特許異議申立
2024-700819
予備処理方法、予備処理装置、尿素濃度測定方法、尿素濃度測定装置、超純水製造方法及び超純水製造システム
- 審判番号
- 2024-700819
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-020877
- 登録番号
- 7441066
- 請求日
- 2024年08月30日
- 審決日
- 2025年03月25日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】野村マイクロ・サイエンス株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人太陽国際特許事務所
- 【異議申立人】大矢 真紀子
- 審判長/審判官
- 審判長 南 宏輔
- 審判官 ▲高▼見 重雄
- 審判官 伊藤 幸仙
- 分類
- P1651.121-YAA(G01N) / P1651.536-YAA(G01N) / P1651.537-YAA(G01N) / P1651.851-YAA(G01N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第6項、特許法第126条第5項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第120条の5第4項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7441066号発明「予備処理方法、予備処理装置、尿素濃度測定方法、尿素濃度測定装置、超純水製造方法及び超純水製造システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7441066号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔5〕、〔6-7〕について訂正することを認める。
特許第7441066号の請求項1-7に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7441066号の請求項1ないし7に係る特許についての出願(以下「本件出願」という。)は、令和2年2月10日の出願であって、令和6年2月20日にその特許権の設定登録がされ、同年2月29日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和6年 8月30日 :特許異議申立人 大矢真紀子(以下「申立人」
という。)による請求項1ないし7に係る特許
に対する特許異議の申立て
同年10月22日付け:取消理由通知書
同年12月13日 :特許権者による意見書及び訂正請求書(以下
「訂正請求書」という。)の提出
令和7年 1月21日付け:当審合議体から申立人への、訂正請求が
あった旨の通知書
なお、令和7年1月21日付けの当審合議体からの通知書に対し、申立人は定められた期間内に意見書を提出することはなかった。
第2 訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
本件訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の請求の趣旨は、特許請求の範囲を、同訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔5〕、〔6-7〕について訂正することを求めるものであり、その内容は、以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示している。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項5の
「原水に対する処理により超純水を生成し前記超純水が使用されるユースポイントまで前記超純水を送り、
前記原水から前記超純水までのいずれかの段階の液を測定対象液とし、前記測定対象液に対し前記測定対象液の単位体積当たりで、1.0Wh/L以上20Wh/L以下の照射エネルギーで紫外線を照射し、
尿素以外の有機物が分解された前記測定対象液に対し、全有機炭素量を全有機炭素計により測定する、超純水製造方法。」を、
「原水に対する処理により超純水を生成し前記超純水が使用されるユースポイントまで前記超純水を送り、
前記原水から前記超純水までのいずれかの段階の液を測定対象液とし、前記測定対象液に対し前記測定対象液の単位体積当たりで、1.0Wh/L以上20Wh/L以下の照射エネルギーで紫外線を照射し、
尿素以外の有機物が分解された前記測定対象液に対し、全有機炭素量を全有機炭素計により測定することにより前記測定対象液に含まれる尿素濃度を得る、超純水製造方法。」
に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項6の
「原水に対する処理により超純水を生成し前記超純水が使用されるユースポイントまで前記超純水を送る超純水製造装置と、
前記超純水製造装置における前記原水から前記超純水までのいずれかの段階の液を測定対象液とし、測定対象液に対し前記測定対象液の単位体積当たりで、1.0Wh/L以上20Wh/L以下の照射エネルギーで紫外線を照射する予備処理装置と、
前記予備処理装置による前記紫外線の照射により尿素以外の有機物が分解された前記測定対象液に対し、全有機炭素量を測定する全有機炭素計と、
を有する超純水製造システム。」を、
「原水に対する処理により超純水を生成し前記超純水が使用されるユースポイントまで前記超純水を送る超純水製造装置と、
前記超純水製造装置における前記原水から前記超純水までのいずれかの段階の液を測定対象液とし、測定対象液に対し前記測定対象液の単位体積当たりで、1.0Wh/L以上20Wh/L以下の照射エネルギーで紫外線を照射する予備処理装置と、
前記予備処理装置による前記紫外線の照射により尿素以外の有機物が分解された前記測定対象液に対し、全有機炭素量を測定する全有機炭素計と、
を有し、前記全有機炭素計の測定値から前記測定対象液に含まれる尿素濃度を得る、超純水製造システム。」
に訂正する(請求項6の記載を引用する請求項7についても同様に訂正する。)。
2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否、一群の請求項、独立特許要件
(1)訂正事項1について
ア 訂正前の請求項5に係る発明の「尿素以外の有機物が分解された前記測定対象液に対し、全有機炭素量を全有機炭素計により測定する」を、「尿素以外の有機物が分解された前記測定対象液に対し、全有機炭素量を全有機炭素計により測定することにより前記測定対象液に含まれる尿素濃度を得る」とする訂正は、訂正前の請求項5に係る発明の「尿素以外の有機物が分解された前記測定対象液に対し、全有機炭素量を全有機炭素計により測定する」構成を「尿素以外の有機物が分解された前記測定対象液に対し、全有機炭素量を全有機炭素計により測定することにより前記測定対象液に含まれる尿素濃度を得る」構成に限定することにより、減縮しようとするものである。したがって、当該訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 上記「ア」から明らかなように、訂正事項1は、訂正前の請求項5に係る発明の「尿素以外の有機物が分解された前記測定対象液に対し、全有機炭素量を全有機炭素計により測定する」構成を「尿素以外の有機物が分解された前記測定対象液に対し、全有機炭素量を全有機炭素計により測定することにより前記測定対象液に含まれる尿素濃度を得る」構成に限定するものであり、訂正前の請求項5の記載について、訂正前の請求項5に記載された発明のカテゴリーを変更するものでもなく、かつ、訂正前の請求項5に記載された発明の対象や目的を変更するものとはならない。したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ そして、「尿素以外の有機物が分解された前記測定対象液に対し、全有機炭素量を全有機炭素計により測定することにより前記測定対象液に含まれる尿素濃度を得る」ことについては、本件特許の明細書の段落【0063】ないし【0067】に、
「【0063】
TOC計54の内部では、脱炭酸装置56の下流において、測定対象液の流路が分岐されており、一方の流路に、酸化装置58及びCO2検出装置60が設けられると共に、他方の流路にCO2検出装置62が設けられている。
【0064】
TOC計54の酸化装置58は、例えば測定対象液に対し紫外線を照射することで、測定対象液に含まれる有機物を、尿素も含めて酸化させる。実質的には、測定対象液に含まれる有機物のうち、尿素以外の成分の殆どは除去されているので、酸化装置58で酸化される有機物は尿素である。すなわち、酸化装置58では、測定対象液中の尿素が酸化分解され、この段階であらためて二酸化炭素が発生する。
【0065】
TOC計54のCO2検出装置60、62は、処理対象液中の二酸化炭素の量を測定する。この二酸化炭素の量は、酸化分解された測定対象液中の有機物中に含まれる炭素の量に比例している。
【0066】
ここで、CO2検出装置60の上流側では測定対象液中の有機物が酸化装置58によって酸化されており、CO2検出装置60は測定対象液の全炭素濃度を検出する。これに対し、CO2検出装置62の上流側では測定対象液中の有機物が酸化装置58によって酸化されておらず、CO2検出装置62は測定対象液の無機炭素濃度を検出する。TOC計54では、次の式(1)に示すように、CO2検出装置60で検出した全炭素濃度から、CO2検出装置62で検出した無機炭素濃度を引くことで、測定対象液の全有機炭素濃度を得る。
全有機炭素濃度=全炭素濃度-無機炭素濃度 (1)
【0067】
なお、例えば先述の濾過装置50の有機物除去率や脱炭酸装置56の炭酸除去率が大きい場合、尿素の一部がTOC計54の酸化装置58に達するまでに除去されていることがある。そうした場合は、これらの尿素除去率をあらかじめ調べておき、それによってTOC計54による尿素濃度測定結果に補正をかければ、尿素濃度をさらに精度よく求めることができる。」(下線部は当審で付与した。)
