特許異議申立
2023-700013
ボールペン用水性インク組成物
- 審判番号
- 2023-700013
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-003924
- 登録番号
- 7097516
- 請求日
- 2023年01月10日
- 審決日
- 2024年05月14日
- 公報発行日
- 2024年10月25日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】三菱鉛筆株式会社
- 【権利者代理人】藤本 英介
- 【権利者代理人】神田 正義
- 【権利者代理人】宮尾 明茂
- 【権利者代理人】馬場 信幸
- 【異議申立人】犬伏 有希
- 審判長/審判官
- 審判長 門前 浩一
- 審判官 瀬下 浩一
- 審判官 菊地 則義
- 分類
- P1651.121-ZAA(C09D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項特許法113条2号特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第6項、特許法第126条第5項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第4項、特許法第131条第3項、特許法第126条第4項、特許法第29条第1項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7097516号発明「ボールペン用水性インク組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7097516号の明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6〕について訂正することを認める。
特許第7097516号の請求項1~3に係る特許を取り消す。
特許第7097516号の請求項4~6に係る特許についての特許異議申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7097516号の請求項1~6に係る特許についての出願は、令和4年1月13日(優先権主張 令和3年8月6日)の出願であって、令和4年6月29日にその特許権の設定登録がされ、同年7月7日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1~6に係る特許に対し、令和5年1月10日に特許異議申立人 犬伏 有希(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審は、同年3月28日付けで取消理由を通知し、特許権者は、その指定期間内である同年5月29日に意見書の提出及び訂正の請求を行い、特許権者から訂正請求があったこと及び意見書が提出されたことを、同年6月6日付けで特許異議申立人に通知し、それに対して、特許異議申立人は、その指定期間内である同年7月10日に意見書を提出し、当審は、同年10月3日付けで取消理由(決定の予告)を通知し、特許権者は、その指定期間内である同年12月5日に意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」といい、その内容を「本件訂正」という。)を行い、当審は、同年12月20日付けで手続補正指令書(方式)を通知し、特許権者は、令和6年2月5日に手続補正書を提出し、特許権者から訂正請求があったこと及び意見書が提出されたことを、同年2月14日付けで特許異議申立人に通知し、それに対して、特許異議申立人は、その指定期間内である同年3月22日に意見書を提出したものである。
第2 本件訂正の適否についての判断
1 本件訂正の内容
令和6年2月5日に手続補正書により補正された本件訂正は、以下の訂正事項1~8からなるものである。訂正箇所に下線を付した。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「コールカウンター法」と記載されているのを、「コールターカウンター法」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~3も同様に訂正する)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「少なくとも、顔料を含む着色剤(A)と、オレフィン系樹脂粒子(B)と、水とを含み、前記オレフィン系樹脂粒子(B)の針入度法硬度が1以上であると共に、コールカウンター法で測定した平均粒子径が15μm以下であり、前記着色剤(A)と前記オレフィン系樹脂粒子(B)の固形分の質量比〔(A)/(B)〕が1~100の範囲であり、かつ前記オレフィン系樹脂粒子(B)の含有量がインク組成物全量に対して、0.01~20質量%であり、かつ、ボールペン用水性インク組成物中における、溶存酸素濃度が5%O2以上であることを特徴とする、ボールペン用水性インク組成物」と記載されているのを、更に、特許請求の範囲の請求項4,6を統合して、
「少なくとも、顔料を含む着色剤(A)と、オレフィン系樹脂粒子(B)と、水とを含み、前記オレフィン系樹脂粒子(B)の針入度法硬度が1以上であると共に、コールターカウンター法で測定した平均粒子径が15μm以下であり、前記着色剤(A)と前記オレフィン系樹脂粒子(B)の固形分の質量比〔(A)/(B)〕が1~100の範囲であり、かつ前記オレフィン系樹脂粒子(B)の含有量がインク組成物全量に対して、0.01~20質量%であり、かつ、ボールペン用水性インク組成物中における、溶存酸素濃度が5%O2以上であるボールペン用水性インク組成物を搭載したことを特徴とするノック式水性ボールペン。」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~3も同様に訂正する)。
(3)訂正事項3
上記特許請求の範囲の請求項1の訂正に伴い、請求項2の「剪断速度383sec-1における粘度(25℃)が80mPa・s以下であることを特徴とする請求項1に記載のボールペン用水性インク組成物。」を「前記ボールペン用水性インク組成物の剪断速度383sec-1における粘度(25℃)が80mPa・s以下であることを特徴とする請求項1に記載のノック式水性ボールペン。」に訂正する(請求項2の記載を引用する請求項3も同様に訂正する)。
(4)訂正事項4
上記特許請求の範囲の請求項1の訂正に伴い、請求項3の「表面張力が15~60mN/m(25℃)であることを特徴とする請求項1又は2に記載のボールペン用水性インク組成物。」を「前記ボールペン用水性インク組成物の表面張力が15~60mN/m(25℃)であることを特徴とする請求項1又は2に記載のノック式水性ボールペン。」に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項4を削除する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項5を削除する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項6を削除する。
(8)訂正事項8
願書に添付した明細書の段落【0011】、【0014】、【0022】(3箇所)、【0023】、【0038】、【0041】に記載された各「コールカウンター法」と記載されているのを、それぞれ「コールターカウンター法」に訂正する。
2 一群の請求項について
訂正事項1に係る訂正前の請求項1~6について、請求項2~6はそれぞれ請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~6に対応する訂正後の請求項1~6は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
3 訂正の適否
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的について
訂正前の請求項1に係る発明では、「コールカウンター法」と特定しているが、「コールカウンター法」の記載は誤記であり、当業者であれば、正しくは「コールターカウンター法」と理解するのが通常であり、当該訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものであるといえる。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、請求項1に記載された「コールカウンター法」に関し、その解釈に影響を与え得る訂正であるが、当該訂正事項については、単なる誤記の訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものであるといえる。
したがって、訂正事項1は、訂正前の請求項2~6との関係で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないといえる。
ウ 新規事項の有無
訂正事項1は、単なる誤記の訂正の点から、当該訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものであるといえる。
(2)訂正事項2
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、訂正前の請求項6が請求項4又は5の記載を引用、更に、請求項4が請求項1~3のいずれか一つの記載を引用する記載であるところ、請求項6の引用を解消して独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないもの」とすることを目的とする訂正であるといえる。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2は、訂正前の請求項6が請求項4又は5の記載を引用、更に、請求項4が請求項1~3のいずれか一つの記載を引用する記載であるところ、請求項6の引用を解消して独立形式請求項へ改めるための訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に滴合するものであるといえる。
ウ 新規事項の有無
訂正事項2は、訂正前の請求項6が請求項4又は5の記載を引用、更に、請求項4が請求項1~3のいずれか一つの記載を引用する記載であるところ、請求項6の引用を解消して独立形式請求項へ改めるための訂正であり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものであるといえる。
(3)訂正事項3
ア 訂正の目的について
訂正事項3は、訂正前の請求項2が請求項1の記載を引用する記載であるところ、上記訂正後の請求項1の従属項として改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正であるといえる。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3は、訂正前の請求項2が請求項1の記載を引用する記載であるところ、上記訂正後の請求項1の従属項として改めるための訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものであるといえる。
ウ 新規事項の有無
訂正事項3は、訂正前の請求項2が請求項1の記載を引用する記載であるところ、上記訂正後の請求項1の従属項として改めるための訂正であるから、当該訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものであるといえる。
(4)訂正事項4
ア 訂正の目的について
訂正事項4は、訂正前の請求項3が請求項1又は2の記載を引用する記載であるところ、上記訂正後の請求項1又は2の従属項として改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正であるといえる。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項4は、訂正前の請求項3が請求項1又は2の記載を引用する記載であるところ、上記訂正後の請求項1の従属項として改めるための訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものであるといえる。
ウ 新規事項の有無
訂正事項4は、訂正前の請求項3が請求項1又は2の記載を引用する記載であるところ、上記訂正後の請求項1又は2の従属項として改めるための訂正であるから、当該訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものであるといえる。
(5)訂正事項5~7
ア 訂正の目的について
訂正事項5は、請求項4を削除するものであり、訂正事項6は、請求項5を削除するものであるから、訂正事項7は、請求項6を削除するものであるから、当該訂正事項5~7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるといえる。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項5は、請求項4を削除するものであり、訂正事項6は、請求項5を削除するものであるから、訂正事項7は、請求項6を削除するものであるから、当該訂正事項5~7は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものであるといえる。
ウ 新規事項の有無
訂正事項5は、請求項4を削除するものであり、訂正事項6は、請求項5を削除するものであるから、訂正事項7は、請求項6を削除するものであるから、当該訂正事項5~7は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものであるといえる。
(6)訂正事項8
ア 訂正の目的について
訂正前の明細書段落【0011】、【0014】、【0022】(3箇所)、【0023】、【0038】、【0041】に記載された各「コールカウンター法」は、「コールターカウンター法」の明らかな誤記である。
当該訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものであるといえる。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記アから明らかなように、訂正事項8は、単に明細書中の誤記を訂正するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものであるといえる。
ウ 新規事項の有無
訂正事項2は、単なる誤記の訂正の点から、当該訂正事項8は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものであるといえる。
(7)独立特許要件
本件においては、訂正前のすべての請求項について特許異議の申立てがされているので、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(8)明細書の訂正と関係する請求項について
(特許法第120条の5第9項で準用する特許法第131条第3項の経済産業省令で定める請求の理由の記載)
訂正事項8は、誤記を訂正することを目的とするものであり、これは一群の請求項1~6に関係する訂正である。
したがって、訂正事項8は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項に適合するものであるといえる。
5 まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号~第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第4項~第6項の規定に適合する。
したがって、特許第7097516号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6〕について訂正することを認める。
第3 本件特許発明
上記第2で述べたとおり、本件訂正後の請求項〔1-6〕について訂正することを認めるので、本件特許の請求項1~6に係る発明は、令和6年2月5日の手続補正書により補正された令和5年12月5日の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される次のとおりのもの(以下「本件特許発明1」~「本件特許発明6」、まとめて「本件特許発明」ともいう。)である。
「【請求項1】
少なくとも、顔料を含む着色剤(A)と、オレフィン系樹脂粒子(B)と、水とを含み、前記オレフィン系樹脂粒子(B)の針入度法硬度が1以上であると共に、コールカウンター法で測定した平均粒子径が15μm以下であり、前記着色剤(A)と前記オレフィン系樹脂粒子(B)の固形分の質量比〔(A)/(B)〕が1~100の範囲であり、かつ前記オレフィン系樹脂粒子(B)の含有量がインク組成物全量に対して、0.01~20質量%であり、かつ、ボールペン用水性インク組成物中における、溶存酸素濃度が5%O2以上であるボールペン用水性インク組成物を搭載したことを特徴とするノック式水性ボールペン。
【請求項2】
前記ボールペン用水性インク組成物の剪断速度383sec-1における粘度(25℃)が80mPa・s以下であることを特徴とする請求項1に記載のノック式水性ボールペン。
【請求項3】
前記ボールペン用水性インク組成物の表面張力が15~60mN/m(25℃)であることを特徴とする請求項1又は2に記載のノック式水性ボールペン。
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
(削除)」
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 特許権の設定登録時の特許請求の範囲の請求項1~6に係る特許に対して、当審が令和5年3月28日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
理由1(明確性要件)本件特許の請求項1~6に係る発明は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。
1.明確性要件の観点について
一般に『法36条6項2号は,特許請求の範囲の記載に関し,特許を受けようとする発明が明確でなければならない旨規定する。同号がこのように規定した趣旨は,仮に,特許請求の範囲に記載された発明が明確でない場合には,特許の付与された発明の技術的範囲が不明確となり,第三者に不測の不利益を及ぼすことがあり得るので,そのような不都合な結果を防止することにある。そして,特許を受けようとする発明が明確であるか否かは,特許請求の範囲の記載だけではなく,願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し,また,当業者の出願当時における技術的常識を基礎として,特許請求の範囲の記載が,第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきことはいうまでもない。』とされている〔平成21年(行ケ)第10434号判決参照。〕
2.検討
本件特許発明1は、その発明特定事項である「オレフィン系樹脂粒子(B)」について「コールカウンター法で測定した平均粒子径が15μm以下であり」と特定されている。
ここで、知財高裁平成21年3月18日判決(平成20年(ネ)第10013号・いわゆる「遠赤外線放射体事件」最高裁ホームページ参照)において、「10μm以下の平均粒子径」という用語の定義に関し、「この文言の意義が、どのような測定装置を使用しても『平均粒子径』がl0μm以下であるかが確認できればよいという意味であると解して明確性の要件を満たすとすることは、当業者に過度の試行錯誤を課するものであって発明特定事項の開示として相当でなく、また、『平均粒子径』について明確性の要件の充足は要しないというに等しいものというほかない」と判断され、明確性要件違反である旨判示されていることからも読み取れるとおり、複数の測定条件が考えられ、それによって結果が異なる場合において、どのような測定方法を使用してもその同一の結果であることが確認できればよいという意味と解することは、明確性要件の趣旨に反し、許されないことである。
そして、甲第18号証(微粒子ハンドブック 初版第1刷 株式会社朝倉書店 1991年9月1日)の第52~59ページの記載からみて、特に非球形の粒子に関して平均粒子径を定義するに当たっては、最低でも(1)1個の粒子の大きさをどのように表すか〔代表径のとり方〕、(2)粒子の大きさに分布がある粒子群をどのように表すか〔粒度分布の表し方〕、(3)粒子群を代表する平均的な大きさをどのように選ぶか〔平均粒子径の選び方〕の3点を定義する必要がある。
しかし、コールカウンター法とはコールター法(電気的検知帯法)を意味していると考えられることから、その代表径に関しては、それによって測定される等体積相当球径であることは一応理解できる。しかしながら、これによって決まるのは「(1)1個の粒子の大きさをどのように表すか〔代表径のとり方〕」のみであって「(2)粒子の大きさに分布がある粒子群をどのように表すか〔粒度分布の表し方〕」、及び「(3)粒子群を代表する平均的な大きさをどのように選ぶか〔平均粒子径の選び方〕」に関しては、依然として不明確であると言わざるを得ない。
実際、例えばコールター法の代表的な測定機器であるMultisizer 4eに関し、甲第19号証(ベックマン・コールター株式会社のホームページ、https://ls.beckmancoulter.co.jp/landing/products/particle/multisizer4e?utm_campaign=mtjp-mult-beckman.jp-ppc-form-21-02-ppc-japan&utm_medium=cpc&utm_source=Beckman.com&utm_content=google&utm_term=&gclid=EAlaIQobChMisozFsPKs_AIVWKaWCh22PwnVEAMYASAAEgKQXvD_BwE)においては、同機器の説明として、「Multisizer 4eは、電気的検知帯法(Electrical Sensing Zone)として知られるコールター原理を用いて、同時に個数、体積、面積の粒子径分布を0.2μm~1,600μmの範囲で測定する最も高精度かつ多機能な粒子径分布および粒子個数測定装置です」と記載されており、粒度分布としては、個数、体積、面積が同時に得られることから、いずれも選択可能であり、このうちいずれを選択するか明示の規定が存在しなければ、このうちどの分布を選択しているのか理解できよう筈もない。
以上のことから、少なくとも上記(2)~(3)に関して不明確という他なく、また、上記のとおり、複数の測定条件が考えられ、それによって結果が異なる場合において、どのような測定方法を使用してもその同一の結果であることが確認できればよいという意味と解することは、明確性要件の趣旨に反しており許されない。従って、本件特許発明1の規定について、本件明細書の記載を参酌しても一義的に明確であるとは認められず、それゆえ、第三者においてどのような大きさのオレフィン系樹脂粒子を用いれば本件発明の技術的範囲に含まれるのか判別することができない。
そうすると、本件特許発明1は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であると言わざるを得ず、特許法第36条第6項第2号に適合しない。
本件特許発明1を直接又は間接的に引用する本件特許発明2~6も不明確である。
理由2(新規性)本件特許の請求項1、4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明(後記第5 1の甲第1号証及び甲第2号証)であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、前記の請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
理由3(進歩性)本件特許の請求項1~6に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明(後記第5 1の甲第1号証~甲第3号証及び甲第10号証~甲第16号証)に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、上記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
2 本件訂正前の請求項1~6に係る特許に対して、当審が令和5年10月3日付けで特許権者に通知した取消理由の前記1の理由2及び3である。
第5 前記第4における理由3(進歩性)についての判断
1 甲号証について
甲第1号証 :特開2017-226180号公報
甲第2号証 :特開2016-124179号公報
甲第3号証 :特開2017-119800号公報
