特許異議申立
2023-700554
良好なバリア性を有するリサイクル可能な易裂き性包装用ラミネートおよびその製造方法
- 審判番号
- 2023-700554
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-509989
- 登録番号
- 7181382
- 請求日
- 2023年05月29日
- 審決日
- 2024年08月20日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】コンスタンティア・ピルク・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディトゲゼルシャフト
- 【権利者代理人】江崎 光史
- 【権利者代理人】鍛冶澤 實
- 【権利者代理人】上西 克礼
- 【権利者代理人】虎山 一郎
- 【権利者代理人】石田 大成
- 【異議申立人】後藤 麻衣子
- 審判長/審判官
- 審判長 金丸 治之
- 審判官 長清 吉範
- 審判官 稲葉 大紀
- 分類
- P1651.121-ZAA(B32B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7181382号発明「良好なバリア性を有するリサイクル可能な易裂き性包装用ラミネートおよびその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7181382号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~7、14〕、〔8~13、15〕について訂正することを認める。
特許第7181382号の請求項1~15に係る特許を取り消す。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7181382号の請求項1~15に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、2018年(平成30年)8月23日を国際出願日とする出願であって、令和4年11月21日にその特許権の設定登録がされ、同年11月30日に特許掲載公報が発行された。
本件特許についての異議申立人後藤麻衣子(以下「申立人」という。)による本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和5年 5月29日 特許異議の申立て
令和5年 9月12日付け 取消理由通知
令和5年12月12日 特許権者より意見書・訂正請求書
令和6年 1月31日 申立人より意見書
令和6年 3月27日付け 取消理由通知(決定の予告)
当合議体は、特許権者に対し、令和6年3月27日付けで取消理由(決定の予告)を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者は応答しなかった。
以下、令和5年12月12日の訂正請求書による訂正請求における訂正自体を「本件訂正」という。
第2 本件訂正
1 訂正の内容
本件訂正の内容は、以下の(1)、(2)(なお、下線は訂正箇所である。)のとおりである。
(1) 訂正事項1
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1に「-双方向に延伸された第1のラミネート層(2)を、少なくとも80vol%のポリエチレン含有量を有する第2のラミネート層(3)に接続する工程、ここで、前記第2のラミネート層(3)は、前記第1のラミネート層(2)のバリア層(6)に接続される、
を含む、包装用ラミネート(1)を製造する方法。」とあるのを、
「-双方向に延伸された第1のラミネート層(2)を、少なくとも80vol%のポリエチレン含有量を有する第2のラミネート層(3)に接続する工程、ここで、前記第2のラミネート層(3)は、前記第1のラミネート層(2)のバリア層(6)に接続される、
を含み、
第1のラミネート層(2)の厚さが、10~40μmであり、
第2のラミネート層(3)の厚さは、20~200μmである、
包装用ラミネート(1)を製造する方法。」と訂正する(請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2~7、14も同様に訂正する。)。
(2) 訂正事項2
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項8に「ここで、前記接続層(5)は、基材層(4)とバリア層(6)との間に配置され、前記第1のラミネート層(2)は、そのバリア層(6)において、前記第2のラミネート層(3)に接続されている、前記包装用ラミネート。」とあるのを、
「ここで、前記接続層(5)は、基材層(4)とバリア層(6)との間に配置され、前記第1のラミネート層(2)は、そのバリア層(6)において、前記第2のラミネート層(3)に接続されており、
第1のラミネート層(2)の厚さが、10~40μmであり、
第2のラミネート層(3)の厚さは、20~200μmである、
前記包装用ラミネート。」と訂正する(請求項8を直接的又は間接的に引用する請求項9~13、15も同様に訂正する。)。
(3) 一群の請求項
