特許異議申立
2023-700185
飲料製品
- 審判番号
- 2023-700185
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-204394
- 登録番号
- 7123114
- 請求日
- 2023年02月17日
- 審決日
- 2024年08月06日
- 公報発行日
- 2024年10月25日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】サントリーホールディングス株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人R&C
- 【異議申立人】上岡 功
- 【異議申立人】寺澤 佳奈美
- 【異議申立人】和田 信博
- 審判長/審判官
- 審判長 岩谷 一臣
- 審判官 稲葉 大紀
- 審判官 田口 傑
- 分類
- P1651.121-Z (B65D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第30条第2項、特許法第113条第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7123114号発明「飲料製品」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7123114号の請求項1~5に係る特許を取り消す。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7123114号(以下「本件特許」という。)の請求項1~5に係る特許についての出願は、特許法第30条第2項の新規性喪失の例外の適用の申請を伴うものであり、令和2年12月9日に出願され、令和4年8月12日に特許権の設定登録がされ、令和4年8月22日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和5年 2月17日 :特許異議申立人上岡功(以下「申立人1」とい
う。)による請求項1~5に係る特許に対する 特許異議の申立て
令和5年 2月21日 :特許異議申立人寺澤佳奈美(以下「申立人2」 という。)による請求項1~5に係る特許に対
する特許異議の申立て、特許異議申立人和田信
博(以下「申立人3」という。)による請求項
1~5に係る特許に対する特許異議の申立て
令和5年 8月16日付け:取消理由通知書
令和5年10月17日 :特許権者による意見書の提出(以下「意見書1
」という。)
令和5年11月28日 :申立人3による上申書の提出
令和6年 2月16日付け:取消理由通知書(決定の予告)
令和6年 4月25日 :特許権者による意見書の提出(以下「意見書2
」という。)
第2 本件発明
本件特許の請求項1~5に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、その特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
飲料を収容しているプラスチック製容器と、表示札と、を備え、
前記プラスチック製容器は、前記飲料を収容可能な容器本体と、当該容器本体の開口部を封止可能な蓋と、を含み、
前記容器本体は、口部、前記口部に連設されている肩部、前記肩部に連設されている胴部、および前記胴部に連設されている底部を有し、
前記肩部は、前記胴部側から前記口部側に先窄まりの形状を有し、
前記表示札は、前記口部に嵌着されるタグ、および、前記肩部に貼付される粘着ラベル、の少なくとも一つを含み、
前記プラスチック製容器を包囲するラベルを備えず、
前記飲料の販売にあたって表示することが義務付けられている情報が、前記表示札および前記蓋に分配されて不足なく表示されている飲料製品。
【請求項2】
飲料を収容しているプラスチック製容器と、表示札と、を備え、
前記プラスチック製容器は、前記飲料を収容可能な容器本体と、当該容器本体の開口部を封止可能な蓋と、を含み、
前記容器本体は、口部、前記口部に連設されている肩部、前記肩部に連設されている胴部、および前記胴部に連設されている底部を有し、
前記肩部は、前記胴部側から前記口部側に先窄まりの形状を有し、
前記表示札は、前記口部に嵌着されるタグ、および、前記肩部に貼付される粘着ラベル、の少なくとも一つを含み、
前記プラスチック製容器を包囲するラベルを備えず、
前記飲料の販売にあたって表示することが義務付けられている情報が、前記表示札、前記蓋、および前記容器本体に分配されて不足なく表示されている飲料製品。
【請求項3】
前記飲料の販売にあたって表示することが義務付けられている前記情報が、前記蓋と前記表示札との間で重複していない請求項1または2に記載の飲料製品。
【請求項4】
前記表示札は、前記粘着ラベルを含む請求項1~3のいずれか一項に記載の飲料製品。
【請求項5】
前記プラスチック製容器の少なくとも一部分は透明である請求項1~4のいずれか一項に記載の飲料製品。」
第3 取消理由通知(決定の予告)の概要
当審において特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
理由(進歩性)
本件特許の請求項1~5に係る発明は、申立人1が提出した甲第1号証、申立人1が提出した甲第8号証のいずれか及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
