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特許異議申立

2023-700231

純水製造方法、純水製造システム、超純水製造方法及び超純水製造システム

審判番号
2023-700231
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-235255
登録番号
7129965
請求日
2023年02月28日
審決日
2023年07月11日
公報発行日
2023年08月25日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】野村マイクロ・サイエンス株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人サクラ国際特許事務所
  • 【異議申立人】菊間 靖郎
審判長/審判官
  • 審判長 原 賢一
  • 審判官 松井 裕典
  • 審判官 金 公彦
分類
P1651.121-Y (C02F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7129965号発明「純水製造方法、純水製造システム、超純水製造方法及び超純水製造システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7129965号の請求項1~15に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7129965号の請求項1~15に係る特許についての発明は、令和 1年12月25日を出願日とする出願であり、令和 4年 8月25日にその特許権の設定登録がなされ、同年 9月 2日に特許公報が発行され、その後、令和 5年 2月28日に、請求項1~15に係る特許を対象として、特許異議申立人菊間靖郎(以下、「異議申立人」という。)により、特許異議の申立てがなされたものである。 第2 本件発明 請求項1~15に係る発明(以下、各請求項に係る発明及び特許を項番に対応して、「本件発明1」、「本件特許1」などといい、併せて「本件発明」、「本件特許」ということがある。)は、次のとおり特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 被処理水を、第1の逆浸透膜装置で処理した後、続けて、電気式脱イオン装置及びホウ素除去装置の順で処理して、ホウ素濃度が1ng/L以下である超純水を得る超純水製造方法であって、 前記電気式脱イオン装置は、前記電気式脱イオン装置の被処理水が供給される脱塩室と、前記脱塩室内に充填された陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂の混合体と、を有し、 前記電気式脱イオン装置の被処理水が、炭酸を1mg/L超含有し、かつ、前記電気式脱イオン装置の処理水が、前記炭酸が除去され、ホウ素を1μg/L以下含有することを特徴とする超純水製造方法。 【請求項2】 前記電気式脱イオン装置を80%以上90%未満の回収率で運転する請求項1に記載の超純水製造方法。 【請求項3】 前記電気式脱イオン装置の脱塩室のセル幅が2mm以上6mm以下である、請求項1に記載の超純水製造方法。 【請求項4】 前記電気式脱イオン装置の濃縮水を、前記第1の逆浸透膜装置の濃縮水と混合して混合濃縮水とし、その混合濃縮水を第2の逆浸透膜装置に通水して得られた透過水を前記第1の逆浸透膜装置の前段に循環させる請求項1~3のいずれか1項に記載の超純水製造方法。 【請求項5】 前記ホウ素除去装置が、電気式脱イオン装置、ホウ素選択性イオン交換樹脂装置或いはホウ素選択性イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂及び/又は陰イオン交換樹脂の混床式イオン交換樹脂装置である請求項1~4のいずれか1項に記載の超純水製造方法。 【請求項6】 前記ホウ素除去装置が、電気式脱イオン装置であり、該電気式脱イオン装置の濃縮水を、前記第1の逆浸透膜装置の前段に循環させる請求項5に記載の超純水製造方法。 【請求項7】 前記ホウ素除去装置の前段において膜脱気処理を行わない、請求項1~6のいずれか1項に記載の超純水製造方法。 【請求項8】 被処理水を、第1の逆浸透膜装置で処理した後、続けて、電気式脱イオン装置で処理する純水製造方法において、 前記電気式脱イオン装置は、前記電気式脱イオン装置の被処理水が供給される脱塩室と、前記脱塩室内に充填された陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂の混合体と、を有し、 前記電気式脱イオン装置の被処理水が、炭酸を1mg/L超含有し、かつ、前記電気式脱イオン装置の処理水が、前記炭酸が除去され、ホウ素を1μg/L以下含有し、 前記電気式脱イオン装置の濃縮水を、前記第1の逆浸透膜装置の濃縮水と混合して混合濃縮水とし、その混合濃縮水を第2の逆浸透膜装置に通水して得られた透過水を前記第1の逆浸透膜装置の前段に循環させることを特徴とする純水製造方法。 【請求項9】 被処理水を、第1の逆浸透膜装置、電気式脱イオン装置及びホウ素除去装置で順番に処理して、ホウ素濃度が1ng/L以下である超純水を得るための超純水製造システムであって、 前記電気式脱イオン装置は、前記電気式脱イオン装置の被処理水が供給される脱塩室と、前記脱塩室内に充填された陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂の混合体と、を有し、 前記電気式脱イオン装置の被処理水が、炭酸を1mg/L超含有し、かつ、前記電気式脱イオン装置の処理水が、前記炭酸が除去され、ホウ素を1μg/L以下含有し、 前記第1の逆浸透膜装置の濃縮水と前記電気式脱イオン装置の濃縮水との濃縮混合水を処理するための第2の逆浸透膜装置と、 前記第2の逆浸透膜装置の透過水を、前記第1の逆浸透膜装置の前段に循環させる循環配管と、 を有することを特徴とする超純水製造システム。 【請求項10】 前記電気式脱イオン装置のセル幅が2mm以上6mm以下である、請求項9に記載の超純水製造システム。 【請求項11】 前記ホウ素除去装置が、電気式脱イオン装置、ホウ素選択性イオン交換樹脂装置或いはホウ素選択性イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂及び/又は陰イオン交換樹脂の混床式イオン交換樹脂装置である請求項9又は10に記載の超純水製造システム。 【請求項12】 前記ホウ素除去装置が電気式脱イオン装置であり、該電気式脱イオン装置の濃縮水を、前記第1の逆浸透膜装置の前段に循環させる循環配管を有する請求項11に記載の超純水製造システム。 【請求項13】 前記第1の逆浸透膜装置が、2つの逆浸透膜装置を直列に接続した逆浸透膜ユニットである請求項9~12のいずれか1項に記載の超純水製造システム。 【請求項14】 前記ホウ素除去装置の前段において膜脱気装置を有しない、請求項9~13のいずれか1項に記載の超純水製造システム。 【請求項15】 被処理水を、第1の逆浸透膜装置及び電気式脱イオン装置で順番に処理する純水製造システムであって、 前記電気式脱イオン装置は、前記電気式脱イオン装置の被処理水が供給される脱塩室と、前記脱塩室内に充填された陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂の混合体と、を有し、 前記電気式脱イオン装置の被処理水が、炭酸を1mg/L超含有し、かつ、前記電気式脱イオン装置の処理水が、前記炭酸が除去され、ホウ素を1μg/L以下含有し、 前記第1の逆浸透膜装置の濃縮水と前記電気式脱イオン装置の濃縮水との濃縮混合水を処理するための第2の逆浸透膜装置と、 前記第2の逆浸透膜装置の透過水を、前記第1の逆浸透膜装置の前段に循環させる循環配管と、 を有することを特徴とする純水製造システム。」 第3 異議申立人による特許異議の申立理由の概要 1 特許法第29条第2項所定の規定違反(進歩性) (1)請求項1、3、7に係る発明は、下記に記載の甲1~5号証に記載された発明または技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (2)請求項2、4~6、8~15に係る発明は、下記に記載の甲1~6号証に記載された発明または技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 なお、後記のとおり、請求項1、3、7は、請求項2、4~6、8~15と共通する内容の相違点を有していることから、請求項1、3、7が特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるか否かの判断にあたっては、甲1~5に記載された発明または技術的事項に加え、甲6に記載された発明または技術的事項も考慮して判断を行う。 記 甲第1号証:国際公開第2018/117035号 甲第2号証:特開2012-139687号公報 甲第3号証:特開2002-205069号公報 甲第4号証:おいしい水について,神奈川県,2022年8月4日,インターネット<URL:https://www.pref.kanagawa.jp/docs/w6a/wqa/oishiimizu.html> 甲第5号証:特公平7-90215号公報 甲第6号証:特開2004-919号公報 (以下、甲第1号証を略して、「甲1」などという。) 第4 当審の判断 1 特許法第29条第2項所定の規定違反(進歩性)について (1)甲1~6に記載の事項 ア 甲1に記載の事項 (ア)「[0001] 本発明は、脱イオン水の製造に関し、特に、脱イオン水製造システム、電気式脱イオン水製造装置及び脱イオン水製造方法に関する。 ・・・ [0004] EDI装置により被処理水から脱イオン水を製造するために、陽極と陰極との間に直流電圧を印加した状態で、脱塩室に被処理水を通水する。すると、被処理水中のイオン成分は脱塩室内のイオン交換体に吸着されることとなり、脱イオン化処理すなわち脱塩処理が行われることとなる。その結果、脱塩室から脱イオン水が流出する。このとき脱塩室では、異種のイオン交換性物質間の界面、すなわち、アニオン交換体とカチオン交換体との界面、アニオン交換体とカチオン交換膜との界面、アニオン交換膜とカチオン交換体との界面、及び、アニオン交換膜とカチオン交換膜との界面において、印加電圧によって下記式に示すように水の解離反応が起こり、水素イオン及び水酸化物イオンが生成する。 [0005] H2O → H+ + OH- この解離反応によって生成した水素イオンと水酸化物イオンとによって、先に脱塩室内のイオン交換体に吸着されていたイオン成分がイオン交換されてイオン交換体から遊離する。遊離したイオン成分のうちアニオンは、アニオン交換膜まで電気泳動してアニオン交換膜で電気透析されて、脱塩室から見て陽極に近い方の濃縮室を流れる濃縮水に排出される。同様に遊離したイオン成分のうちカチオンは、カチオン交換膜まで電気泳動してカチオン交換膜で電気透析されて、脱塩室から見て陰極に近い方の濃縮室を流れる濃縮水に排出される。結局、脱塩室に供給された被処理水中のイオン成分は濃縮室に移行して排出されることとなり、同時に、脱塩室のイオン交換体も再生されることになる。」 (イ)「[0013] 本発明の目的は、上記のような従来の脱イオン水製造システムの課題に鑑み、導電率が小さい被処理水を電気式脱イオン水製造装置に供給したときであっても、より安定的かつ効率的に水の解離反応を促進して高純度の脱イオン水を低い消費電力で製造することが可能な脱イオン水製造システム及び脱イオン水の製造方法と、脱イオン水製造システムにおいて好適に用いられる電気式脱イオン水製造装置とを提供することにある。 [0014] 本発明の別の目的は、電気式脱イオン水製造装置において用いられるイオン交換膜及びイオン交換体の少なくとも一方を提供することである。」 (ウ)「[0025] 図1は、本発明に基づく脱イオン水製造システムの構成を示している。この脱イオン水製造システムは、EDI装置10を備えるものであるが、不純物濃度を十分に低減した脱イオン水を得るために、EDI装置10の前段に、2段直列に設けられた逆浸透(RO)膜装置51,52を備えている。逆浸透膜装置51,52は、それぞれ、その内部に逆浸透膜53,54を備えている。