本件訂正請求は、一群の請求項〔1~7、14〕、〔8~13、15〕に対して請求されたものである。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1) 訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る発明の第1のラミネート層(2)及び第2のラミネート層(3)のそれぞれの厚さを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
訂正事項1は、願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)の【0024】、【0029】の記載に基づくものであり、新規事項を追加するものではない。
(2) 訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項8に係る発明の第1のラミネート層(2)及び第2のラミネート層(3)のそれぞれの厚さを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
訂正事項2は、本件明細書等の【0024】、【0029】の記載に基づくものであり、新規事項を追加するものではない。
3 小括
以上によれば、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~7、14〕、〔8~13、15〕について訂正することを認める。
第3 本件発明
上記第2のとおり本件訂正は認められたから、本件訂正後の本件特許の請求項1~15に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明15」という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~15に記載された事項により特定される、以下のとおりのものであると認められる。
「【請求項1】
-少なくとも60vol%(体積%)、好ましくは少なくとも70vol%、非常に好ましくは少なくとも80vol%のHDPE含有量を有する基材層(4)、接続層(5)、および、バリア性ポリマー、好ましくはポリアミドまたはエチレン-ビニルアルコールポリマーから成り、第1のラミネート層(2)の総厚さの最大20%の厚さを有するバリア層(6)とから成る第1のラミネート層(2)を共押出しする工程、ここで前記接続層(5)は、基材層(4)とバリア層(6)との間に配置されており、
-共押出しされた第1のラミネート層(2)を双方向に延伸する工程、
-双方向に延伸された第1のラミネート層(2)を、少なくとも80vol%のポリエチレン含有量を有する第2のラミネート層(3)に接続する工程、ここで、前記第2のラミネート層(3)は、前記第1のラミネート層(2)のバリア層(6)に接続される、
を含み、
第1のラミネート層(2)の厚さが、10~40μmであり、
第2のラミネート層(3)の厚さは、20~200μmである、
包装用ラミネート(1)を製造する方法。
【請求項2】
前記第1のラミネート層(2)が、第2のラミネート層(3)に接続される前に、バリア層(6)上に印刷、金属化またはコーティングされることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のラミネート層(2)が、基材層(4)において、少なくとも80vol%のポリエチレン含有量を有するさらなる単層または多層ラミネート層(10)に接続されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のラミネート層が、前記さらなるラミネート層(10)に接続される前に、バリア層(6)および/または基材層(4)上に印刷、金属化またはコーティングされることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記さらなるラミネート層(10)の少なくとも1つの層が印刷、金属化またはコーティングされていることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも60vol%のHDPE含有量を有する基材層(4’)、バリア性ポリマーから成るバリア層(6’)、および、その間に配置された接続層(5’)を有する、一方向または双方向に延伸された第4のラミネート層(2’)の形態で、前記第1のラミネート層(2)が、その基材層(4)において、さらなる多層ラミネート層(10)に接続されており、
ここで、前記第4のラミネート層(2’)のバリア層(6’)が前記第1のラミネート層(2)の基材層(4)に接続されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のラミネート層(2)が、少なくとも60vol%、好ましくは少なくとも70vol%、非常に好ましくは少なくとも80vol%のHDPE含有量を有する基材層(4’’)、接続層(5’’)、バリア性ポリマー、好ましくはポリアミドまたはエチレン-ビニルアルコールポリマーから成り、第2のラミネート層(3)の総厚さの最大20%の厚さを有するバリア層(6’’)、およびシール層(7)から成る第2のラミネート層(3)に接続され、
ここで、これらの層は共押出しされており、前記第2ラミネート層(3)の接続層(5’’)が前記第2ラミネート層(3)の基材層(4’’)とバリア層(6’’)との間に配置され、前記シール層(7)が前記基材層(4’’)上に配置され、前記共押出しされた前記第2ラミネート層(3)が機械方向または双方向に延伸され、前記第2ラミネート層(3)のバリア層(6’’)が前記第1ラミネート層(2)のバリア層(6)に接続されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
