特許異議申立
2023-700372
空気調和装置
- 審判番号
- 2023-700372
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2017-208532
- 登録番号
- 7152648
- 請求日
- 2023年04月12日
- 審決日
- 2023年07月18日
- 公報発行日
- 2023年08月25日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】ダイキン工業株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
- 【異議申立人】前田 正夫
- 審判長/審判官
- 審判長 間中 耕治
- 審判官 鈴木 充
- 審判官 槙原 進
- 分類
- P1651.121-Y (F24F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7152648号発明「空気調和装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7152648号の請求項1ないし10に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7152648号の請求項1ないし10に係る特許についての出願は、平成29年10月27日(優先権主張 平成28年10月28日)に出願され、令和4年10月4日にその特許権の設定登録がされ、同年10月13日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1ないし10に係る特許に対し、令和5年4月12日に特許異議申立人 前田正夫(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。
第2 本件発明
特許第7152648号の請求項1ないし10に係る特許の発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明10」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
室外ユニット(2)と、
室内熱交換器(52a、52b、52c、52d)を有する複数の室内ユニット(3a、3b、3c、3d)と、
前記室外ユニットと前記室内ユニットとを接続する液冷媒連絡管(5)及びガス冷媒連絡管(6)と、
前記液冷媒連絡管及び前記ガス冷媒連絡管に設けられており、前記液冷媒連絡管に接続される液接続管(61a、61b、61c、61d)及び前記ガス冷媒連絡管に接続されるガス接続管(62a、62b、62c、62d)に中継遮断弁(68a、68b、68c、68d、71a、71b、71c、71d、72a、72b、72c、72d、73a、73b、73c、73d、68ab、68cd、71ab、71cd、73ab、73cd、74ab、74cd)を有する少なくとも1つの中継ユニット(4a、4b、4c、4d、4ab、4cd)と、
冷媒の漏洩を検知する冷媒漏洩検知手段(79a、79b、79c、79d)と、
を備えており、
前記中継ユニットの構成機器を制御する中継側制御部(94a、94b、94c、94d)が、前記冷媒の漏洩時に前記冷媒漏洩検知手段の情報に基づいて前記中継遮断弁を閉止させる、
空気調和装置において、
前記室内ユニットは、前記室内ユニットの構成機器を制御する室内側制御部(93a、93b、93c、93d)をさらに有しており、
前記冷媒漏洩検知手段は、前記室内側制御部に接続されており、
前記室内側制御部は、前記室内側制御部と前記中継側制御部とを接続する伝送線(96)を介して、前記中継側制御部に前記冷媒漏洩検知手段情報を伝送し、
前記液冷媒連絡管及び前記ガス冷媒連絡管には、前記複数の室内熱交換器を個別に前記冷媒の蒸発器又は前記冷媒の放熱器として機能させるように切り換える少なくとも1つの冷暖切換ユニット(40a、40b、40c、40d)がさらに設けられている、
空気調和装置(1)。
【請求項2】
前記室内側制御部は、前記中継側制御部に前記冷媒漏洩検知手段の情報以外の情報も伝送する、
請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記液接続管は、前記複数の室内ユニットのうち2つ以上の室内ユニットに共通の室外側液接続管(61ab、61cd)と、前記2つ以上の室内ユニットのそれぞれに対応する2つ以上の室内側液接続管と、前記室外側液接続管と前記2つ以上の室内側液接続管とを連通させる液分岐部(74ab、74cd)と、を有しており、
前記ガス接続管は、前記複数の室内ユニットのうち2つ以上の室内ユニットに共通の室外側ガス接続管(62ab、62cd、63ab、63cd、64ab、64cd)と、前記2つ以上の室内ユニットのそれぞれに対応する2つ以上の室内側ガス接続管と、前記室外側ガス接続管と前記2つ以上の室内側ガス接続管とを連通させるガス分岐部(75ab、75cd、76ab、76cd)と、を有しており、
前記中継遮断弁は、前記室内側液接続管及び前記室内側ガス接続管の少なくとも一方に設けられている、
請求項1又は2に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記液接続管は、前記複数の室内ユニットのうち2つ以上の室内ユニットに共通の室外側液接続管(61ab、61cd)と、前記2つ以上の室内ユニットのそれぞれに対応する2つ以上の室内側液接続管と、前記室外側液接続管と前記2つ以上の室内側液接続管とを連通させる液分岐部(74ab、74cd)と、を有しており、
前記ガス接続管は、前記複数の室内ユニットのうち2つ以上の室内ユニットに共通の室外側ガス接続管(62ab、62cd、63ab、63cd、64ab、64cd)と、前記2つ以上の室内ユニットのそれぞれに対応する2つ以上の室内側ガス接続管(75ab、75cd、76ab、76cd)と、前記室外側ガス接続管と前記2つ以上の室内側ガス接続管とを連通させるガス分岐部(75ab、75cd、76ab、76cd)と、を有しており、
前記中継遮断弁は、前記室外側液接続管及び前記室外側ガス接続管の少なくとも一方に設けられている、
請求項1又は2に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記室外ユニットは、前記複数の室内熱交換器をまとめて前記冷媒の蒸発器又は前記冷媒の放熱器として機能させるように切り換える冷暖切換機構(22)をさらに有している、
請求項1~4のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【請求項6】
前記室外ユニットは、圧縮機(21)を有しており、
前記ガス冷媒連絡管は、前記圧縮機の吐出側又は吸入側への接続が切り換え可能な高低圧ガス冷媒連絡管(7)と、前記圧縮機の吸入側に接続される低圧ガス冷媒連絡管(8)と、を有しており、
前記ガス接続管は、前記高低圧ガス冷媒連絡管に接続される高圧ガス接続管(63a、63b、63c、63d)と、前記低圧ガス冷媒連絡管に接続される低圧ガス接続管(64a、64b、64c、64d)と、を有しており、