1段目の逆浸透膜装置51にはポンプ55を介して原水が供給されており、逆浸透膜装置51内の逆浸透膜53を通過した水すなわち透過水が2段目の逆浸透膜装置52に供給される。2段目の逆浸透膜装置52の透過水が被処理水としてEDI装置10に供給されるようになっている。2つの逆浸透膜装置51,52を直列に接続した構成は、全体として、それぞれ逆浸透膜53,54を備える装置を2段直列に接続した構成となっている。本実施形態の脱イオン水製造システムで用いられる逆浸透膜装置51,52は、純水製造などに用いられる一般的なものである。また、図示したポンプ55、逆浸透膜装置51,52、EDI装置10の間には、必要に応じて、タンクやポンプ、軟化や脱塩を目的としたイオン交換樹脂装置、脱炭酸を目的とした脱炭酸塔や膜脱気装置、加えて薬注設備などが適宜追加されて配置されていてもよい。 [0026] 原水としては、水道水、井戸水、河川水、工業用水などが使用される。EDI装置10には、被処理水のほか、後述するように供給水が供給されている。供給水は、例えば逆浸透膜装置から得られた透過水であってよいし、EDI装置で処理された水すなわち脱イオン水であってもよい。ここでは、2段の逆浸透膜装置51,52を設けているが、図2に示すように、1段の逆浸透膜装置52のみをEDI装置10の前段に設けるようにしてもよい。 [0027] 図1に示したシステムよりもさらに不純物濃度を低減した脱イオン水を得るためには、EDI装置を2段直列に接続してもよい。図3は、図1に示す脱イオン水製造システムにおいて、逆浸透膜装置52とEDI装置10との間に、追加のEDI装置15を配置したものである。EDI装置15としては、EDI装置10と同じ構成のものを用いることができるし、異なる構成のものを用いることもできる。逆浸透膜装置52の透過水がEDI装置15の脱塩室23に供給され、EDI装置15の脱塩室23から流れる水が被処理水としてEDI装置10の脱塩室に供給される。また、図示したポンプ55、逆浸透膜装置51,52、EDI装置10,15の間には、必要に応じて、タンクやポンプ、軟化や脱塩を目的としたイオン交換樹脂装置、脱炭酸を目的とした脱炭酸塔や膜脱気装置、加えて薬注設備などが適宜追加されて配置されていてもよい。 ・・・ [0030] 次に、上述した脱イオン水製造システムにおいて用いられる、本発明に基づくEDI装置10について説明する。EDI装置10では、陽極11を備えた陽極室21と、陰極12を備えた陰極室25との間に、陽極室21の側から順に、濃縮室22、脱塩室23及び濃縮室24が設けられている。陽極室21と濃縮室22はカチオン交換膜31を隔てて隣接し、濃縮室22と脱塩室23はアニオン交換膜32を隔てて隣接し、脱塩室23と濃縮室24とはカチオン交換膜33を隔てて隣接し、濃縮室24と陰極室25はアニオン交換膜34を隔てて隣接している。したがって脱塩室23は、陽極11に向いた側に位置するアニオン交換膜32と、陰極12に向いた側に位置するカチオン交換膜33とによって区画されていることになる。脱塩室23内には、アニオン交換体及びカチオン交換体の少なくとも一方が充填されている。ここで示した例では、脱塩室23内には、アニオン交換体とカチオン交換体とが相互に混ざり合って、すなわち混床構成で充填されている。さらにこのEDI装置10では、カチオン交換体が陽極室21内に充填され、アニオン交換体が濃縮室22,24及び陰極室25内に充填されている。ここでのアニオン交換体としては例えばアニオン交換樹脂が使用され、カチオン交換体としては例えばカチオン交換樹脂が使用される。なお、陽極室21、濃縮室22,24及び陰極室25には、必ずしもアニオン交換体またはカチオン交換体を充填する必要はない。図4は、図1に示した脱イオン水製造システムに用いられるEDI装置10の断面構成を模式的に示している。図4において、電極室21,25、濃縮室22,24及び脱塩室23内に描かれた小円は、それらの室内に充填されるアニオン交換体及びカチオン交換体を示している。また図4では、アニオン交換体とアニオン交換膜には相互に同一のハッチングが付され、カチオン交換体とカチオン交換膜には相互に同一のハッチングが付されているが、アニオン交換体とカチオン交換体とは、異なるハッチングが付されることによって区別して描かれている。ハッチングによるアニオン交換体とカチオン交換体の区別、及びアニオン交換膜とカチオン交換膜の区別は、本明細書に添付される各図面において共通である。」 (エ)「[0087] [実施例6] 図3に示す脱イオン水製造システムを組み立てた。この脱イオン水製造システムには、直列に接続された2つのEDI装置10,15が用いられるが、いずれのEDI装置10,15にも実施例5で説明したものと同じEDI装置を使用した。2段に接続された膜浸透装置51,52を備える上に2段のEDI装置10,15を使用していることにより、2段目のEDI装置10に供給される被処理水は、比抵抗が16±2MΩ・cm(すなわち導電率は0.0635±0.008μS/cm)と極めて導電率が小さく、また、そのホウ素濃度は、1±0.2μg/Lであった。1段目のEDI装置15の供給水としては、逆浸透膜透過水を使用し、2段目のEDI装置10の供給水には、1段目のEDI装置15の処理水、すなわち1段目のEDI装置15からの脱イオン水を使用した。 [0088] 1段目のEDI装置15における被処理水流量を570L/h、濃縮水流量を50L/h、電極水流量を20L/hとし、2段目のEDI装置10における被処理水流量を500L/h、濃縮水流量を50L/h、電極水流量を20L/hとした。EDI装置10,15での印加電流密度をいずれも0.8A/dm2として、2段目のEDI装置10からの流れ出る脱イオン水の水質及びホウ素濃度と運転電圧とを求めた。結果を表6に示す。 [0089][表6] [図:0001400495000001.jpg] [0090] EDI装置を2段接続して不純物濃度が極めて低い脱イオン水を得ようとする場合、2段目のEDI装置に供給される被処理水の導電率が低いことから2段目のEDI装置の運転電圧が上昇することが懸念されるが、実施例6の結果から、本発明に基づくEDI装置を使用することによって、運転電圧の上昇を抑えることができることが分かった。本発明に基づけば、より高純度の脱イオン水を容易に得ることができるようになる。また、ホウ素は通常の脱塩処理によっては除去が難しい元素として知られているが、実施例6によれば、ng/Lのオーダーまで除去できることが分かった。」 (オ)「[請求項1] 原水が供給されて脱イオン水を製造する脱イオン水製造システムであって、 原水が供給される逆浸透膜装置と、 イオン交換膜で区画され前記逆浸透膜装置の透過水が供給される脱塩室を有する電気式脱イオン水製造装置と、 を備え、 前記脱塩室の内部にイオン交換体が充填され、 前記イオン交換膜の少なくとも一部、及び、前記イオン交換体の少なくとも一部、の少なくとも一方の表面に、多価金属を含む粒子が吸着されている脱イオン水製造システム。 ・・・ [請求項3] 前記脱塩室において、前記脱塩室での水の流れの方向に沿ってカチオン交換体とアニオン交換体とが交互に配置している、請求項1に記載の脱イオン水製造システム。 [請求項4] 前記逆浸透膜装置は、それぞれ逆浸透膜を備える装置を2段直列に接続した構成を有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の脱イオン水製造システム。 ・・・ [請求項7] 前記逆浸透膜装置と前記電気式脱イオン水製造装置との間に追加の電気式脱イオン水製造装置を備え、 前記逆浸透膜装置の透過水が、前記追加の電気式脱イオン水製造装置の脱塩室を経由して前記電気式脱イオン水製造装置の前記脱塩室に供給される、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の脱イオン水製造システム。 [請求項8] 前記電気式脱イオン製造装置の前記脱塩室から排出される脱イオン水中のホウ素濃度が10ng/L以下となるように前記電気式脱イオン製造装置が運転される、請求項7に記載の脱イオン水製造システム。」 (カ)「[図3] [図:0001400495000002.jpg] 」 イ 甲2に記載の事項 (ア)「【請求項1】 原水を処理する前処理装置と、 前記前処理装置からの処理水を脱塩室に受け入れて脱イオン処理を行ってホウ素を除去する第1の電気脱イオン装置と、 前記第1の電気脱イオン装置からの脱塩水の一部を前記第1の電気脱イオン装置の濃縮室に導入して得られた濃縮水を脱塩室に受け入れて脱イオン処理を行ってホウ素を除去する第2の電気脱イオン装置と を備え、 前記第2の電気脱イオン装置からの脱塩水を前記第1の電気脱イオン装置の前段に供給することを特徴とする純水製造装置。 ・・・ 【請求項3】 前記第1の電気脱イオン装置の後段に設けられ、前記第1の電気脱イオン装置からの脱塩水を脱塩室に受け入れて脱イオン処理を行ってホウ素を除去する第3の電気脱イオン装置をさらに備え、 前記第3の電気脱イオン装置からの脱塩水の一部を前記第3の電気脱イオン装置の濃縮室に導入して得られた濃縮水を前記第1の電気脱イオン装置の前段に供給することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の純水製造装置。 ・・・ 【請求項6】 原水を前処理装置で処理した処理水を第1の電気脱イオン装置の脱塩室に導入して脱イオン処理を行ってホウ素を除去する純水製造方法であって、 前記第1の電気脱イオン装置からの脱塩水の一部を前記第1の電気脱イオン装置の濃縮室に導入して得られた濃縮水を、第2の電気脱イオン装置の脱塩室に導入して脱イオン処理を行ってホウ素を除去し、 前記第2の電気脱イオン装置からの脱塩水を、前記第1の電気脱イオン装置の前段に導入することを特徴とする純水製造方法。 ・・・ 【請求項8】 前記第1の電気脱イオン装置からの脱塩水を、第3の電気脱イオン装置の脱塩室に導入して脱イオン処理を行ってホウ素を除去し、 前記第3の電気脱イオン装置からの脱塩水の一部を前記第3の電気脱イオン装置の濃縮室に導入して得られた濃縮水を、前記第1の電気脱イオン装置の前段に導入することを特徴とする請求項6または7に記載の純水製造方法。」 (イ)「【0001】 本発明は、超純水製造システム等に組み込むのに好適な純水製造装置に関し、特にホウ素濃度の低い純水を製造するための純水製造装置に関する。また、本発明は、超純水製造システム等に好適な純水製造方法に関し、特にホウ素濃度の低い純水を製造するための純水製造方法に関する。」 (ウ)「【0039】 図1に示すように、純水製造装置10は、活性炭装置1と、ヒータ2と、膜式濾過装置3と、原水タンク4と、前処理装置5と、貯水タンクT1~T3と、第1~第4の電気脱イオン装置6A~6Dと、一次純水のサブタンク7とから構成されている。 【0040】 本実施形態において、前処理装置5は、第1の逆浸透膜(RO)装置51と、第2の逆浸透膜(RO)装置52と、脱炭酸膜装置53とにより構成されている。この前処理装置5は、原水W0の水質に応じて、シリカ濃度30ppb(SiO2換算)以下の処理水W1が第1の電気脱イオン装置6Aの脱塩室に導入されるように設計されていればよい。 【0041】 上述したような純水製造装置10において、第1~第4の電気脱イオン装置6A~6Dは、図2に示すように、陽極15A~15Dと陰極16A~16Dとの間に複数のアニオン交換膜13A~13Dとカチオン交換膜14A~14Dとを交互に配列し、これらのアニオン交換膜13A~13D及びカチオン交換膜14A~14Dにより区画されてなる脱塩室11A~11Dと濃縮室12A~12Dとを備えている。 【0042】 第1の電気脱イオン装置6Aの脱塩室11Aの入口側には、前処理装置5からの処理水W1の流路R11が接続され、脱塩室11Aの出口側には、脱塩水W2の流路R12が接続されており、前処理装置5からの処理水W1を処理し、脱塩水W2として取り出すことのできる構成となっている。」 (エ)「【0055】 第1~第4の電気脱イオン装置6A~6Dの脱塩室11A~11D内には、図3(A)に示すような複数の小室9に区画されてなるハニカム構造体からなる区画部材8が設けられており、かかる複数の小室9にはそれぞれイオン交換体(図示せず)が充填されている。小室9は、上下左右に多数配置されており、各小室9の1対の側辺が脱塩室11A~11Dにおける通水方向、すなわち図2における上下方向となるように配置されている。 ・・・ 【0058】 脱塩室11A~11Dに充填されるイオン交換体としては、アニオン交換体、カチオン交換体、両性イオン交換体等が挙げられ、これらを単独で用いてもよいし、2種以上の混合物として用いてもよい。また、これらのイオン交換体のうちの2種以上が脱塩室11A~11Dに複層状に充填されていてもよい。 ・・・ 【0061】 この前処理装置5では、第1の逆浸透膜(RO)装置51と、第2の逆浸透膜(RO)装置52とにより原水W0中の強イオン性の不純物が除去され、さらに、脱炭酸膜装置53により炭酸イオン(CO2)が除去され、処理水W1を得ることができる。 ・・・ 【0063】 このようにして得られた処理水W1を第1の電気脱イオン装置6Aの脱塩室11Aに導入して処理する。この第1の電気脱イオン装置6Aにおいては、電流密度300mA/dm2以上で運転するのが好ましい。このような電流密度で運転を行うことにより、電気脱イオン装置の性能にもよるが、従来の電気脱イオン装置では達成できなかった99%以上、特に99.5%以上のホウ素除去率とすることができる。 【0064】 このとき、第1の電気脱イオン装置6Aからの脱塩水W2の回収率(脱塩水量/処理水量)が80%程度となるように、第1の電気脱イオン装置6Aを運転するのが好ましい。脱塩水W2の回収率を上記範囲内とすることで、第1の電気脱イオン装置6Aでのホウ素除去率を99%以上とすることができる。」 (オ)「【0074】 第1の電気脱イオン装置6Aからの脱塩水W2を、第4の電気脱イオン装置6Dの脱塩室11Dに導入して処理する。これにより、ホウ素濃度が極めて低い最終生産水(脱塩水)W8を製造することができる。第4の電気脱イオン装置6Dにおいても同様に、99%以上、特に99.5%以上のホウ素除去率を確保するために、電流密度300mA/dm2以上で運転するのが好ましい。 【0075】 このとき、第4の電気脱イオン装置6Dからの脱塩水W8の回収率(脱塩水量/処理水量)が80%程度となるように、第4の電気脱イオン装置6Dを運転するのが好ましい。脱塩水W8の回収率を上記範囲内とすることで、第4の電気脱イオン装置6Dでのホウ素除去率を99%程度とすることができる。 【0076】 このようにして処理された後の第4の電気脱イオン装置6Dからの濃縮水W3は、そのホウ素濃度が前処理装置5からの処理水W1のホウ素濃度よりも低いものとなるため、当該濃縮水W3を第1の電気脱イオン装置6Aの前段の貯水タンクT1に導入する。これにより、純水製造装置10の系内のホウ素濃度を上昇させることなく、水回収率をさらにまた向上させることができる。」 (カ)「【0087】 〔実施例1〕 図4に示すように、第1~第4の電気脱イオン装置6A~6Dを備える純水製造装置を製造した。そして、ホウ素濃度が31ppbの被処理水W0(2段逆浸透膜装置により処理した処理水に相当する被処理水)を貯水タンクT1に61.9m3/hrで供給し、この純水製造装置を用いて処理した。 【0088】 処理開始から所定時間経過後における第1の電気脱イオン装置6Aの脱塩室11Aに導入される被処理水W1、各電気脱イオン装置6A~6Dからの脱塩水W2,W5,W7,W8及び濃縮水W3,W4,W6,W9のホウ素イオン濃度とそれらの水量(m3/hr)とを測定し、水回収率(%)を算出した。なお、第1~第4の電気脱イオン装置6A~6Dにおける水回収率を、それぞれ82%、83%、85%及び83%と設定した。 結果を表1に示す。 ・・・ 【0090】 【表1】 [図:0001400495000003.jpg] 【0091】 表1から明らかなように、実施例1の純水製造装置においては、第4の電気脱イオン装置6Dからの最終生産水(脱塩水)W8のホウ素濃度が0.4pptであり、最先端の電子産業分野における要求水質(ホウ素濃度:1ppt以下)を充足する超純水を製造可能であることが確認された。」 (キ)「【図1】 [図:0001400495000004.jpg] 」 ウ 甲3に記載の事項 (ア)「【0024】図1は本発明の実施の形態を示す電気脱イオン装置の模式的な断面図である。この電気脱イオン装置は、図2に示す従来の電気脱イオン装置と同様、電極(陽極11、陰極12)の間に複数のアニオン交換膜(A膜)13及びカチオン交換膜(C膜)14を交互に配列して濃縮室15と脱塩室16とを交互に形成したものであり、脱塩室16には、イオン交換樹脂、イオン交換繊維もしくはグラフト交換体等からなるアニオン交換体及びカチオン交換体が混合もしくは複層状に充填されている。」 (イ)「【0043】このような電気脱イオン装置において、シリカのみならず特にホウ素をも除去しようとする際には、脱塩室の厚さが小さいほど良いことが、鋭意研究の結果判明している。脱塩室の厚さは5mm以下が良く、小さいほど良いが、水の通水性や製作時の取り扱い性等を考慮すると実用上2mm以上とすることが好ましい。」 (ウ)「【0052】実施例1 水道水を活性炭塔、逆浸透膜分離装置及び膜脱気装置で順次処理した表1に示す水質の水を原水として、図1に示す下記仕様の電気脱イオン装置(脱塩室2室,濃縮室3室)で下記運転条件にて脱イオン処理を行った。 [電気脱イオン装置仕様] 脱塩室高さ:66cm 脱塩室厚さ:2.5cm 濃縮室厚さ:2.5cm 脱塩室充填物:アニオン交換樹脂:カチオン交換樹脂=7:3(体積比)の混合イオン交換樹脂 濃縮室充填物:アニオン交換樹脂:カチオン交換樹脂=7:3(体積比)の混合イオン交換樹脂 陽極室及び陰極室充填物:活性炭 [運転条件] 電流:2A(電流効率4%) 脱塩室SV:130hr-1 濃縮室LV:13m/hr 生産水量 :60L/hr 濃縮室水量:9L/hr 電極室水量:5L/hr 水回収率 :81%(=60÷(60+9+5)×100)」 エ 甲4に記載の事項 (ア)「県営水道の水道水 県営水道の水道水は、「おいしい水」の要件をほぼ満たしています。 令和3年度平均値 [図:0001400495000005.jpg] 」 オ 甲5に記載の事項 (ア)「(発明が解決しようとする問題点) 従来技術による逆浸透装置に組合わせる脱炭酸塔による水中溶存炭酸ガスの除去方法は、空気吹込み方式のため、空気中に通常300ppm程度含まれている炭酸ガスの分圧により水中溶存炭酸ガスを精々2mg/L、普通には5mg/Lの残存濃度になる程度までしか除去できない。この除去残の炭酸ガスはそのまま後続のイオン交換装置に対する負担となる。 本発明は従来技術の上記問題点を解決し、逆浸透処理後にイオン交換処理を行う純水製造装置において、イオンの交換処理に先立つて水中溶存炭酸ガスの高率除去を行うことを可能とする方法を提供することを目的とする。」(第2頁左欄1-12行) カ 甲6に記載の事項 (ア)「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は脱塩水製造装置に係り、特に、ホウ素及びTOCが著しく低減された高水質の脱塩水を、高い水回収率で製造することができる脱塩水製造装置に関する。 【0002】 【従来の技術】 従来、市水、地下水、工水等の原水から超純水を製造する超純水製造装置は、基本的に、前処理装置、一次純水製造装置及び二次純水製造装置から構成される。このうち、前処理装置は、凝集、浮上、濾過、除濁膜装置等で構成される。一次純水製造装置は、活性炭吸着塔、紫外線(UV)酸化装置、化学的酸化装置、脱気装置等のうちの1種又は2種以上の装置と、脱塩装置とで構成され、このうち脱塩装置は、逆浸透(RO)膜分離装置、電気再生式脱塩装置、イオン交換装置(混床式イオン交換装置ないしはイオン交換純水装置)の1種或いは2種以上の組み合わせにより構成される。また、二次純水製造装置は、一次純水製造装置と同様な装置単位を適宜組み合わせたものであり、一般的には、低圧UV酸化装置、混床式イオン交換装置及び限外濾過(UF)膜分離装置で構成される。」 (イ)「【0029】 図2の脱塩水製造装置は、原水を前処理装置1で処理した後、2段に配置したRO膜分離装置3A,3B及び電気再生式脱塩装置4よりなる脱塩装置2Aで処理して脱塩水を製造するものである。前段のRO膜分離装置3Aの濃縮水は系外へ排出し、このRO膜分離装置3Aの透過水を後段のRO膜分離装置3Bで処理し、このRO膜分離装置3Bの透過水を電気再生式脱塩装置4で処理して脱塩水を得る。後段のRO膜分離装置3Bの濃縮水及び電気再生式脱塩装置4の濃縮水はホウ素除去装置5に送給してホウ素を除去した後、ホウ素処理水をRO膜分離装置3Aの入口側に戻して循環処理する。 ・・・ 【0031】 図4の脱塩水製造装置は、原水を前処理装置1で処理した後、RO膜分離装置3及び2段に配置した電気再生式脱塩装置4A,4Bよりなる脱塩装置2Cで処理して脱塩水を製造するものである。RO膜分離装置3の濃縮水は系外へ排出し、このRO膜分離装置3の透過水を前段の電気再生式脱塩装置4Aで処理し、この電気再生式脱塩装置4Aの透過水を後段の電気再生式脱塩装置4Bで処理して脱塩水を得る。前段の電気再生式脱塩装置4Aの濃縮水及び後段の電気再生式脱塩装置4Bの濃縮水はホウ素除去装置5に送給してホウ素を除去した後、ホウ素処理水をRO膜分離装置3の入口側に戻して循環処理する。 【0032】 図5の脱塩水製造装置は、原水を前処理装置1で処理した後、2段に配置したRO膜分離装置3A,3B及び2段に配置した電気再生式脱塩装置4A,4Bよりなる脱塩装置2Dで処理して脱塩水を製造するものである。前段のRO膜分離装置3Aの濃縮水は系外へ排出し、このRO膜分離装置3Aの透過水を後段のRO膜分離装置3Bで処理し、このRO膜分離装置3Bの透過水を前段電気再生式脱塩装置4Aで処理し、この電気再生式脱塩装置4Aの透過水を後段の電気再生式脱塩装置4Bで処理して脱塩水を得る。後段のRO膜分離装置3Bの濃縮水及び前段の及び後段の電気再生式脱塩装置4A,4Bの濃縮水はホウ素除去装置5に送給してホウ素を除去した後、ホウ素処理水をRO膜分離装置3Aの入口側に戻して循環処理する。 ・・・ 【0034】 本発明において、原水としては、市水、工水、井水、その他のプロセス排水、或いはこれらの混合水を用いることができる。一般に、これらの原水のホウ素濃度は20~30μg/Lの範囲であるが、本発明はホウ素濃度1~500μg/Lの原水に適用可能である。 【0035】 前処理装置1としては、特に制限はなく、除濁装置、活性炭吸着塔、脱気装置、脱炭酸装置等が必要に応じて組み合わせて用いられる。」 (ウ)「【0043】 本発明において、循環濃縮水を処理するホウ素除去装置5としては、 (i) ホウ素選択性吸着体を充填したホウ素吸着塔 (ii) ホウ素と錯体を形成するキレート剤を添加するキレート剤添加装置 (iii) 被処理水をアルカリ性にして通水するRO膜分離装置(ホウ素除去用アルカリRO膜分離装置) 又は (iv) 電気再生式脱塩装置(ホウ素除去用電気再生式脱塩装置) 等を用いることができる。」 (エ)「【0067】 比較例1 図7に示す脱塩水製造装置により脱塩水の製造を行った。 【0068】 原水は野木町水(pH:6.9,導電率:13.0mS/m、ホウ素濃度:21~25μg/L)であり、この原水を、前処理装置1としての精密濾過(MF)膜分離装置(孔径:0.2μm)で濾過した後、脱炭酸塔(入口pH:5~5.5)にて脱炭酸処理し、前処理水(pH:5.8~6.2,導電率:14.4mS/m、ホウ素濃度:21~25μg/L)を得た。 【0069】 この前処理水をRO膜分離装置(日本電工(株)製「ES20」4インチ,2本)3に0.8MPaの圧力で通水して下記条件で処理し、濃縮水を系外へ排出した。RO膜分離装置3の透過水を電気再生式脱塩装置(栗田工業(株)製「M40型」1台)4に通水して下記条件で処理して脱塩水を得、濃縮水を系外へ排出した。 [RO膜分離装置3の処理条件] 水回収率:75% 給水量:444L/hr 処理水(透過水)量:333L/hr [電気再生式脱塩装置4の処理条件] 水回収率:90% 処理水(脱塩水)量:300L/hr 濃縮水量:33L/hr 【0070】 この処理において、RO膜分離装置3の処理水(透過水:RO処理水)のホウ素濃度、脱塩水(電気再生式脱塩装置4の処理水)のホウ素濃度及びTOC濃度、及び系全体の水回収率は表1に示す通りであった。 【0071】 比較例2 図8に示す脱塩水製造装置により、比較例1において、電気再生式脱塩装置4の濃縮水をそのままRO膜分離装置3の入口側に戻して循環処理したこと以外は同様にして脱塩水の製造を行い、このときのRO処理水のホウ素濃度、脱塩水のホウ素濃度及びTOC濃度、及び系全体の水回収率を表1に示した。 