特許異議申立
2024-700927
青果物の包装袋に用いるフィルム
- 審判番号
- 2024-700927
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-240722
- 登録番号
- 7471053
- 請求日
- 2024年09月25日
- 審決日
- 2025年03月28日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】グンゼ株式会社
- 【権利者代理人】藤原 賢司
- 【権利者代理人】北原 悠樹
- 【権利者代理人】弁理士法人三枝国際特許事務所
- 【異議申立人】井戸田 能幸
- 審判長/審判官
- 審判長 神山 茂樹
- 審判官 秋山 誠
- 審判官 田口 傑
- 分類
- P1651.121-Y (B65D) / P1651.55 -Y (B65D) / P1651.536-Y (B65D) / P1651.537-Y (B65D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7471053号発明「青果物の包装袋に用いるフィルム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7471053号の請求項1~6に係る特許を維持する。
理由
理 由
1 手続の経緯
特許第7471053号(以下「本件特許」という。)の請求項1~6に係る特許についての出願は、平成30年12月25日を出願日とするものであって、令和6年4月11日にその特許権の設定登録(特許掲載公報令和6年4月19日発行)がされ、その後、その特許について、令和6年9月25日(差出日)に特許異議申立人井戸田能幸(以下「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされたものである。
2 本件特許発明
本件特許の請求項1~6に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明6」といい、総称して「本件発明」ともいう。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
青果物の包装袋に用いるフィルムであって、
前記フィルムの総厚みは、15μm以上30μm未満であって、
前記包装袋を用いた前記青果物の包装は、自動包装機によって行なわれ、
前記フィルムは、表面層、基材層、及びシール層の少なくとも3層を有する二軸延伸ポリプロピレン系フィルムあり、
前記表面層のポリプロピレン系樹脂は、融点が120℃~165℃であり、
前記シール層は、プロピレン系ランダム共重合体及びポリエチレン系樹脂を含有し、
2枚の前記フィルムが、前記シール層の面が互いに向かい合うように重ねられた状態で、温度140℃、圧力0.2MPa、シール時間1.0秒の条件でヒートシールされた場合に、ヒートシール強度が7N/15mm以上、10N/15mm以下であることを特徴とするフィルム。
【請求項2】
前記シール層の厚みが、3μm以上、4μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記シール層は、プロピレン系ランダム共重合体を60重量%~95重量%、及びポリエチレン系樹脂を5重量%~40重量%含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のフィルム。
【請求項4】
前記青果物は、もやしである、請求項1から3のいずれか1項に記載のフィルム。
【請求項5】
前記請求項1から3のいずれか1項に記載のフィルムを用いた、もやしの脱気包装袋。
【請求項6】
青果物の包装袋に用いるフィルムを用い、
前記フィルムの総厚みは、15μm以上30μm未満であって、
前記フィルムは、表面層、基材層、及びシール層の少なくとも3層を有する二軸延伸ポリプロピレン系フィルムであり、
前記表面層のポリプロピレン系樹脂は、融点が120℃~165℃であり、
前記シール層は、プロピレン系ランダム共重合体を60重量%~95重量%、及びポリエチレン系樹脂を5重量%~40重量%含有し、
2枚の前記フィルムが、前記シール層の面が互いに向かい合うように重ねられた状態で、温度140℃、圧力0.2MPa、シール時間1.0秒の条件でヒートシールされた場合に、ヒートシール強度が7N/15mm以上、10N/15mm以下であり、
前記フィルムを用いて、青果物を包装する工程を含み、
前記フィルムを用いた前記青果物の包装は、自動包装機によって行なわれることを特徴とする、脱気包装後の脱気戻りを防止する方法。」
3 申立理由の概要
申立人が主張する申立理由は、次のとおりである。
(1)新規事項
請求項1及び請求項6に、令和5年12月25日の手続補正(当審注:申立人は、特許異議申立書において「令和5年8月21日付け手続補正書」と記載するが、下限値「15μm」は令和5年12月25日の手続補正で補正された記載のため、申立人が主張する新規事項の理由の根拠が、「令和5年12月25日の手続補正」であるものとして理解した。)により加入された「前記フィルムの総厚みは、15μm以上30μm未満であって、」との事項は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項との関係で新たな技術的事項を導入するものであるから、請求項1~6に係る特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(2)進歩性