前記中継遮断弁は、前記液接続管に設けられる液中継遮断弁と、前記高圧ガス接続管に設けられる高圧ガス中継遮断弁と、前記低圧ガス接続管に設けられる低圧ガス中継遮断弁と、を有しており、
前記高圧ガス中継遮断弁及び前記低圧ガス中継遮断弁は、前記複数の室内熱交換器を個別に前記冷媒の蒸発器又は前記冷媒の放熱器として機能させるように切り換える、
請求項1~4のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【請求項7】
前記中継ユニットは、前記複数の室内ユニットのそれぞれに対応して設けられている、
請求項1~6のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【請求項8】
前記中継ユニットは、前記複数の室内ユニットのうち2つ以上の室内ユニットに共通に設けられている、
請求項1~6のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【請求項9】
前記中継側制御部は、前記冷媒の漏洩時に前記冷媒漏洩検知手段の情報に基づいて前記中継遮断弁をすべて閉止させる、
請求項1~8のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【請求項10】
前記中継側制御部は、前記室内側制御部との伝送不良が発生した場合にも、前記中継遮断弁を閉止させる、
請求項1~9のいずれか1項に記載の空気調和装置。」
第3 特許異議申立理由の概要
申立人が申し立てた特許異議申立ての理由は、概略以下のとおりである。
本件発明1ないし9は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1ないし9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
また、本件発明10は、甲第1号証ないし甲第3号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
甲第1号証:特開2016-11780号公報
甲第2号証:国際公開第2016/129027号
甲第3号証:特開2013-210110号公報
第4 各甲号証に記載の事項等
1 甲第1号証について
甲第1号証(特開2016-11780号公報、以下「甲1」という。)には、次の事項が記載されている(下線は、当審が付与した。以下同様。)。
(1)「【0001】
本発明は、冷暖同時運転型空気調和装置、特に、複数の利用ユニットと分岐ユニットと熱源ユニットとが3つの冷媒連絡管を介して接続されることによって構成される冷暖同時運転型空気調和装置に関する。」
(2)「【0029】
冷暖同時運転型空気調和装置1は、複数(ここでは、4台)の利用ユニット3a、3b、3c、3dと熱源ユニット2(ここでは、1台)と分岐ユニット4a、4b、4c、4d(ここでは、各利用ユニット3a、3b、3c、3dに対応して4台)とが、3つの冷媒連絡管(液冷媒連絡管7、高低圧ガス冷媒連絡管8、低圧ガス冷媒連絡管9)を介して接続されることによって構成されている。すなわち、冷暖同時運転型空気調和装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路10は、熱源ユニット2と、利用ユニット3a、3b、3c、3dと、分岐ユニット4a、4b、4c、4dと、冷媒連絡管7、8、9とが接続されることによって構成されている。ここで、液冷媒連絡管7は、熱源ユニット2から引き出される熱源側液冷媒連絡管71と、各利用ユニット3a、3b、3c、3dから引き出される利用側液冷媒連絡管72a、72b、72c、72dとを有している。高低圧ガス冷媒連絡管8は、熱源ユニット2から引き出される熱源側高低圧ガス冷媒連絡管81と、各利用ユニット3a、3b、3c、3dから引き出される利用側ガス冷媒連絡管82a、82b、82c、82dとを有している。低圧ガス冷媒連絡管9は、熱源ユニット2から引き出される熱源側低圧ガス冷媒連絡管91と、各利用ユニット3a、3b、3c、3dから引き出される利用側ガス冷媒連絡管82a、82b、82c、82dとを有している。尚、利用側ガス冷媒連絡管82a、82b、82c、82dは、高低圧ガス冷媒連絡管8及び低圧ガス冷媒連絡管9に共通の冷媒管である。また、冷媒回路10には、冷媒として、R32等の特定条件下で発火の可能性がある冷媒(可燃性冷媒)が封入されている。そして、冷暖同時運転型空気調和装置1は、各利用ユニット3a、3b、3c、3dが個別に冷房運転又は暖房運転を行うことが可能になっており、暖房運転を行う利用ユニットから冷房運転を行う利用ユニットに冷媒を送ることで利用ユニット間において熱回収を行うこと(ここでは、冷房運転と暖房運転とを同時に行う冷暖同時運転を行うこと)が可能になるように構成されている。しかも、冷暖同時運転型空気調和装置1では、上記の熱回収(冷暖同時運転)も考慮した複数の利用ユニット3a、3b、3c、3d全体の熱負荷に応じて、熱源ユニット2の熱負荷をバランスさせるように構成されている。
【0030】
<利用ユニット>
利用ユニット3a、3b、3c、3dは、ビル等の室内の天井に埋め込みや吊り下げ等、又は、室内の壁面に壁掛け等により設置されている。利用ユニット3a、3b、3c、3dは、冷媒連絡管7、8、9及び分岐ユニット4a、4b、4c、4dを介して熱源ユニット2に接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0031】
次に、利用ユニット3a、3b、3c、3dの構成について説明する。尚、利用ユニット3aと利用ユニット3b、3c、3dとは同様の構成であるため、ここでは、利用ユニット3aの構成のみ説明し、利用ユニット3b、3c、3dの構成については、それぞれ、利用ユニット3aの各部を示す符号の添字「a」の代わりに、「b」、「c」又は「d」の添字を付して、各部の説明を省略する。
【0032】
利用ユニット3aは、主として、冷媒回路10の一部を構成しており、利用側冷媒回路13a(利用ユニット3b、3c、3dでは、それぞれ、利用側冷媒回路13b、13c、13d)を有している。利用側冷媒回路13aは、主として、利用側膨張弁51aと、利用側熱交換器52aとを有している。」
(3)「【0035】
また、利用ユニット3aには、各種のセンサが設けられている。具体的には、利用ユニット3aからの冷媒の漏洩を検知する冷媒漏洩検知手段としての冷媒センサ57aと、利用側熱交換器52aの液側における冷媒の温度を検出する液側温度センサ58aと、が設けられている。また、利用ユニット3aは、利用ユニット3aを構成する各部51a、54aの動作を制御する利用側制御部50aを有している。そして、利用側制御部50aは、利用ユニット3aの制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリを有しており、リモコン(図示せず)との間で制御信号等のやりとりを行ったり、熱源ユニット2や分岐ユニット4aとの間で制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。」
(4)「【0047】