【0072】 この比較例2では、電気再生式脱塩装置4の濃縮水を循環処理したため水回収率は比較例1よりも高くなったが、循環処理によるホウ素の濃縮でRO処理水及び脱塩水のホウ素濃度が高くなっている。」 (オ)「【0081】 比較例4 図10に示す脱塩水製造装置により、比較例1において、電気再生式脱塩装置4の後段に実施例1で用いたものと同様のホウ素吸着樹脂塔(ホウ素選択性キレート樹脂量は実施例1と同量の3,3L,通水SVは91hr-1,給水量は300L/hr)を設け、電気再生式脱塩装置4の処理水をホウ素吸着樹脂塔で処理したこと以外は同様にして脱塩水の製造を行った。濃縮水の循環処理は行わなかった。」 (カ)「【0086】 比較例5 図7に示す脱塩水製造装置により脱塩水の製造を行った。 【0087】 原水は野木町水(pH:6.9,導電率:13.0mS/m、ホウ素濃度:25μg/L)であり、この原水を、前処理装置1としての精密濾過(MF)膜分離装置(孔径:0.2μm)で濾過した後、脱炭酸塔(入口pH:5.0)にて脱炭酸処理し、その後活性炭塔に通水して前処理水(pH:6,ホウ素濃度:25μg/L)を得た。 【0088】 この前処理水をRO膜分離装置(超低圧PA膜4インチ,2本)3に0.75MPaの圧力で通水して下記条件で処理し、濃縮水を系外へ排出した。RO膜分離装置3の透過水を電気再生式脱塩装置(栗田工業(株)製「M40型」1台)4に通水して下記条件で処理して脱塩水を得、濃縮水を系外へ排出した。 [RO膜分離装置3の処理条件] 水回収率:80% 給水量:675L/hr 処理水(透過水)量:540L/hr [電気再生式脱塩装置4の処理条件] 水回収率:80% 処理水(脱塩水)量:432L/hr 濃縮水量:108L/hr」 (キ)「【図2】 [図:0001400495000006.jpg] 」 (ク)「【図4】 [図:0001400495000007.jpg] 【図5】 [図:0001400495000008.jpg] 」 (ケ)「【図7】 [図:0001400495000009.jpg] 【図8】 [図:0001400495000010.jpg] 」 (コ)「【図10】 [図:0001400495000011.jpg] 」 (2)甲1及び2に記載された発明 異議申立書では、甲1~6のうち、いずれの文献が主引用文献か明確に記載されていないが、甲1~6に記載の事項、及び、異議申立書における主張に鑑み、甲1または2を主引用文献、甲3~6を副引用文献として、以降判断を行う。甲1及び2に記載された発明は下記のとおりである。 ア 甲1に記載された発明 (ア)上記(1)ア(オ)の記載によれば、請求項1、4、7を直列的に引用する請求項8として、 「原水が供給されて脱イオン水を製造する脱イオン水製造システムであって、 原水が供給される逆浸透膜装置と、 イオン交換膜で区画され前記逆浸透膜装置の透過水が供給される脱塩室を有する電気式脱イオン水製造装置と、 を備え、 前記脱塩室の内部にイオン交換体が充填され、 前記イオン交換膜の少なくとも一部、及び、前記イオン交換体の少なくとも一部、の少なくとも一方の表面に、多価金属を含む粒子が吸着され、 前記逆浸透膜装置は、それぞれ逆浸透膜を備える装置を2段直列に接続した構成を有し、 前記逆浸透膜装置と前記電気式脱イオン水製造装置との間に追加の電気式脱イオン水製造装置を備え、 前記逆浸透膜装置の透過水が、前記追加の電気式脱イオン水製造装置の脱塩室を経由して前記電気式脱イオン水製造装置の前記脱塩室に供給され、 前記電気式脱イオン製造装置の前記脱塩室から排出される脱イオン水中のホウ素濃度が10ng/L以下となるように前記電気式脱イオン製造装置が運転される、 脱イオン水製造システム。」 が記載されている。 (イ)上記(ア)の「イオン交換体」に関し、上記(1)ア(ウ)の[0030]には「脱塩室23内には、アニオン交換体とカチオン交換体とが相互に混ざり合って、すなわち混床構成で充填され」、「アニオン交換体として」「アニオン交換樹脂が使用され、カチオン交換体として」「カチオン交換樹脂が使用される」ことが記載されている。 (ウ)上記(ア)の「追加の電気式脱イオン水製造装置の脱塩室を経由して前記電気式脱イオン水製造装置の前記脱塩室に供給され」る「透過水」に関し、上記(1)ア(エ)の[0087]には「ホウ素濃度は、1±0.2μg/Lであ」ることが記載されている。 (エ)上記(ア)の脱イオン水について、上記(1)ア(エ)の[表6]には、直列的に接続された2つのEDI装置が用いられる脱イオン水製造装置における2段目のEDI装置10から流れ出る脱イオン水の水質(比抵抗)を求めた結果が示されており、同表によれば、2段目のEDI装置から流れ出る脱イオン水の比抵抗が18.2MΩ・cmである。そして、[表6]における2段目のEDI装置10は、前記脱イオン水製造システムの(追加の電気式脱イオン水製造装置の後段にある)電気式脱イオン水製造装置に対応する。 (オ)上記(1)ア(ア)の[0001]の記載によれば、甲1には、「脱イオン水製造システム」だけでなく、「脱イオン水製造方法」も記載されている。 (カ)上記(ア)~(オ)によれば、甲1には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「原水が供給されて脱イオン水を製造する脱イオン水製造システム、及び、脱イオン水製造方法であって、 原水が供給される逆浸透膜装置と、 イオン交換膜で区画され前記逆浸透膜装置の透過水が供給される脱塩室を有する電気式脱イオン水製造装置と、 を備え、 前記脱塩室の内部にイオン交換体が充填され、 前記イオン交換膜の少なくとも一部、及び、前記イオン交換体の少なくとも一部、の少なくとも一方の表面に、多価金属を含む粒子が吸着され、 前記逆浸透膜装置は、それぞれ逆浸透膜を備える装置を2段直列に接続した構成を有し、 前記逆浸透膜装置と前記電気式脱イオン水製造装置との間に追加の電気式脱イオン水製造装置を備え、 前記逆浸透膜装置の透過水が、前記追加の電気式脱イオン水製造装置の脱塩室を経由して前記電気式脱イオン水製造装置の前記脱塩室に供給され、 前記電気式脱イオン製造装置の前記脱塩室から排出される脱イオン水中のホウ素濃度が10ng/L以下、比抵抗が18.2MΩ・cmとなるように前記電気式脱イオン製造装置が運転され、 前記脱塩室内には、アニオン交換体とカチオン交換体とが相互に混ざり合った混床構成で充填され、アニオン交換体としてアニオン交換樹脂が使用され、カチオン交換体としてカチオン交換樹脂が使用され、 前記追加の電気式脱イオン水製造装置の脱塩室を経由して前記電気式脱イオン水製造装置の前記脱塩室に供給される透過水のホウ素濃度は、1±0.2μg/Lである、 脱イオン水製造システム、及び、脱イオン水製造方法。」 イ 甲2に記載された発明 (ア)上記(1)イ(ア)の記載によれば、請求項6を引用する請求項8として、 「原水を前処理装置で処理した処理水を第1の電気脱イオン装置の脱塩室に導入して脱イオン処理を行ってホウ素を除去する純水製造方法であって、 前記第1の電気脱イオン装置からの脱塩水の一部を前記第1の電気脱イオン装置の濃縮室に導入して得られた濃縮水を、第2の電気脱イオン装置の脱塩室に導入して脱イオン処理を行ってホウ素を除去し、 前記第2の電気脱イオン装置からの脱塩水を、前記第1の電気脱イオン装置の前段に導入し、 前記第1の電気脱イオン装置からの脱塩水を、第3の電気脱イオン装置の脱塩室に導入して脱イオン処理を行ってホウ素を除去し、 前記第3の電気脱イオン装置からの脱塩水の一部を前記第3の電気脱イオン装置の濃縮室に導入して得られた濃縮水を、前記第1の電気脱イオン装置の前段に導入することを特徴とする純水製造方法。」 が記載されている。 (イ)上記(ア)の第1の電気脱イオン装置の脱塩室に関し、上記(1)イ(エ)の【0055】には「脱塩室11A~11D内には」「イオン交換体(図示せず)が充填され」る点が、上記(1)イ(エ)の【0058】には「イオン交換体としては、アニオン交換体、カチオン交換体、両性イオン交換体等が挙げられ」、「2種以上の混合物として用いてもよい」点が記載されているから、第1の電気脱イオン装置の脱塩室内には、イオン交換体が充填され、前記イオン交換体としては、アニオン交換体、カチオン交換体、両性イオン交換体のうちの2種以上の混合物として用いても良いことが記載されているといえる。 (ウ)上記(ア)の前処理装置及び第1の電気脱イオン装置に関し、上記(1)イ(ウ)の【0040】には「前処理装置5は、第1の逆浸透膜(RO)装置51と、第2の逆浸透膜(RO)装置52と、脱炭酸膜装置53とにより構成され」「前処理装置5」の「処理水W1が第1の電気脱イオン装置6Aの脱塩室に導入される」点が記載されている。前処理装置に脱炭酸膜装置が含まれるということは、上記第1の電気脱イオン装置へは、炭酸が除去された処理水が導入されることになることを意味している。 (エ)上記(1)イ(カ)の【0091】には「最終生産水(脱塩水)W8のホウ素濃度が0.4ppt」である点が記載されている。 (オ)上記(ア)の「第1の電気脱イオン装置からの脱塩水」について、上記(1)イ(カ)の【表1】には、第1の電気脱イオン装置6A~6Dを備え、第1の電気脱イオン装置6Aからの脱塩水W2を第4の電気脱イオン装置6Dの脱塩室11Dに導入して処理する構造である実施例1の装置における測定結果が示されており、同表からは、第1の電気脱イオン装置6Aで処理された脱塩水W2のホウ素濃度が44pptであることが読み取れる。そして、上記第1の電気脱イオン装置6A及び脱塩水W2は、それぞれ、甲2の請求項8における第1の電気脱イオン装置、及び、第1の電気脱イオン装置からの脱塩水に相当するため、甲2には、第1の電気脱イオン装置で処理された脱塩水のホウ素濃度が44pptであることが記載されているといえる。 (カ)上記(1)イ(イ)の【0001】の「超純水製造システム等に組み込むのに好適な純水製造装置に関し、特にホウ素濃度の低い純水を製造するための純水製造装置に関する。また、本発明は、超純水製造システム等に好適な純水製造方法に関し、特にホウ素濃度の低い純水を製造するための純水製造方法に関する。」との記載によれば、甲2には超純水製造システムについても記載されており、純水製造方法が超純水製造システムに好適なものであることがわかる。 (キ)上記(ア)~(カ)によれば、甲2には次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 「原水を前処理装置で処理した処理水を第1の電気脱イオン装置の脱塩室に導入して脱イオン処理を行ってホウ素を除去する超純水製造システム、及び、超純水製造システムに好適な純水製造方法であって、 前記第1の電気脱イオン装置からの脱塩水の一部を前記第1の電気脱イオン装置の濃縮室に導入して得られた濃縮水を、第2の電気脱イオン装置の脱塩室に導入して脱イオン処理を行ってホウ素を除去し、 前記第2の電気脱イオン装置からの脱塩水を、前記第1の電気脱イオン装置の前段に導入し、 前記第1の電気脱イオン装置からの脱塩水を、第3の電気脱イオン装置の脱塩室に導入して脱イオン処理を行ってホウ素を除去し、 前記第3の電気脱イオン装置からの脱塩水の一部を前記第3の電気脱イオン装置の濃縮室に導入して得られた濃縮水を、前記第1の電気脱イオン装置の前段に導入する構成であり、 前記第1の電気脱イオン装置の脱塩室内にはイオン交換体が充填され、 前記イオン交換体としては、アニオン交換体、カチオン交換体、両性イオン交換体等が挙げられ、2種以上の混合物として用いてもよく、 前記前処理装置は、第1の逆浸透膜装置と、第2の逆浸透膜装置と、脱炭酸膜装置とにより構成され、前処理装置で炭酸が除去された処理水が第1の電気脱イオン装置の脱塩室に導入される構成であり、 最終生産水(脱塩水)のホウ素濃度が0.4pptであり、 第1の電気脱イオン装置で処理された脱塩水のホウ素濃度が44pptである、 超純水製造システム、及び、超純水製造システムに好適な純水製造方法」 (3)本件発明1について ア 甲1発明との対比・判断 (ア)対比 a 甲1発明の「原水」は、逆浸透膜装置に供給されて処理されるものであるので、本件発明1の「被処理水」に相当する。 また、本願明細書【0031】の「ホウ素除去装置4としては、例えば、電気式脱イオン装置、ホウ素選択性イオン交換樹脂装置或いはホウ素選択性イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂及び/又は陰イオン交換樹脂の混床式イオン交換樹脂装置のいずれかが挙げられる。」