<各甲号証>
以下、申立人1が提出した甲第○号証を甲1-○、申立人2が提出した甲第○号証を甲2-○、申立人3が提出した甲第○号証を甲3-○という。
甲1-1:英国特許出願公開第2366279号明細書(周知技術3を示す文献も兼ねる)
甲1-8:特開2011-11819号公報(甲2-2と同一文献、周知技術4を示す文献も兼ねる)
<周知技術1(飲料製品の容器の蓋に情報表示)を示す文献>
甲1-2:井出留美、“なぜペットボトルの賞味期限表示から日付を抜くと「働き方改革」につながるのか”、[online]、2018年5月1日、Yahoo Japan、[2023年2月14日検索]、インターネット<URL:https://news.yahoo.co.jp/byline/iderumi/20180501-00084530>
甲1-3:井出留美、“なぜ賞味期限切れの水は十分飲めるのに賞味期限表示がされているのか?ほとんどの人が知らないその理由とは”、[online]、2019年7月30日、Yahoo Japan、[2023年2月14日検索]、インターネット<URL:https://news.yahoo.co.jp/byline/iderumi/20190730-00136183>
甲1-4:“お茶のペットボトルの賞味期限と賞味期限切れ1年の変色したお茶を飲む”、[online]、2020年4月23日、SAMBO MAGAZINE、[2023年2月14日検索]、インターネット<URL:https://sambo.jp/sell-by-tea/>
甲1-5:“ペットボトルの飲み物これは賞味期限ですか?消費期限ですか?日にちを過ぎても飲めますかね。”、[online]、2019年1月30日、Yahoo Japan、[2023年2月14日検索]、インターネット<URL:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12202696702>
甲2-4:“商品の自主回収に関するお詫びとお知らせ”、[online]、2020年12月4日、サントリー食品インターナショナル株式会社、[2022年12月28日検索]、インターネット<URL:https://www.suntory.co.jp/softdrink/news/pr/article/SBF0922.html>
甲2-5:特開2007-197022号公報
<周知技術2(飲料製品の容器の口部に嵌着タグ)を示す文献>
甲1-9:特開2003-43917号公報
甲1-10:特開2003-305973号公報
<周知技術3(飲料製品の容器の肩部に粘着ラベル)を示す文献>
甲2-3:意匠登録第1615857号公報
甲3-2:登録実用新案第3224598号公報(周知技術4を示す文献も兼ねる)
<周知技術4(飲料製品の容器本体に情報表示)を示す文献>
甲3-9:“Bottled Drinking Water”、記録番号5909029、[online]、2018年8月掲載、MINTEL GNPD、[2023年7月24日検索(合議体による検索日)]、インターネット<URL:http://www.gnpd.com>
第4 各甲号証の記載、発明
1 甲1-1の記載事項、発明
(1)甲1-1には以下の記載がある。なお、以下の訳文は当審で作成したものである。また行数は頁左端の数字を参照し、「・・・」は省略を表す。
ア「
[図:0001415261000001.jpg]
」(1ページ4~9行)
(本発明は、飲料用容器に関する。特に、容器の内容物の詳細に関する情報が、容器自体から実質的に分離した手段に配置されている飲料容器に関する。
多くの国では、飲食物に関する栄養情報を当該飲食物の包装に記載することが法的要件となっている。・・・)
イ「
[図:0001415261000002.jpg]
」(1ページ21行~25行)
(法律の要件を遵守するために、かなりの量の栄養情報が必要になる可能性があることは容易に理解できる。大量の情報を提供する必要があるため、販促資料に使用できる容器のスペースが制限されるだけでなく、容器自体とそれに含まれる飲み物の外観が損なわれる。)
ウ「
[図:0001415261000003.jpg]
」(2ページ5~19行)
(本発明によれば、飲料を収容し、飲料の詳細を提供する飲料容器が提供され、容器自体はそのような詳細を有さず、詳細は容器に取り付けられ、しかし実質的に容器から分離された手段上に提供される。
好ましい実施形態では、容器自体は、飲料をより明確に見ることができるように、実質的に透明である。
容器に入った飲料の詳細は、容器とは実質的に分離した手段で提供され、容器にはそのような詳細がないようにする。
詳細の例には、栄養情報、容器の内容物の詳細、飲料の量、メーカ―名、小売店名、価格、または、いかなる広告及び/又は宣伝事項が含まれる。
詳細は、好ましくはラベルに記載される。・・・)
エ「
[図:0001415261000004.jpg]
」(2ページ30行~31行)
(ラベルは、接着剤によって容器に部分的に取り付けられていることが好ましい。・・・)
オ「
[図:0001415261000005.jpg]
」(3ページ4~8行)
(本発明による容器は、好ましくは、いかなる表示もない。
「表示」とは、文字、イラスト、その他容器に表示されることでその無表示の外観を損なうようなものを意味する。可能な表示の例としては、上記のような容器に印刷またはエンボス加工されたもの、または接着剤によって容器に全体的に取り付けられたラベルが挙げられる。)
