特許異議申立
2023-700107
シール機構を備える装置
- 審判番号
- 2023-700107
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2017-209199
- 登録番号
- 7114239
- 請求日
- 2023年02月02日
- 審決日
- 2023年09月11日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】ナブテスコ株式会社
- 【権利者代理人】村越 智史
- 【異議申立人】細江 進
- 審判長/審判官
- 審判長 小川 恭司
- 審判官 尾崎 和寛
- 審判官 久島 弘太郎
- 分類
- P1651.113-ZC (F16J) / P1651.121-ZC (F16J)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項特許法113条2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7114239号発明「シール機構を備える装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7114239号の請求項1及び3に係る特許を取り消す。
同請求項2及び4~6に係る特許を維持する。
理由
理 由
1 手続の経緯
特許第7114239号の請求項1~6に係る特許についての出願は、平成29年10月30日に出願され、令和4年7月29日にその特許権の設定登録がされ、令和4年8月8日に特許掲載公報が発行された。その後その特許について、令和5年2月2日に、特許異議申立人細江進(以下、「異議申立人」という。)により全ての請求項に係る特許について特許異議の申立てがされ、当審は、令和5年4月21日付けで請求項1及び3に係る特許について取消理由を通知したが、特許権者からの応答はなかった。
2 本件発明
特許第7114239号の請求項1~6に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明6」という。)は、願書に添付された特許請求の範囲に記載された次のとおりのものである。
[本件発明1]
「シャフト部材と、該シャフト部材の少なくとも一部を収容するケースと、該シャフト部材と該ケースとの間をシールするシール機構と、を備える装置であって、
該シール機構は、前記シャフト部材の外周面に設けられたスリンガと、前記シャフト部材の径方向において前記ケースと該スリンガとの間で前記スリンガと接するように設けられたシール部材と、を備え、
前記スリンガは、円筒形状を有しており前記シャフト部材の軸方向において前記スリンガの一端から他端まで前記シャフト部材の外周面と平行に延びている外周面を有する筒状部と、該筒状部の前記一端から前記シャフト部材の径方向内側に延びるフランジ部とを備え、
該筒状部が設けられる位置における該シャフト部材の外径と、前記フランジ部が設けられる位置における前記シャフト部材の外径とが同一に形成される、装置。」
[本件発明2]
「前記スリンガは、前記シャフト部材よりも耐摩耗性に優れた材料から形成される、請求項1に記載の装置。」
[本件発明3]
「前記シール部材は、その先端が前記スリンガの前記筒状部に接するリップを有する、請求項1又は2に記載の装置。」
[本件発明4]
「前記シャフト部材の前記ボルトの中心位置が、前記シャフト部材の外周面から3mm-10mmの範囲における位置に配置される、請求項1から3までのいずれか1項に記載の装置。」
[本件発明5]
「前記筒状部と前記シャフト部材との間に接着剤から形成される接着層を備え、前記シャフト部材の径方向における前記フランジ部の長さは、前記接着層の厚さ以下に形成される、請求項1から4までのいずれか1項に記載の装置。」
[本件発明6]
「前記シャフト部材の径方向における前記フランジ部の長さが、前記接着層の厚さよりも小さい場合、前記シャフト部材と前記フランジ部との間に接着層が形成される、請求項5に記載の装置。」
3 取消理由の概要
特許第7114239号の請求項1及び3に係る特許に対して、当審が令和5年4月21日付けの取消理由通知において特許権者に通知した取消理由の概要は次のとおりである。
(1)本件の請求項1及び3に係る発明は、下記の甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明であるから、請求項1及び3に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであり、取り消すべきものである。
(2)本件の請求項1及び3に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、請求項1及び3に係る特許は取り消すべきものである。
甲第1号証:実公昭38-20609号公報(異議申立人の提出した甲第1号証)
甲第2号証:実公昭38-20610号公報(異議申立人の提出した甲第2号証)
