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特許異議申立

2023-700419

タンクコンテナ、及び液化ガス燃料船

審判番号
2023-700419
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-079215
登録番号
7160253
請求日
2023年04月24日
審決日
2023年11月30日
公報発行日
2024年03月29日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】三井E&S造船株式会社
  • 【権利者代理人】清流国際弁理士法人
  • 【異議申立人】神田 紀子
審判長/審判官
  • 審判長 一ノ瀬 覚
  • 審判官 藤井 昇
  • 審判官 中村 則夫
分類
P1652.121-YAA(B63H) / P1652.841-YAA(B63H) / P1652.851-YAA(B63H) / P1652.857-YAA(B63H)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第29条第2項、特許法第126条第5項、特許法第120条の5第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7160253号発明「タンクコンテナ、及び液化ガス燃料船」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7160253号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2、6〕、3、〔4、5〕7、8について訂正することを認める。 特許第7160253号の請求項1、2、6に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7160253号(以下「本件特許」という。)の請求項1~6に係る特許についての出願は、令和4年5月13日の出願であって、同年4年10月17日にその特許権の設定登録がされ、同年10月25日に特許掲載公報が発行された。 この請求項1、2、6に係る特許について、令和5年4月24日付けで特許異議申立人 神田紀子(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがあり、同年7月10日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年9月6日付けで特許権者により意見書の提出及び訂正請求がされ、同年10月25日付けで申立人により意見書の提出がされたものである。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 令和5年9月6日付けの訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~8について訂正することを求めるものであり、その内容は、以下のとおりである(訂正箇所に下線を付した。)。 (1)訂正事項1 訂正前の特許請求の範囲の請求項1に「前記タンクが満載時の前記タンク内の液化ガスの液面より高い位置にある」と記載されているのを、「前記タンクが満載時の前記タンク内の液化ガスの液面より高い位置にあり、前記加熱器の設置高さが前記圧力揚貨装置の設置高さよりも高い」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2および請求項6も同様に訂正する。)。 (2)訂正事項2 ア 訂正事項2-1 訂正前の特許請求の範囲の請求項3に「前記圧力揚貨装置は、液化ガスを外気との熱交換で気化させる熱交換器であり、前記加熱器は、内部に液化ガスよりも高温の流体を熱媒体として循環させ、前記熱媒体と液化ガスとの熱交換で液化ガスを加熱する熱交換器である、請求項1又は2に記載のタンクコンテナ。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、「液化ガスを貯蔵するタンクと、前記タンクを保持するフレームと、前記タンクと接続され液体の液化ガスが流入する液体配管と、前記液体配管に接続され液化ガスを気化させる圧力揚貨装置と、前記タンクの、満載時の液化ガスの液面より上のタンク上部と前記圧力揚貨装置の出口を接続し、前記圧力揚貨装置で気化した液化ガスが流入する戻しガス管を備え、液化ガス燃料船に着脱可能に搭載され液化ガスを船内に供給するタンクコンテナであって、前記戻しガス管に直接又は前記タンク上部を介して接続され、前記戻しガス管から流入する気化した液化ガスを前記船内に供給するガス管である分岐ガス管と、前記分岐ガス管の中途に設けられ、前記分岐ガス管に流入した気化した液化ガスを加熱する加熱器を備え、前記戻しガス管と前記分岐ガス管の接続部が、前記タンクが満載時の前記タンク内の液化ガスの液面より高い位置にあり、前記圧力揚貨装置は、液化ガスを外気との熱交換で気化させる熱交換器であり、前記加熱器は、内部に液化ガスよりも高温の流体を熱媒体として循環させ、前記熱媒体と液化ガスとの熱交換で液化ガスを加熱する熱交換器であることを特徴とするタンクコンテナ。」