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特許異議申立

2025-700931

情報処理装置、情報処理方法及びプログラム

審判番号
2025-700931
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2023-205903
登録番号
7652868
請求日
2025年09月29日
審決日
2026年02月09日
公報発行日
2026年03月27日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】栗田工業株式会社
  • 【異議申立人】松山 徳子
審判長/審判官
  • 審判長 佐藤 智康
  • 審判官 小池 堂夫
  • 審判官 田付 徳雄
分類
P1651.113-Y (G06Q) / P1651.121-Y (G06Q) / P1651.536-Y (G06Q) / P1651.537-Y (G06Q)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条、特許法第29条、特許法第103条
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7652868号発明「情報処理装置、情報処理方法及びプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7652868号の請求項1~8に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7652868号の請求項1~8に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、令和5年12月6日に出願され、令和7年3月18日にその特許権の設定登録がされ、同年3月27日に特許掲載公報が発行された。その後、本件特許の請求項1~8に係る特許に対し、令和7年9月29日に特許異議申立人 松山 徳子(以下「異議申立人」という。)により、特許異議の申立てがされた。 なお、特許異議の申立ては、特許掲載公報の発行の日から六月以内に限りすることができる(特許法103条1項)。本件特許については、令和7年3月27日(特許掲載公報日)から起算した六月後が土曜日に当たるため、その翌々日の同年9月29日が末日となる(同法3条)。したがって、当該特許異議の申立ては、法定の期間内にされたものである。 第2 本件特許発明 本件特許の請求項1~8に係る発明(以下「本件特許発明1」~「本件特許発明8」という。また、これらの発明をまとめて「本件特許発明」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 管理対象の設備の管理を支援する情報処理装置であって、 前記管理対象の設備と、管理対象でない設備及び/又は前記管理対象の設備に対する外部環境因子と、に関する管理項目のデータ群を取得可能に構成され、 前記情報処理装置は、プロセッサを備え、 前記プロセッサは、次の各ステップを実行可能に構成され、 第1受付ステップでは、ユーザより、前記管理対象の設備に対する2以上の管理事項を受け付け、 第2受付ステップでは、前記ユーザより、将来の時間条件を受け付け、 第1予測ステップでは、受け付けた前記将来の時間条件と、前記管理項目のデータ群の時間的な推移と、に基づき、前記将来の時間条件における、前記管理事項の状態を予測し、 前記管理対象の設備は、産業分野に関する設備であり、 前記2以上の管理事項は、前記産業分野に関する設備の、法令、生産性、資源の多寡、エネルギーの省力化、省人化、コスト削減及び環境衛生からなる群から選択されるカテゴリであって、互いに異なる2種以上のカテゴリに関する事項である、情報処理装置。 【請求項2】 請求項1に記載の情報処理装置において、 前記環境衛生は、前記産業分野に関する設備が廃液又は排水を放流する際の環境衛生に関する、情報処理装置。 【請求項3】 請求項1に記載の情報処理装置において、 前記産業分野に関する設備は、廃液処理分野、製造分野又は発電分野に関する設備である、情報処理装置。 【請求項4】 請求項1に記載の情報処理装置において、 前記産業分野に関する設備は、プラントである、情報処理装置。 【請求項5】 請求項4に記載の情報処理装置において、 前記プラントは、水系に関するプラントである、情報処理装置。 【請求項6】 請求項1に記載の情報処理装置において、 前記情報処理装置が取得可能な前記管理項目は、前記管理対象でない設備に対する管理項目を含む、情報処理装置。 【請求項7】 情報処理方法であって、 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の情報処理装置の各ステップを備える、情報処理方法。 【請求項8】 プログラムであって、 コンピュータに、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の情報処理装置の各ステップを実行させる、プログラム。」 第3 特許異議の申立理由の概要 1 異議申立人の提出した証拠 異議申立人は、次の甲第1号証及び甲第2号証(以下、「甲1」及び「甲2」という。)を証拠として提出している。 甲第1号証:特開2005-074418号公報 甲第2号証:国際公開第2022/118382号 2 特許異議の申立ての理由 異議申立人の主張する特許異議の申立ての理由の概要は以下のとおりである。 (1)理由A(新規性) 本件特許発明1~8は、甲1に記載された発明であるから、本件特許は、特許法29条1項3号の規定に違反している。(特許異議申立書第35~37頁) (2)理由B(進歩性) B-1 本件特許発明1~8は、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法29条2項の規定に違反している。(特許異議申立書第35~37頁) B-2 本件特許発明1~8は、甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法29条2項の規定に違反している。(特許異議申立書第37~39頁) B-3 本件特許発明1~8は、甲1に記載された発明及び甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法29条2項の規定に違反している。(特許異議申立書第39頁) (なお、上記「B-1」等の項目は、本決定において、便宜上、合議体にて付したものである。) (3)理由C(実施可能要件) 発明の詳細な説明の全体の内容及び実施例を確認しても、(1)「管理対象の設備」がどのような設備であるか不明である、(2)「管理対象でない設備」及び「管理対象の設備に対する外部環境因子」についても、どのような設備であるのか、又、どのような外部因子であるのか特定することができない、(3)上記(1)に伴い、「第1受付ステップでは、ユーザより、前記管理対象の設備に対する2以上の管理事項を受付け、」の構成も不明であるため、当業者であっても、どのようにして「管理対象の設備の管理を支援」するのか全く不明であり、本件特許発明1~8は、当業者が実施可能な程度に記載されておらず、特許法36条4項1号の規定に違反している。(特許異議申立書第39~42頁) (4)理由D(サポート要件) 本件特許発明1~8における「管理対象の設備」は、どのような設備が管理対象になるのか、本件発明の詳細な説明の記載に基づいても不明であり、これにより「管理対象でない設備」及び「管理対象の設備に対する外部環境因子」についても、どのような設備であるのか、又、どのような外部因子であるのか当業者が認識できず、これらは本件特許明細書の全体から認識できる発明の内容を超えた範囲を含む表現である。よって、本件特許発明1~8は、特許法36条6項1号の規定に違反している。(特許異議申立書第42頁) (5)理由E(明確性) 本件特許発明1~8に共通して規定されている、「管理対象の設備」は、どのような設備が管理対象になるのか、本件発明の詳細な説明の記載に基づいても不明であり、これにより「管理対象でない設備」及び「管理対象の設備に対する外部環境因子」についても、どのような設備であるのか、又、どのような外部因子であるのか不明であるため、特許請求の記載が不明確である。よって、本件特許発明1~8は、特許法36条6項2号の規定に違反している。(特許異議申立書第42頁) 第4 異議申立人の提出した証拠の記載 1 甲1に記載されている事項、甲1発明について (1)甲1に記載されている事項 甲1には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。 「【請求項1】 少なくとも一系列の淨化水の配水経路に於いて、原水採取口より使用先端口に至る全過程に関し維持管理上必要と位置付けた管理事項を常時監視し、それら取得データをデータファイルサーバーに蓄積し、該蓄積データを予め定めた独自基準データベースに基づく制御思想に照し、異常事態が想定される前兆を察知し対処手段を提案する如く設営した制御システムで、最適対処内容を選別の上起令し、これに連動して起生する変動の一切を収斂完結せしめて施設機能の回復正常化と保全を全うする事を特徴とする淨化水供給施設の監視及び制御ネットワークシステム。 【請求項2】 該維持管理上必要と位置付けした諸事項として、各種物理量として示される移動水の流量値、ポンプ圧力値、電気機器電流値および関連安全機器の挙動、濾過機器ユニット処理過程に於ける管理値、水質管理上の管理規制値、処理薬品を含むユーティリティ消耗材保持量などのいずれかを単独に或いは複合して対象とする事を特徴とする請求項1記載の淨化水供給施設の監視及び制御ネットワークシステム。 【請求項3】 該独自基準データベースとして、予測機能を有する学習型ナレッジデータベースに基づく対処手段と処置発動を起令出来る事を特徴とする請求項1ないし2記載記載の淨化水供給施設の監視及び制御ネットワークシステム。 【請求項4】 該予測機能を有する学習型ナレッジデータベースとして、残留塩素管理及び濾過膜の動態遷移を追求解析して予め定めた特定バーチャルイメージに即応して起令する如く設営せしめた事を特徴とする請求項3記載の淨化水供給施設の監視及び制御ネットワークシステ厶。 【請求項5】 該最適対処手段を選別するに際し、自動的にシステム自体が決定するか、或いは関係部署に助言を求めるかの何れかの選択手段を保持可とする事を特徴とする請求項1ないし4記載の淨化水供給施設の監視及び制御ネットワークシステム。 【請求項6】 該関連部署に通告方法として、無線通信、電話回線、専用回線、広域LAN、インターネットなどとする事を特徴とする請求項1ないし5記載の淨化水供給施設の監視及び制御ネットワークシステム。」 