甲第4号証 :特開2017-48275号公報
甲第5号証 :特開2009-108325号公報
甲第6号証 :特開2005-132885号公報
甲第7号証 :特開2016-124953号公報
甲第8号証 :特開2014-231553号公報
甲第9号証 :特開2012-52011号公報
甲第10号証:特開2006-241203号公報
甲第11号証:特開2004-291632号公報
甲第12号証:特開2010-132810号公報
甲第13号証:特開2019-178203号公報
甲第14号証:国際公開2020/209118号
甲第15号証:実願平5-65964号(実開平7-31382号)のCD-ROM
甲第16号証:特開2002-331787号公報
甲第17号証:特開2010-201752号公報
甲第20号証:高校化学と生物の要点と勉強法「ヘンリーの法則とは?気体の溶解度と混合気体の溶解度」
甲第21号証:ポリオレフィン水性ディスパージョン ケミパール(R)(当審注:○にR)、三井化学株式会社、2011年、
甲第22号証:稲葉 敬三(外1名)、電気的検知帯法およびレーザー回折法による粒度分布測定に及ぼす粒子形状の影響、粉体工学会誌、Vol.32、No.10(1995)、p.723-730
甲第24号証:申立人作成、令和5年1月10日作成の試験結果報告書
甲第38号証:生活の中の科学第二部:物質の状態と変化、
http://sekigin.jp/science/chem/chem_03_4_2.html、令和5年7月7日(出力日)
甲第39号証:化学工学レビュアー、https://chemicalengineering-review.com/dalton law/、令和5年7月7日(出力日)
甲第39号証の2:甲第39号証のアーカイブ、https://web.archive.org/web/20201101013724/https://chemicalengineering-review.com/daltonlaw/、2020年11月1日
甲第40号証:溶液化学 溶液と溶解度、http://sekatsu-kagaku.sub.jp/solution-chemistry1.htm、令和5年7月7日(出力日)
甲第40号証の2:甲第40号証のアーカイブ、https://web.archive.org/web/20200304044652/http://sekatsu-kagaku.sub.jp/solution-chemistry1.htm、2020年3月4日アーカイブ
甲第41号証:窒素分子はなぜ三重結合をつくるのか?、https://zigzagsci.com/nitrogen/、令和3年3月4日最終更新日
甲第42号証:酸素分子はなぜ二重結合をつくるのか?、https://zigzagsci.com/oxygen/、令和3年3月4日最終更新日
甲第43号証:試験結果報告書2、令和5年7月10日
甲第46号証:早乙女 辰男、ボールペンにおける最近の精密加工技術について、精密機械工業、
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe/73/1/73_1_23/_pdf/-char/ja、平成19年(発行日)平成21年6月3日(電子公開日)、p.23~27
甲第46号証の2:甲46の書誌事項(J-stageのウェブページ)、
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jjspe/73/1/_contents/-char/ja、令和6年3月21日(出力日)
甲第47号証:文具屋のウェブページ、https://bunguya.ocnk.net/product/301、令和6年3月21日(出力日)
甲第48号証:坂井yahoojapのブログ、http://qrglbkogc.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/g-specsp-s-b200.html、令和6年3月21日(出力日)
2 甲号証の記載について
(1)甲第1号証(以下、「甲1」という。)
1a「【請求項1】
インキ収容筒の先端部にボールペンチップを有し、前記インキ収容筒内に水、着色剤、有機樹脂粒子を含んでなる水性ボールペン用インキ組成物を収容してなる水性ボールペンであって、前記有機樹脂粒子がオレフィン系樹脂粒子であり、かつ、前記水性ボールペンの100mあたりのインキ消費量をA(mg)、前記ボール径をB(mm)とした場合、110≦A/B≦600の関係であることを特徴とする水性ボールペン。
・・・
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の水性ボールペンを軸筒内に摺動自在に配設し、前記ボールペンチップのチップ先端部を前記軸筒先端部から出没可能とすることを特徴とする出没式水性ボールペン。」
1b「【0008】
本発明は、インキの漏れ出しを抑制し、書き味に優れ、濃い筆跡とする水性ボールペンを得ることである。」
1c「【0018】
前記オレフィン系樹脂粒子の平均粒子径については、平均粒子径が小さい方が、お互い密着して、微弱な凝集構造をとりやすく、インキ漏れを抑制しやすいため、10μm以下が好ましく、さらに、8μm以下が好ましく、ボールの回転抵抗を緩和し、書き味を向上し、ボール座の摩耗を抑制することを考慮すれば、7μm以下がより好ましい。また、水素結合による凝集構造を形成することから、粒子自体が比較的小さくても巨視的な凝集構造を形成しやすいため、より細かい粒子径を用いても優れたインキ漏れ抑制効果を得ることができる。一方、平均粒子径が小さすぎると、インキ漏れ抑制効果が劣りやすいため、平均粒子径は、0.1μm以上が好ましく、より好ましくは、3μm以上が好ましい。また、平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定機(商品名「MicrotracHRA9320-X100」、日機装株式会社)を用いてレーザー回折法や、コールターカウンター法(コールター社製)を用いて測定される粒度分布の体積累積50%時の粒子径(D50)を測定することができる。
【0019】
前記オレフィン系樹脂粒子の形状については、球状、もしくは異形の形状のものなどが使用できるが、摩擦抵抗を低減することを考慮すれば、球状樹脂粒子が好ましい。ここでいう球状樹脂粒子とは、真球状に限定されるものではなく、略球状の樹脂粒子や、略楕円球状の樹脂粒子などでも良い。
【0020】
また、前記オレフィン系樹脂粒子については、予め水などに分散したオレフィン分散体にすることが好ましいが、オレフィン分散体のpH値については、7~11が好ましい。これは、オレフィン樹脂粒子の分散安定性や、着色剤、界面活性剤などのインキ成分に対する安定性を良好としやすいためである。より考慮すれば、pH値7~10がより好ましい。
【0021】
前記オレフィン系樹脂粒子については、具体的には、ケミパールM-200(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、pH値9)、同W-100(低分子ポリエチレン分散体、平均粒子径3μm、pH値9)、同W-200(低分子ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、pH値9)、同W300(低分子量ポリエチレン分散体、平均粒子径3μm、pH値9)、同W-310(低分子ポリエチレン分散体、平均粒子径9.5μm、pH値8)、同W-400(低分子ポリエチレン分散体、平均粒子径4μm、pH値9)、同W-800(低分子ポリエチレン分散体、平均粒子径8μm、pH値9)、同W900(低分子量 ポリエチレン分散体、平均粒子径0.6μm、pH値11)、同S300(平均粒子径0.5μm、カルボン酸変性ポリオレフィン分散体、pH値10)、同SA100(平均粒子径1μm、カルボン酸変性ポリオレフィン分散体、pH値10)(以上三井化学(株)製)、ノプコマル MS-40(平均粒子径1.0μm、ポリエチレンパラフィンワックス)、ノプコマル PEM-17(平均粒子径0.01μm、ポリエチレンワックス)(以上サンノプコ(株)製)、CERAFLOUR950(変性ポリエチレン樹脂、平均粒子径9μm)、同925(変性ポリエチレン樹脂、平均粒子径6μm)、同929(変性ポリエチレン樹脂、平均粒子径8μm)(BYK(株)製)等が挙げられる。
【0022】
また、前記オレフィン系樹脂粒子の含有量について、インキ組成物全量に対し、0.01~10.0質量%がより好ましい。これは、前記オレフィン系樹脂粒子の含有量が、0.01質量%未満だとインキ漏れを抑制しづらく、10.0質量%を越えると、凝集構造が強くなりやすく、書き味やドライアップ性能に影響が出やすいためである。さらに、より考慮すれば、0.02~5.0質量%が好ましく、0.03~1.0質量%が特に好ましく、最も好ましくは、0.05~0.5質量%が好ましい。」
1d「【0047】
次に実施例を示して本発明を説明する。
実施例1
顔料分散体(着色樹脂粒子:平均粒子径0.4μm、固形分量34%)20.0質量部
水 59.2質量部
オレフィン樹脂粒子(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、pH値9、固形分40%) 0.5質量部
多価アルコール(グリセリン) 10.0質量部
デキストリン(重量平均分子量:100000) 1.0質量部
尿素 5.0質量部
pH調整剤(トリエタノールアミン) 2.0質量部
エチレンジアミン四酢酸(EDTA) 0.5質量部
潤滑剤(リン酸エステル系界面活性剤) 1.0質量部
防錆剤(ベンゾトリアゾール) 0.5質量部
剪断減粘性付与剤(サクシノグリカン) 0.3質量部
【0048】
顔料分散体、水、オレフィン系樹脂粒子、多価アルコール溶剤、デキストリン、尿素、pH調整剤、エチレンジアミン四酢酸、潤滑剤、防錆剤をマグネットホットスターラーで加温撹拌等してベースインキを作成した。
【0049】
その後、上記作製したベースインキを加温しながら、剪断減粘性付与剤を投入してホモジナイザー攪拌機を用いて均一な状態となるまで充分に混合攪拌して、実施例1の水性ボールペン用インキ組成物を得た。
尚、実施例1のインキ粘度は、ブルックフィールド社製DV-II粘度計(CPE-42ローター)を用いて20℃の環境下で、剪断速度1.92sec-1(回転数0.5rpm)の条件にてインキ粘度を測定したところ、1600mPa・sであった。
また、実施例1のpH値は、IM-40S型pHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて、20℃にて測定したところ、pH値=8.5であった。
【0050】
実施例2~20
インキ配合を表に示すように変更した以外は、実施例1と同様な手順で実施例2~20の水性ボールペン用インキ組成物を得た。表に、インキ配合および評価結果を示す。
【表1】
[図:0001415255000001.jpg]
・・・
【0052】
試験および評価
実施例1~20及び比較例1~8で作製した水性ボールペン用インキ組成物を、インキ収容筒の先端にボール径が0.7mm、ボールを回転自在に抱持したボールペンチップ(ボールペンチップのボールの縦軸方向への移動量30μm、ボール表面の算術平均粗さ(Ra)1nm)をチップホルダーに介して具備したインキ収容筒内(ポリプロピレン製)に充填したレフィル(1.0g)を(株)パイロットコーポレーション製のゲルインキボールペン(商品名:G-knock)に装着して、以下の試験および評価を行った。尚、書き味、筆跡の濃さの評価は、筆記試験用紙としてJIS P3201 筆記用紙Aを用い、以下のような試験方法で評価を行った。
また、実施例1の水性ボールペン用インキ組成物を用いて水性ボールペンとして、らせん筆記試験を行い、100mあたりのインキ消費量をA(mg)、前記ボール径をB(mm)とした場合、A=170(mg)、ボール径をB=0.7(mm)となり、A/B=243であった。
【0053】
インキ漏れ試験:40gの重りをゲルインキボールペンに付けて、ボールペンチップを突出させて下向きにし、ボールペンチップのボールの、ボールペン用陳列ケースの底部に当接させた状態を保ち、20℃、65%RHの環境下に1日放置し、ボールペンチップ先端からのインキ漏れ量を測定した。
インキ漏れ量が5mg未満であるもの ・・・◎
インキ漏れ量が5~15mgであるもの ・・・○
インキ漏れ量が15mgを越えて、30mg未満のもの ・・・△
インキ漏れ量が30mg以上のもの ・・・×
【0054】
筆跡の濃さ:手書きにより筆記した筆跡を観察した。
濃く鮮明な筆跡であるもの ・・・◎
濃い筆跡であるもの ・・・○
実用上問題ない濃さの筆跡であるもの ・・・△
薄い筆跡のもの ・・・×
【0055】
書き味:手書きによる官能試験を行い評価した。
非常に滑らかなもの ・・・◎
滑らかであるもの ・・・○
実用上問題ないレベルの滑らかさであるもの ・・・△
重いもの ・・・×」
(2)甲第2号証(以下、「甲2」という。)
2a「【請求項1】
インキ収容筒の先端部にボールを回転自在に抱持したボールペンチップを直接又はチップホルダーを介して装着し、前記インキ収容筒内に少なくとも水、着色剤、有機樹脂粒子、剪断減粘性付与剤からなる水性ボールペン用インキ組成物を収容してなる水性ボールペンであって、ボールペンチップのボールの軸方向への移動量が15μm以上であり、有機樹脂粒子の平均粒子径が15μm以下であることを特徴とする水性ボールペン。
・・・
【請求項9】
前記水性ボールペンを軸筒内に摺動自在に配設し、前記ボールペンチップのチップ先端部を前記軸筒先端部から出没可能とした出没式の水性ボールペンであることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の水性ボールペン。」
2b「【0008】
本発明は、インキの漏れ出しを抑制し、ボール座の摩耗抑制に優れ、濃い筆跡とする水性ボールペンを提供することである。」
2c「【0018】
また、有機樹脂粒子の平均粒子径については、平均粒子径が小さい方が、お互い密着して、微弱な凝集構造をとりやすく、インキ漏れを抑制しやすいため、10μm以下が好ましく、さらに、6μ m以下が好ましく、ボールの回転抵抗を緩和し、ボール座の摩耗を抑制することを考慮すれば、より平均粒径が小さい3μm以下が好ましい。また、平均粒子径は、レーザー回折法( MICROTRAC9320-X100Honeywell製)による体積基準法によって求められる。
【0019】
また、前記有機樹脂粒子については、具体的には、ノプコ PEN-17(ポリオレフィン樹脂、平均粒子径0.01μm)、ノプコマル MS40(ポリエチレン樹脂、平均粒子径 1.0μm) (以上サンノプコ(株)製)、 CERAFLOUR950(変性ポリエチレン樹脂、平均粒子径9μm)、同925(変性ポリエチレン樹脂、平均粒子径6μm)、同929(変性ポリエチレン樹脂、平均粒子径8μm)(BYK(株)製)、ケミパール M200(低分子量ポリエチレンディスパージョン、平均粒子径6μm) 、同W300(低密度ポリエチレンディスパージョン、平均粒子径3μm) 、同W900(低密度 PEディスパージョン、平均粒子径0.6μm)(以上三井化学(株)製)、エポスター S6(メラミン・ホルムアルデヒド縮合粒子、平均粒子径0.3~0.6μm)、同 S(メラミン・ホルムアルデヒド縮合粒子、平均粒子径0.1~0.3μm)、同 S12(メラミン・ホルムアルデヒド縮合粒子、平均粒子径1~2μm)、同 MS(ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合粒子、平均粒子径1~3μm)、同 M30(ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合粒子、平均粒子径2.5~4μm)(以上(株)日本触媒製)、ナイロン SP-500(ナイロン樹脂、平均粒子径5μm)((株)東レ製)、Orgasol2001- UD-NAT- 1(ナイロン樹脂、平均粒子径5μm)、同2001-EXD- NAT-1(ナイロン樹脂、平均粒子径10μm)、同3501-EXD- NAT- 1(ナイロン樹脂、平均粒子径10μm)(以上アルケマ(株)製)、MW-330(ナイロン樹脂、平均粒子径7μm)(住化エンバイロメンタルサイエンス(株)製)、FS-102(平均粒子径0.1μm、スチレン・アクリル樹脂)、FS-106(平均粒子径0.1μm、アクリル樹脂)、FS-107(平均粒子径0.1μm、アクリル樹脂)、FS-201(平均粒子径0.5μm、スチレン・アクリル樹脂)、FS-301(平均粒子径1.0μm、スチレン・アクリル樹脂)、FS-501(平均粒子径0.5μm、アクリル樹脂)、FS-701(平均粒子径0.1μm、フッ素系アクリル樹脂)、MG-351(平均粒子径1.0μm、スチレン・アクリル樹脂)(以上日本ペイント(株)製)等が挙げられる。
【0020】
また、前記有機樹脂粒子の含有量について、インキ組成物全量に対し、0.1~10.0質量%がより好ましい。これは、前記有機樹脂粒子の含有量が、0.1質量%未満だとインキ漏れを抑制しづらく、10.0質量%を越えると、凝集構造が強くなりやすく、書き味やドライアップ性能に影響が出やすいためである。さらに、より考慮すれば、0.1~5.0質量%が好ましく、最も好ましくは、0.3~3.0質量%が好ましい。」
2d「【0036】
次に実施例を示して本発明を説明する。
実施例1
顔料分散体(着色樹脂粒子:平均粒子径0.4μm、固形分量30%)20.0質量部
水 58.7質量部
有機樹脂粒子(エポスターS6、平均粒子径0.6μm) 1.0質量部
多価アルコール(グリセリン) 10.0質量部
デキストリン(重量平均分子量:100000) 1.0質量部
尿素 5.0質量部
pH調整剤(トリエタノールアミン) 2.0質量部
エチレンジアミン四酢酸(EDTA) 0.5質量部
潤滑剤(リン酸エステル系界面活性剤) 1.0質量部
防錆剤(ベンゾトリアゾール) 0.5質量部
剪断減粘性付与剤(サクシノグリカン) 0.3質量部
【0037】
顔料分散体、水、有機樹脂粒子、多価アルコール溶剤、デキストリン、尿素、pH調整剤、エチレンジアミン四酢酸、潤滑剤、防錆剤をマグネットホットスターラーで加温撹拌等してベースインキを作成した。
【0038】
その後、上記作製したベースインキを加温しながら、剪断減粘性付与剤を投入してホモジナイザー攪拌機を用いて均一な状態となるまで充分に混合攪拌して、実施例1の水性ボールペン用インキ組成物を得た。
尚、実施例1のインキ粘度は、ブルックフィールド社製DV-II粘度計( CPE-42ローター)を用いて20℃の環境下で、剪断速度1.92sec-1(回転数0.5rpm)の条件にてインキ粘度を測定したところ、1600mPa・sであった。
【0039】
実施例2~24
インキ配合を表に示すように変更した以外は、実施例1と同様な手順で実施例2~24の水性ボールペン用インキ組成物を得た。表に、インキ配合および評価結果を示す。
【表1】
[図:0001415255000002.jpg]
・・・
【0041】
試験および評価
実施例1~24及び比較例1~7で作製した水性ボールペン用インキ組成物を、インキ収容筒の先端にボール径が0.7mmのボールを回転自在に抱持したボールペンチップ(ボールペンチップのボールの、軸方向への移動量30μm)をチップホルダーに介して具備したインキ収容筒内(ポリプロピレン製)に充填したレフィル(1.0g)を(株)パイロットコーポレーション製のゲルインキボールペン(商品名:G-knock)に装着して、以下の試験および評価を行った。尚、耐摩耗試験(ボール座の摩耗抑制)、筆跡の濃さの評価は、筆記試験用紙としてJIS P3201 筆記用紙Aを用い、以下のような試験方法で評価を行った。
【0042】
インキ漏れ試験:40gの重りをゲルインキボールペンに付けて、ボールペンチップを突出させて下向きにし、ボールペンチップのボールの、ボールペン用陳列ケースの底部に当接させた状態を保ち、20℃、65%RHの環境下に1日放置し、ボールペンチップ先端からのインキ漏れ量を測定した。
インキ漏れ量が5mg未満であるもの ・・・◎
インキ漏れ量が5~15mgであるもの ・・・○
インキ漏れ量が15mgを越えて、30mg未満のもの ・・・△
インキ漏れ量が30mg以上のもの ・・・×
【0043】
耐摩耗試験:荷重100gf、筆記角度65°、4m/minの走行試験機にて筆記試
験後のボール座の摩耗を測定した。
ボール座の摩耗が10μm未満のもの ・・・◎
ボール座の摩耗が10~20μmのもの ・・・○
ボール座の摩耗が20~30μmを越えるもの ・・・△
ボール座の摩耗が30μmを越えるもの ・・・×
【0044】
筆跡の濃さ:手書きにより筆記した筆跡を観察した。
濃く鮮明な筆跡であるもの ・・・◎
濃い筆跡であるもの ・・・○
実用上問題ない濃さの筆跡であるもの ・・・△
薄い筆跡のもの ・・・×
【0045】
書き味:手書きによる官能試験を行い評価した。
非常に滑らかなもの ・・・◎
滑らかであるもの ・・・○
実用上問題ないレベルの滑らかさであるもの ・・・△
重いもの ・・・×」
(3)甲第3号証(以下、「甲3」という。)
3a「【請求項1】
着色剤と、フッ素系界面活性剤と、エラストマーと、溶媒と、を含んでなり、前記エラストマーが、スチレン-ブタジエンエラストマーまたはアクリル系エラストマーから1種以上選択されたことを特徴とする、筆記具用水性インキ組成物。」
3b「【0008】
本発明はこのような知見に基づくものであり、その目的は、非浸透性の記録媒体に対する筆記性、特には、重ね書き性が良好で、かつ、定着性、および耐擦性が優れるインキ組成物およびそれを用いた筆記具を提供することである。」
3c「【0048】
ポリオレフィン樹脂粒子の平均粒子径は、0.1~35μmであることが好ましい。ポリオレフィン樹脂粒子の平均粒子径が上記数値範囲内であれば、この水性インキ組成物をマーキングペンなどの筆記具に用いて筆記を行った場合に、形成される筆記線に対し、より高い滑性と、それに伴う高い耐擦性を付与することができる。また、着色剤に光輝性顔料粒子を用いた場合、高い耐擦性を付与しつつ、水性インキ組成物、およびその筆記線の光輝性も維持することができる。このような観点からは、ポリオレフィン樹脂粒子の平均粒子径は、0.1~20μmであることがより好ましく、0.5μm~10μmであることがさらに好ましく、0.5μm~5μmであることが特に好ましい。ポリオレフィン樹脂粒子の平均粒子径は、コールターカウンター法により測定することができる。」
3d「【0057】
(筆記具用水性インキ組成物)
本発明による水性インキ組成物の粘度は、20℃、剪断速度380sec-1、回転速度100rpmにおいて、1~50mPa・sであることが好ましく、3~30mPa・sであることがより好ましい。水性インキ組成物の粘度が上記数値範囲内であれば、マーキングペンなどの筆記具に使用した場合、ペン先の筆記先端部に、前記インキ組成物が供給到達されるまでの時間が短くなり、インキ吐出性を向上させることができる。特にフィルムなどの非浸透性の記録媒体に対する筆記性の向上を考慮すると、5~15mPa・sであることがより好ましい。なお、粘度の測定はE型回転粘度計(ブルックフィールド社製)を用いて行うことができる。
・・・
【0060】
水性インキ組成物の表面張力は、20℃環境下において、10~35mN/mが好ましい。これは、35mN/m以下であれば、筆記線の滲みや、紙への裏抜けを防ぐことができる傾向にあり、10mN/m以上であれば、非浸透性の記録媒体への筆記時に、かすれたり、色わかれしたりすることがなく、良好な筆記線が得られるとともに、筆記線の乾燥性を向上させることができる傾向にある。よりその傾向を考慮すれば、水性インキ組成物の表面張力は、22~33mN/mが好ましい。特に、本発明においては、アセチレン結合を構造中に有した界面活性剤とフッ素系界面活性剤を併用することで、水性インキ組成の表面張力の値を上記範囲に設定しやすいため、より好ましい。
なお、表面張力は、20℃環境下において、協和界面科学株式会社製の表面張力計測器を用い、白金プレートを用いて、垂直平板法によって測定して求められる。
【0061】
(水性インキ組成物の製造方法)
本発明の筆記具用水性インキ組成物は、従来知られている任意の方法により製造することができる。具体的には、前記各成分を必要量配合し、プロペラ攪拌、ホモディスパー、またはホモミキサーなどの各種攪拌機やビーズミルなどの各種分散機などにて混合し、製造することができる。
【0062】
(筆記具)
本発明の水性インキ組成物は、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップなどのペン芯またはボールペンチップなどをペン先としたマーキングペンやボールペン、金属製のペン先を用いた万年筆などの筆記具に用いることができる。その中でも、フィルムなど非浸透性の記録媒体に対する筆記性を良好にするには、ペン芯が繊維チップ、フェルトチップであることが好ましい。特には、マーキングペンに用いることが好ましい。また、前記ペン芯の気孔率は、50~80%とすることが好ましい。前記ペン芯の気孔率が上記数値範囲内であれば、シリカ被覆金属顔料粒子の目詰まりがなく、適切なインキ吐出量および筆記線の光輝性を維持することができる。