に訂正する。 イ 訂正事項2-2 特許請求の範囲の請求項3に「前記圧力揚貨装置は、液化ガスを外気との熱交換で気化させる熱交換器であり、前記加熱器は、内部に液化ガスよりも高温の流体を熱媒体として循環させ、前記熱媒体と液化ガスとの熱交換で液化ガスを加熱する熱交換器である、請求項1又は2に記載のタンクコンテナ。」とあるうち、請求項2を引用するものについて、独立形式に改め、「液化ガスを貯蔵するタンクと、前記タンクを保持するフレームと、前記タンクと接続され液体の液化ガスが流入する液体配管と、前記液体配管に接続され液化ガスを気化させる圧力揚貨装置と、前記タンクの、満載時の液化ガスの液面より上のタンク上部と前記圧力揚貨装置の出口を接続し、前記圧力揚貨装置で気化した液化ガスが流入する戻しガス管を備え、液化ガス燃料船に着脱可能に搭載され液化ガスを船内に供給するタンクコンテナであって、前記戻しガス管に直接又は前記タンク上部を介して接続され、前記戻しガス管から流入する気化した液化ガスを前記船内に供給するガス管である分岐ガス管と、前記分岐ガス管の中途に設けられ、前記分岐ガス管に流入した気化した液化ガスを加熱する加熱器を備え、前記戻しガス管と前記分岐ガス管の接続部が、前記タンクが満載時の前記タンク内の液化ガスの液面より高い位置にあり、前記タンクは、軸方向が水平方向を向く円筒状であり、前記フレームは、前記タンクを円筒の軸方向の両端から挟むように前記タンクの軸方向の両端に設けられ、前記タンクの円筒の軸方向から見て前記タンクの軸方向の端部を囲む1対の矩形の枠状で矩形の4辺のうち互いに平行な2辺が水平方向を向く1対の矩形枠を有する1対の両端フレームを備え、前記圧力揚貨装置は、1対の前記両端フレームの間に設けられ、かつ、前記タンクの円筒の軸方向から見て、前記矩形枠の外周の内側の空間で、かつ前記矩形枠の4か所の角部のうち、下側の2か所の前記角部の一方と前記タンクの外周との間の空間に設けられ、前記加熱器は、1対の前記両端フレームの間に設けられ、かつ、前記タンクの円筒の軸方向から見て、前記矩形枠の外周の内側の空間で、かつ4か所の前記角部のうち、前記圧力揚貨装置が設けられた空間に対応する前記角部以外の残り3か所のうちの1か所の前記角部と前記タンクの外周との間の空間に設けられ、前記圧力揚貨装置は、液化ガスを外気との熱交換で気化させる熱交換器であり、前記加熱器は、内部に液化ガスよりも高温の流体を熱媒体として循環させ、前記熱媒体と液化ガスとの熱交換で液化ガスを加熱する熱交換器であることを特徴とするタンクコンテナ。」と記載し、新たに請求項7とする。 (3)訂正事項3 ア 訂正事項3-1 特許請求の範囲の請求項4に「前記圧力揚貨装置は、液化ガスを外気との熱交換で気化させる熱交換器であり、前記加熱器は、前記圧力揚貨装置で気化させた液化ガスを外気との熱交換で加熱する熱交換器である、請求項1又は2に記載のタンクコンテナ。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、「液化ガスを貯蔵するタンクと、前記タンクを保持するフレームと、前記タンクと接続され液体の液化ガスが流入する液体配管と、前記液体配管に接続され液化ガスを気化させる圧力揚貨装置と、前記タンクの、満載時の液化ガスの液面より上のタンク上部と前記圧力揚貨装置の出口を接続し、前記圧力揚貨装置で気化した液化ガスが流入する戻しガス管を備え、液化ガス燃料船に着脱可能に搭載され液化ガスを船内に供給するタンクコンテナであって、前記戻しガス管に直接又は前記タンク上部を介して接続され、前記戻しガス管から流入する気化した液化ガスを前記船内に供給するガス管である分岐ガス管と、前記分岐ガス管の中途に設けられ、前記分岐ガス管に流入した気化した液化ガスを加熱する加熱器を備え、前記戻しガス管と前記分岐ガス管の接続部が、前記タンクが満載時の前記タンク内の液化ガスの液面より高い位置にあり、前記圧力揚貨装置は、液化ガスを外気との熱交換で気化させる熱交換器であり、前記加熱器は、前記圧力揚貨装置で気化させた液化ガスを外気との熱交換で加熱する熱交換器であることを特徴とするタンクコンテナ。」に訂正する(請求項4を引用する請求項5も同様に訂正する。)。 イ 訂正事項3-2 特許請求の範囲の請求項4に「前記圧力揚貨装置は、液化ガスを外気との熱交換で気化させる熱交換器であり、前記加熱器は、前記圧力揚貨装置で気化させた液化ガスを外気との熱交換で加熱する熱交換器である、請求項1又は2に記載のタンクコンテナ。」