特許訂正審判
2023-390045
モールドコイルの製造方法
- 審判番号
- 2023-390045
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2008-170161外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 4718583
- 請求日
- 2023年04月15日
- 審決日
- 2023年07月10日
- 公報発行日
- 2023年10月27日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P141 .841-Y (H01F) / P141 .851-Y (H01F) / P141 .853-Y (H01F) / P141 .855-Y (H01F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項3号特許法126条5項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第4718583号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第4718583号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第4718583号の請求項1ないし5に係る特許についての出願は、平成20年6月30日に出願され、平成23年4月8日にその特許権の設定登録がなされたものである。
その後、令和5年4月15日に訂正審判の請求がなされた。
第2 請求の趣旨
特許第4718583号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第3 訂正事項
本件訂正審判の請求に係る訂正事項は、以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「該キャビティ内に充填された溶融状態の該磁性体モールド樹脂の一部が該キャビティから該隙間を通じて該キャビティの外へと排出し」とあるのを、「該キャビティ内に充填された溶融状態の該磁性体モールド樹脂への加圧を、硬化するまで、保持し、該磁性体モールド樹脂の一部が該キャビティから該隙間を通じて該キャビティの外へと排出し」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2ないし5も同様に訂正する。)。
2 訂正事項2
明細書の段落【0016】に「キャビティ内に充填された溶融状態の磁性体モールド樹脂の一部がキャビティから隙間を通じてキャビティの外へと排出する。」とあるのを、「キャビティ内に充填された溶融状態の磁性体モールド樹脂への加圧を、硬化するまで、保持し、該磁性体モールド樹脂の一部がキャビティから隙間を通じてキャビティの外へと排出する。」に訂正する。
3 訂正事項3
明細書の段落【0032】に「次に図6に示すように、磁性体モールド樹脂10をチャンバーポット9内で180℃に加熱して溶融状態にし、プランジャー5を用いて磁性体モールド樹脂10をキャビティ6内に注入し、200kgfの加圧で8分間保持して磁性体モールド樹脂10を硬化させた。次に、成形金型から磁性体モールド樹脂10の硬化したものを離型して成形体を得た。」とあるのを、「次に図6に示すように、磁性体モールド樹脂10をチャンバーポット9内で180℃に加熱して溶融状態にし、プランジャー5を用いて磁性体モールド樹脂10をキャビティ6内に注入し、200kgfの加圧で硬化するまで8分間保持して磁性体モールド樹脂10を硬化させた。次に、成形金型から磁性体モールド樹脂10の硬化したものを離型して成形体を得た。」に訂正する。
4 訂正事項4
明細書の段落【0048】に「次に、図10に示すように、キャビティ15内の磁性体モールド樹脂10をキャビティ15内の予熱によって溶融させ、上パンチ13と上パンチ14を用いて10kgfの成形圧力を加え、180℃で8分間保持して磁性体モールド樹脂10を硬化させた。」とあるのを、「次に、図10に示すように、キャビティ15内の磁性体モールド樹脂10をキャビティ15内の予熱によって溶融させ、上パンチ13と上パンチ14を用いて10kgfの成形圧力を加え、硬化するまで180℃で8分間保持して磁性体モールド樹脂10を硬化させた。」に訂正する。
第4 当審の判断
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的について
上記訂正事項1は、「該キャビティ内に充填された溶融状態の該磁性体モールド樹脂」について、その「一部が該キャビティから該隙間を通じて該キャビティの外へと排出」する工程に加えて、「該磁性体モールド樹脂への加圧を、硬化するまで、保持し」との記載により更に加圧を保持する工程を特定するものである。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(2)新規事項の追加の有無について