特に、前記ペン芯の気孔率を50~80%とし、水性インキ組成物に、アセチレン結合を構造中に有した界面活性剤、またはコハク酸系界面活性剤から、1種以上選択して用い、水性インキ組成物の粘度を、20℃、剪断速度380sec-1、回転速度100rpmにおいて、1~50mPa・sとした場合では、水性インキ組成物が、ペン先の筆記先端部へ供給到達されるまでの時間が短くなり、非浸透性の記録媒体に対する筆記性を向上させることができるため、好ましい。
【0063】
本発明の筆記具は、水性インキ組成物を直に充填する構成のものであってもよく、水性インキ組成物を充填することのできるインキ収容体またはインキ吸蔵体を備えるものであってもよい。
【0064】
本発明の筆記具は特に限定されず、ペン先を覆うキャップを備えたキャップ式筆記具であってもよく、ペン先を軸筒内に収容可能な出没式筆記具であってもよい。前記出没式筆記具のペン先の出没機構は、ノック式、回転式およびスライド式などが挙げられる。
・・・
【0067】
一実施形態において、筆記具は、ボールペンであり、インキ逆流防止体を備えてなることが好ましい。」
3e「【0068】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0069】
(実施例1)
下記原材料および配合量にて、25℃で20分間、攪拌機を用いて、混合、溶解することにより、筆記具用水性インキ組成物を得た。得られた水性インキ組成物の粘度をE型回転粘度計(DV-II+Pro、コーン型ローターCPE-42、ブルックフィールド社製)により測定した。具体的には、20℃、剪断速度380sec-1(回転速度100rpm)における粘度は8.58mPa・sであった。さらに、IM-40S型pHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて、20℃にて水性インキ組成物のpHを測定した結果、pHは8.0であった。
また、実施例1のシリカ被覆金属顔料粒子に対する、前記凝集コントロール剤の配合比が、質量基準で1.1倍であった。
また、得られた水性インキ組成物の表面張力を、表面張力計測器(20℃環境下、垂直平板法、協和界面科学株式会社製)により測定したところ、29.6mN/mであった。
・着色剤(光輝性顔料粒子) 12質量%
(シリカ被覆板状アルミニウム粒子、平均粒子径:7μm、アスペクト比:25、シリカ被覆量:14質量部、固形分:40%、東洋アルミ株式会社製、商品名:EMR-D6390)
・エラストマー 7.5質量%
(スチレン-ブタジエンエラストマー、固形分:46%、Tg:5℃、旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:L-1924)
・セルロース誘導体 1.75質量%
(カルボキシメチルセルロース、固形分:100%、エーテル化度:0.70~0.80、第一工業製薬株式会社製、商品名:セロゲン5A)
・ポリオレフィン樹脂粒子 1質量%
(低分子ポリエチレン、球状粒子、平均粒子径:1μm、固形分:40%、重量平均分子量:6000、三井化学株式会社製、商品名:ケミパールW401)
・水溶性アクリルポリマー 3質量%
(固形分:30%、富士色素株式会社製、商品名:A-29 NH3)
・界面活性剤 0.01質量%
(パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物フッ素系界面活性剤、有効成分:100%、HLB値:8.5、表面張力16.8mN/m、DIC社製)
・界面活性剤 0.5質量%
(アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業株式会社製、商品名:オルフィンEXP4200、有効成分75%)
・防菌剤 0.5質量%
ロンザジャパン株式会社製、商品名:プロキセルXL-2)
・消泡剤 0.005質量%
(東レ・ダウコーニング社、商品名:アンチフォーム013A、有効成分25%)
・水道水 73.735質量%
【0070】
(実施例2~18、比較例1~3)
実施例1に対して、配合する成分の種類や添加量を表1に示したとおりに変更して、実施例2~18、比較例1~3のインキ組成物を得た。これらの例で使用した材料の詳細は以下の通りである。
また、実施例11、15で得られた水性インキ組成物の粘度を、実施例1と同様にE型回転粘度計(DV-II+Pro、コーン型ローターCPE-42、ブルックフィールド社製)により測定した。
実施例11:剪断速度380sec-1(回転速度100rpm)における粘度は9.22mPa・sであり、剪断速度456sec-1(回転速度120rpm)における粘度は9.00mPa・sであった。これらの粘度から粘性指数は0.87と算出された。
実施例15:剪断速度380sec-1(回転速度100rpm)における粘度は8.13mPa・sであり、剪断速度456sec-1(回転速度120rpm)における粘度は7.95mPa・sであった。これらの粘度から粘性指数は0.88と算出された。
また、実施例9で得られた水性インキ組成物の表面張力を、実施例1と同様に、表面張力計測器(20℃環境下、垂直平板法、協和界面科学株式会社製)により測定したところ、16.1mN/mであった。
<着色剤(光輝性顔料粒子)>
Rotosafe Aqua 260 003 Silver(エカルト社製、固形分95 %、活性剤処理、平均粒子径:10μm)
<着色剤(補色顔料)>
SP4359(富士色素株式会社製、固形分:23%)
SP5658(富士色素株式会社製、固形分:23%)
<エラストマー>
ジョンクリルPDX-7341(BASFジャパン株式会社製、アクリル系エラストマー、Tg:15℃、固形分:49%)
<セルロース誘導体>
サンヘックL(株式会社三晶社製、ヒドロキシエチルセルロース、固形分100%)
<界面活性剤>
メガファックF410(DIC社製、パーフルオロアルキル基含有カルボン酸塩フッ素系界面活性剤、有効成分:100%、表面張力23.7mN/m)
エアロゾールOT-100 (サイテックインダストリージャパン社製、ジオクチル スルホコハク酸ナトリウム、有効成分:100%)
【0071】
<経時試験>
実施例1~18および比較例1~3の水性インキ組成物を、直径15mmの密開閉ガラス試験管に入れて、常温にて14日間放置した。その後、一度沈降した各ガラス試験管を上下に振とうして、水性インキ組成物の再分散状態を目視により観察した。下記基準に従って、凝集状態を評価した。得られた評価結果を表1~表3にまとめた。評価の基準は以下の通りとした。
A:振とうにより、容易に、顔料が再分散されたもの
B:振とうにより、顔料が再分散されたもの
C:振とうにより、時間をかけて、顔料が再分散されたもの
D:振とうしても、顔料が十分に再分散しないもの
【0072】
<ペン先の筆記先端部へのインキ到達性試験>
ペン先を具備したマーキングペンのインキ収容体に、実施例1~18、および比較例1~3で得られた水性インキ組成物を充填し、ペン先に水性インキ組成物を染み込ませたときの、ペン先先端までのインキ到達時間を下記、基準に従って、評価した。評価結果を表1~表3にまとめた。なお、ペン先には、気孔率65%の砲弾型ポリエステル繊維芯のペン芯を用いた。
A:ペン先の筆記先端部に、容易に、インキが到達したもの
B:ペン先の筆記先端部に、インキが到達したもの
C:ペン先の筆記先端部に、時間をかけて、インキが到達したもの
D:ペン先の筆記先端部に、インキが到達しなかったもの
【0073】
<重ね書き性試験>
市販の水性顔料マーキングペン(白色系インキのマーキングペン)を用いて、ポリプロピレン製シート上に筆記を行い、得られた筆記線の上から、ペン先の筆記先端部へのインキ到達性試験にて使用したマーキングペンにより、重ね書きを行い、得られた筆記線を目視により、下記基準に従って、評価した。評価結果を表1~表3にまとめた。
A:筆記線が、色が混じり合ったり、線縮みを起こしたりすることなどがなく、良好に重ね書きが可能なもの
B:筆記線が、若干、色が混じり合ったり、線縮みを起こしたりすることなどがあるが、実用上問題がないもの
C:筆記線が、色が混じり合ったり、線縮みを起こしたりすることなどがあるが、実用可能なもの
D:筆記線が、色が混じり合ったり、線縮みを起こしたりすることなどがあり、実用上懸念があるもの
【0074】
<筆記性試験>
ペン先の筆記先端部へのインキ到達性試験にて使用したマーキングペンにより、筆記試験用紙及びポリプロピレン製シート上に筆記を行い、それぞれの筆記線を目視により、下記基準に従って、評価した。評価結果を表1~表3にまとめた。なお、筆記試験用紙としてJISP3201筆記用紙Aを用いた。
A:筆記線が、かすれ、色薄、色わかれなく、良好なもの
B:筆記線が、若干、かすれ、色薄、色わかれがあるが、実用上問題がないもの
C:筆記線が、かすれ、色薄、色わかれがあるが、実用可能なもの
D:筆記線が、かすれ、色薄、色わかれ別れがあるが、実用上懸念があるもの
E:インキがペン先より出ず、筆記不可能なもの
【0075】
<耐擦性試験>
ペン先を具備したマーキングペンのインキ収容体に、実施例1~18、および比較例1~3でで得られた水性インキ組成物を充填し、ペン先に水性インキ組成物を染み込ませた。ペン先には、気孔率65%の砲弾型ポリエステル繊維芯のペン芯を用いた。このマーキングペンにより、筆記試験用紙及びポリプロピレン製シート上に筆記を行った。この筆記線を1日放置後、学振型摩擦堅牢度試験機(テスター産業社製)を用いて、荷重200g下・綿布にて50往復擦り、擦った後の筆記線を初期の筆記線と比べて、下記基準に従って、耐擦性を評価した。評価結果も表1~表3にまとめた。なお、筆記試験用紙としてJISP3201筆記用紙Aを用いた。
評価の基準は以下の通りとした。
A:筆記線の剥離がないもの
B:筆記線の剥離が若干あるものの実用上問題がないもの
C:筆記線の剥離があるが、実用可能なもの
D:筆記線の剥離があり、実用上懸念があるもの
E:筆記線の剥離が多く、実用上非常に懸念があるもの
【0076】
【表1】
[図:0001415255000003.jpg]
【表2】
[図:0001415255000004.jpg]
【表3】
[図:0001415255000005.jpg]
」
(4)甲第4号証(以下、「甲4」という。)
4a「【請求項1】
酸化セルロースを0.05~1.5質量%及び酸素吸収成分を少なくとも含有することを特徴とする筆記具用水性インク組成物。
【請求項2】
前記酸素吸収成分が、アスコルビン酸及びその誘導体、ポリフェノール類、構成単位として少なくともシステインを含むアミノ酸類及びその誘導体、コウジ酸、ビニルピロリドンのオリゴマー、亜硫酸塩から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の筆記具用水性インク組成物。」
4b「【0021】
本発明で用いる酸素吸収成分は、酸化セルロースを用いた場合のインクの経時的な粘度分布の不均一性(粘度の上下差)を抑制する成分となるものであり、インク組成物中の溶存酸素濃度を減じる効果を有する成分(物質)であれば、特に限定されず、各種の酸素吸収成分を用いることができる。なお、酸素吸収性能の測定にあたっては、市販されている溶存酸素測定器、例えば、DO402G(横河電機社製)を利用して、通常の手法に従い、酸素吸収成分添加前後におけるインク中の溶存酸素濃度を測定することで確認することができる。
好ましい酸素吸収成分としては、アスコルビン酸及びその誘導体、ポリフェノール類、構成単位として少なくともシステインを含むアミノ酸類及びその誘導体、コウジ酸、ビニルピロリドンのオリゴマー、亜硫酸塩から選ばれる少なくとも1種(各単独又は2種以上の混合物)が挙げられる。
【0022】
用いることができるアスコルビン酸としては、L体、D体、及びDL体のいずれであってもよいが、入手性等の点からL体が好ましい。
アスコルビン酸の誘導体としては、例えば、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸リン酸エステル、アスコルビン酸リン酸エステルのマグネシウム塩、アスコルビン酸硫酸エステル、アスコルビン酸硫酸エステル2ナトリウム塩、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸2-グルコシド、アスコルビル酸パルミチン酸エステル、テトライソパルミチン酸アスコルビル等;ステアリン酸アスコルビルエステル、テトライソパルミチン酸アスコルビルエステル、パルミチン酸アスコルビルエステル等のアスコルビン酸の脂肪酸エステル類等を挙げることができる。」
(5)甲第5号証(以下、「甲5」という。)
5a「【請求項1】
着色剤として染料と、アルミナの微粒子と、液媒体とを少なくとも含有してなるボールペン用インキ。
【請求項2】
前記ボールペン用インキが、更にハイドロキノンスルホン酸カリウム又はL-アスコルビン酸ナトリウムを含有する請求項1に記載のボールペン用インキ。」
5b「【0021】
実施例3
ウォーターピンク#2(C.I.ACID RED92、オリエント化学工業(株)製)
5.0重量部
ウォーターイエロー#6 1.0重量部
エチレングリコール 23.0重量部
グリセリン 5.0重量部
サルコシネートOH 1.0重量部
水酸化ナトリウム 0.1重量部
ベンゾトリアゾール 0.5重量部
L-アスコルビン酸ナトリウム(溶存酸素除去剤) 0.1重量部
カルボキシメチルヒドロキシプロピル化ガーガム(増粘剤) 0.3重量部
プロクセルXL-2 0.2重量部
イオン交換水 61.8重量部
アルミナ(平均粒径0.5μm) 2.0重量部
上記各成分を1時間撹拌混合してインキを得た。」
(6)甲第6号証(以下、「甲6」という。)
6a「【請求項1】
必須成分として着色剤、水、水溶性高分子、水溶性有機溶剤と、L-アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、エリソルビン酸及び/又はそれらの塩から選ばれるいずれか1種、もしくは2種以上を配合してなるインキであって、20℃における前記インキの粘度がBLアダプターを用いたB型回転粘度計による測定で5~20mPa・sであることを特徴とするボールペン用水性インキ組成物。」
6b「【0006】
本発明は垂れ下り防止効果とキャップオフ効果を共に備えた、筆記性能に優れたボールペン用水性インキ組成物を提供できる。また、本発明で用いられるL-アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、エリソルビン酸及び/又はそれらの塩は液体中の酸素を吸収する特性も有しているため、酸化によるインキの劣化や気泡の発生による筆記不良現象をも防止することができる。
更には前記ボールペン用インキ組成物を内蔵した、筆記性能、保存性能に優れたボールペンを提供することもできる。」
(7)甲第7号証(以下、「甲7」という。)
7a「【請求項1】
少なくとも着色剤と、発酵セルロースと、下記A群~C群から選ばれる少なくとも1種と、水とを含有してなることを特徴とするボールペン用水性インク組成物。
A群:アスコルビン酸又はその誘導体
B群:システイン又はその誘導体
C群:重合度2~20のN-ビニル-2-ピロリドンのオリゴマー」
7b「【0019】
本発明に用いるA群のアスコルビン酸及びその誘導体、B群のシステイン又はその誘導体、C群の重合度2~20のN-ビニル-2-ピロリドンのオリゴマーから選ばれる少なくとも1種は、気泡抑制剤として用いるものである。
用いることができるアスコルビン酸及びその誘導体としては、例えば、L-アスコルビン酸、及びその塩、L-アスコルビン酸ナトリウム、L-アスコルビン酸のリン酸アスコルビン酸ナトリウム、リン酸アスコルビン酸マグネシウム、L-アスコルビン酸2-グルコシド、L-アスコルビン酸-2リン酸-6パルミチン酸などが挙げられる。」
(8)甲第8号証(以下、「甲8」という。)
8a「【請求項1】
少なくとも水、水溶性溶剤、金属顔料からなる筆記具用水性インキ組成物であって、前記金属顔料は金属粉をケイ酸塩で被覆した金属顔料であることを特徴とする筆記具用水性インキ組成物。
【請求項2】
前記ケイ酸塩の被覆量は前記金属粉全量に対して0.1~30質量%であることを特徴とする請求項1に記載の筆記具用水性インキ組成物。
【請求項3】
前記筆記具用水性インキ組成物に、ヒドロキシルアミン類、アスコルビン酸類、エリソルビン酸類の中から1種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の筆記具用水性インキ組成物。」
8b「【0025】
本発明のように金属顔料を用いる場合は、金属顔料中の金属粉の形状は、鱗片形状、角形状のものが多く、インキ製造時に巻き込こんだ気泡が抜けにくい傾向があるため、気泡吸収剤を用いる方が好ましい。気泡吸収剤としては、ヒドロキシルアミン類、アスコルビン酸類、エリソルビン酸類が挙げられる。これらの気泡吸収剤は還元性を示す化合物であり、インキ中の酸素を吸収することで、気泡吸収効果を奏する。また、ヒドロキシルアミン類、アスコルビン酸類、エリソルビン酸類については、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミンの誘導体、アスコルビン酸、アスコルビン酸の誘導体、エリソルビン酸、エリソルビン酸の誘導体や、それらの塩などが挙げられる。」
(9)甲第9号証(以下、「甲9」という。)
9a「【請求項1】
顔料、アスコルビン酸類及びHLBが17以上のノニオン系界面活性剤を含有することを特徴とする筆記具用インク組成物。」
9b「【0017】
本発明は上述のように構成されているので、筆記具用インク組成物において脱気泡剤としてアスコルビン酸類を添加した場合であっても、アスコルビン酸類によるインク顔料の分散への悪影響を排除し、インク組成物の経時安定性を確保することが可能となっている。」
(10)甲第10号証(以下、「甲10」という。)
10a「【請求項1】
直径が0.3mm未満のボールを筆記部材としたボールペンチップと、顔料と水を主とする液媒体とHLBの値が8.0以上18.0以下であって分岐構造を有する非イオン界面活性剤とを含有すると共に、剪断速度38.4s-1の粘度(25℃)が30mPa・s以上550mPa・s以下、剪断速度384s-1の粘度(25℃)が20mPa・s以上180mPa・s以下である水性インキとを備えるボールペン。
・・・
【請求項3】
前記水性インキの表面張力が20~45mN/mである請求項1又は請求項2に記載のボールペン」
10b「【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では優れた筆記感が向上したり、加衝撃時のカスレが生じないかもしれないが、インキ追従性に関してはボールペンとしての最低限のレ
ベルを達成しているのみで、ボールとボールホルダーの間(所謂受け座)の潤滑性は考慮していないため、受座摩耗によりインキ流通路が塞がれ、筆記途中にカスレたり、最悪の場合インキを使い切らないうちに、筆記できなくなってしまうことがあった。
また、表面張力が34mN/m以下で、液媒体にポリグリセリン等のアルキレンオキサイド付加物を用いると、表面張力が低いことと液媒体の浸透力が高いことで、インキの筆記線の滲みやペン先よりのインキ滲み出しを十分には抑制できず、超極細ボールを用いても、ペン先からのインキの滲み出し量が多くなり、筆記線がボール径に見合わないほど太くなったり、筆記線の滲み(紙面の繊維の横方向にインキが走ってしまう)現象がおこったりする。」
(11)甲第11号証(以下、「甲11」という。)
11a「【請求項1】
剪断速度38.4sec-1の粘度(25℃)が30~550mPa・s、剪断速度384sec-1の粘度(25℃)が20~180mPa・sであり、かつ、表面張力が34mN/m以下の擬塑性水性インキと、ボール径0.29mm以下のボールペンチップとから形成されていることを特徴とする水性ボールペン。」
11b「【0010】
本発明によれば、ボール径0.29mm以下のチップを搭載した水性ボールペンにおいても、優れた筆記感、インキ流出性及び速書追従性を有すると共に、加衝撃時にもカスレ、並びにインキのボタ落ちもない優れた筆記性能を有する水性ボールペンが提供される。」
(12)甲第12号証(以下、「甲12」という。)
12a「【請求項1】
少なくとも水、着色剤、リン酸エステル系界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸塩を含有してなる水性ボールペン用インキ組成物であって、前記ジアルキルスルホコハク酸塩を、インキ組成物全質量に対し、0.01~5.00質量%含有し、20℃、剪断速度384.0sec-1におけるインキ粘度が、1~40mPa・sであることを特徴とする水性ボールペン用インキ組成物。
・・・
【請求項4】
前記水性ボールペン用インキ組成物の20℃における表面張力が、20mN/m~30mN/mであることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の水性ボールペン用インキ組成物。」
12b「【0007】
本発明の目的は、紙面および非浸透面に筆記可能で、書き味、非浸透面への濡れ性、紙面への浸透性が良好である水性ボールペン用インキ組成物を提供することである。」
(13)甲第13号証(以下、「甲13」という。)
13a「【請求項1】
水と、光輝性顔料と、着色顔料と、ナイロンと、リン酸エステル系界面活性剤とを少なくとも含む水性インキ組成物であって、水性インキ組成物の総質量を基準として、ナイロンの含有量をXとし、光輝性顔料の含有量と着色顔料の含有量との和をYとした場合に、Y/Xが、0.3≦Y/X≦150の範囲内である、筆記具用水性インキ組成物。」
13b「【0006】
本発明は、上記従来技術の欠点を鑑みて成されたものである。即ち、光輝性顔料を含みながらもインキ吐出性を良好として、優れた筆記感を奏しつつ良好な光輝性および発色性を奏する筆跡を形成可能とし、白紙のみならず筆跡の発色を視認しにくい黒紙に筆記した場合であっても、筆跡の発色性を良好とすることが可能な筆記具用水性インキ組成物と、それを用いた筆記具を提供することを目的とする。」
13c「【0039】
(筆記具用水性インキ組成物)
本発明による水性インキ組成物の20℃における粘度は、回転数が100rpm(剪断速度380sec-1)の条件で測定した場合、1~300mPa・sであることが好ましく、2~150mPa・sであることがより好ましい。さらに好ましくは5~100mPa・sである。また、回転数が10rpm(剪断速度38sec-1)の条件で測定した場合、1~1000mPa・sであることが好ましく、5~500mPa・sであることがより好ましい。さらに好ましくは、10~300mP・sである。回転数が1rpm(剪断速度3.8sec-1)においては、1~5000mPa・sであることが好ましく、10~3000mPa・sであることがより好ましい。さらに好ましくは、20~1500mP・sである。
水性インキ組成物の粘度が上記数値範囲内であれば、筆記先端からのインキ吐出性を良好とし、筆記感と着色顔料の発色性に優れた筆跡を形成すること、および顔料の分散安定性に優れるインキ組成物とすることが容易となる。
なお、組成物の粘度の測定はE型回転粘度計(DV-II+Pro、ローター:CPE-40、ブルックフィールド社製)を用いて行うことができる。
【0040】
水性インキ組成物の表面張力は、20℃環境下において、10~45mN/mが好ましい。表面張力が上記数値範囲内であれば、筆記線の滲みや、紙への裏抜けを防ぐことを容易とすることができる傾向にあると共に、筆跡カスレ・中抜けなどを良好として、筆記性を向上させることができる。筆記性をより考慮すれば、水性インキ組成物の表面張力は、15~40mN/mが好ましい。
なお、表面張力は、20℃環境下において、協和界面科学株式会社製の表面張力計測器を用い、白金プレートを用いて、垂直平板法によって測定して求められる。」
(14)甲第14号証(以下、「甲14」という。)
14a「[請求項1] (a)電子供与性呈色性有機化合物と、(b)電子受容性化合物と、(c)前記(a)成分および(b)成分の呈色反応の生起温度を決める反応媒体とを含んでなる可逆熱変色性組成物が、有機樹脂からなるマイクロカプセルに内包された可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、
重合度が2~20であるN-ビニル-2-ピロリドン重合体と、
グリセリンと、
水と、
を含んでなる可逆熱変色性水性インキ組成物であって、