4 各甲号証の記載事項等
(1)甲第1号証
取消理由で引用した甲第1号証(実公昭38-20609号公報)には、次の事項が記載されている。
「従来の套管附油封輪では第1図に示したようにその套管主体2’にはその全内周面即ち補強の目的で曲成した曲成縁4’の端面5’より他側端面にわたりゴム様材の裏装3’が施してあるので、必然の結果としてこの套管を回転軸上に嵌装せる場合には、套管部2’は完全に軸面から前記ゴム様材(これ等はいずれも多少とも断熱的性能を併有して居る)を介して離隔状態にある。しかるに潤滑剤の存在下においても、封緘唇と套管外面との摩擦抵抗により発生せる熱は套管中に蓄積せられる外なく、套管は温度上昇を免れずして、封緘唇の劣化を早め、機能低下~寿命短縮を来すのである。本考案はかかる従来品のあ欠陥あるに鑑みこれを除去せる製品を供給し得るものである。」(第1頁左欄第6行~第19行)
「第1図
[図:0001404802000001.jpg]
」
甲第1号証の左欄第6行~19行及び第1図から次の事項が認定できる。
・甲第1号証には、封緘唇と套管主体2’からなる套管附油封輪と回転軸1とを備える装置が記載されている。
・当業者における技術常識を踏まえると、甲第1号証の套管附油封輪は、いわゆる回転軸用オイルシール機構のことであり、回転軸1付近の内部と外部との間でオイルが漏出しないようにするものであるから、甲第1号証の回転軸1は少なくともその一部が部材に収容されている(この構成によって、回転軸1付近の領域が、回転軸1、套管附油封輪及び部材によって包囲される内部領域と部材外の外部領域に区分される)とともに、套管附油封輪によって回転軸1と部材との間がシールされることによって、部材内部から外部へオイルが漏出しないようにされているものである。
すなわち、甲第1号証の封緘唇と套管主体2’からなる套管附油封輪と回転軸1を備える装置は、回転軸の少なくとも一部を収容する部材も備えるものである。
・套管主体2’は、回転軸1の外周面に嵌装されている。
・封緘唇は、套管外面との間で摩擦抵抗により熱を発するものとされているから、回転軸1の径方向外側において套管主体2’と接するように設けられている。
・套管主体2’は、円筒形状を有しており回転軸1の軸方向において套管主体2’の所定位置から套管主体2’の右端まで回転軸1の外周面と平行に延びている外周面を有する筒状部と、当該筒状部の左端(すなわち套管主体2’の所定位置)から回転軸1の径方向内側に延びる曲成縁4’とを備えている。
・回転軸1は、第1図に示されている範囲でその外径が一定である(第1図において、軸1は輪郭が一点鎖線で記載されていることから、軸1が套管附油封輪に装入された場合にはどのような位置関係になるのかを表していると理解される。そうすると、ゴム様材の裏装3’の下に描かれている複数本の縦線は、回転軸1の外径が段付き形状をしていることを表すものではなく、回転軸1を挿入する前の当該ゴム様材の裏装3’が段付き形状をしていることを示しているものと理解できる。)。
・甲第1号証の「封緘唇と套管外面との摩擦抵抗により」との記載、及び甲第1号証の第1図より、甲第1号証に記載のものの封緘唇は、その先端が套管主体2’の筒状部に接している。
上記認定事項及び甲第1号証の左欄第6行~19行、及び第1図の記載から、甲第1号証には、次の2つの発明(以下、「甲1発明1」及び「甲1発明2」という。)が記載されていると認められる。
[甲1発明1]
「回転軸1と、該回転軸1の少なくとも一部を収容する部材と、該回転軸1と該部材との間をシールする套管附油封輪と、を備える装置であって、
該套管附油封輪は、前記回転軸1の外周面に嵌装されている套管主体2’と、
前記回転軸1の径方向外側において前記套管主体2’と接するように設けられた封緘唇と、を備え、
前記套管主体2’は、円筒形状を有しており前記回転軸1の軸方向において前記套管主体2’の所定位置から右端まで前記回転軸1の外周面と平行に延びている外周面を有する筒状部と、前記筒状部の左端(すなわち套管主体2’の所定位置)から前記回転軸1の径方向内側に延びる曲成縁4’とを備え、
前記回転軸1は、その外径が一定である、装置。」
[甲1発明2]
「回転軸1と、該回転軸1の少なくとも一部を収容する部材と、該回転軸1と該部材との間をシールする套管附油封輪と、を備える装置であって、
該套管附油封輪は、前記回転軸1の外周面に嵌装されている套管主体2’と、
前記回転軸1の径方向外側において前記套管主体2’と接するように設けられた封緘唇と、を備え、
前記套管主体2’は、円筒形状を有しており前記回転軸1の軸方向において前記套管主体2’の所定位置から右端まで前記回転軸1の外周面と平行に延びている外周面を有する筒状部と、前記筒状部の左端(すなわち套管主体2’の所定位置)から前記回転軸1の径方向内側に延びる曲成縁4’とを備え、
前記回転軸1は、その外径が一定であり、
前記封緘唇は、その先端が前記套管主体2’の前記筒状部に接している装置。」
(2)甲第2号証