カ「
[図:0001415261000006.jpg]
」(3ページ10行~14行)
(表示のない容器1を示す添付の図面を参照して、本発明を例示的に説明する。容器1内に収容された飲料の詳細は、ラベル2に記載されており、その上部3は、接着剤によって容器1に取り付けられている。下部4は自由に動くことができる。)
キ「
[図:0001415261000007.jpg]
」(図1)
(2)上記(1)の記載事項から、次のことがいえる。
ア 図1から、容器1が上部から下部に亘って順に、口部、肩部、胴部及び底部を有し、前記肩部が口部側に先窄まりの形状を有すること、及び、ラベル2の上部3は容器1の肩部に取り付けられていることが看取できる。
イ 上記(1)の記載事項全体を踏まえると、容器1に飲料を収容したものは、飲料製品である。
(3)上記(1)及び(2)の事項を総合すると、甲1-1には次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。
「飲料を収容する容器1と、ラベル2を備え、
容器1は、上部から下部に亘って順に、口部、先窄まり形状の肩部、胴部及び底部を有し、
容器1自体は、実質的に透明であり、
容器1に入った飲料の詳細は、ラベル2に記載され、容器1にはそのような詳細が記載されておらず、
そのような詳細には、包装に記載することが法的要件となっている栄養情報、容器の内容物の詳細、飲料の量、メーカ―名、小売店名、価格、または広告・宣伝事項が含まれ、
ラベル2は、その上部3が、接着剤によって容器1の肩部に取り付けられている、
飲料製品。」
2 甲1-8の記載事項、発明
(1)甲1-8には以下の記載がある。
「【0001】
本発明は、リサイクル可能な容器として広く普及しているペットボトルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ペットボトルは、清涼飲料、酒類、食用油、化粧品等の容器として使用されており、・・・ボトル用ペット樹脂の需要は年々増加している。」
「【0005】
上記ペットボトルは、主にキャップ、ボトル、ラベルの3つの部材で構成されており、特に清涼飲料、しょうゆ、酒類、ドレッシング等用途のペットボトルは、キャップがPP(ポリプロピレン)またはPE(ポリエチレン)製で、ボトル本体はPET(ポリエチレンテレフタレート)製、またラベルはPE製のものが主となっている。・・・」
「【0010】
本発明のペットボトルは、ラベル表示をなくし、ボトル本体に直接熱加工印字あるいは成型加工刻印印字を使用して、名称・原材料名・内容量・賞味期限・製造元等必要な表記事項をボトル本体に直接加工処理して表示されることにより、リサイクルためのラベルとボトルの分離作業をなくしたリサイクル性の高いペットボトルである。
【0011】
すなわち、本発明のラベルレスのペットボトルを使用することにより、消費者がペットボトル使用後に必要であったラベルを剥がす作業そのものを無くすことによって、ラベルを剥がす手間を省き、分別されていないペットボトルの量を減らし、リサイクル率を上げることができる。また、ラベルを無くすことにより、ラベル印刷に用いる着色成分を不要とし、ラベル自体のゴミの量も減らすことができ、いっそう環境に良い商品設計となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明のペットボトルについて詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明を適用したペットボトルの構成の一例を示す模式図である。本発明に係るリサイクル対応型ペットボトルは、キャップおよびボトルで構成されており、例えば、ボトルに炭酸ガスレーザーで直接印字しているため、別途印刷されたPE製ラベルを必要としないことを特徴とするものである。
・・・
【0015】
ボトルは、従来使用されるPET単体の無色透明のものがリサイクル可能であるため好ましい。・・・」
「【符号の説明】
【0021】
1;キャップ
2;ボトル」
「【図1】
[図:0001415261000008.jpg]
」
(2)上記(1)の図1から、ボトル本体は、上部から下部に亘って順に、口部、口部側に先窄まり形状の肩部、胴部及び底部を有していることが分かる。
(3)上記(1)の【0002】、【0005】及び【0011】の記載から、甲1-8に記載されたものは飲料商品であることがわかる。
(4)上記(1)~(3)の事項を総合すると、甲1-8には次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されている。
「清涼飲料等を収容している無色透明のPET単体であるボトル2とキャップ1で構成されており、
ボトル2は、上部から下部に亘って順に、口部、口部側に先窄まり形状の肩部、胴部及び底部を有し、
ラベル表示をなくし、ボトル本体に直接熱加工印字あるいは成型加工刻印印字を使用して、名称・原材料名・内容量・賞味期限・製造元等必要な表記事項をボトル本体に直接加工処理して表示される、
飲料商品。」
3 周知技術1
(1)甲1-2の掲載事項
「
[図:0001415261000009.jpg]
」
(2)甲1-3の掲載事項
「
[図:0001415261000010.jpg]
」
(3)甲1-4の掲載事項
「
[図:0001415261000011.jpg]
