特許異議申立
2023-700327
リサイクル適合性で簡単に引き裂くことができかつ良好なバリア作用を持つ包装用積層材及びそれの製造法
- 審判番号
- 2023-700327
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-560136
- 登録番号
- 7145879
- 請求日
- 2023年03月30日
- 審決日
- 2025年02月06日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】コンスタンティア・ピルク・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディトゲゼルシャフト
- 【権利者代理人】江崎 光史
- 【権利者代理人】鍛冶澤 實
- 【権利者代理人】上西 克礼
- 【権利者代理人】虎山 一郎
- 【権利者代理人】石田 大成
- 【異議申立人】後藤 麻衣子
- 審判長/審判官
- 審判長 金丸 治之
- 審判官 木原 裕二
- 審判官 稲葉 大紀
- 分類
- P1651.55 -YAA(B32B) / P1651.536-YAA(B32B) / P1651.537-YAA(B32B) / P1651.121-YAA(B32B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7145879号発明「リサイクル適合性で簡単に引き裂くことができかつ良好なバリア作用を持つ包装用積層材及びそれの製造法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7145879号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~14〕、〔15~26〕について訂正することを認める。
特許第7145879号の請求項1~3、5~15、17~26に係る特許を維持する。
特許第7145879号の請求項4、16に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7145879号(以下「本件特許」という。)の請求項1~26に係る特許についての出願は、2018年(平成30年)4月24日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2017年5月5日 オーストリア国(AT)、2017年7月25日 オーストリア国(AT))を国際出願日とする出願であって、令和4年9月22日にその特許権の設定登録がされ、同年10月3日に特許掲載公報が発行された。そして、本件特許につき、令和5年3月30日に特許異議申立人後藤麻衣子(以下「申立人」という。)により、本件特許異議の申立てがされた。
以降の手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年 6月16日付け 取消理由通知
同年 9月15日 訂正請求書・意見書(特許権者)
同年10月26日 意見書(申立人)
同年12月20日付け 訂正拒絶理由通知
令和6年 2月22日 手続補正書・意見書(特許権者)
同年 3月29日付け 取消理由通知(決定の予告)
同年 6月25日 訂正請求書・意見書(特許権者)
同年 7月17日 手続補正書(特許権者)
同年11月15日 意見書(申立人)
なお、令和5年9月15日の訂正請求書による訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。
第2 訂正の請求について
1.訂正の内容
令和6年6月25日の訂正請求書(同年7月17日 手続補正書により補正されたもの。)による訂正の請求(以下「本件訂正請求」といい、訂正自体を「本件訂正」という。)の趣旨は、「特許第7145879号の特許請求の範囲を、本請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~26について訂正することを求める。」というものである。なお、下線は、当審において訂正箇所に付したものである。
(1)請求項1~14に係る訂正
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「両方向に引き裂き可能な包装用積層材(1)」と記載されているのを、「両方向に手で簡単に引き裂き可能な包装用積層材(1)」に訂正する。(請求項1の記載を直接的または間接的に引用する請求項2、3、5~14も同様に訂正する。)
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「を含む、前記方法。」と記載されているのを、「を含み、前記包装用積層材(1)において、第一のラミネート層(2)の厚さは10~40μmであり、基材層(4)の厚さは5~35μmであり、及び接合層(5)の厚さは1~5μmであり、及び第二のラミネート層(3)は20μmと200μmとの間の厚さを有し、かつ前記バリア層(6)は、ポリアミドまたはエチレン-ビニルアルコールコポリマーでできている、前記方法。」と訂正する。(請求項1の記載を直接または間接的に引用する請求項2、3、5~14も同様に訂正する。)
ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4を削除する。
エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5に「請求項1~4」と記載されているのを、「請求項1~3」に訂正する。
オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6に「請求項1~5」と記載されているのを、「請求項1~3及び5」に訂正する。
カ 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項10に「請求項1~5」と記載されているのを、「請求項1~3及び5」と訂正する。
キ 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項14に「請求項1~13」と記載されているのを、「請求項1~3及び5~13」と訂正する。
(2)請求項15~26に係る訂正
ア 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項15に「第一のラミネート層(2)と第二のラミネート層(3)とを有する」と記載されているのを、「第一のラミネート層(2)と、ポリエチレン含有率が少なくとも80体積%でありかつ20μmと200μmとの間の厚さを有する第二のラミネート層(3)とを有する」に訂正する。(請求項15の記載を直接または間接的に引用する請求項17~26も同様に訂正する。)
イ 訂正事項9
特許請求の範囲の請求項15に「両方向に引き裂き可能な包装用積層材」と記載されているのを、「両方向に手で簡単に引き裂き可能な包装用積層材」に訂正する。(請求項15の記載を直接または間接的に引用する請求項17~26も同様に訂正する。)
ウ 訂正事項10
特許請求の範囲の請求項15に「共押出されかつ機械方向にのみ延伸された非対称的な複合体であり、」と記載されているのを、「共押出されかつ機械方向にのみ延伸された非対称的な複合体であり、但し、第一のラミネート層(2)の厚さは10~40μmであり、基材層(4)の厚さは5~35μmであり、及び接合層(5)の厚さは1~5μmであり、」に訂正する。(請求項15の記載を直接または間接的に引用する請求項17~26も同様に訂正する。)
エ 訂正事項11
特許請求の範囲の請求項15に「それのバリア層(6)で前記第二のラミネート層(3)と接合されている」と記載されているのを、「それのバリア層(6)で前記第二のラミネート層(3)と接合されており、かつ前記バリア層(6)は、ポリアミドまたはエチレン-ビニルアルコールコポリマーでできている」に訂正する。(請求項15の記載を直接または間接的に引用する請求項17~26も同様に訂正する。)
オ 訂正事項12
特許請求の範囲の請求項16を削除する。
カ 訂正事項13
特許請求の範囲の請求項17に「請求項15または16」と記載されているのを、「請求項15」に訂正する。
キ 訂正事項14
特許請求の範囲の請求項18に「請求項15~17のいずれか一つ」と記載されているのを、「請求項15または17」に訂正する。
ク 訂正事項15
特許請求の範囲の請求項22に「請求項15~17のいずれか一つ」と記載されているのを、「請求項15または17」に訂正する。
ケ 訂正事項16
特許請求の範囲の請求項26に「請求項15~25」と記載されているのを、「請求項15及び17~25」に訂正する。
(3)一群の請求項について
訂正前の請求項2~14は請求項1の記載を直接的に又は間接的に引用するものであり、訂正前の請求項16~26は請求項15を直接的に又は間接的に引用するものであるから、本件訂正請求は、一群の請求項〔1~14〕、〔15~26〕に対して請求されたものである。
2.訂正の適否
(1)請求項1~14に係る訂正について
ア 訂正事項1について
訂正事項1は、本件訂正前の請求項1に「両方向に引き裂き可能な包装用積層材」と記載さているのを、「両方向に手で簡単に引き裂き可能な包装用積層材」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項1は、本件明細書の【0012】、【0037】、【0049】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてするものである。
訂正事項1は、本件訂正前の請求項1に係る発明の発明特定事項をさらに限定するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
イ 訂正事項2について
訂正事項2は、本件訂正前の請求項1に係る発明では、第一のラミネート層(2)、基材層(4)、接合層(5)及び第二のラミネート層(3)のそれぞれの厚さは特定されておらず、バリア層(6)を構成する材料も特定されていなかったものを、第一のラミネート層(2)、基材層(4)、接合層(5)、第二のラミネート層が、それぞれ、「10~40μm」、「5~35μm」、「1~5μm」、「20μmと200μmとの間」の厚さを有することを特定し、「かつバリア層(6)は、ポリアミドまたはエチレン-ビニルアルコールコポリマーででき」たものであることを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項2は、本件明細書の【0022】、【0023】、【0025】~【0028】の記載に基づくものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