前記インキ組成物の総質量に対する、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料、前記N-ビニル-2-ピロリドン重合体、および前記グリセリンの含有率(質量%)をPMC、PPVP、およびPGとするとき、
0.3≦PMC/(PPVP+PG)≦4、かつ
0.2≦PPVP/PG≦5
である、可逆熱変色性水性インキ組成物。」
14b「[0009]
本発明によれば、筆記性、特にペン先が乾燥した場合であっても書き出し時のかすれが少ない、可逆熱変色性インキ組成物が提供される。さらにこのインキ組成物は、有機着色剤粒子の凝集、組成物の粘度上昇、筆跡濃度の低下などを抑制する効果にも優れている。」
14c「[0109]
例えば、本発明によるインキ組成物がボールペンに用いられる場合、その粘度は、20℃、回転数3.84sec-1の条件で測定した場合、1~2000mPa・sであることが好ましい。マイクロカプセル顔料の沈降、凝集を抑制することを考慮すれば、粘度は、300~1500mPa・sであることがより好ましく、500~1000mPa・sであることが特に好ましい。また、20℃、回転数384sec-1の条件で測定した場合は、1~200mPa・sであることが好ましく、ペン先からのインキ吐出性を良好とすることを考慮すれば、10~100mPa・sであることがより好ましく、20~50mPa・sであることが特に好ましい。このような範囲を有することにより、分散安定性やボールペンの機構内における組成物の易流動性を高いレベルで維持することができる。
なお、インキ粘度は、ブルックフィールド社製DV-II粘度計(コーンローター CPE42)を用いて20℃の環境下で、剪断速度3.84sec-1(1rpm)、剪断速度384sec-1(100rpm)の条件にてインキ粘度を測定することができる。
[0110]
また、本発明によるインキ組成物がボールペンに用いられる場合、その表面張力は、20℃環境下において、20~50mN/mであることが好ましく、25~45mN/mであることがより好ましい。表面張力が上記数値範囲内であれば、インキ組成物を紙面へ塗布した際、インキ組成物の塗布面への濡れ性を向上させることができるとともに、滲みや、塗布面への裏抜けを防ぐことができる傾向にある。」
(15)甲第15号証(以下、「甲15」という。)
15a「【請求項1】 ボールが収納されたボールペンチップの後端側にインキ収納部が装着され、該インキ収納部内に水性インキが充填されたボールペンにおいて、ボールペンチップのボールハウス内径がボール径の101.6%以上103.6%以下の範囲であることを特徴とするボールペン。」
15b「【0009】
【考案が解決しようとする課題】
ところで従来技術の水性ボールペンでは、上記した様にボールペンチップの細穴からインク収納部にかけて中綿が配されていたが、この様に中綿が配されたボールペンではインクの残量を目視することができない問題がある。
そのため近年では、インクを改良することによって中綿を省略し、直接細穴を介してボールハウスと、インク収納部を連通させる構成が採用されている。
しかしながら、上記したような中綿が無い構成のボールペンでは、インキ流出量の調整が困難であるという問題があった。即ち従来技術のボールペンは、製造ロットによってインキ流出量のばらつきが大きいと言う問題があった。
15c「【0027】
このようにボールハウスの内径Dを、ボール15の直径dの101.6%以上103.6%以下に設定することによって、ボール15とボールペンチップ2の周面24の間に0.005~0.011mm程度の僅少な隙間25が形成される。
この隙間25は、ボール15が円滑に行われるのに充分であり、且つボール15をしっかりと保持してがたつきを防止することができる範囲のものである。さらに加えて隙間25を上記した範囲とすることにより、インキの流出量か安定し、書き味も良好となる。」
(16)甲第16号証(以下、「甲16」という。)
16a「【請求項1】 ボールと、このボールを保持するためのホルダーとを備え、
前記ホルダーは、その一方側の端部近辺に設けられ、かつ、ボールを収納可能に形成されているボールハウスと、その反ボールハウス側の端部からボールハウスまで貫通するインク誘導孔と、そのボールハウス側の開放端部に設けられ、かつ、ボールの直径よりも内径を小さく形成されているカシメ部とを有し、
前記ボールハウスは、ボールの直径よりも内径が大きい円筒状の側面部と、この側面部よりもインク誘導孔側に設けられ、かつ、側面部側からインク誘導孔側へ向けて内径を次第に小さくする円錐状に形成されている底面部とを有するボールペンチップであって、
前記ホルダーのボールハウス側の開放端部に、ボールハウスの側面部よりも内径が小さく、かつ、ボールの直径よりも内径が大きい円筒状の縮径部を設けるとともに、前記カシメ部をこの縮径部の反ボールハウス側の開放端部に設けたことを特徴とするボールペンチップ。
【請求項2】 ボールの直径をφA、ボールハウスの側面部の内径をφB、としたときに、
φA+0.02mm≦φB≦φA+0.05mm
を満たすように形成したことを特徴とする請求項1記載のボールペンチップ。」
16b「【0035】すなわち、本発明に係るボールペンチップ(10)は、ボールハウス(40)の側面部(41)の内径を、ボール(30)の直径+0.02mm以上、ボール(30)の直径+0.05mm以下の範囲内に設定されている。そして、これにより、ボール(30)へのインクの供給量を十分に増加させて、高速筆記時における描線の安定性をより一層向上させているのである。」
16b「【0019】
【発明が解決しようとする課題】(請求項1)そこで、本発明のうち請求項1記載の発明は、ホルダーのボールハウス側の開放端部に、ボールハウスの側面部よりも内径が小さく、かつ、ボールの直径よりも内径が大きい円筒状の縮径部を設けるとともに、この縮径部の反ボールハウス側の開放端部に、ボールの直径よりも内径が小さいカシメ部を設けることにより、ボールハウス内に保持するインクの量を増やし、これにより、高速で筆記しても描線がかすれたり途切れたりしにくくし、また、ボールハウスからボールが飛び出しにくくし、しかも、書き味が損なわれないようにしたボールペンチップを提供することを目的とする。」
(17)甲第17号証(以下、「甲17」という。)
17a「【0039】
また、ポリオレフィン型水系エマルジョンとしては、市販されているものを利用するこ
とも可能であり、その具体例として、「ケミパール(登録商標)W401」(ポリプロピレン型水系エマルジョン、粒径1μm、環球法軟化点110℃、針入度硬度4、固形分40%、三井化学社製)、「ケミパール(登録商標)W500」(ポリプロピレン型水系エマルジョン、粒径2.5μm、環球法軟化点113℃、針入度硬度10、固形分40%、三井化学社製)などのケミパール(登録商標)シリーズを好ましく用いることができる。」
(18)甲第20号証(以下、「甲20」という。)
20a「
[図:0001415255000006.jpg]
・・・
[図:0001415255000007.jpg]
」
(19)甲第21号証(以下、「甲21という。)
21a「
[図:0001415255000008.jpg]
・・・
[図:0001415255000009.jpg]
」
(20)甲第22号証(以下、「甲22」という。)
22a「2.2.2 電気的検知帯法
測定装置は(株)日科機製コールターカウンターMODEL ZBを使用した。アパーチャ・チューブはアパーチヤ径が100μm,560μmの2種類を使用した。・・・
2.2.3 レーザー回折法
レーザー回折式粒径分布測定器は,(株)セイシン企業製レーザー回折・散乱式粒度分布測定器LMS-24を使用した。光源は半導体レーザー(波長670nm,最大出力5mW)であり,0.1~700μmの範囲を測定することが可能である。」(第23ページ左欄第2~21行)
22b「
[図:0001415255000010.jpg]
」(第23ページ右欄)
(21)甲第24号証(以下、「甲24」という。)
24a「
[図:0001415255000011.jpg]
[図:0001415255000012.jpg]
[図:0001415255000013.jpg]
」
(22)甲第38号証(以下、「甲38」という。)
38a「
[図:0001415255000014.jpg]
[図:0001415255000015.jpg]
[図:0001415255000016.jpg]
[図:0001415255000017.jpg]
」
(23)甲第39号証(以下、「甲39」という。)
39a「
[図:0001415255000018.jpg]
[図:0001415255000019.jpg]
」
(24)甲第39号証の2(以下、「甲39の2」という。)
39b「
[図:0001415255000020.jpg]
」
(25)甲第40号証(以下、「甲40」という。)
40a「
[図:0001415255000021.jpg]
」
(26)甲第40号証の2「以下、「甲40の2」という。」
40b「
[図:0001415255000022.jpg]
・・・
[図:0001415255000023.jpg]
[図:0001415255000024.jpg]
」
(27)甲第41号証(以下、「甲41」という。)
41a「
[図:0001415255000025.jpg]
」
(28)甲第42号証(以下、「甲42」という。)
42a「
[図:0001415255000026.jpg]
[図:0001415255000027.jpg]
」
(29)甲第43号証(以下、「甲43」という。)
43a「
[図:0001415255000028.jpg]
」
(30)甲第46号証(以下、「甲46」という。)
46a「
[図:0001415255000029.jpg]
[図:0001415255000030.jpg]
[図:0001415255000031.jpg]
[図:0001415255000032.jpg]
」(第23ページ左欄下から第3行~第24ページ左欄第5行)
(31)甲第46号証の2
46b「
[図:0001415255000033.jpg]
[図:0001415255000034.jpg]
」
(32)甲第47号証(以下、「甲47」という。)
47a「
[図:0001415255000035.jpg]
」
(33)甲第48号証(以下、「甲48」という。)
48a「
[図:0001415255000036.jpg]
」
3 甲号証に記載された発明
(1)甲1に記載された発明
ア 甲1発明B1
甲1には実施例1として「顔料粒子(着色樹脂粒子:平均粒子径0.4μm、固形分量34%、日本蛍光化学(株)、NKW6004E)20.0質量部、水59.2質量部、オレフィン樹脂粒子(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、pH値9、固形分40%、三井化学(株)製、ケミパールM200)0.5質量部、多価アルコール(グリセリン)10.0質量部、デキストリン(重量平均分子量:100000、三井澱粉工業(株)製、サンデックシリーズ)1.0質量部、尿素5.0質量部、pH調整剤(トリエタノールアミン)2.0質量部、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)0.5質量部、潤滑剤(リン酸エステル系界面活性剤(ラウリルアルコール系)、第一工業製薬(株)、プライサーフシリーズ)1.0質量部、防錆剤(ベンゾトリアゾール)0.5質量部及び剪断減粘性付与剤(サクシノグリカン、三晶(株))0.3質量部からなる水性ボールペン用インキ組成物をインキ収容筒内に充填したレフィルを装着したゲルインキボールペン。」の発明が記載されているといえる(摘記1d参照)。
イ 甲1発明B2
甲1には実施例2として「顔料粒子(着色樹脂粒子:平均粒子径0.4μm、固形分量34%、日本蛍光化学(株)、NKW6004E)20.0質量部、水58.7質量部、オレフィン樹脂粒子(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、pH値9、固形分40%、三井化学(株)製、ケミパールM200)1.0質量部、多価アルコール(グリセリン)10.0質量部、デキストリン(重量平均分子量:100000、三井澱粉工業(株)製、サンデックシリーズ)1.0質量部、尿素5.0質量部、pH調整剤(トリエタノールアミン)2.0質量部、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)0.5質量部、潤滑剤(リン酸エステル系界面活性剤(ドデシルアルコール系))、第一工業製薬(株)、プライサーフシリーズ)2.0質量部、防錆剤(ベンゾトリアゾール)0.5質量部及び剪断減粘性付与剤(サクシノグリカン、三晶(株))0.3質量部からなる水性ボールペン用インキ組成物をインキ収容筒内)に充填したレフィルを装着したゲルインキボールペン。」の発明が記載されているといえる(摘記1d参照)。
ウ 甲1発明B3
甲1には実施例3として「顔料粒子(着色樹脂粒子:平均粒子径0.4μm、固形分量45%、日本蛍光化学(株)、NKW2309G)20.0質量部、水53.4質量部、オレフィン樹脂粒子(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、pH値9、固形分40%、三井化学(株)製、ケミパールM200)5.0質量部、多価アルコール(グリセリン)10.0質量部、デキストリン(重量平均分子量:100000、三井澱粉工業(株)製、サンデックシリーズ)1.0質量部、尿素5.0質量部、pH調整剤(トリエタノールアミン)2.0質量部、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)0.5質量部、潤滑剤(リン酸エステル系界面活性剤(ラウリルアルコール系)、第一工業製薬(株)、プライサーフシリーズ)1.0質量部、フッ素系界面活性剤(パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、DIC(株)、メガファック)0.3質量部、防錆剤(ベンゾトリアゾール)0.5質量部及び剪断減粘性付与剤(サクシノグリカン、三晶(株))0.3質量部からなる水性ボールペン用インキ組成物をインキ収容筒内に充填したレフィルを装着したゲルインキボールペン。」の発明が記載されているといえる(摘記1d参照)。
エ 甲1発明B4
甲1には実施例4として「顔料粒子(着色樹脂粒子:平均粒子径0.4μm、固形分量45%)20.0質量部、水59.4質量部、オレフィン樹脂粒子(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、pH値9、固形分40%、三井化学(株)製、ケミパールM200)0.3質量部、多価アルコール(グリセリン)10.0質量部、デキストリン(重量平均分子量:100000、三井澱粉工業(株)製、サンデックシリーズ)1.0質量部、尿素5.0質量部、pH調整剤(トリエタノールアミン)2.0質量部、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)0.5質量部、潤滑剤(リン酸エステル系界面活性剤(ラウリルアルコール系)、第一工業製薬(株)、プライサーフシリーズ)1.0質量部、防錆剤(ベンゾトリアゾール)0.5質量部及び剪断減粘性付与剤(サクシノグリカン、三晶(株))0.3質量部からなる水性ボールペン用インキ組成物をインキ収容筒内に充填したレフィルを装着したゲルインキボールペン。」の発明が記載されているといえる(摘記1d参照)。
オ 甲1発明B5
甲1には実施例5として「顔料粒子(着色樹脂粒子:平均粒子径0.4μm、固形分量34%、日本蛍光化学(株)、NKW6004E)20.0質量部、水59.2質量部、オレフィン樹脂粒子(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、pH値9、固形分40%、三井化学(株)製、ケミパールM200)0.5質量部、多価アルコール(グリセリン)10.0質量部、デキストリン(重量平均分子量:100000、三井澱粉工業(株)製、サンデックシリーズ)1.0質量部、尿素5.0質量部、pH調整剤(トリエタノールアミン)2.0質量部、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)0.5質量部、潤滑剤(リン酸エステル系界面活性剤(ラウリルアルコール系)、第一工業製薬(株)、プライサーフシリーズ)1.0質量部、防錆剤(ベンゾトリアゾール)0.5質量部及び剪断減粘性付与剤(サクシノグリカン、三晶(株))0.3質量部からなる水性ボールペン用インキ組成物をインキ収容筒内に充填したレフィルを装着したゲルインキボールペン。」の発明が記載されているといえる(摘記1d参照)。
カ 甲1発明B6
甲1には実施例6として「顔料粒子(着色樹脂粒子:平均粒子径0.4μm、固形分量34%、日本蛍光化学(株)、NKW6004E)20.0質量部、水59.0質量部、オレフィン樹脂粒子(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、pH値9、固形分40%、三井化学(株)製、ケミパールM200)0.5質量部、多価アルコール(グリセリン)10.0質量部、デキストリン(重量平均分子量:100000、三井澱粉工業(株)製、サンデックシリーズ)1.0質量部、尿素5.0質量部、pH調整剤(トリエタノールアミン)2.0質量部、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)0.5質量部、潤滑剤(リン酸エステル系界面活性剤(ラウリルアルコール系)、第一工業製薬(株)、プライサーフシリーズ)1.0質量部、フッ素系界面活性剤(パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、DIC(株)、メガファック)0.3質量部、防錆剤(ベンゾトリアゾール)0.5質量部及び剪断減粘性付与剤(サクシノグリカン、三晶(株))0.3質量部からなる水性ボールペン用インキ組成物をインキ収容筒内に充填したレフィルを装着したゲルインキボールペン。」の発明が記載されているといえる(摘記1d参照)。
キ 甲1発明B7
甲1には実施例7として「顔料粒子(着色樹脂粒子:平均粒子径0.4μm、固形分量34%、日本蛍光化学(株)、NKW6004E)20.0質量部、水58.2質量部、オレフィン樹脂粒子(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、pH値9、固形分40%、三井化学(株)製、ケミパールM200)0.5質量部、多価アルコール(グリセリン)10.0質量部、デキストリン(重量平均分子量:100000、三井澱粉工業(株)製、サンデックシリーズ)1.0質量部、尿素5.0質量部、pH調整剤(トリエタノールアミン)2.0質量部、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)0.5質量部、潤滑剤(リン酸エステル系界面活性剤(ラウリルアルコール系)、第一工業製薬(株)、プライサーフシリーズ)1.0質量部、潤滑剤(リン酸エステル系界面活性剤(スチレン化フェノール系))、第一工業製薬(株)、プライサーフシリーズ)1.0質量部、防錆剤(ベンゾトリアゾール)0.5質量部及び剪断減粘性付与剤(サクシノグリカン、三晶(株))0.3質量部からなる水性ボールペン用インキ組成物をインキ収容筒内に充填したレフィルを装着したゲルインキボールペン。」の発明が記載されているといえる(摘記1d参照)。
(2)甲2に記載された発明
ア 甲2発明B
甲2には実施例5として「顔料粒子(着色樹脂粒子:平均粒子径0.4μm、固形分量34%、日本蛍光化学(株)、NKW6004E)20.0質量部、水58.7質量部、有機樹脂粒子(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、三井化学(株)製 ケミパールM200)1.0質量部、多価アルコール(グリセリン)10.0質量部、デキストリン(重量平均分子量:100000、三井澱粉工業(株)製、サンデックシリーズ)1.0質量部、尿素5.0質量部、pH調整剤(トリエタノールアミン)2.0質量部、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)0.5質量部、潤滑剤(リン酸エステル系界面活性剤(ラウリルアルコール系)、第一工業製薬(株)、プライサーフA213B)1.0質量部、防錆剤(ベンゾトリアゾール)0.5質量部及び剪断減粘性付与剤(サクシノグリカン、三晶(株))0.3質量部からなる水性ボールペン用インキ組成物をインキ収容筒内に充填したレフィルを装着したゲルインキボールペン。」の発明が記載されているといえる(摘記2d参照)。
(3)甲3に記載された発明
ア 甲3発明B1
甲3には実施例1として「着色剤(光輝性顔料粒子)(シリカ被覆板状アルミニウム粒子、平均粒子径:7μm、アスペクト比:25、シリカ被覆量:14質量部、固形分:40%、東洋アルミ株式会社製、商品名:EMR-D6390)12質量%、ポリオレフィン樹脂粒子(低分子ポリエチレン、球状粒子、平均粒子径:1μm、固形分:40%、重量平均分子量:6000、三井化学株式会社製、商品名:ケミパールW401)1質量%、エラストマー(スチレン-ブタジエンエラストマー、固形分:46%、Tg:5℃、旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:L-1924)7.5質量%、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、固形分:100%、エーテル化度:0.70~0.80、第一工業製薬株式会社製、商品名:セロゲン5A)1.75質量%、水溶性アクリルポリマー(固形分:30%、富士色素株式会社製、商品名:A-29 NH3)3質量%、界面活性剤(アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業株式会社製、商品名:オルフィンEXP4200、有効成分75%)0.5質量%、界面活性剤(パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物フッ素系界面活性剤、有効成分:100%、HLB値:8.5、表面張力16.8mN/m、DIC社製)0.01質量%、防菌剤(ロンザジャパン株式会社製、商品名:プロキセルXL-2)0.5質量%、消泡剤(東レ・ダウコーニング社、商品名:アンチフォーム013A、有効成分25%)0.005質量%及び水道水73.735質量%からなる筆記具用水性インキ組成物をインキ収容体に充填したマーキングペン。」の発明が記載されているといえる(摘記3e参照)。
イ 甲3発明B2
甲3には実施例2として「着色剤(光輝性顔料粒子)(シリカ被覆板状アルミニウム粒子、平均粒子径:7μm、アスペクト比:25、シリカ被覆量:14質量部、固形分:40%、東洋アルミ株式会社製、商品名:EMR-D6390)12質量%、ポリオレフィン樹脂粒子(低分子ポリエチレン、球状粒子、平均粒子径:1μm、固形分:40%、重量平均分子量:6000、三井化学株式会社製、商品名:ケミパールW401)1質量%、エラストマー(スチレン-ブタジエンエラストマー、固形分:46%、Tg:5℃、旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:L-1924)7.5質量%、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、固形分:100%、エーテル化度:0.70~0.80、第一工業製薬株式会社製、商品名:セロゲン5A)1.75質量%、水溶性アクリルポリマー(固形分:30%、富士色素株式会社製、商品名:A-29 NH3)3質量%、界面活性剤(アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業株式会社製、商品名:オルフィンEXP4200、有効成分75%)0.5質量%、界面活性剤(パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物フッ素系界面活性剤、有効成分:100%、HLB値:8.5、表面張力16.8mN/m、DIC社製)0.05質量%、防菌剤(ロンザジャパン株式会社製、商品名:プロキセルXL-2)0.5質量%、消泡剤(東レ・ダウコーニング社、商品名:アンチフォーム013A、有効成分25%)0.005質量%及び水道水73.695質量%からなる筆記具用水性インキ組成物をインキ収容体に充填したマーキングペン。」の発明が記載されているといえる(摘記3e参照)。
ウ 甲3発明B3