取消理由で引用した甲第2号証(実公昭38-20610号公報)には、次の事項が記載されている。
「図において1は回転軸、2は本考案の套管で3はゴム様材裏装であり、4はほぼ直角な曲成縁でその内径は回転軸1の直径と等しからしめる第1図の2’は在来套管で単なる円筒形を呈し、3’はその内面全部および少なくとも一側端面にわたり焼着された裏装であつて、回転軸上に嵌装せられた場合に套管2’は完全に軸面より前記裏装3’により離隔せられあることとなる。
本考案は上記の構成を要旨とし、特に套管2の一端を曲成して曲成縁4に形成し、その内径を軸径と等からしめ、かつ当該曲成縁の端面を除く全内面に裏装3を形成しあるによつて、本套管を回転軸上に嵌装した場合は、前記曲成縁の端面は軸面に密接する。従つて油封輪の封緘唇と套管面との摩擦による発熱は、曲成縁の端面を経て熱容量の甚大なる回転軸中に流入して、温度上昇を来す事なく、所期の目的効果を達成し得るものである。」(第1頁左欄第16行~右欄第13行)
「第1図
[図:0001404802000002.jpg]
」
「第2図
[図:0001404802000003.jpg]
」
甲第2号証の左欄第16行~右欄第13行及び第1~2図並びに当業者における技術常識を踏まえると、上記の甲第1号証の記載から認定できる事項と同様の事項を認定することができるから、甲2号証には、第2図に示されている発明として、次の2つの発明(以下、「甲2発明1」及び「甲2発明2」という。)が記載されていると認められる。
[甲2発明1]
「回転軸1と、該回転軸1の少なくとも一部を収容する部材と、該回転軸と該部材との間をシールする套管附油封輪と、を備える装置であって、
該套管附油封輪は、前記回転軸1の外周面に嵌装されている套管2と、前記回転軸1の径方向外側において前記套管2と接するように設けられた封緘唇と、を備え、
前記套管2は、円筒形状を有しており前記回転軸1の軸方向において前記套管2の所定位置から右端まで前記回転軸1の外周面と平行に延びている外周面を有する筒状部と、前記筒状部の左端(すなわち套管主体2の所定位置)から前記回転軸1の径方向内側に延びる曲成縁4とを備え、
前記回転軸1は、その外径が一定である、装置。」
[甲2発明2]
「回転軸1と、該回転軸1の少なくとも一部を収容する部材と、該回転軸と該部材との間をシールする套管附油封輪と、を備える装置であって、
該套管附油封輪は、前記回転軸1の外周面に嵌装されている套管主2と、前記回転軸1の径方向外側において前記套管2と接するように設けられた封緘唇と、を備え、
前記套管2は、円筒形状を有しており前記回転軸1の軸方向において前記套管2の所定位置から右端まで前記回転軸1の外周面と平行に延びている外周面を有する筒状部と、前記筒状部の左端(すなわち套管2の所定位置)から前記回転軸1の径方向内側に延びる曲成縁4とを備え、
前記回転軸1は、その外径が一定であり
前記封緘唇は、その先端が前記套管主体2の前記筒状部に接している装置。」
(3)甲第3号証
異議申立人の提出した甲第3号証(特開平8-128534号公報)には、次の事項が記載されている。
「【0041】1は、ハウジング2と回転軸3間をシールする回転用の密封装置を示しており、この密封装置1は、概略、樹脂製シールリップとしてのPTFEリップ4をゴム状弾性体5を介して補強環6に固定された環状のシール本体としてのシール部品7と、シール部品7の内側に組み付けられ、外周にPTFEリップ4が摺動自在に密封接触するスリーブを成すスリーブ部品8とを備えたもので、PTFEリップ4のリップ先端にゴム状弾性体のゴムガスケット部9が設けられ、またスリーブ部品8の密封流体側O端部に滑らかな突起としてのR状突起10を有するものである。
【0042】スリーブ部品8は、回転軸3の外周面に取付けられ、回転軸3と共回りするものである。
【0043】このスリーブ部品8は、図4に示すようにスリーブ11とゴム状弾性体12とから成っている。
【0044】スリーブ11は、径方向外向きの外向きフランジ部11Aを有する断面L字状の円筒状部材であり、その円筒部11Bの外周面はPTFEリップ4のリップ先端およびゴムガスケット部9の端面が摺動自在に密封接触するリップ摺動面11Cとなっている。そして、円筒部11Bの先端部、すなわち密封流体側OにR状突起10が設けられている。このR状突起10は、リップ摺動面11Cより径方向外側に断面円弧状に突出しており、その終端は径方向内側に折れ曲がった内向きフランジ部10Aとなっている。
【0045】そして、スリーブ11の外向きフランジ部11Aの外周面および大気側A端面ならびにR状突起10の内周部を含めた円筒部11Bの内周面全面に連続してゴム状弾性体12が一体的に焼付け固定されている。このゴム状弾性体12の円筒部11Bの内周面側のゴム状弾性体12Aの内周面は段付となっており、このゴム状弾性体12Aにて回転軸3とのシールを行なっている。また外向きフランジ部11Aの外周面側のゴム状弾性体12Bの外周面は平面となっており、軸方向大気側Aに延びるフランジ部12Cを有している。