訂正事項2は、本件訂正前の請求項1に係る発明の発明特定事項をさらに限定するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 訂正事項3について
訂正事項3は、本件訂正前の請求項4を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項3は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
エ 訂正事項4~7について
訂正事項4~7は、本件訂正前の請求項5、6、10、14について、請求項4が削除されたことに伴い、引用する請求項の数を減少させるものであり、また、削除された請求項4を引用しているという不明瞭な状態を解消させるものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項4~7は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)請求項15~26に係る訂正について
ア 訂正事項8について
訂正事項8は、本件訂正前の請求項15に「第一のラミネート層(2)と第二のラミネート層(3)とを有する」と記載されているのを、「第一のラミネート層(2)と、ポリエチレン含有率が少なくとも80体積%でありかつ20μmと200μmとの間の厚さを有する第二のラミネート層(3)とを有する」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項8は、本件明細書の【0013】、【0028】の記載に基づくものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
訂正事項8は、本件訂正前の請求項15に係る発明の発明特定事項をさらに限定するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
イ 訂正事項9について
訂正事項9は、本件訂正前の請求項15に「両方向に引き裂き可能な包装用積層材」と記載さているのを、「両方向に手で簡単に引き裂き可能な包装用積層材」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項9は、本件明細書の【0012】、【0037】、【0049】の記載に基づくものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
訂正事項9は、本件訂正前の請求項15に係る発明の発明特定事項をさらに限定するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 訂正事項10について
訂正事項10は、本件訂正前の請求項15に「共押出されかつ機械方向にのみ延伸された非対称的な複合体であり、」と記載されているのを、「共押出されかつ機械方向にのみ延伸された非対称的な複合体であり、但し、第一のラミネート層(2)の厚さは10~40μmであり、基材層(4)の厚さは5~35μmであり、及び接合層(5)の厚さは1~5μmであり、」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項10は、本件明細書の【0023】、【0025】、【0027】の記載に基づくものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
訂正事項10は、本件訂正前の請求項15に係る発明の発明特定事項をさらに限定するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
エ 訂正事項11について
訂正事項11は、本件訂正前の請求項15に「それのバリア層(6)で前記第二のラミネート層(3)と接合されている」と記載されているのを、「それのバリア層(6)で前記第二のラミネート層(3)と接合されており、かつ前記バリア層(6)は、ポリアミドまたはエチレン-ビニルアルコールコポリマーでできている」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項11は、本件明細書の【0026】の記載に基づくものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
訂正事項11は、本件訂正前の請求項15に係る発明の発明特定事項をさらに限定するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
オ 訂正事項12について
訂正事項12は、請求項16を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項12は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
カ 訂正事項13~16について
