特許異議申立
2023-700299
排ガス処理装置および焼却設備
- 審判番号
- 2023-700299
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-187119
- 登録番号
- 7146049
- 請求日
- 2023年03月17日
- 審決日
- 2023年06月22日
- 公報発行日
- 2023年07月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】日立造船株式会社
- 【権利者代理人】松阪 正弘
- 【権利者代理人】田中 勉
- 【権利者代理人】井田 正道
- 【異議申立人】石井 健治
- 【異議申立人】笹井 栄治
- 審判長/審判官
- 審判長 西村 泰英
- 審判官 竹下 和志
- 審判官 間中 耕治
- 分類
- P1651.121-Y (F23C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7146049号発明「排ガス処理装置および焼却設備」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7146049号の請求項1-8に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7146049号の請求項1-8に係る特許についての出願は、平成29年11月14日(優先権主張 平成28年12月2日)を国際出願日とする特願2018―553754号の一部を令和3年11月17日に新たな特許出願としたものであって、令和4年9月22日にその特許権の設定登録がされ、同年10月3日に特許掲載公報が発行され、その後、請求項1-8に係る特許に対し、令和5年3月17日に特許異議申立人 石井健治(以下、「特許異議申立人1」という。)により、また、令和5年3月24日に特許異議申立人 笹井栄治(以下、「特許異議申立人2」という。)により、それぞれ特許異議の申立てがされたものである。
第2 本件特許発明
本件特許の請求項1-8に係る発明(以下、それぞれを「本件特許発明1」-「本件特許発明8」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
排ガス処理装置であって、
排ガスが流れる煙道に設けられる集塵機と、
前記煙道において前記排ガスの発生源と前記集塵機との間の薬剤供給位置に、排ガス処理薬剤を供給する薬剤供給部と、
前記集塵機にて捕集された集塵灰を、前記煙道とは異なる補助経路に沿って、前記煙道における前記発生源と前記集塵機との間の集塵灰供給位置へとコンベアにより搬送する集塵灰搬送部と、
前記補助経路に設けられ、前記集塵灰を加熱する集塵灰加熱部と、
を備え、
前記集塵灰搬送部が、前記補助経路に設けられるとともに、前記集塵灰を貯留する集塵灰貯留部を備え、
前記集塵灰貯留部から、定量供給部により単位時間当たりに設定量の前記集塵灰が取り出されて前記コンベア内に供給され、前記集塵灰が塊となった状態で前記コンベアにより搬送される。
【請求項2】
請求項1に記載の排ガス処理装置であって、
前記排ガス処理薬剤がカルシウム系薬剤を含み、
前記集塵灰加熱部がヒータにより前記集塵灰を60℃~170℃に加熱する。
【請求項3】
請求項1または2に記載の排ガス処理装置であって、
前記コンベアが、前記補助経路に沿って設けられる複数の保持部を有し、
前記コンベアが、前記集塵灰を収容する前記複数の保持部を、前記補助経路に沿って搬送する。
【請求項4】
請求項3に記載の排ガス処理装置であって、
前記集塵灰搬送部が、各保持部内に収容された前記集塵灰が投下されるシュート部をさらに備え、
前記シュート部が、前記コンベアのハウジングの出口開口に接続されるとともに、前記煙道に開口する。
【請求項5】
請求項4に記載の排ガス処理装置であって、
前記集塵灰搬送部が、
前記シュート部内において、投下された前記集塵灰と衝突することにより、前記集塵灰を砕く破砕部と、
前記シュート部内に設けられ、開閉可能なゲートと、
をさらに備える。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1つに記載の排ガス処理装置であって、
前記集塵灰加熱部が、前記集塵灰貯留部において前記集塵灰を加熱する。
【請求項7】
請求項6に記載の排ガス処理装置であって、
前記集塵灰貯留部において前記集塵灰加熱部により加熱される部位近傍を振動させる集塵灰振動部をさらに備える。
【請求項8】
焼却設備であって、
廃棄物を燃焼させる燃焼室と、
前記燃焼室にて発生する排ガスを前記燃焼室から排出する煙道と、
前記煙道に設けられる請求項1ないし7のいずれか1つに記載の排ガス処理装置と、
を備える。」
第3 特許異議申立ての概要
1 特許異議申立人1による申立理由の概要
特許異議申立人1は、証拠方法として、甲第1号証-甲第12号証(以下、「申立1甲1」-「申立1甲12」という。)を提出し、概略次の申立理由(以下異議申立人1が主張する理由を「申立理由1」という。)を主張している。
<申立1甲号証一覧>
申立1甲1:特開2014-24052号公報(申立2甲1に同じ)
申立1甲2:特開平11-77017号公報
申立1甲3:特開2003-118792号公報
申立1甲4:「厚生省水道環境部監修 ごみ処理施設構造指針解説 焼却施設 粗大ごみ処理施設 高速堆肥化処理施設」,第七刷,社団法人全国都市清掃会議,平成8年6月1日,第p262-264
申立1甲5:特開平5-23539号公報
申立1甲6:特開昭61-227116号公報