と記載されていることから、願書に添付された明細書に記載した事項であるといえる。
エ 上記「ウ」より、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(2)訂正事項2について
ア 訂正前の請求項6に係る発明の「超純水製造システム」を、新たに「前記全有機炭素計の測定値から前記測定対象液に含まれる尿素濃度を得る」構成を備えることとする訂正は、訂正前の請求項5に係る発明の「超純水製造システム」を「前記全有機炭素計の測定値から前記測定対象液に含まれる尿素濃度を得る」構成を備えるシステムに限定することにより、減縮しようとするものである。したがって、当該訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 上記「ア」から明らかなように、訂正事項2は、訂正前の請求項6に係る発明の「超純水製造システム」を「前記全有機炭素計の測定値から前記測定対象液に含まれる尿素濃度を得る」構成を備えるシステムに限定するものであり、訂正前の請求項6の記載について、訂正前の請求項6に記載された発明のカテゴリーを変更するものでもなく、かつ、訂正前の請求項6に記載された発明の対象や目的を変更するものとはならない。したがって、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ そして、「前記全有機炭素計の測定値から前記測定対象液に含まれる尿素濃度を得る」ことについては、本件特許の明細書の段落【0063】ないし【0067】に、
「【0063】
TOC計54の内部では、脱炭酸装置56の下流において、測定対象液の流路が分岐されており、一方の流路に、酸化装置58及びCO2検出装置60が設けられると共に、他方の流路にCO2検出装置62が設けられている。
【0064】
TOC計54の酸化装置58は、例えば測定対象液に対し紫外線を照射することで、測定対象液に含まれる有機物を、尿素も含めて酸化させる。実質的には、測定対象液に含まれる有機物のうち、尿素以外の成分の殆どは除去されているので、酸化装置58で酸化される有機物は尿素である。すなわち、酸化装置58では、測定対象液中の尿素が酸化分解され、この段階であらためて二酸化炭素が発生する。
【0065】
TOC計54のCO2検出装置60、62は、処理対象液中の二酸化炭素の量を測定する。この二酸化炭素の量は、酸化分解された測定対象液中の有機物中に含まれる炭素の量に比例している。
【0066】
ここで、CO2検出装置60の上流側では測定対象液中の有機物が酸化装置58によって酸化されており、CO2検出装置60は測定対象液の全炭素濃度を検出する。これに対し、CO2検出装置62の上流側では測定対象液中の有機物が酸化装置58によって酸化されておらず、CO2検出装置62は測定対象液の無機炭素濃度を検出する。TOC計54では、次の式(1)に示すように、CO2検出装置60で検出した全炭素濃度から、CO2検出装置62で検出した無機炭素濃度を引くことで、測定対象液の全有機炭素濃度を得る。
全有機炭素濃度=全炭素濃度-無機炭素濃度 (1)
【0067】
なお、例えば先述の濾過装置50の有機物除去率や脱炭酸装置56の炭酸除去率が大きい場合、尿素の一部がTOC計54の酸化装置58に達するまでに除去されていることがある。そうした場合は、これらの尿素除去率をあらかじめ調べておき、それによってTOC計54による尿素濃度測定結果に補正をかければ、尿素濃度をさらに精度よく求めることができる。」(下線部は当審で付与した。)
と記載されていることから、願書に添付された明細書に記載した事項であるといえる。
エ 上記「ウ」より、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(3)一群の請求項及び独立特許要件について
訂正前の請求項5は、他の請求項を引用しない独立形式の請求項であり、訂正前の請求項5を引用する請求項は存在しないことから、請求項5は一群の請求項である。そして、上記訂正事項1は、その一群の請求項〔5〕においてなされたものである。
また、訂正前の請求項6は、他の請求項を引用しない独立形式の請求項であり、訂正前の請求項7は、独立請求項である請求項6を引用するものであるから、請求項6及び7は一群の請求項である。そして、上記訂正事項2は、その一群の請求項〔6-7〕においてなされたものである。
よって、上記訂正事項1及び2は、特許法第120条の5第4項で規定する当該一群の請求項ごとに請求されているものである。
また、本件においては、訂正前の請求項1ないし7について特許異議の申立てがされているので、訂正後の特許請求の範囲の請求項5ないし7に係る発明に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
3. 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、本件訂正に係る訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔5〕、〔6-7〕について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
本件訂正により訂正された請求項1ないし7に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明7」という。)は、本件訂正に係る訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
測定対象液の全有機炭素量を全有機炭素計により測定する前段階で、前記測定対象液に対し前記測定対象液の単位体積当たりで、1.0Wh/L以上20Wh/L以下の照射エネルギーで紫外線を照射する測定対象液の尿素濃度測定装置における予備処理方法。
【請求項2】
測定対象液の全有機炭素量を測定する全有機炭素計よりも前記測定対象液の流れの上流側に設けられ、前記測定対象液に対し前記測定対象液の単位体積当たりで、1.0Wh/L以上20Wh/L以下の照射エネルギーで紫外線を照射する測定対象液の尿素濃度測定装置における予備処理装置。
【請求項3】
測定対象液に対し前記測定対象液の単位体積当たりで、1.0Wh/L以上20Wh/L以下の照射エネルギーで紫外線を照射し、
尿素以外の有機物が分解された前記測定対象液に対し、全有機炭素量を全有機炭素計により測定する尿素濃度測定方法。
【請求項4】
測定対象液に対し前記測定対象液の単位体積当たりで、1.0Wh/L以上20Wh/L以下の照射エネルギーで紫外線を照射する予備処理装置と、
前記予備処理装置による前記紫外線の照射により尿素以外の有機物が分解された前記測定対象液に対し、全有機炭素量を測定する全有機炭素計と、
を有する尿素濃度測定装置。
【請求項5】
原水に対する処理により超純水を生成し前記超純水が使用されるユースポイントまで前記超純水を送り、
前記原水から前記超純水までのいずれかの段階の液を測定対象液とし、前記測定対象液に対し前記測定対象液の単位体積当たりで、1.0Wh/L以上20Wh/L以下の照射エネルギーで紫外線を照射し、
尿素以外の有機物が分解された前記測定対象液に対し、全有機炭素量を全有機炭素計により測定することにより前記測定対象液に含まれる尿素濃度を得る、超純水製造方法。
【請求項6】
原水に対する処理により超純水を生成し前記超純水が使用されるユースポイントまで前記超純水を送る超純水製造装置と、
前記超純水製造装置における前記原水から前記超純水までのいずれかの段階の液を測定対象液とし、測定対象液に対し前記測定対象液の単位体積当たりで、1.0Wh/L以上20Wh/L以下の照射エネルギーで紫外線を照射する予備処理装置と、
前記予備処理装置による前記紫外線の照射により尿素以外の有機物が分解された前記測定対象液に対し、全有機炭素量を測定する全有機炭素計と、
を有し、前記全有機炭素計の測定値から前記測定対象液に含まれる尿素濃度を得る、超純水製造システム。
【請求項7】
前記超純水製造装置が、
前記原水に対する一次処理により一次純水を生成する一次純水装置と、
前記一次純水に対する二次処理により前記超純水を生成する二次純水装置と、
を有し、
前記予備処理装置及び前記全有機炭素計が、前記二次純水装置と前記ユースポイントの間に設けられる請求項6に記載の超純水製造システム。」
第4 特許異議の申立ての概要について
1.特許異議の申立てにおける証拠
令和6年8月30日提出の特許異議申立書(以下「異議申立書」という。)に添付された甲第1ないし6号証は以下のとおりである。
甲第1号証:特開2019-155275号公報
甲第2号証:特開2008-173617号公報
甲第3号証:特開2004-25184号公報
甲第4号証:特開平7-75780号公報
甲第5号証:特開2016-5829号公報
甲第6号証:特開2016-107249号公報
2.特許異議の申立ての理由について
申立人によりなされた特許異議の申立ての理由の要旨は次のとおりである。
(1)異議申立理由1
本件訂正前の請求項5及び6に係る発明は、甲第1号証に開示された発明、甲第2号証ないし甲第4号証に記載の技術事項を参照ないし適用し、当業者が容易に発明することができたものであるから、それらの特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
(2)異議申立理由2
本件訂正前の請求項1ないし7に係る発明は、本件特許発明の範囲まで、出願時の技術常識に照らしても発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえないから、発明の詳細な説明に記載された発明であるとはいえず、それらの特許は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
(3)異議申立理由3