第1のラミネート層(2)と第2のラミネート層(3)を含む包装用ラミネートであって、前記第1のラミネート層(2)は、少なくとも60vol%のHDPE含有量を有する基材層(4)、接続層(5)、および、バリア性ポリマー、好ましくはポリアミドまたはエチレン-ビニルアルコールポリマーから成り、第1のラミネート層(2)の総厚さの最大20%の厚さを有するバリア層(6)とから成る共押出された双方向に延伸された複合材料であり、
ここで、前記接続層(5)は、基材層(4)とバリア層(6)との間に配置され、前記第1のラミネート層(2)は、そのバリア層(6)において、前記第2のラミネート層(3)に接続されており、
第1のラミネート層(2)の厚さが、10~40μmであり、
第2のラミネート層(3)の厚さは、20~200μmである、
前記包装用ラミネート。
【請求項9】
前記第1のラミネート層(2)のバリア層(6)が印刷、金属化またはコーティングされていることを特徴とする、請求項8に記載の包装用ラミネート。
【請求項10】
前記第1のラミネート層(2)が、その基材層(4)において、少なくとも80vol%のポリエチレン含有量を有するさらなる単層または多層ラミネート層(10)に接続されていることを特徴とする、請求項8または9に記載の包装用ラミネート。
【請求項11】
前記さらなるラミネート層(10)の少なくとも1つの層が印刷、金属化またはコーティングされていることを特徴とする、請求項10に記載の包装用ラミネート。
【請求項12】
前記さらなるラミネート層(10)が、機械方向または双方向に延伸された共押出複合体の形態で、少なくとも60vol%のHDPE含有量を有する基材層(4’)、バリア性ポリマー、好ましくはポリアミドまたはエチレン-ビニルアルコールポリマーから成るバリア層(6’)、および、その間に配置された接続層(5’)から成る第4のラミネート層(2’)であり、
前記第1のラミネート層(2)の基材層(4)は、前記第4のラミネート層(2’)のバリア層(6’)に接続されていることを特徴とする、請求項10または11に記載の包装用ラミネート。
【請求項13】
第2のラミネート層(3)が、少なくとも少なくとも60vol%、好ましくは少なくとも70vol%、非常に好ましくは少なくとも80vol%の含有量を有する基材層(4’’)、接続層(5’’)、バリア性ポリマー、好ましくはポリアミドまたはエチレン-ビニルアルコールポリマーから成り、第2のラミネート層(3)の総厚さの最大20%の厚さを有するバリア層(6’’)およびシール層(7)から成る機械方向または双方向に延伸された共押出しされたラミネートであり、
ここで、前記第2ラミネート層(3)の接続層(5’’)が、前記第2ラミネート層(3)の基材層(4’’)とバリア層(6’’)との間に配置され、前記シール層(7)が前記基材層(4’’)上に配置され、
前記第2ラミネート層(3)のバリア層(6’’)が前記第1ラミネート層(2)のバリア層(6)に接続されていることを特徴とする、請求項8または9に記載の包装用ラミネート。
【請求項14】
第1のラミネート層2の機械方向の延伸度が、4:1~8:1であり、第1のラミネート層2の横方向の延伸の程度が、5:1~10:1である、請求項1~7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項15】
第1のラミネート層2の機械方向の延伸度が、4:1~8:1であり、第1のラミネート層2の横方向の延伸の程度が、5:1~10:1である、請求項8~13のいずれか一つに記載の包装用ラミネート。」
第4 取消理由通知(決定の予告)の概要
本件訂正後の請求項1~15に係る特許に対して、令和6年3月27日付けで当審が通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
請求項1~15に係る発明は、甲1号証に記載された発明及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~15に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
よって、請求項1~15に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
記
<引用文献等>
甲第1号証:特表2014-531341号公報
甲第3号証:特表2007-537938号公報
甲第4号証:米国特許第5153074号明細書
(以下、「甲1」、「甲3」、「甲4」という。)
参考資料1:石原英昭著、「プラスチックフィルムの基礎と応用 ポリマー、プロセッシング、プロダクトの実際例」、株式会社加工技術研究会、2010年1月26日、p.42-52(申立人が意見書に添付して提出)
第5 当審の判断
当審合議体は、合議の結果、上記取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由によって、請求項1~15に係る特許は取り消されるべきものと判断する。
1 引用例の記載事項
(1)甲1
ア 甲1には以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。
「【請求項22】
ガスバリア特性を有する二軸配向多層ポリマーバリアフィルムの製造方法であって、