分岐ユニット4aは、主として、冷媒回路10の一部を構成しており、分岐側冷媒回路14a(分岐ユニット4b、4c、4dでは、それぞれ、分岐側冷媒回路14b、14c、14d)を有している。分岐側冷媒回路14aは、主として、液接続管61aと、ガス接続管62aとを有している。
【0048】
液接続管61aは、その一端が利用ユニット3aに対応する液冷媒連絡管7の利用側液冷媒連絡管72aに接続されており、利用側液冷媒連絡管72a及び利用側液冷媒管55aを介して、利用ユニット3aの利用側膨張弁51aに接続されている。液冷媒管61aの他端は、液冷媒連絡管7の熱源側液冷媒連絡管71に接続されている。ここでは、熱源側液冷媒連絡管71の分岐ユニット側の端部は、各利用ユニット3a、3b、3c、3dに対応する液冷媒分岐連絡管73a、73b、73c、73dに分岐されている。そして、液冷媒管61aの他端は、液冷媒分岐連絡管73aに接続されており、液冷媒分岐連絡管73aを含む熱源側液冷媒連絡管71、液側閉鎖弁31及び熱源側液冷媒管35を介して、熱源ユニット2の熱源側膨張弁26、27に接続されている。また、ここでは、液接続管61aに、開閉可能な液開閉弁74aが設けられている。ここで、液接続管61aは、分岐ユニット4a、4b、4c、4dを含む熱源側液冷媒連絡管71から利用側液冷媒連絡管72a、72b、72c、72dまでの液冷媒が流れる液管部分のうち利用ユニット3aに対応する液分岐管部分、すなわち、液冷媒分岐連絡管73a、液接続管61a及び利用側液冷媒連絡管72aまでの液冷媒が流れる液管部分を構成している。このため、液開閉弁74aは、このような液分岐管部分73a、61a、72aに設けられていることになる。そして、後述のように、冷媒の漏洩を冷媒漏洩検知手段としての冷媒センサ57aが検知した場合には、冷媒の漏洩が検知された利用ユニットである利用ユニット3aに対応する液開閉弁74aが閉状態にされる。尚、ここでは、液開閉弁74aとして、開閉のみが可能な電磁弁を採用しているが、開度調節が可能な電動膨張弁を採用してもよい。
【0049】
ガス接続管62aは、高圧ガス接続管63aと、低圧ガス接続管64aと、高圧ガス接続管63aと低圧ガス接続管64aとを合流させる合流ガス接続管65aと、を有している。
【0050】
高圧ガス接続管63aは、その一端が合流ガス接続管65aに接続されている。高圧ガス接続管63aの他端は、高低圧ガス冷媒連絡管8の熱源側高低圧ガス冷媒連絡管81に接続されている。ここでは、熱源側高低圧ガス冷媒連絡管81の分岐ユニット側の端部は、各利用ユニット3a、3b、3c、3dに対応する高低圧ガス冷媒分岐連絡管83a、83b、83c、83dに分岐されている。そして、高圧ガス接続管63aの他端は、高低圧ガス冷媒分岐連絡管83aに接続されており、高低圧ガス冷媒分岐連絡管83aを含む熱源側高低圧ガス冷媒連絡管81、高低圧ガス側閉鎖弁32、熱源側高低圧ガス冷媒管36及び高低圧切換機構30を介して、熱源ユニット2の圧縮機21の吐出側又は吸入側に接続されている。高圧ガス接続管63aには、開閉可能な高圧ガス調節弁66aが設けられている。尚、ここでは、高圧ガス調節弁66aとして、開度調節が可能な電動膨張弁を採用しているが、開閉のみが可能な電磁弁等を採用してもよい。
【0051】
低圧ガス接続管64aは、その一端が合流ガス接続管65aに接続されている。低圧ガス接続管64aの他端は、低圧ガス冷媒連絡管9の熱源側低圧ガス冷媒連絡管91に接続されている。ここでは、熱源側低圧ガス冷媒連絡管91の分岐ユニット側の端部は、各利用ユニット3a、3b、3c、3dに対応する低圧ガス冷媒分岐連絡管93a、93b、93c、93dに分岐されている。そして、低圧ガス接続管64aの他端は、低圧ガス冷媒分岐連絡管93aに接続されており、低圧ガス冷媒分岐連絡管93aを含む熱源側低圧ガス冷媒連絡管91、低圧ガス側閉鎖弁33及び熱源側低圧ガス冷媒管37を介して、熱源ユニット2の圧縮機21の吸入側に接続されている。低圧ガス接続管64aには、開閉可能な低圧ガス調節弁67aが設けられている。ここでは、低圧ガス調節弁67aとして、開度調節が可能な電動膨張弁を採用しているが、開閉のみが可能な電磁弁等を採用してもよい。
【0052】
合流ガス接続管65aは、その一端が利用ユニット3aに対応するガス冷媒連絡管8、9に共通の利用側ガス冷媒連絡管82aに接続されており、利用側ガス冷媒連絡管82a及び利用側ガス冷媒管56aを介して、利用ユニット3aの利用側熱交換器52aのガス側に接続されている。合流ガス接続管65aの他端は、高圧ガス接続管63a及び低圧ガス接続管64aに接続されている。
【0053】
そして、分岐ユニット4aは、利用ユニット3aが冷房運転を行う際には、低圧ガス調節弁67aを開けた状態にして、熱源側液冷媒連絡管71の液冷媒分岐連絡管73aを通じて液接続管61aに流入する冷媒を、利用側液冷媒連絡管72a、利用側液冷媒管55a及び利用側膨張弁51aを通じて、利用ユニット3aの利用側熱交換器52aに送り、利用側熱交換器52aにおいて室内空気との熱交換によって蒸発した冷媒を、利用側ガス冷媒管56a、利用側ガス冷媒連絡管82a、合流ガス接続管65a、低圧ガス調節弁67a及び低圧ガス接続管64aを通じて、熱源側低圧ガス冷媒連絡管91の低圧ガス冷媒分岐連絡管93aに戻すように機能することができる。また、分岐ユニット4aは、利用ユニット3aが暖房運転を行う際には、低圧ガス調節弁67aを閉止し、かつ、高圧ガス調節弁66aを開けた状態にして、熱源側高低圧ガス冷媒連絡管81の高低圧ガス冷媒分岐連絡管83aを通じて高圧ガス接続管63aに流入する冷媒を、高圧ガス調節弁66a、合流ガス接続管65a、利用側ガス冷媒連絡管82a及び利用側ガス冷媒管56aを通じて、利用ユニット3aの利用側熱交換器52aに送り、利用側熱交換器52aにおいて室内空気との熱交換によって放熱した冷媒を、利用側膨張弁51a、利用側液冷媒管55a、利用側液冷媒連絡管72a及び液接続管61aを通じて、熱源側液冷媒連絡管71の液冷媒分岐連絡管73aに戻すように機能することができる。このような機能は、分岐ユニット4aだけでなく、分岐ユニット4b、4c、4dも同様に有しているため、利用側熱交換器52a、52b、52c、52dは、分岐ユニット4a、4b、4c、4dによって、個別に冷媒の蒸発器又は放熱器として機能させる切り換えが可能になっている。
【0054】
また、分岐ユニット4aは、分岐ユニット4aを構成する各部66a、67a、74aの動作を制御する分岐側制御部60aを有している。そして、分岐側制御部60aは、分岐ユニット60aの制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリを有しており、利用ユニット3aの利用側制御部50aとの間で制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。」
(5)「【0109】
(3)冷媒の漏洩が検知された場合の動作
冷暖同時運転型空気調和装置1では、上記のように、冷媒回路10にR32等の可燃性冷媒が封入されており、その漏洩を検知するための冷媒漏洩検知手段として冷媒センサ57a、57b、57c、57dが設けられている。そして、冷媒センサ57a、57b、57c、57dによって冷媒の漏洩が検知された場合には、利用ユニット3a、3b、3c、3dのうち冷媒の漏洩が検知された利用ユニットから熱源ユニット2に冷媒を回収しつつ、他の利用ユニットの冷房運転や暖房運転を継続することが好ましい。」
