特許異議申立
2023-700576
窒化珪素基板およびその製造方法
- 審判番号
- 2023-700576
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-134345
- 登録番号
- 7188633
- 請求日
- 2023年06月02日
- 審決日
- 2023年08月15日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】日立金属株式会社
- 【異議申立人】青木 眞理
- 審判長/審判官
- 審判長 宮澤 尚之
- 審判官 河本 充雄
- 審判官 立木 林
- 分類
- P1651.121-Y (C04B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7188633号発明「窒化珪素基板およびその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7188633号の請求項1~5に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7188633号の請求項1~5に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、令和4年2月25日に出願した特願2022-27436号(以下、「本件特許に係る原出願」という。)の一部を同年3月11日に新たな特許出願とし、更にその一部を同年8月25日に新たな特許出願としたものであって、同年12月5日にその特許権の設定登録がされ、同年同月13日に特許掲載公報が発行された。その後、請求項1~5に係る特許に対し、令和5年6月2日に特許異議申立人 青木 眞理(以下、「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされたものである。
第2 本件発明
特許第7188633号の請求項1~5の特許に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1~5」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
珪素が含まれるシート状の成形体を窒化してなる窒化珪素基板であって、
第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、
平面形状は、それぞれの辺が100mm以上の矩形形状であり、
前記第1面と前記第2面のうちの少なくとも一方の面において、中央部と縁部との色差をΔE*abとすると、各角部から中央部の方向に15mm内側の位置である縁部のすべてで0<ΔE*ab≦1.5である、
窒化珪素基板。
【請求項2】
請求項1に記載の窒化珪素基板において、
0<ΔE*ab≦0.8である、窒化珪素基板。
【請求項3】
請求項1または2に記載の窒化珪素基板において、
前記中央部と前記縁部のそれぞれの明度は、70以上である、窒化珪素基板。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の窒化珪素基板において、
前記中央部と前記縁部のそれぞれの彩度は、10以上である、窒化珪素基板。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の窒化珪素基板において、
厚さが0.15mm以上0.8mm以下である、窒化珪素基板。」
第3 申立理由の概要
申立人は、証拠として甲第1号証~甲第2号証を提出し、以下の理由により、請求項1~5に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。
1 申立理由1(進歩性)
本件発明1~5は、甲第1号証に記載された発明、又は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
[証拠方法]
甲第1号証:特許第6399252号公報
甲第2号証:
[図:0001401718000001.jpg]
、[online]、平成30年9月8日、[令和5年3月22日検索]、インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20180907235120/https://www.sic.cas.cn/xwzx/kydt/201808/t20180831_5061676.html
第4 申立理由1(進歩性)について
1 甲号証の記載、甲号証に記載された発明等
(1)甲第1号証(特許第6399252号公報)
ア 本件特許に係る原出願の出願前に公開された甲第1号証には、以下の記載がある。
(ア)「【請求項1】
1辺が120mmの正方形よりも大きい形状の主面を有し、前記主面における中央部の密度dcと端部の密度deの比dc/deが0.98以上であり、前記主面における中央部のボイド率vcが1.80%以下であり、端部のボイド率veが1.00%以下である、窒化ケイ素焼結基板を用いた回路基板であって、8.0kV以上の絶縁破壊耐圧および6以上の絶縁破壊耐圧のワイブル係数を有する回路基板。」
(イ)「【0024】