本件発明1~6は、甲第1号証及び甲第2号証の記載に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(3)サポート要件
請求項1及び請求項6の「前記フィルムの総厚みは、15μm以上30μm未満であって、」における、数値範囲の境界値である「15μm」と「30μm」は、発明の詳細な説明中に記載も示唆もされていない。
また、請求項1及び請求項6の「前記フィルムの総厚みは、15μm以上30μm未満であって、」かつ「2枚の前記フィルムが、前記シール層の面が互いに向かい合うように重ねられた状態で、温度140℃、圧力0.2MPa、シール時間1.0秒の条件でヒートシールされた場合に、ヒートシール強度が7N/15mm以上、10N/15mm以下であること」を満たすものが、フィルムの総厚みが25μmの実施例1と20μmの実施例2以外記載されておらず、それらを除く他の範囲については記載も示唆もされていない。
そのため、請求項1~6に係る特許は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反してされたものである。
(4)実施可能要件
実施例1と実施例2が記載されているが、それら以外について、どのように実施するのか明確に記載されておらず、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていないため、請求項1~6に係る特許は、特許法第36条第4項第1号の規定に違反してされたものである。
(5)証拠方法
甲第1号証:特開2004-244523号公報
甲第2号証:菱沼一夫、「溶着層の厚さのヒートシール強さへの関与の定量的検証」、日本包装学会誌、Vol.15、No.1、2006年、29~38頁
以下、甲第1号証、甲第2号証を、それぞれ「甲1」、「甲2」という。
4 当審の判断
(1)新規事項について
ア 申立人は、令和5年12月25日の手続補正により、特許請求の範囲の請求項1及び請求項6に加入された、「前記フィルムの総厚みは、15μm以上30μm未満であって、」との補正事項は、数値範囲の境界値である、下限値の「15μm」、上限値の「30μm」が、当初明細書等に記載されておらず、当初明細書等に記載した事項との関係で新たな技術的事項を導入するものである旨主張する。
イ 当初明細書等には、フィルムの総厚みについて、「通常10μm~80μmの範囲内であり、好ましくは10μm~40μmの範囲内である。」(【0069】)と記載されるとともに、実施例1で「25μm」、実施例2で「20μm」の総厚みのフィルムが、それぞれ「10N/15mm」、「7N/15mm」のシール強度で良好であり、脱気戻りの発生もないことが確認されている。
ウ 上記補正事項に係る、下限値の「15μm」、上限値の「30μm」は、いずれも、当初明細書等に明示はされていないが、フィルムの総厚みの好ましいとされる「10μm~40μm」の範囲内である。
また、実施例1で「25μm」、実施例2で「20μm」の総厚みのフィルムについて、良好なシール強度が得られ、脱気戻りの発生がないとの効果が確認されていることからすれば、実施例のフィルムの総厚み自体に開示に幅があり、実施例の数値に対して近接した値である「15μm」、「30μm」についても同様の効果が得られるであろうことが理解できるものである。
さらに、「15μm」、「30μm」を境界値とすることに新たな臨界的意義を持たせるものでない。
そうすると、下限値を「15μm」と、上限値を「30μm」とすることは、新たな技術的事項を導入するものとまではいえない。
エ よって、新規事項に係る申立理由には、理由がない。
(2)進歩性について
ア 甲1に記載された発明
甲1には、実施例1の三層共押出積層フィルムについて着目すると、次の、「甲1発明」が記載されていると認められる。
「プロピレン・エチレンランダム共重合体95重量%及び直鎖状低密度ポリエチレン5重量%をドライブレンドしたプロピレン共重合体組成物からなる熱融着層と、
直鎖状低密度ポリエチレン100重量%からなる中間層と、
プロピレン・エチレンランダム共重合体95重量%及び直鎖状低密度ポリエチレン5重量%をドライブレンドしたプロピレン共重合体組成物からなるラミネート層を有する三層共押出積層フィルムであって(【0024】、【0025】)、
上記プロピレン・エチレンランダム共重合体は、エチレン含有量が3.1重量%で、DSCに基づく結晶融解曲線から求められた、融解開始温度(Ts)が94.0℃、ピーク温度(Tp)が126.6℃、融解終了温度(Te)が131.4℃であり(【0024】)、
フィルムの総厚は40μm、各層の厚みは熱融着層:中間層:ラミネート層が6.5μm:27.0μm:6.5μmであり(【0025】)、
フィルムの熱融着層面を重ね合せ、温度140℃、0.2MPaの圧力で1秒間、ヒートシールした場合のヒートシール強度が10.6N/15mmである(【0023】、【表1】)、三層共押出積層フィルム。」