「【図1】
[図:0001404802000004.jpg]
」
5 対比・判断
(1)本願発明1について
ア 甲1発明1を主引用発明として
(ア)対比
本件発明1と甲1発明1とを対比する。
甲1発明1の「回転軸1」、「該回転軸1の少なくとも一部を収容する部材」又は「部材」、及び「套管附油封輪」は、それぞれ本件発明1の「シャフト部材」、「ケース」、及び「シール機構」に相当する。
したがって、甲1発明1の「回転軸1と、該回転軸1の少なくとも一部を収容する部材と、該回転軸と該部材との間をシールする套管附油封輪と、を備える」「装置」は、本件発明1の「シャフト部材と、該シャフト部材の少なくとも一部を収容するケースと、該シャフト部材と該ケースとの間をシールするシール機構と、を備える」「装置」に相当する。
甲1発明1の「前記回転軸1の外周面に嵌装されている」ことは、本件発明1の「前記シャフト部材の外周面に設けられ」ていることに相当し、甲1発明1の「套管主体2’」は、本件発明1の「スリンガ」に相当する。
甲1発明1の「回転軸1の径方向外側」は、本件発明1の「シャフト部材の径方向」に相当する。
甲1発明1の「封緘唇」は、本件発明1の「シール部材」に相当する。
したがって、甲1発明1の「該套管附油封輪は、前記回転軸1の外周面に嵌装されている套管主体2’と、前記回転軸1の径方向外側において前記套管主体2’と接するように設けられた封緘唇と、を備え」ることは、本件発明1の「該シール機構は、前記シャフト部材の外周面に設けられたスリンガと、前記シャフト部材の径方向において前記ケースと該スリンガとの間で前記スリンガと接するように設けられたシール部材と、を備え」ることとの対比において、「該シール機構は、前記シャフト部材の外周面に設けられたスリンガと、前記シャフト部材の径方向において前記スリンガと接するように設けられたシール部材と、を備え」るとの限度で一致する。
甲1発明1の「套管主体2’の所定位置から右端まで」は本件発明1の「スリンガの一端から他端まで」に相当し、同様に、「当該筒状部の左端(すなわち套管主体2’の所定位置)から」は「該筒状部の前記一端から」に、「曲成縁4’」は「フランジ部」に、それぞれ相当する。
甲1発明1の「前記回転軸1は、その外径が一定である」ことは、套管主体2’が嵌装されている回転軸1の外径が一定であることをいうから、套管主体2’の筒状部が設けられている位置における回転軸1の外径と、套管主体2’の曲成縁4’が設けられている位置における回転軸1の外径は、同一であるといえ、本件発明1の「該筒状部が設けられる位置における該シャフト部材の外径と、前記フランジ部が設けられている位置における前記シャフト部材の外径とが同一に形成される」ことに相当する。
以上のとおりであるから、本件発明1と甲1発明1との一致点及び相違点は次のとおりとなる。
[一致点1]
「シャフト部材と、該シャフト部材の少なくとも一部を収容するケースと、該シャフト部材と該ケースとの間をシールするシール機構と、を備える装置であって、
該シール機構は、前記シャフト部材の外周面に設けられたスリンガと、前記シャフト部材の径方向において前記スリンガと接するように設けられたシール部材と、を備え、
前記スリンガは、円筒形状を有しており前記シャフト部材の軸方向において前記スリンガの一端から他端まで前記シャフト部材の外周面と平行に延びている外周面を有する筒状部と、該筒状部の前記一端から前記シャフト部材の径方向内側に延びるフランジ部とを備え、
該筒状部が設けられる位置における該シャフト部材の外径と、前記フランジ部が設けられる位置における前記シャフト部材の外径とが同一に形成される、装置」
[相違点1]
本件発明1において、シール部材は、「前記ケースと該スリンガとの間で」スリンガと接する様に設けられているものであるのに対し、甲1発明1の封緘唇は、このような特定がされていない点。
(イ)判断
上記4(1)より、甲1発明の「套管附油封輪」は、回転軸1と部材との間をシールすることによってオイルが漏出しないようにするものであり、当業者における技術常識を踏まえると、回転軸1、套管附油封輪及び部材によって包囲される内部領域がオイル雰囲気領域であることが通常であるから、当該内部領域を形成するために套管附油封輪の封緘唇が部材と套管主体2との間で前記套管主体2と接していることは明らかである。そうすると、相違点1は実質的な相違点とはいえない。
したがって、本件発明1と甲1発明1との間に実質的な相違点は存在せず、本件発明1は甲1発明1であるといえる。
仮に、相違点1が実施的な相違点であるとしても、甲1発明1の「套管附油封輪」は、オイルが漏出しないようにするものであるから、套管附油封輪によって回転軸1と部材との間がシールされることによって、部材内部から外部へオイルが漏出しないようにされている必要がある。
このような必要性を踏まえ、甲1発明1の「套管附油封輪」の「封緘唇」を、部材と套管との間に設けることによって、部材内部から外部へオイルが漏出しないように構成することは、当業者が容易に想到し得たことであるといえる。