」
「
[図:0001415261000012.jpg]
」
(4)甲1-5の掲載事項
「
[図:0001415261000013.jpg]
」
(5)甲2-4の掲載事項
「
[図:0001415261000014.jpg]
」
(6)甲2-5の記載
「【0001】
本発明は、容器口元部を閉止する合成樹脂製キャップ、このキャップを用いた閉止装置、飲料入り閉止装置、および前記合成樹脂製キャップの製造方法に関する。」
「【0004】
近年では、天板部の上面に、文字、記号、図形などの情報(例えば商品名、社名)を、平版印刷法などにより印刷した合成樹脂製キャップが用いられている。印刷の剥離を防ぐため、印刷に先だって、天板部上面に表面処理を施すことがある。」
「【0030】
図2に示すように、天板部2の上面2bには、印刷15が施される。
【0031】
印刷15は、文字、記号、図形など(例えば商品名、社名)をなすものであり、平版印刷法(例えばオフセット印刷法)、凹版印刷法、凸版印刷法、インクジェット法などにより形成することができる。」
「【図2】
[図:0001415261000015.jpg]
」
(7)周知技術1
上記(1)~(6)の事項を踏まえると、以下の事項は本願出願時における周知技術(以下「周知技術1」という。)であるといえる。
「飲料製品の容器において、開口部を封止可能な蓋を有し、該蓋に、各種情報を表示すること。」
4 周知技術2
(1)甲1-9の記載
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、宣伝、広告用としてびん、ボトル等の首部に吊り下げて使用する容器用吊り下げ具に関し、特には、自動装着機による供給が可能な折り畳み型の容器用吊り下げ具に関する。」
「【0016】表示部(11)には、従来は容器とは別に添付されていた収容物の成分、取扱い方法、注意事項等の取扱説明書として扱われてきた説明文や絵柄等を表示することができる。・・・」
「【図2】
[図:0001415261000016.jpg]
」
(2)甲1-10の記載
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビンやボトル等の容器の首部などに吊り下げて装着するハンガーラベルに関する。」
「【0021】本発明のハンガーラベルの第1シート1、第2シート2、あるいはハンガーシート5、また必要に応じて設けた補助表示シート7の、それぞれ表面又は/及び裏面には、ビンやボトル等の容器類に包装された飲料等の内容物など各種の商品に関する商品情報や、広告、宣伝、キャンペーン情報が、・・・印刷表示されている。」
「【図3】
[図:0001415261000017.jpg]
」
(3)上記(1)及び(2)の事項を踏まえると、以下の事項は本願出願時における周知技術(以下「周知技術2」という。)であるといえる。
「飲料製品の容器において、各種情報を表示するタグを、容器本体の口部に嵌着すること。」
5 周知技術3
(1)甲1-1の記載
「以下、添付の図面を参照して、本発明を例示的に説明する。容器1内に収容された飲料の詳細は、ラベル2に記載されており、その上部3は、接着剤によって容器1に取り付けられている。下部4は自由に動くことができる。」(3ページ下から5行~最下行)
「
[図:0001415261000018.jpg]
」(図1)
(2)甲2-3の記載
「【意匠に係る物品の説明】この物品は、法定表示(PETマーク、プラマーク)等、必要最低限の表示をした小型のタックシールのみを容器本体の首部に貼り付けたものであって、容器本体の胴部にラベルを巻き付けることなく販売に供する、いわゆるラベルレス商品のための包装用容器である。・・・」
「【斜視図】
[図:0001415261000019.jpg]
」
(3)甲3-2の記載
「【0001】
本考案は、容器詰飲料、及び、その容器詰飲料を1つ以上備える飲料パックに関する。」
「【0014】
また、容器2の外周面には、情報表示部(第1の情報表示部)10が形成される。本実施形態では、容器2の外周面に貼付けられるシールによって、情報表示部10が形成される。・・・
【0015】
シールの外表面には、飲料液に関する第1の情報が付される。すなわち、情報表示部10によって、飲料液に関する第1の情報が表示される。第1の情報は、飲料液の商品名を含む。飲料液の商品名として表示される事項には、「緑茶」及び「清涼飲料水」等が挙げられる。また、ある一例では、情報表示部10によって、飲料液の商品名に加えて、容器2がペットボトルであることを示すマーク、キャップ8の材料を示すマーク、及び、飲料液に関する問い合わせ先等のいずれかが、第1の情報として表示されてもよい。なお、図1及び図2では、第1の情報を示す文字及びマーク等は省略して示す。」
「【図1】
[図:0001415261000020.jpg]
」
(4)上記(1)~(3)の事項を踏まえると、以下の事項は本願出願時における周知技術(以下「周知技術3」という。)であるといえる。
「飲料製品の容器において、各種情報が表示されている粘着ラベルを、容器本体の肩部に貼付すること。」
6 周知技術4
(1)甲1-8の記載
「【0001】
本発明は、リサイクル可能な容器として広く普及しているペットボトルに関するものである。」
「【0009】