イ 甲2に記載された事項
甲2には、ヒートシーラントの厚さとヒートシール強さの関係が示されており(特に図4、5)、ヒートシーラントの厚さが小さいほどヒートシール強さは小さいこと(以下「甲2記載事項」という。)が記載されていると認められる。
ウ 本件発明1について
(ア)本件発明1と甲1発明を対比する。
甲1発明の「三層共押出積層フィルム」は、「果物、野菜等の生鮮食品類」の包装用フィルム(【0021】)に用いることを想定するものであり、本件発明1の「青果物の包装袋に用いるフィルム」に相当する。
甲1発明の「三層共押出積層フィルム」は、「フィルムの熱融着層面を重ね合せ」てヒートシールするから、甲1発明の「三層共押出積層フィルム」が有する「熱融着層:中間層:ラミネート層」のうち、「熱融着層」は本件発明1の「シール層」に相当し、甲1発明の「中間層」、「ラミネート層」は、3層の配置順から、それぞれ、本件発明1の「基材層」、「表面層」に相当する。
甲1発明の「三層共押出積層フィルム」は、プロピレン系ランダム共重合体(プロピレン・エチレンランダム共重合体)を含有するものであり、本件発明1の「二軸延伸ポリプロピレン系フィルム」と、「ポリプロピレン系フィルム」という限りで一致する。
甲1発明の「熱融着層」は、「プロピレン・エチレンランダム共重合体95重量%及び直鎖状低密度ポリエチレン5重量%をドライブレンドしたプロピレン共重合体組成物からな」り、本件発明1の「シール層」と同様、「プロピレン系ランダム共重合体及びポリエチレン系樹脂を含有」するものである。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、
「青果物の包装袋に用いるフィルムであって、
前記フィルムは、表面層、基材層、及びシール層の少なくとも3層を有するポリプロピレン系フィルムあり、
前記シール層は、プロピレン系ランダム共重合体及びポリエチレン系樹脂を含有する、フィルム。」で一致し、次の相違点で相違する。
<相違点1>
本件発明1の「前記フィルムの総厚みは、15μm以上30μm未満であ」るのに対し、甲1発明の「フィルムの総厚は40μm」である点。
<相違点2>
本件発明1が「前記包装袋を用いた前記青果物の包装は、自動包装機によって行なわれ」るのに対し、甲1発明は、そのように特定されていない点。
<相違点3>
ポリプロピレン系フィルムに関し、本件発明1が「二軸延伸」されているのに対し、甲1発明は、そのように特定されていない点。
<相違点4>
本件発明1の「前記表面層のポリプロピレン系樹脂は、融点が120℃~165℃であ」るのに対し、甲1発明のラミネート層のプロピレン・エチレンランダム共重合体は、「DSCに基づく結晶融解曲線から求められた、融解開始温度(Ts)が94.0℃、ピーク温度(Tp)が126.6℃、融解終了温度(Te)が131.4℃であ」る点。
<相違点5>
温度140℃、圧力0.2MPa、シール時間1.0秒の条件でのヒートシール強度に関し、本件発明1が「7N/15mm以上、10N/15mm以下」であるのに対し、甲1発明は「10.6N/15mm」である点。
(イ)事案に鑑み、上記相違点1と相違点5を併せて検討する。
甲1には、熱融着層:中間層:ラミネート層の3層からなる積層フィルムの、全体の厚さとして「10~500μm、好ましくは20~100μmの範囲」(【0018】)と記載されている。また、フィルムが薄い方が短い時間でシールできることは技術常識であり、短い時間でシールするため、甲1発明の「フィルムの総厚は40μm」より総厚を薄くする動機付けはあるといえる。
他方で、甲2記載事項のとおり、ヒートシーラントの厚さが小さいほどヒートシール強さは小さいことから、シール層の厚さを減らすとヒートシール強度も低下する可能性がある。そのため、甲1発明の「フィルムの総厚は40μm」であり「ヒートシール強度が10.6N/15mmである、三層共押出積層フィルム」について、フィルムの総厚を、40μmから、「15μm以上30μm未満」の範囲内に薄くした際に、「三層共押出積層フィルム」のうち、「熱融着層」の厚みも薄くなるように調整すると、ヒートシール強度は10.6N/15mmよりも低下すると推測されるが、「7N/15mm以上、10N/15mm以下」の範囲内になるとまでは必ずしもいえない。
また、甲1には、「三層共押出積層フィルム」のヒートシール強度を、「7N/15mm以上、10N/15mm以下」の範囲内とすることについて、記載も示唆もされておらず、「7N/15mm以上、10N/15mm以下」の範囲内となるように、「熱融着層」の厚みを調整する動機付けもない。
そうすると、本件発明1の相違点1及び相違点5に係る構成を共に備えることは、甲1発明及び甲2記載事項から当業者が容易に想到し得たことではない。
(ウ)よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
エ 本件発明2~5について
本件発明2~5は、本件発明1の発明特定事項を全て備えるものであるところ、上記ウで述べたように、本件発明1は、甲1発明及び甲2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明2~5も、甲1発明及び甲2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