申立1甲7:実開昭58-178327号公報
申立1甲8:特開2014-221455号公報
申立1甲9:特開昭59-150525号公報(申立2甲10に同じ)
申立1甲10:特開2011-206658号公報
申立1甲11:特開2012-250140号公報
申立1甲12:特開2007-69066号公報
(1) 申立理由1(特許法第29条第2項)
本件特許は、下記の点で特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから同法第113条第2号に該当する。
・請求項1
本件特許発明1は、申立1甲1-申立1甲6に記載された発明に基いて、当業者が容易に想到できたものである。
・請求項2-4
本件特許発明2-4は、申立1甲1-申立1甲8に記載された発明に基いて、当業者が容易に想到できたものである。
・請求項5-6
本件特許発明5-6は、申立1甲1-申立1甲10に記載された発明に基いて、当業者が容易に想到できたものである。
・請求項7-8
本件特許発明7-8は、申立1甲1-申立1甲12に記載された発明に基いて、当業者が容易に想到できたものである。
したがって、本件特許発明1-8は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、本件特許発明1-8に係る特許は、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。
2 特許異議申立人2による申立理由の概要
特許異議申立人2は、証拠方法として、甲第1号証-甲第10号証(以下、「申立2甲1」-「申立2甲10」という。)を提出し、概略次の申立理由(以下異議申立人2が主張する理由を「申立理由2」という。)を主張している。
<申立2甲号証一覧>
申立2甲1:特開2014-24052号公報(申立1甲1に同じ)
申立2甲2:特開2002-179250号公報
申立2甲3:「厚生省水道環境部監修 ごみ処理施設構造指針解説 焼却施設 粗大ごみ処理施設 高速堆肥化処理施設」,第一版第一刷,社団法人全国都市清掃会議,昭和62年8月25日、p262-264
申立2甲4:特開平8-233246号公報
申立2甲5::大山譲、倉田昌明、前田典生、「飛灰循環による酸性ガス除去実績報告」、タクマ技報Vol.22 No 2.株式会社タクマ、2014年12月、p29-34、写し
<URL: https://www.takuma.co.jp/gijutu/gihou_bn/j-22-2.html >
申立2甲6:特開2003-54744号公報
申立2甲7:特開平9-243049号公報
申立2甲8:特開2003-334496号公報
申立2甲9:特開2015-100765号公報
申立2甲10:特開昭59-150525号公報(申立1甲9に同じ)
(1) 申立理由2(特許法第29条第2項)
本件特許は、下記の点で特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから同法第113条第2号に該当する。
・請求項1、3、6-8
本件特許発明1、3、6-8は、申立2甲1-申立2甲4に基いて発明をすることができたものである。
・請求項2
本件特許発明2は、申立2甲1-申立2甲4及び申立2甲10に基いて発明をすることができたものである。
・請求項4
本件特許発明4は、申立2甲1-申立2甲5に基いて発明をすることができたものである。
・請求項5
本件特許発明5は、申立2甲1-申立2甲9に基いて発明をすることができたものである。
したがって、本件特許発明1-8は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、本件特許発明1-8に係る特許は、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。
第4 申立1甲1-申立1甲12、申立2甲1-申立2甲10について
1 申立1甲1及び申立2甲1
申立1甲1及び申立2甲1には、「飛灰循環型排ガス処理方法」に関して以下の記載がある。(下線は、当審によるものである。以下同様。)。
(1)申立1甲1及び申立2甲1の記載
ア「図1
[図:0001399417000001.jpg]
」
イ「【0040】
図1は、本発明による飛灰循環型排ガス処理方法を実施する装置の具体例を示すフローシートである。
【0041】
同図を参照すると、本発明による飛灰循環型排ガス処理方法は、例えばごみ焼却炉、ガス化溶融炉および産廃焼却炉などの廃棄物処理施設から排出される排ガス中に含まれる塩化水素、硫黄酸化物等の酸性ガスを除去して、大気中に放出される排ガスを無害化するための排ガス処理方法であって、排ガスに含まれる酸性ガスの除去用薬剤として重曹等よりなるナトリウム系薬剤を用い、バグフィルタ入口側の排ガス煙道(1)にナトリウム系薬剤を投入し、排ガス中の酸性ガスとナトリウム系薬剤との反応により塩を形成させ、該塩を含む飛灰をバグフィルタ(2)により捕集して除去するいわゆる乾式の排ガス処理方法である。
【0042】
そして、本発明による飛灰循環型排ガス処理方法は、バグフィルタ(2)で捕集された飛灰(排ガス中の煤塵+ナトリウム系薬剤と酸性ガスの反応生成物+未反応ナトリウム系薬剤)をバグフィルタ(2)の底部より取り出し、このバグフィルタ(BF)飛灰の一部を、バグフィルタ入口側の排ガス煙道(1)に戻すことを特徴としている。」
ウ「【0047】
