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特許異議申立

2023-700438

黒生姜含有組成物

審判番号
2023-700438
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-149829
登録番号
7217550
請求日
2023年04月26日
審決日
2025年04月03日
公報発行日
2025年08月29日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】株式会社東洋新薬
  • 【権利者代理人】▲高▼津 一也
  • 【異議申立人】大村 豊
  • 【異議申立人】山口 幸子
  • 【異議申立人】浅利 陽子
審判長/審判官
  • 審判長 松波 由美子
  • 審判官 冨永 みどり
  • 審判官 山村 祥子
分類
P1651.121-ZAA(A61K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項特許法113条2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第5項、特許法第126条第5項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条、特許法第113条第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7217550号発明「黒生姜含有組成物」の特許異議申し立て事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7217550号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1及び2について訂正することを認める。 特許第7217550号の請求項1及び2に係る特許を取り消す。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7217550号(以下「本件特許」という。)の請求項1及び2に係る特許についての出願(特願2021-149829号)は、平成27年2月27日の出願である特願2015-38887号の一部を、令和1年5月14日に新たな出願である特願2019-91315号とし、さらにその一部を令和2年9月2日に新たな出願である特願2020-147913号とし、さらにその一部を新たな出願としたものであって、令和5年1月26日にその特許権の設定登録がされ(請求項の数 2)、同年2月3日に特許掲載公報が発行された。その後、令和5年4月26日に、特許異議申立人である 大村 豊(以下「異議申立人A」という。)により、同年8月3日に、山口 幸子(以下「異議申立人B」という。)により、同年8月3日に、浅利 陽子(以下「異議申立人C」という。)により、それぞれ本件特許の請求項1及び2に係る特許に対して特許異議の申立てがされた。その後の手続きの経緯は次のとおりである。 令和 5年11月15日付け:取消理由通知書 令和 6年 1月18日 :意見書(特許権者)の提出 同年 1月18日 :訂正請求書の提出 令和 6年 1月30日 :通知書(訂正請求があった旨の通知) 同年 3月 1日 :異議申立人Cによる意見書の提出 同年 3月 4日 :異議申立人Bによる意見書の提出 同年 5月20日付け:訂正拒絶理由通知書 同年 6月17日 :手続補正書及び意見書の提出 同年10月30日付け:取消理由通知書(決定の予告) 同年12月26日 :意見書(特許権者)の提出 同年12月26日 :訂正請求書の提出(以下、この訂正請求書による訂正の請求を「本件訂正請求」といい、訂正自体を「本件訂正」という。) なお、当審からの令和6年1月30日付けの訂正請求があった旨の通知に対し、異議申立人Aは、指定期間内に意見書を提出しなかった。 本件訂正請求については、特許法第120条の5第5項に規定する特許異議申立人に意見書を提出する機会を与える必要がないとされる特別な事情にあたると認められるため、申立人に、再度、意見書を提出する機会は与えなかった。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 本件訂正の内容は以下のとおりである(なお、下線は訂正箇所を示す。)。 (1) 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「黒生姜(Kaempferia parviflora)と、カフェインとを含有する抗肥満用経口組成物。」 と記載されているのを、 「黒生姜(Kaempferiaparviflora)根茎含水エタノール抽出物と、カフェインとを含有する抗肥満用経口組成物(以下の(1)~(5)の経口組成物を除く)。 (1)黒生姜、黒にんにく、黒たまねぎ、黒胡椒、及び黒酢もろみ、並びにカフェインを含有する経口組成物。 (2)黒生姜及び紅茶を含有する経口組成物。 (3)黒生姜及びジャスミン茶を含有する経口組成物。 (4)アミノ酸若しくはその塩、カフェイン、及びチアミン、チアミン誘導体若しくはそれらの塩を含有する経口組成物。 (5)黒生姜を含有するコーヒー飲料。」に訂正する。 (2) 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に 「黒生姜(Kaempferia parviflora)と、カフェインとを含有する体脂肪減少用経口組成物。」 と記載されているのを、 「黒生姜(Kaempferiaparviflora)根茎含水エタノール抽出物と、カフェインとを含有する体脂肪減少用経口組成物(以下の(1)~(5)の経口組成物を除く)。 (1)黒生姜、黒にんにく、黒たまねぎ、黒胡椒、及び黒酢もろみ、並びにカフェインを含有する経口組成物。 (2)黒生姜及び紅茶を含有する経口組成物。 (3)黒生姜及びジャスミン茶を含有する経口組成物。 (4)アミノ酸若しくはその塩、カフェイン、及びチアミン、チアミン誘導体若しくはそれらの塩を含有する経口組成物。 (5)黒生姜を含有するコーヒー飲料。」に訂正する。 2 訂正要件の判断 (1) 訂正の目的 訂正事項1は、次の内容からなるものである。 本件訂正前の請求項1においては、「黒生姜(Kaempferia parviflora)」との記載のとおり、使用部位についても抽出物であることについても特定がなかったものを、「黒生姜(Kaempferiaparviflora)根茎含水エタノール抽出物」であることが特定されるように限定し、また、本件訂正前の請求項1における「抗肥満用経口組成物」から、「(1)黒生姜、黒にんにく、黒たまねぎ、黒胡椒、及び黒酢もろみ、並びにカフェインを含有する経口組成物。(2)黒生姜及び紅茶を含有する経口組成物。(3)黒生姜及びジャスミン茶を含有する経口組成物。(4)アミノ酸若しくはその塩、カフェイン、及びチアミン、チアミン誘導体若しくはそれらの塩を含有する経口組成物。(5)黒生姜を含有するコーヒー飲料。」が除かれることが特定されるように限定するものである。 また、訂正事項2は、本件訂正前の請求項2においては、「黒生姜Kaempferia parviflora)」との記載のとおり、使用部位についても抽出物であることについても特定がなかったものを、「黒生姜(Kaempferiaparviflora)根茎含水エタノール抽出物」であることが特定されるように限定し、また、本件訂正前の請求項2における「体脂肪減少用経口組成物」から、「(1)黒生姜、黒にんにく、黒たまねぎ、黒胡椒、及び黒酢もろみ、並びにカフェインを含有する経口組成物。(2)黒生姜及び紅茶を含有する経口組成物。(3)黒生姜及びジャスミン茶を含有する経口組成物。(4)アミノ酸若しくはその塩、カフェイン、及びチアミン、チアミン誘導体若しくはそれらの塩を含有する経口組成物。(5)黒生姜を含有するコーヒー飲料。」が除かれることが特定されるように限定するものである。 したがって、訂正事項1及び2は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (2) 新規事項追加の有無 ア 訂正事項1及び2のうち、「黒生姜(Kaempferiaparviflora)根茎含水エタノール抽出物」であることを特定することについては、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面(以下、「本件特許明細書等」という。)の「【0027】黒生姜の使用部位は、所望の薬理作用に寄与する成分を含む部位であれば特に限定されず、例えば、根、葉、茎、花、枝などが挙げられるが、好ましくは5,7-ジメトキシフラボン(57DMF)などのポリメトキシフラボノイド(PMF)を多く含む根茎である。」との記載、「【0028】黒生姜は、採取した未加工のものに加えて、例えば、処理物(乾燥物、裁断物など)又は黒生姜や黒生姜処理物の粉末、搾汁、抽出物などの黒生姜の加工物を包含する。ここで抽出物とは、黒生姜における成分が抽出された物であれば特に限定されないが、例えば、黒生姜やその処理物を溶媒で抽出して得られる抽出液、その希釈液や濃縮液、又はそれらの乾燥物やその粉末が挙げられる。」との記載、及び、「【0030】黒生姜抽出物は、黒生姜やその処理物を溶媒で抽出することによって得られる。・・・(「・・・」は記載の省略を表す。以下同様。)原料である黒生姜の抽出物は、水単独、エタノール単独又は水とエタノールとの混合溶媒(いわゆる含水エタノール)によって抽出されたものであることが好ましい。特に、20~80vol%の濃度の含水エタノールを溶媒として使用することが好ましく、40~70vol%の濃度の含水エタノールを溶媒として使用することがより好ましい。」との記載に基づくものであって、このことにより新たな技術的事項が導入されることはない。 イ 訂正事項1及び2のうち、「(以下の(1)~(5)の経口組成物を除く)。(1)黒生姜、黒にんにく、黒たまねぎ、黒胡椒、及び黒酢もろみ、並びにカフェインを含有する経口組成物。(2)黒生姜及び紅茶を含有する経口組成物。(3)黒生姜及びジャスミン茶を含有する経口組成物。(4)アミノ酸若しくはその塩、カフェイン、及びチアミン、チアミン誘導体若しくはそれらの塩を含有する経口組成物。(5)黒生姜を含有するコーヒー飲料。」が除かれることを特定することについては、本件特許は、「黒生姜と特定成分とを組み合わせることによって、相加的よりもむしろ相乗的にUCP1発現促進効果及び/又は褐色脂肪細胞分化促進効果が得られることを見出し」(【0007】)なされたものであるところ、請求項1における「抗肥満用経口組成物」又は請求項2における「体脂肪減少用経口組成物」から、「(1)~(5)の経口組成物」に係る特定の「黒生姜と特定成分とを組み合わせ」たのものを除くことにより、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 ウ したがって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (3) 特許請求の範囲を拡張・変更の存否 前記(1)及び(2)に照らせば、訂正事項1及び2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。したがって、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 (4) 小括 以上のとおりであるから、訂正事項1及び2に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1及び2について訂正することを認める。 第3 本件訂正発明 本件訂正は、上記第2のとおり認められたので、本件訂正後の請求項1及び2に係る発明(以下「本件訂正発明1」及び「本件訂正発明2」といい、これらを総称して「本件訂正発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 [本件訂正発明1] 「黒生姜(Kaempferiaparviflora)根茎含水エタノール抽出物と、カフェインとを含有する抗肥満用経口組成物(以下の(1)~(5)の経口組成物を除く)。 (1)黒生姜、黒にんにく、黒たまねぎ、黒胡椒、及び黒酢もろみ、並びにカフェインを含有する経口組成物。 (2)黒生姜及び紅茶を含有する経口組成物。 (3)黒生姜及びジャスミン茶を含有する経口組成物。 (4)アミノ酸若しくはその塩、カフェイン、及びチアミン、チアミン誘導体若しくはそれらの塩を含有する経口組成物。 (5)黒生姜を含有するコーヒー飲料。」 [本件訂正発明2] 「黒生姜(Kaempferiaparviflora)根茎含水エタノール抽出物と、カフェインとを含有する体脂肪減少用経口組成物(以下の(1)~(5)の経口組成物を除く)。 (1)黒生姜、黒にんにく、黒たまねぎ、黒胡椒、及び黒酢もろみ、並びにカフェインを含有する経口組成物。 (2)黒生姜及び紅茶を含有する経口組成物。 (3)黒生姜及びジャスミン茶を含有する経口組成物。 (4)アミノ酸若しくはその塩、カフェイン、及びチアミン、チアミン誘導体若しくはそれらの塩を含有する経口組成物。 (5)黒生姜を含有するコーヒー飲料。」 第4 取消理由の概要 本件訂正前の請求項1及び2に係る特許に対して、当審が令和6年10月30日付けで特許権者に通知した取消理由(以下、単に「取消理由」といい、この通知を「取消理由通知」という。)の要旨は、次のとおりである。 (1)新規性欠如 本件訂正前の請求項1及び2に係る発明は、本件特許に係る出願前日本国内又は外国において、頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である引用例1又は引用例2に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、当該各請求項に係る発明についての特許は、同法同条同項の規定に違反してされたものである。 (2)進歩性欠如 本件訂正前の請求項1及び2に係る発明は、本件特許に係る出願前に日本国内または外国において、頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である、ア引用例1に記載された発明及び引用例1、5及び6に記載された事項、イ引用例2に記載された発明及び引用例2、1、5及び6に記載された事項に記載された事項、ウ引用例6に記載された発明並びに引用例6、5に記載された事項及び周知技術、エ引用例7に記載された発明並びに引用例7に記載された事項及び周知技術、オ引用例8に記載された発明並びに引用例8に記載された事項及び周知技術、カ引用例9に記載された発明並びに引用例9に記載された事項及び周知技術、キ引用例10に記載された発明並びに引用例10に記載された事項及び周知技術、ク引用例11に記載された発明並びに引用例11に記載された事項及び周知技術に基いて、本件特許に係る出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、当該各請求項に係る発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 <引用例一覧> 1.「黒しょうが(ブラックジンジャー)×5つの黒|商品一覧|スベルティ[SVELTY]公式サイト」と題するウェブページの、WayBackMachineによるアーカイブ, アーカイブされた日:2014年11月12日, [2023年4月26日検索], インターネット<URL:https://web.archive.org/web/201411 12085221/http://www.svelty.jp/product/item10.html>(異議申立人Aの提出した甲第1号証、異議申立人Bの提出した甲第1号証、異議申立人Cの提出した甲第1号証) 2.グリッター,2014年11月号,p.140-143(異議申立人Aの提出した甲第2号証、異議申立人Bの提出した甲第2号証、異議申立人Cの提出した甲第2号証) 3.ビーズアップ,2014年5月号,p.70-71(異議申立人Aの提出した甲第3号証、異議申立人Bの提出した甲第3号証、異議申立人Cの提出した甲第3号証) 4.日本食品科学工学会誌 2012年7月,第59巻, 第7号,p.326-330(異議申立人Aの提出した甲第4号証、異議申立人Bの提出した甲第4号証、異議申立人Cの提出した甲第4号証) 5.Clinical and Experimental Pharmacology and Physiology,2002,Vol.29, p.391-394(異議申立人Bの提出した甲第5号証、異議申立人Cの提出した甲第19号証) 6.Food Science & Nutrition, 2014, Vol.2, issue 6, p.634-637(異議申立人Bの提出した甲第6号証) 7.特開2010-209051号公報(異議申立人Cの提出した甲第5号証) 8.特開2013-224326号公報(異議申立人Cの提出した甲第6号証) 9.特開平5-252905号公報(異議申立人Cの提出した甲第7号証) 10特開2014-121332号公報(異議申立人Cの提出した甲第9号証) 11.『黒ショウガ』が褐色脂肪組織を増加させる効果を生体で確認と題するウェブページ, 2014年6月2日, インターネット<URL:https://www.toyoshinyaku.co.jp/%e6%9d%b1%e6%b4%8b%e6%96%b0%e8%96%ac%e3%80%80%e3%80%8e%e9%bb%92%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%82%a6%e3%82%ac%e3%80%8f%e3%81%8c%e8%a4%90%e8%89%b2%e8%84%82%e8%82%aa%e7%b5%84%e7%b9%94%e3%82%92%e5%a2%97%e5%8a%a0/>(異議申立人Cの提出した甲第11号証) 12.特開2010-49号公報(異議申立人Cの提出した甲第14号証) 第5 当審の判断 1 各引用例の記載事項及び引用発明の認定 (1)引用例1の記載事項 引用例1には、次の記載がある。なお、記載箇所は、異議申立人Aの特許異議申立書に添付された、引用例1のウェブページを紙出力したもの(甲第1号証)に基づくものである。 (引1a)(1ページ中段) 「朝から燃活! メラメラサポートダイエット」 (引1b)(2ページ中段) 「黒の力1 黒しょうが(ブラックジンジャー) 150mg配合 ショウガ科の植物で日本では黒ショウガとも呼ばれています。」 (引1c)(3ページ中段) 「【黒】で引き締めて キレイなカラダ! 5 BLACK FOOD [黒ショウガ・黒コショウ・黒ニンニク・黒酢もろみ・黒タマネギ]」 (引1d)(5ページ中段右側) 「黒ショウガで脂肪を燃やす 脂肪の原因には、エネルギーの摂取量が消費量を上回っていることが挙げられます。このエネルギー消費量をアップさせるために、黒ショウガが役立つようです。」 (引1e)(5ページ中段左側) 「黒ショウガを食べると・・・・・・ 交感神経が活性化! エネルギー消費量UP! 運動でエネルギーの消費量を上げることはもちろん、黒ショウガを取り入れることで、エネルギー消費を司る交感神経を活性化させると、エネルギー消費量を上昇させることができるそう。 脂肪の消費量が上昇! 手っ取り早く、脂肪そのものをエネルギーとして使ってしまうのも手。黒ショウガには脂肪の消費システム(UCP1)を活性化させる働きがあるので、効率良くエネルギーとして消費することができます。 [図:0001425701000001.jpg] 」 (引1f)(6ページ上段右側) 「「黒ショウガ」って何? 「黒ショウガ(黒ウコン)」は、元は国内には存在しない植物。タイを原産国とする「kaempferia parviflora」という植物のことを指します。一般的なショウガよりも小さく、根茎切断面は鮮やかな紫色をしています。タイでは根茎部を煎じて飲むなど、1000年以上も前から愛用珍重されているようです。」 (引1g)(8ページ中段左側及び甲1号証別紙) 「その他の燃焼サポート成分 ヒハツ カプサイシン ガルシニア カフェイン L-カルニチン 」 (2)引用例2の記載事項 引用例2には、次の記載がある。 (引2a)(140~141ページ見開き上段) 「毎日の「燃活」でたまった余分を燃やす! ブラックジンジャーの燃焼成分 BLACK GINGER×Burning Diet ブラックジンジャーによる燃活ダイエットが巷でジワジワとブームのきざし。代謝が悪くなかなかやせにくい!と嘆く人こそ必見。ブラックジンジャーの脂肪燃焼パワーを味方につけて、効率良くスタイルアップを目指そう!」 (引2b)(141ページ下段) 「BLACK GINGER TEA 持ち歩けるスティックタイプ! 黒しょうがで 内側から燃えよう! すぐ飲める はちみつ& 黒しょうが 紅茶 スベルティ ブラックジンジャーティー 内側からポカポカを強力にサポートしてくれる注目の黒しょうがエキス配合。 お湯に溶かすだけと簡単&手軽なうえ、スティックタイプなので持ち運びにも便利。ほんのり甘みが効いて美味。」 (引2c)(142ページ左欄) 「朝 カラダが燃える午前中を狙って、サプリを5粒! スベルティ 黒しょうが×5つの黒 昼 スティックタイプだから、外出先や空腹時に飲める! スベルティ ブラックジンジャー ティー」 (3)引用例5の記載事項 引用例5には、次の記載がある(引用例5は、英文で記載されているため、当審による日本語訳で摘記する。)。 (引5a)(391ページ概要欄) 「1.カフェインが脱共役タンパク質(UCP)-1、UCP-2及びUCP-3の発現を上方制御するとともに熱発生に寄与するという仮説を、肥満マウスで調査した。 2.60mg/kgカフェイン又は生理食塩水の皮下投与から4時間後の肥満黄色KKマウスにおいて、褐色脂肪組織(BAT)でのUCP-1、-2及び-3、白色脂肪組織(WAT)でのUCP-2、並びに骨格筋でのUCP-2及び-3について、mRNAレベルをリアルタイム定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応分析にて測定した。血漿遊離脂肪酸、アドレナリン、ノルアドレナリン及びドーパミンのレベルも測定した。 3.カフェインを注入した肥満マウスでは、生理食塩水を注入した対照マウスと比較して、UCP-1 mRNAレベルはBATで1.5倍に有意に増加し、UCP-2 mRNAレベルはBAT及び骨格筋でそれぞれ1.8倍及び2.5倍増加し、UCP-3 mRNAレベルはBAT及び骨格筋でそれぞれ1.7倍及び3.4倍増加した。2つのグループ間で、WATでのUCP-2 mRNAレベルに差はなかった。 4.血漿遊離脂肪酸及びアドレナリンのレベルは、生理食塩水を注射したマウスと比較して、カフェインで処理したマウスにおいて有意に上昇した。 5.カフェインは、BATでのUCP-1、UCP-2及びUCP-3、骨格筋でのUCP-2及びUCP-3の発現を上方制御し、肥満マウスにおける熱発生に寄与する(下線は当審が付した。以下同様。)と結論づけられた。」 (4) 引用例6の記載事項及び引用発明6の認定 ア 引用例6の記載事項 引用例6には、次の記載がある(引用例6は、英文で記載されているため、当審による日本語訳で摘記する。)。 (引6a)(634ページ概要欄) 「Kaempferia parviflora(KP)は、ショウガ科の一員であり、タイではタイ人参、クラチャイダム又はブラックジンジャーとして知られている。K.parviflora抽出物(KPE)は、多くの生理学的効果を有することが以前より報告されていたが、KPEの抗肥満効果とそのメカニズムはまだ解明されていなかった。本研究では、抗肥満効果を調べるために、マウスにおけるKPE摂食実験(低用量:0.5%KPE、高用量:1.0%KPE)を実施した。0.5%KPE及び1.0%KPEの両方で、高脂肪食(HFD)に含まれるKPEを7週間摂取すると、体重増加、腹腔内脂肪蓄積、血漿トリグリセリド及びレプチンレベルが有意に減少した。同時に、KPE投与により、HFDを与えたマウスの酸素消費量が増加した。また、我々は、1.0%KPEの摂食により、褐色脂肪組織(BAT)の脱共役タンパク1(UCP1)の発現が有意に増加することを見出した。さらに、KPE投与により尿中ノルアドレナリン分泌レベルが増加した。これらの結果は、KPEが、両用量においてBATの活性化によりエネルギー代謝を促進し、高用量においてUCP1タンパク質の上方制御を促進することを示している。多くの課題が残っているが、本研究は、KPEがエネルギー代謝の増加を通じてHFD誘発性肥満を抑制することを示した。」 (引6b)(635ページ図1及びその説明) 「 [図:0001425701000002.jpg] 図1.KPEはC57BL/6Jマウスにおいて体重増加及び腹腔内脂肪を抑制する。7週間のHFD給餌下でのKPE(0.5%及び1.0%)処理及び無処理のC57BL/6Jマウスにおける体重(A)及び腹腔内脂肪量(B)の時間変化。・・・各バーは平均値±SE(n=8)を表す。*未処理対照群と比較してP<0.05。KPE、K.parviflora抽出物;HFD、高脂肪食。」 (引6c)(635ページ図2及びその説明) 「 [図:0001425701000003.jpg] 図2.KPEはC57BL/6Jマウスにおいて酸素消費及びBATでのUCP1発現レベルを増加させる。(A)・・・(B)7週間のHFD給餌下でのKPE(0.5%及び1.0%)処理及び無処理のC57BL/6JマウスにおけるBATミトコンドリアでのUCP1発現レベル。BATミトコンドリアを以前に報告されているように単離・精製し、BATミトコンドリアの総タンパク量をDC Protein in Assay Kit(Bio-Rad、CA)で測定した。ミトコンドリア画分におけるUCP1発現レベルは、ウエスタンブロット分析により測定した。BATのミトコンドリア抽出物をSDS-PAGEに供した。未処理対照群のUCP1発現レベルを100%に設定し、相対的UCP1発現レベルを、未処理対照群のそれと比較した誘導倍率として示した。各バーは平均値±SE(n=8)を表す。*未処理対照群と比較してP<0.05。UCP1、脱共役タンパク1;BAT、褐色脂肪組織;KPE、K.parviflora抽出物。」 (引6d)(636ページ右欄25~30行) 「KPEに含まれる活性成分の特定や交感神経活動の亢進メカニズムなど、解明すべき点は多いが、本研究により、KPEが肥満抑制・軽減に有用な食品である可能性が示された。」 (引6e)(634ページ左欄6行~右欄5行) 「Kaempferia parviflora(KP)はショウガ科の植物で、タイではタイ人参、クラチャイダム、またはブラックジンジャーとして知られている。K.parviflora抽出物(KPE)には、抗酸化作用、抗炎症作用、抗アレルギー作用、抗腫瘍作用、心臓保護作用、抗菌作用など、多くの生理作用があることがこれまでに実証されている(Rujjanawate他 2005、TewtrakulandとSubhadhirasakul 2008、Kusirisin他 2009、Tep-areenan他 2010)。しかし、KPEの抗肥満作用を文書化した報告はほとんどない。そこで、マウスの肥満に対するKPEの効果を調べた。タイ産KPの根茎を水でよく洗い、乾燥させて粉末にした。根茎粉末を50%エタノールで抽出し、真空蒸発させて凍結乾燥し、乾燥抽出物を得た。これを今後はKPEと呼ぶ。」 イ 引用例6に記載された発明 引用例6には、(引6a)~(引6c)のとおり、Kaempferia parviflora抽出物(KPE)を含む高脂肪食(HFD)をマウスに摂食させたところ、KPEを含まないHFDを摂食させたマウスと比較して、体重増加と腹腔内脂肪蓄積が有意に減少したこと、また、1.0%KPEを含むHFDをマウスに摂食させたところ、褐色脂肪組織(BAT)の脱共役タンパク1(UCP1)の発現が有意に増加したことが記載され、これらの結果は、KPEが、BATの活性化によりエネルギー代謝を促進するとともに、高用量において、UCP1タンパク質の上方制御を促進すること、及び、エネルギー代謝の増加を通じてHFD誘発性肥満を抑制することを示すものであることが記載されている。また、(引6e)のとおり、KPEが、Kaempferia parvifloraの根茎を水でよく洗い、乾燥させて粉末にし、根茎粉末を50%エタノールで抽出し、真空蒸発させて凍結乾燥し、乾燥抽出物を得たものであることが記載されている。 そうすると、引用例6には、次の発明が記載されていると認められる。 「Kaempferia parvifloraの根茎粉末を50%エタノールで抽出し、真空蒸発させて凍結乾燥して得た、Kaempferia parviflora抽出物(KPE)を含み、体重増加、腹腔内脂肪の蓄積を有意に減少させ、褐色脂肪組織においてUCP1の発現を有意に増加させる組成物。」(以下「引用発明6」という。) (5) 引用例7の記載事項 引用例7には、次の記載がある。 (引7a) 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 黒ショウガ、赤ショウガ、ニッケイ、大麦若葉、黒ニンニク、阿仙薬、アジサイ、訶子、ザクロ、亜麻仁、桂花、九節茶、雪の下、ジャスミン茶、オレガノ、オリーブ葉、沙棘、およびカレーリーフからなる群より選択される少なくとも1種の植物またはその抽出物を有効成分として含有する、脂肪吸収抑制剤。 【請求項2】 黒ショウガ、赤ショウガ、ニッケイ、大麦若葉、黒ニンニク、阿仙薬、アジサイ、訶子、ザクロ、亜麻仁、桂花、九節茶、雪の下、ジャスミン茶、オレガノ、オリーブ葉、沙棘、およびカレーリーフからなる群より選択される少なくとも1種の植物またはその抽出物を有効成分として含有する、リパーゼ阻害剤。」 (引7b) 「【0049】 (実施例1:種々の植物からの抽出物の調製) 乾燥させた赤ショウガ、黒ショウガ、ニッケイ(樹皮、根、葉、および枝)、大麦若葉、黒ニンニク、阿仙薬、アジサイ、訶子、ザクロ、亜麻仁、桂花、九節茶、雪の下、ジャスミン茶、オレガノ、オリーブ葉、沙棘、およびカレーリーフをそれぞれ粉砕機で粉砕して粉末を得た。それぞれの粉末100gに1000mLの70%(v/v)アセトン水溶液を加えて1週間室温にて静置して抽出を行った。ろ紙で濾過後、濾液を集め、減圧濃縮および乾燥させて、70%(v/v)アセトン抽出物を得た。得られた抽出物の収率は、赤ショウガ、黒ショウガ、およびニッケイ(樹皮)は、それぞれ9.3%、9.6%、および15.2%であった。」 (引7c) 「【0050】 (実施例2:種々の植物の抽出物の膵リパーゼ阻害試験) リパーゼ阻害試験は、ブタ膵臓由来リパーゼ(シグマ社製)およびリパーゼキットS(大日本製薬製)を用いて行った。まず、前記実施例1で得た赤ショウガ、黒ショウガ、ニッケイ(樹皮、根、葉、または枝)、大麦若葉、黒ニンニク、阿仙薬、アジサイ、訶子、ザクロ、亜麻仁、桂花、九節茶、雪の下、ジャスミン茶、オレガノ、オリーブ葉、沙棘、およびカレーリーフ抽出物について、ジメチルスルホキシドで終濃度の20倍濃度の希釈系列をそれぞれ調製した。各抽出物について、試験管に発色液(390μL)、希釈系列(各25μL)、キット付属の緩衝液で40μg/mLに調製したリパーゼ液(25μL)およびエステラーゼ阻害剤(10μL)を加え、これをそれぞれ30℃で30分間反応させた。反応停止液(1mL)を加えた後、405nmにおける吸光度を測定し、以下の式から酵素阻害率を算出した。」 (引7d) 「【0053】 【表1】 [図:0001425701000004.jpg] 【0054】 表1からわかるように、赤ショウガ、黒ショウガ、ニッケイ(樹皮、根、葉、または枝)、大麦若葉、黒ニンニク、阿仙薬、アジサイ、訶子、ザクロ、亜麻仁、桂花、九節茶、雪の下、ジャスミン茶、オレガノ、オリーブ葉、沙棘、およびカレーリーフ抽出物には、膵リパーゼ阻害作用が認められた。」 (引7e) 「【0055】 (実施例3:赤ショウガ、黒ショウガおよびニッケイ(樹皮)抽出物の脂肪吸収抑制作用の確認) 前記実施例1で得られた赤ショウガ、黒ショウガおよびニッケイ(樹皮)抽出物について、脂肪吸収抑制作用を、オリーブ油負荷マウスへの経口投与による血清中トリグリセライド濃度の変化を測定することにより評価した。赤ショウガ、黒ショウガおよびニッケイ抽出物を、5%(w/v)アラビアゴム水溶液に懸濁して、各抽出物の水懸濁液を調製した。20~24時間絶食したddY系雄性マウスに、水懸濁液を体重1kgあたり10mLの割合でそれぞれ経口投与し、ただちにオリーブ油を体重1kgあたり5mLの割合で経口投与し、その2、4および6時間後に眼窩静脈より採血を行って血清中トリグリセライド濃度を測定した。赤ショウガ、黒ショウガおよびニッケイ抽出物(投与量:250または500mg/kg)についての経口投与の結果を合わせて表2に示す。また、ポジティブコントロールとして、市販の烏龍茶飲料を約300倍濃縮した濃縮物についても同様に評価した。 【0056】 【表2】 [図:0001425701000005.jpg] 【0057】 表2からわかるように、赤ショウガ、黒ショウガ、およびニッケイ(樹皮)抽出物は、脂肪吸収抑制作用があるとされる市販の烏龍茶飲料の濃縮物よりも、血中トリグリセライドの上昇を強く抑制していた。このことから、これらの抽出物は、膵リパーゼの働きを抑制して脂肪吸収抑制作用を発現することがわかった。」 (引7f) 「【0059】 本発明の脂肪吸収抑制剤およびリパーゼ阻害剤は、食事前または食事時に摂取することで、摂取された脂肪が膵リパーゼによる酵素加水分解作用を受け難くし、その結果腸管からの吸収脂肪量を減少させ得る。そのため、脂肪分の多い食事を摂取しても、脂肪分の体内への吸収を抑制できるため、肥満、動脈硬化、高血圧、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病などの生活習慣病の予防や治療に有用である。」 (引7g) 「【0018】 抽出は、例えば、後述する実施例では、赤ショウガ、黒ショウガまたはニッケイ(樹皮、根、葉、または枝)からの抽出において、アセトン/水混合物(70:30,v/v)を使用しているが、これに代えて、30%(v/v)以上のエタノール/水混合物を用いることも当然可能である。実際に、30%(v/v)またはそれ以上の濃度でエタノールを含むエタノール/水混合物による抽出物を用いたインビトロおよびインビボ試験において、アセトン/水混合物(70:30,v/v)抽出物と同様の優れた脂肪吸収抑制効果および膵リパーゼ阻害活性を示すことを確認している。具体的には、赤ショウガまたは黒ショウガの根茎あるいはニッケイ(樹皮、根、葉、または枝)に対して、その質量の5~20倍質量の溶媒を加え、室温または加熱下で1~3時間抽出するのが好ましい。これは、大麦若葉、黒ニンニク、阿仙薬、アジサイ、訶子、ザクロ、亜麻仁、桂花、九節茶、雪の下、ジャスミン茶、オレガノ、オリーブ葉、沙棘、およびカレーリーフに関しても同様である。」 (引7h) 「【0022】 本発明で用いる黒ショウガは、ショウガ科植物Kaempferia parvifloraの生根茎または乾燥根茎である。黒ショウガから得られる抽出物も使用され得る。」 (6) 引用例8の記載事項及び引用発明8、引用発明8’の認定 ア 引用例8の記載事項 引用例8には、次の記載がある。 (引8a) 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 ブラックジンジャー(Kaempferia parviflora)の抽出物を含有することを特徴とする肥満解消剤。 【請求項2】 サイクリックAMP-ホスホジエステラーゼ活性阻害作用及びラット副睾丸脂肪細胞を用いた脂肪分解促進作用の少なくともいずれかを有する請求項1に記載の肥満解消剤。 【請求項3】 ブラックジンジャー(Kaempferia parviflora)の抽出物を含有することを特徴とする脂肪分解促進剤。 【請求項4】 ブラックジンジャー(Kaempferia parviflora)の抽出物を含有することを特徴とするサイクリックAMP-ホスホジエステラーゼ活性阻害剤。 【請求項5】 ブラックジンジャー(Kaempferia parviflora)の抽出物を含有することを特徴とするラット副睾丸脂肪細胞の脂肪分解促進剤。」 (引8b) 「【0009】 また、肥満の防止には、脂肪の代謝促進に関与しているサイクリックAMPを分解する酵素であるサイクリックAMPホスホジエステラーゼの作用を抑制することが有効であると考えられる。実際、サイクリックAMPホスホジエステラーゼの作用を抑えると、細胞内サイクリックAMPの濃度が上昇して脂質代謝が活発になり、肥満が解消されることが知られている。 そこで、サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用を有する物質を天然物から抽出することが試みられており、例えば、藤茶抽出物(特許文献9参照)、カエデ属植物の抽出物(特許文献10参照)、などが報告されている。」 (引8c) 「【0040】 (美容用飲食品) 本発明の美容用飲食品は、本発明の前記抗酸化剤、前記抗老化剤、前記抗炎症剤、前記育毛剤、前記抗肥満剤、及び前記美白剤の少なくともいずれかを有効成分として含有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の成分を含有してなる。 ここで、前記美容用飲食品とは、人の健康に危害を加えるおそれが少なく、通常の社会生活において、経口又は消化管投与により摂取されるものをいい、行政区分上の食品、医薬品、医薬部外品、などの区分に制限されるものではなく、例えば、経口的に摂取される一般食品、健康食品、保健機能食品、医薬部外品、医薬品などを幅広く含むものを意味する。 【0041】 本発明の前記美容用飲食物は、ブラックジンジャーの抽出物を、その活性を妨げないように任意の飲食物に配合したものであってもよいし、ブラックジンジャーの抽出物を主成分とする栄養補助食品であってもよい。」 (引8d) 「【0048】 (製造例1) -ブラックジンジャーの水抽出物の製造- 抽出原料としてブラックジンジャーの根茎部の粉砕物100gを、水1,000mLに投入し、穏やかに攪拌しながら2時間、80℃に保った後、濾過した。濾液を40℃で減圧下に濃縮し、更に減圧乾燥機で乾燥して、抽出物(粉末状)を得た。得られた抽出物の収率を表1に示す。 【0049】 (製造例2) -ブラックジンジャーの50質量%エタノール抽出物の製造- 抽出原料としてブラックジンジャーの根茎部の粉砕物100gを、50質量%エタノール(水とエタノールとの質量比1:1)1,000mLに投入し、穏やかに攪拌しながら2時間、80℃に保った後、濾過した。濾液を40℃で減圧下に濃縮し、更に減圧乾燥機で乾燥して、抽出物(粉末状)を得た。得られた抽出物の収率を表1に示す。 【0050】 (製造例3) -ブラックジンジャーのエタノール抽出物の製造- 抽出原料としてブラックジンジャーの根茎部の粉砕物100gを、エタノール1,000mLに投入し、穏やかに攪拌しながら2時間、80℃に保った後、濾過した。濾液を40℃で減圧下に濃縮し、更に減圧乾燥機で乾燥して、抽出物(粉末状)を得た。得られた抽出物の収率を表1に示す。」 (引8e) 「【0092】 【表17】 [図:0001425701000006.jpg] 表17の結果から、製造例1~3のブラックジンジャーの抽出物が、高いサイクリックAMPホスホジエステラーゼ活性阻害作用を有することが確認された。」 (引8f) 「【0095】 【表18】 [図:0001425701000007.jpg] 表18の結果から、製造例1~3のブラックジンジャーの抽出物が、ラット副睾丸脂肪細胞を用いた脂肪分解促進作用を有することが確認できた。」 イ 引用発明8及び引用発明8’の認定 引用例8には、(引8a)~(引8f)のとおり、ブラックジンジャー(Kaempferia parviflora)の根茎部の50質量%エタノール抽出物が、高いサイクリックAMPホスホジエステラーゼ活性阻害作用や脂肪分解促進作用を有し、ブラックジンジャー(Kaempferia parviflora)の抽出物を含有する飲食品を肥満解消剤や、脂肪分解促進剤として使用できることが記載されているから、引用例8には、次の2つの発明が記載されていると認められる。 「ブラックジンジャー(Kaempferia parviflora)の根茎部の50質量%エタノール抽出物を含有する肥満解消用飲食品」(以下「引用発明8」という。) 「ブラックジンジャー(Kaempferia parviflora)の根茎部の50質量%エタノール抽出物を含有する脂肪分解促進用飲食品」(以下「引用発明8’」という。) (7) 引用例9の記載事項 引用例9には、次の記載がある。 (引9a) 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 グルカゴン分泌亢進作用を有するアミノ酸類の少なくとも一種、キサンチン誘導体の少なくとも一種、およびチアミン化合物の少なくとも一種を含有する飲食品。」 (引9b) 「【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは脂肪動員ホルモンであるグルカゴンの分泌を亢進させるアミノ酸、体脂肪分解作用のあるキサンチン誘導体、およびエネルギー代謝に必要なチアミン化合物とを含有する飲食品を創製し、その体脂肪減少を調べたところ、予想外に高い体脂肪消費が得られることを見出し、さらに研究をすすめて本発明を完成した。 【0006】本発明はグルカゴン分泌亢進作用を有するアミノ酸類の少なくとも一種、キサンチン誘導体の少なくとも一種、およびチアミン化合物の少なくとも一種を含有する飲食品に係わる。本発明の飲食品の摂取によって脂肪代謝が活発になり、また、運動による総エネルギー消費が増大する。それにより肥満の解消法としての運動の効果をより効率的にアップすることができる。」 (引9c) 「【0012】本発明の飲食品におけるキサンチン誘導体としては天然由来のキサンチン誘導体がより好ましく、具体的にはカフェイン、テオフィリン、テオブロミンなどがあげられる。なかでもカフェインが最も好ましい。」 (8) 引用例11の記載事項及び引用発明11の認定 ア 引用例11の記載事項 引用例11には、次の記載がある。 (引11a) 「■『黒ショウガ』とは 『黒ショウガ』は、ショウガ科バンウコン属の植物で、学名をKaempferia parvifloraとし、英語では“Black Ginger”、ラオス語では“Khing-dam:キング(ショウガ)-ダム(黒い)”と呼ばれており、「ポリメトキシフラボノイド」という特徴成分が含まれています。 黒ショウガはタイやラオスの山間部に自生し、現地ではお茶やリキュールなどにして飲まれており、伝承的な機能性として滋養強壮や冷え症改善があると言われてきました。 今回当社は、黒ショウガが褐色脂肪組織へ及ぼす影響として、細胞試験にて前駆褐色脂肪組織〔注○1(当審注:原文では、○1は、丸数字、以下同様。)〕の分化〔注○2〕促進作用を確認し、さらに、動物試験で脂肪組織の褐色脂肪化を確認し、第68回日本栄養・食糧学会大会(2014年5月30日(金)~6月1日(日)、酪農学園大学)において発表いたしました。」 (引11b) 「■研究の背景 褐色脂肪組織は、脂肪を燃やし熱産生する役割を持ち、その発熱能力は骨格筋の70~100倍もあると言われています。しかしながら、ヒトの褐色脂肪組織は加齢と共に減少し、これが中年太りの原因の1つとされているため、近年、肥満治療やダイエットの観点から、褐色脂肪組織の活性化に影響を及ぼす機能性食品についての研究が活発に行われています。 当社ではこれまでに、黒ショウガの機能性として、動物試験にて体脂肪蓄積抑制作用、体温低下抑制作用、褐色脂肪組織の交感神経活動活性化作用などを確認しております。また、臨床試験にてエネルギー消費量増加作用を確認し、黒ショウガを継続的に摂取することで褐色脂肪組織を増加させる可能性が示唆された旨を第34回日本肥満学会において発表しております。 そこで当社は、黒ショウガの褐色脂肪組織へ及ぼす影響について更なる解明を進めるため細胞試験、動物試験にて検証しました。」 (引11c) 「■発表骨子 【試験1】 前駆褐色脂肪組織の分化促進作用 雄性マウスから前駆褐色脂肪組織を単離し、分化誘導をかけた2日後および4日後に黒ショウガ溶液(黒ショウガ群)または溶媒のみ(対照群)を添加し、分化誘導6日後にPPARγ〔注○3〕およびUCP-1〔注○4〕の遺伝子発現量を測定しました。 その結果、黒ショウガ群では対照群と比較してPPARγおよびUCP-1の発現量が有意に増加しました。 【試験2】 脂肪組織の褐色脂肪化 2型糖尿病モデルマウス〔注○5〕に黒ショウガエキス混合飼料(黒ショウガ群)または黒ショウガエキスを含まない通常飼料(対照群)を7週間摂取させ、X線CT装置により肩甲骨間の脂肪組織画像を撮影しました。 その結果、黒ショウガ群では対照群と比較して肩甲骨間における脂肪組織の褐色脂肪化が確認されました。 以上のことから、黒ショウガはPPARγおよびUCP-1の発現を亢進すること、前駆褐色脂肪組織から褐色脂肪組織への分化を誘導すること、および脂肪組織を褐色脂肪化することが確認されました。 今回の知見により、黒ショウガを摂取することで褐色脂肪組織を増加させる可能性が示唆されました。」 イ 引用発明11の認定 引用例11には、(引11a)~(引11c)のとおり、Kaempferia parvifloraである黒ショウガの溶液が、マウスにおいてPPARγおよびUCP-1の発現を亢進すること、前駆褐色脂肪組織から褐色脂肪組織への分化を誘導すること、および脂肪組織を褐色脂肪化することが記載されているから、引用例11には、次の発明が記載されていると認められる。 「Kaempferia parvifloraである黒ショウガの溶液を含み、PPARγおよびUCP-1の発現を亢進し、前駆褐色脂肪組織から褐色脂肪組織への分化を誘導し、脂肪組織を褐色脂肪化する組成物」(以下「引用発明11」という。) 2 本件特許出願時の周知技術を示す文献の記載事項 ・周知例1:Annual Meeting of the Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry ,2012 大会講演要旨集 講演番号:2J12p11「マウス脂肪細胞の脂肪代謝に対するカテキンおよびカフェインの影響」(異議申立人Cの提出した甲第13号証) ・周知例2:特開2008-189681号公報(異議申立人Cの提出した甲第18号証) ・周知例3:Nippon Suisan Gakkaishi (2007) 73(2) 292-295 (1)周知例1の記載事項 周知例1には、次の記載がある。 (周1a) 「マウス脂肪細胞の脂肪代謝に対するカテキンおよびカフェインの影響 ・・・ 【目的】これまでのマウスを用いた研究で、我々は、緑茶が抗肥満作用を有することを見出し、その成分のうち、カテキンとカフェインの組み合わせ投与が最も強い脂肪蓄積抑制作用を有することを報告している。しかし、生体内における主な脂肪蓄積の場である脂肪細胞に対するカフェインとカテキンの組み合わせ投与の効果については明らかにされていない。 そこで、本研究では、マウス脂肪前駆細胞を用いて、脂肪細胞の脂質代謝に対するカテキンとカフェインの影響を検討した。 ・・・ 【結果および考察】カテキンとカフェインを種々の濃度で単独または組み合わせて添加した各培養液で8日間培養した結果、カテキンとカフェインを組み合わせて添加したすべての群のTG量は、コントロール群と比較して有意に減少していた。また、GPDH量は、1μg・2.5μgカテキン+50μgカフェインと5μg・10μgカテキン+100μgカフェイン添加群がコントロール群と比較して有意に減少していた。さらに、PPARγとHSLのmRNA量は、100μgカフェインとカテキンを組み合わせた群のすべてと2.5μg・5μgカテキン+50μgカフェイン群がコントロール群と比較して有意に増加していた。 以上の結果から、カテキンとカフェインの組み合わせ投与による脂肪蓄積抑制作用のメカニズムとして、それらによる脂肪細胞の脂肪合成抑制と脂肪分解促進がその要因の一つであることが明らかとなった。また、この効果はカテキンあるいはカフェイン単独添加よりも強いことが判明した。」 (2) 周知例2の記載事項 周知例2には、次の記載がある。 (周2a) 「【0014】 本発明のクロロゲン酸類は優れたPPAR依存的遺伝子転写活性化作用を有し、遺伝子の転写調節領域にPPAR responsive element(PPRE)を有する遺伝子を活性化することにより、特に脂質代謝を活性化し、それにより種々の生活習慣病に対する効果を有する。 特に、クロロゲン酸を摂取することにより肥満の予防・改善、血糖上昇抑制あるいは血糖低下、高レプチン血症予防・改善、高インスリン血症予防・改善効果が得られ、その結果、糖尿病の予防・改善効果が得られる。 また、クロロゲン酸類は長年にわたり日常的に食品として摂取しているものであり安全性も高いので、飲食品又は薬剤として摂取しても副作用の心配は少ない。」 (周2b) 「【0022】 また、クロロゲン酸類は、一定量比でカフェインと組み合せて摂取すると優れた脂質代謝改質効果が得られる。 クロロゲン酸類とカフェインの含有量の重量比率クロロゲン酸類/カフェインが20/1~1/10、更に好ましくは10/1~2/5、特に4/1~2/5が好ましい。この場合のクロロゲン酸類中のモノカフェオイルキナ酸とジカフェオイルキナ酸の含有量の重量比率は、モノカフェオイルキナ酸/ジカフェオイルキナ酸が120/1~1/1、更に好ましくは100/1~2/1、特に25/1~2/1であるのが好ましい。」 (周2c) 「【0041】 実施例4 食餌誘導性肥満マウスを用いた体重及び内蔵脂肪に対する抗肥満効果試験/クロロゲン酸+カフェイン 7週齢のC57BL/6J系雄性マウスを各群5匹ずつ6群に分け、表5記載の組成の各食餌で飼育する。1ヶ月後体重を測定するとともに、内臓脂肪量(副睾丸脂肪、腸間膜脂肪、後腹膜脂肪および腎周囲脂肪)を測定した。 【0042】 【表5】 [図:0001425701000008.jpg] 【0043】 【表6】 [図:0001425701000009.jpg] 【0044】 【表7】 [図:0001425701000010.jpg] 【0045】 第2群では第1群に比し、有意な体重の上昇及び内臓脂肪量増加が認められたのに対して、第3群では第2群に比し、体重増加量及び全内臓脂肪量は有意な低減を示した。さらに第4群では第3群に比し、クロロゲン酸単独よりもカフェインを添加することにより、クロロゲン酸の効力が増加し、体重増加抑制効果及び内臓脂肪量増加抑制効果は強くなった。」 (3)周知例3の記載事項 周知例3は、標題を「リアルタイム定量PCR法の原理と活用」とする学術論文であって、次の記載がある。 (周3a)293ページ左欄第3段落~右欄第1段落 「(4)内在性コントロール遺伝子 遺伝子の比較定量の際には,核酸抽出やRT反応の効率,そしてサンプルに混入するPCR阻害物質の影響を考慮して,反応チューブに投入した初期サンプル量の補正(標準化)が必要である。一般的には,サンプル間で同様の発現量を示す遺伝子の定量値を使用する。補正に使用する遺伝子を内在性コントロール遺伝子といい,多くの場合ハウスキーピング遺伝子が用いられる。」 3 対比・判断 (1)引用例6を主引例とする進歩性欠如 ア 本件訂正発明1について (ア)対比 本件訂正発明1と引用発明6を対比する。 引用発明6における「Kaempferia parviflora」は、本件訂正発明1における「黒生姜(Kaempferiaparviflora)」に相当する。 一般に、「50%エタノール」とは、水とエタノールとの質量比が1:1である含水エタノールであることを意味するから(要すれば、引用例8の前記1(6)ア(引8d)の「50質量%エタノール(水とエタノールとの質量比1:1)」の記載を参照のこと。)、引用発明6の「Kaempferia parvifloraの根茎粉末を50%エタノールで抽出し、真空蒸発させて凍結乾燥して得たKaempferia parviflora抽出物(KPE)」は、本件訂正発明1における「黒生姜(Kaempferia parviflora)根茎含水エタノール抽出物」に相当する。 そうすると、本件訂正発明1と引用発明6とは、「黒生姜根茎含水エタノール抽出物を含有する組成物」である点で一致し、次の点で相違する。 (相違点1)本件訂正発明1においては「(1)黒生姜、黒にんにく、黒たまねぎ、黒胡椒、及び黒酢もろみ、並びにカフェインを含有する経口組成物。」、「(2)黒生姜及び紅茶を含有する経口組成物。」、「(3)黒生姜及びジャスミン茶を含有する経口組成物。」、「(4)アミノ酸若しくはその塩、カフェイン、及びチアミン、チアミン誘導体若しくはそれらの塩を含有する経口組成物。」、「(5)黒生姜を含有するコーヒー飲料。」であるものを除くことが特定されているのに対し、引用発明6においてはそのような特定がない点。 (相違点2)本件訂正発明1においては「抗肥満用」の用途に適用することが特定されているのに対し、引用発明6においては、「体重増加、腹腔内脂肪の蓄積を有意に減少させ、褐色脂肪組織においてUCP1の発現を有意に増加させる」作用を有することが特定されているものの、「抗肥満用」であることについては特定されていない点。 (相違点3)本件訂正発明1は、「経口」組成物であることが特定されているのに対し、引用発明6ではそのような特定がない点。 (相違点4)本件訂正発明1は、さらにカフェインを含有することが特定されているのに対し、引用発明6ではそのような特定がない点。 (イ) 判断 a 相違点1について 引用発明6は、KPE、即ち「黒生姜根茎含水エタノール抽出物」が、「体重増加、腹腔内脂肪の蓄積を有意に減少させ、褐色脂肪組織においてUCP1の発現を有意に増加させる」作用を有することを見出しなされた発明であって、かかるKPEの有する作用効果との関係において、相違点1に係る構成として本件訂正発明1から除かれる「(1)黒生姜、黒にんにく、黒たまねぎ、黒胡椒、及び黒酢もろみ、並びにカフェインを含有する経口組成物。」、「(2)黒生姜及び紅茶を含有する経口組成物。」、「(3)黒生姜及びジャスミン茶を含有する経口組成物。」、「(4)アミノ酸若しくはその塩、カフェイン、及びチアミン、チアミン誘導体若しくはそれらの塩を含有する経口組成物。」、「(5)黒生姜を含有するコーヒー飲料。」(以下、「(1)~(5)に係る経口組成物等」という。)が、それぞれ黒生姜とともに含有する成分を、KPEとともに必須の成分として含有することを何ら前提とするものではない。 このことは、引用例6の記載全体を参照しても同様であって、引用例6には、KPEを、高脂肪食であるHFDと組み合わせて摂食させることについての記載はあるものの、そもそも(1)~(5)に係る経口組成物等が黒生姜とともに含有する成分を、KPEとともに摂食させ得ることについてすら開示がない。 したがって、前記(1)~(5)に係る経口組成物等を、その態様として含むものではない点において、本件訂正発明1と引用発明6とは異なるところはない。よって、相違点1は、実質的な相違点ではない。 仮に、引用発明6が上記(1)~(5)に係る経口組成物等を、その態様を含むとしても、引用発明6は、上述のとおり、KPEが有する作用効果との関係で、これらの成分を必須の成分として含むことを前提とするものではないから、これらの態様を除いた構成とすることは、当業者が適宜なし得る設計的事項に過ぎない。 b 相違点2及び3について 引用例6には、前記1(4)ア(引6a)のとおり、マウスに対するKPE摂食試験の結果、KPEが「体重増加、腹腔内脂肪蓄積」を「有意に減少」させ、「褐色脂肪組織」において「UCP1の発現」を「有意に増加」させる」作用を有することを見出したことに基づき、KPEが肥満抑制・軽減に有用な食品である可能性がある旨記載されているのであるから、引用発明6において、その用途をヒトの「抗肥満用」に特定した「経口組成物」とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 c 相違点4について 抗肥満や体脂肪減少等のダイエットを目的とした経口組成物において、複数の有効成分を併用することは、周知の技術的事項であって、引用例1には、前記1(1)(引1a)~(引1g)のとおり、脂肪の燃焼成分であるブラックジンジャーと、燃焼サポート成分であるカフェインを含む組成物が記載されている。 ここで、引用例1に「燃焼サポート成分」として列記されるカフェインにつき、カフェインが褐色脂肪組織(BAT)でのUCP-1の発現を上方制御することで熱発生に寄与する化合物であることは、前記1(3)(引5a)のとおり、本件出願前に既に知られていたことである。 また、カフェインに関し、引用例9には、前記1(7)(引9a)~(引9c)のとおり、体脂肪分解作用のあるキサンチン誘導体と、脂肪動員ホルモンであるグルカゴンの分泌を亢進させるアミノ酸及びエネルギー代謝に必要なチアミン化合物の組み合わせを含み、高い体脂肪消費作用を有する飲食品において、当該キサンチン誘導体として最も好ましいものとしてカフェインが挙げられていること、周知例1には、前記2(1)(周1a)のとおり、カテキンとカフェインの組み合わせ投与により強い脂肪蓄積抑制作用を奏することが記載されていること、さらに、周知例2には、前記2(2)(周2a)~(周2c)のとおり、カフェインとの組み合わせにより、クロロゲン酸の有する体重増加抑制効果及び内臓脂肪量増加抑制効果が増強したことが記載されていることに照らせば、カフェインを、抗肥満作用や体脂肪減少作用を向上させるべく各種成分と組み合わせて用いることは周知の技術的事項であったといえる。 そうすると、引用発明6において、KPEと同様、褐色脂肪組織(BAT)でのUCP-1の発現を上方制御することで熱発生に寄与することが知られ、抗肥満作用や体脂肪減少作用を向上させるべく各種成分と組み合わせて用いることが周知であるカフェインを、相加ないし相乗効果を期待して、更に含む構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 d 本件訂正発明1の効果について (a)本件訂正発明1の効果について、本件特許明細書等には、【0072】に、「黒生姜の根茎を洗浄後、1~10mm程度にスライスし、1日天日干しにした。その後、40~100℃に設定したオーブン乾燥機で4~6時間乾燥し、粗粉砕後、130~200℃で5~20秒間殺菌を行った。殺菌した粗粉砕物を粉砕機によって粉砕し、黒生姜の根茎粉砕物を得た。同様の方法により、黒生姜の茎粉砕物、葉粉砕物及び花粉砕物を得た。これらを黒生姜粉砕物とした。」ことが記載され、【0073】に、前記「黒生姜粉砕物」から「黒生姜抽出物」を得たことが記載され、【0088】に、【表1】に列挙される各被験物質のそれぞれについて、黒生姜抽出物単独、被験物質単独及び黒生姜抽出物と被験物質との組み合わせを供した場合における、UCP1遺伝子のmRNA発現量の測定結果を、内在性コントロールであるGAPDHのmRNA発現量に対する相対発現量として数値化したものが、【表1】として示されている。 本件特許明細書等の【表1】は以下のとおりである。 「 [図:0001425701000011.jpg] 」 (b)上記【表1】の結果からみて、UCP1遺伝子のmRNAの発現量が、黒生姜抽出物単独では「1.85」、カフェイン単独では「1.07」であるところ、黒生姜抽出物とカフェインを組み合わせた場合は「3.33」となること、すなわち、黒生姜抽出物とカフェインとを組み合わせることで、黒生姜抽出物単独又はカフェイン単独のUCP1遺伝子のmRNAの発現量を足した値よりも大きい値となることが示されているので、以下検討する。 引用例6には、前記1(4)ア(引6c)のとおり、KPEすなわち「黒生姜根茎含水エタノール抽出物」を摂食させることによりUCP1発現量が2倍以上上昇することが記載され、また、引用例1においても、前記1(1)(引1e)のとおり、黒ショウガを摂食すると、脂肪の消費システムであるUCP1の発現量が約2.5倍に上昇し、脂肪の消費量が上昇することが記載されているように、黒生姜あるいはその根茎含水エタノール抽出物によりUCP1の発現が上昇することは、本件出願前に知られていたことである。他方、カフェインについても、UCP1発現量を1.5倍上昇させ、肥満マウスにおける熱発生に寄与することは、引用例5の前記1(3)(引5a)のとおり、本件出願前に知られていたことである。 そうすると、これら本件出願前公知の技術的事項を踏まえれば、本件訂正発明1の構成により奏される効果は、当業者が予測し得たものであって、格別顕著なものとは認められない。 (c)この点、特許権者は、本件訂正発明1に係る組み合わせにより、本件特許明細書等の【表1】に「3.33」との数値が示されるとおり、「黒生姜抽出物単独」の数値である「1.85」と、「カフェイン単独」の数値である「1.07」との和を超える値となることから、相乗効果が奏されるものである旨主張するので検討する。 【表1】の「黒生姜抽出物単独」の欄の数値は、被験物質が含まれていない黒生姜抽出物単独のUCP1遺伝子のmRNA発現量であるから、理論上は、被験物質の種類によらずほぼ同等であることが想定される。そうであるにもかかわらず、【表1】によれば、その数値は0.81~9.38と広い範囲に分布しており、この点について、特許権者は、令和6年1月18日提出の意見書(下線は、当審が引いた。)