本発明のペットボトルは、係る課題を解決するものであり、従来から提案されているラベルの改良とは大きく異なり、必要な表示事項をボトルに直接熱加工による刻印印字または金型成型により刻印印字することによる表示で、ラベル用いず、ペットボトルの構成をキャップとボトルとにするものである。」
(2)甲3-2の記載
「【0001】
本考案は、容器詰飲料、及び、その容器詰飲料を1つ以上備える飲料パックに関する。」
「【0027】
(変形例)
なお、飲料液に関する第1の情報を表示する情報表示部10は、シールに限定されるものではない。図7に示すある変形例では、容器2の外周面に、情報表示部(第1の情報表示部)10が直接的に形成される。本変形例では、情報表示部10において、容器2の外周面に、前述の第1の情報が、プリントされる、又は、エンボス加工により形成される。図7の一例では、周壁5のテーパ部7の外表面に、情報表示部10が直接的に形成される。」
「【図7】
[図:0001415261000021.jpg]
」
(3)甲3-9の掲載事項
ア「
[図:0001415261000022.jpg]
」
イ「
[図:0001415261000023.jpg]
」
ウ 上記ア及びイから、甲3-9には、飲料水用PETボトルにおいて、容器本体の底面にエンボス加工によりリサイクルマークが表示されていることが分かる。
(4)上記(1)~(3)を踏まえると、以下の事項は本願出願時における周知技術(以下「周知技術4」という。)であるといえる。
「飲料製品の容器において、各種情報を容器本体に表示すること。」
第5 当審の判断
1 引用発明1(甲1-1)を主引例とする取消理由(進歩性)
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と引用発明1とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
(ア)引用発明1の「容器1」は本件発明1の「容器」に限り相当し、同様に、引用発明1の「容器1自体」は本件発明1の「容器本体」に相当し、引用発明1の「飲料製品」は本件発明1の「飲料製品」に相当する。
(イ)引用発明1の「容器1」は、「上部から下部に亘って順に、口部、先窄まり形状の肩部、胴部及び底部を有し」ているものであるところ、この形状から見て、本件発明1の「前記容器本体は、口部、前記口部に連設されている肩部、前記肩部に連設されている胴部、および前記胴部に連設されている底部を有し、前記肩部は、前記胴部側から前記口部側に先窄まりの形状を有し」ていることに相当する。
(ウ)引用発明1の「ラベル2」は、「その上部3が、接着剤によって容器1の肩部に取り付けられている」ものであるから、本件発明1の「前記肩部に貼付される粘着ラベル」としての「表示札」に限り相当する。
(エ)引用発明1の「容器1に入った飲料の詳細は、ラベル2に記載され、容器1にはそのような詳細が記載されて」いない態様は、本件発明1の「容器を包囲するラベルを備えず」という態様に相当する。
(オ)引用発明1の「包装に記載することが法的要件となっている栄養情報、容器の内容物の詳細、飲料の量、メーカ―名、小売店名、価格、または広告・宣伝事項が含まれ」る「詳細」と、本件発明1の「前記飲料の販売にあたって表示することが義務付けられている情報」は「情報」に限り相当する。
以上を総合すると、本件発明1と引用発明1は以下の点で一致し、相違する。
[一致点1]
「飲料を収容している容器と、表示札と、を備え、
前記容器は、前記飲料を収容可能な容器本体を含み、
前記容器本体は、口部、前記口部に連設されている肩部、前記肩部に連設されている胴部、および前記胴部に連設されている底部を有し、
前記肩部は、前記胴部側から前記口部側に先窄まりの形状を有し、
前記表示札は、前記肩部に貼付される粘着ラベルを含み、
前記容器を包囲するラベルを備えず、
情報が、前記表示札に表示されている飲料製品。」
[相違点1-1]
本件発明1の「容器」は、「プラスチック製容器」であり、また、「当該容器本体の開口部を封止可能な蓋」を有するのに対して、引用発明1では、「容器1」の材料が不明であり、また、蓋を有するかも不明である点。
[相違点1-2]
本件発明1では、「前記飲料の販売にあたって表示することが義務付けられている情報が、前記表示札および前記蓋に分配されて不足なく表示されている」のに対し、引用発明1では、「飲料の詳細は、ラベル2に記載され」てはいるものの、記載される情報が飲料の販売に当たって表示することが義務づけられている情報であるか明確でなく、さらに蓋を有するか不明であり、そのため当該情報が蓋にも表示されているか不明な点。
[相違点1-3]
表示札が、本件発明1では、「前記口部に嵌着されるタグ、および、前記肩部に貼付される粘着ラベルの少なくとも一つを含」むのに対し、引用発明1では、「その上部3が、接着剤によって容器1の肩部に取り付けられている」「ラベル2」である点。
イ 判断
上記各相違点について検討する。
(ア)相違点1-1について
飲料製品の容器の技術分野において、容器をプラスチック製とすることは慣用されている事項にすぎない。
また、飲料製品の容器の技術分野において、当該容器の開口部を封止可能な蓋を有することは技術常識である。
(イ)相違点1-2について
上記(ア)で述べたように、飲料製品の容器が蓋を有することは技術常識であり、当該蓋に各種情報を表示することは、上記「第4の3」で示したように周知技術(周知技術1)である。