図1において、例えばごみ焼却炉、ガス化溶融炉などの廃棄物処理施設から排出される煤塵、および塩化水素、硫黄酸化物等の酸性ガスを含む排ガスの煙道(1)がバグフィルタ(2)に接続されている。バグフィルタ入口側の排ガス煙道(1)には、ナトリウム系薬剤およびろ過助剤を投入するための薬剤・ろ過助剤導入管(3)が接続されている。該導入管(3)の基端部はナトリウム系薬剤加熱バーナー(4)に接続され、また導入管(3)の中間部には、ろ過助剤供給装置(5)およびこれの下流側の薬剤供給装置(6)が設けられ、さらに薬剤供給装置(6)の下流側に薬剤・ろ過助剤供給ファン(7)が介在させられている。」
エ「【0055】
ついで、バグフィルタ(以下、BFともいう)飛灰を、バグフィルタ(2)の底部より排出コンベア(11)によって取り出し、さらに振り分けコンベア(12)によってバグフィルタ飛灰を振り分けて、その一部を流送管(13)からバグフィルタ飛灰貯槽(14)に導入し、残部は、バグフィルタ飛灰排出管(15)から系外に排出する。
【0056】
バグフィルタ(2)上部の排気口には脱塩・脱硫処理済み排ガス排出ダクト(8)が接続され、該脱塩・脱硫処理済み排ガス排出ダクト(8)の中間部とバグフィルタ(2)の排ガス導入側の排ガス煙道(1)との間に、脱塩・脱硫処理済み排ガス循環ダクト(9)が設けられ、循環ダクト(9)の途上には飛灰循環ファン(10)が介在させられている。
【0057】
そして、バグフィルタ飛灰貯槽(14)の底部には循環飛灰供給コンベア(16)が具備されており、この循環飛灰供給コンベア(16)の作動によって飛灰貯槽(14)から所要量のバグフィルタ飛灰を、脱塩・脱硫処理済み排ガス循環ダクト(9)の飛灰循環ファン(10)より下流側において循環ダクト(9)内に供給する。これにより、バグフィルタ(2)排気口から排出される脱塩・脱硫処理済み排ガスの一部をキャリアガスとして、バグフィルタ(BF)飛灰がバグフィルタ(2)入口側の排ガス煙道(1)に戻される。」
(2)申立1甲1及び申立2甲1の看取事項・認定事項
ア 上記(1)ウの摘記、(1)ア図1の図示から、排ガスの煙道(1)において、薬剤・ろ過助剤導入管(3)が接続された箇所は、バグフィルタ入口側の排ガス煙道(1)に対する薬剤供給位置である。
イ 上記(1)エの摘記、(1)ア図1の図示から、排ガスの煙道(1)において、脱塩・脱硫処理済み排ガス循環ダクト(9)が接続された箇所は、ごみ焼却炉、ガス化溶融炉などの廃棄物処理施設とバグフィルタ(2)との間において、バグフィルタ飛灰を排ガス煙道(1)に戻す位置であり、排ガス煙道(1)に対する飛灰供給位置である。
ウ 上記(1)エの摘記から、バグフィルタ飛灰は、バグフィルタ(2)の底部より排出コンベア(11)によって取り出し、さらに振り分けコンベア(12)によってバグフィルタ飛灰を振り分けて、その一部を流送管(13)からバグフィルタ飛灰貯槽(14)に導入し、バグフィルタ飛灰貯槽(14)の底部に具備された循環飛灰供給コンベア(16)の作動によって飛灰貯槽(14)から、飛灰循環ファン(10)より下流側の循環ダクト(9)内に供給されるものと認められる。
また、上記(1)エの摘記、(1)ア図1の図示、看取事項・認定事項イから、循環ダクト(9)内に供給された飛灰は、排ガスの一部をキャリアガスとして飛灰供給位置まで搬送されるものと認められる。
(3)甲1発明
上記(1)の記載事項及び上記(2)の看取事項・認定事項から、申立1甲1及び申立2甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。
「飛灰循環型排ガス処理方法を実施する装置であって、
排ガスの煙道(1)に接続されたバグフィルタ(2)と、
前記排ガスの煙道(1)においてごみ焼却炉、ガス化溶融炉などの廃棄物処理施設とバグフィルタ(2)との間の薬剤供給位置に、ナトリウム系薬剤およびろ過助剤を供給する薬剤・ろ過助剤導入管(3)と、
前記バグフィルタ(2)で捕集された飛灰を、バグフィルタ(2)の底部より排出コンベア(11)によって取り出し、さらに振り分けコンベア(12)によってバグフィルタ飛灰を振り分けて、その一部を流送管(13)からバグフィルタ飛灰貯槽(14)に導入し、バグフィルタ飛灰貯槽(14)の底部に具備された循環飛灰供給コンベア(16)の作動によって飛灰貯槽(14)から、飛灰循環ファン(10)より下流側の循環ダクト(9)内に供給し、循環ダクト(9)内に供給された飛灰を排ガスの一部をキャリアガスとして、飛灰供給位置へと搬送する。」
2 申立1甲2
申立1甲2には、「溶融または燃焼飛灰の吸湿防止方法」に関して以下の記載がある。
(1)申立1甲2の記載
ア「図1
[図:0001399417000002.jpg]
」
イ「【0012】
・・・14、15は夫々コンベア12とホッパー13に装備されたヒータであって、このヒータ14、15には、電源16から電力調整器17を経て電力Fが供給され、コンベア12およびホッパー13内の飛灰11を加熱するように構成されている。・・・」
3 申立1甲3
申立1甲3には、「飛灰の貯留方法」に関して以下の記載がある。
(1)申立1甲3の記載
ア「図1
[図:0001399417000003.jpg]
」
イ「【0010】
・・・上記貯留槽1の下部(錐台部1b)には、ヒーター4が周方向に沿って飛灰3を均ーに加熱するように配設されている。また、貯留槽1の下部には、バイブレーター5が配設され、このバイブレーター5の作動により飛灰3が振動し、排出部11内に落下、排出される。この排出部11は、有底筒状に形成され、上記貯留槽1の下端部にこの貯留槽1底部の飛灰排出口6を開閉するゲート7を介して連結されており、その底面には攪拌機12が取り付けられていると共に、該底面には、飛灰導出口13が形成され、排出部11内に排出された飛灰3がこの導出口13から飛灰を安定化装置(図示せず)に供給するための供給機B(テーブルフィーダー、ロータリーバルブ、スクリューコンベア等)に供給されるようになっている。」