「【0001】 本発明は、飲料用水道原水として地下水、工業用水などを原水として処理して得た淨化水などを飲料水施設として活用するに際し、全過程に亘り無人管理或いは省力管理のもとに確実な飲料水供給を安定的に確保する自動監視並びに制御ネットワークシステムに関するものである。」 「【0002】 従来、井戸水など飲料水を安定的な水量で確実に提供する為に、多大の努力が払われて来た。特に、安定的に水質と水量を確保するには、定期的な点検保守により井戸水汲上げ動力源の確認、原水槽センサーの確認、原水ポンプ動力の確認、濾過装置の確認およびメンテナンス、残留塩素(残塩と略称)の監視など細部に亘り主として人海戦術的に気が配られて来た。 このような煩雑な作業を軽減する科学的な手法の一つとして、膜分離を中心とする膜浄水技術が開発され普及が進んでいる。また、これら膜浄水方式は自動管理に馴染む技術としてテレメトリー化され一層の自動監視に貢献している。」 「【発明が解決しようとする課題】 【0007】 以上の様な状況を対象に、これらの問題点を解決する為にはコンピューター機能の進化を高め、技術的に介入して解析出来る如く学習させる点、更にこの機能を駆使して対象管理設備群を安定して管理し、既に稼動中の浄水設備にも適応可能で且つ新規な設備に対応出来るシステムの提供を目的とした。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明者等は、このような観点から上記目的を達成するため鋭意研究し、ここで求められるコンピューター機能の合目的改善に関し、本願システムでは異常事態の予測を知識集約型・学習型データベースを基にして形成されたナレッジデータベースを構築し、此れを中央制御指針として処理する改善により達成出来ることを確認し本発明に到達した。 【0009】 即ち、本発明の要旨とするところは、少なくとも一系列の淨化水の配水経路に於いて、原水採取口より使用先端口に至る全過程に関し維持管理上必要と位置付けた管理事項を常時監視し、それら取得データをデータフアイルサーバーに蓄積し、該蓄積データを予め定めた独自基準データベースに基づく制御思想に照し、異常事態が想定される前兆を察知し対処手段を提案する如く設営した制御システムで、最適対処内容を選別の上起令し、これに連動して起生する変動の一切を収斂完結せしめて施設機能の回復正常化と保全を全うする事を特徴とする淨化水供給施設の監視及び制御ネットワークシステムにある。 【0010】 ここに少なくとも一系列の淨化水とは、地下水や伏流水或いは工業用水などの飲料水製造可能な水源を供給元とし、これらの原水を処理して得る飲用可能な高度処理水を含む浄化水の一系列或いは複数系列を広く指している。 また、更にこの浄化水には自治体などにより供給される上水など、必要に応じ飲料水として混合使用可能な水をも含むものである。 【0009】 これらの飲料水を各種需要箇所に配管供給するには、特に制限は無く通常の配管方式による。従って、本願で言う原水採取口より使用先端口に至る全過程に関し維持管理上必要と位置付けた管理事項を常時監視する為には、必要とする各種のセンサー並びにこのセンサーに基づく作動拠点を設ける事が必要である。 これらを基にして経路内の飲料水状況をコントロールするもので、取り付けるセンサーの種類及びコントロール方法に特別な制限を設ける必要はない。 例えば、残塩濃度を監視するには代表的な手法として、配管中に残留塩素計を設置し管理範囲を設定し其の残塩濃度を連続して検出し水質をコントロールする方式、或いは残留塩素計に代え酸化還元電位を検出して残塩量を検量しコントロールする方式、更にはタイマーを組み込み一定時間経過毎に管内の残留水を循環、或いは再処理する方式などが考えられる。 【0010】 本発明に於いて、上記した各種のセンサー並びにこのセンサーに基づく作動拠点における採取データ或いは挙動は、これらを基に起令した行動の結果をも含めデータフアイルサーバーに蓄積される。 即ち、これらデータファイルの内容は、必要に応じ本願で言う予め定めた独自基準データベースに組み込まれ、更に対象とするプラントなどのランニングに基づくケースワークの結果を有効に活用することが出来、独自基準データベース内容を自動的或いは意図的に成長せしめるもので、本願の特徴とする知識集約型・学習型ナレッジデータベースの形成が可能となる所以である。 このような方式により集約され形成されたノウハウは、更にこの情報に基づき起令される全ての行動とその結果をも含めてフィードバックされて、以後の異常事態の前兆を察知し対処手段を提案するナレッジデータベースとしては完全を期すものである。 【0011】 本願で、維持管理上必要と位置付けした諸事項として、各種物理量として示される移動水の流量値、ポンプ圧力値、電気機器電流値および関連安全機器の挙動、濾過機器ユニット処理過程に於ける管理値、水質管理上の管理規制値、処理薬品を含むユーティリティ消耗材保持量などを通常の管理事項として居り、これらは単独に或いは複合して対象とする事が出来る。 これら本願で指称する項目は、本願の発明内容を限定するものでは無く、プラント運転の結果、管理項目を増減する事が有り得る。 【0012】 特に、濾過機器ユニット処理過程に於ける管理値、水質管理上の管理規制値として重要な位置付けとなる濾過膜の動態遷移を追求解析することにより、各種濾過膜の実運転に於ける機能の管理限界を見出し、機能喪失の最終段階に到達する以前の予測段階にて必要なアクションを可能と出来る特定のバーチャルイメージの創設に到達出来る。 本発明で使用する濾過膜は、微細孔濾過膜を主体とした濾材で構成されており、その濾過膜の代表として有機膜では、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリルなどの素材を使用し、0.05ないし0.3ミクロンの微細孔を有する各種中空糸膜やメンブレン膜などである。」 「【発明を実施するための最良の形態】 【0014】 以上に述べた本発明の淨化水供給施設の監視及び制御ネットワークシステムをその代表例の構成を示すと図1のとおりである。 図1は、淨化水の配水経路に於いて、原水採取口より使用先端口に至る全過程に関し遠隔維持管理する本発明の管理システムの構成例を示すものである。 図1の例に於いて、遠隔地に在る水道施設(1)の管理基地として施設諸機能に設置された計測機器や各種センサーを通じて設備機器の運転状況と管理事項のデータ把握を行い、これを現地コンピュータに収集する。現地コンピュータのデータは適切な通信手段を介し中央制御装置内のデータフアイルサーバに蓄積される。これらの蓄積データは、一定の基準に基づき解析処理されてナレッジデータベースに加工変換され収納される。 【0015】 ナレッジデータベースには、特定の技術ユニットの管理に必要な数値、変動要因に基づく基本関数式、温度・時間経過・時刻或いはpHなどの環境変化などによる補正式、管理値の限界とその許容幅、数値管理の傾向より得るデータ移行の傾向と異常事態判断のタイミング、異常事態判断時に於ける処置起令プログラムなどが常時入力され待機状態で保持される。 しかし、これらナレッジデータベースは固定されてはならず、常時進化してこそ意義が有る。このために、インターネットなどの通信手段を介し中央制御装置のデータファイルサーバーに蓄積された新規データを再処理し、知識集約・学習型の新規ナレッジデータベースデータとして逐次修正更新される。 即ち、原水の浄水から配水に至る全工程経路で維持管理上必要となる管理項目を常時監視し、それらの実データは通信手段の活用によりナレッジデータベースに取入れ蓄積し、また一方では管理項目について予め定めた独自基準をも、新規基礎データの成長により進化させ、ひいては制御レベルの向上したデータベースによりコントロールすることが可能となる。 【0016】 知識集約・学習型データベース(ナレッジデータベース)は維持管理上必要と位置付けした管理事項に関係する使用条件、使用環境、使用機器の情報等の諸要件との関係と、補正条件及び運転管理範囲を予め登録し、各管理項目の時々刻々のデータを予め定める標準条件における補正値に変換するとともに、時系列的に予測される運転管理範囲(ワーキングレンジ)からの逸脱時点を異常発生時点として発信すると共に対応手段を選択し処置起令するものである。 知識集約・学習型データベース(ナレッジデータベース)は設備機器の物理的仕様、その性質、その管理条件、設置場所の土壌水質環境、利用者の習慣、生活環境の変化を反映して構築されたデータベースである。即ち水道浄水・配水工程制御において云うナレッジデータベースの内容として、たとえば以下のようなものを例示することが出来る。 【0017】 ▲1▼殺菌剤として利用する次亜塩素酸ソーダより遊離塩素分の発生方法、投入方法、投入手順、投入量制御などの仕様 ▲2▼地下水を原水とする水道の場合、地層構造と強度、酸性度、汲上げポンプの設置深度、送水パイプの劣化曲線等 ▲3▼水質の酸性/アルカリ性度、その他の独自性質 ▲4▼水の用途とそれに対応出来る水質項目の内容 ▲5▼繁華街等大口向け常時平均的利用の状態、住宅街による夜間使用量の低下(無使用)等特殊状態の把握等 ▲6▼集中稼動による場合の時間あたりの必要水量と一般利用時間帯における水量の変化等 ▲7▼設備機器が持つ物理的最大/最小機能範囲、使用条件、設備機器の仕様等 ▲8▼法規制による利用範囲、使用許可範囲等 ▲9▼最適な対応策を自己判断の上、自動的に実施する為の情報として、設備機器からの情報の時間経過による電気/電圧/水圧及び水位、水質等の状態移変を適切な数式を用いて状態遷移方向としてデジタルに推測するシステム、或いは異常の進行速度を測り、ナレッジデータベースに登録された諸条件と対応して処理し、処置発動の優先順位及びそのフィードバックを行うシステム等 【0018】 かくして中央制御装置を中心とした現場運転維持管理項目の異常予知と対応処置が即時に行われ、関係者の確認作業も即時可能になった。さらに、異常事態が想定される前兆を発見した時点にて薬品類を含む保守部品の不足があっても、異常事態発生が事前に察知連絡されるので薬品類を含む保守部品の不足による運転不具合発生のリスクを回避することができる。 この具体的実施状況を図2により残塩量のコントロールについて説明する。 残塩量の動態的変化を捉え、これを基に異常事態とするか或いは異常事態が想定される前兆とするかの判断過程をも含め、本発明のナレッジデータベースに収納する例を具体的に以下に例示する。 【0019】 例えば、次亜塩素酸ソーダによる消毒(滅菌)について例示すると、水質が微アルカリ性域では次亜塩素酸ソーダによる遊離塩素の殺菌性が急激に小さくなるために、系のpHコントロールを酸性側に戻す必要が有る。 一方、殺菌のための残塩量が多すぎると飲料水の味に影響を及ぼし、また少なすぎると殺菌効果が得られず水の安全性面で問題となる。 