また、甲1-4、甲1-5、甲2-4において賞味期限を蓋に表示し、製造業者名等をラベルに表示しているように、表示義務のある情報(賞味期限、製造業者名等)を蓋やラベルなどの複数箇所に分配表示することは一般に行われていることである。
その上で、引用発明1においては、容器に大量の情報を提供する必要があり、販促資料に使用できる容器のスペースが制限されるだけでなく、容器自体とそれに含まれる飲み物の外観が損なわれるという課題を前提としつつ(上記「第4の1(1)イ」参照)、一方で、「好ましくは、いかなる表示もない」(同「1(1)オ」)としていることから見て、必ずしも全ての情報を「ラベル2」に記載するのではなく、当該課題が解決可能な範囲において、必要な情報を「ラベル2」以外に記載することも許容しているものである。
そうすると、引用発明1において周知技術1を適用することにより、「前記飲料の販売にあたって表示することが義務付けられている情報が、前記表示札および前記蓋に分配されて」「表示されている」ようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、そのように構成したものにおいて、表示することが義務付けられている情報を、ラベル及び蓋において「不足なく表示」することは当然備える構成にすぎない。
(ウ)相違点1-3について
本件発明1では、「表示札」として「前記口部に嵌着されるタグ」と「前記肩部に貼付される粘着ラベル」の「少なくとも一方」を有するものと特定しているところ、後者の「粘着ラベル」を選択した場合は、相違点1-3は実質的には相違点ではない。
また、仮に、本件発明1において「前記口部に嵌着されるタグ」を選択したとしても、飲料製品の容器の技術分野において、各種情報を表示するタグを、容器本体の口部に嵌着することは、上記「第4の4」で示したように周知技術(周知技術2)である。
そして、表示札の形態を、引用発明1において周知技術2を参照することにより、「その上部3が、接着剤によって容器1に取り付けられている」「ラベル2」に代えて、「口部に嵌着されるタグ」を設けることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(エ)本件発明1の効果について
上記相違点を総合的に勘案しても、本件発明1の奏する作用効果は、引用発明1及び各周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
ウ 特許権者の主張について
(ア)特許権者の主張
特許権者は意見書1において、「引用発明1は、・・・「あらゆる栄養情報が、容器の内容物の詳細とともに、容器自体以外に存在する」ように構成することによって、「法的要件を満たしながら、容器と、場合によってはその中に入っている飲料とを、よりはっきりと見ることができるようにする」という解決手段を提供する発明である。・・・してみると、引用発明1において、飲料に関する情報をラベル以外の部分に表示する動機付けは存在しない。」(意見書1の10ページ下から11~3行)と主張する。
また、特許権者は意見書2において、「引用発明1の課題と解決手段との関係から、「あらゆる栄養情報が・・・容器自体以外に存在する」ことは引用発明1において必須の事項であり、その当然の帰結として、「飲料に関する全ての情報を伝える」ラベルが飲料容器に貼付される。上述のとおり、「全ての情報」は義務表示にほかならないから、引用発明1は義務表示の全てがラベルに貼付されることを必須の構成要件とする発明である。したがって、引用発明1において飲料に関する情報をラベル以外に表示することには阻害要因が存在し、その動機付けは存在しない。」(意見書2の表紙から数えて3ページ下から3行~4ページ5行)と主張する。
(イ)判断
しかし、上記イ(イ)で述べたとおり、引用発明1においては、必ずしも全ての情報をラベル記載することを意図したものではない。加えて、飲料容器の蓋が通常は透明でないことを踏まえると、当該蓋に一部の情報を表示しても、容器の外観を何ら損なうことにはならならず、引用発明1の課題解決を左右しない。
そうすると、引用発明1において、ラベルに表示された詳細のうちの一部を、商品名や製造メーカー等の特定の表示を強調して消費者が視認しやすくするなどの自明の課題に基づいて、(当該一部の表示がラベルから除外されるか否かにかかわらず)ラベル以外の部分(蓋や容器本体)にも表示することは、当業者が容易に想到し得たことである。
したがって、特許権者の上記主張は採用できない。
エ 小括
以上のとおり、請求項1に係る発明は、引用発明1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2)本件発明2について
ア 対比
本件発明2と引用発明1とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比すると、その相当関係は上記(1)アで示したものと同様である。
そして、両者は上記(1)で示した[相違点1-1]及び[相違点1-3]に加え以下の点で相違する。
[相違点1-2’]
本件発明2は、「当該容器本体の開口部を封止可能な蓋」を有し、「前記飲料の販売にあたって表示することが義務付けられている情報が、前記表示札、前記蓋、および前記容器本体に分配されて不足なく表示されている」のに対し、引用発明1は、蓋を有するか不明であり、さらに情報が蓋及び容器本体にも表示されているかも不明な点。
イ 判断
上記各相違点について検討する。
(ア)相違点1-1及び相違点1-3について