本件特許の明細書の発明の詳細な説明は、本件訂正前の請求項1ないし7に係る発明について、特定の実施の形態のみが実施可能に記載されているにすぎず、本件特許発明に含まれる他の部分についてはその実施をすることができないことが明らかであることから、当業者が当該発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載されたものであるとはいえず、それらの特許は特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
第5 取消理由通知に記載した取消理由
1.取消理由の概要
訂正前の請求項5及び6に係る特許に対して、当審が令和6年10月22日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(1)取消理由1(進歩性)訂正前の請求項5及び6に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2ないし6号証に開示された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。したがって、上記請求項5及び6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
第6 甲号証の記載事項
1.甲第1号証
本件出願(以下「本願」という。)の出願前に頒布された甲第1号証には、図面と共に以下の技術事項が記載されている。(下線は当審で付与した。以下同様。)
(1)「【0015】
図1に示す本発明の実施の一形態の水処理管理装置1は、例えば超純水製造システムなどの水処理システムがあるとして、水処理システムの運転管理のために使用されるものである。水処理システムが使用する原水はタンク11に一時的に貯えられてその水処理システムに供給されるものとする。原水は、例えば工業用水であったり回収水であったりするが、以下の説明では、水処理システムに供給されるべき水を広く原水と呼ぶことにする。ここに示した例では、水処理管理装置1は、タンク11の入口側において原水の配管に接続し、タンク11に供給されるべき原水を対象水としてこの対象水についての監視と評価を行い、例えば、原水中における難分解性TOC成分の存在を確認し、必要に応じて濃度などを監視するものである。評価結果は、例えばタンク11への原水の供給の制御などに使用される。例えば、タンク11に対して複数の供給源からの水が供給され、これらの水を混合して水処理システムに供給する場合には、評価結果に基づいて、少なくとも1つの供給源からの水の供給量の制御を行うことができる。
【0016】
水処理管理装置1は、熱交換器(HE)21を介して原水が供給される逆浸透膜装置(RO)22と、紫外線酸化装置(UV)23と、紫外線酸化装置23の出口に接続されたカートリッジポリッシャー(CP)24と、TOC濃度を測定する計測器25と、を備えている。逆浸透膜装置22において逆浸透膜を透過しなかった水はRO濃縮水として排水され、逆浸透膜を透過した水(RO透過水)が紫外線酸化装置23に供給されるようになっている。カートリッジポリッシャー24は非再生型のイオン交換装置であってアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂が混床で充填されたものである。カートリッジポリッシャー24は、そこを流れる水の中のイオン成分を除去するとともに、紫外線酸化装置23により有機物を分解したときに発生する分解生成物を除去するために設けられている。
【0017】
一般に、原水が供給される逆浸透膜装置と、逆浸透膜装置の透過水が供給される紫外線酸化装置と、紫外線酸化装置で紫外線酸化処理を受けた水が供給されるカートリッジポリッシャーとからなる装置は、原水から純水(超純水)を生成するために用いられる。したがって本実施形態の水処理管理装置も、逆浸透膜装置22の入口からカートリッジポリッシャー24の出口までの部分は評価用純水製造部2として構成されていることになり、カートリッジポリッシャー24から流れ出る水は純水であることになる。カートリッジポリッシャー24からの純水は、流量調整弁33bを介して外部に排出される。この評価用純水製造部2では、逆浸透膜装置22及び紫外線酸化装置23は、いずれも、被処理水中のTOC成分を除去する単位操作を実行する機器である。
【0018】
この水処理管理装置1は、原水を監視し評価するために、内蔵する評価用純水製造部2により実際に純水を生成しつつ、評価用純水製造部2の入口と出口とを少なくとも含む評価用純水製造部2における複数の箇所、すなわち複数の測定点においてTOC濃度を測定する。複数の測定点でのTOC濃度の測定結果を対比したりその相関を求めることで、あるいはTOC濃度の変化の傾向を調べることで、原水の水質、特に難分解性TOC成分の濃度や挙動を評価することができ、この評価結果に基づいて水処理システムへの原水の供給を制御することができる。一例として、評価用純水製造部2の入口におけるTOC濃度すなわち原水のTOC濃度が高く、かつ、入口での濃度と比べて出口でのTOC濃度がそれほど低下しない場合には、原水に難分解性TOC成分が多く含まれている、と評価することができる。
【0019】
計測器25は、評価用純水製造部2の入口と出口とを少なくとも含む評価用純水製造部2における複数の測定点におけるTOC濃度を測定するためのものである。図1に示すものでは具体的には、計測器25は、逆浸透膜装置22に供給されるべき原水と、逆浸透膜装置22の透過側の出口水(RO透過水)と、カートリッジポリッシャー24の出口水すなわち純水のTOC濃度を測定する。図1に示す水処理管理装置1では計測器25は1台しか設けられていないから、これらの3つの測定点での水を切り替えて計測器25に供給できるように、配管や弁が設けられている。」
(2)「【0025】
次に、本発明に基づく水処理管理装置を備える水処理システムについて説明する。図3は、水処理管理装置1を備えた水処理システムを示しており、ここでは水処理システムは超純水製造システムであるものとする。
【0026】
図示される超純水製造システムでは、実際に原水から超純水を生成する本体部3は、原水タンク11から原水が供給されて一次純水を生成する一次純水システム50と、一次純水システム50で生成した一次純水が供給されて超純水を生成する二次純水システム60とからなっている。原水タンク11には複数の供給源からの水が独立して供給され、これらの水が原水タンク11において混合されるようになっている。図3に示したものでは、工業用水が制御弁43を介して原水タンク11に供給され、回収水が制御弁44を介して原水タンク11に供給されるようになっている。工業用水における難分解性TOC成分の量は十分に低いものの、回収水における難分解性TOC成分濃度は時間変化することが予想され、時には超純水製造システムが受け入れる限度を大きく超える量の難分解性TOC成分が回収水に含まれることも想定される。水資源の有効活用の観点から、工業用水の使用量を減らしてできるだけ回収水を使用するという要求がある。
【0027】
超純水製造システムの一次純水システム50は、活性炭装置(AC)51、逆浸透膜装置(RO)52、脱気装置(DG)53、再生型イオン交換装置(IER)54とをこの順で直列に接続したものであり、原水は活性炭装置51に供給され、一次純水は再生型イオン交換装置54から流出する。二次純水システム60は、一次純水を貯える一次純水タンク61を備え、一次純水タンク61に対し、紫外線酸化装置(UV)62、カートリッジポリッシャー(CP)63及び限外濾過膜装置(UF)64がこの順に接続したものである。限外濾過膜装置64からユースポイントに超純水が供給される。二次純水システム60では、図において配管65によって示すように、限外濾過膜装置64から流出する超純水を一次純水タンク61に戻すことによって循環精製を行なうようにしてもよい。
【0028】
原水タンク11に流入する回収水のライン45は、図1を用いて説明した水処理管理装置1が接続している。水処理管理装置は、計測器25での計測結果を解析して回収水の水質を評価する解析部41と、解析部41での評価結果に応じて制御弁43,44を制御する供給水制御部42を備えている。供給水制御部42は、例えば、回収水における難分解性TOC成分の濃度が上昇したと解析部41において評価されたときに、原水タンク11への回収水の供給量を減らして工業用水の供給量を増やす、もしくは回収水のみ供給を停止するように、制御弁43,44を制御する。その後、難分解性TOC成分の濃度が低下したら、弁43,44の開閉を元に戻すように制御する。
【0029】
水処理管理装置1内にも逆浸透膜装置22、紫外線酸化装置23及びカートリッジポリッシャー24からなる評価用純水製造部2が形成されているが、図3に示す機器配置からも明らかなように、この評価用純水製造部2から得られる純水の水質よりも二次純水システム60から得られる超純水の水質の方が高品質となっている。図3に示す超純水製造システムでは、一次純水システム50及び二次純水システム60からなる超純水製造システムの本体部3とは非等価な構成であって小型の純水製造システムである評価用純水製造部2が水処理管理装置内に設けられており、この評価用純水製造部2によって原水の水質を監視するので、原水の水質の変化を迅速に知ることができ、水質の悪化した原水が超純水製造システムに供給されることを防止することができる。
【0030】
次に、解析部41における水質の評価について説明する。解析部41において水質の評価を行なうためには、あらかじめ、解析部41に判断基準を設定する必要がある。まず、判断基準の設定について説明する。
【0031】
水処理管理システムでは、計測器25により、原水、逆浸透膜装置22の透過水、及びカートリッジポリッシャー24からの純水のTOC濃度が測定される。そこで、原水のTOC濃度をTOC1とし、逆浸透膜装置22の透過水のTOC濃度をTOC2とし、カートリッジポリッシャー24からの純水のTOC濃度をTOC3とする。そして、1-(TOC2/TOC1)を「RO除去率」と定義し、1-(TOC3/TOC2)を「UV+CP除去率」と定義する。また、1-(TOC3/TOC1)を「総合除去率」とする。