との記載によれば、ホウ素除去装置として電気式脱イオン装置を用いることが可能である。そして、甲1の電気式脱イオン水製造装置は、ホウ素濃度を1±0.2μg/Lから10ng/Lへと大幅に低減させているのでホウ素除去の機能を有していることがわかる。そのため、甲1発明の「電気式脱イオン水製造装置」は、本件発明1の「ホウ素除去装置」に相当するものとすることができる。 さらに、甲1発明の追加の電気式脱イオン水製造装置は、逆浸透膜装置と電気式脱イオン水製造装置との間に設けられていることから、追加の電気式脱イオン水製造装置、電気式脱イオン水製造装置の順に水は処理されることになる。そのため、甲1発明の「追加の電気式脱イオン水製造装置」は、本件発明1の「電気式脱イオン装置」に相当するものとすることができる。 そしてここまでの対比内容を踏まえると、甲1発明の、「原水」を「逆浸透膜装置」に供給して透過させ、「逆浸透膜装置の透過水」を「前記追加の電気式脱イオン水製造装置の脱塩室を経由して前記電気式脱イオン水製造装置の前記脱塩室に供給」する点は、本件発明1の「被処理水を、第1の逆浸透膜装置で処理した後、続けて、電気式脱イオン装置及びホウ素除去装置の順で処理」する点に相当する。 b カチオンは陽イオンを、アニオンは陰イオンを意味するものであるので、甲1発明の「透過水」が供給される「追加の電気式脱イオン水製造装置の脱塩室」を備え、「脱塩室内には、アニオン交換体とカチオン交換体とが相互に混ざり合った混床構成で充填され、アニオン交換体としてアニオン交換樹脂が使用され、カチオン交換体としてカチオン交換樹脂が使用され」る点は、本件発明1の「電気式脱イオン装置は、前記電気式脱イオン装置の被処理水が供給される脱塩室と、前記脱塩室内に充填された陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂の混合体と、を有」する点に相当する。 c 甲1発明と本件発明1は、製造しているものが「超純水」か「脱イオン水」かという違いはあるが、「水製造方法」についての発明であるという点では共通している。 d 上記a~cによると、本件発明1と甲1発明は、 「被処理水を、第1の逆浸透膜装置で処理した後、続けて、電気式脱イオン装置及びホウ素除去装置の順で処理する水製造方法であって、 前記電気式脱イオン装置は、前記電気式脱イオン装置の被処理水が供給される脱塩室と、前記脱塩室内に充填された陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂の混合体と、を有する水製造方法」 の点で一致し、以下の点で一応相違する。 <相違点1-1> 本件発明1では、ホウ素除去装置で処理した後の超純水のホウ素濃度が1ng/L以下であるのに対し、甲1発明では、電気式脱イオン水製造装置で処理した後の脱イオン水のホウ素濃度が10ng/L以下である点。 <相違点1-2> 本件発明1では、超純水の製造方法であるのに対し、甲1発明では、比抵抗が18.2MΩ・cmである脱イオン水の製造方法についての発明であり、比抵抗が18.2MΩ・cmである脱イオン水が超純水にあたるか否かが明らかでない点。 <相違点1-3> 本件発明1では、電気式脱イオン装置の被処理水が、炭酸を1mg/L超含有し、かつ、電気式脱イオン装置の処理水が、前記炭酸が除去されているのに対し、甲1発明では、追加の電気式脱イオン水製造装置の被処理水の炭酸濃度が明らかではなく、また、追加の電気式脱イオン水製造装置の処理水で炭酸が除去されているか否かも明らかでない点。 <相違点1-4> 本件発明1では、電気式脱イオン装置の処理水がホウ素を1μg/L以下含有するのに対し、甲1発明では、追加の電気式脱イオン水製造装置の脱塩室を経由して電気式脱イオン水製造装置の脱塩室に供給される透過水のホウ素濃度は、1±0.2μg/Lである点。 (イ)相違点1-3についての判断 事案に鑑み、まず相違点1-3について判断する。 本件発明1は、炭酸除去のための膜脱気装置を用いることなく、安定した運転が可能な超純水製造方法を提供する(【0010】)ことを目的とするものであり、その具体的手法として、電気式脱イオン装置3に供給する被処理水を炭酸濃度が1mg/L超、好ましくは1mg/L超50mg/L以下含有するものとしつつ、処理後の処理水として炭酸を十分に除去し(例えば、10μg/L(ppb)以下となるように)ている(【0043】)。つまり、炭酸除去のための膜脱気装置を設けない代わりに、電気式脱イオン装置に、炭酸を1mg/L超から10μg/L以下へと十分に除去するという炭酸除去機能を担わせているものである。 このことから、本件発明1における「炭酸が除去され」との文言は、炭酸が10μg/L以下程度まで除去されるという意味であると解される。 ここで、甲1発明を見てみると、上記(1)ア(オ)の[請求項1]及び[請求項7]には、原水が逆浸透膜装置を透過した水である透過水が、追加の電気式脱イオン水製造装置に供給される点は記載されているものの、炭酸についての処理が行われる旨の記載はなく、透過水の炭酸濃度、及び、追加の電気式脱イオン水製造装置の被処理水の炭酸濃度は不明であり、追加の電気式脱イオン水製造装置が炭酸を10μg/L以下程度まで除去しているのか否か明らかでない。 次に、追加の電気式脱イオン水製造装置に、炭酸を10μg/L以下程度まで除去を行わせる動機付けがあるか否かであるが、そもそも甲1発明の課題は、上記(1)ア(イ)の[0013]に記載されているように「導電率が小さい被処理水を電気式脱イオン装置に供給したときであっても、より安定的かつ効率的に水の解離反応を促進して高純度の脱イオン水を低い消費電力で製造すること」であって、炭酸濃度の低減に注目するものではないから、追加の電気式脱イオン水製造装置に、炭酸を10μg/L以下程度まで除去を行わせる動機付けは存在しない。 さらに、甲1の上記(1)ア(ウ)の[0027]に「必要に応じて・・・脱炭酸を目的とした脱炭酸塔や膜脱気装置・・・などが適宜追加されて配置されていてもよい」との記載があることからすると、原水の脱炭酸を行いたい場合には、追加の電気式脱イオン水製造装置に炭酸除去能力を持たせようとするのではなく、脱炭酸塔や膜脱気装置を設置するのであるから、甲1発明には、追加の電気式脱イオン水製造装置に、10μg/L以下程度までの炭酸除去を行わせる動機付けがあるとはいえない。 そうすると、甲2~6の記載事項にかかわらず、上記相違点1-3に係る本件発明1の構成を容易に想到し得るとはいえない。 念のため、甲2~6について検討したとしても、上記(1)イ~カによれば、甲2には、第1の逆浸透膜装置51、第2の逆浸透膜装置52、脱炭酸膜装置53、第1の電気脱イオン装置6A、第4の電気脱イオン装置6Aの順に原水を処理し、純水を製造する点が、甲3には電気脱イオン装置において、脱塩室の厚さは5mm以下、2mm以上が好ましい点が、甲4には、寒川浄水場系給水栓の水道水の遊離炭酸濃度が3.9mg/L、谷ケ原浄水場系給水栓の水道水の遊離炭酸濃度が2.7mg/Lである点が、甲5には、脱炭酸塔による水中溶存炭酸ガスの除去方法は、水中溶存炭酸ガスを精々2mg/L、普通には5mg/L程度の残存濃度になるまでしか除去できない点が、甲6には、脱炭酸装置等の前処理装置1、RO膜分離装置3A、RO膜分離装置3B,電気再生式脱塩装置4A、電気再生式脱塩装置4Bの順に原水を処理すると共に、RO膜分離装置3B及び電気再生式脱塩装置4Aからの濃縮水をRO膜分離装置からなるホウ素除去装置5に導入し、ホウ素除去装置5による除去処理後の水をRO膜分離装置3Aの上流に返送する点が記載されているが、本件発明1の「電気式脱イオン装置の処理水の被処理水が、炭酸を1mg/L超含有し、かつ、電気式脱イオン装置の処理水が、炭酸が除去され」る点、特に、当該記載が意味するところの、電気式脱イオン装置が10μg/L以下程度まで炭酸を除去する点は、記載も示唆もされていない。 そのため、甲1発明に甲2~6に記載の事項を適用したとしても、上記相違点1-3に係る本件発明1の構成を容易に想到し得るとはいえない。 (ウ)小括 上記(イ)で述べたとおり、上記相違点1-3に係る本件発明1の構成は、甲1発明及び甲2~6に記載の事項から容易に想到し得るとはいえない。 してみれば、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2~6に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 甲2発明との対比・判断 (ア)対比 a 甲2の純水製造方法は、超純水製造システムに用いられる純水製造方法であるので、当該純水製造方法により製造される最終生産水(脱塩水)は超純水である。そのため、甲2発明の「最終生産水(脱塩水)」を得る「純水製造方法」は、本件発明1の「超純水を得る超純水製造方法」に相当する。 b 甲2発明の「第2の逆浸透膜装置」、「第1の電気脱イオン装置」は、それぞれ本件発明1の「第1の逆浸透膜装置」、「電気式脱イオン装置」に相当する。 また、本願明細書【0031】の「ホウ素除去装置4としては、例えば、電気式脱イオン装置、ホウ素選択性イオン交換樹脂装置或いはホウ素選択性イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂及び/又は陰イオン交換樹脂の混床式イオン交換樹脂装置のいずれかが挙げられる。」との記載によれば、ホウ素除去装置として電気式脱イオン装置を用いることが可能である。一方、甲2の電気脱イオン装置は、99%以上のホウ素除去率を確保(上記(1)イ(オ)の【0074】)しており、ホウ素除去装置として機能する電気脱イオン装置である。そのため、甲2発明の、「前記第1の電気脱イオン装置からの脱塩水」が「導入される」「第3の電気脱イオン装置」は、本件発明1の「ホウ素除去装置」に相当する。 そして、甲2発明で、「前処理装置は、第1の逆浸透膜装置と、第2の逆浸透膜装置と、脱炭酸膜装置とにより構成され」、「前処理装置で処理した処理水を第1の電気脱イオン装置の脱塩室に導入して脱イオン処理を行」い、「第1の脱イオン装置からの脱塩水を、第3の電気脱イオン装置の脱塩室に導入して脱イオン処理を行」うことは、本件発明1の「第1の逆浸透膜装置で処理した後、続けて、電気式脱イオン装置及びホウ素除去装置の順で処理して」と、「第1の逆浸透膜装置で処理し、電気式脱イオン装置及びホウ素除去装置の順で処理して」の点で共通する。 さらに、甲2発明の「処理水」が導入される「第1の電気脱イオン装置の脱塩室」を備える点は、本件発明1の「電気式脱イオン装置は、前記電気式脱イオン装置の被処理水が供給される脱塩室」「を有し」に相当する。 c 甲2発明の「イオン交換体としては、アニオン交換体、カチオン交換体、両性イオン交換体等が挙げられ、2種以上の混合物として用いてもよい」点からは、イオン交換体が、アニオン交換体とカチオン交換体の混合物の場合が含まれること理解できる。アニオンは陰イオンを、カチオンは陽イオンをそれぞれ意味するものであるので、甲2発明の「第1の電気脱イオン装置の脱塩室」に「イオン交換体が充填され」、「イオン交換体がアニオン交換体とカチオン交換体の混合物」である点は、本件発明1の「脱塩室内に充填された陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂の混合体」に相当する。 d 甲2発明では、最終生産水(脱塩水)のホウ素濃度が0.4pptであり、0.4pptは0.4ng/Lに当たるため、本件発明1の超純水のホウ素含有量である「1ng/L以下」の数値範囲に含まれ、甲2発明の「最終生産水(脱塩水)のホウ素濃度が0.4ppt」である点は、本件発明1の「ホウ素濃度が1ng/L以下である超純水」に相当する。 e 甲2発明では、第1の電気脱イオン装置で処理された脱塩水のホウ素濃度が44pptである。44pptは、0.044μg/Lに当たるため、本件発明1の電気式脱イオン装置の処理水のホウ素濃度である「1μg/L以下」の数値範囲に含まれる数値であり、甲2発明の「第1の電気脱イオン装置で処理された脱塩水のホウ素濃度が44ppt」は、本件発明1の「電気式脱イオン装置の処理水」が、「ホウ素を1μg/L以下含有する」に相当する。 