訂正事項13~16は、本件訂正前の請求項17、18、22、26について、請求項16が削除されたことに伴い、引用する請求項の数を減少させるものであり、また、削除された請求項16を引用しているという不明瞭な状態を解消させるものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項13~16は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
3.訂正についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、本件訂正後の請求項〔1~14〕、〔15~26〕について訂正することを認める。
第3 本件特許発明
本件特許の請求項1~3、5~15、17~26に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」等という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~3、5~15、17~26に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
両方向に手で簡単に引き裂き可能な包装用積層材(1)の製造方法であって、次のステップ:
-少なくとも60体積%のHDPE含有率を有する基材層(4)と、接合層(5)と、バリアポリマーからなり、第一のラミネート層(2)の全厚の最大20%の厚さを有するバリア層(6)とからなる非対称的な第一のラミネート層(2)を共押出し、この際、前記接合層(5)は、前記基材層(4)と前記バリア層(6)との間に配置されるステップ、
-上記非対称的な共押出された第一のラミネート層(2)を機械方向にのみ延伸するステップ、
-このように延伸された非対称的な第一のラミネート層(2)を、ポリエチレン含有率が少なくとも80体積%の第二のラミネート層(3)と接合し、ここで、前記第二のラミネート層(3)は、前記非対称的な第一のラミネート層(2)のバリア層(6)と接合されるステップ、
を含み、前記包装用積層材(1)において、第一のラミネート層(2)の厚さは10~40μmであり、基材層(4)の厚さは5~35μmであり、及び接合層(5)の厚さは1~5μmであり、及び第二のラミネート層(3)は20μmと200μmとの間の厚さを有し、かつ前記バリア層(6)は、ポリアミドまたはエチレン-ビニルアルコールコポリマーでできている、前記方法。
【請求項2】
前記基材層(4)が、少なくとも70体積%のHDPE含有率を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基材層(4)が、少なくとも80体積%のHDPE含有率を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。」
「【請求項5】
前記第一のラミネート層(2)が、延伸された後に、但し第二のラミネート層(3)との接合の前に、バリア層(6)上で印刷、金属被覆または酸化アルミニウムもしくは酸化ケイ素でコーティングされることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記第一のラミネート層(2)が、前記基材層(4)上で、少なくとも80体積%のポリエチレン含有率を有する更なる一層または多層型ラミネート層(10)と接合されることを特徴とする、請求項1~3及び5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記第一のラミネート層が、前記更なるラミネート層(10)との接合の前に、前記基材層(4)上で、印刷、金属被覆またはコーティングされることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記更なるラミネート層(10)の少なくとも一つの層が印刷、金属被覆またはコーティングされることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第一のラミネート層(2)が、それの基材層(4)上で、一方向に延伸された第四のラミネート層(2’)の形の多層型の更なるラミネート層(10)と接合され、前記第四のラミネート層(2’)は、少なくとも60体積%のHDPE含有率を有する基材層(4’)、バリアポリマーでできたバリア層(6’)、及びそれらの間に配置された接合層(5’)を含み、ここで、前記第四のラミネート層(2’)のバリア層(6’)は、前記第一のラミネート層(2)の基材層(4)と接合されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記第一のラミネート層(2)が、第二のラミネート層(3)と接合され、前記第二のラミネート層(3)は、少なくとも60体積%のHDPE含有率を有する基材層(4’’)と、接合層(5’’)と、バリアポリマーでできており、前記第二のラミネート層(3)の全厚の最大20%の厚さを有するバリア層(6’’)と、シーリング層(7)とからなり、ここで、これらの層は共押出されており、そして前記第二のラミネート層(3)の接合層(5’’)は、第二のラミネート層(3)の基材層(4’’)とバリア層(6’’)との間に配置され、そしてシーリング層(7)は基材層(4’’)上に配置されており、及び前記共押出された第二のラミネート層(3)は機械方向に延伸されており、及び前記第二のラミネート層(3)のバリア層(6’’)は、前記第一のラミネート層(2)のバリア層(6)と接合されることを特徴とする、請求項1~3及び5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