オ 本件発明6について
甲1には、甲1発明の三層共押出積層フィルムを用いて、果物、野菜等の生鮮食品類を包装する方法に係る発明(以下「甲1方法発明」という。)も記載されている。
本件発明6と甲1方法発明を対比すると、上記ウ(ア)で述べた相違点1及び相違点5で、少なくとも相違する。
そして、相違点1及び相違点5については、上記ウ(イ)で述べた理由と同様に、本件発明6の相違点1及び相違点5に係る構成を共に備えることは、甲1方法発明及び甲2記載事項から当業者が容易に想到し得たことではない。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明6は、甲1方法発明及び甲2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
カ 進歩性についてのまとめ
よって、進歩性に係る申立理由には、理由がない。
(3)サポート要件について
本件発明の解決しようとする課題について、本件明細書では、「青果物の包装袋に用いるフィルムとして、脱気包装袋の膨らみ(脱気戻り)を抑制できるフィルムを提供すること」(【0009】)と記載されている。
この課題の解決に関し、本件明細書では、「ガスの出入りは、袋に製袋した時のシール部分から起こっている。そのシール部分の不良部分からガスが出入りする。安定したシール性を実現することで、脱気包装袋の膨らみ(脱気戻り)を低減することができる。」(【0013】)との知見を得て、表面層、基材層、及びシール層の少なくとも3層を有する二軸延伸ポリプロピレン系フィルムについて、実施例1としてヒートシール強度が「10N/15mm」のフィルム、実施例2としてヒートシール強度が「7N/15mm」のフィルムを作成したところ、いずれも良好なシール強度が得られ、脱気戻り発生の割合が0%であることが確認できたとされている。
これらのことから、表面層、基材層、及びシール層の少なくとも3層を有する二軸延伸ポリプロピレン系フィルムについて、「ヒートシール強度が7N/15mm以上、10N/15mm以下」であれば、青果物を包装した際に脱気戻りを抑制するという課題を解決し得ることを当業者であれば理解できる。すなわち、「2枚の前記フィルムが、前記シール層の面が互いに向かい合うように重ねられた状態で、温度140℃、圧力0.2MPa、シール時間1.0秒の条件でヒートシールされた場合に、ヒートシール強度が7N/15mm以上、10N/15mm以下」であることが特定された本件発明は、本件発明の解決しようとする課題を解決できるものであり、発明の詳細な説明に記載された発明である。
なお、申立人は、「請求項1及び請求項6では、「前記フィルムの総厚みは、15μm以上30μm未満であって、ヒートシール強度が7N/15mm以上、10N/15mm以下である」が規定されているが、当該事項は発明の詳細な説明中に記載も示唆もされていない」(異議申立書9ページ下から7~4行目)と主張する。しかし、上述のとおり、課題の解決に関して「ガスの出入りは、袋に製袋した時のシール部分から起こっている。そのシール部分の不良部分からガスが出入りする。安定したシール性を実現することで、脱気包装袋の膨らみ(脱気戻り)を低減することができる。」(【0013】)と記載されていることから、本件発明において課題解決に影響しているのはシール部分であって、フィルムの総厚み自体は課題解決に影響しているものではない。そして、フィルムの総厚みとして「通常10μm~80μmの範囲内であり、好ましくは10μm~40μmの範囲内である」(【0069】)と記載されていることを踏まえれば、フィルムの総厚みが「15μm以上30μm未満」の範囲内でも本件発明の課題を解決できることは明らかであるから、申立人の上記主張は採用できない。
よって、サポート要件に係る申立理由には、理由がない。
(4)実施可能要件
申立人は、発明の詳細な説明には、実施例1と実施例2が記載されているが、それら以外について、どのように実施するのか明確に記載されておらず、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていない旨主張する。
しかし、発明の詳細な説明には、
本件発明のフィルムが、表面層、基材層、及びシール層の少なくとも3層を有する二軸延伸ポリプロピレン系フィルムであること(【0026】)、
表面層、基材層、及びシール層の各層に用いる樹脂と、含有させる添加物について(【0029】~【0067】)、
フィルムの各層の厚みについて(【0069】~【0073】)、
フィルムの製造方法について(【0076】~【0084】)、
フィルムを袋状に加工する方法について(【0085】)、
それぞれ記載されている。
さらに、具体例として、実施例1と実施例2が示されており、これらの記載を元にして、各層についてその材料や厚み等を適宜決定することにより、当業者は本件発明のフィルムを製造することができるものといえる。
よって、実施可能要件に係る申立理由には、理由がない。
5 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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