さらに、密度およびボイド率の面内均一性が高く、外形の大きな窒化ケイ素焼結基板を作製するためには、窒化ケイ素焼結基板の製造時にグリーンシートとともに積層される窒化ホウ素粉末層の厚さを制御すること、および、焼結時の炭素含有量を制御することが重要であることが分かった。これらの検討結果に基づき、本願発明者は、大きなサイズを有し、高耐圧および高絶縁信頼性を有し、これらの面内ばらつきが小さい窒化ケイ素焼結基板およびその製造方法を想到した。以下、本実施形態の窒化ケイ素焼結基板およびその製造方法の一例を説明する。本発明は、以下の実施形態に限られず、種々の改変または変更が行われてもよい。」
(ウ)「【0055】
[2] 窒化ケイ素焼結基板の製造方法
グリーンシートの積層組立体を用いて窒化ケイ素焼結基板を製造する方法を以下に説明する。積層組立体を形成しており、グリーンシートを積層し、積層されたグリーンシートを一度に焼結するので、生産性に優れる。ここで積層組立体(stacked assembly)とは、複数のグリーンシートが互いに溶着しないように積層された、焼結時の一時的な積層構造体をいう。焼結後、積層組立体から個々の窒化ケイ素焼結基板を分離することが可能である。
【0056】
図5Aは、原料粉末として窒化ケイ素原料粉末を用いる場合の本実施形態の窒化ケイ素焼結基板を製造する方法の一例を示すフローチャートである。また、図5Bは、原料粉末としてケイ素原料粉末、または、ケイ素原料粉末および窒化珪素原料粉末を用いる場合の本実施形態の窒化ケイ素焼結基板を製造する方法の一例を示すフローチャートである。説明の簡略化のために、窒化ケイ素原料粉末をSi3N4粉末とし、ケイ素原料粉末をSi粉末とし、Mg原料粉末をMgO粉末とし、希土類元素原料粉末をY2O3粉末とするが、原料の酸化状態や窒化状態はこれらの組成式に限られず、他の酸化状態や窒化状態の原料を用いてもよい。
【0057】
(1) 混合工程S1
上記焼結組成が得られるように配合した原料粉末に、可塑剤(例えばフタル酸系可塑剤)、有機バインダー(例えばポリビニルブチラール)および有機溶剤(例えばエチルアルコール)をボールミル等で混合し、原料を含むスラリーを作製する。スラリーの固形分濃度は30質量%以上70質量%以下が好ましい。上述したようにSi粉末を窒化させる場合には、Si3N4粉末の代わりにSi粉末、または、Si粉末およびSi3N4粉末を用いる。
【0058】
(2) 成形工程S2
スラリーを脱泡および造粘した後、例えばドクターブレード法によりグリーンシートを形成する。グリーンシートの厚さは、形成すべき窒化ケイ素焼結基板の厚さおよび焼結収縮率を考慮して適宜設定する。ドクターブレード法で形成したグリーンシートは通常長尺な帯状であるので、所定の形状およびサイズに打ち抜くか切断する。1枚のグリーンシートは、1辺が150mmの正方形以上の大きさの形状を有し、かつ焼結による収縮量を考慮した大きさを有している。」
(エ)「【0073】
(d) 徐熱域
脱炭素域Pcを用いた加熱の終了後、焼結炉内の雰囲気温度を徐熱域P0の温度プロファイルで制御する。徐熱域P0は、グリーンシート1に含まれる焼結助剤が窒化ケイ素粒子の表面の酸化層と反応して液相を生成する温度域である。徐熱域P0では、窒化ケイ素の粒成長が抑えられ、液相化した焼結助剤中で窒化ケイ素粒子が再配列して緻密化する。その結果、第1および第2の温度保持域P1、P2を経て、空孔径および気孔率が小さく、曲げ強度および熱伝導率の高い窒化ケイ素焼結基板が得られる。徐熱域P0の温度T0を、第1の温度保持域P1の温度T1より低い1400℃以上1600℃以下の範囲内とし、徐熱域P0における加熱速度を300℃/hr以下とし、加熱時間t0を0.5時間以上30時間以下とするのが好ましい。加熱速度は0℃/hrを含んでも良く、すなわち徐熱域P0が一定温度に保持する温度保持域でも良い。徐熱域P0における加熱速度は1~150℃/hrがより好ましく、1~100℃/hrが最も好ましい。加熱時間t0は1~25時間がより好ましく、5~20時間が最も好ましい。
・・・
【0093】
作製した窒化ケイ素焼結基板の密度、密度比、ボイド率、ボイド比、炭素含有率、部分放電開始電圧、部分放電消滅電圧を測定した。また、絶縁破壊耐圧を測定し、絶縁破壊耐圧のワイブル係数を求めた。結果を表1に示す。実施例3~28、参考例1、2、51、52および比較例53~55の窒化ケイ素焼結基板における、炭素含有量およびボイド率(中央)を横軸及び縦軸にとったグラフを図12に示す。また、実施例3、5、10、12、14および参考例1、51、52の窒化ケイ素焼結基板について、基板の外形寸法を横軸にとり、上述した測定結果を縦軸にとったグラフを作成した。結果を図13(a)、(b)、および図14(a)、(b)に示す。
【0094】
【表1】
[図:0001401718000002.jpg]
」
イ 甲第1号証に記載された発明
(ア)上記ア(ウ)の【0055】~【0058】における窒化ケイ素焼結基板の製造方法によれば、当該窒化ケイ素焼結基板は、Si粉末を含む長尺な帯状のグリーンシートを窒化してなるものといえる。
(イ)上記(ア)及び上記ア(ア)の記載によれば、甲第1号証には、以下の発明(以下、甲1発明)という。)が記載されていると認められる。