において、この程度の数値の差は、通常の試験で生じる程度の誤差であること、また、表1の試験は、同一プレートで同時に行われたものではなく、特にショウガについては、別日に行われた試験であること、さらに、ショウガについて数値に大きな差が生じた主な要因は、用いたICRマウスが異なる結果、褐色脂肪細胞が異なり、感受性の高い細胞が用いられたことにあると考えられ、このことは、表1のショウガの欄(横の行)のいずれも高い値となっていることからも理解できるものであること、を主張する。 しかしながら、特許権者が主張するように、ショウガを被験物質として用いたものについては、感受性の高い細胞が用いられたと解して検討から除外したとしても、他の被験物質について示された数値からみて、【表1】に示される実験結果は、0.81~2.33の範囲であれば、「通常の試験で生じる程度の誤差」として許容し得る程度の実験系において確認された結果ということになる。 かかる観点から、被験物質がカフェインである場合の結果について、【表1】の結果を参照すると、【表1】のカフェインにおける「黒生姜抽出物及び被験物質の組み合わせ」の「3.33」という数値も「0.81~2.33の範囲」の程度の誤差を含む数値であるといえる。 そうすると、【表1】のカフェインの欄の黒生姜抽出物及び被験物質の組み合わせの数値「3.33」が、黒生姜抽出物単独の数値と被験物質であるカフェインの数値和を超えるとしても、当該値は、0.81~2.33の範囲の誤差を含み得るものであるのだから、相乗効果が奏されるものであるとまで認めることはできない。 したがって、本件特許明細書等の【表1】に示された効果は、当業者の予測を超える格別顕著なものということはできない。 e 特許権者の主張について 特許権者は、取消理由に対して、令和6年12月26日に提出した意見書において、概ね以下の(a)~(c)の主張をしている。 (a)カフェインを選択することの困難性についての主張 抗肥満や体脂肪減少等のダイエットを目的とした組成物の有効成分となる成分は、世の中に数多く存在し、その数多く存在する成分の中から、カフェインを選択することには一定の困難性がある。また、本件出願当時、その組合せが明確に示された商品は、引用例1の商品のみであり、また、この引用例1の商品も、黒生姜及びカフェインとの組み合わせを特に強調しているものでもない。 (b)【表1】の異なる行の数値を比較することについての主張 本件特許明細書等の【表1】の縦の異なる行の数値の相違(実験条件等による誤差)と、横の同一行の数値の相違(本発明の効果の差異)について、本試験では、各被験物質(黒生姜抽出物や対照の成分やそれらの組み合わせ)に対して同じ試験方法でUCP1発現量を測定しているが、被験物質の数が膨大であるため、何十回にも分けて同じ試験方法の細胞培養や遺伝子発現量測定(定量リアルタイムPCR)などを試行しており、細胞培養や遺伝子発現量測定は、試験環境などのごく些細な条件の違いから様々な影響を受けるため、同じ試験方法で行っても試行ごとにある程度結果にばらつきが生じ、必ず測定誤差が生じる。 同一行内の結果は同一試行で実施することにより精度を保っており行内の比較が可能なことに対し、異なる行の間では別々の試行となるためばらつきの影響が大きくなり、そもそも比較することを考慮されておらず、同一行内の比較と異なる行間の数値の比較を同列に論じること自体が合理的ではない。 (c)【表1】の結果を得るために用いられた「黒生姜抽出物」についての主張 取消理由では、【表1】の結果を得るための測定に用いられた黒生姜抽出物は、黒生姜の根茎粉砕物、茎粉砕物、葉粉砕物及び花粉砕物を「黒生姜粉砕物」とし、前記黒生姜抽出物を60%エタノールで抽出して得られた抽出液を用いたUCP1のmRNA発現量の数値であると述べられているが、本件特許明細書等の段落【0072】には、「殺菌した粗粉砕物を粉砕機によって粉砕し、黒生姜の根茎粉砕物を得た。同様の方法により、黒生姜の茎粉砕物、葉粉砕物及び花粉砕物を得た。これらを黒生姜粉砕物とした。」と、複数の粉砕物を製造した記載があるものの、これらを混合して用いた記載はなく、これに続く段落【0073】では、1種類の黒生姜粉砕物を用いて抽出物が得られることが記載され、さらに、評価(表1)においても、1種類の黒生姜抽出物を用いた結果しか示されていない。 ここで、上記段落【0073】には、「得られた黒生姜抽出物は、57DMF含量が9.27wt%であった。」と記載される一方、段落【0027】には、「黒生姜の使用部位は、所望の薬理作用に寄与する成分を含む部位であれば特に限定されず、例えば、根、葉、茎、花、枝などが挙げられるが、好ましくは5,7-ジメトキシフラボン(57DMF)などのポリメトキシフラボノイド(PMF)を多く含む根茎である。」と記載されているので、実施例では、黒生姜の根茎が用いられていると理解できる。 そして、実際に、特許明細書の実施例の表1で示された結果は、黒生姜の根茎を用いた結果である(乙第1号証:発明者による宣誓書)。 すなわち、実施例(表1)で用いられたものは、「黒生姜の根茎粉砕物を含水エタノールで抽出して得られた黒生姜抽出物」である。 しかしながら、特許権者の上記主張(a)~(c)はいずれも採用できない。その理由は次のとおりである。 (d)特許権者の主張(a)について 引用発明6も、引用例1に記載の事項も、ともにKPEあるいは黒生姜自体に、UCP1タンパク質の上方発現ないし活性化作用を有することを見出し、当該作用機序により、抗肥満や体脂肪減少等のダイエットを目的とした組成物の用途に適用するものであるところ、前記1(3)(引5a)の記載のとおり、カフェインが、UCP1タンパク質の活性化により、脂肪燃焼作用を奏することは知られていたのであるから、引用発明6と組み合わせる成分として、KPEの有するUCP1タンパク質の上方発現を増強させるべく、カフェインを選択することに格別の技術的困難性は見いだせない。しがたって、特許権者の主張は採用できない。 (e)特許権者の主張(b)について 本件特許明細書等の【表1】の数値は、本件特許明細書等の【0081】~【0087】のとおり、褐色脂肪細胞の培養培地に添加した8日後の上清のUCP1遺伝子のmRNA発現量を、内在性コントロールであるGAPDHのmRNA発現量に対する相対発現量として数値化したものである。 ここで、内在性コントロール遺伝子とは、リアルタイム定量PCR法において、核酸抽出やRT反応の効率、そしてサンプルに混入するPCR阻害物質の影響を考慮して、反応チューブに投入した初期サンプル量の補正(標準化)のために用いられる遺伝子であって、サンプル間で同様の発現を示す遺伝子であるから(要すれば、前記2(3)周知例3の記載事項(周3a)を参照。)、内在性コントロール遺伝子の定量値によって補正された数値が、PCR法における実験条件の影響による結果のばらつきが補正されたものであることは、上記技術常識に照らし明らかである。そうすると、本件特許明細書等の【表1】における、GAPDHのmRNA発現量を「1.00」とし、それに対する相対発現量として数値化された「黒生姜抽出物単独」、「被験物質単独」及び「黒生姜抽出物及び被験物質の組み合わせ」の数値が、PCR法における実験条件の影響による結果のばらつきを補正した結果であることは当然であるところ、特許権者の主張は、本件特許明細書等の【表1】の異なる行の数値が内在性コントロールで補正された数値であることを考慮せず、別々の試行で得られた数値はばらつきの影響が大きくなるという点のみを根拠とする主張であるから、妥当なものとして採用できない。 (f)特許権者の主張(c)について 本件特許明細書等の【0072】には「黒生姜の根茎を洗浄後、1~10mm程度にスライスし、1日天日干しにした。その後、40~100℃に設定したオーブン乾燥機で4~6時間乾燥し、粗粉砕後、130~200℃で5~20秒間殺菌を行った。殺菌した粗粉砕物を粉砕機によって粉砕し、黒生姜の根茎粉砕物を得た。同様の方法により、黒生姜の茎粉砕物、葉粉砕物及び花粉砕物を得た。これらを黒生姜粉砕物とした。」と記載され、続けて、【0073】には、「(2)黒生姜抽出物の製造」として、黒生姜抽出物を得るために「上記した方法により得た黒生姜粉砕物」を用いたことが記載されているところ、かかる記載からみて、「黒生姜粉砕物」は、「黒生姜の根茎粉砕物」、「黒生姜の茎粉砕物、葉粉砕物及び花粉砕物」のいずれか、あるいはこれらの全てと解するのが自然であって、当然に「黒生姜の根茎粉砕物」と解すべきことにはならない。この点は、【0088】の(8)評価の記載を参照しても同様である。すなわち、【0088】の【表1】には、あくまで「黒生姜抽出物」と記載されているのであり、「黒生姜の」「根茎粉砕物」、「茎粉砕物」、「葉粉砕物」又は「花粉砕物」のいずれかの粉砕物かについて明示はないのであるから、黒生姜の「根茎粉砕物」についての結果であるとは認められない。 特許権者は、本件特許明細書等の【0027】に「黒生姜の使用部位は、所望の薬理作用に寄与する成分を含む部位であれば特に限定されず、例えば、根、葉、茎、花、枝などが挙げられるが、好ましくは5,7-ジメトキシフラボン(57DMF)などのポリメトキシフラボノイド(PMF)を多く含む根茎である。」という記載がある点を主張するが、当該記載があるからといって、【0073】における「得られた黒生姜抽出物は、57DMF含量が9.27wt%であった。」との記載が「根茎粉砕物」についてのものであるとする根拠にはならない。すなわち、当該記載は得られた「黒生姜抽出物」の57DMF含量についての記載であって、【0072】の「黒生姜抽出物」という記載が「黒生姜」の「根茎粉砕物」から得られたものであることを示す記載とはいえない。 また、【0072】に「殺菌した粗粉砕物を粉砕機によって粉砕し、黒生姜の根茎粉砕物を得た。同様の方法により、黒生姜の茎粉砕物、葉粉砕物及び花粉砕物を得た。これらを黒生姜粉砕物とした。」と記載されている以上、「黒生姜粉砕物」は「「黒生姜の根茎粉砕物」、「黒生姜の茎粉砕物、葉粉砕物及び花粉砕物」のいずれか、あるいはこれらの全て」を意味することは、本件特許明細書の記載から明らかであって、特許出願後に発明者の宣誓書の提出をもって、明細書の記載から明らかな事項を異なる意味へと変更することは許されない。 そうすると、特許権者の、実施例)の【表1】で用いられたものは、「黒生姜の根茎粉砕物を含水エタノールで抽出して得られた黒生姜抽出物」であるという主張は、採用できない。 (ウ) 小括 したがって、本件訂正発明1は、引用例6に記載された発明、引用例6、引用例5に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 イ 本件訂正発明2について (ア)対比 本件訂正発明2と引用発明6を対比する。 引用発明6における「Kaempferia parviflora」は、本件訂正発明2における「黒生姜(Kaempferiaparviflora)」に相当する。 前記ア(ア)で説示したように、一般に、「50%エタノール」は、水とエタノールとの質量比が1:1である含水エタノールであることを意味するから、引用発明6の「Kaempferia parvifloraの根茎粉末を50%エタノールで抽出し、真空蒸発させて凍結乾燥して得たKaempferia parviflora抽出物(KPE)」は、本件訂正発明2における「黒生姜(Kaempferia parviflora)根茎含水エタノール抽出物」に相当する。 そうすると、本件訂正発明2と引用発明6とは、「黒生姜根茎含水エタノール抽出物を含有する組成物」である点で一致し、次の点で相違する。 (相違点1)本件訂正発明2においては、(1)~(5)に係る経口組成物等であるものを除くことが特定されているのに対し、引用発明6においてはそのような特定がない点。 (相違点2’)本件訂正発明2においては、「体脂肪減少用」の用途に適用することが特定されているのに対し、引用発明6においては、「体重増加、腹腔内脂肪の蓄積を有意に減少させ、褐色脂肪組織においてUCP1の発現を有意に増加させる」作用を有することが特定されているものの、「体脂肪減少用」であることについては特定されていない点。 (相違点3)本件訂正発明2は、「経口」組成物であることが特定されているのに対し、引用発明6ではそのような特定がない点。 (相違点4)本件訂正発明2は、さらにカフェインを含有することが特定されているのに対し、引用発明6ではそのような特定がない点。 (イ) 判断 a 相違点1について 前記ア(イ)aと同様の理由で、(1)~(5)に係る経口組成物等を、その態様として含むものではない点において、本件訂正発明2と引用発明6とは異なるところはない。よって、相違点1は実質的な相違点ではない。 仮に、引用発明6が前記(1)~(5)の成分を含有する経口組成物等を、その態様を包むとしても、前記ア(イ)aで述べたように、これらの態様を除いた構成とすることは、当業者が適宜なし得る設計的事項に過ぎない。 b 相違点2’及び3について 前記ア(イ)bと同様の理由で、引用発明6において、その用途をヒトの「体脂肪減少用」に特定した「経口組成物」とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 c 相違点4について 前記ア(イ)cと同様の理由で、引用発明6において、KPEと同様、褐色脂肪組織(BAT)でのUCP-1の発現を上方制御することで熱発生に寄与することが知られ、抗肥満作用や体脂肪減少作用を向上させるべく各種成分と組み合わせて用いることが周知であるカフェインを、相加ないし相乗効果を期待して、更に含む構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 d 本件訂正発明2の効果について 前記ア(イ)dで説示したように、本件出願時公知の技術的事項を踏まえれば、本件訂正発明2の構成により奏される効果は、当業者が予測し得たものであって格別顕著なものとは認められない。 e 特許権者の主張について 前記ア(イ)eで説示したとおり、特許権者の主張はいずれも採用できない。 (ウ) 小括 したがって、本件訂正発明2は、引用例6に記載された発明、引用例6、引用例5に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 (2)引用例8を主引例とする進歩性欠如 ア 本件訂正発明1について (ア)対比 本件訂正発明1と引用発明8を対比する。 引用発明8における「ブラックジンジャー(Kaempferia parviflora)の根茎部の50質量%エタノール抽出物」は、本件訂正発明1における「黒生姜(Kaempferia parviflora)根茎含水エタノール抽出物」に相当し、引用発明8における「肥満解消用飲食品」は、本件訂正発明1における「抗肥満用経口組成物」に相当する。 そうすると、本件訂正発明1と引用発明8とは、「黒生姜(Kaempferiaparviflora)根茎含水エタノール抽出物を含有する抗肥満用経口組成物」である点で一致し、次の点で相違する。 (相違点1)本件訂正発明1においては、(1)~(5)に係る経口組成物等であるものを除くことが特定されているのに対し、引用発明8においてはそのような特定がない点。 (相違点4)本件訂正発明1は、さらにカフェインを含有することが特定されているのに対し、引用発明8ではそのような特定がない点。 (イ) 判断 a 前記相違点1について 引用発明8は、「脂肪の代謝促進に関与しているサイクリックAMPを分解する酵素であるサイクリックAMPホスホジエステラーゼ」に対し、「ブラックジンジャー」「の根茎部」の「50重量%エタノール抽出物」が「高いサイクリックAMPホスホジエステラーゼ活性阻害作用を有する」作用を有することを見出しなされた発明であって、かかるブラックジンジャーの根茎部の50重量%エタノール抽出物の作用効果との関係において、相違点1に係る構成として本件訂正発明1から除かれる(1)~(5)に係る経口組成物等が、それぞれ黒生姜とともに含有する成分を、ブラックジンジャーの根茎部の50重量%エタノール抽出物とともに必須の構成として含有することを何ら前提とするものではない。 このことは、引用例8の記載全体を参照しても同様であって、引用例8には、ブラックジンジャーの50重量%エタノール抽出物を任意の飲食物に配合することについての記載はあるものの、そもそも(1)~(5)に係る経口組成物等が、それぞれ黒生姜とともに含有する成分を、ブラックジンジャーの50重量%エタノール抽出物とともに飲食物に配合させ得ることについてすら開示がない。 したがって、前記(1)~(5)に係る経口組成物等を、その態様として含むものではない点において、本件訂正発明1と引用発明8とは異なるところはない。よって、相違点1は、実質的な相違点ではない。 仮に、引用発明8が上記(1)~(5)に係る経口組成物等を、その態様を含むとしても、引用発明8は、上述のとおり、ブラックジンジャーの50重量%エタノール抽出物が有する作用効果との関係で、これらの成分を必須の成分として含むことを前提とするものではないから、これらの態様を除いた構成とすることは、当業者が適宜なし得る設計的事項に過ぎない。 b 前記相違点4について 引用例1、2にも記載されるように、抗肥満や体脂肪減少等のダイエットを目的とした経口組成物において、複数の有効成分を併用することは、周知の技術的事項であって、また、引用例1には、前記1(1)(引1a)~(引1g)のとおり、脂肪の燃焼成分であるブラックジンジャーと、燃焼サポート成分であるカフェインを含む組成物が記載されている。 また、前記(1)ア(イ)cで説示したように、抗肥満作用や体脂肪減少作用を向上させるべくカフェインを各種成分と組み合わせて用いることは周知の技術的事項であった。 そして、引用発明8は、前記1(6)ア(引8b)及び(引8e)のとおり、「ブラックジンジャー」の「根茎部の50重量%エタノール抽出物」が、「脂肪の代謝促進に関与しているサイクリックAMPを分解する酵素であるサイクリックAMPホスホジエステラーゼ」の「活性阻害作用を有」し、「細胞内サイクリックAMPの濃度が上昇して脂質代謝が活発になり、肥満が解消されること」を見出しなされた発明であるところ、上述のとおり、抗肥満や体脂肪減少等を目的とした組成物において、複数の有効成分を併用すること、及び、抗肥満作用や体脂肪減少作用の向上を目的としてカフェインを各種成分と組み合わせて用いることが周知の技術的事項であったことに鑑みれば、肥満解消作用を向上させるべく、引用発明8のブラックジンジャーの根茎部の50重量%エタノール抽出物において、カフェインを更に含む構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 c 本件訂正発明1の効果について (a)本件訂正発明1の効果について、本件特許明細書等には、前記(1)ア(イ)d(a)で述べた事項が記載されている。 しかし、引用例8には、前記1(6)ア(引8b)及び(引8e)のとおり、ブラックジンジャーの根茎部の50重量%エタノール抽出物が、脂肪の代謝促進に関与しているサイクリックAMPを分解する酵素であるサイクリックAMPホスホジエステラーゼの作用を抑え、前記1(6)ア(引8f)のとおり、脂肪分解促進作用を有することが記載されている。他方、カフェインについても、前記1(1)(引1e)において脂肪の消費システムであることが記載されているUCP1の発現量を1.5倍上昇させ、肥満マウスにおける熱発生に寄与することは、引用例5の前記1(3)(引5a)のとおり、本件出願前に知られていたものである。 そうすると、これら本件出願前公知の技術的事項を踏まえれば、本件訂正発明1の構成により奏される効果は、当業者が予測し得たものであって、格別顕著なものとは認められない。 この点、特許権者は、本件訂正発明1に係る組み合わせについて、前記(1)ア(イ)d(c)で述べたように相乗効果が奏されるものである旨主張するが、前記(1)ア(イ)d(c)で説示したとおり、本件特許明細書等の【表1】に示された効果は、当業者の予測を超える格別顕著なものということはできない。 d 特許権者の主張について 前記(1)ア(イ)eで述べた(a)~(c)の特許権者の主張のうち(a)について、引用発明8は、ブラックジンジャーの根茎部の50重量%エタノール抽出物がサイクリックAMPホスホジエステラーゼの活性性阻害作用及び脂肪肪分解促進作用を有することを見出し、当該作用機序により、肥満解消を目的とした飲食品の用途に適用するものであるところ、前記(1)ア(イ)cで説示したように、抗肥満作用や体脂肪減少作用の向上を目的としてカフェインを各種成分と組み合わせて用いることは周知の技術的事項であったといえ、そうすると、引用発明8と組み合わせる成分として、肥満解消効果を向上させる目的でカフェインを選択することに格別の技術的困難性は見いだせず、したがって、特許権者の主張は採用できない。 また、特許権者の(b)及び(c)の主張については、前記(1)ア(イ)e(e)及び(f)と同様の理由で、いずれも採用できない。 (ウ) 小括 したがって、本件訂正発明1は、引用例8に記載された発明、引用例8に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 イ 本件訂正発明2について (ア) 対比 本件訂正発明2と引用発明8’を対比する。 引用発明8’における「ブラックジンジャー(Kaempferia parviflora)の根茎部の50質量%エタノール抽出物」は、本件訂正発明2における「黒生姜(Kaempferia parviflora)根茎含水エタノール抽出物」に相当し、引用発明8’における「脂肪分解促進用飲食品」は、本件訂正発明2における「体脂肪減少用経口組成物」に相当する。 そうすると、本件訂正発明2と引用発明8’とは、「黒生姜(Kaempferiaparviflora)根茎含水エタノール抽出物を含有する体脂肪減少用経口組成物」である点で一致し、次の点で相違する。 (相違点1)本件訂正発明2においては、(1)~(5)に係る経口組成物等であるものを除くことが特定されているのに対し、引用発明8’においてはそのような特定がない点。 (相違点4)本件訂正発明2は、さらにカフェインを含有することが特定されているのに対し、引用発明8’ではそのような特定がない点。 (イ) 判断 a 相違点1について 前記ア(イ)aと同様の理由で、本件訂正発明2と引用発明8’とは異なるところはない。よって、相違点1は、実質的な相違点ではない。 仮に、引用発明8’が上記(1)~(5)に係る経口組成物等を、その態様を含むとしても、前記ア(イ)aで述べたように、これらの態様を除いた構成とすることは、当業者が適宜なし得る設計的事項に過ぎない。 b 相違点4について 前記ア(イ)bと同様の理由で、体脂肪減少作用を向上させるべく、引用発明8’のブラックジンジャーの根茎部の50重量%エタノール抽出物において、カフェインを更に含む構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 c 本件訂正発明2の効果について 前記ア(イ)cと同様の理由で、本件訂正発明2の構成により奏される効果は、当業者が予測し得たものであって、格別顕著なものとは認められない。 d 特許権者の主張について 前記ア(イ)dで説示したとおり、特許権者の主張はいずれも採用できない。 (ウ) 小括 したがって、本件訂正発明2は、引用例8に記載された発明、引用例8に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 (3)引用例11を主引例とする進歩性欠如 ア 本件訂正発明1について (ア)対比 本件訂正発明1と引用発明11を対比する。 本件訂正発明1と引用発明11とを対比すると、引用発明11における「Kaempferia parvifloraである黒ショウガ」は本件訂正発明1における「黒生姜(Kaempferia parviflora)」に相当する。 そうすると、本件訂正発明1と引用発明11とは、「黒生姜を含有する組成物」である点で一致し、次の点で相違する。 (相違点1)本件訂正発明1においては、(1)~(5)に係る経口組成物等であるものを除くことが特定されているのに対し、引用発明11においてはそのような特定がない点。 (相違点3)本件訂正発明1は、「経口」組成物であることが特定されているのに対し、引用発明11ではそのような特定がない点。 (相違点4)本件訂正発明1は、さらにカフェインを含有することが特定されているのに対し、引用発明11ではそのような特定がない点。 (相違点5)本件訂正発明1の組成物は「抗肥満用」であることが特定されているのに対し、引用発明11は、組成物がPPARγおよびUCP-1の発現を亢進し、前駆褐色脂肪組織から褐色脂肪組織への分化を誘導し、脂肪組織を褐色脂肪化することが特定されているものの、「抗肥満用」であることが特定されていない点。 (相違点6)組成物に含まれる黒生姜について、本件訂正発明1は「黒生姜根茎含水エタノール抽出物」であるのに対し、引用発明11は「黒ショウガの溶液」である点。 (イ) 判断 a 前記相違点1について 引用発明11は、「黒ショウガ溶液」が「PPARγおよびUCP-1の発現を亢進」する作用を有し、「前駆褐色脂肪組織から褐色脂肪組織への分化を誘導」し、「脂肪組織を褐色脂肪化する」作用を有することを見出しなされた発明であって、かかる黒ショウガ溶液の作用効果との関係において、相違点1に係る構成として本件訂正発明1から除かれる(1)~(5)に係る経口組成物等が、それぞれ黒生姜とともに含有する成分を、黒ショウガ溶液とともに必須の成分として含有することを何ら前提とするものではない。 このことは、引用例11の記載全体を参酌しても同様であって、引用例11には、黒ショウガ溶液について他の物質と組み合わせて使用することの記載はなく、(1)~(5)に係る経口組成物等が黒生姜とともに含有する成分を、黒ショウガ溶液とともに摂取させ得ることについてすら開示がない。 したがって、(1)~(5)に係る経口組成物等を、その態様として含むものではない点において、本件訂正発明1と引用発明11とは異なるところはない。よって、相違点1は、実質的な相違点ではない。 仮に、引用発明11が上記(1)~(5)の成分を含有する経口用組成物等を、その態様を含むとしても、引用発明11は、上述のとおり、黒ショウガ溶液の有する作用効果との関係で、これらの成分を必須の成分として含むことを前提とするものではないから、これらの態様を除いた構成とすることは、当業者が適宜なし得る設計的事項に過ぎない。 b 相違点3及び5について 引用例11には、前記1(8)ア(引11c)のとおり、「雄性マウスから」「単離した」「前駆褐色脂肪組織」に「黒ショウガ溶液」を「添加」したところ、「黒ショウガ群では対照群と比較してPPARγおよびUCP-1の発現量が有意に増加し」たこと、及び、「2型糖尿病モデルマウス」「に黒ショウガエキス混合飼料」を「摂取させ」た結果、「黒ショウガ群では」「脂肪組織を褐色脂肪化すること」を見出したことに基づき、前記1(8)ア(引11b)のとおり、黒ショウガについて「肥満治療やダイエット」のための「機能性食品」への適用が示唆されているのであるから、引用発明11において、その用途を「抗肥満用」と特定した「経口組成物」とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 c 前記相違点4について 引用例1,2にも記載されるように、抗肥満や体脂肪減少等のダイエットを目的とした経口組成物において、複数の有効成分を併用することは、周知の技術的事項であって、引用例1には、前記1(1)(引1a)~(引1g)のとおり、脂肪の燃焼成分であるブラックジンジャーと、燃焼サポート成分であるカフェインを含む組成物が記載されている。 ここで、引用例1に「燃焼サポート成分」として列記されるカフェインにつき、カフェインが褐色脂肪組織(BAT)でのUCP-1の発現を上方制御することで熱発生に寄与する化合物であることは、前記1(3)(引5a)のとおり、本件出願前に既に知られていたことである。 また、カフェインに関し、前記(1)ア(イ)cで説示したように、抗肥満作用や体脂肪減少作用を向上させるべくカフェインを各種成分と組み合わせて用いることは周知の技術的事項であった。 そうすると、引用発明11において、黒ショウガ溶液と同様に、褐色脂肪組織でのUCP-1の発現を上方制御することが知られ、抗肥満作用や体脂肪減少作用を向上させるべく各種成分と組み合わせて用いることが周知であるカフェインを、相加ないし相乗効果を期待して、更に含む構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 d 前記相違点6について 引用例6には、前記1(4)ア(引6e)のとおり、生理活性を有する黒ショウガ抽出物を得る際に、黒ショウガ根茎粉末を50%エタノールで抽出して得ることが記載されており、また、引用例7には、前記1(5)(引7g)のとおり、黒ショウガの抽出において、30%(v/v)以上のエタノール/水混合物を用いることが可能であり、その際、黒ショウガの根茎に溶媒を加えて抽出することが記載されており、さらに、引用例8には、前記1(6)ア(引8d)のとおり、ブラックジンジャーの抽出物を得る際に、根茎部の粉砕物を50重量%エタノール(水とエタノールの質量比1:1)に投入して抽出することが記載されている。 これらの摘示事項によれば、黒生姜の抽出物を得る際に、黒生姜の根茎を含水エタノールで抽出して得ることは、当該技術分野における技術常識である。 そうすると、引用発明11における「黒ショウガの溶液」として、黒生姜の根茎を含水エタノールで抽出した抽出物を用いることは、当業者が適宜なし得た事項といえる。 e 本件訂正発明1の効果について 本件特許明細書等には、前記(1)ア(イ)d(a)で説示した事項が示されている。 一方、引用例11には、前記1(8)ア(引11c)のとおり、黒ショウガが前駆褐色脂肪組織のPPARγおよびUCP-1の発現量を上昇することが記載されており、また、引用例1においても、前記1(1)(引1e)のとおり、黒ショウガを摂食するとUCP1の発現量が上昇し、脂肪の消費量が上昇することが記載されているように、黒ショウガによりUCP1の発現が上昇することは、本件出願前に知られていたものである。他方、カフェインについても、UCP1発現量を1.5倍上昇させ、肥満マウスにおける熱発生に寄与することは、引用例5の前記1(3)(引5a)のとおり、本件出願前に知られていたものである。 そうすると、これら本件出願前公知の技術的事項を踏まえれば、本件訂正発明1の構成により奏される効果は、当業者が予測し得たものであって、格別顕著なものとは認められない。 この点、特許権者は、本件訂正発明1に係る組み合わせについて、前記(1)ア(イ)d(c)で述べたように相乗効果が奏されるものである旨主張するが、前記(1)ア(イ)d(c)で説示したとおり、本件特許明細書等の【表1】に示された効果は、当業者の予測を超える格別顕著なものということはできない。 e 特許権者の主張について 前記(1)ア(イ)eで述べた(a)~(c)の特許権者の主張のうち、(a)について、引用発明11も引用例1に記載の事項も、ともに黒ショウガにUCP1の上方発現作用を有することを見出し、当該作用機序により抗肥満やダイエット用の機能性食品に適用するものであるところ、前記1(3)(引5a)のとおり、カフェインが、UCP1タンパク質の活性化により、脂肪燃焼作用を奏することは知られていたのであるから、引用発明11と組み合わせる成分として、黒ショウガのUCP1の発現亢進を増強させるべくカフェインを選択することに格別の技術的困難性は見いだせない。したがって、特許権者の主張は採用できない。 また、特許権者の(b)及び(c)の主張については、前記(1)ア(イ)e(e)及び(f)と同様の理由で、いずれも採用できない。 (ウ) 小括 したがって、本件訂正発明1は、引用例11に記載された発明、引用例11に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 イ 本件訂正発明2について (ア)対比 本件訂正発明2と引用発明11とを対比すると、引用発明11における「Kaempferia parvifloraである黒ショウガ」は本件訂正発明2における「黒生姜(Kaempferia parviflora)」に相当する。 そうすると、本件訂正発明2と引用発明11とは、「黒生姜を含有する組成物」である点で一致し、次の点で相違する。 (相違点1)本件訂正発明2においては、(1)~(5)に係る経口組成物等であるものを除くことが特定されているのに対し、引用発明11においてはそのような特定がない点。 (相違点3)本件訂正発明2は、「経口」組成物であることが特定されているのに対し、引用発明11ではそのような特定がない点。 (相違点4)本件訂正発明2は、さらにカフェインを含有することが特定されているのに対し、引用発明11ではそのような特定がない点。 (相違点5’)本件訂正発明2の組成物は「体脂肪減少用経口組成物」であるのに対し、引用発明11は、組成物がPPARγおよびUCP-1の発現を亢進し、前駆褐色脂肪組織から褐色脂肪組織への分化を誘導し、脂肪組織を褐色脂肪化することが記載されるものの、「体脂肪減少用」であることが特定されていない点。 (相違点6)組成物に含まれる黒生姜について、本件訂正発明2は「黒生姜根茎含水エタノール抽出物」であるのに対し、引用発明11は「黒ショウガの溶液」である点。 (イ) 判断 a 前記相違点1について 前記ア(イ)aと同様の理由から、前記(1)~(5)に係る経口組成物等を、その態様として含むものではない点において、本件訂正発明1と引用発明11とは異なるところはない。 仮に、引用発明11が前記(1)~(5)の成分を含有する経口組成物等を、その態様を含むとしても、前記2(イ)aで述べたように、これらの態様を除いた構成とすることは、当業者が適宜なし得る設計的事項に過ぎない。 b 相違点3及び5’について 前記ア(イ)bと同様の理由から、引用発明11において、その用途を「体脂肪減少用」と特定した「経口組成物」とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 c 前記相違点4について 前記ア(イ)cと同様の理由から、引用発明11において、黒ショウガ溶液と同様に、黒ショウガ溶液と同様に、褐色脂肪組織でのUCP-1の発現を上方制御することが知られ、抗肥満作用や体脂肪減少作用を向上させるべく各種成分と組み合わせて用いることが周知であるカフェインを、相加ないし相乗効果を期待して、更に含む構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 d 前記相違点6について 前記ア(イ)dと同様の理由から、引用発明11における「黒ショウガの溶液」として、黒生姜の根茎を含水エタノールで抽出した抽出物を用いることは、当業者が適宜なし得た事項といえる。 e 本件訂正発明2の効果について 前記ア(イ)eと同様の理由から、本件訂正発明2の構成により奏される効果は、当業者が予測し得たものであって、格別顕著なものとは認められない。 f 特許権者の主張について 前記ア(イ)fで説示したとおり、特許権者の主張はいずれも採用できない。 (ウ) 小括 したがって、本件訂正発明2は、引用例11に記載された発明、引用例11に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 第6 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正発明1及び2は、(i)引用例6に記載された発明、引用例6、引用例5に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、(ii)引用例8に記載された発明、引用例8に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、(iii)引用例11に記載された発明、引用例11に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条は第2項の規定に違反して特許されたものである。 したがって、本件訂正発明1及び2に係る特許は、特許法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700438

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  • 2026-700210異議申立 / 2026-06-09 / 維持化粧料組成物又は頭飾製品用繊維処理組成物
    共通の審決分類: 121・A61K
  • 2024-700655異議申立 / 2026-05-20 / 訂正認容スガマデクス含有の液体製剤
    共通の審決分類: 121・A61K

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