(6)「【0112】
次に、冷媒の漏洩が検知された場合の動作について、すべての利用ユニット3a、3b、3c、3dが冷房運転を行っている場合において、利用ユニット3aにおいて冷媒の漏洩が発生した場合を例にして、図6及び図7を用いて説明する。ここで、図6は、冷媒の漏洩が検知された場合の動作のフローチャートであり、図7は、冷房運転時に冷媒の漏洩が検知された場合の動作(冷媒の流れ)を示す図である。尚、冷媒の漏洩が検知された場合の動作についても、制御部20、50a、50b、50c、50d、60a、60b、60c、60dによって行われる。
【0113】
まず、ステップST1において、冷媒漏洩検知手段としての冷媒センサ57a、57b、57c、57dのいずれかが冷媒の漏洩を検知すると(ここでは、利用ユニット3a用の冷媒センサ57aが冷媒の漏洩を検知すると)、ステップST2の処理に移行する。
【0114】
次に、ステップST2において、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット3a(漏洩機)から熱源ユニット2に冷媒を回収するために、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット3a(漏洩機)に対応する各種弁の開閉操作を行う。具体的には、利用ユニット3a(漏洩機)に対応する液開閉弁74a及び高圧ガス調節弁66aを閉状態にし、低圧ガス調節弁67aを開状態にし、利用側膨張弁51aを開度調節された状態から全開状態にする。これにより、利用ユニット3a(漏洩機)に対応する液分岐管部分(すなわち、液冷媒分岐連絡管73a、液接続管61a及び利用側液冷媒連絡管72aまでの液冷媒が流れる液管部分)を他の冷媒回路部分から隔離するとともに、利用ユニット3a(漏洩機)を分岐ユニット4a及び低圧ガス冷媒連絡管9を通じて熱源ユニット2に連通した状態にすることができる。ここでは、利用ユニット3a(漏洩機)が冷房運転中の場合を想定しており、液開閉弁74a、高圧ガス調節弁66a及び低圧ガス調節弁67aが開状態で、かつ、利用側膨張弁51aが開度調節された状態になっているため、この状態から液開閉弁74a及び高圧ガス調節弁66aを閉止し、利用側膨張弁51aを開度調節された状態から開いて全開状態にする操作を行う。
【0115】
これにより、利用ユニット3a(漏洩機)に存在する冷媒は、分岐ユニット4a及び低圧ガス冷媒連絡管9を通じて熱源ユニット2の圧縮機21の吸入側に送られる。このようにして、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット3a(漏洩機)から熱源ユニット2に冷媒を回収する動作が開始される。ここで、利用ユニット3a(漏洩機)から熱源ユニット2に冷媒を回収する動作中においても、他の冷媒の漏洩が検知されていない利用ユニット3b~3dにおいては、冷房運転が継続可能である。」
(7)「【図1】
[図:0001400507000001.jpg]
」
(8)上記(4)(段落【0048】)及び図1から、液接続管61a、61b、61c、61dは、液冷媒連絡管7に接続されており、液開閉弁74a、74b、74c、74dを有していることがわかる。
(9)上記(4)(段落【0050】、【0051】)及び図1から、高圧ガス接続管63a、63b、63c、63dは、高低圧ガス冷媒連絡管8に接続されており、高圧ガス調節弁66a、66b、66c、66dを有していること、及び、低圧ガス接続管64a、64b、64c、64dは、低圧ガス冷媒連絡管9に接続され、低圧ガス調節弁67a、67b、67c、67dを有していることがわかる。
(10)上記(4)(段落【0051】)及び図1から、前記液冷媒連絡管7並びに前記高低圧ガス冷媒連絡管8及び前記低圧ガス冷媒連絡管9に設けられており、前記液冷媒連絡管7に接続される液接続管61a、61b、61c、61dに液開閉弁74a、74b、74c、74dを有し 、前記高低圧ガス冷媒連絡管8に接続される高圧ガス接続管63a、63b、63c、63dに高圧ガス調節弁66a、66b、66c、66dを有し、 前記低圧ガス冷媒連絡管9に接続される低圧ガス接続管64a、64b、64c、64dに低圧ガス調節弁67a、67b、67c、67dを有していることがわかる。
上記(1)ないし(10)から、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。
〔甲1発明〕
「熱源ユニット2と、
利用側熱交換器52a、52b、52c、52dを有する複数の利用ユニット3a、3b、3c、3dと、
前記熱源ユニット2と前記利用ユニット3a、3b、3c、3dとを接続する液冷媒連絡管7並びに高低圧ガス冷媒連絡管8及び低圧ガス冷媒連絡管9と、
前記液冷媒連絡管7並びに前記高低圧ガス冷媒連絡管8及び前記低圧ガス冷媒連絡管9に設けられており、前記液冷媒連絡管7に接続される液接続管61a、61b、61c、61dに液開閉弁74a、74b、74c、74dを有し、前記高低圧ガス冷媒連絡管8に接続される高圧ガス接続管63a、63b、63c、63dに高圧ガス調節弁66a、66b、66c、66dを有し、前記低圧ガス冷媒連絡管9に接続される低圧ガス接続管64a、64b、64c、64dに低圧ガス調節弁67a、67b、67c、67dを有し、前記利用側熱交換器52a、52b、52c、52dを、個別に冷媒の蒸発器又は放熱器として機能させる切り換えが可能になっている少なくとも1つの分岐ユニット4a、4b、4c、4dと、
冷媒の漏洩を検知する冷媒センサ57a、57b、57c、57dと、
を備えており、
前記分岐ユニット4a、4b、4c、4dは、前記分岐ユニット4a、4b、4c、4dを構成する各部を制御する分岐側制御部60a、60b、60c、60dを有し、
冷媒の漏洩が検知されると、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット(漏洩機)に対応する液開閉弁及び高圧ガス調節弁を閉状態にする、
冷暖同時運転型空気調和装置1において、
前記利用ユニット3a、3b、3c、3dは、前記利用ユニット3a、3b、3c、3dを構成する各部の動作を制御する利用側制御部50a、50b、50c、50dをさらに有しており、
前記冷媒センサ57a、57b、57c、57dは、前記利用ユニット3a、3b、3c、3dに設けられており、
前記利用側制御部50a、50b、50c、50dは、前記利用側制御部50a、50b、50c、50dと前記分岐側制御部60a、60b、60c、60dとの間で制御信号等のやりとりを行うことができる、
冷暖同時運転型空気調和装置1。」
2 甲第2号証について
甲第2号証(国際公開第2016/129027号、以下「甲2」という。)には、次の事項が記載されている。
(1)「[0001] 本発明は、複数台の熱源機を備え、冷媒が漏洩した際に冷媒の流れを遮断する遮断装置を有する空気調和装置に関するものである。」
(2)「[0009]実施形態1.