更に、アンモニア成分が多い場合、塩素はアンモニアと反応しクロラミンを生成することから塩素臭が発生する。鉄分・マンガン分が多い水質では次亜塩素酸ソーダ、二酸化塩素共に消費向上が起生する。 これらの情報を基に次亜塩素酸ソーダ等の理想的な注入量の範囲、法令による規制制限範囲、水質の時間経過による殺菌効率の低下曲線、発生・注入後の時間経過による回復曲線等を登録する必要がある。」 「【0021】 図2により本願発明に於いて用いた手段の具体例を示すと、実液浄化のランニング状態で所定の注入箇所に約12%の次亜塩素酸ソーダ液(次亜と略称する)を注入するに際し、同図上で縦軸に残塩濃度(次亜の浄水中濃度を略称して示す)を、横軸に設定時の所定次亜量を注入しながら変動する残塩経過時間を夫々採り、残塩濃度変化の移行状態を示すものである。 本図2に於いて示される状況は、異常事態対処起点(残塩状態変化線とL-L‘線の交点)に到達する3時間前よりの残塩量変化を常時把握して追跡し、異常事態発生時には該対処時点にて次亜の注入量を増量し、その後の変化を追跡し残塩濃度が目標範囲内にて安定するまで自動観察し対処を続けるものである。 残塩濃度の規制としては、同図に於いて示す規定値と理想値を制御の想定範囲と定めて対応する。 【0022】 しかし、水槽内の滞留時間に主因を発する遊離塩素不足の場合には、次亜塩素酸ソーダの単なる追加注入処置では無く、給水槽での水量の推移の監視、次亜塩素酸ソーダの注入量、原水ポンプの作動記録、時間帯のチェック、利用者の習慣、生活環境からの学習情報及び遊離塩素態の殺菌剤が停滞する水中での殺菌効果の変化等複数の項目を総合的に判断し、水の循環による残塩濃度低下防止対策として綜合的な処置を行う事も可能である。 即ち、水の循環による残塩濃度低下防止対策は、受水槽から再度処理水槽又は原水槽に水を戻す循環機能を利用する方法で、受水槽側に取付けたモータに起動を要求することで水の循環を開始し、特別に次亜塩素酸ソーダを投入する必要もなく、且つ人手を要せずに処置が可能で、その上水の入れ替えをも必要としない。」 「【0026】 一方、本発明では工程の異常の予知と対策、周辺情報の把握を加味した正確な異変察知により、水道事業遂行上のリスクが大幅に軽減する事が出来る。 この事は、多くの従事者を常時配置出来ない小規模水道事業者に対し特に有効であることは云うまでも無く、実運転中の設備機器からのデータ情報をナレッジデータベースに取り込み、状態遷移により予測される異常事態に対しても事前に自判出来る点で、最適な保全手段が常時活用出来異常事態を回避する点に特徴を有する。 本発明は、これらの優れた機能を常時活用出来る点で水道浄水・配水システムの革命を果たし、常時断水を行うこと無しに安定的な水量・水質を提供し、部品・薬品の余剰在庫解消、無理のない人員の配置と保守作業のスケジュール化等が可能になる面で画期的な効果を奏し、本発明の工業的効果は極めて著大であるものと確信する。」 「【図1】 [図:0001433113000001.jpg] 【図2】 [図:0001433113000002.jpg] 」 (2)甲1に記載されているに等しい事項 ア 段落【0014】、【図1】等の記載を踏まえると、甲1には「水道施設、通信手段、中央制御装置を備える、淨化水供給施設の監視及び制御ネットワークシステム」が記載されている。 イ 段落【0014】~【0016】、【図1】等の記載を踏まえると、甲1には「水道施設が備えるコンピュータが収集した、施設諸機能に設置された計測機器や各種センサーを通じて設備機器の運転状況と管理事項のデータは、通信手段を介して中央制御装置内のデータファイルサーバに蓄積され、蓄積されたデータは、一定の基準に基づき解析処理されてナレッジデータベース(知識集約・学習型データベース)に加工変換され収納される」との事項が記載されている。 ウ 段落【0016】の記載を踏まえると、甲1には「ナレッジデータベース(知識集約・学習型データベース)は、設備機器の物理的仕様、その性質、その管理条件、設置場所の土壌水質環境、利用者の習慣、生活環境の変化を反映して構築されたデータベースである」との事項が記載されている。 エ 段落【0016】の記載を踏まえると、甲1には「ナレッジデータベース(知識集約・学習型データベース)は、維持管理上必要と位置付けした管理事項に関係する使用条件、使用環境、使用機器の情報等の諸要件との関係と、補正条件及び運転管理範囲を予め登録し、各管理項目の時々刻々のデータを予め定める標準条件における補正値に変換するとともに、時系列的に予測される運転管理範囲(ワーキングレンジ)からの逸脱時点を異常発生時点として発信すると共に対応手段を選択し処置起令するもの」との事項が記載されている。 (3)甲1に記載された発明 上記(1)及び(2)から、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。 「水道施設、通信手段、中央制御装置を備える、淨化水供給施設の監視及び制御ネットワークシステムにおける中央制御装置であって(上記(2)ア)、 水道施設が備えるコンピュータが収集した、施設諸機能に設置された計測機器や各種センサーを通じて設備機器の運転状況と管理事項のデータは、通信手段を介して中央制御装置内のデータファイルサーバに蓄積され、蓄積されたデータは、一定の基準に基づき解析処理されてナレッジデータベース(知識集約・学習型データベース)に加工変換され収納され(上記(2)イ)、 ナレッジデータベース(知識集約・学習型データベース)は、設備機器の物理的仕様、その性質、その管理条件、設置場所の土壌水質環境、利用者の習慣、生活環境の変化を反映して構築されたデータベースであり(上記(2)ウ)、 さらに、ナレッジデータベース(知識集約・学習型データベース)は、維持管理上必要と位置付けした管理事項に関係する使用条件、使用環境、使用機器の情報等の諸要件との関係と、補正条件及び運転管理範囲を予め登録し、各管理項目の時々刻々のデータを予め定める標準条件における補正値に変換するとともに、時系列的に予測される運転管理範囲(ワーキングレンジ)からの逸脱時点を異常発生時点として発信すると共に対応手段を選択し処置起令する(上記(2)エ)、 中央制御装置。」 2 甲2に記載されている事項、甲2発明について (1)甲2に記載されている事項 甲2には、次の事項が記載されている。 「[請求項1] 複数の工場からの汚水を貯留槽に蓄え、貯留槽からの汚水を固形浄化剤と液体再生剤の組合せで構成される水処理装置により浄化するとともに水処理装置を排水処理設備制御装置により制御するようにされた排水処理システムであって、 前記水処理装置は、前記貯留槽からの汚水を浄化水とする浄化運転を行う固形浄化剤ろ過装置と前記固形浄化剤ろ過装置に吸着された不純物を脱着する再生運転を行う再生装置を含み、 前記排水処理設備制御装置は、前記複数の工場から稼働計画情報を入手して当該工場の汚水の排水量を予測し、予測した排水量の時の前記貯留槽および前記水処理装置の各所の物理量の推移を予測し、予測の結果に応じて前記水処理装置による運転のタイミングを制御することを特徴とする排水処理システム。 ・・・ [請求項9] 複数の工場からの汚水を貯留槽に蓄え、貯留槽からの汚水を水処理装置により浄化する排水処理方法であって、 前記水処理装置は、前記貯留槽からの汚水を浄化水とする浄化運転と固形浄化剤に吸着された不純物を脱着する再生運転を行い、 前記複数の工場から稼働計画情報を入手して当該工場の汚水の排水量を予測し、予測した排水量の時の前記貯留槽および前記水処理装置の各所の物理量の推移を予測し、予測の結果に応じて前記水処理装置による運転のタイミングを定めることを特徴とする排水処理方法。」 「技術分野 [0001] 本発明は、複数の工場からの排水を処理する排水処理システム並びに方法に関する。」 「[0006] 以上のことから本発明においては、多数の工場からの排水を受け入れる場合に、貯留槽を小型化可能としながら溢水(越流)を阻止するに好適な排水処理システム並びに方法を提供することを目的とする。 課題を解決するための手段 [0007] 以上のことから本発明においては、複数の工場からの汚水を貯留槽に蓄え、貯留槽からの汚水を固形浄化剤と液体再生剤の組合せで構成される水処理装置により浄化するとともに水処理装置を排水処理設備制御装置により制御するようにされた排水処理システムであって、水処理装置は、貯留槽からの汚水を浄化水とする浄化運転を行う固形浄化剤ろ過装置と固形浄化剤ろ過装置に吸着された不純物を脱着する再生運転を行う再生装置を含み、排水処理設備制御装置は、複数の工場から稼働計画情報を入手して当該工場の汚水の排水量を予測し、予測した排水量の時の貯留槽および水処理装置の各所の物理量の推移を予測し、予測の結果に応じて水処理装置による運転のタイミングを制御することを特徴とする。 また本発明においては、複数の工場からの汚水を貯留槽に蓄え、貯留槽からの汚水を水処理装置により浄化する排水処理方法であって、水処理装置は、貯留槽からの汚水を浄化水とする浄化運転と固形浄化剤に吸着された不純物を脱着する再生運転を行い、複数の工場から稼働計画情報を入手して工場の汚水の排水量を予測し、予測した排水量の時の貯留槽および水処理装置の各所の物理量の推移を予測し、予測の結果に応じて前記水処理装置による運転のタイミングを定めることを特徴とする。 発明の効果 [0008] 本発明によれば、多数の工場からの排水を受け入れる場合に、貯留槽を小型化可能としながら溢水(越流)を阻止するに好適な排水処理システム並びに方法を提供することができる。」 「発明を実施するための形態 [0010] 以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。 実施例1 [0011] 図1は、本発明の実施例に係る排水処理システムの全体構成例を示している。排水処理設備1は、上流側の貯留槽2と活性炭ろ過・再生装置3により構成され、一般的には計算機により構成される排水処理設備制御装置4により制御される。なお貯留槽2には、複数の工場5からの汚水が流入して貯留されており、水処理装置である活性炭ろ過・再生装置3は汚水を固形浄化剤である活性炭を用いて汚水を浄化して浄化水として放流する。また活性炭ろ過設備の性能劣化によりその再生処理を行い、再生により生じた吸着物(汚染物)は適宜回収される。活性炭ろ過・再生装置3は、詳細構成を図2に示し後述するように、貯留槽2からの汚水を浄化水とする浄化運転を行う活性炭吸着装置31(固形浄化剤ろ過装置)と活性炭吸着装置31に吸着された不純物を脱着する再生運転を行う再生装置32により構成される。 [0012] 排水処理設備制御装置4は、活性炭ろ過・再生装置3における再生のタイミング、浄化のタイミング、活性炭交換のタイミング、液体再生剤の交換・補充のタイミング、吸着物回収のタイミングなどを制御している。