とあるうち、請求項2を引用するものについて、独立形式に改め、「液化ガスを貯蔵するタンクと、前記タンクを保持するフレームと、前記タンクと接続され液体の液化ガスが流入する液体配管と、前記液体配管に接続され液化ガスを気化させる圧力揚貨装置と、前記タンクの、満載時の液化ガスの液面より上のタンク上部と前記圧力揚貨装置の出口を接続し、前記圧力揚貨装置で気化した液化ガスが流入する戻しガス管を備え、液化ガス燃料船に着脱可能に搭載され液化ガスを船内に供給するタンクコンテナであって、前記戻しガス管に直接又は前記タンク上部を介して接続され、前記戻しガス管から流入する気化した液化ガスを前記船内に供給するガス管である分岐ガス管と、前記分岐ガス管の中途に設けられ、前記分岐ガス管に流入した気化した液化ガスを加熱する加熱器を備え、前記戻しガス管と前記分岐ガス管の接続部が、前記タンクが満載時の前記タンク内の液化ガスの液面より高い位置にあり、前記タンクは、軸方向が水平方向を向く円筒状であり、前記フレームは、前記タンクを円筒の軸方向の両端から挟むように前記タンクの軸方向の両端に設けられ、前記タンクの円筒の軸方向から見て前記タンクの軸方向の端部を囲む1対の矩形の枠状で矩形の4辺のうち互いに平行な2辺が水平方向を向く1対の矩形枠を有する1対の両端フレームを備え、前記圧力揚貨装置は、1対の前記両端フレームの間に設けられ、かつ、前記タンクの円筒の軸方向から見て、前記矩形枠の外周の内側の空間で、かつ前記矩形枠の4か所の角部のうち、下側の2か所の前記角部の一方と前記タンクの外周との間の空間に設けられ、前記加熱器は、1対の前記両端フレームの間に設けられ、かつ、前記タンクの円筒の軸方向から見て、前記矩形枠の外周の内側の空間で、かつ4か所の前記角部のうち、前記圧力揚貨装置が設けられた空間に対応する前記角部以外の残り3か所のうちの1か所の前記角部と前記タンクの外周との間の空間に設けられ、前記圧力揚貨装置は、液化ガスを外気との熱交換で気化させる熱交換器であり、前記加熱器は、前記圧力揚貨装置で気化させた液化ガスを外気との熱交換で加熱する熱交換器であることを特徴とするタンクコンテナ。」と記載し、新たに請求項8とする。 (4)一群の請求項等についての説明 訂正前の請求項1~6について、請求項2~6は、訂正の請求の対象である請求項1を直接又は間接的に引用する関係にあるから、本件訂正は、一群の請求項1~8について請求されている。 また、訂正後の請求項3~5、7、8に係る訂正に関して、特許権者は、当該訂正が認められるときに一群の請求項1、2、6とは別の訂正単位として扱われることを求めている。 2 訂正の適否についての判断 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的について 訂正事項1による訂正は、訂正前の請求項1に係る発明における「加熱器」の設置高さについて、「加熱器の設置高さが圧力揚貨装置の設置高さよりも高い」旨限定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてした訂正であること 特許明細書等の段落【0061】には、「つまり加熱器55の設置高さは圧力揚貨装置45の設置高さよりも高い方が好ましい」との記載がなされているから、当該訂正事項1による訂正は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アの理由から明らかなように、訂正事項1による訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項1による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的について 訂正事項2のうち訂正事項2-1は、訂正前の請求項3の記載が訂正前の請求項1又は2の記載を引用する記載であるところ、請求項1を引用するものについて、請求項間の引用関係を解消し、独立形式請求項へ改めるための訂正である。 また、訂正事項2-2は、請求項2を引用するものについて、請求項間の引用関係を解消し、独立形式請求項としての請求項7へ改めるための訂正である。 したがって、訂正事項2-1および訂正事項2-2による訂正は、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 イ 特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項2(訂正事項2-1、訂正事項2-2)による訂正は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (3)訂正事項3 ア 訂正の目的について 訂正事項3のうち訂正事項3-1は、訂正前の請求項4の記載が訂正前の請求項1又は2の記載を引用する記載であるところ、請求項1を引用するものについて、請求項間の引用関係を解消し、独立形式請求項へ改めるための訂正である。 