以下、図面を参照しながら本発明の空気調和装置の好ましい実施形態について説明する。図1は本発明の空気調和装置の実施形態1を示す冷媒回路図である。空気調和装置100は、複数の熱源機1A、1Bと、複数の熱源機1A、1Bに冷媒配管4a、4bを介して接続された中継装置20と、中継装置20に冷媒配管5を介して接続された複数の室内機30a~30dとを有している。そして、複数の熱源機1A、1Bと中継装置20と複数の室内機30a~30dとは冷媒配管4a、4b、5で接続された冷媒回路100Aを構成しており、複数の熱源機1A、1Bで生成された冷熱又は温熱が、中継装置20を介して複数の室内機30a~30dに配送されるようになっている。空気調和装置100に用いられる冷媒は、例えばR410A、R407C、R404AなどのHFC冷媒、R22、R134aなどのHCFC冷媒、もしくは炭化水素、ヘリウムのような自然冷媒などがある。」
(3)「[0016][中継装置20]
中継装置20は、複数の熱源機1A、1B及び複数の室内機30a~30dとは別筐体として、室外空間及び室内空間とは別の位置に設置できるように構成されている。中継装置20は、冷媒配管4a、4bを介して複数の熱源機1A、1Bに接続されているとともに、冷媒配管5を介して各室内機30a~30dに接続されている。そして、中継装置20は熱源機1A、1Bから供給される冷熱あるいは温熱を室内機30a~30dに伝達する。中継装置20は、気液分離器21、第1絞り装置22、第2絞り装置23、第2流路切替装置24a~24dを有している。
(4)「[0033][冷房主体運転モード]
図4は、図1の空気調和装置の冷房主体運転モード時における冷媒の流れを示す冷媒回路図である。なお、図4において、室内機30aで冷熱負荷が発生し、室内機30bで温熱負荷が発生している場合について例示する。図4に示す冷房主体運転モードの場合、第1流路切替装置11は、圧縮機10から吐出された冷媒を熱源側熱交換器12へ流入させるように切り替えられる。低温・低圧の冷媒が圧縮機10によって圧縮され、高温・高圧のガス冷媒となって吐出される。圧縮機10から吐出された高温・高圧のガス冷媒は、第1流路切替装置11を介して熱源側熱交換器12に流入する。高温・高圧のガス冷媒は、熱源側熱交換器12で室外空気に放熱しながら気液二相の冷媒になる。熱源側熱交換器12から流出した冷媒は、逆止弁14c及び冷媒配管4aを通って中継装置20に流入する。中継装置20に流入した二相冷媒は、気液分離器21で高圧ガス冷媒と高圧液冷媒に分離される。このうち、高圧ガス冷媒は、第2流路切替装置24bの開閉装置25a、冷媒配管5を経由した後に、室内機30b側に流入する。そして、凝縮器として作用する室内機30bの負荷側熱交換器31に流入し、室内空気に放熱することで、室内空間を暖房しながら、液冷媒になる。
[0034] 室内機30bの負荷側熱交換器31から流出した液冷媒は、負荷側絞り装置32で膨張させられて、冷媒配管5及び逆止弁26bを経由する。逆止弁26bを通ってきた液冷媒は、気液分離器21において分離され第2絞り装置23において中間圧(たとえば、高圧-0.3MPa程度)まで膨張させられた中間圧の液冷媒と合流する。合流した液冷媒は、逆止弁26a及び冷媒配管5を経由した後に、負荷側絞り装置32で膨張させられ、低温・低圧の気液二相冷媒になる。この二相冷媒は、蒸発器として作用する室内機30aの負荷側熱交換器31に流入し、室内空気から吸熱することで、室内空気を冷却しながら、低温・低圧のガス冷媒になる。負荷側熱交換器31から流出したガス冷媒は、冷媒配管5及び開閉装置25bを経由して、中継装置20から流出し、冷媒配管4bを通って再び各熱源機1A、1Bへ流入する。各熱源機1A、1Bに流入した冷媒は、逆止弁14dを通って、第1流路切替装置11及びアキュムレーター13を経由して、圧縮機10へ再度吸入される。」
(5)「[0038] 上述した各運転モードの制御及び冷媒回路100Aの制御は制御装置50により行われる。制御装置50は、マイコン等で構成されており、各種センサーによる検出情報及びリモコンからの指示に基づいて、装置全体の動作を制御する。なお、制御装置50は、熱源機1Aに設けられている場合について例示しているが、室内機30a~30d側に設けられていてもよいし、熱源機1A、1Bもしくは室内機30a~30dとは別体に設けられてもよい。」
(6)「[0041] ここで、空気調和装置100は、複数の熱源機1A、1Bと室内機30a~30dとの間にそれぞれ設置され、冷媒配管4a、4bに流通する冷媒の流れを遮断する複数の遮断装置6a、6b、7a、7bを有している。熱源機1Aと中継装置20とを接続する冷媒配管4a、4bにそれぞれ遮断装置6a、7aが設けられており、熱源機1Bと中継装置20とを接続する冷媒配管4a、4bに遮断装置6b、7bが設けられている。遮断装置6a、6b、7a、7bは、例えば2方弁からなっており、給電時に開放され給電停止時に閉止する。
[0042] 遮断装置6a、6b、7a、7bの開閉動作は制御装置50により制御されており、熱源機1Aに冷媒の漏洩が発生した場合には遮断装置6a、7aが閉止され、熱源機1Bに冷媒の漏洩が発生した場合には遮断装置6b、7bが閉止される。空気調和装置100は、各熱源機1A、1Bに設置され、冷媒の漏洩を検出する漏洩検出部46を有しており、制御装置50は、漏洩検出部46における検出結果に基づいて、遮断装置6a、6b、7a、7bを制御する。」
(7)「[0082] また、漏洩検出部46が熱源機1A、1B側に配置された場合について例示しているが、室内機30a~30d側に配置してもよい。これにより、室内機30a~30dの冷媒漏洩にも対処することができる。この場合、図1における冷媒配管5側にも遮断装置が配置されるようにしてもよい。」
(8)「
[図:0001400507000002.jpg]
」
(9)「
[図:0001400507000003.jpg]
(10)上記(4)及び(7)から、中継装置20は、複数の室内熱交換器を個別に冷媒の蒸発器又は前記冷媒の凝縮器として機能させるように切り換えることができるものであることがわかる。
上記(1)ないし(10)から、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されている。
〔甲2発明〕
「複数の熱源機1A、1Bと、
