を離散値で表す(例えば、8方向を0~7の1バイトの情報で保持する)ものである。 【0039】 テンプレート作成部125は、特徴抽出部124によって抽出された最適視点ごとの投影画像の特徴量に基づき、複数のテンプレートを作成する(ステップS125)。ここで、テンプレートは、対象物体の画像特徴を表すデータであり、テンプレートには任意の形式を用いることができる。例えば、テンプレートとして投影画像中の特徴点の特徴量を記述した配列形式を用いることができる。 【0040】 前述したように、本実施形態では、解像度が段階的に異なる各層の画像(画像ピラミッド)を用いた粗密探索を行うため、各層ごとのテンプレートを作成する必要がある。よって、テンプレート作成部125は、各層ごとに解像度が異なる複数のテンプレートを作成する。すなわち、テンプレート作成部125は、各層ごとに、対応する近似球形状AG(例えば正20面体)の頂点として設定されている各最適視点から見た各投影画像を用いて複数のテンプレートを作成する。 【0041】 テンプレート情報出力部126は、最適視点ごとに、テンプレート作成部125が作成したテンプレートをテンプレート情報として物体認識処理装置130に出力する(ステップS126)。」 「【0058】 本明細書において説明した各処理を実施するプログラムは、記録媒体に記憶させてもよい。この記録媒体を用いれば、画像処理装置10を構成する各装置に、上記プログラムをインストールすることができる。ここで、上記プログラムを記憶した記録媒体は、非一過性の記録媒体であっても良い。非一過性の記録媒体は特に限定されないが、例えば、CD-ROM等の記録媒体であっても良い。」 「【図3】 [図:0001423498000001.jpg] 」 「【図4】 [図:0001423498000002.jpg] 」 「【図7】 [図:0001423498000003.jpg] 」 イ 甲1から理解できる事項 (ア)甲1の段落【0012】には、「本発明の一態様に係るテンプレート作成装置は、テンプレートマッチングに利用される物体認識用の階層的なテンプレートを作成するテンプレート作成装置であって、各頂点の間隔が略均等、かつ、各頂点が各視点位置として設定される近似球形状を複数作成する作成部であり、作成する近似球形状ごとに、各視点位置の間隔が異なっている視点位置作成部と、近似球形状ごとに、設定された各視点位置から見た対象物体に対応する複数のテンプレートを作成するテンプレート作成部とを具備する。」、 段落【0020】には、「物体認識装置1は、ピッキングシステムを備えた生産ラインなどに設置され、カメラ11から取り込まれた画像を用いて、テンプレートマッチングによりトレイ3上の物体2の位置・姿勢を認識(3次元の物体認識)するシステムである。トレイ3上には、認識対象の物体(以下、「対象物体」ともいう。)2がバラ積みされている。物体認識装置1は、カメラ11から所定の時間間隔で画像を取り込み、画像処理装置10によって画像に含まれる各対象物体2の位置及び姿勢を認識する処理を実行し、その結果を例えばPLC(プログラマブルロジックコントローラ)4やディスプレイ12などに出力する。物体認識装置1の出力である認識結果は、例えば、ピッキング・ロボットの制御、加工装置や印字装置の制御、対象物体2の検査や計測などに利用される。」と記載されている。 これらの記載等から、甲1には、 A 物体認識装置1は、トレイ3内の物体2を識別するための複数のテンプレートを生成すること B 物体認識装置1は、複数のテンプレートをロボット制御システムに伝達すること C 複数のテンプレートの各々は、トレイ3内の物体2の画像情報を生成するカメラ11の光学軸に対して物体2が有し得る姿勢を表すものであること が、記載されているといえる。 (イ)テンプレート作成処理について、甲1の段落【0036】には、「次に、図7のフローに従って、テンプレート作成装置(テンプレート作成部)120によって実行されるテンプレート作成処理を説明する。視点位置情報取得部121は、視点位置作成装置110の視点位置情報出力部114から出力される各最適視点位置をあらわす視点位置情報を取得する(ステップ121)。3次元CADデータ取得部122は、対象物体の3次元形状を表す3次元データを取得する(ステップS122)。