甲3には実施例3として「着色剤(光輝性顔料粒子)(シリカ被覆板状アルミニウム粒子、平均粒子径:7μm、アスペクト比:25、シリカ被覆量:14質量部、固形分:40%、東洋アルミ株式会社製、商品名:EMR-D6390)12質量%、ポリオレフィン樹脂粒子(低分子ポリエチレン、球状粒子、平均粒子径:1μm、固形分:40%、重量平均分子量:6000、三井化学株式会社製、商品名:ケミパールW401)1質量%、エラストマー(スチレン-ブタジエンエラストマー、固形分:46%、Tg:5℃、旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:L-1924)7.5質量%、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、固形分:100%、エーテル化度:0.70~0.80、第一工業製薬株式会社製、商品名:セロゲン5A)1.75質量%、水溶性アクリルポリマー(固形分:30%、富士色素株式会社製、商品名:A-29 NH3)3質量%、界面活性剤(アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業株式会社製、商品名:オルフィンEXP4200、有効成分75%)1.0質量%、界面活性剤(パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物フッ素系界面活性剤、有効成分:100%、HLB値:8.5、表面張力16.8mN/m、DIC社製)0.01質量%、防菌剤(ロンザジャパン株式会社製、商品名:プロキセルXL-2)0.5質量%、消泡剤(東レ・ダウコーニング社、商品名:アンチフォーム013A、有効成分25%)0.005質量%及び水道水73.235質量%からなる筆記具用水性インキ組成物をインキ収容体に充填したマーキングペン。」の発明が記載されているといえる(摘記3e参照)。
エ 甲3発明B4
甲3には実施例4として「着色剤(光輝性顔料粒子)(シリカ被覆板状アルミニウム粒子、平均粒子径:7μm、アスペクト比:25、シリカ被覆量:14質量部、固形分:40%、東洋アルミ株式会社製、商品名:EMR-D6390)12質量%、ポリオレフィン樹脂粒子(低分子ポリエチレン、球状粒子、平均粒子径:1μm、固形分:40%、重量平均分子量:6000、三井化学株式会社製、商品名:ケミパールW401)1質量%、エラストマー(スチレン-ブタジエンエラストマー、固形分:46%、Tg:5℃、旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:L-1924)7.5質量%、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、固形分:100%、エーテル化度:0.70~0.80、第一工業製薬株式会社製、商品名:セロゲン5A)1.75質量%、水溶性アクリルポリマー(固形分:30%、富士色素株式会社製、商品名:A-29 NH3)3質量%、界面活性剤(アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業株式会社製、商品名:オルフィンEXP4200、有効成分75%)1.0質量%、界面活性剤(パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物フッ素系界面活性剤、有効成分:100%、HLB値:8.5、表面張力16.8mN/m、DIC社製)0.05質量%、防菌剤(ロンザジャパン株式会社製、商品名:プロキセルXL-2)0.5質量%、消泡剤(東レ・ダウコーニング社、商品名:アンチフォーム013A、有効成分25%)0.005質量%及び水道水73.195質量%からなる筆記具用水性インキ組成物をインキ収容体に充填したマーキングペン。」の発明が記載されているといえる(摘記3e参照)。
オ 甲3発明B5
甲3には実施例5として「着色剤(光輝性顔料粒子)(シリカ被覆板状アルミニウム粒子、平均粒子径:7μm、アスペクト比:25、シリカ被覆量:14質量部、固形分:40%、東洋アルミ株式会社製、商品名:EMR-D6390)12質量%、ポリオレフィン樹脂粒子(低分子ポリエチレン、球状粒子、平均粒子径:1μm、固形分:40%、重量平均分子量:6000、三井化学株式会社製、商品名:ケミパールW401)1質量%、エラストマー(スチレン-ブタジエンエラストマー、固形分:46%、Tg:5℃、旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:L-1924)7.5質量%、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、固形分:100%、エーテル化度:0.70~0.80、第一工業製薬株式会社製、商品名:セロゲン5A)1.75質量%、水溶性アクリルポリマー(固形分:30%、富士色素株式会社製、商品名:A-29 NH3)3質量%、界面活性剤(アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業株式会社製、商品名:オルフィンEXP4200、有効成分75%)0.5質量%、界面活性剤(パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物フッ素系界面活性剤、有効成分:100%、HLB値:8.5、表面張力16.8mN/m、DIC社製)0.01質量%、界面活性剤(エアロゾールOT-100 (サイテックインダストリージャパン社製、ジオクチル スルホコハク酸ナトリウム、有効成分:100%))0.01質量%、防菌剤(ロンザジャパン株式会社製、商品名:プロキセルXL-2)0.5質量%、消泡剤(東レ・ダウコーニング社、商品名:アンチフォーム013A、有効成分25%)0.005質量%及び水道水73.725質量%からなる筆記具用水性インキ組成物をインキ収容体に充填したマーキングペン。」の発明が記載されているといえる(摘記3e参照)。
カ 甲3発明B6
甲3には実施例6として「着色剤(光輝性顔料粒子)(シリカ被覆板状アルミニウム粒子、平均粒子径:7μm、アスペクト比:25、シリカ被覆量:14質量部、固形分:40%、東洋アルミ株式会社製、商品名:EMR-D6390)12質量%、ポリオレフィン樹脂粒子(低分子ポリエチレン、球状粒子、平均粒子径:1μm、固形分:40%、重量平均分子量:6000、三井化学株式会社製、商品名:ケミパールW401)1質量%、エラストマー(スチレン-ブタジエンエラストマー、固形分:46%、Tg:5℃、旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:L-1924)7.5質量%、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、固形分:100%、エーテル化度:0.70~0.80、第一工業製薬株式会社製、商品名:セロゲン5A)1.75質量%、水溶性アクリルポリマー(固形分:30%、富士色素株式会社製、商品名:A-29 NH3)3質量%、界面活性剤(パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物フッ素系界面活性剤、有効成分:100%、HLB値:8.5、表面張力16.8mN/m、DIC社製)0.05質量%、防菌剤(ロンザジャパン株式会社製、商品名:プロキセルXL-2)0.5質量%、消泡剤(東レ・ダウコーニング社、商品名:アンチフォーム013A、有効成分25%)0.005質量%及び水道水74.195質量%からなる筆記具用水性インキ組成物をインキ収容体に充填したマーキングペン。」の発明が記載されているといえる(摘記3e参照)。
キ 甲3発明B7
甲3には実施例7として「着色剤(光輝性顔料粒子)(シリカ被覆板状アルミニウム粒子、平均粒子径:7μm、アスペクト比:25、シリカ被覆量:14質量部、固形分:40%、東洋アルミ株式会社製、商品名:EMR-D6390)12質量%、ポリオレフィン樹脂粒子(低分子ポリエチレン、球状粒子、平均粒子径:1μm、固形分:40%、重量平均分子量:6000、三井化学株式会社製、商品名:ケミパールW401)1質量%、エラストマー(スチレン-ブタジエンエラストマー、固形分:46%、Tg:5℃、旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:L-1924)7.5質量%、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、固形分:100%、エーテル化度:0.70~0.80、第一工業製薬株式会社製、商品名:セロゲン5A)1.75質量%、水溶性アクリルポリマー(固形分:30%、富士色素株式会社製、商品名:A-29 NH3)3質量%、界面活性剤(パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物フッ素系界面活性剤、有効成分:100%、HLB値:8.5、表面張力16.8mN/m、DIC社製)0.1質量%、防菌剤(ロンザジャパン株式会社製、商品名:プロキセルXL-2)0.5質量%、消泡剤(東レ・ダウコーニング社、商品名:アンチフォーム013A、有効成分25%)0.005質量%及び水道水74.145質量%からなる筆記具用水性インキ組成物をインキ収容体に充填したマーキングペン。」の発明が記載されているといえる(摘記3e参照)。
ク 甲3発明B8
甲3には実施例8として「着色剤(光輝性顔料粒子)(シリカ被覆板状アルミニウム粒子、平均粒子径:7μm、アスペクト比:25、シリカ被覆量:14質量部、固形分:40%、東洋アルミ株式会社製、商品名:EMR-D6390)12質量%、ポリオレフィン樹脂粒子(低分子ポリエチレン、球状粒子、平均粒子径:1μm、固形分:40%、重量平均分子量:6000、三井化学株式会社製、商品名:ケミパールW401)1質量%、エラストマー(スチレン-ブタジエンエラストマー、固形分:46%、Tg:5℃、旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:L-1924)7.5質量%、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、固形分:100%、エーテル化度:0.70~0.80、第一工業製薬株式会社製、商品名:セロゲン5A)1.75質量%、水溶性アクリルポリマー(固形分:30%、富士色素株式会社製、商品名:A-29 NH3)3質量%、界面活性剤(パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物フッ素系界面活性剤、有効成分:100%、HLB値:8.5、表面張力16.8mN/m、DIC社製)0.5質量%、防菌剤(ロンザジャパン株式会社製、商品名:プロキセルXL-2)0.5質量%、消泡剤(東レ・ダウコーニング社、商品名:アンチフォーム013A、有効成分25%)0.005質量%及び水道水73.745質量%からなる筆記具用水性インキ組成物をインキ収容体に充填したマーキングペン。」の発明が記載されているといえる(摘記3e参照)。
ケ 甲3発明B9
甲3には実施例9として「着色剤(光輝性顔料粒子)(シリカ被覆板状アルミニウム粒子、平均粒子径:7μm、アスペクト比:25、シリカ被覆量:14質量部、固形分:40%、東洋アルミ株式会社製、商品名:EMR-D6390)12質量%、ポリオレフィン樹脂粒子(低分子ポリエチレン、球状粒子、平均粒子径:1μm、固形分:40%、重量平均分子量:6000、三井化学株式会社製、商品名:ケミパールW401)1質量%、エラストマー(スチレン-ブタジエンエラストマー、固形分:46%、Tg:5℃、旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:L-1924)7.5質量%、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、固形分:100%、エーテル化度:0.70~0.80、第一工業製薬株式会社製、商品名:セロゲン5A)1.75質量%、水溶性アクリルポリマー(固形分:30%、富士色素株式会社製、商品名:A-29 NH3)3質量%、界面活性剤(パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物フッ素系界面活性剤、有効成分:100%、HLB値:8.5、表面張力16.8mN/m、DIC社製)1.0質量%、防菌剤(ロンザジャパン株式会社製、商品名:プロキセルXL-2)0.5質量%、消泡剤(東レ・ダウコーニング社、商品名:アンチフォーム013A、有効成分25%)0.005質量%及び水道水73.245質量%からなる筆記具用水性インキ組成物をインキ収容体に充填したマーキングペン。」の発明が記載されているといえる(摘記3e参照)。
コ 甲3発明B10
甲3には実施例10として「着色剤(光輝性顔料粒子)(シリカ被覆板状アルミニウム粒子、平均粒子径:7μm、アスペクト比:25、シリカ被覆量:14質量部、固形分:40%、東洋アルミ株式会社製、商品名:EMR-D6390)12質量%、ポリオレフィン樹脂粒子(低分子ポリエチレン、球状粒子、平均粒子径:1μm、固形分:40%、重量平均分子量:6000、三井化学株式会社製、商品名:ケミパールW401)1質量%、エラストマー(スチレン-ブタジエンエラストマー、固形分:46%、Tg:5℃、旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:L-1924)7.5質量%、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、固形分:100%、エーテル化度:0.70~0.80、第一工業製薬株式会社製、商品名:セロゲン5A)1.75質量%、水溶性アクリルポリマー(固形分:30%、富士色素株式会社製、商品名:A-29 NH3)3質量%、界面活性剤(メガファックF410(DIC社製、パーフルオロアルキル基含有カルボン酸塩フッ素系界面活性剤、有効成分:100%、表面張力23.7mN/m))0.05質量%、防菌剤(ロンザジャパン株式会社製、商品名:プロキセルXL-2)0.5質量%、消泡剤(東レ・ダウコーニング社、商品名:アンチフォーム013A、有効成分25%)0.005質量%及び水道水74.195質量%からなる筆記具用水性インキ組成物をインキ収容体に充填したマーキングペン。」の発明が記載されているといえる(摘記3e参照)。
サ 甲3発明B11
甲3には実施例11として「着色剤(光輝性顔料粒子)(シリカ被覆板状アルミニウム粒子、平均粒子径:7μm、アスペクト比:25、シリカ被覆量:14質量部、固形分:40%、東洋アルミ株式会社製、商品名:EMR-D6390)9.6質量%、着色剤(補色顔料)(SP4359(富士色素株式会社製、固形分:23%))7.6質量%、着色剤(補色顔料)(SP5658(富士色素株式会社製、固形分:23%))0.4質量%、ポリオレフィン樹脂粒子(低分子ポリエチレン、球状粒子、平均粒子径:1μm、固形分:40%、重量平均分子量:6000、三井化学株式会社製、商品名:ケミパールW401)1質量%、エラストマー(スチレン-ブタジエンエラストマー、固形分:46%、Tg:5℃、旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:L-1924)7.5質量%、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、固形分:100%、エーテル化度:0.70~0.80、第一工業製薬株式会社製、商品名:セロゲン5A)1.75質量%、水溶性アクリルポリマー(固形分:30%、富士色素株式会社製、商品名:A-29 NH3)3質量%、界面活性剤(アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業株式会社製、商品名:オルフィンEXP4200、有効成分75%)0.5質量%、界面活性剤(パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物フッ素系界面活性剤、有効成分:100%、HLB値:8.5、表面張力16.8mN/m、DIC社製)0.01質量%、防菌剤(ロンザジャパン株式会社製、商品名:プロキセルXL-2)0.5質量%、消泡剤(東レ・ダウコーニング社、商品名:アンチフォーム013A、有効成分25%)0.005質量%及び水道水68.135質量%からなる筆記具用水性インキ組成物をインキ収容体に充填したマーキングペン。」の発明が記載されているといえる(摘記3e参照)。
シ 甲3発明B12
甲3には実施例12として「着色剤(光輝性顔料粒子)(シリカ被覆板状アルミニウム粒子、平均粒子径:7μm、アスペクト比:25、シリカ被覆量:14質量部、固形分:40%、東洋アルミ株式会社製、商品名:EMR-D6390)12質量%、ポリオレフィン樹脂粒子(低分子ポリエチレン、球状粒子、平均粒子径:1μm、固形分:40%、重量平均分子量:6000、三井化学株式会社製、商品名:ケミパールW401)1質量%、エラストマー(スチレン-ブタジエンエラストマー、固形分:46%、Tg:5℃、旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:L-1924)11.3質量%、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、固形分:100%、エーテル化度:0.70~0.80、第一工業製薬株式会社製、商品名:セロゲン5A)2.63質量%、水溶性アクリルポリマー(固形分:30%、富士色素株式会社製、商品名:A-29 NH3)3質量%、界面活性剤(アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業株式会社製、商品名:オルフィンEXP4200、有効成分75%)1.0質量%、界面活性剤(パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物フッ素系界面活性剤、有効成分:100%、HLB値:8.5、表面張力16.8mN/m、DIC社製)0.01質量%、防菌剤(ロンザジャパン株式会社製、商品名:プロキセルXL-2)0.5質量%、消泡剤(東レ・ダウコーニング社、商品名:アンチフォーム013A、有効成分25%)0.005質量%及び水道水68.610質量%からなる筆記具用水性インキ組成物をインキ収容体に充填したマーキングペン。」の発明が記載されているといえる(摘記3e参照)。
ス 甲3発明B13
甲3には実施例13として「着色剤(光輝性顔料粒子)(シリカ被覆板状アルミニウム粒子、平均粒子径:7μm、アスペクト比:25、シリカ被覆量:14質量部、固形分:40%、東洋アルミ株式会社製、商品名:EMR-D6390)12質量%、ポリオレフィン樹脂粒子(低分子ポリエチレン、球状粒子、平均粒子径:1μm、固形分:40%、重量平均分子量:6000、三井化学株式会社製、商品名:ケミパールW401)1質量%、エラストマー(スチレン-ブタジエンエラストマー、固形分:46%、Tg:5℃、旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:L-1924)15.0質量%、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、固形分:100%、エーテル化度:0.70~0.80、第一工業製薬株式会社製、商品名:セロゲン5A)3.50質量%、水溶性アクリルポリマー(固形分:30%、富士色素株式会社製、商品名:A-29 NH3)3質量%、界面活性剤(アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業株式会社製、商品名:オルフィンEXP4200、有効成分75%)1.0質量%、界面活性剤(パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物フッ素系界面活性剤、有効成分:100%、HLB値:8.5、表面張力16.8mN/m、DIC社製)0.01質量%、防菌剤(ロンザジャパン株式会社製、商品名:プロキセルXL-2)0.5質量%、消泡剤(東レ・ダウコーニング社、商品名:アンチフォーム013A、有効成分25%)0.005質量%及び水道水63.985質量%からなる筆記具用水性インキ組成物をインキ収容体に充填したマーキングペン。」の発明が記載されているといえる(摘記3e参照)。
セ 甲3発明B14
甲3には実施例14として「着色剤(光輝性顔料粒子)(シリカ被覆板状アルミニウム粒子、平均粒子径:7μm、アスペクト比:25、シリカ被覆量:14質量部、固形分:40%、東洋アルミ株式会社製、商品名:EMR-D6390)12質量%、ポリオレフィン樹脂粒子(低分子ポリエチレン、球状粒子、平均粒子径:1μm、固形分:40%、重量平均分子量:6000、三井化学株式会社製、商品名:ケミパールW401)1質量%、エラストマー(スチレン-ブタジエンエラストマー、固形分:46%、Tg:5℃、旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:L-1924)22.5質量%、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、固形分:100%、エーテル化度:0.70~0.80、第一工業製薬株式会社製、商品名:セロゲン5A)5.25質量%、水溶性アクリルポリマー(固形分:30%、富士色素株式会社製、商品名:A-29 NH3)3質量%、界面活性剤(アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業株式会社製、商品名:オルフィンEXP4200、有効成分75%)1.0質量%、界面活性剤(パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物フッ素系界面活性剤、有効成分:100%、HLB値:8.5、表面張力16.8mN/m、DIC社製)0.01質量%、防菌剤(ロンザジャパン株式会社製、商品名:プロキセルXL-2)0.5質量%、消泡剤(東レ・ダウコーニング社、商品名:アンチフォーム013A、有効成分25%)0.005質量%及び水道水54.735質量%からなる筆記具用水性インキ組成物。」の発明が記載されているといえる(摘記3e参照)。
ソ 甲3発明B15
甲3には実施例15として「着色剤(光輝性顔料粒子)(シリカ被覆板状アルミニウム粒子、平均粒子径:7μm、アスペクト比:25、シリカ被覆量:14質量部、固形分:40%、東洋アルミ株式会社製、商品名:EMR-D6390)12質量%、ポリオレフィン樹脂粒子(低分子ポリエチレン、球状粒子、平均粒子径:1μm、固形分:40%、重量平均分子量:6000、三井化学株式会社製、商品名:ケミパールW401)1質量%、エラストマー(ジョンクリルPDX-7341(BASFジャパン株式会社製、アクリル系エラストマー、Tg:15℃、固形分:49%))7.5質量%、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、固形分:100%、エーテル化度:0.70~0.80、第一工業製薬株式会社製、商品名:セロゲン5A)1.75質量%、水溶性アクリルポリマー(固形分:30%、富士色素株式会社製、商品名:A-29 NH3)3質量%、界面活性剤(アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業株式会社製、商品名:オルフィンEXP4200、有効成分75%)1.0質量%、界面活性剤(パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物フッ素系界面活性剤、有効成分:100%、HLB値:8.5、表面張力16.8mN/m、DIC社製)0.01質量%、防菌剤(ロンザジャパン株式会社製、商品名:プロキセルXL-2)0.5質量%、消泡剤(東レ・ダウコーニング社、商品名:アンチフォーム013A、有効成分25%)0.005質量%及び水道水73.235質量%からなる筆記具用水性インキ組成物をインキ収容体に充填したマーキングペン。」の発明が記載されているといえる(摘記3e参照)。
ダ 甲3発明B16
甲3には実施例16として「着色剤(光輝性顔料粒子)(シリカ被覆板状アルミニウム粒子、平均粒子径:7μm、アスペクト比:25、シリカ被覆量:14質量部、固形分:40%、東洋アルミ株式会社製、商品名:EMR-D6390)12質量%、ポリオレフィン樹脂粒子(低分子ポリエチレン、球状粒子、平均粒子径:1μm、固形分:40%、重量平均分子量:6000、三井化学株式会社製、商品名:ケミパールW401)1質量%、エラストマー(スチレン-ブタジエンエラストマー、固形分:46%、Tg:5℃、旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:L-1924)7.5質量%、セルロース誘導体(サンヘックL(株式会社三晶社製、ヒドロキシエチルセルロース、固形分100%))1.75質量%、水溶性アクリルポリマー(固形分:30%、富士色素株式会社製、商品名:A-29 NH3)3質量%、界面活性剤(アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業株式会社製、商品名:オルフィンEXP4200、有効成分75%)0.5質量%、界面活性剤(パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物フッ素系界面活性剤、有効成分:100%、HLB値:8.5、表面張力16.8mN/m、DIC社製)0.01質量%、防菌剤(ロンザジャパン株式会社製、商品名:プロキセルXL-2)0.5質量%、消泡剤(東レ・ダウコーニング社、商品名:アンチフォーム013A、有効成分25%)0.005質量%及び水道水73.235質量%からなる筆記具用水性インキ組成物をインキ収容体に充填したマーキングペン。」の発明が記載されているといえる(摘記3e参照)。