また、訂正事項3-2は、請求項2を引用するものについて、請求項間の引用関係を解消し、独立形式請求項としての請求項8へ改めるための訂正である。 したがって、訂正事項3-1および訂正事項3-2による訂正は、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであ る。 イ 特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項3(訂正事項3-1、訂正事項3-2)による訂正は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (4) 小括 上記のとおり、訂正事項1~3に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2、6〕、3、〔4、5〕7、8について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 上記「第2」で述べたとおり、本件訂正は認められるので、本件訂正請求により訂正された請求項1~8に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明8」という。)は、特許請求の範囲の請求項1~8に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 液化ガスを貯蔵するタンクと、前記タンクを保持するフレームと、前記タンクと接続され液体の液化ガスが流入する液体配管と、前記液体配管に接続され液化ガスを気化させる圧力揚貨装置と、前記タンクの、満載時の液化ガスの液面より上のタンク上部と前記圧力揚貨装置の出口を接続し、前記圧力揚貨装置で気化した液化ガスが流入する戻しガス管を備え、液化ガス燃料船に着脱可能に搭載され液化ガスを船内に供給するタンクコンテナであって、 前記戻しガス管に直接又は前記タンク上部を介して接続され、前記戻しガス管から流入する気化した液化ガスを前記船内に供給するガス管である分岐ガス管と、 前記分岐ガス管の中途に設けられ、前記分岐ガス管に流入した気化した液化ガスを加熱する加熱器を備え、 前記戻しガス管と前記分岐ガス管の接続部が、前記タンクが満載時の前記タンク内の液化ガスの液面より高い位置にあり、前記加熱器の設置高さが前記圧力揚貨装置の設置高さよりも高いことを特徴とするタンクコンテナ。 【請求項2】 前記タンクは、軸方向が水平方向を向く円筒状であり、 前記フレームは、 前記タンクを円筒の軸方向の両端から挟むように前記タンクの軸方向の両端に設けられ、前記タンクの円筒の軸方向から見て前記タンクの軸方向の端部を囲む1対の矩形の枠状で矩形の4辺のうち互いに平行な2辺が水平方向を向く1対の矩形枠を有する1対の両端フレームを備え、 前記圧力揚貨装置は、 1対の前記両端フレームの間に設けられ、かつ、 前記タンクの円筒の軸方向から見て、前記矩形枠の外周の内側の空間で、かつ前記矩形枠の4か所の角部のうち、下側の2か所の前記角部の一方と前記タンクの外周との間の空間に設けられ、 前記加熱器は、 1対の前記両端フレームの間に設けられ、かつ、 前記タンクの円筒の軸方向から見て、前記矩形枠の外周の内側の空間で、かつ4か所の前記角部のうち、前記圧力揚貨装置が設けられた空間に対応する前記角部以外の残り3か所のうちの1か所の前記角部と前記タンクの外周との間の空間に設けられる、請求項1に記載のタンクコンテナ。 【請求項3】 液化ガスを貯蔵するタンクと、前記タンクを保持するフレームと、前記タンクと接続され液体の液化ガスが流入する液体配管と、前記液体配管に接続され液化ガスを気化させる圧力揚貨装置と、前記タンクの、満載時の液化ガスの液面より上のタンク上部と前記圧力揚貨装置の出口を接続し、前記圧力揚貨装置で気化した液化ガスが流入する戻しガス管を備え、液化ガス燃料船に着脱可能に搭載され液化ガスを船内に供給するタンクコンテナであって、 前記戻しガス管に直接又は前記タンク上部を介して接続され、前記戻しガス管から流入する気化した液化ガスを前記船内に供給するガス管である分岐ガス管と、 前記分岐ガス管の中途に設けられ、前記分岐ガス管に流入した気化した液化ガスを加熱する加熱器を備え、 前記戻しガス管と前記分岐ガス管の接続部が、前記タンクが満載時の前記タンク内の液化ガスの液面より高い位置にあり、 前記圧力揚貨装置は、液化ガスを外気との熱交換で気化させる熱交換器であり、 前記加熱器は、内部に液化ガスよりも高温の流体を熱媒体として循環させ、前記熱媒体と液化ガスとの熱交換で液化ガスを加熱する熱交換器であることを特徴とするタンクコンテナ。 