4 申立1甲4
申立1甲4には、以下の記載がある。
(1)申立1甲4の記載
「このダストは非常に水分を吸収し易い性質があり,排出装置の温度が下がると,内部で発生したドレンによりダストが固着することがあるので搬出装置に保温を施すことが望ましい。また,搬送装置は短い方が望ましいが,長距離輸送がやむを得ない場合には,蒸気又は電気ヒータ等によりコンベヤ自体を加温することもある。特に消石灰や炭酸カルシウム吹込のHCl除去を設置している場合は,ダストは潮解性のある塩化カルシュウムを多く含むので一層の配慮が必要である。」(264ページ第1-5行)
5 申立1甲5
申立1甲5には、「微量有機塩素化合物の除去方法」に関して以下の記載がある。
(1)申立1甲5の記載
ア「図1
[図:0001399417000004.jpg]
」
イ「【0013】ボイラ12の排気側には、有毒ガスを除去するための反応塔14が連設されている。反応塔14の頭部には、排ガス中の酸性成分を除去する消石灰スラリー等のアルカリ剤を噴霧するための噴霧器15が備えられている。反応器14の排気側には、バグフィルター16が連設されている。バグフィルター16の底部には、バグフィルター16で回収された飛灰等を、燃焼炉11の上方に設けられたシュート21まで搬送するための、スクリューコンベヤ17、シュート18、搬送コンベヤ19およびバケットエレベータ20が設けられている。・・・」
ウ「【0017】回収した飛灰等を、バグフィルター16の底部から、スクリューコンベヤ17、パイプ18、搬送コンベヤ19およびバケットエレベータ20を介して搬送し、シュート21から燃焼炉11へ投入する。」
エ「【0022】【発明の効果】本発明の微量有機塩素化合物の除去方法によれば、ダイオキシン類が発生し難い高温度で飛灰および飛灰に付着した有機塩素化合物を除去し、除去しきれなかった飛灰等を回収して、焼却炉の焼却熱により有機塩素化合物を分解除去することにより、排ガス中の有機塩素化合物を除去することができると共に、ダイオキシン類の発生を略完全に抑制することができる等の効果を奏するものである。」
6 申立1甲6
申立1甲6には、「溶銑予備処理方法および装置」に関して以下の記載がある。
(1)申立1甲6の記載
ア「第2図
[図:0001399417000005.jpg]
」
イ「・・・次いでバグ集塵機である集塵機23に送られ、回収された発塵ダストはコンベア24により乾燥ホッパー25に送られる。この乾燥ホッパー25には排ガスが経路26から分岐されて供給されており、熱交換機40により間接熱交換され、水分量を1.0%以下にまで乾燥している。」(第4ページ左下欄第8-13行)
7 申立1甲7
申立1甲7には、「有害ガス除去装置」に関して以下の記載がある。
(1)申立1甲7の記載
ア「第1図
[図:0001399417000006.jpg]
」
イ「 (5)は前記電気集塵機(2)の後方に連結されたフイルター濾布(6)内蔵のバグフイルターであり、該バグフイルター(5)はその連結煙道(3)適所に設けた有害ガス吸着用の粉末吸収剤、例えばCaOやCa(OH)2等を吹込みし得るノズル装置(4)を備え、該ノズル装置(4)からの前記吸収剤を前記バグフイルター(5)のフイルター濾布(6)表面に漸次堆積させて皮膜を形成させた後打撃により剥離落下させて捕集できるようなっている。
しかして、(8)は、前記フイルター濾布(6)面より剥離された前記粉末吸収剤を下部ホツポー(5’)からロータリーバルブ(7)を介して供給せしめるエジエクタであり、該エジエクタ(8)には、前記焼却炉(1)或いはこれと電気集塵機(2)間の煙道に通ずる連通管(9)を設けると共に該連通管(9)端に高圧空気を送り込むための高圧ブロア(10)を配備させて、エジエクタ(8)内に適宜供給せしめる粉末吸収剤を前記連通管(9)を介して焼却炉(1)内或いはこれと電気集塵機(2)間煙道内に再吹込みし得るようにしている。」(明細書第4ページ第14行-第5ページ第12行)
8 申立1甲8
申立1甲8には、「飛灰搬送装置及び飛灰般送方法」に関して以下の記載がある。
(1)申立1甲8の記載
ア「図1
[図:0001399417000007.jpg]
」
イ「図2
[図:0001399417000008.jpg]
」
ウ「【0024】
それに対し、本実施形態では、飛灰は、温度を塩化カルシウムの潮解平衡温度より高い温度(例えば120℃以上)に調節して搬送されるため、飛灰は潮解域に入らず、乾燥域にある状態で搬送される。」
9 申立1甲9及び申立2甲10
申立1甲9及び申立2甲10には、「乾式酸性ガス除去装置」に関して以下の記載がある。
(1)申立1甲9及び申立2甲10の記載
ア「
[図:0001399417000009.jpg]
」
イ「 本発明装置は、消石灰消費の経済性向上をはかるために、集塵灰の再循環使用をするが、再使用の際有効な反応性を得るために、
(1) 集塵灰を粉砕機で粉砕し、粒子を破壊して粒子内部に閉じこめられた消石灰が表面に出るようにする、
(2) 再循環する粉末は分級をほどこし、内部に未反応消石灰を含む可能性の高い大粒径のもののみを再循環に回す、
ものである。
本発明装置は、ごみ焼却炉、その他排ガス用乾式酸性ガス除去装置として適用することができる。」(第2ページ左上欄最終行-右上欄第12行)