3次元CADデータ取得部122は、対象物体を立体図形として認識可能な任意の3次元データを取得することができ、本実施形態では、3次元CADデータを取得するものとする。」、 段落【0037】には、「2次元投影画像作成部123は、視点位置情報取得部121が取得した視点位置情報及び3次元CADデータ取得部122が取得した3次元データを用いて、各最適視点から見た対象物体の投影画像(すなわち2D画像)を生成する(ステップS123)。」、 段落【0039】には、「テンプレート作成部125は、特徴抽出部124によって抽出された最適視点ごとの投影画像の特徴量に基づき、複数のテンプレートを作成する(ステップS125)。」と記載されている。 これらの記載等から、甲1には、 A 物体2(対象物体)の外観を推定して、複数の最適視点から見た物体2の投影画像を生成すること B 最適視点ごとに、投影画像の特徴量に基づき、複数のテンプレートを作成すること が記載されているといえる。 C そして、上記Bの「最適視点ごとに、投影画像の特徴量に基づき、複数のテンプレートを作成すること」とは、物体2の複数の外観に従って、各最適視点から見た前記物体2の複数の外観の一つに対応して、複数のテンプレートを作成することを意味すると理解できる。 ウ 甲1発明 上記ア~イから、甲1には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が開示されていると認められる。 <甲1発明> 「トレイ3内の物体2を識別するための複数のテンプレートを生成するように構成された物体認識装置1であって、 少なくとも一つのCPU10aを備え、 前記少なくとも一つのCPU10aは、 前記物体2の3次元形状を表す3次元データを取得することと、 近似球形状AGにおける前記物体2の3次元形状の複数の最適視点を決定することと、 前記物体2の外観を推定して、前記複数の最適視点から見た前記物体2の投影画像を生成することと、 前記最適視点ごとに、前記投影画像の特徴量に基づき、複数のテンプレートを作成することと、 前記複数のテンプレートをロボット制御システムに伝達することと、 を行うように構成され、 前記複数のテンプレートの各々は、トレイ3内の物体2の画像情報を生成するカメラ11の光学軸に対して物体2が有し得る姿勢を表す、物体認識装置1。」 (2)甲5 ア 甲5の記載 「【0002】 従来から、特許文献1にあるように、対象物体を予め複数の視点から撮影した画像をテンプレートとし、姿勢が未知の対象物体を撮影した画像とマッチングすることによって対象物体の位置・姿勢を求める技術があった。特に、特許文献1では、物体の回転対称性を考慮した限定された視点からの撮影画像をテンプレートとして用いることによって高速にマッチングする実施形態が開示されている。 【0003】 一方、特許文献2では、対象物体のさまざまな視点からの3次元データをテンプレートとし、姿勢が未知の対象物体から取得した3次元データとマッチングすることによって対象物体の位置・姿勢を求める技術が開示されている。 ・・・ 【0005】 しかしながら、従来技術においては以下の課題が存在した。まず、特許文献1で開示されている技術においては、対象物体の回転対称性を人間が判断し、それに基づいた限定された視点からの撮影データを準備する必要があった。この作業は、ある程度スキルを要する作業であり、登録するデータがユーザによって変わってしまうという課題があった。 【0006】 一方、特許文献2で開示されている技術においては、対象物体に何らかの対称性が存在し、複数の姿勢でほぼ同一の測定データとなる冗長性が存在した場合、冗長なテンプレートを作成してしまうという問題があった。そして、冗長なテンプレートを作成、登録してしまうと、冗長性を排除した場合と比べて必要なメモリも増え、マッチングに要する時間も増えるという問題が発生していた。」 「【0024】 また、図1のフローチャートに従った処理の開始前の時点で、RAM203には、2次記憶装置204からデータ214として、対象物体の形状データ101と、該対象物体を観察する複数の視点に係る情報である学習視点102と、がロードされている。以下では、対象物体を観察する視点の数をN(Nは以上の自然数)として説明する。」 