【請求項4】 液化ガスを貯蔵するタンクと、前記タンクを保持するフレームと、前記タンクと接続され液体の液化ガスが流入する液体配管と、前記液体配管に接続され液化ガスを気化させる圧力揚貨装置と、前記タンクの、満載時の液化ガスの液面より上のタンク上部と前記圧力揚貨装置の出口を接続し、前記圧力揚貨装置で気化した液化ガスが流入する戻しガス管を備え、液化ガス燃料船に着脱可能に搭載され液化ガスを船内に供給するタンクコンテナであって、 前記戻しガス管に直接又は前記タンク上部を介して接続され、前記戻しガス管から流入する気化した液化ガスを前記船内に供給するガス管である分岐ガス管と、 前記分岐ガス管の中途に設けられ、前記分岐ガス管に流入した気化した液化ガスを加熱する加熱器を備え、 前記戻しガス管と前記分岐ガス管の接続部が、前記タンクが満載時の前記タンク内の液化ガスの液面より高い位置にあり、 前記圧力揚貨装置は、液化ガスを外気との熱交換で気化させる熱交換器であり、 前記加熱器は、前記圧力揚貨装置で気化させた液化ガスを外気との熱交換で加熱する熱交換器であることを特徴とするタンクコンテナ。 【請求項5】 請求項4に記載のタンクコンテナを搭載し、前記タンクコンテナの外部に、 前記タンクコンテナから供給された液化ガスよりも高温の流体を熱媒体として内部に循環させ、前記熱媒体と前記タンクコンテナから供給された液化ガスとの熱交換で前記タンクコンテナから供給された液化ガスを加熱する船内熱交換器を備えた、液化ガス燃料船。 【請求項6】 請求項1又は2に記載のタンクコンテナを搭載した、液化ガス燃料船。 【請求項7】 液化ガスを貯蔵するタンクと、前記タンクを保持するフレームと、前記タンクと接続され液体の液化ガスが流入する液体配管と、前記液体配管に接続され液化ガスを気化させる圧力揚貨装置と、前記タンクの、満載時の液化ガスの液面より上のタンク上部と前記圧力揚貨装置の出口を接続し、前記圧力揚貨装置で気化した液化ガスが流入する戻しガス管を備え、液化ガス燃料船に着脱可能に搭載され液化ガスを船内に供給するタンクコンテナであって、 前記戻しガス管に直接又は前記タンク上部を介して接続され、前記戻しガス管から流入する気化した液化ガスを前記船内に供給するガス管である分岐ガス管と、 前記分岐ガス管の中途に設けられ、前記分岐ガス管に流入した気化した液化ガスを加熱する加熱器を備え、 前記戻しガス管と前記分岐ガス管の接続部が、前記タンクが満載時の前記タンク内の液化ガスの液面より高い位置にあり、 前記タンクは、軸方向が水平方向を向く円筒状であり、 前記フレームは、 前記タンクを円筒の軸方向の両端から挟むように前記タンクの軸方向の両端に設けられ、前記タンクの円筒の軸方向から見て前記タンクの軸方向の端部を囲む1対の矩形の枠状で矩形の4辺のうち互いに平行な2辺が水平方向を向く1対の矩形枠を有する1対の両端フレームを備え、 前記圧力揚貨装置は、 1対の前記両端フレームの間に設けられ、かつ、 前記タンクの円筒の軸方向から見て、前記矩形枠の外周の内側の空間で、かつ前記矩形枠の4か所の角部のうち、下側の2か所の前記角部の一方と前記タンクの外周との間の空間に設けられ、 前記加熱器は、 1対の前記両端フレームの間に設けられ、かつ、 前記タンクの円筒の軸方向から見て、前記矩形枠の外周の内側の空間で、かつ4か所の前記角部のうち、前記圧力揚貨装置が設けられた空間に対応する前記角部以外の残り3か所のうちの1か所の前記角部と前記タンクの外周との間の空間に設けられ、 前記圧力揚貨装置は、液化ガスを外気との熱交換で気化させる熱交換器であり、 前記加熱器は、内部に液化ガスよりも高温の流体を熱媒体として循環させ、前記熱媒体と液化ガスとの熱交換で液化ガスを加熱する熱交換器であることを特徴とするタンクコンテナ。 【請求項8】 液化ガスを貯蔵するタンクと、前記タンクを保持するフレームと、前記タンクと接続され液体の液化ガスが流入する液体配管と、前記液体配管に接続され液化ガスを気化させる圧力揚貨装置と、前記タンクの、満載時の液化ガスの液面より上のタンク上部と前記圧力揚貨装置の出口を接続し、前記圧力揚貨装置で気化した液化ガスが流入する戻しガス管を備え、液化ガス燃料船に着脱可能に搭載され液化ガスを船内に供給するタンクコンテナであって、 前記戻しガス管に直接又は前記タンク上部を介して接続され、前記戻しガス管から流入する気化した液化ガスを前記船内に供給するガス管である分岐ガス管と、 前記分岐ガス管の中途に設けられ、前記分岐ガス管に流入した気化した液化ガスを加熱する加熱器を備え、 前記戻しガス管と前記分岐ガス管の接続部が、前記タンクが満載時の前記タンク内の液化ガスの液面より高い位置にあり、 前記タンクは、軸方向が水平方向を向く円筒状であり、 前記フレームは、 