ウ「 従つて、集塵灰は先ず篩或いは慣性力式等の分級機14にかけ粒子径の細いものはそのまま集塵灰ピツト10に送り、粒子径の粗いもののみを、ボール・ミルその他の微粉砕機11に送つて、ここで粉砕すれば、粒子の内側に閉じ込められていた消石灰が粉砕によつて表面に現れ、粒子は再び反応性を有する状態になる。これを再循環ポツパ12に送り、更に再循環定量供給装置13によつて、空気輸送ライン9に送り込めば、再び酸性ガスの除去に寄与することができる。」(第2ページ左下欄第8-18行)
10 申立1甲10
申立1甲10には、「排ガス処理装置およびこれを用いた排ガス処理方法」に関して以下の記載がある。
(1)申立1甲10の記載
ア「図1
[図:0001399417000010.jpg]
」
イ「【0025】
・・・粉砕部5は、分級部4によって分級された大粒径成分が小粒径成分となるように粉砕処理を行う。本装置10では分級された大粒径成分の全てが粉砕部に導入される例を示すが、後述するように(図中の破線の流路Laを設け)、分級部4からの大粒径の飛灰の一部を還流し、その一部のみを粉砕する構成も可能である。中和剤循環流路(以下「流路Lr」という)は、粉砕部5または粉砕部5と分級部4から排出された飛灰の一部をバグフィルタ3に還流するための流路を構成する。・・・」
11 申立1甲11
申立1甲11には、「脱水濾液の噴霧乾燥装置及び排ガス処理システム」に関して以下の記載がある。
(1)申立1甲11の記載
ア「図5
[図:0001399417000011.jpg]
」
イ「【0048】
また、排出ホッパ57の周囲に振動装置89を設けており、排出ホッパ57を振動させることで、灰や析出塩を詰まらせないようにしている。
さらに、排出ホッパ57、排出通路86及び連通通路88には、保温手段(例えば蒸気トレース等)を設け、灰や析出塩を詰まらせないようにしている。」
12 申立1甲12
申立1甲12には、「飛灰の処理方法」に関して以下の記載がある。
(1)申立1甲12の記載
「【0021】
飛灰貯留槽1は、好ましくは円筒竪型のホッパーであり、テーブルフィーダー等の飛灰切り出し機やバイブレーター等を備え、飛灰を円滑かつ迅速に、水洗槽2へ供給できるようになっている。」
13 申立2甲2
申立2甲2には、「飛灰の貯留方法及び貯留装置」に関して以下の記載がある。
(1)申立2甲2の記載
ア「図1
[図:0001399417000012.jpg]
」
イ「図2
[図:0001399417000013.jpg]
」
ウ「【0010】
【発明の実施の形態及び実施例】図1は、本発明に係る都市ごみ焼却飛灰の貯留装置の一実施例を示すもので、図中1は、下側が中空錐台状に形成され、上端面が閉塞された筒状の貯留槽である。その天板1aには、飛灰導入口2が設けられており、都市ごみ焼却過程より発生し、潮解性を有する成分、例えば塩化カルシウム等が含有される飛灰(以下、潮解性飛灰という)が機械式、エア圧送等により搬送機Aで搬送されて、上記導入口2から貯留槽1内に導入される。なお、図中3は飛灰である。上記貯留槽1の下部(錐台部1b)には、ヒーター4が周方向に沿って飛灰3を均一に加熱するように配設されている。また、貯留槽1の下部には、バイブレーター5が配設され、このバイブレーター5の作動により飛灰3が振動し、排出部11内に落下、排出される。この排出部11は、有底箇状に形成され、上記貯留槽1の下端部にこの貯留槽1底部の飛灰排出口6を開閉するゲート7を介して連結されており、その底面には攪拌機12が取り付けられていると共に、該底面には、飛灰導出口13が形成され、排出部11内に排出された飛灰3がこの導出口13から飛灰を安定化装置(図示せず)に供給するための供給機B(テーブルフィーダー、ロータリーバルブ、スクリューコンベア等)に供給されるようになっている。」
エ「【0014】即ち、図2は、加熱乾燥空気供給用ノズルを配設しておらず、また強制排気機構(排風機)を設けていない比較例としての貯留装置(なお、図1と同一構成部品については同一の参照符号を付し、その説明を省賂する)の場合、搬送機Aより貯留槽1内に搬送された潮解性飛灰3を貯留槽1内に例えば一昼夜放置した場合、ヒーター4により飛灰3を加温し、また乾燥空気によりエアレーションを行っても、上記導入口2、導出口13等の隙間により大気中の湿分が貯留槽1内の飛灰3に吸収され、貯留槽1導入直後の飛灰3に殆ど水分が含まれていないとしても、甚だしい場合は約30%の水分を吸湿し、飛灰3を供給機Bに排出する際にブリッジが生じ、スムーズに供給機Bに供給し難くなるものである。」
オ「【0017】ここで、上記加熱乾燥空気は、貯留槽1内に導入される飛灰の温度以上に加熱したものを導入することが好ましく、この場合加熱粒燥空気の導人及び強制排気で飛灰温度を80~120℃に加熱、保持し、また飛灰の水分を0~1%に保持することが好ましい。また、排風機33の能力は、吹き込み加熱乾燥空気の供給量以上のものとすることが好適であるが、強制排気は貯留摺1内が若干加圧状態にし、導入口2等からの大気の貯留漕1内への流入を可及的に防止するようにすることが好ましい。」
14 申立2甲3
申立2甲3には、以下の記載がある。
(1)申立2甲3の記載
「 スクレーパコンベヤは,チェンにスクレーパ(かき板)をつけてダストを搬送するもので,構造が簡単ではあるが,ローラにダストが噛み込み,ローラの回転によって摩粍が生ずるので必要な対策を講じなければならない。また吸湿性のあるダストを搬送する場合には,コンベヤケーシングから空気の漏れ込みのないようシールには十分注意しなければならない。」(第264ページ第11-14行)
15 申立2甲4
申立2甲4には、「ゴミ焼却炉集塵飛灰の定量切出し装置」に関して以下の記載がある。
(1)申立2甲4の記載
ア「【0002】