a)ポリオレフィンコア層を、前記コア層の第1側上のエチレンビニルアルコール(EVOH)の表面バリア層とともに共押出するステップであって、前記表面バリア層は最大36モル%のエチレン含量を有する、ステップと、
b)得られた共押出フィルムを同時二軸配向するステップであって、一方で、延伸操作の間の前記フィルムの温度を最小レベルと前記コア層のポリオレフィン材料の溶融温度との間に維持し、ここで最小レベルは前記フィルムのコア層ポリオレフィン材料によって決まり、少なくとも105°Cである、ステップと、
を含む方法。」
「【請求項25】
変性ポリオレフィンタイ層が、前記ポリオレフィンコア層及び前記EVOHバリア表面層とともに、かつそれらの間に共押出される、請求項22から24の何れか1項に記載の方法。」
「【請求項28】
c)前記EVOHバリア表面層をさらなるバリアコーティングで被覆するステップをさらに含む、請求項22から27の何れか1項に記載の方法。」
「【0003】
ラミネートの内部、つまりラミネートから製造された容器のうち充填された食物の内容物に面するよう意図されている側には、アルミニウムホイル上に適用された最内層が存在し、最内、内部層は、一部分又は幾つかの部分、ヒートシール可能接着ポリマー及び/又はポリオレフィンを含む層から構成され得る。紙又は板紙バルク層の外側にはまた、最外ヒートシール可能ポリマー層が存在する。ヒートシール可能ポリマー層は、好ましくは低密度ポリエチレンをベースとする。」
「【0031】
本発明の一実施形態によると、ポリオレフィンコア層は、ポリプロピレンホモポリマー、プロピレン-エチレンコポリマー、プロピレン-エチレン-ブチレンターポリマーを含む、他のアルファオレフィンとのプロピレンコポリマー、LLDPE、MDPE及びHDPEポリマーなどを含む、0.930より高い、好ましくは0.940より高い密度(圧縮されたサンプルを使用したISO1183Dによって決定される)を有するポリエチレンホモポリマー及びコポリマー、並びに2以上の前記ポリオレフィンの混合物からなる群から選択される二軸配向ポリオレフィンを含む。」
「【0033】
本発明の一実施形態によると、EVOH層の厚さは0.4から1.0μm、より好ましくは0.5から0.7μmである。EVOHの厚さは、1.5μm未満であるべきである。結果として生じる厚さが1.5μmを超えると、低エチレングレードEVOHのコストが非常に高くなり、一方で、厚さが1μm以下であると、パッケージングの目的に対して、経済的により実現可能となる。他方、0.4μm未満の厚さでは均一な(even)EVOH層、故にフィルムを通して均一かつ信頼できるガスバリア特性を保証できなくなる。」
「【0035】
本発明の一実施形態によると、フィルムの全体の厚さは20μmまで、好ましくは12から18μmである。全体の厚さが20μmを超えると、原材料の観点でのコスト効率が低下し、一方で8μm未満であると、フィルムの機械特性は顕著に低下し、パッケージングラミネートの機械特性にあまり寄与しなくなる。」
「【0041】
本発明のさらなる実施形態によると、そのフィルムはポリオレフィンコア層の他の反対の側にもまた、第2のEVOHバリア表面層を有する。第2のEVOHバリア層はまた、好ましくは1.5μm未満の厚さを有し、36モル%以下のエチレン含量を有する。
【0042】
本発明のさらなる側面によると、ポリマーバリアフィルムはさらに、EVOHバリア層の外部表面上をバリア材料で覆われる。故に、本発明によって得られるようなEVOHバリア表面層を有するフィルムは、単独で、又は次いで基板フィルムとして使用されるフィルム上に覆われるさらなるバリア材料層と組み合わせて、あるいはフィルムにラミネートされてラミネート材料として使用され得る。フィルムが1つのEVOHバリア表面層を各側に有する場合、フィルムの両側はもちろん、さらにバリア材料によって覆われることができる。」
「【0065】
本発明の方法の一実施形態によると、フィルムのポリオレフィンコア層は、0.930より高い密度を有するポリエチレンホモポリマー又はコポリマーを主に含み、延伸操作の間のそのフィルムの温度は、110°Cから135°C未満である。主に含むとは、ポリオレフィンの70から100重量%がエチレンポリマーであることを意味する。」
「【0145】
図2は、本発明による好ましいパッケージングラミネートの断面を示す。バリアフィルム10b;21は、低密度ポリエチレンの中間ボンディング層23によって板紙層22にラミネートされ、板紙22、バリアフィルム21、及びポリエチレンの押出溶融層を含めて押出ラミネーションプロセスを用いて適用された。他のボンディング層はまた、もちろん、本発明の範囲内で実現可能であり、特に変性又はグラフトポリエチレンベースのポリマーである。こうして得られたラミネート製品の各外側において、ヒートシール可能ポリエチレンベース層が押出コーティングを用いて適用される。パッケージングラミネートから製造されたパッケージの内側に向かって方向付けられた外側層、つまり最内層24は、ロバストなヒートシーリング操作及びシールされたパッケージング容器の強いシールを提供するために、メタロセン触媒又は単一サイトタイプの低密度ポリエチレン(m-LLDPE)を含む。
【0146】
ラミネートにおける最も厚い層は、バルク紙又は板紙層22である。液体カートンベースのパッケージングに適切な任意の紙又は板紙が、バルク層22に対して採用され得る。図2におけるラミネート層は、バリア層21の厚さが紙コア層22より顕著に薄いという事実を反映しないことに留意すべきである。」