前記タンクを円筒の軸方向の両端から挟むように前記タンクの軸方向の両端に設けられ、前記タンクの円筒の軸方向から見て前記タンクの軸方向の端部を囲む1対の矩形の枠状で矩形の4辺のうち互いに平行な2辺が水平方向を向く1対の矩形枠を有する1対の両端フレームを備え、 前記圧力揚貨装置は、 1対の前記両端フレームの間に設けられ、かつ、 前記タンクの円筒の軸方向から見て、前記矩形枠の外周の内側の空間で、かつ前記矩形枠の4か所の角部のうち、下側の2か所の前記角部の一方と前記タンクの外周との間の空間に設けられ、 前記加熱器は、 1対の前記両端フレームの間に設けられ、かつ、 前記タンクの円筒の軸方向から見て、前記矩形枠の外周の内側の空間で、かつ4か所の前記角部のうち、前記圧力揚貨装置が設けられた空間に対応する前記角部以外の残り3か所のうちの1か所の前記角部と前記タンクの外周との間の空間に設けられ、 前記圧力揚貨装置は、液化ガスを外気との熱交換で気化させる熱交換器であり、 前記加熱器は、前記圧力揚貨装置で気化させた液化ガスを外気との熱交換で加熱する熱交換器であることを特徴とするタンクコンテナ。」 第4 取消理由通知に記載した取消理由の概要について 1 取消理由の概要 訂正前の請求項1、2、6に係る特許に対して、当審が令和5年7月10日付けの取消理由通知で特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 「(進歩性)本件特許の請求項1、2、6に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、その発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 記 ・請求項 1、2、6 ・引用文献 1、2又は1~4 <<引用文献一覧>> 1.中国特許出願公開第104791602号明細書(申立人の提出した甲第1号証) 2.米国特許出願公開第2020/0277036号明細書(申立人の提出した甲第2号証) 3.中国特許出願公開第1113660241号明細書(申立人の提出した甲第3号証)(周知技術を示す文献) 4.WORKSHOP ON MODERNISATION OF DANUBE VESSEL FLEET、Wartsila Ship Design、2018年4月19日、p1、p29) https://www.interrg-danube.eu/uploads/media/approved_project_public/0001/40/54cb794a692d45e7ee8cbdc076c02fb8704d13f6.pdf(申立人の提出した甲第4号証)(周知技術を示す文献)」 第5 当審の判断 1 進歩性(特許法第29条第2項)について (1) 引用文献の記載事項、引用発明 ア 引用文献1 引用文献1には、本件発明1に倣って整理すると、以下の発明(以下「引用発明1-1」という。)が記載されていると認められる(特に、請求項1、段落[0001]、「0025]、「0027]、[0030]、[0033]の翻訳文の記載事項と図1の図示内容を参照のこと。)。 「液化ガスを貯蔵するLNGタンク1と、 LNGタンク1と接続され液体の液化ガスが流入する過給管3の上流部分と、 過給管3の上流部分に接続され液化ガスを気化させる燃料熱交換器5.1と、 燃料熱交換器5.1で気化した液化ガスが流入する過給管3の下流部分と、 過給管3の下流部分とタンク上部1.1を介して接続され、過給管3の下流部分から流入する気化した液化ガスを船内に供給するガス管である給気管2と、 給気管2の中途に設けられ、給気管2に流入した気化した液化ガスを加熱する自過給熱交換器5.2と、を備え、 過給管3の下流部分と給気管2との接続部が、タンク満載時のLNGタンク1内の液化ガスの液面より高い位置にあり、前記自過給熱交換器5.2と前記燃料熱交換器5.1の設置高さが同じである、 LNG動力船舶の燃料ガス供給装置。」 また、以下の発明(以下「引用発明1-2」という。)も記載されていると認められる。 「引用発明1-1の燃料ガス供給装置を搭載した、LNG動力船舶。」 イ 引用文献2 引用文献2には、以下の事項が記載されていると認められる(特に、段落【0001】、【0043】、【0045】~【0048】、【0053】、【0055】の翻訳文の記載事項と図1の図示内容を参照のこと。)。 「液化ガスを燃料とする船舶に可搬式コンテナ-タンクモジュール1が着脱可能に搭載され、当該可搬式コンテナ-タンクモジュール1が船内に供給される液化ガスを受け入れる圧力タンク2と当該圧力タンク2を内部に配置する輸送フレーム3とを備え、圧力タンク2から船内に液化ガスが供給されること」(以下「引用文献2の記載事項1」という。) 