【従来の技術】近年、ゴミ焼却炉の集塵装筐で集められる飛灰は、有害重金属等が溶出しないように安定化処理を施さなければ、埋立処分をしてはならないこととなった。その安定化処理は、飛灰を、セメント、水、金属捕捉剤に混合してセメント固化するのが一般的であるが、良好な固化物を形成するためには、飛灰、セメント、水、金属捕捉剤の混合をかなり高い精度で行なわなければならない。そこで、集塵装置で集められた飛灰を定量的に切出す定量切出し装置の開発が進められている。」
イ「【0004】
本発明は、上記事清に鑑み、飛灰の定量切出しを楕度よく行なうことができるゴミ焼却炉集塵飛灰の定量切出し装置を提供することを目的としている。」
16 申立2甲5
申立2甲5には、「飛灰循環による酸性ガス除去実績報告」に関して以下の記載がある。
(1)申立2甲5の記載
「
[図:0001399417000014.jpg]
」(第89ページFig.2)
17 申立2甲6
申立2甲6には、「粉体の輸送管用フィルタ」に関して以下の記載がある。
(1)申立2甲6の記載
「【0011】図4は、フィルタ10の平面を拡大して示す。図4において、フィルタ10は、周辺部11および格子状部12を備えている。周辺部11はリング状であり、格子状部12の周辺を取り巻くように形成されている。フィルタ10は鉄製であり、周辺部11と格子状部12は溶接されている。格子状部12は、5本の図示縦棒部14と5本の図示横棒部15とを組み合わせて溶接したものである。図示縦棒部14と図示横棒部15による格子の大きさを調節することにより、フィルタ10が通過の阻止をする塊状物(たとえばセメントの塊、ボルト等の異物)の大きさの下限を決めることができる。」
18 申立2甲7
申立2甲7には、「灰溶融炉設備における排ガス冷却装置」に関して以下の記載がある。
(1)申立2甲7の記載
「【0010】冷却室2Aの側壁1cは矩形断面に形成され、この側壁1cの下端部で、円形断面でダスト分離部2Bの周壁1dの入口にスクリーン11が水平方向に配設されている。このスクリーン11は、落下するダスト塊Dを受け止め、排ガスGの通過を許すたとえばピッチが約20mm程度のバースクリーンで構成されている。またこのスクリーン11の上面に対応してバーの長さ方向の一方の側壁1cに、ダスト塊Dを排出するダスト塊排出口12が形成され、このダスト塊排出口12には開閉シリンダ13により上下方向にスライドされて開閉自在な開閉板14と、ダスト塊Dを下方の排出トレイ15に案内する排出シュート16とが設けられている。」
19 申立2甲8
申立2甲8には、「異物除去装置」に関して以下の記載がある。
(1)申立2甲8の記載
ア「【0008】よって、上記被処理物中に灰塊が混在している場合には、灰塊を破砕するための破砕装置を設けなくても、灰塊は、上記のように板状部材の上端部に衝突して、大きな集中応力を受け、篩機構の格子状を通過できる適度の大きさに解砕されることになる。」
イ「【0024】上記のように溶融処理設備1に配設された異物除去装置50は、図2~図5に示すように、クレーン装置3により被処理物Wが上方から投下される投下部としてのホッパ5内に、上記のような大形の固形異物W0の通過を阻止する格子状の篩機構53を設けて構成されている。そして、その篩機構53が、ホッパ5の長方形開口の短辺側に対して平行な第1方向に沿って延びる第1部材としての板状部材51の複数を並設すると共に、ホッパ5の長方形開口の長辺側に対して平行な第2方向に沿って延びる第2部材としての管状部材52の複数を並設して格子状に構成されている。
【0025】さらに、上記篩機構53の板状部材51は、厚さ方向を水平方向とした状態、即ち板面を水平方向に向けた状態で立設され、上記管状部材52に対して交差した状態で溶接により固定されている。尚、本実施形態において、板状部材51として、厚さ9mm程度、幅75mm程度の鉄製の帯鋼材を用い、管状部材51として、外径100mm程度の鉄製鋼管を用いた。
【0026】そして、図6に示すように、クレーン装置3により投下された被処理物Wが、上記篩機構53の格子状を構成する板状部材51の比較的幅が狭い上端部51aに鉛直方向で衝突することになり、板状部材51はその厚さ方向と垂直な鉛直方向において極めて高い剛性を発揮するので、被処理物Wの板状部材51に対する衝突部には極めて大きな集中応力が発生する。よって、被処理物W中の比較的脆い大型灰塊は、板状部材51の上端部51aに衝突して良好に解砕され、篩機構53の格子間隔以下の被処理物W1となって篩機構53の下方に落下する。よって、本異物除去装置6を設けなかった場合よりも、溶融処理炉20に供給する被処理物W3の量を増加させることができる。」
20 申立2甲9
申立2甲9には、「排ガス処理システム」に関して以下の記載がある。
(1)申立2甲9の記載
ア「【0025】
第1の流路37と第2の流路39は、空気ダクト31に収容された弁41によって流路の切り替えが可能になっている。弁41は、第1の流路37と第2の流路39を交互に開閉するダンパーとして形成され、空気ダクト31の排気口35よりも下流側(排ガスダクト15側)にその一端部が回動自在に軸支されている。弁41は、空気ダクト31の外側から駆動装置により一端部が回動操作されるようになっている。」
イ「図1
[図:0001399417000015.jpg]
」
第5 当審の判断
1 申立理由1(特許法第29条第2項)及び申立理由2(特許法第29条第2項)について
(1)本件特許発明1について