「【0028】 例えば、学習視点102が(視点1のインデックス=1、視点1の姿勢)、・・・、(視点Nのインデックス=N、視点Nの姿勢)を含むとする。このとき、ステップS103では、視点1(の姿勢)から見た仮想物体(対象物体)の画像、・・・視点N(の姿勢)から見た仮想物体(対象物体)の画像、を生成する。なお、ある視点から見た仮想物体の画像を生成するための技術は周知であるため、該技術に係る説明は省略する。」 「【0031】 次に、ステップS105では、CPU201は、N個の視点のうち、学習に使用しない視点(非有効視点)を特定し、該特定した非有効視点のインデックスを、RAM203内に設けた削除視点リストに登録する処理を行う。ここで、ステップS105における処理の詳細について、図3,4を用いて説明する。 【0032】 ここでは、対象物体として、図3(a)にあるようなドーナツ状の物体と円柱状の物体がつながった物体を例にとり説明する。図3(a)に対象物体の上から見た図と横から見た図を示す。図3(a)に示した通り、この対象物体には矢印で示した回転軸があり、この回転軸に対して180度回転すると全く同じ形になるという対称性が存在する。この対象物体と、互いに異なる4つの視点と、の位置関係を図3(b)に示す。図3(b)に示した視点301~304は、学習視点102に含まれている何れかのインデックスに対応する視点である。ここで、視点301の位置を、対象物体305の回転軸306周りに180度回転させた位置が、視点302の位置である。同様に、視点303の位置を、対象物体305の回転軸306周りに180度回転させた位置が、視点304の位置である。上述した通り、対象物体305には回転軸306を中心とした180度回転対称性が存在する。然るに、視点301から見た対象物体305の見えと視点302から見た対象物体305の見えとは全く同じであるし、視点303から見た対象物体305の見えと視点304から見た対象物体305の見えとは全く同じである。特許文献2に記載の従来例では、このように全く同じ見えの画像が存在したとしても削除せずにテンプレートとして用いていた。これに対して、本実施形態では、例えば視点302、視点304を非有効視点として、学習には使用しないようにすることで、冗長性を排除したテンプレートが作成できる。図3の場合、視点302及び視点304が非有効視点として特定され、そのインデックスが削除視点リストに登録されることになる。」 「【0040】 ステップS407では、CPU201は、視点iからの画像と視点jからの画像とは同一視可能と判断し、視点jのインデックス=jを、削除視点リストに登録する。例えば、図4(a)の場合、視点別画像データ104には、視点1,2,3,4,…のインデックスと、それぞれの視点に対応する画像と、が登録されている。然るにこのような場合、インデックス=iの視点が視点1であれば、視点1の画像と、インデックス=jの視点である視点2,3,4の画像と、の間の類似度を算出する。そして図4(a)の場合、視点1の画像を面内回転させると視点4の画像と全く同じになるため、画像間の類似度が高くなり、その結果、視点4のインデックスが削除視点リストに登録されることになる。」 「【0042】 このようなステップS105における処理により、N個の視点のうち自視点に対応する画像と規定値以上の類似度を有する画像に対応する他視点を、非有効視点として特定することができる。」 「【0044】 図1に戻って次にステップS107でCPU201は、学習視点102に含まれているそれぞれの視点の姿勢のうち削除視点リストに登録されているインデックス以外のインデックスに対応する姿勢を、有効視点(非有効視点以外の視点)の姿勢として特定する。そしてCPU201は、それぞれの有効視点から見える対象物体の画像を、形状データ101を用いて、上記のステップS103における処理と同様の処理を行うことで生成する。なお、有効視点から見た対象物体の画像は、視点別画像データ104から取得しても構わない。」 イ 甲5に記載の技術的事項 上記アからみて、甲5には、次の技術的事項(以下「甲5に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。 <甲5に記載された技術的事項> 「N個の学習視点102から見た対象物体の画像を生成し、N個の学習視点102のうち自視点に対応する画像と規定値以上の類似度を有する画像に対応する他視点を、非有効視点として特定して学習には使用しないことで、対象物体の対称性による冗長性を排除したテンプレートを作成すること。」 (3)対比 ア 甲1発明を、本件発明1と対比する。 イ 甲1発明の「トレイ3内の物体2」は、トレイ3や物体2がカメラの画像として認識されていることに照らせば、本件発明1の「シーン内の物体」に相当し、以下同様に、「複数のテンプレート」は「物体認識テンプレートセット」に、「物体認識装置1」は甲1の段落【0020】等に鑑みれば物体の位置及び姿勢を認識する処理を行うものであるから「計算システム」に、「CPU10a」は「処理回路」に、「近似球形状AG」は甲1の段落【0027】及び図4等に鑑みれば「三次元空間」に、「複数の最適視点」は「複数の視点」に、それぞれ相当する。 ウ 甲1発明の「前記物体2の3次元形状を表す3次元データを取得すること」は、本件発明1の「前記物体を表す物体モデルを含む、前記物体の登録データを取得すること」に、相当する。 エ 甲1発明の「前記物体2の外観を推定して、前記複数の最適視点から見た前記物体2の投影画像を生成すること」は、本件発明1の「前記複数の視点の各々で、前記物体モデルの複数の外観を推定すること」に、相当する。 オ 甲1発明の「前記最適視点ごとに、前記投影画像の特徴量に基づき、複数のテンプレートを作成すること」は、上記(1)イ(イ)Cのとおり、本件発明1の「前記複数の外観に従って、それぞれが前記複数の外観の一つに対応する複数の物体認識テンプレートを生成すること」に、相当する。 カ 甲1発明の「前記複数のテンプレートをロボット制御システムに伝達すること」は、本件発明1の「前記複数の物体認識テンプレートを、前記物体認識テンプレートセットとしてロボット制御システムに伝達すること」に、相当する。 キ 甲1発明の「前記複数のテンプレートの各々は、トレイ3内の物体2の画像情報を生成するカメラ11の光学軸に対して物体2が有し得る姿勢を表す」は、本件発明1の「前記複数の物体認識テンプレートの各々は、前記シーン内の前記物体の画像情報を生成するカメラの光学軸に対して前記物体が有し得る姿勢を表す」に、相当する。 以上から、本件発明1と甲1発明とは、以下の点で一致し、以下の点で相違する。 <一致点> 「 シーン内の物体を識別するための物体認識テンプレートセットを生成するように構成された計算システムであって、 少なくとも一つの処理回路を備え、 前記少なくとも一つの処理回路は、 前記物体を表す物体モデルを含む、前記物体の登録データを取得することと、 三次元空間における前記物体モデルの複数の視点を決定することと、 前記複数の視点の各々で、前記物体モデルの複数の外観を推定することと、 前記複数の外観に従って、それぞれが前記複数の外観の一つに対応する複数の物体認識テンプレートを生成することと、 前記複数の物体認識テンプレートを、前記物体認識テンプレートセットとしてロボット制御システムに伝達することと、 を行うように構成され、 前記複数の物体認識テンプレートの各々は、前記シーン内の前記物体の画像情報を生成するカメラの光学軸に対して前記物体が有し得る姿勢を表す、計算システム。」 <相違点1> 複数の視点(最適視点)を決定するために、本件発明1は、「前記物体モデルの軸の周りでの前記物体モデルの相対回転に基づいて、前記物体モデルの対称性を決定」し、「決定された前記物体モデルの対称性に基づいて」複数の視点を決定するのに対し、甲1発明は、物体2の対称性に基づいて複数の視点を決定していない点。 (4)判断 ア 取消理由1(新規性)について 上記(3)のとおり、本件発明1と、甲1発明とは、相違点1で相違するから、本件発明1が甲1発明であるとはいえない。 イ 取消理由2(進歩性)について 上記(2)イのとおり、甲5に記載された技術的事項は、「N個の学習視点102から見た対象物体の画像を生成し、N個の学習視点102のうち自視点に対応する画像と規定値以上の類似度を有する画像に対応する他視点を、非有効視点として特定して学習には使用しないことで、対象物体の対称性による冗長性を排除したテンプレートを作成すること。」