本発明の排水処理設備制御装置4は、これらの処理のために複数の工場5の稼働計画情報Sg1の他に、気象情報(雨情報)Sg2、濃度センサ6からの汚水濃度情報Sg3、活性炭ろ過・再生装置3内の再生装置32に設けられたDME汚染度センサ7からの汚染情報S4,濃度センサ8からの浄化水濃度情報Sg5を入力して、タイミングなどを決定している。」 「[0019] 図3は、排水処理設備制御装置4の具体的な構成例を示している。排水処理設備制御装置4は、一般的には計算機により構成されるものであり、ここでは計算機で実行する処理機能により便宜的に表現している。排水処理設備制御装置4における処理機能は、排水量予測部41、物理量検出部42、プロセス制御部43により構成され、さらにプロセス制御部43を構成するにあたり図示の実施例では学習機能を利用する例を示しておりこの場合に、学習器45、データベース44、司令部46を含んで構成されている。なお、プロセス制御部43は、一般的な制御理論により実現されるものであってもよい。 [0020] 排水処理設備制御装置4内の排水量予測部41では、貯留槽2に汚水を排出している複数の工場5における稼働計画情報Sg1をそれぞれ入手し、稼働計画情報Sg1から当該工場の排水量を予測し、全工場からの総排水量を予測している。なお、一般的には稼働計画情報Sg1と当該工場の排水量の間には、何らかの相関があるが、使用する機器の特性や用法(例えば工場内に貯留槽を有しており、バッチ処理的に排水する場合など)、季節的な要因などによる変動要因が存在することもあり、これらの関連を把握する意味では、いわゆる学習機能を適用してより正確な排水量の予測ができる装置構成とするのがよい。ただし、本発明では予測ができればよく、予測の具体的な実現手法を限定するものではない。 [0021] この場合の稼働計画情報Sg1は、翌日のような短期情報でも、あるいは週、月単位での中・長期情報でもよいが、後述するところの活性炭ろ過・再生装置3における再生処理時間T以上の時間が確保できることが望ましい。これは排水の浄化処理をろ過装置の再生処理に切り替え、さらに排水の浄化処理の再開に至るまでの時間T以上の将来における稼働計画を含む稼働計画情報Sg1を必要とすることを意味している。 [0022] 物理量検出部42は、各種センサから濃度、水位、流量、温度などを検知する。なお、図1では、濃度、汚染度のセンサ6,7,8のみを例示して表示しているが、これ以外にも貯留槽2の水位を検知する水位センサ、貯留槽2に流入しあるいは流出する流量を検知する流量センサ、活性炭ろ過・再生装置3内の温度を検知する温度センサなどが備えられ、適宜物理量検出部42に伝送されて以降の処理に利用されている。」 [0023] プロセス制御部43は、学習機能を利用するときの構成を例示しているが、本発明は学習機能の利用に限定されるものではない。要するにプロセス制御部43では、図4に例示する以下の処理が実現される必要がある。図4は、プロセス制御部43における処理内容を示すフロー図であり、この処理の一部に学習機能を利用することが有用である場合がある。 [0024] 図4のフローの最初の処理ステップS1では、排水量予測部41で予測した将来時点における排水量予測値、物理量検出部42で検出した現在時点における各種物理量、降水量予測値、および物理量についての許容値(制限値)を取り込む。処理ステップS2では、排水量予測値の各予測時点における各物理量を推定予測する。なおこの処理は、物理量間の因果関係を用いて算出してもよく、或は学習機能を利用してもよい。 [0025] 処理ステップS3、S4、S5では、物理量として、特に監視すべき浄化水の汚染濃度、貯留槽2の水位予測値、処理層22の汚染度がそれぞれの許容値を超過することを確認する。許容値を逸脱しないと判断される場合(No側)には、処理ステップS2にもどり、上記処理を継続実行し、許容値を逸脱すると判断される場合(yes側)には、処理ステップS6、S7、S8に移動し、それぞれの状態に応じた適切な対応策を講じることになる。 [0026] なおここで、浄化水の汚染濃度と処理層22の汚染度は現在時点または将来時点における値であり、貯留槽2の水位は将来時点における予測値とするのがよい。つまり、浄化水の汚染濃度と処理層22の汚染度の許容値からの逸脱は、現在時点での監視結果(あるいは将来時点での予測結果)を現在時点(あるいは将来時点)の制御に反映し、貯留槽2の水位は将来時点における予測結果に基づく予測制御(制御実行時点が将来時点)を実行するのがよい。なお上記以外の物理量として、流入水の濃度管理があるが、これについて実施例4で説明するように、貯留槽2の水位と同様に予測制御を適用するのがよい。 [0027] 処理ステップS6,S7,S8での対応策は、個別にあらかじめ設定されていてもよいが、特に貯留槽2の水位の逸脱事象は将来時点における予想事象であることから、現時点から予想事象発生時点までの間に多くの次善処置を講じることが可能である。特に学習機能を利用する場合には処理ステップS7において、過去事例などを総合的に勘案した適切な対応策の提案が可能である。 [0028] 本発明に係る排水処理設備制御装置4の利用場面として、これを半自動とし、或は全自動とすることが考えられる。半自動である場合には、支援装置として構成し、処理ステップS6,S7,S8における対応策あるいは処理ステップS7における学習結果などをその他の情報とともに、管理者に視覚的に提示して、その判断を仰ぐものである。なお、半自動とする場合に、浄化水の汚染濃度と処理層22の汚染度の将来予測結果を管理者に提示しておき、近い将来に対応が必要となることを周知しておくという用法も有用である。全自動とする場合には、処理ステップS9において、この判断結果を活性炭ろ過・再生装置3の操作端であるバルブVや汚水の供給ラインに設置されたポンプ(図示せず)に伝達し、これを制御する。」 「[図1] [図:0001433113000003.jpg] [図2] [図:0001433113000004.jpg] [図3] [図:0001433113000005.jpg] [図4] [図:0001433113000006.jpg] 」 (2)甲2に記載されているに等しい事項 ア 段落[0011]、[0012]、[図1]の記載を踏まえると、甲2には「排水処理設備1を構成している活性炭ろ過・再生装置3における再生のタイミング、浄化のタイミング、活性炭交換のタイミング、液体再生剤の交換・補充のタイミング、吸着物回収のタイミングなどを制御する排水処理設備制御装置4」が記載されている。 イ 段落[0019]の記載を踏まえると、甲2には「排水処理設備制御装置4は、排水量予測部41、物理量検出部42、プロセス制御部43により構成されている」との事項が記載されている。 ウ 段落[0020]の記載を踏まえると、甲2には「排水量予測部41では、貯留槽2に汚水を排出している複数の工場5における稼働計画情報Sg1をそれぞれ入手し、稼働計画情報Sg1から当該工場の排水量を予測し、全工場からの総排水量を予測している」との事項が記載されている。 エ 段落[0022]の記載を踏まえると、甲2には「物理量検出部42は、排水処理設備1に備えられた各種センサから濃度、水位、流量、温度などを検知する」との事項が記載されている。 オ 段落[0023]~[0027]の記載を踏まえると、甲2には「プロセス制御部43は、 処理ステップS1として、排水量予測部41で予測した将来時点における排水量予測値、物理量検出部42で検出した現在時点における各種物理量、降水量予測値、および物理量についての許容値(制限値)を取り込み、 処理ステップS2として、排水量予測値の各予測時点における各物理量を推定予測し、 処理ステップS3、S4、S5として、物理量として、特に監視すべき浄化水の汚染濃度、貯留槽2の水位予測値、処理層22の汚染度がそれぞれの許容値を超過することを確認し、許容値を逸脱しないと判断される場合(No側)には、処理ステップS2にもどり、上記処理を継続実行し、許容値を逸脱すると判断される場合(yes側)には、処理ステップS6、S7、S8に移動し、それぞれの状態に応じた適切な対応策を講じる」との事項が記載されている。 (3)甲2に記載された発明 上記(1)及び(2)から、甲2には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されている。 「排水処理設備1を構成している活性炭ろ過・再生装置3における再生のタイミング、浄化のタイミング、活性炭交換のタイミング、液体再生剤の交換・補充のタイミング、吸着物回収のタイミングなどを制御する排水処理設備制御装置4であって(上記(2)ア)、 排水処理設備制御装置4は、排水量予測部41、物理量検出部42、プロセス制御部43により構成され(上記(2)イ)、 排水量予測部41では、貯留槽2に汚水を排出している複数の工場5における稼働計画情報Sg1をそれぞれ入手し、稼働計画情報Sg1から当該工場の排水量を予測し、全工場からの総排水量を予測し(上記(2)ウ)、 物理量検出部42は、排水処理設備1に備えられた各種センサから濃度、水位、流量、温度などを検知し(上記(2)エ)、 プロセス制御部43は、 処理ステップS1として、排水量予測部41で予測した将来時点における排水量予測値、物理量検出部42で検出した現在時点における各種物理量、降水量予測値、および物理量についての許容値(制限値)を取り込み、 処理ステップS2として、排水量予測値の各予測時点における各物理量を推定予測し、 処理ステップS3、S4、S5として、物理量として、特に監視すべき浄化水の汚染濃度、貯留槽2の水位予測値、処理層22の汚染度がそれぞれの許容値を超過することを確認し、許容値を逸脱しないと判断される場合(No側)には、処理ステップS2にもどり、上記処理を継続実行し、許容値を逸脱すると判断される場合(yes側)には、処理ステップS6、S7、S8に移動し、それぞれの状態に応じた適切な対応策を講じる(上記(2)オ)、 排水処理設備制御装置4。」 第5 当審の判断 1 理由A(新規性)について (1)本件特許発明1について ア 対比 本件特許発明1と甲1発明とを対比する。 (ア)「管理対象の設備の管理を支援する情報処理装置であって、」について 甲1発明の「淨化水供給施設の監視及び制御ネットワークシステム」が監視及び制御する対象は、淨化水供給施設である水道施設であるから、甲1発明の「淨化水供給施設」は、本件特許発明1の「管理対象の設備」に相当する。 そして、甲1発明の「(淨化水供給施設の監視及び制御ネットワークシステムにおける)中央制御装置」が「(淨化水供給施設を)監視及び制御する」との事項は、「(管理対象の設備の)管理を支援する」と言い得る事項である。 してみると、甲1発明の「中央制御装置」は、本件特許発明1の「管理対象の設備の管理を支援する情報処理装置」に相当する。 (イ)「前記管理対象の設備と、管理対象でない設備及び/又は前記管理対象の設備に対する外部環境因子と、に関する管理項目のデータ群を取得可能に構成され、」について 本件特許発明1の「前記管理対象の設備と、管理対象でない設備及び/又は前記管理対象の設備に対する外部環境因子と、に関する管理項目のデータ群」について、本件特許の明細書には、「情報処理装置1は、管理対象の設備(プラントPL1)と、管理対象でない設備(プラントPL2、PL3等)及び/又は管理対象の設備に対する外部環境因子(センサ2で取得可能な因子、Web上から取得可能な因子、公的機関による公表情報から取得可能な因子等)と、に関する管理項目のデータ群を取得可能に構成されている。」(【0048】、「具体的に、この予測は、管理対象の設備(プラントPL1)の稼働実績や将来の稼働計画のほか、他の設備の稼働実績や将来の稼働計画、外部環境因子(例えば、天候、気温や湿度の変遷、河川の水質、地域の人口、地域の事業所のCO2排出量等)等を参照し、ユーザから受け付けた将来の時間条件における管理対象の設備の状態を予測するものであってよい。」(【0049】)と記載されている。 一方、甲1発明においては、「水道施設が備えるコンピュータが収集した、施設諸機能に設置された計測機器や各種センサーを通じて設備機器の運転状況と管理事項のデータ」は、通信手段を介して中央制御装置内のデータファイルサーバに蓄積されるものである。そして、「蓄積されたデータは、一定の基準に基づき解析処理されて、設備機器の物理的仕様、その性質、その管理条件、設置場所の土壌水質環境、利用者の習慣、生活環境の変化を反映して構築されたデータベース(知識集約・学習型データベース)に加工変換され収納」される。 そうすると、甲1発明における上記「設備機器の運転状況(のデータ)」は、本件特許発明1の「管理対象の設備(プラントPL1)の稼働実績」に対応するものである。さらに、甲1発明における上記「設置場所の土壌水質環境、利用者の習慣、生活環境の変化を反映」したものは、上記「管理事項のデータ」に基づいて解析処理されたものであるから、当該「管理事項(のデータ)」は、本件特許発明1の「外部環境因子」に対応するものである。そして、上記「設備機器の運転状況と管理事項のデータ」は、淨化水供給施設を監視及び制御する、つまり、管理するために用いられるデータ群である。 したがって、上記(ア)で整理した事項も鑑みると、本件特許発明1と甲1発明は「管理対象の設備と、前記管理対象の設備に対する外部環境因子と、に関する管理項目のデータ群を取得可能に構成され」との構成を備える点で共通している。 他方、本件特許発明1には、「管理項目のデータ群」について、選択的記載ではあるが「管理対象でない設備(に関する管理項目のデータ群)」との事項が特定されているのに対し、甲1発明には、かかる事項は特定されていない点で相違している。 (ウ)「前記情報処理装置は、プロセッサを備え、」について 甲1発明の「中央制御装置」が淨化水供給施設の監視及び制御を実行するために用いられる「プロセッサ」を備えていることは自明である。 (エ)「前記プロセッサは、次の各ステップを実行可能に構成され、 第1受付ステップでは、ユーザより、前記管理対象の設備に対する2以上の管理事項を受け付け、 第2受付ステップでは、前記ユーザより、将来の時間条件を受け付け、 第1予測ステップでは、受け付けた前記将来の時間条件と、前記管理項目のデータ群の時間的な推移と、に基づき、前記将来の時間条件における、前記管理事項の状態を予測し、」について 上記(ウ)で言及したように、甲1発明の中央制御装置が備えるプロセッサは、淨化水供給施設の監視及び制御を実行するために必要な情報処理である各ステップを実行可能に構成されていることは自明であるものの、上記必要なステップが本件特許発明1の「第1受付ステップ」、「第2受付ステップ」、「第1予測ステップ」で特定されている事項である旨特定されていない。 してみると、本件特許発明1と甲1発明は「プロセッサは、必要な情報処理であるステップを実行可能に構成され」るとの点で共通しているものの、本件特許発明1においては、「第1受付ステップ」、「第2受付ステップ」、「第1予測ステップ」の各々の具体的内容について特定されているのに対し、甲1発明においては、「必要な情報処理である各ステップ」の具体的内容が特定されていない点で相違している。 (オ)「前記管理対象の設備は、産業分野に関する設備であり、 前記2以上の管理事項は、前記産業分野に関する設備の、法令、生産性、資源の多寡、エネルギーの省力化、省人化、コスト削減及び環境衛生からなる群から選択されるカテゴリであって、互いに異なる2種以上のカテゴリに関する事項である、」について 上記(ア)で言及したように、甲1発明の「淨化水供給施設」は、本件特許発明1の「管理対象の設備」に相当するものであり、当該「淨化水供給施設」は産業の一つである水道業の施設であるから、甲1発明の「淨化水供給施設」は、本件特許発明1の「前記管理対象の設備は、産業分野に関する設備」に相当する。 一方、上記(エ)で言及したように、甲1発明においては、本件特許発明1の「第1受付ステップ」の具体的内容である「ユーザより、前記管理対象の設備に対する2以上の管理事項を受け付け、」との事項は特定されていないのであるから、本件特許発明1と甲1発明は、本件特許発明1においては、「前記2以上の管理事項は、前記産業分野に関する設備の、法令、生産性、資源の多寡、エネルギーの省力化、省人化、コスト削減及び環境衛生からなる群から選択されるカテゴリであって、互いに異なる2種以上のカテゴリに関する事項である、」との事項が特定されているのに対し、甲1発明には、かかる事項は特定されていない点で相違している。 イ 一致点及び相違点 上記「ア 対比」で整理したことを踏まえると、本件特許発明1と甲1発明との間には、次のとおりの一致点及び相違点がある。 [一致点] 「管理対象の設備の管理を支援する情報処理装置であって、 前記管理対象の設備と、前記管理対象の設備に対する外部環境因子と、に関する管理項目のデータ群を取得可能に構成され、 前記情報処理装置は、プロセッサを備え、 前記プロセッサは、各ステップを実行可能に構成され、 前記管理対象の設備は、産業分野に関する設備である、 情報処理装置。」 [相違点1] 本件特許発明1には、「管理項目のデータ群」について、選択的記載ではあるが「管理対象でない設備(に関する管理項目のデータ群)」との事項が特定されているのに対し、甲1発明には、かかる事項は特定されていない点。 [相違点2] 本件特許発明1においては、「第1受付ステップ」、「第2受付ステップ」、「第1予測ステップ」の各々の具体的内容について特定されているのに対し、甲1発明においては、「必要な情報処理である各ステップ」の具体的内容が特定されていない点。 [相違点3] 本件特許発明1においては、「前記2以上の管理事項は、前記産業分野に関する設備の、法令、生産性、資源の多寡、エネルギーの省力化、省人化、コスト削減及び環境衛生からなる群から選択されるカテゴリであって、互いに異なる2種以上のカテゴリに関する事項である、」との事項が特定されているのに対し、甲1発明には、かかる事項は特定されていない点。 ウ 判断 上記相違点について検討する。 (ア)相違点1について 本件特許発明1においては、「前記管理対象の設備と、管理対象でない設備及び/又は前記管理対象の設備に対する外部環境因子と、に関する管理項目のデータ群を取得可能に構成され、」と特定されており、上記「管理対象でない設備(に関する管理項目のデータ群)」との事項は選択的記載であるから、当該事項については、甲1発明との実質的な相違点ではない。 (イ)相違点2について 本件特許発明1は、ユーザから「管理対象の設備に対する2以上の管理事項」と「将来の時間条件」を受け付けて、受け付けた前記「将来の時間条件」と「管理項目のデータ群の時間的な推移」とに基づき、「前記将来の時間条件における、前記管理事項の状態を予測する」ものである。 一方、甲1発明は、ナレッジデータベース(知識集約・学習型データベース)を用いて、時系列的に予測される運転管理範囲(ワーキングレンジ)からの逸脱時点を異常発生時点として発信すると共に対応手段を選択し処置起令するものであり、本件特許発明1のように、ユーザから「管理対象の設備に対する2以上の管理事項」と「将来の時間条件」を受け付けるステップを必要とするものではない。 してみると、相違点2に係る事項は、実質的な相違点であるから、本件特許発明1は甲1に記載された発明であるとはいえない。 (ウ)相違点3について 上記(イ)で言及したように、甲1発明においては、本件特許発明1のように、ユーザから「管理対象の設備に対する2以上の管理事項」と「将来の時間条件」を受け付けるステップを必要とするものではないのであるから、当該「管理対象の設備に対する2以上の管理事項」の内容を特定する相違点3に係る事項も実質的な相違点であるから、本件特許発明1は甲1に記載された発明であるとはいえない。 (エ)異議申立人の主張について 異議申立人は、特許異議申立書の「イ 引用発明の説明」の「(イ-1-1)」(特許異議申立書第28~29頁)において、甲1には本件特許発明1の構成が開示されている旨、縷々主張しているが、上記(イ)及び(ウ)で検討したとおり、本件特許発明1は甲1に記載された発明であるとはいえないから、異議申立人の主張に理由はない。 したがって、異議申立人の上記主張は採用できない。 エ 小括 以上のとおりであるから、本件特許発明1と甲1発明との間には、実質的な相違点2及び3が存在するので、本件特許発明1は、甲1に記載された発明ではあるとはいえない。 (2)本件特許発明2~6について 本件特許発明2~6は、本件特許発明1を直接的又は間接的に引用するものであるから、上記「(1)本件特許発明1について」で検討したとおり、甲1に記載された発明であるとはいえない。 (3)本件特許発明7について 本件特許発明7は、本件特許発明1の「情報処理装置」に係る発明が実行するステップを「情報処理方法」として表現したものであり、上記「(1)本件特許発明1について」で言及した相違点2及び3に係る処理を行うステップが備わっているから、上記「(1)本件特許発明1について」で検討したとおり、甲1に記載された発明であるとはいえない。 (4)本件特許発明8について 本件特許発明8は、本件特許発明1の「情報処理装置」に係る発明が実行するステップを実行させる「プログラム」として表現したものであり、上記「(1)本件特許発明1について」で言及した相違点2及び3に係る処理を行うステップを実行させる構成が備わっているから、上記「(1)本件特許発明1について」で検討したとおり、甲1に記載された発明であるとはいえない。 