負荷側熱交換器を有する複数の室内機30a~30dと、
前記熱源機と前記室内機とを接続する冷媒配管4a、4bと、
前記冷媒配管4a、4bに設けられている2方弁からなる遮断装置6a、6b、7a、7bと、
冷媒配管4a、4bを介して複数の熱源機1A、1Bに接続されているとともに、冷媒配管5を介して各室内機30a~30dに接続されており、前記複数の室内熱交換器を個別に前記冷媒の蒸発器又は前記冷媒の凝縮器として機能させるように切り換えることができる中継装置20と、
冷媒の漏洩を検知する漏洩検出部46と、
を備えており、
制御装置50が、熱源機に設けられるか、室内機側に設けられるか、又は、熱源機もしくは室内機とは別体に設けられており、
制御装置50が、漏洩検出部46における検出結果に基づいて、2方弁からなる遮断装置6a、6b、7a、7bを閉止する、
空気調和装置100において、
漏洩検出部46は室内機側に配置されている、
空気調和装置。」
3 甲第3号証について
甲第3号証(特開2013-210110号公報、以下「甲3」という。)には、次の事項が記載されている。
(1)「【0019】
室内空間4の外側で、なおかつ室内空間4に近い場所の冷媒配管に、冷媒遮断ユニット3を設ける。冷媒遮断ユニット3では、液側および蒸気側それぞれの冷媒接続配管10に、冷媒遮断弁11をそれぞれ備える。冷媒回路の室内空間4内部の部分から冷媒が漏洩した場合でも、冷媒遮断ユニット3の冷媒遮断弁11が閉止されていれば、室内空間4内ではないところの冷媒が室内空間4内に流れて行かないため、室内空間4への冷媒漏洩量を増やさないようにできる。」
(2)「【0021】
制御を司るのは室外機1の制御ユニット13、室内機2の制御ユニット14、冷媒遮断ユニット3の制御ユニット15である。それぞれに室外機1の無線通信装置17、室内機2の無線通信装置18、冷媒遮断ユニット3の無線通信装置19が備わっており、お互いに無線で通信が可能である。また、室外機1の制御ユニット13は、通信インフラ21を通して、無線あるいは有線にて、外部通信網、例えば専用通信線やインターネットと接続可能である。」
(3)「【0040】
異常があるけれども通信ができない場合も想定される。災害または経年変化による通信装置の故障や電波状態の悪化などによる通信不可の場合は冷媒遮断ユニット3の制御ユニット15が独自で判断して、必要な場合には冷媒遮断弁11を閉止する。冷媒遮断ユニットが独自に判断することで、通信不可の場合でも冷媒漏洩量増加のリスクを抑えることができる。」
第5 当審の判断
1 本件発明1について
申立人は、具体的理由として、甲1発明を主発明とする理由(以下「理由1」という。特許異議申立書34ページ3行ないし38ページ18行を参照。)及び甲2発明を主発明とする理由(以下「理由2」という。特許異議申立書38ページ19行ないし42ページ12行を参照。)を挙げているので、以下、それぞれについて検討する。
(1)理由1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。なお、以下において、各要素の参照符号は省略した。
甲1発明の「熱源ユニット」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本件発明1の「室外ユニット」に相当し、以下同様に、「利用側熱交換器」は「室内熱交換器」に、「利用ユニット」は「室内ユニット」に、「液冷媒連絡管」は「液冷媒連絡管」に、「高低圧ガス冷媒連絡管及び低圧ガス冷媒連絡管」は「ガス冷媒連絡管」に、「液冷媒接続管」は「液接続管」に、「高圧ガス接続管」及び「低圧ガス接続管」は「ガス接続管」に、「液開閉弁」及び「高圧ガス調節弁」は「中継遮断弁」に、「冷媒センサ」は「冷媒漏洩検知手段」に、「利用側制御部」は「室内側制御部」に、「冷暖同時運転型空気調和装置」は「空気調和装置」に、それぞれ相当する。
甲1発明における「前記熱源ユニットと前記利用ユニットとを接続する液冷媒連絡管並びに高低圧ガス冷媒連絡管及び低圧ガス冷媒連絡管」は、本件発明1における「前記室外ユニットと前記室内ユニットとを接続する液冷媒連絡管及びガス冷媒連絡管」に相当する。
甲1発明における「冷媒の漏洩を検知する冷媒センサ」は、本件発明1における「冷媒の漏洩を検知する冷媒漏洩検知手段」に相当する。
甲1発明における「前記利用ユニットは、前記利用ユニットを構成する各部の動作を制御する利用側制御部をさらに有して」いることは、本件発明1における「前記室内ユニットは、前記室内ユニットの構成機器を制御する室内側制御部をさらに有して」いることに相当する。
甲1発明における「前記液冷媒連絡管並びに前記高低圧ガス冷媒連絡管及び前記低圧ガス冷媒連絡管に設けられており、前記液冷媒連絡管に接続される液接続管に液開閉弁を有し、前記高低圧ガス冷媒連絡管に接続される高圧ガス接続管に高圧ガス調節弁を有し、前記低圧ガス冷媒連絡管に接続される低圧ガス接続管に低圧ガス調節弁を有し、前記利用側熱交換器を、個別に冷媒の蒸発器又は放熱器として機能させる切り換えが可能になっている少なくとも1つの分岐ユニット」は、本件発明における「前記液冷媒連絡管及び前記ガス冷媒連絡管に設けられており、前記液冷媒連絡管に接続される液接続管及び前記ガス冷媒連絡管に接続されるガス接続管に中継遮断弁を有する少なくとも1つの中継ユニット」に相当する。
甲1発明における「分岐ユニットを構成する各部を制御する分岐側制御部」は、本件発明1における「中継ユニットの構成機器を制御する中継側制御部」に相当する。そうすると、
甲1発明における「前記分岐ユニットは、前記分岐ユニットを構成する各部を制御する分岐側制御部を有し、冷媒の漏洩が検知されると、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット(漏洩機)に対応する液開閉弁及び高圧ガス調節弁を閉状態にする」ことと、
本件発明1における「前記中継ユニットの構成機器を制御する中継側制御部が、前記冷媒の漏洩時に前記冷媒漏洩検知手段の情報に基づいて前記中継遮断弁を閉止させる」こととは、
「前記中継ユニットの構成機器を制御する中継側制御部を有し、前記冷媒の漏洩時に前記冷媒漏洩検知手段の情報に基づいて前記中継遮断弁を閉止させる」ことという限りにおいて一致する。