前記基材層(4’’)が、少なくとも70体積%のHDPE含有率を有することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記基材層(4’’)が、少なくとも80体積%のHDPE含有率を有することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記バリア層(6’’)が、ポリアミドもしくはエチレン-ビニルアルコールコポリマーでできていることを特徴とする、請求項10~12のいずれか一つに記載の方法。
【請求項14】
第一のラミネート層(2)、第二のラミネート層(3)または更なるラミネート層(10)のうちの少なくとも一つの層がバリアラッカーで印刷されていることを特徴とする、請求項1~3及び5~13のいずれか一つに記載の方法。
【請求項15】
第一のラミネート層(2)と、ポリエチレン含有率が少なくとも80体積%でありかつ20μmと200μmとの間の厚さを有する第二のラミネート層(3)とを有する、両方向に手で簡単に引き裂き可能な包装用積層材であって、前記第一のラミネート層(2)は、少なくとも60体積%のHDPE含有率を有する基材層(4)と、接合層(5)と、バリアポリマーからなり、前記第一のラミネート層(2)の全厚の最大20%の厚さを有するバリア層(6)とからなる、共押出されかつ機械方向にのみ延伸された非対称的な複合体であり、但し、第一のラミネート層(2)の厚さは10~40μmであり、基材層(4)の厚さは5~35μmであり、及び接合層(5)の厚さは1~5μmであり、ここで、前記接合層(5)は、前記基材層(4)と前記バリア層(6)との間に配置され、そして前記非対称的な第一のラミネート層(2)は、それのバリア層(6)で前記第二のラミネート層(3)と接合されており、かつ前記バリア層(6)は、ポリアミドまたはエチレン-ビニルアルコールコポリマーでできていることを特徴とする、前記包装用積層材。」
「【請求項17】
前記第一のラミネート層(2)のバリア層(6)が印刷、金属被覆または酸化アルミニウムもしくは酸化ケイ素でコーティングされていることを特徴とする、請求項15に記載の包装用積層材。
【請求項18】
前記第一のラミネート層(2)が、それの基材層(4)上で、少なくとも80体積%のポリエチレン含有率を有する更なる一層または多層型ラミネート層(10)と接合されていることを特徴とする、請求項15または17のいずれか一つに記載の包装用積層材。
【請求項19】
前記更なるラミネート層(10)の少なくとも一つの層が印刷、金属被覆またはコーティングされていることを特徴とする、請求項18に記載の包装用積層材。
【請求項20】
前記更なるラミネート層(10)が、少なくとも60体積%のHDPE含有率を有する基材層(4’)、バリアポリマーでできたバリア層(6’)、及びそれらの間に配置された接合層(5’)からなる共押出されかつ機械方向で延伸された複合材の形の第四のラミネート層(2’)であること、及び前記第一のラミネート層(2)の基材層(4)が、上記第四のラミネート層(2’)のバリア層(6’)と接合されていることを特徴とする、請求項18または19に記載の包装用積層材。
【請求項21】
前記バリア層(6’)が、ポリアミドもしくはエチレン-ビニルアルコールコポリマーでできていることを特徴とする、請求項20に記載の包装用積層材。
【請求項22】
前記第二のラミネート層(3)が、少なくとも60体積%のHDPE含有率を有する基材層(4’’)と、接合層(5’’)と、バリアポリマーでできており、前記第二のラミネート層(3)の全厚の最大20%の厚さを有するバリア層(6’’)と、シーリング層(7)とからなる共押出された、機械方向に延伸された複合体であり、ここで、第二のラミネート層(3)の接合層(5’’)は、第二のラミネート層(3)の基材層(4’’)とバリア層(6’’)との間に配置されており、そしてシーリング層(7)は基材層(4’’)上に配置されていること、及び前記第二のラミネート層(3)のバリア層(6’’)は、前記第一のラミネート層(2)のバリア層(6)と接合されていることを特徴とする、請求項15または17に記載の包装用積層材。
【請求項23】
前記基材層(4’’)が、少なくとも70体積%のHDPE含有率を有することを特徴とする、請求項22に記載の包装用積層材。
【請求項24】
前記基材層(4’’)が、少なくとも80体積%のHDPE含有率を有することを特徴とする、請求項22に記載の包装用積層材。
【請求項25】
前記バリア層(6’’)が、ポリアミドもしくはエチレン-ビニルアルコールコポリマーでできていることを特徴とする、請求項22~24のいずれか一つに記載の包装用積層材。
【請求項26】
第一のラミネート層(2)、第二のラミネート層(3)または更なるラミネート層(10)のうちの少なくとも一つの層がバリアラッカーで印刷されていることを特徴とする、請求項15及び17~25のいずれか一つに記載の包装用積層材。」
第4 取消理由(決定の予告)について
1.取消理由(決定の予告)の概要