f 上記a~eによると、本件発明1と甲2発明は、 「被処理水を、第1の逆浸透膜装置で処理し、電気式脱イオン装置及びホウ素除去装置の順で処理して、ホウ素濃度が1ng/L以下である超純水を得る超純水製造方法であって、 前記電気式脱イオン装置は、前記電気式脱イオン装置の被処理水が供給される脱塩室と、前記脱塩室内に充填された陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂の混合体と、を有し、 前記電気式脱イオン装置の処理水が、ホウ素を1μg/L以下含有する超純水製造方法。」 の点で一致し、以下の点で一応相違する。 <相違点2-1> 本件発明1では、処理水を、第1の逆浸透膜装置で処理した後、続けて、電気式脱イオン装置及びホウ素除去装置の順で処理しているのに対し、甲2発明では、原水を、第2の逆浸透膜装置で処理した後、続けて第1の電気脱イオン装置に導入するのではなく、第2の逆浸透膜装置で処理した後、脱炭酸膜装置を経由してから、第1の電気脱イオン装置に導入する構成である点。 <相違点2-2> 本件発明1では、電気式脱イオン装置の被処理水が、炭酸を1mg/L超含有し、かつ、電気式脱イオン装置の処理水が、前記炭酸が除去されているのに対し、甲2発明では、脱炭酸膜装置により処理され且つ第1の電気脱イオン装置に導入される前の被処理水の炭酸濃度が明らかではなく、また、第1の電気脱イオン装置で処理された脱塩水において炭酸が除去されているか否かも明らかでない点。 (イ)相違点2-2についての判断 事案に鑑み、まず相違点2-2について検討する。 本件発明1は、炭酸除去のための膜脱気装置を用いることなく、安定した運転が可能な超純水製造方法を提供する(【0010】)ことを目的とするものであり、その具体的手法として、電気式脱イオン装置3に供給する被処理水を炭酸濃度が1mg/L超、好ましくは1mg/L超50mg/L以下含有するものとしつつ、処理後の処理水として炭酸を十分に除去し(例えば、10μg/L(ppb)以下となるように)ている(【0043】)。つまり、炭酸除去のための膜脱気装置を設けない代わりに、電気式脱イオン装置に、炭酸を1mg/L超から10μg/L以下へと十分に除去するという炭酸除去機能を担わせているものである。 このことから、本件発明1における「炭酸が除去され」との文言は、炭酸が10μg/L以下程度まで除去されるという意味であると解される。 ここで、甲2発明を見てみると、甲2発明では、第1の電気脱イオン装置はホウ素を除去するものであるが(上記(1)イ(エ)の【0063】)、第1の電気脱イオン装置に導入される前の被処理水の炭酸濃度、及び、第1の電気脱イオン装置で処理された脱塩水の炭酸濃度は特定されておらず、且つ、第1の電気脱イオン装置が炭酸を除去するものであるか否かについて記載がないから、第1の電気脱イオン装置が炭酸を除去しているか否か明らかでない。 次に、第1の電気脱イオン装置が、10μg/L以下程度となるように炭酸を除去するものであるかどうかであるが、甲2発明では、第1の電気脱イオン装置の前段に脱炭酸膜装置が存在するため、第1の電気脱イオン装置に導入される被処理水は既に炭酸が除去されていると認められ、甲2発明には第1の電気脱イオン装置を10μg/L以下程度まで炭酸を除去するものとする動機付けはない。 そうすると、甲1、3~6の記載事項にかかわらず、上記相違点2-2に係る本件発明1の構成を容易に想到し得るとはいえない。 念のため、甲1、3~6について検討したとしても、上記(3)ア(イ)で述べたとおり、本件発明1の「電気式脱イオン装置の処理水の被処理水が、炭酸を1mg/L超含有し、かつ、電気式脱イオン装置の処理水が、炭酸が除去され」る点、特に、当該記載が意味するところの、電気式脱イオン装置が10μg/L以下程度まで炭酸を除去する点は、記載も示唆もされていない。 そのため、甲2発明に甲1、3~6に記載の事項を適用したとしても、上記相違点2-2に係る本件発明1の発明特定事項を有するものとするには至らない。 (ウ)小括 上記(イ)で述べたとおり、上記相違点2-2に係る本件発明1の構成は、甲2発明及び甲1、3~6に記載の事項から容易に想到し得るとはいえない。 してみれば、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明及び甲1、3~6に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 甲3~6を主引用文献とする場合 異議申立書では、甲1~6のうち、いずれの文献が主引用文献か明確に記載していないため、一応甲3~6が主引用文献である場合についても検討すると、甲3~6のいずれを主引用文献とした場合も、甲3~6が本件発明1の「電気式脱イオン装置の処理水の被処理水が、炭酸を1mg/L超含有し、かつ、電気式脱イオン装置の処理水が、炭酸が除去され」る点を備えていない点が少なくとも相違点となる。そして、この点が甲1~6のいずれにおいても記載も示唆もされておらず、甲1~6を組み合わせても当該相違点に係る本件発明1の発明特定事項を有するものには至らないことは、上記ア(イ)及び上記イ(イ)で述べたとおりである。 そのため、本件発明1は、甲3~6を主引用文献としたとしても、甲1~6に記載された発明又は事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件発明2~7について 本件発明2~7は、いずれも本件発明1を直接又は間接的に引用し、本件発明1の構成をすべて具備するものであるから、本件発明1と同様に、本件発明2~7は、甲1~6に記載された発明又は事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件発明8について ア 甲1発明との対比・判断 (ア)対比 a 甲1発明の「原水」は、逆浸透膜装置に供給されて処理されるものであるので、本件発明8の「被処理水」に相当する。 また、甲1発明の追加の電気式脱イオン水製造装置は、逆浸透膜装置と電気式脱イオン水製造装置との間に設けられていることから、逆浸透膜装置、追加の電気式脱イオン水製造装置の順に水は処理されることになる。そのため、甲1発明の「追加の電気式脱イオン水製造装置」は、本件発明8の「電気式脱イオン装置」に相当するものとすることができる。 そしてここまでの対比内容を踏まえると、甲1発明の、「原水」を「逆浸透膜装置」に供給して透過させ、「逆浸透膜装置の透過水」を「前記追加の電気式脱イオン水製造装置の脱塩室」に供給する点は、本件発明8の「被処理水を、第1の逆浸透膜装置で処理した後、続けて、電気式脱イオン装置で処理」する点に相当する。 b カチオンは陽イオンを、アニオンは陰イオンを意味するものであるので、甲1発明の「透過水」が供給される「追加の電気式脱イオン水製造装置の脱塩室」を備え、「脱塩室内には、アニオン交換体とカチオン交換体とが相互に混ざり合った混床構成で充填され、アニオン交換体としてアニオン交換樹脂が使用され、カチオン交換体としてカチオン交換樹脂が使用され」る点は、本件発明8の「電気式脱イオン装置は、前記電気式脱イオン装置の被処理水が供給される脱塩室と、前記脱塩室内に充填された陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂の混合体と、を有」する点に相当する。 c 甲1発明と本件発明8は、製造しているものが「純水」か「脱イオン水」かという違いはあるが、「水製造方法」についての発明であるという点では共通している。 d 上記a~cによると、本件発明8と甲1発明は、 「被処理水を、第1の逆浸透膜装置で処理した後、続けて、電気式脱イオン装置で処理する水製造方法であって、 前記電気式脱イオン装置は、前記電気式脱イオン装置の被処理水が供給される脱塩室と、前記脱塩室内に充填された陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂の混合体と、を有する水製造方法」 の点で一致し、以下の点で一応相違する。 <相違点1-5> 本件発明8では、純水の製造方法であるのに対し、甲1発明では、比抵抗が18.2MΩ・cmである脱イオン水の製造方法についての発明であり、比抵抗が18.2MΩ・cmである脱イオン水が純水にあたるか否かが明らかでない点。 <相違点1-6> 本件発明8では、電気式脱イオン装置の被処理水が、炭酸を1mg/L超含有し、かつ、電気式脱イオン装置の処理水が、前記炭酸が除去されているのに対し、甲1発明では、追加の電気式脱イオン水製造装置の被処理水の炭酸濃度が明らかではなく、また、追加の電気式脱イオン水製造装置の処理水で炭酸が除去されているか否かも明らかでない点。 <相違点1-7> 本件発明8では、電気式脱イオン装置の処理水がホウ素を1μg/L以下含有するのに対し、甲1発明では、追加の電気式脱イオン水製造装置の脱塩室を経由して電気式脱イオン水製造装置の脱塩室に供給される透過水のホウ素濃度は、1±0.2μg/Lである点。 <相違点1-8> 本件発明8では、電気式脱イオン装置の濃縮水を、前記第1の逆浸透膜装置の濃縮水と混合して混合濃縮水とし、その混合濃縮水を第2の逆浸透膜装置に通水して得られた透過水を前記第1の逆浸透膜装置の前段に循環させる構成を有するのに対し、甲1発明では、そのような構成を有していない点。 (イ)相違点1-6についての判断 事案に鑑み、相違点1-6をまず検討する。 相違点1-6は相違点1-3と実質的に同一の内容である。そのため、上記(3)ア(イ)に記載した理由と同様の理由により、上記相違点1-6に係る本件発明8の構成は、甲1発明及び甲2~6に記載の事項から容易に想到し得るとはいえない。 (ウ)小括 上記(イ)で述べたとおり、上記相違点1-6に係る本件発明8の構成は、甲1発明及び甲2~6に記載の事項から容易に想到し得るとはいえない。 してみれば、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明8は、甲1発明及び甲2~6に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 甲2発明との対比・判断 (ア)対比 a 甲2発明の「最終生産水(脱塩水)」を得る「純水製造方法」は、本件発明8の「純水製造方法」に相当する。 b 甲2発明の「第2の逆浸透膜装置」、「第1の電気脱イオン装置」は、それぞれ本件発明1の「第1の逆浸透膜装置」、「電気式脱イオン装置」に相当する。 また、甲2発明で、「前処理装置は、第1の逆浸透膜装置と、第2の逆浸透膜装置と、脱炭酸膜装置とにより構成され」、「前処理装置で処理した処理水を第1の電気脱イオン装置の脱塩室に導入して脱イオン処理を行」うことは、本件発明8の「第1の逆浸透膜装置で処理した後、続けて、電気式脱イオン装置で処理する」と、「第1の逆浸透膜装置で処理し、電気式脱イオン装置で処理する」の点で共通する。 さらに、甲2発明の「処理水」が導入される「第1の電気脱イオン装置の脱塩室」を備える点は、本件発明8の「電気式脱イオン装置は、前記電気式脱イオン装置の被処理水が供給される脱塩室」「を有し」に相当する。 c 甲2発明の「イオン交換体としては、アニオン交換体、カチオン交換体、両性イオン交換体等が挙げられ、2種以上の混合物として用いてもよい」点からは、イオン交換体が、アニオン交換体とカチオン交換体の混合物の場合が含まれること理解できる。アニオンは陰イオンを、カチオンは陽イオンをそれぞれ意味するものであるので、甲2発明の「第1の電気脱イオン装置の脱塩室」に「イオン交換体が充填され」、「イオン交換体がアニオン交換体とカチオン交換体の混合物」である点は、本件発明8の「脱塩室内に充填された陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂の混合体」に相当する。 d 甲2発明では、第1の電気脱イオン装置で処理された脱塩水のホウ素濃度が44pptである。44pptは、0.044μg/Lに当たるため、本件発明8の電気式脱イオン装置の処理水のホウ素濃度である「1μg/L以下」の数値範囲に含まれる数値であり、甲2発明の「第1の電気脱イオン装置で処理された脱塩水のホウ素濃度が44ppt」は、本件発明8の「電気式脱イオン装置の処理水」が、「ホウ素を1μg/L以下含有する」に相当する。 e 上記a~dによると、本件発明8と甲2発明は、 「被処理水を、第1の逆浸透膜装置で処理し、電気式脱イオン装置で処理する純水製造方法において、 前記電気式脱イオン装置は、前記電気式脱イオン装置の被処理水が供給される脱塩室と、前記脱塩室内に充填された陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂の混合体と、を有し、 前記電気式脱イオン装置の処理水が、ホウ素を1μg/L以下含有する純水製造方法。」 