甲1発明における「前記利用側制御部は、前記利用側制御部と前記分岐側制御部との間で制御信号等のやりとりを行うことができ」ることと、
本件発明1における「前記室内側制御部は、前記室内側制御部と前記中継側制御部とを接続する伝送線を介して、前記中継側制御部に前記冷媒漏洩検知手段情報を伝送」することとは、
「前記室内側制御部は、前記中継側制御部に情報を伝送」することという限りにおいて一致する。
甲1発明において「分岐ユニット」が「利用側熱交換器を、個別に冷媒の蒸発器又は放熱器として機能させる切り換えが可能になっている」ことと、
本件発明1における「前記液冷媒連絡管及び前記ガス冷媒連絡管には、前記複数の室内熱交換器を個別に前記冷媒の蒸発器又は前記冷媒の放熱器として機能させるように切り換える少なくとも1つの冷暖切換ユニットがさらに設けられている」こととは、
「前記複数の室内熱交換器を個別に前記冷媒の蒸発器又は前記冷媒の放熱器として機能させるように切り換えることができる」ことという限りにおいて一致している。
よって、本件発明1と甲1発明とは、以下の一致点で一致し、相違点で相違する。
〔一致点〕
「室外ユニットと、
室内熱交換器を有する複数の室内ユニットと、
前記室外ユニットと前記室内ユニットとを接続する液冷媒連絡管及びガス冷媒連絡管と、
前記液冷媒連絡管及び前記ガス冷媒連絡管に設けられており、前記液冷媒連絡管に接続される液接続管及び前記ガス冷媒連絡管に接続されるガス接続管に中継遮断弁を有する少なくとも1つの中継ユニットと、
冷媒の漏洩を検知する冷媒漏洩検知手段と、
を備えており、
前記中継ユニットの構成機器を制御する中継側制御部を有し、前記冷媒の漏洩時に前記冷媒漏洩検知手段の情報に基づいて前記遮断弁を閉止させる、
空気調和装置において、
前記室内ユニットは、前記室内ユニットの構成機器を制御する室内側制御部をさらに有しており、
前記室内側制御部は、前記中継側制御部に情報を伝送し、
前記複数の室内熱交換器を個別に前記冷媒の蒸発器又は前記冷媒の放熱器として機能させるように切り換えることができる、
空気調和装置。」
〔相違点1〕
「前記中継ユニットの構成機器を制御する中継側制御部を有し、前記冷媒の漏洩時に前記冷媒漏洩検知手段の情報に基づいて前記中継遮断弁を閉止させる」に関して、
本件発明1は、「前記中継ユニットの構成機器を制御する中継側制御部が、前記冷媒の漏洩時に前記冷媒漏洩検知手段の情報に基づいて前記中継遮断弁を閉止させる」のに対して、
甲1発明は、「前記分岐ユニットは、前記分岐ユニットを構成する各部を制御する分岐側制御部を有」するが、分岐側制御部が、冷媒の漏洩が検知されると、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット(漏洩機)に対応する液開閉弁及び高圧ガス調節弁を閉状態にするか否か不明な点。
〔相違点2〕
「前記室内側制御部は、前記中継側制御部に情報を伝送」することに関して、
本件発明1は、「前記室内側制御部は、前記室内側制御部と前記中継側制御部とを接続する伝送線を介して、前記中継側制御部に前記冷媒漏洩検知手段情報を伝送」するものであるが、
甲1発明は、「前記利用側制御部は、前記利用側制御部と前記分岐側制御部との間で制御信号等のやりとりを行うことができ」るものである点。
〔相違点3〕
本件発明1は、「前記冷媒漏洩検知手段は、前記室内側制御部に接続されて」いるのに対して、
甲1発明は、「前記冷媒漏洩検知手段は、前記利用ユニットに設けられている」が、利用側制御部に接続されているか不明な点。
〔相違点4〕
「前記複数の室内熱交換器を個別に前記冷媒の蒸発器又は前記冷媒の放熱器として機能させるように切り換えることができる」に関して、
本件発明1は、「前記液冷媒連絡管及び前記ガス冷媒連絡管には、前記複数の室内熱交換器を個別に前記冷媒の蒸発器又は前記冷媒の放熱器として機能させるように切り換える少なくとも1つの冷暖切換ユニットがさらに設けられている」のに対して、
甲1発明は、「分岐ユニット」において「利用側熱交換器を、個別に冷媒の蒸発器又は放熱器として機能させる切り換えが可能になっている」点。
イ 判断
上記相違点1について検討する。
甲2発明は、「熱源機と前記室内機とを接続する冷媒配管」に「遮断装置」が設けられ、「冷媒配管を介して複数の熱源機に接続されているとともに、冷媒配管を介して各室内機に接続されており、前記複数の室内熱交換器を個別に前記冷媒の蒸発器又は前記冷媒の放熱器として機能させるように切り換えることができる中継装置」を備えたものであるから、「遮断装置」は、「中継装置」とは異なる箇所に設けられていることを構成に含むものである。
しかしながら、甲2発明は、遮断装置を中継ユニットに設け、当該中継ユニットに遮断装置を制御する制御部を設けて、当該制御部により、遮断装置を作動させるものではない。
そうすると、甲1発明において、甲2発明を参照したとしても、分岐ユニットと別の箇所に遮断弁を設けるよう構成するにとどまり、上記相違点1に係る本件発明1の発明特定事項とすることまでは、当業者が容易に想到できたとはいえない。
また、甲3の記載事項は、上記3(1)ないし(3)のとおりであって、上記相違点1に係る本件発明1の発明特定事項を開示ないし示唆するものではない。
そして、他に、上記相違点1に係る本件発明1の発明特定事項を、当業者が容易に想到できたとする証拠も根拠もない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、甲2発明及び甲3の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)理由2について
ア 対比
本件発明1と甲2発明とを対比する。
甲2発明の「複数の熱源機」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本件発明1の「室外ユニット」に相当し、以下同様に、「負荷側熱交換器」は「室内熱交換器」に、「室内機」は「室内ユニット」に、「漏洩検出部」は「冷媒漏洩検知手段」に、それぞれ相当する。
甲2発明の「前記熱源機と前記室内機とを接続する冷媒配管」と本件発明1の「前記室外ユニットと前記室内ユニットとを接続する液冷媒連絡管及びガス冷媒連絡管」とは、「前記室外ユニットと前記室内ユニットとを接続する管」という限りにおいて一致する。