というものである。 そして、甲1発明と甲5に記載された技術的事項は、物体に対して複数のテンプレートを作成して、テンプレートマッチングを行うとの作用機能の点で共通するから、甲1発明に上記甲5に記載された技術的事項を適用して、近似球形状AGにおける複数の最適視点を決定し、当該決定された複数の最適視点から見た物体2の画像をそれぞれ生成し、当該複数の最適視点のうち自視点に対応する画像と規定値以上の類似度を有する画像に対応する他視点を、非有効視点として特定して学習には使用しないことで、物体2の対称性による冗長性を排除したテンプレートを作成することは、当業者が容易になし得たといえる。 しかしながら、甲5に記載された技術的事項においては、各視点から見た物体の画像同士の類似度を判断しているのであって、甲5に記載された技術的事項は、予め決定された複数の視点(N個の学習視点102)から見た対象物体の画像を生成し、N個の学習視点102のうち自視点に対応する画像と規定値以上の類似度を有する画像に対応する他視点を、非有効視点として特定して学習には使用しないもの、すなわち、対象物体の対称性を判断する前に既に複数の視点(N個の学習視点102)が決定されているものであるから、甲1発明に甲5に記載された技術的事項を適用しても、「決定された前記物体モデルの対称性に基づいて」複数の視点を決定するものとはならないことは明らかである。 また、甲2~甲4にも、「前記物体モデルの軸の周りでの前記物体モデルの相対回転に基づいて、前記物体モデルの対称性を決定」すること、及び「決定された前記物体モデルの対称性に基づいて」複数の視点を決定すること、のいずれも記載されていない(甲2については下記第7の1(2)を参照。また、甲3及び甲4については、取消理由通知の取消理由2(進歩性)に記載したとおり、本件訂正前の請求項3、7、8、14及び請求項9、17に係る発明に関する技術的事項が記載されていると認められる。)。 そして、甲1発明に鑑みても、甲1は、段落【0008】、【0010】記載のとおり、似たような見え方となる視点をグルーピングし、マッチングに用いるテンプレート数を間引くことでマッチング処理の高速化を図るという従来技術の問題点(マッチング処理にかかる時間に大きなばらつきが生じること。)を解決するために、テンプレートを作成する際に、似たような見え方をする視点をまとめてグルーピングするといった処理等を行わずに、テンプレートの作成時間を短縮する(段落【0028】)ものであり、具体的には、各頂点の間隔が略均等、かつ、各頂点が各視点位置として設定される複数の近似球形状を利用して、テンプレートを作成するもの(段落【0013】)であるから、「前記物体モデルの軸の周りでの前記物体モデルの相対回転に基づいて、前記物体モデルの対称性を決定」することの動機も認められない(甲5に記載された技術的事項は、似たような見え方となる視点を間引くという点で、甲1の従来技術と共通し、甲1発明に、その従来技術と共通する甲5に記載された技術的事項を適用する動機があるとはいえない。)。 したがって、本件発明1が、甲1発明及び甲5に記載された技術的事項、並びに甲2~甲4に記載された技術的事項に基づいても、当業者が容易になし得たということはできない。 (5)本件発明1の進歩性についての申立人の意見 ア 意見の概要 (ア)甲5の段落【0032】の「同様に、視点303の位置を、対象物体305の回転軸306周りに180度回転させた位置が、視点304の位置である。上述した通り、対象物体305には回転軸306を中心とした180度回転対称性が存在する。然るに、視点301から見た対象物体305の見えと視点302から見た対象物体305の見えとは全く同じであるし、視点303から見た対象物体305の見えと視点304から見た対象物体305の見えとは全く同じである。」との内容は、まさしく、「前記物体モデルの軸の周りでの前記物体モデルの相対回転に基づいて、前記物体モデルの対称性を決定すること」に該当する(申立人意見書2、3ページ)。 (イ)甲5の段落【0032】の「本実施形態では、例えば視点302、視点304を非有効視点として、学習には使用しないようにすることで、冗長性を排除したテンプレートが作成できる。