「圧力タンク2は、軸方向が水平方向を向く円筒状であり、輸送フレーム3は、圧力タンク2の円筒の軸方向の両端から挟むように圧力タンク2の軸方向の両端に設けられ、圧力タンク2の円筒の軸方向から見て圧力タンク2の軸方向の端部を囲む1対の枠状で矩形の4辺のうち互いに平行な2辺が水平方向を向く一対の矩形枠を有する一対の両端フレームを備え(図1参照)、プロセス装置(例えば、液体ガスを蒸発させるための熱交換器、ガスを加熱させるための加熱器)(段落【0046】参照)は一対の両端フレームの間に設けられ、かつ、圧力タンク2の円筒の軸方向から見て、矩形枠の4か所の角部の内、下側の2か所の角部の一方と圧力タンク2の外周との空間6、7に設けられること(図1参照)」(以下「引用文献2の記載事項2」という。) (2)本件発明1について ア 発明の対比 (ア)本件発明1と引用発明1-1とを対比すると、後者の「LNGタンク1」は前者の「タンク」に相当し、以下同様に、「過給管3の上流部分」は「液体配管」に、「燃料熱交換器5.1」は液化ガスを気化させるものであるから「圧力揚貨装置」に、「過給管3の下流部分」は「戻しガス管」に、「給気管2」は「分岐ガス管」に、「自過給熱交換器5.2」は「加熱器」に、それぞれ相当する。 (イ)後者の「燃料ガス供給装置」はLNGタンク1を備えるから、前者の「タンクコンテナ」とは「タンク装置」である点で共通し、後者の「LNG動力船舶の燃料ガス供給装置」と前者の「液化ガス燃料船に着脱可能に搭載され液化ガスを船内に供給するタンクコンテナ」とは「液化ガス燃料船に搭載されるタンク装置」において共通する。 (ウ)後者は「燃料熱交換器5.1で気化した液化ガスが流入する過給管3の下流部分と、過給管3の下流部分とタンク上部1.1を介して接続され、過給管3の下流部分から流入する気化した液化ガスを船内に供給するガス管である給気管2と」を備え「過給管3の下流部分と給気管2との接続部が、タンク満載時のLNGタンク1内の液化ガスの液面より高い位置にある」ものであるから、後者の「過給管3の下流部分」は、前者の「前記タンクの、満載時の液化ガスの液面より上のタンク上部と前記圧力揚貨装置の出口を接続し、前記圧力揚貨装置で気化した液化ガスが流入する戻しガス管」に相当する。 (エ)後者の「過給管3の下流部分と給気管2との接続部が、タンク満載時のLNGタンク1内の液化ガスの液面より高い位置にあ」ることは、前者の「前記戻しガス管と前記分岐ガス管の接続部が、前記タンクが満載時の前記タンク内の液化ガスの液面より高い位置にある」ことに相当する。 (オ)そうすると、両者は、 「液化ガスを貯蔵するタンクと、 前記タンクと接続され液体の液化ガスが流入する液体配管と、 前記液体配管に接続され液化ガスを気化させる圧力揚貨装置と、 前記タンクの、満載時の液化ガスの液面より上のタンク上部と前記圧力揚貨装置の出口を接続し、前記圧力揚貨装置で気化した液化ガスが流入する戻し配管を備え、 液化ガス燃料船に搭載されるタンク装置であって、 前記戻しガス管にタンク上部を介して接続され、前記戻しガス管から流入する気化した液化ガスを船内に供給するガス管である分岐ガス管と、 前記分岐ガス管の中途に設けられ、前記分岐ガス管に流入した気化した液化ガスを加熱する加熱器を備え、 前記戻しガス管と前記分岐ガス管の接続部が、前記タンクが満載時の前記タンク内の液化ガスの液面より高い位置にある、 タンク装置。」 で一致し、以下の各点で相違すると認められる。 <相違点1> タンク装置に関して、本件発明1では、「前記タンクを保持するフレーム」を備え、液化ガス燃料船に「着脱可能に」搭載され液化ガスを船内に供給する「タンクコンテナ」であるのに対して引用発明1-1では、LNG動力船舶(液化ガス燃料船)に搭載される燃料ガス供給装置(タンク装置)ではあるものの、フレームを備えるか否かや、LNG動力船舶に着脱可能に搭載されるタンクコンテナであるか否かが不明である点。 <相違点2> 加熱器と圧力揚貨装置に関して、本件発明1では、「前記加熱器の設置高さが前記圧力揚貨装置の設置高さよりも高い」のに対して、引用発明1-1では、前記自過給熱交換器5.2と前記燃料熱交換器5.1の設置高さが同じである点。 イ 判断 事案に鑑み、相違点2から検討すると、「加熱器の設置高さが圧力揚貨装置の設置高さよりも高い」こと、すなわち、上記相違点2に係る本件発明1の構成は、引用文献2の記載事項1にも、同記載事項2にも開示されていないし、引用文献3、4に示される周知技術(分岐ガス管が戻しガス管に直接接続されること)でもない。 