【0032】
TOC成分を含む複数種類の模擬水を用意し、そのうち少なくとも1種類の模擬水は難分解性TOC成分を含むものとする。難分解性TOC成分とは超純水製造システムでは除去しにくい有機物のことであるが、図3に示すシステムでは、逆浸透膜処理及び紫外線酸化処理の少なくとも一方によっては除去されにくい有機物が難分解性TOC成分ということになる。特に本発明は、逆浸透膜処理と紫外線酸化処理の両方によっても除去されにくい有機種に対して適用される。そのような難分解性TOC成分としては、尿素などが挙げられる。
【0033】
用意した模擬水のそれぞれを原水として水処理管理装置に供給し、それぞれの模擬水ごとにTOC濃度TOC1~TOC3を求め、各除去率を計算する。そして、難分解性TOC成分を含む模擬水と難分解性TOC成分を含まない模擬水との間での除去率の違いから、難分解性TOC成分が原水に含まれると判定するための基準を決定する。例えば、RO除去率が50%以下であり、UV+CP除去率が20%以下であれば、原水に一定量以上の難分解性TOC成分が流入したと判断することとする。難分解性TOC成分が含まれていても濃度が低く除去率で判断することが困難な場合などには、TOC測定値の時間変化に基づいて判断してもよい。
【0034】
このように判断基準を定めたら、解析部41にこの判断基準を設定する。その後、実際に超純水製造システムに供給する原水を原水タンク11に導入し、原水タンク11に流入する手前で原水を水処理管理装置によって監視することにより、超純水製造システムの管理を開始する。解析部41は、計測器25からの計測結果に基づいて継続的に各除去率を算出し、算出した各除去率に判断基準を当てはめて判断を行う。そして、難分解性TOC成分が一定量以上流入したと判断した場合には、解析部41は、供給水制御部42に信号を出力する。供給水制御部42は、この信号を受信したときに、例えば回収水の制御弁44を閉じる制御を行なう。これにより、原水タンク11への難分解性TOC成分のさらなる流入が防止され、超純水製造システムは所定の品質を有する超純水を継続して生成できる。
【0035】
ここでは、解析部41が、複数の測定点において測定されたTOC濃度値に基づいて測定点の間でのTOC除去率を算出し、TOC除去率に基づいて原水を評価する場合を説明した。しかしながら、解析部41における評価方法は、これに限定されるものではない。例えば、複数の測定点において測定されたTOC濃度値に基づいてTOC濃度値及びTOC除去率の少なくとも一方の時間変化(あるいは変化のトレンド)に基づいて原水を評価するようにしてもよい。
【0036】
図3に示した水処理システムでは、逆浸透膜装置22、紫外線酸化装置23及びカートリッジポリッシャー24を備える評価用純水製造部2を水処理管理装置1に設けることで、超純水製造システムでの原水タンク11から限外濾過膜装置64までの系での難分解性TOC成分の挙動をシミュレートし、原水の評価を行なっている。超純水製造システムは、一次純水システム50と二次純水システム60とから構成されているが、二次純水システム60自体を水処理システムと考え、二次純水システム60に供給されるべき水、例えば一次純水システム50からの一次純水を評価する場合にも本発明に基づく水処理管理装置を使用することができる。一次純水タンク61に供給される水の評価を行なおうとする場合には、評価対象の水が水処理管理装置が供給されるようにするとともに、二次純水システム60の構成に対応させて、水処理管理装置の評価用純水製造部には紫外線酸化装置及びカートリッジポリッシャーを設ければよい。すなわち、本発明に基づく水処理管理装置では、管理対象の水処理システムの機器構成に対応して、水処理管理装置内の評価用純水製造部の構成を決めればよい。評価の結果、例えば一次純水システム50からの一次純水に難分解性TOC成分が一定以上含まれると判断されるときは、一次純水タンク61への該当ラインからの一次純水の供給量を減らすか、供給を停止し、別のバックアップラインからの供給量を増やすなどの制御を行なうことができる。」
(3)「【0042】
[実施例1]
図1に示す水処理管理装置を組み立て、難分解性TOC成分とそれ以外のTOC成分とを判別した。難分解性TOC成分ではないTOC成分としてそれぞれイソプロピルアルコール、メチルアルコール及びアセトンを含む模擬水1~3と難分解性TOC成分として尿素を含む模擬水4とを用意し、温度一定の条件でこれらの模擬水1~4を原水として水処理管理装置に供給した。逆浸透膜装置22への通水流量を550mL/分とし、逆浸透膜装置22から排出される濃縮水流量を300mL/分とし、透過水流量を250mL/分として、原水のTOC濃度TOC1、逆浸透膜装置22からの透過水のTOC濃度TOC2、及びカートリッジポリッシャー24からの純水のTOC濃度TOC3を測定し、RO除去率(=1-(TOC2/TOC1))、UV+CP除去率(=1-(TOC3/TOC2))、及び総合除去率(=1-(TOC3/TOC1))を求めた。TOC濃度TOC3を求めるときは、相互に直列に接続された紫外線酸化装置16及びカートリッジポリッシャー17への通水流量を250mL/分とした。結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
[図:0001423520000001.jpg]
表1に示されるように、TOC成分が何であるかに応じて各除去率が異なってくる。ここで、「RO除去率が50%以下、かつUV+CP除去率が20%以下であれば、難分解性TOC成分が原水に含まれる」という判断基準をあらかじめ定めておけば、難分解性TOC成分である尿素を含む模擬水4が原水として水処理管理装置に供給されたときに、原水に難分解性TOC成分が一定以上含まれる、と判断できたことになる。「難分解性TOC成分が原水に含まれる」ことの判断基準は、種々の模擬水を水処理管理装置に供給してそのときのTOC濃度値や各除去率の値から事前に決定することができる。
【0044】
ここでは模擬水1~4の各々は、単一の有機種のみをTOC成分として含んでいる。しかしながら、模擬水ではない一般的な原水には複数の有機種がTOC成分として含まれていると考えられる。また、原水における難分解性TOC成分の濃度は一定ではなく、時間の経過とともに変動すると考えられる。そこで、それまでは安定していた各TOC濃度、特に逆浸透膜装置22からの透過水のTOC濃度TOC2及びカートリッジポリッシャー24からの純水のTOC濃度TOC3の両方が増加したとき、あるいは、RO除去率及びUV+CP除去率の両方が低下したときを異常時として、この異常時を検出したときに、難分解性TOC成分とそうでないTOC成分とが混在する場合において難分解性TOC成分の濃度が上昇した、と判断することができる。難分解性TOC成分の濃度が上昇したと判断した場合には、例えば図3に示すような超純水製造システムにおいて、原水タンク11への回収水の流入を減らすように制御することができる。
【0045】
TOC濃度TOC2,TOC3がどこまで大きくなったら難分解性TOC成分が含まれるようになったと言えるかという具体的な判断基準は、予め模擬水を使用した試験によって定めておくことができる。この基準は、原水の水質のほかに水処理システムの構成や超純水のTOCスペックによっても最適な値が異なる。ここでは、TOC濃度値の代わりに、1からTOC除去率を差し引くことによって算出されるTOC残存率を用いてもよい。例えば、TOC濃度値がある期間の間一定していてその後、上昇した場合に、TOC濃度値の上昇率が20%以上となったら、あるいはTOC残存率が70%以上となったら、難分解性TOC成分が含まれるようになった、と判断することができる。」
(4)「【図1】
[図:0001423520000002.jpg]
」
(5)「【図3】
[図:0001423520000003.jpg]
」
(6)上記甲第1号証の記載事項及び図面を総合勘案すると、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「超純水製造システムにおいて、
超純水製造システムは、実際に原水から超純水を生成する本体部3と、評価用純水製造部2を内蔵する水処理管理装置1と、を備え、
実際に原水から超純水を生成する本体部3は、回収水が供給される原水タンク11から原水が供給されて一次純水を生成する一次純水システム50と、一次純水システム50で生成した一次純水が供給されて超純水を生成する二次純水システム60とからなり、
原水タンク11には複数の供給源からの水が独立して供給され、これらの水が原水タンク11において混合され、超純水製造システムに供給されるようになっており、原水タンク11に流入する回収水のライン45は、水処理管理装置1が接続しており、
水処理管理装置1は、熱交換器(HE)21を介して原水が供給される逆浸透膜装置(RO)22と、紫外線酸化装置(UV)23と、紫外線酸化装置23の出口に接続されたカートリッジポリッシャー(CP)24とからなる評価用純水製造部2と、TOC濃度を測定する計測器25と、を備え、逆浸透膜装置22において逆浸透膜を透過しなかった水はRO濃縮水として排水され、逆浸透膜を透過した水(RO透過水)が紫外線酸化装置23に供給されるようになっており、カートリッジポリッシャー24は非再生型のイオン交換装置であってアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂が混床で充填されたものであり、そこを流れる水の中のイオン成分を除去するとともに、紫外線酸化装置23により有機物を分解したときに発生する分解生成物を除去するために設けられており、計測器25は、評価用純水製造部2の入口と出口とを少なくとも含む評価用純水製造部2における複数の測定点におけるTOC濃度を測定するためのものであり、逆浸透膜装置22に供給されるべき原水と、逆浸透膜装置22の透過側の出口水(RO透過水)と、カートリッジポリッシャー24の出口水すなわち純水のTOC濃度を測定し、