図3の場合、視点302及び視点304が非有効視点として特定され、そのインデックスが削除視点リストに登録されることになる。」との内容は、まさしく、「決定された前記物体モデルの対称性に基づいて、三次元空間における前記物体モデルの複数の視点を決定すること」に該当する(申立人意見書3ページ)。 イ 主張に対する検討 事案に鑑みて、まず、上記ア(イ)について検討する。 甲5の段落【0032】からは、上記(4)で述べたとおり、対象物体の対称性を判断する前に既に複数の視点(N個の学習視点102)が決定されるとの技術的事項が把握されるものであって、物体モデルの軸の周りでの物体モデルの相対回転に基づいて物体モデルの対称性を決定した上で、当該物体モデルの対称性に基づいて、複数の視点を決定することを開示するものではないことは明らかである。 よって、上記ア(ア)について検討するまでもなく、申立人の主張は採用できない。 (6)取消理由1及び取消理由2についての小括 以上により、本件発明1は、取消理由1(新規性)及び取消理由2(進歩性)によっては取り消すことはできない。 2 本件発明2~8、11について 本件発明2、4~6は、請求項1を引用するものであるところ、本件発明2、4~6と甲1発明とは、少なくとも上記1(3)に示した上記相違点1で相違するから、本件発明2、4~6が甲1発明であるとはいえない。 そして、上記1(4)イと同様の理由により、本件発明2~8、11は、甲1発明及び甲5に記載された技術的事項、並びに甲2~甲4に記載された技術的事項に基づき、当業者が容易になし得たものとはいえない。 以上により、本件発明2~8、11は、取消理由1(新規性)及び取消理由2(進歩性)によっては取り消すことはできない。 3 本件発明12~16、19について 本件発明12は、実質的に、本件発明1を方法の発明として特定したものと認められるところ、甲1には、甲1発明に対応する方法の発明も記載されている。 そして、本件発明12と甲1発明に対応する方法の発明とは、実質的に上記1(3)に示した相違点1と同様の点で少なくとも相違するから、本件発明12が甲1発明に対応する方法の発明であるとはいえない。 そして、上記1(4)イと同様の理由により、本件発明12は、甲1発明に対応する方法の発明及び甲5に記載の技術的事項、並びに甲2~4に記載された技術的事項に基づき、当業者が容易になし得たものとはいえない。 また、本件発明12を引用する請求項13~16、19についても同様である。 以上により、本件発明12~16、19は、取消理由1(新規性)及び取消理由2(進歩性)によっては取り消すことはできない。 4 本件発明20について 本件発明20は、実質的に、本件発明1を非一時的コンピュータ可読媒体の発明として特定したものと認められるところ、甲1には、甲1発明に対応する非一時的コンピュータ可読媒体の発明も記載されている。 そして、本件発明20と甲1発明に対応する非一時的コンピュータ可読媒体の発明とは、実質的に上記1(3)に示した相違点1と同様の点で少なくとも相違するから、本件発明20が甲1発明に対応する非一時的コンピュータ可読媒体の発明であるとはいえない。 そして、上記1(4)イと同様の理由により、本件発明20は、甲1発明に対応する非一時的コンピュータ可読媒体の発明及び甲5に記載の技術的事項、並びに甲2~4に記載された技術的事項に基づき、当業者が容易になし得たものとはいえない。 以上により、本件発明20は、取消理由1(新規性)及び取消理由2(進歩性)によっては取り消すことはできない。 5 取消理由1及び取消理由2についてのむすび 以上1~4のとおり、本件特許は、取消理由1及び取消理由2(甲1発明を主引例とした場合の新規性及び進歩性欠如)によっては取り消すことはできない。 第6 取消理由3(明確性)についての検討 1 取消理由3(明確性)の内容 (1)請求項8について 請求項8には、「物体認識テンプレートのセットのサブセットは、異なる位置及び異なるカメラ回転角度に対応する視点に対応する物体認識テンプレートを含む」と記載されているところ、「物体認識テンプレートのセットのサブセット」が、具体的にどのようなものであるのか、明確でない。 (2)請求項9、17について 請求項9、17において、「観察される姿勢の予測範囲」が、どのようなものであるのか、明確でない。 (3)請求項11、19について 請求項11、19において、「物体の軸の識別」に従って「物体の対称性を決定する」とは、物体の軸をどのように識別して物体の対称性を決定するのか明確でない。 2 検討 (1)上記1(1)について、訂正事項2に係る本件訂正により、請求項8は、「物体認識テンプレートのセットは、異なる位置及び異なるカメラ回転角度に対応する視点に対応する物体認識テンプレートを含む」と訂正され、本件明細書等の段落【0099】、【0106】等を参酌すれば、「物体認識テンプレートのセット」が「異なる位置及び異なるカメラ回転角度に対応する視点に対応する物体認識テンプレートを含む」ことは明確に理解できるから、請求項8についての取消理由3は解消した。 (2)上記1(2)について、訂正事項3、7に係る本件訂正により、請求項9、17は削除されているから、請求項9、17についての取消理由3の対象が存在しない。 (3)上記1(3)について、訂正事項5、9に係る本件訂正により、請求項11、19において、「物体の軸の識別」に従って「物体の対称性を決定する」との選択肢は削除されているから、請求項11、19についての取消理由3は解消した。 3 取消理由3についてのむすび 本件特許は、取消理由3(明確性)によっては取り消すことはできない。 第7 取消理由通知で採用しなかった異議申立の理由、及び申立人意見書で主張する理由についての検討 1 甲2を主引例とした新規性欠如、進歩性欠如について (1)概要 申立人は、主に申立書22~39ページ等において、本件訂正前の本件発明1~20が、甲2に記載された発明である旨、又は甲2に記載された発明等から容易になし得たものである旨(甲2を主引例とした場合の新規性及び進歩性欠如)を主張している。 (2)甲2発明 甲2の記載事項(特に、申立人が、申立書26~28ページにおいて、本件発明1の構成要件1A~1H(構成要件1A~1Hについては申立書16ページを参照。)に相当する事項が記載されていると主張する、1ページ右欄5~7行、1ページ右欄27~28行、2ページ左欄5~11行、2ページ右欄40~45行、3ページ右欄11~13行、6ページ24~28行、7ページ左欄26~27行等の記載と、それらの記載に対応する甲2の訳文を参照。)等から、甲2には、以下の発明(以下「甲2発明」という。)が開示されていると認められる。 <甲2発明> 「ピンピッキングシーンを扱う手法であって、 少なくとも一つのCPUを備え、 前記少なくとも一つのCPUは、 3DCADを学習に使用することと、 対象物体の座標軸と一致する球面上のランダムな視点を決定することと、 対象物体の座標軸と一致する球面上のランダムな視点から奥行き画像をレンダリングすることと、 各視点で2種類のテンプレートを作成する、手法。」 (3)対比、判断 本件発明1と甲2発明とを対比すると、両者は、少なくとも、上記第5の1(3)で示した相違点1と同様の点では相違するから、本件発明1が甲2発明であるとはいえない。 そして、本件発明1は甲2発明と、少なくとも相違点1と同様の点では相違するのであるから、上記第5の1(4)イで示したのと同様の理由により、本件発明1が、甲2発明及び甲5に記載された技術的事項、並びに甲1、3~4に記載された技術的事項によって、当業者が容易になし得たということはできない。 また、本件発明2~8、11~16、19、20についても、上記第5の2~4で示したと同様の理由により、甲2発明ではないし、甲2発明及び甲5に記載された技術的事項、並びに甲1、3~4に記載された技術的事項によって当業者が容易になし得たものではない。 したがって、甲2を主引例とした新規性及び進歩性欠如により、本件特許を取り消すことはできない。 2 サポート要件違反について (1)概要 申立人は、サポート要件違反について、申立書、及び申立人意見書において、概ね以下の主張をした。 ア 請求項8の「前記物体認識テンプレートのセットのサブセット」がどのようなものであるかについて、発明の詳細な説明には記載がないから、請求項8に係る発明は、本件明細書等にサポートされていない(申立書39、40ページ)。 