チ 甲3発明B17
甲3には実施例17として「着色剤(光輝性顔料粒子)(シリカ被覆板状アルミニウム粒子、平均粒子径:7μm、アスペクト比:25、シリカ被覆量:14質量部、固形分:40%、東洋アルミ株式会社製、商品名:EMR-D6390)12質量%、ポリオレフィン樹脂粒子(低分子ポリエチレン、球状粒子、平均粒子径:1μm、固形分:40%、重量平均分子量:6000、三井化学株式会社製、商品名:ケミパールW401)1質量%、エラストマー(スチレン-ブタジエンエラストマー、固形分:46%、Tg:5℃、旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:L-1924)0.75質量%、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、固形分:100%、エーテル化度:0.70~0.80、第一工業製薬株式会社製、商品名:セロゲン5A)1.75質量%、水溶性アクリルポリマー(固形分:30%、富士色素株式会社製、商品名:A-29 NH3)3質量%、界面活性剤(アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業株式会社製、商品名:オルフィンEXP4200、有効成分75%)0.5質量%、界面活性剤(パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物フッ素系界面活性剤、有効成分:100%、HLB値:8.5、表面張力16.8mN/m、DIC社製)0.01質量%、防菌剤(ロンザジャパン株式会社製、商品名:プロキセルXL-2)0.5質量%、消泡剤(東レ・ダウコーニング社、商品名:アンチフォーム013A、有効成分25%)0.005質量%及び水道水79.985質量%からなる筆記具用水性インキ組成物をインキ収容体に充填したマーキングペン。」の発明が記載されているといえる(摘記3e参照)。
ツ 甲3発明B18
甲3には実施例18として「着色剤(光輝性顔料粒子)(シリカ被覆板状アルミニウム粒子、平均粒子径:7μm、アスペクト比:25、シリカ被覆量:14質量部、固形分:40%、東洋アルミ株式会社製、商品名:EMR-D6390)12質量%、ポリオレフィン樹脂粒子(低分子ポリエチレン、球状粒子、平均粒子径:1μm、固形分:40%、重量平均分子量:6000、三井化学株式会社製、商品名:ケミパールW401)1質量%、エラストマー(スチレン-ブタジエンエラストマー、固形分:46%、Tg:5℃、旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:L-1924)7.5質量%、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、固形分:100%、エーテル化度:0.70~0.80、第一工業製薬株式会社製、商品名:セロゲン5A)0.18質量%、水溶性アクリルポリマー(固形分:30%、富士色素株式会社製、商品名:A-29 NH3)3質量%、界面活性剤(アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業株式会社製、商品名:オルフィンEXP4200、有効成分75%)0.5質量%、界面活性剤(パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物フッ素系界面活性剤、有効成分:100%、HLB値:8.5、表面張力16.8mN/m、DIC社製)0.01質量%、防菌剤(ロンザジャパン株式会社製、商品名:プロキセルXL-2)0.5質量%、消泡剤(東レ・ダウコーニング社、商品名:アンチフォーム013A、有効成分25%)0.005質量%及び水道水74.810質量%からなる筆記具用水性インキ組成物をインキ収容体に充填したマーキングペン。」の発明が記載されているといえる(摘記3e参照)。
4 対比・判断
(1)甲1発明B1~B7を主たる引用発明とする場合
ア 本件特許発明1
(ア)甲1発明B1~B7との対比
甲1発明B1、B2、B4~B7の「顔料粒子(着色樹脂粒子:平均粒子径0.4μm、固形分量34%、日本蛍光化学(株)、NKW6004E)」及び甲1発明B3の「顔料粒子(着色樹脂粒子:平均粒子径0.4μm、固形分量45%、日本蛍光化学(株)、NKW2309G)」は、いずれも、本件特許発明1の「顔料を含む着色剤(A)」に相当する。
甲1発明B1~B7の「オレフィン樹脂粒子(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、pH値9、固形分40%、三井化学(株)製、ケミパールM200」は本件特許発明1の「オレフィン系樹脂粒子(B)」に相当する。
甲1発明B1、B2、B4~B7の「顔料粒子(着色樹脂粒子:平均粒子径0.4μm、固形分量34%、日本蛍光化学(株)、NKW6004E」と「オレフィン樹脂粒子(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、pH値9、固形分40%)」の固形分の質量比は、それぞれ、34(=(20×0.34)/(0.5×0.4))、17(=(20×0.34)/(1.0×0.4))、56.7(=(20×0.34)/(0.3×0.4))、34(=(20×0.34)/(0.5×0.4))、34(=(20×0.34)/(0.5×0.4))及び34(=(20×0.34)/(0.5×0.4))であり、甲1発明B3の「顔料粒子(着色樹脂粒子:平均粒子径0.4μm、固形分量45%、日本蛍光化学(株)、NKW2309G)」と「オレフィン樹脂粒子(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、pH値9、固形分40%、三井化学(株)製、ケミパールM200」の固形分の質量比は34(=(20×0.34)/(0.5×0.4))であり、甲1発明B1~B7の「オレフィン樹脂粒子(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、pH値9、固形分40%)」の固形分は、インキ組成物全量に対して、それぞれ、0.2質量%(=100×0.5×0.4)、0.4質量%(=100×1.0×0.4)、2.0質量%(=100×5.0×0.4)、0.12質量%(=100×0.3×0.4)、0.2質量%(=100×0.5×0.4)、0.2質量%(=100×0.5×0.4)及び0.2質量%(=100×0.5×0.4)であるから、甲1発明B1の「顔料粒子(着色樹脂粒子:平均粒子径0.4μm、固形分量34%、日本蛍光化学(株)、NKW6004E)20.0質量部」及び「オレフィン樹脂粒子(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、pH値9、固形分40%、三井化学(株)製、ケミパールM2000.5質量部」、甲1発明B2の「顔料粒子(着色樹脂粒子:平均粒子径0.4μm、固形分量34%、日本蛍光化学(株)、NKW6004E)20.0質量部」及び「オレフィン樹脂粒子(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、pH値9、固形分40%、三井化学(株)製、ケミパールM2001.0質量部」、甲1発明B3の「顔料粒子(着色樹脂粒子:平均粒子径0.4μm、固形分量45%、日本蛍光化学(株)、NKW2309G)20.0質量部」及び「オレフィン樹脂粒子(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、pH値9、固形分40%、三井化学(株)製、ケミパールM2005.0質量部」、甲1発明B4の「顔料粒子(着色樹脂粒子:平均粒子径0.4μm、固形分量34%、日本蛍光化学(株)、NKW6004E)20.0質量部」及び「オレフィン樹脂粒子(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、pH値9、固形分40%、三井化学(株)製、ケミパールM2000.3質量部」、甲1発明B5の「顔料粒子(着色樹脂粒子:平均粒子径0.4μm、固形分量34%、日本蛍光化学(株)、NKW6004E)20.0質量部」及び「オレフィン樹脂粒子(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、pH値9、固形分40%、三井化学(株)製、ケミパールM2000.5質量部」、甲1発明B6の「顔料粒子(着色樹脂粒子:平均粒子径0.4μm、固形分量34%、日本蛍光化学(株)、NKW6004E)20.0質量部」及び「オレフィン樹脂粒子(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、pH値9、固形分40%、三井化学(株)製、ケミパールM2000.5質量部」、並びに、甲1発明B7の「顔料粒子(着色樹脂粒子:平均粒子径0.4μm、固形分量34%、日本蛍光化学(株)、NKW6004E)20.0質量部」及び「オレフィン樹脂粒子(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、pH値9、固形分40%、三井化学(株)製、ケミパールM2000.5質量部」は、いずれも、本件特許発明1の「顔料を含む着色剤(A)と、オレフィン系樹脂粒子(B)」、「を含み」及び「前記着色剤(A)と前記オレフィン系樹脂粒子(B)の固形分の質量比〔(A)/(B)〕が1~100の範囲であり、かつ前記オレフィン系樹脂粒子(B)の含有量がインク組成物全量に対して、0.01~20質量%であり」に相当する。
甲1発明B1~B7の「水性ボールペン用インキ組成物」は本件特許発明1の「ボールペン用水性インク組成物」に相当する。
甲1発明B1~B7の「ゲルインキボールペン」は、水性ボールペン用インキ組成物をインキ収容筒内に充填したレフィルを装着したものであるから、本件特許発明1の「水性ボールペン」に相当する。
そうすると、本件特許発明1と甲1発明B1~B7は、「少なくとも、顔料を含む着色剤(A)と、オレフィン系樹脂粒子(B)と、水とを含み、前記着色剤(A)と前記オレフィン系樹脂粒子(B)の固形分の質量比〔(A)/(B)〕が1~100の範囲であり、かつ前記オレフィン系樹脂粒子(B)の含有量がインク組成物全量に対して、0.01~20質量%であり、ボールペン用水性インク組成物を搭載したことを特徴とする水性ボールペン。」である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1-1>
本件特許発明1では、オレフィン系樹脂粒子(B)の針入度法硬度が1以上であると共に、コールターカウンター法で測定した平均粒子径が15μm以下であるのに対し、甲1発明B1~B7ではオレフィン樹脂粒子の針入度法硬度が不明であり、平均粒子径は6μmであるが、コールターカウンター法で測定したことが不明である点。
<相違点1-2>
本件特許発明1では、ボールペン用水性インク組成物中における、溶存酸素濃度が5%O2以上であるのに対し、甲1発明B1~B7では、ボールペン用水性インク組成物中における、溶存酸素濃度が特定されていない点。
<相違点1-3>
水性ボールペンが、本件特許発明1ではノック式であるのに対し、甲1発明B1~B7ではそのような特定がない点。
(イ)相違点についての検討
<相違点1-1>
甲1には、甲1発明B1~B7のゲルインキボールペンに装着したレフィルのインキ収容筒内に充填した水性ボールペン用インキ組成物に含まれるオレフィン樹脂粒子の平均粒子径はコールターカウンター法で測定されることが、記載されているし(摘記1c参照)、オレフィン樹脂の平均粒子径はコールターカウンター法で測定されたもので特定されるといえるから(摘記21a参照)、コールターカウンター法で測定したオレフィン系樹脂粒子(B)の平均粒子径が15μm以下である点は実質的な相違点とはならない、
また、甲1発明B1~B7のゲルインキボールペンに装着したレフィルのインキ収容筒内に充填した水性ボールペン用インキ組成物に含まれる「オレフィン樹脂粒子(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、pH値9、固形分40%、三井化学(株)製、ケミパールM200)」について、特許異議申立人は、その針入度法硬度を測定したところ、4.3であったと主張しており(摘記24a参照)、この針入度法硬度は、本件特許明細書【0023】に記載のとおり、JIS K2203に準拠して測定されたものであり、その測定値は、試料の調製方法や測定条件、測定者の違いなどによる影響を受けることはないものであって一応信頼できるものであると認められる。
そうすると、オレフィン系樹脂粒子(B)の針入度法硬度が1以上である点は実質的な相違点とはならない。
したがって、<相違点1-1>は実質的な相違点とはならない。
仮に、オレフィン系樹脂粒子(B)の針入度法硬度が1以上である点が相違するとしても、甲1には、甲1発明B1~B7のゲルインキボールペンに装着したレフィルのインキ収容筒内に充填した水性ボールペン用インキ組成物に含まれるオレフィン樹脂粒子として、ケミパールM-200(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、pH値9)、同W-100(低分子ポリエチレン分散体、平均粒子径3μm、pH値9)、同W-200(低分子ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、pH値9)・・・同W-400(低分子ポリエチレン分散体、平均粒子径4μm、pH値9等が挙げられることが、記載されており、本件特許明細書【0023】によれば、ケミパールW-100、ケミパールW-200及びケミパールW-400は、針入度法硬度が1以上であるから、甲1発明B1~B7のゲルインキボールペンに装着したレフィルのインキ収容筒内に充填した水性ボールペン用インキ組成物に含まれるオレフィン系樹脂粒子として、ケミパールM200に代えて、ケミパールW-100、ケミパールW-200及びケミパールW-400を採用し、オレフィン系樹脂粒子(B)の針入度法硬度が1以上であるものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
<相違点1-2>
本件特許発明1に規定する溶存酸素濃度とは、本件特許明細書の段落【0043】において「この『%O2』は、インク中に溶解している空気のうちの酸素濃度を示したものである」と記載されているように、インク組成物中に溶解している酸素の濃度ではなく、インク中に溶解している空気のうちの酸素濃度である。然るところ、空気中に占める酸素の割合は体積(vol)では、酸素が20.93%、窒素が78.10%であり、質量(wt)では、酸素が23.01%、窒素が75.51%である。
そして、甲1発明B1~B7のゲルインキボールペンに装着したレフィルのインキ収容筒内に充填した水性ボールペン用インキ組成物に含まれる溶剤の大部分を占める水に対して酸素が窒素に比べて著しく溶解性が低いという技術常識もないから、甲1発明B1~B7のゲルインキボールペンに装着したレフィルのインキ収容筒内に充填した水性ボールペン用インキ組成物のように大気下で普通にインク組成物を調整すれば、インク中に溶解している空気のうちの酸素濃度は、20.93%程度となることは明らかであり、5%を下回るとはいえない。
むしろ、甲1発明B1~B7のゲルインキボールペンに装着したレフィルのインキ収容筒内に充填した水性ボールペン用インキ組成物は各イオンや電解質成分を含む複雑な混合物であるところ、溶質の溶媒への溶解度は、その極性に左右され、電解質溶液の場合においては、水の場合にも、より極性分子が溶けやすいことが理解でき(摘記40a参照)、ここで、窒素分子は、不対電子を有さず、極性を全く有さず(摘記41a参照)、酸素分子は2つの不対電子を有するため、窒素分子よりも極性を有し(摘記42a参照)、甲1発明B1~B7のゲルインキボールペンに装着したレフィルのインキ収容筒内に充填した水性ボールペン用インキ組成物は、電解質溶液であるからこそ、さらに酸素の方が窒素よりも溶媒に溶けやすく、溶存酸素濃度が理想溶液の場合よりも却って高くなるため、この点溶存酸素濃度を低下させる要因になり得ないことからも、インク中に溶解している空気のうちの酸素濃度が5%を下回るとはいえない。
また、空気は、理想気体ではなく実在気体であることに起因する分子の大きさと分子間力による修正を鑑み、以下のようにヘンリーの法則はファンデルワールスの状態方程式に修正される(摘記38a参照)。
[図:0001415255000037.jpg]
そして、理想気体に近い気体に近い成分の組み合わせではほぼ修正が不要であるところ(摘記39a、39b参照)、酸素・窒素は共に低分子量で分子間力も分子の大きさも小さい分子であり、理想気体に近い成分の組み合わせといえることは明らかである。
然るところ、上記実在気体への修正を考慮したファンデルワールスの状態方程式において、a=(141×10-3(窒素)、138×l0-3(酸素)と窒素、酸素において小さく、左辺のan2/V2は他の項に対して極めて小さいことに鑑みれば(また、後述するように、窒素、酸素が無極性分子であり、分子間力があまり大きくないことからもこれは明らかである)、n=PV/(RT+Pb)の様に近似できるところ、bは酸素の方が大きいことから、現実気体においては酸素の方が窒素よりもやや溶けにくくはなるものの、酸素においてb=31.9×10-6、窒素においてb=39.2×10-5であり、その差はごく僅かであることが明らかであるから、nは酸素においてRT/(RT+Pb)修正されるから、1気圧25℃において、インク中に溶解している空気のうちの酸素濃度は22.88%(23.01×0.082×(273+25)/((0.082×(273+25)+1×138×10-3))程度となり、大気下で普通にインク組成物を調整すれば、5%O2を下回ることはあり得ない。
実際、異議申立人による試験結果報告書2によると、市販されている多くのボールペンにおいて溶存酸素濃度が5%O2以上である(摘記43a参照)。
さらに、甲46には、「図1(a)に水性ボールペンのレフィール構造を示す」、「筆記時のインク流出によりカートリッジ内圧力は負圧となるが、チップホルダーに設けられた空気交替孔からの空気流入によりカートリッジ内圧力は平衡が保たれる」と記載されているように、カートリッジ内には空気交替孔が開いていることが一般的であり、これによると、インクに溶けている気体は、(「エージング工程」等を経れば尚更、)溶存酸素渡度(O2)が空気と同じ20~30%O2前後と考えることが極めて合理的である。
ここで、本件特許明細書の比較例4において溶存酸素渡度が5%O2を下回っているが、比較例4ではアスコルビン酸を多く含んでおり、アルコルビン酸は、酸素を吸収することによりインクの溶存酸素や気泡を減じる効果を有するものであるから(摘記4a、4b、5a、5b、6a、6b、7a、7b、8a、8b、9a、9b参照)、インクから酸素を吸収するアルコルビン酸を含むことにより溶存酸素渡度が5%O2を下回っているといえる。
一方、甲1発明B1~B7のゲルインキボールペンに装着したレフィルのインキ収容筒内に充填した水性ボールペン用インキ組成物においては、アスコルビン酸などの酸素を吸収する物質は含まれないし、酸素を吸収する物質を加えることは技術常識でもないから、溶存酸素濃度が5%O2以上であることは明らかであり、この点は実質的な相違点とはならない。
<相違点1-3>
甲1には甲1発明B1~B7のゲルボールペンについて「(商品名:G-knock)」と記載されており(摘記1d参照)、G-knockはノック式ボールペンであり(摘記47a、48a参照)、また、甲1には、甲1発明B1~B7のゲルインキボールペンを軸筒内に摺動自在に配設し、前記ボールペンチップのチップ先端部を前記軸筒先端部から出没可能とすることを特徴とする出没式水性ボールペンとすることが、記載されており(摘記1a参照)、このようなボールペンはノック式であるから、甲1発明B1~B7のゲルインキボールペンをノック式であるものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
(ウ)本件特許発明1の効果について
本件特許明細書の実施例からみて、ボールペン用水性インク組成物中における、溶存酸素濃度が5%O2以上であるボールペン用水性インク組成物を充填した本件特許発明1のものは、ボールペン用水性インク組成物中における、溶存酸素濃度が5%O2以下であるボールペン用水性インク組成物を充填したものと比較して、耐擦過性及び耐掠性が優れているという効果を奏するが、前記(イ)<相違点1-2>についてで検討したとおり、ボールペン用水性インク組成物中における、溶存酸素濃度が5%O2以上である点は、相違点ではないから、そのような効果は相違点に基づくものとはいえず、本件特許発明1の効果は、甲1発明B1~B7と比較して、当業者の予測を超える優れたものであるとはいえない。
また、甲1発明B1~B7のゲルインキボールペンに装着したレフィルのインキ収容筒内に充填した水性ボールペン用インキ組成物は、筆跡が濃いと評価されるものであり、筆跡が濃ければ、耐掠性が優れているといえるし、甲1には、甲1発明B1~B7のゲルインキボールペンに充填される水性ボールペン用インキ組成物は、オレフィン系樹脂粒子の含有量をインキ組成物全量に対し0.01~10.0質量%とすることによりドライアップ性能に影響が出ないものであることが記載されており(摘記1c参照)、ドライアップ性能に影響が出なければ、耐擦過性が優れているといえるから、本件特許発明1により奏される効果は、甲1発明B1~B7と比較して、当業者の予測を超える優れたものであるとはいえない。
さらに、本件特許明細書において筆記具をボールペンにしたことにより奏される効果は記載されていないから、本件特許発明1により奏される効果は、甲1発明B1~B7と比較して、当業者の予測を超える優れたものであるとはいえない。
(エ)特許権者の主張及び当審の判断について
特許権者は、令和5年12月5日提出の意見書において「以上のように、乙第5号証~乙第10号証などから、通常、水性インク組成物の調製、水性ボールペンの製造では、遠心分離、減圧、エージング処理などが実施されるものであり、また、高温条件が重なれば、一概に溶存酸素濃度が5%O2以上とご認定することは妥当でないと確信します。
本件特許発明では、段落[0046〕において、ノック式ボールペンでノック動作20回を行ったのちの気泡発生、耐掠れ性を評価しており、ご認定の甲1では単に出没式筆記具に充填したインク濡れ、耐摩耗試験などである点に、ご留意願います。
甲1では、段落〔0053〕~〔0055〕で、「インキ漏れ試験、筆跡の濃さ、書き味」の各評価であり、本件特許発明にように、ノック式に密接に関連した各評価、気泡発生の評価試験、耐擦過性の評価、すなわち、段落〔0046〕、〔0047〕で開示しましたように、「ノック式水性ボールペンについて、温度5℃の環境下にて1カ月静置した後、温度25℃の環境下にて1日静置したのち、ペン先を下向きにした状態で、ノック動作を20回行った。25℃の環境下に1週間放置後の気泡発生有無を評価基準に基づいて評価を行ったものであり、また、耐擦れ性は、上記条件でのノック操作を20回行った後、筆記用紙に直径2cmのらせんを筆記することで、気泡発生による耐擦れ性の有無について評価基準に基づいて評価を行った。」ものであり、ご認定の甲1の単なる「インキ漏れ試験、筆跡の濃さ、書き味」の各評価とは異なり、本件特許発明は甲1よりも、顕著な作用効果を発揮するものであります。