「【図2】
[図:0001422375000001.jpg]
」
イ 上記アの記載事項のうち、特に【0041】にポリオレフィンコア層の両面にEVOH表面層があるものが記載され、変性ポリオレフィンタイ層がポリオレフィンコア層及びEVOHバリア表面層とともに、かつそれらの間に共押出される(【請求項25】)ことを考慮して、総合すると、甲1には以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「ガスバリア特性を有する二軸配向多層ポリマーバリアフィルムを含むパッケージングラミネートの製造方法であって、
二軸配向多層ポリマーバリアフィルムの製造工程として、
a)ポリオレフィンコア層を、前記コア層の第1側上のエチレンビニルアルコール(EVOH)の表面バリア層と、前記コア層の他の反対の側の第2のEVOH表面バリア層とともに共押出するステップであって、エチレンビニルアルコール(EVOH)の表面バリア層は最大36モル%のエチレン含量を有する、ステップと、
b)得られた共押出フィルムを同時二軸配向するステップであって、一方で、延伸操作の間の前記共押出フィルムの温度を最小レベルと前記コア層のポリオレフィン材料の溶融温度との間に維持し、ここで最小レベルは前記共押出フィルムのコア層ポリオレフィン材料によって決まり、少なくとも105℃である、ステップと、
c)前記エチレンビニルアルコール(EVOH)の表面バリア層をさらなるバリアコーテイングで被覆するステップと、
を含み、
延伸比は、縦方向(MD)において5から8であり、横方向(TD)において5から8であり、
変性ポリオレフィンタイ層が、前記ポリオレフィンコア層と前記エチレンビニルアルコール(EVOH)の表面バリア層とともに、かつそれらの間、及び、前記ポリオレフィンコア層と前記第2のEVOH表面バリア層とともに、かつそれらの間に共押出され、
前記さらなるバリアコーテイングは、金属化、酸化シリコンコーテイング、又はアモルファスカーボンコーテイングであり、
前記エチレンビニルアルコール(EVOH)の表面バリア層の厚さは、1.5μm未満であり、
二軸配向多層ポリマーバリアフィルムの全体の厚さは12から18μmであり、
ポリオレフィンコア層は、0.930より高い密度を有するポリエチレンホモポリマー又はコポリマーを主に含み、
二軸配向多層ポリマーバリアフィルムのコア層の第1側である一方の面に低密度ポリエチレンの中間ボンデイング層を積層し、中間ボンディング層23によって板紙層22にラミネートされ、他方の面に低密度ポリエチレンを含む最内層を積層するステップをさらに含む、方法。」
(2)甲3
甲3には以下の事項が記載されている。
「【0014】
一実施形態として、一軸延伸フィルムが積層フィルムの一部を成し、この積層フィルムが保護層を備えていてもよい。本発明によれば、一軸延伸フィルムはポリオレフィン及び/又はエステルの少なくとも一つ、好ましくはポリエチレン及び/又はポリプロピレン及び/又はポリエチレンテレフタレートを含む。場合によっては、例えばエチル-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、又は、積層フィルム上に形成した蒸着金属層や金属箔などから成る保護層を設けてもよい。保護層材料としては他に、例えば、二酸化シリコンを含むガラス状物質が挙げられる。これらの材料をポリエチレン及び/又はポリプロピレンとともに単独で用いても、共押出フィルムとして用いてもよいし、ポリエチレンテレフタレートと共に用いてもよい。」
(3)甲4
甲4には以下の事項が記載されている。なお、丸括弧内は参考のために当審で付した和訳である。
「
[図:0001422375000002.jpg]
[図:0001422375000003.jpg]
」(第3欄第42行~第4欄第11行)
(実施例
3層構造は、以下の材料を用い、共押出成形によって作成された。
A層=エチレンビニルアルコール共重合体(エチレン 48%);
Bコア層=50%ポリプロピレンホモポリマー/50%デュポンバイネルE-394接着促進剤、すなわち無水マレイン酸変性ポリプロピレン;
C層=エチレン-プロピレン-1-ブテン3元重合体、比率エチレン2% プロピレン94% 1-ブテン4%。
押し出されたフィルムは、キャストロール上で70°Fで急冷され、230°Fに再加熱され、機械方向に元の長さの3.0倍に延伸された。続いて、そのシートを310~320°Fのテンターフレームで元の幅の8倍に延伸された。この二軸延伸フィルムは、巻き取り前にコロナ処理をしなかった。線速度は50fpmであった。
最終的なフィルムは、総厚80~100ゲージで、EVOH層の厚さは3ゲージ、3元重合体層の厚さは6ゲージだった。EVOH層のぬれ張力は、オフラインで39dyn/cmと測定された。
フィルムを通常の方法を用いてアルミニウム蒸着した。通常の蒸着方法は、1×10-3~1×10-6torrの圧力の真空チャンバー内にフィルムのロールを配置することからなる。次に、フィルムは巻き出され、アルミニウムの雲の上を移動し、そこで堆積が生じて厚さ100~500オングストロームのアルミニウムコーティングが生成される。アルミニウム雲は、抵抗加熱された金属間化合物ボートにアルミニウム線を供給することによって生成される。次に、蒸着フィルムを巻き取り、チャンバーから取り出す。2つのフィルム試料はEVOH層にアルミニウム蒸着した。1つの試料はEPB三元重合体層にアルミニウム蒸着した。)