イ 請求項9、17において、「前記複数の物体認識テンプレートに対して観察される姿勢の予測範囲に基づいて、前記複数の視点を決定すること」についてどのような構成により、どのように行うかについて、発明の詳細な説明には記載がないから、請求項9、17に係る発明は、本件明細書等にサポートされていない(申立書40、41ページ)。 ウ 本件訂正後の請求項1、12、20について「前記物体モデルの軸の周りでの前記物体モデルの相対回転に基づいて、前記物体モデルの対称性を決定すること」と記載されているところ、「相対回転」とは、物体モデルを回転させずに、他のものを回転させる場合も含まれるが、そのような記載はなく、本件明細書等にサポートされていない。また、対称性の決定は、外観を用いているため、外観を推定する前に対称性を決定することは一切開示されていない(申立人意見書4、5ページ。なお、当該理由は、本件訂正に付随して生じた理由と認める。)。 (2)検討 ア 上記(1)アについて、訂正事項2に係る本件訂正により、請求項8は、「物体認識テンプレートのセットは、異なる位置及び異なるカメラ回転角度に対応する視点に対応する物体認識テンプレートを含む」と訂正され、「物体認識テンプレートのセット」が「異なる位置及び異なるカメラ回転角度に対応する視点に対応する物体認識テンプレートを含む」ことは、上記第2の2(2)イに示すとおり、本件明細書等の段落【0106】、及び段落【0099】に記載されているといえるから、請求項8についてサポート要件違反により取り消すことはできない。 イ 上記(1)イについて、訂正事項3、7に係る本件訂正により、請求項9、17は削除されているから、請求項9、17について特許異議申立の対象が存在しない。 ウ 上記(1)ウについて、訂正事項1、6、10に係る本件訂正により、請求項1、12、20は、「前記物体モデルの軸の周りでの前記物体モデルの相対回転に基づいて、前記物体モデルの対称性を決定すること」と訂正された。 ここで、「相対運動」には「運動座標系によって記述した物体の運動。」(精選版 日本国語大辞典)の意味もあることに鑑みれば、「相対回転」には、回転座標系(回転軸)によって記述した物体の回転を意味すると解され得るところ、本件明細書等の段落【0105】には、「物体モデル4200の対称性は、物体モデル4200の回転後に、物体モデル4200の外観4140が、物体モデル4200の軸の周りの度数によって変化するかどうかに基づいて判定され得る。例えば、180度回転の後に実質的に同じように見える物体モデル4200は、双方向対称性を有する。120度回転の後に実質的に同じように見える物体モデル4200は、三方対称性を有する。90度回転の後に実質的に同じように見える物体モデル4200は、四方対称性を有する。60度の回転の後に実質的に同じように見える物体モデル4200は、六方対称性を有する。」と記載されているから、請求項1、12、20の「前記物体モデルの軸の周りでの前記物体モデルの相対回転に基づいて、前記物体モデルの対称性を決定すること」が本件の発明の詳細な説明等に記載されていないとまではいうことができない。 エ したがって、サポート要件違反により本件特許を取り消すことはできない。 第8 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由、申立書に記載した申立ての理由及び申立人意見書で主張する理由によっては、請求項1~8、11~16、19、20に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1~8、11~16、19、20に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 さらに、請求項9、10、17、18は本件訂正により削除され、これにより請求項9、10、17、18に係る特許についての特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700486

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  • 2022-700115異議申立 / 2023-10-17 / 訂正認容ロボット制御方法およびロボット
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