水処理管理装置1は、原水を監視し評価するために、内蔵する評価用純水製造部2により実際に純水を生成しつつ、評価用純水製造部2の入口と出口とを少なくとも含む評価用純水製造部2における複数の箇所、すなわち複数の測定点においてTOC濃度を測定し、複数の測定点でのTOC濃度の測定結果を対比したりその相関を求めることで、あるいはTOC濃度の変化の傾向を調べることで、原水の水質、特に難分解性TOC成分の濃度や挙動を評価することができ、この評価結果に基づいて水処理システムへの原水の供給を制御することができ、一例として、評価用純水製造部2の入口におけるTOC濃度すなわち原水のTOC濃度が高く、かつ、入口での濃度と比べて出口でのTOC濃度がそれほど低下しない場合には、原水に逆浸透膜処理と紫外線酸化処理の両方によっても除去されにくい尿素などの難分解性TOC成分(有機物)が多く含まれている、と評価することができ、
超純水製造システムに供給する原水を原水タンク11に導入し、原水タンク11に流入する手前で原水を水処理管理装置によって監視することにより、超純水製造システムの管理を行う、
超純水製造システム及び超純水製造方法。」
2.甲第2号証
本願の出願前に頒布された甲第2号証には、図面と共に以下の技術事項が記載されている。
(1)「【0038】
(実施例1)
図2は、亜酸化窒素添加手段及び紫外線照射装置を備えた、有機化合物の模擬分解装置10の構成を示す図である。有機化合物の模擬分解装置10は、模擬水溶液である尿素水溶液を貯槽したガラス製の容器11と、尿素水溶液を攪拌する攪拌子12と、尿素水溶液中に配置され、かつ240nm以下の波長を含む紫外線を照射する紫外線照射装置13(石英試験管14と、石英試験管14内に配置される低圧紫外線ランプ15とで構成される)と、尿素水溶液中に亜酸化窒素ガスを添加する亜酸化窒素添加手段16(N2Oガス供給ライン17と、N2Oガス供給ライン17に接続され尿素水溶液中に亜酸化窒素ガスをバブリングするガラス製散気管18とで構成される)を備えている。
【0039】
尿素水溶液を容器11に収容し、N2Oガス供給ライン17により亜酸化窒素ガスを供給し、ガラス製散気管18を通じて尿素水溶液中にバブリングさせながら添加し、紫外線照射装置13により紫外線を照射して、有機化合物の分解模擬装置10を用いた有機化合物の分解試験を行った。試験条件は、初期尿素濃度1mg・C/L、尿素水溶液量3L、温度23℃、紫外線出力1.32W、N2Oガス純度99.999vol%以上、注入N2Oガス流量5mL/minである。
尿素水溶液中の全有機性炭素濃度(TOC)を測定し、紫外線照射量に対するTOC残存率(100×残存有機性炭素濃度/初期有機性炭素濃度)の変化を求めた。図3は、有機化合物の模擬分解装置10を用いて、尿素を分解した結果を示す図である。図3では、比較例として、亜酸化窒素を添加しなかったこと以外は、実施例1と全く同一にして、紫外線を照射した場合も示している。図3の縦軸は、TOC残存率(100×残存有機性炭素濃度/初期有機性炭素濃度)(%)、横軸は、紫外線の照射量(kW・hr/m3)を示す。
【0040】
図3から明らかなように、尿素水溶液に亜酸化窒素を添加せずに4kW・hr/m3の紫外線を照射した場合(比較例)には、TOC濃度の減少が4%程度であるのに対して、亜酸化窒素を添加して4kW・hr/m3の紫外線を照射した場合には、TOC濃度の減少が20%を超えていた。
したがって、被処理水に亜酸化窒素を添加することにより、紫外線照射による有機化合物の分解効率が向上することが確認できた。
また、被処理水に亜酸化窒素を添加して紫外線を照射することにより、従来の通常の超純水製造装置では除去することが困難であった被処理水中の尿素を、効率的に分解できることが確認できた。」
(2)「【0045】
(実施例3)
図2の有機化合物の模擬分解装置10によって模擬水溶液である尿素水溶液中の尿素を分解処理した後、この分解処理後の模擬水溶液をアニオン交換樹脂に通液して、尿素の分解除去試験を行った。
模擬分解装置10での試験条件は、初期尿素濃度1mg・C/L、尿素水溶液量3L、温度23℃、紫外線出力1.32W、N2Oガス純度99.999vol%以上、注入N2Oガス流量5mL/minであり、紫外線照射量が異なる2つの条件(1.1kW・hr/m3、2.3kW・hr/m3)でそれぞれ実施した。亜酸化窒素添加直後の尿素水溶液中の亜酸化窒素濃度は、98mg/Lであった。
アニオン交換樹脂としてA101(ローム・アンド・ハース・ジャパン社製)を100mL使用し、アニオン交換樹脂への通液は流速10mL/minであった。
【0046】
有機化合物の模擬分解装置10によって尿素の分解処理がなされ、かつアニオン交換樹脂通液前の模擬水溶液のTOC(U1)と、アニオン交換樹脂通液後の模擬水溶液のTOC(U2)を測定し、尿素由来のTOC除去濃度(U1-U2)を求めた。図4は、有機化合物の模擬分解装置10及びアニオン交換樹脂を用いて、尿素水溶液中の尿素を分解除去した結果を示す図である。図4では、比較例として、有機化合物の模擬分解装置10において亜酸化窒素を添加しなかったこと以外は、実施例3と全く同一にして、尿素を分解除去した場合も示している。図4の縦軸は、尿素由来のTOC除去濃度(μg/L)、横軸は、紫外線照射量(kW・hr/m3)を示す。
【0047】
図4から明らかなように、尿素水溶液に亜酸化窒素を添加して紫外線を照射した場合では、尿素水溶液に亜酸化窒素を添加せずに紫外線を照射した場合と比較して、尿素由来のTOC除去濃度が、約3~5倍増加した。
したがって、被処理水に亜酸化窒素を添加して紫外線を照射した後、イオン交換樹脂装置に通液することにより、被処理水中の尿素を効率的に分解除去できることが確認できた。」
(3)「【図2】
[図:0001423520000004.jpg]
」
(4)「【図3】
[図:0001423520000005.jpg]
」
(5)「【図4】
[図:0001423520000006.jpg]
」
(6)上記甲第2号証の記載事項及び図面を総合勘案すると、甲第2号証には、次の技術(以下「甲2開示技術」という。)が記載されていると認められる。
「有機化合物の模擬分解装置において、模擬分解装置内の尿素水溶液に紫外線照射量を1.1kW・hr/m3や2.3kW・hr/m3や4.0kW・hr/m3として紫外線を照射して尿素を分解し、尿素水溶液中の全有機性炭素濃度(TOC)を初期と紫外線照射後で測定する技術。」
3.甲第3号証
本願の出願前に頒布された甲第3号証には、図面と共に以下の技術事項が記載されている。
(1)「【0010】
本発明は、かかる従来の問題を解消すべくなされたもので、紫外線により有機物を分解する超純水製造装置において、紫外線の照射効率を高めるとともに、イニシャルコスト及びランニングコストを低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の超純水製造装置は、一次純水システムと二次純水システムからなる超純水製造装置において、前記一次純水システムは、2床3塔型イオン交換装置と逆浸透膜装置と180~190nmの波長を含む紫外線を照射する低圧紫外線ランプを備えた紫外線照射装置と混床式イオン交換装置の組合せを流路に沿って設けてなり、前記二次純水システムは、180~190nmの波長を含む紫外線を照射する低圧紫外線ランプを備えた紫外線照射装置と混床式イオン交換装置の組合わせを流路に沿って少くとも1組設けてなることを特徴とする。
【0012】
本発明に使用される低圧紫外線ランプは、180~190nm、とりわけ184.9nmの紫外線を発生するものであるが、これらの紫外線のみを発生するものである必要はなく、254nm,450nm,550nm等の波長の紫外線も同時に発生するものが通常使用される。ちなみに、市販のものでは184.9nmの波長の紫外線は、254nmの紫外線の10%程度しか発生しない。
【0013】
低圧紫外線ランプの照射量としては、0.1~2kW・h/m3 、好ましくは0.2~1kW・h/m3 である。低圧紫外線ランプの出力が2kW・h/m3を越えると有機物の分解は促進されるが消費電力が上昇しかつ炭酸ガスにまで分解される比率が高くなり、混床式イオン交換装置の容量負荷を大きくするので好ましくない。0.1kW・h/m3 以下では、照射量が少なく、有機物が分解されない。」
(2)「【0020】
以下に、本発明の実施例を第1図を参照にしながら詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の超純水製造装置の実施例のフローチャートであり、一次純水システムは、比較的濁質の少い原水を用いる場合の第1の一次純水システムA1と、比較的濁質の多い原水を用いる場合の第2の一次純水システムA2とを並列的に示してある。実際の超純水製造装置としては、比較的濁質の少い原水を用いる場合には、第1の一次純水システムA1に二次純水システムBを接続した装置として構成され、比較的濁質の多い原水を用いる場合には、第2の一次純水システムA2 . に二次純水システムBを接続した装置として構成される。
【0022】
第1の一次純水システムA1は、前処理装置1、前処理タンク2、2段に設置された逆浸透膜装置3,4、180~190nmの紫外線を放射する低圧紫外線ランプを有する紫外線照射装置5、自動再生式の混床式イオン交換装置6を流路に沿って順に配置して構成されており、第2の一次純水システムA2は、前処理装置1′、前処理タンク2′、2床3塔型イオン交換装置3′、逆浸透膜装置4′、180~190nmの紫外線を放射する低圧紫外線ランプを有する紫外線照射装置5′、自動再生式の混床式イオン交換装置6′を流路に沿って順に配置して構成されている。
【0023】