また、甲第3号証には、ハウジング2(本件発明1の「ケース」に相当する。)とスリーブ部品8(本件発明1の「スリンガ」に相当する。)との間にシール部品7(本件発明1の「シール部材」に相当する。)が記載されているから、かかる甲第3号証に記載の技術的事項を甲1発明1に適用し、以て、相違点1に係る本件発明1の構成となすことは当業者が容易に想到し得たことといえる。
したがって、仮に、相違点1が実質的な相違点であるとしても、本件発明1は、甲1発明1に基いて、または、甲1発明1及び甲第3号証に記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 甲2発明1を主引用発明として
(ア)対比
本件発明1と甲2発明1とを対比する。
上記4(1)及び(2)より、甲2発明1は甲1発明1と同様の発明であるといえる。
したがって、上記ア(ア)での対比を踏まえると、本件発明1と甲2発明1との一致点及び相違点は、次のとおりとなる。
[一致点2]
「シャフト部材と、該シャフト部材の少なくとも一部を収容するケースと、該シャフト部材と該ケースとの間をシールするシール機構と、を備える装置であって、
該シール機構は、前記シャフト部材の外周面に設けられたスリンガと、前記シャフト部材の径方向において前記スリンガと接するように設けられたシール部材と、を備え、
前記スリンガは、円筒形状を有しており前記シャフト部材の軸方向において前記スリンガの一端から他端まで前記シャフト部材の外周面と平行に延びている外周面を有する筒状部と、該筒状部の前記一端から前記シャフト部材の径方向内側に延びるフランジ部とを備え、
該筒状部が設けられる位置における該シャフト部材の外径と、前記フランジ部が設けられる位置における前記シャフト部材の外径とが同一に形成される、装置」
[相違点2]
本件発明1において、シール部材は、「前記ケースと該スリンガとの間で」スリンガと接する様に設けられているものであるのに対し、甲2発明1の封緘唇は、このような特定がされていない点。
(イ)判断
相違点2について検討するに、相違点2は相違点1と実質的に同じであるから、上記ア(イ)と同様の理由により、本件発明1は、甲2発明1であるか、または、甲2発明1に基いて、または、甲2発明1及び甲第3号証に記載の技術的事項に基いてに基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2)本件発明3について
ア 甲1発明2を主引用発明として
(ア)対比
本件発明3と甲1発明2とを対比する。
甲1発明2の「封緘唇」、「套管主体2’」及び「筒状部」が、それぞれ本件発明3の「シール部材」、「スリンガ」及び「筒状部」に相当するから、甲1発明2の「前記封緘唇は、その先端が前記套管主体2’の前記筒状部に接している」ことは、本件発明3の「前記シール部材は、その先端が前記スリンガの前記筒状部に接するリップを有する」ことに相当する。
そうすると、本件発明3と甲1発明2との一致点及び相違点は、次のとおりとなる。
[一致点1’]
「シャフト部材と、該シャフト部材の少なくとも一部を収容するケースと、該シャフト部材と該ケースとの間をシールするシール機構と、を備える装置であって、
該シール機構は、前記シャフト部材の外周面に設けられたスリンガと、前記シャフト部材の径方向において前記スリンガと接するように設けられたシール部材と、を備え、
前記スリンガは、円筒形状を有しており前記シャフト部材の軸方向において前記スリンガの一端から他端まで前記シャフト部材の外周面と平行に延びている外周面を有する筒状部と、該筒状部の前記一端から前記シャフト部材の径方向内側に延びるフランジ部とを備え、
該筒状部が設けられる位置における該シャフト部材の外径と、前記フランジ部が設けられる位置における前記シャフト部材の外径とが同一に形成され、
前記シール部材は、その先端が前記スリンガの前記筒状部に接するリップを有する、装置」
[相違点1’]
本件発明1において、シール部材は、「前記ケースと該スリンガとの間で」スリンガと接する様に設けられているものであるのに対し、甲1発明2の封緘唇は、このような特定がされていない点。
(イ)判断
相違点1’は相違点1と同じである。
したがって、上記(1)ア(イ)と同じ理由により、本件発明3は、甲1発明2であるか、または、甲1発明2に基いて、または、甲1発明2及び甲第3号証に記載の技術的事項に基いてに基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 甲2発明2を主引用発明として
(ア)対比
本件発明3と甲2発明2とを対比する。
甲2発明2の「封緘唇」、「套管主体2」及び「筒状部」が、それぞれ本件発明3の「シール部材」、「スリンガ」及び「筒状部」に相当するから、甲2発明2の「前記封緘唇は、その先端が前記套管の前記筒状部に接している」ことは、本件発明3の「前記シール部材は、その先端が前記スリンガの前記筒状部に接するリップを有する」ことに相当する。