本件特許発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明における「飛灰循環型排ガス処理方法を実施する装置」、「排ガスの煙道(1)」、「ごみ焼却炉、ガス化溶融炉などの廃棄物処理施設」、「ナトリウム系薬剤およびろ過助剤」、「薬剤・ろ過助剤導入管(3)」、「飛灰」及び「飛灰供給位置」は、それぞれ本件特許発明1における「排ガス処理装置」、「排ガスが流れる煙道」、「排ガスの発生源」、「排ガス処理薬剤」、「薬剤供給部」、「集塵灰」及び「集塵灰供給位置」に相当する。
また、甲1発明における「バグフィルタ(2)」は、排ガスの煙道(1)に接続されて「飛灰」を捕集するものであるから、本件特許発明1における「排ガスが流れる煙道に設けられる集塵機」に相当する。
また、甲1発明における「バグフィルタ(2)で捕集された飛灰」が、「バグフィルタ(2)の底部より排出コンベア(11)によって取り出し、さらに振り分けコンベア(12)によってバグフィルタ飛灰を振り分けて、その一部を流送管(13)からバグフィルタ飛灰貯槽(14)に導入し、バグフィルタ飛灰貯槽(14)の底部に具備された循環飛灰供給コンベア(16)の作動によって飛灰貯槽(14)から、飛灰循環ファン(10)より下流側の循環ダクト(9)内に供給し、循環ダクト(9)内に供給された飛灰を排ガスの一部をキャリアガスとして、飛灰供給位置へと搬送」されることは、上記第4 1(1)ア図1の図示によれば「排ガスの煙道(1)」とは異なる経路で搬送されるものということができるから、本件特許発明1の「前記集塵機にて捕集された集塵灰を、前記煙道とは異なる補助経路に沿って、前記煙道における前記発生源と前記集塵機との間の集塵灰供給位置へとコンベアにより搬送する集塵灰搬送部」とは、「前記集塵機にて捕集された集塵灰を、前記煙道とは異なる補助経路に沿って、前記煙道における前記発生源と前記集塵機との間の集塵灰供給位置へと搬送する集塵灰搬送部」の限りにおいて一致する。
また、甲1発明において上記「「排ガスの煙道(1)」とは異なる経路」に設置される「バグフィルタ飛灰貯槽(14)」は、飛灰を貯留する作用・機能を奏するものであるから、本件特許発明1における「集塵灰搬送部が、前記補助経路に設けられるとともに、前記集塵灰を貯留する集塵灰貯留部を備える」に相当する。
そうすると、両者は、次の一致点で一致し、相違点1~3で相違する。
[一致点]
「排ガス処理装置であって、
排ガスが流れる煙道に設けられる集塵機と、
前記煙道において前記排ガスの発生源と前記集塵機との間の薬剤供給位置に、排ガス処理薬剤を供給する薬剤供給部と、
前記集塵機にて捕集された集塵灰を、前記煙道とは異なる補助経路に沿って、前記煙道における前記発生源と前記集塵機との間の集塵灰供給位置へと搬送する集塵灰搬送部と、
を備え、
前記集塵灰搬送部が、前記補助経路に設けられるとともに、前記集塵灰を貯留する集塵灰貯留部を備える。」
[相違点1]
「前記集塵機にて捕集された集塵灰を、前記煙道とは異なる補助経路に沿って、前記煙道における前記発生源と前記集塵機との間の集塵灰供給位置へと搬送する集塵灰搬送部」に関して、本件特許発明1では、「コンベア」で搬送するのに対して、甲1発明では、「バグフィルタ(2)の底部より排出コンベア(11)によって取り出し、さらに振り分けコンベア(12)によってバグフィルタ飛灰を振り分けて、その一部を流送管(13)からバグフィルタ飛灰貯槽(14)に導入し、バグフィルタ飛灰貯槽(14)の底部に具備された循環飛灰供給コンベア(16)の作動によって飛灰貯槽(14)から、飛灰循環ファン(10)より下流側の循環ダクト(9)内に供給し、循環ダクト(9)内に供給された飛灰を排ガスの一部をキャリアガスとして、飛灰供給位置へと搬送」する点。
[相違点2]
本件特許発明1では、「集塵灰を加熱する集塵灰加熱部」が補助経路に設けられているのに対して、甲1発明では、このような構成がない点。
[相違点3]
本件特許発明1では、「集塵灰貯留部から、定量供給部により単位時間当たりに設定量の前記集塵灰が取り出されて前記コンベア内に供給され、前記集塵灰が塊となった状態で前記コンベアにより搬送される」のに対して、甲1発明では、このような構成がない点。
以下、事案に鑑み、まず、相違点3について検討する。
[相違点3について]
本件特許発明1における「前記集塵灰貯留部から、定量供給部により単位時間当たりに設定量の前記集塵灰が取り出されて前記コンベア内に供給され、前記集塵灰が塊となった状態で前記コンベアにより搬送される」という発明特定事項は、「集塵灰貯留部から、定量供給部により単位時間当たりに設定量の前記集塵灰が取り出され」ることと、「集塵灰が塊となった状態で前記コンベアにより搬送される」こととを個別に取り扱うのではなく、コンベアに関連する技術として一体的に取り扱うべき技術的事項と認められる。
そして、「集塵灰」を「集塵灰供給位置」へと搬送する手段として、単位時間当たりに設定量の「集塵灰」を取り出した上で、集塵灰が塊となった状態でコンベアにより搬送するような技術は、申立1甲2-申立1甲12及び申立2甲2-申立2甲10のいずれにも開示されていない。
そうすると、上記相違点1、2について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲1発明と、申立1甲2-申立1甲12及び申立2甲2-申立2甲10に記載された事項とに基いて当業者が容易に発明することができたものではない。
(2)本件特許発明2-8について
本件特許の請求項2-8の記載は、請求項の記載を他の記載に置き換えることなく本件特許の請求項1を直接あるいは間接的に引用してされたものであるから、本件特許発明2-8は、本件特許発明1の発明特定事項を全て含むものであって、甲1発明との対比において上記相違点3を含むものである。