(4)参考資料1
参考資料1には以下の事項が記載されている。
「6.1 フィルムの略号
キャスティングフィルムの記号として、最初にCが付けられる。例えばCPPはキャスティングポリプロピレン(未延伸PP)、CNYはキャスティングナイロン(未延伸NY)である。また、最初にOが付けられるとOrientedの意味で延伸フィルムを表す。例えば、ONY(二軸延伸ナイロン)などである。表18はフィルムの略号および関連語句の記号をまとめたものである。ここではフィルムの名称だけではなく、ポリマーやフィルムに関連する項目などの略号もまとめて掲げてある。」(第47ページ左欄第1~11行)
「
[図:0001422375000004.jpg]
」(第43ページ)
「
[図:0001422375000005.jpg]
」(第45ページ)
「6.4 フィルムの組み合わせと用途
特に包装用途のフィルムについては、実用的な使い方として、単一フィルムよりは複数のフィルムを貼り合わせて使われることが多い。その場合、それぞれのフィルムが機能分担され、全体として要求品質に合致した特性を発揮することができる。表24はフィルムの組み合わせと用途の一例であり、未延伸フィルムと延伸フィルムが組み合わせられている。包装用フィルムではCPPやLLDPEがシーラントの役割を演じ、延伸フィルムのOPPなどはパッケージングの機械的強度やガスバリア機能などを担うことになる。フィルム構成の一例を図47に示した。ポテトチップスのフィルム構成であるが、5層のフィルムからなり、その内の押出PE2層は接着剤の役割をしている。食品が接しているのはCPPフィルムである。表24はいろいろな用途に使われるフィルムの構成であり、フィルムの種類、積層枚数など多くの組み合わせから要求品質にあったパッケージング材料が作られる。なお、表中の記号「//」はドライラミ(Dry Lamination)で、接着剤ラミネート(Adhesive Lamination)とも呼ばれる。溶剤を含んだ接着剤を塗布し、溶剤を蒸発させながらフィルムを貼り合わせる方法である。一方、「/」は押出ラミ(Extrusion Lamination、Extrusion Coating)と呼ばれ、溶融樹脂でフィルムを接着させる方法である。」(第47ページ右欄下から11行~第52ページ第2行)
「
[図:0001422375000006.jpg]
[図:0001422375000007.jpg]
」(第50~51ページ)
「
[図:0001422375000008.jpg]
」(第51ページ)
(5)周知事項
ア 周知事項1
上記(4)に示されるように、次の事項は本願国際出願日以前に周知の技術的事項である。
「包装容器に用いるフィルムを構成するヒートシール層として、未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)、直鎖状ポリエチレン(LLDPE)を用いることや、その厚さとして、20~70μm程度とすること」(以下、「周知事項1」という。)
イ 周知事項2
上記(2)及び(3)に示されるように、次の事項は本願国際出願日以前に周知の技術的事項である。
「包装材の分野において、延伸フィルムに蒸着金属層等の保護層を設けること」(以下「周知事項2」という。)
2 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と甲1発明を、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
甲1発明の「ポリオレフィンコア層」、「第2のEVOH表面バリア層」、「変性ポリオレフィンタイ層」、「パッケージングラミネート」、「二軸配向多層ポリマーバリアフィルム」、「二軸配向する」こと及び「最内層」は、それぞれ、本件発明1の「基材層」、「バリア層」、「接続層」、「包装用ラミネート」、「第1のラミネート層」、「双方向に延伸する」こと及び「第2のラミネート層」に相当する。ここで、「バリア層」に関し、甲1発明の「第2のEVOH表面バリア層」は、「エチレンビニルアルコール」ポリマーの「表面バリア層」であるから、本件発明の「バリア性ポリマー、好ましくはポリアミドまたはエチレン-ビニルアルコールポリマーから成」るという事項に相当する。
甲1発明の「ポリオレフィンコア層は、0.930より高い密度を有するポリエチレンホモポリマー又はコポリマーを主に含」むことは、甲1の「主に含むとはポリオレフィンの70から100重量%がエチレンポリマーである」(【0065】)ことを考慮すると、本件発明1の基材層(4)が「-少なくとも60vol%(体積%)、好ましくは少なくとも70vol%、非常に好ましくは少なくとも80vol%のHDPE含有量を有する」という事項と対比して、「-少なくとも60vol%(体積%)、好ましくは少なくとも70vol%、非常に好ましくは少なくとも80vol%のポリエチレン含有量を有する」に限って一致する。
甲1発明の「エチレンビニルアルコール(EVOH)の表面バリア層の厚さは、1.5μm未満であり」、「二軸配向多層ポリマーバリアフィルムの全体の厚さは12から18μmであ」ることは、その比率を考慮すると、本件発明1のバリア層(6)が「第1のラミネート層(2)の総厚さの最大20%の厚さを有する」ことに相当する。