そうすると、本件発明3と甲2発明2との一致点及び相違点は、次のとおりとなる。
[一致点2’]
「シャフト部材と、該シャフト部材の少なくとも一部を収容するケースと、該シャフト部材と該ケースとの間をシールするシール機構と、を備える装置であって、
該シール機構は、前記シャフト部材の外周面に設けられたスリンガと、前記シャフト部材の径方向において前記スリンガと接するように設けられたシール部材と、を備え、
前記スリンガは、円筒形状を有しており前記シャフト部材の軸方向において前記スリンガの一端から他端まで前記シャフト部材の外周面と平行に延びている外周面を有する筒状部と、該筒状部の前記一端から前記シャフト部材の径方向内側に延びるフランジ部とを備え、
該筒状部が設けられる位置における該シャフト部材の外径と、前記フランジ部が設けられる位置における前記シャフト部材の外径とが同一に形成され、
前記シール部材は、その先端が前記スリンガの前記筒状部に接するリップを有する、装置」
[相違点2’]
本件発明3において、シール部材は、「前記ケースと該スリンガとの間で」スリンガと接する様に設けられているものであるのに対し、甲2発明2の封緘唇は、このような特定がされていない点。
(イ)判断
相違点2’は相違点1’と同じである。
したがって、上記(2)ア(イ)と同様の理由により、本件発明3は、甲2発明2であるか、または、甲2発明2に基いて、または、甲2発明2及び甲第3号証に記載の技術的事項に基いてに基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3)本件発明2について
ア 甲1発明1を主引用発明として
(ア)対比
本件発明2と甲1発明1とを対比する。
上記(1)ア(ア)での対比を踏まえると、本件発明2と甲1発明1とは、上記(1)ア(ア)の一致点で一致し、上記(1)ア(ア)の相違点で相違するとともに、さらに、次の相違点3で相違する。
[相違点3]
本件発明2は、「前記スリンガは、前記シャフト部材よりも耐摩耗性に優れた材料から形成される」とされているのに対し、甲1発明1の「套管主体2’」と「回転軸1」については、その耐摩耗性について本件発明2のような特定がされていない点。
(イ)判断
甲第1号証には、套管主体2’と回転軸1の耐摩耗性についての記載はなく、また、套管主体2’の耐摩耗性を回転軸1の耐摩耗性より優れたものとすることに関しての示唆もない。さらに、シャフト部材のシール機構において、シャフトに嵌装するスリンガの耐摩耗性をシャフト部材の耐摩耗性より優れたものとすることが自明であるとの証拠もないし、甲第2号証、甲第3号証もかかる技術的事項を開示するものではない。
そうすると、甲1発明1において、相違点3に係る本件発明2の構成となすことは当業者が容易に想到し得たことということはできない。
したがって、本件発明2は、甲1発明1と甲第2号証又は甲第3号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。
イ 甲2発明1を主引用発明として
(ア)対比
上記4(1)及び(2)より、甲2発明1は甲1発明1と同様の発明であるといえるから、上記(1)ア(ア)での対比を踏まえると、本件発明2と甲2発明1とは、上記(1)ア(ア)の一致点と同様の点で一致するとともに、上記(1)ア(ア)の相違点と同様の点で相違するとともに、さらに、次の相違点3’で相違する。
[相違点3’]
本件発明2は、「前記スリンガは、前記シャフト部材よりも耐摩耗性に優れた材料から形成される」とされているのに対し、甲2発明1の「套管2」と「回転軸1」については、その耐摩耗性について本件発明2のような特定がされていない点。
(イ)判断
甲第2号証には、套管2と回転軸1の耐摩耗性についての記載はなく、また、套管2の耐摩耗性を回転軸1の耐摩耗性より優れたものとすることに関しての示唆もない。さらに、シャフト部材のシール機構において、シャフトに嵌装するスリンガの耐摩耗性をシャフト部材の耐摩耗性より優れたものとすることが自明であるとの証拠もないし、甲第3号証もかかる技術的事項を開示するものではない。
そうすると、甲2発明1において、相違点3’に係る本件発明2の構成となすことは当業者が容易に想到し得たことということはできない。
したがって、本件発明2は、甲1発明1と甲第2号証又は甲第3号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。
(4)本件発明4について
ア 甲1発明1を主引用発明として
(ア)対比
本件発明4と甲1発明1とを対比する。
上記(1)ア(ア)での対比を踏まえると、本件発明4と甲1発明1とは、上記(1)ア(ア)の一致点で一致するとともに、上記(1)ア(ア)の相違点で相違するとともに、さらに、少なくとも次の相違点4で相違する。
[相違点4]
本件発明4は、「前記シャフト部材の前記ボルトの中心位置が、前記シャフト部材の外周面から3mm-10mmの範囲における位置に配置される」とされているのに対し、甲1発明1の「回転軸1」については、本件発明4のような特定がされていない点。