そうすると、相違点1を検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明1-1及び引用文献2の記載事項1及び同記載事項2に基いて、又は、引用発明1-1、引用文献2の記載事項1、同記載事項2及び上記周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2、本件発明6について 本件発明2、6は、本件発明1の発明特定事項をすべて含み、さらに限定を加えたものであるから、本件発明2は、引用発明1-1及び引用文献2の記載事項1及び同記載事項2に基いて、又は、引用発明1-1、引用文献2の記載事項1、同記載事項2及び上記周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、本件発明6は、引用発明1-2及び引用文献2の記載事項1及び同記載事項2に基いて、又は、引用発明1-2、引用文献2の記載事項1、同記載事項2及び上記周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)申立人の主張について 申立人は、令和5年10月25日付け意見書において、特許権者の本件発明1の作用効果に係る主張、すなわち、「前記加熱器の設置高さが前記圧力揚貨装置の設置高さよりも高い」という特定事項によって、「液体は自重で圧力揚貨装置に戻される」という作用効果を奏するという主張に対して、根拠がなく、当該事項は、当業者が必要に応じて適宜設計し得る事項である旨主張する。 しかしながら、加熱器の設置高さが圧力揚貨装置の設置高さよりも高ければ、液化ガスが一部液体の状態であったとしても、配管の構成によらずに、液体が加熱器に流入しづらくなることは明らかであり、ひいては、液化ガスが液体の状態で液化ガス燃料船100に供給され難くなるという作用効果を奏するものである。 そうすると、「前記加熱器の設置高さが前記圧力揚貨装置の設置高さよりも高い」という構成は、設計的事項とはいえないから、申立人の上記主張は採用することができない。 第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 1 申立人が主張したものの取消理由通知で採用しなかった特許異議申立理由の概要 (1)進歩性(特許法第29条第2項)について ア 本件発明1は、甲1発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 イ 本件発明1は、甲3発明、甲1の記載事項、甲2の記載事項、及び出願時の技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 ウ 本件発明1は、甲3発明、甲1の記載事項、周知技術、及び出願時の技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 エ 本件発明1は、甲4発明、甲1の記載事項、甲2の記載事項、及び出願時の技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 オ 本件発明1は、甲4発明、甲1の記載事項、周知技術、及び出願時の技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 2 上記1(1)ア~オの特許異議申立理由の検討 (1)甲3の図1のような各機器の構成及び接続部を示す概略図を作成する際に空間的な位置関係を無視することは一般的であり、甲3の図1のような概略図は機器の高さを反映したものとはいえないから、甲3には、「前記加熱器の設置高さが前記圧力揚貨装置の設置高さよりも高い」ことが記載されていない。 (2)甲4の29ページの図も同様であり、甲4にも、本件発明1の「前記加熱器の設置高さが前記圧力揚貨装置の設置高さよりも高い」という構成が開示されているとはいえない。 (3)また、本件発明1の「前記加熱器の設置高さが前記圧力揚貨装置の設置高さよりも高い」ことは、甲2や甲5に示される周知技術(液化ガスのタンクコンテナが、液化ガスを収容したタンクとタンクを保持するフレームから構成されること)でもなく、甲6や甲7に示される出願時の技術常識(液化ガス燃料タンクとして常設タンクと可搬式タンクの態様があること、及び、可搬式タンクとして移動可能なように規格化されたLNGタンク又はコンテナが用いられること)でもない。 (4)そうすると、申立人が示すいずれの甲号証にも、本件発明1の「前記加熱器の設置高さが前記圧力揚貨装置の設置高さよりも高い」という構成は開示されておらず、また、他にこれが周知技術や技術常識であるという証拠もないから、上記1(1)の特許異議申立理由ア~オは成り立たない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由及び証拠によっては、本件発明1、2、6に係る特許を取り消すことはできない。 さらに、他に本件発明1、2、6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700419

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