2 理由B(進歩性)について 2-1 理由B-1(甲1発明を主引用発明とした場合)について (1)本件特許発明1について ア 対比 本件特許発明1と甲1発明を対比すると、上記「1(1)イ」で示した上記一致点、相違点を有するものである。 イ 判断 上記「1(1)ウ」で検討したように、相違点1は実質的な相違点ではないので、相違点2及び3について以下検討する。 (ア)相違点2について 甲1発明は、飲料用水道原水として地下水、工業用水などを原水として処理して得た淨化水などを飲料水施設として活用するに際し、全過程に亘り無人管理或いは省力管理のもとに確実な飲料水供給を安定的に確保する(段落【0001】)ことを目的としているのであるから、甲1発明は、淨化水供給施設の監視及び制御においては、出来るだけ人手をかけないことを前提としていると推認される。 そして、そのような目的を実現するために、甲1発明は、水道施設が備えるコンピュータが収集した、施設諸機能に設置された計測機器や各種センサーを通じて設備機器の運転状況と管理事項のデータを中央制御装置内のデータファイルサーバに蓄積し、ナレッジデータベース(知識集約・学習型データベース)を用いて、時系列的に予測される運転管理範囲(ワーキングレンジ)からの逸脱時点を異常発生時点として発信すると共に対応手段を選択し処置起令するとの事項を採用したものであるから、本件特許発明1のように、ユーザから「管理対象の設備に対する2以上の管理事項」と「将来の時間条件」を受け付けるステップを必要とするものではなく、また、そのようなステップを採用する動機もない。 してみると、甲1発明に対して、本件特許発明1のような「ユーザから「管理対象の設備に対する2以上の管理事項」と「将来の時間条件」を受け付けるステップ」を適用することは、当業者であっても容易に想到し得ない。 したがって、本件特許発明1は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (イ)相違点3について 上記(ア)で言及したように、甲1発明においては、本件特許発明1のように、ユーザから「管理対象の設備に対する2以上の管理事項」と「将来の時間条件」を受け付けるステップを必要とするものではなく、また、そのようなステップを採用する動機もないのであるから、当該「管理対象の設備に対する2以上の管理事項」の内容を相違点3のような事項に特定することは、当業者であっても容易に想到し得ない。 したがって、本件特許発明1は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (ウ)異議申立人の主張について 異議申立人は、特許異議申立書の「ウ 本件特許発明と証拠に記載された発明との対比」の「(ウ-1-1)」(特許異議申立書第35~36頁)において、「上記イ 引用発明の説明(イ-1-1)に記載のように、甲1発明には、本件特許発明1の構成A~Iが開示されている。よって、本件特許発明1は、甲1発明に基づき新規性がないか進歩性がない。」と主張しているが、上記(ア)及び(イ)で検討したとおりであるから、異議申立人の主張に理由はない。 したがって、異議申立人の上記主張は採用できない。 ウ 小括 以上のとおりであるから、本件特許発明1は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件特許発明2~6について 本件特許発明2~6は、本件特許発明1を直接的又は間接的に引用するものであるから、上記「(1)本件特許発明1について」で検討したとおり、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件特許発明7について 本件特許発明7は、本件特許発明1の「情報処理装置」に係る発明が実行するステップを「情報処理方法」として表現したものであり、上記「(1)本件特許発明1について」で言及した相違点2及び3に係る処理を行うステップが備わっているから、上記「(1)本件特許発明1について」で検討したとおり、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件特許発明8について 本件特許発明8は、本件特許発明1の「情報処理装置」に係る発明が実行するステップを実行させる「プログラム」として表現したものであり、上記「(1)本件特許発明1について」で言及した相違点2及び3に係る処理を行うステップを実行させる構成が備わっているから、上記「(1)本件特許発明1について」で検討したとおり、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2-2 理由B-2(甲2発明を主引用発明とした場合)について (1)本件特許発明1について ア 対比 (ア)「管理対象の設備の管理を支援する情報処理装置であって、」について 甲2発明の「排水処理設備制御装置4」は、排水処理設備1を構成している活性炭ろ過・再生装置3における再生のタイミング、浄化のタイミング、活性炭交換のタイミング、液体再生剤の交換・補充のタイミング、吸着物回収のタイミングなどを制御するとともに、浄化水の汚染濃度、貯留槽2の水位予測値、処理層22の汚染度の監視を行っており、この監視・制御する対象である「排水処理設備1」は、本件特許発明1の「管理対象の設備」に相当する。 甲2発明の「排水処理設備制御装置4」を構成する「排水量予測部41」が、貯留槽2に汚水を排出している複数の工場5からの総排水量を予測し、「排水処理設備制御装置4」を構成する「物理量検出部42」が、排水処理設備1に備えられた各種センサから濃度、水位、流量、温度などを検知し、「排水処理設備制御装置4」を構成する「プロセス制御部43」が、「排水量予測部41で予測した将来時点における排水量予測値、物理量検出部42で検出した現在時点における各種物理量、降水量予測値、および物理量についての許容値(制限値)を取り込み、処理ステップS2として、排水量予測値の各予測時点における各物理量を推定予測し」、「物理量として、特に監視すべき浄化水の汚染濃度、貯留槽2の水位予測値、処理層22の汚染度がそれぞれの許容値を超過することを確認し、」「それぞれの状態に応じた適切な対応策を講じる」との事項は、「排水処理設備制御装置4」が、「管理対象の設備」である「排水処理設備1」の監視・制御を行うとともに、状態に応じた適切な対応策を講じるものであり、「(管理対象の設備の)管理を支援する」と言い得る事項である。 してみると、甲2発明の「排水処理設備制御装置4」は、本件特許発明1の「管理対象の設備の管理を支援する情報処理装置」に相当する。 (イ)「前記管理対象の設備と、管理対象でない設備及び/又は前記管理対象の設備に対する外部環境因子と、に関する管理項目のデータ群を取得可能に構成され、」について 本件特許発明1の「前記管理対象の設備と、管理対象でない設備及び/又は前記管理対象の設備に対する外部環境因子と、に関する管理項目のデータ群」について、本件特許の明細書には、「情報処理装置1は、管理対象の設備(プラントPL1)と、管理対象でない設備(プラントPL2、PL3等)及び/又は管理対象の設備に対する外部環境因子(センサ2で取得可能な因子、Web上から取得可能な因子、公的機関による公表情報から取得可能な因子等)と、に関する管理項目のデータ群を取得可能に構成されている。」(【0048】、「具体的に、この予測は、管理対象の設備(プラントPL1)の稼働実績や将来の稼働計画のほか、他の設備の稼働実績や将来の稼働計画、外部環境因子(例えば、天候、気温や湿度の変遷、河川の水質、地域の人口、地域の事業所のCO2排出量等)等を参照し、ユーザから受け付けた将来の時間条件における管理対象の設備の状態を予測するものであってよい。」(【0049】)と記載されている。 一方、甲2発明においては、「物理量検出部42」が、「管理対象の設備」である「排水処理設備1」に備えられた各種センサから濃度、水位、流量、温度などを検知し、「プロセス制御部43」が、物理量検出部42で検出した現在時点における各種物理量、降水量予測値、および物理量についての許容値(制限値)を取り込み、状態に応じた適切な対応策を講じるものであるから、物理量検出部42で検出した現在時点における各種物理量及び物理量についての許容値は、「前記管理対象の設備」に関する複数のデータであり、排水処理設備1を監視・制御する、すなわち、管理するために用いられるデータ群であるといえるから、本件特許発明1の「前記管理対象の設備」「に関する管理項目のデータ群」に対応する。また、物理量検出部42で検出した降水量予測値は本件特許発明1の「外部環境因子」「に関する管理項目のデータ群」に対応する。 そして、「排水量予測部41」は、貯留槽2に汚水を排出している複数の工場5における稼働計画情報Sg1をそれぞれ入手して全工場からの総排水量を予測して、排水処理設備1の監視及び制御に用いられることから、管理対象の設備である排水処理設備1とは異なる「複数の工場5における稼働計画情報Sg1」は、本件特許発明1の「前記管理対象でない設備」「に関する管理項目のデータ群」に対応する。 以上より、甲2発明の「物理量検出部42で検出した現在時点における各種物理量、降水量予測値、および物理量についての許容値」を取り込むこと、及び「複数の工場5における稼働計画情報Sg1」を入手することは、本件特許発明1の「前記管理対象の設備と、管理対象でない設備及び/又は前記管理対象の設備に対する外部環境因子と、に関する管理項目のデータ群を取得可能に構成され、」に相当する。 (ウ)「前記情報処理装置は、プロセッサを備え、」について 甲2発明の「排水処理設備制御装置4」が排水処理設備1の監視・制御を実行するために用いられる「プロセッサ」を備えていることは自明である。 (エ)「前記プロセッサは、次の各ステップを実行可能に構成され、 第1受付ステップでは、ユーザより、前記管理対象の設備に対する2以上の管理事項を受け付け、 第2受付ステップでは、前記ユーザより、将来の時間条件を受け付け、 第1予測ステップでは、受け付けた前記将来の時間条件と、前記管理項目のデータ群の時間的な推移と、に基づき、前記将来の時間条件における、前記管理事項の状態を予測し、」について 上記(ウ)で言及したように、甲2発明の排水処理設備制御装置4が備えるプロセッサは、排水処理設備1の制御を実行するために必要な情報処理である各ステップを実行可能に構成されていることは自明であるものの、上記必要なステップが本件特許発明1の「第1受付ステップ」、「第2受付ステップ」、「第1予測ステップ」で特定されている事項である旨特定されていない。 してみると、本件特許発明1と甲2発明は「プロセッサは、必要な情報処理であるステップを実行可能に構成され」るとの点で共通しているものの、本件特許発明1においては、「第1受付ステップ」、「第2受付ステップ」、「第1予測ステップ」の各々の具体的内容について特定されているのに対し、甲2発明においては、「必要な情報処理である各ステップ」の具体的内容が特定されていない点で相違している。 (オ)「前記管理対象の設備は、産業分野に関する設備であり、 前記2以上の管理事項は、前記産業分野に関する設備の、法令、生産性、資源の多寡、エネルギーの省力化、省人化、コスト削減及び環境衛生からなる群から選択されるカテゴリであって、互いに異なる2種以上のカテゴリに関する事項である、」について 上記(ア)で言及したように、甲2発明の「排水処理設備1」は、本件特許発明1の「管理対象の設備」に相当するものであり、当該「排水処理設備1」は産業の一つである排水処理業の施設であるから、甲2発明の「排水処理設備1」は、本件特許発明1の「前記管理対象の設備は、産業分野に関する設備」に相当する。 一方、上記(エ)で言及したように、甲2発明においては、本件特許発明1の「第1受付ステップ」の具体的内容である「ユーザより、前記管理対象の設備に対する2以上の管理事項を受け付け、」との事項は特定されていないのであるから、本件特許発明1と甲2発明は、本件特許発明1においては、「前記2以上の管理事項は、前記産業分野に関する設備の、法令、生産性、資源の多寡、エネルギーの省力化、省人化、コスト削減及び環境衛生からなる群から選択されるカテゴリであって、互いに異なる2種以上のカテゴリに関する事項である、」との事項が特定されているのに対し、甲2発明には、かかる事項は特定されていない点で相違している。 イ 一致点及び相違点 上記「ア 対比」で整理したことを踏まえると、本件特許発明1と甲2発明との間には、次のとおりの一致点及び相違点がある。 [一致点] 「管理対象の設備の管理を支援する情報処理装置であって、 前記管理対象の設備と、管理対象でない設備及び/又は前記管理対象の設備に対する外部環境因子と、に関する管理項目のデータ群を取得可能に構成され、 前記情報処理装置は、プロセッサを備え、 前記プロセッサは、各ステップを実行可能に構成され、 前記管理対象の設備は、産業分野に関する設備である、 情報処理装置。」 [相違点2-1] 本件特許発明1においては、「第1受付ステップ」、「第2受付ステップ」、「第1予測ステップ」の各々の具体的内容について特定されているのに対し、甲2発明においては、「必要な情報処理である各ステップ」の具体的内容が特定されていない点。 [相違点2-2] 本件特許発明1においては、「前記2以上の管理事項は、前記産業分野に関する設備の、法令、生産性、資源の多寡、エネルギーの省力化、省人化、コスト削減及び環境衛生からなる群から選択されるカテゴリであって、互いに異なる2種以上のカテゴリに関する事項である、」との事項が特定されているのに対し、甲2発明には、かかる事項は特定されていない点。 ウ 判断 (ア)相違点2-1について 甲2発明は、排水処理設備制御装置4による監視・制御を半自動或は全自動として利用することを想定(段落[0028])した発明であるから、甲2発明は、排水処理設備1の監視・制御においては、出来るだけ人手をかけないことを前提としていると推認される。 そして、そのような目的を実現するために、甲2発明は、貯留槽2に汚水を排出している複数の工場5における稼働計画情報Sg1を入手して全工場からの総排水量を予測し、排水処理設備1に備えられた各種センサから濃度、水位、流量、温度などを検知し、排水量予測部41で予測した将来時点における排水量予測値、物理量検出部42で検出した現在時点における各種物理量、降水量予測値、および物理量についての許容値(制限値)を取り込み、排水量予測値の各予測時点における各物理量を推定予測し、物理量として、特に監視すべき浄化水の汚染濃度、貯留槽2の水位予測値、処理層22の汚染度がそれぞれの許容値を超過することを確認し、許容値を逸脱すると判断される場合には、それぞれの状態に応じた適切な対応策を講じるとの事項を採用したものであるから、本件特許発明1のように、ユーザから「管理対象の設備に対する2以上の管理事項」と「将来の時間条件」を受け付けるステップを必要とするものではなく、また、そのようなステップを採用する動機もない。 してみると、甲2発明に対して、本件特許発明1のような「ユーザから「管理対象の設備に対する2以上の管理事項」と「将来の時間条件」を受け付けるステップ」を適用することは、当業者であっても容易に想到し得ない。 したがって、本件特許発明1は、甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (イ)相違点2-2について 上記(ア)で言及したように、甲2発明においては、本件特許発明1のように、ユーザから「管理対象の設備に対する2以上の管理事項」と「将来の時間条件」を受け付けるステップを必要とするものではなく、また、そのようなステップを採用する動機もないのであるから、当該「管理対象の設備に対する2以上の管理事項」の内容を相違点2-2のような事項に特定することは、当業者であっても容易に想到し得ない。 したがって、本件特許発明1は、甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (ウ)異議申立人の主張について 異議申立人は、特許異議申立書の「ウ 本件特許発明と証拠に記載された発明との対比」の「(ウ-2-1)」(特許異議申立書第37~38頁)において、「上記イ 引用発明の説明(イ-2-1)に記載のように、甲2発明には、本件特許発明1の構成A~Hが開示されている。 一方、甲2発明には、本件特許発明1の構成Iの「前記2以上の管理事項は、前記産業分野に関する設備の、法令、生産性、資源の多寡、エネルギーの省力化、省人化、コスト削減及び環境衛生からなる群から選択されるカテゴリであって、互いに異なる2種以上のカテゴリに関する事項である、」に関する記載がない。 しかしながら、甲2発明は、複数の向上(当審注:「工場」の誤記と認める。)からの排水を処理する排水処理システム並びに方法に関する発明であり、複数の工場からの汚水を貯留槽に蓄え、貯留槽からの汚水を固形浄化剤と液体再生剤の組合わせで構成される水処理装置により浄化するとともに水処理装置を排水処理設備制御装置により制御するようにされた排水処理システム又は方法であるところ、廃水を処理する水処理装置において、法令にて定められる基準や環境衛生基準を管理しながら排水の処理を行うことは当然である。上記管理項目を管理することなく排水の処理を行っても、法令基準、環境英席順(当審注:「環境衛生基準」の誤記と認める。)を満たさない水質の処理水は、放流できないためである。 また、産業分野に関する設備において、法令、環境衛生のカテゴリーの他に、生産性、資源の多価(当審注:「多寡」の誤記と認める。)、エネルギーの省力化、省人化、コスト削減等のカテゴリーを管理することは、周知の事項である。 以上より、特許発明1には構成Iは明示されていないものの、当業者であれば当然に実施しているか、又は、容易に想到し得るものであるため、特許発明1は甲2発明に基づき進歩性がない。」と主張しているが、上記(ア)及び(イ)で検討したとおりであるから、異議申立人の主張に理由はない。 したがって、異議申立人の上記主張は採用できない。 エ 小括 以上のとおりであるから、本件特許発明1は、甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件特許発明2~6について 本件特許発明2~6は、本件特許発明1を直接的又は間接的に引用するものであるから、上記「(1)本件特許発明1について」で検討したとおり、甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件特許発明7について 本件特許発明7は、本件特許発明1の「情報処理装置」に係る発明が実行するステップを「情報処理方法」として表現したものであり、上記「(1)本件特許発明1について」で言及した相違点2-1及び2-2に係る処理を行うステップが備わっているから、上記「(1)本件特許発明1について」で検討したとおり、甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件特許発明8について 本件特許発明8は、本件特許発明1の「情報処理装置」に係る発明が実行するステップを実行させる「プログラム」として表現したものであり、上記「(1)本件特許発明1について」で言及した相違点2-1及び2-2に係る処理を行うステップを実行させる構成が備わっているから、上記「(1)本件特許発明1について」で検討したとおり、甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2-3 理由B-3(甲1発明と甲2発明を組み合わせた場合)について (1)本件特許発明1について ア 対比・判断 上記「2-1 理由B-1(甲1発明を主引用発明とした場合)について」の「(1)本件特許発明1について」で検討したように、本件特許発明1と甲1発明との間には上記相違点2及び3がある。 また、上記「2-2 理由B-2(甲2発明を主引用発明とした場合)について」の「(1)本件特許発明1について」で検討したように、本件特許発明1と甲2発明との間においても、上記相違点2と同様の相違点である相違点2-1、及び、上記相違点3と同様の相違点である相違点2-2がある。 そして、上記相違点2(相違点2-1)及び相違点3(相違点2-2)は、甲1発明と甲2発明のいずれにも特定されておらず、また、甲1及び甲2のいずれにも記載されていない。 してみると、甲1発明を主引用発明として、甲2発明を組み合わせたとしても、上記相違点2(相違点2-1)及び相違点3(相違点2-2)の構成を備える本件特許発明1には至らない。 また、甲2発明を主引用発明として、甲1発明を組み合わせたとしても、上記相違点2(相違点2-1)及び相違点3(相違点2-2)の構成を備える本件特許発明1には至らない。 したがって、本件特許発明1は、甲1発明及び甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 異議申立人の主張について 異議申立人は、特許異議申立書の「ウ 本件特許発明と証拠に記載された発明との対比」の「(ウ-3)」(特許異議申立書第39頁)において、「甲1発明は、飲料水供給を安定的に確保する自動監視並びに制御ネットワークシステムに関するものであり、甲2発明は、複数の向上(当審注:「工場」の誤記と認める。)からの排水を処理する排水処理システム並びに方法に関するものであるところ、その技術分野は異なるが、いずれも産業分野に関する発明に該当し、また、廃液処理分野、製造分野又は発電分野に関する設備に該当する。 上記、(ウ-1)及び(ウ-2)に記載の通り、本件特許発明1~8は、甲1発明に基づき新規性がないか進歩性がなく、又、甲2発明に基づき進歩性がない。 そのため、本件特許発明1~8は、甲1発明及び甲2発明に基づき進歩性がない。」