甲2発明の「前記冷媒配管に設けられている2方弁からなる遮断装置」を備えることと、本件発明1の「前記液冷媒連絡管及び前記ガス冷媒連絡管に設けられており、前記液冷媒連絡管に接続される液接続管及び前記ガス冷媒連絡管に接続されるガス接続管に中継遮断弁を有する少なくとも1つの中継ユニット」を備えることとは、「遮断弁」を備えることという限りにおいて一致する。
甲2発明の「制御装置が、熱源機に設けられるか、室内機側に設けられるか、又は、熱源機もしくは室内機とは別体に設けられて」いることは、「制御装置」が設けられる箇所について選択的に特定されているから、「制御装置が、室内機側に設けられる」ことを含んでいる。そして、「制御装置」が「室内機」の構成機器を制御する「室内側制御部」としての機能を有することは、自明である。そうすると、甲2発明の「制御装置が、熱源機に設けられるか、室内機側に設けられるか、又は、熱源機もしくは室内機とは別体に設けられて」いることは、本件発明1の「前記室内ユニットは、前記室内ユニットの構成機器を制御する室内側制御部をさらに有して」いることに相当する。
甲2発明の「前記複数の室内熱交換器を個別に前記冷媒の蒸発器又は前記冷媒の凝縮器として機能させるように切り換えることができる中継装置」は、「前記複数の室内熱交換器を個別に前記冷媒の蒸発器又は前記冷媒の放熱器として機能させるように切り換える」機能を有しているから、本件発明1の「前記複数の室内熱交換器を個別に前記冷媒の蒸発器又は前記冷媒の放熱器として機能させるように切り換える少なくとも1つの冷暖切換ユニット」に相当する。
そうすると、甲2発明の「冷媒配管を介して複数の熱源機に接続されているとともに、冷媒配管を介して各室内機に接続されており、前記複数の室内熱交換器を個別に前記冷媒の蒸発器又は前記冷媒の凝縮器として機能させるように切り換えることができる中継装置」を「備える」ことと、本件発明1の「前記液冷媒連絡管及び前記ガス冷媒連絡管には、前記複数の室内熱交換器を個別に前記冷媒の蒸発器又は前記冷媒の放熱器として機能させるように切り換える少なくとも1つの冷暖切換ユニットがさらに設けられている」こととは、「前記室外ユニットと前記室内ユニットとを接続する管には、前記複数の室内熱交換器を個別に前記冷媒の蒸発器又は前記冷媒の放熱器として機能させるように切り換える少なくとも1つの冷暖切換ユニットがさらに設けられている」ことという限りにおいて一致する。
よって、本件発明1と甲2発明とは、以下の一致点で一致し、相違点で相違する。
〔一致点〕
「室外ユニットと、
室内熱交換器を有する複数の室内ユニットと、
前記室外ユニットと前記室内ユニットとを接続する管と、
遮断弁と、
冷媒の漏洩を検知する冷媒漏洩検知手段と、
を備えている、
空気調和装置において、
前記室内ユニットは、前記室内ユニットの構成機器を制御する室内側制御部をさらに有しており、
前記室外ユニットと前記室内ユニットとを接続する管には、前記複数の室内熱交換器を個別に前記冷媒の蒸発器又は前記冷媒の放熱器として機能させるように切り換える少なくとも1つの冷暖切換ユニットがさらに設けられている、
空気調和装置。」
〔相違点5〕
「前記室外ユニットと前記室内ユニットとを接続する管」に関して、
本件発明1は、「前記室外ユニットと前記室内ユニットとを接続する液冷媒連絡管及びガス冷媒連絡管」であるのに対して、
甲2発明は、「前記熱源機と前記室内機とを接続する冷媒配管」である点。
〔相違点6〕
「遮断弁」を備えることに関して、
本件発明1は、「前記液冷媒連絡管及び前記ガス冷媒連絡管に設けられており、前記液冷媒連絡管に接続される液接続管及び前記ガス冷媒連絡管に接続されるガス接続管に中継遮断弁を有する少なくとも1つの中継ユニット」を備えるのに対して、
甲2発明は、「前記冷媒配管に設けられている2方弁からなる遮断装置」を備える点。
〔相違点7〕
本件発明1は、「前記中継ユニットの構成機器を制御する中継側制御部」が、前記冷媒の漏洩時に前記冷媒漏洩検知手段の情報に基づいて前記中継遮断弁を閉止させるのに対して、
甲2発明は、「制御装置が、漏洩検出部における検出結果に基づいて、2方弁からなる遮断装置を閉止する」ものであるが、「中継ユニットの構成機器を制御する中継側制御部」に相当するものを有しておらず、当該中継側制御部が、冷媒の漏洩時に冷媒漏洩検知手段の情報に基づいて中継遮断弁を閉止させるものではない点。
〔相違点8〕
本件発明1は、「冷媒漏洩検知手段は、前記室内側制御部に接続されており、前記室内側制御部は、前記室内側制御部と前記中継側制御部とを接続する伝送線を介して、前記中継側制御部に前記冷媒漏洩検知手段情報を伝送」するのに対して、
甲2発明は、「漏洩検出部46は室内機側に配置され」る点。
イ 判断
事案に鑑み、先ず、上記相違点7について検討する。
甲1発明は、「前記中継ユニットの構成機器を制御する中継側制御部が、前記冷媒の漏洩時に前記冷媒漏洩検知手段の情報に基づいて前記中継遮断弁を閉止させる」ことに相当する事項を備えていない。
そうすると、甲2発明において、甲1発明を参照して、上記相違点7に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたことではない。
また、甲3の記載事項は、上記3(1)ないし(3)のとおりであって、上記相違点7に係る本件発明1の発明特定事項を開示ないし示唆するものではない。
そして、他に、上記相違点7に係る本件発明1の発明特定事項を当業者が容易に想到できたとする証拠も根拠もない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明、甲1発明及び甲3の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 本件発明2ないし10について
本件発明2ないし10は、本件発明1の発明特定事項を全て含んでいる。したがって、本件発明2ないし10は、上記1(1)及び(2)で述べたのと同様の理由により、甲1発明、甲2発明及び甲3の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1ないし10に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1ないし10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700372