筆記具用水性インク組成物中の溶存酸素濃度は、用いるインク材料の種類、製造時の撹拌条件〔インク温度が低温(10℃)~高温(65℃)での撹拌、インクの加熱、冷却、加圧、減圧、不活性ガス置換、遠心脱泡等の手段、インキ組成物作製後のエージング工程など〕、(落下やノック動作等の)衝撃等により変動するものであり、本願特許発明では、「少なくとも、顔料を含む着色剤(A)と、オレフィン系樹脂粒子(B)と、水とを含み、前記オレフィン系樹脂粒子(B)の針入度法硬度が1以上であると共に、コールターカウンター法で測定した平均粒子径が15μm以下であり、前記着色剤(A)と前記オレフィン系樹脂粒子(B)の固形分の質量比〔(A)/(B)〕が1~100の範囲であり、かつ前記オレフィン系樹脂粒子(B)の含有量がインク組成物全量に対して、0.01~20質量%であり、かつ、ボールペン用水性インク組成物中における、溶存酸素濃度が5%O2以上であるボールペン用水性インク組成物を搭載したことを特徴とするノック式水性ボールペン。」とする一体構成とする点に、臨界的技術的意義を有するものであります。すなわち、本願特許明細書段落〔0034〕に「さらに、本発明のボールペン用水性インク組成物は、好ましくは、ペン先チップやインク収容体などの金属製部品において、金属腐食を緩和できる点、具体的には金属がインクと接触している界面に、酸素が介在することで、金属表面の酸化膜による金属素地の腐食反応を和らげる点があることから、ボールペン用水性インク組成物中における、溶存酸素濃度が5%O2以上であることが好ましい。また、本発明は、低温条件下での保管後の気泡による筆記カスレの抑制に特に期待ができる。低温条件下では、インク中に空気が溶解しやすいため、常温環境下に移し、落下やノックによる衝撃を加えて筆記を行った際に、不溶化した空気がインク中で微小な気泡を生じ、継ぎ手内等に溜まり、インク流路を阻害し、筆記不良につながる可能性がある。」ことを記載しましたように、当該配合特性のボールペン用水性インク組成物におけるインク組成物中の溶存酸素濃度を5%O2以上とすることの技術的意義を詳述しており、本件特許発明の表1における実施例1~6で、甲1に記載も示唆等もないノック式水性ボールペンでの評価試験(耐擦過性、気泡発生、耐カスレ性)で優れた作用効果を発揮することを実証しております。
ご認定の『本件特許発明1は、甲1に記載された発明であるか、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、あるいは、同法同条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。』とする点は、水性インク組成物の製造、水性ボールペンの製造の実体などを踏まえて認定すべきものであり、論理の飛躍があると思料され、妥当でないと確信します。
よって、本件特許発明1は、ご指摘の甲1発明Al~A7の水性ボールペン用インキ組成物とは、発明の課題、技術思想(構成及びその作用効果)が相違するものであり、同一発明でなく、新規性を有することは明らかであります。また、本件特許発明1は、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができないものであり、進歩性を有することは明らかであります。」と主張する。
しかし、特許権者の主張する前記耐擦過性及び耐カスレ性の効果については、前記(ウ)のとおり、甲1発明B1~B7と比較して、当業者の予測を超える優れたものであるとはいえないし、特許権者の主張する前記気泡発生の効果については、本件特許明細書の実施例からみて、ボールペン用水性インク組成物中における、溶存酸素濃度が5%O2以上であるボールペン用水性インク組成物を充填した本件特許発明1のものは、ボールペン用水性インク組成物中における、溶存酸素濃度が5%O2以下であるボールペン用水性インク組成物を充填したものと比較して、優れていることは示されていない。
そうすると、特許権者の前記主張は採用できない。
(オ)小括
したがって、本件特許発明1は、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
イ 本件特許発明2
本件特許発明2は、本件特許発明1において「前記ボールペン用水性インク組成物の剪断速度383sec-1における粘度(25℃)が80mPa・s以下である」と特定するものである。
ここで、特許異議申立人は、甲24に基づいて、甲1の実施例を再現した場合に、その剪断速度383sec-1における粘度(25℃)を測定したところ、32.8mPa・sであったと主張しているが、甲24によれば、その測定において、甲1の実施例1(甲1発明B1)と顔料が異なるものを使用し、実施例2~7(甲1発明B2~B7)については測定されておらず、測定機器も甲1に記載のものと異なるから、特許異議申立人の前記主張は採用できず、剪断速度383sec-1における粘度(25℃)が80mPa・s以下である点は実質的な相違点である。
しかし、甲1には、甲1発明B1~B7のゲルインキボールペンに装着したレフィルのインキ収容筒内に充填した水性ボールペン用インキ組成物を用いたボールペンは書き味に優れるものであることが、記載されており(摘記1b参照)、一方、甲10には、水性インキを備えるボールペンにおいて、筆記途中にカスレたり、最悪の場合インキを使い切らないうちに、筆記できなくなってしまうことを防止するために、水性インキの剪断速度384s-1の粘度(25℃)を20mPa・s以上180mPa・s以下とすることが、記載されており(摘記10a、10b)、甲11には、加衝撃時にもカスレ、並びにインキのボタ落ちもない優れた筆記性能を有する水性ボールペンを提供するために、水性インキの剪断速度384sec-1の粘度(25℃)を20~180mPa・sとすることが、記載されており(摘記11a、11b)、甲12には、書き味、非浸透面への濡れ性、紙面への浸透性が良好である水性ボールペン用インキ組成物を提供するために、水性ボールペン用インキ組成物の20℃における剪断速度384.0sec-1におけるインキ粘度を1~40mPa・sとすることが、記載されており(摘記12a、12b参照)、甲3には、非浸透性の記録媒体に対する筆記性の向上を考慮して、水性インキ組成物の粘度を、20℃、剪断速度380sec-1、回転速度100rpmにおいて、1~50mPa・sとすることが、記載されており(摘記3d参照)、甲13には、優れた筆記感を奏する筆記具用水性インキ組成物を提供するために、水性インキ組成物の20℃における粘度を、回転数が100rpm(剪断速度380sec-1)の条件で測定した場合、1~300mPa・sとすることが、記載されており(摘記13b、13c参照)、甲14には、筆記性、特にペン先が乾燥した場合であっても書き出し時のかすれが少ない、可逆熱変色性インキ組成物を提供するために、可逆熱変色性インキ組成物の粘度を20℃、回転数384sec-1の条件で測定した場合は、1~200mPa・sとすることが、記載されている(摘記14b、14c参照)。
そして、甲3、甲10~甲14の前記記載は、甲1発明B1~B7のゲルインキボールペンに装着したレフィルのインキ収容筒内に充填した水性ボールペン用インキ組成物同じく書き味に優れるボールペンに関するものであるといえるから、甲1発明B1~B7のゲルインキボールペンに充填される水性ボールペン用インキ組成物の剪断速度を、25℃においても書き味に優れるものとするために、甲3、甲10~甲14に記載の水性インキの剪断速度384sec-1や380sec-1のおける粘度に基づいて、383sec-1における粘度(25℃)が80mPa・s以下であるものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
したがって、本件特許発明2は、甲1に記載された発明、並びに、甲3及び甲10~甲14に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
ウ 本件特許発明3
本件特許発明3は、本件特許発明1において「前記ボールペン用水性インク組成物の表面張力が15~60mN/m(25℃)である」と特定するものである。
ここで、特許異議申立人は、甲24に基づいて、甲1の実施例を再現した場合に、その表面張力を測定したところ、30.4mN/m(25℃)であったと主張しているが、甲24によれば、その測定において、甲1の実施例1(甲1発明B1)と顔料が異なるものを使用し、実施例2~7(甲1発明B2~B7)については測定されておらず、測定機器も甲1に記載のものと異なるから、特許異議申立人の前記主張は採用できず、表面張力が15~60mN/m(25℃)である点は実質的な相違点である。
しかし、甲1には、甲1発明B1~B7のゲルインキボールペンに装着したレフィルのインキ収容筒内に充填した水性ボールペン用インキ組成物を用いたボールペンは書き味に優れるものであることが、記載されており(摘記1b参照)、一方、甲10には、水性インキを備えるボールペンにおいて、筆記途中にカスレたり、最悪の場合インキを使い切らないうちに、筆記できなくなってしまうことを防止するために、水性インキの20~45mN/mとすることが、記載されており(摘記10a、10b)、甲11には、加衝撃時にもカスレ、並びにインキのボタ落ちもない優れた筆記性能を有する水性ボールペンを提供するために、表面張力を34mN/m以下とすることが、記載されており(摘記11a、11b)、甲12には、書き味、非浸透面への濡れ性、紙面への浸透性が良好である水性ボールペン用インキ組成物を提供するために、水性ボールペン用インキ組成物の20℃における表面張力を20mN/m~30mN/mとすることが、記載されており(摘記12a、12b参照)、甲3には、非浸透性の記録媒体に対する筆記性の向上を考慮して、水性インキ組成物の表面張力を、20℃環境下において、10~35mN/mとすることが、記載されており(摘記3d参照)、甲13には、優れた筆記感を奏する筆記具用水性インキ組成物を提供するために、水性インキ組成物の表面張力を、20℃環境下において、10~45mN/mとすることが、記載されており(摘記13b、13c参照)、甲14には、筆記性、特にペン先が乾燥した場合であっても書き出し時のかすれが少ない、可逆熱変色性インキ組成物を提供するために、可逆熱変色性インキ組成物の表面張力を、20℃環境下において、20~50mN/mとすることが、記載されている(摘記14b、14c参照)。
そして、甲3、甲10~甲14の前記記載は、甲1発明B1~A7と同じく書き味に優れるボールペンに関するものであるといえるから、甲1発明B1~B7のゲルインキボールペンに充填される水性ボールペン用インキ組成物の表面張力を、25℃においても書き味に優れるものとするために、甲3、甲10~甲14に記載の水性インキの、特に、20℃の表面張力に基づいて、表面張力が15~60mN/m(25℃)であるものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
したがって、本件特許発明3は、甲1に記載された発明、並びに、甲3及び甲10~甲14に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
(2)甲2発明Bを主たる引用発明とする場合
ア 本件特許発明1
(ア)甲2発明Bとの対比
甲2発明Bの「顔料粒子(着色樹脂粒子:平均粒子径0.4μm、固形分量34%、日本蛍光化学(株)、NKW6004E」及び「有機樹脂粒子(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、三井化学(株)製 ケミパールM200)」は、いずれも、本件特許発明1の「顔料を含む着色剤(A)」及び「オレフィン系樹脂粒子(B)」に相当する。
甲2発明Bの「顔料粒子(着色樹脂粒子:平均粒子径0.4μm、固形分量34%、日本蛍光化学(株)、NKW6004E」と「有機樹脂粒子(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、三井化学(株)製 ケミパールM200)」の固形分の質量比は、ケミパールM200の固形分量は40%であるから、17(=(20×0.34)/(1.0×0.4))であり、甲2発明の「有機樹脂粒子(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、三井化学(株)製 ケミパールM200)」の固形分は、インキ組成物全量に対して、0.4質量%(=100×1.0×0.4)であるから、甲2発明Bの「顔料粒子(着色樹脂粒子:平均粒子径0.4μm、固形分量34%、日本蛍光化学(株)、NKW6004E)20.0質量部」及び「有機樹脂粒子(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、三井化学(株)製 ケミパールM200)1.0質量部」は、本件特許発明1の「顔料を含む着色剤(A)と、オレフィン系樹脂粒子(B)」、「を含み」及び「前記着色剤(A)と前記オレフィン系樹脂粒子(B)の固形分の質量比〔(A)/(B)〕が1~100の範囲であり、かつ前記オレフィン系樹脂粒子(B)の含有量がインク組成物全量に対して、0.01~20質量%であり」に相当する。
甲2発明Bの「水性ボールペン用インキ組成物」は本件特許発明1の「ボールペン用水性インク組成物」に相当する。
甲2発明Bの「ゲルインキボールペン(商品名:G-knock)」は、水性ボールペン用インキ組成物をインキ収容筒内に充填したレフィルを装着したものであるから、本件特許発明1の「水性ボールペン」に相当する。
そうすると、本件特許発明1と甲2発明Bは「少なくとも、顔料を含む着色剤(A)と、オレフィン系樹脂粒子(B)と、水とを含み、前記着色剤(A)と前記オレフィン系樹脂粒子(B)の固形分の質量比〔(A)/(B)〕が1~100の範囲であり、かつ前記オレフィン系樹脂粒子(B)の含有量がインク組成物全量に対して、0.01~20質量%であり、ボールペン用水性インク組成物を搭載したことを特徴とする水性ボールペン。」である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点2-1>
本件特許発明1では、オレフィン系樹脂粒子(B)の針入度法硬度が1以上であると共に、コールターカウンター法で測定した平均粒子径が15μm以下であるのに対し、甲2発明Bではオレフィン樹脂粒子の針入度法硬度が不明であり、平均粒子径は6μmであるが、コールターカウンター法で測定したことが不明である点。
<相違点2-2>
本件特許発明1では、ボールペン用水性インク組成物中における、溶存酸素濃度が5%O2以上であるのに対し、甲2発明Bでは、ボールペン用水性インク組成物中における、溶存酸素濃度が特定されていない点。
<相違点2-3>
水性ボールペンが、本件特許発明1ではノック式であるのに対し、甲2発明Bではそのような特定がない点。
(イ)相違点についての検討
<相違点2-1>
甲2には、甲2発明Bのゲルインキボールペンに装着したレフィルのインキ収容筒内に充填した水性ボールペン用インキ組成物に含まれる有機樹脂粒子(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、三井化学(株)製 ケミパールM200)の平均粒子径はレーザー回折法で測定されることが、記載されている(摘記2c参照)。
ここで、ケミパールM200は球状であり(摘記21a参照)、理論上、測定方法により代表径に違いは生じないが、コールターカウンター法とレーザー回折法の測定結果の間に変わりがないから(摘記22a参照)、甲2発明の水性ボールペン用インキ組成物に含まれる有機樹脂粒子(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、三井化学(株)製 ケミパールM200)の平均粒子径は、コールターカウンター法で測定しても、15μmを下回ることが明らかであり、コールターカウンター法で測定したオレフィン系樹脂粒子(B)の平均粒子径が15μm以下である点は実質的な相違点とはならない、
また、甲2発明Bのゲルインキボールペンに装着したレフィルのインキ収容筒内に充填した水性ボールペン用インキ組成物に含まれる「有機樹脂粒子(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、三井化学(株)製 ケミパールM200)」の針入度法硬度については、「有機樹脂粒子(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、三井化学(株)製 ケミパールM200)」は甲1発明B1~B7の「オレフィン樹脂粒子(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、pH値9、固形分40%、三井化学(株)製、ケミパールM200)」と同じであり、前記(1)ア(イ)<相違点1-1>で検討したとおり、オレフィン系樹脂粒子(B)の針入度法硬度が1以上である点は実質的な相違点とはならないか、オレフィン系樹脂粒子(B)の針入度法硬度が1以上であるものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
そうすると、<相違点2-1>は実質的な相違点とはならない。
<相違点2-2>
前記(1)ア(イ)<相違点1-2>で検討したのと同じ理由により、この点は実質的な相違点とはならない。
<相違点2-3>
甲2には甲2発明Bのゲルボールペンについて「(商品名:G-knock)」と記載されており(摘記2d参照)、G-knockはノック式ボールペンであり(摘記47a、48a参照)、また、甲2には、甲2発明Bのゲルインキボールペンを軸筒内に摺動自在に配設し、前記ボールペンチップのチップ先端部を前記軸筒先端部から出没可能とした出没式することを特徴とする出没式水性ボールペンとすることが、記載されており(摘記2a参照)、このようなボールペンはノック式であるから、甲2発明Bのゲルインキボールペンをノック式であるものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
(ウ)本件特許発明1の効果について
本件特許明細書の実施例からみて、ボールペン用水性インク組成物中における、溶存酸素濃度が5%O2以上であるボールペン用水性インク組成物を充填した本件特許発明1のものは、ボールペン用水性インク組成物中における、溶存酸素濃度が5%O2以下であるボールペン用水性インク組成物を充填したものと比較して、耐擦過性及び耐掠性が優れているという効果を奏するが、前記(イ)<相違点2-2>についてで検討したとおり、ボールペン用水性インク組成物中における、溶存酸素濃度が5%O2以上である点は、相違点ではないから、そのような効果は相違点に基づくものとはいえず、本件特許発明1の効果は、甲2発明Bと比較して、当業者の予測を超える優れたものであるとはいえない。
また、甲2発明Bのゲルインキボールペンに装着したレフィルのインキ収容筒内に充填した水性ボールペン用インキ組成物は、筆跡が濃いと評価されるものであり、筆跡が濃ければ、耐掠性が優れているといえるし、甲2には、甲2発明Bのゲルインキボールペンに装着したレフィルのインキ収容筒内に充填した水性ボールペン用インキ組成物は、オレフィン系樹脂粒子の含有量をインキ組成物全量に対し0.01~10.0質量%とすることによりドライアップ性能に影響が出ないものであることが記載されており(摘記1c参照)、ドライアップ性能に影響が出なければ、耐擦過性が優れているといえるから、本件特許発明1により奏される効果は、甲2発明Bと比較して、当業者の予測を超える優れたものであるとはいえない。
さらに、本件特許明細書において筆記具をボールペンにしたことにより奏される効果は記載されていないから、本件特許発明1により奏される効果は、甲2発明Bと比較して、当業者の予測を超える優れたものであるとはいえない。
(エ)特許権者の主張及び当審の判断について
特許権者は、令和5年12月5日提出の意見書において「ご認定の「甲2発明A及びBの水性ボールペン用インキ組成物においては、〈相違点2-2〉溶存酸素濃度が5%O2以上であることは、前記(1)ア(イ)〈相違点1-2〉で検討したのと同じ理由により、この点は実質的な相違点とはならない。」とする点は、甲1発明のAl~A7及びBl~7を主たる引用発明とする場合と同様に論理の飛躍があり、妥当でないもの確信します。
甲2でも、段落〔0042〕~〔0045〕で、「インキ漏れ試験、耐摩耗、筆跡の濃さ、書き味」の各評価であり、
本件特許発明にように、ノック式に密接に関連した各評価、気泡発生の評価試験、耐擦過性の評価、すなわち、段落〔0046〕、〔0047〕で開示しましたように、「ノック式水性ボールペンについて、温度5℃の環境下にて1カ月静置した後、温度25℃の環境下にて1日静置したのち、ペン先を下向きにした状態で、ノック動作を20回行った。25℃の環境下に1週間放置後の気泡発生有無を評価基準に基づいて評価を行ったものであり、また、耐擦れ性は、上記条件でのノック操作を20回行った後、筆記用紙に直径2cmのらせんを筆記することで、気泡発生による耐擦れ性の有無について評価基準に基づいて評価を行った。」ものであり、ご認定の甲2の単なる「インキ漏れ試験、耐摩耗、筆跡の濃さ、書き味」の各評価とは異なり、本件特許発明は甲2よりも、顕著な作用効果を発揮するものであります。
よって、本件特許発明1の「ノック式水性ボールペン」と、ご指摘の甲2発明A及びBの水性ボールペン用インキ組成物及び水性ボールペンとは、発明の課題、技術思想(構成及びその作用効果)が相違するものであり、同一発明でなく、新規性を有することは明らかであります。また、本件特許発明1は、甲2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができないものであり、進歩性を有することは明らかであります。」と主張する。
しかし、特許権者の主張する前記耐擦過性及び耐カスレ性の効果については、前記(ウ)のとおり、甲2発明Bと比較して、当業者の予測を超える優れたものであるとはいえないし、特許権者の主張する前記気泡発生の効果については、本件特許明細書の実施例からみて、ボールペン用水性インク組成物中における、溶存酸素濃度が5%O2以上であるボールペン用水性インク組成物を充填した本件特許発明1のものは、ボールペン用水性インク組成物中における、溶存酸素濃度が5%O2以下であるボールペン用水性インク組成物を充填したものと比較して、優れていることは示されていない。
そうすると、特許権者の前記主張は採用できない。
(オ)小括
したがって、本件特許発明1は、甲2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
イ 本件特許発明2
本件特許発明2は、本件特許発明1において「前記ボールペン用水性インク組成物の剪断速度383sec-1における粘度(25℃)が80mPa・s以下である」と特定するものである。
ここで、甲2には、甲2発明Bのゲルインキボールペンに装着したレフィルのインキ収容筒内に充填した水性ボールペン用インキ組成物を用いたボールペンは濃い筆跡とするものであることが、記載されており(摘記2b参照)、一方、甲10には、水性インキを備えるボールペンにおいて、筆記途中にカスレたり、最悪の場合インキを使い切らないうちに、筆記できなくなってしまうことを防止するために、水性インキの剪断速度384s-1の粘度(25℃)を20mPa・s以上180mPa・s以下とすることが、記載されており(摘記10a、10b)、甲11には、加衝撃時にもカスレ、並びにインキのボタ落ちもない優れた筆記性能を有する水性ボールペンを提供するために、水性インキの剪断速度384sec-1の粘度(25℃)を20~180mPa・sとすることが、記載されており(摘記11a、11b)、甲12には、書き味、非浸透面への濡れ性、紙面への浸透性が良好である水性ボールペン用インキ組成物を提供するために、水性ボールペン用インキ組成物の20℃における剪断速度384.0sec-1におけるインキ粘度を1~40mPa・sとすることが、記載されており(摘記12a、12b参照)、甲3には、非浸透性の記録媒体に対する筆記性の向上を考慮して、水性インキ組成物の粘度を、20℃、剪断速度380sec-1、回転速度100rpmにおいて、1~50mPa・sとすることが、記載されており(摘記3d参照)、甲13には、優れた筆記感を奏する筆記具用水性インキ組成物を提供するために、水性インキ組成物の20℃における粘度を、回転数が100rpm(剪断速度380sec-1)の条件で測定した場合、1~300mPa・sとすることが、記載されており(摘記13b、13c参照)、甲14には、筆記性、特にペン先が乾燥した場合であっても書き出し時のかすれが少ない、可逆熱変色性インキ組成物を提供するために、可逆熱変色性インキ組成物の粘度を20℃、回転数384sec-1の条件で測定した場合は、1~200mPa・sとすることが、記載されている(摘記14b、14c参照)。
そして、甲3、甲10~甲14の前記記載は、甲2発明Bと同じく濃い筆跡とするボールペンに関するものであるといえるから、甲2発明Bのゲルインキボールペンに装着したレフィルのインキ収容筒内に充填した水性ボールペン用インキ組成物の剪断速度を、25℃においても濃い筆跡とするとするために、甲3、甲10~甲14に記載の水性インキの剪断速度384sec-1や380sec-1のおける粘度に基づいて、383sec-1における粘度(25℃)が80mPa・s以下であるものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
したがって、本件特許発明2は、甲2に記載された発明、並びに、甲3及び甲10~甲14に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