本件明細書の第1の実施例のモールドコイルの製造方法について、段落【0032】に「次に図6に示すように、磁性体モールド樹脂10をチャンバーポット9内で180℃に加熱して溶融状態にし、プランジャー5を用いて磁性体モールド樹脂10をキャビティ6内に注入し、200kgfの加圧で8分間保持して磁性体モールド樹脂10を硬化させた。次に、成形金型から磁性体モールド樹脂10の硬化したものを離型して成形体を得た。」(下線は当審が付与した。以下同様。)とあるように、明細書には、第1の実施例において溶融状態の磁性体モールド樹脂をキャビティに注入し、所定の加圧で保持して磁性体モールド樹脂を硬化させることが記載されている。上記記載によれば、加圧の保持を磁性体モールド樹脂が硬化した後も継続するか否かは不明であるが、磁性体モールド樹脂への加圧を保持している間に磁性体モールド樹脂が硬化することは記載されていると認められる。また、本件明細書の段落【0038】に「この結果より、キャビティ6に充填された溶融状態の磁性体モールド樹脂10は、キャビティ6から各スペーサsによって設けられた隙間dに侵入する。・・・樹脂が隙間dを通じてキャビティ6の外へ磁性体粉末よりも優先的に排出されると考えられる。」とあるように、明細書にはキャビティに充填された溶融状態の磁性体モールド樹脂が隙間を通じてキャビティの外へ排出されることが記載されている。
さらに、本件明細書の第2の実施例のモールドコイルの製造方法について、段落【0048】に「次に、図10に示すように、キャビティ15内の磁性体モールド樹脂10をキャビティ15内の予熱によって溶融させ、上パンチ13と上パンチ14を用いて10kgfの成形圧力を加え、180℃で8分間保持して磁性体モールド樹脂10を硬化させた。次に、図11に示すように、第2のダイ12bと上パンチ13を外して成形体を離型した。」とあるように、明細書には、第2の実施例においてキャビティ内の磁性体モールド樹脂を溶融させ、所定の圧力を加え、保持して磁性体モールド樹脂を硬化させることが記載されている。上記記載によれば、加圧の保持を磁性体モールド樹脂が硬化した後も継続するか否かは不明であるが、磁性体モールド樹脂への加圧を保持している間に磁性体モールド樹脂が硬化することは記載されていると認められる。また、本件明細書の段落【0052】に「以上より、本発明のモールドコイルの製造方法は、成形金型中に隙間を設け、磁性体モールド樹脂をキャビティ内に充填させた後に隙間から磁性体モールド樹脂中の樹脂をキャビティ外に排出させる。」とあるように、明細書にはキャビティに充填された磁性体モールド樹脂が隙間からキャビティ外に排出されることが記載されている。
したがって、明細書には、磁性体モールド樹脂への加圧を保持している間に磁性体モールド樹脂が硬化すること、及びキャビティに充填された磁性体モールド樹脂が隙間を通じてキャビティの外へ排出されることが記載されていると認められるから、訂正事項1に係る訂正は、願書に添付した明細書に記載した事項であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項1は、上記(1)で指摘したとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かかる訂正によって特許請求の範囲の内容が実質的に拡張・変更されるものではないことは明らかである。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(4)独立特許要件について
訂正事項1は、上記(1)で指摘したとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとすべき理由を発見しない。
したがって、上記訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第7項に規定する要件に適合するものである。
2 訂正事項2について
(1)訂正の目的について
上記訂正事項2は、訂正事項1に係る訂正に伴い、段落【0016】の記載を訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるものであるから、かかる訂正は特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
(2)新規事項の追加の有無について
上記「1(2)」で検討したのと同様に、訂正事項2は段落【0032】、【0038】、【0048】及び【0052】の記載に基づくものである。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、願書に添付した明細書に記載した事項であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項2は、上記(1)で指摘したとおり、明細書の段落【0016】の記載を訂正事項1に係る訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるものである。また、上記「1(3)」で指摘したとおり、訂正事項1に係る訂正によって特許請求の範囲の内容が実質的に拡張・変更されるものではない。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、それにより特許請求の範囲の内容が実質的に拡張・変更されるものではないことは明らかであるから、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