「1辺が120mmの正方形よりも大きい形状の主面を有し、前記主面における中央部の密度dcと端部の密度deの比dc/deが0.98以上であり、前記主面における中央部のボイド率vcが1.80%以下であり、端部のボイド率veが1.00%以下である、Si粉末を含む長尺な帯状のグリーンシートを窒化してなる窒化ケイ素焼結基板を用いた回路基板であって、8.0kV以上の絶縁破壊耐圧および6以上の絶縁破壊耐圧のワイブル係数を有する回路基板。」
(2) 甲第2号証(
[図:0001401718000003.jpg]
)
本件特許に係る原出願の出願前に公開された甲第2号証には、以下の記載がある(当審注:下線は当審が付与した。以下、同様である。)。なお、甲第2号証の記載は、当審の訳文で示す。
「中国科学院上海陶磁器研究所の研究者であるZeng Yuping氏のチームは、長い研究開発期間を経て、高性能窒化ケイ素基板材料の分野で重要な進歩を遂げました。研究チームは、材料成分の設計、微細構造の調整、成形及び焼結プロセスの精密な制御と最適化を通じて、大規模な高熱伝導率窒化ケイ素セラミック基板の開発のための重要な技術を突破し、高い安定性を備えたセラミック基板の開発に成功しました。現在、窒化ケイ素基板の平均熱伝導率は95W/(m・k)であり、最適値は120W/(m・k)に達し、サイズは120×120mm2に達し、厚さは0.32mmであり、外形寸法は、実際のニーズに応じて調整できます。同時に、窒化ケイ索基板の銅被覆化も実現し、熱伝導率の高い窒化ケイ素基板の量産化への道筋が開かれました。現在、市販の窒化ケイ素セラミック基板の熱伝導率は一般的に80~90W/(m・k)です(東芝の窒化ケイ素基板(TSN-90)の熱伝導率は90W/(m・k)など)。この製品は、製品化のニーズを十分に満たすことができます。高熱伝導窒化ケイ素セラミック基板の研究の成功は、国内の高出力半導体デバイス、特にIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)の生産と開発に強力なサポートを提供し、強力な経済的及び社会的利益が期待されます。」(本文5~12行)
「
[図:0001401718000004.jpg]
高熱伝導窒化ケイ素基板」
2 甲1発明を主引用発明とした場合の進歩性について
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)甲1発明の「Si粉末を含む長尺な帯状のグリーンシート」は、本件発明1の「珪素が含まれるシート状の成形体」に相当する。また、甲1発明の「Si粉末を含むグリーンシートを窒化してなる窒化ケイ素焼結基板」は、本件発明1の「珪素が含まれるシート状の成形体を窒化してなる窒化珪素基板」に相当する。
(イ)甲1発明の「窒化ケイ素焼結基板を用いた回路基板」が、第1面と、当該第1面と反対側の第2面とを有することは自明の事項であるから、本件発明1と甲1発明とは、「第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有する窒化珪素基板」である点で共通する。
(ウ)甲1発明の「窒化ケイ素焼結基板を用いた回路基板」は、「1辺が120mmの正方形よりも大きい形状の主面を有し」ているから、その平面形状は、それぞれの辺が100mm以上の矩形形状であるといえる。
したがって、本件発明1と甲1発明とは、「平面形状は、それぞれの辺が100mm以上の矩形形状」である点で共通する。
(エ)以上から、本件発明1と甲1発明との一致点と相違点は以下のとおりとなる。
<一致点>
「珪素が含まれるシート状の成形体を窒化してなる窒化珪素基板であって、
第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、
平面形状は、それぞれの辺が100mm以上の矩形形状である、窒化珪素基板。」
<相違点>
相違点1:本件発明1は、「前記第1面と前記第2面のうちの少なくとも一方の面において、中央部と縁部との色差をΔE*abとすると、各角部から中央部の方向に15mm内側の位置である縁部のすべてで0<ΔE*ab≦1.5」であるのに対し、甲1発明は、そのような構成を有しているかどうか不明である点。
イ 相違点についての判断
相違点1に係る本件発明1の構成、すなわち、「前記第1面と前記第2面のうちの少なくとも一方の面において、中央部と縁部との色差をΔE*abとすると、各角部から中央部の方向に15mm内側の位置である縁部のすべてで0<ΔE*ab≦1.5」とすることは、甲第1号証及び甲第2号証のいずれにも、記載も示唆もされていない。
したがって、甲1発明において、相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものとはいえないし、また、甲1発明に甲第2号証に記載された事項を適用して、相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものともいえない。
ウ 申立人の主張について
(ア)申立人は、相違点1について以下の主張をしている。
a 特許異議申立書の6ページ下から4行~7ページ5行の主張