ウ 本件特許発明3
本件特許発明3は、本件特許発明1において「前記ボールペン用水性インク組成物の表面張力が15~60mN/m(25℃)である」と特定するものである。
ここで、甲2には、甲2発明Bのゲルインキボールペンに装着したレフィルのインキ収容筒内に充填した水性ボールペン用インキ組成物を用いたボールペンは濃い筆跡とするものであることが、記載されており(摘記2b参照)、一方、甲10には、水性インキを備えるボールペンにおいて、筆記途中にカスレたり、最悪の場合インキを使い切らないうちに、筆記できなくなってしまうことを防止するために、水性インキの20~45mN/mとすることが、記載されており(摘記10a、10b)、甲11には、加衝撃時にもカスレ、並びにインキのボタ落ちもない優れた筆記性能を有する水性ボールペンを提供するために、表面張力を34mN/m以下とすることが、記載されており(摘記11a、11b)、甲12には、書き味、非浸透面への濡れ性、紙面への浸透性が良好である水性ボールペン用インキ組成物を提供するために、水性ボールペン用インキ組成物の20℃における表面張力を20mN/m~30mN/mとすることが、記載されており(摘記12a、12b参照)、甲3には、非浸透性の記録媒体に対する筆記性の向上を考慮して、水性インキ組成物の表面張力を、20℃環境下において、10~35mN/mとすることが、記載されており(摘記3d参照)、甲13には、優れた筆記感を奏する筆記具用水性インキ組成物を提供するために、水性インキ組成物の表面張力を、20℃環境下において、10~45mN/mとすることが、記載されており(摘記13b、13c参照)、甲14には、筆記性、特にペン先が乾燥した場合であっても書き出し時のかすれが少ない、可逆熱変色性インキ組成物を提供するために、可逆熱変色性インキ組成物の表面張力を、20℃環境下において、20~50mN/mとすることが、記載されている(摘記14b、14c参照)。
そして、甲3、甲10~甲14の前記記載は、甲2発明Bと同じく濃い筆跡とするボールペンに関するものであるといえるから、甲2発明Aの水性ボールペン用インキ組成物の表面張力を、25℃においても書き味に優れるものとするために、甲3、甲10~甲14に記載の水性インキの、特に、20℃の表面張力に基づいて、表面張力が15~60mN/m(25℃)であるものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
したがって、本件特許発明3は、甲2に記載された発明、並びに、甲3及び甲10~甲14に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
(3)甲3発明B1~B18を主たる引用発明とする場合
ア 本件特許発明1
(ア)甲3発明B1~B18との対比
甲3発明B1~B18の「着色剤(光輝性顔料粒子)(シリカ被覆板状アルミニウム粒子、平均粒子径:7μm、アスペクト比:25、シリカ被覆量:14質量部、固形分:40%、東洋アルミ株式会社製、商品名:EMR-D6390)」、甲3発明B11の「着色剤(補色顔料)(SP4359(富士色素株式会社製、固形分:23%))」及び「着色剤(補色顔料)(SP5658(富士色素株式会社製、固形分:23%))」は、いずれも、本件特許発明1の「顔料を含む着色剤(A)」に相当する。
甲3発明B1~B18の「ポリオレフィン樹脂粒子(低分子ポリエチレン、球状粒子、平均粒子径:1μm、固形分:40%、重量平均分子量:6000、三井化学株式会社製、商品名:ケミパールW401)」は本件特許発明1の「オレフィン系樹脂粒子(B)」に相当する。
甲3発明B1~B10及びB12~B18の「着色剤(光輝性顔料粒子)(シリカ被覆板状アルミニウム粒子、平均粒子径:7μm、アスペクト比:25、シリカ被覆量:14質量部、固形分:40%、東洋アルミ株式会社製、商品名:EMR-D6390)」と「ポリオレフィン樹脂粒子(低分子ポリエチレン、球状粒子、平均粒子径:1μm、固形分:40%、重量平均分子量:6000、三井化学株式会社製、商品名:ケミパールW401)」の固形分の質量比は、いずれも、7.5(=(12×0.4)/(1×0.4))であり、甲3発明B11の「着色剤(光輝性顔料粒子)(シリカ被覆板状アルミニウム粒子、平均粒子径:7μm、アスペクト比:25、シリカ被覆量:14質量部、固形分:40%、東洋アルミ株式会社製、商品名:EMR-D6390)」、「着色剤(補色顔料)(SP4359(富士色素株式会社製、固形分:23%))」及び「着色剤(補色顔料)(SP5658(富士色素株式会社製、固形分:23%))」の固形分の質量比は、いずれも、12.1(=((12×0.4)+(7.6×0.23)+(0.4×0.23)/(1×0.4))であり、甲3発明B1~B18の「ポリオレフィン樹脂粒子(低分子ポリエチレン、球状粒子、平均粒子径:1μm、固形分:40%、重量平均分子量:6000、三井化学株式会社製、商品名:ケミパールW401)」の固形分は、いずれも、インキ組成物全量に対して、0.4質量%(=100×1.0×0.4)であるから、甲3発明B1~B10及びB12~B18の「着色剤(光輝性顔料粒子)(シリカ被覆板状アルミニウム粒子、平均粒子径:7μm、アスペクト比:25、シリカ被覆量:14質量部、固形分:40%、東洋アルミ株式会社製、商品名:EMR-D6390)12質量%、ポリオレフィン樹脂粒子(低分子ポリエチレン、球状粒子、平均粒子径:1μm、固形分:40%、重量平均分子量:6000、三井化学株式会社製、商品名:ケミパールW401)1質量%」、甲3発明B11の「「着色剤(光輝性顔料粒子)(シリカ被覆板状アルミニウム粒子、平均粒子径:7μm、アスペクト比:25、シリカ被覆量:14質量部、固形分:40%、東洋アルミ株式会社製、商品名:EMR-D6390)9.6質量%、着色剤(補色顔料)(SP4359(富士色素株式会社製、固形分:23%))7.6質量%、着色剤(補色顔料)(SP5658(富士色素株式会社製、固形分:23%))0.4質量%、ポリオレフィン樹脂粒子(低分子ポリエチレン、球状粒子、平均粒子径:1μm、固形分:40%、重量平均分子量:6000、三井化学株式会社製、商品名:ケミパールW401)1質量%」は、いずれも、本件特許発明1の「顔料を含む着色剤(A)と、オレフィン系樹脂粒子(B)」、「を含み」及び「前記着色剤(A)と前記オレフィン系樹脂粒子(B)の固形分の質量比〔(A)/(B)〕が1~100の範囲であり、かつ前記オレフィン系樹脂粒子(B)の含有量がインク組成物全量に対して、0.01~20質量%であり」に相当する。
甲3発明B1~B18の「筆記具用水性インキ組成物」は、本件特許発明1の「ボールペン用水性インク組成物」と「筆記具用水性インキ組成物」の限りにおいて一致する。
甲3発明B1~B18の「マーキングペン」は、筆記具用水性インキ組成物をインキ収容体に充填したものであるから、本件特許発明4の「水性ボールペン」と水性ペンの限りにおいて一致する。
そうすると、本件特許発明1と甲3発明B1~B18は「少なくとも、顔料を含む着色剤(A)と、オレフィン系樹脂粒子(B)と、水とを含み、前記着色剤(A)と前記オレフィン系樹脂粒子(B)の固形分の質量比〔(A)/(B)〕が1~100の範囲であり、かつ前記オレフィン系樹脂粒子(B)の含有量がインク組成物全量に対して、0.01~20質量%であり、筆記具用水性インク組成物を搭載したことを特徴とする水性ペン。」である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点3-1>
本件特許発明1では、オレフィン系樹脂粒子(B)の針入度法硬度が1以上であると共に、コールターカウンター法で測定した平均粒子径が15μm以下であるのに対し、甲3発明B1~B18ではポリオレフィン樹脂粒子の針入度法硬度が不明であり、平均粒子径は1μmであるが、コールターカウンター法で測定したことが不明である点。
<相違点3-2>
本件特許発明1では、筆記具用水性インク組成物中における、溶存酸素濃度が5%O2以上であるのに対し、甲3発明B1~B18では、筆記具用水性インク組成物中における、溶存酸素濃度が特定されていない点。
<相違点3-3>
水性ペンが、本件特許発明1ではノック式ボールペンであるのに対し、甲3発明B1~B18ではノック式ボールペンに特定されていない点。
(イ)相違点についての検討
<相違点3-1>
甲3には、甲甲3発明B1~B18マーキングペンのインキ収容体に充填した筆記具用水性インキ組成物はに含まれるポリオレフィン樹脂粒子(低分子ポリエチレン、球状粒子、平均粒子径:1μm、固形分:40%、重量平均分子量:6000、三井化学株式会社製、商品名:ケミパールW401)の平均粒子径はコールターカウンター法で測定されることが、記載されているし(摘記3c参照)、三井化学株式会社製、商品名:ケミパールW401のコールターカウンター法で測定された平均粒子径も1μmとなっていることから(摘記21a参照)、コールターカウンター法で測定したオレフィン系樹脂粒子(B)の平均粒子径が15μm以下である点は実質的な相違点とはならない。
また、甲3発明B1~B18のマーキングペンに充填された筆記具用水性インキ組成物に含まれる「ポリオレフィン樹脂粒子(低分子ポリエチレン、球状粒子、平均粒子径:1μm、固形分:40%、重量平均分子量:6000、三井化学株式会社製、商品名:ケミパールW401ケミパールW401)」について、ケミパールW401の針入度法硬度が4又は3と記載されているから(摘記17a、21a参照)、オレフィン系樹脂粒子(B)の針入度法硬度が1以上である点は実質的な相違点とはならない。
そうすると、<相違点3-1>は実質的な相違点とはならない。
<相違点3-2>
前記(1)ア(イ)<相違点1-2>検討したのと同じ理由により、この点は実質的な相違点とはならない。
<相違点3-3>
筆記具がノック式ボールペンである点は実質的な相違点である。
甲3には、甲3発明B1~B18のマーキングペンをノック式とすることが記載されているから(摘記3d参照)、甲3発明B1~B18のマーキングペンをノック式であるものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
したがって、本件特許発明6は、甲3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
(ウ)本件特許発明1の効果について
本件特許明細書の実施例からみて、ボールペン用水性インク組成物中における、溶存酸素濃度が5%O2以上であるボールペン用水性インク組成物を充填した本件特許発明1のものは、ボールペン用水性インク組成物中における、溶存酸素濃度が5%O2以下であるボールペン用水性インク組成物を充填したものと比較して、耐擦過性及び耐掠性が優れているという効果を奏するが、前記(イ)<相違点3-2>についてで検討したとおり、ボールペン用水性インク組成物中における、溶存酸素濃度が5%O2以上である点は、相違点ではないから、そのような効果は相違点に基づくものとはいえず、本件特許発明1の効果は、甲3発明B1~B18と比較して、当業者の予測を超える優れたものであるとはいえない。
また、甲3発明B1~B18マーキングペンのインキ収容体に充填した筆記具用水性インキ組成物は、筆記線がかすれなく、耐擦性に優れると評価されるものであり、本件特許発明1の効果は、甲3発明B1~B18と比較して、当業者の予測を超える優れたものであるとはいえない。
さらに、本件特許明細書において筆記具をボールペンにしたことにより奏される効果は記載されていないから、相違点に基づく本件特許発明1により奏される効果は顕著なものであるとはいえない。
さらに、本件特許明細書において筆記具をボールペンにしたことにより奏される効果は記載されていないから、本件特許発明1により奏される効果は、甲3発明B1~B18と比較して、当業者の予測を超える優れたものであるとはいえない。
(エ)特許権者の主張及び当審の判断について
特許権者は、令和5年12月5日提出の意見書において「ご認定の「〈相違点3-2〉における、甲3発明Al~B18の水性インク組成物においては、溶存酸素濃度が5%O2%以上であることは、〈前記(1)ア(イ)〈相違点1-2〉で検討したのと同じ理由により、この点は実質的な相違点とはならない。」とする点は、甲1発明のAl~A7及びBl~7を主たる引用発明とする場合と同様に論理の飛躍があり、妥当でないもの確信します。
甲3は、水性マーキングペン用のインクが主であり、段落〔0071〕~(0075〕で、「経時試験、ペン先の筆記先端部へのインキ到達性試験、重ね書き試験、筆記性試験、耐擦試験」の各評価であり、
本件特許発明にように、ノック式に密接に関連した各評価、気泡発生の評価試験、耐擦過性の評価、すなわち、段落〔0046〕、〔0047〕で開示しましたように、「ノック式水性ボールペンについて、温度5℃の環境下にて1カ月静置した後、温度25℃の環境下にて1日静置したのち、ペン先を下向きにした状態で、ノック動作を20回行った。25℃の環境下に1週間放置後の気泡発生有無を評価基準に基づいて評価を行ったものであり、また、耐擦れ性は、上記条件でのノック操作を20回行った後、筆記用紙に直径2cmのらせんを筆記することで、気泡発生による耐擦れ性の有無について評価基準に基づいて評価を行った。」ものであり、ご認定の甲3の単なるマーキングペンの「経時試験、ペン先の筆記先端部へのインキ到達性試験、重ね書き試験、筆記性試験、耐擦試験」の各評価とは異なり、本件特許発明は甲3よりも、顕著な作用効果を発揮するのであります。よって、本件特許発明1の「ノック式水性ボールペン」と、ご指摘の甲3発明A及びBの筆記具用水性インキ組成物、ボールペンヘの示唆がある筆記具とは、発明の課題、技術思想(構成及びその作用効果)が相違するものであり、甲3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができないものであり、進歩性を有することは明らかであります。」と主張し、前記「〈前記(1)ア(イ)〈相違点1-2〉で検討」については、具体的に「以上のように、乙第5号証~乙第10号証などから、通常、水性インク組成物の調製、水性ボールペンの製造では、遠心分離、減圧、エージング処理などが実施されるものであり、また、高温条件が重なれば、一概に溶存酸素濃度が5%O2以上とご認定することは妥当でないと確信します。」と主張する。
しかし、甲3発明B1~B18マーキングペンのインキ収容体に充填した筆記具用水性インキ組成物は、遠心分離、減圧、エージング処理を経ておらず、高温条件にあるものでもないので、前記(イ)<相違点3-2>で検討したとおり、水性インク組成物において、溶存酸素濃度が5%O2%以上である点は、実質的な相違点とはならない。
さらに、甲3発明B1~B18マーキングペンのインキ収容体に充填した筆記具用水性インキ組成物が、遠心分離、減圧、エージング処理を経たものであり、高温条件にあるものであるとしても、水性インク組成物中の溶存空気は減少するが、本件特許明細書【0043】に記載されるとおり、溶存酸素濃度%O2の「%O2」はインク中に溶解している空気のうちの酸素濃度を示したものであることが記載されており、溶存空気が減少したとしても、溶存空気中の酸素濃度は変わらないから、水性インク組成物において、溶存酸素濃度が5%O2%以上である点は、実質的な相違点とはならない。
そして、本件特許明細書の実施例からみて、前記気泡発生の評価試験及び耐擦過性の評価の結果は、筆記具用水性インク組成物中における、溶存酸素濃度が5%O2以上であることによるものであり、筆記具用水性インク組成物中における、溶存酸素濃度が5%O2以上であることは、前記(イ)<相違点3-2>で検討したとおり、相違点ではないから、相違点に基づく効果ではない。
また、特許権者の主張する前記耐擦過性及び耐カスレ性の効果については、前記(ウ)のとおり、甲3発明B1~B18と比較して、当業者の予測を超える優れたものであるとはいえないし、特許権者の主張する前記気泡発生の効果については、本件特許明細書の実施例からみて、ボールペン用水性インク組成物中における、溶存酸素濃度が5%O2以上であるボールペン用水性インク組成物を充填した本件特許発明1のものは、ボールペン用水性インク組成物中における、溶存酸素濃度が5%O2以下であるボールペン用水性インク組成物を充填したものと比較して、優れていることは示されていない。
さらに、本件特許発明1の解決課題と甲3発明B1~B18の解決課題とが相違するとしても、そのことが進歩性の判断を左右するものではない(東京高裁、平成 12年 (行ケ) 238号 平成13年11月1日判決言渡参照。該判決には、次のように判示されている。「(3) 原告は,本願発明1と引用発明1とは技術的課題が相違し,引用発明1に基づいて本願発明1に想到する動機付けは存在しないと主張する。
しかしながら,原告の主張は,主張自体失当という以外にない。原告の主張は,本願発明1の構成に想到するための動機付けは,本願発明1の技術的課題の認識以外に存在し得ないことを当然の前提とするものであり,このような前提が認められないことは論ずるまでもないことであるからである(一般に,異なった動機で同一の行動をとることは珍しいことではない。発明もその例外ではなく,異なった技術的課題の解決が同一の構成により達成されることは,十分あり得ることである。)。問題とすべきは,本願発明1の技術的課題ではなく,引用発明1等,本願発明1以外のものの中に,本願発明1の構成に至る動機付けとなるに足りる技術的課題が見いだされるか否かである。上記技術的課題は,本願発明1におけるものと同一であっても,もちろん差し支えない。しかし,これと同じである必要はない。
したがって,本願発明1の構成の容易想到性の検討においては,本来,引用発明1の技術的課題を明らかにすることは必要であるものの,本願発明1の技術的課題について論ずることは,無意味であるということができるのである(両発明の課題に共通するところがあったとしても,それは,いわば結果論にすぎない。)。
そして,引用発明1に,本願発明1に至る動機付けとなるに足りる技術的課題(ガスバリア性の向上)が認められることは,既に述べたとおりである。原告の主張は採用できない。」)。
よって、特許権者の前記主張は採用できない。
(オ)小括
したがって、本件特許発明1は、甲3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
イ 本件特許発明2
本件特許発明2は、本件特許発明1において「前記ボールペン用水性インク組成物の剪断速度383sec-1における粘度(25℃)が80mPa・s以下である」と特定するものである。
ここで、甲3には、甲3発明B1~B18マーキングペンのインキ収容体に充填した筆記具用水性インキ組成物を用いたボールペンは、非浸透性の記録媒体に対する筆記性、特には、重ね書き性が良好であることが、記載されており(摘記3b参照)、一方、甲10には、水性インキを備えるボールペンにおいて、筆記途中にカスレたり、最悪の場合インキを使い切らないうちに、筆記できなくなってしまうことを防止するために、水性インキの剪断速度384s-1の粘度(25℃)を20mPa・s以上180mPa・s以下とすることが、記載されており(摘記10a、10b)、甲11には、加衝撃時にもカスレ、並びにインキのボタ落ちもない優れた筆記性能を有する水性ボールペンを提供するために、水性インキの剪断速度384sec-1の粘度(25℃)を20~180mPa・sとすることが、記載されており(摘記11a、11b)、甲12には、書き味、非浸透面への濡れ性、紙面への浸透性が良好である水性ボールペン用インキ組成物を提供するために、水性ボールペン用インキ組成物の20℃における剪断速度384.0sec-1におけるインキ粘度を1~40mPa・sとすることが、記載されており(摘記12a、12b参照)、甲3には、非浸透性の記録媒体に対する筆記性の向上を考慮して、水性インキ組成物の粘度を、20℃、剪断速度380sec-1、回転速度100rpmにおいて、1~50mPa・sとすることが、記載されており(摘記3d参照)、甲13には、優れた筆記感を奏する筆記具用水性インキ組成物を提供するために、水性インキ組成物の20℃における粘度を、回転数が100rpm(剪断速度380sec-1)の条件で測定した場合、1~300mPa・sとすることが、記載されており(摘記13b、13c参照)、甲14には、筆記性、特にペン先が乾燥した場合であっても書き出し時のかすれが少ない、可逆熱変色性インキ組成物を提供するために、可逆熱変色性インキ組成物の粘度を20℃、回転数384sec-1の条件で測定した場合は、1~200mPa・sとすることが、記載されている(摘記14b、14c参照)。
そして、甲3、甲10~甲14の前記記載は、甲3発明B1~B18と同じく非浸透性の記録媒体に対する筆記性、特には、重ね書き性が良好であるボールペンに関するものであるといえるから、甲3発明B1~B18の水性ボールペン用インキ組成物の剪断速度を、25℃においても書き味に優れるものとするために、甲3、甲10~甲14に記載の水性インキの剪断速度384sec-1や380sec-1のおける粘度に基づいて、383sec-1における粘度(25℃)が80mPa・s以下であるものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
したがって、本件特許発明2は、甲3に記載された発明、並びに、甲3及び甲10~甲14に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
ウ 本件特許発明3
本件特許発明3は、本件特許発明1において「前記ボールペン用水性インク組成物の表面張力が15~60mN/m(25℃)である」と特定するものである。
ここで、甲3には、甲3発明B1~B18マーキングペンのインキ収容体に充填した筆記具用水性インキ組成物を用いたボールペンは、非浸透性の記録媒体に対する筆記性、特には、重ね書き性が良好であることが、記載されており(摘記3b参照)、一方、甲10には、水性インキを備えるボールペンにおいて、筆記途中にカスレたり、最悪の場合インキを使い切らないうちに、筆記できなくなってしまうことを防止するために、水性インキの20~45mN/mとすることが、記載されており(摘記10a、10b)、甲11には、加衝撃時にもカスレ、並びにインキのボタ落ちもない優れた筆記性能を有する水性ボールペンを提供するために、表面張力を34mN/m以下とすることが、記載されており(摘記11a、11b)、甲12には、書き味、非浸透面への濡れ性、紙面への浸透性が良好である水性ボールペン用インキ組成物を提供するために、水性ボールペン用インキ組成物の20℃における表面張力を20mN/m~30mN/mとすることが、記載されており(摘記12a、12b参照)、甲3には、非浸透性の記録媒体に対する筆記性の向上を考慮して、水性インキ組成物の表面張力を、20℃環境下において、10~35mN/mとすることが、記載されており(摘記3d参照)、甲13には、優れた筆記感を奏する筆記具用水性インキ組成物を提供するために、水性インキ組成物の表面張力を、20℃環境下において、10~45mN/mとすることが、記載されており(摘記13b、13c参照)、甲14には、筆記性、特にペン先が乾燥した場合であっても書き出し時のかすれが少ない、可逆熱変色性インキ組成物を提供するために、可逆熱変色性インキ組成物の表面張力を、20℃環境下において、20~50mN/mとすることが、記載されている(摘記14b、14c参照)。
そして、甲3、甲10~甲14の前記記載は、甲3発明B1~B18と同じく非浸透性の記録媒体に対する筆記性、特には、重ね書き性が良好であるボールペンに関するものであるといえるから、甲3発明B1~B18の筆記具用水性インク組成物の表面張力を、25℃においても書き味に優れるものとするために、甲3、甲10~甲14に記載の水性インキの、特に、20℃の表面張力に基づいて、表面張力が15~60mN/m(25℃)であるものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
したがって、本件特許発明3は、甲3に記載された発明、並びに、甲3及び甲10~甲14に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
第6 むすび
以上のとおりであるから、本件特許の請求項1~3に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明(前記第5 1の甲第1号証~甲第3号証、甲第10号証~甲第14号証)に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、上記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
本件訂正前の請求項4~6は本件訂正により削除されたため、請求項4~6についての特許異議の申立ては、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700013