二次純水システムBは、一次純水タンク7、180~190nmの紫外線を放射する低圧紫外線ランプを有する紫外線照射装置8、非再生型の混床式イオン交換装置(ポリッシャー)9、限外濾過膜装置10及びユースポイント11から構成されている。
【0024】
図示を省略したが、180~190nmの紫外線を放射する低圧紫外線ランプを有する紫外線照射装置5,5′,8としては、0.25kW・h/m3 の照射量のもの(千代田工販株式会社、低圧UV酸化用ランプ)が使用され、低圧紫外線ランプを点灯させる電源としては、高周波電子安定器(千代田工販株式会社、電子安定器)により周波数50kHzとした高周波電源が用いられている。なお、混床式イオン交換装置5,5′は、自動再生型の装置に限るものではなく、小規模装置の場合には非再生型のカラムタイプのものを使用しても差し支えない。」
(3)「【図1】
[図:0001423520000007.jpg]
」
(4)上記甲第3号証の記載事項及び図面を総合勘案すると、甲第3号証には、次の技術(以下「甲3開示技術」という。)が記載されていると認められる。
「紫外線により有機物を分解し、一次純水システムと二次純水システムからなる、超純水製造装置において、前記一次純水システム及び前記二次純水システムは、180~190nmの波長を含む紫外線を照射する低圧紫外線ランプを備えた紫外線照射装置を備え、180~190nmの紫外線を放射する低圧紫外線ランプを有する紫外線照射装置は、低圧紫外線ランプの照射量としては、0.1~2kW・h/m3 、好ましくは0.2~1kW・h/m3 であること。」
4.甲第4号証
本願の出願前に頒布された甲第4号証には、図面と共に以下の技術事項が記載されている。
(1)「【0010】本発明は、かかる従来の問題を解消すべくなされたもので、紫外線により有機物を分解する超純水製造装置において、紫外線の照射効率を高めるとともに、イニシャルコスト及びランニングコストを低減させることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段とその作用】本発明の超純水製造装置は、前処理システム、一次純水システムと二次純水システムからなる超純水製造装置において、前記一次純水システムと二次純水システムに、それぞれ、180~190nmの波長を含む紫外線を照射する低圧紫外線ランプを備えた紫外線照射装置と混床式イオン交換装置の組合せを流路に沿って少くとも1組設けたことを特徴とする。
【0012】本発明に使用される低圧紫外線ランプは、180~190nm、とりわけ184.9nmの紫外線を発生するものであるが、これらの紫外線のみを発生するものである必要はなく、254nm,450nm,550nm等の波長の紫外線も同時に発生するものが通常使用される。ちなみに、市販のものでは184.9nmの波長の紫外線は、254nmの紫外線の10%程度しか発生しない。
【0013】低圧紫外線ランプの照射量としては、0.1~2kW・h/m3 、好ましくは0.2~1kW・h/m3 である。低圧紫外線ランプの出力が2kW・h/m3を越えると有機物の分解は促進されるが消費電力が上昇しかつ炭酸ガスにまで分解される比率が高くなり、混床式イオン交換装置の容量負荷を大きくするので好ましくない。0.1kW・h/m3 以下では、照射量が少なく、有機物が分解されない。」
(2)「【0019】
【実施例】以下に、本発明の実施例を第1図を参照にしながら詳細に説明する。
【0020】図1は、本発明の超純水製造装置の実施例のフローチャートであり、一次純水システムは、比較的濁質の少い原水を用いる場合の第1の一次純水システムA1と、比較的濁質の多い原水を用いる場合の第2の一次純水システムA2とを並列的に示してある。実際の超純水製造装置としては、比較的濁質の少い原水を用いる場合には、第1の一次純水システムA1に二次純水システムBを接続した装置として構成され、比較的濁質の多い原水を用いる場合には、第2の一次純水システムA2 . に二次純水システムBを接続した装置として構成される。
【0021】第1の一次純水システムA1は、前処理装置1、前処理タンク2、2段に設置された逆浸透膜装置3,4、180~190nmの紫外線を放射する低圧紫外線ランプを有する紫外線照射装置5、自動再生式の混床式イオン交換装置6を流路に沿って順に配置して構成されており、第2の一次純水システムA2は、前処理装置1′、前処理タンク2′、2床3塔型イオン交換装置3′、逆浸透膜装置4′、180~190nmの紫外線を放射する低圧紫外線ランプを有する紫外線照射装置5′、自動再生式の混床式イオン交換装置6′を流路に沿って順に配置して構成されている。
【0022】二次純水システムBは、一次純水タンク7、180~190nmの紫外線を放射する低圧紫外線ランプを有する紫外線照射装置8、非再生型の混床式イオン交換装置(ポリッシャー)9、限外濾過膜装置10及びユースポイント11から構成されている。
【0023】図示を省略したが、180~190nmの紫外線を放射する低圧紫外線ランプを有する紫外線照射装置5,5′,8としては、0.25kW・h/m3 の照射量のもの(千代田工販株式会社、低圧UV酸化用ランプ)が使用され、低圧紫外線ランプを点灯させる電源としては、高周波電子安定器(千代田工販株式会社、電子安定器)により周波数50kHzとした高周波電源が用いられている。なお、混床式イオン交換装置5,5′は、自動再生型の装置に限るものではなく、小規模装置の場合には非再生型のカラムタイプのものを使用しても差し支えない。」
(3)「【図1】
[図:0001423520000008.jpg]
」
(4)上記甲第4号証の記載事項及び図面を総合勘案すると、甲第4号証には、次の技術(以下「甲4開示技術」という。)が記載されていると認められる。
「紫外線により有機物を分解し、前処理システム、一次純水システムと二次純水システムからなる、超純水製造装置において、前記一次純水システムと前記二次純水システムに、それぞれ、180~190nmの波長を含む紫外線を照射する低圧紫外線ランプを備えた紫外線照射装置を備え、180~190nmの紫外線を放射する低圧紫外線ランプを有する紫外線照射装置は、低圧紫外線ランプの照射量としては、0.1~2kW・h/m3 、好ましくは0.2~1kW・h/m3 であること。」
5.甲第5号証
本願の出願前に頒布された甲第5号証には、以下の技術事項が記載されている。
(1)「【0011】
本発明の超純水製造装置は、被処理水に紫外線を照射して第1処理水を生成させる紫外線照射装置と、この第1処理水をイオン交換処理して第2処理水を生成させるイオン交換装置と、前記第1処理水中の過酸化水素濃度又は第2処理水中のTOC濃度に基づいて前記被処理水に照射する紫外線の照射量を制御する紫外線照射量制御装置とを備えた超純水製造装置において、第1処理水又は第2処理水よりなる被測定水中の難分解性及び易分解性のTOC濃度を検出する第1のTOC測定器と、該被測定水中の難分解性TOC濃度を検出せず易分解性TOC濃度を検出する第2のTOC測定器と、該第1のTOC測定器と第2のTOC測定器の測定TOC値の差があらかじめ設定した値以上となったときに、紫外線の照射量を減少させる処理、及び、被処理水に対して難分解性TOC成分の分解及び/又は除去処理の少なくとも一方の処理を行う手段を備えたことを特徴とするものである。
【0012】
本発明では、難分解性TOC成分の分解及び/又は除去処理としては、生物活性炭による処理又は化学的酸化処理が好ましい。
【0013】
難分解性TOC成分としては、尿素、尿素誘導体、テトラメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、酢酸、ギ酸など、UV酸化処理によって分解されにくいTOC成分が挙げられる。易分解性TOC成分は、紫外線酸化装置での通常処理により、大部分(例えば90%以上)が酸化分解される有機物である。」
(2)上記甲第5号証の記載事項を総合勘案すると、甲第5号証には、次の技術(以下「甲5開示技術」という。)が記載されていると認められる。
「被処理水に紫外線を照射して第1処理水を生成させる紫外線照射装置と、この第1処理水をイオン交換処理して第2処理水を生成させるイオン交換装置と、前記第1処理水中の過酸化水素濃度又は第2処理水中のTOC濃度に基づいて前記被処理水に照射する紫外線の照射量を制御する紫外線照射量制御装置とを備えた超純水製造装置において、紫外線酸化装置での通常処理により、易分解性TOC成分(有機物)は大部分(例えば90%以上)が酸化分解され、尿素、尿素誘導体、テトラメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、酢酸、ギ酸などの難分解性TOC成分(有機物)は、UV酸化処理によって分解されにくいこと。」
6.甲第6号証
本願の出願前に頒布された甲第6号証には、以下の技術事項が記載されている。
(1)「【0035】
回収水中には、超純水製造システム10内や、超純水製造システム10の設置される工場内等で使用されたアルカリ性薬剤、酸性薬剤、有機系薬剤等の各種薬剤が混入している。具体的には、アンモニア、水酸化ナトリウム等のアルカリ性薬剤、硫酸、塩酸、硝酸、フッ化水素等の酸性薬剤、イソプロピルアルコール、ジメチルスルホキシド、アセトン、水酸化トリメチルアンモニウム、水酸化2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム等の有機系薬剤、尿素や尿素誘導体、トリメチルアンモニウムなどの窒素含有化合物などである。これらのうち、イソプロピルアルコール、ジメチルスルホキシド、アセトン、尿素や尿素誘導体は、難分解性不純物、すなわち、超純水製造システムに一般に設置されるイオン交換樹脂装置、逆浸透膜装置、紫外線酸化装置等によって分解、除去されにくく、かつ、超純水中のTOC濃度を上昇させる要因となる不純物である。また、回収水処理システム11において、窒素含有化合物が分解されて、尿素や尿素誘導体などの難分解性物質が発生し、回収水中に混入することもある。」
(2)上記甲第6号証の記載事項を総合勘案すると、甲第6号証には、次の技術(以下「甲6開示技術」という。)が記載されていると認められる。