上記(1)イ(ア)及び(ウ)で示したとおりである。
(イ)相違点1-2’について
飲料製品の容器の技術分野において、当該容器の開口部を封止可能な蓋を有することは技術常識である。そして、当該蓋に、表示が義務付けられている情報を表示することは、上記「第4の3」で示したように周知技術(周知技術1)である。
また、表示が義務付けられている情報を容器本体に表示することは、上記「第4の6」で示したように周知技術(周知技術4)である。
さらに、甲1-4、甲1-5、甲2-4において賞味期限を蓋に表示し、製造業者名等をラベルに表示しているように、表示義務のある情報(賞味期限、製造業者名等)を蓋やラベルなどの複数箇所に分配表示することは一般に行われていることである。
そうすると、引用発明1において周知技術1及び周知技術4を適用することにより、「前記飲料の販売にあたって表示することが義務付けられている情報が、前記表示札、前記蓋、および前記容器本体に分配されて」「表示されている」ようにすることは、当業者が想到し得たことである。
そして、そのように構成したものにおいて、表示することが義務付けられている情報を、容器、ラベル及び蓋において「不足なく表示」することは当然備える構成にすぎない。
(ウ)本件発明2の効果について
上記相違点を総合的に勘案しても、本件発明2の奏する作用効果は、引用発明1及び各周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
ウ 特許権者の主張について
(ア)特許権者の主張
特許権者は意見書1において、「甲1-1において、「容器自体はそのような詳細を有さず」と特定する請求項1に係る発明と、「容器自体はいかなる印も有さない」と特定する請求項4に係る発明とが段階的に特定されている。この段階的な特定の趣旨に鑑みると、・・・飲料に関する情報を容器自体に表示することについて阻害要因が認められる。」(意見書10ページ下から2行~11ページ5行)と主張する。
(イ)判断
甲1-1の「本発明による容器は、好ましくは、いかなる表示もない。「表示」とは、文字、イラスト、その他容器に表示されることでその無表示の外観を損なうようなものを意味する。可能な表示の例としては、上記のような容器に印刷またはエンボス加工されたもの・・・が挙げられる。」(上記第4の1(1)オ)と記載されているように、甲1-1においては、容器の外観を損なわない限りにおいて、容器への飲料の詳細の表示を許容するものである。
そして、容器に詳細が表示されるに際し、内容物の視認性を阻害しない金型成形による刻印印字等も周知技術(例えば、甲1-8(【0009】)、甲3-9(底面の写真)等)であり、当該技術は、甲1-1でいうところの「表示」(外観を損なうようなもの)には該当しない。
そうすると、引用発明1において、ラベルに表示された詳細のうちの一部を、商品名や製造メーカー等の特定の表示を強調して消費者が視認しやすくするなどの自明の課題に基づいて、(当該一部の表示がラベルから除外されるか否かにかかわらず)ラベル以外の部分(蓋や容器本体)にも表示することは、当業者が容易に想到し得たことである。
したがって、特許権者の上記主張は採用できない。
エ 小括
以上のとおり、請求項2に係る発明は、引用発明1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3)本件発明3について
飲料製品において、消費者への訴求力を向上させることは、自明の課題であるから、そのために製品名を大きく表示させることは、当業者が容易に想到し得たことである。また、表示領域の無駄をなくすために、その他の表示することが義務付けられている情報を、「重複なく」表示することは、当業者であれば通常なし得たことである。
よって、請求項3に係る発明は、引用発明1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(4)本件発明4、5について
引用発明1において、ラベル2は「接着剤」によって取り付けられるラベルであり、容器1は「実質的に透明」である。
よって、請求項4、5に係る発明は、引用発明1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
2 引用発明3(甲1-8)を主引例とする取消理由(進歩性)
(1)本件発明2について
ア 対比
本件発明2と引用発明3とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
(ア)引用発明3の「清涼飲料等を収容している無色透明のPET単体であるボトル2」、「キャップ1」、「飲料商品」はそれぞれ、本件発明2の「前記飲料を収容可能な容器本体」、「当該容器本体の開口部を封止可能な蓋」、「飲料製品」に相当する。また、引用発明3の「ボトル2」と「キャップ1」は、まとめて本件発明2の「飲料を収容しているプラスチック製容器」に相当する。
(イ)引用発明3の「ボトル2は、上部から下部に亘って順に、口部、口部側に先窄まり形状の肩部、胴部及び底部を有し」ている態様は、本件発明2の「前記容器本体は、口部、前記口部に連設されている肩部、前記肩部に連設されている胴部、および前記胴部に連設されている底部を有し、前記肩部は、前記胴部側から前記口部側に先窄まりの形状を有し」ている態様に相当する。
(ウ)引用発明3の「ラベル表示をなくし」た態様は、本件発明2の「前記プラスチック製容器を包囲するラベルを備えず」に相当する。