(イ)判断
甲第1号証には、甲1発明1の「回転軸1」をボルトによって他部材に締結する事に関しての記載はなく、また、示唆もされていない。
そうすると、甲1発明1の「回転軸1」において、ボルトを配置すること、及び、そのボルトの中心位置を、回転軸1の外周面から3mm-10mmの範囲の位置に設定することは、当業者であっても容易に想到し得たこととはいえない。
さらに、甲第1号証、甲第3号証もかかる技術的事項を開示するものではない。
そうすると、甲1発明1において、相違点4に係る本件発明4の構成となすことは当業者が容易に想到し得たことということはできない。
したがって、本件発明4は、甲1発明1と甲第2号証又は甲第3号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。
イ 甲2発明1を主引用発明として
(ア)対比
上記4(1)及び(2)より、甲2発明1は甲1発明1と同様の発明であるといえるから、上記(1)ア(ア)での対比を踏まえると、本件発明4と甲2発明1とは、上記(1)ア(ア)の一致点と同様の点で一致するとともに、上記(1)ア(ア)の相違点と同様の点で相違するとともに、さらに、少なくとも次の相違点4’で相違する。
[相違点4’]
本件発明4は、「前記シャフト部材の前記ボルトの中心位置が、前記シャフト部材の外周面から3mm-10mmの範囲における位置に配置される」とされているのに対し、甲2発明1の「回転軸1」については、本件発明4のような特定がされていない点。
(イ)判断
甲第2号証には、甲2発明1の「回転軸1」をボルトによって他部材に締結する事に関しての記載はなく、また、示唆もされていない。
そうすると、甲2発明1の「回転軸1」において、ボルトを配置すること、及び、そのボルトの中心位置を、回転軸1の外周面から3mm-10mmの範囲の位置に設定することは、当業者であっても容易に想到し得たこととはいえない。
さらに、甲第3号証もかかる技術的事項を開示するものではない。
そうすると、甲2発明1において、相違点4’に係る本件発明4の構成となすことは当業者が容易に想到し得たことということはできない。
したがって、本件発明4は、甲2発明1及び甲第3号証に記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。
(5)本件発明5について
ア 甲1発明1を主引用発明として
(ア)対比
本件発明5と甲1発明1とを対比する。
上記(1)ア(ア)での対比を踏まえると、本件発明5と甲1発明1とは、上記(1)ア(ア)の一致点で一致するとともに、上記(1)ア(ア)の相違点で相違するとともに、さらに、少なくとも次の相違点5で相違する。
[相違点5]
本件発明5は、「前記筒状部と前記シャフト部材との間に接着剤から形成される接着層を備え、前記シャフト部材の径方向における前記フランジ部の長さは、前記接着層の厚さ以下に形成される」とされているのに対し、甲1発明1の「套管主体2’」と「回転軸1」との間の構成については、本件発明5のような特定がされていない点。
(イ)判断
甲1発明1の「套管主体2’」と「回転軸1」との間の構成に関し、甲第1号証には、「その套管主体2’にはその全内周面即ち補強の目的で曲成した曲成縁4’の端面5’より他側端面にわたりゴム様材の裏装3’が施してあるので、必然の結果としてこの套管を回転軸上に嵌装せる場合」(第1頁左欄第7行~第10行)とあり、また、甲第1号証の第2図に示されたものに関し、「3はゴム様材の裏装であつて狭窄縁部の内径部分を除いた全套管内面部分に焼着せしめある」(第1頁右欄第2~第4行)とある。
このような甲第1号証の記載からすれば、甲1発明1の「套管主体2’」と「回転軸1」との間には、ゴム様材の裏装3’が配置され、当該ゴム様材の裏装3‘は套管主体2’の内周全面に焼着(加硫接着)されているものと理解できるが、ゴム様材の裏装3’が焼着された套管主体2’は回転軸上に嵌装されているとのみ規定されているので、甲第1号証に、ゴム様材の裏装3’と回転軸1との間を接着するとの技術思想が開示ないし示唆されているということはできない。また、甲第2号証にも、套管2のゴム様材の裏装3と回転軸1との間を接着するとの技術思想は記載も示唆もされていない。さらに、甲第3号証にも、回転軸3(本件発明5のシャフト部材に相当する)の外周面に取付けられたスリーブ部品8(本件発明5のスリンガの筒状部に相当する)との間に接着層を備えることにより、回転軸3とスリーブ部品8を接着することは記載も示唆もされていない(段落【0041】~【0045】)し、スリンガの筒状部とシャフト部材との間に接着剤層を備えることが当業者にとって周知・慣用であるとの証拠もない。
そうしてみると、甲1発明1において、相違点5に係る本件発明5の構成となすことは当業者が容易に想到し得たことということはできない。