「イソプロピルアルコール、ジメチルスルホキシド、アセトン、尿素や尿素誘導体は、超純水製造システムに一般に設置されるイオン交換樹脂装置、逆浸透膜装置、紫外線酸化装置等によって分解、除去されにくく、かつ、超純水中のTOC濃度を上昇させる要因となる難分解性不純物であること。」
第7 取消理由通知について
1.甲号証について
申立人が特許異議申立書において証拠として提示した甲号証は、上記「第4 1.」で整理し、その内容は「第6」に示したとおりである。
2.当審の判断
取消理由1(進歩性)について検討する。
(1)本件発明6について
ア 対比
本件発明6と甲1発明とを対比する。
(ア)甲1発明の「超純水製造システム」は、「原水タンク11には複数の供給源からの水が独立して供給され、これらの水が原水タンク11において混合され、超純水製造システムに供給されるようになっており」、「回収水が供給される原水タンク11から原水が供給されて一次純水を生成する一次純水システム50と、一次純水システム50で生成した一次純水が供給されて超純水を生成する二次純水システム60とからな」る「原水から超純水を生成する本体部3」を備えるシステムであり、超純水製造システムで製造された超純水は超純水を使用するユースポイントに供給されるのは、自明のことである。よって、甲1発明の「超純水製造システム」は、本件発明6の「原水に対する処理により超純水を生成し前記超純水が使用されるユースポイントまで前記超純水を送る超純水製造装置」に相当する。
(イ)甲1発明の「評価用純水製造部2を内蔵する水処理管理装置1」は、「原水タンク11に流入する回収水のライン45」が水処理管理装置1に接続されることから、原水を取り入れていることが明示されている。さらに、「水処理管理装置1は、熱交換器(HE)21を介して原水が供給される逆浸透膜装置(RO)22と、紫外線酸化装置(UV)23と、紫外線酸化装置23の出口に接続されたカートリッジポリッシャー(CP)24とからなる評価用純水製造部2」を備え、「逆浸透膜を透過した水(RO透過水)が紫外線酸化装置23に供給されるようになって」いることから、水処理管理装置1の評価用純水製造部2における紫外線酸化装置(UV)23は、原水を逆浸透膜装置(RO)22で処理した後の水を処理していることが明示されている。したがって、甲1発明の「水処理管理装置1の評価用純水製造部2における紫外線酸化装置(UV)23」は、本件発明6の「予備処理装置」と、「超純水製造装置における」「原水」「を測定対象液とし、測定対象液に対し紫外線を照射する予備処理装置」である点で共通する。
(ウ)甲1発明の「評価用純水製造部2を内蔵する水処理管理装置1」は、「評価用純水製造部2の入口と出口とを少なくとも含む評価用純水製造部2における複数の測定点におけるTOC濃度を測定するためのものであり、逆浸透膜装置22に供給されるべき原水と、逆浸透膜装置22の透過側の出口水(RO透過水)と、カートリッジポリッシャー24の出口水すなわち純水のTOC濃度を測定」「する計測器25」を備えている。上記計測器25が測定する「カートリッジポリッシャー24の出口水すなわち純水」は「紫外線酸化装置23の出口に接続されたカートリッジポリッシャー(CP)24」の出口水であり、「カートリッジポリッシャー24は」「紫外線酸化装置23により有機物を分解したときに発生する分解生成物を除去する」ことから、「紫外線酸化装置(UV)23」で処理され「紫外線酸化装置23により有機物を分解したときに発生する分解生成物を除去」された水であることが明示されている。したがって、甲1発明の「評価用純水製造部2を内蔵する水処理管理装置1」の「カートリッジポリッシャー24の出口水すなわち純水」の「TOC濃度を測定」「する計測器25」は、本件発明6の「全有機炭素計」と「予備処理装置による」「紫外線の照射により」「有機物が分解された」「測定対象液に対し、全有機炭素量を測定する全有機炭素計」である点で共通する。
(エ)すると、本件発明6と甲1発明とは、
「原水に対する処理により超純水を生成し前記超純水が使用されるユースポイントまで前記超純水を送る超純水製造装置と、
前記超純水製造装置における前記原水を測定対象液とし、測定対象液に対し紫外線を照射する予備処理装置と、
前記予備処理装置による前記紫外線の照射により有機物が分解された前記測定対象液に対し、全有機炭素量を測定する全有機炭素計と、
を有する超純水製造システム。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1>
予備処理装置で照射する紫外線の照射エネルギーが、本件発明6は、「前記測定対象液の単位体積当たりで、1.0Wh/L以上20Wh/L以下の照射エネルギー」であり、予備処理装置による紫外線の照射後の測定対象液は「尿素以外の有機物が分解され」ているのに対し、甲1発明は照射エネルギーが明記されておらず、カートリッジポリッシャー24の出口水すなわち純水が尿素以外の有機物が分解されているか明記されていない点。
<相違点2>
超純水製造システムが、本件発明6は、「全有機炭素計の測定値から」「測定対象液に含まれる尿素濃度を得る」のに対し、甲1発明は、「評価用純水製造部2の入口と出口とを少なくとも含む評価用純水製造部2における複数の箇所、すなわち複数の測定点においてTOC濃度を測定し、複数の測定点でのTOC濃度の測定結果を対比したりその相関を求めることで、あるいはTOC濃度の変化の傾向を調べることで、原水の水質、特に難分解性TOC成分の濃度や挙動を評価することができ」るものの、「評価用純水製造部2を内蔵する水処理管理装置1」の「カートリッジポリッシャー24の出口水すなわち純水」の「TOC濃度を測定」「する計測器25」の測定値から、原水に含まれる尿素濃度を得ているか明記されていない点。
イ 相違点の判断
事案に鑑み、相違点1と相違点2をまとめて検討する。
(ア)本件発明6は、上記相違点1及び相違点2に示した技術事項を備えることにより、予備処理装置で照射する紫外線の照射エネルギーを特定し、予備処理装置による紫外線の照射後の測定対象液を「尿素以外の有機物が分解され」ている状態とし、その測定対象液を全有機炭素計で測定することにより、全有機炭素計で測定された全有機炭素計の値が、尿素のみに由来するようにして、全有機炭素計で測定された全有機炭素計の値から、測定対象液に含まれる尿素濃度を得ることができるようにしたものである。
(イ)甲1発明は、評価用純水製造部2の入口と出口とを少なくとも含む評価用純水製造部2における複数の箇所、すなわち複数の測定点においてTOC濃度を測定し、複数の測定点でのTOC濃度の測定結果を対比したりその相関を求めることで、あるいはTOC濃度の変化の傾向を調べることで、原水の水質、特に難分解性TOC成分の濃度や挙動を評価することができ」る(上記「第6 1.(3)」参照。)が、「評価用純水製造部2を内蔵する水処理管理装置1」の「カートリッジポリッシャー24の出口水すなわち純水」の「TOC濃度を測定」「する計測器25」の測定値単独から、原水に含まれる尿素濃度を得ることができることは記載されていない。そして、甲1発明におけるカートリッジポリッシャー(CP)24の前段に接続されている紫外線酸化装置23の紫外線の照射エネルギーが特定されていないことから、紫外線酸化装置23から出てくる処理された水、すなわちカートリッジポリッシャー(CP)24の入り口水が、尿素以外の有機物が分解されており、かつ尿素は分解されていない水であると特定することもできない。すなわち、「TOC濃度を測定」「する計測器25」の測定値単独から、「カートリッジポリッシャー24の出口水すなわち純水」のTOC濃度(全有機炭素濃度)が求められるものの、その求められたTOC濃度がそのまま尿素濃度に変換できるものであるということはできない。
(ウ)また、上記「第6 1.(3)」に摘記した甲1発明の実施例1においても、「カートリッジポリッシャー24の出口水すなわち純水」の「TOC濃度を測定」「する計測器25」で測定されたTOC濃度TOC3が、尿素以外のTOC成分を含む模擬水1から3を用いた場合にも、96ppbから324ppbの値を示していることから、「TOC濃度を測定」「する計測器25」の測定値であるTOC濃度TOC3がそのまま尿素濃度を示すものではないことは明らかである。
(エ)さらに、上記「(ア)」に示した本件発明6が備える相違点1及び相違点2に示した技術事項は、甲第2ないし6号証には開示されていない技術事項であり、かつ本願出願前において周知の技術であるとも認められない。
(オ)仮に、甲1発明において、甲3ないし4開示技術をもとに、甲1発明の超純水製造システムの水処理管理装置1の紫外線酸化装置(UV)23の紫外線照射エネルギーを1.0kW・h/m3(Wh/L)~2(Wh/L)kW・h/m3の照射量とすることが、当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎず、容易になし得たことであるとしても、その変更は有機化合物の分解のための紫外線照射エネルギーの設定にすぎず、紫外線酸化装置23から出てくる処理された水、すなわちカートリッジポリッシャー(CP)24の入り口水が、尿素以外の有機物が分解されており、かつ尿素は分解されていない水とすることを意図して行われる紫外線照射エネルギーの設定ではない。ゆえに、「カートリッジポリッシャー24の出口水すなわち純水」のTOC濃度(全有機炭素濃度)をそのまま尿素濃度に変換できるものとするために、紫外線酸化装置(UV)23の紫外線照射エネルギーの設定範囲を特定する技術が、当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎず、容易になし得たことであるということはできない。
ウ 小括
以上のことから、甲1発明に、甲2ないし6開示技術を組み合わせても、上記相違点1及び2に係る本件発明6の発明特定事項を有するものとはならない。
(2)本件発明5について