(1)新規事項
令和4年5月9日付け手続補正書でした補正は、以下の点で、国際出願日における国際特許出願の明細書の翻訳文、同請求の範囲の翻訳文、又は同図面もしくは当該補正後の明細書、特許請求の範囲若しくは図面(以下「翻訳文等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
請求項1には、第一のラミネート層の接合層の厚さや、両方向に引き裂き可能な適当な第二のラミネート層の構成が特定されていないため、請求項1の「包装用積層材(1)」を「両方向に引き裂き可能な包装用積層材(1)」とする補正は、新たな技術的事項を導入するものである。
(2)記載不備
本件特許は、明細書又は特許請求の範囲の記載が以下ア~オの点で不備のため、特許法第36条第4項第1号、第6項第1号及び同項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
ア 請求項1~9には、第一のラミネート層の接合層の厚さや、両方向に引き裂き可能な適当な第二のラミネート層の構成が特定されていないため、第一のラミネート層の接合層の厚さや第二のラミネート層の構成を任意とするような発明の範囲まで、発明の詳細な説明において開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえず、請求項1~9に係る発明は発明の詳細な説明に記載したものではない。
イ 請求項1には、「両方向に引き裂き可能な包装用積層材」と記載されており、請求項1に係る発明は、「両方向に」簡単又は容易に「引き裂き可能な包装用積層材」並びに「両方向に」簡単又容易ではないものの「引き裂き可能な包装用積層材」を含むものであるが、本件明細書には、両方向に引き裂き可能な包装用積層材が記載されておらず、請求項1~14に係る発明は発明の詳細な説明に記載したものではない。
ウ 請求項1の「両方向に引き裂き可能な包装用積層材(1)」は、具体的にどのような特性や条件で「引き裂き可能」といえるのか翻訳文等及び技術常識を考慮しても不明であるため、請求項1~14に係る発明は明確でない。
エ 本件明細書の記載において、請求項1~9、11~14に係る発明である「両方向に引き裂き可能な包装用積層材」を実施するに当たり、どのような「第二のラミネート層」とするべきであるのか、明確かつ十分に記載されていない。
オ 本件明細書の記載において、バリア層を含む第一ラミネートフィルム、あるいは、第一のラミネート層及び第二のラミネート層を有する包装用積層材が、両方向に簡単に又は容易に引き裂くことができるようにするために、どのような構成等である必要があるのか、明確かつ十分に記載されていない。
2.判断
(1)新規事項について
ア 翻訳文等には、次の事項が記載されている。
(ア)段落【0014】、【0037】より、第一のラミネート層の一方向延伸によって、第一のラミネート層が両方向に引き裂くことができること。
(イ)段落【0015】より、HDPE含有率が高い層は長手方向に裂ける傾向を有するものの、段落【0040】、【0044】、【0045】より、所定の厚さ(2μm)の接合層5を設けることにより、長手方向での引き裂き傾向が大きく低減し、十分な靱性を獲得し、機械方向及び横方向での引裂伝播抵抗の値が一定程度近づくことで、両方向に引き裂き可能なバリアフィルム、つまり第一のラミネート層を実現していること。
段落【0027】より、接合層5の厚さは、1~5μmであること。
(ウ)段落【0012】、【0014】より、第一のラミネート層及び第二のラミネート層を有する包装用積層材は、両方向に引き裂くことができること。
(エ)段落【0049】より、適当な第二のラミネート層を使用した場合に、包装用積層材1が全体で、第一のラミネート層2の引き裂き特性を担い、包装用積層材1も、両方の方向に均一に簡単に手で引き裂くことができること。
段落【0050】、【0051】より、この第二のラミネート層は、シーリング層であってもよいし、多層であってもよいこと。
段落【0028】より、第二のラミネート層3の厚さは、包装用積層材1の用途に応じて、典型的には20μmと200μmとの間であること。
イ 上記アの事項より、翻訳文等には、高いHDPE含有率の層を有する一方向延伸された第一のラミネート層が、所定の厚さの接合層を有し、第二のラミネート層が適当な場合に、包装用積層材が両方向に引き裂き可能となる点が記載されている。また、接合層の「所定の厚さ」が「1~5μm」であり、「適当な」第二のラミネート層が「20μmと200μmとの間の厚さを有」するものであれば、包装用積層材が両方向に引き裂き可能であるといえる。
そして、本件訂正により、請求項1に、「接合層(5)の厚さは1~5μmであ」ること、「第二のラミネート層(3)は20μmと200μmとの間の厚さを有」することが特定され、本件訂正後の請求項1の記載は、翻訳文等に記載した事項の範囲内のものであるといえる。
よって、上記1.(1)の取消理由には理由がない。
(2)記載不備について
ア 特許法第36条第6項第1号に係る取消理由について
(ア)上記1.(2)アの取消理由について
本件訂正により、請求項1に、「接合層(5)の厚さは1~5μmであ」ること、「第二のラミネート層(3)は20μmと200μmとの間の厚さを有」することが特定されたから、本件発明1~3、5~9は発明の詳細な説明に記載したものである。