(エ)引用発明3の「ボトル本体に直接熱加工印字あるいは成型加工刻印印字を使用して、名称・原材料名・内容量・賞味期限・製造元等必要な表記事項をボトル本体に直接加工処理して表示される」態様は、本件発明2の「前記飲料の販売にあたって表示することが義務付けられている情報が」「表示されている」態様に限り一致する。
以上を総合すると、本件発明2と引用発明3は以下の点で一致し、相違する。
[一致点3]
飲料を収容しているプラスチック製容器を備え、
前記プラスチック製容器は、前記飲料を収容可能な容器本体と、当該容器本体の開口部を封止可能な蓋と、を含み、
前記容器本体は、口部、前記口部に連設されている肩部、前記肩部に連設されている胴部、および前記胴部に連設されている底部を有し、
前記肩部は、前記胴部側から前記口部側に先窄まりの形状を有し、
前記プラスチック製容器を包囲するラベルを備えず、
前記飲料の販売にあたって表示することが義務付けられている情報が表示されている飲料製品。」
[相違点3]
本件発明2では、「前記表示札は、前記口部に嵌着されるタグ、および、前記肩部に貼付される粘着ラベル、の少なくとも一つを含」むものであって、飲料の販売にあたって表示することが義務付けられている情報が「前記表示札、前記蓋、および前記容器本体に分配されて不足なく」表示されているのに対し、引用発明3では、「表示札」に相当する構成を備えておらず、また、それら情報が分配され不足なく表示されているかも不明である点。
イ 相違点3についての判断
まず、甲1-4、甲1-5、甲2-4において賞味期限を蓋に表示し、製造業者名等をラベルに表示しているように、表示義務のある情報(賞味期限、製造業者名等)を蓋やラベルなどの複数箇所に分配表示することは一般に行われていることである。
そうすると、引用発明3において、周知技術1、並びに、周知技術2又は/及び周知技術3を適用することにより、「前記飲料の販売にあたって表示することが義務付けられている情報が、前記表示札、前記蓋、および前記容器本体に分配されて」「表示されている」ようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、そのように構成したものにおいて、表示することが義務付けられている情報を、ラベル及び容器本体において「不足なく表示」することは、当然備える構成にすぎない。
ウ 特許権者の主張について
(ア)特許権者の主張
申立人は、「引用発明3は、「ラベルを剥がす手間を省き、分別されていないペットボトルの量を減らし、リサイクル率を上げることができる」という作用効果と、「ラベル印刷に用いる着色成分を不要とし、ラベル自体のゴミの量も減らすことができ、いっそう環境に良い商品設計となる」という作用効果、との二つの作用効果を奏する発明である。・・・仮に、除去が容易な表示札であれば上記の作用効果のうち前者が損なわれないからこれを追加しうると論理付けたとしても、表示札に起因するゴミの発生は不可避であるから、・・・引用発明3に対して表示札を加える動機付けは依然として認められない。」(意見書1の19ページ下から11行~最下行)と主張している。
また、特許権者は意見書2において、「合議体が言う「剥がしやすく環境負荷の低いラベル」であっても、その付加は引用発明3が解決しようとする課題の解決に反するものであり、許されない。」(意見書2の表紙から数えて8ページ7~8行)と主張する。
(イ)判断
引用発明3は、リサイクル率を上げることや環境によくするという社会的要請に基づいて、「ラベル表示をなくし、ボトル本体に直接加工印字あるいは成型加工刻印印字を使用した」態様を有する飲料商品であるところ、前記「ラベル」とは、甲1-8の【0007】に従来技術として挙げている特許文献1~5の記載内容からみて、ペットボトルの全周を覆うラベルを想定していることは明らかである。そして、ペットボトルの飲料商品においてラベルが一切ない場合には商店で陳列されている状態において商品の情報が識別しにくくなるのは自明であるから、消費者への訴求力向上等の自明の課題に基づいて、ペットボトルの全周を覆うラベルよりも、より剥がしやすく環境負荷の低いラベル(例えば粘着剤や着色料を減らす、面積を小さくするなど)により商品の情報を表示する程度のことは、商品の販売形態等に応じて当業者が適宜なし得たことである。
したがって、申立人の上記主張は採用できない。
エ 小括
以上のとおり、請求項2に係る発明は、引用発明3及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2)本件発明3について
上記1(3)で示したことと同様の理由により、請求項3に係る発明は、引用発明3及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3)本件発明4について
周知技術3は粘着ラベルに係る技術である。
よって、請求項4に係る発明は、引用発明3及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(4)本件発明5について
引用発明3のボトル2は「無色透明」である。
よって、請求項5に係る発明は、引用発明3及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 むすび
以上のとおり、請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2023-700185