したがって、本件発明5は、甲1発明1と甲第2号証又は甲第3号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。
イ 甲2発明1を主引用発明として
(ア)対比
上記4(1)及び(2)より、甲2発明1は甲1発明1と同様の発明であるといえるから、上記(1)ア(ア)を踏まえると、本件発明5と甲2発明1とは、上記(1)ア(ア)の一致点と同様の点で一致するとともに、上記(1)ア(ア)の相違点と同様の点で相違するとともに、さらに、少なくとも次の相違点5’で相違する。
[相違点5’]
本件発明5は、「前記筒状部と前記シャフト部材との間に接着剤から形成される接着層を備え、前記シャフト部材の径方向における前記フランジ部の長さは、前記接着層の厚さ以下に形成される」とされているのに対し、甲2発明1の「套管2」と「回転軸1」との間の構成については、本件発明5のような特定がされていない点。
(イ)判断
甲2発明1の「套管2」と「回転軸1」との間の構成に関し、甲第2号証には、「3はそのゴム様材の裏装であり」(第1頁左欄第16行~第17行)とあり、また、甲第2号証の第1図に示されたものに関し、「第1図の2’は在来套管で単なる円筒形を呈し、3’はその内面全部および少なくとも一側端面にわたり焼着された裏装であつて、回転軸上に嵌装せられた場合に套管2は完全に軸面より前記裏装3’により離隔せられあることとなる。」(第1頁左欄第19行~右欄第3行)とある。
このような甲第2号証の記載からすれば、甲2発明1の「套管2」と「回転軸1」との間には、ゴム様材の裏装3が配置され、当該ゴム様材の裏装3は套管2の内周全面に焼着(加硫接着)されているものと理解できるが、ゴム様材の裏装3が焼着された套管2は回転軸上に嵌装されていると理解できるので、甲第2号証に、ゴム様材の裏装3と回転軸1との間を接着するとの技術思想が開示ないし示唆されているということはできない。また、また、甲第1号証にも、套管主体2’のゴム様材の裏装3’と回転軸1との間を接着するとの技術思想は記載も示唆もされていない。さらに、甲第3号証にも、回転軸3(本件発明5のシャフト部材に相当する)の外周面に取付けられたスリーブ部品8(本件発明5のスリンガの筒状部に相当する)との間に接着層を備えることにより、回転軸3とスリーブ部品8を接着することは記載も示唆もされていない(段落【0041】~【0045】)し、スリンガの筒状部とシャフト部材との間に接着剤層を備えることが当業者にとって周知・慣用であるとの証拠もない。
そうしてみると、甲2発明1において、相違点5’に係る本件発明5の構成となすことは当業者が容易に想到し得たことということはできない。
したがって、本件発明5は、甲1発明2と甲第2号証又は甲第3号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。
(6)本件発明6について
本件発明6は、本件発明5の発明特定事項を全て含み更に限定したものである。
したがって、上記(5)ア(イ)と同じ理由により、本件発明6は、甲1発明1と甲第2号証又は甲第3号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。
(7)小括
上記(3)~(6)で述べたように、異議申立人の主張する特許異議申立理由によっては、本件発明2、及び4~6に係る特許を取り消すことはできない。
5 むすび
以上のとおり、請求項1に係る発明は、甲1発明1であるか、または、甲1発明1に基いて、または、甲1発明1及び甲第3号証に記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。あるいは、請求項1に係る発明は、甲2発明1であるか、または、甲2発明1に基いて、または、甲2発明1及び甲第3号証に記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、請求項3に係る発明は、甲1発明2であるか、または、甲1発明2に基いて、または、甲1発明2及び甲第3号証に記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。あるいは、請求項3に係る発明は、甲2発明2であるか、または、甲2発明2に基いて、または、甲2発明2及び甲第3号証に記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、請求項1及び3に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであるか、または、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである。
また、請求項2、及び4~6に係る特許については、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。さらに他に請求項2、及び4~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-700107