3 訂正事項3について
(1)訂正の目的について
上記訂正事項3は、「硬化するまで」との記載によって、磁性体モールド樹脂が「200kgfの加圧で8分間保持して」いる間に硬化することを明確にするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
(2)新規事項の追加の有無について
本件明細書の段落【0032】に「次に図6に示すように、磁性体モールド樹脂10をチャンバーポット9内で180℃に加熱して溶融状態にし、プランジャー5を用いて磁性体モールド樹脂10をキャビティ6内に注入し、200kgfの加圧で8分間保持して磁性体モールド樹脂10を硬化させた。次に、成形金型から磁性体モールド樹脂10の硬化したものを離型して成形体を得た。」とあるように、明細書には、溶融状態の磁性体モールド樹脂をキャビティに注入し、200kgfの加圧で8分間保持して磁性体モールド樹脂を硬化させることが記載されている。
上記記載によれば、磁性体モールド樹脂が硬化するまでの時間が8分間であるか、それよりも短いかは不明であるが、磁性体モールド樹脂が200kgfの加圧で8分間保持している間に硬化することは記載されていると認められるから、訂正事項3における「200kgfの加圧で硬化するまで8分間保持して磁性体モールド樹脂10を硬化させた。」は、願書に添付した明細書に記載した事項である。
したがって、訂正事項3に係る訂正は特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項3は、上記(1)で指摘したとおり、「硬化するまで」との記載によって、磁性体モールド樹脂が「200kgfの加圧で8分間保持して」いる間に硬化することを明確にするものであり、また上記(2)で指摘したとおり、明細書には磁性体モールド樹脂が200kgfの加圧で8分間保持している間に硬化することが記載されていると認められるから、かかる訂正によって特許請求の範囲の内容が実質的に拡張・変更されるものではない。
したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許請求の範囲の内容が実質的に拡張・変更されるものではないことは明らかであるから、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
4 訂正事項4について
(1)訂正の目的について
上記訂正事項4は、「硬化するまで」との記載によって、「磁性体モールド樹脂が10kfの成型圧力を加え、180℃で8分間保持して」いる間に硬化することを明確にするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
(2)新規事項の追加の有無について
本件明細書の段落【0048】に「次に、図10に示すように、キャビティ15内の磁性体モールド樹脂10をキャビティ15内の予熱によって溶融させ、上パンチ13と上パンチ14を用いて10kgfの成形圧力を加え、180℃で8分間保持して磁性体モールド樹脂10を硬化させた。次に、図11に示すように、第2のダイ12bと上パンチ13を外して成形体を離型した。」とあるように、明細書には、キャビティ内の磁性体モールド樹脂を溶融させ、10kgfの成形圧力を加え、180℃で8分間保持して磁性体モールド樹脂を硬化させることが記載されている。
上記記載によれば、磁性体モールド樹脂が硬化するまでの時間が8分間であるか、それよりも短いかは不明であるが、磁性体モールド樹脂が10kgfの成形圧力で8分間保持している間に硬化することは記載されていると認められるから、訂正事項4における「10kgfの成形圧力を加え、硬化するまで180℃で8分間保持して磁性体モールド樹脂10を硬化させた。」は、願書に添付した明細書に記載した事項である。
したがって、訂正事項4に係る訂正は特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項4は、上記(1)で指摘したとおり、「硬化するまで」との記載によって、磁性体モールド樹脂が「磁性体モールド樹脂が10kfの成型圧力を加え、180℃で8分間保持して」いる間に硬化することを明確にするものであり、また上記(2)で指摘したとおり、明細書には磁性体モールド樹脂が10kgfの成形圧力で8分間保持している間に硬化することが記載されていると認められるから、かかる訂正によって特許請求の範囲の内容が実質的に拡張・変更されるものではない。
したがって、訂正事項4に係る訂正は、特許請求の範囲の内容が実質的に拡張・変更されるものではないことは明らかであるから、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
第5 むすび
以上のとおりであるから、本件審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第1号及び第3号に規定された事項を目的とし、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2023-390045