(イ)上記1.(2)イの取消理由について
本件訂正により、請求項1の「包装用積層材(1)」は、「両方向に手で簡単に引き裂き可能な包装用積層材(1)」と特定されたから、本件発明1~3、5~14は発明の詳細な説明に記載したものである。
(ウ)申立人の主張について
申立人は、令和6年11月15日の意見書において、「適当ではない第二のラミネート層を使用した場合には、両方の方向に簡単に引き裂き可能にはならないのは明らかである」、「第一のラミネート層及び第二のラミネート層以外の層の厚さや配向性、あるいは第一のラミネート層以外の他の層全体の厚さや配向性なども引き裂き特性に影響することは明らかである」(いずれも3頁)と主張する。
しかし、本件発明1の「包装用積層材(1)」の厚さは、包装材料として用いることができる範囲内のものであることは技術常識から明らかであり、本件明細書の「第一のラミネート層2は、包装用積層材1に引き裂き特性を与える。」(【0049】)との記載からすれば、包装材料として用いられる通常の厚さのものにおいて、本件発明1の第一のラミネート層2の構成を採用すれば、包装用積層材を「両方向に手で簡単に引き裂き可能」であることが認識できるものといえる。
よって、申立人の上記主張は採用できない。
イ 特許法第36条第6項第2号に係る取消理由について
(ア)上記1.(2)ウの取消理由について
本件訂正後の請求項1には「両方向に手で簡単に引き裂き可能な包装用積層材」と記載されるところ、この「両方向に手で簡単に引き裂き可能」とは、人が手を使って千切ることができることを意味するのは明らかであるから、本件発明1~14は明確である。
(イ)申立人の主張について
申立人は、令和6年11月15日の意見書において、本件発明1の「簡単に」との表現は、主観的な表現であり、行為者によって「簡単に」と感じるか否かは異なり、発明の範囲が不明確である(1~2頁)と主張する。
しかし、上述のように、請求項1の「両方向に手で簡単に引き裂き可能」は、人が手を使って千切ることができることを意味し、「簡単に」は、手で千切れることを単に強調するものであり、発明の範囲を不明確にするものではないから、申立人の上記主張は採用できない。
ウ 特許法第36条第4項第1号に係る取消理由について
(ア)上記1.(2)エの取消理由について
第二のラミネート層3について、本件明細書には、主にPEからなり、厚さが20~200μmであること(【0028】)、単層のシーリング層7として熱シールし得ること(図1、【0050】)、多層にも設計できること(【0051】)、多層の場合、シーリング層を二つの層とすること(【0053】)、第一のラミネート層2と類似して、基材層4’’、バリア層6’’及び接合層5’’を含むものとすること(【0059】)が記載されており、これらの記載をもとに、当業者であれば、適宜、第二のラミネート層を設計し、「包装用積層材1に引き裂き特性を与える」(【0049】)第一のラミネート層と併用することで、「両方向に引き裂き可能な包装用積層材」を実施することができるものといえる。
(イ)上記1.(2)オの取消理由について
上述のように、本件明細書の記載によれば、本件発明1の第一のラミネート層2の構成を採用することにより、包装用積層材を「両方向に手で簡単に引き裂き可能」とすることができるものである。
エ よって、上記1.(2)の取消理由には理由がない。
第5 取消理由(決定の予告)に採用しなかった特許異議申立理由について
1.申立理由
申立人は、取消理由(決定の予告)で採用した理由のほか、次の理由を申し立てている。
(1)進歩性
本件特許の請求項1~26に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、並びに甲第2号証ないし甲第4号証に記載された技術的事項に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。
甲第1号証:特表2014-531341号公報
甲第2号証:特開2000-167998号公報
甲第3号証:特表2007-537938号公報
甲第4号証:国際公開第2015/175871号
以下、甲第1号証を「甲1」という。他も同様。
(2)新規事項
本件明細書には、両方向に引き裂き可能ではあるものの両方向に「容易に」又は「簡単に」引き裂き可能ではない包装用積層材の記載はない。従って、令和4年5月9日付け手続補正書における補正により請求項1、15に加えられた、単に「両方に引き裂き可能な」包装用積層材は、本件特許の翻訳文等に記載した事項の範囲を超えるものである。
(3)記載不備
ア 特許法第36条第6項第1号
(ア)本件明細書には、両方向に「容易に」又は「簡単に」引き裂き可能ではない包装用積層材の記載はなく、本件特許の請求項1~26に係る発明の「両方向に引き裂き可能な包装用積層材」は、発明の詳細な説明に記載したものではない。
(イ)延伸条件の限定がない本件特許の請求項1~26に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。
イ 特許法第36条第6項第2号
本件発明1~26の「両方向に引き裂き可能な包装用積層材」は、どのような条件で引き裂き可能であるか特定されておらず、明確でない。