の点で一致し、以下の点で一応相違する。 <相違点2-3> 本件発明8では、処理水を、第1の逆浸透膜装置で処理した後、続けて、電気式脱イオン装置で処理しているのに対し、甲2発明では、原水を、第2の逆浸透膜装置で処理した後、続けて第1の電気脱イオン装置に導入するのではなく、脱炭酸膜装置を経由してから、第1の電気脱イオン装置に導入する構成である点。 <相違点2-4> 本件発明8では、電気式脱イオン装置の被処理水が、炭酸を1mg/L超含有し、かつ、電気式脱イオン装置の処理水が、前記炭酸が除去されているのに対し、甲2発明では、脱炭酸膜装置により処理され且つ第1の電気脱イオン装置に導入される前の被処理水の炭酸濃度が明らかではなく、また、第1の電気脱イオン装置で処理された脱塩水において炭酸が除去されているか否かも明らかでない点。 <相違点2-5> 本件発明8では、電気式脱イオン装置の濃縮水を、前記第1の逆浸透膜装置の濃縮水と混合して混合濃縮水とし、その混合濃縮水を第2の逆浸透膜装置に通水して得られた透過水を前記第1の逆浸透膜装置の前段に循環させる構成を有するのに対し、甲2発明では、そのような構成を有していない点。 (イ)相違点2-4についての判断 事案に鑑み、相違点2-4をまず検討する。 相違点2-4は相違点2-2と実質的に同一の内容である。そのため、上記(3)イ(イ)に記載した理由と同様の理由により、上記相違点2-4に係る本件発明8の構成は、甲2発明及び甲1、3~6に記載の事項から容易に想到し得るとはいえない。 (ウ)小括 上記(イ)で述べたとおり、上記相違点2-4に係る本件発明8の構成は、甲2発明及び甲1、3~6に記載の事項から容易に想到し得るとはいえない。 してみれば、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明8は、甲2発明及び甲1、3~6に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 甲3~6を主引用文献とする場合 上記(3)ウに記載した理由と同様の理由により、本件発明8は、甲3~6を主引用文献としたとしても、甲1~6に記載された発明又は事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)本件発明9について ア 甲1発明との対比・判断 (ア)対比 a 甲1発明の「原水」は、逆浸透膜装置に供給されて処理されるものであるので、本件発明9の「被処理水」に相当する。 また、本願明細書【0031】の「ホウ素除去装置4としては、例えば、電気式脱イオン装置、ホウ素選択性イオン交換樹脂装置或いはホウ素選択性イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂及び/又は陰イオン交換樹脂の混床式イオン交換樹脂装置のいずれかが挙げられる。」との記載によれば、ホウ素除去装置として電気式脱イオン装置を用いることが可能である。そして、甲1の電気式脱イオン水製造装置は、ホウ素濃度を1±0.2μg/Lから10ng/Lへと大幅に低減させているのでホウ素除去の機能を有していることがわかる。そのため、甲1発明の「電気式脱イオン水製造装置」は、本件発明9の「ホウ素除去装置」に相当するものとすることができる。 さらに、甲1発明の追加の電気式脱イオン水製造装置は、逆浸透膜装置と電気式脱イオン水製造装置との間に設けられていることから、追加の電気式脱イオン水製造装置、電気式脱イオン水製造装置の順に水は処理されることになる。そのため、甲1発明の「追加の電気式脱イオン水製造装置」は、本件発明9の「電気式脱イオン装置」に相当するものとすることができる。 そしてここまでの対比内容を踏まえると、甲1発明の、「原水」を「逆浸透膜装置」に供給して透過させ、「逆浸透膜装置の透過水」を「前記追加の電気式脱イオン水製造装置の脱塩室を経由して前記電気式脱イオン水製造装置の前記脱塩室に供給」する点は、本件発明9の「被処理水を、第1の逆浸透膜装置、電気式脱イオン装置及びホウ素除去装置で順番に処理」する点に相当する。 b カチオンは陽イオンを、アニオンは陰イオンを意味するものであるので、甲1発明の「透過水」が供給される「追加の電気式脱イオン水製造装置の脱塩室」を備え、「脱塩室内には、アニオン交換体とカチオン交換体とが相互に混ざり合った混床構成で充填され、アニオン交換体としてアニオン交換樹脂が使用され、カチオン交換体としてカチオン交換樹脂が使用され」る点は、本件発明9の「電気式脱イオン装置は、前記電気式脱イオン装置の被処理水が供給される脱塩室と、前記脱塩室内に充填された陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂の混合体と、を有」する点に相当する。 c 甲1発明と本件発明9は、製造しているものが「超純水」か「脱イオン水」かという違いはあるが、「水製造システム」についての発明であるという点では共通している。 d 上記a~cによると、本件発明9と甲1発明は、 「被処理水を、第1の逆浸透膜装置、電気式脱イオン装置及びホウ素除去装置で順番に処理しする水製造システムであって、 前記電気式脱イオン装置は、前記電気式脱イオン装置の被処理水が供給される脱塩室と、前記脱塩室内に充填された陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂の混合体と、を有する水製造システム。」 の点で一致し、以下の点で一応相違する。 <相違点1-9> 本件発明9では、ホウ素除去装置で処理した後の超純水のホウ素濃度が1ng/L以下であるのに対し、甲1発明では、電気式脱イオン水製造装置で処理した後の脱イオン水のホウ素濃度が10ng/L以下である点。 <相違点1-10> 本件発明9では、超純水の製造システムであるのに対し、甲1発明では、比抵抗が18.2MΩ・cmである脱イオン水の製造システムについての発明であり、比抵抗が18.2MΩ・cmである脱イオン水が超純水にあたるか否かが明らかでない点。 <相違点1-11> 本件発明9では、電気式脱イオン装置の被処理水が、炭酸を1mg/L超含有し、かつ、電気式脱イオン装置の処理水が、前記炭酸が除去されているのに対し、甲1発明では、追加の電気式脱イオン水製造装置の被処理水の炭酸濃度が明らかではなく、また、追加の電気式脱イオン水製造装置の処理水で炭酸が除去されているか否かも明らかでない点。 <相違点1-12> 本件発明9では、電気式脱イオン装置の処理水がホウ素を1μg/L以下含有するのに対し、甲1発明では、追加の電気式脱イオン水製造装置の脱塩室を経由して電気式脱イオン水製造装置の脱塩室に供給される透過水のホウ素濃度は、1±0.2μg/Lである点。 <相違点1-13> 本件発明9では、第1の逆浸透膜装置の濃縮水と電気式脱イオン装置の濃縮水との濃縮混合水を処理するための第2の逆浸透膜装置と、第2の逆浸透膜装置の透過水を、第1の逆浸透膜装置の前段に循環させる循環配管とを有するのに対し、甲1発明では、そのような構成を有していない点。 (イ)相違点1-11についての判断 事案に鑑み、相違点1-11をまず検討する。 相違点1-11は相違点1-3と実質的に同一の内容である。そのため、上記(3)ア(イ)に記載した理由と同様の理由により、上記相違点1-11に係る本件発明9の構成は、甲1発明及び甲2~6に記載の事項から容易に想到し得るとはいえない。 (ウ)小括 上記(イ)で述べたとおり、上記相違点1-11に係る本件発明9の構成は、甲1発明及び甲2~6に記載の事項から容易に想到し得るとはいえない。 してみれば、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明9は、甲1発明及び甲2~6に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 甲2発明との対比・判断 (ア)対比 a 甲2は超純水製造システムであるので、当該超純水製造システムにより製造される最終生産水(脱塩水)は超純水である。そのため、甲2発明の「最終生産水(脱塩水)」を得る「超純水製造システム」は、本件発明9の「超純水を得るための超純水製造システム」に相当する。 b 甲2発明の「第2の逆浸透膜装置」、「第1の電気脱イオン装置」は、それぞれ本件発明9の「第1の逆浸透膜装置」、「電気式脱イオン装置」に相当する。 また、本願明細書【0031】の「ホウ素除去装置4としては、例えば、電気式脱イオン装置、ホウ素選択性イオン交換樹脂装置或いはホウ素選択性イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂及び/又は陰イオン交換樹脂の混床式イオン交換樹脂装置のいずれかが挙げられる。」との記載によれば、ホウ素除去装置として電気式脱イオン装置を用いることが可能である。一方、甲2の電気脱イオン装置は、99%以上のホウ素除去率を確保(上記(1)イ(オ)の【0074】)しており、ホウ素除去装置として機能する電気脱イオン装置である。そのため、甲2発明の、「前記第1の電気脱イオン装置からの脱塩水」が「導入される」「第3の電気脱イオン装置」は、本件発明9の「ホウ素除去装置」に相当する。 そして、甲2発明で、「前処理装置は、第1の逆浸透膜装置と、第2の逆浸透膜装置と、脱炭酸膜装置とにより構成され」、「前処理装置で処理した処理水を第1の電気脱イオン装置の脱塩室に導入して脱イオン処理を行」い、「第1の脱イオン装置からの脱塩水を、第3の電気脱イオン装置の脱塩室に導入して脱イオン処理を行」うことは、本件発明9の「第1の逆浸透膜装置、電気式脱イオン装置及びホウ素除去装置で順番に処理して」と、「第1の逆浸透膜装置、電気式脱イオン装置及びホウ素除去装置で処理して」の点で共通する。 さらに、 甲2発明の「処理水」が導入される「第1の電気脱イオン装置の脱塩室」を備える点は、本件発明9の「電気式脱イオン装置は、前記電気式脱イオン装置の被処理水が供給される脱塩室」「を有し」に相当する。 c 甲2発明の「イオン交換体としては、アニオン交換体、カチオン交換体、両性イオン交換体等が挙げられ、2種以上の混合物として用いてもよい」点からは、イオン交換体が、アニオン交換体とカチオン交換体の混合物の場合が含まれること理解できる。アニオンは陰イオンを、カチオンは陽イオンをそれぞれ意味するものであるので、甲2発明の「第1の電気脱イオン装置の脱塩室」に「イオン交換体が充填され」、「イオン交換体がアニオン交換体とカチオン交換体の混合物」である点は、本件発明9の「脱塩室内に充填された陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂の混合体」に相当する。 d 甲2発明では、最終生産水(脱塩水)のホウ素濃度が0.4pptであり、0.4pptは0.4ng/Lに当たるため、本件発明9の超純水のホウ素含有量である「1ng/L以下」の数値範囲に含まれ、甲2発明の「最終生産水(脱塩水)のホウ素濃度が0.4ppt」である点は、本件発明9の「ホウ素濃度が1ng/L以下である超純水」に相当する。 e 甲2発明では、第1の電気脱イオン装置で処理された脱塩水のホウ素濃度が44pptである。44pptは、0.044μg/Lに当たるため、本件発明9の電気式脱イオン装置の処理水のホウ素濃度である「1μg/L以下」の数値範囲に含まれる数値であり、甲2発明の「第1の電気脱イオン装置で処理された脱塩水のホウ素濃度が44ppt」は、本件発明9の「電気式脱イオン装置の処理水」が、「ホウ素を1μg/L以下含有する」に相当する。 f 上記a~eによると、本件発明9と甲2発明は、 「被処理水を、第1の逆浸透膜装置、電気式脱イオン装置及びホウ素除去装置で処理して、ホウ素濃度が1ng/L以下である超純水を得るための超純水製造システムであって、 前記電気式脱イオン装置は、前記電気式脱イオン装置の被処理水が供給される脱塩室と、前記脱塩室内に充填された陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂の混合体と、を有し、 前記電気式脱イオン装置の処理水が、ホウ素を1μg/L以下含有する超純水製造システム。」 の点で一致し、以下の点で一応相違する。 <相違点2-6> 本件発明9では、被処理水を、第1の逆浸透膜装置、電気式脱イオン装置及びホウ素除去装置で順番に処理しているのに対し、甲2発明では、原水を、第2の逆浸透膜装置、第1の電気脱イオン装置、第3の電気脱イオン装置の順番ではなく、第2の逆浸透膜装置、脱炭酸膜装置、第1の電気脱イオン装置、第3の電気脱イオン装置の順に処理している点。 <相違点2-7> 本件発明9では、電気式脱イオン装置の被処理水が、炭酸を1mg/L超含有し、かつ、電気式脱イオン装置の処理水が、前記炭酸が除去されているのに対し、甲2発明では、脱炭酸膜装置により処理され且つ第1の電気脱イオン装置に導入される前の被処理水の炭酸濃度が明らかではなく、また、第1の電気脱イオン装置で処理された脱塩水において炭酸が除去されているか否かも明らかでない点。 <相違点2-8> 本件発明9では、第1の逆浸透膜装置の濃縮水と電気式脱イオン装置の濃縮水との濃縮混合水を処理するための第2の逆浸透膜装置と、第2の逆浸透膜装置の透過水を、第1の逆浸透膜装置の前段に循環させる循環配管とを有するのに対し、甲2発明では、そのような構成を有していない点。 (イ)相違点2-7についての判断 事案に鑑み、相違点2-7をまず検討する。 相違点2-7は相違点2-2と実質的に同一の内容である。そのため、上記(3)イ(イ)に記載した理由と同様の理由により、上記相違点2-7に係る本件発明9の構成は、甲2発明及び甲1、3~6に記載の事項から容易に想到し得るとはいえない。 (ウ)小括 上記(イ)で述べたとおり、上記相違点2-7に係る本件発明9の構成は、甲2発明及び甲1、3~6に記載の事項から容易に想到し得るとはいえない。 してみれば、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明9は、甲2発明及び甲1、3~6に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 甲3~6を主引用文献とする場合 上記(3)ウに記載した理由と同様の理由により、本件発明9は、甲3~6を主引用文献としたとしても、甲1~6に記載された発明又は事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (7)本件発明10~14について 本件発明10~14は、いずれも本件発明9を直接又は間接的に引用し、本件発明1の構成をすべて具備するものであるから、本件発明9と同様に、本件発明10~14は、甲1~6に記載された発明又は事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (8)本件発明15について ア 甲1発明との対比・判断 (ア)対比 a 甲1発明の「原水」は、逆浸透膜装置に供給されて処理されるものであるので、本件発明15の「被処理水」に相当する。 また、甲1発明の追加の電気式脱イオン水製造装置は、逆浸透膜装置と電気式脱イオン水製造装置との間に設けられていることから、逆浸透膜装置、追加の電気式脱イオン水製造装置の順に水は処理されることになる。そのため、甲1発明の「追加の電気式脱イオン水製造装置」は、本件発明15の「電気式脱イオン装置」に相当するものとすることができる。 そしてここまでの対比内容を踏まえると、甲1発明の、「原水」を「逆浸透膜装置」に供給して透過させ、「逆浸透膜装置の透過水」を「前記追加の電気式脱イオン水製造装置」に供給する点は、本件発明15の「被処理水を、第1の逆浸透膜装置及び電気式脱イオン装置で順番に処理」する点に相当する。 b カチオンは陽イオンを、アニオンは陰イオンを意味するものであるので、甲1発明の「透過水」が供給される「追加の電気式脱イオン水製造装置の脱塩室」を備え、「脱塩室内には、アニオン交換体とカチオン交換体とが相互に混ざり合った混床構成で充填され、アニオン交換体としてアニオン交換樹脂が使用され、カチオン交換体としてカチオン交換樹脂が使用され」る点は、本件発明15の「電気式脱イオン装置は、前記電気式脱イオン装置の被処理水が供給される脱塩室と、前記脱塩室内に充填された陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂の混合体と、を有」する点に相当する。 c 甲1発明と本件発明15は、製造しているものが「純水」か「脱イオン水」かという違いはあるが、「水製造システム」についての発明であるという点では共通している。 d 上記a~cによると、本件発明15と甲1発明は、 「被処理水を、第1の逆浸透膜装置及び電気式脱イオン装置で順番に処理する水製造システムであって、 前記電気式脱イオン装置は、前記電気式脱イオン装置の被処理水が供給される脱塩室と、前記脱塩室内に充填された陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂の混合体と、を有する水製造システム。」 の点で一致し、以下の点で一応相違する。 <相違点1-14> 本件発明15では、純水の製造システムであるのに対し、甲1発明では、比抵抗が18.2MΩ・cmである脱イオン水の製造システムについての発明であり、比抵抗が18.2MΩ・cmである脱イオン水が純水にあたるか否かが明らかでない点。 <相違点1-15> 本件発明15では、電気式脱イオン装置の被処理水が、炭酸を1mg/L超含有し、かつ、電気式脱イオン装置の処理水は、前記炭酸が除去されているのに対し、甲1発明では、追加の電気式脱イオン水製造装置の被処理水の炭酸濃度が明らかではなく、また、追加の電気式脱イオン水製造装置の処理水で炭酸が除去されているか否かも明らかでない点。 <相違点1-16> 本件発明15では、電気式脱イオン装置の処理水がホウ素を1μg/L以下含有するのに対し、甲1発明では、追加の電気式脱イオン水製造装置の脱塩室を経由して電気式脱イオン水製造装置の脱塩室に供給される透過水のホウ素濃度は、1±0.2μg/Lである点。 <相違点1-17> 本件発明15では、第1の逆浸透膜装置の濃縮水と電気式脱イオン装置の濃縮水との濃縮混合水を処理するための第2の逆浸透膜装置と、前記第2の逆浸透膜装置の透過水を、前記第1の逆浸透膜装置の前段に循環させる循環配管とを有するのに対し、甲1発明では、そのような構成を有していない点。 (イ)相違点1-15についての判断 事案に鑑み、相違点1-15をまず検討する。 相違点1-15は相違点1-3と実質的に同一の内容である。そのため、上記(3)ア(イ)に記載した理由と同様の理由により、上記相違点1-15に係る本件発明15の構成は、甲1発明及び甲2~6に記載の事項から容易に想到し得るとはいえない。 (ウ)小括 上記(イ)で述べたとおり、上記相違点1-15に係る本件発明15の構成は、甲1発明及び甲2~6に記載の事項から容易に想到し得るとはいえない。 してみれば、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明15は、甲1発明及び甲2~6に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 甲2発明との対比・判断 (ア)対比 a 甲2発明の「超純水製造システム」は、本件発明15の「純水製造システム」に相当する。 b 甲2発明の「第2の逆浸透膜装置」、「第1の電気脱イオン装置」は、それぞれ本件発明1の「第1の逆浸透膜装置」、「電気式脱イオン装置」に相当する。 また、甲2発明で、「前処理装置は、第1の逆浸透膜装置と、第2の逆浸透膜装置と、脱炭酸膜装置とにより構成され」、「前処理装置で処理した処理水を第1の電気脱イオン装置の脱塩室に導入して脱イオン処理を行」うことは、本件発明15の「第1の逆浸透膜装置及び電気式脱イオン装置で順番に処理する」と、「第1の逆浸透膜装置及び電気式脱イオン装置で処理する」の点で共通する。 加えて、甲2発明の「処理水」が導入される「第1の電気脱イオン装置の脱塩室」を備える点は、本件発明15の「電気式脱イオン装置は、前記電気式脱イオン装置の被処理水が供給される脱塩室」「を有し」に相当する。 c 甲2発明の「イオン交換体としては、アニオン交換体、カチオン交換体、両性イオン交換体等が挙げられ、2種以上の混合物として用いてもよい」点からは、イオン交換体が、アニオン交換体とカチオン交換体の混合物の場合が含まれること理解できる。アニオンは陰イオンを、カチオンは陽イオンをそれぞれ意味するものであるので、甲2発明の「第1の電気脱イオン装置の脱塩室」に「イオン交換体が充填され」、「イオン交換体がアニオン交換体とカチオン交換体の混合物」である点は、本件発明15の「脱塩室内に充填された陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂の混合体」に相当する。 d 甲2発明では、第1の電気脱イオン装置で処理された脱塩水のホウ素濃度が44pptである。44pptは、0.044μg/Lに当たるため、本件発明15の電気式脱イオン装置の処理水のホウ素濃度である「1μg/L以下」の数値範囲に含まれる数値であり、甲2発明の「第1の電気脱イオン装置で処理された脱塩水のホウ素濃度が44ppt」は、本件発明15の「電気式脱イオン装置の処理水」が、「ホウ素を1μg/L以下含有する」に相当する。 e 上記a~dによると、本件発明15と甲2発明は、 「被処理水を、第1の逆浸透膜装置及び電気式脱イオン装置で処理する純水製造システムであって、 前記電気式脱イオン装置は、前記電気式脱イオン装置の被処理水が供給される脱塩室と、前記脱塩室内に充填された陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂の混合体と、を有し、 前記電気式脱イオン装置の処理水が、ホウ素を1μg/L以下含有する純水製造システム。」 の点で一致し、以下の点で一応相違する。 <相違点2-9> 本件発明15が、被処理水を、第1の逆浸透膜装置及び電気式脱イオン装置で順番に処理する構成であるのに対し、甲2発明は、第2の逆浸透膜装置、第1の電気脱イオン装置の順番ではなく、第2の逆浸透膜装置、脱炭酸膜装置、第1の電気脱イオン装置の順番に処理している点。 <相違点2-10> 本件発明15が、電気式脱イオン装置の被処理水が、炭酸を1mg/L超含有し、かつ、電気式脱イオン装置の処理水が、前記炭酸が除去されているのに対し、甲2発明では、脱炭酸膜装置により処理され且つ第1の電気脱イオン装置に導入される前の被処理水の炭酸濃度が明らかではなく、また、第1の電気脱イオン装置で処理された脱塩水において炭酸が除去されているか否かも明らかでない点。 <相違点2-11> 本件発明15が、第1の逆浸透膜装置の濃縮水と電気式脱イオン装置の濃縮水との濃縮混合水を処理するための第2の逆浸透膜装置と、前記第2の逆浸透膜装置の透過水を、前記第1の逆浸透膜装置の前段に循環させる循環配管とを有するのに対し、甲2発明はそのような構成を有していない点。 (イ)相違点2-10についての判断 事案に鑑み、相違点2-10をまず検討する。 相違点2-10は相違点2-2と実質的に同一の内容である。そのため、上記(3)イ(ウ)に記載した理由と同様の理由により、上記相違点2-10に係る本件発明15の構成は、甲2発明及び甲1、3~6に記載の事項から容易に想到し得るとはいえない。 (ウ)小括 上記(イ)で述べたとおり、上記相違点2-10に係る本件発明15の構成は、甲2発明及び甲1、3~6に記載の事項から容易に想到し得るとはいえない。 してみれば、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明15は、甲2発明及び甲1、3~6に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 甲3~6を主引用文献とする場合 上記(3)ウに記載した理由と同様の理由により、本件発明15は、甲3~6を主引用文献としたとしても、甲1~6に記載された発明又は事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第5 むすび 上記第4で検討したとおり、本件特許1~15は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとはいえないため、異議申立人の申立理由では、本件特許1~15を取り消すことはできない。 また、他に本件特許1~15を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700231

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