本件発明5は、上記「(1)」で検討した本件発明6のシステムの発明を方法のカテゴリーに変更した発明であるから、甲1発明と本件発明5も、上記「(1)」で検討したとおり、少なくとも上記相違点1及び相違点2で相違し、甲1発明に、甲2ないし6開示技術を組み合わせても、上記相違点1及び2に係る本件発明6の発明特定事項を有するものとはならない。
(3)申立人の主張について
申立人は、本件発明5及び6について、異議申立書にて申し立てた取消理由1の存否について主張をしていない。
また、申立人の異議申立書の取消理由1における主張(第13ないし31頁参照。)は、その対象が訂正前の請求項5及び6に係る発明に対するものであり、本件訂正により生じた発明特定事項である上記相違点2に係る技術事項を含む本件発明5及び6については、その主張を採用することはできない。
(4)小括
したがって、本件発明5及び6は、甲1発明に、甲2ないし6開示技術を組み合わせても、上記相違点1及び2に係る本件発明6の発明特定事項を有するものとはならず、当業者が容易になし得たものであるとはいえないから、本件特許の請求項5及び6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。
3.取消理由についてのまとめ
以上のことから、当審が令和6年10月22日付けで特許権者に通知した取消理由1は解消されており、本件特許の請求項5及び6に係る特許を取り消す理由とはならない。
第8 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1.甲号証について
申立人が異議申立書において証拠として提示した甲号証は、上記「第4 1.」で整理し、その内容は「第6」に示したとおりである。
2.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
申立人が異議申立書において申し立てた理由のうち、上記「第5 1.」の取消理由通知で採用した理由(異議申立理由1)以外の特許異議申立理由の概要は以下のとおりである。
(1)異議申立理由2(サポート要件違反)
本件訂正前の請求項1ないし7に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものであるとはいえないことから、それらの特許は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
(2)異議申立理由3(実施可能要件違反)
本件特許の明細書の発明の詳細な説明は、本件訂正前の請求項1ないし7に係る発明について、当業者が当該発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載されたものであるとはいえないことから、それらの特許は特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
3.当審の判断
(1)本件訂正前の請求項1ないし7に対する異議申立理由2について
ア 該異議申立理由2は、異議申立書(第31ないし36頁参照。)によれば、以下の(ア)ないし(ウ)に記した点を指摘したものである。
(ア)本件訂正前の請求項1ないし7に係る発明の技術的課題は、測定対象液の尿素濃度を簡便かつ高精度に測定することを可能にするというものであり、その課題を解決する手段は、紫外線照射エネルギーを、1.0Wh/L以上20Wh/L以下に設定することである。
(イ)しかしながら、上記範囲の数値のうち、小さい数値(例えば1.0~5.0Wh/L程度)では、尿素以外の有機成分も無視できないレベルで分解されずに残留するものが多数存在する。
(ウ)よって、出願時の技術常識に照らしても、本件訂正前の請求項1ないし7に係る発明の範囲まで、本件特許明細書の発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。
イ 当審の判断
(ア)本件特許の【図2】には、尿素以外の有機物は、紫外線照射エネルギー下限1.0Wh/Lにて100%近くの分解率となると示されており、同照射エネルギーが1.0Wh/L以上20Wh/L以下の範囲でも、尿素以外の有機物は100%近くの分解率を保つ一方、尿素は0~10パーセント程度の分解率のままであることが示されている。
「本件特許の【図2】
[図:0001423520000009.jpg]
」
(イ)よって、本件特許明細書及び図面の記載から、紫外線照射エネルギーを1.0Wh/L以上20Wh/L以下に設定することにより、前記「ア(ア)」に示した課題を解決できることは理解できる。
(ウ)申立人は、前記「ア(イ)」において、紫外線照射エネルギーを1.0Wh/L以上20Wh/L以下に設定したとしても尿素以外の有機成分も無視できないレベルで分解されずに残留するものが多数存在すると主張するが、前記「イ(ア)」の本件特許の【図2】には、紫外線照射エネルギーを1.0Wh/L以上20Wh/L以下に設定することにより尿素以外の有機物は100%近くの分解率を保つことが示されていることから、上記申立人の主張は採用することができない。
(エ)また、申立人は、異議申立書第36頁にて、甲第1号証の実施例1のデータ(「第6 1.(3)」参照。)をもとに前記「ア(イ)」の主張をしているが、甲第1号証の実施例1のデータを取得したときの紫外線照射エネルギーは具体的には甲第1号証には記載されておらず、紫外線照射エネルギーを1.0Wh/L以上20Wh/L以下に設定したとも特定できるものではないことから、紫外線照射量によっては、尿素以外の有機物が分解されないという上記申立人の主張の根拠にはならない。また、甲第2ないし6号証にも、紫外線照射量の大小による尿素以外の有機物の残留度合いを示す技術常識は見当たらない。よって、上記申立人の主張は採用することができない。
ウ 小括
以上のことから、該異議申立理由2は、本件特許の請求項1ないし7に係る特許を取り消す理由とはならない。
(2)本件訂正前の請求項1ないし7に対する異議申立理由3について
ア 該異議申立理由3は、異議申立書(第37及び38頁参照。)によれば、以下の(ア)ないし(ウ)に記した点を指摘したものである。
(ア)本件特許の発明の詳細な説明は、紫外線照射後のTOC測定値と、最初の測定対象液中の尿素量とが合致することを前提として本件発明を説明している。逆浸透膜処理でも尿素成分は少しは除去される(甲第1及び2号証参照。)から、上記説明の前提は、逆浸透膜処理がない実施態様を想定していると認められる。
(イ)一方本件訂正前の請求項1ないし7に係る発明は、測定対象液を逆浸透膜処理後に紫外線照射する態様に関し、この逆浸透膜処理が尿素を実質的に除去しないことを、直接的にも間接的にも特定していない。
(ウ)したがって、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、特定の実施の形態のみが実施可能に記載されているにすぎず、本件訂正前の請求項1ないし7に係る発明に含まれる他の部分(逆浸透膜処理後に紫外線照射する形態)についてはその実施をすることができないことが明らかである。
イ 当審の判断
(ア)本件発明1ないし7は、いずれも「測定対象液」に「紫外線照射」し、「尿素以外の有機物が分解された測定対象液に対し、全有機炭素量を測定する全有機炭素計」で測定することを特定している。逆浸透膜処理については特定されていない。
(イ)本件特許明細書の発明の詳細な説明は、【図1】により、尿素濃度測定装置12において濾過装置(逆浸透膜等)50により原水を処理した測定対象液をTOC計54で測定する態様を開示している。また、濾過装置50を省略してもよいことは段落【0043】に記載されていることから、尿素濃度測定装置12において、逆浸透膜なしで、紫外線照射後TOC計54で測定する態様も開示している。
「本件特許の【図1】
[図:0001423520000010.jpg]
」
(ウ)よって、逆浸透膜処理の有無に関係なく、本件発明1及び2は実施可能であることが、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されていると認められる。本件発明3及び4の尿素濃度測定方法/装置も、測定対象液を作成する予備処理の構成は本件発明1及び2と同様であるから、本件発明3及び4も実施可能であることが、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されていると認められる。本件発明5ないし7の超純水製造方法/システムも、測定対象液を作成する予備処理の構成は本件発明1及び2と同様であるから、本件発明5ないし7も実施可能であることが、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されていると認められる。
(エ)また、紫外線照射後の測定対象液には、紫外線照射で分解されない有機物が残されていること、及びそのような有機物の例に尿素が含まれること、はそれぞれ当業者にとって技術常識である(甲5開示技術及び甲6開示技術参照。)から、紫外線照射後の測定対象液のTOCを測定して、それを尿素に由来するものであるとすることも、当業者が過度の試行錯誤をすることなく行い得ることである。
(オ)よって、上記「ア」に示した申立人の主張は採用することができない。
ウ 小括
以上のことから、該異議申立理由3は、本件特許の請求項1ないし7に係る特許を取り消す理由とはならない。
4.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由についてのまとめ
以上のことから、取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由である、異議申立理由2及び3については、本件発明1ないし7に対しいずれも理由はない。
第9 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1ないし7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700819