したがって、本件特許発明2-8は、甲1発明と、申立1甲2-申立1甲12及び申立2甲2-申立2甲10に記載された事項とに基いて当業者が容易に発明することができたものではない。
(3)申立人の主張
ア 特許異議申立人1の主張
特許異議申立人1は、特許異議申立書(3.(4)エ.(a))の「甲第1号証の記載」において、「・バグフィルタ(2)にて捕集された飛灰を、排ガス煙道(1)とは異なる循環ダクト(9)に沿つて、排ガス煙道(1)におけるごみ焼却炉とバグフイルタ(2)との間の飛灰供給位置へと循環飛灰供給コンベア(16)により搬送する飛灰搬送部」の記載があると主張する。
また、同「甲第3号証の記載」において、申立1甲3に「貯留槽1の底面に飛灰を攪拌しながら送る攪拌機12が取り付けられていること」の記載があることで「甲第3号証に記載される「撹拌機12」は、本件特許発明1における「定量供給部」に相当する。」と主張するとともに、同「甲第5号証の記載」において、申立1甲5に「バグフィルター16で回収された飛灰等は、スクリューコンベヤ17、シュート18、搬送コンベヤ19およびバケットエレベータ20により、シュート21に搬送されること」の記載があることで「甲第5号証には、本件特許発明1の構成要件1h「前記集塵灰が塊となった状態で前記コンベアにより搬送される。」が開示されている。」と主張している。
しかしながら、上記第4 1(3)で認定したとおり、甲1発明において、循環飛灰供給コンベア(16)は、飛灰を循環ダクト(9)内に供給するものではあるが、排ガスの煙道(1)における廃棄物処理施設とバグフィルタ(2)との間の飛灰供給位置へと、飛灰を、循環ダクト(9)内で搬送する手段は、循環飛灰供給コンベア(16)ではなく、排ガスの一部をキャリアガスとしたものである。よって、甲1発明の「循環飛灰供給コンベア(16)」を、ごみ焼却炉とバグフイルタ(2)との間の飛灰供給位置へ搬送する手段としてのコンベアと扱うことはできない。
また、仮に、申立1甲3の「撹拌機12」を、甲1発明に適用しても、「集塵灰」を「集塵灰供給位置」へと搬送する「コンベヤ」ではなく、「循環飛灰供給コンベア(16)」内に供給するものが得られることから、申立1甲3の「攪拌機12」は、本件特許発明1の「定量供給部」に相当するものではない。
また、申立1甲5には、バケットエレベータ20によって搬送される飛灰が塊の状態であるとの明示はなく、図1の図示では塊の状態というよりも、粉状である理解を促すものが看取される。また、甲1発明に申立1甲5の「バケットエレベータ20」を適用する動機付けは認められず、仮に適用しても、甲1発明の「廃棄物処理施設」へと「集塵灰」を搬送することになるから、採用することができない。
イ 特許異議申立人2の主張
特許異議申立人2は、特許異議申立書(3.(4)イ(イ)○1(決定注:原文は、○の中に1)-2)において、「甲第3号証」(申立2甲3)を例示して「ごみ焼却灰の搬出に利用されるコンベアとしてスクレーパコンベヤは周知であり」と主張し、「甲第4号証」(申立2甲4)を例示して「ゴミ焼却炉集塵飛灰の貯蔵槽から所要量を切り出す定量切出し装置も周知であり」と主張するとともに、「甲l発明の構成gにおいて、「循環飛灰供給コンベア(16)」として周知のスクレーパコンベヤを採用し、「所要量の前記飛灰が搬送される」ために、周知の定量切出し装置を採用して、構成要件G「前記集塵灰貯留部から、定量供給部により単位時間当たりに設定量の前記集塵灰が取り出されて前記コンベア内に供給され、前記集塵灰が塊となった状態で前記コンベアにより搬送される」とすることは当業者が容易に想到できたことである。」と主張している。
しかしながら、上記[相違点3]に対する判断で述べたとおり、本件特許発明1における「前記集塵灰貯留部から、定量供給部により単位時間当たりに設定量の前記集塵灰が取り出されて前記コンベア内に供給され、前記集塵灰が塊となった状態で前記コンベアにより搬送される」という発明特定事項に関し、申立2甲1-甲10のいずれにも、「集塵灰貯留部から、定量供給部により単位時間当たりに設定量の前記集塵灰が取り出され」ることと、「集塵灰が塊となった状態で前記コンベアにより搬送される」こととの組み合わせは、開示されていない。
また、甲1発明において、循環飛灰供給コンベア(16)の構成を、周知のスクレーバコンベヤとしても、集塵灰を「集塵灰供給位置へと」搬送するコンベヤは得られない。
また、申立2甲4は、上記第4 16(1)アの摘記から、飛灰の処分の際に定量化が必要とされるために定量切出し装置を用いるものであるから、甲1発明において、飛灰を処分するのではなく、煙道に循環させる技術に、この定量切出し装置を用いることの技術的合理性は認められない。仮に、申立2甲4の定量切出し装置を、甲1発明に適用しても、「集塵灰」を「集塵灰供給位置」へと搬送する「コンベヤ」ではなく、「循環飛灰供給コンベア(16)」内に供給するものが得られることから、申立2甲4の定量切出し装置は、本件特許発明1の「定量供給部」に相当するものではない。
ウ 小括
上記ア、イから、特許異議申立人1-2のいずれの主張も採用できない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載した申立理由及び証拠によっては、本件請求項1-8に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1-8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-700299