甲1発明の「変性ポリオレフィンタイ層が、」「前記ポリオレフィンコア層と前記第2のEVOH表面バリア層とともに、かつそれらの間に共押出され」ることは、本件発明1の基材層(4)、接続層(5)、バリア層(6)とから成る「第1のラミネート層(2)を共押出しする工程、ここで前記接続層(5)は、基材層(4)とバリア層(6)との間に配置されて」いることに相当する。
甲1発明の「得られた共押出フィルムを同時二軸配向する」ことは、本件発明1の「-共押出しされた第1のラミネート層(2)を双方向に延伸する」ことに相当する。
甲1発明の「最内層」は、甲1の「最内層24は、・・・、メタロセン触媒又は単一サイトタイプの低密度ポリエチレン(m-LLDPE)を含む」(【0145】)こと、さらに、当該低密度ポリエチレン(m-LLDPE)から主に構成される(【0086】)ことを考慮すると、ポリエチレンからなるといえるから、本件発明1の「少なくとも80vol%のポリエチレン含有量を有する第2のラミネート層(3)」に相当する。
そして、甲1発明の「二軸配向多層ポリマーバリアフィルム」が「a)ポリオレフィンコア層を、前記コア層の第1側上のエチレンビニルアルコール(EVOH)の表面バリア層と、前記コア層の他の反対の側の第2のEVOH表面バリア層とともに共押出するステップであって、エチレンビニルアルコール(EVOH)の表面バリア層は最大36モル%のエチレン含量を有する」ことから、甲1発明の「二軸配向多層ポリマーバリアフィルムのコア層の第1側である一方の面に低密度ポリエチレンの中間ボンデイング層を積層し、中間ボンディング層23によって板紙層22にラミネートされ、他方の面に低密度ポリエチレンを含む最内層を積層する」ことは、本件発明1の「-双方向に延伸された第1のラミネート層(2)を、少なくとも80vol%のポリエチレン含有量を有する第2のラミネート層(3)に接続する工程、ここで、前記第2のラミネート層(3)は、前記第1のラミネート層(2)のバリア層(6)に接続される」ことに相当する。
甲1発明の「二軸配向多層ポリマーバリアフィルムの全体の厚さは12から18μmであ」ることは、本件発明1の「第1のラミネート層(2)の厚さが、10~40μmであ」ることに相当する。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、以下の一致点で一致し、相違点で相違する。
<一致点>
「-少なくとも60vol%(体積%)、好ましくは少なくとも70vol%、非常に好ましくは少なくとも80vol%のポリエチレン含有量を有する基材層(4)、接続層(5)、および、バリア性ポリマー、好ましくはポリアミドまたはエチレン-ビニルアルコールポリマーから成り、第1のラミネート層(2)の総厚さの最大20%の厚さを有するバリア層(6)とから成る第1のラミネート層(2)を共押出しする工程、ここで前記接続層(5)は、基材層(4)とバリア層(6)との間に配置されており、
-共押出しされた第1のラミネート層(2)を双方向に延伸する工程、
-双方向に延伸された第1のラミネート層(2)を、少なくとも80vol%のポリエチレン含有量を有する第2のラミネート層(3)に接続する工程、ここで、前記第2のラミネート層(3)は、前記第1のラミネート層(2)のバリア層(6)に接続される、
を含み、
第1のラミネート層(2)の厚さが、10~40μmであり、
包装用ラミネート(1)を製造する方法。」
<相違点1>
「-少なくとも60vol%(体積%)、好ましくは少なくとも70vol%、非常に好ましくは少なくとも80vol%のポリエチレン含有量を有する」点について、
本件発明1の基材層(4)は、「HDPE含有量を有する」のに対し、
甲1発明のポリオレフィンコア層は、「0.930より高い密度を有するポリエチレンホモポリマー又はコポリマー」を含むものの、その密度範囲のうち、下限値(0.930)から0.940以下の領域は日本産業規格(JISK 6922-1:2018)によれば、「HDPE」ではない点。
<相違点2>
本件発明1は、「第2のラミネート層(3)の厚さは、20~200μmである」のに対して、甲1発明は、「最内層」についてその厚さは特定されていない点。
(2)相違点についての判断
ア 相違点1について
甲1の「ポリオレフィンコア層は、・・・HDPEポリマーなどを含む、0.930より高い、好ましくは0.940より高い密度(圧縮されたサンプルを使用したISO1183Dによって決定される)を有するポリエチレンホモポリマー及びコポリマー・・・」(段落【0031】)という事項に鑑みると、甲1発明のパッケージラミネートのポリオレフィンコア層におけるポリエチレンホモポリマー又はコポリマーとして、HDPEを選択する程度のことは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
イ 相違点2について
甲1発明の「低密度ポリエチレンを含む」ものであり、甲1の「ラミネートの内部、つまりラミネートから製造された容器のうち充填された食物の内容物に面するよう意図されている側には、アルミニウムホイル上に適用された最内層が存在し、最内、内部層は、一部分又は幾つかの部分、ヒートシール可能接着ポリマー及び/又はポリオレフィンを含む層から構成され得る。」(【0003】)との記載から、最内層はヒートシールできる層であることが認められる。