甲第1号証の【0094】の【表1】の実施例には、第1面と第2面のうち一方の面において、中央部の密度dcと端部の密度deの比dc/deが0.99以上1.00以下である、窒化珪素基板が記載されており、同【0024】には、第1面と第2面のうち一方の面において、窒化珪素基板の中央部と縁部とで密度及びボイド等の均一性が求められることが記載されているため、「各角部から中央部の方向に15mm内側の位置である縁部のすべてで0<△E*ab≦l.5」という構成は、甲1発明における、窒化珪素基板の面内均一性を向上させるという一定の課題を解決するための数値範囲の最適化又は好適化にすぎない。
b 特許異議申立書の7ページ12~25行の主張
甲第2号証の写真「高熱伝導窒化ケイ素基板」には、第1面と第2面のうち一方の面において、中央部と縁部とで色むらが発生し、色差が存在する窒化珪素基板が記載されているため、当業者は、窒化珪素基板の特性として、第1面と第2面のうち一方の面において、窒化珪素基板の中央部と縁部との色差に容易に着目することができ、また、第1面と第2面のうち一方の面において、窒化珪素基板の中央部と縁部とで均一性(例えば、色、密度、及びボイド等の均一性)が求められることは周知の事実であるため、「各角部から中央部の方向に15mm内側の位置である縁部のすべてで0<ΔE*ab≦l.5」という記載は、甲第2号証の記載事項における、窒化珪素基板の面内均一性を向上させるという一定の課題を解決するための数値範囲の最適化又は好適化にすぎず、また、甲1発明及び甲第2号証の記載事項が属する技術分野等が共通しているので、甲第2号証の記載事項の甲1発明への適用を試みることは、当業者の通常の創作能力の発揮である。
(イ)上記(ア)aの主張について
確かに、申立人が主張するように、甲第1号証(上記1(1)ア(イ)、(エ))の【0073】、【0093】、【0094】の【表1】の実施例、【0024】には、窒化ケイ素焼結基板の密度比(中央部/端部)が0.99~1.00であること、窒化ケイ素焼結基板の中央部と縁部とで密度及びボイド率の面内均一性が求められることが記載されている。
しかし、甲第1号証には、窒化ケイ素焼結基板の色差の面内均一性については、何ら記載も示唆もされていない。
また、窒化ケイ素焼結基板において、「各角部から中央部の方向に15mm内側の位置である縁部のすべてで0<ΔE*ab≦1.5」とすることは、本件特許に係る原出願の出願前において公知又は周知であったとはいえない。
したがって、甲1発明において、「各角部から中央部の方向に15mm内側の位置である縁部のすべてで0<ΔE*ab≦1.5」とすることは、窒化珪素基板の面内均一性を向上させるという一定の課題を解決するための数値範囲の最適化又は好適化にすぎないとはいえない。
よって、申立人の上記(ア)aの主張は採用できない。
(ウ)上記(ア)bの主張について
確かに、申立人が主張するように、甲第2号証(上記1(2))の写真「高熱伝導窒化ケイ素基板」には、第1面と第2面のうち一方の面において、中央部と縁部とで色むらが発生していることが見て取れる。
しかし、甲第2号証には、窒化ケイ素基板表面の色むらの均一性について何ら記載も示唆もされていないし、仮に、窒化ケイ素基板において、表面の色むらの均一性が求められていることが周知の事実であったとしても、「各角部から中央部の方向に15mm内側の位置である縁部のすべてで0<ΔE*ab≦l.5」とすることは、本件特許に係る原出願の出願において公知又は周知であったとはいえない。
したがって、窒化珪素基板の面内均一性を向上させるという課題を解決するために、「各角部から中央部の方向に15mm内側の位置である縁部のすべてで0<ΔE*ab≦l.5」とすることは、数値範囲の最適化又は好適化にすぎないとはいえないし、また、甲第2号証に記載された事項を甲1発明に適用しても、「各角部から中央部の方向に15mm内側の位置である縁部のすべてで0<ΔE*ab≦1.5」であるとの構成は得られない。
したがって、申立人の上記(ア)bの主張は採用できない。
(エ)小括
以上から、本件発明1は、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものではないし、また、甲1発明及び甲第2号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(2)本件発明2~5について
本件発明2~5は、いずれも本件発明1の全ての構成を有するものであるから、本件発明1と同様の理由により、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものではないし、また、甲1発明及び甲第2号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものでもない。
4 まとめ
以上のとおりであるから、請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
したがって、申立理由1は、理由がない。
第5 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-700576