と主張しているが、上記「(1)本件特許発明1について」で検討したとおりであるから、異議申立人の主張に理由はない。 したがって、異議申立人の上記主張は採用できない。 ウ 小括 以上のとおりであるから、本件特許発明1は、甲1発明及び甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件特許発明2~6について 本件特許発明2~6は、本件特許発明1を直接的又は間接的に引用するものであるから、上記アで検討したとおり、甲1及び甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件特許発明7について 本件特許発明7は、本件特許発明1の「情報処理装置」に係る発明が実行するステップを「情報処理方法」として表現したものであり、上記「(1)本件特許発明1について」で言及した相違点2(相違点2-1)及び相違点3(相違点2-2)に係る処理を行うステップが備わっているから、上記「(1)本件特許発明1について」で検討したとおり、甲1発明及び甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件特許発明8について 本件特許発明8は、本件特許発明1の「情報処理装置」に係る発明が実行するステップを実行させる「プログラム」として表現したものであり、上記「(1)本件特許発明1について」で言及した上記相違点2(相違点2-1)及び相違点3(相違点2-2)に係る処理を行うステップを実行させる構成が備わっているから、上記「(1)本件特許発明1について」で検討したとおり、甲1発明及び甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3 理由C(実施可能要件)について 異議申立人は、特許異議申立書の第39~42頁において、本件特許は特許法36条4項1号の規定に違反している旨、縷々主張しており、その主張は整理すると以下のとおりである。 (1)「管理対象の設備」について「産業分野に関する設備」であることが規定されるのみであり、どのような設備がどのような範囲まで管理対象設備に該当するのか全く不明である(特許異議申立書第40頁) (2)「管理対象でない設備」及び「管理対象の設備に対する外部環境因子」についても、どのような設備であるのか、又、どのような外部因子であるのか特定することができない(特許異議申立書第41頁) (3)上記(1)に伴い、当業者であっても、「第1受付ステップにてユーザが入力する「前記管理対象の設備に対する2以上の管理事項」がどのようなものであるのか不明である(特許異議申立書第41頁) 異議申立人の上記主張の(1)及び(2)について検討すると、本件特許発明1において「前記管理対象の設備は、産業分野に関する設備であり、」と規定されており、「管理対象の設備」が「産業分野に関する設備」であることが規定されている。 そして、本件特許の明細書の段落【0019】には「なお、図1における情報処理システム100においては、管理対象の設備がプラントPL1として示されているが、「管理対象の設備」の規模はプラントに限られず、特定の機器やその集合体であってよい。また、管理対象は、所定の事業所に存在する設備に限られず、前記所定の事業所を含む地域に存在する他の事業所に存在する設備やその集合体であってよい。同様に、管理対象の設備に該当しないプラントPL2、PL3についても、特定の機器やその集合体であってよく、所定の事業所に存在する設備に限られず、前記所定の事業所を含む地域に存在する他の事業所に存在する設備やその集合体であってよい。また、管理対象の設備が産業分野に関連するものである場合、当該産業分野は、上述のような廃液処理に限られず、各種製造分野(化学製造業、自動車製造業、製鉄業、製紙業、食品飲料業等を含む)や発電分野等であってよい。」との記載があり、「管理対象の設備」の一例が「プラント」であり、プラントに限られず特定の機器やその集合体であってよく、管理対象の設備に該当しない設備についても同様に「プラント」の他、特定の機器やその集合体であることが示されている。また、管理対象の設備が産業分野に関連するものである場合、各種製造分野や発電分野の設備であることが例示されており、本件特許発明1~8における「管理対象の設備」及び「管理対象でない設備」が、このような設備を対象とすることは上記記載より明確に把握できるといえる。 また、本件特許の明細書には、以下のとおり記載されている。 「【0048】 図1に示した通り、情報処理装置1は、管理対象の設備(プラントPL1)と、管理対象でない設備(プラントPL2、PL3等)及び/又は管理対象の設備に対する外部環境因子(センサ2で取得可能な因子、Web上から取得可能な因子、公的機関による公表情報から取得可能な因子等)と、に関する管理項目のデータ群を取得可能に構成されている。すなわち、第1実施形態においては、管理対象の設備(プラントPL1)の状態に関与し得る種々の情報を取得し得ることから、将来の時間条件における管理事項の状態を精度高く予測することができる。なお、ここでの「管理項目」は、管理事項に寄与するパラメータに相当するものであることから、「説明変数」と称してもよい。 【0049】 具体的に、この予測は、管理対象の設備(プラントPL1)の稼働実績や将来の稼働計画のほか、他の設備の稼働実績や将来の稼働計画、外部環境因子(例えば、天候、気温や湿度の変遷、河川の水質、地域の人口、地域の事業所のCO2排出量等)等を参照し、ユーザから受け付けた将来の時間条件における管理対象の設備の状態を予測するものであってよい。」 以上の記載から、管理対象の設備に対する「外部環境因子」とは、管理対象の設備の状態に関与し得る種々の情報であり、センサやWeb、公的機関の公表情報等から取得可能な情報であって、その具体例として、天候、気温や湿度の変遷、河川の水質、地域の人口、地域の事業所のCO2排出量等であることが示されている。したがって、このようなものが「外部環境因子」であることは上記記載より明確に把握できるといえる。 異議申立人の上記主張の(3)について検討すると、本件特許の明細書の段落【0040】には、「ここで、「管理事項」とは、管理対象の設備ついて管理すべき事項であり、図1に示される情報処理システム100においては、プラントPL1に対して管理すべき内容である。なお、この管理事項は、定量的な内容であっても、定性的な内容であってもよい。なお、管理対象の設備に対して達成しようとする目的に対応するものであることから、「管理事項」を「目的変数」と称してもよい。」との記載があるとともに、段落【0041】には「典型的には、管理事項は、法令、生産性、資源の多寡、エネルギーの省力化、省人化、コスト削減及び環境衛生からなる群から選択されるいずれかに関する事項であってよい。多くの適用例において、2以上の管理事項を管理する場合、それらの管理事項がトレードオフの関係となることがあるが、本実施形態の情報処理装置1においては、このようなトレードオフの関係を問題とせず適用することができる。」との記載があり、「管理事項」は、プラント等の管理対象の設備について管理すべき事項であって、法令、生産性、資源の多寡、エネルギーの省力化、省人化、コスト削減及び環境衛生からなる群から選択されるいずれかに関する事項であることが示されている。 また、【0042】には「なお、図1のプラントPL1が廃液処理設備である例を挙げれば、ある観点では、コスト削減の管理事項と、環境衛生との管理事項がトレードオフの関係になり得る。」との記載があり、管理対象の設備がプラントである場合には、コスト削減や環境衛生に関する管理事項が用いられることが例示されている。 したがって、本件特許発明1~8における「管理事項」がどのようなものであるかが、上記記載より明確に把握できるといえる。 以上より、発明の詳細な説明は、当業者が発明を実施できる程度に記載したものといえる。 よって、本件特許の発明の詳細な説明は、本件特許発明1~8を当業者が実施できる程度に記載したものであるから、特許法36条4項1号の規定に違反しているとはいえず、異議申立人の主張する理由Cは理由がない。 4 理由D(サポート要件)について 異議申立人は、特許異議申立書の第42頁において、本件特許発明1~8に規定されている「管理対象の設備」、「管理対象でない設備」及び「管理対象の設備に対する外部環境因子」がどのようなものであるのか当業者が認識できず、本件特許発明1~8は発明の詳細な説明の記載を超えた範囲を含む表現である旨主張しているので以下より検討する。 上記3で述べたように、「管理対象の設備」、「管理対象でない設備」及び「管理対象の設備に対する外部環境因子」がどのようなものであるかは、本件特許の明細書に明確に把握できるように記載されており、本件特許発明1~8は、発明の詳細な説明に記載された発明である。 よって、本件特許発明1~8は、発明の詳細な説明に記載された発明であるから、特許法36条6項1号の規定に違反しているとはいえず、異議申立人の主張する理由Dは理由がない。 5 理由E(明確性)について 異議申立人は、特許異議申立書の第42頁において、本件特許発明1~8に規定されている「管理対象の設備」、「管理対象でない設備」及び「管理対象の設備に対する外部環境因子」がどのようなものであるか不明であり、本件特許発明1~8の特許請求の範囲の記載が不明確である旨主張しているので以下より検討する。 上記3で述べたように、「管理対象の設備」、「管理対象でない設備」及び「管理対象の設備に対する外部環境因子」がどのようなものであるかは、本件特許の明細書にも明確に把握できるように記載されており、本件特許発明1~8における「管理対象の設備」、「管理対象でない設備」及び「管理対象の設備に対する外部環境因子」が何を意味するかは、明細書の記載を参酌することにより明らかである。 してみると、本件特許発明1~8に規定されている「管理対象の設備」、「管理対象でない設備」及び「管理対象の設備に対する外部環境因子」との記載が、第三者に不測の利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。 よって、本件特許発明1~8を特定する請求項1~8の記載は、特許法36条6項2号の規定に違反しているとはいえず、異議申立人の主張する理由Eは理由がない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~8に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1~8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700931

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