そして、包装容器に用いるフィルムを構成するヒートシール層として、未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)、直鎖状ポリエチレン(LLDPE)を用いることや、その厚さとして、20~70μm程度とすることは上記1(5)ア周知事項1で示したとおり周知であるから、甲1発明において、上記周知事項1を採用して、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(3) したがって、本件発明1は、甲1発明及び周知事項1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
3 本件発明2について
甲1発明は、「c)前記EVOHバリア表面層をさらなるバリアコーテイングで被覆するステップ」を有し、「前記さらなるバリアコーテイングは、金属化、酸化シリコンコーテイング、又はアモルファスカーボンコーテイングであ」るので、本件発明2の「前記第1のラミネート層(2)が、第2のラミネート層(3)に接続される前に、バリア層(6)上に印刷、金属化またはコーティングされることを」備えている。
そうすると、本件発明2は、甲1発明及び周知事項1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
4 本件発明3について
甲1発明の「二軸配向多層ポリマーバリアフィルムの一方の面に低密度ポリエチレンの中間ボンデイング層を積層」することは、本件発明3の「前記第1のラミネート層(2)が、基材層(4)において、少なくとも80vol%のポリエチレン含有量を有するさらなる単層または多層ラミネート層(10)に接続されること」に相当する。
そうすると、本件発明3は、甲1発明及び周知事項1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
5 本件発明4、5について
包装材の分野において、延伸フィルムに蒸着金属層等の保護層を設けることは、上記1(5)イのとおり周知事項2である。
そうすると、本件発明4、5は、甲1発明、周知事項1及び周知事項2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
6 本件発明6、7について
甲1発明は、「c)前記エチレンビニルアルコール(EVOH)の表面バリア層をさらなるバリアコーテイングで被覆するステップ」と備え、「前記コア層の他の反対の側の第2のEVOH表面バリア層」を備えることを踏まえると、本件発明6、7は、甲1発明、周知事項1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
7 本件発明8について
本件発明8は、実質的に本件発明1の方法で得られた包装用ラミネートの発明である。
そうすると、本件発明8は、上記2で述べたことと同様に、甲1発明及び周知事項1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
8 本件発明9、10について
本件発明9、10は、実質的に本件発明2の方法で得られた包装用ラミネートの発明である。
そうすると、本件発明9、10は、上記3で述べたことと同様に、甲1発明及び周知事項1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
9 本件発明11について
本件発明11は、実質的に本件発明5の方法で得られた包装用ラミネートの発明であるから、本件発明5と同様に、甲1発明、周知事項1及び周知事項2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
10 本件発明12について
本件発明12は、実質的に本件発明6の方法で得られた包装用ラミネートの発明であるから、本件発明6と同様に、本件発明12は、甲1発明、周知事項1及び周知事項2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
11 本件発明13について
本件特許発明13は、実質的に本件発明7の方法で得られた包装用ラミネートの発明であるから、本件発明7と同様に、本件発明13は、甲1発明及び周知事項1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
12 本件発明14について
甲1発明におけるバリアフィルムの延伸比は、縦方向(MD)において5から8であり、横方向(TD)において5から8である。
そうすると、本件発明14は、甲1発明、周知事項1及び周知事項2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
13 本件発明15について
本件発明15は、実質的に本件発明14の方法で得られた包装用ラミネートの発明である。
そうすると、本件発明15は、本件発明14と同様に、甲1発明、周知事項1及び周知事項2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 むすび
以上のとおり、請求項1~3、6~10、12、13に係る発明は、甲1発明及び周知事項1に基いて、請求項4、5、11、14、15に係る発明は、甲1発明、周知事項1及び周知事項2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、請求項1~15に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700554