2.判断
(1)進歩性について
ア 甲1に記載された発明
甲1には、特に請求項22、25の記載から、次の「甲1発明」が記載されているといえる。
「ガスバリア特性を有する二軸配向多層ポリマーバリアフィルムの製造方法であって、
a)ポリオレフィンコア層を、前記コア層の第1側上のエチレンビニルアルコール(EVOH)の表面バリア層とともに共押出するステップであって、前記表面バリア層は最大36モル%のエチレン含量を有する、ステップと、
b)得られた共押出フィルムを同時二軸配向するステップであって、一方で、延伸操作の間の前記フィルムの温度を最小レベルと前記コア層のポリオレフィン材料の溶融温度との間に維持し、ここで最小レベルは前記フィルムのコア層ポリオレフィン材料によって決まり、少なくとも105°Cである、ステップを含み、
変性ポリオレフィンタイ層が、前記ポリオレフィンコア層及び前記EVOHバリア表面層とともに、かつそれらの間に共押出される、方法。」
イ 対比
本件発明1と甲1発明を対比すると、少なくとも次の相違点で相違する。
《相違点》
本件発明1の基材層について、「少なくとも60体積%のHDPE含有率を有する基材層(4)」であり、「機械方向にのみ延伸」されたものであるのに対し、甲1発明のコア層は「ポリオレフィン」であり、HDPEに特定されておらず、また、二軸延伸されたものである点。
ウ 判断
(ア)甲1には、コア層の「ポリオレフィン」について、「ポリプロピレンホモポリマー、プロピレン-エチレンコポリマー、プロピレン-エチレン-ブチレンターポリマーを含む、他のアルファオレフィンとのプロピレンコポリマー、LLDPE、MDPE及びHDPEポリマーなどを含む、0.930より高い、好ましくは0.940より高い密度(圧縮されたサンプルを使用したISO1183Dによって決定される)を有するポリエチレンホモポリマー及びコポリマー、並びに2以上の前記ポリオレフィンの混合物からなる群から選択される二軸配向ポリオレフィンを含む。」(【0031】)と記載され、0.940より高い密度のポリエチレン(HDPE)も例示されているが、そのような高い密度のポリエチレン(HDPE)を一軸延伸することは記載も示唆もされておらず、甲1発明の「ポリオレフィンコア層」を、「60体積%のHDPE含有率を有する基材層」とする動機付けはない。
また、他の甲2~甲4にも、「60体積%のHDPE含有率を有する基材層」とする動機付けに係る記載はない。
(イ)そして、本件発明1は、少なくとも60体積%のHDPE含有率を有する基材層と接合層とバリア層からなる第一のラミネート層を機械方向にのみ延伸することで、包装用積層材を両方向に容易に引き裂くことができるものとすることができ、一方向のみの延伸により単純化され製造コストを削減できる(【0014】)という格別な効果を奏するものである。
(ウ)よって、上記相違点に係る本件発明1の構成は、当業者が容易に想到し得たものではなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲4に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
本件発明2、3、5~15、17~26も同様である。
エ 以上より、申立人の進歩性に係る申立理由には理由がない。
(2)新規事項について
本件訂正により、請求項1、15は、「両方向に手で簡単に引き裂き可能な包装用積層材」と特定されたから、申立人の上記1.(2)の新規事項に係る申立理由には理由がない。
(3)記載不備について
ア 特許法第36条第6項第1号
本件訂正により、請求項1、15において「両方向に手で簡単に引き裂き可能な包装用積層材」と特定された。
また、本件明細書には、「HDPE含有率が80%以上である場合、高HDPE含有率を有する機械方向に延伸された(MDO)層は、長手方向に裂ける傾向がある」(【0015】)と記載されており、HDPEを含有する基材層の延伸条件については特に記載されておらず、本件発明1~3、5~15、17~26において、延伸条件の限定は要しない。
以上より、申立人の上記1.(3)ア(ア)及び(イ)のサポート要件に係る申立理由には理由がない。
イ 特許法第36条第6項第2号
上記第4の2.(2)イで述べたように、請求項1、15の「引き裂き可能」は、人が千切ることができることを意味し、「両方向に手で簡単に引き裂き可能な包装用積層材」は、道具を使わずとも、包装用積層材を人が手で持って千切ることができることを示すものであり、明確である。
以上より、申立人の上記1.(3)イの明確性要件に係る申立理由には理由がない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議の申立ての理由によっては、請求項1~3、5~15、17~26に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~3、5~15、17~26に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、請求項4、16に係る特許についての特許異議の申立ては、本件訂正により申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700327